(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-11
(45)【発行日】2022-03-22
(54)【発明の名称】アクチュエータ
(51)【国際特許分類】
H02K 33/16 20060101AFI20220314BHJP
【FI】
H02K33/16 A
(21)【出願番号】P 2018518657
(86)(22)【出願日】2018-03-23
(86)【国際出願番号】 JP2018011588
(87)【国際公開番号】W WO2018180949
(87)【国際公開日】2018-10-04
【審査請求日】2021-02-18
(31)【優先権主張番号】P 2017068659
(32)【優先日】2017-03-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000002233
【氏名又は名称】日本電産サンキョー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100142619
【氏名又は名称】河合 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100125690
【氏名又は名称】小平 晋
(74)【代理人】
【識別番号】100153316
【氏名又は名称】河口 伸子
(72)【発明者】
【氏名】北原 裕士
(72)【発明者】
【氏名】武田 正
(72)【発明者】
【氏名】土橋 将生
【審査官】池田 貴俊
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-250637(JP,A)
【文献】特開2016-127789(JP,A)
【文献】国際公開第2016/167297(WO,A1)
【文献】特開2013-243883(JP,A)
【文献】特開平03-296112(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02K 33/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
支持体と、
可動体と、
前記支持体と前記可動体との間に配置された弾性部材と、
前記支持体および前記可動体のうちの一方側部材に保持された第1コイル、および他方側部材に保持され、前記第1コイルに第1方向で対向する第1磁石を備え、前記可動体を前記第1方向に直交する第2方向に駆動する駆動力を発生させる第1磁気駆動回路と、
前記一方側部材に保持された第2コイル、および前記他方側部材に保持され、前記第2コイルに前記第1方向で対向する第2磁石を備え、前記可動体を前記第1方向に直交し、前記第2方向に交差する第3方向に駆動する駆動力を発生させる第2磁気駆動回路と、
前記一方側部材に保持された第3コイル、および前記他方側部材に保持され、前記第3コイルに前記第1方向で対向する第3磁石を備え、前記可動体を前記第2方向に駆動する駆動力を発生させる第3磁気駆動回路と、
を有し、
前記第1磁気駆動回路、前記第2磁気駆動回路、および前記第3磁気駆動回路は、前記第1方向の一方側から他方側に順に重ねて配置されていることを特徴とするアクチュエータ。
【請求項2】
前記第2磁気駆動回路の磁気的中心位置は、前記第1方向、前記第2方向、および前記第3方向において前記可動体の重心と一致する位置、またはほぼ一致する位置にあり、
前記第1磁気駆動回路の磁気的中心位置と前記第3磁気駆動回路の磁気的中心位置とを合成した磁気的中心位置は、前記第1方向、前記第2方向、および前記第3方向において前記可動体の重心と一致する位置、またはほぼ一致する位置にあることを特徴とする請求項1に記載のアクチュエータ。
【請求項3】
前記第1コイルを保持する第1コイルホルダと、前記第2コイルを保持する第2コイルホルダと、前記第3コイルを保持する第3コイルホルダと、を備え、
前記第1コイルホルダ、前記第2コイルホルダ、および前記第3コイルホルダは、前記第1方向の一方側から他方側に順に重ねて配置されて、前記第1方向で隣り合うコイルホルダ同士が連結されていることを特徴とする請求項1に記載のアクチュエータ。
【請求項4】
前記第1コイルホルダは、前記第1コイルを内側に保持する第1枠部と、前記第1枠部の端部から前記第1方向に突出した複数の第1柱状部と、を備え、
前記第2コイルホルダは、前記第2コイルを内側に保持する第2枠部と、前記第2枠部の端部から前記第1方向に突出した複数の第2柱状部と、を備え、
前記第3コイルホルダは、前記第3コイルを内側に保持する第3枠部と、前記第3枠部の端部から前記第1方向に突出した複数の第3柱状部と、を備え、
前記複数の第1柱状部、前記複数の第2柱状部および前記複数の第3柱状部は、前記第1方向で隣り合う柱状部同士が連結されていることを特徴とする請求項3に記載のアクチュエータ。
【請求項5】
前記第1磁石は、前記第1コイルに対して前記第1方向の両側に配置され、
前記第2磁石は、前記第2コイルに対して前記第1方向の両側に配置され、
前記第3磁石は、前記第3コイルに対して前記第1方向の両側に配置されていることを特徴とする請求項1に記載のアクチュエータ。
【請求項6】
前記第1コイルに対して前記第1方向の一方側、前記第1コイルと前記第2コイルとの間、前記第2コイルと前記第3コイルとの間、および前記第3コイルに対して前記第1方向の他方側に配置された複数のヨークを備え、
前記第1磁石、前記第2磁石、および前記第3磁石は各々、前記複数のヨークのいずれかに保持されていることを特徴とする請求項1に記載のアクチュエータ。
【請求項7】
前記複数のヨークは、前記第1方向で隣り合うヨーク同士が連結されていることを特徴とする請求項6に記載のアクチュエータ。
【請求項8】
前記複数のヨークには、前記第1コイルに対して前記第1方向の両側に配置された第1ヨークと、前記第2コイルに対して前記第1方向の両側に配置された第2ヨークと、前記第3コイルに対して前記第1方向の両側に配置された第3ヨークと、が含まれ、
前記第1磁石は、前記第1コイルに対して前記第1方向の両側で前記第1ヨークに保持され、
前記第2磁石は、前記第2コイルに対して前記第1方向の両側で前記第2ヨークに保持され、
前記第3磁石は、前記第3コイルに対して前記第1方向の両側で前記第3ヨークに保持されていることを特徴とする請求項6に記載のアクチュエータ。
【請求項9】
前記複数のヨークには、前記第1コイルに対して前記第1方向の一方側に配置された第1ヨークと、前記第2コイルに対して前記第1方向の両側に配置された第2ヨークと、前記第3コイルに対して前記第1方向の他方側に配置された第3ヨークと、が含まれ、
前記第1磁石は、前記第1コイルに対して前記第1方向の他方側で前記第2ヨークに保持され、
前記第2磁石は、前記第2コイルに対して前記第1方向の両側で前記第2ヨークに保持され、
前記第3磁石は、前記第3コイルに対して前記第1方向の一方側で前記第2ヨークに保持されていることを特徴とする請求項6に記載のアクチュエータ。
【請求項10】
前記第1コイル、前記第2コイルおよび前記第3コイルは、前記支持体の側に設けられ、
前記第1磁石、前記第2磁石および前記第3磁石は、前記可動体の側に設けられていることを特徴とする請求項1から9までの何れか一項に記載のアクチュエータ。
【請求項11】
前記弾性部材は、粘弾性を備えた粘弾性部材であって、前記可動体に対する前記第1方向の一方側、および前記可動体に対する前記第1方向の他方側の各々に設けられていることを特徴とする請求項1から9までの何れか一項に記載のアクチュエータ。
【請求項12】
前記弾性部材は、前記可動体、および前記支持体において前記可動体に前記第1方向の一方側で対向する部分の双方に接する第1弾性部材と、前記可動体、および前記支持体において前記可動体に前記第1方向の他方側で対向する部分の双方に接する第2弾性部材として配置されていることを特徴とする請求項11に記載のアクチュエータ。
【請求項13】
前記弾性部材は、前記可動体に対する前記第1方向の一方側、および前記可動体に対する前記第1方向の他方側の各々において前記支持体および前記可動体に接着されていることを特徴とする請求項12に記載のアクチュエータ。
【請求項14】
前記弾性部材は、前記可動体に対する前記第1方向の一方側、および前記可動体に対する前記第1方向の他方側の各々において前記支持体と前記可動体との間で前記第1方向に圧縮された状態にあることを特徴とする請求項12に記載のアクチュエータ。
【請求項15】
前記粘弾性部材は、ゲル状部材であることを特徴とする請求項12に記載のアクチュエータ。
【請求項16】
前記ゲル状部材は、シリコーン系ゲルであることを特徴とする請求項15に記載のアクチュエータ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、各種振動を発生させるアクチュエータに関するものである。
【背景技術】
【0002】
磁気駆動機構によって振動を発生させる機器として、磁石を備えた支持体と、磁石と対向するコイルを備えた可動体とを有し、可動体と支持体との間に弾性部材が配置されたアクチュエータが提案されている(特許文献1参照)。また、特許文献1に記載のアクチュエータでは、第1方向に板厚方向を向けたホルダにおいて、第1方向に直交する第2方向で離間する位置に2つの第1コイルが設けられている一方、第1方向および第2方向に対して直交する第3方向で離間する位置に2つの第2コイルを設けられている。また、支持体には、第1コイルに対して第1方向の両側に第1磁石が配置され、第2コイルに対して第1方向の両側に第2磁石が配置されている。したがって、第1コイルおよび第1磁石は、可動体を第2方向に振動させる第1磁気駆動機構を構成し、第2コイルおよび第2磁石は、可動体を第3方向に振動させる第2磁気駆動機構を構成している。それゆえ、アクチュエータによって、第2方向の振動や第3方向の振動を発生させる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載のアクチュエータにおいて、可動体では、第1方向に板厚方向を向けたホルダに対して第1コイルおよび第2コイルが平面的に設けられているため、可動体の平面積が大きい。このため、アクチュエータの平面積が大となってしまうという問題点がある。
【0005】
以上の問題点に鑑みて、本発明の課題は、平面積を縮小することのできるアクチュエータを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記問題を解決するために、本発明に係るアクチュエータは、支持体と、可動体と、前記支持体と前記可動体との間に配置された弾性部材と、前記支持体および前記可動体のうちの一方側部材に保持された第1コイル、および他方側部材に保持され、前記第1コイルに第1方向で対向する第1磁石を備え、前記可動体を前記第1方向に直交する第2方向に駆動する駆動力を発生させる第1磁気駆動回路と、前記一方側部材に保持された第2コイル、および前記他方側部材に保持され、前記第2コイルに前記第1方向で対向する第2磁石を備え、前記可動体を前記第1方向に直交し、前記第2方向に交差する第3方向に駆動する駆動力を発生させる第2磁気駆動回路と、前記一方側部材に保持された第3コイル、および前記他方側部材に保持され、前記第3コイルに前記第1方向で対向する第3磁石を備え、前記可動体を前記第2方向に駆動する駆動力を発生させる第3磁気駆動回路と、を有し、前記第1磁気駆動回路、前記第2磁気駆動回路、および前記第3磁気駆動回路は、前記第1方向の一方側から他方側に順に重ねて配置されていることを特徴とする。
【0007】
本発明では、可動体を第2方向に振動させる第1磁気駆動回路、可動体を第3方向に振動させる第2磁気駆動回路、および可動体を第2方向に振動させる第3磁気駆動回路が設けられているため、可動体を第2方向および第3方向に振動させることができる。したがって、使用者に第2方向の振動、第3方向の振動、第2方向の振動と第3方向の振動とを組み合わせた振動を体感させることができる。また、第1磁気駆動回路、第2磁気駆動回路、および第3磁気駆動回路が第1方向に重ねて配置されているため、アクチュエータを第1方向からみたときのサイズ(平面積)が小さい。それゆえ、本発明を適応したアクチュエータは、手に持つコントローラ等の機器に搭載するのに適している。さらに、可動体を第3方向に振動させる第2磁気駆動回路に対して第1方向の両側に、可動体を第2方向に振動させる第1磁気駆動回路および第3磁気駆動回路が設けられているため、可動体を第2方向に振動させた際、可動体が傾く等の事態が発生しにくい。
【0008】
本発明において、前記第2磁気駆動回路の磁気的中心位置は、前記第1方向、前記第2方向、および前記第3方向において前記可動体の重心と一致する位置、またはほぼ一致する位置にあり、前記第1磁気駆動回路の磁気的中心位置と前記第3磁気駆動回路の磁気的中心位置とを合成した磁気的中心位置は、前記第1方向、前記第2方向、および前記第3方向において前記可動体の重心と一致する位置、またはほぼ一致する位置にある態様を採用することができる。かかる態様によれば、可動体を第2方向および第3方向に振動させた際、可動体が傾く等の事態が発生しにくい。
【0009】
本発明において、前記第1コイルを保持する第1コイルホルダと、前記第2コイルを保持する第2コイルホルダと、前記第3コイルを保持する第3コイルホルダと、を備え、前記第1コイルホルダ、前記第2コイルホルダ、および前記第3コイルホルダは、前記第1方向の一方側から他方側に順に重ねて配置されて、前記第1方向で隣り合うコイルホルダ同士が連結されている態様を採用することができる。かかる構成によれば、第1コイルホルダ、第2コイルホルダ、および第3コイルホルダを一体のコイルホルダとして、支持体や可動体に用いることができる。
【0010】
本発明において、前記第1コイルホルダは、前記第1コイルを内側に保持する第1枠部と、前記第1枠部の端部から前記第1方向に突出した複数の第1柱状部と、を備え、前記第2コイルホルダは、前記第2コイルを内側に保持する第2枠部と、前記第2枠部の端部から前記第1方向に突出した複数の第2柱状部と、を備え、前記第3コイルホルダは、前記第3コイルを内側に保持する第3枠部と、前記第3枠部の端部から前記第1方向に突出した複数の第3柱状部と、を備え、前記複数の第1柱状部、前記複数の第2柱状部および前記複数の第3柱状部は、前記第1方向で隣り合う柱状部同士が連結されている態様を採用することができる。かかる構成によれば、第1コイル、第2コイル、および第3コイルの各間に磁石やヨークを配置するスペースを確保した状態で、第1コイルホルダ、第2コイルホルダ、および第3コイルホルダを一体化することができる。
【0011】
本発明において、前記第1磁石は、前記第1コイルに対して前記第1方向の両側に配置され、前記第2磁石は、前記第2コイルに対して前記第1方向の両側に配置され、前記第3磁石は、前記第3コイルに対して前記第1方向の両側に配置されている態様を採用することができる。
【0012】
本発明において、前記第1コイルに対して前記第1方向の一方側、前記第1コイルと前記第2コイルとの間、前記第2コイルと前記第3コイルとの間、および前記第3コイルに対して前記第1方向の他方側に配置された複数のヨークを備え、前記第1磁石、前記第2磁石、および前記第3磁石は各々、前記複数のヨークのいずれかに保持されている態様を採用することができる。
【0013】
本発明において、前記複数のヨークは、前記第1方向で隣り合うヨーク同士が連結されている態様を採用することができる。かかる構成によれば、複数のヨークを一体のヨークとして、支持体や可動体に用いることができる。
【0014】
本発明において、前記複数のヨークには、前記第1コイルに対して前記第1方向の両側に配置された第1ヨークと、前記第2コイルに対して前記第1方向の両側に配置された第2ヨークと、前記第3コイルに対して前記第1方向の両側に配置された第3ヨークと、が含まれ、前記第1磁石は、前記第1コイルに対して前記第1方向の両側で前記第1ヨークに保持され、前記第2磁石は、前記第2コイルに対して前記第1方向の両側で前記第2ヨークに保持され、前記第3磁石は、前記第3コイルに対して前記第1方向の両側で前記第3ヨークに保持されている態様を採用することができる。
【0015】
本発明において、前記複数のヨークには、前記第1コイルに対して前記第1方向の一方側に配置された第1ヨークと、前記第2コイルに対して前記第1方向の両側に配置された第2ヨークと、前記第3コイルに対して前記第1方向の他方側に配置された第3ヨークと、が含まれ、前記第1磁石は、前記第1コイルに対して前記第1方向の他方側で前記第2ヨークに保持され、前記第2磁石は、前記第2コイルに対して前記第1方向の両側で前記第2ヨークに保持され、前記第3磁石は、前記第3コイルに対して前記第1方向の一方側で前記第2ヨークに保持されている態様を採用してもよい。かかる態様によれば、ヨークの数を減らすことができる。
【0016】
本発明において、前記第1コイル、前記第2コイルおよび前記第3コイルは、前記支持体の側に設けられ、前記第1磁石、前記第2磁石および前記第3磁石は、前記可動体の側に設けられている態様を採用することができる。
【0017】
本発明において、前記弾性部材は、粘弾性を備えた粘弾性部材であって、前記可動体に対する前記第1方向の一方側、および前記可動体に対する前記第1方向の他方側の各々に設けられている態様を採用することができる。すなわち、本発明において、前記弾性部材は、前記可動体、および前記支持体において前記可動体に前記第1方向の一方側で対向する部分の双方に接する第1弾性部材と、前記可動体、および前記支持体において前記可動体に前記第1方向の他方側で対向する部分の双方に接する第2弾性部材として配置されている態様を採用することができる。かかる態様によれば、可動体が支持体に対して第2方向および第3方向に振動するとき、粘弾性部材は、伸縮方向と直交するせん断方向に変形する。したがって、粘弾性部材は、線形性が高い範囲で変形するので、リニアリティが良好な振動特性を得ることができる。
【0018】
本発明において、前記弾性部材は、前記可動体に対する前記第1方向の一方側、および前記可動体に対する前記第1方向の他方側の各々において前記支持体および前記可動体に接着されている態様を採用することができる。かかる態様によれば、粘弾性部材は、可動体の移動に確実に追従するので、可動体の共振を効果的に防止することができる。
【0019】
本発明において、前記弾性部材は、前記可動体に対する前記第1方向の一方側、および前記可動体に対する前記第1方向の他方側の各々において前記支持体と前記可動体との間で前記第1方向に圧縮された状態にある態様を採用することができる。かかる態様によれば、粘弾性部材は、可動体の移動に確実に追従するので、可動体の共振を効果的に防止することができる。
【0020】
粘弾性とは、粘性と弾性の両方を合わせた性質のことであり、ゲル状部材、プラスチック、ゴム等の高分子物質に顕著に見られる性質である。したがって、粘弾性部材として、シリコーン系ゲル等の各種ゲル状部材を用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】本発明の実施の形態1に係るアクチュエータの斜視図である。
【
図2】
図1に示すカバーを外した状態のアクチュエータの分解斜視図である。
【
図3】
図1に示すアクチュエータを第1方向および第2方向に切断したときの説明図である。
【
図4】
図1に示すアクチュエータを第1方向および第3方向に切断したときの説明図である。
【
図5】
図2に示す第1端板および第2端板を外した状態のアクチュエータの分解斜視図である。
【
図6】
図1に示すアクチュエータに用いた磁気駆動回路を分解したときの分解斜視図である。
【
図7】
図6に示す第1磁気駆動回路の分解斜視図である。
【
図8】
図6に示す第2磁気駆動回路の分解斜視図である。
【
図9】
図6に示す第3磁気駆動回路の分解斜視図である。
【
図10】本発明の実施の形態2に係るアクチュエータの斜視図である。
【
図11】
図10に示すアクチュエータを第1方向および第2方向に切断したときの説明図である。
【
図12】
図10に示すアクチュエータを第1方向および第3方向に切断したときの説明図である。
【
図13】
図10に示す第1端板および第2端板を外した状態のアクチュエータの分解斜視図である。
【
図14】
図10に示すアクチュエータに用いた磁気駆動回路を分解したときの分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
図面を参照して、本発明の実施の形態を説明する。なお、以下の説明において、互いに交差する3つの方向を各々、X方向、Y方向およびZ方向として説明する。Z方向はX方向およびY方向に対して直交する方向である。また、X方向の一方側にX1を付し、X方向の他方側にX2を付し、Y方向の一方側にY1を付し、Y方向の他方側にY2を付し、Z方向の一方側にZ1を付し、Z方向の他方側にZ2を付して説明する。ここで、X方向、Y方向およびZ方向は各々、本発明における方向と以下の関係を有している。
X方向=本発明における「第2方向」
Y方向=本発明における「第3方向」
Z方向=本発明における「第1方向」
【0023】
[実施の形態1]
(全体構成)
図1は、本発明の実施の形態1に係るアクチュエータ1の斜視図である。
図2は、
図1に示すカバー11を外した状態のアクチュエータ1の分解斜視図である。
図3は、
図1に示すアクチュエータ1をZ方向およびX方向に切断したときの説明図である。
図4は、
図1に示すアクチュエータ1をZ方向およびY方向に切断したときの説明図である。
図5は、
図2に示す第1端板28および第2端板29を外した状態のアクチュエータ1の分解斜視図である。
【0024】
図1および
図2に示すように、本形態のアクチュエータ1は、Z方向に開口する角筒状のカバー11と、カバー11の内側に収容された直方体形状の本体部分10とを有しており、本体部分10のY方向の一方側Y1の面には配線基板15が貼付されている。配線基板15には、複数の電極151および配線パターン152が形成されており、かかる電極151には、後述するコイルの端部や、駆動装置(図示せず)から延在した配線材(図示せず)が接続される。このため、カバー11には、複数の電極151のうち、配線材が接続される電極151を露出させる開口部110が形成されている。
【0025】
図3、
図4および
図5に示すように、アクチュエータ1は、支持体2と、可動体3と、支持体2と可動体3との間に配置された弾性部材4とを有しており、可動体3は、弾性部材4を介してZ方向、X方向およびY方向に移動可能に支持体2に支持されている。また、アクチュエータ1は、可動体3を支持体2に対してX方向およびY方向に駆動して振動させる複数の磁気駆動回路(第1磁気駆動回路6、第2磁気駆動回路7、および第3磁気駆動回路8)を有している。
【0026】
支持体2は、Z方向の一方側Z1の端部および他方側Z2の端部に、第1端板28および第2端板29を有している。第1端板28は、可動体3に対してZ方向の一方側Z1で対向しており、可動体3と第1端板28との間に第1弾性部材41(弾性部材4)が配置されている。第2端板29は、可動体3に対してZ方向の他方側Z2で対向しており、可動体3と第2端板29との間に第2弾性部材42(弾性部材4)が配置されている。すなわち、弾性部材4は、可動体3に対する第1方向Zの一方側Z1、および可動体3に対する第1方向Zの他方側Z2の各々に設けられている。また、弾性部材4は、可動体3、および支持体2において可動体3に第1方向Zの一方側Z1で対向する部分(第1端板28)の双方に接する第1弾性部材41と、可動体3、および支持体2において可動体3に第1方向Zの他方側Z2で対向する部分(第2端板29)の双方に接する第2弾性部材42として配置されている。
【0027】
本形態において、弾性部材4は、粘弾性を備えた粘弾性体であり、本形態では、弾性部材4(粘弾性体)として板状のゲル状ダンパー部材が用いられている。第1弾性部材41は、Z方向の両面が各々、可動体3および第1端板28に接着等の方法で接続されている。第2端板29は、第2弾性部材42は、Z方向の両面が各々、可動体3および第2端板29に接着等の方法で接続されている。
【0028】
ゲル状ダンパー部材は、その伸縮方向によって、線形あるいは非線形の伸縮特性を備える。例えば、板状のゲル状ダンパー部材は、その厚さ方向(軸方向)に押圧されて圧縮変形する際は、線形の成分よりも非線形の成分が大きい伸縮特性を備える一方、厚さ方向(軸方向)に引っ張られて伸びる場合は、非線形の成分よりも線形の成分が大きい伸縮特性を備える。また、厚さ方向(軸方向)と交差する方向(せん断方向)に変形する場合も、非線形の成分よりも線形の成分が大きい変形特性を持つ。本形態において、可動体3がX方向およびY方向に振動した際、弾性部材4(粘弾性体)は、せん断方向に変形するように構成されている。
【0029】
複数の磁気駆動回路(第1磁気駆動回路6、第2磁気駆動回路7、および第3磁気駆動回路8)はいずれも、コイルと、コイルの各々と対向する磁石とを有している。コイルは、支持体2および可動体3の一方側部材に設けられ、磁石は、他方側部材に設けられる。本形態では、以下に説明するように、コイル(第1コイル61、第2コイル71、および第3コイル81)およびコイルホルダ(第1コイルホル65、第2コイルホルダ75、および第3コイルホルダ85)が支持体2に設けられている。また、磁石(第1磁石621、622、第2磁石721、722、および第3磁石821、822)、およびヨーク(第1ヨーク64、第2ヨーク74、および第3ヨーク84)が可動体3に設けられている。また、第1磁気駆動回路6は、第2磁気駆動回路7に対してZ方向の一方側Z1で重ねて配置され、第2磁気駆動回路7に対して第1磁気駆動回路6とは反対側に第3磁気駆動回路8が重ねて配置されている。したがって、第1磁気駆動回路6、第2磁気駆動回路7、および第3磁気駆動回路8は、Z方向の一方側Z1から他方側Z2に順に重ねて配置されている。
【0030】
(駆動回路の構成)
図6は、
図1に示すアクチュエータ1に用いた磁気駆動回路を分解したときの分解斜視図である。
図3、
図4、
図5および
図6に示すように、第1磁気駆動回路6は、第1コイル61と、第1コイル61にZ方向の一方側Z1で対向する第1磁石621と、第1コイル61にZ方向の他方側Z2で対向する第1磁石622とを有している。第2磁気駆動回路7は、第2コイル71と、第2コイル71にZ方向の一方側Z1で対向する第2磁石721と、第2コイル71にZ方向の他方側Z2で対向する第2磁石722とを有している。第3磁気駆動回路8は、第3コイル81と、第3コイル81にZ方向の一方側Z1で対向する第3磁石821と、第3コイル81にZ方向の他方側Z2で対向する第3磁石822とを有している。
【0031】
このように構成した第1磁気駆動回路6、第2磁気駆動回路7、および第3磁気駆動回路8をZ方向に重ねて配置するために、支持体2は、第1コイル61を保持する第1コイルホルダ65と、第2コイル71を保持する第2コイルホルダ75と、第3コイル81を保持する第3コイルホルダ85とを有しており、第1コイルホルダ65、第2コイルホルダ75、および第3コイルホルダ85は、Z方向の一方側Z1から他方側Z2に順に重ねて配置されている。また、第1コイルホルダ65、第2コイルホルダ75、および第3コイルホルダ85は、Z方向で隣り合うコイルホルダ同士が連結されている。
【0032】
また、可動体3は、第1コイル61に対してZ方向の一方側Z1、第1コイル61と第2コイル71との間、第2コイル71と第3コイル81との間、および第3コイル81に対してZ方向の他方側Z2に配置された複数のヨーク(第1ヨーク64、第2ヨーク74、および第3ヨーク84)を備えており、第1磁石621、622、第2磁石721、722、および第3磁石821、822は各々、複数のヨークのいずれかに保持されている。また、複数のヨークは、Z方向で隣り合うヨーク同士が連結されている。
【0033】
本形態において、複数のヨークには、第1コイル61に対してZ方向の両側に配置された第1ヨーク64と、第2コイル71に対してZ方向の両側に配置された第2ヨーク74と、第3コイル81に対してZ方向の両側に配置された第3ヨーク84とが含まれている。第1ヨーク64は、第1コイル61に対してZ方向の両側に配置された第1磁石621、622を保持している。第2ヨーク74は、第2コイル71に対してZ方向の両側に配置された第2磁石721、722を保持している。第3ヨーク84は、第3コイル81に対してZ方向の両側に配置された第3磁石821、822を保持している。
【0034】
(第1磁気駆動回路6の詳細構成)
図7は、
図6に示す第1磁気駆動回路6の分解斜視図である。
図5、
図6および
図7に示すように、第1コイルホルダ65は、第1コイル61を内側に保持する第1枠部66と、第1枠部66の端部(4つの角)からZ方向の両側に向けて突出した複数の第1柱状部69とを備えており、第1柱状部69は、第1端板28と連結されている。第1コイルホルダ65は、樹脂製あるいは金属製である。本形態において、第1コイルホルダ65および第1端板28は、樹脂製である。
【0035】
第1磁気駆動回路6に用いた第1コイル61は、Y方向に延在する第1有効辺部分611、612(長辺部分)を有する長円形状の空芯コイルである。かかる形状に対応して、第1コイルホルダ65の第1枠部66には、Y方向に長径方向を向けた長円形状の第1開口部67が形成されており、第1開口部67の内側に第1コイル61が接着等により固定される。
【0036】
第1コイルホルダ65において、第1枠部66に対してZ方向の一方側Z1には、第1開口部67のY方向の両端部と重なる位置に、第1コイル61の両端部でX方向に延在する第1無効辺部分613、614(短辺部分)をZ方向の一方側Z1で支持する第1座部681、682が形成されている。第1座部681、682は、第1枠部66からZ方向の一方側Z1に突出し、第1開口部67のY方向の両端部でZ方向の一方側Z1の底部を構成している。第1枠部66のZ方向の他方側Z2の面には、第1開口部67からX方向の他方側X2かつY方向の一方側Y1に向けて溝661が延在しており、かかる溝661は、第1コイル61の巻き始めの引き出し部分を通すためのガイド溝である。第1枠部66の厚さ(Z方向の寸法)は、第1コイル61の厚さ(Z方向の寸法)より大である。このため、第1開口部67の内側に第1コイル61が収容された状態で、第1コイル61は、第1枠部66からZ方向の他方側Z2に突出していない。
【0037】
第1磁石621、622は各々、長方形の平面形状を有しており、X方向に長辺が延在し、Y方向に短辺が延在している。第1磁石621、622は各々、X方向に分極着磁されており、N極およびS極が各々、第1コイル61の第1有効辺部分611、612に対向している。したがって、第1コイル61に通電すると、第1磁気駆動回路6は、可動体3をX方向に駆動する駆動力を発生させる。第1磁気駆動回路6において、第1ヨーク64は、第1コイル61に対してZ方向の一方側Z1に配置されたヨーク板641と、第1コイル61に対してZ方向の他方側Z2に配置されたヨーク板642とからなる。ヨーク板641は、第1磁石621をZ方向の他方側Z2の面で保持する平板状の磁石保持部641aと、磁石保持部641aのX方向の両端部からZ方向の他方側Z2に向けて折れ曲がった側板部641b、641cとを有している。ヨーク板642は、第1磁石622をZ方向の一方側Z1の面で保持する平板状の磁石保持部642aと、磁石保持部642のX方向の両端部からX方向の一方側X1および他方側X2に突出した連結板部642b、642cとを有している。本形態では、ヨーク板641の側板部641bの先端部とヨーク板642の連結板部642bの先端部とが溶接やカシメ等によって連結され、ヨーク板641の側板部641cの先端部とヨーク板642の連結板部642cの先端部とが溶接やカシメ等によって連結されている。
【0038】
(第2磁気駆動回路7の詳細構成)
図8は、
図6に示す第2磁気駆動回路7の分解斜視図である。
図5、
図6および
図8に示すように、第2コイルホルダ75は、第2コイル71を内側に保持する第2枠部76と、第2枠部76の端部(4つの角)からZ方向の両側に突出した複数の第2柱状部79とを備えており、第2柱状部79は、Z方向の一方側Z1で隣り合う第1コイルホルダ65の第1柱状部69と連結されている。第2コイルホルダ75は、樹脂製あるいは金属製である。本形態において、第2コイルホルダ75は、樹脂製である。
【0039】
第2磁気駆動回路7に用いた第2コイル71は、X方向に延在する第2有効辺部分711、712(長辺部分)を有する長円形状の空芯コイルである。かかる形状に対応して、第2コイルホルダ75の第2枠部76には、X方向に長径方向を向けた長円形状の第2開口部77が形成されており、第2開口部77の内側に第2コイル71が接着等により固定される。
【0040】
第2コイルホルダ75において、第2枠部76に対してZ方向の一方側Z1には、第2開口部77のX方向の両端部と重なる位置に、第2コイル71の両端部でY方向に延在する第2無効辺部分713、714(短辺部分)をZ方向の一方側Z1で支持する第2座部781、782が形成されている。第2座部781、782は、第2枠部76からZ方向の一方側Z1に突出し、第2開口部77のX方向の両端部でZ方向の一方側Z1の底部を構成している。第2枠部76のZ方向の他方側Z2の面には、第2開口部77からX方向の一方側X1かつY方向の一方側Y1に向けて溝(図示せず)が延在しており、かかる溝は、第2コイル71の巻き始めの引き出し部分を通すためのガイド溝である。第2枠部76の厚さ(Z方向の寸法)は、第2コイル71の厚さ(Z方向の寸法)より大である。このため、第2開口部77の内側に第2コイル71が収容された状態で、第2コイル71は、第2枠部76からZ方向の他方側Z2に突出していない。
【0041】
第2磁石721、722は各々、長方形の平面形状を有しており、Y方向に長辺が延在し、X方向に短辺が延在している。第2磁石721、722は各々、Y方向に分極着磁されており、N極およびS極が各々、第2コイル71の第2有効辺部分711、712に対向している。したがって、第2コイル71に通電すると、第2磁気駆動回路7は、可動体3をY方向に駆動する駆動力を発生させる。第2磁気駆動回路7において、第2ヨーク74は、第2コイル71に対してZ方向の一方側Z1に配置されたヨーク板741と、第2コイル71に対してZ方向の他方側Z2に配置されたヨーク板742とからなる。ヨーク板742は、第2磁石722をZ方向の一方側Z1の面で保持する平板状の磁石保持部742aと、磁石保持部742aのY方向の両端部からZ方向の一方側Z1に向けて折れ曲がった側板部742b、742cとを有している。ヨーク板741は、第2磁石721をZ方向の他方側Z2の面で保持する平板状の磁石保持部741aと、磁石保持部741aのY方向の両端部からY方向の一方側Y1および他方側Y2に突出した連結板部741b、741cとを有している。本形態では、ヨーク板742の側板部742bの先端部とヨーク板741の連結板部741bの先端部とが溶接やカシメ等によって連結され、ヨーク板742の側板部742cの先端部とヨーク板741の連結板部741cの先端部とが溶接やカシメ等によって連結されている。
【0042】
ヨーク板741およびヨーク板642には穴741e、642eが形成されており、ヨーク板741とヨーク板642とは、穴741e、642eを基準に位置決めした後、穴741e、642eの内部で溶接やカシメ等によって連結されている。
【0043】
(第3磁気駆動回路8の詳細構成)
図9は、
図6に示す第3磁気駆動回路8の分解斜視図である。
図5、
図6および
図9に示すように、第3コイルホルダ85は、第3コイル81を内側に保持する第3枠部86と、第3枠部86の端部(4つの角)からZ方向の両側に突出した複数の第3柱状部89とを備えており、第3柱状部89は、Z方向の一方側Z1で隣り合う第2コイルホルダ75の第2柱状部79と連結されている。また、第3柱状部89は、第2端板29と連結されている。第3コイルホルダ85は、樹脂製あるいは金属製である。本形態において、第3コイルホルダ85および第2端板29は、樹脂製である。
【0044】
第3磁気駆動回路8は、第1磁気駆動回路6と同様に構成されている。より具体的には、第3磁気駆動回路8に用いた第3コイル81は、Y方向に延在する第3有効辺部分811、812(長辺部分)を有する長円形状の空芯コイルである。かかる形状に対応して、第3コイルホルダ85の第3枠部86には、Y方向に長径方向を向けた長円形状の第3開口部87が形成されており、第3開口部87の内側に第3コイル81が接着等により固定される。
【0045】
第3コイルホルダ85において、第3枠部86に対してZ方向の一方側Z1には、第3開口部87のY方向の両端部と重なる位置に、第3コイル81の両端部でX方向に延在する第3無効辺部分813、814(短辺部分)をZ方向の一方側Z1で支持する第3座部881、882が形成されている。第3座部881、882は、第3枠部86からZ方向の一方側Z1に突出し、第3開口部87のY方向の両端部でZ方向の一方側Z1の底部を構成している。第3枠部86のZ方向の他方側Z2の面には、第3開口部87からX方向の他方側X2かつY方向の一方側Y1に向けて溝861が延在しており、かかる溝861は、第3コイル81の巻き始めの引き出し部分、および巻き終わりの引き出し部分を通すためのガイド溝である。第3枠部86の厚さ(Z方向の寸法)は、第3コイル81の厚さ(Z方向の寸法)より大である。このため、第3開口部87の内側に第3コイル81が収容された状態で、第3コイル81は、第3枠部86からZ方向の他方側Z2に突出していない。
【0046】
第3磁石821、822は各々、長方形の平面形状を有しており、X方向に長辺が延在し、Y方向に短辺が延在している。第3磁石821、822は各々、X方向で着磁されており、N極およびS極が各々、第3コイル81の第3有効辺部分811、812に対向している。したがって、第3コイル81に通電すると、第3磁気駆動回路8は、第1磁気駆動回路6と同様、可動体3をX方向に駆動する駆動力を発生させる。本形態において、第3磁石821は、第1磁気駆動回路6の第1磁石621と同一の向きに着磁され、第3磁石822は、第1磁気駆動回路6の第1磁石622と同一の向きに着磁されている。
【0047】
第3磁気駆動回路8において、第3ヨーク84は、第3コイル81に対してZ方向の一方側Z1に配置されたヨーク板841と、第3コイル81に対してZ方向の他方側Z2に配置されたヨーク板842とからなる。ヨーク板842は、第3磁石821をZ方向の一方側Z1の面で保持する平板状の磁石保持部842aと、磁石保持部842aのX方向の両端部からZ方向の一方側Z1に向けて折れ曲がった側板部842b、842cとを有している。ヨーク板841は、第3磁石822をZ方向の一方側Z1の面で保持する平板状の磁石保持部841aと、磁石保持部841のX方向の両端部からX方向の一方側X1および他方側X2に突出した連結板部841b、841cとを有している。本形態では、ヨーク板842の側板部842bの先端部とヨーク板841の連結板部841bの先端部とが溶接やカシメ等によって連結され、ヨーク板842の側板部842cの先端部とヨーク板841の連結板部841cの先端部とが溶接やカシメ等によって連結されている。
【0048】
なお、ヨーク板841およびヨーク板742には穴841e、742eが形成されており、ヨーク板841とヨーク板742とは、穴841e、742eを基準に位置決めした後、穴841e、742eの内部で溶接やカシメ等によって連結されている。
【0049】
(磁気駆動回路の磁気的中心と可動体3の重心との位置関係)
このように構成したアクチュエータ1において、第1コイル61、第2コイル71、第3コイル81、第1コイルホルダ65、第2コイルホルダ75、第3コイルホルダ85、は、可動体3のX方向の中心を通ってY方向に延在する仮想線の中心とする線対称、かつ、Y方向の中心を通ってX方向に延在する仮想線の中心とする線対称に構成されている。また、第1磁石621、622、第2磁石721、722、第3磁石821、822、第1ヨーク64、第2ヨーク74、および第3ヨーク84は、可動体3のX方向の中心を通ってY方向に延在する仮想線の中心とする線対称、かつ、Y方向の中心を通ってX方向に延在する仮想線の中心とする線対称に構成されている。また、第2コイル71は、可動体3のZ方向の中心に配置され、第2磁石721、722は、第2コイル71を中心にZ方向で面対称に配置されている。また、第1磁石621、622、および第1ヨーク64は、第3磁石821、822および第3ヨーク84に対して、第2コイル71を中心にZ方向で面対称に配置されている。
【0050】
したがって、第2磁気駆動回路7の磁気的中心位置(駆動中心)は、Z方向、X方向、およびY方向において可動体3の重心と一致する位置、またはほぼ一致する位置にある。また、第1磁気駆動回路6の磁気的中心位置と第3磁気駆動回路8の磁気的中心位置とを合成した磁気的中心位置は、Z方向、X方向、およびY方向において可動体3の重心と一致する位置、またはほぼ一致する位置にある。
【0051】
(基本動作)
本形態のアクチュエータ1において、第1コイル61および第3コイル81に交流を印加する一方、第2コイル71への通電を停止すると、可動体3は、X方向に振動するため、アクチュエータ1における重心がX方向に変動する。このため、利用者は、X方向の振動を体感することができる。その際、第1コイル61および第3コイル81に印加する交流波形を調整して、可動体3がX方向の一方側X1に移動する加速度と、可動体3が第2方向の他方側X2に移動する加速度とを相違させれば、利用者は、X方向において方向性を有する振動を体感することができる。
【0052】
また、第2コイル71に交流を印加する一方、第1コイル61および第3コイル81への通電を停止する。その結果、可動体3は、Y方向に振動するため、アクチュエータ1における重心がY方向に変動する。このため、利用者は、Y方向の振動を体感することができる。その際、第2コイル71に印加する交流波形を調整して、可動体3がY方向の一方側Y1に移動する加速度と、可動体3が第3方向の他方側Y2に移動する加速度とを相違させれば、利用者は、Y方向において方向性を有する振動を体感することができる。
【0053】
また、第1コイル61および第3コイル81への通電と第2コイル71への通電とを組み合わせれば、利用者は、X方向での振動とY方向での振動とを組み合わせた体感を得ることができる。さらに、第1コイル61と第3コイル81とに逆位相の交流を印加すると、可動体3には、Z方向に延在する中心軸線周りの偶力が加わるので、利用者は、さらに複雑な体感を得ることができる。
【0054】
(ストッパ機構)
本形態のアクチュエータ1では、可動体3が支持体2に対して過度に移動した際、強度の弱い個所が当接しないように、
図3および
図4に示すストッパ機構が設けられている。より具体的には、
図4に示すように、第1磁石621に対してY方向の一方側Y1で所定の間隔を介して対向する位置には、第1コイルホルダ65の第1座部681が位置し、第1磁石621に対してY方向の他方側Y2で所定の間隔を介して対向する位置には、第1コイルホルダ65の第1座部682が位置している。また、第3磁石821に対してY方向の一方側Y1で所定の間隔を介して対向する位置には、第3コイルホルダ85の第3座部881が位置し、第3磁石821に対してY方向の他方側Y2で所定の間隔を介して対向する位置には、第3コイルホルダ85の第3座部882が位置している。本形態において、第1座部681、682のY方向で第1磁石621と対向する側端部が第1ストッパ部683、684として機能する。また、第3座部881、882のY方向で第3磁石821と対向する側端部が第3ストッパ部883、884として機能する。したがって、第2磁気駆動回路7によって可動体3をY方向に駆動した際の可動体3のY方向への可動範囲は、第1磁気駆動回路6の第1磁石621と第1コイルホルダ65の第1座部681、682(第1ストッパ部683、684)とによって構成されたストッパ機構、および第3磁気駆動回路8の第3磁石821と第3コイルホルダ85の第3座部881、882(第3ストッパ部883、884)とによって構成されたストッパ機構によって規制されている。
【0055】
本形態において、第1ストッパ部683、684は、第1コイル61の第1無効辺部分613、614の内縁より第1磁石621の側に位置している。このため、第1コイル61の巻き始め側の引き出し部分が、例えば、第1無効辺部分613の内縁から第1コイル61と第1座部681との間を通っている場合でも、第1コイル61の巻き始め側の引き出し部分に第1磁石621が接触するという事態が発生しにくい。それゆえ、第1コイル61の巻き始め側の引き出し部分が断線するという事態が発生しにくい。また、第3ストッパ部883、884は、第3コイル81の第3無効辺部分813、814の内縁より第3磁石821の側に位置している。このため、第3コイル81の巻き始め側の引き出し部分が、例えば、第3無効辺部分813の内縁から第3コイル81と第3座部881との間を通っている場合でも、第3コイル81の巻き始め側の引き出し部分に第3磁石821が接触するという事態が発生しにくい。それゆえ、第3コイル81の巻き始め側の引き出し部分が断線するという事態が発生しにくい。
【0056】
また、
図3に示すように、第2磁気駆動回路7の第2磁石721に対してX方向の一方側X1で所定の間隔を介して対向する位置には、第2コイルホルダ75の第2座部781が位置し、第2磁石721に対してX方向の他方側X2で所定の間隔を介して対向する位置には、第2コイルホルダ75の第2座部782が位置している。本形態において、第2座部781および第2座部782のX方向で第2磁石721と対向する側端部が第2ストッパ部783、784として機能する。したがって、第1磁気駆動回路6および第3磁気駆動回路8によって可動体3をX方向に駆動した際の可動範囲は、第2磁気駆動回路7の第2磁石721と第2コイルホルダ75の第2座部781、782(第2ストッパ部783、784)とによって構成されたストッパ機構によって規制されている。
【0057】
本形態において、第2ストッパ部783、784は、第2コイル71の第2無効辺部分713、714の内縁より第2磁石721の側に位置している。このため、第2コイル71の巻き始め側の引き出し部分が、例えば、第2無効辺部分713の内縁から第2コイル71と第2座部781との間を通っている場合でも、第2コイル71の巻き始め側の引き出し部分に第2磁石721が接触するという事態が発生しにくい。それゆえ、第2コイル71の巻き始め側の引き出し部分が断線するという事態が発生しにくい。
【0058】
(本形態の主な効果)
以上説明したように、本形態のアクチュエータ1において、可動体3をX方向に振動させる第1磁気駆動回路6、可動体3をY方向に振動させる第2磁気駆動回路7、および可動体3をX方向に振動させる第3磁気駆動回路8が設けられているため、可動体3をX方向およびY方向に振動させることができる。したがって、使用者にX方向の振動、Y方向の振動、X方向の振動とY方向の振動とを組み合わせた振動を体感させることができる。また、第1磁気駆動回路6、第2磁気駆動回路7、および第3磁気駆動回路8がZ方向に重ねて配置されているため、アクチュエータ1をZ方向からみたときのサイズ(平面積)が小さい。それゆえ、本形態のアクチュエータ1は、手に持つコントローラ等の機器に搭載するのに適している。さらに、可動体3をY方向に振動させる第2磁気駆動回路7に対してZ方向の両側に、可動体3をX方向に振動させる第1磁気駆動回路6および第3磁気駆動回路8が設けられているため、可動体3をX方向に振動させた際、可動体3が傾く等の事態が発生しにくい。
【0059】
また、支持体2に対する可動体3のX方向およびY方向への可動範囲は、第1コイルホルダ65と第1磁石621との間に構成されたストッパ機構、および第2コイルホルダ75と第2磁石721との間に構成されたストッパ機構、および第3コイルホルダ85と第3磁石821との間に構成されたストッパ機構とによって規制される。かかるストッパ機構であれば、第1磁気駆動回路6、第2磁気駆動回路7および第3磁気駆動回路8に対してZ方向で重なる位置に設けることができる。したがって、Z方向からみたときのアクチュエータ1の平面積を縮小することができる。
【0060】
また、可動体3をX方向に駆動する第1磁気駆動回路6および第3磁気駆動回路8に用いた第1磁石621および第3磁石821は、X方向の寸法よりY方向の寸法が短いことから、第1磁石621および第3磁石821のY方向の両側のスペースを利用して可動体3のY方向への可動範囲を規制するストッパ機構を構成している。また、可動体3をY方向に駆動する第2磁気駆動回路7に用いた第2磁石721は、Y方向の寸法よりX方向の寸法が短いことから、第2磁石721のX方向の両側のスペースを利用して可動体3のX方向への可動範囲を規制するストッパ機構を構成している。このため、第1磁気駆動回路6、第2磁気駆動回路7および第3磁気駆動回路8に対してZ方向で重なる位置にストッパ機構を設けることが容易である。
【0061】
また、第1コイル61を支持する第1コイルホルダ65の第1座部681、682を利用して第1ストッパ部683、684を構成し、第2コイル71を支持する第2コイルホルダ75の第2座部781、782を利用して第2ストッパ部783、774を構成し、第3コイル81を支持する第3コイルホルダ85の第3座部881、882を利用して第3ストッパ部883、874を構成している。このため、第1コイルホルダ65、第2コイルホルダ75、および第3コイルホルダ85に第1座部681、682、第2ストッパ部783、774、および第3座部881、882とは別の凸部(ストッパ部)を設ける必要がない。それゆえ、第1コイルホルダ65、第2コイルホルダ75、および第3コイルホルダ85の構成を簡素化することができる。
【0062】
また、第2磁気駆動回路7の磁気的中心位置(駆動点)は、Z方向、X方向、およびY方向において可動体3の重心と一致する位置、またはほぼ一致する位置にある。また、第1磁気駆動回路6の磁気的中心位置(駆動点)と第3磁気駆動回路8の磁気的中心位置(駆動点)とを合成した磁気的中心位置は、Z方向、X方向、およびY方向において可動体3の重心と一致する位置、またはほぼ一致する位置にある。このため、可動体3をX方向およびY方向に振動させた際、可動体3が傾く等の事態が発生しにくい。
【0063】
また、支持体2では、第1コイルホルダ65、第2コイルホルダ75、および第3コイルホルダ85がZ方向の一方側Z1から他方側Z2に順に重ねて配置されて、Z方向で隣り合うコイルホルダ同士が連結されている。このため、第1コイルホルダ65、第2コイルホルダ75、および第3コイルホルダ85を一体のコイルホルダとして支持体2に用いることができる。その際、第1コイルホルダ65の第1柱状部69、第2コイルホルダ75の第2柱状部79、および第3コイルホルダ85の第3柱状部89によって連結しているので、第1コイル61、第2コイル71、および第3コイル81の各間に磁石やヨークを配置するスペースを確保した状態で、第1コイルホルダ65、第2コイルホルダ75、および第3コイルホルダ85を一体化することができる。
【0064】
また、可動体3では、複数のヨーク(第1ヨーク64、第2ヨーク74、および第3ヨーク84)は、Z方向で隣り合うヨーク同士が連結されているため、複数のヨーク(第1ヨーク64、第2ヨーク74、および第3ヨーク84)を一体のヨークとして可動体3に用いることができる。
【0065】
また、弾性部材4は、粘弾性を備えた粘弾性部材であって、可動体3に対するZ方向の一方側Z1、および可動体3に対するZ方向の他方側Z2の各々に設けられている。このため、可動体3が支持体2に対してX方向およびY方向に振動するとき、弾性部材4は、伸縮方向と直交するせん断方向に変形する。したがって、弾性部材4は、線形性が高い範囲で変形するので、リニアリティが良好な振動特性を得ることができる。
【0066】
すなわち、弾性部材4(第1弾性部材41および第2弾性部材42)は、粘弾性部材(板状のゲル状ダンパー部材)であって、その伸縮方向によって、線形あるいは非線形の伸縮特性を備える。例えば、その厚さ方向(軸方向)に押圧されて圧縮変形する際は、線形の成分(バネ係数)よりも非線形の成分が大きい伸縮特性を備える一方、厚さ方向(軸方向)に引っ張られて伸びる場合は、非線形の成分(バネ係数)よりも線形の成分(バネ係数)が大きい伸縮特性を備える。また、厚さ方向(軸方向)と交差する方向(せん断方向)に変形する場合、いずれの方向に動いても、引っ張られて伸びる方向の変形であるため、非線形の成分(バネ係数)よりも線形の成分(バネ係数)が大きい変形特性を持つ。本形態において、可動体3がX方向およびY方向に振動した際、弾性部材4(粘弾性部材)は、せん断方向に変形するように構成されている。したがって、弾性部材4では、可動体3がX方向およびY方向に振動した際、運動方向によるバネ力が一定となる。それ故、弾性部材4のせん断方向のバネ要素を用いることにより、入力信号に対する振動加速度の再現性を向上することができるので、微妙なニュアンスをもって振動を実現することができる。
【0067】
また、弾性部材4は、可動体3と支持体2との間で第1方向Zに伸縮するように取り付けられ、弾性部材4が可動体3と支持体2との間で厚さ方向(軸方向)に押圧されて圧縮変形する際は、線形の成分(バネ係数)よりも非線形の成分(バネ係数)が大きい伸縮特性を備える。従って、可動体3の駆動方向と直交するZ方向では、弾性部材4が大きく変形することを抑制できるので、可動体3と支持体2とのギャップが大きく変化することを抑制できる。
【0068】
また、第1弾性部材41は、Z方向の両面が各々、可動体3および第1端板28に接着等の方法で接続され、第2弾性部材42は、Z方向の両面が各々、可動体3および第2端板29に接着等の方法で接続されている。したがって、弾性部材4は、可動体3の移動に確実に追従するので、可動体3の共振を効果的に防止することができる。
【0069】
また、第1磁気駆動回路6および第3磁気駆動回路8によって可動体3をX方向に駆動した際の可動範囲は、第2磁気駆動回路7の第2磁石721と第2コイルホルダ75の第2座部781、782とによって構成されたストッパ機構によって規制されている。また、第2磁気駆動回路7によって可動体3をY方向に駆動した際の可動体3のY方向への可動範囲は、第1磁気駆動回路6の第1磁石621と第1コイルホルダ65の第1座部681、682とによって構成されたストッパ機構、および第3磁気駆動回路8の第3磁石821と第3コイルホルダ85の第3座部881、882とによって構成されたストッパ機構によって規制されている。それゆえ、可動体3が過度に移動した場合でも、強度が弱い個所同士が当接しにくいので、アクチュエータ1の信頼性が高い。
【0070】
[実施の形態2]
図10~
図17を参照して、本発明の実施の形態2に係るアクチュエータ1を説明する。なお、本形態の基本的な構成は、実施の形態1と同等であるため、対応する部分には同一の符号を付して説明する。
【0071】
(全体構成)
図10は、本発明の実施の形態2に係るアクチュエータ1の斜視図である。
図11は、
図10に示すアクチュエータ1をZ方向およびX方向に切断したときの説明図である。
図12は、
図10に示すアクチュエータ1をZ方向およびY方向に切断したときの説明図である。
図13は、
図10に示す第1端板28および第2端板29を外した状態のアクチュエータ1の分解斜視図である。
【0072】
図10に示すように、本形態のアクチュエータ1は、直方体形状の本体部分10を有しており、本体部分10のY方向の一方側Y1の面にはフレキシブル配線基板からなる配線基板16が貼付されている。配線基板16には、複数の電極161および配線パターン162が形成されており、かかる電極161には、後述するコイルの端部が接続される。
【0073】
図11、
図12および
図13に示すように、アクチュエータ1は、支持体2と、可動体3と、支持体2と可動体3との間に配置された弾性部材4とを有しており、可動体3は、弾性部材4を介してZ方向、X方向およびY方向に移動可能に支持体2に支持されている。また、アクチュエータ1は、可動体3を支持体2に対してX方向およびY方向に駆動して振動させる複数の磁気駆動回路(第1磁気駆動回路6、第2磁気駆動回路7、および第3磁気駆動回路8)を有している。
【0074】
支持体2は、Z方向の一方側Z1の端部および他方側Z2の端部に、第1端板28および第2端板29を有している。第1端板28は、可動体3に対してZ方向の一方側Z1で対向しており、可動体3と第1端板28との間に第1弾性部材41(弾性部材4)が配置されている。第2端板29は、可動体3に対してZ方向の他方側Z2で対向しており、可動体3と第2端板29との間に第2弾性部材42(弾性部材4)が配置されている。
【0075】
本形態において、弾性部材4は、粘弾性を備えた粘弾性体であり、本形態では、弾性部材4(粘弾性体)として板状のゲル状ダンパー部材が用いられている。第1弾性部材41は、Z方向の両面が各々、可動体3および第1端板28に接着等の方法で接続されている。第2端板29は、第2弾性部材42は、Z方向の両面が各々、可動体3および第2端板29に接着等の方法で接続されている。
【0076】
ゲル状ダンパー部材は、その伸縮方向によって、線形あるいは非線形の伸縮特性を備える。例えば、板状のゲル状ダンパー部材は、その厚さ方向(軸方向)に押圧されて圧縮変形する際は、線形の成分よりも非線形の成分が大きい伸縮特性を備える一方、厚さ方向(軸方向)に引っ張られて伸びる場合は、非線形の成分よりも線形の成分が大きい伸縮特性を備える。また、厚さ方向(軸方向)と交差する方向(せん断方向)に変形する場合も、非線形の成分よりも線形の成分が大きい変形特性を持つ。本形態において、可動体3がX方向およびY方向に振動した際、弾性部材4(粘弾性体)は、せん断方向に変形するように構成されている。
【0077】
複数の磁気駆動回路(第1磁気駆動回路6、第2磁気駆動回路7、および第3磁気駆動回路8)はいずれも、コイルと、コイルの各々と対向する磁石とを有している。コイルは、支持体2および可動体3の一方側部材に設けられ、磁石は、他方側部材に設けられる。本形態では、以下に説明するように、コイル(第1コイル61、第2コイル71、および第3コイル81)およびコイルホルダ(第1コイルホル65、第2コイルホルダ75、および第3コイルホルダ85)が支持体2に設けられている。また、磁石(第1磁石、622、第2磁石721、722、および第3磁石821)、およびヨーク(第1ヨーク64、第2ヨーク74、および第3ヨーク84)が可動体3に設けられている。また、第1磁気駆動回路6、第2磁気駆動回路7、および第3磁気駆動回路8は、Z方向の一方側Z1から他方側Z2に順に重ねて配置されている。
【0078】
(駆動回路の構成)
図14は、
図10に示すアクチュエータ1に用いた磁気駆動回路を分解したときの分解斜視図である。
図11、
図12、
図13および
図14に示すように、第1磁気駆動回路6は、第1コイル61と、第1コイル61にZ方向の他方側Z2で対向する第1磁石622とを有している。第2磁気駆動回路7は、第2コイル71と、第2コイル71にZ方向の一方側Z1で対向する第2磁石721と、第2コイル71にZ方向の他方側Z2で対向する第2磁石722とを有している。第3磁気駆動回路8は、第3コイル81と、第3コイル81にZ方向の一方側Z1で対向する第3磁石821とを有している。
【0079】
このように構成した第1磁気駆動回路6、第2磁気駆動回路7、および第3磁気駆動回路8をZ方向に重ねて配置するために、支持体2は、第1コイル61を保持する第1コイルホルダ65と、第2コイル71を保持する第2コイルホルダ75と、第3コイル81を保持する第3コイルホルダ85とを有しており、第1コイルホルダ65、第2コイルホルダ75、および第3コイルホルダ85は、Z方向の一方側Z1から他方側Z2に順に重ねて配置されている。また、第1コイルホルダ65、第2コイルホルダ75、および第3コイルホルダ85は、Z方向で隣り合うコイルホルダ同士が連結されている。
【0080】
また、可動体3は、第1コイル61に対してZ方向の一方側Z1、第1コイル61と第2コイル71との間、第2コイル71と第3コイル81との間、および第3コイル81に対してZ方向の他方側Z2に配置された複数のヨーク(第1ヨーク64、第2ヨーク74、および第3ヨーク84)を備えており、第1磁石622、第2磁石721、722、および第3磁石821は各々、複数のヨークのいずれかに保持されている。また、複数のヨークは、Z方向で隣り合うヨーク同士が連結されている。
【0081】
本形態において、複数のヨークには、第1コイル61に対してZ方向の一方側Z1に配置された第1ヨーク64(ヨーク板641)と、第2コイル71に対してZ方向の両側に配置された第2ヨーク74(ヨーク板741、742)と、第3コイル81に対してZ方向の他方側Z2に配置された第3ヨーク84とが含まれている。ここで、第2ヨーク74は、第2コイル71に対してZ方向の両側に配置された第2磁石721、722を保持している。また、第2ヨーク74は、第1コイル61にZ方向の他方側Z2で対向する第1磁石622、および第3コイル81にZ方向の一方側Z1で対向する第3磁石821を保持している。したがって、第1ヨーク64および第3ヨーク84は、磁石を保持していない。
【0082】
(第1磁気駆動回路6の詳細構成)
図15は、
図14に示す第1磁気駆動回路6の分解斜視図である。
図13、
図14および
図15に示すように、第1コイルホルダ65は、第1コイル61を内側に保持する第1枠部66と、第1枠部66の端部(4つの角)からZ方向の両側に向けて突出した複数の第1柱状部69とを備えており、第1柱状部69は、第1端板28と連結されている。第1コイルホルダ65は、樹脂製あるいは金属製である。本形態において、第1コイルホルダ65および第1端板28は、樹脂製である。
【0083】
第1磁気駆動回路6に用いた第1コイル61は、Y方向に延在する第1有効辺部分611、612(長辺部分)を有する長円形状の空芯コイルである。かかる形状に対応して、第1コイルホルダ65の第1枠部66には、Y方向に長径方向を向けた長円形状の第1開口部67が形成されており、第1開口部67の内側に第1コイル61が接着等により固定される。
【0084】
第1コイルホルダ65において、第1枠部66に対してZ方向の他方側Z2には、第1開口部67のY方向の両端部と重なる位置に、第1コイル61の両端部でY方向に延在する第1無効辺部分613、614(短辺部分)をZ方向の他方側Z2で支持する第1座部681、682が形成されている。第1座部681、682は、第1枠部66からZ方向の他方側Z2に突出し、第1開口部67のX方向の両端部でZ方向の他方側Z2の底部を構成している。なお、第1枠部66のZ方向の一方側Z1の面には、第1開口部67から縁まで凹部(図示せず)が延在しており、かかる凹部は、第1コイル61の巻き始めの引き出し部分を通すためのガイド部である。第1枠部66の厚さ(Z方向の寸法)は、第1コイル61の厚さ(Z方向の寸法)より大である。このため、第1開口部67の内側に第1コイル61が収容された状態で、第1コイル61は、第1枠部66からZ方向の一方側Z1に突出していない。
【0085】
第1磁石622は、長方形の平面形状を有しており、X方向に長辺が延在し、Y方向に短辺が延在している。第1磁石622は、X方向に分極着磁されており、N極およびS極が各々、第1コイル61の第1有効辺部分611、612に対向している。したがって、第1コイル61に通電すると、第1磁気駆動回路6は、可動体3をX方向に駆動する駆動力を発生させる。第1磁気駆動回路6において、第1ヨーク64は、第1コイル61に対してZ方向の一方側Z1に配置されたヨーク板641からなる。ヨーク板641は、X方向の両端部からZ方向の他方側Z2に向けて折れ曲がった側板部641b、641cを有しており、側板部641b、641cの先端には凹部が形成されている。
【0086】
(第2磁気駆動回路7の詳細構成)
図16は、
図14に示す第2磁気駆動回路7の分解斜視図である。
図13、
図14および
図16に示すように、第2コイルホルダ75は、第2コイル71を内側に保持する第2枠部76と、第2枠部76の端部(4つの角)からZ方向の両側に突出した複数の第2柱状部79とを備えており、第2柱状部79は、Z方向の一方側Z1で隣り合う第1コイルホルダ65の第1柱状部69と連結されている。第2コイルホルダ75は、樹脂製あるいは金属製である。本形態において、第2コイルホルダ75は、樹脂製である。
【0087】
第2磁気駆動回路7に用いた第2コイル71は、X方向に延在する第2有効辺部分711、712(長辺部分)を有する長円形状の空芯コイルである。かかる形状に対応して、第2コイルホルダ75の第2枠部76には、X方向に長径方向を向けた長円形状の第2開口部77が形成されており、第2開口部77の内側に第2コイル71が接着等により固定される。
【0088】
第2コイルホルダ75において、第2枠部76に対してZ方向の一方側Z1には、第2開口部77のX方向の両端部と重なる位置に、第2コイル71の両端部でY方向に延在する第2無効辺部分713、714(短辺部分)をZ方向の一方側Z1で支持する第2座部781、782が形成されている。第2座部781、782は、第2枠部76からZ方向の一方側Z1に突出し、第2開口部77のX方向の両端部でZ方向の一方側Z1の底部を構成している。第2枠部76には、第2開口部77から縁に向けて凹部762が延在しており、かかる凹部762は、第2コイル71の巻き始めの引き出し部分を通すガイド部である。第2枠部76の厚さ(Z方向の寸法)は、第2コイル71の厚さ(Z方向の寸法)より大である。このため、第2開口部77の内側に第2コイル71が収容された状態で、第2コイル71は、第2枠部76からZ方向の他方側Z2に突出していない。
【0089】
第2磁石721、722は各々、長方形の平面形状を有しており、Y方向に長辺が延在し、Y方向に短辺が延在している。第2磁石721、722は各々、Y方向に分極着磁されており、N極およびS極が各々、第2コイル71の第2有効辺部分711、712に対向している。したがって、第2コイル71に通電すると、第2磁気駆動回路7は、可動体3をY方向に駆動する駆動力を発生させる。第2磁気駆動回路7において、第2ヨーク74は、第2コイル71に対してZ方向の一方側Z1に配置されたヨーク板741と、第2コイル71に対してZ方向の他方側Z2に配置されたヨーク板742とからなる。ヨーク板742は、第2磁石722をZ方向の一方側Z1の面で保持する平板状の磁石保持部742aと、磁石保持部742aのY方向の両端部からZ方向の一方側Z1に向けて折れ曲がった側板部742b、742cと、磁石保持部742aのX方向の両端部からX方向の両側に突出した連結板部742f、742gとを有している。側板部742b、742cの先端部には凸部が形成され、連結板部742f、742gの先端部には切り欠きが形成されている。本形態では、ヨーク板742の磁石保持部742aのZ方向の他方側Z2の面には、第3磁気駆動回路8の第3磁石821が保持されている。
【0090】
ヨーク板741は、第2磁石721をZ方向の他方側Z2の面で保持する平板状の磁石保持部741aと、磁石保持部741aのY方向の両端部からY方向の一方側Y1および他方側Y2に突出した連結板部741b、741cと、磁石保持部741aのX方向の両端部からX方向の一方側Y1および他方側Y2に突出した連結板部741f、741gとを有している。連結板部741b、741c、741f、741gの先端部には切り欠きが形成されている。本形態では、ヨーク板742の磁石保持部742aのZ方向の他方側Z2の面には、第3磁気駆動回路8の第3磁石821が保持されている。
【0091】
本形態では、ヨーク板742の側板部742bの先端部に形成された凸部がヨーク板741の連結板部741bの先端部に形成された切り欠きに嵌った状態で、側板部742bの先端部と連結板部741bの先端部とが溶接やカシメ等によって連結されている。また、ヨーク板742の側板部742cの先端部に形成された凸部がヨーク板741の連結板部741cの先端部に形成された切り欠きに嵌った状態で、側板部742cの先端部と連結板部741cの先端部とが溶接やカシメ等によって連結されている。
【0092】
また、ヨーク板741の連結板部741fの先端部に形成された切り欠きに、
図15に示すヨーク板641の側板部641bの先端部に形成された凸部が嵌った状態で、側板部641bの先端部と連結板部741fの先端部とが溶接やカシメ等によって連結されている。また、ヨーク板741の連結板部741gの先端部に形成された切り欠きに、
図15に示すヨーク板641の側板部641cの先端部に形成された凸部が嵌った状態で、側板部641cの先端部と連結板部741gの先端部とが溶接やカシメ等によって連結されている。
【0093】
(第3磁気駆動回路8の詳細構成)
図17は、
図14に示す第3磁気駆動回路8の分解斜視図である。
図13、
図14および
図17に示すように、第3コイルホルダ85は、第3コイル81を内側に保持する第3枠部86と、第3枠部86の端部(4つの角)からZ方向の両側に突出した複数の第3柱状部89とを備えており、第3柱状部89は、Z方向の一方側Z1で隣り合う第2コイルホルダ75の第2柱状部79と連結されている。また、第3柱状部89は、第2端板29と連結されている。第3コイルホルダ85は、樹脂製あるいは金属製である。本形態において、第3コイルホルダ85および第2端板29は、樹脂製である。
【0094】
第3磁気駆動回路8は、第1磁気駆動回路6と同様に構成されている。より具体的には、第3磁気駆動回路8に用いた第3コイル81は、Y方向に延在する第3有効辺部分(長辺部分)を有する長円形状の空芯コイルである。かかる形状に対応して、第3コイルホルダ85の第3枠部86には、Y方向に長径方向を向けた長円形状の第3開口部87が形成されており、第3開口部87の内側に第3コイル81が接着等により固定される。
【0095】
第3コイルホルダ85において、第3枠部86に対してZ方向の一方側Z1には、第3開口部87のY方向の両端部と重なる位置に、第3コイル81の両端部でX方向に延在する第3無効辺部分813、814(短辺部分)をZ方向の一方側Z1で支持する第3座部881、882が形成されている。第3座部881、882は、第3枠部86からZ方向の一方側Z1に突出し、第3開口部87のY方向の両端部でZ方向の一方側Z1の底部を構成している。第3枠部86には、第3開口部87から縁に向けて凹部862が延在しており、かかる凹部862は、第3コイル81の巻き始めの引き出し部分を通すためのガイド部である。第3枠部86の厚さ(Z方向の寸法)は、第3コイル81の厚さ(Z方向の寸法)より大である。このため、第3開口部87の内側に第3コイル81が収容された状態で、第3コイル81は、第3枠部86からZ方向の他方側Z2に突出していない。
【0096】
第3磁石821は、長方形の平面形状を有しており、X方向に長辺が延在し、Y方向に短辺が延在している。第3磁石821は、X方向で着磁されており、N極およびS極が各々、第3コイル81の第3有効辺部分811、812に対向している。したがって、第3コイル81に通電すると、第3磁気駆動回路8は、第1磁気駆動回路6と同様、可動体3をX方向に駆動する駆動力を発生させる。本形態において、第3磁石821は、第1磁気駆動回路6の第1磁石622と同一の向きに着磁されている。
【0097】
第3磁気駆動回路8において、第3ヨーク84は、第3コイル81に対してZ方向の他方側Z2に配置されたヨーク板842とからなる。ヨーク板842は、X方向の両端部からZ方向の一方側Z1に向けて折れ曲がった側板部842b、842cを有しており、側板部842b、842cの先端部には凸部が形成されている。本形態では、ヨーク板842の側板部842bの先端部に形成された凸部がヨーク板742の連結板部742fの先端部に形成された切り欠きに嵌った状態で、側板部842bの先端部と連結板部742fの先端部とが溶接やカシメ等によって連結される。また、ヨーク板842の側板部842cの先端部に形成された凸部がヨーク板742の連結板部742gの先端部に形成された切り欠きに嵌った状態で、側板部842cの先端部と連結板部742gの先端部とが溶接やカシメ等によって連結される。
【0098】
(磁気駆動回路の磁気的中心と可動体3の重心との位置関係)
このように構成したアクチュエータ1において、第1コイル61、第2コイル71、第3コイル81、第1コイルホルダ65、第2コイルホルダ75、第3コイルホルダ85、は、可動体3のX方向の中心を通ってY方向に延在する仮想線の中心とする線対称、かつ、Y方向の中心を通ってX方向に延在する仮想線の中心とする線対称に構成されている。また、第1磁石622、第2磁石721、722、第3磁石821、第1ヨーク64、第2ヨーク74、および第3ヨーク84は、可動体3のX方向の中心を通ってY方向に延在する仮想線の中心とする線対称、かつ、Y方向の中心を通ってX方向に延在する仮想線の中心とする線対称に構成されている。また、第2コイル71は、可動体3のZ方向の中心に配置され、第2磁石721、722は、第2コイル71を中心にZ方向で面対称に配置されている。また、第1磁石622、および第1ヨーク64は、第3磁石821および第3ヨーク84に対して、第2コイル71を中心にZ方向で面対称に配置されている。
【0099】
したがって、第2磁気駆動回路7の磁気的中心位置(駆動中心)は、Z方向、X方向、およびY方向において可動体3の重心と一致する位置、またはほぼ一致する位置にある。また、第1磁気駆動回路6の磁気的中心位置と第3磁気駆動回路8の磁気的中心位置とを合成した磁気的中心位置は、Z方向、X方向、およびY方向において可動体3の重心と一致する位置、またはほぼ一致する位置にある。
【0100】
(基本動作)
本形態のアクチュエータ1において、第1コイル61および第3コイル81に交流を印加する一方、第2コイル71への通電を停止すると、可動体3は、X方向に振動するため、アクチュエータ1における重心がX方向に変動する。このため、利用者は、X方向の振動を体感することができる。その際、第1コイル61および第3コイル81に印加する交流波形を調整して、可動体3がX方向の一方側X1に移動する加速度と、可動体3が第2方向の他方側X2に移動する加速度とを相違させれば、利用者は、X方向において方向性を有する振動を体感することができる。
【0101】
また、第2コイル71に交流を印加する一方、第1コイル61および第3コイル81への通電を停止する。その結果、可動体3は、Y方向に振動するため、アクチュエータ1における重心がY方向に変動する。このため、利用者は、Y方向の振動を体感することができる。その際、第2コイル71に印加する交流波形を調整して、可動体3がY方向の一方側Y1に移動する加速度と、可動体3が第3方向の他方側Y2に移動する加速度とを相違させれば、利用者は、Y方向において方向性を有する振動を体感することができる。
【0102】
また、第1コイル61および第3コイル81への通電と第2コイル71への通電とを組み合わせれば、利用者は、X方向での振動とY方向での振動とを組み合わせた体感を得ることができる。さらに、第1コイル61と第3コイル81とに逆位相の交流を印加すると、可動体3には、Z方向に延在する中心軸線周りの偶力が加わるので、利用者は、さらに複雑な体感を得ることができる。
【0103】
(ストッパ機構)
本形態のアクチュエータ1では、可動体3が支持体2に対して過度に移動した際、強度の弱い個所が当接しないように、
図11および
図12に示すストッパ機構が設けられている。より具体的には、
図12に示すように、第1磁石622に対してY方向の一方側Y1で所定の間隔を介して対向する位置には、第1コイルホルダ65の第1座部681が位置し、第1磁石621に対してY方向の他方側Y2で所定の間隔を介して対向する位置には、第1コイルホルダ65の第1座部682が位置している。また、第3磁石821に対してY方向の一方側Y1で所定の間隔を介して対向する位置には、第3コイルホルダ85の第3座部881が位置し、第3磁石821に対してY方向の他方側Y2で所定の間隔を介して対向する位置には、第3コイルホルダ85の第3座部882が位置している。本形態において、第1座部681、682のY方向で第1磁石622と対向する側端部が第1ストッパ部683、684として機能する。また、第3座部881、882のY方向で第3磁石821と対向する側端部が第3ストッパ部883、884として機能する。したがって、第2磁気駆動回路7によって可動体3をY方向に駆動した際の可動体3のY方向への可動範囲は、第1磁気駆動回路6の第1磁石622と第1コイルホルダ65の第1座部681、682(第1ストッパ部683、684)とによって構成されたストッパ機構、および第3磁気駆動回路8の第3磁石821と第3コイルホルダ85の第3座部881、882(第3ストッパ部883、884)とによって構成されたストッパ機構によって規制されている。
【0104】
本形態において、第1ストッパ部683、684は、第1コイル61の第1無効辺部分613、614の内縁より第1磁石621の側に位置している。このため、第1コイル61の巻き始め側の引き出し部分が、例えば、第1無効辺部分613の内縁から第1コイル61と第1座部681との間を通っている場合でも、第1コイル61の巻き始め側の引き出し部分に第1磁石622が接触するという事態が発生しにくい。それゆえ、第1コイル61の巻き始め側の引き出し部分が断線するという事態が発生しにくい。また、第3ストッパ部883、884は、第3コイル81の第3無効辺部分813、814の内縁より第3磁石821の側に位置している。このため、第3コイル81の巻き始め側の引き出し部分が、例えば、第3無効辺部分813の内縁から第3コイル81と第3座部881との間を通っている場合でも、第3コイル81の巻き始め側の引き出し部分に第3磁石821が接触するという事態が発生しにくい。それゆえ、第3コイル81の巻き始め側の引き出し部分が断線するという事態が発生しにくい。
【0105】
また、
図11に示すように、第2磁気駆動回路7の第2磁石721に対してX方向の一方側X1で所定の間隔を介して対向する位置には、第2コイルホルダ75の第2座部781が位置し、第2磁石721に対してX方向の他方側X2で所定の間隔を介して対向する位置には、第2コイルホルダ75の第2座部782が位置している。本形態において、第2座部781および第2座部782のX方向で第2磁石721と対向する側端部が第2ストッパ部783、784として機能する。したがって、第1磁気駆動回路6および第3磁気駆動回路8によって可動体3をX方向に駆動した際の可動範囲は、第2磁気駆動回路7の第2磁石721と第2コイルホルダ75の第2座部781、782(第2ストッパ部783、784)とによって構成されたストッパ機構によって規制されている。
【0106】
本形態において、第2ストッパ部783、784は、第2コイル71の第2無効辺部分713、714の内縁より第2磁石721の側に位置している。このため、第2コイル71の巻き始め側の引き出し部分が、例えば、第2無効辺部分713の内縁から第2コイル71と第2座部781との間を通っている場合でも、第2コイル71の巻き始め側の引き出し部分に第2磁石721が接触するという事態が発生しにくい。それゆえ、第2コイル71の巻き始め側の引き出し部分が断線するという事態が発生しにくい。
【0107】
(本形態の主な効果)
以上説明したように、本形態のアクチュエータ1においても、実施の形態1と同様、第1磁気駆動回路6、第2磁気駆動回路7、および第3磁気駆動回路8がZ方向に重ねて配置されているため、アクチュエータ1をZ方向からみたときのサイズ(平面積)が小さい。それゆえ、本形態のアクチュエータ1は、手に持つコントローラ等の機器に搭載するのに適している。さらに、可動体3をY方向に振動させる第2磁気駆動回路7に対してZ方向の両側に、可動体3をX方向に振動させる第1磁気駆動回路6および第3磁気駆動回路8が設けられているため、可動体3をX方向に振動させた際、可動体3が傾く等の事態が発生しにくい等、実施の形態1と同様な効果を奏する。
【0108】
また、本形態では、第2磁気駆動回路7において、第2磁石721を保持する第2ヨーク74のヨーク板741によって、第2磁気駆動回路7の第1磁石622を保持している。また、第2磁気駆動回路7において、第2磁石722を保持する第2ヨーク74のヨーク板742によって、第3磁気駆動回路8の第3磁石821を保持している。したがって、ヨーク板の数を減らすことができるので、部品点数の削減やアクチュエータ1の軽量化を図ることができる。また、アクチュエータ1の高さ(Z方向の寸法)を圧縮することができる。
【0109】
[他の実施の形態]
上記実施の形態2では、第1磁気駆動回路6に1枚の第1磁石622を用い、第3磁気駆動回路8に1枚の第3磁石821を用いたが、実施の形態1と同様、第1磁気駆動回路6において第1コイル61のZ方向の両側に第1磁石621、622を配置し、第3磁気駆動回路8において第3コイル81のZ方向の両側に第3磁石821、822を配置してもよい。
【0110】
上記実施の形態1、2では、弾性部材4(粘弾性部材)を可動体3のZ方向の両側に配置したが、可動体3のX方向の両側、および可動体3のY方向の両側に弾性部材4(粘弾性部材)を配置してもよい。また、上記実施の形態1、2では、弾性部材4としてゲル状ダンパー部材を用いたが、ゴムやバネ等を弾性部材4として用いてもよい。ゲル状部材(ゲル状ダンパー部材)としては、シリコーン系ゲルを例示することができる。より具体的には、弾性部材4として、針入度が10度から110度であるシリコーン系ゲルを用いることができる。針入度とは、JIS-K-2207やJIS-K-2220で規定されており、この値が小さい程、硬いことを意味する。
【0111】
また、粘弾性とは、粘性と弾性の両方を合わせた性質のことであり、ゲル状部材、プラスチック、ゴム等の高分子物質に顕著に見られる性質である。したがって、粘弾性を備えた弾性部材4として、天然ゴム、ジエン系ゴム(例えば、スチレン・ブタジエンゴム、イソプレンゴム、ブタジエンゴム)、クロロプレンゴム、アクリロニトリル・ブタジエンゴム等)、非ジエン系ゴム(例えば、ブチルゴム、エチレン・プロピレンゴム、エチレン・プロピレン・ジエンゴム、ウレタンゴム、シリコーンゴム、フッ素ゴム等)、熱可塑性エラストマー等の各種ゴム材料及びそれらの変性材料を用いてもよい。
【0112】
また、上記実施の形態1、2において、第1弾性部材41のZ方向の両面を各々、可動体3および第1端板28に接着により接続し、第2弾性部材42のZ方向の両面を各々、可動体3および第2端板29に接着により接続する際、弾性部材4(第1弾性部材41および第2弾性部材42)は、支持体2と可動体3との間でZ方向に圧縮された状態にある。したがって、弾性部材4は、可動体3の移動に確実に追従するので、可動体3の共振を効果的に防止することができる。
【0113】
上記実施の形態1、2では、コイルおよびコイルホルダが支持体2に設けられ、磁石およびヨークが可動体3に設けられていたが、コイルおよびコイルホルダが可動体3に設けられ、磁石およびヨークが支持体2に設けられている場合に本発明を適用してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0114】
本発明では、可動体を第2方向に振動させる第1磁気駆動回路、可動体を第3方向に振動させる第2磁気駆動回路、および可動体を第2方向に振動させる第3磁気駆動回路が設けられているため、可動体を第2方向および第3方向に振動させることができる。したがって、使用者に第2方向の振動、第3方向の振動、第2方向の振動と第3方向の振動とを組み合わせた振動を体感させることができる。また、第1磁気駆動回路、第2磁気駆動回路、および第3磁気駆動回路が第1方向に重ねて配置されているため、アクチュエータを第1方向からみたときのサイズ(平面積)が小さい。それゆえ、本発明を適応したアクチュエータは、手に持つコントローラ等の機器に搭載するのに適している。さらに、可動体を第3方向に振動させる第2磁気駆動回路に対して第1方向の両側に、可動体を第2方向に振動させる第1磁気駆動回路および第3磁気駆動回路が設けられているため、可動体を第2方向に振動させた際、可動体が傾く等の事態が発生しにくい。