(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-11
(45)【発行日】2022-03-22
(54)【発明の名称】家屋異動判読支援システム、家屋異動判読支援方法および家屋異動判読支援プログラム
(51)【国際特許分類】
G06T 1/00 20060101AFI20220314BHJP
G01C 11/26 20060101ALI20220314BHJP
G06Q 50/10 20120101ALI20220314BHJP
【FI】
G06T1/00 285
G01C11/26
G06Q50/10
(21)【出願番号】P 2018058266
(22)【出願日】2018-03-26
【審査請求日】2019-12-04
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000213909
【氏名又は名称】朝日航洋株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】特許業務法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】犬木 雅之
【審査官】山田 辰美
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2009/057619(WO,A1)
【文献】特開2016-099316(JP,A)
【文献】特開2001-109872(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06T 1/00
G01C 11/26
G06Q 50/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1および第2時期における対象領域内の家屋の形状が示された判定対象データに基づいて両時期の間での家屋異動を判読する作業を支援する家屋異動判読支援システムであって、
当該両時期における空間情報計測データに基づいて対象領域内の上空からの家屋の形状が示された第1および第2判定対象画像を前記判定対象データとして生成する判定画像生成部と、
前記判定画像生成部により生成された前記第1および第2判定対象画像の判定領域内に所定のメッシュを設定するメッシュ設定部と、
前記メッシュ設定部により設定された所定のメッシュのうちの当該両時期の間での家屋異動の有無に関する情報に関して、
第1および第2作業者
の端末からの選択入力を受け付けて検出処理する判定作業処理部と、
前記判定作業処理部による
前記第1作業者の第1の作業工程において前記メッシュ設定部により設定された所定のメッシュのうちの当該両時期の間での家屋異動が検出されたメッシュを第1候補領域として抽出する第1抽出部と、
前記判定作業処理部による
前記第2作業者の第2の作業工程において前記メッシュ設定部により設定された所定のメッシュのうちの当該両時期の間での家屋異動が検出されたメッシュを第2候補領域として抽出する第2抽出部と、
前記第1および第2候補領域として抽出されたメッシュに基づいて、
管理者の端末に対して合成した合成判定対象データを出力する合成部とを備える、家屋異動判読支援システム。
【請求項2】
第1および第2時期における対象領域内の家屋の形状が示された判定対象データに基づいて両時期の間での家屋異動を判読する作業を支援する家屋異動判読支援システムであって、
当該両時期における空間情報計測データに基づいて対象領域内の上空からの家屋の形状が示された第1および第2判定対象画像を前記判定対象データとして生成する判定画像生成部と、
前記判定画像生成部により生成された前記第1および第2判定対象画像の判定領域内に所定のメッシュを設定するメッシュ設定部と、
前記メッシュ設定部により設定された所定のメッシュのうちの当該両時期の間での家屋異動の有無に関する情報に関して、作業者
の端末からの選択入力を受け付けて検出処理する判定作業処理部と、
前記メッシュ設定部により設定された所定のメッシュのうちの当該両時期の間での家屋異動の有無に関する情報に関して、所定の方式に基づいて検出処理する自動判定部と、
前記判定作業処理部による
前記作業者の第1の作業工程において前記メッシュ設定部により設定された所定のメッシュのうちの当該両時期の間での家屋異動が検出されたメッシュを第1候補領域として抽出する第1抽出部と、
前記自動判定部による第2の作業工程において前記メッシュ設定部により設定された所定のメッシュのうちの当該両時期の間での家屋異動が検出されたメッシュを第2候補領域として抽出する第2抽出部と、
前記第1および第2候補領域として抽出されたメッシュに基づいて、
管理者の端末に対して合成した合成判定対象データを出力する合成部とを備える、家屋異動判読支援システム。
【請求項3】
前記合成部は、
前記合成判定対象データとして、
前記第1および第2判定対象画像の前記所定のメッシュのうち前記第1および第2候補領域として抽出されたメッシュに対して第1の色を表示するように出力し、
前記第1および第2判定対象画像の前記所定のメッシュのうち前記第1および第2候補領域以外のメッシュに対して第2の色を表示するように出力する、請求項1または2記載の家屋異動判読支援システム。
【請求項4】
前記合成部は、
前記合成判定対象データとして、
前記第1および第2判定対象画像の前記所定のメッシュのうち前記第1および第2候補領域として抽出されたメッシュのうち両方に含まれるメッシュに対して第1の色を表示するように出力し、
前記第1および第2判定対象画像の前記所定のメッシュのうち前記第1および第2候補領域として抽出されたメッシュのうち一方のみに含まれるメッシュに対して第2の色を表示するように出力し、
前記第1および第2判定対象画像の前記所定のメッシュのうち前記第1および第2候補領域以外のメッシュに対して第3の色を表示するように出力する、請求項1または2記載の家屋異動判読支援システム。
【請求項5】
第1および第2時期における対象領域内の家屋の形状が示された判定対象データに基づいて両時期の間での家屋異動を判読する作業を支援する家屋異動判読支援方法であって、
当該両時期における空間情報計測データに基づいて対象領域内の上空からの家屋の形状が示された第1および第2判定対象画像を前記判定対象データとして生成するステップと、
生成された前記第1および第2判定対象画像の判定領域内に所定のメッシュを設定するステップと、
設定された所定のメッシュのうちの当該両時期の間での家屋異動の有無に関する情報に関して、
第1および第2作業者
の端末からの選択入力を受け付けて検出処理するステップと、
前記検出処理による
前記第1作業者の第1作業工程において、設定された所定のメッシュのうち前記判定対象データに基づいて当該両時期の間での家屋異動を検出するステップと、
前記検出処理による
前記第2作業者の第2作業工程において、設定された所定のメッシュのうち前記判定対象データに基づいて当該両時期の間での家屋異動を検出するステップと、
前記第1作業工程において、異動が検出されたメッシュを第1候補領域として抽出するステップと、
前記第2作業工程において、異動が検出されたメッシュを第2候補領域として抽出するステップと、
前記第1および第2候補領域として抽出されたメッシュに基づいて、
管理者の端末に対して合成した合成判定対象データを出力するステップとを備える、家屋異動判読支援方法。
【請求項6】
コンピュータを、第1および第2時期における対象領域内の家屋の形状が示された判定対象データに基づいて両時期の間での家屋異動を判読する作業を支援する家屋異動判読支援装置として機能させるためのプログラムであって、
前記プログラムは、前記コンピュータに、
当該両時期における空間情報計測データに基づいて対象領域内の上空からの家屋の形状が示された第1および第2判定対象画像を前記判定対象データとして生成する判定画像生成部と、
前記判定画像生成部により生成された前記第1および第2判定対象画像の判定領域内に所定のメッシュを設定するメッシュ設定部と、
前記メッシュ設定部により設定された所定のメッシュのうちの当該両時期の間での家屋異動の有無に関する情報に関して、
第1および第2作業者
の端末からの選択入力を受け付けて検出処理する判定作業処理部と、
前記判定作業処理部による
前記第1作業者の第1の作業工程において前記メッシュ設定部により設定された所定のメッシュのうちの当該両時期の間での家屋異動が検出されたメッシュを第1候補領域として抽出する第1抽出部と、
前記判定作業処理部による
前記第2作業者の第2の作業工程において前記メッシュ設定部により設定された所定のメッシュのうちの当該両時期の間での家屋異動が検出されたメッシュを第2候補領域として抽出する第2抽出部と、
前記第1および第2候補領域として抽出されたメッシュに基づいて、
管理者の端末に対して合成した合成判定対象データを出力する合成部として、機能させる、家屋異動判読支援プログラム。
【請求項7】
第1および第2時期における対象領域内の家屋の形状が示された判定対象データに基づいて両時期の間での家屋異動を判読する作業を支援する家屋異動判読支援方法であって、
当該両時期における空間情報計測データに基づいて対象領域内の上空からの家屋の形状が示された第1および第2判定対象画像を前記判定対象データとして生成するステップと、
生成された前記第1および第2判定対象画像の判定領域内に所定のメッシュを設定するステップと、
第1作業工程において、設定された所定のメッシュのうちの当該両時期の間での家屋異動の有無に関する情報に関して、作業者
の端末からの選択入力を受け付けて設定された所定のメッシュのうち前記判定対象データに基づいて当該両時期の間での家屋異動を検出するステップと、
第2作業工程において、設定された所定のメッシュのうちの当該両時期の間での家屋異動の有無に関する情報に関して、所定の方式に基づいて当該両時期の間での家屋異動を検出するステップと、
前記作業者の前記第1作業工程において、異動が検出されたメッシュを第1候補領域として抽出するステップと、
前記第2作業工程において、異動が検出されたメッシュを第2候補領域として抽出するステップと、
前記第1および第2候補領域として抽出されたメッシュに基づいて、
管理者の端末に対して合成した合成判定対象データを出力するステップとを備える、家屋異動判読支援方法。
【請求項8】
コンピュータを、第1および第2時期における対象領域内の家屋の形状が示された判定対象データに基づいて両時期の間での家屋異動を判読する作業を支援する家屋異動判読支援装置として機能させるためのプログラムであって、
前記プログラムは、前記コンピュータに、
当該両時期における空間情報計測データに基づいて対象領域内の上空からの家屋の形状が示された第1および第2判定対象画像を前記判定対象データとして生成する判定画像生成部と、
前記判定画像生成部により生成された前記第1および第2判定対象画像の判定領域内に所定のメッシュを設定するメッシュ設定部と、
前記メッシュ設定部により設定された所定のメッシュのうちの当該両時期の間での家屋異動の有無に関する情報に関して、作業者
の端末からの選択入力を受け付けて検出処理する判定作業処理部と、
前記メッシュ設定部により設定された所定のメッシュのうちの当該両時期の間での家屋異動の有無に関する情報に関して、所定の方式に基づいて検出処理する自動判定部と、
前記判定作業処理部による
前記作業者の第1の作業工程において前記メッシュ設定部により設定された所定のメッシュのうちの当該両時期の間での家屋異動が検出されたメッシュを第1候補領域として抽出する第1抽出部と、
前記自動判定部による第2の作業工程において前記メッシュ設定部により設定された所定のメッシュのうちの当該両時期の間での家屋異動が検出されたメッシュを第2候補領域として抽出する第2抽出部と、
前記第1および第2候補領域として抽出されたメッシュに基づいて、
管理者の端末に対して合成した合成判定対象データを出力する合成部とを備える、として、機能させる、家屋異動判読支援プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、家屋異動判読支援システムに関し、家屋形状の異動の判読の支援に関する。
【背景技術】
【0002】
固定資産の異動判読調査とは、前年度に撮影されたカラー航空写真と、本年度に撮影されたカラー航空写真とを比較して、その差異により固定資産の異動を判読することをいう。ここで、固定資産の異動判読とは、家屋の増改築、更地における家屋の新築(更地新築)、家屋の滅失、家屋の滅失後に新たな家屋の新築(滅失新築)等、土地利用の状況の変化をいう。
【0003】
この点で、従来、これらの方法で家屋異動判読の自動化を図る装置が種々提案されている(特許文献1~3)。
【0004】
しかしながら、その精度の向上が課題となっている。
したがって、固定資産の把握のように精度が要求される場合には、それら装置による異動個所の検出結果を目視判読により確認する作業が行われている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開平9-61164号公報
【文献】特開2007-3244号公報
【文献】特開2016-99316号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、人による目視判読においては作業の効率化が課題となる。
この点、異なる時期に撮影された空中写真は基本的に撮影条件が相違し、これに起因して画像の色合い、コントラスト、影の位置・大きさ、及び季節に応じた植生等に相違が生じる。
【0007】
判読調査を行う時期は、カラー航空写真が撮影された直後の1月~3月の3ヶ月の期間に行なわれることが一般的であり、その限られた期間にこれらの要因による画像の変化の中から、家屋異動による画像の変化を弁別する必要があり、そのため判読作業の効率の向上が重要である。
【0008】
本開示は、上記の問題点を解決するためになされたものであり、判読作業の効率向上が可能な家屋異動判読支援システム、家屋異動判読支援方法および家屋異動判読支援プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
ある実施形態に従うと、第1および第2時期における対象領域内の家屋の形状が示された判定対象データに基づいて両時期の間での家屋異動を判読する作業を支援する家屋異動判読支援システムが提供される。この装置は、当該両時期における空間情報計測データに基づいて対象領域内の上空からの家屋の形状が示された第1および第2判定対象画像を判定対象データとして生成する判定画像生成部と、判定画像生成部により生成された第1および第2判定対象画像の判定領域内に所定のメッシュを設定するメッシュ設定部と、第1の作業工程においてメッシュ設定部により設定された所定のメッシュのうちの当該両時期の間での家屋異動が検出されたメッシュを第1候補領域として抽出する第1抽出部と、第2の作業工程においてメッシュ設定部により設定された所定のメッシュのうちの当該両時期の間での家屋異動が検出されたメッシュを第2候補領域として抽出する第2抽出部と、第1および第2候補領域として抽出されたメッシュに基づいて、合成した合成判定対象データを出力する合成部とを備える。
【0010】
好ましくは、合成部は、合成判定対象データとして、第1および第2判定対象画像の所定のメッシュのうち第1および第2候補領域として抽出されたメッシュに対して第1の色を表示するように出力し、第1および第2判定対象画像の所定のメッシュのうち第1および第2候補領域以外のメッシュに対して第2の色を表示するように出力する。
【0011】
好ましくは、合成部は、合成判定対象データとして、第1および第2判定対象画像の所定のメッシュのうち第1および第2候補領域として抽出されたメッシュのうち両方に含まれるメッシュに対して第1の色を表示するように出力し、第1および第2判定対象画像の所定のメッシュのうち第1および第2候補領域として抽出されたメッシュのうち一方のみに含まれるメッシュに対して第2の色を表示するように出力し、第1および第2判定対象画像の所定のメッシュのうち第1および第2候補領域以外のメッシュに対して第3の色を表示するように出力する。
【0012】
他の実施形態に従うと、第1および第2時期における対象領域内の家屋の形状が示された判定対象データに基づいて両時期の間での家屋異動を判読する作業を支援する家屋異動判読支援方法が提供される。この方法は、当該両時期における空間情報計測データに基づいて対象領域内の上空からの家屋の形状が示された第1および第2判定対象画像を判定対象データとして生成するステップと、生成された第1および第2判定対象画像の判定領域内に所定のメッシュを設定するステップと、第1作業工程において、設定された所定のメッシュのうち判定対象データに基づいて当該両時期の間での家屋異動を検出するステップと、第2作業工程において、設定された所定のメッシュのうち判定対象データに基づいて当該両時期の間での家屋異動を検出するステップと、第1作業工程において、異動が検出されたメッシュを第1候補領域として抽出するステップと、第2作業工程において、異動が検出されたメッシュを第2候補領域として抽出するステップと、第1および第2候補領域として抽出されたメッシュに基づいて、合成した合成判定対象データを出力するステップとを備える。
【0013】
他の実施形態に従うと、コンピュータを、第1および第2時期における対象領域内の家屋の形状が示された判定対象データに基づいて両時期の間での家屋異動を判読する作業を支援する家屋異動判読支援装置として機能させるためのプログラムが提供される。このプログラムは、コンピュータを、当該両時期における空間情報計測データに基づいて対象領域内の上空からの家屋の形状が示された第1および第2判定対象画像を判定対象データとして生成する判定画像生成部と、判定画像生成部により生成された第1および第2判定対象画像の判定領域内に所定のメッシュを設定するメッシュ設定部と、第1の作業工程においてメッシュ設定部により設定された所定のメッシュのうち当該両時期の間での家屋異動が検出されたメッシュを第1候補領域として抽出する第1抽出部と、第2の作業工程においてメッシュ設定部により設定された所定のメッシュのうち当該両時期の間での家屋異動が検出されたメッシュを第2候補領域として抽出する第2抽出部と、第1および第2候補領域として抽出されたメッシュに基づいて、合成した合成判定対象データを表示する合成部として、機能させる。
【発明の効果】
【0014】
本開示の家屋異動判読支援装置、家屋異動判読支援方法および家屋異動判読支援プログラムは、判読作業の効率向上が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】実施形態1に従う家屋異動判読支援システム1の概念図である。
【
図2】実施形態1に従うサーバ5の構成を説明する図である。
【
図3】実施形態1に従う端末10の構成を説明する図である。
【
図4】実施形態1に基づく作業者Aの端末10Aの表示部44に表示された画面100を説明する図である。
【
図5】実施形態1に基づく作業者Aにより家屋異動が検出された判定対象データを説明する図である。
【
図6】実施形態1に基づく作業者Aにより家屋異動が検出されない判定対象データを説明する図である。
【
図7】実施形態1に基づく作業者Bの端末10Bの表示部44に表示された画面を説明する図である。
【
図8】実施形態1に基づく作業者Bにより家屋異動が検出された判定対象データを説明する図である。
【
図9】実施形態1に基づく作業者Bにより選択されたメッシュおよびそれ以外のメッシュが表示された判定対象データを説明する図である。
【
図10】実施形態1に基づく端末10Dの表示部44に表示出力された合成判定対象データを説明する図である。
【
図11】実施形態1に基づくサーバ5の処理を説明するフロー図である。
【
図12】実施形態1に基づくサーバ5における合成判定対象データの生成について説明するフロー図である。
【
図13】実施形態1の変形例1に基づく端末10Dの表示部44に表示出力された合成判定対象データを説明する図である。
【
図14】実施形態1の変形例2に基づく端末10Dの表示部44に表示出力された合成判定対象データを説明する図である。
【
図15】実施形態2に従うサーバ5Aの構成を説明する図である。
【
図16】実施形態2に基づくCPUにより家屋異動が検出された判定対象データを説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
実施形態について図面を参照しながら詳細に説明する。なお、図中同一または相当部分には同一符号を付し、その説明は繰り返さない。
【0017】
(実施形態1)
(全体システムの構成)
図1は、実施形態1に従う家屋異動判読支援システム1の概念図である。
【0018】
図1を参照して、家屋異動判読支援システム1は、複数の端末10A~10Dと、ネットワーク2と、サーバ5とを含む。
【0019】
端末10A~10D(総称して端末10とも称する)は、ネットワーク2を介してそれぞれサーバ5にアクセス可能に設けられている。ネットワーク2は、有線および無線ネットワークの少なくとも一方を含む。
【0020】
端末10A~10Dは、それぞれ異なる場所に配置されている。なお、端末10A~10Dは、固定端末でも良く、携帯端末でも良い。
【0021】
一例として、端末10A~10Cに対してそれぞれ作業者が対応付けられている。端末10Dは、管理者が対応付けられている。
【0022】
一例として、作業者A~Cは、端末10A~10Cをそれぞれ操作する。管理者は、端末10Dを操作する。
【0023】
(サーバ5の構成)
図2は、実施形態1に従うサーバ5の構成を説明する図である。
【0024】
図2を参照して、サーバ5は、CPU(Central Processing Unit)20と、メモリ16と、通信部18とを含む。
【0025】
CPU20は、サーバ5全体を制御する。
CPU20は、メモリ16に格納されているプログラムを実行することにより種々の機能ブロックを実現する。具体的には、CPU20は、判定画像生成部22と、メッシュ設定部24と、判定作業処理部25と、第1抽出部26と、第2抽出部28と、合成部30とを含む。
【0026】
メモリ16は、コンピュータに内蔵されるROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、ハードディスクなどの記憶装置である。メモリ16は、判定画像生成部22、メッシュ設定部24、判定作業処理部25と、第1抽出部26、第2抽出部28および合成部30の処理プログラムを含む各種プログラムや各種データを記憶し、CPU20との間でこれらの情報を入出力する。
【0027】
通信部18は、ネットワーク2と接続されており、ネットワーク2と接続されている他の装置(端末10A~10D)と通信する。
【0028】
(端末10の構成)
図3は、実施形態1に従う端末10の構成を説明する図である。
【0029】
図3を参照して、端末10は、CPU(Central Processing Unit)40と、操作部42と、表示部44と、メモリ46と、通信部48とを含む。
【0030】
CPU40は、端末10全体を制御する。
CPU40は、メモリ46に格納されているプログラムを実行することにより種々の機能を実現する。
【0031】
メモリ46は、コンピュータに内蔵されるROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、ハードディスクなどの記憶装置である。メモリ46は、各種プログラムや各種データを記憶し、CPU40との間でこれらの情報を入出力する。
【0032】
表示部44は液晶モニタ等の画像表示装置である。
操作部42はキーボードやマウスなどで構成される。
【0033】
通信部48は、ネットワーク2と接続されており、ネットワーク2と接続されている他の装置(サーバ5および端末10)と通信する。
【0034】
家屋異動判読支援システム1は、端末10を介して2つの時期の家屋異動を判読する作業を支援するシステムである。
【0035】
家屋異動を判読するためのデータは、サーバ5のメモリ16に格納されている。
具体的には、サーバ5のメモリ16には、2つの時期に航空機や人工衛星等から撮影された地上の画像、及びこれら画像あるいは航空レーザ計測により取得されたDSMデータ等の空間情報計測データが格納されている。
【0036】
サーバ5は、当該空間情報計測データに基づいて2つの時期のそれぞれの判定対象画像を生成する。
【0037】
作業者は、端末10を介してサーバ5で生成された2つの判定対象画像を判定対象データとして両時期の間での家屋異動を判読する作業を実行する。
【0038】
ここでは、2時期のうち先の時期であることを「前年度」、後の時期であることを「新年度」と表す。異動検出に用いる地上の画像として、地形に起因して元の航空写真や衛星画像に生じる歪みを補正(オルソ補正)したオルソ画像が用いられる。オルソ補正には地形データが必要となる。
【0039】
また、航空計測に基づく地上の画像あるいは、DSM(Digital Surface Model)データが「前年度」および「新年度」の一方時期(一般には新年度)についてしか得られない場合であっても、他方時期について判定対象領域における家屋形状データがサーバ5のメモリ16に既に存在すれば、それらの2時期のデータの対比により家屋異動を検出することが可能である。
【0040】
本例においては、家屋異動判読支援システム1は、同じ判定対象データに対する2時期の間での家屋異動を複数回判読する作業(複数の作業工程)を実行する。
【0041】
一例として、複数の作業工程として、複数の作業者による同じ判定対象データに対する2時期の間での家屋異動を判読する作業を実行する。
【0042】
実施形態1に従う家屋異動判読支援システム1は、複数の作業者による同じ判定対象データに対する判読作業(複数の作業工程)の判定結果を合成した合成判定対象データを出力する。
【0043】
合成判定対象データを出力することにより、家屋異動を判読する作業の精度を向上させることが可能である。
【0044】
例えば、管理者が家屋異動を判読する際に、当該合成判定対象データを用いることにより家屋異動の判読の作業効率を向上させることが可能である。
【0045】
また、家屋異動判読支援システム1は、ネットワーク2を介して複数の端末10がサーバ5にアクセス可能に設けられているためサーバ5で生成される判定対象データに対する判読作業の効率を向上させることが可能である。
【0046】
以下、サーバ5の処理について説明する。
判定画像生成部22は、両時期における数値表層モデルデータ(DSMデータ)あるいは空中撮影画像からなる空間情報計測データに基づいて対象領域内の上空からの家屋の形状が示された2つの判定対象画像を判定対象データとして生成する。
【0047】
一例として、「前年度」の判定対象画像を第1判定対象画像、「新年度」の判定対象画像を第2判定対象画像とする。
【0048】
具体的には、判定画像生成部22は、対象領域の航空写真等の画像、その撮影位置・方向等の標定要素、およびDSMデータ等から平面視画像としてオルソ画像を生成する。
【0049】
メッシュ設定部24は、判定領域内に所定のメッシュを設定する。一例として、メッシュの大きさは計測データに対して5m×5mの範囲に設定される。
【0050】
判定作業処理部25は、判定対象データに対する作業者の判定作業を受け付けて種々の処理を実行する。
【0051】
第1抽出部26は、第1の作業工程として第1作業者によりメッシュ設定部24により設定された所定のメッシュのうちの当該両時期の間での家屋異動が検出されたメッシュを第1候補領域として抽出する。
【0052】
第2抽出部28は、第2の作業工程として第2作業者によりメッシュ設定部24により設定された所定のメッシュのうちの当該両時期の間での家屋異動が検出されたメッシュを第2候補領域として抽出する。
【0053】
合成部30は、第1および第2候補領域として抽出されたメッシュに基づいて、合成した合成判定対象データを生成して出力する。
【0054】
図4は、実施形態1に基づく作業者Aの端末10Aの表示部44に表示された画面100を説明する図である。
【0055】
図4に示される画面100は、左右に横並びに同じ形状・大きさの2つの画像表示領域102,104を有する2ビューの画面例である。
【0056】
当該判定対象データは、サーバ5の判定画像生成部22により生成される。サーバ5の判定作業処理部25は、通信部18を介して判定画像生成部22により生成された判定対象データを端末10の通信部48に送信する。端末10の通信部48は、サーバ5の判定作業処理部25から通信部18を介して送信された判定対象データを受信する。端末10のCPU40は、受信した判定対象データに基づいて表示部44に当該画面を表示する。
【0057】
ここでは左側の画像表示領域102は、前年度画像の表示領域に設定され、右側の画像表示領域104は新年度画像の表示領域に設定されている。
【0058】
これら画像表示領域102,104には対象領域に対応したオルソ画像を表示することが可能である。
【0059】
また、画像表示領域102,104には、判定領域としてオルソ画像に重畳するメッシュ領域106,108が設定されている。
【0060】
メッシュ領域106,108は、メッシュ設定部24により設定される。サーバ5の判定作業処理部25は、通信部18を介してメッシュ領域106,108に関するデータを端末10の通信部48に送信する。端末10の通信部48は、サーバ5の判定作業処理部25から通信部18を介して送信されたメッシュ領域106,108に関するデータを受信する。端末10のCPU40は、受信したメッシュ領域106,108に関するデータに基づいて表示部44に当該メッシュ領域を表示する。
【0061】
画像表示領域102,104の位置座標は左右同じ位置座標である。また、メッシュ領域106,108も左右同じ位置座標である。
【0062】
本例においては、判定領域として設定されたメッシュ領域106,108は、操作部42により選択可能に設けられている。一例として、メッシュ領域106,108に対して操作部42により選択された場合には対応するメッシュが選択表示される。
【0063】
画像表示領域102,104の上部に操作情報が示されている。
操作情報として、作業者に関する情報として作業者Aに対する判定対象データが示されている。また、操作内容に関するメッセージとして「地図に表示されたメッシュを選択します。メッシュの状態が切り替わります。」が示されている。
【0064】
また、「変化有り」ボタンBT1と、「変化無し」ボタンBT2とが設けられている。
作業者Aが端末10Aの操作部42を操作して「変化有り」ボタンBT1を選択することにより、作業者Aは、対象領域内の家屋の形状が示された判定対象データに対して、家屋異動が検出されたメッシュを選択することが可能である。たとえば、作業者Aは、画像表示領域102,104に対してそれぞれ表示された前年度および新年度画像を比較して、家屋異動が検出されるメッシュを操作部42により選択する。
【0065】
作業者Aが端末10Aの操作部42を操作して「変化無し」ボタンBT2を選択することにより、作業者Aは、対象領域内の家屋の形状が示された判定対象データに対して、家屋異動が検出されないメッシュを選択することが可能である。たとえば、作業者Aは、画像表示領域102,104に対してそれぞれ表示された前年度および新年度画像を比較して、家屋異動が検出されないメッシュを操作部42により選択する。
【0066】
作業者Aの操作部42による操作指示は、通信部48を介してサーバ5の通信部18に送信される。判定作業処理部25は、通信部48を介して作業者Aの操作部42による操作指示を受け付けて判定作業の種々の処理を実行する。具体的には、判定作業処理部25は、後述する第1ハッチング領域および第2ハッチング領域を有効とする処理を実行する。
【0067】
図5は、実施形態1に基づく作業者Aにより家屋異動が検出された判定対象データを説明する図である。
【0068】
図5に示される画面110は、左右に横並びに同じ形状・大きさの2つの画像表示領域102,104を有する2ビューの画面例が示されている。
【0069】
操作部42により「変化有り」ボタンBT1を選択した場合が示されている。
そして、本例においては、操作部42により家屋異動が検出されたメッシュが第1ハッチング領域として選択されている場合が示されている。
【0070】
なお、前年度および新年度のメッシュは対応関係にあるため一方に対して操作部42で指定したメッシュのハッチング領域は、他方のメッシュに対しても第1ハッチング領域が有効となる。
【0071】
これにより簡易な方式で家屋異動の可能性が有る場所を選択することが可能である。
図6は、実施形態1に基づく作業者Aにより家屋異動が検出されない判定対象データを説明する図である。
【0072】
図6に示される画面120は、左右に横並びに同じ形状・大きさの2つの画像表示領域102,104を有する2ビューの画面例である。
【0073】
操作部42により「変化無し」ボタンBT2を選択した場合が示されている。
そして、本例においては、操作部42により家屋異動が検出されないメッシュが第2ハッチング領域として選択されている場合が示されている。
【0074】
なお、前年度および新年度のメッシュは対応関係にあるため一方に対して操作部42で指定したメッシュのハッチング領域は、他方のメッシュに対しても第2ハッチング領域が有効となる。
【0075】
前年度および新年度の判定領域のうち選択された家屋異動の可能性があるメッシュと、家屋異動の可能性が低いメッシュとについてそれぞれ異なる第1および第2ハッチング領域として表示されている。
【0076】
これにより簡易な方式で家屋異動の可能性の有無を判別することが可能である。
また、作業者Aに対して、家屋異動の可能性が低いメッシュとして、第2ハッチング領域を表示することによりどの領域を判読したかを容易に示すことが可能である。これにより判読の作業効率の改善を図ることが可能である。
【0077】
なお、本例においては、「変化有り」ボタンBT1および「変化無し」ボタンBT2を選択操作して、家屋異動が検出されたメッシュおよび検出されないメッシュを選択する方式について説明するが、当該方式は一例である。所定の操作により家屋異動が検出されたメッシュおよび検出されないメッシュを選択することが可能であればどのような方式を採用しても良い。以下においても同様である。
【0078】
なお、本例においては、ハッチング領域として表示する場合について説明しているが、特にこれに限られず、色を変えること(青色、黄色等)により区別するようにしても良いし、他の方式に基づいて強調表示するようにしても良い。たとえば、色付けした領域を点滅等させるようにしても良い。
【0079】
なお、本例においては、「変化有り」ボタンBT1を選択して家屋異動が検出されたメッシュを選択した後に、「変化無し」ボタンBT2を選択して家屋異動が検出されないメッシュを選択する場合について説明したが、特に当該順序は限定されず、「変化無し」ボタンBT2を選択して家屋異動が検出されないメッシュを選択した後に、「変化有り」ボタンBT1を選択して家屋異動が検出されたメッシュを選択するようにしても良い。
【0080】
図7は、実施形態1に基づく作業者Bの端末10Bの表示部44に表示された画面を説明する図である。
【0081】
図7に示される画面130は、
図2で説明したのと基本的に同様であるのでその詳細な説明については繰り返さない。
【0082】
本例においては、固定資産の把握のように精度を要求するため複数の作業者により2時期の間での家屋異動を検出する。作業者Bに対しても作業者Aと同様の判定領域を表示する。
【0083】
サーバ5における処理は、
図4~6で説明したのと同様の処理を実行する。
図8は、実施形態1に基づく作業者Bにより家屋異動が検出された判定対象データを説明する図である。
【0084】
図8に示される画面140は、左右に横並びに同じ形状・大きさの2つの画像表示領域102,104を有する2ビューの画面例が示されている。
【0085】
作業者Bが端末10Bの操作部42を操作して「変化有り」ボタンBT1を選択した場合が示されている。
【0086】
そして、本例においては、操作部42により家屋異動が検出されたメッシュが第1ハッチング領域として選択されている場合が示されている。
【0087】
本例においては、作業者Aが選択したメッシュと、作業者Bが選択したメッシュとが異なる場合が示されている。
【0088】
図9は、実施形態1に基づく作業者Bにより選択されたメッシュおよびそれ以外のメッシュが表示された判定対象データを説明する図である。
【0089】
図9に示される画面150は、左右に横並びに同じ形状・大きさの2つの画像表示領域102,104を有する2ビューの画面例である。
【0090】
作業者Bが端末10Bの操作部42を操作して「変化無し」ボタンBT2を選択した場合が示されている。
【0091】
そして、本例においては、操作部42により家屋異動が検出されないメッシュが第2ハッチング領域として選択されている場合が示されている。
【0092】
なお、前年度および新年度のメッシュは対応関係にあるため一方に対して操作部42で指定したメッシュのハッチング領域は、他方のメッシュに対しても第2ハッチング領域が有効となる。
【0093】
前年度および新年度の判定領域のうち選択された家屋異動の可能性があるメッシュと、家屋異動の可能性が低いメッシュとについてそれぞれ異なる第1および第2ハッチング領域として表示されている。
【0094】
これにより簡易な方式で家屋異動の可能性の有無を判別することが可能である。
また、作業者Bに対して、家屋異動の可能性が低いメッシュとして、第2ハッチング領域を表示することによりどの領域を判読したかを容易に示すことが可能である。これにより判読の作業効率の改善を図ることが可能である。
【0095】
なお、本例においては、「変化有り」ボタンBT1を選択して家屋異動が検出されたメッシュを選択した後に、「変化無し」ボタンBT2を選択して家屋異動が検出されないメッシュを選択する場合について説明したが、特に当該順序は限定されず、「変化無し」ボタンBT2を選択して家屋異動が検出されないメッシュを選択した後に、「変化有り」ボタンBT1を選択して家屋異動が検出されたメッシュを選択するようにしても良い。
【0096】
図10は、実施形態1に基づく端末10Dの表示部44に表示出力された合成判定対象データを説明する図である。なお、端末10Dは、管理者の端末である。
【0097】
管理者は、端末10Dを操作して、サーバ5で作成した合成判定対象データを確認することが可能である。
【0098】
図10に示される画面160は、作業者AおよびBが選択したメッシュを合成した合成判定対象データが示されている。
【0099】
本例においては、固定資産の把握のように精度を要求するため複数の作業者により2時期の間での家屋異動を検出する。作業者Aおよび作業者Bが選択したメッシュを合成して、ハッチング領域として表示している。
【0100】
これにより、作業者Aが家屋異動の可能性が有る箇所として選択したメッシュと、作業者Bが家屋異動の可能性が有る箇所として選択したメッシュとが合成されて表示される。
【0101】
管理者は、当該箇所を注視して家屋異動の有無の再確認が可能であり、判読作業の効率を向上させることが可能である。
【0102】
図11は、実施形態1に基づくサーバ5の処理を説明するフロー図である。
図11を参照して、サーバ5のCPU20は、判定対象データを生成する(ステップS2)。
【0103】
具体的には、判定画像生成部22は、2時期における数値表層モデルデータ(DSMデータ)および空中撮影画像からなる空間情報計測データに基づいて対象領域内の上空からの家屋の形状が示された判定対象画像を判定対象データとして生成する。
【0104】
次に、CPU20は、メッシュを設定する(ステップS4)。
具体的には、メッシュ設定部24は、判定領域内に所定のメッシュを設定する。
【0105】
次に、CPU20は、判定作業画面を出力する(ステップS5)。
具体的には、判定作業処理部25は、
図4で説明したように生成した判定対象データおよび設定されたメッシュ領域に関するデータを判定作業画面として出力する。
【0106】
次に、CPU20は、異動有りの選択が有るか否かを判断する(ステップS6)。
具体的には、CPU20は、
図5で説明したように第1作業者(作業者A)の操作部42の操作により家屋異動が検出されたメッシュに対する異動有りの選択が有るか否かを判断する。
【0107】
CPU20は、異動有りの選択が有ると判断した場合(ステップS6においてYES)には、当該メッシュに対応する家屋異動が有りと設定する(ステップS8)。
【0108】
そして、CPU20は、判定作業が終了したか否かを判断する(ステップS10)。
具体的には、第1作業者(作業者A)の操作部42の操作により
図5において図示しない終了ボタンにより作業の終了を指示を受け付けたか否かを判断する。
【0109】
一方、ステップS10において、CPU20は、判定作業が終了しないと判断した場合(ステップS10においてNO)には、ステップS6に戻り上記処理を繰り返す。
【0110】
一方で、ステップS6において、異動有りの選択が無いと判断した場合(ステップS6においてNO)には、異動無しの選択が有るか否かを判断する(ステップS12)。
【0111】
具体的には、CPU20は、
図6で説明したように第1作業者(作業者A)の操作部42の操作により家屋異動が検出されないメッシュに対する異動無しの選択が有るか否かを判断する。
【0112】
CPU20は、異動無しの選択が有ると判断した場合(ステップS12においてYES)には、当該メッシュに対応する家屋異動が無しと設定する(ステップS14)。
【0113】
そして、CPU20は、判定作業が終了したか否かを判断する(ステップS10)。
一方、CPU20は、ステップS12において、異動無しの選択が無いと判断した場合(ステップS12においてNO)には、ステップS10に進む。
【0114】
ステップS10において、CPU20は、判定作業が終了したと判断した場合(ステップS10においてYES)には、メモリ16に保存する(ステップS16)。
【0115】
そして、処理を終了する(エンド)。
具体的には、CPU20は、家屋異動有りとして設定されたメッシュ(第1ハッチング領域)および家屋異動無しとして設定されたメッシュ(第2ハッチング領域)に関するデータを判定対象データに関連付けてメモリ16に保存する。
【0116】
図12は、実施形態1に基づくサーバ5における合成判定対象データの生成について説明するフロー図である。
【0117】
図12を参照して、CPU20は、合成指示が有るか否かを判断する(ステップS20)。例えば、サーバ5は、管理者の端末10Dから対象となる判定対象データに対する合成の処理の指示を受け付ける。
【0118】
ステップS20において、CPU20は、合成指示が有ると判断するまでステップS20に待機する。また、CPU20は、合成指示が有ると判断した場合(ステップS20においてYES)には、保存された第1および第2候補領域を取得する(ステップS22)。
【0119】
具体的には、合成部30は、第1抽出部26および第2抽出部28に抽出処理を実行するように指示する。
【0120】
第1抽出部26は、メモリ16に保存されている作業者Aが選択した家屋異動有りとして設定されたメッシュ(第1ハッチング領域)を抽出する。
【0121】
第2抽出部28は、メモリ16に保存されている作業者Bが選択した家屋異動有りとして設定されたメッシュ(第1ハッチング領域)を抽出する。
【0122】
第1抽出部26および第2抽出部28は、抽出したメッシュをそれぞれ第1および第2候補領域として合成部30に出力する。
【0123】
次に、CPU20は、合成出力する(ステップS24)。
具体的には、合成部30は、第1および第2候補領域として抽出したメッシュを合成処理して出力する。具体的には、合成部30は、合成判定対象データを管理者の端末10Dに出力する。
【0124】
管理者の端末10Dは、
図10で説明したように合成判定対象データを表示部44に表示する。
【0125】
次に、CPU20は、異動変更が有るか否かを判断する(ステップS26)。
具体的には、合成部30は、管理者の端末10Dの操作部42の操作により合成表示されたメッシュに対して異動の変更の指示が有るか否かを判断する。たとえば、管理者は、操作部42の操作により異動がさらに有ると判断したメッシュを選択する。あるいは、異動が無いと判断されたメッシュの選択を解除する。
【0126】
CPU20は、異動変更が有ると判断した場合(ステップS26においてYES)には、変更処理を実行する(ステップS28)。
【0127】
具体的には、合成部30は、作業者の操作部42の操作により変更された内容に基づき再合成出力する。たとえば、作業者の操作部42の操作により異動がさらに有ると判断されたメッシュを追加して合成表示する。あるいは、作業者の操作部42の操作により異動が無いと判断されたメッシュの選択を解除して合成出力する。
【0128】
そして、処理を終了する(エンド)。
一方、CPU20は、異動変更が無いと判断した場合(ステップS26においてNO)には、処理を終了する(エンド)。
【0129】
複数の作業者が検出した家屋異動に関する情報を合成して表示出力することにより、管理者は、当該箇所を注視して家屋異動の有無の再確認が可能であり、判読作業の効率を向上させることが可能である。
【0130】
(変形例)
上記の実施形態1においては、合成処理として、第1候補領域および第2候補領域として抽出されたメッシュを合わせて合成表示する方式について説明したが、特にこれに限られず他の合成処理を実行するようにしても良い。
【0131】
図13は、実施形態1の変形例1に基づく端末10Dの表示部44に表示出力された合成判定対象データを説明する図である。
【0132】
図13に示される画面200は、作業者AおよびBが選択したメッシュを合成した合成判定対象データが示されている。
【0133】
本例においては、固定資産の把握のように精度を要求するため複数の作業者により2時期の間での家屋異動を検出する。作業者Aおよび作業者Bが選択したメッシュを合成して、ハッチング領域として表示している。
【0134】
特に、本例においては、作業者Aおよび作業者Bが共に選択したメッシュと、作業者および作業者Bの一方のみが選択したメッシュとがそれぞれ異なる表示形態で合成表示されている。
【0135】
一例として、作業者Aおよび作業者Bが共に選択したメッシュを第1の色に基づいて表示し、作業者Aおよび作業者Bの一方のみが選択したメッシュを第2の色に基づいて表示するようにしても良い。また、選択されなかったメッシュを第3の色に基づいて表示するようにしても良い。
【0136】
当該合成表示により簡易な方式で家屋異動の可能性の有無を判別することが可能である。
【0137】
管理者は、家屋異動の可能性の程度を色で判別することにより精度の高い検出が可能となるとともに、判読作業の効率を図ることが可能である。
【0138】
図14は、実施形態1の変形例2に基づく端末10Dの表示部44に表示出力された合成判定対象データを説明する図である。
【0139】
図14に示される画面210は、作業者AおよびBが選択したメッシュを合成した合成判定対象データが示されている。
【0140】
本例においては、固定資産の把握のように精度を要求するため複数の作業者により2時期の間での家屋異動を検出する。作業者Aおよび作業者Bが選択したメッシュを合成して、ハッチング領域として表示している。
【0141】
特に、本例においては、作業者および作業者Bの一方のみが選択したメッシュが合成表示されている。
【0142】
当該合成表示により簡易な方式で家屋異動の可能性の有無を判別することが可能である。
【0143】
作業者Aおよび作業者Bの一方のみが選択したメッシュについては、家屋異動有りの確率が低いため当該メッシュのみを表示することにより、再確認して、精度の高い検出が可能となるとともに、管理者による判読作業の効率を図ることが可能である。
【0144】
なお、合成の方式は、種々の方式があり、合成出力の方式をそれぞれ切り替えるようにしても良い。
【0145】
(実施形態2)
上記の実施形態1においては、複数の作業工程としてそれぞれ複数の作業者が家屋異動の可能性の有無を操作部42により検出する方式について説明したが、作業工程の少なくとも一部をCPUが実行するようにしても良い。
【0146】
図15は、実施形態2に従うサーバ5Aの構成を説明する図である。
図15を参照して、サーバ5Aは、サーバ5と比較してCPU20をCPU20Aに置換した点が異なる。
【0147】
CPU20Aは、メモリ16に格納されているプログラムを実行することにより種々の機能ブロックを実現する。
【0148】
CPU20Aは、CPU20と比較して、自動判定部23の機能をさらに追加した点が異なる。その他の構成については、同様であるのでその詳細な説明については繰り返さない。
【0149】
実施形態2に従う家屋異動判読支援システム1は、同じ判定対象データに対する2時期の間での家屋異動を複数回判読する作業(複数の作業工程)を実行する。
【0150】
一例として、複数の作業工程として、CPUの自動判定に従う判定対象データに対する2時期の間での家屋異動を判読する作業と、ある作業者による同じ判定対象データに対する2時期の間での家屋異動を判読する作業を実行する。
【0151】
実施形態2に従う家屋異動判読支援システム1は、CPUの自動判定に従う判定対象データに対する2時期の間での家屋異動の判定結果と、作業者に従う判定対象体データに対する2時期の間での家屋異動の判定結果とを合成した合成判定対象データを出力する。
【0152】
合成判定対象データを出力することにより、家屋異動を判読する作業の精度を向上させることが可能である。
【0153】
CPUの自動判定に従う作業工程を含めることにより作業効率をさらに改善することが可能である。
【0154】
図16は、実施形態2に基づくCPUにより家屋異動が検出された判定対象データを説明する図である。
【0155】
図16に示される画面300は、左右に横並びに同じ形状・大きさの2つの画像表示領域102,104を有する2ビューの画面例が示されている。
【0156】
本例においては、自動判定部23により家屋異動が検出された領域310が表示されている場合が示されている。たとえば、当該領域310に含まれるメッシュを第1ハッチング領域として設定することが可能である。
【0157】
検出の方式は種々の方式を採用することが可能であり、パターンマッチング等の画像同士を対比して家屋異動を検出することが可能である。
【0158】
また、画像同士の対比に限られず、DSMデータ等を用いて高さデータを対比して家屋異動を検出することも可能である。あるいは、テキスチャ解析により家屋異動を検出することも可能である。
【0159】
なお、本例においては、家屋異動が検出された領域310が表示される場合について説明したが特に表示しなくても良く、判定結果のみをメモリ16に格納するようにしても良い。
【0160】
以下、サーバ5の処理について説明する。サーバ5の処理については
図12で説明した処理と同様である。
【0161】
第1抽出部26は、第1の作業工程としてCPUの自動判定部23によりメッシュ設定部24により設定された所定のメッシュのうちの当該両時期の間での家屋異動が検出されたメッシュを第1候補領域として抽出する。
【0162】
第2抽出部28は、第2の作業工程として作業者によりメッシュ設定部24により設定された所定のメッシュのうちの当該両時期の間での家屋異動が検出されたメッシュを第2候補領域として抽出する。
【0163】
合成部30は、第1および第2候補領域として抽出されたメッシュに基づいて、合成した合成判定対象データを生成して出力する。
【0164】
これにより、家屋異動の検出の一部を自動処理で実行することにより、家屋異動の可能性が有る箇所として抽出されたメッシュが合成されて表示される。
【0165】
したがって、管理者は、当該箇所を注視して、確認することが可能であり、判読作業の効率を向上させることが可能である。
【0166】
また、本実施形態におけるプログラムとして、パーソナルコンピュータで実行可能なアプリケーションを提供してもよい。このとき、本実施の形態に係るプログラムは、パーソナルコンピュータ上で実行される各種アプリケーションの一部の機能として組み込まれてもよい。
【0167】
なお、上記の実施形態1および2においては、家屋異動判読支援システム1としてサーバと、ネットワークで接続される複数の端末とで構成される場合について説明したが、種々の機能を1つの装置に含めたスタンドアローンの家屋異動判読支援装置を提供することも可能である。
【0168】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本開示の範囲は、上記した説明ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0169】
10,10A 家屋異動判読支援装置、14 表示部、16 メモリ、18 操作部、22,22A 判定画像生成部、24 メッシュ設定部、26,26A 第1抽出部、28,28A 第2抽出部、30 合成部、102,104 画像表示領域、106,108 メッシュ領域。