(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-11
(45)【発行日】2022-03-22
(54)【発明の名称】コールセンター会話内容表示システム、方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
H04M 3/51 20060101AFI20220314BHJP
G10L 15/10 20060101ALI20220314BHJP
G10L 15/22 20060101ALI20220314BHJP
G10L 17/00 20130101ALI20220314BHJP
【FI】
H04M3/51
G10L15/10 500Z
G10L15/22 460Z
G10L17/00 200C
(21)【出願番号】P 2019526075
(86)(22)【出願日】2017-06-29
(86)【国際出願番号】 JP2017024018
(87)【国際公開番号】W WO2019003395
(87)【国際公開日】2019-01-03
【審査請求日】2019-12-20
【審判番号】
【審判請求日】2021-06-15
(73)【特許権者】
【識別番号】500521522
【氏名又は名称】株式会社オプティム
(74)【代理人】
【識別番号】100177220
【氏名又は名称】小木 智彦
(72)【発明者】
【氏名】菅谷 俊二
【合議体】
【審判長】伊藤 隆夫
【審判官】佐藤 智康
【審判官】福田 正悟
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-276754(JP,A)
【文献】特開2015-94811(JP,A)
【文献】特開2011-87005(JP,A)
【文献】特開2007-68044(JP,A)
【文献】特開2002-157445(JP,A)
【文献】特開2002-197196(JP,A)
【文献】国際公開第2011/77501(WO,A1)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
コールセンターにおけるユーザとオペレータとの会話内容
の選択部分をチャット形式にして表示するコールセンター会話内容表示システムであって、
前記ユーザと前記オペレータとの会話内容の音声データを取得する取得手段と、
前記音声データをテキストに変換する変換手段と、
前記音声データの発話者を認識する認識手段と、
前記認識された結果に基づいて、前記テキストを、前記ユーザと前記オペレータとのチャット形式にして表示する表示手段と、
Webページに公開する前記会話内容を選択する選択手段と、
前記選択された会話内容をWebページに掲載することで公開する公開手段と、
を備えるコールセンター会話内容表示システム。
【請求項2】
前記表示手段は、前記変換手段によって変換された前記テキストのうち、前記表示手段の閲覧者にとって不要な情報に相当するテキストを削除し、また、ユーザの固有名詞、ユーザの会員番号等のユーザのプライバシーに関わる用語を予めモザイク情報データベースに記憶し、前記モザイク情報データベースに基づき、ユーザのプライバシーに関わる用語にモザイクを施して表示する、請求項1に記載のコールセンター会話内容表示システム。
【請求項3】
コンピュータがコールセンターにおけるユーザとオペレータとの会話内容
の選択部分をチャット形式にして表示するコールセンター会話内容表示方法であって、
コンピュータが前記ユーザと前記オペレータとの会話内容の音声データを取得するステップと、
コンピュータが前記音声データをテキストに変換するステップと、
コンピュータが前記音声データの発話者を認識するステップと、
コンピュータが前記認識された結果に基づいて、前記テキストを、前記ユーザと前記オペレータとのチャット形式にして表示するステップと、
コンピュータ
がWebページに公開する前記会話内容を
前記オペレータに選択させるステップと、
コンピュータが前記選択された会話内容をWebページに掲載することで公開するステップと、
を備えるコールセンター会話内容表示方法。
【請求項4】
コールセンターにおけるユーザとオペレータとの会話内容
の選択部分をチャット形式にして表示するコールセンター会話内容表示システムに、
前記ユーザと前記オペレータとの会話内容の音声データを取得するステップと、
前記音声データをテキストに変換するステップと、
前記音声データの発話者を認識するステップと、
前記認識された結果に基づいて、前記テキストを、前記ユーザと前記オペレータとのチャット形式にして表示するステップと、
Webページに公開する前記会話内容を
前記オペレータに選択させるステップと、
前記選択された会話内容をWebページに掲載することで公開するステップと、
を実行させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コールセンター会話内容表示システム、方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、ユーザからの電話による着信を受け付けて応対するコールセンターシステムにおいて、前記ユーザとオペレータとの間で行われた通話の内容を録音する通話録音装置と、前記ユーザとオペレータとを関連付けして、通話内容を蓄積する通話録音データベースとを備えることが知られている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、このシステムでは、通話録音データベースに通話内容が蓄積されるにとどまり、コールセンターへの問合せ回数を減らし、オペレータの負担を減らす、といった業務の改善には至っていない。
【0005】
そこで、本発明では、コールセンターへの問合せ回数を減らし、オペレータの負担を減らすことの可能なシステムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明では、以下のような解決手段を提供する。
【0007】
第1の特徴に係る発明は、コールセンターにおけるユーザとオペレータとの会話内容の選択部分をチャット形式にして表示するコールセンター会話内容表示システムであって、
前記ユーザと前記オペレータとの会話内容の音声データを取得する取得手段と、
前記音声データをテキストに変換する変換手段と、
前記音声データの発話者を認識する認識手段と、
前記認識された結果に基づいて、前記テキストを、前記ユーザと前記オペレータとのチャット形式にして表示する表示手段と、
Webページに公開する前記会話内容を選択する選択手段と、
前記選択された会話内容をWebページに掲載することで公開する公開手段と、
を備えるコールセンター会話内容表示システムを提供する。
【0008】
第1の特徴に係る発明によれば、コールセンターにおけるユーザとオペレータとの会話内容がチャット形式にして表示手段に表示される。コールセンターに何らかの問合せをしたいと考えている質問者は、コールセンターに問合せをする前に表示手段の表示を確認することで、その確認の時点で上記問合せについての疑問を解決できることもある。この場合、コールセンターのオペレータへの直接の問合せが不要になる。よって、上記システムによると、コールセンターへの問合せ回数を減らし、オペレータの負担を減らすことが可能となる。
【0010】
第1の特徴に係る発明によれば、上記問合せについての疑問をユーザとオペレータとの間のQ&A形式で解決できるので、コールセンターに何らかの問合せをしたいと考えている質問者は、あたかも自分が質問しているかのような感覚を得ることができる。これにより、オペレータに直接問合せする前に表示手段の表示を用いて調べることへの意欲が高まり、結果として、コールセンターへの問合せ回数のさらなる減少、オペレータの負担のさらなる軽減に繋がる。
【0014】
第1の特徴に係る発明によれば、広く一般に公開するのに適切な会話内容だけが公開されるため、プライバシーの配慮が必要な会話や、公開に適さない会話等が一般に公開されることを予防できる。これにより、オペレータに直接問合せしづらくなるのを防ぐことができる。
【0015】
第2の特徴に係る発明は、第1の特徴に係る発明であって、
前記表示手段は、前記変換手段によって変換された前記テキストのうち、前記表示手段の閲覧者にとって不要な情報に相当するテキストを削除し、また、ユーザの固有名詞、ユーザの会員番号等のユーザのプライバシーに関わる用語を予めモザイク情報データベースに記憶し、前記モザイク情報データベースに基づき、ユーザのプライバシーに関わる用語にモザイクを施して表示する、請求項1に記載のコールセンター会話内容表示システムを提供する。
【0016】
第2の特徴に係る発明によれば、表示手段の閲覧者にとって不要な情報表示されないため、当該閲覧者にとっての視認性が高まる。また、ユーザのプライバシーに関わる用語をモザイクを施して表示することにより、ユーザのプライバシーが保護される。これにより、オペレータに直接問合せする前に表示手段の表示を用いて調べることへの意欲が高まり、結果として、コールセンターへの問合せ回数のさらなる減少、オペレータの負担のさらなる軽減に繋がる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、コールセンターへの問合せ回数を減らし、オペレータの負担を減らすことの可能なシステムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】
図1は、本実施形態におけるコールセンター会話内容表示システム1のハードウェア構成とソフトウェア機能を示すブロック図である。
【
図2】
図2は、本実施形態におけるコールセンター会話内容表示方法を示すフローチャートである。
【
図3】
図3は、本実施形態における音声テキスト記憶領域33の概略構成を示す。
【
図4】
図4は、オペレータ端末2において、テキストをチャット形式にて仮表示したときの一例である。
【
図7】
図7は、ユーザ端末3において、テキストをチャット形式にて本表示したときの一例である。
【
図8】
図8は、変形例におけるコールセンター会話内容表示システム100のハードウェア構成とソフトウェア機能を示すブロック図である。
【
図9】
図9は、変形例におけるコールセンター会話内容表示方法を示すフローチャートである。
【
図10】
図10は、変形例における音声テキスト記憶領域33の概略構成を示す。
【
図13】
図13は、ユーザ端末3において、テキストをチャット形式にて本表示したときの一例である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明を実施するための形態について図を参照しながら説明する。なお、これはあくまでも一例であって、本発明の技術的範囲はこれに限られるものではない。
【0020】
<コールセンター会話内容表示システム1の構成>
図1は、本実施形態におけるコールセンター会話内容表示システム1のハードウェア構成とソフトウェア機能を説明するためのブロック図である。
【0021】
コールセンター会話内容表示システム1は、データを制御する制御部10と、他の機器と通信を行う通信部20と、データを記憶する記憶部30とを備える。
【0022】
制御部10は、CPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)等を備える。
【0023】
制御部10は、所定のプログラムを読み込み、必要に応じて通信部20と協働することで、取得モジュール11と、変換モジュール12と、認識モジュール13と、仮表示モジュール14と、削除モジュール15と、選択モジュール16と、公開モジュール17を実現する。
【0024】
通信部20は、他の機器と通信可能にするためのデバイスを備える。
【0025】
記憶部30は、データやファイルを記憶する装置であって、ハードディスクや半導体メモリ、記録媒体、メモリカード等による、データのストレージ部を備える。記憶部30は、後に説明する音声データ記憶領域31、辞書データベース32、音声テキスト記憶領域33、声紋記憶領域34、削除情報データベース35及びモザイク情報データベース36を記憶する。
【0026】
<コールセンター会話内容表示システム1を用いたコールセンター会話内容表示方法を示すフローチャート]
図2は、コールセンター会話内容表示システム1を用いたコールセンター会話内容表示方法を示すフローチャートである。上述した各ハードウェアと、ソフトウェアモジュールが実行する処理について説明する。
【0027】
〔ステップS11:会話内容の音声データを取得〕
最初に、コールセンター会話内容表示システム1の制御部10は、取得モジュール11を実行し、コールセンターにおけるユーザとオペレータとの会話内容の音声データを取得する(ステップS11)。
【0028】
コールセンター会話内容表示システム1は、コールセンターにおけるオペレータが使用するオペレータ端末2と、通信部20を介してネットワーク接続されている。オペレータ端末2には、コールセンターにおけるユーザが使用するユーザ端末3から送信される音声データが入力されるところ、この音声データは、通信部20を介してコールセンター会話内容表示システム1に入力される。また、コールセンターにおけるオペレータが発した音声もまた、オペレータが使用する端末において音声データとしてA/D変換される。このA/D変換された音声データもまた、通信部20を介してコールセンター会話内容表示システム1に入力される。
【0029】
コールセンター会話内容表示システム1に入力された音声データは、通話日時の情報とともに、記憶部30の音声データ記憶領域31に記憶される。
【0030】
なお、音声データが音声データ記憶領域31に記憶されるタイミングは、特に限定されない。例えば、コールセンターにおけるユーザとオペレータとの会話内容をいったんオペレータ側の端末に記憶させ、ユーザとオペレータとの会話が終了した後に、オペレータ側の端末からコールセンター会話内容表示システム1に音声データをまとめて送信してもよい。あるいは、コールセンターにおけるユーザとオペレータとの会話中に、随時、オペレータ側の端末からコールセンター会話内容表示システム1に音声データを送信してもよい。
【0031】
〔ステップS12:音声データをテキストに変換〕
続いて、制御部10は、変換モジュール12を実行し、ステップS11の処理で取得した音声データをテキストに変換する(ステップS12)。
【0032】
音声データをテキストに変換する技術としては、従来より広く知られた音声認識技術を利用すればよい。例えば、音声データ記憶領域31に記憶された音声を言語の音素に変換し、記憶部30に予め設けられた辞書データベース32を参照し、最も近い文章をテキスト形式で出力する技術が挙げられる。
【0033】
出力されたテキストは、記憶部30の音声テキスト記憶領域33に記憶される。
【0034】
図3は、音声テキスト記憶領域33の構成を示す一例である。音声テキスト記憶領域33は、通話日時と、発話者と、音声テキストと、音声テキストの内容が表示に適する内容か非表示が適当であるかを識別するフラグとの項目を含んで構成される。ステップS12の段階では、発話者を特定できない。また、ステップS12の段階では、音声テキストの内容が表示に適する内容か否かも識別できない。そのため、ステップS12の段階では、音声テキスト記憶領域33には、通話日時と音声テキストの情報とだけが記憶される。
【0035】
なお、以下では、ユーザとオペレータとの間で以下のようなやりとりがあったものとして説明する。
ユーザ(会員番号123456,山田太郎氏):「製品Aが故障しました。」
オペレータ(社員番号0234,鈴木花子氏):「お名前と会員番号をお願いします。」
ユーザ:「123456 山田太郎です。」
オペレータ:「製品Aを修理しますので、こちらに発送して頂けますでしょうか。」
ユーザ:「了解です。明日送ります。」
ユーザ:「また、よろしく!」その後、通話終了。
【0036】
〔ステップS13:音声データの発話者を認識〕
図2に戻る。続いて、制御部10は、認識モジュール13を実行し、ステップS11の処理で取得した音声データの発話者を認識する(ステップS13)。
【0037】
発話者を認識する技術としては、従来より広く知られた話者認識技術を利用すればよい。例えば、音声データ記憶領域31に記憶された音声から特徴を抽出し、モデル化し、それを使って個人の声の認識を行う技術が挙げられる。
【0038】
まず、予め、オペレータの音声について特徴を抽出して声紋のモデルを構築する。構築された声紋は、記憶部30の声紋記憶領域34に記憶される。
【0039】
続いて、ステップS11の処理で取得した音声データについて、声紋記憶領域34に記憶されたモデルの音声と一致するかどうかを判別する。一致する場合、制御部10は、その音声データの発話者がオペレータであると認識し、一致しない場合、その音声データの発話者がユーザであると認識する。
【0040】
なお、発話者がユーザ(本実施形態では、会員番号123456,山田太郎氏)であると認識した音声データについては、特徴を抽出して声紋のモデルを構築し、構築された声紋を、山田太郎氏の声紋として、記憶部30の声紋記憶領域34に記憶してもよい。そうすることで、今後、山田太郎氏から別の問合せがあったときに、発話者が山田太郎氏であると識別する精度を高めることができる。
【0041】
また、オペレータ(本実施形態では、社員番号0234,鈴木花子氏)についても、声紋のモデルを更新することで、機械学習の精度を高めることができる。
【0042】
発話者を認識した結果は、記憶部30の音声テキスト記憶領域33における「発話者」の項目に記憶される。
【0043】
〔ステップS14:テキストをチャット形式にして仮表示〕
続いて、制御部10は、仮表示モジュール14を実行し、ユーザとオペレータとの間のやりとりを示すテキストを、チャット形式にしてオペレータ端末2に仮表示する(ステップS14)。
【0044】
図4は、オペレータ端末2に仮表示したときの一例を示す。画面の左側には、ユーザの会話内容が表示され、右側には、オペレータの会話内容が表示される。制御部10は、音声テキスト記憶領域30を参照し、発話者がユーザである音声テキストと、発話者がオペレータである音声テキストとに区別する。そして、発話者がユーザである音声テキストについては、ユーザの会話内容として、画面の左側に時系列で表示し、発話者がオペレータである音声テキストについては、オペレータの会話内容として、画面の右側に時系列で表示する。
【0045】
〔ステップS15:不要な情報の削除〕
続いて、制御部10は、削除モジュール15を実行し、オペレータ端末2に仮表示されている会話内容のうち、今後、広く一般に会話内容を公開したときに閲覧者にとって不要な情報に相当する会話内容の削除を促す(ステップS15)。
【0046】
図5は、
図4において、オペレータによって「次へ」がクリックされ、制御部10がステップS15の処理を実行したときのオペレータ端末2での仮表示の例を示す。オペレータ端末2には、「削除する項目を選択してください。」との文字が表示される。そこで、会話内容を閲覧すると、一番下にある「また、よろしく!」との会話は、今後、広く一般に会話内容を公開したときに閲覧者にとって不要な情報に相当する。そこで、オペレータの選択操作により、「また、よろしく!」との会話を削除する。
【0047】
オペレータの選択操作の結果は、音声テキスト記憶領域33(
図3)における表示/非表示の情報に反映される。
【0048】
また、オペレータの選択操作の結果を、記憶部30の削除情報データベース35に登録し、以降の操作において、制御部10が削除情報データベース35への登録内容を参照して、削除するのが適当と予測される項目をコールセンター会話内容表示システム1からオペレータに提案できるようにしてもよい。そうすることで、オペレータにかかる負荷をよりいっそう軽減させることができる。
【0049】
〔ステップS16:公開する会話内容の選択〕
続いて、制御部10は、選択モジュール16を実行し、オペレータ端末2に仮表示されている会話内容のうち、Webページに公開する会話内容の選択を促す(ステップS16)。
【0050】
オペレータ端末2に仮表示されている会話内容の中には、ユーザのプライバシー等の観点から、Webページへの公開が好ましくない内容もある。
【0051】
そこで、記憶部30には、モザイク情報データベース36が設けられ、ユーザの固有名詞、ユーザの会員番号等、ユーザのプライバシーに関わる用語等が予め記憶されている。そして、制御部10は、モザイク情報データベース36を参照し、オペレータ端末2に仮表示されている会話内容のうち、ユーザのプライバシーに関わる用語にモザイクを施す処理を実行する。
【0052】
図6は、
図5において、オペレータによって「次へ」がクリックされ、制御部10がステップS16の処理を実行したときのオペレータ端末2での仮表示の例を示す。オペレータ端末2には、「モザイクをかける箇所を選択してください。」との文字が表示される。これは、モザイクを施す処理が不十分である場合に、誤ってユーザのプライバシーに関わる情報が広く一般に公開されるのを防ぐためである。そのため、オペレータがモザイクを施すことも可能にしている。
【0053】
また、山田太郎氏の固有名詞と、山田太郎氏の会員番号については、予めモザイク処理が施されている。本実施形態では、オペレータが手作業することなくモザイク処理を施すことが可能であるため、オペレータにかかる負荷をよりいっそう軽減させることができる。
【0054】
なお、オペレータが手作業でモザイク処理を施した場合は、その内容を記憶部30のモザイク情報データベース36に登録し、以降の操作に反映させてもよい。
【0055】
オペレータの選択操作の結果は、音声テキスト記憶領域33(
図3)における表示/非表示の情報に反映される。
【0056】
〔ステップS17:Webページへの公開〕
続いて、制御部10は、公開モジュール17を実行し、ユーザとオペレータとの会話内容を、ユーザとオペレータとのチャット形式にして広く一般に公開する(ステップS17)。
【0057】
図7は、広く一般に公開したときのユーザ端末3での表示例である。これにより、ユーザ端末3から自由に閲覧することが可能になる。
【0058】
本実施形態に記載の発明によれば、コールセンターにおけるユーザとオペレータとの会話内容がチャット形式にしてユーザ端末3に表示される。コールセンターに何らかの問合せをしたいと考えている質問者は、コールセンターに問合せをする前に表示手段の表示を確認することで、その確認の時点で上記問合せについての疑問を解決できることもある。この場合、コールセンターのオペレータへの直接の問合せが不要になる。よって、本実施形態に記載のコールセンター会話内容表示システム1によると、コールセンターへの問合せ回数を減らし、オペレータの負担を減らすことが可能となる。
【0059】
中でも、制御部10は、認識モジュール13を実行して、音声データの発話者を認識する。これにより、上記問合せについての疑問をユーザとオペレータとの間のQ&A形式で解決できるので、コールセンターに何らかの問合せをしたいと考えている質問者は、あたかも自分が質問しているかのような感覚を得ることができる。これにより、オペレータに直接問合せする前に表示手段の表示を用いて調べることへの意欲が高まり、結果として、コールセンターへの問合せ回数のさらなる減少、オペレータの負担のさらなる軽減に繋がる。
【0060】
また、制御部10は、選択モジュール16を実行して、Webページに公開する会話内容を選択し、公開モジュール17を実行して、選択モジュール16を用いた処理によって選択された会話内容に限定して、Webページに掲載することで公開する。これにより、広く一般に公開するのに適切な会話内容だけが公開されるため、プライバシーの配慮が必要な会話や、公開に適さない会話等が一般に公開されることを予防できる。これにより、オペレータに直接問合せしづらくなるのを防ぐことができる。
【0061】
また、制御部10は、選択モジュール16を実行し、変換モジュール12の実行によって変換されたテキストのうち、閲覧者にとって不要な情報に相当するテキストを削除して表示する。これにより、ユーザ端末3から閲覧する閲覧者にとって不要な情報が表示されないため、当該閲覧者にとっての視認性が高まる。これにより、オペレータに直接問合せする前に表示手段の表示を用いて調べることへの意欲が高まり、結果として、コールセンターへの問合せ回数のさらなる減少、オペレータの負担のさらなる軽減に繋がる。
【0062】
<変形例>
上記の実施形態では、ユーザとオペレータとの会話内容を、吹き出しを用いた会話形式で表示可能に構成したが、これに限るものではない。例えば、質問に相当する会話と、回答に相当する会話とに区別して、Q&A方式で表示可能にしてもよい。
【0063】
図8は、そのときのコールセンター会話内容表示システム100の概略構成を示す。このシステム100は、
図1で説明したシステム1に対し、制御部10に分類モジュール118が設けられている点で異なる。それ以外は、
図1で説明したシステム1と同じである。
【0064】
図9は、そのときのコールセンター会話内容表示方法の概略を示す。この方法は、
図2で説明した方法に対し、ステップS17とステップS18との間に、「テキストを質問と回答とに分類 S118」との処理が行われる点で異なる。それ以外は、
図2で説明した方法と同じである。
【0065】
〔ステップS118:テキストを質問と回答とに分類〕
ステップS17の処理の後、制御部10は、分類モジュール118を実行し、ユーザとオペレータとの会話内容について、質問と回答とに分類する(ステップS118)。
【0066】
図11は、
図6に続くオペレータ端末2での仮表示例である。それぞれの会話内容について、「質問」に相当するか、「回答」に相当するかが選択される。
【0067】
オペレータの選択操作の結果は、変形例に係る音声テキスト記憶領域33(
図10)の「質問/回答」フラグに反映される。
図10は、
図3に対して「質問/回答」フラグが追加されている点で異なり、それ以外は同じである。
【0068】
続いて、制御部10は、会話内容を質問と回答とに分類して再構成して表示する。
【0069】
図12は、
図11に続くオペレータ端末2での仮表示例である。上段には「質問」に相当する内容が集約され、下段には「回答」に相当する内容が集約される。仮表示例の右下には「公開」のボタンが設けられる。オペレータが「公開」のボタンをクリックすると、制御部10は、処理をステップS17に移す。
【0070】
〔ステップS17:Webページへの公開〕
続いて、制御部10は、公開モジュール17を実行し、ユーザとオペレータとの会話内容を、ユーザとオペレータとのチャット形式にして広く一般に公開する(ステップS17)。
【0071】
図13は、広く一般に公開したときのユーザ端末3での表示例である。これにより、ユーザ端末3から自由に閲覧することが可能になる。
【0072】
本変形例に係る発明によれば、質問を表示する領域と回答を表示する領域とが明確になり、コールセンターに何らかの問合せをしたいと考えている質問者にとっての上記システムの利便性が高まる。これにより、オペレータに直接問合せする前に表示手段の表示を用いて調べることへの意欲が高まり、結果として、コールセンターへの問合せ回数のさらなる減少、オペレータの負担のさらなる軽減に繋がる。
【0073】
上述した手段、機能は、コンピュータ(CPU、情報処理装置、各種端末を含む)が、所定のプログラムを読み込んで、実行することによって実現される。プログラムは、例えば、フレキシブルディスク、CD(CD-ROMなど)、DVD(DVD-ROM、DVD-RAMなど)等のコンピュータ読取可能な記録媒体に記録された形態で提供される。この場合、コンピュータはその記録媒体からプログラムを読み取って内部記憶装置又は外部記憶装置に転送し記憶して実行する。また、そのプログラムを、例えば、磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク等の記憶装置(記録媒体)に予め記録しておき、その記憶装置から通信回線を介してコンピュータに提供するようにしてもよい。
【0074】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上述したこれらの実施形態に限るものではない。また、本発明の実施形態に記載された効果は、本発明から生じる最も好適な効果を列挙したに過ぎず、本発明による効果は、本発明の実施形態に記載されたものに限定されるものではない。
【符号の説明】
【0075】
1 コールセンター会話内容表示システム
10 制御部
11 取得モジュール
12 変換モジュール
13 認識モジュール
14 仮表示モジュール
15 削除モジュール
16 選択モジュール
17 公開モジュール
20 通信部
30 記憶部
31 音声データ記憶領域
32 辞書データバース
33 音声テキスト記憶領域
34 声紋記憶領域
35 削除情報データベース
36 モザイク情報データベース
2 オペレータ端末
3 ユーザ端末