(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-11
(45)【発行日】2022-03-22
(54)【発明の名称】バルブデバイス
(51)【国際特許分類】
E03C 1/122 20060101AFI20220314BHJP
F16K 31/18 20060101ALI20220314BHJP
F16K 24/06 20060101ALI20220314BHJP
【FI】
E03C1/122 A
F16K31/18 C
F16K24/06 A
(21)【出願番号】P 2018521273
(86)(22)【出願日】2016-10-18
(86)【国際出願番号】 SE2016051006
(87)【国際公開番号】W WO2017069685
(87)【国際公開日】2017-04-27
【審査請求日】2019-09-30
(32)【優先日】2015-10-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】SE
(73)【特許権者】
【識別番号】519139804
【氏名又は名称】アクティーボラゲット ドルゴ
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100111039
【氏名又は名称】前堀 義之
(72)【発明者】
【氏名】ハンス・ハンソン
(72)【発明者】
【氏名】ハンス・ヴィデル
【審査官】七字 ひろみ
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-124356(JP,A)
【文献】特開2010-276036(JP,A)
【文献】特開平05-332203(JP,A)
【文献】特開2013-036601(JP,A)
【文献】特開2001-271952(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0209175(US,A1)
【文献】特開2014-074483(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E03C 1/12-1/33
F16K 31/18-31/34
F16K 21/00-24/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
バルブデバイス(1)内の圧力と周囲雰囲気とを均圧化するためのバルブデバイス(1)であって、
パイプ(5)の上端に接続されてチャンバ(7)を形成するハウジング(3)と、
前記パイプ(5)の上端部の逆止弁座(17)を開閉し、周囲雰囲気と前記チャンバ(7)内との圧力差が所定値以上で、前記チャンバ(7)と周囲雰囲気とを連通する逆止弁(9)と、
フロート弁座(15)を閉鎖する可動バルブ部(13)を有し、前記パイプ(5)の上端開口部内に位置し、非作動状態で液体の流動を許容し、前記パイプ(5)に流入する液体によって上方に移動し、前記フロート弁座(15)を閉鎖して液体が前記チャンバ(7)に到達するのを防止するフロート弁(11)と、
を備え、
前記可動バルブ部(13)が
、凸状の上面(27)と、前記凸状の上面(27)の最下部(29)の周囲によって画定されたエリアに対応する平らな底面(23)とを備えることを特徴する、バルブデバイス(1)。
【請求項2】
接平面(31)と、前記凸状の上面(27)の前記最下部(29)および前記可動バルブ部(13)の前記平らな底面(23)と平行である面との間の角度(a)が、直角(α')である、請求項1に記載のバルブデバイス(1)。
【請求項3】
接平面(31)と、前記凸状の上面(27)の前記最下部(29)および前記可動バルブ部(13)の前記平らな底面(23)と平行である面との間の角度(a)が、鋭角(α'')である、請求項1に記載のバルブデバイス(1)。
【請求項4】
前記平らな底面(23)が、前記凸状の上面(27)の前記最下部(29)の前記周囲によって画定されたエリアである、請求項1から請求項3のいずれか1つに記載のバルブデバイス(1)。
【請求項5】
前記可動バルブ部(13)が、前記凸状の上面(27)の前記最下部(29)の前記周囲と前記平らな底面(23)と間で延在する、中間
の円筒状のセクション(37)を備える、請求項1から請求項3のいずれか1つに記載のバルブデバイス(1)。
【請求項6】
前記中間
の円筒状のセクション(37)の側壁の長さが、前記円筒状のセクション(37)の幅の少なくとも5%である、請求項5に記載のバルブデバイス(1)。
【請求項7】
前記中間
の円筒状のセクション(37)の側壁の長さが、前記円筒状のセクション(37)の幅の10%以上である、請求項6に記載のバルブデバイス(1)。
【請求項8】
前記中間
の円筒状のセクション(37)の側壁の長さが、前記可動バルブ部(13)の幅の50%よりも短い、請求項5から請求項7のいずれか1つに記載のバルブデバイス(1)。
【請求項9】
前記凸状の上面(27)が、球の切片形状をしている、請求項1から請求項8のいずれか1つに記載のバルブデバイス(1)。
【請求項10】
前記凸状の上面(27)が、偏球の切片形状をしており、前記切片形状が、前記偏球の外面と、前記偏球の短軸に垂直である偏球の平面とによって画定される、請求項1から請求項8のいずれか1つに記載のバルブデバイス(1)。
【請求項11】
前記パイプ(5)が、前記パイプ(5)の下端(35)への方向に広がるフレア部(33)を備える、請求項1から請求項10のいずれか1つに記載のバルブデバイス(1)。
【請求項12】
前記フレア部(33)が、円錐台の形状をしている、請求項11に記載のバルブデバイス(1)。
【請求項13】
前記
フロート弁座(15)が、前記パイプ(5)の前記フレア部(33)内に配置される、請求項11または請求項12に記載のバルブデバイス(1)。
【請求項14】
前記バルブデバイス(1)が、前記可動バルブ部(13)を収容するように構成されるケージ(41)を備える、請求項1から請求項10のいずれか1つに記載のバルブデバイス(1)。
【請求項15】
前記
フロート弁座(15)が、前記ケージ(41)の上部(43)に配置される、請求項14に記載のバルブデバイス(1)。
【請求項16】
少なくとも1つのフロア(51)を持った建物に配置される配管システム(47)であって、
前記少なくとも1つのフロア(51)において前記配管システム(47)に接続された少なくとも1つの排水発生器(57)を備え、
前記配管システム(47)が、請求項1から請求項10のいずれか1つに記載のバルブデバイス(1)の少なくとも1つを備える、配管システム(47)。
【請求項17】
前記配管システムが、排水配管システムである、請求項16に記載の配管システム。
【請求項18】
前記少なくとも1つのバルブデバイスが、前記少なくとも1つの排水発生器(57)よりも下に位置する、請求項16または請求項17に記載の配管システム(47)。
【請求項19】
前記少なくとも1つのバルブデバイスが、前記少なくとも1つのフロア(51)の下に位置する、請求項16から請求項18のいずれか1つに記載の配管システム(47)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、バルブデバイス内の圧力と周囲雰囲気とを均圧化するためのバルブデバイスに関する。具体的には、この発明は、前記均圧化を行うための逆止弁を持ったチャンバを備えるバルブデバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
排水システムのような配管システムが最適に機能するために、該システムは、正確に設計するとともに通気しなければならない。使用中にシステムで発生する圧力変化は、例えば水トラップを空にし、悪臭および湿気を引き起こすことができる。通気は、屋根を貫通する通風管で伝統的に行われている。
【0003】
今日、通気バルブは、あらゆる排水システムの当然の(natural)部分である。バルブは、排水管に直接に設けられ、これにより、時間とお金がかかる屋根での穴を回避する。当該穴は、リークを始めるとともに、湿気および建物への他の損傷につながり始める。チャンバ内の圧力が、バルブデバイスの外側を取り巻く雰囲気の圧力よりも低いとき、通気バルブは排水システムに空気を入れる。それは、圧力を等しくして、水が水トラップから排水されることを停止させる。標準圧または過圧で、通気バルブが、閉じられかつ密封されて、汚れた空気が建物に漏れ出ることを防止する。
【0004】
このように、通気バルブは、よく知られており、いわゆる水シールを介して水洗便所、浴槽、洗面器、キッチンシンクなどに接続される、排水管あるいは汚水管に取り付けることができる。バルブが接続されるパイプにおける圧力が、周囲雰囲気での圧力と等しいか又は高いとき、通気バルブは、通常閉じられている。パイプにおける圧力が通気バルブを囲む雰囲気の圧力よりも高いとき、通気バルブはパイプチャネルを実質的に密閉する。しかしながら、パイプにおける圧力が周囲雰囲気よりも低いとき、通気バルブは、バルブデバイスおよびバルブデバイスに接続された配管システムの圧力を等しくするように、開いて、周囲空気が入ることを可能にするであろう。これは、水トラップにおける液体が水トラップから吸い取られることを防止する。液体が水トラップ(例えば水洗便所に設けられた)から取り除かれた場合、空気および排ガスは、水シールが設けられた部屋およびスペースに自由に通過できるであろう。通気バルブが排水管に取り付けられるとき、通気バルブはさらに臭気および暖かく湿った空気が排水管から流出することを防止するであろう。下水システムの設置は屋内で終了することができる。
【0005】
欧州特許EP 0 867 569号は、その下面で環状のシール座金を支える、垂直に移動可能なバルブプレートを含む空気バルブを示す。シール座金は、その半径方向の内側及び外側のエッジが上方へ面して、弁座リングの上で密閉することができる。シール座金は、リング座の間の環状のギャップを密閉する。バルブ座金は、シール座金とシール座金を支えるガイドプレートとの結合した重量の影響下で通常着座する。バルブは、バルブデバイスの内部と周囲雰囲気との間の圧力差に応じて開く。
【0006】
しかしながら、通気バルブに接続された配管システム内に収容される液体が、接続されたパイプを通じて立ち上がる(rise up)場合、通気バルブの内部部品が汚染されることがあるので、先行技術の短所が存在する。配管システムでの圧力が周囲雰囲気での圧力よりも高いとき、および/または、配管システムの部分内に過剰の液体があるとき、および/または配管システム内の目詰まりにより、このことが生じる場合がある。通気バルブが汚染される場合、弁座に対するシール座金のピッタリとした適合(fitting)に影響する粒子の汚染によって通気バルブが適切に密閉しないという危険性が存在する。これは、同様にして、液体および悪臭/臭気が、衛生上の問題を引き起こす通気バルブからの漏れを可能にするバルブの保証されていない密封につながる。バルブの取り付けが高さ制限のあるスペースにピッタリと適合するには低いとき、これが生じる危険性が増加する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
この発明の目的は、先行技術の欠点を減少するかまたは除去するバルブデバイスを提供することである。より具体的には、この発明の目的は、デバイス内の均圧化を提供するバルブデバイス、および、バルブデバイス内で低い流れ抵抗および/または乱流を備える、バルブデバイスと周囲雰囲気との間の流体連通を提供しながら、バルブデバイスと周囲雰囲気とに接続されるあらゆる配管システムを提供することである。この発明のさらに一層の目的は、接続される配管システムからの液体がバルブデバイスのチャンバに入るのを防止するバルブデバイスを提供することである。別の目的は、少なくとも1つの排水ソースを持った少なくとも1つのフロアを備えた建物に配置される効率的な排水配管システムを提供することである。当該排水配管システムが、少なくとも1つの対応するバルブデバイスを備える。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この発明の1つの態様によれば、この発明は、バルブデバイス内の圧力と周囲雰囲気とを均等化するためのバルブデバイスを提供する。バルブデバイスは、チャンバとパイプとを備える。チャンバは、パイプの上端で接続される。チャンバは、パイプと選択的な流体連通している。チャンバは、周囲雰囲気とチャンバ内の圧力との間の圧力差が、所定値に達するときに、チャンバと周囲雰囲気との間の流体連通を可能にするように構成される逆止弁を備える。チャンバ内の圧力がバルブデバイスの外側を取り巻く雰囲気の圧力よりも低いとき、チャンバと周囲雰囲気との間の流体連通が可能になることができる。チャンバと周囲雰囲気との間の流体連通は、特徴的に、周囲雰囲気からチャンバへの1方向連通である。バルブデバイスは、バルブデバイスがフロート弁をさらに備えることを特徴とする。フロート弁は、可動バルブ部とパイプ内に位置した弁座とを備える。フロート弁は、非作動状態(inactive state)でバルブデバイス内での流体連通を可能にするように構成され、液体がパイプの下端を通じてパイプに入るとき、流体連通を止めるために弁座と係合して液体がチャンバに達することを防止するように構成され、そして、これにより、液体が周囲雰囲気に達することを防止する。可動バルブ部は、実質的に凸状の上面と、凸状の上面の最下部の周囲(perimeter)によって画定されたエリアに対応する平らな底面とを備える。
【0009】
これは、単一のバルブデバイスが、逆止弁およびフロート弁の両方のユーティリティを提供するという長所を有する。それは、バルブデバイスを囲む空気圧に関してバルブデバイスのチャンバ内の圧力を等しくできるデバイスを提供する。従って、バルブデバイスが建物又は施設の排水配管システムや類似したものに接続されるとき、バルブデバイスは、同様にして配管システムでの圧力を等しくする一方で、同時に排水がバルブデバイスのチャンバおよびバルブデバイスを囲む雰囲気に達することを防止する。排水配管システムが配管システム内の圧力変動をしばしば受けるので、バルブデバイスは、圧力変動を緩和するとともに、配管システム内の排水の流れを安定させる。これは、周囲雰囲気に関する負の圧力を等しくする。それによって、パイプ内の低圧が逆止弁で等しくなるので、配管システムに収容される水トラップは、パイプ内の低圧によって排水されることが、とりわけ防止される。
【0010】
フロート弁の可動バルブ部の実質的に凸状の上面を備える別の利点は、平らな上面と比較してより少ない乱流を生じさせる方法で、バルブデバイスのチャンバからパイプの方に、流体(好ましくは空気)をガイドするのを助ける。
【0011】
さらに一層の利点は、凸状の上面の最下部の周囲によって画定されたエリアに対応する平らな底面によって、パイプの内部と実質的に平行な方向に動くように流体の流れがガイドされることである。それは、バルブデバイス内の乱流を低下させる。
【0012】
低い乱流を持ったバルブデバイスを備える利点は、バルブデバイスが、不必要な音およびノイズを引き起こさずに流体の流れを方向付けする(direct)とともに、低い乱流が、流体のより有効な流れと、システム内のより少ない抵抗を備えたより効率的な均圧化とを作り出すということである。
【0013】
バルブデバイスが配管システムに接続されるとき、バルブデバイスは、バルブデバイスが接続される配管システムと周囲雰囲気との間での均圧化を提供する。
【0014】
この発明の別の態様によれば、接平面と、凸状の上面の最下部および可動バルブ部の平らな底面と平行である面との間の角度は、直角である。
【0015】
流れが凸状の上面の最下部の周囲を通過するとき、パイプが直管であるならば、これは、流体の流れが可動バルブ部の平らな底面と垂直であり、且つ、パイプの内側面と平行であるという長所を有する。これは、同様にしてバルブデバイスの乱流を低下させるであろう。
【0016】
この発明のさらに別の態様によれば、接平面と、凸状の上面の最下部および可動バルブ部の平らな底面と平行である面との間の角度は、鋭角である。
【0017】
これは、流体の流れが、鋭角の角度に依存して、平らな底面に関して角度をなしているパスに方向付けられるという長所を有する。角度をなしている流路が非ストレートのパイプと平行であるように方向付けされるので、パイプが非ストレートである場合、これは有益になることができる。それは、該パイプでの乱流を低下させる。
【0018】
この発明のさらなる態様によれば、平らな底面は、凸状の上面の最下部の周囲によって画定されたエリアである。
【0019】
これは、バルブデバイスの可動バルブ部が、バルブデバイスでの低い流れ抵抗および乱流を提供する形状をしている一方で、同時に、バルブデバイスをより小さくして狭い空間に設置することを可能にするコンパクトな形状を備える可動バルブ部を提供するという長所を有する。
【0020】
この発明のさらに一層の態様によれば、可動バルブ部は、中間の実質的に円筒状のセクションを備え、該円筒状のセクションが、凸状の上面と平らな底面との間で延在する。
【0021】
これは、可動バルブ部が低い流れ抵抗および乱流を備えたフロート弁を提供する一方で、同時に、それを囲む流体の流れにより揺動および/または振動を受ける危険性の低下した安定した可動バルブ部を提供するという長所を有する。これは、増加した流下能力および少ないノイズを提供する。
【0022】
この発明の別の態様によれば、中間の実質的に円筒状のセクションの側壁の長さは、円筒状のセクションの直径の少なくとも5%であり、好ましくは、円筒状のセクションの直径の10%以上(above 10% times)である。
【0023】
これは、低い流れ抵抗および乱流を備えたフロート弁のより安定した可動バルブ部が提供されるという長所を有する。これは、最適な流下能力を達成することを提供する。可動バルブ部の傾斜または転倒(tipping)の危険性が低く、または、可動バルブ部が詰まる危険性が低い。これは、液体がパイプに入り、それによって流体連通を停止させて液体がチャンバに達することを防止するとき、可動バルブ部が弁座に対してきっちりと密閉されることを確保する。
【0024】
この発明の別の態様によれば、中間の実質的に円筒状のセクションの側壁の長さは、円筒状のセクションの直径の最大50%である。
【0025】
より長い延長を有する円筒状のセクションは、流下能力に対して制限された改良、あるいは非改良を提供するであろう。短い延長を有する可動バルブ部は、短い延長を有するバルブデバイスの設計を可能にする。それは、よりフレキシブルな設置条件および低コストにつながる。
【0026】
この発明の別の態様によれば、実質的に凸状の上面は、球の切片形状(shape of a section)を有する。
【0027】
これは、同様にしてデバイスに対する製造コスト低減につながる、バルブデバイスの可動バルブ部が、形成および製造を容易にする非常に共通した幾何学的形状をしているという長所を有する。
【0028】
この発明のさらなる態様によれば、凸状の上面は、偏球の切片形状をしている。その切片は、前記偏球の外面と、回転楕円体内のできるだけ小さな軸に垂直な偏球の平面とによって画定される。
【0029】
これは、可動バルブ部の特性が凸状の上面の周囲の球の切片の特性に非常に近い一方で、同時に、球形状の凸状の上部を持った可動バルブ部と比較して可動バルブ部の全高を低くするという長所を有する。スペースが問題であって、バルブデバイスが狭い空間に適合する(fit into)のに十分に小さくなければならない場合に、これは有益である。
【0030】
この発明のさらに一層の態様によれば、パイプは、パイプの下端に向かう方向に広がる、フレア部分(flared portion)を備える。
【0031】
これは、液体が下方からパイプに入る場合に、フロート弁がパイプを密閉する能力に影響しないで、非作動状態での可動バルブ部およびパイプの内部からの距離が増加できるので、流体の流れの断面積が増加できるという長所を有する。広がったパイプ部分を備えるさらなる利点は、接平面と凸状の上面の最下部に平行である面の角度、広がったところの角度との角度が、流体の流れを最適化するために、および、バルブデバイス内の乱流をできるだけ低下させるために、互いに関して調節できることである。広がったパイプ部分(flared pipe portion)を備えるさらに一層の利点は、同じサイズのチャンバが使用できるので、様々なサイズの配管システムに対応するバルブデバイス間の取り付け(fitting)がより簡単になる一方で、広がったパイプ部分の長さの変更によってパイプのサイズが調節できることである。
【0032】
この発明の別の態様によれば、フレア部分は円錐台の形をしている。
【0033】
これは、広がったパイプ部分が、作成が容易でしたがって安く製造する産業用途において一般的な形をしているという長所を有する。
【0034】
この発明のさらに別の態様によれば、弁座が、パイプのフレアアウト部分(flared out portion)内に配置される。
【0035】
これは、流体の流路の断面積が、弁座の挿入により低下しないであろうという長所を有する。これは、流体の流路の制限が少ないため、バルブデバイス内の乱流および抵抗を低下させるので、有益である。
【0036】
この発明のさらなる態様によれば、デバイスは、移動するバルブ部を収容するように構成されるケージ(cage)を備える。
【0037】
これは、可動バルブ部が簡単な方法でバルブデバイス内にしっかりと適所に保持される一方で、同時に、可動バルブ部の形状の完全性(integrity)がフロート弁のシール機能に必須であるので有益である可動バルブ部への保護を提供するという長所を有する。
【0038】
この発明のさらに一層の態様によれば、弁座はケージの上部に配置される。
【0039】
これは、製造プロセス効率を増加させることができる個々のパーツを共に別々に製造して取り付けられる(fitted)ことができるので、バルブデバイスの製造プロセスが、より簡単に管理されるという長所を有する。これは、逆止弁およびバルブデバイスのチャンバに影響せずに、不完全なフロート弁を交換できるので、バルブデバイスのメンテナンスがより簡単に行えるという長所をさらに有する。
【0040】
この発明の別の態様によれば、この発明は少なくとも1つのフロアを備えた建物に配置される排水配管システムを提供する。排水配管システムは、前記少なくとも1つのフロアの排水配管システムに接続された少なくとも1つの排水ソースを備える。排水配管システムは、デバイス内の圧力を均等化するための少なくとも1つのバルブデバイス、および前記デバイスおよび周囲雰囲気に接続されたあらゆる配管システムをさらに備える。デバイスは、チャンバおよびパイプを備え、チャンバはパイプの上端に接続されて、チャンバは、パイプと選択的に流体連通している。チャンバは、周囲雰囲気とチャンバ内の圧力との間の圧力差が、所定値に達するとき,チャンバと周囲雰囲気との間の流体連通を可能にするように構成される逆止弁を備える。チャンバ内の圧力がバルブデバイスの外側を取り巻く雰囲気の圧力よりも低いとき、チャンバと周囲雰囲気との間の流体連通が可能になる。チャンバと周囲雰囲気との間の流体連通は、特徴的に、周囲雰囲気からチャンバへの1方向連通である。バルブデバイスは、フロート弁をさらに備える。フロート弁は、可動バルブ部およびパイプ内に位置した弁座を備える。フロート弁は非作動状態でバルブデバイス内の流体連通を可能にするように構成される。そして、液体がパイプの下端を通じてパイプに入るとき、流体連通を止めて、液体がチャンバおよび周囲雰囲気に達することを防止する弁座と係合するように構成される。バルブデバイスは、可動バルブ部が、実質的に凸状の上面と、凸状の上面の最下部の周囲によって画定されたエリアに対応する平らな底面とを備えることを特徴とする。
【0041】
これは、単一のバルブデバイスが、逆止弁およびフロート弁の両方のユーティリティを提供するという長所を有する。それは、建物又は施設の排水配管システムに接続されるとき、バルブデバイスを囲む空気圧に関して、バルブデバイスのチャンバ、およびそれに接続されるあらゆる配管システム内の圧力を等しくできる一方で、同時に、排水が、チャンバにおよび/またはバルブデバイスを囲む雰囲気に達することを防止できるデバイスを提供する。排水配管システムが配管システム内の圧力変動をしばしば受けるので、バルブデバイスは圧力変動を緩和し、配管システム内の排水の流れを安定させる。これは、パイプ内の低圧が逆止弁で等しくなるので、例えば、配管システムに収容される水トラップがパイプ内の低圧により排水されることを防止する。
【0042】
フロート弁の可動バルブ部の実質的に凸状の上面を備える別の利点は、平らな上面と比較してより少ない乱流を生じさせる方法で、バルブデバイスのチャンバからパイプの方に流体(好ましくは空気)をガイドするのを助ける。
【0043】
さらに一層の利点は、凸状の上面の最下部の周囲によって画定されたエリアに対応する平らな底面によって、流体の流れが、パイプの内部と実質的に平行な方向に動くようにガイドされるということである。それは、バルブデバイス内の乱流を低下させて、可動バルブ部の揺動および/または振動を防止する。そうでなければ、揺動および/または振動が、水平方向および垂直方向の両方に生じることがある。上下振動の回避は、可動バルブ部がフロート弁座への方向に持ち上げられるという危険性を最小化する。
【0044】
低い乱流を持った該バルブデバイスを備える排水配管システムを有する利点は、バルブデバイスが不必要な音およびノイズを引き起こさずに、流体の流れを方向付けるとともに、流体のより有効な流れと、そしてその結果、システム内の少ない抵抗を備えたより効率的な均圧化とを作り出す。
【0045】
1つのオプションでは、配管システムの少なくとも1つのバルブデバイスは、前記少なくとも1つの排水発生器(generator)よりも下のレベルに位置している。
【0046】
これを備える1つの利点は、バルブデバイスの取り付けが、よりフレキシブルになることができ、バルブデバイスが見えにくい位置に取り付けることができるということである。さらに、コストを下げることができる。例えば、短くなったパイプの形では、より少ない材料が必要である。液体が配管システムから上昇する危険性が高いこのオプションによれば、バルブデバイスにフロート弁を組み込むことはさらに有益である。
【0047】
1つのオプションでは、配管システムの少なくとも1つのバルブデバイスは、前記少なくとも1つのフロアの下に位置している。
【0048】
この解決策を備える1つの利点は、バルブデバイスは建物の部屋の外側に取り付けることができることである。さらに、コストを下げることができる。例えば、短くなったパイプの形では、より少ない材料が必要である。液体が配管システムから上昇する危険性が高いこのオプションによれば、バルブデバイスにフロート弁を組み込むことはさらに有益である。
【0049】
この発明は、図面を参照して詳細に説明されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【
図1b】開状態にあるバルブデバイスの第一例の断面図を示す。
【
図2a】閉状態にあるバルブデバイスの第二例の断面図を示す。
【
図2b】開状態にあるバルブデバイスの第二例の断面図を示す。
【
図3a】フロート弁の可動バルブ部の形状の異なる変形例の側面図を示す。
【
図3b】フロート弁の可動バルブ部の形状の異なる変形例の側面図を示す。
【
図3c】フロート弁の可動バルブ部の形状の異なる変形例の側面図を示す。
【
図3d】フロート弁の可動バルブ部の形状の異なる変形例の側面図を示す。
【
図3e】フロート弁の可動バルブ部の形状の異なる変形例の側面図を示す。
【
図3f】フロート弁の可動バルブ部の形状の異なる変形例の側面図を示す。
【
図3g】フロート弁の可動バルブ部の形状の異なる変形例の側面図を示す。
【
図3h】フロート弁の可動バルブ部の形状の異なる変形例の側面図を示す。
【
図4a】開いたフロート弁を備えるケージの実施例の模式的側面図を示す。
【
図4b】閉じたフロート弁を備える
図4aでのケージの模式的側面図を示す。
【
図5】パイプに配置される開いたフロート弁を備えるケージの実施例の模式的断面図を示す。
【
図6】バルブデバイスの代替の実施例の断面図を示す。
【
図7】3つの高さレベルを備えるとともに複数の水入口を備える配管システムの模式図を示す。
【
図8a】複数の排水発生器を備えるとともにバルブデバイスを備える排水配管システムの模式的断面図を示す。
【
図8b】複数の排水発生器を備えるとともにバルブデバイスを備える排水配管システムの模式的断面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0051】
添付図面に関連して、この発明の異なる実施形態が以下に説明されるであろう。参照番号は、この発明の図面および様々な技術的特徴を理解する助けとしてのみ、特許請求の範囲によって与えられる保護の範囲に関して限定するものとして見るべきではない。
【0052】
理解されるように、この発明は、特許請求の範囲から逸脱することなく様々な方法で変更することができ、異なる実施形態の態様を組み合わせて、様々な組合せの技術的特徴および実施形態を達成することができる。従って、図面および記載は、例示と見るべきであって限定しないものとして見るべきである。
【0053】
図1aは、閉状態にあるバルブデバイス1の第一例の断面図を示す。バルブデバイス1は、パイプ5に接続されたハウジング3を備える。ハウジングは、チャンバ7を形成する。チャンバ7は、チャンバ7の内部に収容される逆止弁9を備える。バルブデバイス1は、パイプ5に位置したフロート弁11をさらに備える。フロート弁11は、可動バルブ部13およびフロート弁座15を備える。パイプ5は、例示された例では一様に真っすぐな円筒形状をしている。パイプ5は、ある種の液体(好ましくは排水)を含む配管システム(図示せず)に接続可能であるように構成されている。配管システムの排水は、バルブデバイス1から分離されたソースから生成される。
【0054】
バルブデバイス1は、配管システム上に配置され、空気のような周囲流体を吸入して均圧化を達成する。配管システムは、一般に、流体(この場合、排水の形をした液体)の圧力および体積の変動を受ける。それは、収容するように構成される。
【0055】
図1aに例示された例では、逆止弁9およびフロート弁11の両方が閉状態にある。逆止弁9は、逆止弁座17の方へ閉じられている。フロート弁11は、フロート弁座15の方に閉じられている。これによって、配管システムと、バルブデバイス1の
ハウジング3の外側を取り巻く雰囲気との間の流体連通が防止される。
【0056】
フロート弁11が接続される配管システムからの液体が、バルブデバイス1のパイプ5内で上昇するとき、フロート弁11は閉じるように構成される。これによって、チャンバとパイプ5との間の流体連通が、さらに防止される。これは、排水がバルブデバイス1のチャンバ7に達することを防止する効果を有する。これは、チャンバ7および逆止弁9の個々のパーツが、配管システムからの排水で汚染されないようにするのに役立つ。該汚染は、逆止弁の機能性に潜在的に影響することがあり、最悪の場合、逆止弁9から周囲雰囲気への漏出につながる、前記バルブデバイス1の不完全な密封につながる。
【0057】
逆止弁9は、周囲雰囲気での圧力とチャンバ内での圧力との間の圧力差が、所定値未満であるとき、閉状態となるように構成される。
図1aに例示された例では、逆止弁9に作用する力は、前記圧力差と、重力の影響を受けた逆止弁9の重量とである。そして、この例では、チャンバ7内の圧力が、バルブデバイス1の外側を取り巻く雰囲気の圧力と略等しい(close to equal)か、雰囲気の圧力よりも高いとき、逆止弁9が閉じられる。逆止弁9が閉じられるとき、逆止弁9は開口を密閉する。開口を通じて、チャンバ7の内外での流体連通が確立される。チャンバ7の内部と周囲雰囲気との間での圧力差は、チャンバ7またはそれに接続されるあらゆるシステム内の圧力降下によって、または、周囲雰囲気の圧力上昇によって、生じることができる。該圧力差が所定値に達するならば、前記逆止弁が開くであろう。1つの実施例では、逆止弁9の重量に打ち勝つ力が上回るとき、逆止弁が開くように、所定値がセットされる。
【0058】
空気流が周囲雰囲気からチャンバ7に入ることを可能にすることにより、圧力差を等しくするために逆止弁9が開くであろう。この必要な力は、バネおよび/またはウェイトの使用で変更することができる。バネは、逆止弁9の可動部に関する前記バネの配置に応じて、例えば、必要な力を、したがって所定値を、増減させるように構成できる。例えば、逆止弁の支持構造19とチャンバ7の内側上面21との間に配置されたバネは、逆止弁9の開口に対して作用して、従って、逆止弁9を開くのに必要な所定値を増加させるであろう。明らかであるように、チャンバ7内の圧力が高いほど逆止弁9を弁座17にさらに押し付けるだけであるので、チャンバ7内の圧力が周囲雰囲気の圧力よりも高いならば、逆止弁9は、均圧化を妨げる。
【0059】
図1bは、開状態にあるバルブデバイス1の前記第一例の断面図を示す。逆止弁9は、周囲雰囲気から開状態のチャンバ7への流体連通を可能にするように構成される。逆止弁9は、通常閉状態にあり、周囲雰囲気での圧力とチャンバ7内での圧力との間の圧力差が、等しいか、所定値より高いとき、逆止弁9は、開状態に切り替える。
【0060】
図1aと
図1bとの差異はバルブデバイス1の状態であり、
図1bでの逆止弁9およびフロート弁11の両方は、流体連通のために開いている。これは、バルブデバイス1が接続される配管システムにあるあらゆる排水が、フロート弁11の可動バルブ部13の平らな底面23と係合するためにバルブデバイス1内の十分に高いレベルにないことを意味する。逆止弁9が開いていることは、周囲雰囲気とチャンバ7の内部との間で流体連通が開いていて、フロート弁11が開いているので、バルブデバイス1の全体にわたる流体連通が可能になっており、その結果、空気流が、外側の周囲雰囲気から、バルブデバイス1を通じて接続された配管システムの中に流れることができることを意味する。逆止弁9を開くと、均圧化が開始される。当該均圧化は、様々な理由により配管システムにおいて必要となる。排水配管システム(トイレまたは流しのような少なくとも1つの排水発生器を備えるシステム)の場合では、均圧化は、排水発生器に配置される水トラップを空にしないようにするのに必要なことがある。排水配管システムの水トラップが空になる場合、汚れた臭気は、排水配管システムが配置される家又は建物の内部に到達できる。配管システムからのガスおよび臭気が、パイプを通じて立ち上り、かつトイレまたは流しのような排水発生器が設けられる部屋に入ることを防止するために、これらのタイプのシステムは、前記水トラップをほとんど常に備える。多くの排水が、生成されるとともに例えばトイレを流下するとき、前記排水の流れはパイプ内で負の圧力変化を引き起こすことができる。それは吸引効果を引き起こすことができる。吸引効果は、あらゆる水トラップから排水配管に水を排水することができる。排水トラップが空の場合、排水トラップが形成されるように構成されたバリアが除去される。それは、配管システムから逃げるとともに、排水発生器が位置する部屋に入ることができる排ガスおよび臭気を引き起こす。(If the waste water trap is empty the barrier it is arranged to create is removed which leads to waste gases and odours to be able to escape the piping system and enter the room in which the waste water generator is located.)配管システム内の負の圧力変化が、バルブデバイス1に配置される逆止弁9の開きによって等しくなるので、本明細書に示されたバルブデバイス1はこの問題を取り除く。上述されるように、開いた逆止弁9は、空気のような流体を周囲雰囲気から排水配管システムの内部に流入させる。
【0061】
図1aおよび
図1bに関して開示された実施形態によるフロート弁11は、可動バルブ部13およびフロート弁座15を備える。弁座15は、パイプの内壁面25上に位置する。可動バルブ部13は、実質的に凸状の上面27と、凸状の上面27の最下部29の周囲によって画定されたエリアに対応する平らな底面23とをさらに備える。例示された例では、凸状の上面27は、球の切片形状(shape of a section of a sphere)を有する。球は、前記球の中心を通る平面で切断されている。これは、接平面31と、凸状の上面27の最下部29および平らな底面23に平行である面との間の角度αが、直角α'であることを意味する。
【0062】
空気が平らな底面23のエッジを通過するとき、空気流での乱流が、例えば丸い可動バルブ部13を備えるフロート弁11で生じるので、空気流での乱流が緩和されるように、可動バルブ部13を通過する空気流がガイドされる。空気流での乱流は、可動バルブ部13の振動を引き起こすことができる。これは望まない音の原因となることがある。これは、さらに、可動バルブ部13のまわりでの減少した空気流の原因となることがある。したがって、本開示に係る可動バルブ部13は、改善された空気流を有するとともに、配管システムに関連した排水発生器を使用する人々にとって迷惑になりえる乱流および付随するノイズが少ないバルブデバイス1を提供する。
【0063】
実質的に凸状の上面27の例示された形状が単なる例であることが指摘される。凸状の上面27は、それが凸状である限り(as long as it is convex)あらゆる形とすることができる。例えば、凸状の上面27は、偏球の切片形状(shape of a section of an oblate spheroid)とすることができる。さらに、接平面31と、凸状の上面27の最下部29および可動バルブ部13の平らな底面23に平行である面との間での角度は、鋭角α''であることができる。
【0064】
図2aは、閉状態にあるバルブデバイス1の第二例の断面図を示す。
図1aおよび
図1bに関して説明されるように、バルブデバイス1は、パイプ5に接続されたハウジング3を備える。ハウジング3は、チャンバ7を形成する。
図1aおよび
図1bに関してさらに説明されるように、チャンバ7は、前記チャンバ7の内部に収容される逆止弁9と、パイプ5に位置したフロート弁11とを備える。フロート弁11は、可動バルブ部13およびフロート弁座15を備える。パイプ5は、ある種の液体(好ましくは排水)を含む配管システムに接続可能なように構成されている。配管システムの排水は、バルブデバイスから分離されたソースから生成される。
【0065】
バルブデバイス1は、均圧化を得るために空気のような周囲の流体を入れるために配管システムに配置される。配管システムは、一般に、流体の、この場合は排水の形態をした液体の圧力および体積の変動を受け、それが収容するように構成される。
【0066】
パイプ5は、パイプ5の下端35に向かう方向に広がるフレア部(flared portion)33を備える。例示された例では、フレア部33は円錐台の形状をしている。しかしながら、開示の範囲から逸脱することなく、丸みを帯びた広がり形状又は他の形状のような他の広がった形状も可能である。
【0067】
図2aに図示された、例示の可動バルブ部13の凸状の上面27は、球の切片形状を有する。球は、球の中心よりも上にある平面でカットされる。
【0068】
これは、接平面31と、凸状の上面27の最下部29および可動バルブ部13の平らな底面23と平行である面との間での角度αが、鋭角α''であるという効果を有する。前記角度αが鋭角α''であることは、空気流がより外向きにガイドされる方向を変更する。パイプ5のフレアアウト(flared out)部33、および、接平面31と、凸状の上面27の最下部29および可動バルブ部13の平らな底面23と平行である面との間での角度αが鋭角α''であることの組み合わせが、パイプ5のフレアアウト部33の角度βの値に応じて、凸状の上面27の最下部29の周囲、パイプ5のフレアアウト部33の角度β、または、それら両方のいずれかと平行であるように構成される空気流を提供する。デバイス1の全ての設計を変更することなく、デバイスの空気流の改変を行うことができるので、2つの角度α,βの値の変更は有益になる。
【0069】
しかしながら、実質的に凸状の上面27の例示された形状が単なる例であることが指摘される。凸状の上面27が凸状である限り、凸状の上面27はあらゆる形状とすることができる。例えば、凸状の上面は、偏球の切片形状とすることができる。さらに、接平面31と、凸状の上面27の最下部29および可動バルブ部13の平らな底面23と平行である面との間での角度αは、直角α'とすることができる。
【0070】
図2bは、
図2aと同じであるが、逆止弁9およびフロート弁11に関して開いた状態にあるバルブデバイスを図示する。例示された実施例では、可動バルブ部13とパイプ5の内壁面25の間のオープンスペースが、
図1bに図示された実施例のものよりも大きい。これは、通路用の断面積がより大きいため、可動バルブ部13によって空気を通過する同じ体積の空気が
図2bではより遅く移動することができるので、乱流の低下に役立つことができる空気流用のスペースがより大きくなることを意味する。空気の速度低下は、
図1aおよび
図1bを参照して説明される、可動バルブ部を揺動または振動させることができる乱流の危険性を低下させる。
【0071】
図2aおよび
図2bでは、フロート弁11の弁座15が、パイプ5のフレアアウト部33内にある。したがって、空気流用の通路として働く断面領域は、バルブデバイス1内のより少ない乱流およびより良好な空気流につながる弁座15の配置によって、減少しないおよび/または妨害されない。
【0072】
図1a、
図1b、
図2aおよび
図2bに関連して開示された実施例によれば、フロート弁11の可動バルブ部13の実質的に凸状の上面27は、異なる方法で設計することができる。平らな底面23は、これらの例示された実施例では、凸状の上面27の最下部29の周囲によって画定されるエリアである。しかしながら、これは必須ではない。逆に、可動バルブ部13の形状は、凸状の上面27の最下部29の周囲と平らな底面23との間に延在する中間の実質的に円筒状のセクション37をさらに備えるように変更できる。可動バルブ部13の可能な様々な形状は、
図3aから
図3hにおいて、より詳細に説明されるであろう。可動バルブ部13の様々な形状および設計が、空気流の特性およびバルブデバイス1の全体的な特徴を変えることができることが理解されるべきである。様々な特性は、バルブデバイス1が接続される配管システムのタイプに依存する等しい重要性であることがある。前記システムでの設備に利用可能なスペースは、バルブに関する要求に影響することがある。それは、バルブデバイスおよびその構成要素の設計の選択に影響することができる。例えば、バルブデバイス1が制限スペースに設置されることになっている場合、できるだけ平らな/薄い可動バルブ部13が、バルブデバイス1に適合するのに必要なことがある。反対の例として、スペースが問題にならない場合、バルブデバイス1は、設計パラメーターがこの場合に寛大であるので、最低量の乱流を持った最良の可能なフローを達成するために設計されることができる。空気流がより安定したまたは効率的な空気流にガイドされる通路が増加するので、凸状の上面27と平らな底面23との間に位置する中間の円筒状のセクション37は、可動バルブ部13の安定性をさらに増加させる。より安定した可動バルブ部13が、乱流の低下および、可動バルブ部が傾いたり、先端がついたり、あるいは固着することさえある危険性の低下につながるので、より安定した可動バルブ部13が望ましい。これは、フロート弁のシール機能に悪影響を及ぼし、それによって、フロート弁が適切に密閉しない。それはバルブデバイス1内の流れに悪影響を及ぼすことがある。
【0073】
図3aから
図3hは、異なる実施例に係るフロート弁11の可動バルブ部13の形状の異なる変形例の側面図を示す。これらの様々な実施例は、この発明のある好ましい特徴およびその組み合わせの変形例である。凸状の上面27の形状は、あらゆる凸形状とすることができるが、好ましくは球の切片形状又は偏球の切片形状が使用される。前記形状は、平らな底面23に対して、直接的に又は間接的に結合することができる。球の場合、平らな底面23は、球の中心を通って、又は、中心と上エッジ39との間で球を切断する平面と見なすことができる。平面が球の中心を通る場合、凸状の上面27の最下部29と平行である該平面と、接平面31との間の角度αは、直角α'になるであろう。平面が中心よりも上方で球を通る平面である場合、前記角度αは、鋭角α''になるであろう。形状が偏球の切片形状であって、偏球の外面と、偏球内の最小の可能な(smallest possible axis)軸に垂直な偏球の平面とによってその切片(section)が画定される場合、偏球を通る該平面は、対応するように(in a corresponding way)、偏球の中心を通るかまたは該中心よりも上方を通ることができる。これらの両形状に対して、角度は、鋭角α''または直角α'であって鈍角ではない。鈍角は、可動バルブ部13が該エッジのまわりの高い乱流により有益でなかった入り側の(ingoing)エッジを有するということを意味するであろう。可動バルブ部13の上述される両形状は、中間の実質的に円筒状のセクション37を備えることができる。円筒状のセクション37は、凸状の上面27の最下部29の周囲と平らな底面23との間で延在する。そのような中間部分37は、前に説明されるように、バルブデバイス1内の空気流に関する観点から好適である。
【0074】
上述される変形例を様々に組み合わせることで、所望の特性が得られる。
図3aは、平らな底面23が球の中心よりも上方を通る球を示す。さらに、
図3aに例示された実施例において、接平面31と、凸状の上面27の最下部29および平らな底面と平行である面とは、鋭角α''を形成する。
図3bは、
図3aと類似しているが、中間の円筒状のセクション37をさらに備える形状を示す。
図3cは、平らな底面23が球の中心を通る球を示す。さらに、
図3cの例示された実施例では、接平面31と、凸状の上面27の最下部29および平らな底面と平行である面は、直角α'を形成する。
図3dは、
図3cと類似しているが中間の円筒状のセクション37をさらに備える形状を示す。
【0075】
図3eは、平らな底面23が前記偏球の中心よりも上方を通る偏球を示す。さらに、
図3eの例示された実施例では、接平面31と、凸状の上面27の最下部29および平らな底面と平行である面とは、鋭角α''を形成する。
図3fは、
図3eと類似しているが、中間の円筒状のセクション37をさらに備える形状を示す。
図3gは、平らな底面23が前記偏球の中心を通る偏球を示す。さらに、
図3gに例示された実施例では、接平面31と、凸状の上面27の最下部29および平らな底面と平行である面とは、直角α'を形成する。
図3hは、
図3gに類似しているが、中間の円筒状のセクション37をさらに備える形状を示す。
【0076】
図4aは、開いた状態でのフロート弁11を備えるケージ(cage)41の実施例の模式的側面図を示す。この実施例では、フロート弁11は、ケージ41の中に、又はケージ様の構造の中に配置される。したがって、フロート弁11は、バルブデバイス1の外側の前記ケージ41内で組み立てられることができる。これは、デバイス1の製造を全体としてより簡単にすることに役立つことができる。デバイス1が逆止弁9又は他の高感度のパーツを破壊することなくケージ41を除去するように構成されるので、それは、メンテナンスをより寛大に(lenient)することができる。
図4aおよび
図4bの実施例に係るフロート弁11は、ケージ41の上部43において、ケージ4lに配置されるフロート弁座15を有する。その弁座に関してあらゆるタイプのバルブの取り付け(fitting)が、前記バルブの機能に対して最も重要であるので、ケージ41を取り除き、バルブデバイス1のパイプ5の内部に達するのが困難な外部で作業することができるので、弁座をケージ41に配置させることは、設置および/または保守手順を一層容易にすることができる。
【0077】
図4bは、閉じた状態でのフロート弁11を備える
図4aでのケージ41の模式的側面図を示す。
図4bでのこのフロート弁1lおよびケージ41は、
図4aのものと同じ実施例と見ることができ、唯一の違いが、
図4bのフロート弁11が閉じられていることである。フロート弁11は、ケージ41の上部43に配置される弁座15に対して密封する。フロート弁11がケージ41内に配置される実施例では、前記配管システムからのあらゆる液体にさらされないとき、ケージ41の下部45が可動バルブ部13用の停止として働くことができるので、可動バルブ部13は、接続する配管システムに落ちる(fall down)ことがないためにパイプ5内のあらゆる他のタイプの支持突出部を必要としないであろう。
【0078】
図5は、パイプ5に配置された開いたフロート弁11を備えるケージ41の実施例の模式的断面図を示す。この実施例は、
図4aおよび
図4bのものと同じ実施例と見ることができ、ケージ41がパイプ5内に配置されて、パイプ5が、この発明に係るバルブデバイス1のパイプ5である。ケージ41は、知られている技術に係るあらゆるタイプの締結手段によってパイプ5の内壁面25に固定される。フロート弁11およびその弁座15を収容するためのケージ41を利用することで、バルブデバイス1のパイプ5内に固定された弁座15を有することと比較して、必要に応じて、前記弁座15はパイプ5内の高さ位置を変更できる。
【0079】
図6は、この発明に係るバルブデバイス1の代替の実施例の断面図を示す。この実施例は、バルブデバイス1が特許請求の範囲から逸脱することなく、設計変更できることを示す。
図6のバルブデバイス1は、前に説明した実施例のように、重力が逆止弁9それ自体の質量に影響することと同様にチャンバ7内部および周囲雰囲気間の圧力差を受ける逆止弁9を有する。この実施例の可動バルブ部13が球であり、平らな底面23が、球の中心を通り、中間の円筒状のセクション37をさらに備える。当然のことながら、特許請求の範囲および明細書の記載に係るバルブデバイス1は、異なるシナリオおよび環境に適応させるために様々に変更することができ、
図6が変形例の一例を図示するだけである。
【0080】
図7は、3つの高さレベルを備えるとともに複数の水入口49を備える配管システム47の模式図を示す。本明細書に図示された配管システム47は、排水配管システム47のような配管システム47が、どのようにして建物又は施設の異なるフロア51に設置されるかを例示する。個々の入口49は、建物又は施設の別フロア51のそれぞれに配置されるパイプ部53に接続される。また、分離したパイプ部53は、共通の廃棄(waste)パイプライン55に接続される。共通のパイプライン55は、全ての蓄積された排水を下水道および/または廃棄管理システムに導く。
【0081】
図8aは、複数の排水発生器57を備えるとともにバルブデバイス1を備える排水配管システム47の模式的断面図を示す。もちろん、排水配管システムは、複数のバルブデバイス1を備えることができる。この実施例におけるバルブデバイス1は、建物のフロア51に位置するバスルーム内に配置されるパイプ59に接続される。この実施例の排水発生器57のうちの1つを使用するとき、それが排水発生器57に接続されたパイプ部53全体の圧力に影響するであろう。一般に、排水発生器57のそれぞれは、建物の部屋内の空気と直接的接触しない、配管システム47につながる(lead to)水トラップ61を備える。従って、トイレ57'のような排水発生器57が使用される場合、排水の塊(mass of waste water)が共通の排水パイプライン55の方へ流れるときに、パイプ部53は負の圧力変化を受けるであろう。均圧化用のバルブデバイス1が配管システム47になければ、配管システム47の低圧は、水トラップ61から水を排水して、配管システム47に流下させる吸引効果を作り出すであろう。これにより、この例では配管システム47は、建物内の空気と直接連通したままになるであろう。これは、配管システム47からのガスおよび臭気を部屋内の雰囲気に直接的に流れ込ませて、建物又は施設内に不快で不健康な環境を作り出す可能性がある。これは、湿気からの損傷につながる可能性がある。これらの問題は、この発明に係るバルブデバイス1が配管システム47に設けられることによって、解消または回避される。配管システム47内の圧力変化は、配管システム47のパイプ部53に接続される前記バルブデバイス1によって等しくなるであろう。
【0082】
バルブデバイス1が接続される配管システムからの液体が、バルブデバイス1のパイプにおいて上昇するとき、バルブデバイスのフロート弁は、閉じるように構成される。これは、バルブデバイスのチャンバとパイプとの間の流体連通をさらに防止する。これは、排水がバルブデバイスのチャンバに達することが防止されるという効果を有する。これは、チャンバおよびバルブデバイスの個々のパーツが配管システムからの排水で汚染されないようにするのに役立つ。そのような汚染は、バルブデバイスの機能性に潜在的に影響することがあり、最悪の場合に前記バルブデバイスの不完全な密封につながる。それはバルブデバイス1から周囲雰囲気への漏出につながる可能性がある。
【0083】
例示された実施例では、バルブデバイス1は、建物の同じフロア51でのすべての排水発生器57よりも下のレベルに位置する。一例では、バルブデバイス1は、バルブデバイス1と同じ部屋での排水発生器57のような近くの排水発生器57よりも下のレベルに位置する。バルブデバイス1が排水発生器57に関して低いレベルにある環境では、バルブデバイス1が接続される配管システム47からの液体が、バルブデバイス1のパイプにおいて上昇するという危険性が増加する。液体が配管システム47から上昇するという危険性の増加したこのような環境では、本願に記載されるフロート弁をバルブデバイス1に組み込むことは、さらに有益である。
【0084】
図8bは、複数の排水発生器57を備えるとともにバルブデバイス1を備える排水配管システム47の模式的断面図を示す。この実施例におけるバルブデバイス1は、建物のフロア51に位置したバスルームの下のフロアの下に配置されるパイプ59に接続される。バルブデバイス1が前記バスルームの内部に直接的に配置されることの代わりに、バルブデバイス1がバスルームのフロアの下に配置されることを除いて、この実施例の配管システム47の機能性は、
図8aを参照して説明した配管システム47の機能性と同じである。これは、フロアの内部構造の圧力が建物の部屋の内部と実質的に同じ圧力を示す限り、同様に機能する代替の配置である。