(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-11
(45)【発行日】2022-03-22
(54)【発明の名称】方立
(51)【国際特許分類】
E06B 1/12 20060101AFI20220314BHJP
【FI】
E06B1/12 A
(21)【出願番号】P 2017249057
(22)【出願日】2017-12-26
【審査請求日】2020-11-27
(73)【特許権者】
【識別番号】391008582
【氏名又は名称】昭和フロント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100085394
【氏名又は名称】廣瀬 哲夫
(74)【代理人】
【識別番号】100165456
【氏名又は名称】鈴木 佑子
(74)【代理人】
【識別番号】100206106
【氏名又は名称】廣瀬 郁夫
(72)【発明者】
【氏名】阿部 功
(72)【発明者】
【氏名】加藤 定彦
(72)【発明者】
【氏名】浅川 陽子
(72)【発明者】
【氏名】田中 信行
【審査官】家田 政明
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-160767(JP,A)
【文献】特開2010-265636(JP,A)
【文献】特開平08-128266(JP,A)
【文献】特開昭56-059955(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E06B 1/00-1/70
E04B 2/88-2/96
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第一パネルを支持する第一パネル支持部から見込み方向に延びる第一見込み片部を有する第一方立部材と、第二パネルを支持する第二パネル支持部から見込み方向に延びる第二見込み片部を有する第二方立部材とを、第一、第二見込み片部同士が互いに対向する状態で組み付けて構成される左右分割型の方立において、該方立に第三パネルを支持するための第三パネル支持部材を取付けるにあたり、該第三パネル支持部材は、第一、第二方立部材の見込み幅内に収まる状態で前記第一、第二見込み片部の対向間に取付けられることを特徴とする方立。
【請求項2】
請求項1において、第三パネル支持部材は、第三パネルを支持する他の枠材とともに第三パネル枠体として枠組み形成された状態で方立に取付けられることを特徴とする方立。
【請求項3】
請求項
1において、方立に第三パネルを取付けない場合に、第一、第二見込み片部の対向間には、該第一、第二見込み片部の見込み方向端部と面一状となって第一、第二見込み片部の対向間を塞ぐカバー部材が装着されることを特徴とする方立。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、サッシやカーテンウォール等に用いられる方立に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、サッシやカーテンウォール等に用いられる連窓用の方立として、左右に分割された方立を用いることがあるが、このような左右分割型の方立のなかには、例えば、パネル(ガラスパネルや樹脂パネル等)を支持するパネル支持部と、該パネル支持部から見込み方向に延びる見込み片部とを有する左右一対の第一、第二方立部材を、見込み片部同士が互いに対向するように組み付けて構成されるものがある。
ところで、前述したような左右分割型の方立を利用して、第一、第二方立部材に支持される第一、第二パネルとは異なる面方向を向く第三パネル(例えば、間仕切りパネル等)を取付けることが要求される場合がある。そこでこのような場合に、第一、第二方立部材(第一、第二パネル保持部材)の屋内側面(内片)に、第三パネル保持部を有するアタッチメントを取付け、該アタッチメントを介して方立に第三パネルを支持せしめるようにした技術が知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、前記特許文献1のアタッチメントは、第一、第二方立部材の屋内側面に取付けられる係合部材と、該係合部材に屋内側から係合し、第三パネル保持部を有する第三パネル保持部材とを備えて構成されている。つまり、第三パネルを支持するためのアタッチメントは、第一、第二方立部材の屋内側面から屋内側に突出する状態で設けられており、このため、該突出したアタッチメントが別部材として視認されるうえ、第三パネルが設けられる方立と第三パネルが設けられない方立とが隣接したような場合に、アタッチメントの有無により方立としての統一性が損なわれて意匠性に劣る等の問題がある。さらに、特許文献1のものでは、第三パネル保持部を有する第三パネル保持部材として、第一、第二方立部材と同じ構造のものが用いられている。このため、例えば、第一、第二パネルが屋内外を仕切る外壁パネルで、第三パネルが屋内に設置される間仕切りパネルであるような場合、第一、第二パネルを支持する第一、第二方立部材は耐風圧性能を必要とする一方、第三パネルを支持する第三パネル保持部材は耐風圧性能を必要としないため第一、第二方立部材ほど強度を必要としないが、特許文献1の第三パネル保持部材は、耐風圧性能を必要とする第一、第二方立部材と同じ構造のものであるから、過剰強度となってコストが高くつくという問題もあり、これらに本発明の解決すべき課題がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、上記の如き実情に鑑みこれらの課題を解決することを目的として創作されたものであって、請求項1の発明は、第一パネルを支持する第一パネル支持部から見込み方向に延びる第一見込み片部を有する第一方立部材と、第二パネルを支持する第二パネル支持部から見込み方向に延びる第二見込み片部を有する第二方立部材とを、第一、第二見込み片部同士が互いに対向する状態で組み付けて構成される左右分割型の方立において、該方立に第三パネルを支持するための第三パネル支持部材を取付けるにあたり、該第三パネル支持部材は、第一、第二方立部材の見込み幅内に収まる状態で前記第一、第二見込み片部の対向間に取付けられることを特徴とする方立である。
請求項2の発明は、請求項1において、第三パネル支持部材は、第三パネルを支持する他の枠材とともに第三パネル枠体として枠組み形成された状態で方立に取付けられることを特徴とする方立である。
請求項3の発明は、請求項1において、方立に第三パネルを取付けない場合に、第一、第二見込み片部の対向間には、該第一、第二見込み片部の見込み方向端部と面一状となって第一、第二見込み片部の対向間を塞ぐカバー部材が装着されることを特徴とする方立である。
【発明の効果】
【0006】
請求項1の発明とすることにより、第三パネル支持部材が外部から視認されることなく、意匠性の向上が図れるとともに、第三パネル支持部材の強度を適宜設定できてコスト削減を図れる。
請求項2の発明とすることにより、施工現場での作業性向上に貢献できる。
請求項3の発明とすることにより、方立に第三パネルを取付けない場合には、第一、第二見込み片部の対向間を、該第一、第二見込み片部の見込み方向端部と面一状となる状態で塞ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】(A)は間仕切りが取付けられたサッシの内観図、(B)は(A)のX矢視図である。
【
図4】(A)は
図2のY部の拡大図、(B)はシール材の装着例を示す図である。
【
図5】(A)、(B)は方立および第三パネル枠体の組み付けを示す図である。
【
図6】(A)は方立の見付け寸法と第三パネル枠体の見込み寸法とが異なる他例を示す図、(B)はカバーキャップの他例を示す図である。
【0008】
以下、本発明の実施の形態について、図面に基づいて説明する。図において、1は建物の屋内外を仕切るサッシであって、該サッシ1は、左右方向に間隔を存して立設される複数の連窓用の方立2と、左右に隣接する方立2間に支架される複数の横材(上枠や下枠)3と、これら方立2と横材3とにより形成される開口部に取付けられるバネル4とを備えて構成されている。
尚、本実施の形態を説明するにあたり、前記サッシ1を構成するパネル4(後述する第一、第二パネル4A、4B)は面方向が同方向を向いているとともに、該パネル4の面方向に沿うとともに上下方向と直行する方向を、左右方向として説明する。また、本実施の形態では、前記パネル4および後述する第三パネル7としてガラスパネルが用いられているが、これに限定されることなく、樹脂製や金属製、木製のパネルであってもよい。
【0009】
前記方立2は、サッシ1を構成するパネル4の左右何れか一方の縦辺部を支持する第一方立部材5と、パネル4の他方の縦辺部を支持する第二方立部材6とから構成される左右分割型のものであって、これら第一、第二方立部材5、6を一体的に組み付けて方立2が形成されているが、さらに該方立2は、必要に応じて、サッシ1を構成するパネル4とは面方向が異なる第三パネル7を支持することができるようになっている。該第三パネル7は、本実施の形態では、サッシ1の屋内側に配設される間仕切り8を構成するパネルであって、その面方向は、サッシ1を構成するパネル4の面方向に対して垂直状となるように設定されている。
【0010】
ここで、本実施の形態では、図面における左側の方立部材5を第一方立部材5と称し、右側の方立部材6を第二方立部材6と称するとともに、第一方立部材5に支持されるパネル4を第一パネル4Aと称し、第二方立部材6に支持されるパネル4を第二パネル4Bと称するが、この場合に、同一のパネル4でも、第一方立部材方5に支持されているパネル4として説明する場合には第一パネル4Aと称し、第二方立部材6に支持されているパネル4として説明する場合には第二パネル4Bと称する。また、第一パネル4Aと第二パネル4Bとを総称してパネル4(サッシ1を構成するパネル4)と称するが、該サッシ1を構成するパネル4には、前記第三パネル7は含まれない。さらに、前記第一、第二方立部材5、6を説明するにあたり、これら第一、第二方立部材5、6同士を組み付けて連結した状態で第一、第二方立部材5、6同士が互いに対向する側(連結側)は、方立2にとって見付け方向内側となるため、第一、第二方立部材5、6同士の対向側を見付け方向内側とし、反対側を見付け方向外側として説明する。
【0011】
前記第一方立部材5は、第一パネル4Aの縦辺部がビートやシーリング材20等を介して嵌合支持される凹溝状の第一パネル支持部5aと、該第一パネル支持部5aの屋外側に形成される第一屋外側見付け片部5bと、該第一屋外側見付け片部5bの見付け方向内側端部に形成されるU溝状の第一屋外側係合部5cと、第一パネル支持部5aの溝底部から見付け方向内側に向けて突出形成される第一当接片5dおよび第一リップ溝部5eと、第一パネル支持部5aの溝開口側端部から見込み方向屋内側に延びる第一見込み片部5fと、該第一見込み片部5fの見込み方向中間部から見付け方向内側に延びる第一中間見付け片部5gと、該第一中間見付け片部5gの見付け方向中間部に形成される第一中間係合部5hと、第一見込み片部5fの見込み方向屋内側端部に形成される第一係止受部5iとを備えて構成されている。
【0012】
また、前記第二方立部材6は、第二パネル4Bの縦辺部がビートやシーリング材20等を介して嵌合支持される凹溝状の第二パネル支持部6aと、該第二パネル支持部6aの屋外側に形成される第二屋外側見付け片部6bと、該第二屋外側見付け片部6bの見付け方向内側端部に形成される第二屋外側係合部6cと、第二パネル支持部6aの溝開口側端部から見込み方向屋内側に延びる第二見込み片部6fと、該第二見込み片部6fの見込み方向中間部から見付け方向内側に延びる第二中間見付け片部6gと、該第二中間見付け片部6gの見付け方向内側端部に形成される第二中間係合部6hと、第二見込み片部6fの見込み方向屋内側端部に形成される第二係止受部6iとを備えて構成されている。
【0013】
そして、前記第一方立部材5と第二方立部材6とは、これら第一方立部材5と第二方立部材6とを組み付けた状態で、第一パネル支持部5aと第二パネル支持部6aの溝底部同士が対向し、また、第一、第二見込み片部5f、6f同士が間隔を存して互いに平行状に対向するとともに、第一屋外側見付け片部5bに形成の第一屋外側係合部5cと第二屋外側見付け片部6bに形成の第二屋外側係合部6cとが係合し、第一パネル支持部5aの溝底部に形成の第一当接片5dおよび第一リップ溝部5eが第二パネル支持部6aの溝底部に当接し、第一中間係合部5hと第二中間係合部6hとが係合する状態で第一中間見付け片部5gと第二中間見付け片部6gとが重なり合うようになっており、この状態で、第一、第二パネル支持部5a、6aの溝底部同士はネジ9により固定され、第一、第二中間見付け片部5g、6g同士はネジ10により固定されるようになっている。
尚、前記第一、第二中間見付け片部5g、6gは、本実施の形態では、第一中間見付け片部5gが第二中間見付け片部6gの屋内側に位置する状態で重なり合うように設計されている。また、第一屋外側係合部5cと第二屋外側係合部6cとの係合部および第一リップ溝部5eにはシール材11が装着され、これにより、第一、第二方立部材5、6間の止水性が確保されるようになっている。
【0014】
さらに、前記第一方立部材5と第二方立部材6とを組み付けて構成された方立2には、間隔を存して互いに対向する第一、第二見込み片部5f、6fの対向間の屋内側部分に、屋内側から視て第一、第二見込み片部5f、6fの見込み方向屋内側端部から屋外方向に凹陥状に凹んだ第三パネル支持部材取付部2aが形成されている。そして、該第三パネル支持部材取付部2aに、前述した第三パネル7を支持するための第三パネル支持部材12が取付けられるようになっている。
【0015】
前記第三パネル支持部材12は、第三パネル7が取付けられる第三パネル枠体13のうちの縦材を構成する部材であって、該第三パネル支持部材12は、第三パネル7の縦辺部がビートやシーリング材20等を介して嵌合支持される凹溝状の第三パネル支持部12aと、該第三パネル支持部12aの溝開口側端部から見込み方向(第三パネル7の見込み方向)両側に延びる一対の見込み片部12b、12cと、これら見込み片部12b、12cの見込み方向先端部にそれぞれ形成される係止部12d、12eと、第三パネル支持部12aの溝内に形成されるキャップ係合受部12fとを備えて構成されている。
【0016】
そして、前記第三パネル支持部材12は、第三パネル支持部12aが前記方立2に形成の第三パネル支持部材取付部2aに嵌入し、係止部12d、12eが方立2の第一、第二係止受部5i、6iにそれぞれ係止する状態で、第三パネル支持部材取付部2aに屋内側から組み付けられる。そして、該組み付けられた状態で、第三パネル支持部材12の見込み片部12b、12cは、方立2の第一、第二見込み片部5f、6fの見込み方向屋内側端部と面一状になるとともに、第三パネル支持部材12の第三パネル支持部12aの溝底部は、方立2の第一、第二中間見付け片部5g、6gのうち屋内側に位置する第一中間見付け片部5gに当接するように設計されており、これら当接する第三パネル支持部12aの溝底部と第一中間見付け片部5gとを、屋内側から螺入されるネジ14により固定することで、第三パネル支持部材12を、方立2の第一、第二見込み片部5f、6fの対向間に、第一、第二方立部材5、6の見込み幅内に収まる状態で取付けることができるようになっている。この場合に、第三パネル支持部材12を固定するためのネジ14は、第三パネル支持部12aの溝底部に螺入されるものであって第三パネル支持部12aに第三パネル7が嵌合された状態では外部から視認されることなく、而して、第三パネル支持部材12の方立2への固定部分が外部から視認されて意匠が損なわれてしまうことを回避できるようになっている。
尚、本実施の形態では、第三パネル7はサッシ1の屋内側に配設されるため、方立2と第三パネル支持部材12との間に止水のための部材は設けられていないが、第三パネルが屋外側に設けられるような場合には、
図4(B)に示すように、方立2の係止受部5i、6iと第三パネル支持部材12の係止部12d、12eとの間にシール材15を介装することにより、方立2と第三パネル支持部材12との間の止水性を確保することができる。
【0017】
ここで、前記第三パネル支持部材12は、前述したように第三パネル7が取付けられる第三パネル枠体13のうちの縦材を構成する部材であるが、該第三パネル支持部材12を方立2に取付ける場合には、
図5に示すように、第三パネル7を支持する他の枠材(縦材16や横材17)とともに第三パネル枠体13として枠組み形成された状態で、方立2に取付けられる。これにより、例えば工場等の製造現場で第三パネル枠体13を枠組み形成し、このものを施工現場に運搬してそのまま方立2に組み付けできることになって、施工現場での作業効率の向上に貢献できる。また、リフォーム等のために施工後に間仕切り8の位置を変更したいような場合でも、第三パネル枠体13ごと方立2から取り外したものを、そのまま別の方立2に取り付けることができる。
さらに、本実施の形態では、第三パネル枠体13の見込み寸法は方立2の見付け寸法と同等寸法に設計されている。これにより、方立2と第三パネル枠体13とが屋内外方向に面一状となって、意匠性に優れる。
尚、第三パネル7は、第三パネル枠体13が方立2に取付けられた後に、該第三パネル枠体13に取付けられる。また、第三パネル支持部材12は、後述するように、第三パネル7が取付けられない場合も方立2に取付けられるが、この場合には、第三パネル支持部材12単体で方立2に取付けられる。
【0018】
一方、18はカバーキャップであって、該カバーキャップ18は、第三パネル支持部材12の第三パネル支持部12aを屋内側から塞ぐカバー面部18aと、第三パネル支持部12aの溝内に挿入されて該溝内のキャップ係合受部12fに着脱自在に係合する係合部18bとを備えて構成されている。そして、該カバーキャップ18は、方立2に第三パネル7を取付けない場合に、方立2に取付けられた第三パネル支持部材12に屋内側から組み付けられるが、該組み付けられた状態で、第三パネル支持部材12の見込み片部12b、12cおよびカバーキャップ18のカバー面部18aは、方立2の第一、第二見込み片部5f、6fの見込み方向屋内側端部と面一状になって、第一、第二見込み片部5f、6fの対向間の第三パネル支持部材取付部2aを塞ぐように構成されている。而して、方立2に第三パネル7を取付けない場合に、第一、第二見込み片部5f、6fの対向間は、方立2に取付けられた第三パネル支持部材12と該第三パネル支持部材12に装着されるカバーキャップ18とによって、第一、第二見込み片部5f、6fの見込み方向屋内側端部と面一状となる状態で塞がれるようになっている。尚、本実施の形態において、前記第三パネル支持部材12およびカバーキャップ18は、本発明のカバー部材を構成する。
【0019】
叙述の如く構成された本発明の実施の形態において、方立2は、第一パネル4Aを支持する第一パネル支持部5a、および該第一パネル支持部5aから見込み方向に延びる第一見込み片部5fを有する第一方立部材5と、第二パネル4Bを支持する第二パネル支持部6a、および該第二パネル支持部6aから見込み方向に延びる第二見込み片部6fを有する第二方立部材6とを、第一、第二見込み片部5f、6f同士が互いに対向する状態で組み付けて構成される左右分割型のものであるが、該方立に、第三パネル7を支持するための第三パネル支持部材12を取付けるにあたり、該第三パネル支持部材12は、第一、第二方立部材5、6の見込み幅内に収まる状態で第一、第二見込み片部5f、6fの対向間に取付けられることになる。
【0020】
この様に、本発明が実施されたものにあっては、第一パネル4Aを支持する第一方立部材5と第二パネル4Bを支持する第二方立部材6とからなる左右分割型の方立2を、該方立2に第三パネル7を支持するための第三パネル支持部材12を取付けることによって三方向用の方立2として用いることができるように構成したもの、つまり、二方向の方立2をそのまま利用して三方向の方立2として用いることができるように構成したものであり、これにより、二方向の方立2と三方向の方立2との共通化が図れて製造コストの削減を達成できるとともに、施工後の第三パネル7の追加、除去、位置変更等にも容易に対応できることになるが、このものにおいて、第三パネル7を支持するための第三パネル支持部材12は、第一、第二方立部材5、6の見込み幅内に収まる状態で第一、第二見込み片部5f、6fの対向間に取付けられているため、外部から視認されないことになる。この結果、第三パネル支持部材12が外部から別部材として視認されて方立2の意匠が損なわれてしまうことがないうえ、第三パネル7が設けられる方立2と第三パネル7が設けられない方立2とが隣接していても、方立2としての統一性を確保できることになって、意匠性の向上に大きく貢献できる。しかも、第三パネル支持部材12は、第一、第二見込み片部5f、6fの対向間に第一、第二方立部材5、6の見込み幅内に収まる状態で取付けられるものであって第一、第二方立部材5、6と同じ構造のものではないから、第三パネル7を支持するために必要な強度となるように強度を適宜設定でき、例えば本実施の形態のように、第一、第二パネル4A、4Bが屋内外を仕切るサッシ1用のパネルで、第三パネル7が屋内側に配される間仕切り8用のパネルであるような場合に、第三パネル支持部材を第一、第二方立部材5,6と同じ構造のものにして過剰強度となってしまうような無駄をなくすことができて、コスト削減に貢献できる。
【0021】
また、前記第三パネル支持部材12は、第三パネル7を支持する他の枠材(縦材16や横材17)とともに第三パネル枠体13として枠組み形成された状態で、方立2に取付けられる構成となっているから、例えば工場等の製造現場で第三パネル枠体13を枠組み形成し、このものを施工現場に運搬してそのまま方立2に組み付けできることになって、施工現場での作業効率の向上に貢献できる。
【0022】
さらにこのものにおいて、方立2に第三パネル7を取付けない場合、つまり方立2を二方向の方立2として用いる場合には、第一、第二方立部材5、6の第一、第二見込み片部5f、6fの対向間に、第一、第二見込み片部5f、6fの見込み方向端部と面一状となって第一、第二見込み片部5f、6fの対向間を塞ぐカバー部材(本実施の形態では、方立2に取付けられた第三パネル支持部材12と、該第三パネル支持部材12に取付けられるカバーキャップ18)が装着されることになる。而して、方立2に第三パネル7を取付けない場合には、カバー部材によって、第三パネル支持部材12が取付けられる第一、第二見込み片部5f、6fの対向間を、該第一、第二見込み片部5f、6fの見込み方向端部と面一状となる状態で塞ぐことができる。
【0023】
尚、本発明は上記実施の形態(第一の実施の形態)に限定されないことは勿論であって、第一の実施の形態では、第三パネル枠体13の見込み寸法と方立2の見付け寸法とは同等寸法に設計されているが、例えば、
図6(A)に示す如く、第三パネル枠体13の見込み寸法が方立2の見付け寸法と異なっていても、本発明を実施できる。
また、第三パネル支持部材12を方立2に固定するにあたり、第一の実施の形態では第一方立部材5にネジ14を介して固定されているが、第二方立部材6に固定される構造であっても良く、また、第一、第二方立部材5、6の両方に固定される構造であっても良い。この場合、例えば、第一、第二方立部材5、6に設けられる第一、第二中間見付け片部5g、6g同士の重なり合う部分を方立2の見付け方向中央部とし、該重なり合う部分に第三パネル支持部材12をネジを介して固定することにより、第三パネル支持部材12は第一、第二方立部材5、6の両方に固定されることになる。
また、第一の実施の形態では、方立2に第三パネル7を取付けない場合に、第一、第二見込み片部5f、6fの対向間を塞ぐカバー部材として、第三パネル7を取付ける場合に用いる第三パネル支持部材12と、該第三パネル支持部材12に装着されるカバーキャップ18とを用いたが、
図6(B)に示す如く、第三パネル支持部材を用いることなく、方立2自体に取付けられるカバーキャップ(本発明のカバー部材に相当する)19を用いてもよい。このものでは、方立2の第一、第二見込み片部5f、6fにキャップ係合受部5k、6kが形成されているとともに、カバーキャップ19は、第一、第二見込み片部5f、6fの見込み方向屋内側端部と面一状となって第一、第二見込み片部5f、6fの対向間を塞ぐカバー面部19aと、該カバー面部19aの両縁部に形成されて第一、第二見込み片部5f、6fに形成の第一、第二係止受部5i、6iに屋内側からそれぞれ係止する係止部19b、19cと、前記キャップ係合受部5k、6kに着脱自在に係合する係合部19d、19eとを備えて形成されている。尚、前記
図6(A)、(B)において、第一の実施の形態と共通するものには同一の符号を付してある。
さらに、第一の実施の形態では、第一、第二パネルは屋内外を仕切るサッシ用のパネルであり、第三パネルは屋内側に配される間仕切り用のパネルであるが、これに限定されることなく、例えば、第一~第三パネルの全てが屋外側に配されるパネル、あるいは屋内側に配されるパネルであっても、本発明を実施できる。また、第一の実施の形態では、サッシに用いられる方立を例にとって説明したが、これに限定されることなく、例えばカーテンウォール等に用いられる方立にも、本発明を実施できる。尚、第一の実施の形態では、方立は屋内外を仕切るサッシを構成するものであって、方立の見込み方向は屋内外方向を向いているため、方立の見込み方向一方側を屋内側とし、見込み方向他方側を屋外側として説明しているが、方立の見込み方向が屋内外方向を向いていない場合もある(例えば、方立が屋内側に配されるサッシを構成するものである場合)ため、前記説明における屋内側、屋外側は、方立の見込み方向一方側、見込み方向他方側と言い換えることができる。
【産業上の利用可能性】
【0024】
本発明は、サッシやカーテンウォール等に用いられる方立に利用することができる。
【符号の説明】
【0025】
2 方立
4A 第一パネル
4B 第二パネル
5 第一方立部材
5a 第一パネル支持部
5f 第一見込み片部
6 第二方立部材
6a 第二パネル支持部
6f 第二見込み片部
7 第三パネル
12 第三パネル支持部材
13 第三パネル枠体
18 カバーキャップ
19 カバーキャップ