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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-11
(45)【発行日】2022-03-22
(54)【発明の名称】ビート機能付き除包装置及び除包方法
(51)【国際特許分類】
   B65B 69/00 20060101AFI20220314BHJP
【FI】
B65B69/00 A
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2018028504
(22)【出願日】2018-02-21
(65)【公開番号】P2019142545
(43)【公開日】2019-08-29
【審査請求日】2021-01-25
(73)【特許権者】
【識別番号】000176626
【氏名又は名称】三島光産株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100094581
【弁理士】
【氏名又は名称】鯨田 雅信
(72)【発明者】
【氏名】東島 敦弘
(72)【発明者】
【氏名】松井 晃典
【審査官】二ッ谷 裕子
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-210512(JP,A)
【文献】特開2014-058349(JP,A)
【文献】特開2013-177201(JP,A)
【文献】特開2016-069084(JP,A)
【文献】特開2017-030758(JP,A)
【文献】特開2017-029220(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65B 69/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の押圧力により変形可能な略ドーム状突部と所定の押圧力により破断可能な下面とを含む複数の収容部が配置された可とう性の薬剤シートをその長手方向に沿って移動させながら、前記薬剤シートの前記各収容部に収容されている薬剤を取り出す除包装置において、
前記移動されている薬剤シートの一部領域が自ら(押圧部)と対向する位置に在るか又はその位置を移動しているとき、前記薬剤シートの一部領域中の複数の各収容部を、前記略ドーム状突部の上方から、前記略ドーム状突部が変形されて内部の薬剤が下方に押圧されこの押圧された薬剤により前記下面が破断されて薬剤が排出され落下するように、押圧する押圧部と、
前記押圧部により押圧されて各収容部から排出され落下する薬剤を収容する収集容器と、
前記押圧部により押圧された複数の各収容部が前記収集容器と対向する位置に在るか又はその位置を移動しているとき、前記押圧が行われる毎に、ビート機構部の可動部が前記薬剤シート中の各収容部の下面側又は同各収容部の近傍部分の下面側を叩いて、前記薬剤を前記各収容部中の前記押圧により破断された下面から排出させ前記収集容器内に収容させるビート機構部と、を備えたビート機能付き除包装置。
【請求項2】
所定の押圧力により変形可能な略ドーム状突部と所定の押圧力により破断可能な下面とを含む複数の収容部が配置された可とう性の薬剤シートをその長手方向に沿って移動させながら、前記薬剤シートの前記各収容部に収容されている薬剤を取り出す除包方法において、
前記移動されている薬剤シートの一部領域が同一部領域中の複数の各収容部を押圧する押圧部と対向する位置に在るか又はその位置を移動しているとき、前記押圧部が、前記薬剤シートの一部領域中の複数の各収容部を、前記略ドーム状突部の上方から、前記略ドーム状突部が変形されて内部の薬剤が下方に押圧されこの押圧された薬剤により前記下面が破断されて薬剤が排出され落下するように、押圧する押圧ステップと、
前記押圧部により押圧された複数の各収容部が、前記押圧により各収容部から排出され落下する薬剤を収容する収集容器と対向する位置に在るか又はその位置を移動しているとき、前記押圧が行われる毎に、ビート機構部の可動部が前記薬剤シート中の各収容部の下面側又は同各収容部の近傍部分の下面側を叩いて、前記薬剤を前記各収容部中の前記押圧により破断された下面から排出させ前記収集容器内に収容させるビートステップと、を含む除包方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は薬剤シートなどの可とう性シートに形成又は配置された複数の収容部から被収容物を取り出すための除包装置及び除包方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、例えば可とう性のプラスチックシートに複数の収容部、例えば透明プラスチック製のドーム状部分とアルミ箔製の下側封止面とから構成される複数の収容部が配置されて成る薬剤シート(PTPシートなど)の各収容部から、内部の薬剤(錠剤、カプセル剤など)を取り出すための除包装置及び除包方法が提案され(例えば特許文献1参照)、また実用化されている。このような従来の薬剤取り出し用の除包装置の多くは、例えば調剤薬局などにおいて、複数個及び/又は複数種類の薬剤シートを順次搬送しながら各薬剤シート中の各収容部から薬剤を取り出し、前記取り出した薬剤を収集し、それら複数の薬剤を患者の各一回服用分毎に分包・一包化するためのシステムの一部として構成、使用されている。
【0003】
例えば、図7は特許文献1に開示された従来の薬剤シート用除包装置を示すものである。図7において、1は、略ドーム状突部1c及び下側封止面1d(図7(b)参照)から成る収容部1aが長手方向及び幅方向に複数個並ぶように(図7(a)の例では長手方向に6個ずつ及び幅方向に3個ずつ並ぶように)配置された可とう性の薬剤シート(PTPシート)である。
【0004】
従来の薬剤シート用除包装置では、図7に示すように、前述のような薬剤シート1を載置部10上で一定方向(図7(a)の矢印A方向)に移動させながら、前記薬剤シート1の一部領域1b(図7(a)参照)中で幅方向に並んでいる3個の収容部1aを押圧部6で押圧して除包する。なお、特許文献1に示す例では、図7(b)に示すように、前記押圧部6が回動軸6aを支点として前記シート1の幅方向に円弧状に一方向(矢印B参照)に回動する過程で、前記シート1の一部領域1b中の幅方向に並ぶ3個の収容部1aが順次押圧されて、前記薬剤シート1の一部領域1bがその下方の開口部内に入り込むように湾曲すると共に、前記一部領域1b中の3個の収容部1aの各略ドーム状突部1cが順次押圧により変形させられ、内部の薬剤1eも図示下方に押圧されて下側封止面1dを突き破って排出、落下し、下方の収集容器(図示省略)内に収集されるようになっている(但し、本発明は、この図7に示すような振子状に回動する押圧部6を前提とするものではない)。
【0005】
前述のような前記押圧部6による前記薬剤シート1の幅方向に並ぶ3個の各収容部1aへの押圧、及び前記押圧により前記各収容部1aから排出、落下された各薬剤1eの前記収集容器(図示省略)への収集は、図8に示すように、移動中の前記薬剤シート1の長手方向(移動方向A)に沿って、前記一部領域1b,1b’(前記一部領域中の前記幅方向の3個の収容部1a)が前記押圧部6と対向する位置(下方の位置)まで移動する毎に、順次、繰り返される(図8参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特許第6232517号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、前記の特許文献1に開示されているような従来の薬剤シート用除包装置においては、単に薬剤シート1の略ドーム状突部1c(図7(b)参照)を上方から押圧し、内部の薬剤1eを下方に押圧して下側封止面1d(アルミ箔面)を破断させるようにしているため、例えば図6に示すように、下側封止面1dの一部(アルミ箔)が破断されても、内部の薬剤1eが下側封止面1dの破断部分に引っ掛かって排出、落下できないままとなり、収集容器(図示省略)内への収集もできないままとなってしまうことが少なくない。
【0008】
本発明はこのような従来技術の問題点に着目して為されたものであって、前記可とう性シート(薬剤シートなど)中の各収容部を押圧したとき、前記押圧部により押圧された収容部の下面の一部(アルミ箔など)が破断されたにもかかわらずなお被収容物(薬剤など)が前記下面の破断部分に引っ掛かって、前記収容部から排出、落下できず、収集容器内に収集できないままとなってしまっている事態を確実に解消し、前記押圧により被収容物を前記各収容部から排出させて収集容器内に収集することを確実に行えるようにした、ビート機能付き除包装置及び除包方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
以上のような課題を解決するための本発明によるビート機能付き除包装置は、所定の押圧力により変形可能な略ドーム状突部と所定の押圧力により破断可能な下面とを含む複数の収容部が配置された可とう性シートから、薬剤などの被収容物を取り出す除包装置であって、前記シートを、前記シートの一部領域が、前記各収容部を押圧する押圧部と対向する位置(例えば押圧部の下方の位置)、及び前記押圧された各収容部から排出される被収容物を収集する収集容器と対向する位置(例えば収集容器の上方の位置)を、順次通過していくように、前記シートの長手方向に沿って移動させる移動部と、前記シートの一部領域が、前記押圧部と対向する位置に在るか又はその位置を移動しているとき、前記シートの一部領域中の複数の各収容部を、前記略ドーム状突部が変形されて内部の被収容物が下方に押圧されこの押圧された被収容物により前記下面が破断されるように、押圧する押圧部と、前記押圧部により押圧された複数の収容部が、前記収集容器と対向する位置に在るか又はその位置を移動しているとき、前記シート中の一部を叩いて、前記被収容物を、前記各収容部中の前記押圧により破断された下面から排出させ前記収集容器内に収容させるビート機構部とを備えたものである。
【0010】
また、本発明によるビート機能付き除包装置においては、前記ビート機構部は、前記シート中の前記押圧部により押圧された収容部の近傍部分を叩くものであってもよい。
【0011】
さらに、本発明による除包方法は、所定の押圧力により変形可能な略ドーム状突部と所定の押圧力により破断可能な下面とを含む複数の収容部が配置された可とう性シートから、薬剤などの被収容物を取り出す除包方法であって、前記シートを、前記シートの一部領域が、前記各収容部を押圧する押圧部と対向する位置(例えば押圧部の下方の位置)、及び前記押圧された各収容部から排出される被収容物を収集する収集容器と対向する位置(例えば収集容器の上方の位置)を、順次通過していくように、前記シートの長手方向に沿って移動させる移動ステップと、前記シートの一部領域が、前記押圧部と対向する位置に在るか又はその位置を移動しているとき、前記シートの一部領域中の複数の各収容部を、前記略ドーム状突部が変形されて内部の被収容物が下方に押圧されこの押圧された被収容物により前記下面が破断されるように、押圧する押圧ステップと、前記押圧部により押圧された複数の各収容部が、前記収集容器と対向する位置に在るか又はその位置を移動しているとき、前記シート中の一部を叩いて、前記被収容物を、前記各収容部中の前記押圧により破断された下面から排出させ前記収集容器内に収容させるビートステップとを含むものである。
【発明の効果】
【0012】
本発明に係るビート機能付き除包装置においては、前記押圧部により複数の収容部が押圧された後、前記押圧された複数の各収容部が収集容器と対向する位置に在るか又はその位置を移動しているとき、前記ビート機構部が前記シート中の一部を叩くようにした。よって、本発明に係る除包装置によれば、前記押圧部により押圧された収容部の下面の一部(アルミ箔など)が破断されたにもかかわらずなお被収容物(薬剤など)が前記下面の破断部分に引っ掛かって、前記収容部から排出、落下できず、収集容器内に収集できないままとなってしまっている事態を確実に解消し、前記押圧により被収容物を前記各収容部から排出させて収集容器内に収集することを確実に行えるようになる。
【0013】
また、本発明において、前記ビート機構部が、前記シート中の前記押圧部により押圧された収容部又はその近傍部分を叩くように構成したときは、前記ビート機構部の動作による衝撃を、前記叩かれた場所の近傍にある収容部に対して効率的に伝えることができるので、前記押圧により破断した下面(アルミ箔など)の破断部分に引っ掛かっている被収容物(薬剤など)を、より確実に前記収容部から排出、落下させて収集容器内に収集させることができる。
【0014】
さらに、本発明に係る除包方法においては、前記押圧ステップにおいて複数の収容部が押圧された後、前記押圧された複数の各収容部が収集容器と対向する位置に在るか又はその位置を移動しているとき、前記ビートステップにおいて、前記シート中の一部を叩くようにしている。よって、本発明に係る除包方法によれば、前記押圧ステップにおいて押圧された収容部の下面の一部(アルミ箔など)が破断されたにもかかわらずなお被収容物(薬剤など)が前記下面の破断部分に引っ掛かって、前記収容部から排出、落下できず、収集容器内に収集できないままとなってしまっている事態を確実に解消し、前記押圧により被収容物を前記各収容部から排出させて収集容器内に収集することを確実に行えるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】(a)は本発明の一実施形態に係る薬剤シート用除包装置を示す斜視図、(b)は本実施形態に係る除包装置による除包動作の対象となる薬剤シートの一例を示す斜視図である。
図2】(a)及び(b)ともに本実施形態に係る薬剤シート用除包装置を底面側から示す斜視図である。
図3】本実施形態に係る薬剤シート用除包装置を底面側から示す斜視図である。
図4】(a)は本実施形態に使用されるビート機構部を示す斜視図、(b)は前記ビート機構部が本実施形態に設置された状態を示す斜視図である。
図5】本実施形態の動作を説明するための概略図である。
図6】従来技術の問題点を説明するための薬剤シートを示す斜視図である。
図7】従来の除包装置の構成及び動作の一例を示す斜視図である。
図8】従来の除包装置の動作の一例を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施形態に係る薬剤シート用除包装置を図面を用いて説明する。図1(a)は本実施形態に係る薬剤シート用除包装置を示す斜視図、図1(b)は本実施形態に係る除包装置による除包動作の対象となる薬剤シートの一例を示す斜視図、図2(a)及び(b)並びに図3図1に示す除包装置を底面側から示す斜視図である。図1~3に示す本実施形態に係る除包装置は、図7(a)に関して前述した従来の除包装置と外観形状は少し異なっているが基本的構成は同一である。すなわち、本実施形態では、図1~3に示す除包装置の内部において、前記薬剤シート1が送りローラー2(移動機構部)により搬送され、その搬送過程において、前記薬剤シート1の前記各収容部1aから薬剤(被収容物)が除包され、除包された後の空シートが図1の図示右側の排出支持板3から排出される。
【0017】
本実施形態の除包装置内部には、前記送りローラー2により搬送される過程において前記薬剤シート1中の一部の収容部1a(押圧部と対向する押圧部の下方の位置まで搬送された各収容部1a)を押圧する押圧部が備えられている。本実施形態では、前記押圧部として、例えば図7(a)の符号6に示すような、円弧状に往復移動する振子型の押圧部が採用されている。なお、図1~3では、このような押圧部は、他の部品に隠れているため表示されていない。
【0018】
本実施形態では、前記薬剤シート1がその長手方向(矢印Aで示す移動方向)に沿って移動(搬送)されているとき、まず、前記薬剤シート1中の前記移動方向Aにおける先頭側の一部領域1b(図1(b)参照)が押圧部の下方まで移動されるが、そのとき、前記薬剤シート1の移動が一時的に停止されて、前記押圧部が円弧状に一方向(前記薬剤シート1の幅方向)に回動し、その過程で、前記一部領域1b中の3個の収容部1aの略ドーム状突部1cが押圧され(前述した図7(a)及び図8を参照)、その結果、内部の薬剤1eが、下面1d(アルミ箔などから成る封止面)側に押圧されて下面1dの一部を破断させ、そこから排出、落下される。
【0019】
その後、前記薬剤シート1が少しだけ矢印A方向に移動(搬送)されて、次の一部領域1b’(図1(b)参照)が前記押圧部の下方の位置まで移動すると、前記薬剤シート1はその位置でいったん停止し、前記押圧部が前記と反対方向に円弧状に回動して前記次の一部領域1b’中の3個の収容部1aを押圧する。その後、さらに前記薬剤シート1が少しだけ矢印A方向に移動(搬送)されて、さらに次の一部領域1b’’が前記押圧部の下方の位置まで移動すると、前記薬剤シート1はその位置でいったん停止し、前記押圧部が前記一方向に円弧状に回動して前記次の一部領域1b’’中の3個の収容部1aを押圧する。以後、同様の動作が繰り返される。なお、以上の説明では、前記薬剤シート1中の各収容部1aを押圧する押圧部を図7(a)の符号7で示すような円弧状に往復回動する振子型の押圧部としたが、本発明ではこのようなタイプに限定されない。
【0020】
なお、図2(a)及び図3において、4は前記押圧部と対向する位置に配置された開口部である。前記開口部4は、前記薬剤シート1中の前記一部領域1b,1b’,1b’’(前記押圧部と対向する領域)が順次、前記押圧部により押圧されて下方に変形(湾曲)させられることを可能とするために使用される。また、前記開口部4は、前記押圧部による押圧により前記薬剤シート1の一部領域1b,1b’,1b’’(前記押圧部と対向する領域)中の前記各収容部1aから排出、落下した薬剤を通過させて、その下方の収集容器(図示省略)内に収集するためにも使用される。
【0021】
また、本実施形態では、前記押圧部と前記開口部4の近傍に、図4(a)に示すようなビート機構部5が配置されている。図4(a)において、5aは前記ビート機構部5の一構成部品であるプルソレノイド、5bは前記ビート機構部5の一構成部品であるヒンジピン、5cは前記ビート機構部5の一構成部品である回転軸(コイルスプリングが備えられた軸)である。本実施形態で使用される前記ビート機構部5においては、前記プルソレノイド5a及び前記コイルスプリングの作用により例えば棒状の可動部が一定時間毎に伸縮し且つ往復移動する。これにより、前記可動部(図5の5d参照)が、前記押圧部で押圧された前記各収容部1aの近傍部分を一定時間毎に叩く動作を繰り返す。
【0022】
本実施形態では、前記薬剤シート1が搬送中に前記押圧部と順次対向する一部領域1b,1b’,1b’’・・・中の前記各収容部1aが前記押圧部により押圧される度に、前記ビート機構部5が前記薬剤シート1中の前記押圧された各収容部1aの近傍部分を叩くように設定されている。なお、図1の符号5、及び図4(b)の符号5は、本実施形態に係る除包装置において前記ビート機構部5が配置されるときの位置及び状態を示すものである。
【0023】
次に本実施形態の動作を説明する。図5は本実施形態における動作の流れを示す概略側面図である。図5において、5dは前記薬剤シート1中の各収容部1aの近傍部分を叩くビート機構部5の例えば棒状の可動部、6は前記薬剤シート1の各収容部1aを押圧する押圧部、7は前記薬剤シート1の各収容部1aから排出、落下する薬剤を収集する収集容器である。
【0024】
まず、前記薬剤シート1が前記送りローラー2により矢印A方向に搬送される過程で、前記薬剤シート1中の一部領域1b(図1(b)参照)が前記押圧部6に対向する位置(前記押圧部6の下方の位置)まで移動したときは、図5(a)に示すように、その位置で前記薬剤シート1が一時的に停止され、前記押圧部6が前記一部領域1b中の3個の収容部1aの略ドーム状突部1cに対する押圧動作を開始する。
【0025】
前記押圧部6による押圧動作により、前記一部領域1b中の3個の収容部1a内の薬剤1eは、前記下面1d(アルミ箔面)を破断して前記各収容部1aから排出され、下方の前記収集容器7内に落下する(図5(b)参照)。
【0026】
その後、前記ビート機構部5の可動部5dが伸びて、前記薬剤シート1の前記一部領域1b中の前記押圧された収容部1aの近傍部分を叩く(図5(c)参照)。前述のように、図5(b)の段階で前記各収容部1a内の薬剤1eは既に排出され落下しているため、この場合は、敢えて前記可動部5dが前記薬剤シート1の一部を叩く必要はないが、本実施形態では前記可動部5dが前記薬剤シート1の一部を一定時間毎に叩くように設定している。
【0027】
その後、前記送りローラー2が矢印A方向に前記薬剤シート1を搬送し、前記薬剤シート1における前記一部領域1bの次の一部領域1b’(図1(b)参照)が、前記押圧部6に対向する位置(前記押圧部6の下方の位置)まで移動したときは、図5(d)に示すように、その位置で前記薬剤シート1が一時的に停止され、前記押圧部6が前記一部領域1b’中の3個の収容部1aの略ドーム状突部1cに対して押圧動作を開始する。
【0028】
前記押圧部6による押圧動作により、前記一部領域1b’中の3個の収容部1a中の一部の収容部1a内の薬剤1eは前記下面1d(アルミ箔面)を破断して前記各収容部1aから排出され下方の収集容器7中に落下するが、前記一部領域1b’中の3個の収容部1a中の他の収容部1a内の薬剤1eは前記下面1d(アルミ箔面)の破断部分に引っ掛かって排出されないままとなっている(図5(e)参照。図6に示す状態)。
【0029】
その後、前記ビート機構部5の可動部5dが、伸びて、前記薬剤シート1の前記一部領域1b’中の前記押圧された収容部1aの近傍部分を叩く(図5(c)参照)。この叩く動作からの衝撃により、前記下面1d(アルミ箔面)の破断部分に引っ掛かって排出されないままとなっていた薬剤1eは、前記下面1dの破断部分から離れ、前記収容部1aから排出され、前記収集容器7内へ落下する(図5(f)参照)。その以後は、再び、図5(a)に示す状態となり、以後、同様の動作が繰り返される。
【0030】
以上に説明したように、本実施形態に係る薬剤シート用除包装置及び除包方法においては、前記押圧部6により複数の収容部1aが押圧された後、前記押圧された複数の各収容部1aが前記収集容器7と対向する位置に在るか又はその位置を移動しているとき、前記ビート機構部5の可動部5dが前記シート1中の一部領域1b,1b’,1b’’・・・又はその近傍部分を所定間隔毎に(前記押圧動作が行われる毎に)叩くようにした。よって、本実施形態によれば、前記押圧部6により押圧された収容部1aの下面1d(アルミ箔面)が破断されたにもかかわらずなお前記薬剤1eが前記下面1dの破断部分に引っ掛かって、前記収容部1aから排出、落下できず前記収集容器7内に収集できないままとなってしまっている事態を確実に解消し、前記押圧により前記薬剤1eを前記各収容部1aから排出させて前記収集容器7内に収集することを確実に行えるようになる。
【0031】
また、本実施形態においては、前記ビート機構部5が、前記薬剤シート1中の前記押圧部6により押圧された収容部1a又はその近傍部分を叩くように構成したので、前記ビート機構部5の動作による衝撃を、前記叩かれた場所の近傍にある収容部1aに対して効率的に伝えることができるので、前記押圧により破断した下面1d(アルミ箔面)の破断部分に引っ掛かっている薬剤1eを、より確実に前記収容部1aから排出、落下させて前記収集容器7内に収集させることができる。
【0032】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は前記実施形態として述べたものに限定されるものではなく、様々な修正及び変更が可能である。例えば、前記実施形態においては、前記ビート機構部5が前記薬剤シート1中の前記押圧された収容部1aの近傍部分を叩くようにしたが、本発明では前記薬剤シート1中の前記押圧された収容部1aから離れた部分を叩くようにしてもよいし、前記薬剤シート1中の前記押圧された収容部1aそれ自体、例えば前記略ドーム状突部1cなどを叩くようにしてもよい。また、前記実施形態では、前記押圧部による押圧動作が行われる度に、前記ビート機構部による叩く動作が行われるようにしたが、本発明ではこれに限られることなく、例えば、前記押圧部による押圧動作が複数回行われた後に、まとめて、前記ビート機構部による叩く動作を行うようにしてもよい。また、本発明においては、前記ビート機構部は、前記可とう性シートの上面側(略ドーム状突部が形成された側)を叩くようにしてもよいし、前記可とう性シートの下面側を叩くようにしてもよい。また、本発明においては、前記ビート機構部が前記薬剤シート中の一部を叩くときは、前記薬剤シートの搬送を一時的に停止させた上で行ってもよいし、搬送中に行うようにしてもよい(前記押圧部による押圧についても、やり方によっては前記薬剤シートの搬送を一時的に停止させることなく搬送中に行うことも可能である)。
【0033】
また、前記実施形態では、除包の方法として図7,8に示すような円弧状に往復回動する押圧部6を使用する「振り子方式」を採用したが、本発明においてはこのような「振り子方式」に限定されるものではなく、例えば、従来より薬剤シート用の除包方式として知られている「プッシュ方式」(棒状体が上方から下降することにより薬剤シートの各収容部を押圧、除包する方式)、「ローラー方式」(ローラーが薬剤シートの各収容部の上側を移動することにより各収容部を押圧、除包する方式)など、様々な除包方式を採用することができる。さらに、前記実施形態においては、薬剤を収容した薬剤シートを対象とする除包装置及び方法について説明したが、本発明はこのような薬剤シートを対象とするものに限定されるものではなく、様々な被収容物を収容する可とう性シート中の被収容物の除包のために適用できることはもちろんである。
【符号の説明】
【0034】
1 薬剤シート
1a 収容部
1b 一部領域
1c 略ドーム状突部
1d 下面(下側封止面)
1e 薬剤
2 送りローラー
3 排出支持板
4 開口部
5 ビート機構部
5a プルソレノイド
5b ヒンジピン
5c 回転軸
5d 可動部
6 押圧部
7 収集容器
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8