IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社熊谷組の特許一覧 ▶ 株式会社ファテックの特許一覧

<>
  • 特許-歩行支援装置 図1
  • 特許-歩行支援装置 図2
  • 特許-歩行支援装置 図3
  • 特許-歩行支援装置 図4
  • 特許-歩行支援装置 図5
  • 特許-歩行支援装置 図6
  • 特許-歩行支援装置 図7
  • 特許-歩行支援装置 図8
  • 特許-歩行支援装置 図9
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-11
(45)【発行日】2022-03-22
(54)【発明の名称】歩行支援装置
(51)【国際特許分類】
   A61H 3/04 20060101AFI20220314BHJP
【FI】
A61H3/04
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2018070277
(22)【出願日】2018-03-30
(65)【公開番号】P2019177110
(43)【公開日】2019-10-17
【審査請求日】2020-10-30
(73)【特許権者】
【識別番号】000001317
【氏名又は名称】株式会社熊谷組
(73)【特許権者】
【識別番号】502281127
【氏名又は名称】株式会社ファテック
(74)【代理人】
【識別番号】100141243
【弁理士】
【氏名又は名称】宮園 靖夫
(72)【発明者】
【氏名】渡辺 英彦
(72)【発明者】
【氏名】岩本 裕司
(72)【発明者】
【氏名】青野 孝行
【審査官】小原 一郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-202848(JP,A)
【文献】特開2016-209263(JP,A)
【文献】特開平09-285498(JP,A)
【文献】米国特許第07001313(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61H 3/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
使用者の歩行を支援する歩行支援装置であって、
ベースと、ベースに設けられた移動手段と、移動手段に設けられた制動手段と、ベースに設けられた装置本体部と、使用者が装着する装着具と装置本体部とを連結する連結手段とを備え、
装置本体部は、使用者が着座した状態から起立する際の動作を支援する起立動作支援手段と、起立動作支援手段による起立動作支援時に移動手段の制動手段を作動させる起立動作支援時制動手段とを備え、
起立動作支援手段は、前後方向に揺動可能となるようにベースに連結された左右の支柱と、左右の支柱の上端側に設けられた支持台と、左右の支柱を倒伏状態から起立状態に移動させる左右のアクチュエータとを備えて構成され、
支持台は、手で握ることでオンとなってアクチュエータを作動させ、手を離したり、握りを緩めたりすることによってオフとなってアクチュエータを停止させるスイッチ機構を有した昇降レバーを備え、
起立動作支援時制動手段は、使用者の手がスイッチ機構を備えた昇降レバーを握ってアクチュエータが作動している間、移動手段の制動手段を作動させるように構成され
昇降レバーは、中空パイプにより形成された水平部と、当該水平部の外周面の湾曲形状に対応した断面湾曲形状に形成された可動カバーと、可動カバーの内面と水平部の外面とを連結するばねとを備え、
水平部は、中空パイプの内外に貫通するように形成された貫通孔と、この貫通孔と対向する中空パイプの内面に設けられてアクチュエータを作動及び停止させるためのスイッチとを備え、
可動カバーは、可動カバーの内面から突出するように設けられたスイッチ接触子を備え、
スイッチ機構は、スイッチ接触子が貫通孔を貫通した状態で可動カバーの内面と水平部の中空パイプの外面とがばねで連結されて構成され、
当該スイッチ機構は、手で水平部及び可動カバーを握ると、ばねが縮んで可動カバーが水平部の外面に近付くことで、スイッチ接触子の先端がスイッチに接触してスイッチがオンとなるとともに、可動カバーから手を離したり、握りを緩めたりすることによって、可動カバーがばねの力で水平部の外面から離れる方向に移動して、スイッチ接触子の先端がスイッチから離れてスイッチがオフとなるように構成されたことを特徴とする歩行支援装置。
【請求項2】
装置本体部は、使用者が起立した状態から着座する際の動作を支援する着座動作支援手段と、着座動作支援手段による起立動作支援時に移動手段の制動手段を作動させる着座動作支援時制動手段とを備え、
着座動作支援手段は、前後方向に揺動可能となるようにベースに連結された左右の支柱と、左右の支柱の上端側に設けられた支持台と、左右の支柱を起立状態から倒伏状態に移動させる左右のアクチュエータとを備えて構成され、
着座動作支援時制動手段は、使用者の手がスイッチ機構を備えた昇降レバーを握ってアクチュエータが作動している間、移動手段の制動手段を作動させるように構成されたことを特徴とする請求項1に記載の歩行支援装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、起立動作支援手段を備えた歩行支援装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、キャスターを備えたベースフレームに起立動作支援手段及び体重免荷手段を備えて構成された歩行支援装置が知られている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2012-125548号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に開示された歩行支援装置は、起立動作支援手段による使用者の起立動作支援中にキャスターの車輪が転がって歩行支援装置が路面上を移動することに伴って使用者が転倒してしまう可能性があり、危ないという課題があった。
本発明は、起立動作支援を安全に行うことができる歩行支援装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明に係る使用者の歩行を支援する歩行支援装置は、ベースと、ベースに設けられた移動手段と、移動手段に設けられた制動手段と、ベースに設けられた装置本体部と、使用者が装着する装着具と装置本体部とを連結する連結手段とを備え、装置本体部は、使用者が着座した状態から起立する際の動作を支援する起立動作支援手段と、起立動作支援手段による起立動作支援時に移動手段の制動手段を作動させる起立動作支援時制動手段とを備え、起立動作支援手段は、前後方向に揺動可能となるようにベースに連結された左右の支柱と、左右の支柱の上端側に設けられた支持台と、左右の支柱を倒伏状態から起立状態に移動させる左右のアクチュエータとを備えて構成され、支持台は、手で握ることでオンとなってアクチュエータを作動させ、手を離したり、握りを緩めたりすることによってオフとなってアクチュエータを停止させるスイッチ機構を有した昇降レバーを備え、起立動作支援時制動手段は、使用者の手がスイッチ機構を備えた昇降レバーを握ってアクチュエータが作動している間、移動手段の制動手段を作動させるように構成され、昇降レバーは、中空パイプにより形成された水平部と、当該水平部の外周面の湾曲形状に対応した断面湾曲形状に形成された可動カバーと、可動カバーの内面と水平部の外面とを連結するばねとを備え、水平部は、中空パイプの内外に貫通するように形成された貫通孔と、この貫通孔と対向する中空パイプの内面に設けられてアクチュエータを作動及び停止させるためのスイッチとを備え、可動カバーは、可動カバーの内面から突出するように設けられたスイッチ接触子を備え、スイッチ機構は、スイッチ接触子が貫通孔を貫通した状態で可動カバーの内面と水平部の中空パイプの外面とがばねで連結されて構成され、当該スイッチ機構は、手で水平部及び可動カバーを握ると、ばねが縮んで可動カバーが水平部の外面に近付くことで、スイッチ接触子の先端がスイッチに接触してスイッチがオンとなるとともに、可動カバーから手を離したり、握りを緩めたりすることによって、可動カバーがばねの力で水平部の外面から離れる方向に移動して、スイッチ接触子の先端がスイッチから離れてスイッチがオフとなるように構成されたので、起立動作支援時において、歩行支援装置が移動手段により路面上を移動してしまうことを防止でき、歩行支援装置が安定するので、使用者が起立動作を行う際の起立動作支援を安全に行なえるようになる。
また、装置本体部は、使用者が起立した状態から着座する際の動作を支援する着座動作支援手段と、着座動作支援手段による起立動作支援時に移動手段の制動手段を作動させる着座動作支援時制動手段とを備え、着座動作支援手段は、前後方向に揺動可能となるようにベースに連結された左右の支柱と、左右の支柱の上端側に設けられた支持台と、左右の支柱を起立状態から倒伏状態に移動させる左右のアクチュエータとを備えて構成され、着座動作支援時制動手段は、使用者の手がスイッチ機構を備えた昇降レバーを握ってアクチュエータが作動している間、移動手段の制動手段を作動させるように構成されたので、着座動作支援時において、歩行支援装置が移動手段により路面上を移動してしまうことを防止でき、歩行支援装置が安定するので、使用者が着座動作を行う際の着座動作支援を安全に行なえるようになる
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】支柱起立状態の歩行支援装置を斜め後側から見た斜視図。
図2】支柱起立状態の歩行支援装置を斜め前側から見た斜視図。
図3】支柱倒伏状態の歩行支援装置を斜め前側から見た斜視図。
図4】歩行支援装置の起立補助機能を示す動作説明図。
図5】使用者転倒防止手段の構成及び動作を示す図。
図6】使用者転倒防止手段の構成及び動作を示す図。
図7】使用者転倒防止手段の構成及び動作を示す図。
図8】使用者転倒防止手段の構成及び動作を示す図。
図9】実施形態3の歩行支援装置の構造及び起立補助動作を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0007】
実施形態1
実施形態1に係る歩行支援装置1は、図1に示すように、ベース2と、ベース2に設けられた移動手段3と、移動手段3に設けられた制動手段4と、ベース2に設けられた装置本体部5と、使用者Aが装着する例えばズボン等の装着具Bと装置本体部5とを連結する連結手段6とを備えて構成される。
装置本体部5は、支持手段7と、アクチュエータ8と、体重免荷手段9と、アウトリガー10と、起立動作支援手段と、着座動作支援手段と、起立動作支援時制動手段と、着座動作支援時制動手段と、使用者転倒防止手段とを備えて構成される。
尚、以下、当該歩行支援装置1を使用する要介護者、障害者、リハビリ訓練者等の使用者Aの前側を「前」、左側を「左」、右側を「右」、後側を「後」と定義して説明する。
【0008】
ベース2は、例えば断面円形状の鉄パイプ等を凹字やU字のような形状に形成したベースフレーム21により構成される。ベースフレーム21は、上方側から見た場合には、凹字やU字の下側が歩行支援装置1の前方に位置されて、凹字やU字の左右の上端が歩行支援装置1の後方の左右に位置された逆凹字状や逆U字状のフレームに見えるように構成されている。
以下、ベースフレーム21の左側をベースフレーム左部22、ベースフレーム21の右側をベースフレーム右部23、ベースフレーム21の前側をベースフレーム前部24という。
【0009】
移動手段3は、例えば複数の旋回キャスター(自在キャスター)31,31…により構成される。
当該旋回キャスター31は、例えば車輪32が床面等の路面Rと平行(水平)に延長する中心軸(シャフト)33を介して回転可能なようにフォーク34に取付けられ、かつ、フォーク34が路面Rと垂直に延長する中心軸(シャフト)35を介して回転可能なように取付座36を介してベースフレーム21に取付けられた構成である。
また、旋回キャスター31は、車輪32の回転を停止させる制動手段4を備える。
当該制動手段4は、例えば、電磁石、油圧シリンダー、エアシリンダー、ブレーキワイヤー等の動力源を利用した、電磁ブレーキ、ドラムブレーキ、キャリパーブレーキ等のブレーキにより構成される。
例えば、旋回キャスター31として、ドラムブレーキユニット付きのキャスターが使用されている。
旋回キャスター31は、例えば図1に示すように、ベースフレーム左部22の後端側、ベースフレーム右部23の後端側、及び、ベースフレーム前部24の左右側に、それぞれ1つずつ設けられている。
【0010】
ベースフレーム左部22の後端、及び、ベースフレーム右部23の後端には、それぞれアウトリガー10,10が取付けられている。
アウトリガー10は、歩行支援装置1が後方に傾いて転倒してしまうことを防止するための装置である。
アウトリガー10は、例えば自由蝶番11を介して、路面Rに沿った水平方向に揺動可能に取付けられ、かつ、自由蝶番11に内蔵されたばねの力によって初期状態(初期位置)に復帰するように構成されている。
従って、アウトリガー10に力が加わった場合に、アウトリガー10が揺動するので、アウトリガー10が壁等の障害物等に衝突したとしても歩行支援装置1の旋回や移動の妨げにならないようになる。
また、アウトリガー10が障害物等に衝突して路面Rに沿った方向に揺動している時以外、即ち、アウトリガー10に力が加わわらなくなった場合には、アウトリガー10は常に初期状態に復帰して、装置後方転倒防止機能を発揮できる状態となる。
【0011】
支持手段7は、例えば断面円形状の鉄パイプ等を組み合わせて形成された左右の支柱71,72と、左右の支柱71,72の上端側に設けられた支持台73とを備えて構成される。
【0012】
左右の支柱71,72は、それぞれメイン支柱74とサブ支柱75とを備えて構成される。
左のメイン支柱74は、下端側がベースフレーム左部22の前側にヒンジ74aを介して前後方向に揺動可能となるように連結され、上端は支持台73から突出するように設けられた連結パイプ73aを挿入するための開口74bに形成されている。
右のメイン支柱74も同様に、下端側がベースフレーム右部23にヒンジ74aを介して前後方向に揺動可能となるように連結され、上端は支持台73から突出するように設けられた連結パイプ73aを挿入するための開口74bに形成されている。
そして、サブ支柱75は、下端側75aがメイン支柱74の延長方向のほぼ中間位置に連結され、上端は支持台73から突出するように設けられた連結パイプ73bを挿入するための開口75bに形成されている。
尚、メイン支柱74には、上下方向に所定の間隔を隔てて図外の複数の高さ位置決め孔が形成されているとともに、連結パイプ73aにも図外の高さ位置決め孔が形成されている。従って、連結パイプ73aを開口74bを介してメイン支柱74の内側に挿入した後、連結パイプ73aの高さ位置決め孔とメイン支柱74に形成されたいずれかの高さ位置決め孔とを一致させた状態でこれら高さ位置決め孔に図外の固定軸を嵌め込むことにより、支持台73の高さを使用者Aに合わせて調整できるように構成されている。
また、サブ支柱75の開口75b側には、例えば図外の固定ねじ等の固定手段が設けられている。即ち、当該固定ねじをサブ支柱75に形成された図外のねじ貫通孔にねじ込んで連結パイプ73bを押圧して当該連結パイプ73bの外周面をサブ支柱75の内周面に押し付けることによって、連結パイプ73bをサブ支柱75に固定できるように構成されている。
また、左右のメイン支柱74,74は、例えば断面円形状の鉄パイプ等により形成された上下の補強桟74x,74yにより連結されている。
【0013】
支持台73は、使用者Aの左右の前腕を載せることが可能なテーブル面(上面)76を備える。当該テーブル面76は、上方側から見た場合に、ベースフレーム21と同様に、凹字やU字の下側が歩行支援装置1の前方に位置されて、凹字やU字の左右の上端が歩行支援装置1の後方に位置された逆凹字状や逆U字状のフレームに見えるように構成されている。
テーブル面76の前側の左右には、当該テーブル面76より上方に突出するように設けられた左右のハンドルグリップ77,77が設けられている。
また、テーブル面76の前側の中央側には、体重免荷手段9による体重免荷量を調整するための調整ダイヤル70A、歩行支援装置1の各電気部品への電源供給をオンオフするための電源オンオフ用の電源キースイッチ70B、歩行支援装置1に起立動作支援を行わせるか着座動作支援を行わせるかを切替えるための切替スイッチ70Cを備える。
【0014】
また、テーブル面76の前側端面には、昇降レバー78が設けられる。
当該昇降レバー78は、テーブル面76の前側端面の左側より前方に突出した後、上方に延長して、かつ、右側方向に水平に延長した後、さらに、下方に延長し、かつ後方に延長してテーブル面76の前側端面の右側に繋がるように形成されたパイプフレーム等により構成されている。
即ち、昇降レバー78は、テーブル面76の前側端面の左側より前方に突出する左連結部78aと、左連結部78aの前端より右側上方に延長する左立上がり部78bと、テーブル面76の前側端面の右側より前方に突出する右連結部78cと、右連結部78cの前端より左側上方に延長する右立上がり部78dと、左立上がり部78bの右端と右立上がり部78dの左端とを連結する水平部78eとを備える。
昇降レバー78は、例えば断面円形状の鉄パイプ等を組み合わせて溶接したり、断面円形状の鉄パイプ等を折曲する等して形成される。
【0015】
また、水平部78eの外側には、図1(a),図1(b)に示すように、水平部78eの外周面の湾曲形状に対応した断面湾曲形状に形成された可動カバー78fが設けられる。この可動カバー78fの内面における湾曲面に沿った方向の中央側にはスイッチ接触子78gが突出するように設けられている。また、中空パイプにより形成された水平部78eには当該中空パイプの内外に貫通する貫通孔78hが形成されており、この貫通孔78hと対向する中空パイプの内面には、アクチュエータ8を作動及び停止させるためのスイッチ78iが設けられている。そして、スイッチ接触子78gが貫通孔78hを貫通した状態で可動カバー78fの内面における湾曲面に沿った方向の両端側と水平部78eの中空パイプの外面とがそれぞればね78j,78jで連結されている。
即ち、手A1で水平部78e及び可動カバー78fを握ると、ばね78j,78jが縮んで可動カバー78fが水平部78eの外面に近付くことで、スイッチ接触子78gの先端がスイッチ78iに接触してスイッチ78iがオンとなるように構成されている。
また、可動カバー78fから手A1を離したり、握りを緩めたりすることによって、可動カバー78fがばね78j,78jの力で水平部78eの外面から離れる方向に移動し、スイッチ接触子78gの先端がスイッチ78iから離れてスイッチ78iがオフとなるように構成されている。
つまり、昇降レバー78は、手A1で握ることでアクチュエータ8を作動させ、手A1を離したり、握りを緩めたりすることによって、アクチュエータ8を停止させるスイッチ機構を備えた構成となっている。
【0016】
左右の支柱71,72毎に対応してそれぞれアクチュエータ8が設けられている。
アクチュエータ8は、例えば電動シリンダにより構成される。
当該電動シリンダは、例えば図外のモータと、モータにより回転するボールねじと、当該ボールねじに螺着されたボールねじナットと、これらモータ、ボールねじ、及び、ボールねじナットが収容されたケース81と、一端がボールねじナットに取付けられて他端側がケース81の他端81aから突出するように設けられたロッド82とを備えた構成である。
そして、左のアクチュエータ8は、ケース81の一端側がベースフレーム左部22にヒンジ83を介して前後方向に揺動可能となるように連結され、ロッド82の他端が左のメイン支柱74の延長方向のほぼ中間位置にヒンジ84を介して揺動可能に連結されている。
同様に、右のアクチュエータ8は、ケース81の一端側がベースフレーム右部にヒンジ83を介して前後方向に揺動可能となるように連結され、ロッド82の他端が右のメイン支柱74の延長方向のほぼ中間位置にヒンジ84を介して揺動可能に連結されている。
【0017】
左右のアクチュエータ8,8によって、支持手段7が前方から後方に倒れる状態と後方から前方に起立する状態とに駆動される。
即ち、支持手段7と、支持手段7を図3に示す倒伏状態から図2に示す起立状態、または、支持手段7を図2に示す起立状態から図3に示す倒伏状態に移動させる左右のアクチュエータ8,8とによって、使用者Aが着座した状態から起立する際の動作を支援する起立動作支援手段、及び、使用者Aが起立した状態から着座する際の動作を支援する着座動作支援手段が構成される。
つまり、支持手段7の左右のメイン支柱74,74が、ベースフレーム21にヒンジ83,83を介して前後方向に揺動可能となるように取付けられた可動フレーム(傾動フレーム)として機能する。
尚、図示を省略しているが、アクチュエータ8のモータ、歩行支援装置1に装備されたその他の電気部品を駆動させるための充電式電池等の電源が、例えばベースフレーム21、支柱71,72、補強桟74x,74y等のいずれかに着脱可能に取付けられている。
【0018】
連結手段6は、一端が体重免荷手段9に連結されて他端にフック等の連結具61が取付けられた、例えばロープ、紐、帯材、鎖等のように曲げることが可能な長尺部材、即ち、体重免荷手段9と連結具61とを繋ぐ連続した長尺部材により構成される。
連結手段6の他端に設けられた連結具61が、使用者Aの装着する装着具Bの連結部C(図4参照)に連結されることにより、使用者Aは、体重免荷手段9により体重負荷が軽減された状態で歩行可能となる。
【0019】
体重免荷手段9は、使用者Aの体重負荷を軽減するよう、装着具B、連結手段6を介して当該体重免荷手段9に連結された使用者Aを使用者Aの体重の何割かの力で牽引する(吊り上げる)装置であり、例えば、ばねや重錘等、あるいは、モーターやシリンダー等のアクチュエータを用いた牽引装置である。例えば、連結手段6の一端を、ぜんまいばね等の定荷重ばねや重錘に繋いで牽引力を付与する構成として、定荷重ばねのばね力や重錘の重さを変えることで牽引力(吊上げ力)を変更できる構成としたり、あるいは、連結手段6の一端をモータの出力軸やシリンダーのピストンに繋いで、モータやシリンダーを制御して牽引力を付与するとともに牽引力を変更できる構成とすればよい。
体重免荷手段9は、例えば、ボックス91内に設けられ、当該ボックス91が例えば支持台73から垂れ下がるように当該支持台73に固定されている。
【0020】
歩行支援装置1によれば、図4(a)に示すように、装着具Bを装着した使用者Aがベッドや椅子等の着座部Dに着座した状態から起立する際においては、アクチュエータ8のロッド82を縮めて支持手段7を後方に倒した状態としてから連結手段6の他端(引出端)に設けられた連結具61を使用者Aの装着具Bの左右側に設けられた止輪等の連結部Cに連結した後、図4(b),(c)に示すように、アクチュエータ8のロッド82を徐々に伸ばしていくことにより、支持手段7が後方に倒れた状態から前方に起立するので、使用者Aが着座部Dに着座した状態から容易に起立できるようになる。即ち、起立動作支援手段による起立動作支援機能によって、使用者Aが着座状態から容易に立ち上がれるようになる。
逆に、使用者Aが起立した状態からベッド等に着座する際においては、図4(c)の状態から図4(b),(a)のように、アクチュエータ8のロッド82を徐々に縮めていくことにより、支持手段7が起立した状態から後方に倒れるので、使用者Aが起立した状態から容易に着座部Dに着座できるようになる。即ち、着座動作支援手段による着座動作支援機能によって、使用者Aが起立状態から容易に着座できるようになる。
【0021】
起立動作支援時制動手段は、起立動作支援時において歩行支援装置1の安定を図るために移動手段3の制動手段4を作動させて車輪32に制動をかける手段である。
即ち、起立動作支援時制動手段は、車輪32の回転を停止させる制動手段4と、起立動作支援時を検出するための起立動作支援時検出手段とを備え、当該起立動作支援時検出手段によって起立動作支援時であることが検出されている場合に制動手段4が作動するように構成されている。
起立動作支援時制動手段によれば、制動手段4は、起立動作支援時検出手段から起立動作支援時であることを示す信号を有線又は無線を介して入力している場合に車輪32に制動を掛けるので、起立動作支援時において、歩行支援装置1が移動手段3により路面R上を移動してしまうことを防止でき、歩行支援装置1が安定するので、使用者Aが起立動作を行う際の起立動作支援を安全に行なえるようになる。
【0022】
着座動作支援時制動手段は、着座動作支援時において歩行支援装置1の安定を図るために移動手段3の制動手段4を作動させて車輪32に制動をかける手段である。
着座動作支援時制動手段は、車輪32の回転を停止させる制動手段4と、着座動作支援時を検出するための着座動作支援時検出手段とを備え、着座動作支援時検出手段によって着座動作支援時であることが検出されている場合に制動手段4が作動するように構成されている。
着座動作支援時制動手段によれば、制動手段4は、着座動作支援時検出手段から着座動作支援時であることを示す信号を有線又は無線を介して入力している場合に車輪32に制動を掛けるので、着座動作支援時において、歩行支援装置1が移動手段3により路面R上を移動してしまうことを防止でき、歩行支援装置1が安定するので、使用者Aが着座動作を行う際の着座動作支援を安全に行なえるようになる。
【0023】
起立動作支援時検出手段、着座動作支援時検出手段は、例えば上述したアクチュエータ8を作動及び停止させるためのスイッチ78iにより構成される。
この場合、使用者Aの起立動作時や着座動作時において、使用者Aの手A1が水平部78e及び可動カバー78fを握ってスイッチ78iがオンとなっている間、制動手段4の電磁石、油圧シリンダー、エアシリンダー、ブレーキワイヤ等の動力源が作動して車輪32に制動をかけるように構成されている。この場合、使用者Aが起立動作終了後や着座動作終了後に水平部78e及び可動カバー78fから手を離せば、制動手段4の制動が解除されるので、使用者Aは起立動作終了後にハンドルグリップ77を握って歩行できる。また、着座動作終了後に使用者Aとの連結を解除した歩行支援装置1を車輪32を転がして移動させることが可能となる。
【0024】
尚、起立動作支援時検出手段、着座動作支援時検出手段は、テーブル面76の傾斜角度を検出するために設けられた角度センサ、アクチュエータ8のロッド82の伸縮量を検出するために設けられた伸縮センサ等により構成してもよい。
例えば、起立動作支援時検出手段、着座動作支援時検出手段を、テーブル面76の傾斜角度を検出する角度センサにより構成した場合は、角度センサが、テーブル面76の最大傾斜角度を検出しているとき、又は、テーブル面76の最小傾斜角度を検出しているとき以外は、制動手段4の電磁石、油圧シリンダー、エアシリンダー、ブレーキワイヤ等の動力源が作動して車輪32に制動をかけるように構成すればよい。
また、起立動作支援時検出手段、着座動作支援時検出手段をアクチュエータ8のロッド82の伸縮量を検出する伸縮センサにより構成した場合は、伸縮センサが、ロッド82の最大伸長量を検出しているとき、又は、ロッド82の最大縮退量を検出しているとき以外は、制動手段4の電磁石、油圧シリンダー、エアシリンダー、ブレーキワイヤ等の動力源が作動して車輪32に制動をかけるように構成すればよい。
これらの場合、起立動作終了後や着座動作終了後に、制動手段4の制動が解除されるので、使用者Aは起立動作終了後にハンドルグリップ77を握って歩行できる。また、着座動作終了後に使用者Aとの連結を解除した歩行支援装置1を車輪32を転がして移動させることが可能となる。
【0025】
また、電源キースイッチ70Bがオンで、かつ、切替スイッチ70Cが起立動作支援を行わせる側(図1(a)の上側)に位置されていることを検出して、起立動作支援時であることを示す信号を制動手段4に出力し、制動手段4を作動させるように構成された起立動作支援時検出手段であってもよい。
また、電源キースイッチ70Bがオンで、かつ、切替スイッチ70Cが着座動作支援を行わせる側(図1(a)の下側)に位置されていることを検出して、着座動作支援時であることを示す信号を制動手段4に出力し、制動手段4を作動させるように構成された着座動作支援時検出手段であってもよい。
これらの場合、起立動作終了後や着座動作終了後に、電源キースイッチ70Bをオフとすることにより、制動手段4の制動が解除されるので、使用者Aは起立動作終了後にハンドルグリップ77を握って歩行できる。また、着座動作終了後に使用者Aとの連結を解除した歩行支援装置1を車輪32を転がして移動させることが可能となる。
【0026】
使用者転倒防止手段は、使用者Aが装着具B及び連結手段6を介して装置本体部5に連結された状態で歩行又は起立している時に、使用者Aが体勢を崩して使用者Aの装着具Bに連結された連結手段6の他端側が所定の長さだけ装置本体部5の支持台73の外側に引き出された場合に、歩行支援装置1の安定を図るために、移動手段3の制動手段4を作動させて車輪32に制動をかけて、使用者Aの転倒を防止する手段である。
使用者転倒防止手段は、車輪32の回転を停止させる制動手段4と、連結手段6の他端側が支持台73の外側に所定の長さだけ引き出されたことを検出する引き出し量検出手段とを備え、当該引き出し量検出手段によって連結手段6の他端側が支持台73の外側に所定の長さだけ引き出されたことが検出されている場合に制動手段4が作動するように構成されている。
即ち、使用者転倒防止手段は、連結手段6の他端側が所定の長さaだけ装置本体部5の外側に引き出されたことを検出する引き出し量検出手段(検出手段)を備え,当該検出手段は、連結手段6の他端側が所定の長さaだけ装置本体部5の外側に引き出されたことが検出されている場合に、制動手段4を作動させる。
【0027】
図5に示すように、引き出し量検出手段は、固定滑車群41と、動滑車42と、動滑車42を所定の力で引っ張るばね43と、引き出し量検出部とを備え、当該引き出し量検出部からの検出信号に基づいて制動手段4が作動するように構成されている。
【0028】
尚、図5(a)に示すように、連結手段6の一端が体重免荷手段9に連結され、連結手段6の他端が、ボックス91内に設けられた第1固定滑車41a、及び、支持台73の下側に設けられた中空部73Xへの入口孔73eを介して当該中空部73Xに導かれ、かつ、中空部73Xに設けられた第2固定滑車41b、動滑車42、第3固定滑車41cを経由した後、中空部73Xからの出口孔73fを介して中空部73Xの外側に引き出され、この引き出された連結手段6の他端に連結具61が取付けられている。当該出口孔73fの径は、連結手段6の他端に設けられた連結具61が通過し得ない大きさに形成されている。
また、ばね43は、中空部73Xに設けられた前後方向に延長する筒状のばね収容部44に設置され、ばね収容部44の延長方向に伸縮可能となっている。即ち、ばね43の一端43aがばね収容部44の延長方向一端側内面に固定され、ばね43の他端43b側がばね収容部44の延長方向に沿って移動可能となっている。
【0029】
引き出し量検出部は、例えば、可動体45と、可動体45の移動を規制する規制部46と、規制部46に設けられた図外の検出体とを備えて構成される。
規制部46は、ばね収容部44の延長方向他端側に設けられている。
可動体45は、ばね43の他端43bに固定されるとともに、ワイヤ等の線状連結体47によって動滑車42と連結されている。尚、線状連結体47は、規制部46に形成された貫通孔46a及びばね収容部44の延長方向他端壁に形成された貫通孔44aを通過して、一端が可動体45に連結され、他端が動滑車42に連結されている。
【0030】
尚、連結手段6が装着具Bを介して使用者Aに連結されていない状態においては、連結手段6の他端に設けられた連結具61が出口孔73fの周縁に接触するまで連結手段6がばね43の力で引張られた図5(a)に示す初期状態となっている。当該初期状態においては、可動体45と規制部46との間隔が距離aだけ離れている。
そして、連結手段6が装着具Bを介して使用者Aに連結された状態において、図5(b)に示すように、使用者Aが体勢を崩して使用者Aの装着具Bに連結された連結手段6の他端側が所定の長さaだけ支持台73の外側に引き出された場合に、動滑車42が例えばスライドレール孔42aを介してばね43を引っ張る方向に距離aだけ移動して、可動体45が規制部46に接触するとともに、規制部46に設けられた検出体が検出信号を有線又は無線を介して制動手段4に出力する。
【0031】
検出体は、例えば、可動体45が規制部46に接触することによりオンとなり、可動体45が規制部46から離れることによりオフとなる電気スイッチ、または、可動体45が規制部46に接触したことを検出するセンサ等により構成される。
この場合、制動手段4としては、電気制御が可能な電磁石、油圧シリンダー、エアシリンダー等の動力源を利用した、電磁ブレーキ、ドラムブレーキ等のブレーキを用いる。
そして、制動手段4が検出体から検出信号を入力することにより、制動手段4の電磁石、油圧シリンダー、エアシリンダー等の動力源が作動して車輪32に制動をかけるように構成されている。
【0032】
従って、装着具Bを装着した使用者Aが、連結手段6の他端に設けられた連結具61と装着具Bの連結部Cとを連結した後、使用者Aが姿勢を崩して倒れようとして、連結手段6の他端側が所定の長さaだけ支持台73の外側に引き出された場合に、制動手段4は引き出し量検出部の検出体からの検出信号を入力して車輪32に制動をかけるので、使用者Aが歩行又は起立している際において、姿勢を崩して倒れようとした場合に、歩行支援装置1が移動手段3により路面R上を移動してしまうことを防止でき、歩行支援装置1が安定するので、使用者Aが姿勢を崩して倒れかけた状態で歩行支援装置1が動いてしまうことに伴って使用者Aが転倒してしまうことを防止できるようになる。つまり、歩行中又は起立中において使用者Aの転倒を防止できる歩行支援装置1を提供できる。
【0033】
また、制動手段4として、ブレーキワイヤを引っ張ることでブレーキパットを車輪32に押し付けて車輪32の回転を停止させるキャリパーブレーキ等のような機械的なブレーキを用いる場合には、以下のように、使用者転倒防止手段を構成すればよい。
【0034】
この場合、使用者転倒防止手段は、図6に示すように、使用者Aが装着具B及び連結手段6を介して装置本体部5に連結された状態で歩行又は起立している時において、使用者Aが体勢を崩して使用者Aの装着具Bに連結された連結手段6の他端側が所定の長さaだけ支持台73の外側に引き出された場合に、制動手段4のブレーキワイヤ49を引っ張ることで車輪32の回転を停止させるように構成される。
即ち、使用者転倒防止手段は、連結手段6の他端側が所定の長さaだけ装置本体部5の外側に引き出された場合に、制動手段4のブレーキワイヤ49を引っ張ることで制動手段4を作動させる。
【0035】
即ち、使用者転倒防止手段は、図6に示すように、上述したばね収容部44の延長方向他端側の周壁に、ばね収容部44の延長方向に延長するように形成された長孔44cと、ばね43の他端43bに固定されるとともに長孔44cを介してばね収容部44の外側に突出する連結部51を有した可動体50と、一端が図外のキャリパーブレーキ等のアームに連結されるともに他端が可動体50の連結部51に連結されたブレーキワイヤ49とを備え、ばね収容部44の筒の延長方向他端壁に形成された貫通孔44aに通されたワイヤ等の線状連結体47の一端と可動体50とが連結されるとともに、線状連結体47の他端と動滑車42とが連結された構成である。
ブレーキワイヤ49の他端は、固定滑車52を経由して後方に導かれて可動体50の連結部51に連結されている。
尚、図6において、図5と同一部分については、同一符号を付して説明を省略する。
【0036】
この場合、装着具Bを装着した使用者Aが、連結手段6の他端に設けられた連結具61と装着具Bの連結部Cとを連結した後、使用者Aが体勢を崩して使用者Aの装着具Bに連結された連結手段6の他端側が所定の長さaだけ支持台73の外側に引き出されて、ばね43が引っ張られことにより、ブレーキワイヤ49が引っ張られ、可動体50とばね収容部44の筒の延長方向他端の内面44xとが接触した場合に、制動手段4のブレーキパットが車輪32に押し付けられて車輪32の回転を停止させるように構成される。
従って、使用者Aが倒れようとした場合に、歩行支援装置1が移動手段3により路面R上を移動してしまうことを防止でき、使用者Aが転倒してしまうことを防止できる。
【0037】
尚、本発明の起立動作支援時制動手段、着座動作支援時制動手段、使用者転倒防止手段により制動手段4を作動させる車輪32は、ベース2の後側左右に設けられた2個の車輪32だけであっても良いし、移動手段3を構成するすべての車輪32であってもよい。
【0038】
実施形態2
また、本発明の起立動作支援時制動手段、着座動作支援時制動手段、使用者転倒防止手段は、体重免荷手段9を備えない構成の歩行支援装置にも適用可能である。
この場合、起立動作支援時制動手段、着座動作支援時制動手段は、実施形態1と同様に構成される。
また、使用者転倒防止手段は、図7に示すように、連結手段6の一端が、上述したばね43の他端側に固定された可動体45に連結された構成としたり、図8に示すように、連結手段6の一端が、上述したばね43の他端側に固定された可動体50に連結された構成とすればよい。
尚、図7において、図5と同一部分については、同一符号を付して説明を省略する。
同様に、図8において、図6と同一部分については、同一符号を付して説明を省略する。
即ち、体重免荷手段9を備えない構成の歩行支援装置であっても、起立動作支援時制動手段、着座動作支援時制動手段、使用者転倒防止手段を設けることが可能である。
【0039】
また、図7図8に示した構成において、ばね43として、体重免荷手段としても機能するばねを用いることにより、体重免荷機能を備えた歩行支援装置を構成することもできる。
【0040】
実施形態3
上記では、起立動作支援時制動手段、着座動作支援時制動手段、使用者転倒防止手段を、左右のアクチュエータ8,8によって支持手段7の左右の支柱71,72が起倒する構成の歩行支援装置に適用した歩行支援装置1を例示したが、図9に示すような歩行支援装置1Aであってもよい。
即ち、当該歩行支援装置1Aは、上述した歩行支援装置1の支持台73の代わりに、図9に示すように、左右の支柱71A,72Aの上端側が後方下側に延長するように形成された固定支持台73Aと、当該固定支持台73A上を前後方向に移動可能に設けられた可動支持台73Bとを備えた構成の歩行支援装置に、起立動作支援時制動手段、着座動作支援時制動手段、使用者転倒防止手段を適用した構成である。
尚、図9において、図1と同一部分については、同一符号を付して説明を省略する。
【0041】
実施形態3の場合、例えば、可動支持台73Bの中空部内に、図5図6に示したような使用者転倒防止手段を設け、かつ、上記アクチュエータ8の代わりに、可動支持台移動機構を備えた構成とする。
当該可動支持台移動機構は、例えば上述した体重免荷手段9と第2固定滑車41bとの間に設けられ、連結手段6の他端側を体重免荷手段9側に引っ張ったり、当該連結手段6の他端側を引っ張った状態から元の状態に戻すことにより、可動支持台73Bを固定支持台73A上の前後方向で移動させるように構成される。
当該可動支持台移動機構は、例えば、図外のボールねじ機構のボールねじのナットに動滑車を連結し、ボールねじのモータを駆動させて動滑車を移動させることで、連結手段6の他端側を体重免荷手段9側に引っ張ったり、当該連結手段6の他端側を引っ張った状態から元の状態に戻す構成とすればよい。
従って、使用者Aが装着する装着具Bに連結された連結手段6の他端側を引張るように可動支持台移動機構を作動させることで、連結手段6の他端に設けられた連結具61が可動支持台73Bの出口孔73fの周縁に到達した後、可動支持台73Bが固定支持台73A上を前方に移動するので、起立動作支援を行うことが可能となる。
また、当該連結手段6の他端側を引っ張って可動支持台73Bを前方に最大限移動させた状態から当該連結手段6の他端側を元の状態に戻すように、可動支持台移動機構を作動させることで、着座動作支援を行うことが可能となる。
【0042】
実施形態3の場合、起立動作支援時制動手段の起立動作支援時検出手段は、例えば、連結手段6の他端側を引張るように可動支持台移動機構を作動させるスイッチにより構成すればよい。
また、着座動作支援時制動手段の着座動作支援時検出手段は、例えば、連結手段6の他端側を元の状態に戻すように可動支持台移動機構を作動させるスイッチにより構成すればよい。
【0043】
実施形態3の場合も、体重免荷手段9を備えない構成としてもよい。
【0044】
尚、移動手段3は、車輪以外の移動手段であっても良い。例えば、車輪の代わりに球を備えたキャスター、キャタピラー等の移動手段であっても良く、制動をかけられるように構成された移動手段であればよい。
【符号の説明】
【0045】
1 歩行支援装置、2 ベース、3 移動手段、4 制動手段、5 装置本体部、
6 連結手段、A 使用者、B 装着具。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9