(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-11
(45)【発行日】2022-03-22
(54)【発明の名称】遅れ補償器のフィルタの設計方法、及びそれを用いたフィードバック制御方法、モータ制御装置
(51)【国際特許分類】
G05B 13/04 20060101AFI20220314BHJP
【FI】
G05B13/04
(21)【出願番号】P 2017054595
(22)【出願日】2017-03-21
【審査請求日】2019-09-12
(73)【特許権者】
【識別番号】502129933
【氏名又は名称】株式会社日立産機システム
(74)【代理人】
【識別番号】110001689
【氏名又は名称】青稜特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】松原 満
(72)【発明者】
【氏名】山崎 勝
(72)【発明者】
【氏名】梁田 哲男
(72)【発明者】
【氏名】高野 裕理
(72)【発明者】
【氏名】上井 雄介
【審査官】稲垣 浩司
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-79478(JP,A)
【文献】特開平6-51805(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G05B 13/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
制御対象のモデル及びフィルタから構成される遅れ補償器とフィードバック制御器から成るフィードバック制御系におけるフィルタの設計方法であって、
前記制御対象のモデルは、ノミナルプラントモデルと前記フィードバック制御系内に内包されるノミナルな遅れモデルとから成り、
前記遅れ補償器は、前記フィードバック制御器が出力する操作量と制御対象の出力信号とを入力信号とし、前記制御対象の出力信号と前記フィードバック制御器が出力する操作量に対する前記制御対象のモデルの出力信号とを加減算器で減じて得た誤差信号に対して前記フィルタを作用させた結果の信号と、前記フィードバック制御器が出力する操作量に対する前記ノミナルプラントモデルの出力信号とを加減算器で加え合わせて得た信号を出力信号とするものであって、
前記フィードバック制御器は、前記遅れ補償器の前記出力信号と目標値信号との偏差を加減算器で算出し、前記偏差を基に前記制御対象に対して補償を行うものであって、
前記フィルタは、前記制御対象に対する任意のフィードバック制御器と、前記制御対象のモデルと、前記制御対象に対する任意のフィードバック制御器と前記制御対象のモデルで構成される閉ループ系の伝達関数と、前記閉ループ系の一巡伝達関数とを、任意に用いて和差積商の形で構成した関数とし、前記制御対象が原点に極を有する場合であっても該制御対象の入力端に加わるステップ外乱に対して定常偏差をゼロにできるフィルタの集合に属するものとし、前記定常偏差をゼロにできるフィルタであるために必要な条件は、下記式(1)、(2)を満足し、
【数1】
【数2】
但し、sはラプラス演算子、Nは前記フィルタの伝達関数、Gmは前記フィードバック制御器と前記ノミナルプラントモデルとで構成される閉ループ系の伝達関数、
【数3】
は前記制御対象である、ことを特徴とするフィルタの設計方法。
【請求項2】
請求項1に記載のフィルタの設計方法であって、
前記フィルタは、前記制御対象に対するフィードバック制御器と同構造の別のフィードバック制御器と、前記制御対象のモデルと、前記別のフィードバック制御器と前記制御対象のモデルで構成される閉ループ系の伝達関数と、前記閉ループ系の一巡伝達関数とを、任意に用いて和差積商の形で構成した関数
とすることを特徴とするフィルタの設計方法。
【請求項3】
請求項1に記載のフィルタの設計方法であって、
前記フィルタは、前記ノミナルプラントモデルと、遅れを含む前記制御対象のノミナルモデルの逆数と、前記遅れを含む前記制御対象のノミナルモデルと前記制御対象に対するフィードバック制御器で構成される閉ループ系の伝達関数と、前記ノミナルプラントモデルと前記フィードバック制御器で構成される閉ループ系の伝達関数の逆数とを、各々掛け合わせたものとすることを特徴とするフィルタの設計方法。
【請求項4】
請求項3に記載のフィルタの設計方法であって、
前記フィルタは、前記ノミナルプラントモデルと、遅れを含む前記制御対象のノミナルモデルの逆数と、前記遅れを含む前記制御対象のノミナルモデルと前記制御対象に対するフィードバック制御器と同構造の別のフィードバック制御器とで構成される閉ループ系の伝達関数と、前記ノミナルプラントモデルと前記別のフィードバック制御器とで構成される閉ループ系の伝達関数の逆数とを、各々掛け合わせたものであることを特徴とするフィルタの設計方法。
【請求項5】
制御対象のモデル及びフィルタから構成される遅れ補償器とフィードバック制御器から成るフィードバック制御系を用いたフィードバック制御方法であって、
前記制御対象のモデルは、ノミナルプラントモデルと前記フィードバック制御系内に内包されるノミナルな遅れモデルとから成り、
前記遅れ補償器は、前記フィードバック制御器が出力する操作量と制御対象の出力信号とを入力信号とし、前記制御対象の出力信号と前記フィードバック制御器が出力する操作量に対する前記制御対象のモデルの出力信号とを加減算器で減じて得た誤差信号に対して前記フィルタを作用させた結果の信号と、前記フィードバック制御器が出力する操作量に対する前記ノミナルプラントモデルの出力信号とを加減算器で加え合わせて得た信号を出力信号とするものであって、
前記フィルタは、前記制御対象に対する任意のフィードバック制御器と、前記制御対象のモデルと、前記制御対象に対する任意のフィードバック制御器と前記制御対象のモデルで構成される閉ループ系の伝達関数と、前記閉ループ系の一巡伝達関数とを、任意に用いて和差積商の形で構成した関数で構成され、前記制御対象が原点に極を有する場合であっても該制御対象の入力端に加わるステップ外乱に対して定常偏差をゼロにできるフィルタの集合に属するものであり、前記定常偏差をゼロにできるフィルタであるために必要な条件は、下記式(1)、(2)を満足し、
【数4】
【数5】
但し、sはラプラス演算子、Nは前記フィルタの伝達関数、Gmは前記フィードバック制御器と前記ノミナルプラントモデルとで構成される閉ループ系の伝達関数、
【数6】
は前記制御対象であり、
前記フィードバック制御器は、前記遅れ補償器の前記出力信号と目標値信号との偏差を加減算器で算出し、前記偏差を基に前記制御対象に対して補償を行うことを特徴とするフィードバック制御方法。
【請求項6】
請求項5に記載のフィードバック制御方法であって、
前記フィルタは、前記制御対象に対するフィードバック制御器と同構造の別のフィードバック制御器と、前記制御対象のモデルと、前記別のフィードバック制御器と前記制御対象のモデルで構成される閉ループ系の伝達関数と、前記閉ループ系の一巡伝達関数とを、任意に用いて和差積商の形で構成した関数で構成されることを特徴とするフィードバック制御方法。
【請求項7】
請求項5に記載のフィードバック制御方法であって、
前記フィルタは、前記ノミナルプラントモデルと、遅れを含む前記制御対象のノミナルモデルの逆数と、前記遅れを含む前記制御対象のノミナルモデルと前記制御対象に対するフィードバック制御器で構成される閉ループ系の伝達関数と、前記ノミナルプラントモデルと前記フィードバック制御器で構成される閉ループ系の伝達関数の逆数とを、各々掛け合わせたものとすることを特徴とするフィードバック制御方法。
【請求項8】
制御対象のモデル及びフィルタから構成される遅れ補償器とフィードバック制御器から成るフィードバック制御系を用いたモータ制御装置であって、
前記制御対象のモデルは、ノミナルプラントモデルと前記フィードバック制御系内に内包されるノミナルな遅れモデルとから成り、
前記遅れ補償器は、前記フィードバック制御器が出力する操作量と制御対象の出力信号とを入力信号とし、前記制御対象の出力信号と前記フィードバック制御器が出力する操作量に対する前記制御対象のモデルの出力信号とを加減算器で減じて得た誤差信号に対して前記フィルタを作用させた結果の信号と、前記フィードバック制御器が出力する操作量に対する前記ノミナルプラントモデルの出力信号とを加減算器で加え合わせて得た信号を出力信号とするものであって、
前記フィルタは、前記制御対象に対する任意のフィードバック制御器と、前記制御対象のモデルと、前記制御対象に対する任意のフィードバック制御器と前記制御対象のモデルで構成される閉ループ系の伝達関数と、前記閉ループ系の一巡伝達関数とを、任意に用いて和差積商の形で構成した関数で構成され、前記制御対象が原点に極を有する場合であっても該制御対象の入力端に加わるステップ外乱に対して定常偏差をゼロにできるフィルタの集合に属するものであり、前記定常偏差をゼロにできるフィルタであるために必要な条件は、下記式(1)、(2)を満足し、
【数7】
【数8】
但し、sはラプラス演算子、Nは前記フィルタの伝達関数、Gmは前記フィードバック制御器と前記ノミナルプラントモデルとで構成される閉ループ系の伝達関数、
【数9】
は前記制御対象であり、
前記フィードバック制御器は、前記遅れ補償器の前記出力信号と目標値信号との偏差を加減算器で算出し、前記偏差を基に前記制御対象に対して補償を行うことを特徴とするモータ制御装置。
【請求項9】
請求項8に記載のモータ制御装置であって、
前記フィルタは、前記制御対象に対するフィードバック制御器と同構造の別のフィードバック制御器と、前記制御対象のモデルと、前記別のフィードバック制御器と前記制御対象のモデルで構成される閉ループ系の伝達関数と、前記閉ループ系の一巡伝達関数とを、任意に用いて和差積商の形で構成した関数で構成されることを特徴とするモータ制御装置。
【請求項10】
請求項8に記載のモータ制御装置であって、
前記フィルタは、前記ノミナルプラントモデルと、遅れを含む前記制御対象のノミナルモデルの逆数と、前記遅れを含む前記制御対象のノミナルモデルと前記制御対象に対するフィードバック制御器で構成される閉ループ系の伝達関数と、前記ノミナルプラントモデルと前記フィードバック制御器で構成される閉ループ系の伝達関数の逆数とを、各々掛け合わせたものとすることを特徴とするモータ制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、制御対象のモデル及びフィルタから構成される遅れ補償器とフィードバック制御器から成るフィードバック制御系におけるフィルタの設計方法、及びそれを用いたフィードバック制御方法、及びその制御方法を備えたモータ制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、FA分野では生産性向上のためにモータの益々の高速・高精度化制御が求められている。
【0003】
モータをフィードバック制御する際、外乱を抑制し制御量を目標値に高速・高精度に追従させるには制御ゲインを高めればよい。しかしながらフィードバックループ内に遅れ要素、例えばローパスフィルタやディジタル制御装置の演算遅れ、が存在する場合、これが原因でフィードバック制御系の制御ゲインの設定上限は制約を受け、高速・高精度な目標値追従の妨げになることが一般に知られている。
【0004】
一般的なモータのサーボ制御では、電流、速度、位置に関するカスケードフィードバック構造が採用され、
図2に示すようにメジャーループ制御系21はマイナーループ制御系22をフィードバックループ内に内包する構造となる。なお、
図2において、23はメジャーループ制御系の制御対象、24はメジャーループ制御系のフィードバック制御器である。例えば、カスケードフィードバック構造を基にモータを位置制御および速度制御する際には、メジャーループ制御系21は位置制御系となり、マイナーループ制御系22として速度制御系を内包する構造となり、少な
くとも1つは原点に極を有する制御対象を取り扱う。そのため、従来の代表的な遅れ補償法であるSmith法等では、制御対象の入力端に加わるステップ外乱の定常偏差が残るという問題があった。
【0005】
そこで、制御対象が原点に極を有する場合においても、フィードバック制御系の閉ループ内に存在する遅れ要素を補償でき、制御対象の入力端に加わるステップ外乱を定常偏差無く抑制できる遅れ補償法として、非特許文献1および非特許文献2が提案されている。
【0006】
非特許文献1では、
図1に示すように、従来のSmith法にフィルタ1を加えた遅れ補償器2が提案され、Smith法(
図1におけるフィルタ1=1の場合の構成)が抱える、制御対象が原点に近い極を有する場合は外乱の影響が長時間残ってしまうという課題や、制御対象が原点に極を有する場合は制御対象の入力端に加わるステップ外乱の抑制において定常偏差を残してしまうという課題を解決できるフィルタ1の設計方法が示されている。
【0007】
また非特許文献2では、
図3に示すように、従来のSmith法にフィルタ41を加えた非特許文献1に類似の制御ブロックが提案され、外乱抑制性能の改善、および制御対象が原点に極を有する場合であっても制御対象の入力端に加わるステップ外乱を定常偏差無く抑制できるフィルタ41の設計方法が示されている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0008】
【文献】渡部他、Smith法の外乱に対する制御特性の改善、計測自動制御学会論文集、第19巻、第3号、pp.187-192、1983
【文献】H.P.Huang et.al.,A Modified Smith Predictor with an Approximate Inverse of Dead Time, AiChE Journal,Vol.36,pp.1025-1031,1990
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
非特許文献1では、フィルタ1は下記式(1)に示すように任意の一次遅れ伝達要素のノミナルプラントモデルの分母次数n+1個の線形和で構成する。
【0010】
【0011】
制御対象が原点に極を有し、Smith法では制御対象の入力端に加わるステップ外乱に対して定常偏差を残してしまう場合であっても、フィルタ1を適切に構成することで定常偏差をゼロに出来る。このような要求を満たすフィルタとするために、式(1)に含まれるパラメータbkは所定の設計制約条件を満たすように一意に決定されるが、n+1個のパラメータakについては正の数として任意に設計できる自由度が与えられ、その設定指針や物理的意味が不明瞭で、制御系の仕様に対して適切なパラメータ設計が容易でないという課題があった。
【0012】
また、非特許文献2では、下記式(2)に示すようにフィルタ41を構成する。
【0013】
【0014】
但し、τhは制御器もしくは制御対象が内包する遅れ要素の全てのノミナルな遅れ時間である。制御対象が原点に極を有し、Smith法では制御対象の入力端に加わるステップ外乱に対して定常偏差を残してしまう場合であっても、フィルタ41を適切に構成することで定常偏差をゼロに出来る。B(s)はフィルタ41に課される所定の設計制約条件を満たすような任意のローパスフィルタを選択できるが、フィルタの構造、及びフィルタパラメータの設計に関して自由度が高く、制御系の仕様に対して適切なフィルタ設計が容易でないという課題があった。
【0015】
本発明はこのような課題を鑑みてなされたものであり、制御対象が原点に極を有しSmith法では制御対象の入力端に加わるステップ外乱に対して定常偏差を残してしまう場合であっても定常偏差をゼロにでき、且つパラメータの物理的意味が分かり、設計し易い、
図1に示す遅れ補償器のフィルタの設計方法を提供し、そのフィルタを用いた遅れ補償器を有するフィードバック制御方法、及びそのフィードバック制御方法を備えたモータ制御装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明は、上記背景技術及び課題に鑑み、その一例を挙げるならば、制御対象のモデル及びフィルタから構成される遅れ補償器とフィードバック制御器から成るフィードバック制御系におけるフィルタの設計方法であって、制御対象のモデルは、ノミナルプラントモデルとフィードバック制御系内に内包されるノミナルな遅れモデルとから成り、遅れ補償器は、フィードバック制御器が出力する操作量と制御対象の出力信号とを入力信号とし、制御対象の出力信号とフィードバック制御器が出力する操作量に対する制御対象のモデルの出力信号とを加減算器で減じて得た誤差信号に対してフィルタを作用させた結果の信号と、フィードバック制御器が出力する操作量に対するノミナルプラントモデルの出力信号とを加減算器で加え合わせて得た信号を出力信号とするものであって、フィードバック制御器は、遅れ補償器の出力信号と目標値信号との偏差を加減算器で算出し、偏差を基に制御対象に対して補償を行うものであって、フィルタは、制御対象に対する任意のフィードバック制御器と、制御対象のモデルと、制御対象に対する任意のフィードバック制御器と制御対象のモデルで構成される閉ループ系の伝達関数と、閉ループ系の一巡伝達関数とを、任意に用いて和差積商の形で構成した関数とする。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、フィルタのパラメータの物理的意味が分かり易く、パラメータの設計指針が明確となり、フィルタ設計を容易化できる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】実施例1における遅れ補償器を含むフィードバック制御系の構成図である。
【
図2】モータ制御のカスケードフィードバック制御系の構成図である。
【
図6】実施例2におけるACサーボモータの速度制御系の構成図である。
【
図7】実施例2における遅れ補償器を含む速度制御系の構成図である。
【
図8】非特許文献2以外の遅れ補償器を含む速度制御系の構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明を適用した実施例について図面を参照しながら説明する。
【0020】
なお各図において、共通な機能を有する構成要素には同一の番号を付与し、その説明を省略する。また、以降「フィードバック」は「FB」と略記する。また、以降、“制御対象のモデル”と記載するとき、“制御対象のモデル”は、制御対象のノミナルプラントモデルを指す場合もあれば、制御対象、制御器、センサ及び閉ループ系内に存在する遅れ要素の一部もしくは全体のノミナル遅れモデルを指す場合もあれば、制御対象のノミナルプラントモデルとノミナル遅れモデルの両方を含むノミナルなモデルを指す場合もある。
【実施例1】
【0021】
図1は、本実施例における遅れ補償器を含むフィードバック制御系の構成図である。本実施例は、
図1において、フィルタ1は後述する設計方法によりに設計され、そのフィルタを備えた遅れ補償器を有するフィードバック制御方法、及びそのフィードバック制御方法を備えたモータ制御方法およびモータ制御装置について説明する。
【0022】
図1において、遅れを含む制御対象32は、FB制御器36と遅れ補償器2によりFB制御がなされる。
【0023】
遅れ補償器2は、その内部に制御対象のモデルを有し、本実施例において制御対象のモデルは、ノミナルプラントモデル34およびノミナルな遅れモデル35から成る。なおローパスフィルタやマイナーループ制御系等、遅れを発生する要素が閉ループ系内に含まれる場合は、それらの遅れ要素のノミナルなモデルを、ノミナルな遅れモデル35に含むものとしてもよい。
【0024】
操作量に対する制御対象の出力信号yと制御対象のモデルの出力信号とから加減算器39で誤差信号が算出され、その誤差信号に対してフィルタ1を作用させた結果の信号とノミナルプラントモデル34の出力信号とを加減算器310で加え合わせることで、遅れ補償器の出力信号が算出される。遅れ補償器の出力信号は、制御対象が内包する遅れ要素を考慮した制御対象の出力信号の予測値信号であり、これと目標値信号rとの偏差を加減算器37で算出し、その偏差を基にFB制御器36が制御対象に対して補償を行う。
【0025】
モデル化誤差が無く外乱も介在しない理想的な状態を仮定すれば、加減算器39で算出される誤差信号は零であり、FB制御器36はノミナルな遅れモデル35を閉ループ内に含まず、ノミナルプラントモデルPmに対してFB制御を行っているものと見なせ、その結果FB制御器36の制御ゲインを高めることが可能になることが容易に理解できる。
【0026】
図1のFB制御系のフィルタ1の設計方法として、フィルタ1は、制御対象に対する任意のFB制御器と、制御対象のモデルと、前記制御対象に対する任意のFB制御器と前記制御対象のモデルで構成される閉ループ系の伝達関数と、前記閉ループ系の一巡伝達関数と、を任意に用いて和差積商の形で構成した関数であって、かつフィルタ1は、制御対象が原点に極を有しSmith法では制御対象の入力端に加わるステップ外乱に対して定常偏差を残してしまう場合であっても、定常偏差をゼロにできるフィルタの集合に属するもの、とする。
【0027】
以降制御対象に対する任意のFB制御器はCaと表記する。なおFB制御器CaはFB制御器36と同一の構造のものであっても構わない。FB制御器CaとFB制御器36が同一構造である場合、各々の制御設計パラメータは独立に設定できるものとしてもよいし、従属するものとしてもよい。
【0028】
以降、上記設計方法に従うフィルタ1の設計例を説明する。
【0029】
上記フィルタ1の設計方法における“制御対象のモデル”とは、本実施例においては
図1に従い、下記式(3)~(5)に示すものを想定している。但し式(3)は
図1の制御対象Pのノミナルプラントモデル、式(4)は制御対象の全体が内包する遅れ要素のノミナルな遅れモデル、式(5)は遅れを含む制御対象全体のノミナルモデルを示す。
【0030】
【0031】
【0032】
【0033】
また本実施例における、前述の“前記制御対象に対する任意のFB制御器と前記制御対象のモデルで構成される閉ループ系の伝達関数”とは、例えば以下に示す式(6)、式(7)等を想定する。
【0034】
【0035】
【0036】
また本実施例における、前述の“前記閉ループ系の一巡伝達関数”とは、例えば以下に示す式(8)、式(9)等を想定する。
【0037】
【0038】
【0039】
従って、前述のフィルタ1の設計方法によれば、例えばフィルタ1の集合は、式(3)~(9)から、下記式(10)のような関数Fがその部分集合を構成する。
【0040】
【0041】
FB制御器CaとFB制御器36を同一構造とする場合は、FB制御器Caは下記式(11)のように置くことが可能である。
【0042】
【0043】
本実施例において、前述のフィルタ1の設計方法によれば、フィルタ1は具体的には例えば下記式(12)が挙げられる。すなわち、ノミナルプラントモデル(式(3))と、遅れを含む制御対象のノミナルモデル(式(5))の逆数と、遅れを含む制御対象のノミナルモデルと制御対象に対するフィードバック制御器で構成される閉ループ系の伝達関数(式(6))と、ノミナルプラントモデルとフィードバック制御器で構成される閉ループ系の伝達関数(式(7))の逆数とを、各々掛け合わせたものとする。
【0044】
【0045】
この他にもフィルタ1は、例えば異なるFB制御器2つを用いた表現として下記式(13)が挙げられる。
【0046】
【0047】
また、この他にもフィルタ1は、例えば異なるFB制御器2つを用いた表現として式(14)が挙げられる。
【0048】
【0049】
次に、式(12)~(14)に示すフィルタ1が、前述のフィルタ1の設計方法における、フィルタ集合の要素であるための条件“制御対象が原点に極を有する場合であっても定常偏差をゼロにできる”を満たすためのFB制御器Caに課される条件について説明する。
【0050】
以下の式(15)に示す、制御対象の入力端に加わる単位ステップ外乱に対する最終値定理を用いる。
【0051】
【0052】
但し、yは制御対象出力、dは制御対象出力の入力端に印加される外乱であり、Hdy(s)は、dからyへの伝達特性であり以下の式(16)~(19)である。
【0053】
【0054】
【0055】
【0056】
【0057】
N=1とすると
図1のFB制御系は従来のSmith法に相当するが、制御対象がただひとつ原点に極を有し、下記式(20)のように表現される場合、
【0058】
【0059】
仮にモデル化誤差なく、下記式(21)であり、
【0060】
【0061】
FB制御器36が積分器を有し、下記式(22)を満たす場合であっても、
【0062】
【0063】
制御対象の入力端に加わる単位ステップ外乱に対する定常偏差は、式(15)の最終値定理によれば、下記式(23)のように、
【0064】
【0065】
右辺第2項が非零になることから、標準的なSmith法では制御対象の入力端に加わる単位ステップ外乱を除去できないことがわかる。
【0066】
上述のフィルタ1の設計方法に基づいてフィルタ1を設計するとき、制御対象の入力端に加わる単位ステップ外乱を除去するためには、FB制御器36が式(22)を満たす仮定のもと、式(16)から、下記式(24)、(25)を共に満たすフィルタ1であればよい。
【0067】
【0068】
【0069】
下記式(26)から、
【0070】
【0071】
式(20)および式(22)を仮定する下では、式(25)の条件は次式(27)と書ける。
【0072】
【0073】
式(23)右辺第2項と比較すると、式(27)を満たすフィルタ1の寄与により、標準的なSmith法では除去できなかった制御対象の入力端に加わる単位ステップ外乱を定常偏差なく除去できることがわかる。
【0074】
フィルタ1を式(12)~(13)とした場合、フィルタ1の設計条件である式(24)および式(27)を満足するにはFB制御器Caは、下記式(28)であればよく、
【0075】
【0076】
例えばP制御器(比例要素)や一次遅れ系等がこれを満足する。またフィルタ1を式(14)とした場合は、下記式(29)であればよく、
【0077】
【0078】
すなわちFB制御器Caは積分器を有していればよい。
【0079】
上記のことから、式(28)を満たすFB制御器Caを用いて構成した式(12)~(13)に示すフィルタ1、および式(29)を満たすFB制御器Caを用いて構成した式(14)に示すフィルタ1は、上述のフィルタ1の設計方法に基づいて設計され、上述のフィルタ集合の要素足り得るといえる。
【0080】
制御対象のモデル及びそのパラメータ全てが既知である前提では、本実施例により設計されるフィルタ1は、式(10)、(12)~(14)からもわかるように、FB制御器CaとFB制御器36に含まれる制御設計パラメータのみがフィルタの設計値になっている。FB制御系設計時、制御対象に対するFB制御器CaとFB制御器36の制御設計パラメータは多くの場合、物理的意味が把握可能であったり、設計指針が明確なものである。特に、FB制御器Caを式(11)とする場合は、FB制御器Caの制御設計パラメータの物理的意味や設計指針をFB制御器36と同じにでき、物理的意味や設計指針をより明確なものにできる。
【0081】
上記のことから、本実施例によれば、フィルタ1のパラメータは物理的意味が分かり易く、パラメータの設計指針が明確であり、フィルタ設計を容易化できる。
【0082】
以降、本実施例で設計された式(12)~(14)のフィルタ1の差異に着目して議論を進める。
【0083】
式(12)のフィルタ1は、非特許文献2においてローパスフィルタB(s)を次式(30)とした場合と遅れ補償の特性が同じになる。
【0084】
【0085】
他方、式(13)、式(14)のフィルタ1は、式(12)とは異なるため、式(30)を採用した非特許文献2とは異なる遅れ補償の特性になることが分かる。
【0086】
式(13)のフィルタ1を備えた
図1のFB制御系は、制御対象のモデルによる制御量yの予測誤差を式(28)を満たすFB制御器Caでフィルタする構成の遅れ補償器52を有する
図4へと書き変えることができ、次式(31)とすれば、
【0087】
【0088】
図4と式(13)のフィルタ1を備えた
図1のFB制御系は同等の制御性能を示すことになる。
【0089】
式(14)のフィルタ1を備えた
図1のFB制御系は、外乱オブザーバの構成を内包する構成の遅れ補償器62を有する
図5へと書き変えることが可能であり、このとき、次式(32)とすれば、
【0090】
【0091】
図5と式(14)のフィルタ1を備えた
図1のFB制御系は同等の制御性能を示すことになる。
【0092】
上記のことから、本実施例におけるフィルタ1の設計方法によれば、フィルタ1の設計パラメータを制御設計パラメータのみと制約したうえでフィルタ1の構成には自由度が認められ、フィルタの集合には非特許文献2と同等の外乱抑制性能を実現するフィルタを含み、非特許文献2以外の外乱抑制性能を示す式(13)および式(14)のようなフィルタ1も設計できるため、既存の遅れ補償法以外にも、制御対象の入力端に加わるステップ外乱を抑制できる方法(遅れ補償器の他のブロック構成)が
図4、
図5のように存在し得ることを明確化できる。
【0093】
以上のように本実施例は、制御対象のモデル及びフィルタから構成される遅れ補償器とフィードバック制御器から成るフィードバック制御系におけるフィルタの設計方法であって、制御対象のモデルは、ノミナルプラントモデルとフィードバック制御系内に内包されるノミナルな遅れモデルとから成り、遅れ補償器は、フィードバック制御器が出力する操作量と制御対象の出力信号とを入力信号とし、制御対象の出力信号とフィードバック制御器が出力する操作量に対する制御対象のモデルの出力信号とを加減算器で減じて得た誤差信号に対してフィルタを作用させた結果の信号と、フィードバック制御器が出力する操作量に対するノミナルプラントモデルの出力信号とを加減算器で加え合わせて得た信号を出力信号とするものであって、フィードバック制御器は、遅れ補償器の出力信号と目標値信号との偏差を加減算器で算出し、偏差を基に制御対象に対して補償を行うものであって、フィルタは、制御対象に対する任意のフィードバック制御器と、制御対象のモデルと、前記制御対象に対する任意のフィードバック制御器と制御対象のモデルで構成される閉ループ系の伝達関数と、前記閉ループ系の一巡伝達関数とを、任意に用いて和差積商の形で構成した関数とする。
【0094】
また、フィルタは、制御対象に対するフィードバック制御器と同構造の別のフィードバック制御器と、制御対象のモデルと、前記別のフィードバック制御器と制御対象のモデルで構成される閉ループ系の伝達関数と、前記閉ループ系の一巡伝達関数とを、任意に用いて和差積商の形で構成した関数とする。
【0095】
また、フィルタは、制御対象が原点に極を有する場合であっても制御対象の入力端に加わるステップ外乱に対して定常偏差をゼロにできるフィルタの集合に属するものとする。
【0096】
これにより、フィルタ1は、制御対象に対するフィードバック制御器に含まれる制御設計パラメータのみがフィルタ1の設計パラメータであり、制御設計パラメータは多くの場合物理的意味が把握可能であったり設計指針が明確なものであるため、フィルタ1のパラメータの物理的意味が分かり易く、パラメータの設計指針が明確となり、フィルタ設計を容易化できる。また、フィルタ1の設計パラメータを制御設計パラメータのみと制約したうえでフィルタ1の構成には自由度が認められ、フィルタ1の集合には非特許文献2と同等の外乱抑制性能を実現するフィルタを含み、また非特許文献2以外の外乱抑制性能を示すフィルタ1も設計できるため、既存の遅れ補償法以外にも、制御対象の入力端に加わるステップ外乱を抑制できる方法(遅れ補償器の他のブロック構成)が存在し得ることを明確化できる。したがって、上述の優位性を有するフィルタの設計方法、およびその設計方法に基づき設計されたフィルタを備える
図1に示す制御方法、及びその制御方法を備えた制御装置の提供が可能となる。
【実施例2】
【0097】
図6は、本実施例におけるACサーボモータの速度制御系の構成図である。本実施例では、
図6に示すACサーボモータのカスケードFB制御系における速度制御系71を想定し、
図6において、速度制御器72と、それ以外の構成からなる制御対象で構成され、速度制御器72は
図1に示す遅れ補償器を含むFB制御器を備え、
図1において、フィルタ1は後述する設計方法によりに設計される。また、そのフィルタを備えた遅れ補償器を有する速度制御系のフィードバック制御方法、及びそのフィードバック制御方法を備えたモータ制御方法およびモータ制御装置について説明する。
【0098】
本実施例においては、制御対象のモデルGsmは具体的に次式(33)~(35)に示すものとする。
【0099】
【0100】
【0101】
【0102】
式(34)のPsmは速度制御系におけるノミナルプラントモデル、式(35)のMiは速度制御系におけるマイナーループ制御系である電流制御系を理想化したものであり、τsmは、電流制御系、及び速度制御系の閉ループに内包される全ての遅れの総和である。また、J、Ka、Ppは各々、イナーシャ、モータ定数、極対数であり、ωiは電流制御系の応答周波数である。
【0103】
速度制御系の速度制御器72はPI制御器とし、次式(36)~(38)とする。
【0104】
【0105】
【0106】
【0107】
但し、L、ωsは各々折れ点比、速度制御系の応答周波数である。一般に、電流制御系を近似的に1と見なすために、ωiはωsの数~10倍に設定される。
【0108】
速度制御系の高応答化のためにωsを高めると、ωiを同時に高めない限り、電流制御系が1に近似できなくなり、これを遅れ要素と見なす必要がある。この場合電流制御系は式(35)に示すように1次遅れ要素であり、これを遅れ要素と見なす必要がある。
【0109】
本実施例では、電流制御系を遅れ要素と見なし、速度制御系の制御ブロック構成は
図1に基づき
図7とする。
【0110】
図7のFB制御系において、本実施例ではフィルタ81の設計方法として、フィルタ81は、制御対象に対する任意のFB制御器と、制御対象のモデルと、制御対象に対する任意のFB制御器と制御対象のモデルで構成される閉ループ系の伝達関数と、前記閉ループ系の一巡伝達関数とを、任意に用いて和差積商の形で構成した関数であって、かつフィルタ81は、制御対象が原点に極を有しSmith法では制御対象の入力端に加わるステップ外乱に対して定常偏差を残してしまう場合であっても、定常偏差をゼロにできるフィルタの集合に属するもの、とする。
【0111】
ここで、上述の“制御対象に対する任意のFB制御器”はCsaと表記し、本実施例のフィルタ1の設計方法における“制御対象のモデル”は、例えば以下式(39)~(41)を想定する。
【0112】
【0113】
【0114】
【0115】
上述のフィルタの設計方法に従い、
図7のフィルタ81は、例えば式(12)と同様に下記式(42)のように設計する。すなわち、ノミナルプラントモデル(式(39))と、遅れを含む制御対象のノミナルモデル(式(41))の逆数と、遅れを含む制御対象のノミナルモデルと制御対象に対するフィードバック制御器で構成される閉ループ系の伝達関数と、ノミナルプラントモデルとフィードバック制御器で構成される閉ループ系の伝達関数の逆数とを、各々掛け合わせたものとする。
【0116】
【0117】
なお、式(42)のフィルタ81を備えた遅れ補償器82は、非特許文献2においてローパスフィルタB(s)を次式(43)とし、かつ遅れ要素にMiを加味した場合と遅れ補償の特性が同じになる。
【0118】
【0119】
本実施例では更に、FB制御器Csaに対して、下記式(44)のように、
【0120】
【0121】
FB制御器36と同構造を持ちながら、その制御設計パラメータはFB制御器86とは独立に定められるものとする。このように設計されたフィルタ81は、Csaに関して式(28)を満たすことから、制御対象の入力端に加わる単位ステップ外乱を定常偏差なく除去できるものである。
【0122】
この結果、式(42)に含まれるフィルタ81の設計パラメータはωs2のみとなり、このパラメータの物理的意味は式(36)で示した速度制御系の応答周波数であるため、本実施例において、フィルタ81の設計パラメータの設定指針は明らかとなり、フィルタ設計を容易化できる。
【0123】
また上述のフィルタの設計方法に従い、フィルタ81に関して、式(13)と同様に設計してもよい。さらには上述のフィルタの設計方法に従い、フィルタ81に関して、式(14)と同様に次式(45)のように設計してもよい。
【0124】
【0125】
更にFB制御器Csaに関して式(44)を仮定すれば、Csaは式(29)の条件を満たすことから、上述のフィルタの設計方法に従い式(45)のように設計されたフィルタ81は、制御対象の入力端に加わる単位ステップ外乱を定常偏差なく除去できるものである。
【0126】
この結果、式(45)に含まれるフィルタ81の設計パラメータはωs1、ωs2となり、このパラメータの物理的意味は式(36)で示した速度制御系の応答周波数であるため、その設定指針は明らかとなり、フィルタ設計を容易化できる。
【0127】
さらには、式(45)のフィルタ81を備えた
図7のFB制御系は、外乱オブザーバの構成を内包する構成の遅れ補償器92を有する
図8へと書き変えることが可能であり、このとき、次式(46)とすれば、
【0128】
【0129】
図8と式(45)のフィルタ81を備えた
図7のFB制御系は同等の制御性能を示すことになる。
【0130】
上記のことから、本実施例におけるフィルタ81の設計方法によれば、フィルタ81の設計パラメータを制御設計パラメータのみと制約したうえでフィルタ81の構成には自由度が認められ、既存の遅れ補償法以外にも、制御対象の入力端に加わるステップ外乱を抑制できる方法(遅れ補償器の他のブロック構成)が
図8のように存在し得ることを明確化できる。
【符号の説明】
【0131】
1…フィルタ
2…遅れ補償器
21…メジャーループ制御系
22…マイナーループ制御系
23…メジャーループ制御系の制御対象
24…メジャーループ制御系のフィードバック制御器
25、37~39、310、64、712…加減算器
32…遅れを含む制御対象
34…ノミナルプラントモデル
35…ノミナルな遅れモデル
36…フィードバック制御器
41…非特許文献2のフィルタ
51…非特許文献2以外の遅れ補償器のフィルタ
52…非特許文献2以外の遅れ補償器
61…非特許文献2以外の遅れ補償器のフィルタ
62…非特許文献2以外の遅れ補償器
71…モータの速度制御系
77…ACサーボモータ
78…電流検出器
81…速度制御系の遅れ補償器のフィルタ
82…速度制御系の遅れ補償器
83…速度制御系の制御対象
85…速度制御系の遅れ要素
91…非特許文献2以外の遅れ補償器のフィルタ
92…非特許文献2以外の遅れ補償器