(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-11
(45)【発行日】2022-03-22
(54)【発明の名称】運動案内装置用クランパ機構
(51)【国際特許分類】
F16C 29/10 20060101AFI20220314BHJP
F16C 29/06 20060101ALI20220314BHJP
【FI】
F16C29/10
F16C29/06
(21)【出願番号】P 2018027046
(22)【出願日】2018-02-19
【審査請求日】2021-02-03
(31)【優先権主張番号】P 2017044862
(32)【優先日】2017-03-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】390029805
【氏名又は名称】THK株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】592153953
【氏名又は名称】鍋屋バイテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100128749
【氏名又は名称】海田 浩明
(72)【発明者】
【氏名】望月 廣昭
(72)【発明者】
【氏名】栗林 宏臣
(72)【発明者】
【氏名】萩原 敬左
(72)【発明者】
【氏名】青山 正宏
【審査官】日下部 由泰
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2011/081209(WO,A1)
【文献】特開2016-164418(JP,A)
【文献】特開2008-32047(JP,A)
【文献】特開平8-62110(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16C 29/06
F16D 63/00
F16B 2/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
長手方向に延びて形成される軌道部材と、前記軌道部材に複数の転動体を介して取り付けられる移動部材と、を備えることにより、前記移動部材が前記軌道部材の長手方向で相対的に往復運動自在とされる運動案内装置に取り付けられ、前記移動部材を前記軌道部材の長手方向の任意の位置で拘束・非拘束とすることで、前記軌道部材に対する前記移動部材の位置決めを行う運動案内装置用クランパ機構であって、
前記軌道部材の長手方向に沿って前記移動部材とともに往復運動自在とされるクランパ本体部と、
前記クランパ本体部に対して取り付けられる軸状に形成された一対のアーム部材と、
を備え、
前記一対のアーム部材のそれぞれが、軸状に形成されたアーム部材の一端側で前記クランパ本体部に対して一の回動軸を介して取り付けられることで、前記軌道部材の長手方向に対して垂直な線を回動軸として回動自在とされるとともに、
軸状に形成されたアーム部材の他端側において前記一対のアーム部材で挟み込むように弾性力を有する弾性体が設置されることで、前記一対のアーム部材は、常には前記弾性体が及ぼす弾性力によって前記一対のアーム部材の他端側が離れる方向又は近づく方向に回動し、前記弾性体が及ぼす弾性力に抗する外力を受けたときには前記一対のアーム部材の他端側が近づく方向又は離れる方向に回動することで、前記軌道部材の長手方向に対して垂直な線を回動軸として回動可能とされ、また、
軸状に形成されたアーム部材における前記回動軸と前記弾性体との設置位置の間には、一個又は複数個の転動体が転動自在な状態で
前記アーム部材に配置されており、
前記一個又は複数個の転動体は、前記軌道部材の一面と前記クランパ本体部に形成された内面との対向面間に配置されており、さらに、
前記クランパ本体部の前記内面が、前記軌道部材の一面の端に行くほど対向面間の距離が狭くなるようにテーパー形状を有するように形成されることで、
前記弾性体が及ぼす弾性力又は当該弾性体が及ぼす弾性力に抗する外力によって前記一対のアーム部材の他端側が離れる方向に回動するときには、前記一個又は複数個の転動体が、前記軌道部材の一面と前記クランパ本体部の前記内面との対向面間の距離が狭い位置に向けて弾性力を受けることで前記テーパー形状に基づく摩擦力を及ぼされ、前記軌道部材に対する前記クランパ本体部の拘束が実行され、
前記弾性体が及ぼす弾性力に抗する外力又は当該弾性体が及ぼす弾性力を受けることによって前記一対のアーム部材の他端側が近づく方向に回動するときには、前記一個又は複数個の転動体が、前記軌道部材の一面と前記クランパ本体部の前記内面との対向面間の距離が狭い位置から退避することで前記テーパー形状に基づく摩擦力が解除され、前記軌道部材に対する前記クランパ本体部の非拘束が実行されるように構成されることを特徴とする運動案内装置用クランパ機構。
【請求項2】
請求項
1に記載の運動案内装置用クランパ機構において、
前記移動部材の高さ寸法に対して、前記クランパ本体部の高さ寸法が同一又は小さくなるように構成されることを特徴とする運動案内装置用クランパ機構。
【請求項3】
請求項
1又は
2に記載の運動案内装置用クランパ機構において、
前記弾性体がコイルバネとして構成されることを特徴とする運動案内装置用クランパ機構。
【請求項4】
請求項
1~
3のいずれか1項に記載の運動案内装置用クランパ機構において、
軸状に形成されたアーム部材の他端側には、前記一対のアーム部材を接続するようにワイヤーケーブルが設置されており、
前記ワイヤーケーブルは、
前記一対のアーム部材の他端側を導通するように架け渡されるワイヤーと、
前記ワイヤーの先端部に固定設置されるニップルと、
前記ワイヤーを軸線方向で移動可能な状態で被覆するアウターチューブと、
を有して構成されており、
前記ニップルと前記アウターチューブとで前記一対のアーム部材の他端側を挟み込むように設置された状態で、前記ニップルと前記アウターチューブとの間隔を狭めるように前記ワイヤーを引くことで、前記一対のアーム部材の他端側が近づく方向に回動させる前記弾性体が及ぼす弾性力に抗した外力を発生可能としたことを特徴とする運動案内装置用クランパ機構。
【請求項5】
請求項
4に記載の運動案内装置用クランパ機構において、
前記クランパ本体部には、前記一対のアーム部材のいずれか一方の他端側と前記アウターチューブとの間に配置されるとともに、前記アウターチューブを固定設置する固定壁面が形成されていることを特徴とする運動案内装置用クランパ機構。
【請求項6】
請求項
1~
5のいずれか1項に記載の運動案内装置用クランパ機構において、
前記一対のアーム部材のそれぞれには、軸状に形成されたアーム部材の一端側に係合形状部が形成されており、
前記一対のアーム部材のそれぞれに形成された前記係合形状部が係合状態となるように、前記一対のアーム部材が前記クランパ本体部に取り付けられることで、前記一対のアーム部材の他端側が離れる方向又は近づく方向に回動するときに、前記一対のアーム部材が連動して回動するように構成されることを特徴とする運動案内装置用クランパ機構。
【請求項7】
請求項
6に記載の運動案内装置用クランパ機構において、
前記係合形状部が、歯車形状又はセレーション形状によって形成されることを特徴とする運動案内装置用クランパ機構。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、運動案内装置に用いられるクランパ機構に関するものである。
【背景技術】
【0002】
テーブル等の移動体の直線運動や曲線運動を案内するための機械要素として、案内部分にボール、ローラ等の転動体を介在させた運動案内装置は、軽快な動きが得られるので、ロボット、工作機械、半導体・液晶製造装置、医療機器等、様々な分野で利用されている。
【0003】
運動案内装置の一種であるリニアガイドは、長手方向に延びて形成される軌道部材としての軌道レールと、軌道レールに複数の転動体を介して取り付けられる移動部材としての移動ブロックと、を備えることにより、移動ブロックが軌道レールの長手方向で相対的に往復運動自在とされる装置である。軌道レールには、長手方向に沿って伸びる転動体転走溝が形成されている。一方、移動ブロックには、転動体転走溝に対向する負荷転動体転走溝が形成されるとともに、転動体を循環させる転動体循環経路が設けられている。また、軌道レールの転動体転走溝と移動ブロックの負荷転動体転走溝との間には、転動体が負荷を受けた状態で転走自在に配列されている。軌道レールに対して移動ブロックが相対的に直線運動すると、軌道レールと移動ブロックとの間に配列された転動体が転がり運動し、また転動体循環経路内を無限に循環することとなる。
【0004】
なお、この種の運動案内装置を開示するものとして、下記特許文献1などが存在している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述したリニアガイド等の運動案内装置を用いる場合、軌道レール上の移動ブロックを任意の位置で位置保持したい場合が存在する。このような要請を実現するために、従来技術では一般的に、軌道レールに一定間隔でピン孔を開けておき、このピン孔にピン軸を挿し込むことで移動ブロックの位置保持が行われていた。
【0007】
しかしながら、ピン孔とピン軸を用いた従来の位置保持手段では、保持位置に制約が多く、軌道レール上の移動ブロックを任意の位置で位置保持することは困難である。
【0008】
一方、従来の機械要素一般に用いられるクランパ機構は種々存在するが、単に従来のクランパ機構をリニアガイド等の運動案内装置に適用することには多くの困難が伴うものである。例えば、リニアガイドは、軌道レールが基台等のベース部材に取り付けられるとともに、移動ブロックには案内対象物が取り付けられることになるので、これらの取付部材の移動を阻害せず、かつ、好適な案内精度を維持するためには、軽量化と小型化が同時に実現されたクランパ機構を用いる必要がある。しかしながら、そのようなクランパ機構は従来存在していなかった。
【0009】
本発明は、上述した従来技術に存在する課題に鑑みて成されたものであり、その目的は、軽量化と小型化が同時に実現されるとともに、リニアガイド等の運動案内装置に対して好適に用いることのできる従来技術にはない新たな運動案内装置用クランパ機構を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明に係る運動案内装置用クランパ機構は、長手方向に延びて形成される軌道部材と、前記軌道部材に複数の転動体を介して取り付けられる移動部材と、を備えることにより、前記移動部材が前記軌道部材の長手方向で相対的に往復運動自在とされる運動案内装置に取り付けられ、前記移動部材を前記軌道部材の長手方向の任意の位置で拘束・非拘束とすることで、前記軌道部材に対する前記移動部材の位置決めを行う運動案内装置用クランパ機構であって、前記軌道部材の長手方向に沿って前記移動部材とともに往復運動自在とされるクランパ本体部と、前記クランパ本体部に対して取り付けられる軸状に形成された一対のアーム部材と、を備え、前記一対のアーム部材のそれぞれが、軸状に形成されたアーム部材の一端側で前記クランパ本体部に対して一の回動軸を介して取り付けられることで、前記軌道部材の長手方向に対して垂直な線を回動軸として回動自在とされるとともに、軸状に形成されたアーム部材の他端側において前記一対のアーム部材で挟み込むように弾性力を有する弾性体が設置されることで、前記一対のアーム部材は、常には前記弾性体が及ぼす弾性力によって前記一対のアーム部材の他端側が離れる方向又は近づく方向に回動し、前記弾性体が及ぼす弾性力に抗する外力を受けたときには前記一対のアーム部材の他端側が近づく方向又は離れる方向に回動することで、前記軌道部材の長手方向に対して垂直な線を回動軸として回動可能とされ、また、軸状に形成されたアーム部材における前記回動軸と前記弾性体との設置位置の間には、一個又は複数個の転動体が転動自在な状態で前記アーム部材に配置されており、前記一個又は複数個の転動体は、前記軌道部材の一面と前記クランパ本体部に形成された内面との対向面間に配置されており、さらに、前記クランパ本体部の前記内面が、前記軌道部材の一面の端に行くほど対向面間の距離が狭くなるようにテーパー形状を有するように形成されることで、前記弾性体が及ぼす弾性力又は当該弾性体が及ぼす弾性力に抗する外力によって前記一対のアーム部材の他端側が離れる方向に回動するときには、前記一個又は複数個の転動体が、前記軌道部材の一面と前記クランパ本体部の前記内面との対向面間の距離が狭い位置に向けて弾性力を受けることで前記テーパー形状に基づく摩擦力を及ぼされ、前記軌道部材に対する前記クランパ本体部の拘束が実行され、前記弾性体が及ぼす弾性力に抗する外力又は当該弾性体が及ぼす弾性力を受けることによって前記一対のアーム部材の他端側が近づく方向に回動するときには、前記一個又は複数個の転動体が、前記軌道部材の一面と前記クランパ本体部の前記内面との対向面間の距離が狭い位置から退避することで前記テーパー形状に基づく摩擦力が解除され、前記軌道部材に対する前記クランパ本体部の非拘束が実行されるように構成されることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、軽量化と小型化が同時に実現されるとともに、リニアガイド等の運動案内装置に対して好適に用いることのできる従来技術にはない新たな運動案内装置用クランパ機構を提供することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本実施形態に係る運動案内装置用クランパ機構を用いることのできる運動案内装置であるリニアガイドの一形態を例示する外観斜視図である。
【
図2】
図1で示したリニアガイドが備える無限循環路を説明するための断面図である。
【
図3A】本実施形態に係る運動案内装置用クランパ機構を正面側斜め上方から見た場合の外観斜視図である。
【
図3B】本実施形態に係る運動案内装置用クランパ機構を背面側斜め上方から見た場合の外観斜視図である。
【
図4】本実施形態に係る運動案内装置用クランパ機構の分解斜視図である。
【
図5A】本実施形態に係る運動案内装置用クランパ機構が拘束状態にある場合を示す図であり、特に、正面側斜め上方から見た場合の外観斜視図を示している。
【
図5B】本実施形態に係る運動案内装置用クランパ機構が拘束状態にある場合を示す図であり、特に、正面側斜め下方から見た場合の外観斜視図を示している。
【
図5C】本実施形態に係る運動案内装置用クランパ機構が拘束状態にある場合を示す図であり、特に、外観上面図を示している。
【
図5D】本実施形態に係る運動案内装置用クランパ機構が拘束状態にある場合を示す図であり、特に、
図5C中のI-I断面を示している。
【
図6A】本実施形態に係る運動案内装置用クランパ機構が非拘束状態にある場合を示す図であり、特に、正面側斜め上方から見た場合の外観斜視図を示している。
【
図6B】本実施形態に係る運動案内装置用クランパ機構が非拘束状態にある場合を示す図であり、特に、正面側斜め下方から見た場合の外観斜視図を示している。
【
図6C】本実施形態に係る運動案内装置用クランパ機構が非拘束状態にある場合を示す図であり、特に、外観上面図を示している。
【
図6D】本実施形態に係る運動案内装置用クランパ機構が非拘束状態にある場合を示す図であり、特に、
図6C中のII-II断面を示している。
【
図7】本発明に係る運動案内装置用クランパ機構が取り得る多様な改良例の一つを示す部分破断図であり、図中の分図(a)は、軌道レールに対するクランパ本体部の拘束状態を示しており、図中の分図(b)は、軌道レールに対するクランパ本体部の非拘束状態を示している。
【
図8】本発明に係る運動案内装置用クランパ機構が取り得る別の改良例を示す部分破断図であり、図中の分図(a)は、軌道レールに対するクランパ本体部の拘束状態を示しており、図中の分図(b)は、軌道レールに対するクランパ本体部の非拘束状態を示している。
【
図9】
図8で示した本発明に係る別の改良例に係る運動案内装置用クランパ機構の変形例を示す図であり、図中の分図(a)は、軌道レールに対するクランパ本体部の拘束状態を示しており、図中の分図(b)は、軌道レールに対するクランパ本体部の非拘束状態を示している。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明を実施するための好適な実施形態について、図面を用いて説明する。なお、以下の実施形態は、各請求項に係る発明を限定するものではなく、また、実施形態の中で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。
【0015】
まず、
図1および
図2を用いて、本実施形態に係る運動案内装置用クランパ機構30を用いることのできる運動案内装置としてのリニアガイド10の全体構成について説明する。ここで、
図1は、本実施形態に係る運動案内装置用クランパ機構を用いることのできる運動案内装置であるリニアガイドの一形態を例示する外観斜視図である。また、
図2は、
図1で示したリニアガイドが備える無限循環路を説明するための断面図である。
【0016】
図1および
図2で示すリニアガイド10は、軌道部材としての軌道レール11と、軌道レール11に多数の転動体として設置されるボール12を介してスライド可能に取り付けられた移動部材としての移動ブロック13とを備えている。軌道レール11には、取付手段としてのボルトを軌道レール11の上面から下面に通すことで、軌道レール11を基台等のベース部材に取り付けるためのボルト孔11bが等間隔で形成されており、このボルト孔11bを利用することで、軌道レール11が基準面となるベース部材等に固定設置できるようになっている。また、軌道レール11は、その長手方向と直交する断面が概略矩形状に形成された長尺の部材であり、その表面(上面および両側面)には、ボール12が転がる際の軌道になる軌道面としての転動体転走溝11aが軌道レール11の全長に亘って形成されている。
【0017】
軌道レール11については、直線的に伸びるように形成されることもあるし、曲線的に伸びるように形成されることもある。また、
図1および
図2において例示する転動体転走溝11aの本数は左右で2条ずつ合計4条設けられているが、その条数はリニアガイド10の用途等に応じて任意に変更することができる。
【0018】
一方、移動ブロック13には、転動体転走溝11aとそれぞれ対応する位置に軌道面としての負荷転動体転走溝13aが設けられている。軌道レール11の転動体転走溝11aと移動ブロック13の負荷転動体転走溝13aとによって負荷転動体転走路22が形成され、複数のボール12が挟まれている。また、移動ブロック13には、各転動体転走溝11aと平行に伸びる4条の無負荷転動体転走路23がその内部に形成されている。
【0019】
さらに、移動ブロックの移動方向の両端部には、一対の蓋部17,17が設置されている。この一対の蓋部17,17には、それぞれに方向転換路25が設けられている。この方向転換路25は、無負荷転動体転走路23の端と負荷転動体転走路22の端とを結ぶことができるように構成されている。したがって、1つの負荷転動体転走路22および無負荷転動体転走路23と、それらを結ぶ一対の方向転換路25,25との組み合わせによって、1つの無限循環路が構成されている(
図2参照)。
【0020】
そして、複数のボール12が、負荷転動体転走路22と無負荷転動体転走路23と一対の方向転換路25,25とから構成される無限循環路に無限循環可能に設置されることにより、移動ブロック13が軌道レール11に対して相対的に往復運動可能となっている。
【0021】
また、一対の蓋部17,17のそれぞれには、一対の方向転換路25,25の外側において移動ブロック13と軌道レール11との隙間を塞ぐように、シール部材としての一対のエンドシール15,15が設置されている。このエンドシール15は、軌道レール11との接触箇所にリップ部を備えることができ、このリップ部もしくはエンドシール15自体が軌道レール11に対して隙間なく摺接することで、リニアガイド10に対して防塵効果を付与することができるようになっている。
【0022】
以上、本実施形態に係る運動案内装置用クランパ機構を用いることのできるリニアガイド10の全体構成について説明した。次に、上述したリニアガイド10に対して好適に用いることのできる本実施形態に係る運動案内装置用クランパ機構30の基本的な構成について、
図3A、
図3Bおよび
図4を用いて説明する。ここで、
図3Aは、本実施形態に係る運動案内装置用クランパ機構を正面側斜め上方から見た場合の外観斜視図であり、
図3Bは、本実施形態に係る運動案内装置用クランパ機構を背面側斜め上方から見た場合の外観斜視図である。また、
図4は、本実施形態に係る運動案内装置用クランパ機構の分解斜視図である。
【0023】
本実施形態に係る運動案内装置用クランパ機構30は、軌道レール11の長手方向に沿って移動ブロック13とともに往復運動自在とされるクランパ本体部31と、このクランパ本体部31に対して取り付けられる軸状に形成された一対のアーム部材41,41と、を備えて構成されている。
【0024】
クランパ本体部31は、側方側から見たとき、すなわち軌道レール11の長手方向に沿った軸方向から見たときに、略逆U字形をした部材として構成されている。クランパ本体部31の下方側、すなわち略逆U字形の「U」字の開放側は、軌道レール11の上方側部分の形状に沿った形状を有して構成されているので、軌道レール11の上方側部分に対してクランパ本体部31の下方側部分を嵌め込むことで、クランパ本体部31は、軌道レール11の長手方向に沿った往復運動が可能となっている。なお、軌道レール11とクランパ本体部31とは、互いに対応した形状の作用によって取り付けられているので、クランパ本体部31は軌道レール11に対して滑り接触しながら往復運動が可能な状態となっている。
【0025】
また、クランパ本体部31には、一対のアーム部材41,41が取り付けられている。一対のアーム部材41,41のそれぞれは、軸状に形成された部材である。アーム部材41には、一端側(
図4における紙面左上側)に軸孔42が形成されている。また、クランパ本体部31にも、アーム部材41の軸孔42に対応した取付孔32が形成されており、これら取付孔32と軸孔42に対して回動軸34を導通して設置することが可能となっている。したがって、一対のアーム部材41,41のそれぞれが、軸状に形成されたアーム部材41の一端側でクランパ本体部31に対して一の回動軸34を介して取り付けられることで、一対のアーム部材41,41のそれぞれは、軌道レール11の長手方向に対して垂直な線を回動軸として回動自在とされている。
【0026】
一方、軸状に形成されたアーム部材41の他端側(
図4における紙面右下側)には、弾性力を有する弾性体であるコイルバネ53を設置するための取付孔43が形成されている。そして、
図3Aおよび
図3Bで示されるように、一対のアーム部材41,41がそれぞれ有する取付孔43,43に対してコイルバネ53を挿入し、一対のアーム部材41,41で挟み込むように当該コイルバネ53が設置されることで、一対のアーム部材41,41では、常にはコイルバネ53が及ぼす弾性力によって一対のアーム部材41,41の他端側(すなわち、コイルバネ53設置側)が離れる方向に回動する。また、一対のアーム部材41,41では、コイルバネ53が及ぼす弾性力に抗する外力を受けたときには、一対のアーム部材41,41の他端側(すなわち、コイルバネ53設置側)が近づく方向に回動することとなる。つまり、一対のアーム部材41,41は、それぞれ回動軸34,34を回動中心として、軌道レール11の長手方向に対して垂直な線を回動軸として回動可能とされているのである。
【0027】
さらに、軸状に形成されたアーム部材41における回動軸34とコイルバネ53との設置位置の間には、一個のボール55を転動自在な状態で保持するためのボール保持孔45が形成されている。このボール保持孔45には、ボール55が転動自在な状態で配置されており、さらに、このボール55は、軌道レール11の一面である上面と、クランパ本体部31に形成された内面35(なお、「内面35」については、後に詳述する。)との対向面間に配置されている。そして、一対のアーム部材41,41のそれぞれが、回動軸34,34を回動中心として、軌道レール11の長手方向に対して垂直な線を回動軸として回動動作する際に、軌道レール11の一面である上面とクランパ本体部31に形成された内面との対向面間においてボール55が転がり運動を行うことで、一対のアーム部材41,41が行う回動動作を当該ボール55が案内することとなる。
【0028】
またさらに、一対のアーム部材41,41においてコイルバネ53が設置された位置、すなわち軸状に形成されたアーム部材41の他端側の位置には、一対のアーム部材41,41を接続するようにワイヤーケーブル61が設置されている。このワイヤーケーブル61は、一対のアーム部材41,41の他端側を導通するように架け渡されるワイヤー62と、ワイヤー62の先端部に固定設置されるニップル63と、ワイヤー62を軸線方向で移動可能な状態で被覆するアウターチューブ64と、を有して構成されている。そして、このワイヤーケーブル61は、
図3Aおよび
図3Bで示すように、ニップル63とアウターチューブ64とで一対のアーム部材41,41の他端側を挟み込むように設置されているので、ニップル63とアウターチューブ64との間隔を狭めるようにワイヤー62を引くことで、一対のアーム部材41,41の他端側が近づく方向に回動させるための外力、すなわちコイルバネ53が及ぼす弾性力に抗した外力を発生させることが可能となっている。
【0029】
なお、ワイヤーケーブル61には、ワイヤー62を引くための不図示のハンドル等を取り付けることが可能であり、このハンドル等については、例えば自転車のブレーキシステムで用いられる機構を適用することが可能である。かかる公知の機構を採用することで、本実施形態に係るワイヤーケーブル61の好適な動作が実現可能である。
【0030】
以上、本実施形態に係る運動案内装置用クランパ機構30の基本的な構成についての説明を行った。次に、
図5A~
図6Dを参照図面に加えることで、本実施形態に係る運動案内装置用クランパ機構30の具体的な特徴事項と動作について説明を行う。ここで、
図5A~
図5Dは、本実施形態に係る運動案内装置用クランパ機構が拘束状態にある場合を示す図であり、特に、
図5Aが正面側斜め上方から見た場合の外観斜視図を示しており、
図5Bが正面側斜め下方から見た場合の外観斜視図を示しており、
図5Cが外観上面図を示しており、
図5Dが
図5C中のI-I断面を示している。また、
図6A~
図6Dは、本実施形態に係る運動案内装置用クランパ機構が非拘束状態にある場合を示す図であり、特に、
図6Aが正面側斜め上方から見た場合の外観斜視図を示しており、
図6Bが正面側斜め下方から見た場合の外観斜視図を示しており、
図6Cが外観上面図を示しており、
図6Dが
図6C中のII-II断面を示している。
【0031】
上述したように、本実施形態に係る運動案内装置用クランパ機構30では、軸状に形成されたアーム部材41における回動軸34とコイルバネ53との設置位置の間において、一個のボール55を転動自在な状態で保持するためのボール保持孔45が形成されており、このボール保持孔45には、一個のボール55が転動自在な状態で配置されている。そして、このボール55は、軌道レール11の一面である上面と、クランパ本体部31に形成された内面35との対向面間に配置されている。ここで、クランパ本体部31に形成された内面35の形状が、
図5Dおよび
図6Dによって明確に示されている。
【0032】
本実施形態に係るクランパ本体部31に形成された内面35は、クランパ本体部31の上方側、すなわち略逆U字形の「U」字の反開放側の内面として形成される部位である。そして、本実施形態に係るクランパ本体部31の内面35は、軌道レール11の上面の端に行くほど対向面間の距離が狭くなるようなテーパー形状として形成されている。したがって、一対のアーム部材41,41が扇状の動作を行う際には、一対のアーム部材41,41に形成されたボール保持孔45によって保持されたボール55は、軌道レール11の上面とテーパー形状として形成されたクランパ本体部31の内面35との間で転動動作を行うこととなる。
【0033】
そして、
図5A~
図5Dで示すように、コイルバネ53が及ぼす弾性力によって一対のアーム部材41,41の他端側が離れる方向に回動している通常状態のときには、一対のアーム部材41,41にそれぞれ一個ずつ設置された一対のボール55は、軌道レール11の上面とクランパ本体部31の内面35との対向面間の距離が狭い位置、すなわち
図5Dにおける紙面の左右外方側に向けて弾性力を受けるので、ボール55はテーパー形状に基づく摩擦力を及ぼされ、軌道レール11に対するクランパ本体部31の拘束が実行されることとなる。
【0034】
一方、ワイヤーケーブル61を駆動してワイヤー62を引くと、
図6A~
図6Dで示すように、一対のアーム部材41,41は、コイルバネ53が及ぼす弾性力に抗する外力を受けることになるので、一対のアーム部材41,41では、他端側が近づく方向に回動することとなる。このとき、一対のアーム部材41,41にそれぞれ一個ずつ設置された一対のボール55は、軌道レール11の上面とクランパ本体部31の内面35との対向面間の距離が狭い位置から退避することとなる。すなわち、
図6Dにおける紙面の左右内方側に向けて移動するように外力を受けるので、ボール55はテーパー形状に基づく摩擦力を解除され、軌道レール11に対するクランパ本体部31の非拘束状態が実現されることとなる。
【0035】
なお、本実施形態に係る運動案内装置用クランパ機構30では、一対のアーム部材41,41を用いることから、てこの原理による増力機能が備わっており、かかる増力機能によって小さな力であってもアンロックできるという効果が得られる。
【0036】
このように、本実施形態に係る運動案内装置用クランパ機構30では、ワイヤーケーブル61を駆動することで一対のアーム部材41,41の扇状の動作が行われるので、軌道レール11に対するクランパ本体部31の拘束・非拘束状態を簡単に実行することが可能となる。また、本実施形態に係るクランパ本体部31をリニアガイド10の移動ブロック13と接続することで、移動ブロック13を軌道レール11の長手方向の任意の位置で拘束・非拘束とすることが可能となる。したがって、本実施形態に係る運動案内装置用クランパ機構30によれば、軌道レール11に対する移動ブロック13の位置決めを高い自由度で容易かつ確実に行うことが可能となる。
【0037】
なお、本実施形態に係る運動案内装置用クランパ機構30では、リニアガイド10の移動ブロック13の高さ寸法に対して、クランパ本体部31の高さ寸法が同一又は小さくなるように構成されている。かかる構成は、軌道レール11に対するクランパ本体部31の拘束・非拘束を実行する部材である一対のアーム部材41,41が、リニアガイド10を上面側から見たときに、軌道レール11の長手方向と直交する方向である幅方向の寸法よりも側方に向けてはみ出して形成されることから実現したものである(
図5Cおよび
図6C参照)。これらの構成によって、本実施形態に係る運動案内装置用クランパ機構30は、リニアガイド10に適用した際に、リニアガイド10の高さ方向での外形寸法を大きくすることがないという利点を発揮することとなる。そして、かかる利点は、従来技術では実現できなかった効果をもたらすものであり、例えば、リニアガイド10において、軌道レール11が基台等のベース部材に取り付けられるとともに、移動ブロック13に案内対象物が取り付けられたとき、本実施形態に係る運動案内装置用クランパ機構30は軽量化と小型化が同時に実現された機構なので、前述した取付部材の移動を阻害せず、かつ、好適な案内精度を維持することが可能となる。
【0038】
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施形態に記載の範囲には限定されない。上記実施形態には、多様な変更又は改良を加えることが可能である。
【0039】
例えば、上述した実施形態では、軸状に形成された一つのアーム部材41に対して一つのボール保持孔45が形成され、一個のボール55が配置された構成が例示されていた。つまり、一対のアーム部材41,41に対してそれぞれ一個ずつボール55が配置された構成が示されていたが、一つのアーム部材41に対して配置されるボール55の数は、複数個であっても良い。例えば、一対のアーム部材41,41に対してそれぞれ二個ずつボール55を配置する構成を採用した場合であっても、上述した実施形態と同様の作用効果を発揮し得る運動案内装置用クランパ機構を実現することが可能である。なお、一対のアーム部材41,41に対してそれぞれ二個ずつボール55を配置する構成を採用する場合には、上述した実施形態に対して、例えば、ボール55の径を変更したり、内面35のテーパー形状を変更したりするなどして、ボール55がテーパー形状に対して噛み込む量を調節することにより、上述した実施形態と同様の作用効果を得ることが可能となる。
【0040】
また、アーム部材41に対して配置される転動体は、上述した本実施形態のようにボール55を採用することが好ましいが、一対のアーム部材41,41が、それぞれ回動軸34,34を回動中心として、軌道レール11の長手方向に対して垂直な線を回動軸として回動可能であれば他の転動体を採用することも可能である。例えば、円筒形のローラや鼓形状をした鼓型ローラ、ころ等といったあらゆる形状の転動体を、本発明に適用することが可能である。
【0041】
また、上述した実施形態では、一対のアーム部材41,41で挟み込むように設置されるコイルバネ53が、一対のアーム部材41,41の他端側(すなわち、コイルバネ53設置側)が離れる方向に回動するように弾性力を及ぼすものであった。したがって、本実施形態では、通常状態ではコイルバネ53が及ぼす弾性力によって一対のアーム部材41,41の他端側(すなわち、コイルバネ53設置側)が離れる方向に回動することで本実施形態に係る運動案内装置用クランパ機構30による拘束状態が実現し、一方、ワイヤーケーブル61を稼働させてコイルバネ53が及ぼす弾性力に抗する外力を加えることで、一対のアーム部材41,41の他端側(すなわち、コイルバネ53設置側)が近づく方向に回動し、本実施形態に係る運動案内装置用クランパ機構30による非拘束状態が実現する構成が採用されていた。しかしながら、本発明では、本実施形態で用いたような圧縮バネとしてのコイルバネ53を用いる他に、引っ張りバネとしてのコイルバネを用いることも可能である。つまり、本発明において、通常状態では引っ張りバネが及ぼす弾性力によって一対のアーム部材41,41の他端側(すなわち、引っ張りバネ設置側)が近づく方向に回動することで本実施形態に係る運動案内装置用クランパ機構30による非拘束状態が実現し、一方、ワイヤーケーブル61を稼働させて引っ張りバネが及ぼす弾性力に抗する外力を加えることで、一対のアーム部材41,41の他端側(すなわち、引っ張りバネ設置側)が離れる方向に回動し、本発明に係る運動案内装置用クランパ機構による拘束状態が実現するように構成することもできる。
【0042】
また、上述した実施形態に係る一対のアーム部材41,41が行う扇状の回動動作をより確実かつスムーズなものとするために、一対のアーム部材41,41に対して改良を加えることが可能である。そのような改良例を
図7に示す。ここで、
図7は、本発明に係る運動案内装置用クランパ機構が取り得る多様な改良例の一つを示す部分破断図であり、図中の分図(a)は、軌道レール11に対するクランパ本体部31の拘束状態を示しており、図中の分図(b)は、軌道レール11に対するクランパ本体部31の非拘束状態を示している。
図7において、クランパ本体部31が破断して示されている箇所から明らかであるが、この改良例に係る運動案内装置用クランパ機構130では、一対のアーム部材41,41のそれぞれに対して、軸状に形成されたアーム部材の一端側(
図7における紙面上側)に係合形状部としての歯車形状146,146が形成されている。そして、本改良例に係る一対のアーム部材41,41は、それぞれに形成された歯車形状146,146が係合状態となるように、クランパ本体部31に取り付けられている。したがって、この改良例に係る運動案内装置用クランパ機構130では、一対のアーム部材41,41の他端側(すなわち、コイルバネ53設置側)が離れる方向又は近づく方向に回動するときには、一対のアーム部材41,41が必ず連動して回動するように構成されている。かかる構成は、本改良例に係る運動案内装置用クランパ機構130の確実な動作を実現するものであり、例えば、
図7で示すように、ワイヤーケーブル61を直線的に配置したときなどには、一対のアーム部材41,41の両方を均等に回動させることができない場合が想定できるが、一対のアーム部材41,41のそれぞれに歯車形状146,146が形成され、これらが噛み合う係合状態になることで、一対のアーム部材41,41の両方が必ず均等に回動することが可能となっている。つまり、本改良例に係る運動案内装置用クランパ機構130によれば、どのような使用環境であっても常に安定した動作を行うことができ、拘束・非拘束の状態を確実に実現することが可能となっている。なお、
図7では、係合形状部としての歯車形状146,146が形成されている場合が例示されているが、本発明に係る係合形状部については、歯車形状146,146と同様の作用効果を得られる形状であればどのようなものを採用してもよく、例えば、歯車形状146,146に代えてセレーション形状からなる係合形状部を採用してもよい。
【0043】
また例えば、
図7で示した改良例に係る運動案内装置用クランパ機構130に対して更なる改良を加えることで、ワイヤーケーブル61の動作を更に安定したものとすることが可能である。その具体的な改良例を示す図として、
図8を示す。ここで、
図8は、本発明に係る運動案内装置用クランパ機構が取り得る別の改良例を示す部分破断図であり、図中の分図(a)は、軌道レール11に対するクランパ本体部31の拘束状態を示しており、図中の分図(b)は、軌道レール11に対するクランパ本体部31の非拘束状態を示している。
図8で示す別の改良例に係る運動案内装置用クランパ機構230では、クランパ本体部31に対して固定壁面148が形成されている。この固定壁面148は、一対のアーム部材41,41と同様に、リニアガイド10を上面側から見たときに、軌道レール11の長手方向と直交する方向である幅方向の寸法よりも側方(
図8における紙面下方向)に向けてはみ出して形成される部材である。また、この固定壁面148は、一対のアーム部材41,41のいずれか一方の他端側とアウターチューブ64との間に配置されるとともに、アウターチューブ64が固定設置された状態で配置される部材である。したがって、ワイヤーケーブル61が運動案内装置用クランパ機構230に対してどのような配置状態であったとしても、固定壁面148に固定されるアウターチューブ64とニップル63は、一対のアーム部材41,41を確実に挟み込んだ状態で配置されることになるので、ワイヤー62を引けば一対のアーム部材41,41による扇状の回動動作を確実かつスムーズに実行することが可能となっている。なお、
図9は、
図8で示した本発明に係る別の改良例に係る運動案内装置用クランパ機構の変形例を示す図であり、図中の分図(a)は、軌道レール11に対するクランパ本体部31の拘束状態を示しており、図中の分図(b)は、軌道レール11に対するクランパ本体部31の非拘束状態を示しているが、クランパ本体部31に形成される固定壁面148は、クランパ本体部31を上面側から見たときに、
図8で示すようにクランパ本体部31の紙面右側に配置してもよいし、
図9で示すようにクランパ本体部31の紙面左側に配置してもよい。すなわち、別の改良例に係る固定壁面148は、運動案内装置用クランパ機構230のあらゆる使用条件に対応して用いることが可能となっている。
【0044】
なお、
図8および
図9では、歯車形状146と固定壁面148の両方を備える形態例を示しているが、本発明に係る運動案内装置用クランパ機構に対しては、歯車形状146と固定壁面148のいずれか一方の構成のみを採用することも可能である。
【0045】
その様な変更又は改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。
【符号の説明】
【0046】
10 リニアガイド、11 軌道レール、11a 転動体転走溝、11b ボルト孔、12 ボール、13 移動ブロック、13a 負荷転動体転走溝、15 エンドシール、17 蓋部、22 負荷転動体転走路、23 無負荷転動体転走路、25 方向転換路、30,130,230 運動案内装置用クランパ機構、31 クランパ本体部、32 取付孔、34 回動軸、35 内面、41 アーム部材、42 軸孔、43 取付孔、45 ボール保持孔、53 コイルバネ、55 ボール、61 ワイヤーケーブル、62 ワイヤー、63 ニップル、64 アウターチューブ、146 歯車形状、148 固定壁面。