(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-11
(45)【発行日】2022-03-22
(54)【発明の名称】歯磨きで除去可能な歯牙付着用パッチ
(51)【国際特許分類】
A61K 8/02 20060101AFI20220314BHJP
A61K 8/22 20060101ALI20220314BHJP
A61K 8/73 20060101ALI20220314BHJP
A61Q 11/00 20060101ALI20220314BHJP
A61K 8/98 20060101ALI20220314BHJP
A61K 8/81 20060101ALI20220314BHJP
A61K 8/24 20060101ALI20220314BHJP
A61K 8/365 20060101ALI20220314BHJP
A61K 8/19 20060101ALI20220314BHJP
【FI】
A61K8/02
A61K8/22
A61K8/73
A61Q11/00
A61K8/98
A61K8/81
A61K8/24
A61K8/365
A61K8/19
(21)【出願番号】P 2018517622
(86)(22)【出願日】2016-08-30
(86)【国際出願番号】 KR2016009666
(87)【国際公開番号】W WO2017061699
(87)【国際公開日】2017-04-13
【審査請求日】2019-08-23
(31)【優先権主張番号】10-2015-0140104
(32)【優先日】2015-10-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2015-0146678
(32)【優先日】2015-10-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2015-0150249
(32)【優先日】2015-10-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2015-0157626
(32)【優先日】2015-11-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】514112488
【氏名又は名称】エルジー ハウスホールド アンド ヘルスケア リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【氏名又は名称】阿部 達彦
(74)【代理人】
【識別番号】100122161
【氏名又は名称】渡部 崇
(72)【発明者】
【氏名】チョン-フン・キム
(72)【発明者】
【氏名】チェ-ヒョン・アン
(72)【発明者】
【氏名】クァン-ホ・オ
(72)【発明者】
【氏名】イン-ホ・イ
(72)【発明者】
【氏名】ウ-ソン・シム
【審査官】駒木 亮一
(56)【参考文献】
【文献】特表2018-532712(JP,A)
【文献】特開2015-101566(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2004/0219113(US,A1)
【文献】特開2005-002009(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 8/00-8/99
A61Q 1/00-90/00
A61K6/00-6/90
A61K 9/00-9/72
A61K47/00-47/69
A61K38/00-38/58
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
歯牙または歯牙周辺組織と接する薬物層と、前記薬物層の一面に配置される支持層と、を含む歯牙または歯牙周辺部付着用パッチであって、
前記支持層は、溶解パラメータδ1が5~22(MPa)
1/2である高分子と、溶解パラメータδ2が23.5~40(MPa)
1/2である高分子と、を含み、
前記溶解パラメータδ1が5~22(MPa)
1/2
である高分子が、セルロースアセテートフタレート、セラック、ポリビニルアセテート、エチルセルロース、ポリメチルメタクリレート、メタクリロイルエチルベタイン/メタクリレート共重合体、メタクリル酸共重合体及びアミノアルキルメタクリレート共重合体からなる群より選択されたいずれか一種以上
であり、
前記溶解パラメータδ2が23.5~40(MPa)
1/2
である高分子が、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリビニルピロリドンまたはこれらの混合物であり、
前記溶解パラメータδ1が5~22(MPa)
1/2
である高分子と、前記溶解パラメータδ2が23.5~40(MPa)
1/2
である高分子との混合割合が、重量比で1:05~2であり、
前記支持層が、歯磨きによって分解されて脱落することを特徴とする歯牙または歯牙周辺部付着用パッチ。
【請求項2】
前記薬物層が、歯牙美白成分、しみる歯の予防または改善用の成分、虫歯予防成分及び歯周疾患予防成分からなる群より選択されたいずれか一つ以上を含むことを特徴とする請求項1に記載のパッチ。
【請求項3】
前記歯牙美白成分が、過酸化水素、過酸化尿素、過酸化カルシウム、過炭酸ナトリウム、過ほう酸ナトリウム、過酸化ピロリン酸ナトリウム及びこれらの混合物からなる群より選択されたいずれか一種以上の過酸化物;ピロリン酸ナトリウム、酸性ピロリン酸ナトリウム、メタリン酸ナトリウム、ポリリン酸ナトリウム、ピロリン酸ナトリウムカリウム、ピロリン酸カリウム、ウルトラリン酸塩であるウルトラメタリン酸塩及び酸性ポリリン酸塩からなる群より選択されたいずれか一種以上のポリリン酸塩;またはこれらの混合物であることを特徴とする請求項
2に記載のパッチ。
【請求項4】
しみる歯または虫歯の予防または改善用成分が、塩化ストロンチウム、炭酸カルシウム、クエン酸ナトリウム、フッ化ナトリウム、シリカ、ヒドロキシアパタイト、窒酸カリウム及びリン酸カリウムからなる群より選択されたいずれか一種以上であることを特徴とする請求項
2に記載のパッチ。
【請求項5】
前記歯周疾患予防成分が、竹塩、トウモロコシ不けん化定量抽出物、ポリクレスレン、テトラサイクリン、グルコン酸クロルヘキシジン、塩化セチルピリジウム、サンギナリン、トリクロサン、厚朴、センテラアジアティカ、カモマイル、ラタニア、没薬、桑白皮、升麻、緑茶、甘草、コガネバナ、蒲公英及びスイカズラからなる群より選択されたいずれか一つ以上であることを特徴とする請求項
2に記載のパッチ。
【請求項6】
前記支持層には、破断誘導部が形成されたことを特徴とする請求項
1に記載の歯牙または歯牙周辺部付着用パッチ。
【請求項7】
前記破断誘導部が、凹凸または気泡を含むことを特徴とする請求項
6に記載のパッチ。
【請求項8】
前記凹凸は、凹部の深さが凸部を基準で0μm超過30μm以下であることを特徴とする請求項
7に記載のパッチ。
【請求項9】
前記凹凸は、凹部の幅が0mm超過0.1mm以下であることを特徴とする請求項
7に記載のパッチ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、歯磨きで除去可能な歯牙付着用パッチに関し、より詳しくは、薬物層を支持している支持層を取り外すことなく歯磨きのような外部の物理力だけで簡単に除去可能な歯牙付着用パッチに関する。
【0002】
本出願は、2015年10月6日出願の韓国特許出願第10-2015-0140104号、2015年10月21日出願の韓国特許出願第10-2015-0146678号、2015年10月28日出願の韓国特許出願第10-2015-0150249号及び2015年11月10日出願の韓国特許出願第10-2015-0157626号に基づく優先権を主張し、該当出願の明細書及び図面に開示された内容は、すべて本出願に援用される。
【背景技術】
【0003】
歯牙の美白などのような施術は過去には主に歯科病院で行われてきたが、歯科施術は煩わしく、費用面でも相当に高価であることから、最近は簡便に使用可能な製品の開発が盛んである。
【0004】
歯牙美白のための製品として、歯磨き粉、マウスリンス、チューインガム、マウストレイ、歯牙塗布用ゲル、口腔用パッチなどがあるが、使用の便利性からパッチ形態の製品が最もよく用いられている。
【0005】
通常、歯牙付着用パッチは、歯牙美白用薬物、しみる歯の予防または改善用薬物など、その使用目的による薬物を含んでいる薬物層と、前記薬物成分を選択的に歯牙に伝達する支持層と、を含む構造を有する。
【0006】
韓国登録特許第10-0458337号は、パッチが含む薬物成分が歯牙のみに選択的に伝達されるように前記支持層を水不溶性で製造することを提案している。しかし、このような水不溶性支持層を含むパッチは、製品使用後に残っている支持層を取り外さなくてはならない手間がかかる。また、取り外すことなく歯磨きだけで除去する場合、分解されないフィルムの固まりが歯ブラシに絡みついてしまい、歯ブラシからの除去が困難であった。なお、これを改善した製品として、パッチの付着後に口腔内で溶解される製品が開発されたが、薬物成分が歯牙に選択的に伝達されず、唾液と混合されてしまい、目的とする薬効が発現しないという問題が発生した。そして、効能物質を摂取してしまうのような問題があり、歯牙接触部ではなく外郭層から溶け出しながら外部層に含まれた薬物が歯牙に適切に供給されないという問題がある。
【0007】
使用後に取り外す方式は、歯牙とパッチの接着力によって残余物が残る場合が多く、パッチの引張力によって取り外す過程でパッチが切れてしまう場合もある。
【0008】
本発明の発明者は、パッチを歯磨きのような簡単な方法で容易に除去できる方案についての研究結果、本発明を完成するに至った。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、使用後の廃棄物が発生せず、簡単に歯磨きだけで除去できる簡便な歯牙または歯牙周辺部付着用パッチを提供することを目的とする。
【0010】
また、使用中には水不溶性高分子によって薬物が外部へ放出することを防止してターゲット部位に薬物の適切な供給が可能となり、時間の経過によって水溶性高分子が唾液を吸収することで支持層に形成された高分子間の結合を緩め、歯磨きのような物理的除去方法によって容易に除去できるパッチを提供することを他の目的とする。
【0011】
また、本発明の上記問題点を解決し、歯磨きだけで歯牙の表面から容易に除去可能な歯牙または歯牙周辺部付着用パッチを提供することを他の目的とする。
【0012】
さらに、除去能力に特に優れており、分解された粒子の大きさが小さくて異物感なく優れた使用感を提供でき、歯磨きで容易に分解または除去可能な歯牙または歯牙周辺部付着用パッチを提供することを他の目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記の課題を達成するため、本発明は、歯牙部付着用パッチに含まれた薬物が選択的に歯牙の表面のみに移動するようにし、パッチの形態を一定に維持する役割を果たす歯牙または歯牙付着用パッチの支持層を使用後に除去することが煩わしい点を認識し、歯磨きだけで簡便に除去できる方案を研究した結果、本発明を完成した。
【0014】
本発明の発明者は、多数回の実験結果、使用後に測定した引張強度の変化によって歯牙の表面に付着したパッチの除去能力が変わることを確認した。
【0015】
即ち、歯牙または歯牙周辺部付着用パッチの薬物層に含まれた薬物が、歯牙の表面へ放出した後、歯牙の表面に残っている支持層の引張強度を調節することで、手で取り離す必要なく歯磨きだけで支持層を除去できることを確認した。
【0016】
本発明の一実施例は、薬効成分を含む薬物層及び前記薬物層の一面に位置し、水分を吸収して水分吸収前に比べて引張強度が50%以上減少する支持層を含む歯牙または歯牙周辺部付着用パッチを提供する。
【0017】
前記歯牙または歯牙周辺部付着用パッチは、歯磨きによって分解されて脱落できる。
【0018】
本発明の一実施例によるパッチの支持層は、水分を充分吸収した状態で測定した支持層の引張強度が、水分吸収前に比べて引張強度が50%以上減少する。水分を充分吸収した状態は、水分を持続的に供給しても実質的に水分吸収率に変化がない程度を意味する。空気中に蒸発する程度は、実質的に水分吸収率に変化を及ぼさないことと理解できる。
【0019】
前記支持層の引張強度は、水分吸収前に比べて引張強度が60%以上減少し、望ましくは、60%以上95%以下減少し得る。
【0020】
望ましくは、本発明の支持層の引張強度は、10秒間の水分吸収率に変化がない程度に水分を充分吸収した状態で測定した前記パッチの支持層の引張強度が、水分を吸収する前に比べて50%以上減少し得る。具体的に、支持層の引張強度は、温度25℃の環境で0.1mm/s速度のZwick万能試験機、DE/1494で測定した結果、水分吸収前に比べて50%以上減少し得る。
【0021】
本発明の一実施例によれば、引張強度が水分と接触する前に比べて50%以上減少する場合、パッチ支持層の分解及び脱落が容易となる。本発明の他の実施例で引張強度が50%以上減少する場合、歯磨きによって支持層が分解されて脱落する程度が優秀であると観察される。
【0022】
本発明の前記薬物層と支持層とを含むパッチは、歯牙に付着して使用できる。 また、他の実施例では、パッチの使用目的によって歯牙と歯牙周辺組織に付着して用い得る。本明細書で用いられた「歯牙周辺部または周辺組織」は、歯牙に接している歯ぐき部分及び歯牙から多少離れていても、歯磨きをする過程で歯ブラシと接触し得る口腔内の部分を全て含み得る。
【0023】
前記「分解」とは、一つの大きい欠片がそれよりも小さい欠片に分けられるか、または割れることを意味する。本発明において分解された欠片は一定の大きさを有し得、外部からの力や圧力によって多様な大きさに分けられ得る。
【0024】
前記「脱落」とは、歯牙の表面に付着した状態とは反対に、一部でも歯牙の表面から離脱した状態を意味し、歯牙の表面に加えられる外部の力によってまたは時間が経つにつれて自然にパッチの一部が離れる状態を意味する。
【0025】
本明細書で用いられた「歯磨き」とは、ブラッシングともいい、歯面と垂直にまたは歯面と平行に力を加えて歯面に残っている残余物や歯牙の間に存在する異物を除去する過程を意味する。
【0026】
前記「引張強度」とは、材料に力を加えて引っ張れば、次第に延び、最終的に材料が切れるか破断され、それまで材料に加えられた値を意味する。本明細書で用いられた引張強度とは、縦長、横長が各々1cm、7cmである歯牙付着用パッチを長手方向へ引っ張って最終的にパッチが破断するまでの力を意味する。
【0027】
本発明の発明者は、特に本発明の目的を達成するために必要な引張強度を、支持層に含まれる水溶性高分子と水不溶性高分子との組合せによって達成できることを確認した。
【0028】
本発明の歯牙付着用パッチは、薬効成分を含む薬物層及び前記薬物層が歯牙の表面と付着する面の反対側に位置する支持層を含み得る。
【0029】
多くのパッチ剤形の薬物伝達システム(drug delivery system)、特に、歯牙付着用パッチは、目的の部位に特異的に薬物を伝達可能にするために支持層を備えている。通常、前記支持層は、水分や唾液に溶解されないポリマーを用いることで歯牙に付着しても形態を維持するようにしている。そして、歯牙への付着時、薬効成分が溶出して歯牙に伝達されるときも、歯牙方向のみへ溶出するようにする。即ち、選択的に歯牙方向へ薬物が伝達され、薬物が唾液や水と希釈されないようにするために水不透過性または水不溶性に製造されることが一般的であった。
【0030】
このような水不透過性または水不溶性の支持層は、パッチを用いた後に歯牙の表面から取り外さなければならなかった。
【0031】
使用後に支持層を除去した後、歯牙の表面に残っている残余物を除去するために歯磨きをすべきであり、本発明の発明者は、前記支持層の引張強度を調節することで、支持層の除去なく歯磨きのみで歯牙の表面に薬物を伝達し、かつ便利に歯牙の表面から除去できる方案を見出した。
【0032】
即ち、業界で、いままで水不溶性としてのみ製作されて使っていた薬物支持層を取り外すことなく、引張強度を調節することで歯磨きによって分解できるように製作するに至ったのである。
【0033】
前記薬物層は、歯牙に伝達される薬物を含むことができる。前記薬物は、望ましくは、歯牙の表面に伝達され、前記薬物の例としては、歯牙美白成分、しみる歯の予防または改善用の成分、歯周炎の予防または改善用成分、歯肉炎の予防または改善用成分または虫歯予防成分を含み得る。
【0034】
前記歯牙美白成分としては、過酸化物、ポリリン酸塩、酵素、塩素系漂白物が挙げられる。過酸化物としては、過酸化水素(hydrogen peroxide)、過酸化尿素(carbamide peroxide)、過酸化カルシウム(calcium peroxide)、過炭酸ナトリウム(sodium percarbonate)、過ほう酸ナトリウム(sodium perborate)、過酸化ピロリン酸ナトリウム(tetrasodiumpyrophosphate peroxidate)及びこれらの混合物からなる群より選択して用い得る。リン酸塩及び酵素は、エナメル付着層に含まれた主要ステイン(stain)の除去に効果的である。ポリリン酸塩としては、例えば、ピロリン酸ナトリウム(tetrasodium pyrophosphate,TSPP)、酸性ピロリン酸ナトリウム(sodium acid pyrophosphate,SAPP)、メタリン酸ナトリウム(sodium hexametaphosphate,SHMP)、ポリリン酸ナトリウム(sodium tripolyphosphate,STP)、ピロリン酸ナトリウムカリウム(sodium potassium tripolyphosphate,SKTP)、ピロリン酸カリウム(tetrapotassium pyrophosphate,TKPP)、そして、ウルトラリン酸塩であるウルトラメタリン酸塩(acidic sodium meta-polyphosphate)及び酸性ポリリン酸塩(acidic sodium polyphosphate)からなる群より一種または二種以上を用い得る。通常、ポリリン酸塩は、歯磨き粉における歯石制御(tartar control)剤であって、歯石生成の抑制及び歯石除去に効果的であると知られている。また、これらは、金属のよいキレート剤であって、歯牙のステインのうち、飲食物や、作業環境中における鉄、カルシウム、マグネシウムなどの金属によって生成された歯牙ステインを効果的に除去できることから、美白効果の向上に寄与する。本発明による製剤において、このようなポリリン酸塩を用いる場合、ひどくない外因性汚染(light extrinsic stain)の除去による美白効果の向上のみならず、歯牙と縮合リン酸塩との接触時間を延長させることから、歯石生成の抑制及び歯石除去にも効果を奏すると期待される。塩素系漂白物としては、亜塩素酸ナトリウム、次亜塩素酸ナトリウムなどが挙げられる。その他、パパイン、ビタミンE及び重曹なども、美白剤として使用可能である。
【0035】
また他の実施例で、しみる歯または虫歯の予防または改善成分としては、塩化ストロンチウム、炭酸カルシウム、クエン酸ナトリウム、フッ化ナトリウム、シリカ、ヒドロキシアパタイト、窒酸カリウム及びリン酸カリウムなどを用い得る。
【0036】
さらに他の実施例で、薬効成分は、歯周疾患予防成分を含み得、歯周疾患は、臨床的に、歯周炎、歯肉炎症と出血、歯周ポケットの形成及び歯槽骨の破壊などによって歯牙の喪失をもたらすことを意味する。歯周疾患の発生を予防するために、前記薬効層は、竹塩、トウモロコシ不けん化定量抽出物、ポリクレスレン、テトラサイクリン(Tetracycline)、グルコン酸クロルヘキシジン(Chlorhexidine gluconate)、塩化セチルピリジウム(Cetylpyridium chloride)、サンギナリン(Sanguinarine)、トリクロサン(Triclosan)などを含み得、厚朴、センテラアジアティカ、カモマイル、ラタニア、没薬、桑白皮、升麻、緑茶、甘草、コガネバナ、蒲公英及びスイカズラなどのような生薬抽出物も含み得る。
【0037】
薬物層は、乾燥状態では接着力がなくか、強度が弱く、美白剤の作用希望部位で少量の水によって水和しながら接着力が生じるか、水和しながら美白剤の放出が始まる乾式型(dry type)であるが、自体的な粘度によって歯牙に付着可能なゲル状としても使用可能である。前記薬物層で用いられる高分子は、親水性または少なくとも部分的に親水性を持たさなくてはならない。主に用いられる高分子には、ポリアルキルビニルエーテル-マレイン酸共重合体(PVM/MA copolymer;Gantrez AN 119,AN 139,S-97)、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸、ポロキサマー407(Poloxamer 407;Pluronic,poly(ethylene oxide)-poly(propylene oxide)-poly(ethylene oxide)triblock copolymer)、ポリエチレンオキシド(Polyox)、ポリビニルピロリドン-ビニルアセテート共重合体(PVP/VA copolymer;Luviskol VA,Plasdone S PVP/VA)、ポリビニルピロリドン(PVP;K-15~K-120)、ポリクオタニウム-11(polyquaternium-11,Gafquat 755N)、ポリクオタニウム-39(polyquaternium-39,Merquat plus 3330)、カルボキシポリメチレン(Carbomer,Carbopol)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ゼラチン(gelatin)、アルギン酸(sodium alginate)単独またはこれらの混合物を用い得る。これら高分子の溶媒としては、主に、水、エタノール単独またはこれらの混合物、そして他の有機溶媒、例えば、エチルアセテート、メチレンクロライド、イソプロピルアルコール、アセトニトリルを単独でまたはこれらの混合物を、割合を調節して用いることもできる。
【0038】
歯牙付着物は、歯牙に直接付着して歯牙の屈曲に沿って模様が作られるべきであるため、充分柔軟でなければならない。ポリマーによってはこのような柔軟性が足りないものもあるので、適切な可塑剤を添加してもよい。適切な可塑剤には、ポリマーの種類とその処方によって相違するが、通常使用されるポリプロピレングリコール(polypropylene glycol)、グリセリン(glycerin)またはポリエチレングリコール(polyethylene glycol)が挙げられ、これらのいずれも使用することができる。
【0039】
また、薬物層には、過酸化物の経時安定性を向上させる目的から、キレート剤、例えば、EDTAやクエン酸ナトリウムなどを添加し得る。
【0040】
本明細書で用いられた「薬物層」という用語は、歯牙付着用パッチの目的が達成できる薬効成分を含んでいる層を意味する。例えば、歯牙美白用パッチは、歯牙美白成分(望ましくは、過酸化水素、過酸化ナトリウムなど)を含む層を意味し、しみる歯防止パッチは、しみる歯の防止成分である窒酸カリウム、塩化カリウムなどを含む層を意味する。
【0041】
本明細書で用いられた「支持層」とは、前記薬物層が歯牙以外の口腔内の他の皮膚と接触することを防止する役割を果たす。
【0042】
本発明の一実施例で、前記支持層は、通常口腔用フィルムに用いられる水不溶性高分子を含み得、例えば、セルロースアセテートフタレート、セラック(Shellac)、ポリビニルアセテート、エチルセルロース、ポリメチルメタクリレート、メタクリロイルエチルベタイン/メタクリレート共重合体(methacryloylethyl betain/methacrylate copolymer;Yukaformer,Mitsubishi社製)、メタクリル酸共重合体(methacrylic acid copolymer;Eudragit L 100,Eudragit L 12,5,Eudragit L 100-55,Eudragit L 30D-55)及びアミノアルキルメタクリレート共重合体(aminoalkyl methacrylate copolymer;Eudragit E 100,Eudragit E 12,5,Eudragit RL 100,Eudragit RL 30D)を一部用い得る。合わせて、本発明の歯牙付着用パッチの支持層は、水溶性高分子を含む。本明細書で用いられた水溶性高分子は、水に溶解または膨潤(swelling)するか、または小さい粒子に分散できる高分子を意味する。親水性高分子も、本発明の水溶性高分子と同一の意味に用いられ得る。
【0043】
前記水溶性高分子は、薬物層に使用可能な水溶性高分子を含み得、ポリアルキルビニルエーテル-マレイン酸共重合体(PVM/MA copolymer;Gantrez AN 119,AN 139,S-97)、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸、ポロキサマー407(Poloxamer 407;Pluronic,poly(ethylene oxide)-poly(propylene oxide)-poly(ethylene oxide)triblock copolymer)、ポリエチレンオキシド(Polyox)、ポリビニルピロリドン-ビニルアセテート共重合体(PVP/VA copolymer;Luviskol VA,Plasdone S PVP/VA)、ポリビニルピロリドン(PVP;K-15~K-120)、ポリクオタニウム-11(polyquaternium-11,Gafquat 755N)、ポリクオタニウム-39(polyquaternium-39,Merquat plus 3330)、カルボキシポリメチレン(Carbomer,Carbopol)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ゼラチン(gelatin)及びアルギン酸(sodium alginate)などを用い得、望ましくは、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリビニルピロリドンまたはこれらの混合物を用い得る。
【0044】
前記支持層は、薬物層と同様の理由で多様な可塑剤(plasticizer)を添加して使用可能である。前述の可塑剤であるプロピレングリコール、グリセリン、ポリエチレングリコールの外にも使用する溶媒に応じてさらに多い種類の可塑剤を用いることができ、ヒマシ油(castor oil)、硬化ヒマシ油(hydrogenated castor oil)を用いることもできる。
【0045】
溶媒としては主に、水、エタノール単独またはこれらの混合物、そして他の有機溶媒、例えば、エチルアセテート、メチレンクロリド、イソプロピルアルコール、アセトニトリル単独またはこれらの混合物を、割合を調節して用い得る。
【0046】
本発明の実施例による、支持層に含まれる水溶性高分子と水不溶性高分子との含量は、支持層に含まれる水溶性高分子と水不溶性高分子との重量比が1:4~4:1であり得、望ましくは、1.5:4~3.5:4の重量比で含まれ得る。
【0047】
水溶性高分子と水不溶性高分子とが前記のような重量比であるとき、本発明のパッチ支持層は、安定的に薬物層を支持しながらも水分吸収後、歯磨きによって簡便に除去できる。
【0048】
水溶性高分子の含量が過度な場合、支持層の役割をまともに果たせず、パッチの形態固定力が弱くなるという短所があり、水溶性高分子の含量が少ない場合、水分吸収後における引張強度の変化率が少なくて、パッチのブラッシングによる分解程度が弱くなり、本発明の目的を果たすことが困難となり得る。
【0049】
本発明の歯牙付着用パッチは、薬物層及び支持層に加え、目的によって選択的に薬物層と支持層との間または各々の外郭にさらなる層(layer)を備え得る。
【0050】
本発明の一実施例によれば、本発明の歯牙または歯牙周辺部付着用パッチは、使用後に別に支持層を取り外さなくても、歯磨きだけで歯牙から容易に除去できる。
【0051】
本発明の歯牙付着用パッチは、使用後のブラッシングだけで容易に除去することができる。
【0052】
本明細書で用いられた「パッチ」という用語は、特定成分を入れた付着型の剤形を意味し、パッチの形態または構造は特に制限されない。
【0053】
また、本発明による歯牙付着用パッチは、米国登録特許第6,689,344号、第6,682,721号、第6,780,401号などに記載の方法によって製造できる。
【0054】
また、本発明の他の実施例によれば、口腔内に付着するパッチの支持層が時間の経過につれて静的接触角の変化を有する場合、使用中に薬物が外部へ放出することを防止することでターゲット部位に薬物の適切な供給が可能となることを確認した。また、時間の経過につれ、支持層の唾液との接触部位が唾液を吸収して支持層に形成された高分子間の結合を緩めることで、歯磨きのような物理的除去方法で容易に除去できることを確認した。
【0055】
本発明の発明者は、パッチの支持層が本発明の目的を果たすためには接触角の変化率が重要であることを確認した。特に、本発明の発明者は、静的接触角の変化率が特定範囲であるとき、歯牙付着用パッチの支持層が有する固有の目的が果たされ、歯磨きで容易に除去できることを確認した。
【0056】
「接触角」とは、液体と気体とが固体の表面上で熱力学的に平衡を成すときにおける角をいう。本発明で用いられた接触角(contact angle)とは、固体表面の濡れ性(wettability)を示す尺度であって、多くは固着した液滴(sessile drop)によって測定され、低い接触角は高い濡れ性を示し、高い接触角は低い濡れ性を示す。単位は、「゜(度)」を用いる。
【0057】
接触角の種類には、静的接触角(Static Contact angle)と動的接触角(Dynamic Contact angle)とがあり、本明細書で用いられた接触角は、静的接触角を意味する。
【0058】
本発明の一実施例によれば、歯牙または歯牙周辺組織に付着する薬物層と、前記薬物層の一面に配置され、経時による静的接触角の変化を有する支持層と、を含む歯牙または歯牙周辺部付着用パッチを提供する。
【0059】
望ましくは、パッチの支持層に水を落とした後、10秒から300秒まで変化した静的接触角の変化が13゜~50゜範囲であるとき、歯磨きのような外部の物理力によってパッチが容易に分解されて除去される。
【0060】
前記パッチの支持層が有する静的接触角の変化は、20℃の温度で測定した 10~300秒間の静的接触角の変化が、13゜~50゜であり、望ましくは、湿度は通常の実験室条件(約20℃)の湿度であり得る。
【0061】
本発明の発明者は、前記パッチの支持層が前記範囲の接触角を有するとき、除去能力が優秀であり、歯磨き後の異物感が少なくて優れた使用感を提供できるという事実を長い研究結果、確認した。
【0062】
前記パッチは、口腔内で唾液や水分によって溶解されず、歯磨きで分解されて除去できる。
【0063】
前記パッチの支持層に水を落とした後、10秒~300秒間に変化した静的接触角の変化が13゜~50゜の範囲を有するパッチの「分解」とは、一つの大きい欠片がそれよりも小さい欠片に分けられるか、または割れることを意味する。本発明において分解された欠片は一定の大きさを有し得、外部からの力や圧力によって多様な大きさに分けられ得る。多くの部分に割れるという意味を有する単語であれば、本発明における「分解」と同一の範囲に含まれる。
【0064】
例えば、実質的に分解されたパッチの支持層は、250gの荷重で1分あたり往復90回の速度で3分間ブラッシングして蒸溜水で洗浄しながら洗浄液を集めて確認した結果、網目の大きさが1mmであるメッシュで濾した後、残余物を乾燥して確認した重さが全体重さに対して5重量%未満に過ぎず、望ましくは4.5重量%、より望ましくは4重量%未満に過ぎない。
【0065】
本発明の他の実施例で、歯牙または歯牙周辺組織と接触する薬物層の一面に配置される支持層は、前記支持層に含まれる高分子の溶解パラメータによって支持層の特性に影響を及ぼすということを確認した。
【0066】
具体的に、パッチの支持層が歯磨きのような外部の物理力によって分解されるためには、支持層に含まれる支持層形成高分子が一定な範囲の溶解パラメータ値を有することが重要であることを長い研究結果、確認した。
【0067】
前記支持層は、溶解パラメータδ1が5~22(MPa)1/2である高分子と、溶解パラメータδ2が23.5~40(MPa)1/2である高分子と、を共に含んで形成できる。
【0068】
本発明の発明者は、前記支持層が使用中には薬物の外部への放出を防止してターゲット部位に薬物の適切な供給が可能となり、時間の経過によって支持層の唾液と接触する部位が唾液を吸収することで、歯磨きのような物理的除去方法によって容易に除去できることを確認した。支持層に形成された高分子間の結合を緩めて前記支持層を分解することに考えられるが、必ずしもこのような理論的背景に限定されて解釈されることではない。
【0069】
本明細書で用いられた「溶解パラメータ(Solubility Parameter,δ)」とは、溶解性を数値で表す溶解性の一つの指標を意味し、分子間の凝集エネルギー(cohesive energy)をその分子体積で割った値の平方根であり、下記の数式1で表れる。単位は、(MPa)1/2である。
[数1]
δ=(E/V)1/2
【0070】
前記数式1において、Eは、分子間の凝集エネルギーであり、Vは、分子体積である。
【0071】
本明細書の溶解パラメータは、ハンセン溶解パラメータに基づいて計算された値を用いて表す[参照:Handbook of Solubility Parameters and other cohesion parameters,A.Barton ed.,CRC Press,Boca Raton Florida,1985]。
【0072】
本発明の発明者は、前記歯牙付着用パッチの支持層は、溶解パラメータδ1が5~22(MPa)1/2である高分子及び溶解パラメータδ2が23.5~40(MPa)1/2である高分子を共に含んで形成されるとき、歯磨きによる分解力が優秀であり、歯磨き後の異物感が少ないことから、優れた使用感を提供できるという事実を長い研究結果、確認した。
【0073】
本発明の一実施例で、前記支持層の溶解パラメータδ1が5以上22(MPa)1/2未満である高分子は、セルロースアセテートフタレート、セラック(Shellac)、ポリビニルアセテート、エチルセルロース、ポリメチルメタクリレート、メタクリロイルエチルベタイン/メタクリレート共重合体(methacryloylethyl betain/methacrylate copolymer;Yukaformer,Mitsubishi社製)、メタクリル酸共重合体(methacrylic acid copolymer;Eudragit L 100,Eudragit L 12,5,Eudragit L 100-55,Eudragit L 30D-55)及びアミノアルキルメタクリレート共重合体(aminoalkyl methacrylate copolymer;Eudragit E 100,Eudragit E 12,5,Eudragit RL 100,Eudragit RL 30D)を用い得る。
【0074】
望ましくは、前記溶解パラメータδ1が5~22(MPa)1/2である高分子には、本発明の目的を果たすためにエチルセルロースを用い得る。
【0075】
本発明の歯磨きで分解できる歯牙付着用パッチの支持層は、溶解パラメータδ1が5~22(MPa)1/2である高分子と、前記溶解パラメータδ2が23.5~40(MPa)1/2である高分子と、を共に用いる。前記溶解パラメータδ2が23.5~40(MPa)1/2である高分子は、ポリアルキルビニルエーテル-マレイン酸共重合体(PVM/MA copolymer;Gantrez AN 119,AN 139,S-97)、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸、ポロキサマー407(Poloxamer 407;Pluronic,poly(ethylene oxide)-poly(propylene oxide)-poly(ethylene oxide)triblock copolymer)、ポリエチレンオキシド(Polyox)、ポリビニルピロリドン-ビニルアセテート共重合体(PVP/VA copolymer;Luviskol VA,Plasdone S PVP/VA)、ポリビニルピロリドン(PVP;K-15~K-120)、ポリクオタニウム-11(polyquaternium-11,Gafquat 755N)、ポリクオタニウム-39(polyquaternium-39,Merquat plus 3330)、カルボキシポリメチレン(Carbomer,Carbopol)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ゼラチン(gelatin)及びアルギン酸(sodium alginate)などを用い得、望ましくは、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリビニルピロリドンまたはこれらの混合物を用い得る。
【0076】
本発明の実施例による、前記パッチの支持層に含まれる溶解パラメータδ1が5~22(MPa)1/2である高分子と、溶解パラメータδ2が23.5~40(MPa)1/2である高分子との混合割合は、前記支持層に含まれた溶解パラメータδ1が5~22(MPa)1/2である高分子と、溶解パラメータδ2が23.5~40(MPa)1/2である高分子との重量比が、1:0.2~4.0であり、望ましくは1:0.5~2.0であり得る。前記溶解パラメータδ2が23.5~40(MPa)1/2である高分子の重量比が前記範囲未満である場合、溶解パラメータδ1が5~22(MPa)1/2である高分子が歯磨きによって分解されるのに過度な圧力または力を加えなければならず、分解されても粒子サイズが大きくて異物感が相対的に大きく感じられ得、前記範囲を超過する場合、薬物層内に含まれた薬物が支持層へ移されて吸収され得るため、支持層の役割をまともに果たせないという問題が発生し得、パッチの使用中にも唾液を吸収しすぎて構造が崩壊し、支持層としての役割が果たせないことがある。
【0077】
本発明の歯牙付着用パッチは、使用後のブラッシングだけで容易に除去できる。
【0078】
本発明の一実施例による前記パッチ1は、歯牙または歯牙周辺組織と接する薬物層10及び前記薬物層10の一面に配置される支持層20を含み、前記支持層20の一面に破断誘導部30が形成される。
【0079】
前記破断誘導部30は、外部の力によって前記支持層20が予め決められた大きさに分解されるように加工・処理された部分を意味する。破断誘導部30は、前記支持層20が破断する場合であれば、前記破断誘導部30の形態は特に制限されない。例えば、前記破断誘導部30は、前記支持層20の他の部分よりも厚さが薄く、このような部分に沿って前記支持層20が容易に破断されるようにする形態を全て含む。望ましくは、凹凸31のような形態を含み得る。また、他の実施例で、前記破断誘導部30は、前記支持層20が容易に破断するように気泡32が形成され得る。
【0080】
前記破断誘導部30は、前記支持層20の他の部分に比べて厚さが薄いものの、一定の厚さを有する部分を意味し、前記支持層に孔が形成された場合とは区別される。即ち、パッチの支持層に孔が形成され、薬物層10の薬物成分が支持層の孔を通して移動する構造は、本発明の「破断誘導部」の構造に含まれない。
【0081】
支持層に孔が形成され、薬物層10の成分が前記支持層の孔を通して移動する場合、支持層によって放出する薬物の量が増加し、歯牙または歯牙の周辺組織に伝達される薬物の損失があり得る。前記支持層20の本来の目的を果たすための面で、前記破断誘導部は、前記薬物層10の薬物が支持層を横切って移動できない構造を有することが望ましい。
【0082】
本発明の一実施例によって前記破断誘導部30が気泡32を含み得る。前記凹凸は、凹部311の深さが凸部を基準で0μm超過30μm以下の深さを有し得る。
【0083】
前記破断誘導部30によって分解された欠片は、望ましくは横縦の長さが1mm程度の大きさを有し得る。
【0084】
本明細書にて用いられた「破断」という用語は、前記支持層が二つ以上の部分に切り離されることを意味し、本発明のパッチは、前記支持層20に形成された破断誘導部30に沿って容易に破断できる。本明細書において前記支持層20が破断するという意味は、支持層20が複数の欠片に分解されることを含む概念として用いられた。
【発明の効果】
【0085】
本発明の歯牙付着用パッチは、歯牙の表面に薬物を選択的に放出しながらも支持層を取り離す必要がない、便利な使用形態の歯牙付着用パッチである。
【0086】
本発明のパッチは、単なるブラッシングだけで分解されて除去できる。
【0087】
本発明のパッチは、目的によって多様な薬物を含むことができる。
【0088】
本発明のパッチは、歯磨きの後に口内に残るパッチの粒度が小くなり、異物感が少なくて優れた使用感を提供することができる。
【0089】
本明細書に添付される次の図面は、本発明の望ましい実施例を例示するものであり、発明の詳細な説明とともに本発明の技術的な思想をさらに理解させる役割をするため、本発明は図面に記載された事項だけに限定されて解釈されてはならない。
【図面の簡単な説明】
【0090】
【
図1】本発明の比較例1及び実施例1~4の除去能力評価アンケートの回答指数を示したグラフでである。
【
図2】本発明の歯牙付着用パッチ1を例示的に示した図である。
図2の(a)に例示的に示したように、薬物層10と支持層20とを含むパッチであってもよく、
図2の(b)に示したように、薬物層10と支持層20との間に目的によって他の層を別に備えてもよい。
【
図3】本発明の比較例3及び実施例5~8の除去能力を評価した結果を示したグラフである。
【
図4】本発明の比較例5及び実施例9~12の除去能力を評価した結果を示したグラフである。
【
図5】本発明の比較例7及び実施例13、14の除去能力を評価した結果を示したグラフである。
【
図6】本発明の破断誘導部30を含むパッチ1を例示的に示した図である。
【
図7】本発明の破断誘導部30を含むパッチ1であって、破断誘導部30が凹凸31を含む実施例を例示的に示した図である。
【
図8】本発明の破断誘導部30を含むパッチ1であって、破断誘導部30が気泡32を含む実施例を例示的に示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0091】
以下、本発明を具体的な実施例を挙げて説明する。しかし、本発明による実施例は他の多くの形態に変形可能であり、本発明の範囲が後述する実施例に限定されると解釈されてはならない。本発明の実施例は、本発明の具体的な理解を助けるために例示的に提供されるものである。
【0092】
[製造例1]
<歯牙美白用パッチの製造>
下記の表1の組成を有する比較例の歯牙美白用パッチ及び下記の表2の組成有する実施例の歯牙美白用パッチを製造した。
【0093】
【0094】
【0095】
前記表1の比較例1は、支持層に水溶性高分子を含まない、通常の不水溶性支持体を含む歯牙付着用美白パッチを製造するための組成であり、比較例2は、支持層に水溶性高分子のみを含む歯牙付着用美白パッチを製造するための組成である。
【0096】
前記表1及び表2の含量を有する歯牙美白用パッチを製造した。前記組成をもって、韓国登録特許第10-0816250号の製造例1のbacking 層及びdrug reservoir層を製造する方法によって製造した。
【0097】
<放出試験>
イ)操作
試験管に塩化ナトリウム0.9%溶液500mLを注ぎ、薬物放出試験時の試験液の温度を32±0.5℃に維持した。吸収、妨害、反応することなくシンカー(sinker)として使用が可能なディスクの上側面に、歯牙美白付着剤を歯牙付着面が外側に向けるように両面テープで固定した後、検体が付着された面が上方に向けるように試験管に入れ、この瞬間から薬物放出時間を計算した。検体を付着したディスクは、試験管の底とパドルの羽根(blade)と平行にする。パドルの羽根は、検体の面との距離を25±2mmにし、1分あたり回転数(rpm)を25にした。検液の採取時には、一定位置(パドル羽根の上側と試験液面との中間位置であって、試験管の壁面から1cm離れた位置)で試験開始30分後に検液を100mL取った。
【0098】
ロ)含量測定
a.試薬
- モリブデン酸アンモニウム溶液
モリブデン酸アンモニウム(Ammonium Molybdate)5.3gを水に入れ、50mLにする。
- チオ硫酸ナトリウム液
チオ硫酸ナトリウム(五水和物)12.41gを正確に測定した後、水に溶かして1Lにし、0.005Nのチオ硫酸ナトリウム液を製造する。
【0099】
b.濃度測定方法
- 放出試験で取ったサンプル100mLに6N-HCl 5mL、約2gのヨード化カリウム、一滴のモリブデン酸アンモニウム溶液を入れて暗い所で約10分間置く。これにでん粉指示薬3mLを入れて遊離したヨードを0.005Nのチオ硫酸ナトリウム液で滴定する。
0.005Nのチオ硫酸ナトリウム液1mL=0.08505mg H2O2
【0100】
ハ)結果
製品全体における過酸化水素の量と放出試験によって計算された過酸化水素の量とを比較して放出率を計算した。
【0101】
【0102】
前記表3から確認できるように、実施例1~4の歯牙付着用パッチは、支持層に水溶性高分子を含まない比較例1及び水不溶性高分子を含まない比較例 2にそれぞれ類似な過酸化水素の放出率を有することが分かる。
【0103】
<逆放出試験>
イ)操作
試験管に塩化ナトリウム0.9%溶液500mLを注ぎ、薬物放出試験時の試験液の温度を32±0.5℃に維持した。吸収、妨害、反応することなくシンカーとして使用が可能なディスクの上側面に、歯牙美白付着剤を歯牙付着面がディスクに向けるように両面テープで固定した後、検体が付着された面が上方に向けるように試験管に入れ、この瞬間から薬物放出時間を計算した。検体を付着したディスクは、試験管の底及びパドルの羽根と平行にした。パドルの羽根は、検体の面との距離を25±2mmにし、1分あたり回転数(rpm)を25にした。検液の採取時には、一定位置(パドル羽根の上側と試験液面との中間位置であって、試験管の壁面から1cm離れた位置)で試験開始30分後に検液を100mL取った。
【0104】
ロ)含量測定
a.試薬
- モリブデン酸アンモニウム溶液
モリブデン酸アンモニウム5.3gを水に入れ、50mLにする。
- チオ硫酸ナトリウム液
チオ硫酸ナトリウム(五水和物)12.41gを正確に測定した後、水に溶かして1Lにし、0.005Nのチオ硫酸ナトリウム液を製造する。
【0105】
b.濃度測定方法
- 放出試験で取ったサンプル100mLに6N-HCl 5mL、約2gのヨード化カリウム、一滴のモリブデン酸アンモニウム溶液を入れて暗い所で約10分間置く。これにでん粉指示薬3mLを入れて遊離したヨードを0.005Nのチオ硫酸ナトリウム液で滴定する。
0.005Nのチオ硫酸ナトリウム液1mL=0.8505mg H2O2
【0106】
ハ)結果
製品全体における過酸化水素の量と放出試験によって計算された過酸化水素の量とを比較して放出率を計算した。
【0107】
【0108】
前記表4は、歯牙付着面の反対面に検体を付着した後、薬物の逆放出率を確認したことであって、支持層を通して放出される過酸化水素の含量を確認した結果である。
【0109】
前記表4から確認できるように、水溶性高分子を含まない支持層を備えた比較例1は、薬物層に含まれた歯牙美白成分が支持層を通して放出されなかったことに対し、比較例2は、薬物層の薬物が支持層を通して放出されることが分かる。
【0110】
また、実施例1~4は、比較例1に類似な逆放出率を有することを確認することができ、このような結果から実施例1~4は、歯牙付着用パッチの支持層としての役割に適していることが分かる。
【0111】
<除去能力アンケート>
使用中に解けて消える比較例2を除き、使用後の除去過程が必要な比較例 1及び実施例1~4を対象として除去の便宜性についてのアンケートを行った。30名の回答者は、比較例1及び実施例1~4の各パッチをグループによって15分ずつ付着した後、比較例1または実施例1~4を歯磨きによって除去した。それから、各グループは、製品を替えて使った後、除去の容易性についてのアンケートに回答した。
【0112】
- アンケート回答基準 -
5:除去が非常に便利であり、歯牙残余物がない。
4:除去が便利であるが、残余物が少し残る。
3:除去が便利でなく、残余物が残って不便だ。
2:除去が不便であり、残余物が多く残る。
1:除去が非常に不便であり、残余物が非常に多く残る。
【0113】
図1から確認できるように、支持層としての役割可能性は、比較例1及び実施例1~4が類似であるが、実施例1は、歯磨きだけでは除去しにくいことが分かる。
【0114】
実施例1~4は、除去能力評価で高い点数を受けており、使用者の多くが使用後の歯磨きで除去しやすかったと評価した。
【0115】
<引張強度評価>
評価器機:ZWICK万能試験機(DE/1494、Zwick社製)
評価方法:比較例1、2及び実施例1~4を1cm×7cmで切り、引張強度の測定のためのジグにセットし、0.1mm/sの速度で引張強度を測定した。同一サイズのパッチをジグにさらにセットし、中心部を流れないほどの十分な水分で濡らした後、室温における50%の相対湿度環境で、1分後引張強度を測定し、水分接触前の測定値と比較した。前記十分な水分で濡らしたパッチは、約10秒間の水分吸収率にほとんど変化がなかった。
【0116】
【0117】
前記表5から確認できるように、実施例2及び実施例4は、引張強度の変化率が最大であることと確認されており、実施例1及び3は、実施例2及び4に比べて引張強度の変化率が少なかったが、大体に高い変化率を有することを確認した。
【0118】
このような結果から、引張強度の変化と歯牙に付着したパッチの除去とが相互関連することが分かり、特に、引張強度の変化率が大きい実施例2及び4は、優れた除去能力を示した。
【0119】
<歯磨きによる分解評価>
比較例1及び実施例1~4を2セット準備し、1セットは各々蒸溜水で30分間振って(shaking)支持層のみを残した後に乾燥して重さを測定し、他の1セットは、スライドガラス(slide glass)に付着した後、37℃、85%の湿度環境で30分間保持した後、ブラッシング機(brushing machine)を用いて250gの荷重で1分あたり往復90回の速度で3分間ブラシングした。その後、スライドガラス、ブラッシングチャンバーと歯ブラシを取り外し、蒸溜水で洗浄しながら洗浄液を集めた。このようにして集めた洗浄液を網目1mmのメッシュで濾した後、残余物を乾燥して重さを計り、支持層の全体重さに対する残余物の割合を確認した。
【0120】
その結果、比較例1は残余率が98%以上であったが、引張強度が水分吸収前に比べ50%以上増加した実施例1~4は、1mmのメッシュで濾した後に確認された残余物の乾燥重量が5%未満として確認されたことから、引張強度の変化率に優れた本発明が歯磨きによって容易に分解されて除去できることを確認した。
【0121】
[製造例2]
<歯牙美白用パッチの製造>
下記の表6の組成を有する比較例3、4の歯牙美白用パッチ及び下記の表7の組成を有する実施例5~8の歯牙美白用パッチを製造した。
【0122】
【0123】
【0124】
前記表6及び表7の含量を有する歯牙美白用パッチを製造した。本発明のパッチは、前記組成をもって、韓国登録特許第10-0816250号の製造例1のbacking層及びdrug reservoir層を製造する方法によって製造した。
【0125】
<放出試験>
イ)操作
試験管に塩化ナトリウム0.9%溶液500mLを注ぎ、薬物放出試験時の試験液の温度を32±0.5℃に維持した。吸収、妨害、反応することなくシンカーとして使用が可能なディスクの上側面に、歯牙美白付着剤を歯牙付着面が外側に向けるように両面テープで固定した後、検体が付着された面が上方に向けるように試験管に入れ、この瞬間から薬物放出時間を計算した。検体を付着したディスクは、試験管の底及びパドルの羽根と平行にした。パドルの羽根は、検体の面との距離を25±2mmにし、1分あたり回転数(rpm)を25にした。検液の採取時には、一定位置(パドル羽根の上側と試験液面との中間位置であって、試験管の壁面から1cm離れた位置)で試験開始30分後に検液を100mL取った。
【0126】
ロ)含量測定
a.試薬
- モリブデン酸アンモニウム溶液
モリブデン酸アンモニウム5.3gを水に入れ、50mLにする。
- チオ硫酸ナトリウム液
チオ硫酸ナトリウム(五水和物)12.41gを正確に測定した後、水に溶かして1Lにし、0.005Nのチオ硫酸ナトリウム液を製造する。
【0127】
b.濃度測定方法
放出試験で取ったサンプル100mLに6N-HCl 5mL、約2gのヨード化カリウム、一滴のモリブデン酸アンモニウム溶液を入れて暗い所で約10分間置く。これにでん粉指示薬3mLを入れて遊離したヨードを0.005Nのチオ硫酸ナトリウム液で滴定する。
0.005Nのチオ硫酸ナトリウム液1mL=0.8505mg H2O2
【0128】
製品全体における過酸化水素の量と放出試験によって計算された過酸化水素の量とを比較して放出率を計算した。
【0129】
【0130】
前記表8から確認できるように、比較例と実施例との歯牙付着用パッチは、いずれも過酸化水素の放出率が類似であることが分かる。即ち、本発明のパッチの歯牙美白成分の放出効率は、水不溶性支持層を有するパッチ、溶解性支持層を有するパッチのように優れた放出率を有することが分かる。
【0131】
<逆放出試験>
イ)操作
試験管に塩化ナトリウム0.9%溶液500mLを注ぎ、薬物放出試験時の試験液の温度を32±0.5℃に維持した。吸収、妨害、反応することなくシンカーとして使用が可能なディスクの上側面に、歯牙美白付着剤を歯牙付着面がディスクに向けるように両面テープで固定した後、検体が付着された面が上方に向けるように試験管に入れ、この瞬間から薬物放出時間を計算した。検体を付着したディスクは、試験管の底及びパドルの羽根と平行にした。パドルの羽根は、検体の面との距離を25±2mmにし、1分あたり回転数(rpm)を25にした。検液の採取時には、一定位置(パドル羽根の上側と試験液面との中間位置であって、試験管の壁面から1cm離れた位置)で試験開始30分後に検液を100mL取った。
【0132】
ロ)含量測定
a.試薬
- モリブデン酸アンモニウム溶液
モリブデン酸アンモニウム5.3gを水に入れ、50mLにする。
- チオ硫酸ナトリウム液
チオ硫酸ナトリウム(五水和物)12.41gを正確に測定した後、水に溶かして1Lにし、0.005Nのチオ硫酸ナトリウム液を製造する。
【0133】
b.濃度測定方法
- 放出試験で取ったサンプル100mLに6N-HCl 5mL、約2gのヨード化カリウム、一滴のモリブデン酸アンモニウム溶液を入れて暗い所で約10分間置く。これにでん粉指示薬3mLを入れて遊離したヨードを0.005Nのチオ硫酸ナトリウム液で滴定する。
0.005Nのチオ硫酸ナトリウム液1mL=0.8505mg H2O2
【0134】
製品全体における過酸化水素の量と放出試験によって計算された過酸化水素の量とを比較して放出率を計算した。
【0135】
【0136】
前記表9の比較例4は、支持層に水溶性高分子を含むパッチである。前記比較例4のパッチは、薬物層に含有された過酸化水素がターゲット部位のみに伝達されず、支持層を透過して放出されることを見せる。比較例3と実施例5~8は、逆放出率が著しく低いことが分かる。これは、支持層に用いられた水不溶性高分子によって過酸化水素が支持層を透過して放出されることを遮断することができることを示す。
【0137】
<除去能力アンケート>
使用中に解けて消える比較例4を除き、使用後の除去過程が必要な比較例 3及び実施例5~8を対象として除去の便宜性についてのアンケートを行った。30名の回答者は、比較例3及び実施例5~8の各パッチをグループによって15分ずつ付着した後、比較例3または実施例5~8を歯磨きによって除去した。それから、各グループは、製品を替えて使った後、除去の容易性についてのアンケートに回答した。
【0138】
- アンケート回答基準 -
5:除去が非常に便利であり、歯牙残余物がない。
4:除去が便利であるが、残余物が少し残る。
3:除去が便利でなく、残余物が残って不便だ。
2:除去が不便であり、残余物が多く残る。
1:除去が非常に不便であり、残余物が非常に多く残る。
【0139】
図3から確認できるように、比較例3を歯牙に付着した後15分経過した時点で使用者が歯磨きをする場合、大体除去が不便であるという評価が多く、残余物が残っているという評価が多かった。
【0140】
しかし、実施例5~8の場合、大体4点以上を受けており、除去が便利であるという評価がほとんどであった。
【0141】
比較例3と実施例5~8はいずれも、薬物層に含まれた過酸化水素の逆放出の制御に優れた効果を奏することを確認した。しかし、比較例3は、実施例5~8とは相違に歯牙付着後の歯磨きだけでは除去が容易でないことを確認した。
【0142】
<接触角の評価>
評価器機:FM40 Easy Drop(Kruss社、Germany)
評価方法:器機の実験台の上に比較例3及び4、または実施例5~8を1cm×3cmサイズで切って載置し、その上に水5μLを落とした後、10秒から300秒までの接触角を室温(約20℃)の通常の実験室条件で測定して変化値を算出した。
【0143】
【0144】
前記表10から確認できるように、前記実施例5~8のパッチは、接触角の変化量が比較例3に比べて10倍以上であることが分かる。
特に、実施例5~8は、歯磨きによる除去率に優れており、これは前記表10の接触角の変化量による影響と考えられる。
【0145】
[製造例3]
<歯牙美白用パッチの製造>
下記の表11の組成を有する比較例5、6の歯牙美白用パッチ、及び下記の表12の組成を有する実施例9~12の歯牙美白用パッチを製造した。
【0146】
【0147】
【0148】
前記表11及び表12の含量を有する歯牙美白用パッチを製造した。本発明のパッチは、前記組成に製造し、韓国登録特許第10-0816250号の製造例1のbacking層及びdrug reservoir層を製造する方法によって製造した。
【0149】
前記実施例9~12の支持層に含まれた支持層形成高分子のそれぞれの溶解パラメーターは、次のようである。
- エチルセルロース:20.6
- HPMC(ヒドロキシプロピルメチルセルロース)2910:30
- PVP(ポリビニルピロリドン):24.9
【0150】
<放出試験>
イ)操作
試験管に塩化ナトリウム0.9%溶液500mLを注ぎ、薬物放出試験時の試験液の温度を32±0.5℃に維持した。吸収、妨害、反応することなくシンカーとして使用が可能なディスクの上側面に、歯牙美白付着剤を歯牙付着面が外側に向けるように両面テープで固定した後、検体が付着された面が上方に向けるように試験管に入れ、この瞬間から薬物放出時間を計算した。検体を付着したディスクは、試験管の底及びパドルの羽根と平行にした。パドルの羽根は、検体の面との距離を25±2mmにし、1分あたり回転数(rpm)を25にした。検液の採取時には、一定位置(パドル羽根の上側と試験液面との中間位置であって、試験管の壁面から1cm離れた位置)で試験開始30分後に検液を100mL取った。
【0151】
ロ)含量測定
a.試薬
- モリブデン酸アンモニウム溶液
モリブデン酸アンモニウム5.3gを水に入れ、50mLにする。
- チオ硫酸ナトリウム液
チオ硫酸ナトリウム(五水和物)12.41gを正確に測定した後、水に溶かして1Lにし、0.005Nのチオ硫酸ナトリウム液を製造する。
【0152】
b.濃度測定方法
- 放出試験で取ったサンプル100mLに6N-HCl 5mL、約2gのヨード化カリウム、一滴のモリブデン酸アンモニウム溶液を入れて暗い所で約10分間置く。これにでん粉指示薬3mLを入れて遊離したヨードを0.005Nのチオ硫酸ナトリウム液で滴定する。
0.005Nのチオ硫酸ナトリウム液1mL=0.8505mg H2O2
【0153】
ハ)結果
製品全体における過酸化水素の量と放出試験によって計算された過酸化水素の量とを比較して放出率を計算し、下記の表13に示した。
【0154】
【0155】
前記表13から確認できるように、比較例及び実施例の歯牙付着用パッチはいずれも過酸化水素の放出率が類似であることを分かる。即ち、本発明のパッチの歯牙美白成分の放出効率は、水不溶性支持層を有するパッチ、溶解性支持層を有するパッチのように優れた放出率を有することが分かる。
【0156】
<逆放出試験>
イ)操作
試験管に塩化ナトリウム0.9%溶液500mLを注ぎ、薬物放出試験時の試験液の温度を32±0.5℃に維持した。吸収、妨害、反応することなくシンカーとして使用が可能なディスクの上側面に、歯牙美白付着剤を歯牙付着面がディスクに向けるように両面テープで固定した後、検体が付着された面が上方に向けるように試験管に入れ、この瞬間から薬物放出時間を計算した。検体を付着したディスクは、試験管の底及びパドルの羽根と平行にした。パドルの羽根は、検体の面との距離を25±2mmにし、1分あたり回転数(rpm)を25にした。検液の採取時には、一定位置(パドル羽根の上側と試験液面との中間位置であって、試験管の壁面から1cm離れた位置)で試験開始30分後に検液を100mL取った。
【0157】
ロ)含量測定
a.試薬
- モリブデン酸アンモニウム溶液
モリブデン酸アンモニウム5.3gを水に入れ、50mLにする。
- チオ硫酸ナトリウム液
チオ硫酸ナトリウム(五水和物)12.41gを正確に測定した後、水に溶かして1Lにし、0.005Nのチオ硫酸ナトリウム液を製造する。
【0158】
b.濃度測定方法
- 放出試験で取ったサンプル100mLに6N-HCl 5mL、約2gのヨード化カリウム、一滴のモリブデン酸アンモニウム溶液を入れて暗い所で約10分間置く。これにでん粉指示薬3mLを入れて遊離したヨードを0.005Nのチオ硫酸ナトリウム液で滴定する。
0.005Nのチオ硫酸ナトリウム液1mL=0.8505mg H2O2
【0159】
ハ)結果
製品全体における過酸化水素の量と放出試験を通じて計算された過酸化水素の量とを比較して放出率を計算し、下記の表14に示した。
【0160】
【0161】
前記表14の比較例6は、支持層に水溶性高分子を含むパッチである。前記比較例6のパッチは、薬物層に含有された過酸化水素がターゲット部位のみに伝達されず、支持層を透過して逆に放出して歯牙の反対方向へも薬物が放出されることを見せる。比較例5及び実施例9~12は、逆放出率が著しく低いことが分かる。これは、支持層に用いられた水不溶性高分子によって過酸化水素が支持層を透過して放出されることを遮断できることを示す。
【0162】
<除去能力アンケート>
使用中に解けて消える比較例6を除き、使用後の除去過程が必要な比較例 5及び実施例9~12を対象として除去の便宜性についてのアンケートを行った。30名の回答者は、比較例5及び実施例9~12の各パッチをグループによって15分ずつ付着した後、比較例5または実施例9~12を歯磨きによって除去した。それから、各グループは、製品を替えて使った後、除去の容易性についてのアンケートに回答した。
【0163】
- アンケート回答基準 -
5:除去が非常に便利であり、歯牙残余物がない。
4:除去が便利であるが、残余物が少し残る。
3:除去が便利でなく、残余物が残って不便だ。
2:除去が不便であり、残余物が多く残る。
1:除去が非常に不便であり、残余物が非常に多く残る。
【0164】
図4から確認できるように、比較例5を歯牙に付着した後15分経過した時点で使用者が歯磨きをする場合、大体除去が不便であるという評価が多く、残余物が残っているという評価が多かった。
【0165】
しかし、実施例9~12の場合、大体4点以上を受けており、除去が便利であるという評価がほとんどであった。
【0166】
比較例5及び実施例9~12はいずれも、薬物層に含まれた過酸化水素の逆放出の制御に優れた効果を奏することを確認した。しかし、比較例5は、実施例9~12とは相違に歯牙付着後の歯磨きだけでは除去が容易でないことを確認した。
【0167】
[製造例4]
<歯牙美白用パッチの製造>
下記の表15の組成を有する歯牙美白用パッチを製造した。
【0168】
【0169】
前記表のような処方でパッチを製造した後、実施例の場合、支持層またはパッチ全体に気泡(実施例13)、凹凸(実施例14)を形成した。
【0170】
凹凸は、格子を用いてパッチを押して生成し、気泡は、支持層の塗布直前にホモミキサーなどを用いて人為的に生成した。
【0171】
格子を構成する線は幅0.1mm以下、深さはパッチの厚さによって相違にし、凹凸の生成後におけるパッチの凹んだ部分の厚さが30μm以下になるようにし、格子の間隔は1mmにした。
【0172】
このようにして、前記表15の含量を有する歯牙美白用パッチを製造した。前記パッチは、前記組成をもって、韓国登録特許第10-0816250号の製造例1のbacking層及びdrug reservoir層を製造する方法によって製造した。
【0173】
<除去便利性アンケート>
各30名ずつ五つのグループを対象として比較例7及び実施例13、14を用いた後、比較例7を用いた二つのグループは、30分付着後に取外しまたは歯磨きで除去し、実施例13、14を用いたグループは、30分付着後に歯磨きで除去するようにした。その後、各グループごとに除去の便利性についてアンケートを行った。
【0174】
- アンケート回答基準 -
5:除去が非常に便利であり、歯牙残余物がない。
4:除去が便利であるが、残余物が少し残る。
3:除去が便利でなく、残余物が残って不便だ。
2:除去が不便であり、残余物が多く残る。
1:除去が非常に不便であり、残余物が非常に多く残る。
【0175】
図5から確認できるように、比較例7を歯牙に付着した後、30分が経過した時点で使用者が歯磨きをする場合、大体除去が不便であるという評価が多く、残余物が残っているという評価が多かった。
【0176】
これに対し、実施例13及び14の場合、大体4点以上を受けており、除去が便利であるという評価がほとんどであった。
【0177】
<歯磨きによる分解評価>
比較例7及び実施例13、14の同一サイズの見本を2セット準備し、1セットは各々蒸溜水で30分間振って支持層のみを残した後に乾燥して重さを測定し、他の1セットは、スライドガラスに付着した後、37℃、85%の湿度環境で30分間保持した後、ブラッシング機を用いて250gの荷重で1分あたり往復90回の速度で3分間ブラシングした。その後、スライドガラス、ブラッシングチャンバーと歯ブラシを取り外し、蒸溜水で洗浄しながら洗浄液を集めた。このようにして集めた洗浄液を1mmのメッシュで濾した後、残余物を乾燥して重さを計り、支持層の全体重さに対する残余物の割合を求めた。
【0178】
【0179】
前記表16から確認できるように、比較例7は、歯磨きによってほとんど分解されず、1mmのメッシュが通過できないことを確認した。即ち、約96重量%以上がメッシュにそのまま残っていた。
【0180】
しかし、実施例13及び14は、各々乾燥重量が初期重量に対し約1.3重量%、1.5重量%のみが残っていた。
【0181】
前記結果から確認できるように、実施例13及び14に形成された破断誘導部によってパッチが容易に分解され、歯磨きによって除去が便利であることを確認することができた。
【産業上の利用可能性】
【0182】
本発明は、歯牙または歯牙周辺部に付着した後、歯磨きによって容易に除去できるパッチを提供する。