(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-11
(45)【発行日】2022-03-22
(54)【発明の名称】溶液紡糸ポリアミドナノファイバー不織布
(51)【国際特許分類】
D04H 3/016 20120101AFI20220314BHJP
D01F 6/60 20060101ALI20220314BHJP
D01F 6/80 20060101ALI20220314BHJP
D01D 5/04 20060101ALI20220314BHJP
D04H 3/009 20120101ALI20220314BHJP
D04H 3/16 20060101ALI20220314BHJP
【FI】
D04H3/016
D01F6/60 331
D01F6/80 311B
D01D5/04
D04H3/009
D04H3/16
(21)【出願番号】P 2018564364
(86)(22)【出願日】2017-06-06
(86)【国際出願番号】 US2017036062
(87)【国際公開番号】W WO2017214085
(87)【国際公開日】2017-12-14
【審査請求日】2020-05-14
(32)【優先日】2016-06-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2016-06-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】509354042
【氏名又は名称】アセンド・パフォーマンス・マテリアルズ・オペレーションズ・リミテッド・ライアビリティ・カンパニー
【氏名又は名称原語表記】ASCEND PERFORMANCE MATERIALS OPERATIONS LLC
(74)【代理人】
【識別番号】100140109
【氏名又は名称】小野 新次郎
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100120112
【氏名又は名称】中西 基晴
(74)【代理人】
【識別番号】100129311
【氏名又は名称】新井 規之
(74)【代理人】
【識別番号】100168066
【氏名又は名称】鈴木 雄太
(72)【発明者】
【氏名】スクーツ,ハリー・ピー
(72)【発明者】
【氏名】ユン,ワイ-シン
(72)【発明者】
【氏名】オズボーン,スコット・イー
(72)【発明者】
【氏名】トラスク,クレイグ・エイ
【審査官】伊藤 寿美
(56)【参考文献】
【文献】特開平06-073654(JP,A)
【文献】特開2012-167416(JP,A)
【文献】特開2008-274512(JP,A)
【文献】特表平10-513236(JP,A)
【文献】特表2013-511627(JP,A)
【文献】特開2010-236138(JP,A)
【文献】特表2012-510006(JP,A)
【文献】国際公開第2016/007345(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
D04H 1/00-18/04
D01D 1/00-13/02
D01F 1/00- 6/96,
9/00- 9/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ナノファイバー不織布製品の製造方法であって、
(a)好適な溶媒中のポリアミドの溶液を含む紡糸可能なポリアミドポリマー組成物を与えること、ここで前記ポリアミドは30~300の相対粘度を有する、ここで相対粘度は10重量%の水及び90重量%のギ酸を含む溶媒中に8.4重量%のポリアミドが溶解した溶液を用い、ASTM-D789に従って決定される;
(b)少なくとも5,000RPMの口金回転速度で、前記ポリアミドポリマー組成物を
100ナノメートル以上1ミクロン(1000ナノメートル)未満の平均繊維径を有する複数のナノファイバーに遠心溶液紡糸すること;及び
(c)前記ナノファイバーを、結果とし
て1g/m
2より大き
く30g/m
2
以下の目付を有する前記不織布製品に成形すること;
を含む上記方法。
【請求項2】
前記
好適な溶媒が、ギ酸、硫酸、トリフルオロ酢酸、ヘキサフルオロイソプロパノール(HFIP)、及びm-クレゾールを含むフェノール類から選択される溶媒を含む、請求項
1に記載のナノファイバー不織布製品の製造方法。
【請求項3】
前記ポリアミドが40~52.5の相対粘度を有する、請求項
1に記載のナノファイバー不織布製品の製造方法。
【請求項4】
前記ナノファイバーが100~500ナノメートルの径を有する、請求項
1に記載のナノファイバー不織布製品の製造方法。
【請求項5】
前記ポリアミドが、ナイロン6,6とナイロン6のコポリマー、ブレンド、或いはアロイである、請求項1に記載のナノファイバー不織布製品の製造方法。
【請求項6】
前記ナノファイバー不織布製品が、182.9m/h(10CFM/ft
2
)未満の5g/m
2
(GSM)規格化通気度値を有する、ここで規格化通気度値は23±1℃における空気の流量として通気度試験機を用いて測定される、請求項1に記載のナノファイバー不織布製品の製造方法。
【請求項7】
前記不織布製品が衣服中に組み込まれている、請求項1に記載のナノファイバー不織布製品の製造方法。
【請求項8】
前記不織布製品が履物中に組み込まれている、請求項1に記載のナノファイバー不織布製品の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本国際出願は、「溶液紡糸ポリアミドナノファイバー不織布」と題された2016年6月10日出願の米国仮出願62/348,462、及び「ポリアミドナノファイバー不織布」と題された2016年6月10日出願の米国仮出願62/348,524(ここにこれらの優先権を両方とも主張し、その開示事項は参照として本明細書中に包含する)に基づく。
【0002】
本発明は、空気濾過、衣服及び包装用の通気性布帛、並びに他の用途のために有用なポリアミドナノファイバー不織布に関する。
【背景技術】
【0003】
ナノファイバー及びマイクロファイバー不織布などのポリマー膜は当該技術において公知であり、濾過媒体及び衣服などに関連して種々の目的のために用いられている。微多孔質ポリマー構造体を形成するための公知の技術としては、キセロゲル及びエアロゲル膜形成、電界紡糸、メルトブロー、並びに回転紡糸口金を用いる遠心紡糸、及び噴射剤ガスを用いる細いチャネルを通す2相ポリマー押出が挙げられる。
【0004】
「使い捨て/再使用可能のレスピレーターマスク用のナノファイバー濾過材」と題されたLustenbergerの米国特許出願公開US2014/0097558A1は、概して、例えば人間の顔の形状であってよい凸形金型上にナノファイバーを形成する電界紡糸プロセスを含む、個人用保護具のマスク又レスピレーターマスクのような濾過媒体を製造する方法に関する。また、これも「使い捨て/再使用可能のレスピレーターマスク用のナノファイバー濾過材」と題されたLustenbergerの米国特許出願公開US2015/0145175A1も参照。
【0005】
Emergent Sensor TechnologiesのWO2014/074818A2においては、液体から目的の化合物又は成分を選択的に濾過するために用いられるナノファイバーメッシュ及びキセロゲルが開示されている。また、ナノファイバーメッシュ及びキセロゲルを形成する方法、ナノファイバー状メッシュ及びキセロゲルを用いて液体を処理する方法、並びにナノファイバー状メッシュ及びキセロゲルを用いて目的の化合物又は成分を分析する方法も記載されている。
【0006】
North Face Apparel Corp.のWO2015/003170A2は、例えば所定の程度の通気性を伴う防水性又は通気性を伴う防風性を有する物品において用いるための、超微細繊維、即ちナノスケール又はミクロンスケール範囲の径を有する繊維のウエブから構成される不織布に関する。
【0007】
これもNorth Face Apparel Corp.のWO2015/153477A1は、所定の長さの繊維を含む第1の繊維構造体;第1の繊維の長さに沿って離隔している複数の比較的短いループを含む第2の繊維構造体;を含む、断熱材又はクッション用の充填材料として用いるのに好適な繊維構造体に関する。繊維構造体を形成するための列挙される技術の中には、電界紡糸、メルトブロー、溶融紡糸、及び遠心紡糸が含まれる。18頁8~12行を参照。この製品は、550~900の範囲のフィルパワーを有するグースダウンに似ていると報告されている;40頁9~13行。
【0008】
Donaldson Company Inc.のUS7008465は、洗浄可能な高性能フィルター媒体構造体及び使用用途に関する。約3×10-7~6×10-5gm/cm2の目付(basis weight)を有するポリマー材料を含むナノファイバー層を有するフィルター構造体及びシステムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【文献】米国特許出願公開US2014/0097558A1
【文献】米国特許出願公開US2015/0145175A1
【文献】WO2014/074818A2
【文献】WO2015/003170A2
【文献】WO2015/153477A1
【文献】US7008465
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
提案されている種々の技術及び材料にかかわらず、従来の製品は製造コスト、加工性、及び製品特性の観点で不十分な点が多い。
【課題を解決するための手段】
【0011】
ここで、好適な溶媒中のポリアミドの溶液を含む紡糸可能なポリアミドポリマー組成物を与えること(ここでポリアミドは、30~300の相対粘度を有する);前記ポリアミドポリマー組成物を、1000ナノメートル未満の平均繊維径を有する複数のナノファイバーに溶液紡糸すること;及び前記ナノファイバーを、結果として1000ナノメートル未満の平均ナノファイバー径を有する不織布製品に成形すること;を含む、ナノファイバー不織布製品の製造方法を開示する。好ましくは、不織布製品は、(i)回転紡糸口金を用いる遠心紡糸;又は(ii)液体形態のポリアミドポリマー組成物を、加圧ガスを用いて繊維形成チャネルを通して押出すことを含む2相噴射剤ガス紡糸;から選択されるプロセスによって溶液紡糸される。好適な溶媒としては、ギ酸、硫酸、トリフルオロ酢酸、ヘキサフルオロイソプロパノール(HFIP)、及びm-クレゾールを含むフェノール類が挙げられる。
【0012】
特に好ましいポリアミドとしては、
【0013】
【0014】
並びに、ナイロン6,6と
【0015】
【0016】
のコポリマー、ブレンド、及びアロイが挙げられる。
他の態様としては、ナイロン6,6又はナイロン6、或いはN6T/66、N612、N6/66、N11、及びN12(ここで、「N」はナイロンを意味する)など(しかしながらこれらに限定されない)の上述の繰り返し単位を有するコポリマーを含むか、又はこれらから製造されるナイロン誘導体、コポリマー、ブレンド、及びアロイが挙げられる。ここで、「N」は付番を用いるか又は用いないで互換的に用いられる。当業者であればナイロンの意味を認識するであろう。他の好ましい態様としては、高温ナイロン、及びそれを含むブレンド、誘導体、又はコポリマーが挙げられる。更に、他の好ましい態様としては、長鎖二酸を用いて製造される長鎖脂肪族ポリアミド、並びにそれを含むブレンド、誘導体、又はコポリマーが挙げられる。
【0017】
ポリアミドについての相対粘度に関する好ましい範囲としては、35~300、40~255、35~100、35~55、及び40~52.5が挙げられる。好ましい目付としては、1gm/m2より大きい値が挙げられる。
【0018】
本発明は、本発明のナノファイバー不織布を示す
図1A、1B、2A、2Bを参照することによって認識される。
図1Aは実施例3及び4のナノファイバー不織布を低倍率で示し、一方、
図1Bは同じ製品をより高い倍率で示す。
図1A、1Bの製品は、51の相対粘度を有するナイロンポリアミドを用いて製造したものであり、288ナノメートルの平均ナノファイバー径を有する。
図2A及び2Bは、42の相対粘度を有する材料を用いて製造された実施例1及び2の製品の同様の顕微鏡写真であり、302ナノメートルの平均繊維径を有する。
【0019】
この製品は驚くべき濾過効率を示す。比較的密なマクロ構造にもかかわらず、この製品の通気度値は、製品が通気性であることを維持している点で特に驚くべきものである。而して、本発明の製品は、下記においてより詳細に記載するように、これらの特性が重要な役割を果たす濾過、衣服、及び包装における用途のために比類なく適している。
【0020】
下記において図面を参照して本発明を詳細に記載する。図面において、同様の番号は同様の部品を示す。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】
図1Aは、51の相対粘度のナイロン6,6を用いて製造したナノファイバー不織布製品の570倍の倍率の顕微鏡写真である。
図1Bは、
図1Aの製品の20,500倍の倍率の顕微鏡写真である。
【
図2】
図2Aは、42の相対粘度のナイロン6,6を用いて製造したナノファイバー不織布製品の560倍の倍率の顕微鏡写真である。
図2Bは、
図2Aの製品の22,000倍の倍率の顕微鏡写真である。
【
図3】
図3は、遠心紡糸装置及び繊維分配システムの概略斜視図である。
【
図5】
図5は、本発明に関して有用な2相噴射剤ガス紡糸システムの概要図である。
【
図6】
図6は実施例1の結果を詳述するものであり、特に、
図6Aは繊維径vsカウント数のプロットであり;
図6Bは濾過効率を示すヒストグラムであり;
図6Cは濾過効率試験に関して見られた圧力損失を示すヒストグラムであり;
図6Dは通気度のプロットである。
【
図7】
図7は実施例2の結果を詳述するものであり、特に、
図7Aは繊維径vsカウント数のプロットであり;
図7Bは濾過効率を示すヒストグラムであり;
図7Cは濾過効率試験に関して見られた圧力損失を示すヒストグラムであり;
図7Dは通気度のプロットである。
【
図8】
図8は実施例3の結果を詳述するものであり、特に、
図8Aは繊維径vsカウント数のプロットであり;
図8Bは濾過効率を示すヒストグラムであり;
図8Cは濾過効率試験に関して見られた圧力損失を示すヒストグラムであり;
図8Dは通気度のプロットである。
【
図9】
図9は実施例4の結果を詳述するものであり、特に、
図9Aは繊維径vsカウント数のプロットであり;
図9Bは濾過効率を示すヒストグラムであり;
図9Cは濾過効率試験に関して見られた圧力損失を示すヒストグラムであり;
図9Dは通気度のプロットである。
【
図10】
図10は比較例Aの結果を詳述するものであり、特に、
図10Aは繊維径vsカウント数のプロットであり;
図10Bは濾過効率を示すヒストグラムであり;
図10Cは濾過効率試験に関して見られた圧力損失を示すヒストグラムであり;
図10Dは通気度のプロットである。
【
図11】
図11は比較例Bの結果を詳述するものであり、特に、
図11Aは繊維径vsカウント数のプロットであり;
図11Bは濾過効率を示すヒストグラムであり;
図11Cは濾過効率試験に関して見られた圧力損失を示すヒストグラムであり;
図11Dは通気度のプロットである。
【
図12】
図12は比較例Cの結果を詳述するものであり、特に、
図12Aは繊維径vsカウント数のプロットであり;
図12Bは濾過効率を示すヒストグラムであり;
図12Cは濾過効率試験に関して見られた圧力損失を示すヒストグラムであり;
図12Dは通気度のプロットである。
【
図13】
図13は比較例Dの結果を詳述するものであり、特に、
図13Aは繊維径vsカウント数のプロットであり;
図13Bは濾過効率を示すヒストグラムであり;
図13Cは濾過効率試験に関して見られた圧力損失を示すヒストグラムであり;
図13Dは通気度のプロットである。
【
図14】
図14は比較例Eの結果を詳述するものであり、特に、
図14Aは繊維径vsカウント数のプロットであり;
図14Bは濾過効率を示すヒストグラムであり;
図14Cは濾過効率試験に関して見られた圧力損失を示すヒストグラムであり;
図14Dは通気度のプロットである。
【
図15】
図15は比較例Fの結果を詳述するものであり、特に、
図15Aは繊維径vsカウント数のプロットであり;
図15Bは濾過効率を示すヒストグラムであり;
図15Cは濾過効率試験に関して見られた圧力損失を示すヒストグラムであり;
図15Dは通気度のプロットである。
【
図16】
図16は比較例Gの結果を詳述するものであり、特に、
図16Aは繊維径vsカウント数のプロットであり;
図16Bは濾過効率を示すヒストグラムであり;
図16Cは濾過効率試験に関して見られた圧力損失を示すヒストグラムであり;
図16Dは通気度のプロットである。
【発明を実施するための形態】
【0022】
下記において、例示のみの目的の図面に関連して本発明を詳細に記載する。本発明は添付の特許請求の範囲において規定する。本明細書において用いる専門用語は、下記に示す定義に合致するその通常の意味で与えられ;GSMは目付(グラム/平方メートル)を指し、RVは相対粘度を指す、などである。
【0023】
パーセント、100万分の一部(ppm)などは、他に示していない限りにおいて組成物の重量を基準とする重量パーセント又は重量部を指す。
代表的な定義及び試験方法は、US-2015/0107457及びUS-2015/0111019において更に示されている。例えば「ナノファイバー不織布製品」という用語は、繊維の配列状態において繰り返し構造全体を肉眼によって識別できない多数の実質的にランダムに配向された繊維のウエブを指す。繊維は互いに対して結合させることができ、或いは未結合状態でウエブに強度及び一体性を与えるために絡合することができる。繊維はステープル繊維又は連続繊維であってよく、単一の材料、或いは異なる繊維の組合せとしてか又はそれぞれが異なる材料を含む同様の繊維の組み合わせとして多数の材料を含んでいてよい。ナノファイバー不織布製品は、主としてナノファイバーで構成される。「主として」とは、ウエブ中の繊維の50%より多い量がナノファイバーであることを意味する。「ナノファイバー」という用語は、1000nm未満の数平均径を有する繊維を指す。非円形断面のナノファイバーの場合には、本明細書において用いる「径」という用語は最も大きな断面寸法を指す。
【0024】
目付は、ASTM-D3776によって求めて、g/m2で報告することができる。
「実質的に構成される」などの用語は、示されている成分を指し、組成物又は物品の基本的な特性及び新規な特性を実質的に変化させる他の成分を排除するものである。他に示されていないか又は容易に明らかでない限りにおいては、組成物又は物品は、組成物又は物品が90重量%以上の示されているか又はリストされている成分を含む場合に、示されているか又はリストされている成分から実質的に構成される。即ち、この用語は、10%より多い示されていない成分を排除するものである。
【0025】
他に示されていない限りにおいて、平均繊維径及び濾過効率を求めるための試験方法は、他に特定されていない限りにおいてHassanらのJ. Membrane Sci., 427, 336-344, 2013に示されている通りである。
【0026】
通気度は、Precision Instrument Company, Hagertown, MDから入手できる通気度試験機を用いて測定される。通気度は、23±1℃において規定の圧力ヘッド下で材料のシートを通過する空気の流量として規定される。これは通常は、0.50インチ(12.7mm)の水圧における1分あたり1平方フィートあたりの立方フィートとして、1秒あたり1cm2あたりのcm3で、或いはシートの単位面積あたりの与えられた体積に関する経過時間の単位として表される。上記に示した装置は、1分あたり、試験面積1平方フィートあたり0~約5000立方フィートの通気度を測定することができる。通気度を比較する目的のためには、5GSMの目付に規格化された通気度値を表すことが好都合である。これは、(通常は0.5インチ-H2Oにおいて)試料の通気度値及び目付を測定し、次に実際の通気度値に、実際の目付(GSM)の5に対する比を乗じることによって行われる。例えば、15GSMの目付の試料が10CFM/ft2の値を有する場合には、その規格化5GSM通気度値は30CFM/ft2である。
【0027】
本明細書において用いるポリアミド組成物などの専門用語は、コポリマー、ポリマーブレンド、アロイ、及び誘導体を包含するポリアミドを含む組成物を指す。好適なアロイとしては、例えば、重量基準で20%のナイロン6、60%のナイロン6,6、及び20%のポリエステルを挙げることができる。アロイを用いる場合においては、結果を最適にするために注意深く選択された溶媒又は複数の溶媒のブレンドを用いることが必要な可能性がある。ポリアミド組成物がポリアミドから実質的に構成される場合には、好ましい溶媒としては、ギ酸、硫酸、トリフルオロ酢酸、ヘキサフルオロイソプロパノール(HFIP)、及びm-クレゾールを含むフェノール類から選択される溶媒が挙げられる。
【0028】
代表的なポリアミド及びポリアミド組成物は、Kirl-Othmer, Encyclopedia of Chemical Technology, Vol.18, pp.328-371 (Wiley 1982)(その開示事項は参照として本明細書中に包含する)に記載されている。
【0029】
簡単に言うと、ポリアミドは、主ポリマー鎖の必須部分として繰り返しアミド基を含む生成物である。線状ポリアミドが特に興味深く、これは当該技術において周知なように二官能性モノマーの縮合によって形成することができる。ポリアミドはしばしばナイロンと呼ばれる。これらは一般に縮合ポリマーとみなされるが、ポリアミドはまた付加重合によっても形成される。この製造方法は、モノマーが環状ラクタムである幾つかのポリマー(例えばナイロン6)のために特に重要である。特定のポリマー及びコポリマー並びにそれらの製造は、次の特許:「高粘度ポリヘキサメチレンアジパミドの製造方法」と題されたHaeringらの米国特許4,760,129;「ポリアミドの製造方法、かかる方法によって製造されるポリアミド、及びポリアミドフィルム又はシート」と題されたTokiらの米国特許5,504,185;「ポリアミド及び他の縮合ポリマーの分子量を増加させる方法」と題されたAnolickらの米国特許5,543,495;「線状超高分子量ポリアミド及びその製造方法」と題されたDujariらの米国特許5,698,658;「モノメチルアジペート及びヘキサメチレンジアミンからポリ(ヘキサメチレンアジパミド)を製造する方法」と題されたMarksらの米国特許6,011,134;「ポリアミドの標準的な連続製造のための方法及び装置」と題されたWiltzerらの米国特許6,136,947;「連続ポリアミド化方法」と題されたBushらの米国特許6,169,162;Zahrの「ポリアミド連鎖延長方法及び関連するポリアミド生成物」;「ポリアミドの製造方法」と題されたTanakaらの米国特許7,138,482;「ポリアミドの連続製造方法」と題されたTsujiiらの米国特許7,381,788;及び「ポリアミドの連続製造」と題されたThierryらの米国特許8,759,475;において見られる。
【0030】
幾つかの用途のために特に好ましいポリアミドのクラスとしては、Glasscockら, High Performance Polyamides Fulfill Demanding Requirements for Automotive Thermal Management Components, (DuPont), (http://www2.dupont.com/Automotive/en_US/assets/downloads/knowledge%20center/HTN-whitepaper-R8.pdf(2016年6月10日付でオンライン入手できる))に記載されている高温ナイロン(HNT)が挙げられる。かかるポリマーは通常は、下記において見られ、代表例として示される1以上の構造を含む。
【0031】
【0032】
ポリアミドの相対粘度(RV)とは、25℃において毛細管粘度計で測定される溶液又は溶媒の粘度の比を指す(ASTM-D789)。本目的のためには、溶媒は、10重量%の水及び90重量%のギ酸を含むギ酸である。この溶液は、溶媒中に8.4重量%のポリマーが溶解している。
【0033】
相対粘度(ηr)は、ポリマー溶液の絶対粘度のギ酸のものに対する比である。
ηr=(ηp/ηf)=(fr×dp×tp)/ηf
ここで、
dp=25℃におけるギ酸-ポリマー溶液の密度;
tp=ギ酸-ポリマー溶液に関する平均流出時間,秒;
ηf=ギ酸の絶対粘度,kPa×秒(E+6cp);
fr=粘度計管ファクター,mm2/秒(cSt)/秒=ηr/t3
である。
【0034】
50RVの試料に関する代表的な計算は次の通りである。
ηr=(fr×dp×tp)/ηf
ここで、
fr=粘度計管ファクター,通常は0.485675cSt/秒;
dp=ポリマー-ギ酸溶液の密度,通常は1.1900g/mL;
tp=ポリマー-ギ酸溶液に関する平均流出時間,通常は135.00秒;
ηf=ギ酸の絶対粘度,通常は1.56cPであり、
ηr=(0.485675cSt/秒×1.1900g/mL×135.00秒)/1.56cP=50.0のRVが与えられる。
【0035】
項目t3は、ASTM-D789において求められているギ酸の絶対粘度の測定において用いられるS-3キャリブレーションオイルの流出時間である。
遠心紡糸とは、WO-2015/153477(North Face Apparel Corp.)において言及されている、回転紡糸口金を通して紡糸することによってポリマー繊維を製造する方法に関する。遠心紡糸は、本発明のナノファイバー不織布を製造する1つの好ましい方法である。
【0036】
遠心紡糸システムは、通常は、繊維に成形することができる流体又は流動性材料の供給源に接続されている紡糸口金を含む。材料の供給源は、貯留槽又は紡糸口金に連続的に材料供給するためのホッパーのような供給源からであってよい。紡糸口金には、それ自体に、所望の場合には紡糸口金と共に回転する材料の貯留槽又はホッパーを含ませることができる。流動性材料は、溶融材料又は材料の溶液であってよい。紡糸口金は、紡糸口金を円運動で回転させるモーターに機械的に接続されている。殆どの場合において、回転する部材は、約500~約100,000RPMの範囲内で回転させる。より通常的には、材料を排出している間の回転は、ナノファイバーを製造する場合には少なくとも5,000RPMである。
【0037】
回転中において、選択された材料、例えばポリマー溶融体又はポリマー溶液が、紡糸口金上の1以上の出口から材料の流れとして周囲環境中に放出される。外向きの半径方向の遠心力により、ポリマー流が出口から外に向かって発射されて、回転に依存する慣性によって流れが渦巻状の軌道で移動する際にポリマー流が延伸される。押出されたポリマー流の延伸は、ノズルからコレクターまでの距離にわたって流れの直径を減少させ、且つ製品に入り組んだ構造(tortuosity)を与えるのに重要であると考えられている。排出された材料は、それがコレクターに到達する時点までに超微細繊維に固化する。集積表面は固定又は可動であってよく、例えば所望の場合には繊維を連続ベルト上に送ることができる。
【0038】
1つの好ましいシステムは、Penoらの米国特許8,777,599において登場する
図35及び36に図示されている。ここに示されているように、本発明の添付の
図3及び4に関連して簡単に記載する。
【0039】
上部駆動型繊維製造システムは、基材上に繊維を堆積させるために特に有用である。基材上に繊維を堆積させるための構成を
図3に示す。基材堆積システム10は、堆積システム12及び基材移送システム14を含む。堆積システム12は繊維製造システム16を含む。堆積システムは、繊維製造装置によって繊維を製造し、製造された繊維を、使用中において繊維製造装置の下側に配置される基材18に向けて送る。基材移送システムは、基材材料の連続シートを、堆積システムを通して移動させる。
【0040】
堆積システム12は、16で示される回転紡糸口金を含む上部取付型繊維製造装置を含む。使用中においては、繊維製造装置16によって製造された繊維が基材18上に堆積される。
【0041】
堆積システム12の概要図を
図4に示す。繊維堆積システムには、真空システム20、静電プレート22、及び気体流動システム24の1以上を含ませることができる。真空システムは基材18の下方に減圧の領域を生成して、繊維製造装置16によって製造された繊維が減圧によって基材に引き寄せられるようにする。或いは、1以上のファンを基材の下方に配置して、基材を通過する空気流を生成させることができる。気体流動システム24は、繊維製造装置によって形成された繊維を基材に向けて送る気体流25を生成させる。気体流動システムは、加圧空気源、或いは空気(又は他の気体)の流れを生成させる1以上のファンであってよい。真空システムと空気流動システムの組合せを用い、押込空気(ファン、加圧空気)及び排出空気(外向きの流れを生成させるためのファン)を用いて、空気流を平衡化及び指向させて基材への繊維堆積場を生成させることによって、堆積チャンバーの上部から基材を通って排気システムまでの「平衡化空気流」を生成させる。堆積システム12は基材入口26及び基材出口28を含む。
【0042】
また、基材18の下側に静電プレート22も配置されている。静電プレートは、所定の極性に帯電させることができるプレートである。通常は、繊維製造装置によって製造された繊維は、ある正味の電荷を有する。この繊維の正味の電荷は、用いる材料のタイプによって陽又は陰であってよい。帯電した繊維の堆積を向上させるために、静電プレートを基材18の下側に配置して、製造された繊維と反対の極性に帯電させることができる。このようにして、繊維を、反対の電荷の間の静電引力によって静電プレートに引き寄せる。繊維が静電プレートに向かって移動するにつれて、繊維は基材中に埋封されるようになる。
【0043】
加圧ガス製造及び分配システムを用いて、繊維製造装置の下側に配置されている基材へ向かう繊維の流れを制御することができる。使用中において、繊維製造装置によって製造された繊維は堆積システム内に分散される。繊維は主としてマイクロファイバー及び/又はナノファイバーから構成されているので、繊維は堆積システム内に分散する傾向を有する。加圧ガス製造及び分配システムを用いることによって、繊維を基材に向けて誘導するのを助けることができる。加圧ガス製造及び分配システムは、下向きの気体流動装置24、及び横向きの気体流動装置30を含む。下向きの気体流動装置24は、繊維製造装置の上方に、或いは更には繊維製造装置内に配置して、基材へ向かう繊維の動きを更に促進させる。1以上の横方向の気体流動装置30を、繊維製造装置に対して垂直方向、或いは下方に配向させる。所望の場合には、横方向の気体流動装置30に基材の幅に等しい排出口幅を与えて、基材上への繊維を堆積を更に促進させる。1以上の横方向の気体流動装置30の出口の角度を変化させて、基材上への繊維の堆積のより良好な制御を可能にすることができる。それぞれの横方向の気体流動装置30は独立して運転することができる。
【0044】
堆積システムの使用中において、繊維製造装置16は、(溶液紡糸中においては)溶媒の蒸発、及び(溶融紡糸中においては)材料の気化によって種々のガスを生成する可能性がある。かかるガスは、堆積システム内に蓄積されると、製造される繊維の品質に影響を与え始める可能性がある。場合によっては、堆積システムは、繊維製造中に生成するガスを堆積システムから除去するための排気ファン32を含む。
【0045】
基材移送システム14は、基材材料の連続シートを、堆積システムを通して移動させることができる。基材移送システム14には、基材リール34及び巻取りリールシステム36を含ませることができる。使用中においては、基材材料のロールを基材リール34上に配置し、基材巻取りリールシステム36まで堆積システム12を通過させる。使用中においては、基材巻取りリールシステム36を回転させて、基材を所定の速度で堆積システムを通して引き抜く。このようにして、繊維堆積システムを通して基材材料の連続ロールを引き抜くことができ、集積基材の速度を制御することによって、基材上に堆積されるナノファイバー不織布の目付を制御することができる。
【0046】
遠心紡糸プロセスの更なる議論及び例示が、「基材上にマイクロファイバー及びナノファイバーを堆積させるための装置及び方法」と題されたPenoらの米国特許8,658,067、及びWO-2012/109251において見られ、同等のシステムが、「繊維溶液紡糸法」と題されたMarshallらの米国特許8,747,723、及び「溶融紡糸によるナノファイバーの製造」と題されたHuangらの米国特許8,277,711において見られる。
【0047】
本発明のナノファイバー不織布を製造する他の方法は、Marshallらの米国特許8,668,854において概して記載されている紡糸チャネルを通る噴射剤ガスを用いる2相紡糸によるものである。このプロセスは、細くて好ましくは収束しているチャネルへのポリマー又はポリマー溶液と加圧噴射剤ガス(通常は空気)の2相流を含む。チャネルは、通常はそして好ましくは環状の構造である。ポリマーは細くて好ましくは収束しているチャネル内の気体流によって剪断されて、チャネルの両側の上にポリマーフィルム層が形成されると考えられる。これらのポリマーフィルム層は、噴射剤ガス流によって更に剪断されて繊維になる。ここでも、移動集積ベルトを用いることができ、ベルトの速度を調節することによってナノファイバー不織布の目付を制御することができる。また、コレクターの距離を用いてナノファイバー不織布の繊度を制御することもできる。このプロセスは、
図5を参照してより良好に理解される。
【0048】
図5は、ポリマー供給アセンブリ110、空気供給口120、紡糸シリンダー130、コレクターベルト140、及び巻取りリール150を含む、ナノファイバー不織布を紡糸するためのシステムの運転を図示する。運転中においては、ポリマー溶融体又は溶液を紡糸シリンダー130に供給して、そこで高圧空気によってシリンダー内の細いチャネルを通して流して、ポリマーをナノファイバーに剪断する。詳細は、上述の米国特許8,668,854に与えられている。処理速度及び目付はベルトの速度によって制御される。場合により、所望の場合には活性炭、銅などのような機能性添加剤を空気供給流と共に加えることができる。
【0049】
図5のシステムにおいて用いる紡糸口金の別の構造においては、「共形成繊維材料及びその製造方法」と題されたMarshallらの米国特許8,808,594において見られるように、別の入口を用いて粒子状材料を加えることができる。
【0050】
本発明のポリアミド樹脂は、30~300のRVを有し、好ましい範囲は上記に開示している。好ましい目付は1gm/m2より大きい。
【実施例】
【0051】
材料、紡糸、及び不織布形成の実施例:
図3及び4に関連して上記で議論した種類の手順及び装置を用いて、移動コレクターベルト上に遠心紡糸することによって、2つの異なるグレードのナイロン6,6を紡糸して不織布にした。1つの樹脂は42の相対粘度を有していて、60ppmで存在するハロゲン化銅添加剤を含んでいた。第2の樹脂は51の相対粘度を有していた。完成した不織布を、1.5オンス/平方ヤード(OSY)の不織布ポリプロピレン基材上に配置して、目付(ASTM-D3776);SEMによる平均繊維径;TSI-8130及び300nmのポリα-オレフィンナノ粒子組成物、並びに32L/分の試験流量を用いた濾過効率及び圧力損失;並びに0.5インチ-H
2Oの圧力差(pressure drop)における通気度;に関して分析した。これらの後者の試験は、ポリプロピレン基材についても行った。結果を下記の実施例において更に議論する。
【0052】
実施例1~4:
実施例1~4においては、ギ酸中の24重量%のナイロン6,6のポリマー溶液を、7500rpmの紡糸口金回転速度、12mL/分の供給速度、及び6.5cmのヘッドを用いてナノファイバー不織布に遠心紡糸した。この不織布を、上記で言及したHassanらの論文であるJ. Membrane Sci., 427, 336-344, 2013にしたがって、平均繊維径、目付、通気度、濾過効率、及び圧力損失に関して特性分析した。
【0053】
濾過効率を測定する目的で、TSIフィルターテスターを、標準の3.5ミクロンの粒子径と共に用いた。
結果及び詳細を表1に示し、製造された不織布を
図1及び2の顕微鏡写真において示す。この不織布は300ナノメートルの範囲の平均繊維径を有していた。
【0054】
【0055】
結果を更に
図6~9において詳述する。
表1から、本発明のナノファイバー不織布は99.95%より高い優れた濾過効率を有していたことが認められる。これは、特に
図1及び2に示される比較的開放された構造を考慮すると驚くべきことである。いかなる理論にも縛られることは意図しないが、本製品の非常に微細で比較的均一な形態によって、浸透に抵抗するナノスケールの入り組んだ構造のバリヤ(tortuous barrier)が与えられ、不織布内の比較的高い空隙容積においても透過バリヤが与えられると考えられる。
【0056】
実施例1~4に関する規格化5GSM通気度値を表1Aに示す。
【0057】
【0058】
比較例A~G:
図3及び4に関連して議論した種類の手順及び装置、並びに上記に記載の特性分析手順を用い、実施例1~4において用いたナイロン6,6の2つの異なるグレードを、4,000rpmの紡糸口金回転速度を用いてポリマー溶融体から遠心紡糸してマイクロファイバー不織布にした。このマイクロファイバー不織布を、平均繊維径、目付、空気濾過効率、及び圧力損失に関して特性分析した。
【0059】
【0060】
結果を更に
図10~16において詳述する。
表2から、製造されたマイクロファイバー不織布は、非常により高い目付を有しているにもかかわらず、本発明のナノファイバー不織布よりも大きく劣っている濾過効率、通気度、及び圧力損失を有していたことが認められる。
【0061】
例A~Gに関する規格化5GSM通気度値を表2Bに示す。
【0062】
【0063】
比較例H~J:
図3及び4に関連して議論した種類の手順及び装置、並びに上記に記載の特性分析手順を用い、異なるグレードのナイロン6,6を、4,000rpmの紡糸口金回転速度を用いてポリマー溶液から遠心紡糸してマイクロファイバー不織布にした。このマイクロファイバー不織布を、平均繊維径、目付、空気濾過効率、及び圧力損失に関して特性分析した。
【0064】
【0065】
表3から、より高いポリマー相対粘度を用いても同等の特性を有する繊維及び不織布を製造することができることを認めることができる。
用途:
本発明のナノファイバー不織布は、それらの高い耐熱性、バリヤ及び通気度特性、加工性、及び驚くべき濾過効率のために、種々の用途において有用である。本製品は、多くの場合において積層体などの多層構造で用いることができる。
【0066】
而して、本製品は、次の部門:輸送;工業;商業;及び住宅;における空気濾過において用いられる。
本製品はまた、通気性布帛、手術用不織布、乳児ケア、成人ケア、衣類、建築、及び音響用途におけるバリヤ用途のために好適である。本組成物は、自動車用途、電子用途、及び航空機用途における音響減衰のために有用であり、最良の性能のためには異なる繊維径の複合体が必要な場合がある。より高い目付においては、本製品は、飲料、食品包装、輸送、化学処理、並びに創傷ドレッシング材又は医療用インプラントのような医療用途に関して用いられる。
【0067】
本発明の不織布のユニークな特徴により、従来の製品においては見られない機能性及び利益が与えられ、例えば、本発明の不織布は燻製肉のための包装材として用いることができる。濾過効率により、燻製プロセス中に望ましくない粒子が濾去されて発癌性物質が肉から遠ざけられて、よりヘルシーな消費可能な最終製品が与えられる。
【0068】
本発明を詳細に記載したが、発明の精神及び範囲内の修正は当業者には容易に明らかであろう。かかる修正も本発明の一部とみなすべきである。上記の議論、当該技術における関連する知識、及び発明の背景に関連して上記で議論した参照文献(これらの開示事項は全て参照として本明細書中に包含する)を考慮すると、更なる記載は不要であると考えられる。更に、本発明の複数の形態並びに種々の態様の複数の部分を、完全か又は部分的のいずれかで結合又は交換することができることは、上記の議論から理解されるべきである。更に、当業者であれば、上記の記載は例示のみの目的であり、本発明を限定することは意図しないことを認識するであろう。
本発明は以下の実施態様を含む。
(1)1000ナノメートル未満の平均径を有するナノファイバーに紡糸された30~300の相対粘度を有するポリアミドを含み、1gm/m
2
より大きい目付を有する不織布製品に成形されているナノファイバー不織布製品。
(2)前記ポリアミドがナイロン6,6である、(1)に記載のナノファイバー不織布製品。
(3)前記ポリアミドが、ナイロン6,6とナイロン6のコポリマー、又はブレンド、或いはアロイである、(1)に記載のナノファイバー不織布製品。
(4)前記ポリアミドが高温ナイロン(HTN)である、(1)に記載のナノファイバー不織布製品。
(5)前記ポリアミドが、N6、N6T/66、N612、N6/66、N11、N12など(ここで、「N」はナイロンを意味する)のような長鎖脂肪族ナイロンである、(1)~(4)のいずれかに記載のナノファイバー不織布製品。
(6)前記ナノファイバー不織布製品が、10CFM/ft
2
未満の5GSM規格化通気度値を有する、(1)~(5)のいずれかに記載のナノファイバー不織布製品。
(7)前記ナノファイバー不織布製品が3~8CFM/ft
2
の5GSM規格化通気度値を有する、(1)~(6)のいずれかに記載のナノファイバー不織布製品。
(8)前記ナノファイバー不織布製品が3~7CFM/ft
2
の5GSM規格化通気度値を有する、(1)~(7)のいずれかに記載のナノファイバー不織布製品。
(9)前記ナノファイバー不織布製品が3.4~7.2CFM/ft
2
の5GSM規格化通気度値を有する、(1)~(8)のいずれかに記載のナノファイバー不織布製品。
(10)前記ポリアミドが35~255の相対粘度を有する、(1)~(9)のいずれかに記載のナノファイバー不織布製品。
(11)前記ポリアミドが35~55の相対粘度を有する、(1)~(10)のいずれかに記載のナノファイバー不織布製品。
(12)前記ポリアミドが35~50の相対粘度を有する、(1)~(11)のいずれかに記載のナノファイバー不織布製品。
(13)前記ポリアミドが40~52.5の相対粘度を有する、(1)~(12)のいずれかに記載のナノファイバー不織布製品。
(14)前記ナノファイバーが100~500ナノメートルの平均径を有する、(1)~(13)のいずれかに記載のナノファイバー不織布製品。
(15)前記ナノファイバーが200~400ナノメートルの平均径を有する、(1)~(14)のいずれかに記載のナノファイバー不織布製品。
(16)前記ナノファイバーが250~325ナノメートルの平均径を有する、(1)~(15)のいずれかに記載のナノファイバー不織布製品。
(17)前記不織布製品が30GSM以下の目付を有する、(1)~(16)のいずれかに記載のナノファイバー不織布製品。
(18)前記不織布製品が1~30GSMの目付を有する、(1)~(17)のいずれかに記載のナノファイバー不織布製品。
(19)前記不織布製品が3~30GSMの目付を有する、(1)~(18)のいずれかに記載のナノファイバー不織布製品。
(20)前記不織布製品が3~15GSMの目付を有する、(1)~(19)のいずれかに記載のナノファイバー不織布製品。
(21)前記不織布製品が4~10GSMの目付を有する、(1)~(20)のいずれかに記載のナノファイバー不織布製品。
(22)前記不織布製品が示されている成分から実質的に構成される、(1)~(21)のいずれかに記載のナノファイバー不織布製品。
(23)フィルター媒体中に組み込まれている、(1)~(22)のいずれかに記載のナノファイバー不織布製品。
(24)通気性布帛中に組み込まれている、(1)~(23)のいずれかに記載のナノファイバー不織布製品。
(25)衣服中に組み込まれている、(1)~(23)のいずれかに記載のナノファイバー不織布製品。
(26)履物中に組み込まれている、(1)~(23)のいずれかに記載のナノファイバー不織布製品。
(27)消音層として用いられる、(1)~(23)のいずれかに記載のナノファイバー不織布製品。
(28)医療用包帯又は医療用インプラント中に組み込まれている、(1)~(23)のいずれかに記載のナノファイバー不織布製品。
(29)ナノファイバー不織布製品の製造方法であって、
(a)好適な溶媒中のポリアミドの溶液を含む紡糸可能なポリアミドポリマー組成物を与えること、ここで前記ポリアミドは30~300の相対粘度を有する;
(b)前記ポリアミドポリマー組成物を1ミクロン(1000ナノメートル)未満の平均繊維径を有する複数のナノファイバーに溶液紡糸すること;及び
(c)前記ナノファイバーを、結果として1000ナノメートル未満の平均ナノファイバー径を有し、そして
(d)1gm/m
2
より大きい目付を有する前記不織布製品に成形すること;
を含む上記方法。
(30)ポリアミドを溶液紡糸することが、(i)回転紡糸口金を用いる遠心紡糸;又は(ii)液体形態のポリアミドポリマー組成物を、加圧ガスを用いて繊維形成チャネルを通して押出すことを含む2相噴射剤ガス紡糸;から選択される、(29)に記載のナノファイバー不織布製品の製造方法。
(31)前記溶媒が、ギ酸、硫酸、トリフルオロ酢酸、ヘキサフルオロイソプロパノール(HFIP)、及びm-クレゾールを含むフェノール類から選択される溶媒を含む、(29)又は(30)に記載のナノファイバー不織布製品の製造方法。
(32)前記溶媒がギ酸を含む、(31)に記載のナノファイバー不織布製品の製造方法。
(33)前記ナノファイバーを移動ベルト上で集積することによって前記不織布を形成する、(29)に記載のナノファイバー不織布製品の製造方法。
(34)回転紡糸口金を用いる遠心紡糸によって前記ポリアミドポリマー組成物をナノファイバーに紡糸する、(29)~(33)に記載のナノファイバー不織布製品の製造方法。
(35)前記紡糸口金を2,500~15,000RPMの回転速度で回転させる、(34)に記載のナノファイバー不織布製品の製造方法。
(36)前記紡糸口金を5,000~10,000RPMの回転速度で回転させる、(35)に記載のナノファイバー不織布製品の製造方法。
(37)前記ポリアミド組成物がナイロン6,6を含む、(29)~(36)のいずれかに記載のナノファイバー不織布製品の製造方法。
(38)前記ポリアミド組成物が、ナイロン6,6とナイロン6のブレンド、又はコポリマー、或いはアロイを含む、(29)~(37)のいずれかに記載のナノファイバー不織布製品の製造方法。
(39)前記ポリアミドがHTNを含む、(29)~(38)のいずれかに記載のナノファイバー不織布製品の製造方法。
(40)前記ポリアミドが、N6、N6T/66、N612、N6/66、N11、N12など(ここで、「N」はナイロンを意味する)のような長鎖脂肪族ナイロンを含む、(29)~(38)のいずれかに記載のナノファイバー不織布製品の製造方法。
(41)前記ポリアミドが35~255の相対粘度を有する、(29)~(40)のいずれかに記載のナノファイバー不織布製品の製造方法。
(42)前記ポリアミドが35~55の相対粘度を有する、(29)~(40)のいずれかに記載のナノファイバー不織布製品の製造方法。
(43)前記ポリアミドが40~52.5の相対粘度を有する、(29)~(42)のいずれかに記載のナノファイバー不織布製品の製造方法。
(44)前記ナノファイバーが100~500ナノメートルの径を有する、(29)~(43)のいずれかに記載のナノファイバー不織布製品の製造方法。
(45)前記ナノファイバーが200~400ナノメートルの径を有する、(31)~(44)のいずれかに記載のナノファイバー不織布製品の製造方法。
(46)前記ナノファイバーが200~325ナノメートルの径を有する、(29)~(45)のいずれかに記載のナノファイバー不織布製品の製造方法。
(47)前記不織布製品が30GSM以下の目付を有する、(29)~(46)のいずれかに記載のナノファイバー不織布製品の製造方法。
(48)前記不織布製品が1~30GSMの目付を有する、(29)~(47)のいずれかに記載のナノファイバー不織布製品の製造方法。
(49)前記不織布製品が3~30GSMの目付を有する、(29)~(48)のいずれかに記載のナノファイバー不織布製品の製造方法。
(50)前記不織布製品が3~15GSMの目付を有する、(29)~(49)のいずれかに記載のナノファイバー不織布製品の製造方法。
(51)前記不織布製品が4~10GSMの目付を有する、(29)~(50)のいずれかに記載のナノファイバー不織布製品の製造方法。