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特許7039156光学式ロータリエンコーダ、サーボモータおよびアクチュエータ
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  • 特許-光学式ロータリエンコーダ、サーボモータおよびアクチュエータ 図1
  • 特許-光学式ロータリエンコーダ、サーボモータおよびアクチュエータ 図2
  • 特許-光学式ロータリエンコーダ、サーボモータおよびアクチュエータ 図3
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-11
(45)【発行日】2022-03-22
(54)【発明の名称】光学式ロータリエンコーダ、サーボモータおよびアクチュエータ
(51)【国際特許分類】
   G01D 5/347 20060101AFI20220314BHJP
【FI】
G01D5/347 110U
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2021506828
(86)(22)【出願日】2019-03-15
(86)【国際出願番号】 JP2019011012
(87)【国際公開番号】W WO2020188668
(87)【国際公開日】2020-09-24
【審査請求日】2021-05-13
(73)【特許権者】
【識別番号】390040051
【氏名又は名称】株式会社ハーモニック・ドライブ・システムズ
(74)【代理人】
【識別番号】100090170
【弁理士】
【氏名又は名称】横沢 志郎
(72)【発明者】
【氏名】上野 新太郎
(72)【発明者】
【氏名】柴原 義徳
(72)【発明者】
【氏名】金森 定治
【審査官】吉田 久
(56)【参考文献】
【文献】実開平1-102819(JP,U)
【文献】特開2017-96711(JP,A)
【文献】特開平8-145725(JP,A)
【文献】特開2016-166879(JP,A)
【文献】特開平5-52595(JP,A)
【文献】実開平3-60020(JP,U)
【文献】特開昭62-187216(JP,A)
【文献】特開2003-302258(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0146640(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01D 5/26-5/38
H02K 11/00-11/40
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
同心状に形成した複数列の検出トラックを備えた回転ディスクと、
前記検出トラックに検出光を照射する発光素子と、
前記検出トラックのそれぞれにおける前記検出光の照射領域から得られる光信号を通過させるスリットパターンを備えた固定スリット板と、
前記スリットパターンを通過した前記光信号のそれぞれを受光する受光素子と、
を備えており、
前記検出トラックのそれぞれは、一定の角度間隔で配列されたスリットあるいは反射帯から構成され、
前記固定スリット板の前記スリットパターンは、前記検出トラックの数に対応する数のスリット列から構成され、
前記スリット列には、複数の第1スリット列と、複数の第2スリット列が含まれ、前記第1、第2スリット列は前記回転ディスクの半径方向に並べられており、
前記第1スリット列は、スリット配列方向の長さが前記第2スリット列よりも短く、
前記スリットパターンは、スリット列並び方向である前記半径方向の両側に、前記第1スリット列がそれぞれ位置するように形成されて、前記スリットパターンが前記固定スリット板における前記検出光の有効照射領域内に位置している光学式ロータリエンコーダ。
【請求項2】
前記第1スリット列においては、前記回転ディスクの円周方向に、2つの第1スリットが第1間隔で配列されており、
前記第2スリット列においては、前記円周方向に、前記第1スリット列の前記第1スリットと同一スリット幅の2つの第2スリットが、前記第1間隔よりも広い第2間隔で配列されている請求項1に記載の光学式ロータリエンコーダ。
【請求項3】
前記検出トラックは、前記円周方向に一定の角度間隔で配列された前記検出光を通すスリットを備えており、
前記受光素子は、前記検出トラックの前記スリットおよび前記固定スリット板の前記スリットパターンを通過して得られる複数組の2相の光信号を受光する複数の受光面を備えている請求項2に記載の光学式ロータリエンコーダ。
【請求項4】
前記回転ディスクには6列の前記検出トラックが配置されており、
前記固定スリット板の前記スリットパターンは、3つの前記第1スリット列および3つの前記第2スリット列を備えており、
前記受光素子は、6組の2相の光信号を受光する12の受光面を備えている請求項3に記載の光学式ロータリエンコーダ。
【請求項5】
モータ出力軸の回転情報を検出するための請求項1ないし4のうちのいずれか一つの項に記載の光学式ロータリエンコーダを備えているサーボモータ。
【請求項6】
モータと、
前記モータの出力回転を減速する減速機と、
前記減速機の出力軸の回転情報を検出するための請求項1ないし4のうちのいずれか一つの項に記載の光学式ロータリエンコーダと
を備えているアクチュエータ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、サーボモータの回転情報、減速機およびモータから構成されるアクチュエータの出力軸の回転情報を検出するために用いる光学式ロータリエンコーダに関する。
【背景技術】
【0002】
光学式ロータリエンコーダとしては、透過型および反射型の光学式ロータリエンコーダが知られている。特許文献1(図3)に記載されているように、透過型の光学式ロータリエンコーダでは、測定対象の回転軸に取り付けた回転ディスクの一方の側に発光素子が配置され、他方の側に受光素子が配置される。発光素子からの射出される検出光が、回転ディスクに形成したスリットパターンおよび固定スリット板に形成したスリットパターンを通ることで、複数の光信号が生成される。これらの光信号が受光素子で受光されて、光電変換された後に、信号処理回路に供給されて、90°位相の異なるA相およびB相の2相信号等が形成される。特許文献2に記載の光学式ロータリエンコーダでは、2組の発光素子および受光素子を備え、回転ディスクおよび固定スリット板に形成されている2列のスリットパターンを介して光信号を生成している。これにより、スリットパターンを微細化することなく、検出精度を高めるようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2011-172358号公報
【文献】特開2007-147396号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
光学式ロータリエンコーダの検出精度を高めると共に、その小型化、低コスト化を図るためには、1組の発光素子および受光素子を用いて複数列のスリットパターンを検出できることが望ましい。例えば、図3(a)~(c)に示す光学式ロータリエンコーダ100において、発光ダイオード(LED)101を光源とする場合、LED101から射出される検出光102の有効スポット形状は円形となる。回転ディスク103には複数列のスリットパターン106(検出トラック)が形成され、固定スリット板105にも、複数列のスリットパターン107が形成されている。
【0005】
図3(c)において、白抜きの長方形は回転ディスク103の複数列のスリットパターン106を構成しているスリット103aを示し、グレーの菱形は固定スリット板105のスリットパターン107を構成しているスリット105aを示し、斜線を付した長方形は受光素子104の受光面パターン108を構成している受光面104aを示す。LED101からの検出光102は、回転ディスク103のスリットパターン106および固定スリット板105のスリットパターン107を通過して、受光素子104の各受光面104aで受光される。図3(c)に示すように、LED101からの検出光102の有効スポット109は、複数個の菱形のスリット105aからなる固定スリット板105のスリットパターンを包含する大きさとする必要がある。
【0006】
例えば、LED101の有効スポット109を、図3(c)において想像線で示すように小径の有効スポット7aにすると、固定スリット板105のスリットパターンにおける一対のスリット105a(1)、105a(2)が、部分的に、有効スポット7aからはみ出た状態になる。この結果、一対のスリット105a(1)、105a(2)を介して得られる2相の光信号の受光量が低下し、S/N比の高い2相信号を得ることができない。有効スポットの範囲内に固定スリット板105のスリットパターンを構成する各スリット105aが完全に収まるように、大きな有効スポット109を備えた大型のLED101を選定する必要がある。必要とされるLED101の有効スポット径を小さくできれば、設計自由度が増し、コストの低減、装置の小型化に有利である。
【0007】
本発明の目的は、検出光の有効スポットの範囲内に配置するのに適したスリットパターンが形成された固定スリット板を備えた、設計自由度の向上、コスト減および小型化に有利な光学式ロータリエンコーダを提供することにある。
【0008】
また、本発明の目的は、この新しい光学式のロータリエンコーダが組み込まれたサーボモータ、および、減速機およびモータから構成されるアクチュエータを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の課題を解決するために、本発明の光学式のロータリエンコーダは、
同心状に形成した複数列の検出トラックを備えた回転ディスクと、
前記検出トラックに検出光を照射する発光素子と、
前記検出トラックのそれぞれにおける前記検出光の照射領域から得られる光信号を通過させるスリットパターンを備えた固定スリット板と、
前記スリットパターンを通過した前記光信号のそれぞれを受光する受光素子と、
を備えており、
前記検出トラックのそれぞれは、一定の角度間隔で配列されたスリットあるいは反射帯から構成され、
前記固定スリット板の前記スリットパターンは、前記検出トラックの数に対応する数のスリット列から構成され、
前記スリット列には、複数の第1スリット列と、複数の第2スリット列が含まれ、前記第1、第2スリット列は前記回転ディスクの半径方向に並べられており、
前記第1スリット列は、スリット配列方向の長さが前記第2スリット列よりも短く、
前記スリットパターンは、スリット列並び方向である前記半径方向の両側に、前記第1スリット列がそれぞれ位置するように形成されて、前記スリットパターンが前記固定スリット板における前記検出光の有効照射領域内に位置していることを特徴としている。
例えば、スリット配列方向の長さが短い前記第1スリット列は、前記回転ディスクの円周方向に、2つの第1スリットが第1間隔で配列されている。これに対して、スリット配列方向の長さが長い前記第2スリット列は、前記円周方向に、前記第1スリット列の前記第1スリットと同一スリット幅の2つの第2スリットが、前記第1間隔よりも広い第2間隔で配列されている。
【0010】
LED等の発光素子から射出される検出光の有効スポット形状は一般に円形である。検出トラック数が増加すると、固定スリット板のスリットパターンは、スリット列が増加するので、その並び方向のサイズが大きくなる。本発明では、スリット列並び方向の両側に、長さの短い第1スリット列が配置される。スリット列並び方向の両側に長い第2スリット列が配置される場合に比べて、スリットパターンの全体を、より小さな有効スポットの範囲内に収めることができる。よって、サイズの小さなLED等の発光素子を用いることができ、光学式ロータリエンコーダの小型化に有利である。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】(a)は本発明を適用した透過型の光学式ロータリエンコーダの一例を示す説明図であり、(b)は回転ディスクの検出トラック、固定スリット板のスリットパターンおよび受光素子の受光面パターンを示す説明図であり、(c)は検出トラック、スリットパターンおよび受光面パターンを検出光の有効スポットと共に拡大して示す説明図である。
図2】(a)は本発明を適用可能な反射型の光学式ロータリエンコーダの構成例を示す説明図であり、(b)は本発明の光学式ロータリエンコーダが組み込まれたサーボモータを示す説明図であり、(c)は本発明の光学式ロータリエンコーダが組み込まれたアクチュエータを示す説明図である。
図3】(a)は透過型の光学式ロータリエンコーダの一例を示す説明図であり、(b)は回転ディスクの検出トラック、固定スリット板のスリットパターンおよび受光素子の受光面パターンを示す説明図であり、(c)は検出トラック、スリットパターンおよび受光面パターンを検出光の有効スポットと共に拡大して示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に、図面を参照して、本発明を適用した光学式ロータリエンコーダの実施の形態を説明する。
【0013】
図1(a)は本実施の形態に係る透過型の光学式ロータリエンコーダの概略構成を示す説明図である。光学式ロータリエンコーダ1は、発光素子2、回転ディスク3、固定スリット板4および受光素子5を備えている。本例では発光素子2としてLEDを用いている。回転ディスク3は、測定対象の回転軸6に取り付けられ、回転軸6と一体回転する。発光素子2と受光素子5とは固定した位置に配置されており、これらは、回転ディスク3を挟み、回転ディスク3の回転中心線3aに沿った方向から対峙している。固定スリット板4は、受光素子5と回転ディスク3との間に配置されている。
【0014】
図1(b)は、回転ディスク3の検出トラック、固定スリット板4のスリットパターンおよび受光素子5の受光面パターンを示す説明図であり、図1(c)はその部分拡大図である。発光素子2から射出される検出光7は、回転ディスク3に垂直に入射して、回転ディスク3に形成されている複数列の検出トラックを照射する。本例では、回転ディスク3の回転中心を中心として、同心状に6列の検出トラック11~16が形成されている。外周側の2列の検出トラック11、12は、例えば、矩形のスリット11a、12aが一定の角度間隔で255個形成されているノギス信号検出トラックである。これらの内側の2列の検出トラック13、14は、例えば、矩形のスリット13a、14aが一定の角度間隔で256個形成されている主信号検出トラックである。回転中心側の2列の検出トラック15、16は、例えば同一形状(同一幅および同一長さ)の矩形のスリット15a、16aが一定の角度間隔で240個形成されている補正信号検出トラックである。スリット11a~16aは、回転ディスク3に形成した光通過部あるいは光透過部である。
【0015】
固定スリット板4には、検出トラック11~16に対応して、6列のスリット列21~26からなるスリットパターンが形成されている。スリット列21~26は、回転ディスク3の半径方向y(スリット列並び方向)に並んでいる。スリット列21~26は、それぞれ、回転ディスク3の円周方向x(スリット配列方向)に一定の間隔で配置した一対のスリット21a、一対のスリット22a、一対のスリット23a、一対のスリット24a、一対のスリット25aおよび一対のスリット26aから構成されている。各スリット21a~26aは同一形状(本例では菱形)の光通過部あるいは光透過部である。
【0016】
検出トラック11~16を照射した検出光7は、回転ディスク3の表面上に、有効照射領域として、円形の有効スポット7aを形成する。有効スポット7aの範囲内に位置する各検出トラック11~16のスリット11a~16aを通過した検出光7は、各検出トラック11~16のそれぞれに対応する光信号となって、固定スリット板4を照射する。固定スリット板4のスリットパターンを通過した各光信号は、受光素子5の各受光面5aで受光される。
【0017】
図1(c)において、実線の円は有効スポット7aを示し、白抜きの長方形は回転ディスク3に形成した6列の検出トラック11~16のスリット11a~16aを示し、グレーの菱形は固定スリット板4に形成した6列のスリット列21~26の各スリット21a~26aを示し、斜線を付した長方形は、受光素子5の受光面5aを示す。
【0018】
固定スリット板4において、ノギス信号発生用のスリット列21、22において、一方のスリット列21では、円周方向x(スリット配列方向)に、スリット21a(第1スリット)が狭い第1角度間隔p1で配列されている。回転ディスク3の回転に伴って、一方のスリット21aを介して得られる光信号からA相信号が生成され、他方のスリット21aを介して得られる光信号からB相信号が生成されるようになっている。スリット列22では、スリット22a(第2スリット)が広い第2角度間隔p2で配列されており、また、スリット21aに対して円周方向x(スリット配列方向)に所定角度だけオフセットしている。これにより、一方のスリット22aを介して得られる光信号からA相の反転信号が生成され、他方のスリット22aを介して得られる光信号から、B相の反転信号が生成されるようになっている。
【0019】
主信号発生用のスリット列23、24においても同様である。スリット列23では、スリット23a(第1スリット)が第1角度間隔p1で配列され、A相およびB相の2相信号が生成される。スリット列24では、スリット24a(第2スリット)が第2角度間隔p2で配列され、A相の反転信号およびB相の反転信号が生成される。
【0020】
これに対して、補正信号発生用のスリット列25、26においては、半径方向yの外側に位置するスリット列25では、円周方向xに広い第2角度間隔p2でスリット25a(第2スリット)が配列されている。他方のスリット列26では、円周方向xに狭い第1角度間隔p1でスリット26a(第1スリット)が配列されている。後述のように、受光素子5の側において配線を変更する等して、スリット列25のスリット25aから得られる光信号からA相およびB相の2相信号が生成され、スリット列26のスリット26aから得られる光信号からA相の反転信号およびB相の反転信号が得られるようになっている。
【0021】
受光素子5の受光面パターンは、各スリット21a~26aに対応させて、12個の受光面5aを含んでいる。各受光面5aで受光された光信号は電気信号に変換されて、信号処理ユニット8に供給される。信号処理ユニット8において、公知の信号処理によって、2組の2相信号からなる主信号、2組の2相信号からなるノギス信号および2組の2相信号からなる補正信号が生成される。
【0022】
本例の光学式ロータリエンコーダ1の固定スリット板4のスリットパターンにおいて、半径方向y(スリット列並び方向)の外端および内端に位置するスリット列21、26は、一対のスリット21aおよび一対のスリット26aが、それぞれ、狭い第1角度間隔p1で配列されている。これにより、検出光7の円形の有効スポット7aの範囲内に、これらのスリット21a、26aの全体が収まっている。図3(c)に示す固定スリット板105のスリットパターンの場合には、有効スポット7aよりも大きな径の有効スポット109のLED101を用いて、スリットパターンを有効スポットの範囲内に収める必要がある。本例では、より小さな有効スポット径の発光素子2を用いることができる。
【0023】
本例では、固定スリット板4において、スリット列25、26のスリットパターンが、他のスリット列21、22およびスリット列23、24の場合とは逆になっている。狭い第1角度間隔p1のスリットからA相、B相の2相信号を生成し、広い第2角度間隔p2のスリットから2相信号の反転信号を生成するように設計されているものとする。この場合には、広い第2角度間隔p2で配置されているスリット25aを介して得られる光信号を受光する受光面5aからの出力と、狭い第1角度間隔p1で配置されているスリット26aを介して得られる光信号を受光する受光面5aからの出力とが入れ替わって信号処理ユニット8に供給されるように、配線を変更すればよい。あるいは、プログラマブル型の受光素子であれば、信号配線を変更せずに、内部レジスタ(信号の割り当て)のみを変更するだけでよい。よって、回転ディスク3の検出トラック11~16、受光素子5の受光面パターン等を変更することなく、固定スリット板4のスリットパターンを変更して、各スリット21a~26aを有効スポット7aの範囲内に収めることが容易である。
【0024】
次に、本発明は、反射型の光学式ロータリエンコーダにも同様に適用可能である。図2(a)には、反射型の光学式ロータリエンコーダの概略構成を示す。光学式ロータリエンコーダ51の基本構成は、一般的な反射型の光学式ロータリエンコーダと同一であり、発光素子52、回転ディスク53、固定マスク54および受光素子55を備えている。回転ディスク53は、測定対象の回転軸(図示せず)に取り付けられ、回転軸と一体回転する。発光素子52と受光素子55とは固定した位置に配置されており、これらは、回転ディスク53に対して同一の側に配置されている。発光素子52から射出する検出光57は、回転ディスク53の表面に同心状に配列されている反射帯からなる検出トラック53aで反射されて、固定マスク54に形成されているスリットパターン54aを介して、受光素子55の受光面55aで受光される。固定マスク54に形成されているスリットパターンは、検出トラック53aで反射される検出光の有効スポットの範囲内に各スリットが収まるように形成されている。
【0025】
図2(b)は、本発明を適用したサーボモータを示す説明図である。サーボモータ80は、モータ本体部81と、モータ出力軸82の回転位置、回転速度等の回転情報を検出するためのエンコーダ83と、モータ制御ユニット84とを備えている。エンコーダ83には、図1あるいは図2(a)に示す光学式ロータリエンコーダ1、51が用いられている。
【0026】
図2(c)は、本発明を適用したアクチュエータの一例を示す説明図である。アクチュエータ90は、モータ91と、モータ91の出力回転を減速して出力する減速機92と、減速機92の出力軸93の回転位置、回転速度等の回転情報を検出するエンコーダ94と、制御ユニット95とを備えている。エンコーダ94には、図1あるいは図2(a)に示す光学式ロータリエンコーダ1、51が用いられている。
【0027】
(その他の実施の形態)
上記の光学式ロータリエンコーダは、ノギス方式によりスリットパターンが形成されている場合である。本発明は、スリット数が異なる複数のスリット列を備えているインクリメンタル方式の光学式ロータリエンコーダ、または、複数のスリット列がM系列の配列パターンに従って形成されている光学式ロータリエンコーダにも同様に適用可能である。
【0028】
このような場合には、光学式ロータリエンコーダの固定スリット板に形成される複数のスリット列は、スリット幅が同一である場合あるいはスリット幅が異なる場合、スリット間隔が同一である場合あるいはスリット間隔が異なる場合、または、スリット数が同一の場合あるいはスリット数が異なる場合がある。いずれの場合においても、スリット配列方向の長さが相対的に長いスリット列を、スリット列並び方向において、その中心側に配置し、相対的に短いスリット列を、スリット列並び方向の両側に配置する。これにより、より小さな有効スポット径の範囲内に、スリット列の全体を収めることが容易になる。
図1
図2
図3