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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-11
(45)【発行日】2022-03-22
(54)【発明の名称】建具
(51)【国際特許分類】
   E06B 3/30 20060101AFI20220314BHJP
   E06B 7/22 20060101ALI20220314BHJP
   E06B 3/58 20060101ALI20220314BHJP
【FI】
E06B3/30
E06B7/22 F
E06B3/58 C
【請求項の数】 1
(21)【出願番号】P 2018048279
(22)【出願日】2018-03-15
(65)【公開番号】P2019157565
(43)【公開日】2019-09-19
【審査請求日】2021-01-27
(73)【特許権者】
【識別番号】504163612
【氏名又は名称】株式会社LIXIL
(74)【代理人】
【識別番号】100106002
【弁理士】
【氏名又は名称】正林 真之
(74)【代理人】
【識別番号】100165157
【弁理士】
【氏名又は名称】芝 哲央
(74)【代理人】
【識別番号】100126000
【弁理士】
【氏名又は名称】岩池 満
(74)【代理人】
【識別番号】100160794
【弁理士】
【氏名又は名称】星野 寛明
(72)【発明者】
【氏名】山下 富広
(72)【発明者】
【氏名】萩原 敦
【審査官】鳥井 俊輔
(56)【参考文献】
【文献】特開平11-050760(JP,A)
【文献】特開2008-075267(JP,A)
【文献】特開2017-110407(JP,A)
【文献】特開2014-169529(JP,A)
【文献】特開2006-188925(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E06B 1/00-1/70
E06B 3/04-3/46
E06B 3/50-3/88
E06B 7/16-7/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
枠体及び前記枠体に開閉可能に取り付けられる障子を備える建具であって、
前記障子は、
面材と、
前記面材の端部に配置される框と、
前記框の見込方向一側に接合され、該框と前記面材を挟み込む溝を形成する押縁と、
を有し、前記框と前記押縁の接合部が前記枠体に見込方向で対向する位置に形成され
前記枠体には、前記接合部に当接し、前記框及び前記押縁の両方に見込方向で面接触する位置に気密材が配置される建具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、開閉可能な障子を備える建具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、建物の開口部に用いられる建具等において、枠体に対して開閉可能な障子のガラスを框と押し縁により保持する構造が知られている。この種の技術を開示するものとして例えば、特許文献1がある。特許文献1には、障子の下框の支持板部に複層ガラスの網入りガラスパネルを当接させ、この状態から下框に押縁を係合によって装着することにより、支持板部と押縁の挟持板部との間に構成される開口溝に複層ガラスの縁部が挟持される点が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2017-31722号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
框に押縁を接合する構成では、框と押縁の接合部が見付面に表れてしまう。例えば、特許文献1に記載される構成では、下框と押縁が係合される部分が線として室内側から見える構造となっている。線として外観に表れる接合部はデザイン上の制約となる。従来技術には、意匠性を向上させるという観点で改善の余地があった。
【0005】
本発明は、框と押縁を接合して面材の溝を形成する建具において、框と押縁の接合部が見付面に表れることがない高い意匠性を実現できる構成を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、枠体(例えば、後述の枠体10)及び前記枠体に開閉可能に取り付けられる障子(例えば、後述の障子20)を備える建具(例えば、後述の建具1)であって、前記障子は、面材(例えば、後述の複層ガラス25)と、前記面材の端部に配置される框(例えば、後述の縦框31,32、上框33)と、前記框の見込方向一側に接合され、該框と前記面材を挟み込む溝(例えば、後述のガラス溝310)を形成する押縁(例えば、後述の縦押縁41,42,上押縁43)と、を有し、前記框と前記押縁の接合部(例えば、後述の接合部90)が前記枠体(例えば、後述の縦枠11,12、上枠13)に見込方向で対向する位置に形成される建具に関する。
【0007】
前記枠体には、前記押縁に見込方向で接触する気密材(例えば、後述するパッキン部材150)が配置されることが好ましい。
【0008】
前記気密材は、前記接合部に当接し、前記框及び前記押縁の両方に見込方向で接触する位置に配置されることが好ましい。
【発明の効果】
【0009】
本発明の建具によれば、框と押縁の接合部が見付面に表れることがない高い意匠性を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の一実施形態に係る建具を示す姿図である。
図2】本実施形態の障子の縦框、縦押縁及び縦枠の位置関係を示す横断面図である。
図3】本実施形態の障子の縦框と縦押縁の接合部を示す拡大横断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の好ましい実施形態について、図面を参照しながら説明する。なお、本明細書において、「見付方向」とは、建物に形成された開口部に納められた建具における障子の面方向を意味し、「見込方向」とは、上記障子の厚み方向を意味する。
【0012】
図1は、本発明の一実施形態に係る建具を示す姿図である。図1に示す建具1は、建物の開口部に固定される枠体10と、枠体10に開閉可能に取り付けられる障子20と、を主要な構成として備える開き窓である。
【0013】
枠体10は、左右の縦枠11,12、上枠13、下枠14、が矩形に枠組みされて構成される。縦枠11,12、上枠13、下枠14の何れかには、障子20を開閉可能にするためのヒンジ等の開閉機構(図示省略)が配置され、該開閉機構を介して障子20が開閉可能に枠体10に支持される。
【0014】
障子20は、面材として複層ガラス25と、複層ガラス25を囲む框30と、框30に嵌合固定される押縁40と、を備える。框30は、縦框31,32、上框33、下框34が矩形に枠組みされて構成される。以下の説明において、押縁40のうち、縦框31に嵌合固定されるものを縦押縁41、縦框32に嵌合固定されるものを縦押縁42、上框33に嵌合固定される上押縁43とする。
【0015】
図2は、本実施形態の障子20の縦框31、縦押縁41及び縦枠11の位置関係を示す横断面図であり、図1のA-A線断面図である。
【0016】
図2に示すように、複層ガラス25は、室外側ガラス251と室内側ガラス252によって構成される。室外側ガラス251と室内側ガラス252の間にはスペーサ253が配置され、室外側ガラス251と室内側ガラス252の間に空間が形成される。
【0017】
縦框31は、その断面が略L字状に形成されるアルミ等の金属製の長尺部材である。縦框31の複層ガラス25に対向する側の見込面には、框側嵌合部311,312が形成される。框側嵌合部312は縦框31の室内側端部に形成され、框側嵌合部311は框側嵌合部312に対して見込方向室外側に間隔をあけて形成される。
【0018】
縦框31の室内側の端部には、縦枠11に見込方向で対向する見付面部315が形成される。本実施形態では、框側嵌合部312も見付面部315の一部を構成する。
【0019】
縦押縁41は、その断面が略C字状に形成されるアルミ等の金属製の長尺部材である。縦押縁41は、C字の端部に相当する部分のそれぞれに押縁側嵌合部412,413が形成される。押縁側嵌合部412は框側嵌合部312に嵌合する形状に構成され、押縁側嵌合部413は、框側嵌合部311に嵌合する形状に構成される。
【0020】
框側嵌合部311に押縁側嵌合部413が嵌合するとともに、框側嵌合部312に押縁側嵌合部412が嵌合することによって、縦押縁41が縦框31に接合される。なお、本明細書において、「接合」とは框30(縦框31,32及び上框33)と押縁40(縦押縁41,42、上押縁43)が嵌合、係合等によって接続されることである。
【0021】
縦押縁41が縦框31に接合されることによってガラス溝310が形成され、該ガラス溝310に複層ガラス25の端部が挟み込まれる。複層ガラス25の端部がガラス溝310に挟み込まれた状態で固定され、シール部材254によって縦框31と室外側ガラス251の隙間と縦押縁41と室内側ガラス252の隙間が埋められる。
【0022】
次に、縦枠11について説明する。本実施形態の縦枠11は、障子20に見込方向で対向する部位を有する第1縦枠部材110と、第1縦枠部材110に対して建物の躯体側に位置する第2縦枠部材120と、からなる。第2縦枠部材120の室内側の端部には室内側嵌合部121が形成され、室外側端部において室内側を向く見付面には室外側嵌合部122が形成される。第1縦枠部材110は、室内側嵌合部121に嵌合する室内側嵌合部111及び室外側嵌合部122に嵌合する室外側嵌合部112を備え、第1縦枠部材110に嵌合固定される。
【0023】
縦枠11の第1縦枠部材110には、室内側で縦枠12側に延びる延出片115が形成される。この延出片115の左右方向(見付方向)の縦枠12側の端部には、パッキン部材150を嵌合するための嵌合凹部116が形成される。嵌合凹部116は、延出片115の室外側の見付面117に形成され、見込方向室外側が開口している。
【0024】
パッキン部材150は、障子20が閉鎖位置にあるときに縦枠11と障子20の間の隙間を塞ぐ気密材である。嵌合凹部116によってパッキン部材150が縦枠11に保持される。パッキン部材150は、縦枠11の長手方向に沿って細長く延びている。
【0025】
図3は、本実施形態の障子20の縦框31と縦押縁41の接合部90を示す拡大横断面図であり、図2の鎖線で囲った円100の部分を示している。
【0026】
図3に示すように、框側嵌合部312は、見付面部315の縦枠12側の端部に位置し、この端部から見込方向室外側に屈曲する形状に形成されている。また、押縁側嵌合部412は、その見付面415の縦枠11側の端部から見込方向室外側に延出した後、框側嵌合部312を跨ぐように折り返した形状に形成される。
【0027】
本実施形態の接合部90は、縦押縁41の見付面415の縦枠11側の端面と、框側嵌合部312の見込面と、によって形成される。接合部90は縦框31と縦押縁41の継ぎ目であり、縦框31及び縦押縁41の長手方向に沿う線として表れる。
【0028】
閉鎖位置にある状態で、この接合部90に嵌合凹部116によって保持されるパッキン部材150が見込方向で接触する。パッキン部材150は、縦枠11の長手方向に沿って延びているので、接合部90の全部又は略全域を覆うようにすることができる。
【0029】
パッキン部材150は、縦押縁41の室外側を向く見付面415の一部416に見込方向で接触するとともに、縦框31の見付面部315の一部316に見込方向で接触する状態となる。
【0030】
縦框31と縦押縁41の接合部90は、パッキン部材150及び縦枠11の延出片115に見込方向で重なっている。従って、図1に示す方向で見た場合に接合部90が見えない位置になり、閉鎖位置の障子20の見付面に表れない状態となる。
【0031】
以上、縦枠11、縦框31及び縦押縁41について説明してきたが、縦枠12、縦框32及び縦押縁42、上枠13、上框33及び上押縁43についても同様の構成である。図1に示すように、縦枠11、縦框31及び縦押縁41の構成及び位置関係は、縦枠12、縦框32及び縦押縁42についても左右の位置が変わるだけで同様である。縦框32と縦押縁42の接合部90が縦枠12と見込方向で対向し、室内側から接合部90が見えない構成となっている。
【0032】
また、上枠13、上框33及び上押縁43についても、上框33と上押縁43の接合部90が上枠13と見込方向で対向し、室内側から接合部90が見えない構成となっている。なお、下框34は、押縁が接合されない構成となっており、下框34のみでガラス溝を形成しているので、接合部が室内側に表れることもない。
【0033】
上記実施形態によれば、以下のような効果を奏する。
本実施形態の建具1の障子20は、複層ガラス(面材)25と、複層ガラス25の端部に配置される縦框31(縦框32又は上框33)と、框30の見込方向一側に接合され、該框30と複層ガラス25を挟み込むガラス溝310溝を形成する縦押縁41(縦押縁42又は上押縁43)と、を有する。縦框31(縦框32又は上框33)と縦押縁41(縦押縁42又は上押縁43)の接合部90が縦枠11(縦枠12又は上枠13)に見込方向で対向する位置に形成される。
【0034】
これにより、接合部90が縦枠11(縦枠12又は上枠13)に隠された状態となるので、接合部90が線として表れず、意匠性が向上する。
【0035】
また、本実施形態の縦枠11(縦枠12又は上枠13)には、縦押縁41(縦押縁42又は上押縁43)に見込方向で接触するパッキン部材(気密材)150が配置される。
【0036】
これにより、縦框31(縦框32又は上框33)と縦押縁41(縦押縁42又は上押縁43)の接合部90よりも室内側にパッキン部材150が位置するので、接合部90の隙間を通じて室外側と室内側が連通しなくなり、建具1の気密性を効果的に向上させることができる。
【0037】
また、本実施形態のパッキン部材150は、接合部90に当接し、縦框31(縦框32又は上框33)及び縦押縁41(縦押縁42又は上押縁43)の両方に見込方向で接触する位置に配置される。
【0038】
これにより、パッキン部材150が接合部90に当接するので、縦框31(縦框32又は上框33)及び縦押縁41(縦押縁42又は上押縁43)との隙間を確実に塞ぐことができ、気密性をより一層向上させることができる。また、障子20の閉鎖時に縦押縁41(縦押縁42又は上押縁43)だけにパッキン部材150が接触する場合に比べ、パッキン部材150に接触したときに縦押縁41(縦押縁42又は上押縁43)と縦框31(縦框32又は上框33)の両方に接触時の力を分散できる。また、縦押縁41(縦押縁42又は上押縁43)と縦框31(縦框32又は上框33)の接合部90を縦枠11(縦枠12又は上枠13)から離した位置にすることができるので、障子20を閉じた状態でも縦押縁41を縦框31に取り付ける作業を行うことができ、施工性の点でも有利である。
【0039】
以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明は、上述の実施形態に制限されるものではなく、適宜変更が可能である。
【0040】
上記実施形態では、パッキン部材(気密材)150が縦押縁41(縦押縁42又は上押縁43)と縦框31(縦框32又は上框33)の両方に接触する構成であるが、この構成に限定されない。障子20の閉鎖位置においてパッキン部材150が縦押縁41(縦押縁42又は上押縁43)だけに接触するような構成としてもよい。この構成においても、パッキン部材150が接合部90よりも室内側(見込方向一側)に位置するので、気密性を確保することができる。
【0041】
上記実施形態では、左右の縦枠11,12と上枠13の三方が縦押縁41,42及び上押縁43のそれぞれの接合部90に見込方向で対向する構成であるが、この構成に限定されない。下框34も下押縁を備える構成とし、下枠14が下框34と下押縁の接合部90に見込方向で対向するように4方全てを同様の構成とすることもできる。また、上下左右の何れか1つ又は2つを框と押縁の接合部に枠体が対向するような構成としてもよい。
【0042】
上記実施形態では、本発明を適用する建具として開き窓を説明したが、この構成に限定されるわけではない。縦辷り窓、横辷り窓、引違い窓等、障子が框と押縁によって面材の端部を挟み込む溝を有する種々の建具に適用することができる。
【符号の説明】
【0043】
1 建具
10 枠体
11,12 縦枠
13 上枠
20 障子
25 複層ガラス(面材)
30 框
31、32 縦框
33 上框
40 押縁
41,42 縦押縁
43 上押縁
90 接合部
150 パッキン部材(気密材)
図1
図2
図3