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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-11
(45)【発行日】2022-03-22
(54)【発明の名称】車両用携帯機のカバー
(51)【国際特許分類】
   A47G 29/10 20060101AFI20220314BHJP
   E05B 19/00 20060101ALI20220314BHJP
【FI】
A47G29/10 A
E05B19/00 F
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2018002339
(22)【出願日】2018-01-11
(65)【公開番号】P2019118725
(43)【公開日】2019-07-22
【審査請求日】2020-09-15
(73)【特許権者】
【識別番号】390005430
【氏名又は名称】株式会社ホンダアクセス
(74)【代理人】
【識別番号】110003063
【氏名又は名称】特許業務法人牛木国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100080089
【弁理士】
【氏名又は名称】牛木 護
(74)【代理人】
【識別番号】100161665
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 知之
(74)【代理人】
【識別番号】100188994
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 裕介
(74)【代理人】
【識別番号】100207653
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 聡
(72)【発明者】
【氏名】竹田 真之介
(72)【発明者】
【氏名】追野 英樹
(72)【発明者】
【氏名】武井 ゆりか
【審査官】関口 知寿
(56)【参考文献】
【文献】意匠登録第1544495(JP,S)
【文献】登録実用新案第3214132(JP,U)
【文献】特開平11-027351(JP,A)
【文献】意匠登録第1529873(JP,S)
【文献】日産純正!リモコンキーで傷付けるのを防ぐためのカバーが種類豊富で良いぞ!!,2017年12月20日
【文献】AWESOME/オーサム VIPER5706V 液晶タイプリモコン専用 シリコンケース ブラック ASLK-57004,2015年06月08日
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47G 29/10
E05B 19/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
弾性体からなり、車両用携帯機を収容し、収容された前記車両用携帯機の一部を片手で露出可能な車両用携帯機のカバーであって、
前記車両用携帯機を出し入れする開口部と、
前記車両用携帯機を収容した状態で、前記車両用携帯機に当接する内面部と、
上端部と、
下端部と、
手のひらに当接させる第一当接部と、
親指以外の指に当接させる第二当接部と、
前記第二当接部の上側に形成された凹部と、
前記車両用携帯機の一部を露出させるために前記車両用携帯機のカバーを弾性変形させる際に親指により力を付与する力付与部と、を有し、
前記内面部の最上部分から前記上端部までの長さが、前記内面部の最下部分から前記下端部までの長さよりも長く、
前記力付与部が前記開口部の上側部分の表面であることを特徴とする車両用携帯機のカバー。
【請求項2】
前記開口部は略矩形状に形成され、
前記車両用携帯機を収容した状態で前記車両用携帯機の操作部が前記開口部から露出することを特徴とする請求項1に記載の車両用携帯機のカバー。
【請求項3】
前記第一当接部が外側に突出して湾曲しており、
前記第二当接部が外側に突出して湾曲しており、
前記凹部が凹状に湾曲していることを特徴とする請求項1又は2に記載の車両用携帯機のカバー。
【請求項4】
前記開口部の開口縁部の下側辺部が前記第一当接部側から前記第二当接部側に向かって下側に傾斜していることを特徴とする請求項1~3の何れか1項に記載の車両用携帯機のカバー。
【請求項5】
正面視において、前記凹部の頂点と前記第一当接部の頂点が前記凹部の頂点における法線上に位置することを特徴とする請求項3に記載の車両用携帯機のカバー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両の扉の施錠及び開錠や開閉等を行う携帯機を収容する車両用携帯機のカバーに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車両の開錠及び施錠や扉の開閉等を遠隔操作可能な、いわゆるリモコンキーや、車両に接近させて車両側で施錠及び開錠が可能となる、いわゆるスマートキーが知られている。このようなリモコンキーやスマートキーを保護したり、装飾したり、把持し易くすることを目的としたキーケースが知られている(例えば、特許文献1)。
【0003】
特許文献1に記載のキーケースは、リモコンキー本体を収容した状態で第1カバー及び第2カバーに形成された保持孔と、リモコンキー本体に形成された貫通孔にD環の軸部が貫通されている。また、キーケース本体は左側部及び上部を開放する開放部を有し、この開放部を閉止する閉止部材を有している。閉止部材は、第1止着部材及び第2止着部材から構成され、第1止着部材と第2止着部材が磁力により相互に止着されるものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】実用新案登録第3214132号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載の閉止部材は、キーケースを片手で把持したまま、親指により閉止状態を解除可能であるものの、D環は軸部を保持孔及び貫通孔から引き抜く必要があるため、片手でD環を取り外すことは極めて困難である。そのため、リモコンキー本体をキーケースから取り出す際は、閉止部材の閉止状態を解除すると共に、D環の軸部を保持孔及び貫通孔から引き抜く必要があり、非常に手間が掛かるという問題があった。
【0006】
そこで、本発明は以上の問題点を解決し、片手で車両用鍵を取り出し可能状態とすることができるキーカバーを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1に記載の発明に係る車両用携帯機のカバーは、弾性体からなり、車両用携帯機を収容し、収容された前記車両用携帯機の一部を片手で露出可能な車両用携帯機のカバーであって、前記車両用携帯機を出し入れする開口部と、前記車両用携帯機を収容した状態で、前記車両用携帯機に当接する内面部と、上端部と、下端部と、手のひらに当接させる第一当接部と、親指以外の指に当接させる第二当接部と、前記第二当接部の上側に形成された凹部と、前記車両用携帯機の一部を露出させるために前記車両用携帯機のカバーを弾性変形させる際に親指により力を付与する力付与部と、を有し、前記内面部の最上部分から前記上端部までの長さが、前記内面部の最下部分から前記下端部までの長さよりも長く、前記力付与部が前記開口部の上側部分の表面であることを特徴とする。
【0008】
請求項2に記載の発明に係る車両用携帯機のカバーは、前記開口部は略矩形状に形成され、前記車両用携帯機を被覆した状態で前記車両用携帯機の操作部が前記開口部から露出することを特徴とする。
【0009】
請求項3に記載の発明に係る車両用携帯機のカバーは、前記第一当接部が外側に突出して湾曲しており、前記第二当接部が外側に突出して湾曲しており、前記凹部が凹状に湾曲していることを特徴とする。
【0010】
請求項4に記載の発明に係る車両用携帯機のカバーは、前記開口部の開口縁部の下側辺部が前記第一当接部側から前記第二当接部側に向かって下側に傾斜していることを特徴とする。
【0011】
請求項5に記載の発明に係る車両用携帯機のカバーは、正面視において、前記凹部の頂点と前記第一当接部の頂点が前記凹部の頂点における法線上に位置することを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
請求項1に記載の発明によれば、車両用携帯機のカバーに収容した車両用携帯機の一部を片手で容易に露出させることができる。
【0013】
請求項2に記載の発明によれば、車両用携帯機を車両用携帯機のカバーに収容した状態でも車両用携帯機の操作部を操作することができる。
【0014】
請求項3に記載の発明によれば、車両用携帯機のカバーを片手で把持し易くし、車両用携帯機の一部を車両用携帯機のカバーから露出し易くすることができる。
【0015】
請求項4に記載の発明によれば、車両用携帯機のカバーへの車両用携帯機の出し入れが容易となる。
【0016】
請求項5に記載の発明によれば、車両用携帯機のカバーを安定して確実に把持することができ、車両用携帯機のカバーを弾性変形させる際に親指により力付与部に力を付与し易くすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の実施例1を示すキーカバーの正面図である。
図2】同、キーカバーの背面図である。
図3】同、キーカバーの底面図である。なお、平面図は底面図と対称に表される。
図4】同、キーカバーの右側面図である。なお、左側面図は右側面図と対称に表される。
図5】同、キーカバーの正面側斜視図である。
図6】同、キーカバーの背面側斜視図である。
図7】同、図2のA-A断面図である。
図8】同、車両用鍵を収容した状態のキーカバーの正面図である。
図9】同、図8のB-B断面図である。
図10】同、車両用鍵をキーカバーから取り出す方法の説明図である。
図11】本発明の実施例2を示すキーカバーの正面図である。
図12】同、キーカバーの背面図である。
図13】同、キーカバーの底面図である。なお、平面図は底面図と対称に表される。
図14】同、キーカバーの右側面図である。なお、左側面図は右側面図と対称に表される。
図15】同、キーカバーの正面側斜視図である。
図16】同、キーカバーの背面側斜視図である。
図17】同、図12のA-A断面図である。
図18】同、車両用鍵を収容した状態のキーカバーの正面図である。
図19】同、図18のB-B断面図である。
図20】本発明の実施例3を示すキーカバーの正面図である。
図21】本発明の実施例4を示すキーカバーの正面図である。
図22】同、キーカバーの背面図である。
図23】同、キーカバーの底面図である。なお、平面図は底面図と対称に表される。
図24】同、キーカバーの右側面図である。なお、左側面図は右側面図と対称に表される。
図25】同、キーカバーの正面側斜視図である。
図26】同、キーカバーの背面側斜視図である。
図27】同、図22のA-A断面図である。
図28】同、車両用鍵を収容した状態のキーカバーの正面図である。
図29】同、図28のB-B断面図である。
図30】本発明の実施例5を示すキーカバーの正面図である。
図31】同、キーカバーの背面図である。
図32】同、キーカバーの底面図である。なお、平面図は底面図と対称に表される。
図33】同、キーカバーの右側面図である。なお、左側面図は右側面図と対称に表される。
図34】同、キーカバーの正面側斜視図である。
図35】同、キーカバーの背面側斜視図である。
図36】同、図31のA-A断面図である。
図37】同、車両用鍵を収容した状態のキーカバーの正面図である。
図38】同、図37のB-B断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施例について、添付の図1図20を参照して説明する。以下に説明する実施例は、特許請求の範囲に記載された本発明の内容を限定するものではない。また、以下に説明される構成の全てが、本発明の必須要件であるとは限らない。
【実施例1】
【0019】
図1図7に示す車両用携帯機のカバーとしてのキーカバー1は、車両用携帯機としての車両用鍵2(図8及び図9参照)を収容するものであり、弾性体であるシリコーンゴムにより一体成型されている。なお、キーカバー1は弾性変形可能であれば、他の素材により形成してもよい。図1は、キーカバー1の正面図であり、キーカバー1は正面視において、略楕円形状を有しており、略中央部には縦長略長方形状の開口部3を有している。また、キーカバー1の正面視左下部には、外側(正面視左下側)に突出して湾曲した第一当接部4が形成され、キーカバー1の正面視右側部分には凹状に湾曲した凹部5が形成されている。凹部5の下側には、外側(正面視右下側)に突出して湾曲した第二当接部6が形成されている。また、キーカバー1の上端部分である上端部7が外側(正面視上側)に突出して湾曲しており、キーカバー1の下端部分である下端部8も外側(正面視下側)に突出して湾曲している。キーカバー1は、凹部5を中心に上側の本体上部9の横幅W1が凹部5を中心に下側の本体下部10の横幅W2よりも幅狭に形成されている。
【0020】
開口部3を形成する開口縁部11は、四箇所の角部12,13,14,15が円弧状に形成されている。また、図7及び図9に示すように、開口部3の開口縁部11は、開口部3の開口面積がキーカバー1の内側よりもキーカバー1の外側の方が大きくなるように傾斜している。
【0021】
図1に示すように、平面視において、凹部5の頂点V1と第一当接部4の頂点V2は、凹部5の頂点V1における法線L上に位置している。
【0022】
車両用鍵2は、いわゆるスマートエントリー用のスマートキーであり、車両(図示せず)の扉の施錠、開錠及び開閉を遠隔操作可能な操作部16を有する(図8参照)。図8及び図9に示すように、車両用鍵2をキーカバー1に収容した状態では、車両用鍵2は操作部16を有する正面部17以外の面がキーカバー1に被覆される。正面部17も、操作部16とその周囲の僅かな部分のみが開口部3から露出し、操作部16よりも上側の部分である上側部18、操作部16よりも下側の部分である下側部分19、操作部16よりも左側の部分である左側部分20、操作部16よりも右側の部分である右側部分21はキーカバー1に被覆される。
【0023】
キーカバー1は、車両用鍵2の正面部17の上側部18、下側部19、左側部20、右側部21にそれぞれ当接する、上側被覆部22、下側被覆部23、左側被覆部24、右側被覆部25を有する。下側部19を被覆する下側被覆部23の被覆幅H1が最も長く、次いで上側被覆部22の被覆幅H2が長い。左側被覆部24の被覆幅H3及び右側被覆部25の被覆幅H4は略同一であり、被覆幅H2よりも短い。
【0024】
図7図9に示すように、キーカバー1の内面部26は、車両用鍵2の外形に対応した形状に形成されており、車両用鍵2をキーカバー1に収容した状態で、車両用鍵2の表面部27が内面部26と当接するようになっている。そのため、車両用鍵2はキーカバー1の内部で移動することがない。
【0025】
ここで、車両用鍵2のキーカバー1への収容方法について説明する。車両用鍵2の下側部分を開口部3からキーカバー1に挿入し、下側部19を下側被覆部23に当接させる。下側被覆部23の被覆幅H1は十分に長く形成されているため、車両用鍵2の下側部分をキーカバー1に挿入した状態で車両用鍵2はキーカバー1内に保持される。次に、キーカバー1の本体上部9を上側に伸ばすように弾性変形させて開口部3を広げ、車両用鍵2の上側部分を開口部3からキーカバー1に挿入し、上側部18を上側被覆部22に当接させる。最後に、左側部20に左側被覆部24を当接させると共に、右側部21に右側被覆部25を当接させることにより、車両用鍵2のキーカバー1への収容が完了する。この状態が車両用鍵2の収容状態である。
【0026】
次に、車両用鍵2のキーカバー1からの取り出し方法について説明する。図10(a)に示すように、キーカバー1を左手LHの手のひらPに載置し、図10(b)に示すように、第一当接部4を手のひらPに当接させ、第二当接部6を親指T以外の指(図10(b)では中指M及び薬指R)に当接させてキーカバー1を把持する。そして、親指Tを開口部3の上側部分の表面である力付与部28に当接させる。親指Tにより力付与部28を押圧することにより力付与部28に力が付与される。この時、キーカバー1の裏面部29には人差し指Iが当接しているため、キーカバー1は人差し指Iを支点として上端部7が裏面部29側に折れ曲がるように弾性変形し、車両用鍵2の上側部18、左側部20及び右側部21を含む上側部分がキーカバー1外に露出する(図10(C)参照)。この状態で、車両用鍵2の上側部分を右手(図示せず)で摘まんで開口部3から車両用鍵2を引き出すことにより、車両用鍵2のキーカバー1からの取り出しが完了する。
【0027】
親指Tにより力付与部28を押圧する際は、親指T以外の指からはキーカバー1に対して下側方向の力が付与され易い。キーカバー1には、第二当接部6の上側に凹部5が形成されているため、凹部5に対して第二当接部6が膨らみを有し、親指T以外の指を第二当接部6に係止し易くなっている。そのため、親指T以外の指にも力を入れ易く、親指Tによる力付与部28の押圧操作が容易となっている。
【0028】
以上のように、本実施例の車両用携帯機のカバーとしてのキーカバー1は、弾性体からなり、車両用携帯機としての車両用鍵2を収容し、収容された車両用鍵2の一部を片手で露出可能なキーカバー1であって、車両用鍵2を出し入れする開口部3と、手のひらPに当接させる第一当接部4と、親指T以外の指に当接させる第二当接部6と、第二当接部6の上側に形成された凹部5と、車両用鍵2の一部を露出させるためにキーカバー1を弾性変形させる際に親指Tにより力を付与する力付与部28と、を有することにより、キーカバー1を片手で把持した状態で、親指Tにより力付与部28に力を付与し、キーカバー1を弾性変形させることによりキーカバー1に収容した車両用鍵2の上側部分を露出させることができる。すなわち、キーカバー1に収容した車両用鍵2の一部を片手で容易に露出させることができる。また、第一当接部4を手のひらPに当接させ、第二当接部6を親指T以外の指に当接させることにより、キーカバー1を確実に把持することができ、親指Tにより力付与部28に力を付与し易くなる。また、第二当接部6の上側に凹部5が形成されているため、第二当接部6に当接した親指T以外の指に力を入れ易くなり、力付与部28に力を付与する際に親指Tに力を入れ易くなる。
【0029】
また、本実施例のキーカバー1は、開口部3は略矩形状に形成され、車両用鍵2を収容した状態で車両用鍵2の操作部16が開口部3から露出することにより、車両用鍵2をキーカバー1に収容した状態で操作部16を操作することができる。また、開口部3が略矩形状に形成されているため、力付与部28に力を付与してキーカバー1を弾性変形させることにより、車両用鍵2の一部が露出し易くなる。
【0030】
また、本実施例のキーカバー1は、第一当接部4が外側に突出して湾曲しており、第二当接部6が外側に突出して湾曲しており、凹部5が凹状に湾曲していることにより、キーカバー1が把持し易く、力付与部28に力を付与する際に、力を入れ易くなる。
【0031】
また、本実施例のキーカバー1は、正面視において、凹部5の頂点V1と第一当接部4の頂点V2が凹部5の頂点V1における法線L上に位置することにより、第一当接部4の頂点V2を手のひらPに当接させ、凹部5の頂点V1を人差し指Iや中指Mに当接させてキーカバー1を把持することで、キーカバー1を安定して確実に把持することができ、キーカバー1を弾性変形させる際に親指Tにより力付与部28に力を付与し易くすることができる。
【実施例2】
【0032】
図11図19は本発明の実施例2を示し、上記実施例1と同一部分に同一符号を付し、その詳細な説明を省略して詳述する。上記実施例1は左手で把持して車両用鍵2を取り出し可能状態とする、いわゆる左手用であるが、本実施例は右手(図示せず)で把持して車両用鍵2を取り出し可能状態とする、いわゆる右手用である。
【0033】
本実施例のキーカバー31は、上記実施例1の車両用鍵2よりも幅広な車両用鍵32(図18及び図19参照)を収容するものであり、車両用鍵32の操作部46は実施例1の操作部16と形状や大きさが異なるため、開口部33も実施例1の開口部3とは形状が異なる。
【0034】
図11は、キーカバー31の正面図であり、キーカバー31は正面視において、略楕円形状を有しており、略中央部には僅かに縦長の略長方形状に形成された開口部33を有している。また、キーカバー31の正面視右下部には、外側(正面視右下側)に突出して湾曲した第一当接部34が形成され、キーカバー31の正面視左側部分には凹状に湾曲した凹部35が形成されている。凹部35の下側には、外側(正面視左下側)に突出して湾曲した第二当接部36が形成されている。また、キーカバー31の上端部分である上端部37が外側(正面視上側)に突出して湾曲しており、キーカバー31の下端部分である下端部38も外側(正面視下側)に突出して湾曲している。キーカバー31は、凹部35を中心に上側の本体上部39の横幅W3が凹部35を中心に下側の本体下部40の横幅W4よりも幅狭に形成されている。
【0035】
開口部33を形成する開口縁部41は、四箇所の角部42,43,44,45が円弧状に形成されている。また、図17及び図19に示すように、開口部33の開口縁部41は、開口部33の開口面積がキーカバー31の内側よりもキーカバー31の外側の方が大きくなるように傾斜している。
【0036】
車両用鍵32は、いわゆるスマートエントリー用のスマートキーであり、車両(図示せず)の扉の施錠、開錠及び開閉を遠隔操作可能な操作部46を有する(図18参照)。図18及び図19に示すように、車両用鍵32をキーカバー31に収容した状態では、車両用鍵32は操作部46を有する正面部47以外の面がキーカバー31に被覆される。正面部47も、操作部46とその周囲の僅かな部分のみが開口部33から露出し、操作部46よりも上側の部分である上側部48、操作部46よりも下側の部分である下側部分49、操作部46よりも左側の部分である左側部分50、操作部46よりも右側の部分である右側部分51はキーカバー31に被覆される。
【0037】
キーカバー31は、車両用鍵32の正面部47の上側部48、下側部49、左側部50、右側部51にそれぞれ当接する、上側被覆部52、下側被覆部53、左側被覆部54、右側被覆部55を有する。下側部49を被覆する下側被覆部53の被覆幅H5が最も長く、次いで上側被覆部52の被覆幅H6が長い。左側被覆部54の被覆幅H7及び右側被覆部55の被覆幅H8は略同一であり、被覆幅H6よりも短い。
【0038】
図17図19に示すように、キーカバー31の内面部56は、車両用鍵32の外形に対応した形状に形成されており、車両用鍵32をキーカバー31に収容した状態で、車両用鍵32の表面部57が内面部56と当接するようになっている。そのため、車両用鍵32はキーカバー31の内部で移動することがない。
【0039】
ここで、車両用鍵32のキーカバー31への収容方法について説明する。車両用鍵32の下側部分を開口部33からキーカバー31に挿入し、下側部49を下側被覆部53に当接させる。下側被覆部53の被覆幅H5は十分に長く形成されているため、車両用鍵32の下側部分をキーカバー31に挿入した状態で車両用鍵32はキーカバー31内に保持される。次に、キーカバー31の本体上部39を上側に伸ばすように弾性変形させて開口部33を広げ、車両用鍵32の上側部分を開口部33からキーカバー31に挿入し、上側部48を上側被覆部52に当接させる。最後に、左側部50に左側被覆部54を当接させると共に、右側部51に右側被覆部55を当接させることにより、車両用鍵32のキーカバー31への収容が完了する。この状態が車両用鍵32の収容状態である。
【0040】
次に、車両用鍵32のキーカバー31からの取り出し方法について説明する。なお、本実施例の車両用鍵32の取り出しは、キーカバー31を右手に把持して行う点のみが実施例1と異なる。まず、キーカバー31を右手の手のひらに載置し、第一当接部34を右手の手のひらに当接させ、第二当接部36を親指以外の右手の指に当接させてキーカバー31を把持する。そして、右手の親指を開口部33の上側部分の表面である力付与部58に当接させる。右手の親指により力付与部58を押圧することにより力付与部58に力が付与される。この時、キーカバー31の裏面部59には右手の人差し指が当接しているため、キーカバー31は右手の人差し指を支点として上端部37が裏面部59側に折り曲がるように弾性変形し、車両用鍵32の上側部48、左側部50及び右側部51を含む上側部分がキーカバー31外に露出する。この状態で、車両用鍵32の上側部分を左手(図11図19には図示せず)で摘まんで開口部33から車両用鍵32を引き出すことにより、車両用鍵32のキーカバー31からの取り出しが完了する。
【実施例3】
【0041】
図20は、本発明の実施例3を示し、上記実施例1と同一部分に同一符号を付し、その詳細な説明を省略して詳述する。本実施例は、開口部3の開口縁部11の下側辺部61が第一当接部4側の開口部3の角部14から第二当接部6側の開口部3の角部15に向かって下側に傾斜している。そのため、上記実施例1の場合と比較して、開口部3の開口面積が大きくなっている。
【0042】
以上のように、本実施例の車両用携帯機のカバーとしてのキーカバー1は、開口部3の開口縁部11の下側辺部61が第一当接部4側から第二当接部6側に向かって下側に傾斜していることにより、力付与部28に力を付与し、キーカバー1を弾性変形させて車両用鍵2の上側部分をキーカバー1外に露出させた後、第二当接部6を下方に押し下げることにより、車両用鍵2の露出部分が多くなるため、車両用鍵2をキーカバー1から取り出し易くなる。親指Tにより力付与部28に力を付与すると、キーカバー1は裏面部29側に折り曲がるが、この時キーカバー1は正面視において僅かに左側にねじれるようにして裏面部29側に折り曲がる。そして、角部12は、平面視において左上側に引っ張られ、開口部3が平面視において左上側に伸ばされる。本実施例では、下側辺部61が角部14から角部15に向かって下側に傾斜しているため、キーカバー1を弾性変形させると、開口部3が角部12と角部15の対角線上に広がり、車両用鍵2が取り出し易くなる。また、キーカバー1を弾性変形させない状態であっても、上記実施例1の場合と比較して開口部3の開口面積が大きくなるため、車両用鍵2をキーカバー1に収容する際に入れ易くなる。
【実施例4】
【0043】
図21図29は、本発明の実施例4を示し、上記実施例1及び実施例2と同一部分に同一符号を付し、その詳細な説明を省略して詳述する。本実施例のキーカバー1Aは、実施例1のキーカバー1を実施例2の車両用鍵32用に開口部33と内面部56を形成したものである。
【実施例5】
【0044】
図30図38は、本発明の実施例5を示し、上記実施例1及び実施例2と同一部分に同一符号を付し、その詳細な説明を省略して詳述する。本実施例のキーカバー31Aは、実施例2のキーカバー31を実施例1の車両用鍵2用に開口部3と内面部26を形成したものである。
【0045】
なお、本発明は上記実施例に限定されるものではなく、本発明の要旨の範囲内において、種々の変形実施が可能である。例えば、キーカバーの内面部は収容する車両用鍵の外形に対応した形状とすることができ、開口部も様々な形状を採用することができる。
【符号の説明】
【0046】
1 キーカバー(車両用携帯機のカバー)
1A キーカバー(車両用携帯機のカバー)
2 車両用鍵(車両用携帯機)
3 開口部
4 第一当接部
5 凹部
6 第二当接部
7 上端部
8 下端部
11 開口縁部
16 操作部
26 内面部
28 力付与部
31 キーカバー(車両用携帯機のカバー)
31A キーカバー(車両用携帯機のカバー)
32 車両用鍵(車両用携帯機)
33 開口部
34 第一当接部
35 凹部
36 第二当接部
41 開口縁部
46 操作部
61 下側辺部
L 法線
P 手のひら
T 親指
V1 頂点
V2 頂点
図1
図2
図3
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