(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-11
(45)【発行日】2022-03-22
(54)【発明の名称】超音波診断装置及び計測プログラム
(51)【国際特許分類】
A61B 8/08 20060101AFI20220314BHJP
【FI】
A61B8/08
(21)【出願番号】P 2017120786
(22)【出願日】2017-06-20
【審査請求日】2020-04-20
(32)【優先日】2016-07-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】594164542
【氏名又は名称】キヤノンメディカルシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001771
【氏名又は名称】特許業務法人虎ノ門知的財産事務所
(72)【発明者】
【氏名】ジャイルス・ディー・ジュネッテ
(72)【発明者】
【氏名】宮島 泰夫
【審査官】宮川 哲伸
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2015/029651(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2016/0183926(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2010/0016718(US,A1)
【文献】特開2015-126955(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 8/00 - 8/15
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
関心領域を設定する設定部と、
超音波走査によって収集された前記関心領域に含まれる各位置の計測値に基づいて、計測結果を算出する第1算出部と、
前記関心領域に含まれる各位置の前記計測値に基づいて、前記計測結果の信頼性に関する計測メトリクスを算出する第2算出部と、
前記計測結果を表示させるとともに、前記計測メトリクスに基づいて決定されたガイダンスを表示させる表示制御部と、
前記計測値の収集回数を判定する
収集回数判定部と、
を備え、
前記表示制御部は、前記収集回数に関する第2ガイダンスを表示させる、超音波診断装置。
【請求項2】
前記第1算出部は、プッシュパルスにより生じたせん断波が前記関心領域に含まれる各位置に伝わる速度を表すせん断速度を、前記計測値として算出する、
請求項1に記載の超音波診断装置。
【請求項3】
前記計測メトリクスが第1所定範囲内であるか否かを判定する
計測メトリクス判定部を更に備え、
前記表示制御部は、前記計測メトリクスが前記第1所定範囲内ではないと判定された場合に、前記計測結果が統計的に信頼できない結果を示すメッセージを、前記ガイダンスとして表示させる、
請求項1又は2に記載の超音波診断装置。
【請求項4】
前記
収集回数判定部は、前記計測値の収集が、第1所定回数以上行われたか否かを判定し、
前記表示制御部は、前記第1所定回数以上行われていないと判定された場合に、前記計測値の収集を継続することを示すメッセージを、前記第2ガイダンスとして表示させる、
請求項1~3のいずれか一つに記載の超音波診断装置。
【請求項5】
前記計測メトリクスとして、前記計測値の複数回の収集に基づく複合的な計測メトリクスが算出される場合に、前記複合的な計測メトリクスが第2所定範囲内であるか否かを判定する
複合計測メトリクス判定部を更に備え、
前記表示制御部は、前記複合的な計測メトリクスに基づいて決定されたガイダンスを表示させる、
請求項1~4のいずれか一つに記載の超音波診断装置。
【請求項6】
前記表示制御部は、前記複合的な計測メトリクスが前記第2所定範囲内であると判定された場合に、前記計測値の収集を中止可能であることを示すメッセージを、前記ガイダンスとして表示させる、
請求項5に記載の超音波診断装置。
【請求項7】
前記表示制御部は、前記複合的な計測メトリクスが前記第2所定範囲内ではないと判定された場合に、範囲外となる個々の前記計測値及び前記計測結果のうち少なくとも一方を表示させる、
請求項5に記載の超音波診断装置。
【請求項8】
前記表示制御部は、前記複合的な計測メトリクスが前記第2所定範囲内ではないと判定された場合に、前記複合的な計測メトリクスが統計的に信頼できないことを示すメッセージを、前記ガイダンスとして表示させる、
請求項5に記載の超音波診断装置。
【請求項9】
前記複合的な計測メトリクスが前記第2所定範囲内ではないと判定された場合に、前記計測値の収集が、第2所定回数行われたか否かを判定する
計測値収集判定部を更に備え、
前記表示制御部は、前記第2所定回数行われたと判定された場合に、前記複合的な計測メトリクスが統計的に信頼できないことを示すメッセージを、前記ガイダンスとして表示させる、
請求項5に記載の超音波診断装置。
【請求項10】
前記第2所定回数行われたと判定された場合に、前記計測値の収集を再度実行する、前記関心領域を再度設定するか、又は、前記計測値の収集を中止するかを決定する第1決定部を更に備える、
請求項9に記載の超音波診断装置。
【請求項11】
設定された前記関心領域に応じて、前記計測値の収集が行われる回数を表す計測回数を決定する第2決定部とを更に備える、
請求項1~10のいずれか一つに記載の超音波診断装置。
【請求項12】
超音波プローブに超音波を送信させる送信部と、
送信された前記超音波の反射波を受信する受信部と、
受信された前記反射波に基づいて、超音波画像データを生成する画像生成部とを更に備える、
請求項1~11のいずれか一つに記載の超音波診断装置。
【請求項13】
前記送信部は、3次元領域である前記関心領域に対して、前記超音波を送信し、
前記受信部は、前記3次元領域から前記反射波を受信し、
前記画像生成部は、前記3次元領域に対応するボリュームデータを、前記超音波画像データとして生成する、
請求項12に記載の超音波診断装置。
【請求項14】
関心領域を設定する設定部と、
前記関心領域に含まれる複数の位置を対象として超音波走査によって複数の計測値が収集される収集処理ごとに、前記複数の計測値に基づく計測結果をそれぞれ算出する第1算出部と、
複数回実行された前記収集処理における複数回分の前記計測結果に基づいて、複合的な計測メトリクスを算出する第2算出部と、
前記複合的な計測メトリクスに基づいて、前記計測結果の信頼性を判定する判定部と
を備える、超音波診断装置。
【請求項15】
関心領域を設定する設定部と、
超音波走査によって収集された前記関心領域に含まれる各位置の計測値に基づいて、計測結果を算出する第1算出部と、
前記関心領域に含まれる各位置の前記計測値に基づいて、前記計測結果の信頼性に関する計測メトリクスを算出する第2算出部と、
前記計測値の収集が複数回実行される場合に、各回の前記計測メトリクスに基づいて、各回の前記計測結果が許容可能か否かを判定する判定部と、
許容可能と判定された回の計測値に基づいて、統計的代表値を算出する第3算出部と
を備える、超音波診断装置。
【請求項16】
前記計測結果が許容可能か否かを判定するための閾値を設定するための操作を操作者から受け付ける操作部を更に備え、
前記判定部は、前記操作部が受け付けた操作によって設定された閾値に基づいて、各回の前記計測結果が許容可能か否かを判定する、
請求項15に記載の超音波診断装置。
【請求項17】
関心領域を設定し、
超音波走査によって収集された前記関心領域に含まれる各位置の計測値に基づいて、計測結果を算出し、
前記関心領域に含まれる各位置の前記計測値に基づいて、前記計測結果の信頼性に関する計測メトリクスを算出し、
前記計測結果を表示させるとともに、前記計測メトリクスに基づいて決定されたガイダンスを表示させ、
前記計測値の収集回数を判定し、
前記収集回数に関する第2ガイダンスを表示させる、
各処理をコンピュータに実行させる、計測プログラム。
【請求項18】
関心領域を設定し、
前記関心領域に含まれる複数の位置を対象として超音波走査によって複数の計測値が収集される収集処理ごとに、前記複数の計測値に基づく計測結果をそれぞれ算出し、
複数回実行された前記収集処理における複数回分の前記計測結果に基づいて、複合的な計測メトリクスを算出し、
前記複合的な計測メトリクスに基づいて、前記計測結果の信頼性を判定する、
各処理をコンピュータに実行させる、計測プログラム。
【請求項19】
関心領域を設定し、
超音波走査によって収集された前記関心領域に含まれる各位置の計測値に基づいて、計測結果を算出し、
前記関心領域に含まれる各位置の前記計測値に基づいて、前記計測結果の信頼性に関する計測メトリクスを算出し、
前記計測値の収集が複数回実行される場合に、各回の前記計測メトリクスに基づいて、各回の前記計測結果が許容可能か否かを判定し、
許容可能と判定された回の計測値に基づいて、統計的代表値を算出する、
各処理をコンピュータに実行させる、計測プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、超音波診断装置及び計測プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
信頼できる医学的な定量的結果を得ることは困難な場合がある。患者はそれぞれ大きく異なりうるため、結果が許容可能であるかどうかの判断は、幅広い経験を必要としうる。データ、被検者の生理機能および変化の不適切な取得のため、または取得したデータが異常または陰性の結果を示すため、結果が「悪い」結果であったかどうかを判断するのに、しばしば主観的判断がなされる。この不確実性に対応するために、複数の計測値を取得して統計分析を使用し、「悪い」結果の識別を手助けし、また異常または陰性の結果の信頼度を高める。しかし、これは機器および人材の非効率的な使用である。
【0003】
本明細書に提供される「背景技術」の記述は、本開示の文脈を概略的に提示する目的のためである。本発明者らの論文は、その論文がこの背景技術のセクションに記載されている限り、出願の時点で従来技術とみなされないこともある説明の態様同様、明示的にも、暗示的にも、本開示に対する従来技術とは認められない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】米国特許出願公開第2006/0135860号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明が解決しようとする課題は、信頼性の高い計測値を容易に得ることである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
実施形態に係る超音波診断装置は、設定部と、第1算出部と、第2算出部と、表示制御部とを備える。設定部は、関心領域を設定する。第1算出部は、超音波走査によって収集された前記関心領域に含まれる各位置の計測値に基づいて、計測結果を算出する。第2算出部は、前記関心領域に含まれる各位置の前記計測値に基づいて、前記計測結果の信頼性に関する計測メトリクスを算出する。表示制御部は、前記計測結果を表示させるとともに、前記計測メトリクスに基づいて決定されたガイダンスを表示させる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】
図1は、一実施形態に係る超音波診断装置の構成図である。
【
図2A】
図2Aは、一実施形態に係る画像診断手順の間にガイダンス及び強調を提供する方法のフローチャートである。
【
図2B】
図2Bは、一実施形態に係る画像診断手順の間にガイダンス及び強調を提供する方法のフローチャートである。
【
図2C】
図2Cは、一実施形態に係る画像診断手順の間にガイダンスおよび強化を提供する方法のフローチャートである。
【
図3】
図3は、一実施形態に係る例示的な計算装置を示す。
【
図4】
図4は、一実施形態に係るデータ処理システムの概略図である。
【
図5】
図5は、一実施形態に係る例示的な中央演算処理装置を示す。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下の詳細な説明は添付の図面と関連付けて参照してより良く理解されるため、本実施形態及びそれに付随する利点の多くを、容易により完全に理解できるであろう。
【0009】
一実施形態において、超音波診断装置は、選択された解剖学的領域の前の画像の参照データと、選択された解剖学的領域の所定の計測回数とを格納するメモリを備える。超音波診断装置は、取得済みの患者の超音波画像データに対して計測値の収集を行って少なくとも1つの計測結果を生成し、生成された少なくとも1つの計測結果を表示し、少なくとも1つの計測結果の計測メトリクスを計算し、超音波診断装置の操作者に向けたガイダンスと一緒に計算済みの計測メトリクスを表示するように構成された処理回路機構をさらに備える。当該ガイダンスは、最適化された質に関する公開統計メトリクスを基準にした計算済みの計測メトリクスおよび少なくとも1つの計測結果に基づいて決定される。
【0010】
別の実施形態において、信頼できる診断結果を決定する方法は、取得済みの患者の超音波画像データに対して計測値の収集を行って少なくとも1つの計測結果を生成することと、少なくとも1つの計測結果を表示することと、少なくとも1つの計測結果の計測メトリクスを計算することとを含む。本方法は、超音波診断装置の操作者に向けたガイダンスと一緒に計測メトリクスを表示することをさらに含む。当該ガイダンスは、最適化された質に関する公開統計メトリクスを基準にした計測メトリクスおよび少なくとも1つの計測結果に基づいて決定される。本方法のステップは処理回路機構を介して実行される。
【0011】
別の実施形態において、非一時的なコンピュータ可読記憶媒体は、処理回路機構によって実行されたときに回路機構に方法を実行させるコンピュータ可読命令を有する。本方法は、取得済みの患者の超音波画像データに対して計測値収集を行って少なくとも1つの計測結果を生成することと、少なくとも1つの計測結果を表示することと、少なくとも1つの計測結果の計測メトリクスを計算することとを含む。本方法は、超音波診断装置の操作者に向けたガイダンスと一緒に計測メトリクスを表示することをさらに含む。当該ガイダンスは、最適化された質に関する公開統計メトリクスを基準にした計測メトリクスおよび少なくとも1つの計測結果に基づいて決定される。
【0012】
エラストグラフィは、体組織等の軟組織の弾性特性をマッピングする医用イメージング方式である。体組織が硬組織であるか軟組織であるかの判断により、潜在的疾患、変形、またはその他健康に関する問題の存在または状態についての診断情報が与えられる。例えば、癌性腫瘍は多くの場合、周りの組織よりも硬く、罹患肝臓は通常、健康な肝臓よりも硬い。超音波および磁気共鳴エラストグラフィ(Magnetic Resonance Elastography:MRE)は、比較のために剛性組織マップと解剖学的画像とを取得するのに使用可能な2つの技術である。しかしながら、体内の硬組織対軟組織のマップからは定量化が得られない。
【0013】
本明細書に記載されるエラストグラフィのための実施形態は、標的組織の特性決定を提供可能な計測値を生成するせん断波エラストグラフィ(シアウェーブ・エラストグラフィ)に特有のものである。
【0014】
完全に非侵襲的なエラストグラフィは、多くの臓器における多くの病状を調べるために使用できる。エラストグラフィは、解剖学的画像の診断情報を取得するために使用することもできる。エラストグラフィは、剛性が増加もしくは減少した領域またはせん断波速度を特定するために使用可能な組織情報を提供する。エラストグラフィは、病変部または封入体のない臓器からの値を提供することもできる。エラストグラフィはさらに、追加情報を診断画像に追加することによって生検領域を特定するためにも使用できる。
【0015】
エラストグラフィは、肝臓内の疾患を調べるために使用することもできる。特定の閾値を超えた肝臓剛性の増加は、線維化を示すことができ、線維化の程度および肝硬変への進行を確認できる。エラストグラフィは乳癌、甲状腺癌、および前立腺癌の検出および診断のために使用でき、また筋肉および腱の機械的特性および状態を決定する筋骨格イメージングに好適でもありうる。
【0016】
エラストグラフィは、移動、振動、または変位に対応する体組織を観察する方法である。体の表面または臓器をプローブまたはツールにより押したり、変形させたり、または振動させたりすることによって歪みが生じうる。集束超音波(プッシュパルス)の照射力を使用して、組織内に遠くからの「押す力」を生成できる。脈または鼓動等の正常な生理学的過程もまた歪みを生じうる。
【0017】
エラストグラフィ技術は、どのイメージング様式を用いて歪み反応を観察し、生じさせるかによって類別できる。エラストグラフィ技術としては、超音波、磁気共鳴イメージング(Magnetic Resonance Imaging:MRI)、および触覚イメージング(Tactile Imaging:TI)の圧力/応力センサが挙げられる。体組織反応は、1次元の線、2次元平面、または3次元体積の形態の画像であってよい。体組織反応は、単一の値、パラメトリックマップ、傾斜、動画ファイル、または単一の画像として記録することも可能である。結果を特定組織の正常な画像と比較し、相対値を取得した場合は、イメージングされた組織が異なる剛性値を示す場所を指し示すことができる。絶対値を取得した場合は、絶対値は単に評価のために確認される。
【0018】
反応を観察後、相対硬度を波の速度と一緒に表示できる。傾斜またはヤング率を計算可能である。エラストグラフィ技術はさまざまな原理に基づいている。第1の原理は、所定の印加応力に対して、硬い組織は軟らかい組織ほど変形しない、すなわち、歪まないことである。第2の原理は、機械的な波(具体的には、せん断波)は軟らかい組織よりも硬い組織の中を速く通ることである。波の速度を表示するエラストグラフィシステムもあれば、ヤング率または類似のせん断弾性係数等の剛性を計算する技術もある。
【0019】
診断用厚層断層撮影または超音波診断法としても知られている医用超音波は、音波を使用してソノグラムとしても知られている超音波画像を生成する。超音波画像は、超音波トランスデューサを使用して超音波パルスを組織に送り込むことにより生成される。音波は組織と相互に作用し、異なる組織はさまざまな音波を反射する。エコーは処理され、画像、パラメトリックマップ、および/または値として表示される。
【0020】
医用超音波は、その他の診断方法に優るいくつかの利点を有し、例えば、リアルタイムで画像を提供し、携帯でき、比較的低コストで、電離放射線を使用しない。多くの厚層断層撮影器具は1~18MHzの周波数範囲で動作するが、特別な領域、例えば、眼の前房では最大50~100MHzの周波数が使用されている。
【0021】
周波数の選択は、画像の空間分解能とイメージング深度とのトレードオフとなることがあり、周波数が低いほど分解能は小さくなるが、より深度の深い身体画像を生成する。高周波音波ほど小さな波長を有するため、小さな構造から反射または散乱しうる。高周波音波ほど大きな減弱係数も有するため、より容易に組織に吸収される。筋肉、腱、乳房、副甲状腺等の浅層組織および新生児脳は、より良好な距離分解能および方位分解能を提供する高周波(約7~18MHz)でイメージングされる。肝臓および腎臓等の深度の深い構造は、距離分解能および方位分解能は小さいが高ペネトレーションな低周波(約1~6MHz)でイメージングされる。
【0022】
超音波トランスデューサは、音を交流(Alternating Current:AC)に変換し、またACを音に変換することにより、超音波を電気信号および/または電気信号を超音波に変換する。標的の性質は、音波からのエコーを解釈することによって評価される。アクティブ超音波センサは高周波音波を生成し、センサから受信したエコーを評価する。信号の送信からエコーの受信までの時間間隔を計測して、被検体までの距離を求める。
【0023】
超音波は、トランスデューサの形状、トランスデューサの前側のレンズ、または超音波スキャナからの一連の複雑な制御パルスのいずれかにより集束可能である。集束によって、トランスデューサの表面から円弧状の音波を得る。音波は体内に進み、所望の深度で集束する。トランスデューサ表面の特別な材料によって、音響不整合を低減することにより音は効率的に体内に送信できる。加えて、水性ゲルは患者の皮膚と超音波トランスデューサとの間に置かなければならない。水性ゲルは患者の皮膚と超音波トランスデューサプローブとの間のカップリング剤として作用し、アーチファクトを引き起こす空気を除去する。
【0024】
超音波は、異なる組織間の層から部分的に反射されるか、または小さな構造から散乱される。音は、体内、例えば、血漿中の血液細胞、臓器内の小構造等の音響インピーダンス変化がある場所であればどこでも反射する。反射の一部はトランスデューサに戻る。
【0025】
超音波がトランスデューサに戻ることは、超音波の送信と同じプロセスをもたらすが、ただし逆方向である。戻った超音波はトランスデューサを振動させ、トランスデューサは振動を電気パルスに変える。電気パルスは超音波スキャナへと進み、処理され、デジタル画像に変換される。
【0026】
図1は、一実施形態に係る超音波診断装置100の構成を示す構成図である。超音波診断装置100は、超音波プローブ105、送信部110、受信部120、Bモードプロセッサ125A、Bモードボリュームデータ生成部125B、ドップラープロセッサ130A、ドップラーボリュームデータ生成部130B、3次元画像生成部135、画像再構成プロジェクタ140、およびディスプレイ145を備える。
【0027】
超音波プローブ105は2次元的に配列された複数のトランスデューサを備える。超音波プローブ105は、送信部110から駆動信号を受信し、超音波を患者に送信する。患者に送信される超音波は、体内組織の音響インピーダンス不連続表面から順次反射される。超音波プローブ105は、反射した超音波をエコー信号として受信する。このエコー信号の振幅は、エコー信号を反射する不連続表面の音響インピーダンス差に依存する。送信された超音波が動く血流または心臓壁等の動く患者の表面から反射されるとき、エコー信号は、ドップラー効果のため、超音波送信方向における動く患者の速度成分に応じて周波数偏移を受ける。超音波プローブ105は、3次元スキャンを行うことが可能であれば必ずしも2次元配列型プローブである必要はない。例えば、超音波プローブ105は機械的に揺動可能な1次元配列型プローブであってもよい。
【0028】
送信部110は、超音波プローブ105によって患者のスキャン対象ボリュームの3次元スキャンを繰り返し実行する。この3次元スキャンの結果、送信部110は、スキャンボリュームと関連付けられた複数のスキャンラインを有する複数のエコー信号を出力する。
【0029】
より具体的には、送信部110は、超音波送信のためのプリアンプ111、送信遅延回路112、およびパルス発生部113を備える。パルス発生部113は、所定のレート周波数で各チャネルにレートパルスを繰り返し発生させる。送信遅延回路112は、超音波をビームに集束させ、各チャネルに対する送信指向性を決定するために必要とされる遅延時間を各レートパルスに与える。パルス発生部113は、遅延されたレートパルスそれぞれに基づくタイミングで、駆動パルスを超音波プローブ105に印加する。
【0030】
受信部120は、超音波受信のためのプリアンプ121、受信遅延回路122、および加算回路123を備える。プリアンプ121は、超音波プローブ105からエコー信号を受信し、受信したエコー信号をチャネル毎に増幅する。受信遅延回路122は、信号をビームに集束させ、各チャネルに対する受信指向性を決定するために必要とされる遅延時間を、デジタル信号に変換された各エコー信号に与える。加算回路123は、遅延時間が与えられたそれぞれのエコー信号を加算する。この加算処理によって、エコー信号の受信指向性に対応する方向からの反射成分が増強され、受信指向性および送信指向性に従って超音波ビームを形成する。1つの超音波ビームは、1つの超音波スキャンラインに対応する。各スキャンラインに対するエコー信号はBモードプロセッサ125Aおよびドップラープロセッサ130Aに送られる。
【0031】
Bモードプロセッサ125Aは、受信部120からのエコー信号を対数的に増幅し、対数的に増幅されたエコー信号の包絡線を検出して、エコー信号の強度を表すBモード信号のデータを生成する。生成されたBモード信号のデータは、Bモードボリュームデータ生成部125Bに送られる。
【0032】
Bモードボリュームデータ生成部125Bは、Bモードプロセッサ125AからのBモード信号に基づいて、患者と関連するボリュームデータ(以後、Bモードボリュームデータと呼ばれる)を生成する。より具体的には、Bモードボリュームデータ生成部125Bは、各スキャンラインの位置情報に従ってBモード信号のデータをメモリに3次元的に配置し、スキャンライン間にBモード信号のデータを補間する。この配置処理および補間処理は、複数のボクセルによって構成されるBモードボリュームデータを生成する。各ボクセルは、対応するBモード信号のデータの強度に対応するボクセル値を有する。
【0033】
ドップラープロセッサ130Aは、受信部120からの各エコー信号を周波数分析して、ドップラー効果により血流、組織、および造影剤エコー成分を抽出し、平均速度、分散、色の濃度(power)等の血流情報の強度を表すドップラー信号のデータを生成する。生成されたドップラー信号のデータは、ドップラーボリュームデータ生成部130Bに送られる。
【0034】
ドップラーボリュームデータ生成部130Bは、ドップラープロセッサ130Aからの各ドップラー信号に基づいて、患者と関連するボリュームデータ(以後、ドップラーボリュームデータと呼ばれる)を生成する。より具体的には、ドップラーボリュームデータ生成部130Bは、各スキャンラインの位置情報に従ってドップラー信号のデータをメモリに3次元的に配置し、スキャンライン間にドップラー信号のデータを補間する。この配置処理および補間処理は、複数のボクセルによって構成されるドップラーボリュームデータを生成する。各ボクセルは、対応するドップラー信号のデータの強度に対応するボクセル値を有する。
【0035】
3次元画像生成部135は、Bモードボリュームデータに対する3次元画像処理を行うことにより2次元Bモード画像のデータを生成する。3次元画像生成部135はさらに、ドップラーボリュームデータに対する3次元画像処理を行うことにより2次元ドップラー画像のデータを生成する。3次元画像再構成プロジェクタ140の処理としては、多断面再構成(Multi-Planar Reconstruction:MPR)処理、曲面多断面再構成(Curved-Planar Reconstruction:CPR)処理、ボリュームレンダリング、表面レンダリング、および最大値投影法(Maximum Intensity Projection:MIP)が挙げられる。生成されたBモード画像データおよびドップラー画像データはディスプレイ145に送られる。
【0036】
ディスプレイ145は、3次元画像再構成プロジェクタ140からのBモード画像を表示する。ディスプレイ145はさらに、3次元画像再構成プロジェクタ140からのドップラー画像を表示する。ディスプレイ145は、ドップラー画像をBモード画像に重ね合わせながらBモード画像およびドップラー画像を表示できる。ディスプレイ145は、必要に応じて、CRT(Cathode-Ray Tube)ディスプレイ、液晶ディスプレイ、有機エレクトロルミネセンスディスプレイ、プラズマディスプレイ等のディスプレイ装置を挙げることができる。
【0037】
超音波診断装置100はメモリ150をさらに備える。メモリ150は、Bモードボリュームデータ生成部125BからのBモードボリュームデータおよびドップラーボリュームデータ生成部130Bからのドップラーボリュームデータを格納する。メモリ150のデータ内容としては、装置制御プログラム、画像データ、到着時間-色対応表、分析プログラム、および計測プログラムが挙げられるが、これらに限定されない。
【0038】
超音波診断装置100は中央演算処理装置(Central Processing Unit:CPU)(処理回路機構)等のプロセッサ155をさらに備える。プロセッサ155は、超音波診断装置100のそれぞれの構成を制御する。
図3~
図5を参照してプロセッサ155を本明細書で詳細に説明する。
【0039】
図1は、入力165を受信するインタフェース160を示す。
図1はさらに、イントラネットまたはインターネット等の外部ネットワーク等のネットワーク170を示す。インタフェース160は、本体装置100aと画像処理装置100bとの間の通信および操作のための操作パネル、外部記憶装置、およびネットワークインタフェースを有して構成されうる。
【0040】
表1は、肝臓等の関心領域のせん断波評価から取得されうる結果(Shear Wave Results)を示す。複数回の読取りが行われ、結果は、平均(Mean)、中央値(Median)、標準偏差(Standard deviation:SD)、四分位数間領域(InterQuartile Range:IQR)、およびIQR/中央値について計算されたものである。
【0041】
【0042】
表1に示す結果において、製造業者によっては、質指数(IQR/中央値)が0.30超である場合、さらなる計測値の取得を推奨する場合がある。例えば、さらなる10個の計測値を取得できる。しかし、収集中の計測値の信頼性の欠如に関するフィードバックはない。経験の浅い使用者では、フィードバックの欠如は好ましくない結果につながりうる。
【0043】
本明細書に記載される実施形態は、取得計測値それぞれにおける疑わしいデータおよび/または範囲外の結果を強調する。いかなる範囲外の総合統計的計測値も強調される。加えて、計測値収集の間にとるべき後の行動の手助けをするためにガイダンス命令を提供する。
【0044】
図2A、
図2B、および
図2Cは、診断イメージング手順の間にガイダンスおよび強調を提供する方法200のフローチャートを示す。
図2A、
図2B、および
図2Cは、1つのフローチャートを示すものであり、まとめて一緒に見るものとする。これらの図の異なるページへの、また異なるページからのフローチャートの経路を示すために、矢印が示される。
【0045】
方法200は、ステップS205において、診断イメージング手順等の患者の診断プロセス開始から始める。しかしながら、その他の診断手順が本明細書に記載される実施形態により考慮される。
【0046】
ステップS210において、特定の解剖学的構造または計測タイプを選択する。例えば、患者の肝臓または体のその他の関心領域のイメージングを選択する。診断装置の使用者または操作者は、患者のどの解剖学的領域を調べるか、および使用する特定の計測プロトコルを決定する。別の例において、診断装置の処理回路機構は、パラメトリック画像の統計分析に基づいて関心領域を選択できる。計測プロトコルは、どのメトリクスおよび閾値を適用すべきかに関して、従う規則またはガイダンスを決定する。言い換えると、設定部としてのプロセッサ155は、関心領域を設定する。
【0047】
ステップS220において、参照データを関連データベースから選択する。一例において、びまん性肝疾患の参照データおよび関連メッセージを選択する。別の例において、肝腫瘍の参照データおよび関連メッセージを選択する。選択された参照データに対する計測回数も与えられる。計測回数とは、イメージングエンカウンタ(encounter)の間に画像から取得した、許容される関心領域計測の回数である。一実施形態において、計測回数は、前の画像の選択済み参照データから選択された解剖学的関心領域の統計分析に基づく。言い換えると、第2決定部としてのプロセッサ155は、設定された関心領域に応じて、計測値の収集が行われる回数を表す計測回数を決定する。
【0048】
ステップS225において、参照データをロードし、選択済み参照データの計測回数をリセットする。一例において、肝腫瘍の参照データをロードし、肝腫瘍の計測回数をリセットする。さらに1つまたは複数の肝腫瘍関連のメッセージもロードし、使用者が許容可能な計測回数に達したかどうか、またいつ達したかを判断するのを手助けする。第2の例において、びまん性肝疾患の参照データをロードし、びまん性肝疾患の計測回数をリセットする。さらに1つまたは複数のびまん性肝疾患関連のメッセージもロードし、使用者が許容可能な計測回数に達したかどうか、またいつ達したかを判断するのを手助けする。
【0049】
ステップS230において、選択済み参照データに対するデータ収集および計測配置を実施する。計測値収集は、患者の選択された解剖学的関心領域の取得済み超音波画像データに対して行われ、最適化された質に関する公開統計メトリクスに基づいて少なくとも1つの計測結果を生成する。言い換えると、第1算出部としてのプロセッサ155は、超音波走査によって収集された関心領域に含まれる各位置の計測値に基づいて、計測結果を算出する。具体例を挙げると、第1算出部としてのプロセッサ155は、プッシュパルスにより生じたせん断波が関心領域に含まれる各位置に伝わる速度を表すせん断速度を、計測値として算出する。なお、関心領域の位置は、計測値の収集毎に異なっても良い。また、計測値は、せん断速度に限定されるものではない。例えば、シアウェーブ・エラストグラフィが行われる場合には、計測値は、せん断速度に基づいて算出される硬さを表す指標値であっても良い。また、せん断速度の解析により粘性が評価可能な場合には、計測値は、粘性を表す指標値であっても良い。また、計測結果は、例えば、中央値、最大値、最小値などに対応する。
【0050】
肝腫瘍診断プロトコルまたはびまん性肝疾患診断プロトコル等の選択されたタイプの診断手順に従ってデータ計測値を収集する。収集したデータ計測値を、後の分析およびリアルタイムフィードバックのために計算装置のプロセッサを介して表に入力する。
図3を参照して、プロセッサおよび計算装置がより詳細に説明される。表は、表2を参照して本明細書でさらに説明される。
【0051】
単なる例示目的のために、肝腫瘍およびびまん性肝疾患の2つのデータセットの例が与えられる。しかしながら、複数のその他の選択肢およびそれらに関連するデータベースが本明細書に記載される実施形態により考慮される。
【0052】
データ収集および計測配置をステップS230で完了した後、プロセスは
図2BのステップS240に進み、個々の計測メトリクスが予め確立された範囲内であるかどうかを判断する。関連するデータ収集および参照データの範囲は使用者に表示可能である。言い換えると、第2算出部としてのプロセッサ155は、関心領域に含まれる各位置の計測値に基づいて、計測結果の信頼性に関する計測メトリクスを算出する。なお、計測メトリクスは、例えば、分散など、バラツキを評価可能な統計値であれば任意の統計値が適用可能である。そして、第1判定部としてのプロセッサ155は、計測メトリクスが第1所定範囲内であるか否かを判定する。
【0053】
本明細書における実施形態は、選択された解剖学的関心領域に適用されるメッセージガイダンスシステムについて記載している。解剖学的関心領域は使用者もしくは操作者によって、または超音波診断装置等の装置の処理回路機構によって選択できる。ガイダンスシステムは、選択された解剖学的関心領域のパラメトリック画像の統計分析に基づく。
【0054】
ステップS291において、個々の計測メトリクスが範囲内でなければ(ステップS240No)、メッセージM291が表示され、範囲外の値を強調する。例示的なメッセージM291は
図2Cに示されており、「計測値の[実際の値]は統計的に信頼できない結果を示しています。」というものである。しかしながら、範囲外のまたは信頼できない結果を示唆するその他のメッセージを表示してもよい。言い換えると、表示制御部としてのプロセッサ155は、計測メトリクスが第1所定範囲内ではないと判定された場合に、計測結果が統計的に信頼できない結果を示すメッセージを、ガイダンスとして表示させる。
【0055】
個々の計測メトリクスが範囲内であれば(ステップS240Yes)、ステップS245で個々の計測値を許容するかどうかを判断する。個々の計測値を許容しない場合(ステップS245No)、プロセスはデータ収集および計測配置のステップS230に戻る。
【0056】
個々の計測値が許容可能であれば(ステップS245Yes)、プロセスはステップS250に進み、最低回数の計測が行われたかどうかを判断する。計測回数の計数は使用者に表示できる。言い換えると、第2判定部としてのプロセッサ155は、計測値の収集が、第1所定回数以上行われたか否かを判定する。
【0057】
最低回数の計測が行われていなければ(ステップS250No)、メッセージM292がステップS292で表示される。例示的なメッセージM292は
図2Cに示されており、「計測値収集を継続してください。」というものである。最低回数の計測が行われていなければ、第1のタイプの失敗状態が生じる。計測の最低回数は、ステップS210において選択された解剖学的構造または計測タイプによって決定される。計測の最低回数は、選択された解剖学的構造または計測タイプに関して確かな統計ベースに達する回数である。その他のメッセージを表示して、計測を継続すべきであることを示すことができる。その後、プロセスはデータ収集および計測配置のステップS230に戻る。言い換えると、表示制御部としてのプロセッサ155は、第1所定回数以上行われていないと判定された場合に、計測値の収集を継続することを示すメッセージを、第2ガイダンスとして表示させる。
【0058】
最低回数の計測が行われていれば(ステップS250Yes)、プロセスはステップS255に進み、複合的計測メトリクスが所定範囲内であるかどうかを判断する。複合的計測メトリクスは、個々の計測メトリクスとは対照的に計測値の完全なセットの質の尺度を含む。範囲は使用者に表示できる。言い換えると、第3判定部としてのプロセッサ155は、計測メトリクスとして、計測値の複数回の収集に基づく複合的な計測メトリクスが算出される場合に、複合的な計測メトリクスが第2所定範囲内であるか否かを判定する。そして、後述するように、表示制御部としてのプロセッサ155は、複合的な計測メトリクスに基づいて決定されたガイダンスを表示させる。
【0059】
複合的な計測メトリクスが範囲内でなければ(ステップS255No)、メッセージM293がステップS293で表示される。例示的なメッセージM293は
図2Cに示されており、「計測値の[実際の値]は統計的に信頼できない結果を示しています。[実際に強調されている値]の強調されている個々の計測値の拒否を考慮し、かつ/または強調されている計測を繰り返して置き換えてください。」というものである。加えて、範囲外の個々の計測値および範囲外の統計的計測値を使用者に表示できる。しかし、その他のメッセージを表示して、強調されている許容不可能な値および後にとるべき行動を示すことができる。計測メトリクスを個々の計測値および複合的計測値に適用して、質を評価する。最低回数の収集が関連する適切な質のレベルで行われていれば、中止メッセージが表示される。言い換えると、表示制御部としてのプロセッサ155は、複合的な計測メトリクスが第2所定範囲内ではないと判定された場合に、範囲外となる個々の計測値及び計測結果のうち少なくとも一方を表示させる。また、表示制御部としてのプロセッサ155は、複合的な計測メトリクスが第2所定範囲内ではないと判定された場合に、複合的な計測メトリクスが統計的に信頼できないことを示すメッセージを、ガイダンスとして表示させる。
【0060】
複合的計測メトリクスが範囲内であれば(ステップS255Yes)、メッセージM294がステップS294で表示される。例示的なメッセージM294は
図2Cに示されており、「複合的計測値の[実際の値]は統計的に信頼できる結果を示しています。計測要件は満たされています。収集を中止してください。」というものである。しかしながら、許容可能な結果に到達し、さらなる計測値を収集する必要がないことを示すその他のメッセージを表示してもよい。言い換えると、表示制御部としてのプロセッサ155は、複合的な計測メトリクスが第2所定範囲内であると判定された場合に、計測値の収集を中止可能であることを示すメッセージを、ガイダンスとして表示させる。
【0061】
メッセージM294を表示した後、ステップS270において計測値収集が完了する。
【0062】
ステップS260において、ステップS255で複合的計測メトリクスが範囲内ではなく、メッセージM293が表示された場合、最大回数の統計的に信頼できる計測が行われたかどうかを判断する。最大回数の統計学的に信頼できる計測を使用者に表示できる。計測値群がメトリクス分析に基づいて統計学的に信頼できないとみなされる場合、使用者は計測値収集プロセスを継続するようにというメッセージを受信する。使用者が計測の最大回数に達し、複合的計測メトリクスが統計学的に信頼できないとみなされる場合、使用者は中止メッセージを受信することになる。言い換えると、第4判定部としてのプロセッサ155は、複合的な計測メトリクスが第2所定範囲内ではないと判定された場合に、計測値の収集が、第2所定回数行われたか否かを判定する。
【0063】
最大回数の計測が行われていなければ(ステップS260No)、プロセスを進め、計測値収集を継続するようにというメッセージM292を表示する。
【0064】
最大回数の計測が行われていれば(ステップS260Yes)、メッセージM295がステップS295で表示される。例示的なメッセージM295は
図2Cに示されており、「複合的計測値の[実際の値]は統計的に信頼できない結果を示しています。計測要件は満たされていません。」というものである。しかしながら、許容可能な結果が得られていないことを示すその他のメッセージを表示してもよい。言い換えると、表示制御部としてのプロセッサ155は、第2所定回数行われたと判定された場合に、複合的な計測メトリクスが統計的に信頼できないことを示すメッセージを、ガイダンスとして表示させる。
【0065】
メッセージM295を表示した後、ステップS265において、どの行動をとるべきか決定する。第2の失敗状態が生じるとプロセスはステップS265に到達する。第2の失敗状態は、ステップS250において最低回数の計測が行われたが、ステップS255において取得した計測値の一部またはすべてが統計的に許容可能な範囲内ではなく、加えて、最大回数の計測が行われている(これはステップS260で判断される)、一連のステップにより決定される。最大回数の計測は、選択された解剖学的構造または計測タイプに対して、例えば、適切な数の許容可能な計測値または統計的に許容可能なセットの計測値を得るために必要とされる計測回数であると考えられる。ステップS260で最大回数の計測に達すると、使用者には、使用者が計測を中止し、別の手順をとるべきであると示すメッセージ(例えば、メッセージM295)が与えられる。
【0066】
ステップS265は、「異なるウィンドウから収集を再開する」、「別の計測タイプを選択する」、または「中止する」を含む3つの行動の選択肢を示す。プロセスがステップS265に達したときに、計測値群の質は十分でなく、選択された計測プロトコルに従う最大回数の試行に達している。異なるウィンドウから再度試みると決定した場合、プロセスはデータ収集および計測配置のステップS230に戻る。別のタイプの計測値収集を試みると決定した場合、プロセスはステップS210に戻り、特定の解剖学的構造または計測タイプを選択する。中止すると決定した場合、プロセスはステップS270で終了する。代替的実施形態において、ステップS265は単に計測値収集を継続することでありうる。言い換えると、第1決定部としてのプロセッサ155は、第2所定回数行われたと判定された場合に、計測値の収集を再度実行する、関心領域を再度設定するか、又は、計測値の収集を中止するかを決定する。
【0067】
すなわち、
図2A~
図2Cに示したように、表示制御部としてのプロセッサ155は、計測結果を表示させるとともに、計測メトリクスに基づいて決定されたガイダンスを表示させる。
【0068】
表2は、本明細書に記載される実施形態による結果(Shear Wave Results)を示し、せん断波の関心領域(Region Of Interest:ROI)の標準偏差(Standard Deviation:SD)のより有意性のある情報を提供する。表2は、同じウィンドウからの1セットまたは1群の10の個々のROIについての計測値を表示する。「生データ(Raw)」の値は計測値すべてを含む。「最終データ(Final)」の値は、使用者が許容可能でないものとして選択した値を除外している。つまり、最終データの値は、許容(Accept)が「Yes」である回に収集された計測値を用いて算出される。
【0069】
【0070】
つまり、表2は、設定されたROIについて、計測値の収集が10回実行された場合の結果を表す。表2には、1回目~10回目までのそれぞれについて、せん断速度(Shear Wave Speed)と標準偏差(ROI SD)とが算出される。また、表2には、1回目~10回目までのそれぞれについて、許容(Accept)されるか(Yes)否か(No)が判定されている。許容されるか否かについては、閾値との比較により自動的に判定されても良いし、操作者の判断で入力されても良い。
【0071】
また、表2において、生データ(Raw)は、1回目~10回目までの計測結果(剪断速度)及び計測メトリクス(標準偏差)の統計値である。なお、生データ(Raw)は、例えば、5回目までの計測値が収集された時点では、5回目までの計測結果及び計測メトリクスを用いて算出されてもよい。また、生データ(Raw)は、ROI内に含まれる各位置の計測値(各ピクセルにおける剪断速度)に基づいて算出されても良い。
【0072】
表2に示す結果では、生データの計測値の標準偏差は統計的に信頼できない結果を示唆する。ROI SDが低い個々の計測値または統計的外れ値は拒否してもよく、許容不可能な計測値を置き換えるために計測を繰り返すことができる。最終調整結果において、標準偏差は統計学的に信頼できる結果を示し、計測値に対して信頼性が与えられる。
【0073】
言い換えると、判定部としてのプロセッサ155は、複合的な計測メトリクスに基づいて、計測結果の信頼性を判定してもよい。例えば、プロセッサ155は、生データの標準偏差(SD)が閾値未満である場合には、計測結果の信頼性が高いと判定する。この場合、プロセッサ155は、上述したガイダンスの表示やROI SDの算出を、必ずしも実行しなくてもよい。
【0074】
また、言い換えると、判定部としてのプロセッサ155は、計測値の収集が複数回実行される場合に、各回の計測メトリクスに基づいて、各回の計測結果が許容可能か否かを判定する。そして、第3算出部としてのプロセッサ155は、許容可能と判定された回の計測値に基づいて、統計的代表値(Final)を算出する。この場合、プロセッサ155は、上述したガイダンスの表示や生データ(Raw)の算出を、必ずしも実行しなくてもよい。
【0075】
また、計測結果が許容可能か否かを判定するための閾値を設定(変更)可能な構成であってもよい。例えば、超音波診断装置100は、計測結果が許容可能か否かを判定するための閾値を設定するための操作を操作者から受け付ける操作部を更に備える。例えば、操作部としてのプロセッサ155は、インタフェース160を介して閾値を設定(若しくは変更)するための操作を操作者から受け付ける。そして、判定部としてのプロセッサ155は、操作部が受け付けた操作によって設定された閾値に基づいて、各回の前記計測結果が許容可能か否かを判定する。なお、この場合、閾値としては、単一の閾値が設定されても良いし、許容可能な範囲を示す上限の閾値と下限の閾値とが設定されてもよい。
【0076】
次に、プロセッサ155等の計算装置300のハードウェア記述は、
図3を参照しながら例示的実施形態に従って説明される。
【0077】
図3において、計算装置300は上記および以下で説明されるプロセスを実行するCPU301を備える。プロセスのデータおよび命令はメモリ302に格納可能である。これらのプロセスおよび命令はまた、ハードドライブ(Hard Drive:HDD)または携帯型記憶媒体等の記憶媒体ディスク304に格納でき、または遠隔で格納できる。さらに、特許請求される特徴は、プロセスの命令が格納されるコンピュータ可読媒体の形態によって限定されるものではない。例えば、命令は、CD(Compact Disk)、DVD(Digital Versatile Disc)、FLASHメモリ、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、PROM(Programmable Read Only Memory)、EPROM(Erasable Programmable Read Only Memory)、EEPROM(Electrically Erasable Programmable Read Only Memory)、ハードディスク、またはサーバもしくはコンピュータ等の計算装置300と通信する任意の他の情報処理装置に格納可能である。
【0078】
さらに、特許請求される特徴は、ユーティリティアプリケーション、バックグラウンドデーモン、またはオペレーティングシステムのコンポーネント、またはこれらの組み合わせとして提供することができ、CPU301ならびにMicrosoft Windows 7、UNIX(登録商標)、Solaris、LINUX、Apple MAC-OS、および当業者に公知の他のシステム等のオペレーティングシステムと連動して実行する。
【0079】
計算装置300を実現するためのハードウェア素子は、当業者に公知のさまざまな回路機構素子(処理回路機構)によって実現されうる。例えば、CPU301は米国のIntel社製のXenonもしくはCoreプロセッサまたは米国のAMD社製のOpteronプロセッサであってもよく、または当業者に認識されるであろう他の種類のプロセッサであってもよい。あるいは、当業者が認識するように、CPU301はフィールドプログラマブルゲートアレイ(Field Programmable Gate Array:FPGA)、特定用途向け集積回路(Application Specific Integrated Circuit:ASIC)、プログラマブル論理デバイス(Programmable Logic Device:PLD)に、または離散論理回路を用いて実装されうる。さらに、CPU301は、上記および下記の本発明のプロセスの命令を並行して実行するように協働して動作する複数のプロセッサとして実装されうる。
【0080】
図3の計算装置300はまた、ネットワーク333と連動する、米国のIntel社製のIntel Ethernet PROネットワークインタフェースカード等のネットワークコントローラ306を備える。認識できるように、ネットワーク333は、インターネット等の公共ネットワーク、またはローカルエリアネットワーク(Local Area Network:LAN)もしくはワイドエリアネットワーク(Wide Area Network:WAN)等のプライベートネットワーク、またはこれらの任意の組み合わせであることができ、また公衆交換電話網(Public Switched Telephone Network:PSTN)または総合サービスデジタル網(Integrated Services Digital Network:ISDN)サブネットワークを含むこともできる。ネットワーク333はまた、Ethernetネットワークのように有線であることができ、またはEDGE(Enhanced Data rates for Global Evolution)、3G、および4G無線セルラシステムを含むセルラネットワークのように無線であることができる。無線ネットワークは、WiFi、Bluetooth(登録商標)、または任意の他の公知の無線通信形態であることもできる。
【0081】
計算装置300はさらに、Hewlett Packard社製のHPL2445w LCDモニタ等のディスプレイ310と連動する、米国のNVIDIA製社によるNVIDIA GeForce GTXまたはQuadroグラフィックアダプタ等のディスプレイコントローラ308を備える。汎用I/Oインタフェース312は、キーボードおよび/またはマウス314と連動し、さらにディスプレイ310の、またはディスプレイ310とは別個のタッチスクリーンパネル316とも連動する。タッチスクリーンパネル316は、
図2のタッチパネル230と関連して上述される特徴を含む。汎用I/Oインタフェース312はまた、Hewlett Packard社製OFFICEJETまたはDESKJET等のプリンタおよびスキャナを含む種々の周辺機器318に接続する。
【0082】
Creative社製SOUNDBLASTER X-FI TITANIUM等の音声コントローラ320がさらに計算装置300に設けられて、スピーカ/マイクロホン322と連動し、これにより音声および/または音楽を提供および/または受信する。
【0083】
汎用ストレージコントローラ324は、計算装置300のすべてのコンポーネントを相互接続するために記憶媒体ディスク304を、ISA(Industry Standard Architecture)、EISA(Extended Industry Standard Architecture)、VESA(Video Electronics Standards Association)、PCI(Peripheral Component Interconnect)等であってよい通信バス326と接続させる。ディスプレイ310、キーボードおよび/またはマウス314、ならびにディスプレイコントローラ308、ストレージコントローラ324、ネットワークコントローラ306、音声コントローラ320、ならびに汎用I/Oインタフェース312の一般的な特徴および機能の説明は、これらの特徴が公知であるため、簡潔さを期して本明細書では省略する。
【0084】
本開示との関連で記載される例示的な回路素子は、他の素子と置き換えることができ、また本明細書に提供される例とは異なるように構成されうる。さらに、本明細書に記載される特徴を実行するように構成された回路機構は、複数の回路ユニット(例えば、チップ)に実装でき、または特徴は、
図4に示すように単一のチップセットの回路機構と組み合わせることができる。
図4のチップセットは、それぞれ
図2および
図3に関連して上述される電子デバイス200または計算装置300のいずれかと連動して実装されうる。
【0085】
図4は、上述のように、メニューナビゲーションを実行するための特定の実施形態に係るデータ処理システムの概略図である。データ処理システムは、例示的実施形態のプロセスを実施するコードまたは命令が存在可能なコンピュータの一例である。
【0086】
図4において、データ処理システム400は、ノースブリッジおよびメモリ制御アプリケーション(NB/MCH)425ならびにサウスブリッジおよび入力/出力(I/O)制御アプリケーション(SB/ICH)420を含むアプリケーションアーキテクチャを利用する。CPU430はNB/MCH425に接続される。NB/MCH425はさらに、メモリバスを介してメモリ445に接続され、アクセラレーテッドグラフィックスポート(Accelerated Graphics Port:AGP)を介してグラフィックプロセッサ450に接続される。NB/MCH425はさらに、内部バス(例えば、ユニファイドメディアインタフェースまたはダイレクトメディアインタフェース)を介して、SB/ICH420にも接続される。CPU430は、1つまたは複数のプロセッサコントローラを含むことができ、1つまたは複数の異種プロセッサシステムを使用して実装されうる。
【0087】
例えば、
図5は、CPU430の一実施態様を示す。一実施態様において、命令レジスタ538は高速メモリ540から命令を読み出す。これら命令の少なくとも一部は命令レジスタ538から制御論理536によって取り出され、CPU430の命令セットアーキテクチャに従って解釈される。命令の一部もまたレジスタに向けられうる。一実施態様において、命令はハードワイヤード方法に従って復号され、別の実施態様において、命令は、命令を複数のクロックパルスに順次適用されるCPU構成信号のセットに変換するマイクロプログラムに従って復号される。命令を取り出して復号した後、命令は、レジスタ532から値をロードし、命令に従ってロードされた値に対して論理演算および数学演算を実行する算術論理ユニット(Arithmetic Logic Unit:ALU)534を使用して実行される。これらの演算からの結果は、レジスタ532へとフィードバックされ、かつ/または高速メモリ540に格納されうる。特定の実施態様によると、CPU430の命令セットアーキテクチャは、縮小命令セットアーキテクチャ、複合命令セットアーキテクチャ、ベクトルプロセッサアーキテクチャ、または超長命令語アーキテクチャを使用できる。さらに、CPU430は、フォンノイマンモデルまたはハーバードモデルに基づいてもよい。CPU430は、デジタル信号プロセッサ、FPGA、ASIC、プログラマブル論理アレイ(Programmable Logic Array:PLA)、PLD、またはCPLD(Complex Programmable Logic Device)であってもよい。さらに、CPU430はIntel社製もしくはAMD社製のx86プロセッサ、ARMプロセッサ、例えばIBM社製のPOWERアーキテクチャプロセッサ、Sun Microsystems社製もしくはOracle社製のSPARC(Scalable Processor Architecture)アーキテクチャプロセッサ、またはその他の公知のCPUアーキテクチャであってもよい。
【0088】
図4を再度参照すると、データ処理システム400は、システムバスを通してI/Oバス、ROM456、ユニバーサルシリアルバス(Universal Serial Bus:USB)ポート464、フラッシュバイナリ入力/出力システム(Binary Input/Output System:BIOS)468、およびグラフィックスコントローラ458に接続されているSB/ICH420を備えることができる。PCI(Peripheral Component Interconnect)/PCIe(Peripheral Component Interconnect express)デバイスもまたPCIバス462を通してSB/ICH420に接続できる。
【0089】
PCIデバイスとしては、例えば、Ethernetアダプタ、アドインカード、およびノートパソコン用のPCカードを挙げることができる。HDD460およびCD-ROM466は、例えば、統合ドライブエレクトロニクス(Integrated Drive Electronics:IDE)またはシリアルアドバンスドテクノロジーアタッチメント(Serial Advanced Technology Attachment:SATA)を使用できる。一実施態様において、I/OバスとしてはスーパーI/O(Super I/O:SIO)デバイスを挙げることができる。
【0090】
さらに、HDD460および光学ドライブ466はさらに、システムバスを通してSB/ICH420に接続できる。一実施態様において、キーボード470、マウス472、パラレルポート478、およびシリアルポート476はI/Oバスを通してシステムバスに接続可能である。その他の周辺機器およびデバイスは、SATAまたはPATA(Parallel Advanced Technology Attachment)、Ethernetポート、ISA(Industry Standard Architecture)バス、LPC(Low Pin Count)ブリッジ、SMバス(System Management Bus)、DMA(Direct Memory Access)コントローラ、および音声コーデック等の大容量記憶装置コントローラを使用してSB/ICH420に接続可能である。
【0091】
さらに、本開示は本明細書で記載された特定の回路素子に限定されず、また本開示はこれら素子の特定のサイズおよび種別に限定されるものでもない。例えば、当業者は、本明細書で記載された回路機構が電池のサイズおよび化学的構造の変化に基づいて、または電源を供給する意図されるバックアップ負荷の要件に基づいて適合されることを理解するであろう。
【0092】
本明細書に記載される機能および特徴はまた、システムのさまざまな分散コンポーネントによって実行されてもよい。例えば、1つまたは複数のプロセッサは、これらのシステムの機能を実行でき、当該プロセッサはネットワーク内で通信する複数のコンポーネントに分散されている。分散コンポーネントは、さまざまなヒューマンインタフェースおよび通信装置(例えば、ディスプレイモニタ、スマートフォン、タブレット、携帯情報端末(Personal Digital Assistant:PDA))に加えて、クラウドコンピューティングシステム等の、処理を共有可能な1つまたは複数のクライアントおよびサーバマシンを含むことができる。ネットワークは、LANもしくはWAN等のプライベートネットワークであってよく、またはインターネット等の公共ネットワークであってよい。システムへの入力は、直接使用者入力を通して受信し、またリアルタイムでまたはバッチプロセスとして遠隔で受信できる。加えて、いくつかの実施態様は、上述のものと同一ではないモジュールまたはハードウェアで実行可能である。したがって、その他の実施態様は特許請求可能な範囲内である。
【0093】
本明細書に記載される機能および特徴はまた、システムのさまざまな分散コンポーネントによって実行されてもよい。例えば、処理機能の分散実行はグリッドコンピューティングまたはクラウドコンピューティングを用いて実現可能である。遠隔の分散コンピューティングの多くの様式は、サービスとしてのソフトウェア、サービスとしてのプラットフォーム、サービスとしてのデータ、およびサービスとしてのインフラストラクチャを含め、クラウドコンピューティング下にあるものを意味しうる。クラウドコンピューティングとは、一般に、集中処理位置で実行され、個々の端末を通して集中処理位置と対話する複数の使用者にアクセス可能な処理を意味する。
【0094】
本明細書に記載される実施形態は、診断計測値の収集の間に未熟な使用者にガイダンスおよび命令を提供する。使用者は信頼できる診断結果を決定するために長年にわたる経験を必要としうる。加えて、数人の経験豊かな使用者が、複数の解剖学的領域および疾患に対する信頼できる診断結果を決定するために必要とされるであろう。例えば、第1の経験豊かな使用者は、肝腫瘍診断における彼/彼女の幅広い経験の結果、信頼できる肝腫瘍診断結果を見分けることができる。第2の経験豊かな使用者は、肝線維化診断における彼/彼女の幅広い経験の結果、信頼できる肝線維化診断結果を見分けることができる。種々の医学的専門分野のその他経験豊かな使用者が、各種解剖学的領域および/または疾患に対する信頼できる診断結果を決定するために必要とされるであろう。
【0095】
しかしながら、本明細書に記載される実施形態は、比較的経験の浅い使用者のために複数の解剖学的領域および/または疾患の信頼できる診断結果を決定する。使用者は単に、診断装置の操作方法と、リアルタイム計測値収集ガイダンスシステムとの対話方法とを知っていればよい。その結果、比較的経験の浅い使用者が、複数のさまざまな医療分野にわたる複数人の経験豊かな使用者によって決定された結果と同等の信頼できる診断結果を決定できる。1人の経験の浅い使用者が、複数人の経験豊かな使用者を組み合わせたのとほぼ同一の信頼できる診断結果を決定可能である。
【0096】
前述の考察は、本開示の単なる例示的実施形態を開示し、説明する。当業者が理解するように、本開示は、その趣旨または必須の特徴を逸脱することなく他の具体的な形態で実施されてもよい。したがって、本開示は、特許請求の範囲を含む本開示の範囲を限定するのではなく、例示的であることが意図される。本明細書における教示のいかなる容易に認識可能な変形物も含む本開示は、どの発明の主題も公開専用とならないように、前述の特許請求の範囲の用語の範囲を部分的に定義する。
【符号の説明】
【0097】
100 超音波診断装置
155 プロセッサ