(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-11
(45)【発行日】2022-03-22
(54)【発明の名称】エンドウ豆タンパク質単離物を含む、ヨーグルト、クリーム、クリームデザート又は冷凍デザートなどの栄養調合物及び調合物のタンパク質源としての使用
(51)【国際特許分類】
A23L 33/185 20160101AFI20220314BHJP
A23J 3/14 20060101ALI20220314BHJP
A23C 20/00 20060101ALI20220314BHJP
A23C 13/14 20060101ALI20220314BHJP
A23L 9/20 20160101ALI20220314BHJP
A23G 9/38 20060101ALI20220314BHJP
A23C 9/13 20060101ALI20220314BHJP
【FI】
A23L33/185
A23J3/14
A23C20/00
A23C13/14
A23L9/20
A23G9/38
A23C9/13
(21)【出願番号】P 2018542792
(86)(22)【出願日】2017-03-07
(86)【国際出願番号】 FR2017050496
(87)【国際公開番号】W WO2017153669
(87)【国際公開日】2017-09-14
【審査請求日】2020-02-26
(32)【優先日】2016-03-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(32)【優先日】2016-04-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(32)【優先日】2016-07-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】591169401
【氏名又は名称】ロケット フレール
【氏名又は名称原語表記】ROQUETTE FRERES
(74)【代理人】
【識別番号】100090398
【氏名又は名称】大渕 美千栄
(74)【代理人】
【識別番号】100090387
【氏名又は名称】布施 行夫
(72)【発明者】
【氏名】マヌエル バラタ
(72)【発明者】
【氏名】マリリン ギーユマン
(72)【発明者】
【氏名】エマヌエル モレッティ
(72)【発明者】
【氏名】エルサ ミュラー
(72)【発明者】
【氏名】マリー ドゥルバール
【審査官】澤田 浩平
(56)【参考文献】
【文献】特表2013-535984(JP,A)
【文献】国際公開第02/071863(WO,A1)
【文献】国際公開第92/015697(WO,A1)
【文献】国際公開第2013/043873(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A23C,A23J,A23L,A01K67/027
CAplus/FSTA(STN)
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヨーグルトタイプの発酵乳、クリーム、デザートクリーム、アイスデザート又はソルベ、及びチーズから選択され、かつエンドウ豆タンパク質の加水分解物を含有する栄養調合物において、前記加水分解物は、
○0.5~2%の遊離アミノ酸を含有し、
○20℃において、固形分15%の水溶液が、
■10s
-1の剪断速度で11~18×10
-3Pa.s.、
■40s
-1の剪断速度で9~16×10
-3Pa.s.、及び
■600s
-1の剪断速度で8~16×10
-3Pa.s.
の粘度を有し、
○20℃の水に対する溶解度であって、
■4~5のpHゾーンで30~40%、
■6~8のpHゾーンで40~70%
の溶解度を有し、
前記加水分解物は、加水分解度(DH)が5~10%であることを特徴とする、栄養調合物。
【請求項2】
前記加水分解物は、消化利用率(CDU)に従って表わされる93.5~95%の消化性を有することを特徴とする、請求項1に記載の栄養調合物。
【請求項3】
前記加水分解物は、噴霧化によって乾燥される前に短時間にわたって高温で殺菌されている、請求項1
又は2に記載の栄養調合物。
【請求項4】
前記加水分解物は、前記栄養調合物の0.1~10重量%、好ましくは0.5~6重量%に相当する、請求項1~
3のいずれか一項に記載の栄養調合物。
【請求項5】
前記加水分解物は、前記栄養調合物中の総タンパク質の20~30重量%、40~50重量%、50~60重量%、60~70重量%、70~80重量%、80~90重量%又は90~100重量%に相当する、請求項1~
3のいずれか一項に記載の栄養調合物。
【請求項6】
少なくとも1種の乳タンパク質も含む、請求項1~
4のいずれか一項に記載の栄養調合物。
【請求項7】
粉末形態であり、かつ少なくとも1種の前記加水分解物及び少なくとも1種の乳タンパク質を含み、前記乳タンパク質は、タンパク質の総重量に対して少なくとも10重量%、15重量%、20重量%、25重量%、30重量%、40重量%、45重量%、50重量%、60重量%、70重量%又は80重量%に相当する、請求項
6に記載の栄養調合物。
【請求項8】
前記加水分解物は、
○前記ヨーグルトタイプの発酵乳の総タンパク質の0.1%~100%、
○前記乳製品クリーム、アイスデザート又はソルベの総タンパク質の0.1%~100%、
○コーヒーホワイトナーの総タンパク質の50~100%
に相当する、請求項1~
7のいずれか一項に記載の栄養調合物。
【請求項9】
乳児、小児及び/又は成人向けの、単一のタンパク質源としての又は栄養補助食品としての、請求項1~
8のいずれか一項に記載の栄養調合
物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エンドウ豆タンパク質単離物を含む栄養調合物に関する。
【0002】
より詳細には、本発明は、
- ヨーグルトタイプの発酵乳(撹拌、ギリシャ、飲料などのヨーグルト)として、
- 乳製品/植物ベースのクリーム(コーヒークリームもしくは「コーヒーホワイトナー」など)、デザートクリーム、アイスデザート又はソルベとして
のこれらの栄養調合物の適用に関する。
【背景技術】
【0003】
市場製品の緑化及びコスト削減に関連して、乳タンパク質の代案として、エンドウ豆タンパク質に基づく新規溶液を開発することが提案され得る。
【0004】
これを行うために、エンドウ豆タンパク質は、良好な溶解性、溶液中の低粘度、熱処理液体では熱処理に対する良好な耐性、及び良好な経時的粘度安定性などの特定の機能性を満たさなければならない。
【0005】
それは、アミノ酸プロファイル及び消化性プロファイルの観点から、FAO/WHOが推奨する栄養上の推奨値を満たす必要もある。
【0006】
撹拌、ギリシャ、固化ヨーグルトなどの発酵乳又はデザート
ヨーグルトは、濃厚化してより長く保存するために乳酸発酵素を接種されたミルクである。
【0007】
ヨーグルトと称されるには、必ず2つの特定の発酵素、ラクトバチルス・デルブレッキイ・ブルガリクス亜株(Lactobacillus delbrueckii subsp.bulgaricus)及びストレプトコッカス・サーモフィルス(Streptococcus thermophilus)のみを含有しなくてはならず、それは、その味の特異性及びその質感を与え、また特定の栄養及び健康上の利益をもたらす。
【0008】
近年、他の発酵乳(ヨーグルトの質感を有する)が創出されている。それらは、これらの2つの細菌、及びさらにラクトバチルス・アシドフィルス(Lactobacillus acidophilus)、ラクトバチルス・カゼイ(Lactobacillus
casei)、ビフィドバクテリウム・ビフィダム(Bifidobacterium
bifidum)、B.ロングム(B.longum)、B.インファンチス(B.infantis)、及びB.ブレビ(B.breve)などの株を含んでも含まなくてもよい。
【0009】
ヨーグルトは、したがって、十分な量で摂取すると、従来の栄養効果を超えて健康に有益な効果を発揮するプロバイオティクス、すなわち生きた微生物の優れた供給源である。
【0010】
固化、撹拌又は液体であるかどうかに関わりなく、実際には、規制の定義を超えて、最終的な食感を調節するのは製造者であるため、ヨーグルトという名称は保持される。
【0011】
したがって、固化ヨーグルトを得るために、ミルクはポット内に直接接種される。
【0012】
他方、撹拌ヨーグルト(「ブルガリア」ヨーグルトとも称される)の場合、ミルクはタンク内で接種され、次にポットに注入される前に撹拌される。
【0013】
最後に、飲用ヨーグルトとも称される液体ヨーグルトは、撹拌され、次に適切な質感が得られるまで混合されてボトルに注入される。
【0014】
しかし、より濃厚な質感を有するギリシャヨーグルトなどの他の各種プレーンヨーグルトも存在する。
【0015】
脂肪百分率もヨーグルトの質感を改変し得、それは、全乳、半脱脂乳又は脱脂乳をベースとして製造され得る(「ヨーグルト」という語のみを含むラベルは、必然的に半脱脂乳で製造されたヨーグルトを示す)。
【0016】
全ての場合において、賞味期限は30日を超え得ず、それは常に0°~6°の冷蔵庫に保存されなければならない。
【0017】
3つの主なクラスのヨーグルトは、以下のように区別される:
○撹拌ヨーグルト
液体がより多く、多くの場合にプレーンヨーグルトよりも酸性である。その質感のみが異なる。これはブルガリアヨーグルトとしても知られており、ヨーグルトの想定上の起源、及びミルクからヨーグルトへの変換に関与する2つの発酵素の1つであるブルガリア乳酸杆菌(Lactobacillus Bulgaricus)に言及している。それは、ポットに内に包装される前にタンク内で製造される。これは、特にラッシー、フルーツカクテルなどの飲料を製造するのに適している。
○ギリシャヨーグルト
この特に濃厚なヨーグルトは、大幅に水切りされ(従来の技術)、又はクリームが富化されたプレーンヨーグルトである。この非常に美味なグルメヨーグルトは、ザジキ及び東欧料理の調理に不可欠であり、単にフィーヌゼルブと混ぜるのみで美味なアペリティフディップになる。冷やして使用すれば、濃厚な生クリームの代替物として使用され得る。
○飲用ヨーグルト
プレーン形態でも存在するが、これは、通常、甘味付けされて風味付けされ、混合撹拌ヨーグルトを用いて製造される。これは1974年に考案され、ボトルから直接スプーンなしでヨーグルトを食べることにより、青少年にミルクの楽しみを再発見させた。950gのカートンに入った「注ぐヨーグルト」も、朝食のためにシリアルとヨーグルトとを組み合わせることを望む人のために最近現れた。
【0018】
この低エネルギーの(脱脂乳からできた無脂肪ヨーグルトでは52kcal、全乳ヨーグルトでは88kcal)「プレーン」ヨーグルトは、自然に脂肪と炭水化物とが少ないが、かなりの量のタンパク質を含有する。これは、微量栄養素(特にカルシウム及びリン)、ならびにビタミンB2、B5、B12、及びAの供給源でもある。80%の水で構成されたヨーグルトは、身体の水分補給に積極的に関与する。
【0019】
したがって、ヨーグルトの定期的摂取は、乳糖の消化及び吸収を改善すると認められている(2010年10月19日のEFSA意見)。他の研究では、子供の下痢の改善及び高齢者などの特定の人々の免疫系に対する潜在的利益が示されている。
【0020】
しかし、牛乳の摂取に対する批判及び疑いの声が高まっており、例えば、乳糖不耐症又はアレルギー誘発性の問題などの理由から、それを食餌から単に排除することを決定する人々が増加している。
【0021】
植物ミルクは、牛乳よりはるかに消化しやすく、ビタミン、ミネラル、不飽和脂肪酸が豊富であるため、植物ミルクベースのヨーグルトという解決策が提案されている。
【0022】
本明細書の残りの部分では、簡潔さの目的で、タンパク質の起源が乳製品でない場合でも「ヨーグルト」という用語を引き続き使用する(公式には、発酵乳、乳製品成分又はラクトバチルス・デルブレッキイ・ブルガリクス亜株(Lactobacillus delbrueckii subsp bulgaricus)及びストレプトコッカス・サーモフィルス(Streptococcus thermophilus)などの従来の発酵素以外の成分から製造された「ヨーグルト」には、そのように命名される権利がない)。
【0023】
最も一般的に使用される植物源は、大豆である。しかし、豆乳は、カルシウムとタンパク質とが最も豊富に含まれているが、それは非常に難消化性でもあり、これが小児に推奨されない理由である。
【0024】
さらに、大豆ベースの製品を大量に摂取した場合、それらが健康に及ぼす影響が逆効果であり得ることから、それらを過剰に摂取することも推奨されない。
【0025】
さらに、大豆の世界的生産量の70%がGMO源に由来することが一般に認められている。
【0026】
コーヒークリーム、バター、チーズ、シャンティークリーム、ソース、ケーキトッピング及びデコレーション用の乳製品クリーム
乳製品クリームは、ミルクを濃縮して得られる30%を超える脂肪を含有する製品であり、脱脂乳中の油滴のエマルションの形態である。それらは、直接、消費者製品(例えば、コーヒークリームとして使用される)として、又はバター、チーズ、シャンティークリーム、ソース、アイスクリーム、又は代案としてケーキトッピング及びデコレーションなどの他の製品を製造するための工業原料として様々な用途のために使用され得る。
【0027】
様々な種類のクリームが存在する:生クリーム、低脂肪クリーム、シングルクリーム、ダブルクリーム、低温殺菌クリーム。クリームは、その脂肪含有量、それらの保存、及びそれらの質感が異なる。
【0028】
生クリームは、クリーム除去直後にミルクとクリームとの分離から、低温殺菌工程を行わずに得られるクリームである。これは液体であり、30~40%の脂肪を含有する。
【0029】
依然として液体の質感である低温殺菌クリームは、低温殺菌加工を受けている。したがって、それは、ヒトに有害な微生物を除去するように72℃で約20秒間加熱されている。このクリームは、特に起泡に適する。したがって、それはホイップされて、その中に気泡が混和されると、より軽くよりボリューム感のある質感になる。これは、例えば、シャンティークリームのために完璧である。
【0030】
店頭で販売されている特定の液体クリームは、「ロングライフ」と称される。それらは、涼しく乾燥した場所で数週間保存され得る。このように長期間保存されるために、これらのクリームは、UHT加工によって滅菌又は加熱されている。滅菌のために、クリームは115℃で15~20分間加熱される。UHT(又は超高温)加工では、クリームは150℃で2秒間加熱される。次に、クリームは急速に冷却され、その結果、その味の質はより良好に保たれる。
【0031】
クリームは、クリーム除去後にミルクから分離されると自然に流体である。濃厚な質感
にするために、それは接種工程を経る。乳酸発酵素がこのようにして組み込まれ、熟成後、クリームにより濃厚な質感と、より酸性でより豊かな味とを与える。
【0032】
ミルクからクリームを得るための従来の技術(数千年又は数百年前にさかのぼる)と共に、過去10年間に乳成分からクリームを組み立てるか又は再構成する技術が開発されている。
【0033】
乳製品クリームを再構成するためのこれらの新規技術は、生クリームと比較して、工業プロセスにおける明らかな利点を有する:原料保存の低コスト、より高い配合柔軟性、ミルク組成に対する季節的影響からの独立性。
【0034】
このようにして、再構成乳製品クリームは、一般に乳製品に帰する自然的なイメージから恩恵を受け得、それは、規制が、それらの製造のために、飲料水の添加を伴う又は伴わない乳製品成分の排他的使用と、ミルククリームと同じ完成品の特性とを規定しているためである(食品規格集,2007)。
【0035】
再構成乳製品クリーム分野の発展は、クリーム調合物、特に植物ベースのクリームの概念の誕生における新たな可能性を広げた。
【0036】
植物ベースのクリームは、乳性脂肪が植物脂肪で置き換えられた乳製品クリームと類似した製品である(Codex Alimentarius,codex Stan 192,1995)。
【0037】
それらは、明確に定義された量の水、植物脂肪、乳製品タンパク質又は植物性タンパク質、安定剤、増粘剤、及び低分子量乳化剤から出発して調合される。
【0038】
粒度、レオロジー、安定性、及び膨張性などの物理化学的パラメータは、乳製品クリームを植物ベースのクリームで置き換える分野の製造業者及び研究者にとって主な関心がある特性である。
【0039】
例えば、分散液滴のサイズ(粒度)は、第1にレオロジー及び安定性などの他の物理化学的特性に、第2にクリームの質感及び色などの感覚特性に顕著な影響を及ぼすことから、それは、あらゆるエマルションにおけるのと同様にクリームの特徴付けの主要パラメータである。
【0040】
乳化剤タイプの影響としては、モノグリセリド、ジグリセリド、及びリン脂質などの低分子量乳化剤、及びタンパク質などの高分子量乳化剤の両方、かつまたタンパク質/低分子量乳化剤の相互作用が挙げられる。
【0041】
したがって、脂質乳化剤の濃度もクリームの液滴サイズに影響を及ぼすことが知られている。タンパク質安定化系では、非常に高濃度の脂質乳化剤は、タンパク質の脱離後の液滴の実質的な凝集のために平均液滴サイズに大きい増加を引き起こし得る。
【0042】
調合物で使用されるタンパク質のタイプもクリームの粒度に影響を及ぼし得る。具体的には、同一乳化条件下において、脱脂粉乳などのカゼインに富むタンパク質源ベースのクリームは、一般に、粉末ホエーなどのホエータンパク質に富むタンパク質源ベースのものよりも小さい平均液滴直径を有する。
【0043】
2つのタンパク質源(カゼイン又はホエータンパク質)から調製されたクリーム間の粒度の差異は、油/水界面での界面特性の差異に関連しており、カゼインは、ホエータンパ
ク質よりも界面張力を低下させる能力が高い。
【0044】
さらに、調合物中のタンパク質濃度は、クリームの粒度に影響を及ぼす。具体的には、一定の質量分率の油の場合、液滴サイズは、タンパク質濃度が増加するにつれて特定の濃度まで減少し、それを超えるとサイズがほとんど変化しないことが実証されている。
【0045】
クリーム調合物中の低分子量の両親媒性分子(界面活性剤)及び高分子量の両親媒性分子(タンパク質)の同時存在は、一般に、乳化中の液滴サイズの減少によって反映される。さらに、界面活性剤とタンパク質との間の油/水界面での競合的吸着は、一般に、熟成中に液滴表面におけるタンパク質の離脱をもたらし、これは粒径の変化を必然的に伴い得る。
【0046】
最後に、乳化条件、調合物に使用される成分(タンパク質及び脂質の両方)の選択、及び温度は、クリームの最終特性に影響を及ぼすと思われる。
【0047】
植物ベースのクリームは、新規の技術機能性をもたらし得ると思われる。したがって、凍結抵抗性がその一例であり、これは、アイスクリームに大きい安定性を与え得る。これらのクリームはまた、調理/給仕又は調理/冷却安定性を示し得、温かい又は冷たい食事のいずれかの調製で使用され得るため、これはかなりの利点である。
【0048】
植物ベースのクリームは、新規な機能性を与え、乳製品クリームと同等の又はさらにより興味深い質感特性を示し得る一方、それでもなお、特にそれらの味とそれらの匂いにと関して、場合により着香料の添加後にでさえ(大豆タンパク質又はエンドウ豆タンパク質に当てはまる)、それらは依然として感覚的欠陥を有し得る。
【0049】
したがって、本出願人企業は、クリームの最終的な特性に対する、エンドウ豆タンパク質などのそれらの成分及びそれらの相互作用(タンパク質-タンパク質、タンパク質-脂肪、タンパク質-水など)の影響に関する理解をさらに深めるために、植物ベースのクリーム(「非乳製品」コーヒークリーマーの分野を含む)に関する研究を行った。
【0050】
本出願人企業はまた、厳格な菜食主義者向けのチーズレシピを開発した。
【0051】
チーズは、通常、凝固乳から又は乳製品クリームから得られる食品であり、それに続いて、水切り、次に任意選択的に発酵及び任意選択の熟成が行われる。
【0052】
したがって、チーズは、主に牛乳から製造されるだけでなく、ヤギ、ヒツジ、水牛又は他の哺乳類のミルクから製造される。ミルクは、一般に、細菌培養物を使用して酸性化される。次に、酵素、レンネット、又は酢酸もしくは食酢などの代替物を添加して凝固させ、凝固したミルクとホエーとを形成させる。
【0053】
ミルクカゼイネートを天然及び改質デンプン、より具体的には酢酸安定化デンプンで置き換えることにより、チーズ(特にモツァレラタイプのチーズ)に代わる厳格な菜食主義者のための代替品を調製することが知られている。
【0054】
しかし、細断性又は細断される能力、溶解、凍結/解凍に対する安定性、及び味(特に米国ではピザ調製のため)を改善することが依然として求められている。
【0055】
油、改質デンプン、及びエンドウ豆タンパク質を組み合わせて試験が行われたが、完全に満足できるものではなかった。
【0056】
本出願人企業は、本発明に従ってエンドウ豆タンパク質単離物を使用することにより、特に細断性、溶解、及び味に関して、これらの規格を満足させることが可能であることを見いだした。
【0057】
アイスクリーム
アイスクリームは、慣習的に、動物性又は植物性の脂肪、タンパク質(乳タンパク質、卵タンパク質)及び/又は乳糖を含有する。
【0058】
次に、タンパク質は、アイスクリームの味を与え、さらに質感付与剤の役割を果たす。
【0059】
それらは、本質的に、成分を秤量し、それらを予備混合し、均質化し、低温殺菌し、4℃で冷蔵する(熟成させる)ことによって製造され、続いて凍結されて包装され、貯蔵される。
【0060】
しかし、多くの人々は、乳製品又は動物起源の他の成分に対する不耐性に直面し、それは、ミルク又は従来のアイスクリームの摂取を妨げる。
【0061】
この消費者グループにとって、ミルクを含有するアイスクリームと同等の感覚値を有する代替物はこれまで存在していなかった。
【0062】
主に大豆ベースの植物成分を含有する従来公知のアイスクリーム調製物では、動物性乳化剤を植物性タンパク質に置き換える試みがなされてきた。
【0063】
従来の水性又は水性アルコール抽出法で得られ、乾燥後に粉末形態になる乾燥植物性タンパク質が多くの場合に使用された。
【0064】
これらのタンパク質は、ポリペプチドの不均一混合物であることが判明しており、その特定の画分は、乳化剤又はゲル形成剤などの水結合剤、起泡剤又は質感改良剤としての、変動する度合いの特に良好な特性を有する。
【0065】
これまで、植物タンパク質製品は、それらの特定機能特性に基づいて、分画することなく、大豆からほぼ限定的に得られた。
【0066】
さらに、前記大豆タンパク質を使用して調製されたアイスクリームの味は、容認できない。
【0067】
したがって、本出願人企業は、植物ベースのクリームに関する研究を行い、本発明のエンドウ豆タンパク質単離物が所望の仕様を満たすことが可能であることを見いだした。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0068】
本発明は、乳タンパク質又は大豆タンパク質を完全に又は部分的に置き換え得る、当たり障りのない味のエンドウ豆タンパク質単離物を含有する、ヨーグルト、クリーム、デザートクリーム、チーズ又はアイスクリームタイプの新規栄養調合物を提案し、それは、エンドウ豆タンパク質の低粘度及び溶解度の改善などの適切な特性を有する。
【0069】
特に、発酵乳タイプ、又はヨーグルト(撹拌、ギリシャ、飲料などのヨーグルト)もしくは乳製品/植物ベースのクリーム(「コーヒーホワイトナー」など)、アイスデザートもしくはソルベタイプの栄養調合物に関連して、前記エンドウ豆タンパク質単離物の乳化能力は、乳タンパク質の部分的又は全体的な代替において、これらの乳製品のマトリック
ス中でのその使用に有利である。厳格な菜食主義者向けのチーズに関連して、前記エンドウ豆タンパク質単離物を添加することにより、モツァレラタイプの厳格な菜食主義者向けのチーズの細断性(細断される能力)、溶融及び味を改善することが可能になる。
【0070】
本発明はまた、(タンパク質高含有量及び標準の)用途/完成品においてより当たり障りのないようにするために、エンドウ豆タンパク質単離物を乳タンパク質の部分的又は全体的な置換に使用して、エンドウ豆タンパク質の味の改善(エンドウ豆香、青臭さの低減)をもたらし、これは、全てのタイプの乳製品、乳製品もしくは植物ベースの飲料、ヨーグルトタイプの発酵乳、乳製品もしくは植物ベースのクリーム、デザートクリーム、チーズ又はアイスクリームなどにとって重要な特性である。
【0071】
本発明の主題は、正確には、ヨーグルトタイプの発酵乳、クリーム、デザートクリーム、アイスデザート又はソルベ、及びチーズから選択され、かつエンドウ豆タンパク質単離物を含む栄養調合物であって、エンドウ豆タンパク質単離物は、
○0.5~2%の遊離アミノ酸を含有し、
○20℃において、
■10s-1の剪断速度で11~18×10-3Pa.s.、
■40s-1の剪断速度で9~16×10-3Pa.s.、及び
■600s-1の剪断速度で8~16×10-3Pa.s.
の粘度を有し、
○溶解度であって、
■4~5のpHゾーンで30~40%、
■6~8のpHゾーンで40~70%
の溶解度を有する、栄養調合物である。
【0072】
好ましくは、エンドウ豆タンパク質単離物は、消化利用率(CDU)に従って表される93.5~95%の消化率を有する。
【0073】
好ましくは、エンドウ豆タンパク質単離物は、5~10%の加水分解度(DH)を有する。
【0074】
特に、エンドウ豆タンパク質単離物は、SYMPHID試験に従って、前記単離物の構成アミノ酸の迅速な十二指腸消化を反映する「急速粘度」のタンパク質として提示される。
【0075】
好ましくは、エンドウ豆タンパク質単離物は、噴霧化によって乾燥される前に短時間にわたって高温で殺菌されている。
【0076】
本発明の一実施形態では、エンドウ豆タンパク質単離物は、栄養調合物の0.1~10重量%、好ましくは0.5~6重量%に相当する。
【0077】
本発明の一実施形態では、エンドウ豆タンパク質単離物は、栄養調合物中の総タンパク質の20~30重量%、40~50重量%、50~60重量%、60~70重量%、70~80重量%、80~90重量%又は90~100重量%に相当する。
【0078】
本発明の一実施形態では、栄養調合物は、少なくとも1種のエンドウ豆タンパク質単離物及び少なくとも1種の乳タンパク質を含む。乳タンパク質は、好ましくは、特に粉末形態の栄養調合物中において、タンパク質の総重量に対して少なくとも10重量%、15重量%、20重量%、25重量%、30重量%、40重量%、45重量%、50重量%、60重量%、70重量%又は80重量%に相当する。
【0079】
本発明の別の実施形態では、栄養調合物は、少なくとも1種のエンドウ豆タンパク質単離物と、大豆、米及び/又は小麦タンパク質などの別の植物タンパク質と、少なくとも1種の乳タンパク質とを含む。
【0080】
エンドウ豆タンパク質単離物は、
○ヨーグルトタイプの発酵乳の総タンパク質の0.1%~100%、好ましくは栄養調合物中の総タンパク質の20~100%、30~100%、40~100%、50~100%、60~100%、70~100%、80~100%、20~60%、30~50%又は50~90%、
○乳製品クリーム、アイスデザート又はソルベの総タンパク質の0.1%~100%、より具体的には50~100%、60~100%、70~100%、80~100%、
○コーヒーホワイトナーの総タンパク質の50~90%、及び
○乳製品クリーム、アイスデザート又はソルベの総タンパク質の20~100%、30~100%、40~100%、50~100%、又は40~90%
に相当する。
【0081】
厳格な菜食主義者向けのチーズでは、レシピ中の約5重量%のエンドウ豆タンパク質単離物がそれらの技術的及び官能特性を改善するのに十分である。
【0082】
例えば、本発明によるエンドウ豆タンパク質単離物は、特に栄養調合物中の総タンパク質の0.1~10%、10~20%、20~30%、40~50%、50~60%、60~70%、70~80%、80~90%もしくは90~100%、又はこれらの百分率の範囲の任意の組み合わせに相当し得る。
【0083】
本発明の主題はまた、幼児、小児及び/又は成人向けの、単一のタンパク質源として又は栄養補助食品として使用するための上記の栄養調合物である。
【0084】
本発明の主題はまた、乳児、小児及び/又は成人向けの、単一のタンパク質源としての又は栄養補助食品としての、この栄養調合物の使用である。
【0085】
本発明は、本発明によるエンドウ豆タンパク質単離物を含む栄養調合物に関する。本発明はまた、本発明による単離物に関し、特に栄養調合物を調製するための本発明による単離物の使用にも関する。
【0086】
より具体的には、本発明は、ヨーグルトタイプの発酵乳(撹拌、ギリシャ又は飲用ヨーグルト)としての、及び乳製品もしくは植物ベースのクリーム、デザートクリーム、アイスデザートもしくはソルベとしての、又はチーズとしてのこれらの栄養調合物の用途に関する。
【0087】
前記栄養調合物への本発明のエンドウ豆タンパク質単離物の組み込みは、エンドウ豆香及び野菜香を減少させることにより、エンドウ豆タンパク質の味を改善することを可能にすることが見いだされた。
【0088】
本明細書で使用される百分率、部、及び比率は、全て特に断りのない限り、全調合物の重量に関する。
【0089】
本発明の食用調合物及び対応する製造方法は、本明細書に記載の本発明の必須成分と、本明細書に記載されるか又は他に栄養調合物の適用に有用である任意の追加的な又は任意選択の成分とを含み得るか、それからなり得るか、又は本質的にそれからなり得る。
【0090】
ヨーグルト、乳製品クリーム、アイスクリーム又はソルベ中の乳製品タンパク質の(全部又は部分的)置換の分野において、乳タンパク質の機能特性と均等な又はそれを上回る機能特性を有する植物タンパク質が求められている。
【0091】
本特許出願では、「機能特性」という用語は、乳製品中の成分の有用性に影響を及ぼす任意の非栄養特性を意味する。
【0092】
これらの様々な特性は、乳製品の所望の最終特性を得ることに寄与する。これらの機能的特性のいくつかは、溶解性、粘度、起泡特性、及び乳化特性である。
【0093】
タンパク質はまた、それが使用される食品マトリックスの感覚特性において重要な役割を果たし、機能的特性と感覚特性との間に実質的な相乗作用がある。
【0094】
したがって、タンパク質の機能的特性、すなわち機能性は、技術的変換、貯蔵又は家庭における調理中に生成される食物システムの感覚的性質に影響を及ぼす物理的又は物理化学的特性である。
【0095】
タンパク質の起源がどのようなものであれ、前記タンパク質は製品の色、風味及び/又は質感に影響を及ぼすことに留意されたい。これらの官能特性は、消費者によってなされる選択に決定的な影響を及ぼし、この場合、製造業者はこれらを大きく考慮する。
【0096】
タンパク質の機能は、環境(別の分子、pH、温度など)との分子相互作用の結果である。
【0097】
この場合、それは表面特性の問題であり、これはタンパク質と、液相又は気相中の他の極性又は非極性構造との相互作用の特性のグループを形成し、これは、乳化、起泡などの特性をカバーする。
【0098】
本出願人企業は、有利な機能的特性を有し、乳タンパク質の少なくとも部分的な代替物として乳製品調製物で使用され得る栄養調合物に対する真の満たされていない必要性があることに気づいた。
【0099】
特に味覚改善の特性のために、タンパク質源としてのエンドウ豆タンパク質単離物は、この使用に特に適している。
【0100】
より具体的には、特定の応用分野、すなわち、
○ヨーグルトタイプの発酵乳(撹拌、ギリシャ、飲料などのヨーグルト)、
○乳製品/植物ベースのクリーム(「コーヒーホワイトナー」など)、
○アイスデザート又はソルベ
において、本出願人企業は、以下に実証されるように、「非乳製品コーヒークリーマー」としても知られている「非乳製品コーヒーホワイトナー」に関して、
○低温殺菌後乾燥前のエマルションの粘度が、NUTRALYS(登録商標)タイプのエンドウ豆タンパク質よりもミルク対照により近く、それが、高固形分の低粘度エマルションを乾燥させることができるようにし、
○コーヒー中での軟凝集が、NUTRALYS(登録商標)タイプのエンドウ豆タンパク質よりも、本発明によるエンドウ豆タンパク質単離物の方が目立たないないようであり、これが、コーヒーの酸性pHでの溶解度の改善、又はコーヒー再構成水に含まれる二価イオンに対する良好な安定性と相関し得る
ことを見いだした。
【0101】
さらに、任意選択的に、凝集力を改善するために、クエン酸ナトリウムなどの緩衝剤、タンパク質溶解性を促進するNaClタイプの塩(食塩)、又はリン酸塩よりも効率的な二価イオン錯化剤を添加することが選択され得る。
○この特定の用途のための前記単離物の乳化力に関して、例えばE472(脂肪酸モノグリセリド及びジグリセリドのモノアセチル酒石酸及びジアセチル酒石酸エステル)などの追加的な乳化剤の使用を選択すること、又はE471の濃度を変動させること、又はタンパク質濃度を調節すること、又は均質化工程を調整することが有利であり得る。
【0102】
- 「撹拌ヨーグルト」に関して、以下に例示されるような製造レシピにおいて、
○均質化前の温度は、65~80℃の範囲であり得、
○均質化圧力は、150~250バールの範囲であり得、
○低温殺菌温度は、80~85℃で30分間、90~95℃で5~10分間の範囲であり得、
○発酵温度は、30~45℃、好ましくは38~42℃の範囲であり得、
○「ヨーグルト」規制に規定されているヨーグルト部門で使用されている全ての発酵素に発酵素の種類を拡大することが可能である。
【0103】
前記ヨーグルトの調合に関して、
○改質デンプン及びペクチンに加えて、安定剤として、様々な比率のローカストビーン又はグアーガムが選択され得、
○選択されたデンプンは、改質デンプン、好ましくはほとんど粘度を示さず、又は完全に溶解さえしているデンプンである。その比率は、全組成物の2.5~5重量%、好ましくは2.8~3.5重量%の範囲であり得、
○エンドウ豆タンパク質に関して、本発明によるエンドウ豆タンパク質単離物を用いて野菜香がはるかに減衰されているとしても、ミルク様の着香料を添加して「より乳製品的な」香りの提供を可能にし、又は果物調合物を提供することが有利に選択され得る。
【0104】
- 「飲用ヨーグルト」に関して、本発明によるレシピは、「撹拌ヨーグルト」のために使用されるものと類似しているが、タンパク質の量は撹拌ヨーグルトよりもはるかに低く、デンプンの量は、好ましくは、全組成物の1.5重量%~2.5重量%であり、デンプンは、このマトリックスでは溶解した形態であってもなくてもよい。
【0105】
エンドウ豆タンパク質単離物の性質
本発明によるエンドウ豆タンパク質単離物は、最初にそれらの遊離アミノ酸含有量(標準NF EN ISO13903:2005に従って測定される)によって特徴付けられる。
【0106】
この値は、0.5~2%である。例えば、この値は、0.5~1%、1~1.5%もしくは1.5~2%、又はこれらの百分率範囲の任意の組み合わせであり得る。
【0107】
比較のために、エンドウ豆タンパク質(例えば、NUTRALYS(登録商標)S85F)は、約0.18%の遊離アミノ酸含有量を有する。
【0108】
エンドウ豆タンパク質単離物は、乾燥製品の少なくとも70重量%を超え、好ましくは例えば80~99重量%、80~95重量%、80~90重量%又は80~85重量%などの少なくとも80重量%のN.6.25として表される総タンパク質含有量を有する。
【0109】
本発明によるエンドウ豆タンパク質単離物は、
○剪断速度の関数として判定される、15%固形分及び20℃での水中の粘度プロファイ
ル;
○pHの関数としての、好ましくは20℃の水中のそれらの溶解度プロファイル
によっても特徴付けられる。
【0110】
水中の粘度プロファイルを判定するために、
○固形分15%のエンドウ豆タンパク質単離物の水溶液に対して、
○TA Instruments社のAR2000レオメータを用いて、
○同心円シリンダー配置で、
○3分間に600s-1で0.6×10-3の剪断速度(log)において、
○20℃の温度で(試験前に3分間の温度平衡)
測定が行われる。
【0111】
レオメータで生成される剪断速度は、本発明によるエンドウ豆タンパク質単離物の溶液が受ける処理条件を模倣することを可能にする:
○1~10s-1の剪断速度は、静置時の飲料の特徴であり(粘性の高い製品の場合にはスプーン質感)、
○40~50s-1の剪断速度は、口中の質感であり、
○300~1000s-1の剪断速度は、製品供給ポンプの剪断速度と均等である。
【0112】
したがって、本発明のエンドウ豆タンパク質単離物は、
○10s-1での剪断速度11~18×10-3Pa.s.、好ましくは12~17×10-3Pa.s.、なおもより好ましくは13~16×10-3Pa.s.、
○40s-1の剪断速度で9~16×10-3Pa.s.、好ましくは10~15×10-3Pa.s.、なおもより好ましくは10~14×10-3Pa.s.、及び
○600s-1の剪断速度で8~16×10-3Pa.s.、好ましくは9~15×10-3Pa.s.、なおもより好ましくは9.8~14×10-3Pa.s.
の粘度を有する。
【0113】
これは、それらが受ける剪断力にかかわらず、前記単離物の注目に値する安定性を反映する。
【0114】
次に、エンドウ豆タンパク質単離物は、pHの関数としてのその水溶性プロファイルによって特徴付けられる。
【0115】
使用される方法の原理は、実施例セクションで展開されるように、次のとおりである:○エンドウ豆タンパク質単離物を蒸留水中に2.5重量%で懸濁させ、
○所望のpHに調整する:この場合、0.1NのNaOH又は0.1NのHClで3、4、5、6、7又は8に調節し、
○1100rpmで30分間混合し、
○3000gで15分間遠心分離し、
○上清の一部の固形分を測定する。
【0116】
したがって、エンドウ豆タンパク質単離物の溶解度は、
○4~5のpHゾーンで30~40%、
○6~8のpHゾーンで40~70%
であり、これらのpHゾーン内での注目に値する溶解性が反映される。
【0117】
比較のために、エンドウ豆タンパク質(例えば、NUTRALYS(登録商標)S85F)は、
○4~5のpHゾーンで10~15%の溶解度、
○6~8のpHゾーンで20~50%の溶解度
を有する。
【0118】
エンドウ豆タンパク質単離物はまた、無処理エンドウ豆タンパク質に関するそれらの全消化性動態により、及びそれらの消化動態により特徴付けられる。
【0119】
以下に示されるように、生体内で測定された消化性は、93.5~95%の値を有する消化利用率(CDU)を本発明のエンドウ豆タンパク質単離物に帰属させることを可能にする。
【0120】
エンドウ豆タンパク質単離物の消化動態を測定するために、胃に相当し、次に小腸に相当する生理学的条件下での動的消化の生体外モデルが使用される(実施例1、セクション4を参照されたい)。
【0121】
以下に示されるように、このようなモデルにおける本発明による単離物の挙動は、無処理エンドウ豆タンパク質(「急速中間的」タイプの消化)とホエータンパク質(「急速」タイプの消化)との間のそれらの元の位置付けを示す。
【0122】
エンドウ豆タンパク質単離物は、最後に、「迅速消化性タンパク質」としての生体外消化性モデルにおいて特徴付けられる。
【0123】
この結果を得るために、5つのタンパク質(エンドウ豆タンパク質、ホエータンパク質、及びカゼインナトリウム、ならびに本発明によるエンドウ豆タンパク質単離物の2つのバッチ)の胃の挙動を生体外消化モデルで評価する(実施例1、セクション5を参照されたい)。
【0124】
タンパク質の消化動態は、胃内の滞留時間及び胃内容排出時間に大きく依存する。
【0125】
粘度は、胃内容排出速度を決定する重要な特性である。したがって、胃条件下での生体外粘度測定を、タンパク質を特徴付けるための関連パラメータとして選択する。
【0126】
タンパク質調製物は、胃腸消化をシミュレートする生体外系に導入され、この場合、システムは、ウェブサイトwww.nizo.comに掲載されている「Bioavailabilty of your ingredients」という名称のAppl.Environ.Microbiol.2007,Jan.;73(2):508-15で公開された論文に言及するパンフレットに提示されるように、NIZO社(SIMPHYDシステム、SIMulation of PHYsiological Digestionを意味する)によって開発された。
【0127】
この装置は、試験タンパク質の挙動を比較するためのオンラインレオロジー測定のシステムを提示する。
【0128】
経時的な粘度プロファイルは、胃のpH及び酵素放出条件下で測定される。
【0129】
以下に示されるように、ホエータンパク質(「低粘度」カテゴリーに分類される)及びカゼインナトリウム(「長期高粘度」タンパク質に分類される)と比較した場合、
- エンドウ豆タンパク質は、酸性化中に急速な粘度上昇を示し、これはpH2でベースラインに戻る(「急速な中間粘度」タンパク質)のに対して、
- 本発明のエンドウ豆タンパク質単離物は、酸性化後の粘度の非常にわずかな上昇を示し、次に30分間かけて低下し、ホエータンパク質のものと同様の値に達する(「急速粘
度」タンパク質)。
【0130】
それらの生体外での胃の挙動に基づいて、本発明のエンドウ豆タンパク質単離物は、このようにして迅速に十二指腸に輸送され、そのアミノ酸の迅速な消化がもたらされる。
【0131】
エンドウ豆タンパク質単離物の乳化特性の評価は、エンドウ豆タンパク質及び乳タンパク質と比較して行われる。
【0132】
これは、液体経路を介してMalvern Mastersizer 2000E粒度分析器を用いて行われた。
【0133】
測定原理は、光散乱に基づく。
【0134】
この粉末は、アジド含有水中に1重量%で750rpmにおいて6時間撹拌して溶解される。
【0135】
4種の植物油(ヒマワリ、ナタネ、「oleisol」交配種ヒマワリ、ブドウ種子)(例えば、Lesieur Isio 4油)を組み合わせた4mlの食用油が20mlのタンパク質(又はタンパク質単離物)に1%で添加される。
【0136】
全量がホモジナイザー(Ultra-Turrax)内で13,500rpmで3分間混合され、次に、このようにして形成されたエマルションが粒度分析器で分析され、脂肪球の大きさが測定される。
【0137】
以下に示されるように、本発明によるエンドウ豆タンパク質単離物は、乳タンパク質よりも良好な乳化特性を有する。
【0138】
さらに、カゼイネートの乳化特性と均等なそれらの乳化特性は、「コーヒーホワイトナー」タイプの乾燥エマルションの調製に最も有利である。
【0139】
本発明は、上記のようなエンドウ豆タンパク質単離物及び栄養調合物の調製のためのその使用に関する。
【0140】
本発明によるエンドウ豆タンパク質単離物の調製
本発明によるエンドウ豆タンパク質単離物の調製は、前記エンドウ豆タンパク質単離物が5%~10%、好ましくは6%~8%、さらにより具体的には6.5%~7%の加水分解度(DH)を有するようなエンドウ豆タンパク質の酵素的又は非酵素加水分解を含む。
【0141】
第1の実施形態では、加水分解はエンドペプチダーゼを用いて行われる。
【0142】
アスペルギルス属(Aspergillus)の株、特にアスペルギルス属(Aspergillus)種の株、又はアスペルギルス・オリゼ(Aspergillus oryzae)由来の非特異的エンドペプチダーゼが選択される。
【0143】
より具体的には、エンドペプチダーゼEC3-4-11が選択される。
【0144】
エンドウ豆タンパク質単離物の所望の特性を得るために、懸濁液に添加される酵素の正確な量は、
(1)使用される酵素又は酵素系;
(2)所望の最終加水分解度;及び/又は
(3)所望の分子量/最終分布
などの特定の特性の関数として変動する。
【0145】
これらのパラメータが既知であることを前提として、当業者は、所望の特性のエンドウ豆タンパク質を得るための適切な条件を容易に決定し得る。
【0146】
特定の一実施形態では、本発明によるエンドウ豆タンパク質単離物を調製するために使用される最初のエンドウ豆タンパク質は、(教示が参照により援用される)国際公開第2007/17572号パンフレット又は国際公開第2007/17572号パンフレットに記載される、エンドウ豆タンパク質組成物である。特定の一実施形態では、最初のエンドウ豆タンパク質組成物は、Roquette FreresによってNUTRALYS(登録商標)S85Fの商品名で販売されている組成物である。
【0147】
本発明の好ましい実施形態では、エンドウ豆タンパク質懸濁液は、固形分の5~20重量%、特に15~20重量%の値にされる。
【0148】
反応温度は、50~60℃の値に調節され、好ましくは約55℃である。
【0149】
原則として、酵素系又は酵素は、約0.3~1重量/容積の範囲の量で懸濁液に添加される。
【0150】
加水分解反応は、典型的には、所望の加水分解度及び/又は所望の分子量プロファイルが得られるように所望の時間(この場合、約45分~約2時間30分、好ましくは約1時間)にわたって実施される。
【0151】
この場合も、加水分解反応に必要な時間は、上記の特性に依存するが、当業者によって容易に決定され得る。
【0152】
他の実施形態では、エンドウ豆タンパク質を含有する懸濁液は、例えば、機械的(物理的)及び/又は化学的加水分解などの非酵素的手段を用いて加水分解され得る。この技術は先行技術でも公知である。
【0153】
エンドウ豆タンパク質が所望の程度まで加水分解されると、例えば酵素を不活性化することにより、又は他の標準手段を通じて加水分解反応を停止させる。
【0154】
一実施形態では、酵素の不活性化は加熱処理によって行われる。
【0155】
確立された慣行に従って、インキュベーション懸濁液の温度を、例えば約10分間で約70℃など、酵素が不活性化される温度に上昇させることにより、酵素調製物が適切に不活性化され得る。
【0156】
このようにして得られたエンドウ豆タンパク質単離物は、次に短時間高温(HTST)で処理され、次に滅菌されて、任意選択的に濃縮されて10~30%の固体含量にされた後、噴霧化によって乾燥される。例えば、単離物は、約1秒間~約30秒間にわたり、130℃~150℃の温度で殺菌され得る。
【0157】
したがって、本発明は、上記の方法によって得られるか又は得られてもよいエンドウ豆タンパク質単離物に関する。
【0158】
本発明は、本発明によるエンドウ豆タンパク質単離物を含む栄養調合物及びまた栄養調
合物を調製するためのこの単離物の使用にも関する。
【0159】
栄養調合物は、栄養調合物の総重量に対して20~95%、例えば20~90%、30~80%又は40~60%のタンパク質を含み得る。
【0160】
本発明によるエンドウ豆タンパク質単離物は、本発明による栄養調合物中において、特に栄養調合物の100重量%までの量、特に52~60重量%の範囲の量で存在する。例えば、本発明によるエンドウ豆タンパク質単離物は、栄養調合物の総タンパク質の10~20%、20~30%、40~50%、50~60%、60~70%、70~80%、80~90%もしくは90~100%、又はこれらの百分率範囲の任意の組み合わせに相当し得る。例えば、本発明によるエンドウ豆タンパク質単離物は、調合物の総タンパク質の40~50%、50~60%、60~70%、70~80%、80~90%もしくは90~100%、又はこれらの百分率範囲の任意の組み合わせに相当し得る。
【0161】
さらに、本発明によるエンドウ豆タンパク質単離物は、栄養調合物の0.1~10重量%、10~20重量%、20~30重量%、40~50重量%、50~60重量%、60~70重量%、70~80重量%、80~90重量%もしくは90~100重量%、又はこれらの百分率範囲の任意の組み合わせに相当し得る。好ましくは、それは、0.1~60%、1~50%、1~20%もしくは1~10%、又はこれらの百分率範囲の任意の組み合わせに相当する。好ましくは、エンドウ豆タンパク質単離物は、栄養調合物の0.1~10重量%、好ましくは0.5~6重量%に相当する。
【0162】
特定の一実施形態では、粉末形態の栄養調合物は、エンドウ豆タンパク質単離物とミルクベースのタンパク質との組み合わせを含む。
【0163】
この特定の実施形態の一例では、ミルクベースのタンパク質は、栄養調合物中において、タンパク質の総重量に対して少なくとも10重量%、15重量%、20重量%、25重量%、30重量%、40重量%、45重量%、50重量%、60重量%、70重量%又は80重量%の量、例えばタンパク質の総重量に対して45重量%など、好ましくはタンパク質の総重量に対して約50~75重量%の量で存在する。例えば、ミルクベースのタンパク質は、粉末形態の栄養調合物中において、タンパク質の総重量に対して10~60重量%、20~50重量%、30~40重量%又は50~75重量%の量で存在する。好ましくは、残りのタンパク質は、本発明によるエンドウ豆タンパク質単離物によって提供される。
【0164】
この特定の実施形態の別の例では、ミルクベースのタンパク質は、臨床栄養のための液体形態の栄養調合物中において、タンパク質の総重量に対して少なくとも10重量%、15重量%、20重量%、25重量%、30重量%、40重量%、45重量%又は50重量%の量で存在し、好ましくは約50重量%である。例えば、ミルクベースのタンパク質は、臨床栄養のための液体形態の栄養調合物中において、タンパク質の総重量に対して10~60重量%、20~50重量%、30~40重量%又は45~55重量%の量で存在する。好ましくは、残りのタンパク質は、本発明によるエンドウ豆タンパク質単離物によって提供される。
【0165】
この特定の実施形態の別の例では、ミルクベースのタンパク質は、スポーツのための液体形態の栄養調合物中において、タンパク質の総重量に対して少なくとも10重量%、15重量%、20重量%、25重量%、30重量%、40重量%、50重量%、60重量%又は75重量%の量で存在し、好ましくは約75重量%である。例えば、ミルクベースのタンパク質は、スポーツのための液体形態の栄養調合物中において、タンパク質の総重量に対して10~60重量%、20~50重量%、30~40重量%又は45~55重量%
の量で存在する。好ましくは、残りのタンパク質は、本発明によるエンドウ豆タンパク質単離物によって提供される。
【0166】
他の成分の性質
粉末形態の栄養調合物は、少なくとも1種の脂肪、1種のタンパク質又は1種の炭水化物を含み得、タンパク質の少なくとも一部は、エンドウ豆タンパク質単離物である。
【0167】
液体栄養調合物は、少なくとも1種のタンパク質、炭水化物、及び脂肪を含み得、タンパク質の少なくとも一部は、エンドウ豆タンパク質単離物である。
【0168】
一般に、これらの多量栄養素が本発明による栄養調合物の必須成分と適合性であるという条件で、エンドウ豆タンパク質単離物に加えて、脂肪、炭水化物、及びタンパク質の供給源がここで使用され得る。
【0169】
脂肪、タンパク質、及び炭水化物の総濃度又は総量は、使用者の栄養要求に応じて変動し得るが、これらの濃度又は量は、任意の他の必須脂肪、タンパク質、炭水化物及び/又は本明細書に記載されるような成分などを含めて、通常、以下の範囲内に入る。
【0170】
乳製品(ヨーグルト、乳製品飲料、乳製品クリーム、アイスデザート又はソルベの形態)
○脂肪濃度は、液体形態の栄養調合物の約0重量%~約15重量%、好ましくは約1.5重量%~約10重量%、さらにより好ましくは約3重量%~約6重量%であり;
○タンパク質濃度は、液体形態の栄養調合物の約1重量%~約25重量%、好ましくは約2重量%~約20重量%、さらにより好ましくは約2.5重量%~約15重量%であり;○炭水化物濃度は、液体形態の栄養調合物の約5重量%~約45重量%、好ましくは約9重量%~約25重量%、さらにより好ましくは約13重量%~約20重量%である。
【0171】
本明細書に記載される粉末及び液体形態の食用調合物で使用するための脂肪(粉末又は液体形態)又はその適切な供給源の非限定的な例は、ココナッツ油、分画ココナッツ油、大豆油、コーンオイル、オリーブ油、紅花油、オレイン酸に富む紅花油、ヒマワリ油、オレイン酸に富むヒマワリ油、パーム及びパーム核油、パームオレイン、キャノーラ油、海産油、綿油、乳製品起源の脂肪、及びそれらの組み合わせを含む。
【0172】
本明細書に記載される粉末形態及び液体形態の食用調合物で使用するための炭水化物又はその適切な供給源の非限定的な例は、マルトデキストリン、デキストリン、コーンスターチ又は加水分解又は改質コーンスターチ、グルコースポリマー、コーンシロップ、米由来炭水化物、グルコース、フルクトース、乳糖、高果糖シロップ、蜂蜜、糖アルコール(例えば、マルチトール、エリスリトール又はソルビトール)及びそれらの組み合わせを含み得る。
【0173】
粉末形態の及び液体形態の食用調合物で使用するためのエンドウ豆タンパク質単離物をはじめとするタンパク質の非限定的な例は、ミルク(例えば、カゼイン又はホエー)由来、動物(例えば、肉又は魚類)由来、穀物(例えば、米又はトウモロコシ)由来、油性植物(大豆又はナタネ)、種を付けるマメ科植物(レンズマメ、ヒヨコマメ又はインゲンマメ)由来、又はそれらの組み合わせなどの任意の既知の供給源に由来し得る、加水分解、部分的加水分解又は非加水分解タンパク質又はタンパク質源を含む。
【0174】
このようなタンパク質の非限定的な例は、乳タンパク質単離物、ホエータンパク質濃縮物などの乳タンパク質濃縮物、カゼイン、ホエータンパク質単離物、カゼイネート、全乳、脱脂乳、大豆タンパク質、部分的又は完全加水分解タンパク質単離物、濃縮大豆タンパク質などを含む。
【0175】
任意選択の成分の性質
本発明による栄養調合物はまた、製品の化学的、物理的、快楽的又は加工的特性を改変し得、又は特定の標的集団によって使用される場合、医薬的又は追加的な栄養成分の役割を果し得る他の成分も含み得る。
【0176】
これらの任意選択の成分の多くは、他の食品に使用されることが知られているか、さもなければそれに適合されており、これらの任意選択の成分が経口投与のために安全かつ効果があり、選択された製品の他の必須成分と相溶性であるという条件で、本発明による栄養調合物において使用され得る。
【0177】
このような任意選択の成分の非限定的な例は、保存料、抗酸化剤、乳化剤、緩衝液、医薬活性薬剤、追加的な栄養素、色素、着香料、増粘剤、及び安定剤などを含む。
【0178】
粉末形態又は液体形態の栄養調合物はまた、ビタミンA、ビタミンE、ビタミンK、チアミン、リボフラビン、ピリドキシン、ビタミンB12、カロテノイド、ナイアシン、葉酸、パントテン酸、ビオチン、ビタミンC、コリン、イノシトール、それらの塩、及びそれらの誘導体、及びそれらの組み合わせなどのビタミン又は関連栄養素を含み得る。
【0179】
粉末形態又は液体形態の栄養調合物は、リン、マグネシウム、鉄、亜鉛、マンガン、銅、ナトリウム、カリウム、モリブデン、クロム、セレン、塩化物、及びそれらの組み合わせなどのミネラルも含み得る。
【0180】
粉末又は液体形態の栄養調合物はまた、例えば、再構成粉末中の苦味を低減するための1つ又は複数のマスキング剤を含み得る。
【0181】
適切なマスキング剤は、天然及び人工甘味料、塩化ナトリウムなどのナトリウム源、及びグアーガム、キサンタンガム、カラゲナンなどの親水コロイド、及びそれらの組み合わせを含む。
【0182】
粉末形態の栄養調合物中のマスキング剤の量は、選択される特定のマスキング剤、調合物の他の成分及び他の調合物変数又は標的製品の関数として変動し得る。
【0183】
「約」という用語は、±10%、好ましくは±5%の値を意味する。
【図面の簡単な説明】
【0184】
【
図1】NIZOからのSIMPHYD装置を用いた粘度のモニタリングによる消化率分析である。
【
図2】pHの関数としてのエンドウ豆タンパク質単離物の溶解度プロファイルである。
【
図3】本発明によるエンドウ豆タンパク質単離物の生体外消化中の粘度のモニタリングである。
【
図4】臨床栄養のためのデザートクリームの感覚分析である。
【
図5】アイスデザート調製物のための100%乳タンパク質を用いて調製されたエマルションの脂肪小球の粒度分布である。
【
図6】アイスデザート調製物のための50%乳タンパク質及び50%エンドウ豆タンパク質NUTRALYS(登録商標)S85Fを用いて調製された、エマルションの脂肪小球の粒度分布である。
【
図7】アイスデザート調製物のための本発明による50%乳タンパク質及び50%エンドウ豆タンパク質単離物No.1を用いて調製された、エマルションの脂肪小球の粒度分布である。
【
図8】アイスデザート調製物のための本発明による50%乳タンパク質及び50%エンドウ豆タンパク質単離物No.2を用いて調製された、エマルションの脂肪小球の粒度分布である。
【
図9】本発明によるエンドウ豆タンパク質単離物を用いて調製された、厳格な菜食主義者向けのアイスクリームの融解プロファイルである。
【
図11】カゼインナトリウムと比較した、pHの関数としてのエンドウ豆タンパク質単離物の溶解度である。
【
図12】撹拌ヨーグルトの感覚分析-味覚側面である。
【
図13】撹拌ヨーグルトの感覚分析-質感側面である。
【
図14】バニラ風味のデザートクリームの官能分析である。
【発明を実施するための形態】
【0185】
本発明は、例示的かつ非限定的であることが意図される以下の実施例を用いてより明確に理解されるであろう。
【0186】
材料及び方法
DH(加水分解度)の測定
この測定は、MEGAZYMEキット(参照番号K-PANOPA)を用いた、本発明によるタンパク質及びタンパク質単離物上のアミノ窒素の判定法及び加水分解度の計算に基づく。
【0187】
原理:
サンプルの遊離アミノ酸の「アミノ窒素」基は、N-アセチル-L-システイン及びO-フタルジアルデヒド(OPA)と反応し、イソインドール誘導体を形成する。
【0188】
この反応中に形成されるイソインドール誘導体の量は、遊離アミノ窒素の量について化学量論的である。340nmでの吸光度の増加によって測定されるのは、イソインドール誘導体である。
【0189】
手順
分析するサンプルの正確に秤量された試験サンプルP*を100mlのビーカーに入れる。(この試験サンプルは、サンプルのアミノ窒素含有量の関数として0.5~5.0gであろう。)
【0190】
約50mlの蒸留水を添加し、均質化して100mlメスシリンダーに移し、5mlの20%SDSを添加し、蒸留水で容積を調節し、磁気撹拌機上で1000rpmにおいて15分間撹拌する。
【0191】
Megazymeキットのフラスコ1の1錠を3mlの蒸留水に溶解し、完全に溶解するまで撹拌する。1回の試験につき1錠を供する。
【0192】
この溶液No.1は、即時に調製する。
【0193】
反応は、分光光度計キュベット内で直接起こる。
○空試験:
3.00mlの溶液No.1及び50μlの蒸留水を入れる。
○標準物質:
3.00mlの溶液No.1及びMegazymeキットのフラスコ3の50μlを入れ
る。
○サンプル:
3.00mlの溶液No.1及び50μlのサンプル調製物を入れる。
【0194】
キュベットを混合し、約2分後に分光光度計上で340nmにおいて溶液の吸光度測定値(A1)を読み取る(340nmの波長で測定され得る1.0cmの光路を有するキュベットを備えた分光光度計、それに関連する製造業者の技術マニュアルに記載の手順に従って確認する)。
【0195】
MegazymeキットのOPA溶液フラスコ2の100μlを分光光度計キュベットに添加することにより、反応を即座に開始させる。
【0196】
キュベットを混合し、暗所に約20分間置く。
【0197】
次に、空試験、標準物質、及びサンプルの吸光度測定値を分光光度計上で340nmにおいて読み取る。
【0198】
計算法:
製品自体の質量百分率として表される遊離アミノ窒素含有量は、以下の式によって与えられる:
【数1】
式中、
ΔA=A2-A1
V=フラスコの容量
m=試験サンプルのg単位の質量
6803=340nmにおけるイソインドール誘導体の吸光係数(L.mol
-1.cm
-1単位)
14.01=窒素のモル質量(g.mol
-1単位)
3.15=キュベット内の最終容積(ml単位)
0.05=キュベット内の試験サンプル(ml単位)である。
【0199】
加水分解度(DH)は、以下の式によって与えられる:
【数2】
式中、タンパク質窒素は、標準ISO16634に従って、DUMAS法に従って測定される。
【0200】
様々なpH価における水への溶解度の測定
この測定は、サンプルを蒸留水で希釈し、遠心分離して、上清を分析することに基づく。
【0201】
手順
20℃±2℃の温度で150gの蒸留水を400mlビーカーに入れ、磁気棒で混合し、試験サンプル5gを正確に添加し、
必要に応じて0.1N NaOHでpHを所望の値に調節し、
水で内容物を200gにし、
1000rpmで30分間混合し、3000gで15分間遠心分離し、
25gの上清を収集し、
予備乾燥され風袋測定された結晶化皿に入れ、
103℃±2℃のオーブンに1時間入れ、
次にデシケータ(脱水剤付き)に入れて室温まで冷却し、計量する。
【0202】
重量百分率として表される可溶性固形物の含有量は、以下の式によって与えられる:
【数3】
式中、
○P=サンプルの重量(g単位)=5g
○m1=乾燥後の結晶化皿の重量(g単位)
○m2=空の結晶化皿の重量(g単位)
○P1=収集されたサンプル料の重量(g単位)=25gである。
【0203】
生体外消化性の測定
NIZOからのSIMPHYD装置は、胃腸管に沿った消化過程のシミュレーションの静的モデルである。
【0204】
胃消化は、経時的にオンライン粘度測定と組み合わされる。生理学条件に適合させて、胃の酸性化を、濃HClを用いて開始し、酵素消化の酵素(ペプシン及びリパーゼ)を添加する。
【0205】
全てのサンプルを3%(m/v)の濃度でSIMPHYD装置にかけた。
【0206】
測定は以下のように行う。
○粘度のベースラインを天然pH及び37℃で5分間にわたって測定し、
○次にHClを用いてpH2まで酸性化し、システムを37℃で15分間維持し、
○ペプシン及びリパーゼを20分で添加する。
【0207】
AR-2000 TA Instrumentsレオメータを使用して、75s-1の剪断速度で粘度を3時間モニターする。
【0208】
測定は二連で行う。2つの測定値の差が大きすぎる場合、第3の測定を行う。
【0209】
試験タンパク質のプロファイルを、「急速」及び「緩慢」タンパク質(それぞれホエータンパク質及びカゼインナトリウム)について、Hall et al.(Casein
and whey exert different effects on pla
sma amino acid profiles,gastrointestinal
hormone secretion and appetiteという名称のBr.J.Nutr.89:239-248で公開された2003年の論文)によって確立されたものと比較する。
【0210】
【0211】
対照ホエータンパク質サンプルの見かけの粘度は、胃処理中に変化しないが、カゼインナトリウム対照の見かけの粘度は、胃酸性化後に増加し、消化酵素添加後も高いままである。
【0212】
5分間の酸性化後、エンドウ豆タンパク質(NUTRALYS(登録商標)S85M)は、第1の粘度ピークを示し、15分後に第2の粘度ピークを示し、次に、粘度プロファイルは、ホエータンパク質のそれとわずかに高い値で再び一緒になる。
【0213】
粘度は、消化酵素の添加前に低下し始める。
【0214】
本発明のエンドウ豆タンパク質単離物は、見かけの粘度の非常に小さい増加を示し、それは、30分間かけてホエータンパク質の値をわずかに上回る値に再び減少する。
【0215】
本発明のエンドウ豆タンパク質単離物の挙動は、「緩慢」タンパク質よりも、満腹感を生じさせるタンパク質に特徴的な「急速」特性を反映する。これは、より速い胃内容排出及び血漿アミノ酸の吸収後増加を誘導する。
【0216】
乳化力の測定
上記のように、測定は、再溶解されたタンパク質粉末の光散乱によって行われ、得られたエマルションは、形成された脂肪小球のサイズについて粒度分析器で分析される。
【0217】
結果は、
○Dmode、主要母集団の直径、
○D(4.3)、算術平均直径
○D10、D50、及びD90、それに対して10%、50%及び90%の通過がある直径
によって表される。
【0218】
下の表は、
○本発明による2つのエンドウ豆タンパク質単離物、No.1及びNo.2、
○様々な乳タンパク質
○カゼインナトリウムのバッチ
を使用して調製されたエマルションの脂肪小球サイズを照合する。
【0219】
ΔDは、D90とD10との差に相当し、エマルションの分散状態を反映する。
【0220】
この値が小さいほど液滴のサイズがより近くなり、エマルションはより均質になる。
【0221】
【0222】
本発明によるエンドウ豆タンパク質単離物は、
○優れた乳化特性(より低いDmode:それぞれ23.4及び23.6μm)
○特定の濃縮乳タンパク質又はカゼインナトリウムと同程度又はさらにそれを下回る乳化安定性(ΔD)、及び
○乳タンパク質と均等な乳化均一性
を有する。
【0223】
それらの特性は、さらに、それに対してカゼイネートが求められる、アイスデザート調合物又は非乳製品コーヒーホワイトナーなどの特定レベルの乳化力が必要とされる用途のために、それらを完全に転移可能にする。
【実施例】
【0224】
実施例1:本発明によるエンドウ豆タンパク質単離物の調製及び本発明による「1」及び「2」と言及されるエンドウ豆タンパク質単離物の特徴付け
本発明のエンドウ豆タンパク質単離物No.1を製造する方法
1500kgのエンドウ豆タンパク質(商品名NUTRALYS(登録商標)S85Fとして本出願人企業により販売されている)を、55℃に予熱した8500リットルの水に混合し、
混合物を55℃で3時間撹拌し、
0.5%(重量/重量)のエンドプロテアーゼFLAVORPRO 750 MDP(BIOCATALYST社)を添加し、
混合物を55℃で1時間撹拌し、
得られた加水分解度は7であり、
媒体を70℃に加熱し、この温度で最低10分間保持することにより、この反応を阻害し、
UHT処理を適用し(方式:140℃で10秒間)、
混合物を約93%の固形分になるまで噴霧化によって乾燥させる。
【0225】
本発明のエンドウ豆タンパク質単離物No.2を製造する方法
1500kgのエンドウ豆タンパク質(商品名NUTRALYS(登録商標)S85Fとして本出願人企業により販売されている)を、55℃に予熱した8500リットルの水
に混合し、
混合物を55℃で3時間撹拌し、
0.3%(重量/重量)のエンドプロテアーゼENZECO FUNGAL PROTEASE(EDC社)を添加し、
混合物を55℃で1時間撹拌し、得られた加水分解度は6.5であり、
媒体を70℃に加熱し、この温度で最低10分間保持することにより、この酵素反応を阻害し、
UHT処理を適用し(方式:140℃で10秒間)、
次に、混合物を約93%の固形分になるまで噴霧化によって乾燥させる。
【0226】
このようにして調製されたエンドウ豆タンパク質単離物の特性
1.遊離アミノ酸の含有量
【0227】
【0228】
2.粘度プロファイル
水中の粘度プロファイルの判定のために、
○固形分15%を含有するエンドウ豆タンパク質単離物の水溶液(200ppmで浸透圧及びアジド処理された水でいかなる細菌のリスクも防ぐ)に対して、
○TA Instruments社のAR2000レオメータを用いて、
○同心円シリンダー配置で、
○3分間に600s-1で0.6×10-3の剪断速度(log)において、
○20℃の温度で(試験前に3分間の温度平衡)
測定を行う。
【0229】
測定前に溶液を少なくとも10時間にわたり750rpm及び20℃で撹拌する。
【0230】
pHは調節しない。
【0231】
以下の表は、本発明によるエンドウ豆タンパク質単離物粘度プロフィールを、対照乳タンパク質及びエンドウ豆タンパク質NUTRALYS(登録商標)S85Fのものと比較する。
【0232】
【0233】
本発明によるエンドウ豆タンパク質単離物は、乳タンパク質のものに類似したニュートン挙動を示す一方、エンドウ豆タンパク質NUTRALYS(登録商標)S85Fは、非常に顕著なずり減粘挙動を示すことが判明している。
【0234】
さらに、エンドウ豆タンパク質単離物No.1及び2の粘度は、乳タンパク質の粘度に非常に近く、又はさらに低くさえなる。
【0235】
3.pHの関数としての水中の溶解度プロフィール
結果を以下の表に示し、
図2に示す。
【0236】
【0237】
4.安定性研究
無処理エンドウ豆タンパク質に関するそれらの挙動を測定するために、本発明によるエンドウ豆タンパク質単離物の経時安定性の研究を実施する。
【0238】
試験は、
○40℃±2℃
○75%±5%相対湿度
の温度/相対湿度計画に従って6ヶ月間保存した後に実施する。
【0239】
測定値は、溶解度の損失百分率(上記手順に従って測定)として表される。
【0240】
【0241】
このようにして、pH7では、NUTRALYS(登録商標)S85Fは、その溶解性の約半分を失ったのに対して、エンドウ豆タンパク質単離物は最大でもその溶解度の5分の1のみを失い、全ての場合において最初のNUTRALYS(登録商標)S85Fの溶解度よりも高い溶解度を維持することが見いだされた。
【0242】
4.消化性プロファイル
この研究の目的は、本発明によるエンドウ豆タンパク質単離物No.1及び2の総タンパク質消化性を評価して、NUTRALYS(登録商標)S85Fと比較することである。
【0243】
この研究のために、試験の開始時に体重100~125gの48匹のSprague Dawleyラット(Charles River,Lyons,France)をそれらの体重の関数として無作為化し、12匹ずつの4群に分けた。
【0244】
この実験は、動物実験及び動物福祉に関する欧州の法律(APAFISプロジェクト番号0000501)に従って行われた。
【0245】
到着時、ラットは7日間の隔離期間を経て、その間、ラットの成長のための標準的な飼料を与えられた。
【0246】
研究の初日からラットに以下の食事を10日間与えた。
【0247】
【0248】
飼料と飲料との消費量及び体重変化を研究の第1日目及び第5日目にモニターし、その後、毎日、研究最終日の10日目までモニターする。
【0249】
研究の最初の5日間は、尿と糞便も毎日採取する。飼料及び糞便のタンパク質含有量をケルダール法(標準ISO 1871:2009)により判定する。
【0250】
糞便と飼料の窒素分析は、消化吸収係数(CDU)の計算を可能にする。
【数4】
全てのラットは、予想どおりの成長を有した。この実験計画ではいつものように、成長はタンパク質欠損対照群で有意に低かった。
【0251】
飲料の消費は、様々な食餌によって変化しなかった。
【0252】
他の尿及び糞便パラメータの変化は、対照食又は実験食に直接関連する。
【0253】
様々な実験日の関数として、以下の消化性を計算した。
【0254】
【0255】
統計学的観点から、NUTRALYS(登録商標)S85Fのタンパク質消化性は、本発明によるエンドウ豆タンパク質単離物No.1のタンパク質消化性と有意に異なる(p=0.0003)。
【0256】
しかし、生物学的観点から、これらの差異は全く有意でない。
【0257】
したがって、消化性は、本発明によるNUTRALYSとエンドウ豆タンパク質単離物No.1及びNo.2との間で、以下の総括により類似していると結論付けられ得る。
【0258】
【0259】
5.消化動態
この試験は、以下の方法に従ってタンパク質消化のシミュレーションの生体外技術を使用する。
【0260】
生体外消化法の使用は、それらの物理化学的特性ならびにそれらの胃及び小腸通過中の挙動の関数として、種々のタンパク質が豊富な食品の効率的なスクリーニングを可能にする。
【0261】
ここで、NUTRALYS(登録商標)S85F、本発明のエンドウ豆タンパク質単離物No.1及びNo.2ならびにこの種の試験で一般的に使用される対照、すなわちカゼイン及びホエーの3%(m/m)のタンパク質溶液を比較する。
【0262】
したがって、これらの5つの溶液を、胃及び次に小腸に相当する生理学的条件下における動的消化の生体外モデルで試験する。
【0263】
この消化モデルは、ステンレス鋼フィンローター(高さ39mm、直径28mm)を備えた制御応力レオメータ(AR-2000,TA Instruments,New Castle,DE,USA)を用いた粘度のリアルタイムモニタリングと連動する。
【0264】
タンパク質溶液を同一条件、すなわち3時間にわたる37℃及び150s-1の速度における通常の剪断で試験した。
【0265】
pHを1.5~2に徐々に酸性化する前にベース粘度を5分間モニターした。
【0266】
この酸性化は、一般に15分かかる。
【0267】
溶液のpHが1.5~2で安定したら、胃ペプシン(Sigma-Aldrich,St.Louis,MO,USA)とリパーゼ(Novozyme,Gladesaxe,Denmark)との酵素カクテルを加える。粘度モニタリング曲線を
図3に示す。
【0268】
生体外消化中の粘度のモニタリングは、タンパク質の消化動態を明確に反映する。このようにして、ホエーは急速に消化されるタンパク質であるため、その消化は粘度の変化を引き起こさない。カゼインについて、酸性化後に粘度が大幅な増加を示し、それは緩慢な消化速度を反映する。
【0269】
NUTRALYS(登録商標)タイプのエンドウ豆タンパク質は、これらの2つの標準の中間の挙動を示し、「迅速な中間」であると見なされる。
【0270】
しかし、本発明によるエンドウ豆タンパク質単離物No.1及びNo.2は、これもNUTRALYS(登録商標)S85F及びホエーの中間である挙動を示す。
【0271】
急速タンパク質と中間タンパク質との組み合わせは、消化を促進し、血液循環中のアミノ酸の拡散時間を延長し得、それは、長い労作後の筋肉におけるタンパク質合成に有利であることに留意すべきである。
【0272】
実施例2:臨床栄養のためのUHT処理された直ちに飲める飲料中の乳タンパク質のエンドウ豆タンパク質単離物による置換
本発明によるミルク、エンドウ豆、及び競合するエンドウ豆タンパク質及びエンドウ豆タンパク質単離物をベースとした栄養調合物が以下の表に示される(約23%の置換)。
【0273】
【0274】
100g当たりの栄養価は、次のとおりである。
【0275】
【0276】
デザートクリームの製造方法は、次のとおりである。
○水を50℃に予熱し、
○全ての粉末(乳タンパク質、エンドウ豆タンパク質、エンドウ豆タンパク質単離物、マルトデキストリン、デキストリン、スクロース、デンプンを全て)を乾式混合し、
○粉末混合物を50℃の水に加え、1分間にわたりホイップで分散させた後、50℃で3000rpmにおいて30分間にわたりSILVERSONブレンダーで混合し、
○前記溶液に香料を添加し、
○レシチンと油とを別々の混合容器に入れ、撹拌して約50℃に加熱し、
○30分間の水和後、10000rpmで5分間の剪断を用いて、レシチンと油混合物とを主バッチに添加し、
○製品を管式熱変換器内で133℃において55秒間滅菌した後、70℃で包装し、
○4℃で保存する。
【0277】
臨床栄養のためのデザートクリームの感覚特性の比較
パネルは、調合された製品の味見能力が認定されている。パネルは、以下についての能力を確認するための訓練を受けた。
●製品の差別化能力
●共通認識、記述子の正しい使用
●再現性、2回提出された製品の検出能力
【0278】
このパネルは、Roquetteの社員の26人で構成され、味見の日には11人が出席し、そのうちの6人はデザートクリームの題材について訓練を受けていた。
【0279】
製品を調製し、次に冷蔵庫内に保存した。
【0280】
それらは室温でパネリストに給仕された。
【0281】
味見条件
感覚分析試験室内:個別の味見用小個室、白い壁、静かな環境(集中力を促進するため)
●白色光(製品の全く同じ視覚を有するため)
●午前中又は午後の終わり(感覚能力が最も高い)
●3桁のコードで匿名化された製品(コードが製品の評価に影響を与えないようにするため)
●無作為の順序で提示される製品(順序と永続性の影響を防ぐため)
【0282】
実施
製品を比較するために採用された方法は、フラッシュプロファイル(J.M.Sieffermann,2000)であった。
【0283】
製品は、全て同時に提示される。一連の分類を行うことにより、製品を比較する。パネリストは、製品間の区別のために最も適切であると思う記述子を選択し、これらの記述子に従って製品を分類し、いくつかの製品が同じ行にグループ化される可能性がある。
【0284】
実施例:
感覚記述子:フォンダン
【数5】
ここでパネリストに目安として提示される記述子の一覧を示す。
【0285】
【0286】
データ処理
この種のデータに適した統計処理法は、製品のデータ行上の多重因子分析(J.Pages,1994)である。結果をより明確にするために、MFAを全体的に及び基準(外観、匂い、味、質感)毎に数回実施した。提示されたグラフは、この方法によって提供される全ての結果を要約する。
【0287】
統計処理は、ソフトウェアRバージョン2.14.1(2011-12-22)で行った。
【0288】
結果
図4に見られるように、全てのパネリストがデザートクリームを合意して区別しており
、第1次元は約64%と非常に高く、それは、次のように極端な製品を以下のように記述する。
【0289】
ミルク対照は最も光沢があり、口中で溶解するが、濃厚さが最も低く、甘みが最も高い。
【0290】
質感に関して、PISANE(登録商標)C9及びNUTRALYS(登録商標)S85Fを用いたデザートクリームは、本発明によるエンドウ豆タンパク質単離物を用いたデザートクリームよりも濃厚である。
【0291】
味に関して、エンドウ豆タンパク質単離物を用いたデザートクリームは、PISANE(登録商標)C9及びNUTRALYS(登録商標)S85Fを用いた試験よりもエンドウ豆味が少ない。
【0292】
実施例3.アイスクリーム/アイスデザート中の乳タンパク質のエンドウ豆タンパク質単離物による置換
4つのレシピが開発されている:
○対照:100%乳タンパク質
○レシピNo.1:50%乳タンパク質をエンドウ豆タンパク質NUTRALYS(登録商標)S85Fで置き換える;
○レシピNo.2:50%乳タンパク質を本発明によるエンドウ豆タンパク質単離物No.1で置き換える;
○レシピNo.3:50%乳タンパク質を本発明によるエンドウ豆タンパク質単離物No.2で置き換える。
【0293】
【0294】
【0295】
製造工程は、次のとおりである:
○脱脂乳を容器に入れ(40/45℃)、
○粉末状の成分を容器に添加し、CHOCOTECバッチ調理器で80Hzにおいて15分間撹拌し、
○安定剤と糖とを一緒に混ぜ合わせ、混合物を容器内に混和し、
○80Hzで20分間混合し、
○クリームとグルコースシロップとを混和し、
○80Hzで15分間混合し、
○80℃で3分間低温殺菌し、
○70℃に冷却して、得られた混合物の半分を直接均質化し、残りの半分を50℃に冷却する。第1のバッチを均質化する場合、第2のバッチを70℃に加熱し、次に均質化し、○200バールで均質化し、
○熟成容器内で4℃に冷却して香料を添加し、
○23時間にわたり熟成させ、
○泡立てて95~100%のオーバーランを得、-30℃で1時間凍結させ、
○アイスクリームを-20℃で保存する。
【0296】
分析
【0297】
【0298】
本発明によるエンドウ豆タンパク質単離物を用いて製造された調製物の膨張性は、対照のものと同一であり、エンドウ豆タンパク質を用いて製造されたものと有意に異ならないことに留意されたい。
【0299】
【0300】
エンドウ豆タンパク質を用いたレシピが最も高い粘度を示す。本発明によるエンドウ豆タンパク質単離物を用いたレシピは、対照レシピと均等である。
【0301】
粒度分析
粒度分析は、エマルションの乳化力及び安定性を評価する目的で、アイスクリームの調製における様々な段階で実施した:
○均質化工程後の脂肪小球のサイズ分布、
○熟成工程後の脂肪小球のサイズ分布、
○アイスクリームの脂肪小球のサイズ分布(泡立て工程後の脂肪小球のサイズ分布に相当する)。
【0302】
これらの分析はまた、0.1%SDSを添加して実施し、凝集/軟凝集又は融合によってエマルションが生成したどうかを判定した。
【0303】
【0304】
各レシピについて、粒度分布は、熟成後に減少するか又はより単峰性になる傾向がある。
【0305】
この変化は、エンドウ豆タンパク質NUTRALYS(登録商標)S85Fを用いたレシピで非常に目立つ。これは、エンドウ豆タンパク質NUTRALYS(登録商標)S85Fが、脂肪小球の界面に移行するのが最も遅い乳化剤であることを示す。
【0306】
対照的に、レシピNo.3(本発明によるエンドウ豆タンパク質単離物No.2を用いる)は、100%乳タンパク質を含有するレシピと同様に良好な乳化剤である。
【0307】
本発明によるエンドウ豆タンパク質単離物No.1は、均質化後の本発明によるエンドウ豆タンパク質単離物No.2よりも乳化性が低いが、熟成後にほぼ同様に良好になる傾向がある。
【0308】
実施例4:アイスクリーム/アイスデザート中の乳タンパク質のエンドウ豆タンパク質単離物による全置換
これらの3つのレシピは、厳格な菜食主義者向けのアイスクリームのために開発された。
○対照:100%エンドウ豆タンパク質NUTRALYS(登録商標)S85F
○レシピ1:本発明による100%エンドウ豆タンパク質単離物No.1
○レシピ2:本発明による100%エンドウ豆タンパク質単離物No.2
【0309】
【0310】
栄養価(100g当たり)は、次のとおりである。
【0311】
【0312】
製造工程は、次のとおりである:
○水を45℃に加熱し、
○成分を混合し、
○安定剤をスクロースと混合し、
○水を添加して20分間混合し、
○脂肪(溶融ココナツ油)を導入して混合し、
○80℃で3分間低温殺菌し、
○70℃まで冷却し、
○200バール(2段階)-2番目の段階において30%で混合物を均質化し、
○香料を添加し、
○4℃で20分間撹拌して熟成させ、
○90~100%で泡立て、-30℃で1時間冷却し、
○-18℃で保存する。
【0313】
分析
オーバーラン力の測定(アイスデザート)
○所与の容量Vの空のるつぼの重量
測定された質量=mc、式中、mcは空のるつぼの質量である
○所与の容量Vのるつぼの重量、オーバーラン前に混合物で縁まで満たされる
測定された質量=mc+mmix式中、mmixは、容積Vに対応する混合物の質量である
○所与の容量Vのるつぼの重量、オーバーラン後に混合物で縁まで満たされる(冷凍庫から取り出された)
測定された質量=mc+mice式中、miceは、容量Vに対応する氷(冷凍庫から取り出されたオーバーラン混合物)の質量である。
【0314】
オーバーラン測定値は、次の式で与えられる。
【数6】
【0315】
【0316】
粘度測定
○4℃における測定
○レオメータ:Physica MCR 301 Anton Paar
○配置:同心円シリンダーCC27
○公称値:5分間で200s-1
【0317】
【0318】
【0319】
したがって、レシピが本発明によるエンドウ豆タンパク質単離物を含む場合、粘度がより低いことに留意されたい。
【0320】
質感の測定
○測定温度:冷凍庫からの出庫時
○レオメータ:INSTRON9506装置
○配置:円錐
○公称値:20分間まで課された変形
【0321】
【0322】
本発明によるエンドウ豆タンパク質単離物を用いたレシピでは、硬度が全体的に良好であることが判明している。より詳細には、本発明によるエンドウ豆タンパク質単離物No
.2は、おそらくその高いオーバーラン力(101%)に関連して顕著に高い硬度を有する。
【0323】
混合物及びアイスデザートのエマルションのサイズ測定
プロトコル:
○MALVERN 3000流路式粒度分析装置(粒度計)(溶媒は脱ミネラル水)
○光学モデル:1.46+0.001i、撹拌速度1900rpm
【0324】
熟成前後の混合物は、SDSあり及びなしで特性決定する:
○SDSなし:サンプルは、水のみを含有する粒度分析装置のビーカーに直接導入する。○SDSあり:0.1%、すなわち0.6gのSDSを粒度分析装置のビーカーに直接導入する。SDSの溶解後、サンプルを分析のために添加する。
【0325】
最終的なアイスクリームは、解凍せずに粒度分析装置のボウルに導入する。アイスクリームを融解して分散させた後に、測定を行う。
【0326】
SDSあり又はなしの熟成前後のエマルションのサイズを以下の表に示す。
【0327】
【0328】
SDSがない場合、エンドウ豆タンパク質を含有する混合物のエマルション(対照)は、本発明によるエンドウ豆タンパク質単離物から調製されたエマルションよりも小さい粒度を有する。
【0329】
【0330】
SDSがある場合、脂肪凝集塊が分散するため、Dmodeは3つの試験でより近い。本発明によるエンドウ豆タンパク質単離物No.1を用いた調合物は、より大きい粒子を有する粒度分析ピークを有することに注目すべきである。
【0331】
【0332】
【0333】
熟成後に大きい変化は観察されない。本発明によるエンドウ豆タンパク質単離物を用いた調合物は、エンドウ豆タンパク質を用いた調合物よりもさらに多分散性である。
【0334】
未修飾の形態のアイスクリームのエマルションサイズは、SDSの存在なしで測定される。
【0335】
【0336】
主要ピーク(Dmode)のサイズは、3種のアイスクリームについて同様である。しかし、本発明によるエンドウ豆タンパク質単離物を用いた調合物は、特に単離物No.2を用いたものよりもさらに多分散性である。
【0337】
比較試験は、市販のアイスクリームを用いて実施され、これらのアイスクリームが、脂肪球の高い含有量に関して、対照レシピ及びレシピ1及び2よりも粗大粒子をより多数含有することを示す。
【0338】
融解挙動の測定
プロトコル:
経験的に、所与の体積のアイスデザートのサンプルをビーカー上のグリルに載せる。次に以下を測定する。
○最初の滴がビーカーに落ちるまでの時間、
○3時間にわたり経時的に溶けたアイスクリームの百分率。
【0339】
図9は、本発明によるエンドウ豆タンパク質単離物を用いて調製されたアイスクリームでは、融解がより少ないという事実を明確に例証する。
【0340】
感覚分析
パネルは15名で構成された。
【0341】
前述の実施例と同様に、このパネルは、エンドウ豆タンパク質を用いた製品の味見能力が認定されている。パネルは、以下についての能力を確認するための訓練を受けた。
●製品の差別化能力
●共通認識、記述子の正しい使用
●再現性、2回提出された製品の検出能力
【0342】
エンドウ豆タンパク質を用いて調製されたアイスクリームと比較した場合、本発明のアイスクリームは、苦味が少なく、エンドウ豆の味が少なく、着色が少ない。
【0343】
本発明によるエンドウ豆タンパク質単離物No.1を用いたアイスデザートは、氷結晶が少なく、バニラ味がより顕著であり、他の製品よりも甘く、より脂肪性である。
【0344】
本発明によるエンドウ豆タンパク質単離物No.2を用いたアイスデザートは、甘くて脂肪性、よりクリーム状である。それらは、わずかにより顕著な「緑茶」の味を有する。
【0345】
結論
アイスデザートの製造工程中、本発明によるエンドウ豆タンパク質単離物は、エンドウ豆タンパク質と比較してより低い粘度をもたらす。
【0346】
単離物1の質感はより硬いが、パネリストによって知覚されない。
【0347】
2種の単離物は、特に対応するアイスデザートの融解を低下させる。
【0348】
味に関して、最良の認知は、甘い味及び顕著な風味があり、苦み及び「豆」の味がより少ない、単離物No.1を用いて調製されたアイスデザートである。
【0349】
実施例5:アイスクリームの感覚特性の比較
パネルは20名で構成された。
【0350】
パネルは、エンドウ豆タンパク質を用いて調合された製品の味見能力が認定されている。パネルは、以下についての能力を確認するための訓練を受けた。
●製品の差別化能力
●共通認識、記述子の正しい使用
●再現性、2回提出された製品の検出能力
【0351】
具体的には、パネルは、例えば、次のような味及び質感の感覚記述子を正しく使用するためのトレーニングを受けた。
【0352】
【0353】
また、この方法において、パネルは、この一覧で予想されなかった他の記述子に関してコメントをすることも許された。
【0354】
製品
アイスクリームは、実施例9のレシピNo.1、No.2、No.3である。
【0355】
味見条件
- 感覚分析試験室内:個別の味見用小個室、白い壁、静かな環境(集中力を促進するため)
- 白色光(製品の全く同じ視覚を有するため)
- 午前中又は午後の終わり(感覚能力が最も高い)
- 3桁のコードで匿名化された製品(コードが製品の評価に影響を与えないようにするため)
- 無作為の順序で提示される製品(順序と永続性の影響を防ぐため)
【0356】
実施
製品を比較するために採用された方法は、フラッシュプロファイル(J.M.Sieffermann,2000)であった。
【0357】
製品は、全て同時に提示される。一連の分類を行うことにより、製品を比較する。パネリストは、製品間の区別のために最も適切であると思う記述子を選択し、これらの記述子に従って製品を分類し、いくつかの製品が同じ行にグループ化される可能性がある。
【0358】
実施例:
感覚記述子:サクサク感
【数7】
データ処理
この種のデータに適した統計処理法は、製品のデータ行上の多重因子分析(J.Pages,1994)である。結果をより明確にするために、MFAを全体的に及び基準(外観、匂い、味、質感)毎に数回実施した。提示されたグラフは、この方法によって提供される全ての結果を要約する。
【0359】
分析は、Rソフトウェア(公開販売中):
Rバージョン2.14.1(2011-12-22)
Copyright(C)2011 The R Foundation for Statistical Computing
ISBN3-900051-07-0
20プラットフォーム:i386-pc-mingw32/i386(32ビット)
を用いて行った。
【0360】
このソフトウェアは、FactoMineRバージョン1.19パッケージなどの計算機能を含むモジュールのロードを要する作業環境である。
【0361】
【0362】
3つのサンプルは、全てクリーミーな質感、冷たさ及びフォンダン、ならびにエンドウ豆味、バニラ味、苦味に関して評価した。
【0363】
しかし、いくつかの記述子でそれらを区別できるようになる。
●NUTRALYS(登録商標)S85Fを用いたアイスクリームはより硬いようであり、エンドウ豆及び厚紙の味がする。
●本発明によるエンドウ豆タンパク質単離物No.1を用いたものは、より脂性であり、クルミの香気で空気混入されている。
●本発明によるエンドウ豆タンパク質単離物No.2を用いたものは、より甘いと判定される。
【0364】
実施例6:「非乳製品コーヒークリーマー/ホワイトナー」マトリックス中のエンドウ豆タンパク質単離物の使用
a.カゼインナトリウムの100%置換
ここでの目的は、カゼインナトリウムの100%を置換し、コーヒー中で安定な製品を得ることである。
【0365】
低温殺菌後のエマルションの粘度の測定及びコーヒー中での安定性の測定は、NUTRALYS(登録商標)と比較して、カゼインナトリウムを置き換えるそれらの能力における、エンドウ豆タンパク質単離物の機能的特性の改善を例証することを可能にする。
【0366】
開発されたレシピは、次のとおりである。
【0367】
【0368】
製造工程は、次のとおりである:
○絶え間なく撹拌しながら80°で脂肪を溶融させ、
○溶融油脂にDimodan HPを添加して、モノグリセリドを溶解させ、
○水の90%を50℃に加熱してタンパク質を添加し、30分間絶え間なく撹拌しながら水和させ、
○リン酸塩を40℃で残りの水に溶解し、
○30分間の水和後、主な混合物にグルコースシロップとリン酸塩を添加し、
○主混合物中の脂肪/Dimodan HPの混合物を10000rpmで5分間予備乳化し、
○製品を75℃において第1段階では160バール、第2段階では30バールの圧力のNiro Panda 2K Soavi(GEA)高圧ホモジナイザー内に入れ、
○80℃で数秒間低温殺菌し、次に製品を冷水に入れて加熱処理を止める。
【0369】
調合物について実施した分析は、次のとおりである。
【0370】
1.粘度分析
加熱処理工程後の濃縮エマルションの粘度測定は、通常の噴霧化温度である65℃で行われる。
【0371】
装置:
○Physica MCR 301 Anton Paarレオメータ
○配置:CC27
○方法:660sで0~1000s-1
【0372】
様々なレシピで得られた結果は、次のとおりである。
【0373】
【0374】
低温殺菌後におけるレシピ2及びレシピ3のエマルションの粘度は、エンドウ豆タンパク質を用いて調製されたレシピ4よりもミルク対照に近く、60重量%のような高固形分の低粘度エマルションを乾燥させることが可能になる。
【0375】
2.pHの関数としての溶解度
【0376】
【0377】
図11は、pHの関数として、カゼイネートと比較して、本発明によるエンドウ豆タンパク質単離物の溶解度の変化を例証し、それらの優れた挙動を反映する。
【0378】
コーヒー中の安定性の評価
コーヒーの再構成
○可溶性コーヒー2gを秤量し、
○飲料水(カルシウム含有量136mg及びマグネシウム含有量60mg)を80℃に加熱して、135gの前記水を上記2gに添加し、
○濃縮エマルション12.7gをコーヒーに添加する。
【0379】
エンドウ豆タンパク質を用いて得られたものと比較して、本発明によるエンドウ豆タンパク質単離物を含有するレシピでは、コーヒー中での軟凝集はあまり多くないようである。しかし、これは、エンドウ豆タンパク質に対する前記単離物の溶解度の改善と相関し得る。
【0380】
a.カゼインナトリウムの50%置換
ここでの目的は、カゼインナトリウムの50%を置換し、コーヒー中で安定な製品を得ることである。
【0381】
低温殺菌後のエマルションの粘度の測定及びコーヒー中での安定性の測定は、NUTRALYS(登録商標)と比較して、カゼインナトリウムを置き換えるそれらの能力における、エンドウ豆タンパク質単離物の機能的特性の改善を例証することを可能にする。
【0382】
開発されたレシピは、次のとおりである。
【0383】
【0384】
100g当たりの栄養価は、次のとおりである。
【0385】
【0386】
製造工程は、次のとおりである:
○絶え間なく撹拌しながら80°で脂肪を溶融させ、
○液体油にモノグリセリドとジグリセリドを溶解し、
○粉末状タンパク質を50℃の水に30分かけて溶解し、
○水の一部に、グルコースシロップと既に溶解したリン酸塩を添加し、
○溶融脂肪を水溶液中で10000rpmにおいて撹拌して予備乳化させ、
○80℃で数秒間低温殺菌し、
○製品を75℃において第1段階では160バール、第2段階では30バールの圧力のNiro Panda 2K Soavi(GEA)高圧ホモジナイザー内に入れ、
○混合物を50%固形分に希釈し、蒸発能力が10~12l/hの装置内において、180℃(Tinlet)及び90℃(Toutlet)で微粒化する。
【0387】
調合物について実施した分析は、次のとおりである。
【0388】
1)エマルションのpH
【0389】
【0390】
2)エマルションの能力
(レーザー粒度分析装置を用いて)脂質小球の大きさを測定することにより、本発明によるエンドウ豆タンパク質単離物が、可能な最小の大きさの脂質小球を形成する能力を判定することが可能になる。
【0391】
【0392】
これらの結果は、50/50混合物が100%カゼイネート対照と同様の粒度分布を有することを明らかに示す。
【0393】
3)65℃における60%固形分を含有するエマルションの粘度(噴霧化前)
装置:
○Physica MCR 301 Anton Paarレオメータ
○配置:CC27
○方法:660sで0~1000s-1
【0394】
【0395】
50/50混合物の最低粘度は、カゼイネートに従来必要とされている固形分よりも高い固形分でそれを噴霧化することを可能にする。
【0396】
4)コーヒー中における粉末状の「非乳製品コーヒークリーマー」の安定化
コーヒーの再構成:
a.可溶性コーヒー2gを秤量し、
b.80℃で8gのエマルション及び150mlの飲料水(カルシウム含有量136mg及びマグネシウム含有量60mg)を添加する。
【0397】
コーヒー中のエマルションの安定性は、L(ホワイトバランス)、a(イエローバランス)、b(グリーンバランス)座標に従って、調製物の色測定の色変化を測定することによって判定され、コーヒー中の白色は、製造業者と消費者が求めている重要な基準の1つである。
【0398】
カゼイネートを用いて調製した対照コーヒー(L=+98)に関する、50/50混合物(L=+96)を用いて調製したコーヒーのLパラメータの測定に関する2ポイントの差は、本発明によるエンドウ豆タンパク質単離物との混合物の優れた安定性を反映する。
【0399】
実施例7.撹拌ヨーグルトを調製するためのエンドウ豆タンパク質単離物の使用
ここでの目的は、乳タンパク質の30%を置き換えることである。
【0400】
開発されたレシピは、次のとおりである。
【0401】
【0402】
【0403】
製造工程は、次のとおりである:
○水を60℃に加熱し、
○タンパク質を添加し、1時間静置して水和させ、
○POLYTRONホモジナイザーで2分間混合しながらクリームを添加し、
○糖/デンプン混合物を10~15分かけて添加し、
○75~80℃において高圧(2段階:第1段階180バール;第2段階200バール)で均質化し、
○Power Point International管式熱変換器を用いて95℃で6分間にわたって20l/hで低温殺菌し、
○発酵素(YoFlex(登録商標)YF-L812-50U/250L)を添加し、
○42℃でpH4.6に酸性化し(酸性化時間は5~6時間)、
○3600rpm、42℃で撹拌し、
○Spindle 2Gを用いて37/38℃で3600rpmにおいて滑らかにし、
○ポットに入れて4℃で保存する。
【0404】
【0405】
【0406】
【0407】
【0408】
レシピ3は対照レシピに最も近い挙動を示すが、D+7及びD+14で、対照レシピの粘度変化に対する粘度曲線の逆転を伴う。
【0409】
具体的には、レシピ3はD+14で粘度を回復し、D+14で最も剪断抵抗性である。
【0410】
レシピ1は、D+7のレシピ3よりも粘性が高く剪断抵抗性であるが、これはD+14から逆転する。
【0411】
本発明によるエンドウ豆タンパク質単離物を用いたレシピ2は、4つのレシピの中で最も粘性であり、対照レシピよりも粘性である。その粘度は経時的に減少する。
【0412】
これらの結果は、本発明によるエンドウ豆タンパク質単離物が、その挙動のために対照レシピの粘度と類似していることが望ましい場合、このレシピ中のデンプン量の減少を可能にすることを実証する。
【0413】
レシピ1及びレシピ3についても同様のことが言えるが、その程度はより低い。
【0414】
実施例8:撹拌ヨーグルトの感覚特性の比較
味覚評価では、パネルは11人で構成されていた。質感評価では、パネルは12人で構成されていた。
【0415】
パネルは、エンドウ豆タンパク質を用いて調合された製品の味見能力が認定されている。パネルは、以下に関する能力をチェックするように訓練を受けた。
●製品の差別化能力
●共通認識、記述子の正しい使用
●再現性、2回提出された製品の検出能力
【0416】
具体的には、パネルは、例えば、次のような味及び質感の感覚記述子を正しく使用するためのトレーニングを受けた。
【0417】
【0418】
【0419】
【0420】
製品
実施例11(対照レシピ、レシピ1、及びレシピ2)で試験した3つの製品を製造の3日後に評価し、約10℃の温度で提示した(冷蔵庫に保存した製品、取り出したときに評価される)。
【0421】
味見条件
- 感覚分析試験室内:個別の味見用小個室、白い壁、静かな環境(集中力を促進するため)
- 白色光(製品の全く同じ視覚を有するため)
- 午前中又は午後の終わり(感覚能力が最も高い)
- 3桁のコードで匿名化された製品(コードが製品の評価に影響を与えないようにするため)
- 無作為の順序で提示される製品(順序と永続性の影響を防ぐため)
【0422】
実施
製品を比較するために採用された方法は、フラッシュプロファイル(J.M.Sieffermann,2000)であった。
【0423】
製品は、全て同時に提示される。一連の分類を行うことにより、製品を比較する。パネリストは、製品間の区別のために最も適切であると思う記述子を選択し、これらの記述子
に従って製品を分類し、いくつかの製品が同じ行にグループ化される可能性がある。
【0424】
実施例:
感覚記述子:サクサク感
【数8】
味又は質感に関する記述子の2つのリストがパネリストに目安として提案される。それらは、このレポートの付録に添付されている。
【0425】
データ処理
この種のデータに適した統計処理法は、製品のデータ行上の多重因子分析(J.Pages,1994)である。結果をより明確にするために、MFAを全体的に及び基準(外観、匂い、味、質感)毎に数回実施した。提示されたグラフは、この方法によって提供される全ての結果を要約する。
【0426】
統計処理は、ソフトウェアRバージョン2.14.1(2011-12-22)で行った。
【0427】
結果
結果を
図12(味)及び13(質感)に示す。
●NUTRALYS(登録商標)S85Fを含有する撹拌ヨーグルトは、エンドウ豆、厚紙、新鮮なクルミの味を伴って、口中で流れて粒状の質感を有し;
●乳タンパク質を含むヨーグルトは、より脂肪性でクリーム状であり、粒状の外観を有し、その味はヨーグルトに典型的であり、甘くてミルク様であり;
●本発明によるエンドウ豆タンパク質単離物No.1を用いたヨーグルトは、対照と、NUTRALYS(登録商標)S85Fを用いた試験との間にあり、穀物及び発酵乳味を有し、さらには口中で特に被覆する質感を有することによって際立っている。
【0428】
実施例9.エンドウ豆タンパク質単離物を含有するモツァレラタイプの厳格な菜食主義者向けのチーズ
本発明によるエンドウ豆タンパク質単離物No.2を含有する厳格な菜食主義者向けのチーズレシピを以下の表に示す。
【0429】
【0430】
レシピを調製する工程は、次のとおりである:
○加熱ジャケット(Stephan Bowl-www.stephan-machinery.com/index.php?id=3など)を装着した容器に水を入れ、50℃に加熱し、
○クエン酸を除く全ての粉末成分を添加し、
○50℃で750rpmにおいて2分間混合し、
○油を添加して750rpmで2分間混合し、
○クエン酸を添加して750rpmで1分間混合し、
○褐変を防ぐために、混合物を手で定期的に混合しながら75℃に加熱し、
○ジャケットに蒸気を入れるのを止め、
○定期的に混ぜながら5分間調理し、
○調理を止めて6℃で保存する。
【0431】
色、質感、「細断性」(細断される能力)、及び凍結/解凍安定性の分析を行った。
【0432】
色と質感は2つのレシピで均等であるが、エンドウ豆タンパク質単離物No.2を用いたレシピは、「細断性」挙動(細断される能力)が良好であり、融解安定性が優れている。さらに、味はレシピNo.2でより良いと認められる。
【0433】
実施例10.バニラ風味デザートクリーム中の乳タンパク質のエンドウ豆タンパク質単離物による全置換
ここでの目的は、バニラ風味クリームを調製することにより、乳タンパク質の100%を置き換えることである。
【0434】
調製されるレシピは、次のとおりである。
【0435】
【0436】
100g当たりの栄養価は、次のとおりである。
【0437】
【0438】
デザートクリームの製造プロセスは、次のとおりである:
- Silversonミキサー(3500rpm)を用いて、タンパク質を水中で55℃において30分間水和させ;
- シロップとカルシウムとを添加し、5分間待機してから他の粉末を添加し;
- 着色剤を添加し;
- Silversonミキサー内において、最高速度(10,000rpm)でヒマワリ油を5分間かけて添加し;
- 57℃で100バールの高圧ホモジナイザーに製品を入れ;
- 135℃で55秒間、20リットル/時間で滅菌し;
- 約75℃に冷却し;
- 4℃で保存する。
【0439】
官能分析
パネルは12名で構成された。
【0440】
前述の実施例と同様に、このパネルは、エンドウ豆タンパク質を用いた製品の味見能力が認定されている。パネルは、以下についての能力を確認するための訓練を受けた。
●製品の差別化能力
●共通認識、記述子の正しい使用
●再現性、2回提出された製品の検出能力
【0441】
味見条件:官能分析試験室内:個別の味見用小個室、白い壁、静かな環境(集中力を促進するため)、白色光(製品の同じ視覚を有するため)、朝の終わり10:00~12:00(感覚能力が最も高い)。製品は3桁のコードで匿名化され、いかなる飽和効果も避けるように(順序と永続性の影響を避けるため)無作為の順序で提示される。審査員は、2つの試験のいずれかを無作為に開始した。製品は、D+8日目に冷蔵庫から取り出して4℃で評価した。
【0442】
官能分析結果を
図14に示す。審査員は、本発明によるエンドウ豆タンパク質単離物を用いて調製されたデザートクリームが、エンドウ豆の味がはるかに少なく、エンドウ豆タンパク質NUTRALYS(登録商標)S85Fを用いて調製したものよりも濃厚でクリーミーであることを見いだした。
【0443】
粘度測定
2つのレシピによるデザートクリームの粘度を測定した。特性決定は、D+3及びD+7に行った。
【0444】
【0445】
【0446】
NUTRALYS(登録商標)S85Fを用いたレシピは、本発明によるエンドウ豆タンパク質単離物を用いて調製したレシピよりも低い粘度レベルを有する。