(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-11
(45)【発行日】2022-03-22
(54)【発明の名称】掘削位置測定方法
(51)【国際特許分類】
G01C 15/00 20060101AFI20220314BHJP
E02F 5/02 20060101ALI20220314BHJP
【FI】
G01C15/00 104D
E02F5/02 N
(21)【出願番号】P 2018049849
(22)【出願日】2018-03-16
【審査請求日】2020-10-30
(73)【特許権者】
【識別番号】000001317
【氏名又は名称】株式会社熊谷組
(73)【特許権者】
【識別番号】596118530
【氏名又は名称】テクノス株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】502281127
【氏名又は名称】株式会社ファテック
(74)【代理人】
【識別番号】100141243
【氏名又は名称】宮園 靖夫
(72)【発明者】
【氏名】北原 成郎
(72)【発明者】
【氏名】小林 勝
(72)【発明者】
【氏名】飛鳥馬 翼
(72)【発明者】
【氏名】阿部 孝敏
(72)【発明者】
【氏名】渡邉 輝文
(72)【発明者】
【氏名】早川 智哉
(72)【発明者】
【氏名】畑山 駿
【審査官】山▲崎▼ 和子
(56)【参考文献】
【文献】特開平10-160462(JP,A)
【文献】特開平07-103758(JP,A)
【文献】特開平07-019866(JP,A)
【文献】特開平05-079270(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0345108(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01C 1/00-1/14
5/00-15/14
E02F 5/00-7/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
地中を掘削中の掘削機の掘削手段の位置を測定する掘削位置測定方法において、
掘削手段に設けたシーブにロープを掛け渡して当該ロープの一端側を地上に設定した測定原点を経由させた後、
前記ロープの一端を地上で支持するとともに、
前記ロープの他端を地上で支持し、掘削手段を
前記ロープで吊り下げた状態で当該掘削手段を駆動して地中を任意の深さだけ掘削する毎に、加速度センサを搭載した測定装置を
前記ロープの一端側
である測定原点となる位置に取付けて当該測定装置を測定原点から地中に位置される掘削手段まで到達させた後に測定原点に戻して、掘削手段まで到達させた測定装置を測定原点に戻すまでの間、又は、測定装置を測定原点から掘削手段に到達させるまでの間に、加速度センサにより測定された測定値に基づいて地中の掘削手段の位置を求めたことを特徴とする掘削位置測定方法。
【請求項2】
地中を掘削中の掘削機の掘削手段の位置を測定する掘削位置測定方法において、
掘削手段に設けたシーブにロープを掛け渡して当該ロープの一端側を地上に設定した測定原点を経由させた後、
前記ロープの一端を地上で支持するとともに、
前記ロープの他端を地上で支持して、かつ、加速度センサを搭載した測定装置を
前記ロープの一端側
である測定原点となる位置に取付けておき、掘削手段を
前記ロープで吊り下げた状態で当該掘削手段を駆動して地中を任意の深さだけ掘削する毎に、測定装置を測定原点に戻し、その後、当該測定装置を測定原点から地中に位置される掘削手段まで到達させた後に測定原点に戻して、掘削手段まで到達させた測定装置を測定原点に戻すまでの間、又は、測定装置を測定原点から掘削手段に到達させるまでの間に、加速度センサにより測定された測定値に基づいて地中の掘削手段の位置を求めたことを特徴とする掘削位置測定方法。
【請求項3】
シーブは、掘削手段の上部側に取付手段を介して取付けられ、
取付手段は、シーブ取付板と、シーブ取付板の上端縁に固定された上板とを備え、
上板には、シーブを経由して上方に延長する
前記ロープの一端側を通過させる一端側貫通孔と、シーブを経由して上方に延長する
前記ロープの他端側を通過させる他端側貫通孔とが形成されたとともに、当該上板の上面となる板面における一端側貫通孔の周囲には、掘削手段に対する測定装置の到達位置を位置決めする到達位置決め手段が取付けられるか、あるいは、当該上板の上面が、測定装置の下端側に設けられた到達位置決め手段の着座面に形成され、
一端側貫通孔を経由した
前記ロープの一端が地上で支持されて、かつ、
他端側貫通孔を経由した
前記ロープの他端が地上で支持されたことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の掘削位置測定方法。
【請求項4】
シーブ及び到達位置決め手段を掘削手段に対して着脱可能に設けたことを特徴とする請求項3に記載の掘削位置測定方法。
【請求項5】
測定装置は、加速度センサを搭載した搭載容器と、当該搭載容器の外面から延長するように設けられた振れ止め連結部材とを備え、
振れ止め連結部材の延長端には
前記ロープが挿通するガイド孔を備え、
搭載容器の中心軸に沿った方向の中央位置である測定部と測定原点とが一致するように、当該搭載容器を前記ロープの一端側に固定するとともに、当該ロープの一端側の横に位置される前記ロープの他端側を測定装置の振れ止め連結部材のガイド孔に挿入し、測定装置が測定原点と掘削手段との間を昇降移動する際に、ガイド孔が
前記ロープに沿って昇降移動するように構成されたことを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか一項に記載の掘削位置測定方法。
【請求項6】
3軸加速度センサ及び3軸ジャイロセンサを搭載した測定装置を使用したことを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれか一項に記載の掘削位置測定方法。
【請求項7】
前記ロープに張力を付与する張力付与手段を使用して、
前記ロープに取付けられた測定装置を
前記ロープに張力を付与した状態で移動させることを特徴とする請求項1乃至請求項6のいずれか一項に記載の掘削位置測定方法。
【請求項8】
張力付与手段として、掘削手段に設けたシーブに掛け渡された
前記ロープの一端が固定されたロープ一端側支持ウインチと、掘削手段に設けたシーブに掛け渡された
前記ロープの他端が固定されたロープ他端側支持ウインチとを用い、当該ロープ一端側支持ウインチ及びロープ他端側支持ウインチを操作して、
前記ロープに取付けられた測定装置を
前記ロープに張力を付与した状態で移動させたことを特徴とする請求項7に記載の掘削位置測定方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、地中を掘削中の掘削機の掘削手段の位置を測定する掘削位置測定方法に関する。
【背景技術】
【0002】
地中を掘削中の掘削機の掘削手段の位置を測定する掘削位置測定方法として、3軸加速度センサ(3軸加速度計)及び3軸ジャイロセンサ(3軸ジャイロ)を掘削機の掘削手段に設置して、3軸加速度センサ及び3軸ジャイロセンサの測定値に基づいて、掘削中の掘削機の掘削手段の位置を求めることが知られている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1では、3軸加速度センサ及び3軸ジャイロセンサを掘削機の掘削手段に設置した状態で掘削作業を行い、この掘削作業中に、3軸加速度センサ及び3軸ジャイロセンサで測定された測定値、即ち、加速度、角度を積分して、掘削手段の位置及び姿勢を算出することになる。しかしながら、3軸加速度センサ及び3軸ジャイロセンサの測定値は、センサの個体差、温度変化、周辺からの影響等の様々な要因で発生する誤差成分(ノイズ)を含み、当該誤差成分は、測定時間が長くなればなるほど、大きくなってしまう。さらに、測定値(加速度、角度)の誤差が大きくなれば、測定値(加速度、角度)を積分することによって誤差がさらに増幅されてしまい、掘削手段の位置算出精度が低くなってしまうという課題があった。
本発明は、センサで測定される測定値の誤差を小さくできて、掘削手段の位置算出精度を向上できる掘削位置測定方法を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題に鑑み、本出願人は、センサで測定される測定値の誤差を小さくするために、センサによる測定を短時間で行う手法を創意工夫して本発明に至ったものである。
即ち、本発明に係る、地中を掘削中の掘削機の掘削手段の位置を測定する掘削位置測定方法は、掘削手段に設けたシーブにロープを掛け渡して当該ロープの一端側を地上に設定した測定原点を経由させた後、前記ロープの一端を地上で支持するとともに、前記ロープの他端を地上で支持し、掘削手段を前記ロープで吊り下げた状態で当該掘削手段を駆動して地中を任意の深さだけ掘削する毎に、加速度センサを搭載した測定装置を前記ロープの一端側である測定原点となる位置に取付けて当該測定装置を測定原点から地中に位置される掘削手段まで到達させた後に測定原点に戻して、掘削手段まで到達させた測定装置を測定原点に戻すまでの間、又は、測定装置を測定原点から掘削手段に到達させるまでの間に、加速度センサにより測定された測定値に基づいて地中の掘削手段の位置を求めたことを特徴とするので、加速度センサによる測定を短時間で行うことができるようになって、加速度センサで測定される測定値の誤差を小さくでき、掘削手段の位置算出精度を向上できる。
また、本発明に係る、地中を掘削中の掘削機の掘削手段の位置を測定する掘削位置測定方法は、掘削手段に設けたシーブにロープを掛け渡して当該ロープの一端側を地上に設定した測定原点を経由させた後、前記ロープの一端を地上で支持するとともに、前記ロープの他端を地上で支持して、かつ、加速度センサを搭載した測定装置を前記ロープの一端側である測定原点となる位置に取付けておき、掘削手段を前記ロープで吊り下げた状態で当該掘削手段を駆動して地中を任意の深さだけ掘削する毎に、測定装置を測定原点に戻し、その後、当該測定装置を測定原点から地中に位置される掘削手段まで到達させた後に測定原点に戻して、掘削手段まで到達させた測定装置を測定原点に戻すまでの間、又は、測定装置を測定原点から掘削手段に到達させるまでの間に、加速度センサにより測定された測定値に基づいて地中の掘削手段の位置を求めたことを特徴とするので、加速度センサによる測定を短時間で行うことができるようになって、加速度センサで測定される測定値の誤差を小さくでき、掘削手段の位置算出精度を向上できる。
また、シーブは、掘削手段の上部側に取付手段を介して取付けられ、取付手段は、シーブ取付板と、シーブ取付板の上端縁に固定された上板とを備え、上板には、シーブを経由して上方に延長する前記ロープの一端側を通過させる一端側貫通孔と、シーブを経由して上方に延長する前記ロープの他端側を通過させる他端側貫通孔とが形成されたとともに、当該上板の上面となる板面における一端側貫通孔の周囲には、掘削手段に対する測定装置の到達位置を位置決めする到達位置決め手段が取付けられるか、あるいは、当該上板の上面が、測定装置の下端側に設けられた到達位置決め手段の着座面に形成され、一端側貫通孔を経由した前記ロープの一端が地上で支持されて、かつ、他端側貫通孔を経由した前記ロープの他端が地上で支持されたことを特徴とするので、到達位置決め手段により測定装置を到達位置で位置決めできて測定装置を安定させた状態から測定装置を測定原点に戻すまでの間に測定装置で測定を行うことができるようになり、到達位置での測定装置の測定値の誤差を小さくできて、掘削手段の位置算出精度をより向上できるようになる。
また、シーブ及び到達位置決め手段を掘削手段に対して着脱可能に設けたので、掘削手段に、シーブ及び到達位置決め手段を簡単に取付けることができるようになり、掘削手段の位置算出精度を向上できる掘削位置測定方法を、各現場において、簡単確実に実施できるようになる。
また、測定装置は、加速度センサを搭載した搭載容器と、当該搭載容器の外面から延長するように設けられた振れ止め連結部材とを備え、振れ止め連結部材の延長端には前記ロープが挿通するガイド孔を備え、搭載容器の中心軸に沿った方向の中央位置である測定部と測定原点とが一致するように、当該搭載容器を前記ロープの一端側に固定するとともに、当該ロープの一端側の横に位置される前記ロープの他端側を測定装置の振れ止め連結部材のガイド孔に挿入し、測定装置が測定原点と掘削手段との間を昇降移動する際に、ガイド孔が前記ロープに沿って昇降移動するように構成されたことを特徴とするので、測定装置の昇降動作時に振れ止め連結部材による振れ止め効果によって、昇降動作時における測定装置の揺れや回転を少なくできるので、測定誤差を少なくできる。
また、3軸加速度センサ及び3軸ジャイロセンサを搭載した測定装置を使用したので、3軸加速度センサ及び3軸ジャイロセンサによる測定を短時間で行うことができるようになって、センサで測定される測定値の誤差を小さくでき、掘削手段の位置算出精度を向上できる。
また、前記ロープに張力を付与する張力付与手段を使用して、前記ロープに取付けられた測定装置を前記ロープに張力を付与した状態で移動させるようにした。特に、張力付与手段として、掘削手段に設けたシーブに掛け渡された前記ロープの一端が固定されたロープ一端側支持ウインチと、掘削手段に設けたシーブに掛け渡された前記ロープの他端が固定されたロープ他端側支持ウインチとを用い、当該ロープ一端側支持ウインチ及びロープ他端側支持ウインチを操作して、前記ロープに取付けられた測定装置を前記ロープに張力を付与した状態で移動させたので、ロープに一定の張力を付与してロープが緩まないようにできて、測定装置にできるだけ振動が付与されないように、測定装置を素早く上昇させることができるようになり、測定時間を短くできて、測定値の誤差を小さくできるので、掘削手段の位置算出精度をより向上できる。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1】掘削位置測定方法を実現するための掘削位置測定装置の概要を示す図。
【
図2】ロープに取付けられた測定装置と掘削手段に取付けられた到達位置決め手段との関係を示す斜視図。
【
図3】錘でロープに張力を付与する張力付与手段を用いた例を示す図。
【
図4】測定装置の下端部の外周面の形状例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0007】
図1に示すように、掘削位置測定方法を実現するための掘削位置測定装置1は、複数の掘削カッタ(掘削刃)21,21…等を有した掘削手段20を備えた掘削機2と、掘削手段20に設けられた到達位置決め手段3及びロープ一端側シーブ(案内車)4A,ロープ他端側シーブ4Bと、ワイヤーロープ等のロープ5と、ロープ一端側支持ウインチ6と、ロープ他端側支持ウインチ7と、測定装置8と、演算手段9とを備える。
【0008】
掘削機2は、例えば、地中連続壁を造成するための掘削機2であり、掘削手段20と、掘削手段20の動力源22と、動力源22の動力を掘削手段20に伝達する機能及び掘削手段20を吊り下げる機能を備えた接続手段23と備える。そして、動力源22の動力を接続手段23を介して掘削手段20に伝達して複数の掘削カッタ21,21…を回転させることにより、地上から下方に向けて地盤を掘削して上下方向に延長する掘削孔24を掘削する機械である。
当該掘削機2は、例えば、掘削カッタ21,21…を回転させることによって掘削を行うとともに掘削孔24内で掘削土とセメント系懸濁液とを撹拌混合して、矩形のソイルセメント壁体(土留め壁、遮水壁等)や地盤改良体を造成するための掘削機2である。
【0009】
到達位置決め手段3及びロープ一端側シーブ(案内車)4A,ロープ他端側シーブ4Bは、例えば、複数の掘削カッタ21,21…が回転可能に取付けられたカッタ支持体20Aの上部側に位置される取付部20Bに取付手段30を介して着脱自在に取付けられる。
【0010】
取付手段30は、例えば、
図2に示すように、下面となる板面と取付部20Bの上面を形成する平坦面とを接触させた状態で取付部20Bに溶接等で固定された固定板31と、固定板31に着脱自在に取付けられる取付部材32とで構成される。
【0011】
取付部材32は、例えば、
図2に示すように、下面となる板面と固定板31の上面となる板面とを接触させた状態で当該固定板31に着脱自在に取付けられる取付基板33と、下端縁が取付基板33の上面となる板面に溶接等で固定されて取付基板33の上面より上方に延長するように設けられたシーブ取付板34と、下面となる板面が取付基板33の板面と平行に対向するように下面となる板面とシーブ取付板34の上端縁とが溶接等で固定された上板35とを備える。
尚、固定板31及び取付基板33には、例えばボルト33aを貫通させる図外の貫通孔が4箇所に形成されており、これら貫通孔にボルト33aを貫通させて当該ボルト33aに図外のナットを締結することにより、取付基板33が固定板31に対して着脱自在に取付けられる構成となっている。
【0012】
シーブ取付板34の一方の板面(取付基板33の板面と直交する板面)上において2つのシーブ,即ち、ロープ一端側シーブ4Aとロープ他端側シーブ4Bとが間隔を隔てて横に並ぶように、当該2つのシーブ4A,4Bが例えばそれぞれ図外のブラケットを介してシーブ取付板34にボルト及びナット等の固定具により取付けられている。
【0013】
また、上板35には、ロープ一端側シーブ4Aを経由して上方に延長するロープ5の一端側5aを通過させる一端側貫通孔35aと、ロープ他端側シーブ4Bを経由して上方に延長するロープ5の他端側5bを通過させる他端側貫通孔35bとが形成されている。そして、上板35の上面となる板面における一端側貫通孔35aの周囲に、到達位置決め手段3が溶接等により取付けられている
【0014】
到達位置決め手段3は、
図2(b)に示すように、掘削手段20に到達する測定装置8の到達位置を位置決めする手段であり、例えば、上板35の上面における一端側貫通孔35aの周囲において、一端側貫通孔35aの周方向に互いに90°隔てた位置に設けられた4つの支持鋼材3A,3A…により構成される。
【0015】
支持鋼材3Aは、例えば、上下方向に長い長尺な平板鋼3aと、平板鋼3aの一方の板面における長手方向に沿った中心線上に溶接されて板面が平板鋼3aの板面と直交する方向に延長するように設けられた直交平板鋼3bとにより構成され、直交平板鋼3bの長手方向上側における延長端側が切欠部に形成され、この切欠き部の切欠縁面3cが測定装置8の搭載容器80の下端部80eの外面に接触するように構成されている。
即ち、4つの支持鋼材3A,3A…は、一端側貫通孔35aの周方向に互いに180°隔てた位置に設けられた各支持鋼材3A,3Aの平板鋼3a,3aの一方の板面が一端側貫通孔35aを通過するロープ5を挟んで互いに平行に対向し、かつ、当該一端側貫通孔35a側に面した各平板鋼3a,3a…の当該一方の板面にそれぞれ取付けられた各直交平板鋼3b,3b…の板面が互いに直交する板面となるように、上板35の上面に配置されて固定される。
つまり、4つの支持鋼材3A,3A…における各切欠縁面3c,3c…が一端側貫通孔35aの周方向に互いに90°隔てて位置するように、4つの支持鋼材3A,3A…が上板35の上面における一端側貫通孔35aの周囲に取付けられることで、この4つの支持鋼材3A,3A…の各切欠縁面3c,3c…が、測定装置8の搭載容器80の下端部80eの到着位置を形成するように構成される。
【0016】
尚、到達位置決め手段3は、測定装置8の搭載容器80の下端部80eの形状に対応した凹部を備えた構成であってもよい。
即ち、到達位置決め手段3は、ロープ5に取付けられて掘削孔24内を下降する測定装置8の搭載容器80の下端部80eが嵌め込まれて測定装置8を安定に停止させることができる構成であればよい。
【0017】
即ち、到達位置決め手段3及びロープ一端側シーブ4A,ロープ他端側シーブ4Bが取付けられた取付部材32の取付基板33が、固定板31を介して掘削手段20に取付けられることにより、到達位置決め手段3及びロープ一端側シーブ4A,ロープ他端側シーブ4Bが掘削手段20に設置されることになる。
【0018】
ロープ5は、掘削手段20に設けられたロープ一端側シーブ4A,ロープ他端側シーブ4Bに巻き掛けられて、一端が一端側貫通孔35a,一端側中継シーブ41を経由してロープ一端側支持ウインチ6に固定されるとともに、他端が他端側貫通孔35b,他端側中継シーブ42を経由してロープ他端側支持ウインチ7に固定されている。
【0019】
測定装置8は、例えば、搭載容器80の収容部85に、慣性センサとして3軸加速度センサ81及び3軸ジャイロセンサ82と、3軸加速度センサ81及び3軸ジャイロセンサ82で測定された測定値を記憶する記憶手段90とを搭載した構成のものが使用される。
搭載容器80は、例えば、内側に収容部85が形成された円筒の両端側が円錐面状に形成されて、昇降時に泥水の抵抗を受けにくい形状に形成された構成のものを用いる。
また、測定装置8は、搭載容器80の中心軸に沿った方向の中央部の外面から搭載容器80の中心軸と直交する方向に延長するように設けられた振れ止め連結部材83を備え、この振れ止め連結部材83の延長端にはロープ5が挿通するガイド孔84が形成されている。
測定装置8は、接続手段23により吊り下げられた状態で駆動される掘削手段20によって地中を任意の深さだけ掘削する毎に、ロープ5に取付けられる。
【0020】
即ち、掘削手段20を駆動して地中を任意の深さだけ掘削する毎(例えば、10m掘削する毎)に、掘削手段20の駆動を停止してから、測定装置8をロープ5上の測定原点10の位置に取付けて、その後、ロープ5に張力を付与する張力付与手段100として機能するロープ一端側支持ウインチ6及びロープ他端側支持ウインチ7を操作することによって、ロープ5に張力を付与した状態で、測定装置8を測定原点10から掘削手段20に設けられた到達位置決め手段3に到達させた後に測定原点10まで戻るように昇降移動させる。
【0021】
例えば、ロープ5の他端側を繰出すようにロープ他端側支持ウインチ7を操作しながら掘削手段20で地中を任意の深さだけ掘削する毎に、掘削手段20の駆動を停止し、その後、ロープ5の一端側である測定原点10となる位置(即ち、地上において中継シーブ41の下側に位置される測定原点10となるロープ5上の位置)に測定装置8を取付けて、ロープ5の他端側を巻取るようにロープ他端側支持ウインチ7を操作しながらロープ5の一端側を繰出すようにロープ一端側支持ウインチ6を操作して測定装置8を測定原点10から掘削手段20の到達位置決め手段3に到達させる(つまり、測定装置8を下降させて到達位置決め手段3に到達させる)。その後、ロープ5の一端側を巻取るようにロープ一方端側支持ウインチ6を操作しながらロープ5の他端側を繰出すようにロープ他端側支持ウインチ7を操作して測定装置8を測定原点10まで戻るように移動させる(つまり、測定装置8を上昇させて測定原点10まで戻す)。
【0022】
例えば、測定装置8における搭載容器80の中心軸に沿った方向の中央位置に3軸加速度センサ81及び3軸ジャイロセンサ82が搭載されている場合、搭載容器80の中心軸に沿った方向の中央位置(測定部)と測定原点10とが一致するように、搭載容器80を地上における中継シーブ41の下側のロープ5の位置に固定するとともに、当該ロープ5の位置の横に位置されるロープ5を測定装置8の振れ止め連結部材83のガイド孔84に挿入する。これにより、ロープ一端側支持ウインチ6、及び、ロープ他端側支持ウインチ7の操作に基づくロープ5の巻出し、巻取り時に、測定装置8が測定原点10と到達位置決め手段3との間を昇降移動する際に、ガイド孔84がロープ5に沿って昇降移動する。よって、測定装置8の昇降動作時に振れ止め連結部材83による振れ止め効果によって、昇降動作時における測定装置8の揺れや回転を少なくできるので、3軸加速度センサ81及び3軸ジャイロセンサ82の測定誤差を少なくできる。
【0023】
次に施工手順を説明する。施工手順は、準備ステップの後、施工ステップを行う。
【0024】
準備ステップでは、掘削機2の掘削手段20の取付部20Bに固定板31を溶接した後、到達位置決め手段3及びロープ一端側シーブ4A,ロープ他端側シーブ4Bが取付けられた取付部材32を固定板31に取りける。そして、掘削予定位置近くの地上面に、ロープ一端側支持ウインチ6及びロープ他端側支持ウインチ7を設置するとともに、図外の架台を用いて、一端側中継シーブ41及び他端側中継シーブ42を設置する。
そして、ロープ5を、ロープ一端側シーブ4A,ロープ他端側シーブ4Bに巻き掛けて、ロープ5の一端を、一端側貫通孔35a、一端側中継シーブ41を介してロープ一端側支持ウインチ6に固定するとともに、ロープ5の他端を、他端側貫通孔35b、他端側中継シーブ42を介してロープ他端側支持ウインチ7に固定する。
【0025】
施工ステップでは、掘削ステップ、測定ステップを繰り返し行う。
【0026】
掘削ステップでは、掘削手段20を駆動して任意の深さだけ掘削する。この際、例えばロープ一端側支持ウインチ6のブレーキを作動させた状態とするとともに、掘削の進行に合わせてロープ5の他端側を巻出す(繰出す)ようにロープ他端側支持ウインチ7を操作することにより、掘削手段20が接続手段23により吊り下げられた状態で掘削が行われる。
【0027】
掘削ステップでの掘削作業が終了した後、測定ステップを行う。
測定ステップでは、ロープ一端側シーブ4Aよりも若干下方に設定される測定原点10に測定装置8の中央位置、即ち、3軸加速度センサ81及び3軸ジャイロセンサ82による測定部が位置されるように、測定装置8をロープ5の一端側に固定状態に取付けるとともに、このロープ5の一端側と隣り合うロープ5の他端側を振れ止め連結部材83のガイド孔84に挿通させて係合させる。
そして、ロープ5の一端側を巻出すようにロープ一端側支持ウインチ6を操作するとともに、ロープ5の他端側を巻取るようにロープ他端側支持ウインチ7を操作して、
図1の矢印Aの方向にロープ5を送ることによって、測定装置8を
図1の測定原点10から到達位置決め手段3に到達させる(
図1の二点鎖線で示す測定装置8、
図2(b)に示す到達位置決め手段3に到達した測定装置8参照)。
また、ロープ5の一端側を巻取るようにロープ一端側支持ウインチ6を操作するとともに、ロープ5の他端側を巻出すようにロープ他端側支持ウインチ7を操作して、
図1の矢印Bの方向にロープ5を送ることによって、測定装置8を到達位置決め手段3に到達した到着位置から測定原点10の位置に戻す測定装置戻し作業を行う。
【0028】
この測定装置戻し作業において上昇する測定装置8の3軸加速度センサ81で測定された測定値、及び、3軸ジャイロセンサ82で測定された測定値が、記憶手段90に逐次記憶され、測定装置8が測定原点10の位置に戻ったならば、記憶手段90に逐次記憶された測定値が、例えば無線によって、演算装置9に送信される。
【0029】
また、ロープ5に取付けられて昇降する測定装置8の測定部の位置(深さ位置)は、ロープ5の一端側5aが巻き取り方向に移動した長さ又はロープ5の他端側5bが巻き出し方向(繰り出し方向)に移動した長さを、例えば図外のロータリーエンコーダ等の深度計で測定することで求めればよい。この場合、ロープ5の移動により回転するロータリーエンコーダの回転量、又は、ロータリーエンコーダの作動時間に基づいて、ロープ5が移動した長さを求めることで測定装置8の測定部の位置(深さ位置)を測定すればよい。
そして、上昇して刻々と位置変化する測定装置8の測定部の位置(深さ位置)毎に測定部(3軸加速度センサ81及び3軸ジャイロセンサ82)で測定された測定値が、記憶手段90に逐次記憶される。
尚、掘削手段20の掘進方向の位置(深さ位置)、即ち、後述する掘削手段20の観測対象位置は、掘削機2に設けられた図外の深度測定器で測定される。従って、到達位置決め手段3に到達した測定装置8の測定部と掘削手段20の観測対象位置との間の距離は分かっているので、掘削機2に設けられた図外の深度測定器で測定された掘削手段20の観測対象位置に基づいて、昇降する測定装置8の測定部の位置(深さ位置)を求めることも可能である。即ち、ロープ5の巻き取り速度又はロープ5の巻き出し速度を一定にした条件において単位時間当たりの測定装置8の移動量を予め求めておけば、到達位置決め手段3に到達した測定装置8を上昇させる際に刻々と変化する測定装置8の測定部の位置(深さ位置)を、別途、ロータリーエンコーダ等の深度計を用いることなく、ロープ5の巻き取り時間又はロープ5の巻き出し時間から求めることができる。
【0030】
演算装置9は、3軸加速度センサ81及び3軸ジャイロセンサ82により測定された測定値に基づいて地中の掘削手段の位置を求める。即ち、演算装置9は、受信した測定値を積分して、測定装置8の測定部の変位及び姿勢を算出することによって、到達位置決め手段3に到達した測定装置8の測定部の位置及び姿勢を、測定原点10を基準として算出する。つまり、演算装置9は、加速度センサ81で測定された加速度を時間で積分することにより速度を算出し、当該速度を時間で積分することにより変位(位置)を算出する(つまり、測定値を2回積分して変位(位置)を算出する)とともに、ジャイロセンサ82で測定された角速度を時間で積分することにより角度を算出する。そして、当該測定部と掘削手段20の観測対象位置との間の距離を加算して当該掘削手段20の観測対象位置の位置及び姿勢を算出する。
【0031】
また、演算装置9は、測定部で測定された各測定時における掘削手段20の観測対象位置の位置及び姿勢(掘削手段20の観測対象位置の軌跡)も算出する。
【0032】
以後、さらに任意の深さだけ掘削する掘削ステップを行った後に、測定ステップを行うことを、予定の深度となるまで繰り返す。
つまり、任意の深さだけ掘削する掘削ステップを行う毎に、測定ステップを行う。
【0033】
測定装置戻し作業においては、ロープ5に一定の張力を付与してロープ5が緩まないようにするとともに、測定装置8にできるだけ振動が付与されないように、測定装置8を素早く一定速度(例えば17.5m/min)で上昇させるようにすることで、測定時間を短くできて、測定値の誤差を小さくできるので、掘削手段20の位置算出精度を向上できる。
【0034】
即ち、実施形態1の掘削位置測定方法によれば、3軸加速度センサ81及び3軸ジャイロセンサ82を搭載した測定装置8による測定を短時間で行うことができるようになって、測定装置8で測定される測定値の誤差を小さくでき、掘削手段20の位置算出精度が向上する。
また、実施形態1では、掘削手段20に対する測定装置8の到達位置を位置決めする到達位置決め手段3を、掘削手段20に設けたので、到達位置決め手段3により測定装置8を到達位置で位置決めできて測定装置8を安定させた状態から測定装置8を測定原点10に戻すまでの間に測定装置8で測定を行うことができるので、到達位置での測定装置8の測定値の誤差をより小さくでき、掘削手段20の位置算出精度をより向上できるようになる。
また、掘削手段20に設けたロープ一端側シーブ4A,ロープ他端側シーブ4Bに掛け渡されたロープ5の一端をロープ一端側支持ウインチ6に固定するとともに、ロープ5の他端をロープ他端側支持ウインチ7に固定して、張力付与手段100として機能する当該ロープ一端側支持ウインチ6及びロープ他端側支持ウインチ7を操作して、ロープ5に取付けられた測定装置8をロープ5に張力を付与した状態で測定原点10から掘削手段20に到達させた後に測定原点10まで戻すようにしたので、ロープ5に一定の張力を付与してロープ5が緩まないようにできて、測定装置8にできるだけ振動が付与されないように、測定装置8を素早く上昇させることができるようになり、測定時間を短くできて、かつ、測定値の誤差を小さくできるので、掘削手段20の位置算出精度をより向上できる。
また、ロープ一端側シーブ4A,ロープ他端側シーブ4B及び到達位置決め手段3を掘削手段20に対して着脱可能に設けたので、各現場において、掘削機2の掘削手段20に、これらロープ一端側シーブ4A,ロープ他端側シーブ4B及び到達位置決め手段3を簡単に取付けることができるようになり、上述した掘削手段20の位置算出精度を向上できる掘削位置測定方法を、各現場において、簡単確実に実施できるようになる。
このように、掘削手段20の位置算出精度が向上すれば、掘削手段20の位置が設計予定位置から大きく外れないように、掘削手段20の掘削方向を修正する作業を正確に行うことができるようになり、高精度の大深度地中構造体を造成することが可能となる。
【0035】
尚、1回1回の掘削ステップで掘削する掘削深さを浅くして測定ステップを行う間隔を短くすれば、掘削手段20の掘削方向を修正する作業をより短い間隔で行えるので、高精度の大深度地中構造体を造成することが可能となる。
例えば、地盤が硬く、掘削手段20の位置が設計予定位置から外れやすいような場合には、1回1回の掘削ステップで掘削する掘削深さを浅くして測定ステップを行う間隔を短くし、逆に、地盤が軟らかく、掘削手段20の位置が設計予定位置から外れにくいような場合には、1回1回の掘削ステップで掘削する掘削深さを深くして測定ステップを行う間隔を長くすればよい。
【0036】
実施形態2
実施形態1では、ロープ5に取付けられた測定装置8をロープ5に張力を付与した状態で移動させる張力付与手段100として、ロープ一端側支持ウインチ6及びロープ他端側支持ウインチ7を用いた張力付与手段100を例示したが、
図3に示すように、錘70でロープ5に張力を付与する張力付与手段100を用いるようにしてもよい。
例えば、ロープ5の一端5eを地上に固定するとともに、ロープ5の他端をウインチ60に固定し、ロープ5の一端側5aに取付けた錘70をクレーン等の揚重機72で吊り下げた構成の張力付与手段100を用いてもよい。
当該張力付与手段100は、ロープ5を、ロープ一端側シーブ4A,ロープ他端側シーブ4Bに巻き掛けて、例えば、ロープ5の一端5eを、一端側貫通孔35a、一端側中継シーブ61,62,63、揚重機側中継シーブ64、錘70が固定された錘固定シーブ65、揚重機側中継シーブ66を介して地上の固定部に固定するとともに、ロープ5の他端を、他端側貫通孔35b、他端側中継シーブ67,68,69を介してウインチ60に固定し、ウインチ60を操作して錘70を昇降させることによって、ロープ5に張力を付与した状態で測定装置8を昇降させる構成とした(
図3参照)。尚、錘70は、揚重機側中継シーブ64,66間においてロープ5で吊り下げられた錘固定シーブ65に固定されており、揚重機側中継シーブ64,66が設置された設置手段71を揚重機72で吊り下げることで、錘70が揚重機72で吊り下げられた構成とした。
【0037】
当該張力付与手段100を用いる場合、ロープ5の他端側5bを巻取るようにウインチ60を操作することにより、ロープ5に取付けられた測定装置8が測定原点10から下降するとともに、錘70が上昇して、測定装置8が測定原点10から到達位置決め手段3に到達する。この場合、ロープ5がウインチ60と錘70とによって引張られることにより、常にロープ5に張力が付与された状態となり、この状態で測定装置8を測定原点10から到達位置決め手段3に到達させることができるようになる。
また、ロープ5の他端側5bを巻出すようにウインチ60を操作することにより、錘70が下降するとともに、測定装置8が上昇して、測定装置8が到達位置決め手段3に到達した到着位置から測定原点10に戻る。この場合、ロープ5が錘70によって引張られることにより、常にロープ5に張力が付与された状態となり、この状態で測定装置8を到着位置から測定原点10に戻すことができるようになる。
尚、揚重機72で吊り下げられた設置手段71の高さ(地上から設置手段71までの高さ)、即ち、錘70を昇降させることが可能な錘70の昇降可能距離は、掘削孔24の掘削深さに応じて調整される。
当該張力付与手段100を用いた場合、錘70によって、ロープ5に取付けられた測定装置8を常にロープ5に張力を付与した状態で測定原点10から掘削手段20に到達させた後に測定原点10まで戻すことができるようになるので、ロープ5が緩まないようにできて、測定装置8にできるだけ振動が付与されないように、測定装置8を素早く上昇させることができるようになり、測定時間を短くできて、かつ、測定値の誤差を小さくできるので、掘削手段20の位置算出精度をより向上できる。
【0038】
実施形態3
実施形態1,2においては、測定装置8を到達位置決め手段3に到達させた後に測定原点10の位置に戻すまでの間に測定を行うようにしたが、測定装置8を測定原点10から到達位置決め手段3に到達させるまでの間に測定を行うようにしてもよい。
但し、測定装置8を測定原点10から到達位置決め手段3に到達させる際の掘削孔24内の泥水の抵抗が、測定装置8を到達位置決め手段3に到達させた後に測定原点10の位置に戻す際の抵抗よりも大きいこと、測定装置8が到達位置決め手段3に到達する際の衝撃等により、実施形態2の方が実施形態1よりも測定値の誤差を大きくする要因が多くなると考えられるので、実施形態1のように、測定装置8を到達位置決め手段3に到達させた後に測定原点10の位置に戻すまでの間に測定を行うことが好ましい。
【0039】
尚、慣性センサとして加速度センサ81のみを搭載した測定装置を用いて、掘削手段20の位置を算出するようにしてもよい。3軸加速度センサ81及び3軸ジャイロセンサ82を搭載した測定装置8の場合、測定装置8が回転したとしても3軸ジャイロセンサ82により加速度の方向が分かるが、加速度センサ81のみを搭載した測定装置の場合、加速度センサ81が回転すると、加速度の方向が分からなくなるため、加速度センサ81が回転しないようする必要がある。従って、当該加速度センサ81のみを搭載した測定装置を用いる場合、当該測定装置を上述したような振れ止め連結部材83を用いてロープ5に接続して加速度センサ81が回転しないようにすることで、昇降動作時における加速度センサ81の水平方向の移動方向を加速度の方向と見做すことができるようになる。
【0040】
到達位置決め手段3を、測定装置8の下端側に設けるようにしてもよい。例えば、
図4に示すように、下端部80eに、上板35の上面である平面に着座する到達位置決め手段3として機能する平面に形成された下面80fを有した構成の測定装置8を用いてもよい。この場合、測定装置8の下面80fの面積を、測定装置8の搭載容器80における下端部80e以外の部分の断面積よりも大きくすることで、測定装置8の下面80fが上板35の上面である平面に安定に着座するように構成した。
また、この場合、
図4に示すように、測定装置8の下端部80eの外周面の形状を円錐面形状、あるいは、角錐面形状に形成することにより、測定装置8を到着位置から測定原点10の位置に戻す際の抵抗を小さくできる構成とすることが好ましい。
【0041】
また、到達位置決め手段3を備えない構成としてもよい。
【0042】
また、測定装置8は、ロープ5に取付けたままとしておいても良い。つまり、掘削ステップでの掘削作業中においても測定装置8をロープ5に取付けておいても良い。この場合、掘削手段20を駆動して地中を任意の深さだけ掘削する毎に、測定装置8を測定原点10まで戻して測定装置8の初期設定を行ってから測定を行うようにする。即ち、測定開始直前に測定装置8の初期設定を行ってから測定を行えば、測定時間を短くできて、かつ、測定値の誤差を小さくできるので、掘削手段20の位置算出精度を向上できるようになる。
【0043】
また、本発明は、GPSの電波が届かない環境下において移動する移動体の位置を測定する場合に、適用可能であり、当該移動体の位置算出精度を向上できるようになる。
【符号の説明】
【0044】
1 掘削位置測定装置、2 掘削機、3 到達位置決め手段、
4A ロープ一端側シーブ、4Bロープ他端側シーブ、5 ロープ、
6 ロープ一端側支持ウインチ、7 ロープ他端側支持ウインチ、8 測定装置、
10 測定原点、60 ウインチ、81 3軸加速度センサ(加速度センサ)、
82 3軸ジャイロセンサ、100 張力付与手段。