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特許7039178架橋グリコサミノグリカンを含有する局所用組成物
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-11
(45)【発行日】2022-03-22
(54)【発明の名称】架橋グリコサミノグリカンを含有する局所用組成物
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/73 20060101AFI20220314BHJP
   A61Q 19/00 20060101ALI20220314BHJP
   A61Q 19/08 20060101ALI20220314BHJP
   A61K 8/19 20060101ALI20220314BHJP
【FI】
A61K8/73
A61Q19/00
A61Q19/08
A61K8/19
【請求項の数】 13
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2017076569
(22)【出願日】2017-04-07
(65)【公開番号】P2017197520
(43)【公開日】2017-11-02
【審査請求日】2020-02-05
(31)【優先権主張番号】62/319,847
(32)【優先日】2016-04-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】515233487
【氏名又は名称】ジョンソン・アンド・ジョンソン・コンシューマー・インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】Johnson & Johnson Consumer Inc.
【住所又は居所原語表記】199 Grandview Road, Skillman, NJ 08558, United States of America
(74)【代理人】
【識別番号】100088605
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 公延
(74)【代理人】
【識別番号】100130384
【弁理士】
【氏名又は名称】大島 孝文
(72)【発明者】
【氏名】アリ・ファシフ
(72)【発明者】
【氏名】ジョートサナ・パトゥリ
(72)【発明者】
【氏名】ジャネット・ワンガリ-タルボット
【審査官】山中 隆幸
(56)【参考文献】
【文献】特開平05-124968(JP,A)
【文献】特開昭61-172808(JP,A)
【文献】特開2007-252212(JP,A)
【文献】特表平07-505862(JP,A)
【文献】特表2012-506900(JP,A)
【文献】Advanced Drug Delivery Reviews, 2008, vol.60, p.1650-1662
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 8/00- 8/99
A61Q 1/00-90/00
C08B 1/00-37/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
硫酸化グリコサミノグリカンを皮膚に浸透させるための、局所用組成物であって、
前記硫酸化グリコサミノグリカンとしての架橋硫酸化グリコサミノグリカンと、化粧用として許容可能な局所用キャリアと、を含み、
記架橋硫酸化グリコサミノグリカンが、カルシウムイオン、ストロンチウムイオン、及びマグネシウムイオンからなる群から選択されるイオンと架橋されている、局所用組成物。
【請求項2】
前記架橋硫酸化グリコサミノグリカンが、架橋コンドロイチン硫酸である、請求項1に記載の局所用組成物。
【請求項3】
前記架橋硫酸化グリコサミノグリカンが、カルシウムイオンと架橋されている、請求項に記載の局所用組成物。
【請求項4】
前記架橋硫酸化グリコサミノグリカンにおける前記硫酸化グリコサミノグリカンが、前記局所用組成物に基づいて約0.4重量体積%である、請求項3に記載の局所用組成物。
【請求項5】
前記架橋硫酸化グリコサミノグリカンが、約100nm~約10μmの粒径を有する、請求項に記載の局所用組成物。
【請求項6】
抗ニキビ剤、光沢調整剤、抗菌剤、抗炎症剤、抗真菌剤、抗寄生虫剤、外用鎮痛剤、日焼け止め剤、光防護剤、酸化防止剤、角質溶解剤、界面活性剤、保湿剤、養分、ビタミン、エネルギー賦活剤、抗汗剤、収れん剤、防臭剤、安定剤、抗硬化剤、及び皮膚コンディショニング用剤からなる群から選択される、約0.001重量%~約5重量%の化粧用として許容可能な活性成分を更に含む、前記化粧用として許容可能な活性成分を前記皮膚内の濾胞性の付属器官へと浸透するための、請求項1~5のいずれか一項に記載の局所用組成物。
【請求項7】
乳酸、グリコール酸、クエン酸、酒石酸、グルコン酸、及びグルコノラクトンからなる群から選択される、約3重量%~約12重量%の緩衝剤を更に含む、請求項1~6のいずれか一項に記載の局所用組成物。
【請求項8】
約4未満のpHを有する、請求項1~7のいずれか一項に記載の局所用組成物。
【請求項9】
前記架橋硫酸化グリコサミノグリカンが、細菌由来である、請求項1~8のいずれか一項に記載の局所用組成物。
【請求項10】
前記架橋硫酸化グリコサミノグリカンが、細菌由来の架橋コンドロイチン硫酸である、請求項1~9のいずれか一項に記載の局所用組成物。
【請求項11】
硫酸化グリコサミノグリカンを皮膚に浸透させるための、局所用組成物であって、
前記硫酸化グリコサミノグリカンとしての架橋硫酸化グリコサミノグリカンと、化粧用として許容可能な局所用キャリアと、を含むマトリックス中に運ばれる、化粧用として許容可能な活性成分を含み、
記架橋硫酸化グリコサミノグリカンが、カルシウムイオン、ストロンチウムイオン、及びマグネシウムイオンからなる群から選択されるイオンと架橋されている、局所用組成物。
【請求項12】
請求項1~11のいずれか一項に記載の局所用組成物を、皮膚老化の徴候を処置することが必要な皮膚に局所的に塗布することを含む、皮膚老化の徴候を処置する方法(但し、ヒトへの医療行為を除く)。
【請求項13】
請求項1~11のいずれか一項に記載の局所用組成物を、保湿処置を必要とする皮膚に局所的に塗布することを含む、皮膚に潤いを与える方法(但し、ヒトへの医療行為を除く)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば皮膚老化の徴候に対して皮膚を処置するための架橋硫酸化グリコサミノグリカンを含む、局所用組成物並びにその製造方法及び使用方法を提供する。
【背景技術】
【0002】
グリコサミノグリカン、またGAGは、天然の高分子量多糖類である。グリコサミノグリカンは、ヒトの軟骨、関節液、及び皮膚組織に存在する。グリコサミノグリカンは、体内での幾つかの生物学的過程において、組織の保湿及び潤滑などの役割を果たす。コンドロイチン硫酸は、例えばN-アセチル-D-ガラクトサミンとD-グルクロン酸とのコポリマーである硫酸化グリコサミノグリカンである。コンドロイチン硫酸は一般に、経口サプリメント、注射剤、又は局所用クリームとして関節疾患の治療に使用される。ヘパラン硫酸、ケラチン硫酸及びデルマタン硫酸は、その他の既知の硫酸化グリコサミノグリカンである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
コンドロイチン硫酸及びその他の硫酸化グリコサミノグリカンを送達して、便利かつ無痛である局所的な投与により、皮膚老化の徴候又は乾燥肌などの美容上の肌状態を処置することが望ましいであろう。しかし、哺乳類の皮膚の角質層は、浸透の大きな障壁となる。物質が皮膚を通り抜けて浸透する能力は、角質層の厚さ及び物質のサイズと逆相関の関係にある。大きいポリマーの分子は、局所的に投与するのが困難である。加えて、硫酸化グリコサミノグリカンの負電荷サルフェート基もまた、それらの皮膚浸透効率を低減させる。
【0004】
架橋ナノ粒子形状にて硫酸化グリコサミノグリカンを局所送達するための組成物及び方法が、特定された。かかる組成物を使用した皮膚の処置方法もまた提供される。架橋硫酸化グリコサミノグリカンのナノ粒子は、単独で、又はその他の有効成分のための送達システムとして、効果的な皮膚浸透を可能にする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、架橋硫酸化グリコサミノグリカン及び化粧用として許容可能な局所用キャリアを含む局所用組成物を提供する。
【0006】
本発明は、架橋硫酸化グリコサミノグリカン及び化粧用として許容可能な局所用キャリアを含み、マトリックス中に運ばれる、化粧用として許容可能な活性成分を含む、局所用組成物もまた提供する。
【0007】
本発明は更に、架橋硫酸化グリコサミノグリカン及び化粧用として許容可能な局所用キャリアを含む局所用組成物を、皮膚老化の徴候を処置することが必要な皮膚に局所的に塗布することを含む、皮膚老化の徴候を処置する方法を提供する。
【0008】
本発明は、架橋硫酸化グリコサミノグリカン及び化粧用として許容可能な局所用キャリアを含む局所用組成物を、保湿処置を必要とする皮膚に局所的に塗布することを含む、皮膚に潤いを与える方法もまた提供する。
【発明を実施するための形態】
【0009】
特段の記載がない限り、本明細書で用いられる全ての科学技術用語は、本発明が属する技術分野における当業者が共通に解釈するのと同じ意味を有する。本明細書において言及する刊行物、特許出願、特許などの他の参考文献は全て、参照として組み込まれる。
【0010】
本明細書で使用される「局所塗布」は、例えば、手、又はティッシュ、ローラー、若しくはスプレーなどのアプリケータを使用して外皮、頭皮、又は毛髪に直接塗る、又広げることを意味する。
【0011】
本発明で使用する場合、「化粧用として許容可能な」とは、その用語が説明する成分が、過度の毒性、不適応性、不安定性、炎症、アレルギー性反応等がなく、組織(例えば、皮膚又は毛髪)と接触させて使用するのに好適であることを意味する。
【0012】
本発明で使用する場合、「化粧用として許容可能な活性剤」とは、皮膚若しくは毛髪への、美容的又は治療的な効果を有する化合物(合成若しくは天然)である。
【0013】
本発明の組成物は、皮膚老化の徴候を処置するのに好適である。本発明で使用する場合、「皮膚老化の徴候」とは、小じわ及びしわの存在、弾性の喪失、不均一な皮膚、並びにシミを含む。特に好ましい実施形態では、老化の徴候は、小じわ及びしわの存在並びに/又は弾性の喪失である。
【0014】
本発明で使用する場合、「皮膚老化の徴候を処置する」とは、上述の皮膚老化の存在又は徴候の緩和、低減、予防、改善、又は排除を意味する。
【0015】
本発明で使用する場合、「しわ」は、細かい小じわ、細かいしわ、又は粗いしわを含む。しわの例としては、目の周囲の細かいしわ(例えば、「目尻のしわ」)、額及び頬のしわ、眉間のしわ、並びに口の周囲の豊齢線が挙げられるが、これらに限定されない。
【0016】
本発明で使用する場合、「弾性の喪失」とは、たるみ、弛緩、及び緩んだ組織を含むが、これらに限定されない皮膚若しくは組織の弾性又は構造的完全性の喪失を含む。弾性又は組織の構造的完全性の喪失は、疾患、老化、ホルモン変化、機械的外傷、環境損傷、又は化粧品若しくは医薬品などの製品の組織への塗布による結果を含むが、これらに限定されない、いくつかの要因の結果であり得る。
【0017】
本発明で使用する場合、「不均一な皮膚」とは、炎症後色素沈着過度などの色素沈着過度に分類され得る、びまん性若しくは斑点模様の色素沈着に関連する皮膚の状態を意味する。
【0018】
本発明で使用する場合、「シミ」とは、赤み又は紅斑に関連する皮膚の状態を意味する。
【0019】
本発明で使用する場合、「化粧料」とは、具体的には組織又は皮膚の外観に関する場合、身体的に美しい外観を保つ、回復させる、与える、装う、若しくは高める、又は美しさ若しくは若々しさが増すようにみえる美化物質又は製剤(調剤)を指す。
【0020】
本発明で使用する場合、「化粧用としての有効量」とは、皮膚老化の1つ以上の徴候を処置するのに十分であるが、重度の副作用を回避するのに十分に低度の、生理学的に活性な化合物又は組成物の量を意味する。化合物又は組成物の化粧用としての有効量は、処置する特定の状態、最終使用者の年齢及び健康状態、処置/防止する状態の重症度、処置の期間、他の処置の性質、使用する特定の化合物又は製品/組成物、利用する特定の化粧用として許容可能なキャリア、及び同様の要因によって変化する。
【0021】
本発明の組成物は、保湿が必要な皮膚を処置するのにも有用である。本発明で使用する場合、「保湿が必要な皮膚」とは、水分が欠如している、皮脂が欠如している、ひび割れしている、乾燥している、痒みがある、鱗屑性である、乾皮症である、脱水状態である、柔軟性が欠如している、輝きが欠如している、くすんでいる、又は脂質が欠如している皮膚を意味するが、これらに限定されない。
【0022】
特に指示がない限り、百分率又は濃度は、重量百分率又は重量濃度(即ち、%(W/W))を指す。特に明記しない限り、全ての範囲は、両端点を包含する、例えば、「4~9」は、両端点の4及び9を含む。
【0023】
硫酸化グリコサミノグリカン
本組成物は、本発明に従って架橋された1つ以上の硫酸化グリコサミノグリカンを含む。架橋硫酸化グリコサミノグリカンを生成するために使用されるグリコサミノグリカン基質は、コンドロイチン硫酸、ヘパラン硫酸、デルマタン硫酸、及びケラチン硫酸からなる群から選択されてよい。前述の混合物を使用してもよい。
【0024】
架橋硫酸化グリコサミノグリカンは、完全に又は部分的に架橋してよい。直鎖及び架橋硫酸化グリコサミノグリカンの混合物を使用してもよい。
【0025】
架橋硫酸化グリコサミノグリカンを製造するために使用される硫酸化グリコサミノグリカンを、動物源又は細菌源から得てもよい。
【0026】
一実施形態では、架橋硫酸化グリコサミノグリカンは架橋コンドロイチン硫酸である。コンドロイチン硫酸は、サケ、サメ、ウシ、又はブタ起源などからの動物由来であってよい。動物由来のコンドロイチン硫酸は、シグマ・アルドリッチ社及びその他の化学物質製造業者から市販されている。
【0027】
別の実施形態では、コンドロイチン硫酸は細菌由来である。細菌由来のコンドロイチン硫酸の例としては、グノーシス・ソシエタ・ペル・アチオニ社から市販されているMYTHOCONDRO(登録商標)が挙げられる。細菌由来のコンドロイチン硫酸は、その使用では動物の使用及び動物試験を回避する故に、化粧用として許容可能な成分として好ましい場合がある。
【0028】
架橋硫酸化グリコサミノグリカンは、一価、二価、若しくは三価のカチオン、又は一価若しくは三価のイオンを含む任意のカチオン種と架橋されている。一実施形態では、架橋硫酸化グリコサミノグリカンは、カルシウムイオン、ストロンチウムイオン、及びマグネシウムイオンからなる群から選択されるイオンと架橋されている。特に、架橋硫酸化グリコサミノグリカンは、カルシウムイオンを含んでよい。
【0029】
架橋硫酸化グリコサミノグリカンを、種々の方法によって製造してよい。例えば、硫酸化グリコサミノグリカン溶液へ所望のイオンを含有する溶液を滴下して、連続的に混合し、滴定することによって、架橋硫酸化グリコサミノグリカンを製造してよい。硫酸化グリコサミノグリカンは、水又はリン酸塩緩衝生理食塩水中に溶解されていてよい。所望のイオンを含有する塩を、濁った懸濁液状になるまでゆっくりと一定に撹拌しながら加える。
【0030】
前記混合物のpH及び混合速度を調節することによって、架橋度及び粒径を調整してよい。そのようなものであるから、皮内浸透と同様に、使用中のpH環境を変化させることにより架橋を変更してもよい。一実施形態では、皮膚のpH環境が変動する時に粒子は非架橋であり、粒子の内容物を皮膚へと放出する。
【0031】
一実施形態では、架橋硫酸化グリコサミノグリカンはナノ粒子形態である。一実施形態では、ナノ粒子は、約100nm~約10μmの粒径を有する。別の実施形態では、ナノ粒子は、約500nm~約5μmの粒径を有する。
【0032】
一実施形態では、局所用組成物は、それ自体が活性成分としての架橋硫酸化グリコサミノグリカンを含む。
【0033】
化粧用として許容可能な活性剤
任意の化粧用として許容可能な活性剤は更に、前記組成物内で使用されてよい。任意の化粧用として許容可能な活性剤を架橋硫酸化グリコサミノグリカン内に入れてよい、又は任意の化粧用として許容可能な活性剤は局所用組成物内に個々に存在してよい。
【0034】
特定の実施形態では、化粧用として許容可能な活性剤を、ポリマーマトリックスを形成する架橋硫酸化グリコサミノグリカン内に入れる。これにより、架橋コンドロイチン硫酸が活性剤のための送達システムとして機能することが可能となった。
【0035】
化粧用として許容可能な活性剤は、取り込みにより架橋硫酸化グリコサミノグリカン内へと入れられてよい。
【0036】
化粧用として許容可能な活性剤は、イオン性結合により架橋硫酸化グリコサミノグリカン内へと入れられてよい。
【0037】
一実施形態では、化粧用として許容可能な活性剤は、イオン結合によりコンドロイチン硫酸ポリマーマトリックスと架橋した硫酸塩を含有する活性剤であってよい。
【0038】
理論に束縛されるものではないが、架橋コンドロイチン硫酸塩は、化粧用として許容可能な活性剤の、皮膚を介した送達を手助けする場合もあり、また好ましくは架橋粒子の寸法範囲を与えられた皮膚内の濾胞性構造を介した送達を手助けする場合があると考えられている。寸法範囲は、濾胞性の付属器官へと浸透するために理想的であり、また時間の経過とともに持続放出性効果を実現する。
【0039】
化粧用として許容可能な活性剤としては、例えば、抗ニキビ剤、光沢調整剤、抗菌剤、抗炎症剤、抗真菌剤、抗寄生虫剤、外用鎮痛剤、日焼け止め剤、光防護剤、酸化防止剤、角質溶解剤、界面活性剤、保湿剤、養分、ビタミン、エネルギー賦活剤、抗汗剤、収れん剤、防臭剤、安定剤、抗硬化剤、毛髪及び/又は皮膚のコンディショニング用剤、並びにヒアルロン酸などのその他のグリコサミノグリカンが挙げられる。
【0040】
組成物内の化粧用として許容可能な活性剤の量は、組成物の約0.001重量%~約20重量%の範囲で変動し得、例えば、組成物の約0.005重量%~約10重量%の範囲で、組成物の約0.01重量%~約5重量%などである。
【0041】
化粧用として許容可能な活性剤は、例えば、ヒドロキシ酸、過酸化ベンゾイル、D-パンテノールカロチノイド、パルミチン酸レチノール及びレチニルなどのレチノイド、セラミド、多不飽和脂肪酸、必須脂肪酸、ラッカーゼなどの酵素、酵素阻害剤、ミネラル、エストロゲンなどのホルモン、ヒドロコルチゾンなどのステロイド、2-ジメチルアミノエタノール、塩化銅などの銅塩、アルジレリン、シンエイク及びこれらの銅を含有するものなどのペプチド、コエンザイムQ10、プロリンなどのアミノ酸、ビタミン、ラクトビオン酸、アセチルコエンザイムA、ナイアシン、リボフラビン、チアミン、リボース、NADH及びFADH2などの電子輸送体、アロエベラ、ナツシロギク、オートミール、ディル、ブラックベリー及びキリなどの天然抽出物、4-ヘキシルレゾルシノールなどのレゾルシノール、クルクミノイド、並びにそれらの誘導体及びそれらの混合物から選択されてよい。
【0042】
ビタミンの例としては、ビタミンA、ビタミンB(ビタミンB3、ビタミンB5、及びビタミンB12など)、ビタミンC、ビタミンK、及びα、β、γ、若しくはδトコフェロールのような異なる形態のビタミンE、又はこれらの混合物及びこれらの誘導体が挙げられるが、これらに限定されない。
【0043】
ヒドロキシ酸の例には、グリコール酸、乳酸、リンゴ酸、サリチル酸、クエン酸、及び酒石酸が挙げられるが、これらに限定されない。
【0044】
抗酸化剤の例としては、スルフヒドリル化合物及びそれらの誘導体(例えば、メタ重亜硫酸ナトリウム及びN-アセチル-システイン)、リポ酸及びジヒドロリポ酸、レスベラトロル、ラクトフェリン、並びにアスコルビン酸及びアスコルビン酸誘導体(例えば、パルミチン酸アスコルビル及びアスコビルポリペプチド)などの水溶性抗酸化剤が挙げられるが、これらに限定されない。本発明の組成物に使用するのに好適な油溶性抗酸化剤としては、ブチル化ヒドロキシトルエン、レチノイド(例えば、レチノール及びパルミチン酸レチニル)、トコフェロール(例えば、酢酸トコフェノール)、トコトリエノール、並びにユビキノンが挙げられるが、これらに限定されない。本発明の組成物に使用するのに好適な抗酸化剤を含有する天然抽出物としては、フラボノイド及びイソフラボノイド並びにそれらの誘導体(例えば、ゲニステイン及びダイゼイン)を含有する抽出物及びレスベラトロル等を含有する抽出物が挙げられるが、これらに限定されない。このような天然抽出物の例には、ブドウ種、緑茶、松の樹皮、及びプロポリスが挙げられる。
【0045】
局所用組成物
本発明の組成物は、ヒトの皮膚又は毛髪に局所的に塗布される。従って、前記組成物は、化粧用として許容可能な局所用キャリアを更に含んでもよい。本キャリアは、組成物の約50重量%~約99.99重量%(例えば、組成物の約80重量%~約99重量%)であってよい。本発明の好ましい実施形態では、化粧用として許容可能な局所用キャリアには水が含まれる。
【0046】
本組成物は、ローション、クリーム、ゲル、スティック、スプレー、軟膏、クレンジング液体洗浄剤、及び固形バー、シャンプー及びヘアコンディショナー、ヘアフィクサー、ペースト、フォーム、パウダー、ムース、シェービングクリーム、拭き取り用品、パッチ、ヒドロゲル、フィルム形成製品、フェイシャルマスク及びスキンマスク、フィルム、並びにファンデーション及びマスカラなどのメークアップを含むが、これらに限定されない、多種多様な製品の種類へと作製されてもよい。これらの製品の種類としては、溶液、懸濁液、マイクロエマルション及びナノエマルションなどのエマルション、ゲル、固形物、及びリポソームが挙げられるが、これらに限定されない、化粧用として許容可能な多種多様な局所用キャリアを含めることができる。以下は、このようなキャリアの非限定例である。当業者は、他のキャリアを配合することができる。
【0047】
本発明に有用な組成物は溶液として配合することができる。溶液は、典型的には、水性又は有機溶媒(例えば、約50%~約99.99%又は約90%~約99%の化粧用として許容可能な水性若しくは有機溶媒)を含む。好適な有機溶媒の例としては、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、グリセロール、1,2,4-ブタントリオール、ソルビトールエステル、1,2,6-ヘキサントリオール、エタノール、及びこれらの混合物が挙げられる。
【0048】
本発明に有用な組成物は、皮膚軟化剤を含む溶液として配合することができる。このような組成物は、好ましくは、約2%~約50%の皮膚軟化剤を含有する。本発明で使用する場合、「皮膚軟化剤」とは、皮膚からの経皮水分喪失を防止することなどにより、乾燥状態の防止又は緩和のために使用する材料を指す。膚軟化剤の例としては、「International Cosmetic Ingredient Dictionary and Handbook」、Pepe、Wenninger、McEwen編、pp.2930~36(The Cosmetic,Toiletry,and Fragrance Assoc,Washington,D.C.,9th Edition,2002)(以後、「ICI Handbook」)に記載されるものなどが挙げられるが、これに限定されない。特に好適な皮膚軟化剤の例としては、植物油、鉱油、脂肪エステルなどが挙げられる。
【0049】
ローションはそのような溶液から作製され得る。ローションは、典型的には、約1%~約20%(例えば、約5%~約10%)の皮膚軟化剤と、約50%~約90%(例えば、約60%~約80%)の水とを含有する。
【0050】
溶液から配合できる別の種類の製品はクリームである。クリームは、典型的には、約5%~約50%(例えば、約10%~約20%)の皮膚軟化剤と、約45%~約85%(例えば、約50%~約75%)の水とを含有する。
【0051】
本発明の組成物は、水を含むか、別の方法としては無水であるか、水を含まないが有機及び/又はシリコーン溶媒、油、脂質、並びにワックスを含む軟膏であってよい。軟膏は、動物又は植物油の単一塩基又は半固体の炭化水素を含有してもよい。軟膏は、約2%~約10%の皮膚軟化剤と、約0.1%~約2%の増粘剤とを含有し得る。増粘剤の例としては、ICI Handbookのpp.2979~84に記載されるものが挙げられるが、これに限定されない。
【0052】
本組成物は、エマルションとして配合することができる。局所用キャリアがエマルションである場合、約1%~約10%(例えば、約2%~約5%)の局所用キャリアが乳化剤を含有する。乳化剤は、非イオン性、アニオン性、又はカチオン性であってよい。乳化剤の例としては、ICI Handbookのpp.2962~71に記載されるものが挙げられるが、これらに限定されない。
【0053】
ローション及びクリームを、エマルションとして配合することができる。典型的には、このようなローションは、0.5%~約5%の乳化剤を含有する。このようなクリームは、典型的には、約1%~約20%(例えば、約5%~約10%)の皮膚軟化剤、約20%~約80%(例えば、約30%~約70%)の水と、約1%~約10%(例えば、約2%~約5%)の乳化剤とを含有する。
【0054】
水中油型及び油中水型の、ローション及びクリームのような単相エマルションのスキンケア製剤は、化粧品技術分野で周知であり、本発明に有用である。水中油中水型又は油中水中油型などの多相エマルション組成物もまた、本発明に有用である。一般に、そのような単相又は多相のエマルションは、必須成分として水、皮膚軟化剤、及び乳化剤を含有する。
【0055】
本発明の組成物は、ゲル(例えば、好適なゲル化剤を使用した水性、アルコール、アルコール/水、又は油ゲル)として配合することもできる。水性及び/又はアルコール性ゲル用の好適なゲル化剤には、天然ゴム、アクリル酸及びアクリレートのポリマー及びコポリマー、並びにセルロース誘導体(例えば、ヒドロキシメチルセルロース及びヒドロキシプロピルセルロース)が含まれるが、これらに限定されない。油(鉱油など)用の好適なゲル化剤には、水素添加ブチレン/エチレン/スチレンコポリマー、及び水素添加エチレン/プロピレン/スチレンコポリマーが挙げられるが、これらに限定されない。このようなゲルは、典型的には、約0.1重量%~約5重量%のこのようなゲル化剤を含有する。
【0056】
本発明の組成物は、固形配合物(例えば、ワックス系スティック、固形石鹸組成物、パウダー、又はパウダーを含有するティッシュ)に配合することもできる。
【0057】
本発明に有用な組成物は、上述の構成成分に加えて、当該技術分野で設定されたレベルで、従来から皮膚及び毛髪用の組成物に使用されている、多種多様な付加的な油溶性材料及び/又は水溶性材料を含有することができる。
【0058】
様々なその他の材料も、当該技術分野において周知のように、本組成物中に存在してよい。これらは、保湿剤、pH調整剤、キレート剤(例えば、EDTA)、香料、染料、及び防腐剤(例えば、パラベン)を含む。
【0059】
本発明のこのような組成物を含有する組成物並びに配合物及び製品は、当業者に周知の方法を用いて調製することができる。
【0060】
一実施形態では、本局所用組成物は、水相、油相、及び非イオン性の脂質相を含むエマルション中に、架橋硫酸化グリコサミノグリカンを含む。
【0061】
水相は水を含有する。
【0062】
水相は、カルボマー又はその他の増粘剤、例えば、キサンタンゴム、カラギーナンゴム、ポリアクリレート-13、ポリイソブテン、ポリソルベート-20、ポリアクリレート-13/ポリイソブチレン/ポリソルベート-20ブレンド、及びこれらの混合を含む同等物の構造剤も含有し得る。
【0063】
好ましくは、本組成物は増粘剤を含み、この増粘剤は、アクリル酸ヒドロキシエチル/アクリロイルジメチルタウリン酸ナトリウムコポリマーである。
【0064】
油相は、少なくとも1つの化粧用として許容可能な油を含有する。
【0065】
本発明で使用する場合、「油」とは、ミセル凝集体を形成する、又はそれらの大きさを制限するために、分子間力を平衡するのに役立ち得る疎水性材料を意味する。油は、製品の塗布性、皮膚感触、及び疎水性活性成分(ビタミンD、E、K、及びAなどだがこれらに限定されない)の送達、並びに日焼け止めフィルタをもたらすように皮膚軟化剤成分としても機能する。
【0066】
本組成物に有用な油には、組成物の総重量に基づき、約20%~50%の範囲の様々な炭化水素系油、シリコーン、脂肪酸誘導体、グリセリド、植物油、植物油誘導体、アルキルエステル、ワックスエステル、蜜蝋誘導体、ステロール、及びリン脂質、並びにこれらの組み合わせが含まれる。
【0067】
好適な炭化水素油には、ワセリン、鉱油、微結晶ワックス、スクアレン、及びこれらの組み合わせが含まれる。
【0068】
シリコーン油には、ジメチコン、ジメチコノール、フェニルジメチコン、及び環状ポリシロキサン、並びにこれらの組み合わせが含まれる。25℃で約0.5mm/s~約100,000mm/s(約0.5~約100,000センチストークス)の粘度を有するシリコーン油も、本組成物において有用であり得る。
【0069】
グリセリドには、ヒマシ油、ヒマワリ種子油、ココナッツ油及び誘導体、植物油及び誘導体、パーム油、ホホバ油、シアバター、ラノリン、並びにこれらの組み合わせが含まれる。
【0070】
アルキルエステル油には、脂肪酸のイソプロピルエステル及び長鎖脂肪酸のエステルが含まれるが、これらに限定されない。より好ましくは、以下のアルキルエステルが有用である:パルミチン酸イソプロピル、ミリスチン酸イソプロピル、ミリスチン酸ミリスチル、パルミチン酸イソヘキシル、オレイン酸デシル、イソノナン酸イソノニル、及びこれらの組み合わせ。
【0071】
非イオン性脂質相は、約3~約50の炭素原子、好ましくは約10~約18個の炭素原子を含有する脂肪酸鎖を有するグリセリルモノエステル、約5個の炭素原子~約25個の炭素原子、好ましくは約10個の炭素原子~約18個の炭素原子を含有する脂肪酸鎖を有するグリセリルジエステル、アルコキシル化アルコール、アルコキシル化アルキルフェノール、アルコキシル化酸、アルコキシル化アミド、アルコキシル化糖誘導体、天然油又はワックスのアルコキシル化誘導体、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロックコポリマー、約10個の炭素原子~約18個の炭素原子を含有する脂肪酸鎖を有するポリオキシエチレンエーテル脂肪酸、ステロイド、脂肪酸が約10個の炭素原子~約20個の炭素原子を有する直鎖又は分枝鎖であり、アルコールが1~10個の炭素原子を有する直鎖又は分枝鎖である、アルコールの脂肪酸エステル、及びこれらの組み合わせなどの1つ以上の非イオン性脂質を含み、アルコキシル化脂質はエチレンオキシド又はプロピレンオキシドとアルコキシル化しており、エチレンオキシドとのアルコキシル化が好ましい。
【0072】
好適なグリセリルモノエステルの例としては、カプリン酸グリセリル、カプリル酸グリセリル、グリセリルコケート、エルカ酸グリセリル、ヒドロキシステアリン酸グリセリル、イソステアリン酸グリセリル、ラノリン酸グリセリル、ラウリン酸グリセリル、グリセリルリノレート、ミリスチン酸グリセリル、オレイン酸グリセリル、グリセリルPABA、パルミチン酸グリセリル、リシノール酸グリセリル、ステアリン酸グリセリル、グリセリルチグリコレート、及びこれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されず、ラウリン酸グリセリル及びミリスチン酸グリセリルが好ましい。
【0073】
好適なグリセリルジエステルの例としては、ジラウリン酸グリセリル、ジオレイン酸グリセリル、ジミリスチン酸グリセリル、ジステアリン酸グリセリル、グリセリルセスイオレエート、ステアリン酸乳酸グリセリル、及びこれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されす、ジラウリン酸グリセリル及びジミリスチン酸グリセリルが好ましい。
【0074】
好適なポリオキシエチレン脂肪エーテルの例としては、ポリオキシエチレンセチル/ステアリルエーテル、ポリオキシエチレンコレステロールエーテル、ラウリン酸又はジラウリン酸ポリオキシエチレン、ステアリン酸又はジステアリン酸ポリオキシエチレン、ポリオキシエチレンラウリル又はステアリルエーテル、及びこれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されず、ポリオキシエチレンヘッド基は、約2~約100個の基の範囲である。好ましいポリオキシエチレン脂肪エーテルとしては、約3~約10個のオキシエチレン単位を有するポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンミリスチルエーテル、及びポリオキシエチレンラウリルエーテルが挙げられる。
【0075】
好適なステロイドの例としては、コレステロール、βシトステロール、ビサボロール、及びこれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。
【0076】
アルコールの好適な脂肪酸エステルの例としては、ミリスチン酸イソプロピル、脂肪族イソプロピルn-ブチラート、イソプロピルn-ヘキサノエート、イソプロピルn-デカノエート、パルミチン酸イソプロピル、ミリスチン酸オクチルドデシルが挙げられる。
【0077】
本発明の組成物において非イオン性脂質として有用な代表的なアルコキシル化アルコールは、以下の式Iに示される構造を有する。
--(OCHCH)y--OH 式I
式中、Rは、約6~約22個の炭素原子を有する分枝状又は非分枝状アルキル基であり、yは約4~約100、好ましくは約10~約100である。好ましいアルコキシル化アルコールは、Rがラウリル基である種であり、yは23の平均値を有し、これはラウレス23として知られ、商品名「BRIJ 35」で、ICIアメリカ社(ICI Americas,Inc.,Wilmington,Del)から入手可能である。
【0078】
別の代表的なアルコキシル化アルコールは、ラノリンアルコールのエトキシル化誘導体である。ラノリンアルコールは、ラノリンの加水分解から得られる有機アルコールの混合物である。ラノリンアルコールのエトキシル化誘導体の例はラネス-10であり、これは、平均エトキシル化値が10のラノリンアルコールのポリエチレングリコールエーテルである。
【0079】
別の代表的なアルコキシル化アルコールは、ポリオキシプロピレンポリオキシエチレンアルキルエーテル、例えば、PPG-12-ブテス-16である。この材料は、商品名「UCON Fluid 50-HB-660」でアマーコール社(Amerchol Corp.,Edison,N.J)から入手可能である。
【0080】
別の種類の非イオン性脂質には、アルコキシル化アルキルフェノール、例えば、「ノノキシノール-14」が含まれ、商品名「MAKON 14」で、ステパン社(Stepan Company,Northfield,Ill)から入手可能である。
【0081】
別の種類の非イオン性脂質は、アルコキシル化酸であり、これは、酸のエステル、大半は一般的にポリアルキレングリコールを伴う脂肪酸、例えば、PEG-8ラウレートである。
【0082】
別の種類の非イオン性脂質には、アルコキシル化アミド、例えば、PEG-6ココアミドが含まれる。
【0083】
別の種類の非イオン性脂質には、アルコキシル化糖誘導体、例えば、ポリソルベート20(ソルビトールのラウリン酸エステルとソルビトール無水物との混合物であり、約20モルのエチレンオキシドと縮合されたモノエステルから主になる)が含まれる。この材料は、商品名「TWEEN 20」でICIアメリカ社(ICI Americas,Inc.,Wilmington,Del)から入手可能である。
【0084】
本発明の組成物に有用なアルコキシル化糖誘導体の別の例は、PEG-20セスキステアリン酸メチルグルコースであり、これは、メチルグルコースとステアリン酸とのセスキエステルのポリエチレングリコールエーテルであり、平均20モルのエチレンオキシドを含み、商品名「Glucamate SSE-20」で、アマーコール社(Amerchol Corp.,Edison,N.J)から入手可能である。
【0085】
別の種類の非イオン性脂質としては、天然油及びワックスのアルコキシル化誘導体が挙げられる。このクラスの材料の例には、PEG-40ラノリン、PEG-40ヒマシ油、及びPEG-40硬化ヒマシ油が含まれる。
【0086】
別の種類の非イオン性脂質には、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロックコポリマー、例えば、ポロキサマー101及びポロキサマー182が含まれる。
【0087】
好ましい非イオン性脂質には、ポリオキシエチレン脂肪エーテル、グリセリルジエステル、及びこれらの混合物が含まれる。より好ましい非イオン性脂質には、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンミリスチルエーテル、及びポリオキシエチレンラウリルエーテル、ジラウリン酸グリセリル、グリセリルジミステート、ジステアリン酸グリセリル、並びにこれらの混合物が含まれ、ここで、各エーテルは、約5~約10個のオキシエチレン単位を有する。
【0088】
皮膚刺激の低減が関心事項である実施形態では、親水性ヘッド基部分に多量の炭素原子を有する非イオン性脂質、又は代替えとして、疎水性脂肪酸鎖部分に多量の炭素原子を有する非イオン性脂質を使用することが好ましい。前者は、例えば、ポリオキシエチレン-10-ステアリルエーテルの先端基上の炭素原子の量を、約10個の炭素原子から約15~20個の炭素原子に増加させることによって達成することができる。後者は、例えば、グリセリルジエステルの12個の炭素脂肪酸末端上の炭素原子の量を、約14個の炭素~約16個の炭素に増加させることによって達成することができる。
【0089】
本発明の組成物は、組成物の総重量に基づき、約1パーセント~約10パーセント、好ましくは約3パーセント~約7パーセントの非イオン性脂質を含む。
【0090】
好ましい実施形態では、非イオン性脂質相は、水、ジラウリン酸グリセリド、ステアレス-10、及びグリセリンを含む。
【0091】
一実施形態では、本組成物は、コンドロイチン硫酸、乳酸、ステアレス10、ジラウリン酸グリセロール、及びグリセリンを含む。コンドロイチン硫酸は、直鎖状のコンドロイチン硫酸であってよい。コンドロイチン硫酸は、架橋コンドロイチン硫酸であってよい。コンドロイチン硫酸は、直鎖状のコンドロイチン硫酸と架橋コンドロイチン硫酸との混合物であってよい。
【0092】
pH
一実施形態では、局所用組成物は低pHを有する。例えば、pHは約4未満又は約3.3未満であってよい。
【0093】
局所用組成物は、乳酸、グリコール酸、クエン酸、リンゴ酸、酒石酸、グルコン酸、又はグルコノラクトンなどの緩衝剤を含んでよい。好ましくは、緩衝剤は乳酸である。
【0094】
典型的には、本組成物は、約3~約12、又は約4~約8重量パーセントの緩衝剤を含有する。
【0095】
皮膚処置方法
本発明によれば、架橋硫酸化グリコサミノグリカン及び化粧用として許容可能な局所用キャリアを含む局所用組成物を、皮膚老化の徴候を処置することが必要な皮膚に局所的に塗布することにより、皮膚老化の徴候を処置してよい。
【0096】
加えて、架橋硫酸化グリコサミノグリカン及び化粧用として許容可能な局所用キャリアを含む局所用組成物を、保湿処置を必要とする皮膚に局所的に塗布することにより、皮膚に潤いを与えてよい。
【0097】
以下の非限定的実施例は、本発明を更に説明する。
【実施例
【0098】
(実施例1)
架橋コンドロイチン硫酸のサンプルを、本発明に従って以下のとおり調製した。
【0099】
ウシの気管由来及び細菌由来のコンドロイチン硫酸(CS)をそれぞれ、0.4重量体積%、1.1重量体積%、3.3重量体積%及び10重量体積%の量にて使用した。ウシの気管由来のCSは、シグマ・アルドリッチ社から入手した。細菌由来のCSは、グノーシス・ソシエタ・ペル・アチオニ社から入手した。
【0100】
コンドロイチン硫酸のサンプルを、水又はリン酸塩緩衝生理食塩水(PBS)中に溶解させて、10mlの溶液を生成した。次に、10.1M塩化カルシウム溶液を、0.18グラムのコンドロイチン硫酸にて、撹拌しながら各サンプルに滴加した。(例えば、CS3.3%の溶液10mlの場合、10.1M塩化カルシウム溶液40.8ulを添加した。)水中のCSを使用して調製したサンプルが透明のままである一方、PBSビヒクル中のCSを使用して調製したサンプルでは濁った懸濁液(PBS中のイオンのため)が得られた。
【0101】
ナノ粒子の存在に関して、得られた懸濁液をSEMにより分析した。電子顕微鏡画像では、全てのサンプルにおいて粒子の存在が確認された。しかし、PBS中で調製されたサンプルでは、水中で調整されたサンプルよりも更に多くの粒子が得られた。
【0102】
両方のビヒクルにおける、直鎖状のコンドロイチン硫酸の出発原料の溶液もまた、SEMにより評価した。正電荷イオンの不存在下ではナノ粒子は形成されず、またCa2+の存在に起因して形成される濁った懸濁液と比較して、溶液は透明であった。
【0103】
1つの工程で全てのCaCl溶液を添加することにより、追加のサンプルを調製した。これは、より大きい、ミクロンサイズの粒子の凝集体をもたらし、またSEMによっても確認された。
【0104】
(実施例2)
下表1に記載されているサンプルを使用した、直鎖状の架橋コンドロイチン硫酸カルシウムのインビトロ皮膚浸透を、次のように測定した。
【0105】
コンドロイチン硫酸は、グノーシス・ソシエタ・ペル・アチオニ社から入手した。
【0106】
ビヒクルとしてPBSを使用し、実施例1に記載のように架橋コンドロイチン硫酸を製造した。PBS溶液は、対照としての役割を果たす。
【0107】
浸透試験を、ヒトの表皮と同等の組織を使用して実施した(マットテック・コーポレーション社(MatTek Corporation)製EpiDerm-Epi-200)。表皮と同等の組織は、供給メーカーの指示に従って扱われ、培養される。試験に先だって、EpiDerm組織サンプルを含有するウェルプレートを、37℃に加湿した5%のCO2インキュベータ中で24時間平衡化した。次に、各サンプルについて、サンプル50ulを組織上に局所的に被着させて、培養液中で48時間培養した。
【0108】
組織サンプル下方の培養液を、処置後48時間で収集して、トリフルオロ酢酸(TFA)の加水分解後に、HPAEC-PADアッセイを使用し、コンドロイチン硫酸の量を測定した。
【0109】
結果を表1に示す。
【0110】
【表1】
【0111】
〔実施の態様〕
(1) 架橋硫酸化グリコサミノグリカン及び化粧用として許容可能な局所用キャリアを含む、局所用組成物。
(2) 前記架橋硫酸化グリコサミノグリカンが、架橋コンドロイチン硫酸、架橋ヘパラン硫酸、架橋ケラチン硫酸、及び架橋デルマタン硫酸からなる群から選択されている、実施態様1に記載の局所用組成物。
(3) 前記架橋硫酸化グリコサミノグリカンが、架橋コンドロイチン硫酸を含む、実施態様1に記載の局所用組成物。
(4) 前記硫酸化グリコサミノグリカンが、カルシウムイオン、ストロンチウムイオン、及びマグネシウムイオンからなる群から選択されるイオンと架橋されている、実施態様1に記載の局所用組成物。
(5) 前記架橋硫酸化グリコサミノグリカンが、約100nm~約10μmの粒径を有する、実施態様1に記載の局所用組成物。
【0112】
(6) 化粧用として許容可能な活性成分を更に含む、実施態様1に記載の局所用組成物。
(7) 乳酸、グリコール酸、クエン酸、酒石酸、グルコン酸、及びグルコノラクトンからなる群から選択される緩衝剤を更に含む、実施態様1に記載の局所用組成物。
(8) 約4未満のpHを有する、実施態様1に記載の局所用組成物。
(9) 前記硫酸化グリコサミノグリカンが、細菌由来である、実施態様1に記載の局所用組成物。
(10) 前記硫酸化グリコサミノグリカンが、細菌由来のコンドロイチン硫酸である、実施態様1に記載の局所用組成物。
【0113】
(11) 架橋硫酸化グリコサミノグリカン及び化粧用として許容可能な局所用キャリアを含むマトリックス中に運ばれる、化粧用として許容可能な活性成分を含む、局所用組成物。
(12) 架橋硫酸化グリコサミノグリカン及び化粧用として許容可能な局所用キャリアを含む局所用組成物を、皮膚老化の徴候を処置することが必要な皮膚に局所的に塗布することを含む、皮膚老化の徴候を処置する方法。
(13) 架橋硫酸化グリコサミノグリカン及び化粧用として許容可能な局所用キャリアを含む局所用組成物を、保湿処置を必要とする皮膚に局所的に塗布することを含む、皮膚に潤いを与える方法。