(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-11
(45)【発行日】2022-03-22
(54)【発明の名称】紫外線遮断用粘土鉱物‐金属酸化物複合体粉末、この製造方法及び前記複合体粉末を含む紫外線遮断用組成物
(51)【国際特許分類】
A61K 8/29 20060101AFI20220314BHJP
A61K 8/02 20060101ALI20220314BHJP
A61K 8/19 20060101ALI20220314BHJP
A61K 8/25 20060101ALI20220314BHJP
A61K 8/26 20060101ALI20220314BHJP
A61K 8/27 20060101ALI20220314BHJP
A61Q 17/04 20060101ALI20220314BHJP
C01B 33/40 20060101ALI20220314BHJP
C01B 33/26 20060101ALI20220314BHJP
【FI】
A61K8/29
A61K8/02
A61K8/19
A61K8/25
A61K8/26
A61K8/27
A61Q17/04
C01B33/40
C01B33/26
(21)【出願番号】P 2018093289
(22)【出願日】2018-05-14
【審査請求日】2020-03-04
(31)【優先権主張番号】10-2017-0060387
(32)【優先日】2017-05-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】517291287
【氏名又は名称】コリア インスティテュート オブ ジオサイエンス アンド ミネラル リソーシズ
【氏名又は名称原語表記】KOREA INSTITUTE OF GEOSCIENCE AND MINERAL RESOURCES
【住所又は居所原語表記】92 Gwahak-no, Yuseong-gu, Daejeon 305-350, Republic of Korea
(74)【代理人】
【識別番号】110002620
【氏名又は名称】特許業務法人大谷特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ロ キ-ミン
(72)【発明者】
【氏名】カン イル-モ
(72)【発明者】
【氏名】ソ ソン-マン
(72)【発明者】
【氏名】キム テ-ヨン
【審査官】片山 真紀
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-148486(JP,A)
【文献】特開昭64-040565(JP,A)
【文献】特開2011-116569(JP,A)
【文献】特開2003-171181(JP,A)
【文献】特開2012-143983(JP,A)
【文献】特表2002-542926(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 8/00-99
A61Q 1/00-90/00
C01B 33/00-46
B01D 1/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
粘土鉱物粒子が分散された粘土鉱物懸濁液に紫外線の遮断が可能な金属酸化物のナノ粒子または前記金属酸化物の前駆体物質を混合して噴霧溶液を製造する第1段階と、
前記噴霧溶液を噴霧乾燥する第2段階とを含み、
前記金属酸化物は紫外線領域の光を吸収し、可視光線領域の光は透過させるバンドギャップを有し、
前記第2段階は噴霧乾燥装置を利用して行われ、
前記噴霧乾燥装置は、
第1内部空間を備える第1チャンバと、
前記第1チャンバの上端に結合されて前記第1内部空間へ前記噴霧溶液を液滴の形態で噴霧するノズル、前記噴霧溶液を貯蔵する貯蔵タンクと前記ノズルを連結する溶液注入管及び前記溶液注入管に圧力を印加して前記貯蔵タンクに貯蔵された前記噴霧溶液を前記ノズルを通して噴射させる圧力を生成するポンプを備える噴霧ユニットと、
前記溶液注入管に連結され、前記ノズルを通して前記第1内部空間へ高温乾燥ガスを供給するガス供給管及び前記ガス供給管を移動する乾燥ガスを加熱するヒータを備えるガス注入ユニットと、
前記第1チャンバの下端に結合され、噴霧液滴の乾燥を通じて形成された粘土鉱物‐金属酸化物複合体粉末の中で前記第1チャンバの下部へ落下する第1粘土鉱物‐金属酸化物複合体粉末を収容して回収する第1回収ユニットと、
前記第1内部空間と連結された第2内部空間を備える第2チャンバと、
前記第2チャンバの下端に結合され、前記粘土鉱物‐金属酸化物複合体粉末の中で前記乾燥ガスにより前記第2チャンバへ移動して落下する第2粘土鉱物‐金属酸化物複合体粉末を収容して回収する第2回収ユニットと、
前記第2内部空間から冷却された乾燥ガスを外部へ排出させる吸入ユニットとを含むことを特徴とする、紫外線遮断用粘土鉱物‐金属酸化物複合体粉末の製造方法。
【請求項2】
前記粘土鉱物粒子は珪酸板(silica sheet)とアルミナ板(alumina sheet)が結合されて形成された結晶単位が積層された層状構造を有することを特徴とする、請求項1に記載の紫外線遮断用粘土鉱物‐金属酸化物複合体粉末の製造方法。
【請求項3】
前記粘土鉱物粒子は1~15nmの平均厚さを有し、4~200μmの平均直径を有することを特徴とする、請求項1に記載の紫外線遮断用粘土鉱物‐金属酸化物複合体粉末の製造方法。
【請求項4】
前記金属酸化物は二酸化チタン(TiO
2)、酸化亜鉛(ZnO)及び酸化セリウム(CeO)からなるグループから選ばれた一つ以上を含むことを特徴とする、請求項1に記載の紫外線遮断用粘土鉱物‐金属酸化物複合体粉末の製造方法。
【請求項5】
前記金属酸化物のナノ粒子は5~100nmの平均直径を有することを特徴とする、請求項4に記載の紫外線遮断用粘土鉱物‐金属酸化物複合体粉末の製造方法。
【請求項6】
前記金属酸化物の前駆体物質は前記金属酸化物に含有された金属を含む有機酸塩、ハロゲン塩、無機酸塩、アルコキシ塩、スルフィド塩及びアミド塩からなるグループから選ばれた1種以上を含むことを特徴とする、請求項4に記載の紫外線遮断用粘土鉱物‐金属酸化物複合体粉末の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は紫外線を遮断可能な粘土鉱物‐金属酸化物複合体粉末、この製造方法及び前記複合体粉末を含む紫外線遮断用組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
太陽から照射される紫外線は、皮膚に紅斑、浮腫、そばかす、または皮膚がん等を誘発する主な原因として作用し、これによって最近、紫外線による皮膚疾患に対する研究が活発に進められている。これと共に、紫外線遮断剤が必須的に使用される基礎化粧品として認識が拡大され、紫外線遮断効果を持続的に保持可能とする専用の製品に対する研究も活発に進められてきた。
【0003】
このような紫外線遮断製品において、高いSPF値を有するようにするために二酸化チタン、酸化亜鉛等の無機紫外線遮断剤が多く使用されているが、このような紫外線遮断酸化物をナノ粒子の形態で紫外線遮断組成物に適用する場合、皮膚毒性が発生し得るだけでなく、ナノ粒子が皮膚の内部へ浸透するという問題点が発生し得る。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の一目的は、組成物に適用時、人体に有害な金属酸化物ナノ粒子と人体の直接接触を著しく減少させることができるだけでなく、前記金属酸化物ナノ粒子が人体の内部へ浸透することを根本的に防止可能な紫外線遮断用粘土鉱物‐金属酸化物複合体粉末の製造方法を提供することにある。
【0005】
本発明の他の目的は、前記製造方法により製造された紫外線遮断用粘土鉱物‐金属酸化物複合体粉末を提供することにある。
【0006】
本発明のまた他の目的は、前記紫外線遮断用粘土鉱物‐金属酸化物複合体粉末を含む紫外線遮断用組成物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の実施例による紫外線遮断用粘土鉱物‐金属酸化物複合体粉末の製造方法は、粘土鉱物粒子が分散された粘土鉱物懸濁液に紫外線の遮断が可能な金属酸化物ナノ粒子または前記金属酸化物の前駆体物質を混合して噴霧溶液を製造する第1段階と、前記噴霧溶液を噴霧乾燥する第2段階とを含み、前記金属酸化物は紫外線領域の光を吸収し、可視光線領域の光は透過させるバンドギャップを有することができる。
【0008】
一実施例において、前記粘土鉱物粒子は、珪酸板(silica sheet)とアルミナ板(alumina sheet)が結合して形成された結晶単位が積層された層状構造を有することができる。
【0009】
一実施例において、前記粘土鉱物粒子は、約1~15nmの平均厚さを有し、約4~200μmの平均直径を有することができる。
【0010】
一実施例において、前記金属酸化物は、二酸化チタン(TiO2)、酸化亜鉛(ZnO)、酸化セリウム(CeO)等からなるグループから選ばれた一つ以上を含むことができる。
【0011】
一実施例において、前記金属酸化物ナノ粒子は、約5~100nmの平均直径を有することができる。
【0012】
一実施例において、前記金属酸化物の前駆体物質は、前記金属酸化物に含有された金属を含む有機酸塩、ハロゲン塩、無機酸塩、アルコキシ塩、スルフィド塩及びアミド塩からなるグループから選ばれた1種以上を含むことができる。
【0013】
一実施例において、前記第2段階は、噴霧乾燥装置を利用して行われることができる。この場合、適用される前記噴霧乾燥装置は、第1内部空間を備える第1チャンバと、前記第1チャンバの上端に結合されて前記第1内部空間へ前記噴霧溶液を液滴の形態で噴霧するノズル、前記噴霧溶液を貯蔵するタンクと前記ノズルを連結する溶液注入管及び前記溶液注入管に圧力を印加して前記貯蔵タンクに貯蔵された前記噴霧溶液を前記ノズルを通して噴射させる圧力を生成するポンプを備える噴霧ユニットと、前記第1内部空間へ乾燥ガスを供給するガス供給管及び前記ガス供給管を移動する前記乾燥ガスを加熱するヒータを備えるガス注入ユニットと、前記第1チャンバの下端に結合され、前記噴霧液滴の乾燥を通じて形成された前記粘土鉱物‐金属酸化物複合体粉末の中で前記第1チャンバの下部へ落下する第1粘土鉱物‐金属酸化物複合体粉末を収容して回収する第1回収ユニットと、前記第1内部空間と連結された第2内部空間を備える第2チャンバと、前記第2チャンバの下端に結合され、前記粘土鉱物‐金属酸化物複合体粉末の中で前記乾燥ガスにより前記第2チャンバへ移動して落下する第2粘土鉱物‐金属酸化物複合体粉末を収容して回収する第2回収ユニットと、前記第2内部空間から冷却された乾燥ガスを外部へ排出させる吸入ユニットとを含むことができる。
【0014】
本発明の実施例による紫外線遮断用粘土鉱物‐金属酸化物複合体粉末は、互いに凝集された板状の粘土鉱物粒子と、前記粘土鉱物粒子の表面に付着された金属酸化物ナノ粒子を含むことができる。
【0015】
一実施例において、前記板状の粘土鉱物粒子の凝集体は、表面の溝部及び内部の気孔を備える多孔性構造を有することができ、前記金属酸化物ナノ粒子は前記溝部を形成する面及び前記気孔を形成する面に付着されることができる。
【0016】
一実施例において、前記粘土鉱物‐金属酸化物複合体粉末は約4~100μmの平均直径を有することができる。
【0017】
一実施例において、前記金属酸化物ナノ粒子は前記粘土鉱物粒子の対比5~50の重量%で含まれることができる。
【0018】
本発明の実施例による紫外線遮断用組成物は、全組成物重量に対して1~50重量%含まれ、互いに凝集された板状の粘土鉱物粒子及び前記粘土鉱物粒子の表面に付着された金属酸化物ナノ粒子を含む紫外線遮断用粘土鉱物‐金属酸化物複合体粉末と、全組成物重量に対して1~15重量%含まれたワックス成分と、全組成物重量に対して1~90重量%含まれたオイル成分を含むことができる。
【0019】
一実施例において、前記紫外線遮断用組成物は、ペースト状、クリーム状、ゲル状または固体状であり得る。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、簡単な方法で紫外線遮断用粘土鉱物‐金属酸化物複合体粉末を製造することができる。そして、これを紫外線遮断用組成物に適用する場合、前記金属酸化物ナノ粒子が粘土鉱物粒子凝集体の外部面のみならず、表面の溝部を形成する面及び内部の気孔を形成する面に付着されるので、前記金属酸化物ナノ粒子と人体の直接接触を著しく減少させることができるだけでなく、前記金属酸化物ナノ粒子が人体の内部へ浸透することを根本的に防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】本発明の実施例による紫外線遮断用粘土鉱物‐金属酸化物複合体粉末の製造方法を説明するための手順図である。
【
図2】前記粘土鉱物‐金属酸化物複合体粉末を製造するための噴霧乾燥装置を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、添付の図面を参照して本発明の実施例について詳細に説明する。
本発明は多様な変更を加えることができ、様々な形態を有することができるところ、特定の実施例を図面に例示し、本文に詳細に説明しようとする。しかし、これは本発明を特定の開示の形態に対して限定しようとするものではなく、本発明の思想及び技術範囲に含まれるすべての変更、均等物ないし代替物を含むものと理解されるべきである。各図面の説明において、類似した参照符号を類似した構成要素に対して使用した。添付の図面において、構造物の寸法は、本発明の明確性を期するために実際より拡大して図示したものである。
【0023】
第1、第2等の用語は、多様な構成要素を説明するのに使用されることができるが、前記構成要素は、前記用語により限定されてはならない。前記用語は一つの構成要素を他の構成要素から区別する目的としてのみ使用される。例えば、本発明の権利範囲を逸脱しないながらも第1構成要素は第2構成要素と命名されることができ、同様に第2構成要素も第1構成要素と命名されることができる。
【0024】
本願で使用した用語は、単に特定の実施例を説明するために使用されたものであって、本発明を限定しようとする意図ではない。単数の表現は文脈上、明らかに異なる意味でない限り、複数の表現を含む。本願で、「含む」または「有する」等の用語は、明細書上に記載された特徴、段階、動作、構成要素、部分品またはこれらを組み合わせたものが存在することを指定しようとしたものであり、一つまたはそれ以上の他の特徴や段階、動作、構成要素、部分品またはこれらを組み合わせたものの存在または付加可能性を予め排除しないものと理解されるべきである。
【0025】
特に断りのない限り、技術的または科学的な用語を含めて、ここで使用される全ての用語は、本発明が属する技術分野において通常の知識を有する者によって一般的に理解されるものと同じ意味を有している。一般的に使用される辞書に定義されているもののような用語は、関連技術の文脈上有する意味と一致する意味を有するものと解釈されるべきであり、本願で明らかに定義しない限り、理想的または過度に形式的な意味として解釈されない。
【0026】
図1は、本発明の実施例による紫外線遮断用粘土鉱物‐金属酸化物複合体粉末の製造方法を説明するための手順図であり、
図2は、前記粘土鉱物‐金属酸化物複合体粉末を製造するための噴霧乾燥装置を説明するための図である。
【0027】
図1及び
図2によれば、本発明の実施例による紫外線遮断用粘土鉱物‐金属酸化物複合体粉末の製造方法は、板状の粘土鉱物粒子が分散された粘土鉱物懸濁液に紫外線の遮断が可能な金属酸化物ナノ粒子または前記金属酸化物の前駆体物質を混合して噴霧溶液を製造する第1段階S110と、前記噴霧溶液を噴霧乾燥する第2段階S120とを含む。
【0028】
前記第1段階S110において、前記粘土鉱物粒子は、珪酸板(silica sheet)とアルミナ板(alumina sheet)が結合して形成された結晶単位が積層された層状構造を有する粘土鉱物で形成されることができる。例えば、前記粘土鉱物粒子は、ベントナイト(bentonite)、モンモリロナイト(montmorillonite)、バイデライト(beidellite)、ノントロナイト(nontronite)等のようなスメクタイト(smectite)グループの鉱物、ヒドロタルサイト(hydrotalcite)グループの鉱物、硝石(vermiculite)グループの鉱物等で形成されることができる。
【0029】
前記粘土鉱物粒子は、互いに平行な上部面と下部面を有する板形状を有することができる。一実施例において、前記粘土鉱物粒子は約1~15nmの平均厚さを有し、約4~200μmの平均直径を有することができる。
【0030】
前記金属酸化物は紫外線の遮断のために紫外線領域の光を吸収することができ、可視光線は透過させるバンドギャップを有した物質であり得る。例えば、前記金属酸化物は、約3.2eVのバンドギャップを有する物質である二酸化チタン(TiO2)、酸化亜鉛(ZnO)、酸化セリウム(CeO)等を含むことができる。
【0031】
前記粘土鉱物懸濁液の溶媒は特に制限されない。例えば、前記粘土鉱物懸濁液の溶媒としては水、有機溶媒等が使用されることができる。
【0032】
一実施例において、前記噴霧溶液を製造するために前記粘土鉱物懸濁液に前記金属酸化物ナノ粒子が混合されることができる。前記金属酸化物ナノ粒子は、前記粘土鉱物粒子より小さい大きさを有することができる。例えば、前記金属酸化物ナノ粒子は約5~100nmの平均直径を有することができる。前記金属酸化物ナノ粒子の形状は特に制限されない。例えば、前記金属酸化物ナノ粒子は球形状を有することができる。
【0033】
他の実施例において、前記噴霧溶液を製造するために、前記粘土鉱物懸濁液に前記金属酸化物の前駆体物質が混合されることができる。前記金属酸化物の前駆体物質は前記金属酸化物に含有された金属を含む金属塩、例えば、有機酸塩、ハロゲン塩、無機酸塩、アルコキシ塩、スルフィド塩、アミド塩等を含むことができる。具体的に、前記金属塩はアセテート、クロライド、アセチルアセトネート、ニトレート、メトキシド、エトキシド、ブトキシド、イソプロポキシド、スルフィド、オキシトリイソプロポキシド、(エチルまたはセチルエチル)ヘキサノエート、ブタノエート、エチルアミド、アミド等から選ばれた一つ以上を含むことができる。一例として、前記紫外線遮断のための金属酸化物が二酸化チタン(TiO2)である場合、前記二酸化チタンの前駆体物質としては、チタンテトライソプロポキシド(titanium tetraisopropoxdie)、チタンテトラブトキシド(titianium tetrabutoxide)、チタンアルコキシド(titanium alkoxide)等から選ばれた一つ以上が使用されることができる。他の例として、前記紫外線遮断のための金属酸化物が酸化亜鉛(ZnO)である場合、前記酸化亜鉛の前駆体物質としては、亜鉛アセテートジハイドレート(zinc acetate dihydrate)、亜鉛アセチルアセトネートモノハイドレート(zinc acetylacetonate monohydrate)、亜鉛ニトレートヘキサハイドレート(zinc nitrate hexahydrate)等から選ばれた一つ以上が使用されることができる。
【0034】
また、他の実施例において、前記噴霧溶液を製造するために、前記粘土鉱物懸濁液に前記金属酸化物ナノ粒子及び前記金属酸化物の前駆体物質が共に混合されることができる。
【0035】
前記第2段階において、前記噴霧溶液はノズルを利用して微細液滴の形態で噴霧されることができ、前記液滴に含まれた溶媒は高温ガスを利用して蒸発させることができる。そして、前記溶媒が蒸発しながら、前記液滴内に含まれた粘土鉱物粒子及び前記金属酸化物ナノ粒子が互いに凝集して前記粘土鉱物‐金属酸化物複合体粉末が形成されることができる。
【0036】
一実施例において、前記第2段階は、
図2に示されたような噴霧乾燥装置100を利用して行うことができる。例えば、前記噴霧乾燥装置100は、第1チャンバ110、噴霧ユニット120、ガス注入ユニット130、第1回収ユニット140、第2チャンバ150、第2回収ユニット160、吸入ユニット170を含むことができる。
【0037】
前記第1チャンバ110は、上下方向に延長された第1内部空間を備えることができる。前記第1内部空間を備えれば、前記第1チャンバ110の構造は特に制限されない。
【0038】
前記噴霧ユニット120は、前記第1チャンバ110の上端に結合されて前記第1内部空間へ前記噴霧溶液を液滴の形態で噴霧するノズル121、前記噴霧溶液を貯蔵する貯蔵タンク10と前記ノズル121を連結する溶液注入管122及び前記溶液注入管122に圧力を印加して前記貯蔵タンク10に貯蔵された前記噴霧溶液を前記ノズル121を通じて噴射させるポンプ123を含むことができる。
【0039】
前記ガス注入ユニット130は、前記第1内部空間へ乾燥ガスを供給するガス供給管131及び前記ガス供給管を移動する前記乾燥ガスを加熱するヒータ132を含むことができる。前記ガス注入ユニット130のガス供給管131は、前記第1内部空間に直接連結されて前記第1内部空間へ直接前記加熱された高温乾燥ガスを供給することもでき、前記ノズル121または前記溶液注入管122に連結されて前記ノズル121を通じて前記第1内部空間へ前記高温乾燥ガスを供給することもできる。
【0040】
前記ノズル121から噴霧された液滴の溶媒を蒸発させることができれば、前記高温乾燥ガスの種類は特に制限されない。一方、前記噴霧溶液が前記金属酸化物の前駆体物質を含む場合、前記高温乾燥ガスは前記金属酸化物の前駆体物質を分解することができる程度に高温に加熱されることができる。
【0041】
前記第1回収ユニット140は、前記第1チャンバ110の下端に結合可能であり、前記噴霧液滴の乾燥を通じて形成された前記粘土鉱物‐金属酸化物複合体粉末の中で前記第2チャンバ150へ移動せずに重力により落下する相対的に大きな粉末を収容して回収することができる。前記第1回収ユニット140は、例えば、上部方向に開口された内部空間を備える第1収容容器を含むことができる。
【0042】
前記第2チャンバ150は前記第1内部空間と連結され、上下方向に延長された第2内部空間を備えることができる。前記第2内部空間を備えれば、前記第2チャンバ150の構造は特に制限されない。
【0043】
前記第2回収ユニット160は、前記第2チャンバ150の下端に結合されて前記粘土鉱物‐金属酸化物複合体粉末の中で前記乾燥ガスにより前記第2チャンバ150へ移動して落下する相対的に小さな粉末を収容して回収することができる。前記第2回収ユニット160は、例えば、上部方向に開口された内部空間を備える第2収容容器を含むことができる。
【0044】
前記吸入ユニット170は、前記第2内部空間から冷却された乾燥ガスを外部へ排出させることができる。前記吸入ユニット170は、前記第2チャンバ150の上端を通じて前記乾燥ガスを外部へ排出することができる。
【0045】
前記のような噴霧乾燥装置100を利用して前記粘土鉱物‐金属酸化物複合体粉末を製造する場合、前記複合体粉末を大きさによって分離回収することができる。
【0046】
一方、本発明によって製造された前記粘土鉱物‐金属酸化物複合体粉末は、球状に互いに凝集された板状の粘土鉱物粒子及び前記粘土鉱物粒子の表面に付着された金属酸化物ナノ粒子を含むことができる。例えば、前記板状の粘土鉱物粒子は表面の溝部及び内部の気孔を備える多孔性構造に凝集され、前記金属酸化物ナノ粒子は前記板状の粘土鉱物粒子凝集体の外部面のみならず、前記溝部を形成する面及び前記気孔を形成する面に付着されることができる。
【0047】
前記粘土鉱物‐金属酸化物複合体粉末は、約4~100μmの平均直径を有することができる。そして、それぞれの前記粘土鉱物‐金属酸化物複合体粉末において、前記金属酸化物ナノ粒子は前記粘土鉱物粒子の対比約5~50の重量%で含まれることができる。
【0048】
本発明の実施例による紫外線遮断用組成物は、前記粘土鉱物‐金属酸化物複合体粉末、ワックス成分及びオイル成分を含むことができる。
【0049】
前記粘土鉱物‐金属酸化物複合体粉末は、全組成物重量に対して約1~50重量%含まれることができる。前記粘土鉱物‐金属酸化物複合体粉末に対しては、上で詳述したので、これに対する重複説明は省略する。
【0050】
前記ワックス成分は全組成物重量に対して約1~15重量%含まれることができる。前記ワックス成分はワックス、ゲル化剤、固状乳化剤等から選ばれた1種以上を含むことができる。前記ワックスは、例えば、カンデリラワックス、カルナウバワックス、ライスワックス等の植物性ワックス、ビーズワックス、ラノリン等の動物性ワックス、オゾケライト、セレシンワックス等の鉱物系ワックス、パラフィンワックス、マイクロ結晶体ワックス、ポリエチレンワックス等の石油系ワックス等から選ばれた1種以上を含むことができる。前記ゲル化剤は、例えば、デキストリンパルミテート、デキストリンパルミテート/エチルヘキサノエート、デキストリンミリステート、グリセリルベヘネート、ポリグリセリル‐6‐オクタステアレート、グリセリルベヘネート/エイコサジオエート、ポリグリセリル‐10‐ベヘネート/エイコサジオエート、ステアロイルイヌリン等から選ばれた1種以上を含むことができる。前記固状乳化剤は、例えば、グリセリルステアレート、PEG‐40‐ステアレート、ポリグリセリル-3‐メチルグルコースジステアレート、メチルグルコースセスキステアレート、アルキルグルコシド、セテアリルグルコシド、ソルビタンオリベート、セテアリルオリベート、セチルアルコール、ステアリルアルコール、ベヘニルアルコール等から選ばれた1種以上を含むことができる。
【0051】
前記オイル成分は全組成物重量に対して約1~90重量%含まれることができる。前記オイル成分は、水添ポリデセン、スクアラン、ミネラルオイル等の炭化水素系オイル、カプリリック/カプリックトリグリセリド、ネオペンチルグリコールジカプレート、ネオペンチルグリコールジヘプタノエート、ネオペンチルグリコールジエチルヘキサノエート、2‐オクチルドデシルミリステート、イソプロピルミリステート、セチル2‐エチルヘキサノエート、オクチルドデカノール、ヘキシルカノール、グリセリルトリエチルヘキサノエート等のエステル系オイル、オリーブオイル、ホホバオイル、マカダミアオイル等の植物性オイル、シクロメチコン、ジメチコン等のシリコンオイル等から選ばれた1種以上を含むことができる。
【0052】
また、前記紫外線遮断用組成物は、乳化安定剤、非イオン界面活性剤、シリコンポリマー、体質顔料、香料、防腐剤、殺菌剤、酸化安定剤、水等から選ばれた1種以上の添加剤をさらに含むことができる。
【0053】
一方、本発明の実施例による紫外線遮断用組成物は、ペースト状、クリーム状、ゲル状または固体状であり得る。
【0054】
本発明の実施例による紫外線遮断用組成物は、前記金属酸化物ナノ粒子が粘土鉱物粒子凝集体の外部面のみならず、表面の溝部を形成する面及び内部の気孔を形成する面に付着された粘土鉱物‐金属酸化物複合体粉末を紫外線遮断剤として使用するので、前記金属酸化物ナノ粒子と人体の直接接触を著しく減少させることができるだけでなく、前記金属酸化物ナノ粒子が人体の内部へ浸透することを根本的に防止することができるため、人体安定性が著しく向上することができる。
【0055】
前記では本発明の好ましい実施例を参照して説明したが、該技術分野において通常の知識を有する者であれば、下記の特許請求の範囲に記載された本発明の思想及び領域から逸脱しない範囲内で、本発明を多様に修正及び変更することが可能であることを理解すべきである。
【符号の説明】
【0056】
100…噴霧乾燥装置
110…第1チャンバ
120…噴霧ユニット
130…ガス注入ユニット
140…第1回収ユニット
150…第2チャンバ
160…第2回収ユニット
170…吸入ユニット