(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-11
(45)【発行日】2022-03-22
(54)【発明の名称】無線通信装置、センサ装置およびウェアラブルデバイス
(51)【国際特許分類】
H01Q 1/24 20060101AFI20220314BHJP
A61B 5/02 20060101ALI20220314BHJP
【FI】
H01Q1/24 Z
A61B5/02 310P
(21)【出願番号】P 2018024405
(22)【出願日】2018-02-14
【審査請求日】2021-01-07
(73)【特許権者】
【識別番号】000002945
【氏名又は名称】オムロン株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】503246015
【氏名又は名称】オムロンヘルスケア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100108855
【氏名又は名称】蔵田 昌俊
(74)【代理人】
【識別番号】100103034
【氏名又は名称】野河 信久
(74)【代理人】
【識別番号】100153051
【氏名又は名称】河野 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100179062
【氏名又は名称】井上 正
(74)【代理人】
【識別番号】100189913
【氏名又は名称】鵜飼 健
(74)【代理人】
【識別番号】100199565
【氏名又は名称】飯野 茂
(72)【発明者】
【氏名】田中 宏和
(72)【発明者】
【氏名】三浦 弘
(72)【発明者】
【氏名】岩田 祥平
【審査官】岸田 伸太郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-348136(JP,A)
【文献】国際公開第01/073889(WO,A1)
【文献】特開2016-040884(JP,A)
【文献】特開2004-028918(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01Q 1/24
A61B 5/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板と、
前記基板上に設置されたアンテナ回路と、
前記基板上に設置され、前記アンテナ回路と電気的に接続された通信回路と、
前記基板上に設置され、前記通信回路へエネルギーを供給するエネルギー供給部と
を具備し、
前記通信回路およびエネルギー供給部は、前記基板のうち、前記アンテナ回路の周囲に定められた領域外に設置され、
前記基板は、前記領域内に当該基板を貫通する穴部を備
え、
前記穴部には電気的に独立した浮遊導体が取り付けられる、
無線通信装置。
【請求項2】
支持体と、
前記穴部を通って前記基板を前記支持体に固定するねじ部材と
をさらに具備し、
前記ねじ部材は、金属材料を含む、
請求項1に記載の無線通信装置。
【請求項3】
少なくとも前記基板を収容する筐体をさらに具備し、
前記筐体は、金属材料を含み、
前記アンテナ回路は、前記筐体の間で寄生容量が生じるように設置される、
請求項1に記載の無線通信装置。
【請求項4】
前記アンテナ回路の電気長は、目標周波数の1/4波長よりも短い、請求項3に記載の無線通信装置。
【請求項5】
請求項1に記載の無線通信装置と、
物理量を測定し、センサデータを生成するセンサと
を具備し、
前記通信回路は、前記アンテナ回路を介して前記センサデータを送信する、
センサ装置。
【請求項6】
請求項1に記載の無線通信装置と、
物理量を測定し、センサデータを生成するセンサと、
前記センサデータを表示するディスプレイと
を具備する、センサ装置。
【請求項7】
前記センサは、血圧計を含む、請求項6に記載のセンサ装置。
【請求項8】
基板と、
前記基板上に設置されたアンテナ回路と、
前記基板上に設置され、前記アンテナ回路と電気的に接続された通信回路と、
前記基板上に設置され、前記通信回路へエネルギーを供給するエネルギー供給部と、を具備し、
前記通信回路およびエネルギー供給部は、前記基板のうち、前記アンテナ回路の周囲に定められた領域外に設置され、
前記基板は、前記領域内に当該基板を貫通する穴部を備える
、
無線通信装置と、
物理量を測定し、センサデータを生成する
、血圧計を含むセンサと、
前記センサデータを表示するディスプレイと
、
表面および裏面に第1の開口および第2の開口をそれぞれ有する略筒状の筐体と、
前記第1の開口の少なくとも一部を塞ぐ第1のカバー部材と、
前記第2の開口の少なくとも一部を塞ぐ第2のカバー部材と
を具備し、
前記筐体は、金属材料を含み、
前記第1のカバー部材は、前記ディスプレイからの光を通す透光性材料を含み、
前記第2のカバー部材は、その少なくとも一部の領域において金属材料を含まず、
前記筐体は、少なくとも前記基板を収容し、
前記第2のカバー部材の前記少なくとも一部の領域を前記基板に略平行な平面に投影した第1の正射影は、前記アンテナ回路の設置領域を当該平面に投影した第2の正射影を包含する
、
センサ装置。
【請求項9】
請求項8に記載のセンサ装置と、
前記筐体に接続されたベルト部材と
を具備する、ウェアラブルデバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アンテナを備える電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、様々なウェアラブルデバイスが市場投入されている。ウェアラブルデバイスは、ウェアラブルコンピュータとも呼ばれ、ユーザが身に着けて持ち歩くことのできるコンピュータである。
【0003】
ウェアラブルデバイスは、例えばユーザの健康管理に利用することができる。さらに、ウェアラブルデバイスは、他のコンピュータ、例えばスマートフォンと連携することで、当該他のコンピュータとの間で情報をやり取りすることができる。例えば、一部のスマートウォッチは、ユーザの心拍数、血圧などを測定するセンサを備えており、これらの生体情報をスマートフォンへ送信することができる。
【0004】
ウェアラブルデバイスは、ユーザが快適に装着できるように、例えばコンパクト性が求められる。例えば、ウェアラブルデバイスの1種であるスマートウォッチは、通常の腕時計と同様のコンパクト性が期待されるであろう。
【0005】
ウェアラブルデバイスは、典型的には無線通信で他のコンピュータと連携するので、アンテナを必要とする。アンテナはウェアラブルデバイスに外付けすることも可能であるものの、これは、アンテナが装着時の障害となり得ることに加え、アンテナと基板との間の導通構造およびその防水対策が必要となるという問題がある。他方、特にウェアラブルデバイスの筐体がコンパクトかつ金属材料を含む場合には、アンテナの省スペース化、他の金属部品との電気的干渉の緩和、電磁波の放射口の確保、など、必要な放射効率を確保しながらアンテナを電子機器内に設置するためのレイアウト上の制約は数多く、アンテナを特に金属筐体のウェアラブルデバイスに内蔵することは容易でない。
【0006】
特許文献1は、アンテナを省スペース化する技術に関する。この文献では、電子機器のケース本体に配置された金属製のベゼルとアンテナに含まれる金属製のリボンとを電磁界的に結合させ、リボンの等価電気長を1/4波長よりも短く設定している。
【0007】
また、特許文献2は、アンテナと他の金属部品との電気的干渉を緩和する技術に関する。この文献では、腕時計型情報機器において、無線通信用ICおよびチップアンテナが平面的に重畳しないように設置し、内部装置同士の電気的干渉の可能性を低くしている。
【0008】
さらに、特許文献3および特許文献4は、電磁波の放射口を確保する技術に関する。特許文献3では、外装ケースをプラスチック製とし、アンテナを、その最大放射方向が外装ケースの厚さ方向と交差し、かつ、金属製のベゼルに対して当該最大放射方向に重ならない位置に配置して、GPS衛星からの衛星信号がベゼルで遮られることを防いでいる。他方、特許文献4では、電波時計において、非金属製主蓋と金属製補助蓋とを有する裏蓋を用い、金属製補助蓋の一部を切断してスリットを形成して、標準電波が当該スリットを通過できるようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【文献】特開2016-40884号公報
【文献】特開2003-152582号公報
【文献】特開2015-81825号公報
【文献】特開2003-35787号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本開示は、放射効率の低下を抑制しながらアンテナを電子機器内に設置することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本開示の第1の態様によれば、無線通信装置は、基板と、前記基板上に設置されたアンテナ回路と、前記基板上に設置され、前記アンテナ回路と電気的に接続された通信回路と、前記基板上に設置され、前記通信回路へエネルギーを供給するエネルギー供給部とを具備し、前記通信回路およびエネルギー供給部は、前記基板のうち、前記アンテナ回路の周囲に定められた領域外に設置され、前記基板は、前記領域内に当該基板を貫通する穴部を備える。
【0012】
この無線通信装置は、基板上のアンテナ回路の給電点付近に領域が定められ、通信回路およびエネルギー供給部の当該領域への設置が禁じられる。他方で、基板は、ねじ部材を通す複数の穴部のうちの少なくとも1つが領域内に形成される。故に、この無線通信装置によれば、アンテナ回路の周囲に設置される金属体による放射効率の低下を抑制しながらも、領域が完全なデッドスペースとなることを防ぎ限られたスペースを有効に活用することができる。
【0013】
第1の態様に係る無線通信装置は、支持体と、前記穴部を通って前記基板を前記支持体に固定するねじ部材とをさらに具備し、前記ねじ部材は、金属材料を含んでもよい。この無線通信装置によれば、領域内の穴部を利用して基板をねじ止めすることができる。
【0014】
第1の態様に係る無線通信装置は、少なくとも前記基板を収容する筐体をさらに具備し、前記筐体は、金属材料を含み、前記アンテナ回路は、前記筐体の間で寄生容量が生じるように設置されてもよい。この無線通信装置(以降、本開示の第2の態様に係る無線通信装置と呼ぶ)によれば、アンテナ回路の電気長を等価的に延長することができる。
【0015】
第2の態様に係る無線通信装置において、前記アンテナ回路の電気長は、目標周波数の1/4波長よりも短くてもよい。この無線通信装置によれば、アンテナ回路の占有体積を減らし、筐体内部の限られたスペースを有効に活用することができる。
【0016】
本開示の第3の態様によれば、センサ装置は、第1の態様に係る無線通信装置と、物理量を測定し、センサデータを生成するセンサとを具備し、前記通信回路は、前記アンテナ回路を介して前記センサデータを送信する。第3の態様によれば、第1の態様に係る無線通信装置を含むセンサ装置を提供することができる。
【0017】
本開示の第4の態様によれば、センサ装置は、第1の態様に係る無線通信装置と、物理量を測定し、センサデータを生成するセンサと、前記センサデータを表示するディスプレイとを具備する。第4の態様によれば、第1の態様に係る無線通信装置を含むセンサ装置を提供することができる。
【0018】
第4の態様に係るセンサ装置において、前記センサは、血圧計を含んでもよい。このセンサ装置(以降、本開示の第5の態様に係るセンサ装置と呼ぶ)によれば、ユーザの血圧を測定してディスプレイに表示することができる。
【0019】
第5の態様に係るセンサ装置は、表面および裏面に第1の開口および第2の開口をそれぞれ有する略筒状の筐体と、前記第1の開口の少なくとも一部を塞ぐ第1のカバー部材と、前記第2の開口の少なくとも一部を塞ぐ第2のカバー部材とをさらに具備し、前記筐体は、金属材料を含み、前記第1のカバー部材は、前記ディスプレイからの光を通す透光性材料を含み、前記第2のカバー部材は、その少なくとも一部の領域において金属材料を含まず、前記筐体は、少なくとも前記基板を収容し、前記第2のカバー部材の前記少なくとも一部の領域を前記基板に略平行な平面に投影した第1の正射影は、前記アンテナ回路の設置領域を当該平面に投影した第2の正射影を包含してもよい。
【0020】
このセンサ装置(以降、本開示の第6の態様に係るセンサ装置と呼ぶ)によれば、アンテナ回路と第2のカバー部材の金属材料を含まない領域とが平面的に重畳する。故に、金属材料を含む筐体に内蔵されたことによるアンテナ回路の放射効率の低下を抑制することができる。
【0021】
本開示の第7の態様によれば、ウェアラブルデバイスは、第6の態様に係るセンサ装置と、前記筐体に接続されたベルト部材とを具備する。このウェアラブルデバイスは、ユーザの血圧を測定し、そのデータをディスプレイに表示したり、第1の態様に係る無線通信装置を介して送信したりすることができる。
【発明の効果】
【0022】
本開示によれば、放射効率の低下を抑制しながらアンテナを電子機器内に設置することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図3】実施形態に係る電子機器を含むシステムを例示する図。
【
図4】実施形態に係る電子機器のハードウェア構成を例示するブロック図。
【
図6】実施形態に係る電子機器におけるアンテナ回路と筐体との関係の説明図。
【
図7】アンテナ回路が単独で動作する場合のアンテナ電流の分布を例示する図。
【
図8】アンテナ回路に容量冠が接続された場合のアンテナ電流の分布を例示する図。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本開示の一側面に係る実施の形態(以下、「本実施形態」とも表記する)を、図面に基づいて説明する。
【0025】
なお、以降、説明済みの要素と同一または類似の要素には同一または類似の符号を付し、重複する説明については基本的に省略する。
【0026】
§1 適用例
まず、
図1を用いて、本実施形態の一適用例について説明する。
図1は、本実施形態に係る電子機器の適用例を模式的に示す。この電子機器100は、例えば、スマートウォッチなどのウェアラブルデバイスであって、
図1には示されないセンサ部によって測定したユーザの血圧を
図1には示されないディスプレイに表示したり、当該電子機器100に連携するスマートフォンなどの他のコンピュータへ送信したりする。電子機器100は、無線通信I/F(インタフェース)であるアンテナ回路120および通信回路130を備えている点に着目すれば無線通信装置と呼ぶことができるし、
図1には示されないセンサ部を備えている点に着目すればセンサ装置と呼ぶこともできる
図1に示されるとおり、電子機器100は、基板110と、アンテナ回路120と、通信回路130と、バッテリ140とを含む。
【0027】
基板110は、
図1には示されない電子機器100の筐体に収容され、当該基板110上にはアンテナ回路120および通信回路130が実装され、バッテリ140が設置される。
【0028】
基板110は、その表面裏面間を貫通する複数の穴部を有し、その1つである穴部111が
図1に示されている。基板110は、この穴部(111)において支持体にねじ止めにより固定され得る。ここで、支持体は、電子機器100の筐体であってもよいし、例えば回路ケースなどのそれ以外の部品であってもよい。また、穴部(111)を通って基板110を支持体に固定するねじ部材は、金属(すなわち導体)製であるか、または金属材料を含み得る。
【0029】
通信回路130およびバッテリ140などの金属体は、アンテナ回路120の放射効率に影響を与える。アンテナ電流の腹の位置付近にある金属体は、アンテナ電流と逆向きの電流を誘起し、見かけ上のアンテナ電流を低下させる。これは、アンテナ回路120からの放射効率を低下させる原因の1つと考えられる。金属体によって誘起される電流の大きさは、その金属体の大きさや、その金属体からアンテナ回路120までの距離に依存する。故に、かかる金属体は、基板110のうち、アンテナ回路120の周囲に定められた禁止領域112外に設置される。
【0030】
ここで、禁止領域112は、例えば、アンテナ回路120、すなわちアンテナ素子121、給電素子122および給電点123までの距離が略所定値以内の範囲に定められ得る。但し、アンテナ回路120の両端部よりも先、すなわちアンテナ素子121の先端(アンテナ素子121の開放端であって、アンテナ電流の節の位置)よりも先と、給電点123(アンテナ電流の腹の位置)よりも先とは、禁止領域112から除外されてよい。さらに、後述されるように、アンテナ素子121の先端と電子機器100の筐体との間に生じる寄生容量を、アンテナ素子121に接続される容量冠(キャパシティハット)として利用する場合には、アンテナ素子121の先端よりも先を禁止領域112に含めることとする。また、上記所定値は、例えば2mmであるが、これに限られない。このように禁止領域112を設けることで、アンテナ回路120の周囲に金属体を配置したことに起因する、放射効率の低下を抑制することができる。
【0031】
他方、前述のねじ部材は金属材料を含むものの、アンテナ回路120のGNDとは電気的に独立した浮遊導体(または絶縁導体とも呼べる)とみなすことができるので、アンテナ回路120の放射効率に大きな影響を与えない。ここで、浮遊導体とは、フローティング状態の金属であること、またはGNDとは電気的に独立した金属を意味し得る。故に、禁止領域112内に穴部111を敢えて設けることで、当該禁止領域が完全なデッドスペースとなることを防ぎ、電子機器100の筐体内部の限られたスペースを有効に活用することができる。
【0032】
アンテナ回路120は、マイクロ波、例えば、Bluetooth(登録商標)、Wi-Fi(登録商標)などにおいて使用される2.4GHz帯付近の電磁波で動作するように設計される。ここで、Bluetoothは、少なくとも、その仕様のバージョン4.0であるBLE(Bluetooth Low Energy)を含み得る。2.4GHz帯の電磁波の1/4波長は約3cmであるが、後述されるようにアンテナ素子121と電子機器100の筐体との間に生じる寄生容量を、アンテナ素子121に接続される容量冠として利用することで、アンテナ回路120の電気長を目標周波数の1/4波長未満に抑えることができる。なお、アンテナ回路120の目標周波数は2.4GHz帯に限定されない。
【0033】
アンテナ回路120は、基板110上に設置され、アンテナ素子121と、給電素子122と、給電点123とを含む。アンテナ素子121は、給電素子122と基板110との接続点である給電点123から給電素子122を介して給電される。
【0034】
アンテナ素子121は、小型の電子機器100に内蔵する観点では小型であることが好ましいので、例えばモノポール型アンテナ、逆L型アンテナ、逆F型アンテナなどの1/4波長アンテナを実装したチップアンテナであり得る。ただし、アンテナ素子121は、1/4波長アンテナに限定されないし、チップアンテナ以外にも、プリント基板(PCB:Printed Circuit Board)アンテナ、フレキシブル基板(FPC:Flexible Printed Circuit)アンテナ、鋳造の金属アンテナなどとして実装され得る。アンテナ素子121としてのチップアンテナにおいて、例えば、インダクタを形成する導体材料と、誘電体材料および磁性体材料とが積層され得る。
【0035】
給電素子122は、アンテナ素子121と、給電点123との間に接続される。給電素子122は、例えば銅などの導体材料を含む針金、パイプなどであってもよいし、基板110上に導電性の箔の貼付、またはエッチング、印刷などによって形成されてもよい。
【0036】
通信回路130は、基板110上に設置され、アンテナ回路120と電気的に接続される。通信回路130は、アンテナ回路120を介して、信号の送信処理および受信処理の少なくとも一方を行う。通信回路130は、信号の送信を実現するために、例えば、変調器、デジタルアナログ変換器、アップコンバータ、フィルタ、電力増幅器などを含み得る。また、通信回路130は、信号の受信を実現するために、例えば、低雑音増幅器、フィルタ、ダウンコンバータ、アナログデジタル変換器、復調器などを含み得る。また、通信回路130は、アンテナ回路120の送受信を切り替えるために、スイッチを含み得る。
【0037】
バッテリ140は、基板110上に設置され、通信回路130を含む電子機器100内の様々な要素へエネルギーを供給する。バッテリ140は、例えばリチウムイオン電池などの二次電池であり得るが、その他の二次電池、または一次電池であってもよい。また、バッテリ140は、より広義のエネルギー供給部に置き換えられてよい。このエネルギー供給部は、バッテリ140に相当するものであってもよいし、例えば振動発電などのエナジーハーベスティングにより発生させた電力を供給してもよい。
【0038】
以上説明したように、適用例に係る電子機器100では、基板110上のアンテナ回路120の給電点123付近に禁止領域112が定められ、通信回路130およびバッテリ140などの金属体の当該禁止領域112への設置が禁じられる。他方で、例えばねじ部材などの浮遊導体は、禁止領域112への設置が許容される。故に、基板110は、ねじ部材を通す複数の穴部の少なくともうちの1つ(111)が禁止領域112内に形成される。故に、この電子機器100によれば、アンテナ回路120の周囲に設置される金属体による放射効率の低下を抑制しながらも、禁止領域112が完全なデッドスペースとなることを防ぎその筐体内部の限られたスペースを有効に活用することができる。すなわち、電子機器100は、その無線通信に必要とされる性能を確保しながら、その筐体内部に最低限必要とされるスペースをより小さくすることができる。
【0039】
§2 構成例
図2に、実施形態に係る電子機器100の外観が例示される。
図2において電子機器100はスマートウォッチのように腕時計と類似した形状であるが、電子機器100の形状はこれに限定されない。
図2には、表面および裏面に開口のある略筒状の筐体210と、筐体210の表面側の開口(の少なくとも一部)を塞ぐガラス蓋220と、筐体210に接続されたベルト部材230とが描かれている。
【0040】
筐体210は、金属製であるか、または金属材料を含む(例えば、非金属材料に金属をメッキしたものであってもよい)。これにより、筐体210の耐久性を高め、かつ、高級感あるデザインにするとともに、
図6を用いて後述するように、アンテナ回路120の電気長を擬似的に延長する効果がある。
【0041】
ガラス蓋220は、ガラスまたはその他の透光性材料を含み、
図2には示されていないがディスプレイからの光を通す。すなわち、ユーザは、ディスプレイの表示内容をガラス蓋220越しに見ることができる。なお、ガラス蓋220を単にカバー部材と呼ぶこともできる。
【0042】
ベルト部材230は、筐体210の裏面、裏面側の開口(の少なくとも一部)を塞ぐ裏蓋、またはその他の支持体に接続される。ユーザは、筐体210の裏面が内側を向くようにベルト部材230を手首付近に巻き付けることで、電子機器100を装着できる。なお、後述されるように電子機器100がそのセンサ部の1つとして血圧計を備える場合に、ベルト部材230はカフとして使用され得る。
【0043】
図3に例示されるように、電子機器100は、例えばスマートフォン、タブレット端末、ラップトップなどの他のコンピュータであるユーザ装置310に接続される。電子機器100およびユーザ装置310は、例えばBluetoothなどの近距離無線通信を用いて接続され得る。電子機器100は、必要に応じて、血圧データ、動きデータ(例えば、加速度データもしくは角速度データ)、または動きデータに基づいて計算された歩数データ、活動量データ、消費カロリーデータなどのセンサデータをユーザ装置310へ送信してもよい。逆に、電子機器100は、ユーザ装置310から例えば着信通知、メール通知など種々のデータを受信して、そのディスプレイに表示してもよい。
【0044】
ユーザ装置310は、BluetoothまたはWiFiなどを用いて、電子機器100からセンサデータを受信する。他方、ユーザ装置310は、電子機器100に表示させるための種々のデータを電子機器100へ送信してもよい。また、ユーザ装置310は、
図3に例示されるように、ネットワーク経由でサーバ320に接続され得る。ただし、ユーザ装置310とサーバ320との接続は必須ではなく、電子機器100およびユーザ装置310の2者間で連携することもあり得る。ユーザ装置310は、例えば3G、4Gなどの移動体通信、Wi-Fi、Wi-maxなどを用いて、センサデータをネットワーク経由でサーバ320へ送信する。
【0045】
このほか、ユーザ装置310は、電子機器100によって送信されるセンサデータをグラフ化して表示してもよい。ユーザ装置310には、センサデータを管理するためのアプリケーションがインストールされていてもよい。
【0046】
サーバ320は、ユーザ装置310から送信されたセンサデータを蓄積する。サーバ320は、例えばユーザの保険加入査定、健康増進プログラムの成績評価などに供するために、保険会社またはプログラム運営者のPC(Personal Computer)などからのアクセスに応じて当該ユーザのセンサデータを送信してもよい。
【0047】
次に、
図4を用いて、電子機器100のハードウェア構成の一例について説明する。
図4は、電子機器100のハードウェア構成の一例を模式的に例示する。
【0048】
図4に例示するように、本実施形態に係る電子機器100は、制御部410と、通信回路130と、操作入力部420と、記憶部430と、出力装置440と、センサ部450とが電気的に接続されたコンピュータであってよい。さらに、電子機器100において、アンテナ回路120は通信回路130に電気的に接続され、バッテリ140は
図4の各要素にエネルギーを供給する。
【0049】
制御部410は、CPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)などを含む。CPUは、記憶部430に格納されたプログラムをRAMに展開する。そして、CPUがこのプログラムを解釈および実行することで、制御部410は、様々な情報処理を実行可能となる。
【0050】
例えば、制御部410は、通信回路130から受信データを受け取ったり、逆に通信回路130へ送信データを渡したりする。また、制御部410は、出力装置440へ出力データを渡したり、センサ部450による測定の開始/終了を命令したりする。さらに、制御部410は、操作入力部420からユーザによる操作入力を受け取り、これに応じた動作、例えば後述されるディスプレイ441の画面遷移、ユーザ装置310とのデータの送受信、センサ部450による測定の開始/終了制御、などを行う。
【0051】
操作入力部420は、ユーザによる操作入力を受け取るハードウェアである。操作入力部420は、例えば電子機器100の筐体210の側面に備え付けられたボタン、竜頭など、またはタッチスクリーンを含み得る。
【0052】
記憶部430は、いわゆる補助記憶装置であり、例えば、内蔵のフラッシュメモリなどの半導体メモリであり得る。記憶部430は、制御部410で実行されるプログラム、制御部410によって使用されるデータ(例えば、各種センサデータ)などを記憶する。
【0053】
出力装置440は、動画像、静止画像、テキストなどを表示するディスプレイ441を含んでいてもよく、さらに音声、楽曲などを出力するスピーカなどの他のデバイスを含み得る。ディスプレイ441は、例えば、液晶ディスプレイ、有機EL(electroluminescence)ディスプレイ、などである。ディスプレイ441は、センサデータ、ユーザ装置310からの受信データなどを表示し得る。
【0054】
センサ部450は、所定の物理量を測定してセンサデータを生成し、制御部410に渡す。センサ部450は、
図4に示した血圧計451のほか、動きセンサ(例えば、加速度センサ、ジャイロセンサなど)、カメラ(イメージセンサ)、マイクロフォン、脈波センサ、環境センサ(温度センサ、湿度センサ、気圧センサなど)などを含み得る。また、センサデータは、生のセンシングデータに限られず、これを補正したり、加工したりすることで生成されたデータを含み得る。
【0055】
血圧計451は、ユーザの血圧を1拍毎に連続測定可能な血圧計(以降、連続型血圧計と称する)を含むことができる。連続型血圧計は、脈波伝播時間(PTT;Pulse Transit Time)からユーザの血圧を連続測定してもよいし、トノメトリ法または他の技法により連続測定を実現してもよい。
【0056】
血圧計451は、連続型血圧計に代えて、または、加えて、連続測定不可能な血圧計(以降、非連続型血圧計と称する)を含むこともできる。非連続型血圧計は、例えば、オシロメトリック方式の血圧計であり得る。オシロメトリック方式の血圧計は、カフを加圧後に減圧していく段階での圧脈波を検出し、これに基づいてユーザの血圧を決定する。血圧計451がオシロメトリック方式の血圧計を含む場合に、前述のように、電子機器100のベルト部材230がカフとして使用されてもよい。
【0057】
非連続型血圧計(特に、オシロメトリック方式の血圧計)は、連続型血圧計に比べて、測定精度が高い傾向にある。故に、血圧計は、例えば、何らかの条件が満足する(例えば、連続型血圧計によって測定されたユーザの血圧データが所定の状態を示した)ことをトリガとして、連続型血圧計に代えて非連続型血圧計を作動させ、血圧データをより高い精度で測定してもよい。
【0058】
なお、電子機器100の具体的なハードウェア構成に関して、実施形態に応じて、適宜、構成要素の省略、置換及び追加が可能である。例えば、制御部410は、複数のプロセッサを含んでもよいし、電子機器100は、複数台の情報処理装置などで構成されてもよい。
【0059】
図5に、電子機器100の裏面が例示される。
図5に例示されるように、電子機器100において、筐体210の裏面側の開口(の少なくとも一部)は裏蓋510によって塞がれる。なお、筐体210および裏蓋510は必ずしも別個の部品である必要はなく、一体に形成されていてもよい。
【0060】
裏蓋510は、金属製であってもよいが、放射効率の低下を抑制する観点から、金属材料を全く含まないか、またはその少なくとも一部の領域において金属材料を含まないようにしてもよい。この少なくとも一部の領域とは、例えば、アンテナ回路120の設置領域と平面的に重畳するように定められる。具体的には、裏蓋510のうち金属材料を含まない領域を基板110に略平行な平面に投影した正射影は、アンテナ回路120の設置領域を当該平面に投影した正射影を包含する。すなわち、この裏蓋510(の少なくとも一部の領域)は、アンテナ回路120によって送受信される電磁波の放射口として利用することができる。裏蓋510は、例えばねじ止めにより、筐体210に接続され得る。裏蓋510を単にカバー部材と呼ぶこともできる。
【0061】
また、前述のように、筐体210は、アンテナ回路120の電気長を擬似的に延長する効果がある。基板110のうち
図5の破線領域に対応する領域では、
図6のように、アンテナ素子121の先端が、筐体210の一部に近接して配置されており、両者の間には寄生容量が生じることになる。この寄生容量は、容量冠とみなすことができ、アンテナ回路120の放射効率の低下を抑制しながら、アンテナ回路120の電気長を等価的に延長することができる。両者の距離は、例えば2mm以下に定められるが、これに限定されない。
【0062】
アンテナ回路120が単独で動作する場合に、アンテナ電流は、
図7に例示されるように、アンテナ素子121の先端(開放端)付近が節、給電点123付近が腹となるように分布する。他方、アンテナ素子121に容量冠が接続された場合に、アンテナ電流の節の位置は、
図8に例示されるように、
図7の例よりも遠方に延びている。これは、アンテナ回路120の電気長が延長されたことと等価である。故に、アンテナ回路120の電気長を目標周波数の1/4波長よりも短く設定したとしても、アンテナ回路120の動作時の共振周波数を目標周波数に近づけることが可能となる。
【0063】
図9には、電子機器100の断面構造の一例が示される。
図9は、電子機器100をその表面に略垂直な平面で、アンテナ回路120を通るように切断した断面の一例を表す。筐体210は、開口に連続する内壁面に、当該開口内側へ突出する突起部を有している。ガラス蓋220は、筐体210の突起部によって間隙を開けて支持される。
【0064】
筐体210の突起部とガラス蓋220との間隙には、絶縁部材610が充填される。この絶縁部材610は、この間隙を密封して防水・防塵効果を高めると同時に、筐体210の内部空間と外部空間との間で電磁波を通す電気的スリットを形成する。この電気的スリットは、アンテナ回路120によって送受信される電磁波の放射口として利用することができる。なお、絶縁部材610は、
図9のようにディスプレイ441との間に間隙を有していてもよいし、ディスプレイ441に接していてもよい。
【0065】
放射口の長さは、目標周波数の1/4波長以上であることが好ましい。仮に、ガラス蓋を直径3cm程度の円盤状と仮定すれば、その外周、すなわち約10cm程度の放射口を確保することができ、これは2.4GHz帯の電磁波に必要とされる放射口の長さである3cmを上回っている。この電気的スリットは、電子機器100の部品同士の間隙を利用して形成され、筐体210またはその他の部品の切削などの加工を必要としないので、電子機器100のデザインの自由度を殆ど制約しない。
【0066】
[作用・効果]
以上説明したように、実施形態に係る電子機器は、基板上にアンテナ回路、通信回路およびバッテリを設置するが、これら通信回路およびバッテリは基板のうちアンテナ回路の周囲に定められた禁止領域内への設置が禁じられる。他方、この電子機器において、基板は、上記禁止領域内にその表面裏面間を貫通する、ねじ止めのための穴部を有する。故に、この電子機器によれば、アンテナ回路の周囲に設置される金属体による放射効率の低下を抑制しながらも、禁止領域が完全なデッドスペースとなることを防ぎその筐体内部の限られたスペースを有効に活用することができる。すなわち、この電子機器は、その無線通信に必要とされる性能を確保しながら、その筐体内部に最低限必要とされるスペースをより小さくすることができる。
【0067】
§3 変形例
以上、本開示の実施の形態を詳細に説明してきたが、前述までの説明はあらゆる点において本開示の例示に過ぎない。本開示の範囲を逸脱することなく種々の改良や変形を行うことができることは言うまでもない。例えば、以下のような変更が可能である。なお、以下では、上記実施形態と同様の構成要素に関しては同様の符号を用い、上記実施形態と同様の点については、適宜説明を省略した。以下の変形例は適宜組み合わせ可能である。
【0068】
<4.1>
図9に電子機器100の断面構造を示したが、この変形例を
図10に示す。
図10は、電子機器100をその表面に略垂直な平面で、アンテナ回路120を通るように切断した断面の別の例を表す。筐体210は、
図9の例と同様に、開口に連続する内壁面に、当該開口内側へ突出する突起部を有している。ただし、この突起部は、ガラス蓋220ではなく環状枠710を間隙を開けて支持する。
【0069】
環状枠710は、表面および裏面に開口を有する、略筒状の枠体である。環状枠710は、その開口に連続する内壁に当該開口内側へ突出する突起部を有している。ガラス蓋220は、この突起部によって間隙を開けて支持される。環状枠710は、例えば、筐体210へ加わった外力がガラス蓋220に伝わる際の緩衝材、または装飾としての役割を果たすほか、後述するように電気的スリットを増設する効果がある。環状枠710は、ガラス蓋220を(間接的に)支持するので、支持部材と呼ぶこともできる。
【0070】
環状枠710の突起部とガラス蓋220との間隙には、絶縁部材720が充填される。また、筐体210の突起部と環状枠710との間隙には、絶縁部材730が充填される。これらの絶縁部材720および絶縁部材730は、これらの間隙を密封して防水・防塵効果を高めると同時に、筐体210の内部空間と外部空間との間で電磁波を通す電気的スリットを形成する。これらの電気的スリットは、アンテナ回路120によって送受信される電磁波の放射口として利用することができる。なお、絶縁部材720および絶縁部材730はそれぞれ、
図10のようにディスプレイ441との間に間隙を有していてもよいし、ディスプレイ441に接していてもよい。
【0071】
放射口の長さは、目標周波数の1/4波長以上であることが好ましい。仮に、ガラス蓋を直径3cm程度の円盤状と仮定すれば、その外周、すなわち約10cm程度の放射口を2箇所確保することができ、これらは2.4GHz帯の電磁波に必要とされる放射口の長さである3cmを上回っている。これらの電気的スリットは、電子機器100の部品同士の間隙を利用して形成され、筐体210またはその他の部品の切削などの加工を必要としないので、電子機器100のデザインの自由度を殆ど制約しない。
【0072】
なお、これら放射口の一方が不要である場合には、絶縁部材720および絶縁部材730の一方が省略されてもよい。また、
図9および
図10を用いて説明した、部品間に形成された電気的スリットに限らず、電子機器100が例えば非接触給電などの他の目的の開口を有する場合には、この開口をアンテナ回路120によって送受信される電磁波の放射口として利用してもよい。さらに、放射口の大きさが目標周波数の1/4波長に満たない場合であっても、当該放射口の近傍にアンテナ回路120を設置することで、放射効率の低下を抑制できる。
【0073】
ただし、ここまで説明した実施形態は全て、あらゆる点において本開示の例示に過ぎない。本開示の範囲を逸脱することなく種々の改良や変形を行うことができることは言うまでもない。つまり、本開示の実施にあたって、実施形態に応じた具体的構成が適宜採用されてもよい。なお、各実施形態において登場するデータを自然言語により説明しているが、より具体的には、コンピュータが認識可能な疑似言語、コマンド、パラメータ、マシン語等で指定される。
【0074】
上記各実施形態の一部または全部は、特許請求の範囲のほか以下に示すように記載することも可能であるが、これに限られない。
【0075】
基板(110)と、
前記基板上に設置されたアンテナ回路(120)と、
前記基板上に設置され、前記アンテナ回路と電気的に接続された通信回路(130)と、
前記基板上に設置され、前記通信回路へエネルギーを供給するエネルギー供給部(140)と
を具備し、
前記エネルギー供給部は、前記基板のうち、前記アンテナ回路の周囲に定められた領域(112)外に設置され、
前記基板は、前記領域内に当該基板を貫通する穴部(111)を備える、
無線通信装置(100)。
【符号の説明】
【0076】
100・・・電子機器
110・・・基板
111・・・穴部
112・・・禁止領域
120・・・アンテナ回路
121・・・アンテナ素子
122・・・給電素子
123・・・給電点
130・・・通信回路
140・・・バッテリ
210・・・筐体
220・・・ガラス蓋
230・・・ベルト部材
310・・・ユーザ装置
320・・・サーバ
410・・・制御部
420・・・操作入力部
430・・・記憶部
440・・・出力装置
441・・・ディスプレイ
450・・・センサ部
451・・・血圧計
510・・・裏蓋
610,720,730・・・絶縁部材
710・・・環状枠