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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-11
(45)【発行日】2022-03-22
(54)【発明の名称】生体刺激用信号波生成装置
(51)【国際特許分類】
   A61N 2/04 20060101AFI20220314BHJP
【FI】
A61N2/04
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2017123142
(22)【出願日】2017-06-23
(65)【公開番号】P2019005142
(43)【公開日】2019-01-17
【審査請求日】2020-05-18
(73)【特許権者】
【識別番号】000135036
【氏名又は名称】ニプロ株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】592059448
【氏名又は名称】原田電子工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001542
【氏名又は名称】特許業務法人銀座マロニエ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】石川 敏三
(72)【発明者】
【氏名】富永 成典
(72)【発明者】
【氏名】佐野 嘉彦
(72)【発明者】
【氏名】原田 証英
【審査官】安田 昌司
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-144546(JP,A)
【文献】特開2004-229701(JP,A)
【文献】特開2006-304020(JP,A)
【文献】特開2014-113362(JP,A)
【文献】特開平10-125111(JP,A)
【文献】特開平11-249673(JP,A)
【文献】米国特許第04875484(US,A)
【文献】国際公開第2008/109058(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61N 2/00- 2/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
部信号が入力される信号入力部と、
前記信号入力部で取得した外部信号に含まれる周波数要素、エンベロープ要素および振幅要素の少なくとも1つで変調されたかつ/または前記外部信号の出力タイミングに同期した第1の生体刺激用信号波を生成し出力する出力波形生成部と、を備え、
前記出力波形生成部は、前記外部信号に含まれる前記周波数要素、前記エンベロープ要素および前記振幅要素の少なくとも1つで周波数変調された前記第1の生体刺激用信号波
と前記外部信号に基づく第2の生体刺激用信号波を生成するよう構成され、
前記第1の生体刺激用信号波を供給されて高周波交番磁界を発生する少なくとも1つの第1のコイルと前記第2の生体刺激用信号波を供給されて低周波交番磁界を発生する少なくとも1つの第2のコイルとを備え
前記第1のコイルと前記第2のコイルは、コイル軸線方向にみて互いにオーバーラップするように配置され、
前記高周波交番磁界の波形に、前記低周波交番磁界の波形に関連した特性を持たせていることを特徴とする生体刺激用信号波生成装置。
【請求項2】
前記出力波形生成部は、前記外部信号に含まれる前記エンベロープ要素または前記振幅要素で振幅変調された前記第1の生体刺激用信号波を生成するよう構成されていることを特徴とする、請求項1に記載の生体刺激用信号波生成装置。
【請求項3】
前記第2のコイルは、前記第2の生体刺激用信号波として低周波信号波が供給された際に、感覚神経を伝達し、脊髄後角を経て脳へと到達する刺激をもたらす低周波交番磁界を発生することを特徴とする、請求項1又は2に記載の生体刺激用信号波生成装置。
【請求項4】
前記外部信号を音響、映像および/または振動として出力する体感出力部を備えることを特徴とする、請求項1からまでのいずれか一項に記載の生体刺激用信号波生成装置。
【請求項5】
前記外部信号は可聴周波数帯域の音信号であることを特徴とする、請求項1からまでのいずれか一項に記載の生体刺激用信号波生成装置。
【請求項6】
前記信号入力部で取得した外部信号および/または、前記信号入力部で取得した外部信号に含まれる周波数要素、エンベロープ要素および振幅要素を記憶する記憶部を備えていることを特徴とする、請求項1からまでのいずれか一項に記載の生体刺激用信号波生成装置。
【請求項7】
前記高周波交番磁界は30~300MHz帯の交番磁界であり、
前記低周波交番磁界は1~3kHz帯の交番磁界であることを特徴とする、請求項1から6までのいずれか一項に記載の生体刺激用信号波生成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、生体刺激用信号波を生成し出力する生体刺激用信号波生成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
生体が外界より受ける刺激には、光、音、振動、温度等がある。また、これらの刺激の中にも多くのパターンがあり、不快に感じさせるものや、気持ちよく感じさせるもの、癒しを感じさせるものなど様々である。
【0003】
しかしながら、川のせせらぎ、木漏れ日、モーツァルトの曲などから感じられる音、光あるいは振動において、大半の人は気持ちよさや癒しを感じることに異論のないところであり、また、これらの音や光の信号を分析すると1/fゆらぎが検出させることも周知の事実である。
【0004】
このようなことから、生体に刺激を与える装置、たとえば、低周波電気治療器や照明装置、電動マッサージ器、扇風機などにも1/f調のゆらぎを取り入れられたものが提案されている(たとえば下記特許文献1,2参照)。
【0005】
ところで、1/f調のゆらぎを有する信号を生成するにあたっては、一部電子回路によるものを除いては、コンピュータプログラムによって生成されるのが一般的である。
【0006】
1/fゆらぎにだけ着目すると、ピンクノイズ等は完全なる1/fゆらぎを有するが、音として聞くと全く不快な音であり、プログラムによって実際に有効な、つまり気持ちよさや癒しを感じさせる信号を生成するのは難しい。また、プログラムで生成される1/f調のゆらぎをもつ信号は、プログラムを変更しない限り一定のものとなることは当然である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】特開平9-47516号公報
【文献】特開2009-266484号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
それ故この発明は、生体に与える刺激信号をプログラムにより人工的に生成するのではなく、たとえば、木漏れ日、川のせせらぎ、気持ちの良い音楽や好みの音楽、あるいは母親の心音等の、外界に存在する信号から、その信号を反映した生体刺激用信号波を生成、出力することができる生体刺激用信号波生成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この発明の生体刺激用信号波生成装置は、部信号が入力される信号入力部と、前記信号取得部で取得した外部信号に含まれる周波数要素、エンベロープ要素および振幅要素の少なくとも1つで変調されたかつ/または前記外部信号の出力タイミングに同期した第1の生体刺激用信号波を生成し出力する出力波形生成部と、を備え、前記出力波形生成部は、前記外部信号に含まれる前記周波数要素、前記エンベロープ要素および前記振幅要素の少なくとも1つで周波数変調された前記第1の生体刺激用信号波を生成するよう構成され、前記第1の生体刺激用信号波を供給されて高周波交番磁界磁場を発生する少なくとも1つの第1のコイルと前記第2の生体刺激用信号波を供給されて低周波交番磁界を発生する少なくとも1つの第2のコイルとを備え、前記第1のコイルと前記第2のコイルは、コイル軸線方向にみて互いにオーバーラップするように配置され、前記高周波交番磁界の波形に、前記低周波交番磁界の波形に関連した特性を持たせている。
【0011】
また、この発明の生体刺激用信号波生成装置にあっては、前記出力波形生成部は、前記外部信号に含まれる前記エンベロープ要素または前記振幅要素で振幅変調された前記第1の生体刺激用信号波を生成するよう構成されていることが好ましい。
【0013】
さらに、この発明の生体刺激用信号波生成装置にあっては、前記外部信号に基づく第2の生体刺激用信号波を供給されて低周波交番磁界を発生する少なくとも1つの第2のコイルを備えることが好ましく、この場合、第1のコイルと第2のコイルは、コイル軸線方向にみて互いにオーバーラップするよう配置されていることが好ましい。前記第2のコイルは、前記第2の生体刺激用信号波として低周波信号波が供給された際に、感覚神経を伝達し、脊髄後角を経て脳へと到達する刺激をもたらす低周波磁界を発生する。
【0014】
さらに、この発明の生体刺激用信号波生成装置にあっては、前記外部信号を音響、映像および/または振動として出力する体感出力部を備えることが好ましい。
【0015】
さらに、この発明の生体刺激用信号波生成装置にあっては、前記外部信号は可聴周波数帯域の音信号であることが好ましい。
【0016】
加えて、この発明の生体刺激用信号波生成装置にあっては、信号入力部で取得した外部信号および/または、信号入力部で取得した外部信号に含まれる周波数要素、エンベロープ要素および振幅要素を記憶する記憶部を備えていることが好ましい。これにより、外部信号を外部から信号入力部に毎回入力することなしに、装置内部の記憶部から外部信号を取り出して生体刺激用信号波を生成することができる。さらに、この発明の生体刺激用信号波生成装置にあっては、前記高周波交番磁界は30~300MHz帯の交番磁界であり、前記低周波交番磁界は1~3kHz帯の交番磁界であることが好ましい。
【発明の効果】
【0017】
この発明の生体刺激用信号波生成装置によれば、出力波形生成部が外部信号の周波数要素、エンベロープ要素および振幅要素の少なくとも1つで変調されたかつ/または前記外部信号の出力タイミングに同期した生体刺激用信号波を生成するので、外界に存在する信号を反映した生体刺激用信号波を容易に生成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】この発明の一実施形態の生体刺激用信号波生成装置のブロック構成図である。
図2図1の生体刺激用信号波生成装置の信号入力部および体感出力部を説明するブロック図である。
図3図1の生体刺激用信号波生成装置における入力信号処理部を波形とともに説明するブロック図である。
図4図1の生体刺激用信号波生成装置における信号波生成部で生成される基本信号または第1の生体刺激用信号波(波形<1>)を示す図である。
図5図1の生体刺激用信号波生成装置における第2の生体刺激用信号波用の出力調整部を説明するブロック図である。
図6図1の生体刺激用信号波生成装置における第2の生体刺激用信号波用の出力調整部を波形とともに説明するブロック図である。
図7A図1の生体刺激用信号波生成装置を用い、外部信号の半波に同期した第1の生体刺激用信号波を生成する例を説明する図である。
図7B図1の生体刺激用信号波生成装置を用い、外部信号のエンベロープで振幅変調された第1の生体刺激用信号波を生成する例を説明する図である。
図7C図1の生体刺激用信号波生成装置を用い、外部信号のエンベロープで振幅変調されるとともに外部信号の半波の出力タイミングに同期した第1の生体刺激用信号波を生成する例を説明する図である。
図7D図1の生体刺激用信号波生成装置を用い、外部信号の半波で振幅変調された第1の生体刺激用信号波を生成する例を説明する図である。
図7E図1の生体刺激用信号波生成装置を用い、外部信号の全波で振幅変調された第1の生体刺激用信号波を生成する例を説明する図である。
図7F図1の生体刺激用信号波生成装置を用い、外部信号の周波数をMHz帯へ変換して外部信号の周波数に比例した周波数を有する第1の生体刺激用信号波を生成する例を説明する図である。
図7G図1の生体刺激用信号波生成装置を用い、外部信号の周波数に比例した周波数を有するとともに、外部信号の半波の出力タイミングに同期した第1の生体刺激用信号波を生成する例を説明する図である。
図7H図1の生体刺激用信号波生成装置を用い、外部信号の周波数に比例した周波数を有するとともに、外部信号のエンベロープで振幅変調された第1の生体刺激用信号波を生成する例を説明する図である。
図7I図1の生体刺激用信号波生成装置を用い、外部信号の周波数に比例した周波数を有するとともに、外部信号のエンベロープで振幅変調され、かつ外部信号の半波の出力タイミングに同期した第1の生体刺激用信号波を生成する例を説明する図である。
図7J図1の生体刺激用信号波生成装置を用い、外部信号の周波数に比例した周波数を有するとともに、外部波信号の半波で振幅変調された第1の生体刺激用信号波を生成する例を説明する図である。
図7K図1の生体刺激用信号波生成装置を用い、外部信号の周波数に比例した周波数を有するとともに、外部信号の全波で振幅変調された第1の生体刺激用信号波を生成する例を説明する図である。
図7L図1の生体刺激用信号波生成装置を用い、外部信号のエンベロープに比例した周波数を有する第1の生体刺激用信号波を生成する例を説明する図である。
図7M図1の生体刺激用信号波生成装置を用い、外部信号のエンベロープに比例した周波数を有するとともに、外部信号の半波の出力タイミングに同期した第1の生体刺激用信号波を生成する例を説明する図である。
図7N図1の生体刺激用信号波生成装置を用い、外部信号のエンベロープに比例した周波数を有するとともに、該エンベロープで振幅変調された第1の生体刺激用信号波を生成する例を説明する図である。
図7O図1の生体刺激用信号波生成装置を用い、外部信号のエンベロープに比例した周波数を有するとともに、外部信号の半波の出力タイミングに同期した第1の生体刺激用信号波を生成する例を説明する図である。
図7P図1の生体刺激用信号波生成装置を用い、外部信号のエンベロープに比例した周波数を有するとともに、外部信号の半波で振幅変調された第1の生体刺激用信号波を生成する例を説明する図である。
図7Q図1の生体刺激用信号波生成装置を用い、外部信号のエンベロープに比例した周波数を有するとともに、外部信号の全波で振幅変調された第1の生体刺激用信号波を生成する例を説明する図である。
図7R図1の生体刺激用信号波生成装置を用い、外部信号の振幅に比例した周波数を有する第1の生体刺激用信号波を生成する例を説明する図である。
図7S図1の生体刺激用信号波生成装置を用い、外部信号の振幅に比例した周波数を有するとともに、外部信号の半波の出力タイミングに同期した第1の生体刺激用信号波を生成する例を説明する図である。
図7T図1の生体刺激用信号波生成装置を用い、外部信号の振幅に比例した周波数を有するとともに、外部信号のエンベロープで振幅変調された第1の生体刺激用信号波を生成する例を説明する図である。
図7U図1の生体刺激用信号波生成装置を用い、外部信号の振幅に比例した周波数を有するとともに、外部信号のエンベロープで振幅変調されかつ外部信号の半波の出力タイミングに同期した第1の生体刺激用信号波を生成する例を説明する図である。
図7V図1の生体刺激用信号波生成装置を用い、外部信号の振幅に比例した周波数を有するとともに、外部信号の半波で振幅変調された第1の生体刺激用信号波を生成する例を説明する図である。
図7W図1の生体刺激用信号波生成装置を用い、外部信号の振幅に比例した周波数を有するとともに、外部信号の全波で振幅変調された第1の生体刺激用信号波を生成する例を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、この発明の実施の形態を図面に基づき詳細に説明する。ここで、図1は、この発明の一実施形態の生体刺激用信号波生成装置のブロック構成図である。生体には、人体が含まれる。生体には、人体以外の動物も含まれる。
【0020】
図1に示すように、この実施形態の生体刺激用信号波生成装置は、主として、入力部10と、入力信号処理部11と、出力波形生成部12と、出力部13と、操作部14と、画面表示装置15とから構成される。この生体刺激用信号波生成装置は図示しない外部電源あるいは内部に配設され得るバッテリにより駆動される。画面表示装置15は、動作指示部16による指示の下、生体刺激用信号波生成装置における操作状態や出力状態を表示する。操作部14は、電源キー、始動キー、停止キー、入力信号切替キー、出力波形選択キー、出力コイル選択キー、出力調整キー等の各種操作キーを有する。
【0021】
出力部13は、コイル出力部20と体感出力部22とを有している。コイル出力部20は、出力波形生成部12で生成された第1の生体刺激用信号波を供給されて磁界を発生する少なくとも1つ(好ましくは複数、たとえば5個)の第1のコイル24と、入力部10に入力された外部信号を出力波形生成部12で出力調整してなる第2の生体刺激用信号波を供給されて磁界を発生する少なくとも1つ(好ましくは複数、たとえば5個)の第2のコイル26とを有している。第1のコイル24と第2のコイル26はコイル軸線でみて互いにオーバーラップするよう配置されていることが好ましく、同心円状に配置されていることがより好ましい。
【0022】
体感出力部22には、図2に示すように、アンプで増幅された外部信号が入力され、第2のコイル26で発生する交番磁界と同期した音響を発するヘッドフォン等のスピーカ28、後述する映像再生装置30で再生された映像を映し出す映像表示装置32および、外部信号が入力されて第2のコイル26で発生する交番磁界と同期した振動を発する振動発生装置34の少なくとも1つが含まれていてよい。
【0023】
入力部10は、図1に示すように信号入力部36を有する。信号入力部36には、装置内部もしくは外部の種々の信号源から外部信号が供給、入力される。外部信号とは、外界に存在するまたは外界由来の光、音(音楽を含む。)、振動、温度等を公知の各種センサで検出したときに得られる電気的な信号あるいはCDプレーヤー等の公知の再生装置で音楽等を再生したときに得られる電気的な信号の意味である。外界に存在するまたは外界由来の光、音、振動等の例としては、木漏れ日、川のせせらぎ、風、音楽、母親の心音等を挙げることができる。外部信号は、装置内部の後述の記憶部46に記憶された信号であり得る。外部信号は、人の可聴周波数帯域(10Hz~数万Hz)、好ましくはkHz帯、より好ましくは1kHz~3kHzの音から得られる電気的な信号であり得る。信号源には、図2に示すように、光センサ38、音響センサ40、音響再生装置42、音を含む映像を再生する映像再生装置30、脳波や心電図、脈拍等の生体信号を測定する生体信号検出装置44、振動センタ(図示省略)、温度センサ(図示省略)および装置内部の記憶部46の少なくとも1つが含まれていてよい。記憶部46は、信号入力部36で取得した外部信号および/または、信号入力部36で取得した外部信号に含まれる周波数要素、エンベロープ要素および振幅要素を記憶する。これにより、外部信号を外部から信号入力部36に毎回入力することなしに、装置内部の記憶部46から外部信号を取り出して第1および第2の生体刺激用信号波を生成することができる。各信号源は、切替スイッチ50を介して後述する入力信号振幅調整部52と接続されている。信号源は、操作部14の入力信号切替キーを操作することで切り替えることができ、信号源の設定は切替スイッチ50から動作指示部16へ出力される。
【0024】
図1および図3に示すように、入力信号処理部11は、上記いずれかの信号源から入力された外部信号を処理、解析して、その外部信号に含まれる周波数要素、エンベロープ要素および振幅要素を抽出する部分であり、入力信号振幅調整部52と、波形整形部54と、波形解析部56とを有している。
【0025】
入力信号振幅調整部52は、たとえば自動利得調整器(AGC:Automatic Gain controller)で構成され、図3に示すように、信号入力部36に入力された外部信号(波形<3>)に対して振幅調整を行い、波形<4>を形成する。
【0026】
波形整形部54は、入力信号振幅調整部52を経て振幅調整された外部信号を半波整流して波形<5>を形成する。
【0027】
波形解析部56は、外部信号の周波数およびエンベロープを解析し、その結果得られる周波数データおよびエンベロープデータを出力波形生成部12の後述する出力波形制御部58へ出力する。外部信号の振幅データは波形整形部54から出力波形生成部12の出力波形制御部58へ出力される。波形整形部54で半波整流された外部信号は、出力波形生成部12の後述する出力調整部60へ出力され、振幅調整された後、第2の生体刺激用信号波として第2のコイル26へ供給される。
【0028】
出力波形生成部12は、図1に示すように、出力波形制御部58と、少なくとも1つ(図示例では2つ)の信号波生成部62と、少なくとも1つ(図示例では2つ)の第1の出力強度調整部64と、出力調整部60とを有している。信号波生成部62は、たとえばデジタル直接合成発振器(DDS:Direct Digital Synthesizer)で構成され、たとえば30MHz~300MHz帯の中から任意の周波数の基本信号を発振するほか、後述のようにこの基本信号を変調等して第1の生体刺激用信号波を生成する。また、第1の出力強度調整部64は、たとえば可変利得増幅器(VGA:Variable gain amplifier)で構成される。
【0029】
出力波形制御部58はたとえばCPU(中央演算ユニット)で構成され、出力調整部60に出力調整を行わせるための制御信号を出力する。また、出力波形制御部58は、信号波生成部62に一定周波数の基本信号あるいは、基本信号を外部信号の周波数要素、エンベロープ要素および振幅要素の少なくとも1つで周波数変調してなる第1の生体刺激用信号波を出力させるための制御信号を出力する。図4に信号波生成部62で発振される基本信号または第1の生体刺激用信号波(波形<1>)を例示する。図4中(a)は一定周波数で発振する基本信号であり、(b)は外部信号の周波数要素に比例して基本信号を変動させてなる第1の生体刺激用信号波であり、(c)は外部信号のエンベロープ要素に比例して基本信号を変動させてなる第1の生体刺激用信号波であり、(d)は外部信号の振幅に比例して基本信号を変動させてなる第1の生体刺激用信号波である。
【0030】
出力波形制御部58はまた、第1の出力強度調整部64における振幅制御および同期制御のための制御信号を出力する。第1の出力強度調整部64は、出力波形制御部58の制御下で、信号波生成部62で生成された第1の生体刺激用信号波の振幅を一定のまま、あるいは外部信号のエンベロープ要素または振幅要素で変調して第1のコイル24へ出力する。第1の出力強度調整部64はさらに、第1の生体刺激用信号波の振幅変調に代えてあるいはこれに加えて第1の生体刺激用信号波を外部信号の出力タイミングに同期させて第1のコイル24へ出力する。
【0031】
図5は、図1の生体刺激用信号波生成装置における出力調整部60を説明するブロック図であり、図6は、出力調整部60の構成ブロックを波形とともに示す図である。出力調整部60は、図5および図6に示すように、第2の出力強度調整部66と、kHz帯発振器68と、7.8Hz帯発振器70と、第1同期切替部72と、第1出力切替部74と、波形切替部76と、第2同期切替部78と、第2出力切替部80とを有する。
【0032】
第2の出力強度調整部66は、たとえば可変利得増幅器(VGA:Variable gain amplifier)で構成され、出力波形制御部58からの指示に基づき、波形整形部54で半波整流処理された外部信号(波形<5>)の振幅を増幅する(波形<6>)。
【0033】
kHz帯発振器68は、出力波形制御部58からの指示に基づきkHz帯信号を生成する(波形<8>)。7.8Hz帯発振器70は、出力波形制御部58からの指示に基づき、7.8Hz帯信号を生成する(波形<7>)。
【0034】
第1同期切替部72は、出力波形制御部58からの指示に基づき、第2の出力強度調整部66で振幅調整された第2の生体刺激用信号波の、7.8Hz帯発振器70で生成された信号との同期/非同期を切り替える(波形<9>)。
【0035】
第1出力切替部74は、出力波形制御部58から指示に基づき、kHz帯発振器68で生成されたkHz帯信号(波形<8>)と、第2の生体刺激用信号波(波形<6>)に同期した矩形デジタル波形信号とを切り替えて波形切替部76に出力する(波形<10>)。
【0036】
波形切替部76は、出力波形制御部58からの指示に基づき、第1出力切替部74から送られた信号の波形(波形<10>)を矩形波やインパルス等の波形に切り替えて第2同期切替部78に出力する(波形<11>)。
【0037】
第2同期切替部78は、出力波形制御部58からの指示に基づき、波形切替部76から送られた信号の波形(波形<11>)の、7.8Hz帯発振器70で生成された信号との同期/非同期を切り替える(波形<12>)。
【0038】
第2出力切替部80は、第1同期切替部72からのアナログ波形信号(波形<9>)と第2同期切替部78からのデジタル波形信号(波形<12>)とを切り替えて第2のコイル26へ出力する。
【0039】
出力波形制御部58は、ユーザによるコイル選択キーの操作で選択された第2のコイル26へ第2の生体刺激用信号波を出力する。第2の生体刺激用信号波は全ての第2のコイル26へ供給することができるが、一部の第2のコイル26のみへ供給することもできる。
【0040】
このように構成された生体刺激用信号波生成装置を用いて生体に磁界を照射し、神経に磁気刺激を直接与えるには、第1のコイル24と第2のコイル26をセットにして、粘着性パッド、マジックベルトやテープ、シール、ジェル等を用いて人体または動物の皮膚またはその周辺へ固定する。第1のコイル24および第2のコイル26は同じプローブ内に収容してもよい。第1のコイル24および第2のコイル26は、刺激を与えたい範囲等に応じて複数セット用いることができる。第1のコイル24および第2のコイル26の生体への固定方法は上記に限らず、衣類のポケット等に収納するようにしてもよい。
【0041】
そして、操作部14の各種操作キーを操作して、信号源、出力波形、出力コイル、出力調整を行い、始動キーを操作すると、選択された信号源から供給された、1kHz~3kHz帯の低周波信号であってよい外部信号がまず入力信号処理部11において波形整形され、続いて出力調整部60において出力調整された後、第2の生体刺激用信号波として第2のコイル26へと供給され、第2の生体刺激用信号波に基づく交番磁界が発生する。
【0042】
一方、信号波生成部62では、選択された出力波形にしたがい図4(a)~(d)のいずれかの、高周波であってよい基本信号または第1の生体刺激用信号波が生成され、信号波生成部62で生成された基本信号または第1の生体刺激用信号波は第1の出力強度調整部64で外部信号のエンベロープまたは振幅で振幅変調され、および/または外部信号の出力タイミングと同期して第1のコイル24へ出力され、第1の生体刺激用信号波に基づく交番磁界が発生する。
【0043】
図7A図7Wは、信号波生成部62および第1の出力強度調整部64を介して生成され得る、外部信号の各種要素を反映した第1の生体刺激用信号波の種々の波形パターンを示している。
【0044】
図7Aに示す例では、信号波生成部62では一定周波数(たとえば250MHz)の基本信号が発振され、信号入力部36には信号源からたとえば1kHz~3kHzの低周波の外部信号(たとえば音響信号)が入力される。入力された外部信号は波形整形部54で半波整流される。信号波生成部62で生成された周波数および振幅が一定の基本信号は、第1の出力強度調整部64において、半波整流された外部信号の出力タイミングと同期処理され、第1の生体刺激用信号波として第1のコイル24へ出力される。
【0045】
図7Bに示す例では、図7Aの例に従い、信号波生成部62で一定周波数(たとえば250MHz)の基本信号が生成される。信号入力部36には信号源からたとえば1kHz~3kHzの低周波の外部信号(たとえば音響信号)が入力される。入力された外部信号は波形解析部56で波形解析され、エンベロープが抽出される。信号波生成部62で生成された周波数および振幅が一定の基本信号は、第1の出力強度調整部64において外部信号のエンベロープで振幅変調され、第1の生体刺激用信号波として第1のコイル24へ出力される。
【0046】
図7Cに示す例では、図7Aの例に従い、信号波生成部62で一定周波数(たとえば250MHz)の基本信号が生成される。信号入力部36には信号源からたとえば1kHz~3kHzの低周波の外部信号(たとえば音響信号)が入力される。入力された外部信号は波形解析部56で波形解析され、エンベロープが抽出される。信号波生成部62で生成された一定周波数および一定振幅の基本信号は、第1の出力強度調整部64において外部信号のエンベロープで振幅変調されるとともに、半波整流された外部信号の出力タイミングと同期処理され、第1の生体刺激用信号波として第1のコイル24へ出力される。
【0047】
図7Dに示す例では、図7Aの例に従い、信号波生成部62で一定周波数(たとえば250MHz)の基本信号が生成される。信号入力部36には信号源からたとえば1kHz~3kHzの低周波の外部信号(たとえば音響信号)が入力される。入力された外部信号は波形整形部54で半波整流される。信号波生成部62で生成された一定周波数および一定振幅の基本信号は、第1の出力強度調整部64において、半波整流された外部信号の振幅で振幅変調され、第1の生体刺激用信号波として第1のコイル24へ出力される。
【0048】
図7Eに示す例では、図7Aの例に従い、信号波生成部62で一定周波数(たとえば250MHz)の基本信号が生成される。信号入力部36には信号源からたとえば1kHz~3kHzの低周波の外部信号(たとえば音響)が入力される。信号波生成部62で生成された一定周波数および一定振幅の基本信号は、第1の出力強度調整部64において外部信号(全波)の振幅で振幅変調され、第1の生体刺激用信号波として第1のコイル24へ出力される。
【0049】
図7Fに示す例では、信号入力部36には信号源からたとえば1kHz~3kHzの低周波の外部信号(たとえば音響信号)が入力される。波形解析部56は外部信号の周波数を抽出する。出力波形制御部58は、抽出された外部信号の周波数をMHz帯へ変換して、信号波生成部62に外部信号の周波数に比例した高周波数の第1の生体刺激用信号波(たとえば30MHz~300MHz、ここでは200MHz~300MHz)を生成させる。生成された高周波の第1の生体刺激用信号波は一定の振幅のまま第1のコイル24へ出力される。
【0050】
図7Gに示す例では、図7Fの例に従い、信号波生成部62で外部信号の周波数に比例した周波数の高周波信号(たとえば30MHz~300MHz、ここでは200MHz~300MHz)が生成される。信号入力部36には信号源からたとえば1kHz~3kHzの低周波の外部信号(たとえば音響信号)が入力され、入力された外部信号は波形整形部54で半波整流される。信号波生成部62で生成された第1の生体刺激用信号波は、第1の出力強度調整部64において、半波整流された外部信号の出力タイミングと同期処理され、第1のコイル24へ出力される。
【0051】
図7Hに示す例では、図7Fの例に従い、信号波生成部62で外部信号の周波数に比例した周波数の高周波信号(たとえば30MHz~300MHz、ここでは200MHz~300MHz)が生成される。信号入力部36には信号源からたとえば1kHz~3kHzの低周波の外部信号(たとえば音響信号)が入力される。入力された外部信号は波形解析部56で波形解析され、エンベロープが抽出される。信号波生成部62で生成された第1の生体刺激用信号波は、第1の出力強度調整部64において外部信号のエンベロープで振幅変調され、第1のコイル24へ出力される。
【0052】
図7Iに示す例では、図7Fの例に従い、信号波生成部62で外部信号の周波数に比例した高周波数の第1の生体刺激用信号波(たとえば30MHz~300MHz、ここでは200MHz~300MHz)が生成される。信号入力部36には信号源からたとえば1kHz~3kHzの低周波の外部信号(たとえば音響信号)が入力される。入力された外部信号は、波形整形部54で半波整流されるとともに、波形解析部56で波形解析され、エンベロープが抽出される。信号波生成部62で生成された第1の生体刺激用信号波は、第1の出力強度調整部64において外部信号のエンベロープで振幅変調されるとともに、半波整流された外部信号の出力タイミングと同期処理され、第1のコイル24へ出力される。
【0053】
図7Jに示す例では、図7Fの例に従い、信号波生成部62で外部信号の周波数に比例した高周波数の第1の生体刺激用信号波(たとえば30MHz~300MHz、ここでは200MHz~300MHz)が生成される。信号入力部36には信号源からたとえば1kHz~3kHzの低周波の外部信号(たとえば音響信号)が入力される。入力された外部信号は、波形整形部54で半波整流される。信号波生成部62で生成された高周波の第1の生体刺激用信号波は、第1の出力強度調整部64において、半波整流された外部信号で振幅変調され、第1のコイル24へ出力される。
【0054】
図7Kに示す例では、図7Fの例に従い、信号波生成部62で外部信号の周波数に比例した高周波数の第1の生体刺激用信号波(たとえば30MHz~300MHz、ここでは200MHz~300MHz)が生成される。信号入力部36には信号源からたとえば1kHz~3kHzの外部信号(たとえば音響信号)が入力される。信号波生成部62で生成された第1の生体刺激用信号波は、第1の出力強度調整部64において外部信号(全波)で振幅変調され、第1のコイル24へ出力される。
【0055】
図7Lに示す例では、信号入力部36には信号源からたとえば1kHz~3kHzの外部信号(たとえば音響信号)が入力される。波形解析部56は外部信号のエンベロープを抽出する。出力波形制御部58は、抽出された外部信号のエンベロープに比例したMHz帯の周波数を算出して、信号波生成部62に外部信号のエンベロープに比例した高周波数の第1の生体刺激用信号波(たとえば30MHz~300MHz、ここでは200MHz~300MHz)を生成させる。生成された第1の生体刺激用信号波は一定の振幅のまま第1のコイル24へ出力される。
【0056】
図7Mに示す例では、図7Lの例に従い、信号波生成部62で外部信号のエンベロープに比例した高周波数の第1の生体刺激用信号波(たとえば30MHz~300MHz、ここでは200MHz~300MHz)が生成される。信号入力部36に入力された外部信号は波形整形部54で半波整流される。信号波生成部62で生成された第1の生体刺激用信号波は、第1の出力強度調整部64において、半波整流された外部信号の出力タイミングと同期処理され、第1のコイル24へ出力される。
【0057】
図7Nに示す例では、図7Lの例に従い、信号波生成部62で外部信号のエンベロープに比例した高周波数の第1の生体刺激用信号波(たとえば30MHz~300MHz、ここでは200MHz~300MHz)が生成される。信号波生成部62で生成された第1の生体刺激用信号波は、第1の出力強度調整部64において外部信号のエンベロープで振幅変調され、第1のコイル24へ出力される。
【0058】
図7Oに示す例では、図7Lの例に従い、信号波生成部62で外部信号のエンベロープに比例した高周波数の第1の生体刺激用信号波(たとえば30MHz~300MHz、ここでは200MHz~300MHz)が生成される。信号入力部36に入力された外部信号は、波形整形部54で半波整流される。信号波生成部62で生成された第1の生体刺激用信号波は、第1の出力強度調整部64において外部信号のエンベロープで振幅変調されるとともに、半波整流された外部信号の出力タイミングと同期処理され、第1のコイル24へ出力される。
【0059】
図7Pに示す例では、図7Lの例に従い、信号波生成部62で外部信号のエンベロープに比例した高周波数の第1の生体刺激用信号波(たとえば30MHz~300MHz、ここでは200MHz~300MHz)が生成される。信号入力部36に入力された外部信号は、波形整形部54で半波整流される。信号波生成部62で生成された第1の生体刺激用信号波は、第1の出力強度調整部64において、半波整流された外部信号で振幅変調され、第1のコイル24へ出力される。
【0060】
図7Qに示す例では、図7Lの例に従い、信号波生成部62で外部信号のエンベロープに比例した高周波数の第1の生体刺激用信号波(たとえば30MHz~300MHz、ここでは200MHz~300MHz)が生成される。信号波生成部62で生成された第1の生体刺激用信号波は、第1の出力強度調整部64において外部信号(全波)で振幅変調され、第1のコイル24へ出力される。
【0061】
図7Rに示す例では、信号入力部36には信号源からたとえば1kHz~3kHzの低周波の外部信号(たとえば音響信号)が入力される。波形解析部56は外部信号の振幅を抽出する。出力波形制御部58は、抽出された外部信号の振幅に比例したMHz帯の周波数を算出して、信号波生成部62に外部信号の振幅に比例した高周波数の第1の生体刺激用信号波(たとえば30MHz~300MHz、ここでは200MHz~300MHz)を生成させる。生成された第1の生体刺激用信号波は一定の振幅のまま第1のコイル24へ出力される。
【0062】
図7Sに示す例では、図7Rの例に従い、信号波生成部62で低周波の外部信号の振幅に比例した高周波数の第1の生体刺激用信号波(たとえば30MHz~300MHz、ここでは200MHz~300MHz)が生成される。信号入力部36に入力された外部信号は波形整形部54で半波整流される。信号波生成部62で生成された第1の生体刺激用信号波は、第1の出力強度調整部64において、半波整流された外部信号の出力タイミングと同期処理され、第1のコイル24へ出力される。
【0063】
図7Tに示す例では、図7Rの例に従い、信号波生成部62で低周波の外部信号の振幅に比例した高周波数の第1の生体刺激用信号波(たとえば30MHz~300MHz、ここでは200MHz~300MHz)が生成される。信号入力部36に入力された外部信号は波形解析部56で波形解析され、エンベロープが抽出される。信号波生成部62で生成された第1の生体刺激用信号波は、第1の出力強度調整部64において外部信号のエンベロープで振幅変調され、第1のコイル24へ出力される。
【0064】
図7Uに示す例では、図7Rの例に従い、信号波生成部62で低周波の外部信号の振幅に比例した高周波数の第1の生体刺激用信号波(たとえば30MHz~300MHz、ここでは200MHz~300MHz)が生成される。信号入力部36に入力された外部信号は、波形整形部54で半波整流される。信号波生成部62で生成された第1の生体刺激用信号波は、第1の出力強度調整部64において外部信号のエンベロープで振幅変調されるとともに、半波整流された外部信号の出力タイミングと同期処理され、第1のコイル24へ出力される。
【0065】
図7Vに示す例では、図7Rの例に従い、信号波生成部62で低周波の外部信号の振幅に比例した高周波数の第1の生体刺激用信号波(たとえば30MHz~300MHz、ここでは200MHz~300MHz)が生成される。信号入力部36に入力された外部信号は、波形整形部54で半波整流される。信号波生成部62で生成された第1の生体刺激用信号波は、第1の出力強度調整部64において、半波整流された外部信号で振幅変調され、第1のコイル24へ出力される。
【0066】
図7Wに示す例では、図7Rの例に従い、信号波生成部62で低周波の外部信号の振幅に比例した高周波数の第1の生体刺激用信号波(たとえば30MHz~300MHz、ここでは200MHz~300MHz)が生成される。信号波生成部62で生成された第1の生体刺激用信号波は、第1の出力強度調整部64において外部信号(全波)で振幅変調され、第1のコイル24へ出力される。
【0067】
以上のように、この実施形態の生体刺激用信号波生成装置によれば、出力波形生成部12によって低周波であってよい外部信号の周波数要素、エンベロープ要素および振幅要素の少なくとも1つで変調されたかつ/または外部信号の出力タイミングに同期した第1の生体刺激用信号波を生成する構成としたので、第1のコイル24から発生する、第1の生体刺激用信号波に基づく交番磁界に、外部信号に関連した波形特性および/または同期性を持たせることができる。また、第2のコイル26へは外部信号に基づく第2の生体刺激用信号波が供給されて第2の生体刺激用信号波に基づく交番磁界が発生する。ここで、たとえば1kHz~3kHz帯の低周波交番磁界は感覚神経(Aβ線維:触覚)を伝達し、脊髄後角、脳(感覚野)へ到達し、これにより脳が触覚の快さを認識すると、下行性痛覚抑制系を賦活させて鎮痛効果やリラックス効果をもたらすことが期待される。一方、たとえば30MHz~300MHz、好ましくは200MHz~300MHz、より好ましくは250MHz帯の高周波交番磁界は損傷した感覚細胞を活性化し神経栄養因子を誘導して神経障害を軽減する効果が期待される。そして、高周波交番磁界の波形に、低周波交番磁界の波形に関連した特性を持たせることで、これらを相乗作用させ、より高い鎮痛効果等が期待される。
【0068】
また、第2のコイル26および第1のコイル24をコイル軸線でみてオーバーラップするように配置することで、上記相乗作用をより効果的に発揮させて高い鎮痛効果等が期待される。
【0069】
さらに、複数セットの第2のコイル26および第1のコイル24を用いて患部を含む広範囲に低周波磁界および高周波磁界を照射することでより一層高い鎮痛効果等が期待される。
【0070】
また、この実施形態の生体刺激用信号波生成装置によれば、低周波の外部信号を音響、映像および/または振動として出力する体感出力部22を設けたことから、体感刺激により患者にリラックス効果を与え、痛みによる脳の緊張やストレス状態を緩和して、除痛効果を相乗的に高めることが期待される。例えば、低周波の外部信号の音源としてモーツァルト モテット「エクスルターテ・ユビラーテ」を用い、患部に第1のコイル24および第2のコイル26による磁気刺激を与えるとともに、その音響をスピーカ28から出力して患者に聞かせることで、α波が増強され、それとともに主観的疼痛スコア(VAS)および痛み閾値テストによる鎮痛効果等が向上することが期待される。
【0071】
さらに、低周波の外部信号として1/f調のゆらぎ特性をもつ信号を用いることで、高周波交番磁界および低周波交番磁界を1/f調のゆらぎ周期で変化させることができ、これによってもα波が増強され、それとともにVASおよび痛み閾値テストによる鎮痛効果等が向上することが期待される。
【0072】
以上、この発明を実施の形態および実施例に基づき説明したが、この発明はこれらに限定されず、特許請求の範囲の記載内で種々の追加、変更、修正が可能である。たとえば、上記実施形態では、生体刺激用信号波生成装置で生成した第1の生体刺激用信号波および第2の生体刺激用信号波を用いて生体に対して磁気刺激を与える例を示したが、電気信号や光刺激、音刺激、振動刺激、温度刺激であってもよい。たとえば、光刺激では、フリッカーテストの結果によると、個人差はあるが、30Hz程度まで感じることができ、50Hzではほぼ感じられなくなるので、生成された第1の生体刺激用信号波を0Hz~30Hz(0は含まず)程度まで圧縮した上で、LED等の照明装置を点滅させたり、信号強度に同調して明るさを変化させたりすることができる。また、音や振動刺激では、ボディソニックと言われる形となり、音とのつながり、音のリアリティを補う帯域として50Hz~150Hz、臨場感、陶酔感、生理的快感をもたらす帯域として20Hz~50Hzとなるため、生成された第1の生体刺激用信号波を20Hz~150Hzに圧縮した上で、音や振動刺激に用いることができる。
【産業上の利用可能性】
【0073】
この発明によれば、たとえば、木漏れ日、川のせせらぎ、気持ちの良い音楽や好みの音楽、あるいは母親の心音等の、外界に存在する信号から、その信号を反映した生体刺激用信号波を生成、出力することができる生体刺激用信号波生成装置を提供することができる。
【符号の説明】
【0074】
10 入力部
11 入力信号処理部
12 出力波形生成部
13 出力部
14 操作部
15 画面表示装置
16 動作指示部
20 コイル出力部
22 体感出力部
24 第1のコイル(高周波用コイル)
26 第2のコイル(低周波用コイル)
30 映像再生装置
32 映像表示装置
34 振動発生装置
36 信号入力部
38 光センサ
40 音響センサ
42 音響再生装置
44 生体信号検出装置
46 記憶部
50 切替スイッチ
52 入力信号振幅調整部
54 波形整形部
56 波形解析部
58 出力波形制御部
60 出力調整部
62 信号波生成部
64 第1の出力強度調整部
66 第2の出力強度調整部
68 kHz帯発振器
70 7.8Hz帯発振器
72 第1同期切替部
74 第1出力切替部
76 波形切替部
78 第2同期切替部
80 第2出力切替部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7A
図7B
図7C
図7D
図7E
図7F
図7G
図7H
図7I
図7J
図7K
図7L
図7M
図7N
図7O
図7P
図7Q
図7R
図7S
図7T
図7U
図7V
図7W