(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-11
(45)【発行日】2022-03-22
(54)【発明の名称】塗布具付き容器
(51)【国際特許分類】
A45D 34/04 20060101AFI20220314BHJP
【FI】
A45D34/04 515C
A45D34/04 525B
(21)【出願番号】P 2018087693
(22)【出願日】2018-04-27
【審査請求日】2020-11-04
(73)【特許権者】
【識別番号】000006909
【氏名又は名称】株式会社吉野工業所
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100154003
【氏名又は名称】片岡 憲一郎
(72)【発明者】
【氏名】古原 裕嗣
【審査官】石井 茂
(56)【参考文献】
【文献】特表2015-530215(JP,A)
【文献】西独国実用新案公開第08803479(DE,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A45D 34/00
A45D 34/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
内容物を収容する収容空間に連なる筒状の口部を有する容器本体と、
塗布具付きキャップと、を備え、
前記塗布具付きキャップは、
前記口部に着脱可能に装着されたベースと、
塗布具と、
操作部と、を有し、
前記ベースは、シリンダと、前記シリンダから下方に延在する筒状の外軸と、を有し、
前記塗布具は、前記シリンダの内周面上を上端位置と下端位置との間で上下方向に摺動可能であるとともに圧力室を下方に区画するピストンと、前記圧力室と前記収容空間とを互いに連通させる連通路を前記外軸との間に区画する内軸と、前記内軸から下方に延在する塗布体と、を有し、
前記操作部は、前記操作部に対する外部からの操作によって前記ピストンを上下方向に摺動させるように前記塗布具と係合する係合部を有
し、
前記操作部は、上下方向に沿う回転軸線を中心に回転可能に前記ベースに係合しており、
前記操作部の前記係合部は、前記ピストンと一体に連なる被螺合部に前記回転軸線と同軸に螺合する螺合部であり、
前記塗布具は、前記被螺合部と一体に連なるとともに前記回転軸線を中心とする前記被螺合部の回転を規制するように前記ベースに係合する回転規制部と、を有する、
塗布具付き容器。
【請求項2】
前記内軸は、前記ピストンに一体に連なっており、
前記回転規制部は、前記内軸によって構成されている、
請求項
1に記載の塗布具付き容器。
【請求項3】
前記ベースは、前記口部に着脱可能に装着された下キャップ部材と、前記下キャップ部材に連結するとともに前記シリンダ及び前記外軸を有する筒部材と、を有し、
前記塗布具は、前記被螺合部、前記ピストン及び前記内軸を有する軸部材と、前記軸部材の下端に連結するとともに前記塗布体を有する塗布部材と、を有し、
前記操作部は、前記下キャップ部材に回転可能に係合した上キャップ部材を有する、請求項
2に記載の塗布具付き容器。
【請求項4】
内容物を収容する収容空間に連なる筒状の口部を有する容器本体と、
塗布具付きキャップと、を備え、
前記塗布具付きキャップは、
前記口部に着脱可能に装着されたベースと、
塗布具と、
操作部と、を有し、
前記ベースは、シリンダと、前記シリンダから下方に延在する筒状の外軸と、を有し、
前記塗布具は、前記シリンダの内周面上を上端位置と下端位置との間で上下方向に摺動可能であるとともに圧力室を下方に区画するピストンと、前記圧力室と前記収容空間とを互いに連通させる連通路を前記外軸との間に区画する内軸と、前記内軸から下方に延在する塗布体と、を有し、
前記操作部は、前記操作部に対する外部からの操作によって前記ピストンを上下方向に摺動させるように前記塗布具と係合する係合部を有し、
前記ピストンは、上方に外部と連通した上部空間を区画し、
前記シリンダの内周面は、
前記ピストンが前記上端位置に位置するときに前記ピストンと液密に接する上封止部と、
前記ピストンが前記下端位置に位置するときに前記ピストンと液密に接する下封止部と、
前記ピストンが前記上端位置と前記下端位置との間に位置するときに前記ピストンとの間に隙間を形成する圧力逃がし凹部と、を有する
、
塗布具付き容器。
【請求項5】
前記外軸の下端部は、前記ピストンが前記上端位置に位置するときに、前記塗布体の塗布時の変形を前記塗布体に当接することによって規制可能に、前記塗布体を包囲する、請求項
4に記載の塗布具付き容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、塗布具付き容器に関する。
【背景技術】
【0002】
マニキュアやマスカラなどの化粧料に代表される内容物を収容する容器本体と、内容物を塗布する塗布体を先端に有する塗布具が付いたキャップと、を備える塗布具付き容器が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1に記載されるような従来の塗布具付き容器では、塗布具先端の塗布体に付着し又は含浸される内容物の量が少量であるため、広い範囲に内容物を塗布する際の操作性に改善の余地があった。
【0005】
本発明は、このような点に鑑み、広範囲の塗布が可能な操作性を向上させた塗布具付き容器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様に係る塗布具付き容器は、
内容物を収容する収容空間に連なる筒状の口部を有する容器本体と、
塗布具付きキャップと、を備え、
前記塗布具付きキャップは、
前記口部に着脱可能に装着されたベースと、
塗布具と、
操作部と、を有し、
前記ベースは、シリンダと、前記シリンダから下方に延在する筒状の外軸と、を有し、
前記塗布具は、前記シリンダの内周面上を上端位置と下端位置との間で上下方向に摺動可能であるとともに圧力室を下方に区画するピストンと、前記圧力室と前記収容空間とを互いに連通させる連通路を前記外軸との間に区画する内軸と、前記内軸から下方に延在する塗布体と、を有し、
前記操作部は、前記操作部に対する外部からの操作によって前記ピストンを上下方向に摺動させるように前記塗布具と係合する係合部を有し、
前記操作部は、上下方向に沿う回転軸線を中心に回転可能に前記ベースに係合しており、
前記操作部の前記係合部は、前記ピストンと一体に連なる被螺合部に前記回転軸線と同軸に螺合する螺合部であり、
前記塗布具は、前記被螺合部と一体に連なるとともに前記回転軸線を中心とする前記被螺合部の回転を規制するように前記ベースに係合する回転規制部と、を有する。
【0008】
本発明に係る塗布具付き容器は、
前記内軸が、前記ピストンに一体に連なっていてもよく、
前記回転規制部が、前記内軸によって構成されていてもよい。
【0009】
本発明に係る塗布具付き容器は、
前記ベースが、前記口部に着脱可能に装着された下キャップ部材と、前記下キャップ部材に連結するとともに前記シリンダ及び前記外軸を有する筒部材と、を有してもよく、
前記塗布具が、前記被螺合部、前記ピストン及び前記内軸を有する軸部材と、前記軸部材の下端に連結するとともに前記塗布体を有する塗布部材と、を有してもよく、
前記操作部が、前記下キャップ部材に回転可能に係合した上キャップ部材を有してもよい。
【0010】
本発明の一態様に係る塗布具付き容器は、
内容物を収容する収容空間に連なる筒状の口部を有する容器本体と、
塗布具付きキャップと、を備え、
前記塗布具付きキャップは、
前記口部に着脱可能に装着されたベースと、
塗布具と、
操作部と、を有し、
前記ベースは、シリンダと、前記シリンダから下方に延在する筒状の外軸と、を有し、
前記塗布具は、前記シリンダの内周面上を上端位置と下端位置との間で上下方向に摺動可能であるとともに圧力室を下方に区画するピストンと、前記圧力室と前記収容空間とを互いに連通させる連通路を前記外軸との間に区画する内軸と、前記内軸から下方に延在する塗布体と、を有し、
前記操作部は、前記操作部に対する外部からの操作によって前記ピストンを上下方向に摺動させるように前記塗布具と係合する係合部を有し、
前記ピストンは、上方に外部と連通した上部空間を区画し、
前記シリンダの内周面は、
前記ピストンが前記上端位置に位置するときに前記ピストンと液密に接する上封止部と、
前記ピストンが前記下端位置に位置するときに前記ピストンと液密に接する下封止部と、
前記ピストンが前記上端位置と前記下端位置との間に位置するときに前記ピストンとの間に隙間を形成する圧力逃がし凹部と、を有する。
【0011】
本発明に係る塗布具付き容器は、前記外軸の下端部が、前記ピストンが前記上端位置に位置するときに、前記塗布体の塗布時の変形を前記塗布体に当接することによって規制可能に、前記塗布体を包囲してもよい。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、広範囲の塗布が可能な操作性を向上させた塗布具付き容器を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1A】本発明の第1実施形態に係る塗布具付き容器を、ピストンが下端位置に位置する状態で示す一部断面側面図である。
【
図1B】
図1Aに示す塗布具付き容器を90°異なる方向から視た一部断面側面図である。
【
図3】
図1Aに示す塗布具付き容器を、ピストンが上端位置に位置する状態で示す一部断面側面図である。
【
図5】
図3に示す塗布具付きキャップを、容器本体から取り外した状態で示す一部断面側面図である。
【
図6】本発明の第2実施形態に係る塗布具付き容器を、ピストンが下端位置に位置する状態で示す一部断面側面図である。
【
図7】
図6に示す塗布具付き容器を、ピストンが上端位置に位置する状態で示す一部断面側面図である。
【
図8】
図6に示す塗布具付きキャップを、容器本体から取り外した状態で示す一部断面側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態に係る塗布具付き容器について詳細に例示説明する。
【0015】
まず、
図1A~
図5を参照して、本発明の第1実施形態に係る塗布具付き容器1Aについて詳細に例示説明する。
図1A~
図1Bに示すように、本実施形態に係る塗布具付き容器1Aは、容器本体2と、塗布具付きキャップ3と、を備えている。容器本体2は、筒状の口部2aと、口部2aの下方に連なるとともに下端が閉塞された胴部2bと、を有している。また、容器本体2は、その内側に内容物を収容する収容空間4を形成している。したがって、口部2aは、収容空間4に連なっている。容器本体2は、このようなボトル状をなしているが、その形状は適宜変更が可能である。内容物は、例えばマニキュアやマスカラなどの化粧料に対して好適に用いられるが、これに限定されない。
【0016】
塗布具付きキャップ3は、口部2aに着脱可能に装着されたベース5と、塗布具6と、操作部7と、を有している。操作部7は、本実施形態では、上下方向に沿う回転軸線Oを中心に回転可能にベース5に係合している。なお、本明細書において、上下方向とは、塗布具付きキャップを容器本体に装着して塗布具付き容器を正立させた状態における上下方向を意味する。
【0017】
ベース5は、本実施形態では、口部に着脱可能に装着された下キャップ部材5aと、下キャップ部材5aに連結するとともにシリンダ8及び外軸9を有する筒部材5bと、を有している。本実施形態では、ベース5は螺合によって口部2aに着脱可能に装着されるように構成されている。しかし、ベース5は、嵌合等によって口部2aに着脱可能に装着されるように構成されてもよい。
【0018】
塗布具6は、本実施形態では、被螺合部10、ピストン11及び内軸12を有する軸部材6aと、軸部材6aの下端に連結するとともに塗布体13を有する塗布部材6bとを有している。
【0019】
操作部7は、本実施形態では、下キャップ部材5aに回転可能に係合した上キャップ部材7aを有している。なお、ベース5、塗布具6及び操作部7の部品構成(構成する部材の数)は、上記の構成に限定されない。
【0020】
ベース5の下キャップ部材5aは、口部2aに螺合によって着脱可能に装着された装着筒14を有している。装着筒14の上端には、外周面が縮径した円筒状の支持壁15が立設されている。支持壁15の上端には、円環状の内向きフランジ16が一体に連なっている。
【0021】
ベース5のシリンダ8は、回転軸線Oと同軸の円筒状をなしている。シリンダ8の上端面は内向きフランジ16の下面に当接している。また、シリンダ8の外周面は、支持壁15の内周面に嵌合することで、支持壁15からの下方への抜け出しが防止されている。シリンダ8の外周面と支持壁15の内周面とは、筒部材5bが回転軸線Oを中心として下キャップ部材5aに対して相対的に回転することを規制する規制部17を介して互いに係合している。本実施形態では、シリンダs8の外周面に設けられた縦リブ状の規制部17が支持壁15の内周面に喰い込むように圧入され、その摩擦力によって回転を規制している。しかし、例えば、支持壁15の内周面にこのような縦リブ状の規制部17に対応する凹溝を設け、これらの係合によって回転を規制するように構成してもよい。シリンダ8の下端面は、口部2aの上端面に当接している。
【0022】
ベース5の外軸9は、筒状をなすとともに、シリンダ8から下方に延在している。本実施形態では、外軸9は、シリンダ8の下端部から径方向内側に延在する円環状の段差壁18と、段差壁18の内周縁から垂下するとともに下方に向けて徐々に縮径する円錐壁19と、円錐壁19の下端部から径方向内側に延在する底壁20と、を有している。底壁20は、その中央部に略楕円形状の開口を有している。そして、外軸9は、この略楕円形状の開口の周縁部から垂下する略楕円筒状の下筒壁21(
図2参照)を有している。
【0023】
塗布具6のピストン11は、シリンダ8の内周面上を上端位置と下端位置との間で上下方向に摺動可能であるとともに圧力室22を下方に区画するように構成されている。ピストン11は、本実施形態では、内軸12の上端部から径方向外側に延在する円環フランジ状のフランジ壁23と、フランジ壁23の外周縁から垂下するとともに下部が下方に向けて徐々に拡径しているシール壁24と、を有している。本実施形態では、圧力室22は、ピストン11が
図1A~
図1Bに示すようにその可動範囲の下端位置に位置するときには、内軸12、フランジ壁23、シール壁24、段差壁18、円錐壁19及び底壁20によって区画されるようになっている。また、本実施形態では、圧力室22は、ピストン11が
図3に示すようにその可動範囲の上端位置に位置するとき(或いは下端位置より上側に位置するとき)には、内軸12、フランジ壁23、シール壁24、シリンダ8、段差壁18、円錐壁19及び底壁20によって区画されるようになっている。
【0024】
ピストン11は、本実施形態では、上方に外部と連通した上部空間25を区画するように構成されている。上部空間25は、フランジ壁23、シール壁24及びシリンダ8によって区画されるようになっている。そして、シリンダ8の内周面は、本実施形態では、ピストン11が上端位置に位置するときにピストン11と液密に接する上封止部26(
図3参照)と、ピストン11が下端位置に位置するときにピストン11と液密に接する下封止部27と、を有している。また、シリンダ8の内周面は、本実施形態では、ピストン11が上端位置と下端位置との間に位置するときにピストン11との間に隙間を形成する圧力逃がし凹部28(
図4参照)を有している。圧力逃がし凹部28は、本実施形態では全周に亘って設けられた環状凹部によって構成されているが、例えば、周方向の1箇所以上に設けられた上下方向に延在する凹溝によって構成されてもよい。
【0025】
塗布具6の内軸12は、圧力室22と収容空間4とを互いに連通させる連通路29(
図3参照)を外軸9との間に区画するように構成されている。本実施形態では、外軸9は、ピストン11が下端位置に位置するときに、
図1A~
図1Bに示すように、外軸9の下端部において内軸12と密に接することで連通路29を閉塞するように構成されている。また、外軸9は、ピストン11が上端位置に位置するときに、
図3に示すように、連通路29を開放するように構成されている。内軸12は、本実施形態では、略楕円筒状の外軸9の内周面より僅かに小さい外形の略楕円筒状をなしている(
図2参照)。
【0026】
塗布具6の被螺合部10は、操作部7の後述する螺合部32と回転軸線Oと同軸に螺合するように構成されている。塗布具6は、本実施形態では、被螺合部10と一体に連なるとともに回転軸線Oを中心とする被螺合部10の回転を規制するようにベース5に係合する回転規制部を有している。回転規制部は、本実施形態では、ピストン11に一体に連なる内軸12によって構成されている。
【0027】
塗布具6の塗布体13は、内軸12の下端部から下方に延在するとともに、内容物を塗布するように構成されている。塗布体13は、本実施形態ではブラシによって構成されているが、例えば、内容物を含浸可能な含浸体や、へら状のものや、はけ等であってもよい。
【0028】
操作部7は、この操作部7に対する外部からの操作によってピストン11を上下方向に摺動させるように塗布具6と係合する係合部を有している。この係合部は、本実施形態では、ピストン11と一体に連なる被螺合部10に回転軸線Oと同軸に螺合する螺合部32である。
図1Aに示すように、操作部7は、本実施形態では、支持壁15の外周面に回転軸線Oを中心に回転可能に係合した略円筒状の外壁30と、外壁30の上端を閉塞する略円板状の天壁31と、天壁31の中央部から垂下するとともに被螺合部10と螺合する螺合部32と、を有している。螺合部32は内周面に雌ねじ部を有する円筒状をなしており、内向きフランジ16の内周縁によって形成された開口を貫通して下方に延在している。そして、被螺合部10は、外周面に雄ねじ部を有する円柱状をなしており、螺合部32と螺合している。なお、本実施形態では被螺合部10が円柱状で螺合部32が円筒状をなしているが、逆に、被螺合部10が円筒状で螺合部32が円柱状をなすように構成することも可能である。
【0029】
本実施形態では、ピストン11を下端位置から上端位置まで摺動させるための操作部7の回転方向は、ベース5を口部2aから取り外すためのベース5の回転方向と同一の方向とされている。
【0030】
天壁31の下面は、内向きフランジ16の上面に当接している。また、外壁30は、回転軸線Oを中心に回転可能に、且つ、支持壁15の抜け出しを防止するように、支持壁15の外周面に嵌合している。本実施形態では、天壁31の下面と内向きフランジ16の上面との間、及び外壁30の内周面と支持壁15の外周面との間には、後述する上部空間25と外部とを連通する空気の通路が確保されている。また、内向きフランジ16の下面とシリンダ8の上端面との間は全周に亘って密に当接しており、口部2aに付着した内容物が支持壁15の内周面とシリンダ8の外周面との間を経由し、上部空間25に浸入することを防止している。
【0031】
塗布具付き容器1Aの使用に際しては、
図1Aに示すように、塗布具付きキャップ3を容器本体2に装着して塗布具付き容器1Aを正立させた状態で、操作部7(上キャップ部材7a)を回転操作することにより、螺合部32を介して、ピストン11を、
図3に示すような上端位置まで引き上げることができる。その際、ピストン11がシリンダ8の内周面上を上方に摺動して圧力室22を上方に拡大し、圧力室22を負圧化するとともに、この負圧化した圧力室22を連通路29によって収容空間4と連通させることにより、収容空間4から内容物を圧力室22に向けて吸い上げることができる。またこのとき、ピストン11が圧力逃がし凹部28を通過することにより、外部に連通する上部空間25と圧力室22とが圧力逃がし凹部28によって互いに連通し、圧力室22の過大な負圧化が抑制され、圧力室22に向けた過大な量の内容物の吸い上げが抑制される。
【0032】
ピストン11が上端位置に移動するまで回転操作した後は、ベース5(下キャップ部材5a)をさらに同じ方向に回転させることにより、
図5に示すように塗布具付きキャップ3を容器本体2から取り外すことができる。そして、塗布体13で内容物を塗布する際には、外軸9の下端部の径方向内側に形成された空間に保持された内容物が、塗布体13の振動等によって塗布体13の先端部まで染み出てくるため、被塗布面33に対して広い範囲に内容物を塗布することができる。このように、本実施形態に係る塗布具付き容器1Aによれば、塗布具付きキャップ3の一度の引き抜き操作で広範囲の塗布が可能となるため、操作性を向上することができる。
【0033】
また、少量の塗布を行いたい場合には、ピストン11が下端位置に位置した状態で塗布具付きキャップ3を容器本体2から取り外して使用すればよい。このとき、連通路29は遮断されていることにより、外軸9の下端部と内軸12とが密接していることにより、圧力室22側への内容物の浸入を抑制できる。
【0034】
次に、
図6~
図8を参照して、本発明の第2実施形態に係る塗布具付き容器1Bについて詳細に例示説明する。
図6~
図8に示すように、本実施形態に係る塗布具付き容器1Bは、第1実施形態の場合と比較すると、外軸9’の下端部が、塗布具6’が上端位置に位置するときに、塗布体13’の塗布時の変形を塗布体13’に当接することによって規制可能に、塗布体13’を包囲するようになっている点で構成が異なるが、その他の点では同様の構成になっている。
【0035】
このような構成によれば、例えば際塗りをするときなどにおいて、塗布体13’の広がりを外軸9’の下端部によって抑制することができるので、操作性を向上し、被塗布面33’における意図する部分への正確な塗布を可能にすることができる。このような構成は、例えば塗布体13’が図示したような毛先の揃ったブラシ状をなしている場合等に特に好適である。
【0036】
前述した本実施形態は、本発明の実施形態の一例にすぎず、発明の要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることはいうまでもない。
【0037】
例えば、前記の実施形態では、ピストンを上下方向に摺動させるための操作部の回転方向は、ベースを口部から取り外すためのベースの回転方向と同一の方向とされている。しかし、これらの回転方向は逆の方向であってもよい。
【0038】
また、前記の実施形態では、操作部は、操作部に対する外部からの回転操作によってピストンを上下方向に摺動させるように塗布具と係合する係合部を有してい構成されている。しかし、操作部は、操作部に対する外部からの回転操作以外の操作(例えば上下方向へのスライド操作)によってピストンを上下方向に摺動させるように塗布具と係合する係合部を有していてもよい。
【0039】
また、前記の実施形態では、内軸12はピストン11と一体に連なっており、ピストン11と一体に上下方向に移動するように構成されている。しかし、内軸12は、ピストン11と別体に構成され、ベース5に固定されてもよい。
【0040】
また、前記の実施形態では、シリンダが圧力逃がし凹部を有している。しかし、シリンダが圧力逃がし凹部を有さない構成としてもよい。
【符号の説明】
【0041】
1A、1B 塗布具付き容器
2、2’ 容器本体
2a 口部
2b 胴部
3、3’ 塗布具付きキャップ
4、4’ 収容空間
5、5’ ベース
5a、5a’ 下キャップ部材
5b、5b’ 筒部材
6、6’ 塗布具
6a、6a’ 軸部材
6b、6b’ 塗布部材
7、7’ 操作部
7a、7a’ 上キャップ部材
8、8’ シリンダ
9、9’ 外軸
10、10’ 被螺合部
11、11’ ピストン
12、12’ 内軸(回転規制部)
13、13’ 塗布体
14 装着筒
15 支持壁
16 内向きフランジ
17 規制部
18 段差壁
19 円錐壁
20 底壁
21、21 下筒壁
22、22’ 圧力室
23 フランジ壁
24 シール壁
25、25’ 上部空間
26 上封止部
27、27’ 下封止部
28、28’ 圧力逃がし凹部
29、29’ 連通路
30 外壁
31 天壁
32 螺合部(係合部)
33、33’ 被塗布面
O、O’ 回転軸線