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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-11
(45)【発行日】2022-03-22
(54)【発明の名称】椎体間脊椎融合装置
(51)【国際特許分類】
   A61F 2/44 20060101AFI20220314BHJP
【FI】
A61F2/44
【請求項の数】 15
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2017171760
(22)【出願日】2017-09-07
(65)【公開番号】P2018042999
(43)【公開日】2018-03-22
【審査請求日】2020-07-13
(31)【優先権主張番号】15/264,114
(32)【優先日】2016-09-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】506298792
【氏名又は名称】ウォーソー・オーソペディック・インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100140109
【弁理士】
【氏名又は名称】小野 新次郎
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【弁理士】
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100120112
【氏名又は名称】中西 基晴
(74)【代理人】
【識別番号】100101373
【弁理士】
【氏名又は名称】竹内 茂雄
(72)【発明者】
【氏名】キース・ミラー
(72)【発明者】
【氏名】アンソニー・メルケント
【審査官】細川 翔多
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2007/003437(WO,A2)
【文献】特表2015-511838(JP,A)
【文献】特表2007-513711(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2012/0095559(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61F 2/44
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
先導端と、反対側の追従端と、前記先導端と前記追従端の間を延びている上部と、前記先導端と前記追従端の間を延びている下部と、
を備えている脊椎融合インプラントであって、
前記上部は、前記先導端に隣接して配置されている第1部分、前記追従端に隣接して配置されている第2部分、及び当該上部の前記第1部分と前記第2部分の間を延びている少なくとも2つのレールを含んでおり、
前記下部は、前記先導端に隣接して配置されている第1部分、前記追従端に隣接して配置されている第2部分、及び当該下部の前記第1部分と前記第2部分の間を延びている少なくとも2つのレールを含んでおり、
前記上部の前記少なくとも2つのレールは、少なくとも部分的に平滑化された骨接触面を含む第1レールと、骨接触面を含む第2レールとを含んでおり、
前記下部の前記少なくとも2つのレールは、少なくとも部分的に平滑化された骨接触面を含む第1レールと、骨接触面を含む第2レールとを含んでいる、
インプラントにおいて、
前記上部の前記第1レールと前記下部の前記第1レールは隣接する椎骨間の円板空間の中への前記インプラントの挿入を容易にし、前記上部の前記第2レールと前記下部の前記第2レールは前記隣接する椎骨間の所定位置に前記インプラントを保持する働きを
前記インプラントは互いに対向する第1側部及び第2側部を更に備えており、前記第1側部は前記先導端と前記追従端の間及び前記上部と前記下部の間を延び、前記第2側部は前記先導端と前記追従端の間及び前記上部と前記下部の間を延びており、
前記上部と前記下部の間の、骨成長促進物質を受け入れるための中空キャビティ、を更に備え、
前記インプラントは前記第1側部の第1開口及び前記第2側部の第2開口を更に備えており、前記第1開口及び前記第2開口は前記中空キャビティへのアクセスを提供しており、前記第1側部は前記第1開口の周囲の少なくとも一部分を形成する縁に隣接して平滑化された表面を含み、前記第2側部は前記第2開口の周囲の少なくとも一部分を形成する縁に隣接して平滑化された表面を含み、前記第1側部及び前記第2側部は粗化された表面を有する部分を含んでいる、
脊椎融合インプラント。
【請求項2】
前記インプラントは、前記上部の前記第1レールと前記第2レールの間を延びている少なくとも第1横部材及び第2横部材と、前記下部の前記第1レールと前記第2レールの間を延びている少なくとも第1横部材及び第2横部材と、を更に備えており、前記上部の前記第1横部材と、前記第2横部材と、前記第1レールおよび前記第2レールの一方とが、前記上部を貫く第1開口を画定し、前記下部の前記第1横部材と、前記第2横部材と、前記第1レールおよび前記第2レールの一方とが、前記下部を貫く第1開口を画定している、請求項1に記載のインプラント。
【請求項3】
前記上部を貫く前記第1開口と前記下部を貫く前記第1開口のそれぞれは、前記インプラントの中空キャビティと連通しており、前記上部の前記第1開口、前記下部の前記第1開口、及び前記中空キャビティを通って骨融合が起こることになる、請求項に記載のインプラント。
【請求項4】
前記インプラントは、前記上部の前記第1部分と前記第2部分の間を延びている第3レールを更に備えており、前記上部の前記第2レールは前記インプラントの第1側部に隣接して配置され、前記上部の前記第3レールは前記インプラントの第2側部に隣接して配置され、前記上部の前記第1レールは前記上部の前記第2レールと前記第3レールの間に配置されている、請求項に記載のインプラント。
【請求項5】
前記インプラントは、前記下部の前記第1部分と前記第2部分の間を延びている第3レールを更に備えており、前記下部の前記第2レールは前記インプラントの第1側部に隣接して配置され、前記下部の前記第3レールは前記インプラントの第2側部に隣接して配置され、前記下部の前記第1レールは前記下部の前記第2レールと前記第3レールの間に配置されている、請求項に記載のインプラント。
【請求項6】
前記インプラントの前記先導端と前記上部の前記第1レールの前記骨接触面と前記下部の前記第1レールの前記骨接触面の一部分は、付加金属製造プロセスと研磨プロセスの一方を使用して平滑化されている、請求項1に記載のインプラント。
【請求項7】
前記上部と前記下部と前記第1側部と前記第2側部の一部分は、骨の内部成長をもたらす粗化された表面を有している、請求項に記載のインプラント。
【請求項8】
先導端と、反対側の追従端と、前記先導端と前記追従端の間を延びている上部と、前記先導端と前記追従端の間を延びている下部と、前記先導端と前記追従端の間を延びている第1側部及び前記先導端と前記追従端の間を延びている第2側部であって互いに対向する第1側部及び第2側部と、
を備えている脊椎融合インプラントであって、
前記上部は、前記先導端に隣接する第1部分、前記追従端に隣接する第2部分、並びに互いに離間して、当該上部の第1部分と第2部分の間を延びている第1レール、第2レール、及び第3レールを含んでおり、
前記下部は、前記先導端に隣接する第1部分、前記追従端に隣接する第2部分、並びに互いに離間して、当該下部の第1部分と第2部分の間を延びている第1レール、第2レール、及び第3レールを含んでおり、
前記上部の前記第1レールは前記上部の前記第2レールと前記第3レールの間に配置され、前記下部の前記第1レールは前記下部の前記第2レールと前記第3レールの間に配置され、前記上部の第2レール及び前記下部の第2レールは前記第1側部に隣接して配置され、前記上部の前記第3レール及び前記下部の前記第3レールは前記第2側部に隣接して配置されている、
インプラントにおいて、
前記上部の前記第1レール及び前記下部の前記第1レールは少なくとも部分的に平滑化された骨接触面を含んでおり、前記上部の前記第2レール及び前記第3レール並びに前記下部の前記第2レール及び前記第3レールは骨接触面を含んでおり
前記上部と前記下部の間の、骨成長促進物質を受け入れるための中空キャビティ、を更に備え、
前記インプラントは前記第1側部の第1開口及び前記第2側部の第2開口を更に備えており、前記第1開口及び前記第2開口は前記中空キャビティへのアクセスを提供しており、前記第1側部は前記第1開口の周囲の少なくとも一部分を形成する縁に隣接して平滑化された表面を含み、前記第2側部は前記第2開口の周囲の少なくとも一部分を形成する縁に隣接して平滑化された表面を含み、前記第1側部及び前記第2側部は粗化された表面を有する部分を含んでいる、
脊椎融合インプラント。
【請求項9】
前記インプラントは、前記上部の前記第1レールと前記第2レールの間を延びている少なくとも第1横部材及び第2横部材を更に備えており、前記上部の前記第1横部材と、前記第2横部材と、前記第1レールおよび前記第2レールの一方とが、前記上部を貫く第1開口を画定しており、前記第1開口は前記中空キャビティと連通している、請求項に記載のインプラント。
【請求項10】
前記インプラントは、前記下部の前記第1レールと前記第2レールの間を延びている少なくとも第1横部材及び第2横部材を更に備えており、前記下部の前記第1横部材と、前記第2横部材と、前記第1レールおよび前記第2レールの一方とが、前記下部を貫く第1開口を画定しており、前記第1開口は前記中空キャビティと連通している、請求項に記載のインプラント。
【請求項11】
前記インプラントの前記先導端と前記上部の前記第1レールの前記骨接触面と前記下部の前記第1レールの前記骨接触面の一部分は、付加金属製造プロセスと研磨プロセスの一方を使用して平滑化されている、請求項に記載のインプラント。
【請求項12】
前記上部の一部分及び前記下部の一部分は骨の内部成長をもたらす粗化された表面を有している、請求項に記載のインプラント。
【請求項13】
先導端と、反対側の追従端と、前記先導端と前記追従端の間を延びている上部と、前記先導端と前記追従端の間を延びている下部と、前記先導端と前記追従端の間を延びている互いに対向する第1側部及び第2側部と、
を備えている脊椎融合インプラントであって、
前記上部は前記先導端と前記追従端の間を延びている少なくとも2つのレールを含み、前記少なくとも2つのレールは互いに離間する第1レール及び第2レールを含み、前記上部の前記第1レールは少なくとも部分的に平滑化された骨接触面を含んでおり、
前記下部は前記先導端と前記追従端の間を延びている少なくとも2つのレールを含み、前記少なくとも2つのレールは互いに離間する第1レール及び第2レールを含み、前記下部の前記第1レールは少なくとも部分的に平滑化された骨接触面を含んでおり
前記上部と前記下部の間の、骨成長促進物質を受け入れるための中空キャビティ、を更に備え、
前記インプラントは前記第1側部の第1開口及び前記第2側部の第2開口を更に備えており、前記第1開口及び前記第2開口は前記中空キャビティへのアクセスを提供しており、前記第1側部は前記第1開口の周囲の少なくとも一部分を形成する縁に隣接して平滑化された表面を含み、前記第2側部は前記第2開口の周囲の少なくとも一部分を形成する縁に隣接して平滑化された表面を含み、前記第1側部及び前記第2側部は粗化された表面を有する部分を含んでいる、
脊椎融合インプラント。
【請求項14】
前記上部は前記先導端と前記追従端の間を延びている第3レールを更に備えており、前記第3レールは前記上部の前記第1レール及び前記第2レールから離間されており、前記上部の前記第2レールは前記第1側部に隣接して配置され、前記上部の前記第3レールは前記第2側部に隣接して配置され、前記上部の前記第1レールは前記上部の前記第2レールと前記第3レールの間に配置されている、請求項13に記載のインプラント。
【請求項15】
前記下部は前記先導端と前記追従端の間を延びている第3レールを更に備えており、前記第3レールは前記下部の前記第1レール及び前記第2レールから離間されており、前記下部の前記第2レールは前記第1側部に隣接して配置され、前記下部の前記第3レールは前記第2側部に隣接して配置され、前記下部の前記第1レールは前記下部の前記第2レールと前記第3レールの間に配置されている、請求項13に記載のインプラント。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、隣接する椎体間の円板空間の中へ挿入するための椎体間脊椎融合装置に関する。より詳しくは、本発明は、隣接する椎体間の円板空間の中への挿入の容易さを実現し易くするように構成されている上部と下部を有する椎体間脊椎融合装置に関する。より具体的には、本発明は、インプラントの上部と下部のそれぞれに設けられたレールを含んでいる椎体間脊椎融合装置であって、当該レールが、隣接する椎体に接触して隣接する椎体間の円板空間の中へのインプラント挿入の容易さを実現し易くするように上部の表面より上に及び下部の表面より下に延びている、椎体間脊椎融合装置に関する。
【背景技術】
【0002】
患者の脊椎に影響を及ぼす変性病態の幾つかは、外科的介入を要するほどに重篤なこともある。往々にして、変性病態は、隣接する椎体間の円板空間の高さを復元するのに脊椎インプラントが必要とされるほどのこともある。その様な脊椎インプラントは、患者の隣り合う椎骨の隣接する椎体間の円板空間の中へ挿入できるようになっている。多くの場合、その様な脊椎インプラントは、円板空間の中へ押し込み挿入するように構成されていて、円板空間内でのその位置を維持するために締結用又は保持用の形体を必要とする。しかしながら、その様な締結用又は保持用の形体は、脊椎インプラントの円板空間の中への押し込み挿入に抗う働きをしないとも限らない。従って、締結用又は保持用の形体を含んでいる脊椎インプラントであって、しかも円板空間の中への挿入を容易にする形体を含んでいる脊椎インプラントが必要とされている。
【発明の概要】
【0003】
本発明は、1つの好適な実施形態では、先導端と、反対側の追従端と、先導端と追従端の間を延びている上部と、先導端と追従端の間を延びている下部と、を含んでいる脊椎融合インプラントであって、上部は、先導端に隣接して配置されている第1部分、追従端に隣接して配置されている第2部分、及び上部の第1部分と第2部分の間を延びている少なくとも2つのレールを含んでおり、下部は、先導端に隣接して配置されている第1部分、追従端に隣接して配置されている第2部分、及び下部の第1部分と第2部分の間を延びている少なくとも2つのレールを含んでおり、上部の少なくとも2つのレールは、少なくとも部分的に平滑化された骨接触面を含む第1レールと、骨接触面を含む第2レールとを含んでおり、下部の少なくとも2つのレールは、少なくとも部分的に平滑化された骨接触面を含む第1レールと、骨接触面を含む第2レールとを含んでいる、インプラントにおいて、上部の第1レールと下部の第1レールは隣接する椎骨間の円板空間の中へのインプラントの挿入を容易にし、上部の第2レールと下部の第2レールは隣接する椎骨間の所定位置にインプラントを保持する働きをする、脊椎融合インプラントを構想している。
【0004】
本発明は、別の好適な実施形態では、先導端と、反対側の追従端と、先導端と追従端の間を延びている上部と、先導端と追従端の間を延びている下部と、先導端と追従端の間を延びている第1側部及び先導端と追従端の間を延びている第2側部であって互いに対向する第1側部及び第2側部と、を含んでいる脊椎融合インプラントであって、上部は、先導端に隣接する第1部分、追従端に隣接する第2部分、並びに互いに離間して、上部の第1部分と第2部分の間を延びている第1レール、第2レール、及び第3レールを含んでおり、下部は、先導端に隣接する第1部分、追従端に隣接する第2部分、並びに互いに離間して、下部の第1部分と第2部分の間を延びている第1レール、第2レール、及び第3レールを含んでおり、上部の第1レールは上部の第2レールと第3レールの間に配置され、下部の第1レールは下部の第2レールと第3レールの間に配置され、上部の第2レール及び下部の第2レールは第1側部に隣接して配置され、上部の第3レール及び下部の第3レールは第2側部に隣接して配置されている、インプラントにおいて、上部の第1レール及び下部の第1レールは少なくとも部分的に平滑化された骨接触面を含んでおり、上部の第2レール及び第3レール並びに下部の第2レール及び第3レールは骨接触面を含んでいる、脊椎融合インプラントを構想している。
【0005】
本発明は、更に別の好適な実施形態では、先導端と、反対側の追従端と、先導端と追従端の間を延びている上部と、先導端と追従端の間を延びている下部と、先導端と追従端の間を延びている互いに対向する第1側部及び第2側部と、を含んでいる脊椎融合インプラントであって、上部は先導端と追従端の間を延びている少なくとも2つのレールを含み、少なくとも2つのレールは互いに離間する第1レール及び第2レールを含み、上部の第1レールは少なくとも部分的に平滑化された骨接触面を含んでおり、下部は先導端と追従端の間を延びている少なくとも2つのレールを含み、少なくとも2つのレールは互いに離間する第1レール及び第2レールを含み、下部の第1レールは少なくとも部分的に平滑化された骨接触面を含んでいる、脊椎融合インプラントを構想している。
【0006】
本発明のこれら及び他の目的は、次に続く明細及び添付図面の考察から自明となるであろう。
【0007】
本明細書に組み入れられその一部を成す添付図面は、本発明の好適な実施形態を例示している。それらは、説明と併せて、本発明の目的、利点、及び原理を解説するのに役立つ。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明による椎体間脊椎融合装置の上から見た前方斜視図である。
図2図1に描かれている椎体間脊椎融合装置の下から見た後方斜視図である。
図3図1の椎体間脊椎融合装置の右側面図である。
図4図1の椎体間脊椎融合装置の左側面図である。
図5図1の椎体間脊椎融合装置の前面図である。
図6図1の椎体間脊椎融合装置の後面図である。
図7図1の椎体間脊椎融合装置の上面図である。
図8図1の椎体間脊椎融合装置の底面図である。
図9図1の椎体間脊椎融合装置の表面の部分側面図であり、異なる表面の肌理の実施例を示している。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明によるインプラントは、図1から図8には全体を参照番号10で表示されている。インプラント10は、脊椎椎体間融合インプラントである。以下に論じられている様に、インプラント10は、隣接する椎骨間の円板空間の中へ挿入するように構成されていて、骨が隣接する椎骨の終板の間でインプラントを通って成長できるように構成されている。
【0010】
図1から図8に描かれている様に、インプラント10は、全体を参照番号12で表示されている第1端と、全体を参照番号14で表示されている第2端と、を含んでいる。第1端12と第2端14は互いに対向している。また、インプラント10は第1端12と第2端14の間に配置されている中空キャビティ16を含んでいる。以下に論じられる様に、中空キャビティ16には骨成長促進物質を充填することができる。骨成長促進物質はインプラント10の構成と一体で、骨が隣接する椎骨の終板の間でインプラント10を通ってインプラントの表面上へ、具体的には粗面化された表面上へ成長してゆくのを促すことができる。
【0011】
第1端12はインプラント10の先導端であり、第2端14はインプラント10の追従端である。図1から図4に描かれている様に、第1端12は、円板空間の中へのインプラント10の挿入を容易にするように構成されており、第2端14は、インプラント10を円板空間の中へ挿入するのに使用される挿入器具(図示せず)の係合を容易にするように構成されている。そのため、第1端12は円板空間の中へのインプラント10の挿入を容易にする鼻部分20を含んでおり、第2端14は挿入器具との係合を容易にする様々な道具係合用の開口/スロットを含んでいる。例えば、鼻部分20は丸みのある楔形の構成を有しており、鼻部分20の当該構成は、隣接する椎骨との滑動可能な係合及び椎骨同士の引き離しを介して円板空間の中へのインプラント10の導入をもたらす。また、第2端部分14は、挿入器具との係合を容易にするねじの切られた開口22及びスロット26を含んでいてもよく、それらの間の係合は挿入器具を使用してのインプラント10の操縦を可能にさせる。
【0012】
図1及び図2に描かれている様に、インプラントは、上部30と、下部32と、第1側部34と、第2側部36と、を含んでいる。第1側部34及び第2側部36は、それぞれ、第1端12と第2端14の間を上部30及び下部32に隣接して延びている部分を含んでいる。また、第1側部34及び第2側部36は、それぞれ、馬蹄形面40と、中空キャビティ16と連通する開口42と、を含んでいる。中空キャビティ16と開口42は、第1側部34と第2側部36の間にインプラント10を貫く通路を画定している。
【0013】
上部30及び下部32は、それぞれ、第1端12と第2端14の間を延びている。上部30は、第1端12に隣接する前方部分50及び第2端14に隣接する後方部分52を含んでいる。前方部分50及び後方部分52は、それぞれ、隣接する椎骨のうち上側の椎骨の終板に係合するための面を含んでいる。上部30は、更に、第1レール54、第2レール56、及び第3レール58を含んでいる。
【0014】
第1レール54、第2レール56、及び第3レール58は、前方部分50と後方部分52の間を延びていて、前方部分50と後方部分52を継ぎ合わせる働きをしている。第1レール54、第2レール56、及び第3レール58もまた、隣接する椎骨のうち上側の椎骨の終板に係合するためのものである。第1レール54は第2レール56と第3レール58の間に配置され、第2レール56は第1側部34に隣接して配置され、第3レール58は第2側部36に隣接して配置されている。第1レール54と第2レール56の間にはこれらのレールを継ぎ合わせるように様々な横部材60A、62A、及び64Aが延びており、第1レール54と第3レール58の間にはこれらのレールを継ぎ合わせるように様々な横部材60B、62B、及び64Bが延びている。
【0015】
上部30には様々な開口66、68、70、72、74、76、80、及び82が形成されており、これらの開口は、前方部分50、後方部分52、第1レール54、第2レール56、第3レール58、並びに横部材60A、60B、62A、62B、64A、及び64B、のうちの少なくとも2つによって境界されている。開口66、68、70、72、74、76、80、及び82は、上部30を貫いて延びていて、中空キャビティ16と連通している。開口66、68、70、72、74、76、80、及び82は、骨が隣接する椎骨のうち上側の椎骨から当該開口を通って中空キャビティ16の中へと成長してゆくのを実現し易くする。
【0016】
第1開口66は、少なくとも、前方部分50と第1レール54と第2レール56と横部材60Aとによって境界されている。第2開口68は、少なくとも、前方部分50と第1レール54と第3レール58と横部材60Bとによって境界されている。第3開口70は、少なくとも、第1レール54と横部材60Aと横部材62Aとによって境界されている。第4開口72は、少なくとも、第1レール54と横部材60Bと横部材62Bとによって境界されている。第5開口74は、少なくとも、第2レール56と横部材62Aと横部材64Aとによって境界されている。第6開口76は、少なくとも、第3レール58と横部材62Bと横部材64Bとによって境界されている。第7開口80は、少なくとも、後方部分52と第1レール54と横部材64Aとによって境界されている。第8開口82は、少なくとも、後方部分52と第1レール54と横部材64Bとによって境界されている。
【0017】
図1に描かれている様に、第1レール54は、平滑化された上面を有している。また、図1ではどちらも少なくとも部分的に鋸歯状であるものとして描かれているが、第2レール56は平滑化された及び/又は鋸歯状の上面を有することができ、第3レール58は平滑化された及び/又は鋸歯状の上面を有することができる。設けられている場合、第1レール54の平滑化された上面は、隣接する椎骨間の円板空間の中へのインプラント10の挿入を支援する働きをする。第2レール56及び第3レール58の上面が少なくとも部分的に平滑化されていれば、第2レール56及び第3レール58は、円板空間の中へのインプラント10の挿入を支援する働きをすることができる。そのうえ、第2レール56及び第3レール58の上面が少なくとも部分的に鋸歯状であれば、第2レール56及び第3レール58は、円板空間内に位置決めされた後のインプラント10の移動を食い止める働きをすることができる。
【0018】
下部32は、第1端12に隣接する前方部分90及び第2端14に隣接する後方部分92を含んでいる。前方部分90と後方部分92は、それぞれ、隣接する椎骨のうち下側の椎骨の終板に係合するための面を含んでいる。下部32は、更に、第1レール94、第2レール96、及び第3レール98を含んでいる。
【0019】
第1レール94、第2レール96、及び第3レール98は、前方部分90と後方部分92の間を延びていて、前方部分90と後方部分92を継ぎ合わせる働きをしている。第1レール94、第2レール96、及び第3レール98もまた、隣接する椎骨のうち下側の椎骨の終板に係合するためのものである。第1レール94は第2レール96と第3レール98の間に配置され、第2レール96は第1側部34に隣接して配置され、第3レール98は第2側部36に隣接して配置されている。第1レール94と第2レール96の間には、これらのレールを継ぎ合わせるように様々な横部材100A、102A、及び104Aが延びており、第1レール94と第3レール96の間には、これらのレールを継ぎ合わせるように様々な横部材100B、102B、及び104Bが延びている。
【0020】
下部32には様々な開口106、108、110、112、114、116、120、及び122が形成されており、これらの開口は、前方部分90、後方部分92、第1レール94、第2レール96、第3レール98、並びに横部材100A、100B、102A、102B、104A、及び104B、のうちの少なくとも2つによって境界されている。開口106、108、110、112、114、116、120、122は、下部32に形成され、下部を貫いて延び、中空キャビティ16と連通している。開口106、108、110、112、114、116、120、122は、骨が隣接する椎骨のうち下側の椎骨から当該開口を通って中空キャビティ16の中へ成長してゆくのを実現し易くする。
【0021】
第1開口106は、少なくとも、前方部分90と第1レール94と第2レール96と横部材100Aとによって境界されている。第2開口108は、少なくとも、前方部分90と第2レール96と横部材100Bとによって境界されている。第3開口110は、少なくとも、第1レール94と横部材100Aと横部材102Aとによって境界されている。第4開口112は、少なくとも、第1レール94と横部材100Bと横部材102Bとによって境界されている。第5開口114は、少なくとも、第2レール96と横部材102Aと横部材104Aとによって境界されている。第6開口116は、少なくとも、第3レール98と横部材102Bと横部材104Bとによって境界されている。第7開口120は、少なくとも、後方部分92と第1レール54と横部材104Aとによって境界されている。第8開口122は、少なくとも、後方部分92と第1レール94と横部材104Bとによって境界されている。
【0022】
図2に描かれている様に、第1レール94は平滑化された下面を有している。また、図2にはどちらも少なくとも部分的に鋸歯状であるものとして描かれているが、第2レール96は平滑化された及び/又は鋸歯状の下面を有することができ、第3レール98は平滑化された及び/又は鋸歯状の下面を有することができる。設けられている場合、第1レール94の平滑化された下面は隣接する椎骨間の円板空間の中へのインプラント10の挿入を支援する働きをする。第2レール96及び第3レール98の下面が少なくとも部分的に平滑化されていれば、第2レール96及び第3レール98は円板空間の中へのインプラント10の挿入を支援する働きをすることができる。そのうえ、第2レール96及び第3レール98の下面が少なくとも部分的に鋸歯状であれば、第2レール96及び第3レール98は円板空間内に位置決めされた後のインプラント10の移動を食い止める働きをすることができる。
【0023】
隣接する椎骨間の円板空間の中へのインプラント10の挿入時、最初に第1端12の鼻部分20と上部30の前方部分50と下部32の前方部分90が隣接する椎骨に係合する。その際、鼻部分20は上側の椎骨及び下側の椎骨に係合し、前方部分50は上側の椎骨に係合し、前方部分90は下側の椎骨に係合する。鼻部分20の丸みのある楔形状のおかげで、そしてまた前方部分50と52が互いに対して角度を成しているために、隣接する椎骨は、鼻部分20と前方部分50と前方部分90がそれらと係合するように押し入れられて、互いに離間する。
【0024】
インプラントが円板空間の中へ更に押し進められると、上部30の第1レール54及び下部32の第1レール94が上側の椎骨及び下側の椎骨にそれぞれ係合する。第1レール54の上面の一部分及び第1レール94の下面の一部分は、それぞれ、上部30の及び下部32の残部より上及び下に隆起している。従って、第1レール54の上面及び第1レール94の下面が平滑化されていることを考えれば、インプラント10の挿入時にインプラント10は第1レール54及び94で滑って円板空間の中へ入ってゆく。言い方を変えれば、第1レール54の上面及び第1レール94の下面は、円板空間の中へのインプラントの進入時にインプラント10が滑れるようになる媒体を提供しているわけである。第2レール56及び第3レール58の上面と第2レール96及び第3レール98の下面が少なくとも部分的に平滑化されていれば、これらの面も円板空間の中へのインプラント10の挿入を支援する働きをすることができる。
【0025】
いったん円板空間内に配置されたら、第2レール56及び第3レール58の上面と第2レール96及び第3レール98の下面は、それらが鋸歯状である場合、インプラント10の移動を食い止める働きをする。鋸歯状である場合、第2レール56及び第3レール58の上面の大半は第1レール54の上面より下に位置し、鋸歯状である場合、第2レール56及び第3レール58の下面の大半は第1レール94の下面より上に位置する。つまり、図3及び図4(即ち、インプラント10の右側面図及び左側面図)を見ると、第1レール54は、鋸歯のせいで第2レール56及び第3レール58より大きい外形を有し、第1レール94は、鋸歯のせいで第2レール96及び第3レール98より大きい外形を有している。第1レール54及び第1レール94は、更に、第2レール56及び96及び/又は第3レール58及び98より大きい外形を有するように構成されていてもよいし又は小さい外形を有するように構成されていてもよい。
【0026】
上下椎骨の終板は、概して、その前部分と後部分の間及びその外側面の間が凹状をしている。従って、インプラント10を前方から又は後方から挿入され終板間に位置決めしたとき、第1レール54は、上側の終板の、第2レール56及び第3レール58が接触する部分よりも更に上の部分へ接触させることができ、第1レール94は、下側終板の、第2レール96及び第3レール98が接触する部分よりも更に下の部分へ接触させることができる。以上に論じられている様に、鋸歯が設けられている場合、第2レール56及び96の鋸歯及び第3レール58及び98の鋸歯の接触は、円板空間の中へ植え込まれた後のインプラント10の移動を食い止める働きをする。
【0027】
インプラント10は、付加製造方法を使って製造することができる。付加製造方法を使えば、インプラント10の様々な表面に異なる肌理を提供することができ、これらの肌理を、円板空間の中へのインプラント10の挿入の容易さをもたらすのに使用することもできるし、又はインプラント10の中への骨の成長を促すのに使用することもできる。付加製造方法の一例は直接金属レーザー焼結法である。例えば、鼻部分20、第1レール54、第2レール56、第3レール58、及び第1レール94、第2レール96、第3レール98の一部分は図9に描かれている様に平滑化された表面を含むように製造され、インプラント10の残部は図9に描かれている様に粗化された表面を含むように製造されてもよい。平滑化された表面及び粗化された表面という言い方はこれらの面の肌理の違いを言い表している。よって、平滑化された表面が若干粗いということもあり得るが、粗化された表面より格段に滑らかである。
【0028】
円板空間の中へのインプラント10の挿入を容易にするには平滑化された表面を提供し、インプラント10上への骨の成長を実現し易くするには粗化された表面を提供するようにすればよい。従って、付加製造方法の使用によってもたらされる様々な表面は、円板空間の中へのインプラント10の進入を(平滑化された表面を介して)容易にし、上側及び下側の椎骨へのインプラント10の一体化を(粗化された表面を介して)実現し易くする。加えて、インプラント10の様々な表面は、研磨プロセスを使用して平滑化することができる。
【0029】
インプラント10の平滑化された表面の場所は、図1図8に全体を参照番号130で表示され、点描によって表現されている。インプラント10の表面の残部は粗化されていてもよい。例えば、横部材60A、60B、62A、62B、64A、及び64B、横部材100A、100B、102A、102B、104A、及び104B、並びに、後方部分52及び92は、円板空間内に位置決めされた後のインプラント10の移動を食い止める働きをする粗化された上面及び粗化された下面をそれぞれ有していてもよい。インプラント10を隣接する椎骨の骨の中へ納めることにより、これらの粗化された表面との増加した接触が生じ、インプラント10の移動に対する抵抗が高まる。
【0030】
加えて、図1図4に描かれている様に、面40の開口42の縁周り及び開口42の内面に平滑化された表面132が設けられていてもよい。平滑化された表面132は、面40の開口42への移行部に平滑化された縁を提供することができる。
【0031】
インプラント10の縁を丸めておけば、インプラント10の植え込み時に傷つきやすい組織への幾らかの潜在的危害を最小限に抑えことができる、ということも注目される。例えば、鼻部分20に加え、上部30と第1側部34及び第2側部36の間の移行部並びに下部32と第1側部34及び第2側部36の間の移行部が丸められていてもよい。
【0032】
当業者には、ここに開示されている本発明の明細及び実践の考察から本発明の他の実施形態が自明であろう。明細及び実例は例示としてのみ考察されるべきであり、本発明の真の範囲及び精神は付随の特許請求の範囲によって示されるものとする。
【符号の説明】
【0033】
10 インプラント
12 第1端
14 第2端
16 中空キャビティ
20 鼻部分
22 ねじの切られた開口
26 スロット
30 上部
32 下部
34 第1側部
36 第2側部
40 馬蹄形面
42 開口
50 前方部分
52 後方部分
54 第1レール
56 第2レール
58 第3レール
60A、60B、62A、62B、64A、64B 横部材
66、68、70、72、74、76、80、82 開口
90 前方部分
92 後方部分
94 第1レール
96 第2レール
98 第3レール
100A、100B、102A、102B、104A、104B 横部材
106、108、110、112、114、116、120、122 開口
130、132 平滑化された表面
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9