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特許7039496ポリウレタン樹脂に基づくコンタクト接着剤製品、その作製、および対応するコンタクト接着剤
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-11
(45)【発行日】2022-03-22
(54)【発明の名称】ポリウレタン樹脂に基づくコンタクト接着剤製品、その作製、および対応するコンタクト接着剤
(51)【国際特許分類】
   C09J 175/08 20060101AFI20220314BHJP
   C09J 7/38 20180101ALI20220314BHJP
   C08G 18/66 20060101ALI20220314BHJP
   C08G 18/74 20060101ALI20220314BHJP
   C08G 18/75 20060101ALI20220314BHJP
   C08G 18/40 20060101ALI20220314BHJP
   A61L 15/26 20060101ALI20220314BHJP
   A61L 15/42 20060101ALI20220314BHJP
【FI】
C09J175/08
C09J7/38
C08G18/66 081
C08G18/74
C08G18/75 010
C08G18/40 054
A61L15/26 100
A61L15/42 100
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2018568250
(86)(22)【出願日】2017-06-29
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2019-09-26
(86)【国際出願番号】 EP2017066197
(87)【国際公開番号】W WO2018002257
(87)【国際公開日】2018-01-04
【審査請求日】2020-06-24
(31)【優先権主張番号】16177190.2
(32)【優先日】2016-06-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】515266223
【氏名又は名称】コベストロ、ドイチュラント、アクチエンゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】COVESTRO DEUTSCHLAND AG
(74)【代理人】
【識別番号】100114188
【弁理士】
【氏名又は名称】小野 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100119253
【弁理士】
【氏名又は名称】金山 賢教
(74)【代理人】
【識別番号】100124855
【弁理士】
【氏名又は名称】坪倉 道明
(74)【代理人】
【識別番号】100129713
【弁理士】
【氏名又は名称】重森 一輝
(74)【代理人】
【識別番号】100137213
【弁理士】
【氏名又は名称】安藤 健司
(74)【代理人】
【識別番号】100143823
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 英彦
(74)【代理人】
【識別番号】100151448
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 孝博
(74)【代理人】
【識別番号】100183519
【弁理士】
【氏名又は名称】櫻田 芳恵
(74)【代理人】
【識別番号】100196483
【弁理士】
【氏名又は名称】川嵜 洋祐
(74)【代理人】
【識別番号】100203035
【弁理士】
【氏名又は名称】五味渕 琢也
(74)【代理人】
【識別番号】100185959
【弁理士】
【氏名又は名称】今藤 敏和
(74)【代理人】
【識別番号】100160749
【弁理士】
【氏名又は名称】飯野 陽一
(74)【代理人】
【識別番号】100160255
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 祐輔
(74)【代理人】
【識別番号】100202267
【弁理士】
【氏名又は名称】森山 正浩
(74)【代理人】
【識別番号】100146318
【弁理士】
【氏名又は名称】岩瀬 吉和
(74)【代理人】
【識別番号】100127812
【弁理士】
【氏名又は名称】城山 康文
(72)【発明者】
【氏名】ドール,セバスチャン
(72)【発明者】
【氏名】ワイザー,マルク-ステファン
(72)【発明者】
【氏名】プラグ,サーシャ
【審査官】田澤 俊樹
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-010804(JP,A)
【文献】特表2012-529541(JP,A)
【文献】特開2011-140647(JP,A)
【文献】特表2003-524042(JP,A)
【文献】特開2006-124692(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C09J 1/00-201/10
C08G 18/00-18/87
71/00-71/04
A61L 15/26,15/42
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材と、少なくとも
A)≧1.8かつ≦2.6の平均イソシアネート官能価を有する1つの脂肪族ポリイソシアネート成分、
B)ポリ(テトラメチレングリコール)ポリエーテルポリオールの混合物を含有するまたはこれからなり、前記ポリ(テトラメチレングリコール)ポリエーテルポリオールはそれらの数平均分子量が異なる、1つの高分子ポリエーテルポリオール成分、
C)イオン基もイオノゲン基も有さない少なくとも1つのアミノ官能性化合物C1)および/またはイオン基もしくはイオノゲン基を有するアミノ官能性化合物C2)を含有する、少なくとも2つのイソシアネート反応性アミノ基を有する1つのアミノ官能性連鎖延長剤成分、
D)任意選択で、C2)とは異なるさらなる親水化成分、
E)任意選択で、62~399mol/gの分子量を有するヒドロキシ官能性化合物、
F)任意選択で、B)とは異なる少なくとも1つのさらなる高分子ポリオール、
G)正確に1つのイソシアネート反応性基を有する1つの化合物または2つ以上のイソシアネート反応性基を有する1つの化合物、ここで、前記イソシアネート反応性基の1つのみが選択された反応条件下で反応混合物中に存在するイソシアネート基と反応する、
)>2.6かつ≦4の平均イソシアネート官能価を有する1つの脂肪族ポリイソシアネート成分
を反応させることによって入手可能なポリウレタン尿素であって、
成分G)対成分H)のモル比が5:1~1:5であり、
成分B)およびF)が一緒になって、成分B)およびF)の総質量に基づいて≦30重量%の成分F)を含有する、ポリウレタン尿素と、
を含むコンタクト接着剤製品。
【請求項2】
成分A)がイソホロンジイソシアネートおよび/またはヘキサメチレンジイソシアネートであることを特徴とする、請求項1に記載の製品。
【請求項3】
成分D)が非イオン性親水化成分を含むことを特徴とする、請求項1または2に記載の製品。
【請求項4】
前記ポリウレタン尿素が、成分A)、B)、ならびに任意選択でD)および/またはC2)、ならびに任意選択で化合物E)および/またはH)からイソシアネート官能性ポリウレタンプレポリマーa)を調製することによって入手可能であり、次いで、その遊離NCO基が、前記アミノ官能性連鎖延長剤成分C)およびさらに成分G)ならびに任意選択で成分D)およびH)と全体的にまたは部分的に反応させられることを特徴とする、請求項1~のいずれかに記載の製品。
【請求項5】
前記ポリウレタン尿素が非晶質であり、DIN EN 61006、Method Aに従って動的示差熱量測定を用いて決定されるTg≦-25℃を有することを特徴とする、請求項1~のいずれかに記載の製品。
【請求項6】
前記基材が、DIN EN ISO 13934-1に従って決定される100~500Nの最大引張力を有することを特徴とする、請求項1~のいずれかに記載の製品。
【請求項7】
硬膏剤、ドレッシング剤、テープ剤もしくは包帯またはこれらの最終製品の少なくとも構成要素であることを特徴とする、請求項1~のいずれかに記載の製品。
【請求項8】
請求項1~のいずれかに記載のコンタクト接着剤製品を作製するためのプロセスであって、
I)前記ポリウレタン尿素を水性ポリウレタン尿素分散液の形で前記基材に適用するステップと、
II)処理された前記基材を≧20℃かつ≦200℃の温度で熱乾燥するステップと、
を含む、プロセス。
【請求項9】
少なくとも
A)≧1.8かつ≦2.6の平均イソシアネート官能価を有する1つの脂肪族ポリイソシアネート成分、
B)ポリ(テトラメチレングリコール)ポリエーテルポリオールの混合物を含有するまたはこれからなり、前記ポリ(テトラメチレングリコール)ポリエーテルポリオールはそれらの数平均分子量が異なる、1つの高分子ポリエーテルポリオール成分、
C)イオン基もイオノゲン基も有さない少なくとも1つのアミノ官能性化合物C1)および/またはイオン基もしくはイオノゲン基を有するアミノ官能性化合物C2)を含有する、少なくとも2つのイソシアネート反応性アミノ基を有する1つのアミノ官能性連鎖延長剤成分、
D)任意選択で、C2)とは異なるさらなる親水化成分、
E)任意選択で、62~399mol/gの分子量を有するヒドロキシ官能性化合物、
F)任意選択で、B)とは異なるさらなる高分子ポリオール、
G)正確に1つのイソシアネート反応性基を有する1つの化合物または2つ以上のイソシアネート反応性基を有する1つの化合物、ここで、前記イソシアネート反応性基の1つのみが選択された反応条件下で反応混合物中に存在するイソシアネート基と反応する、
H)>2.6かつ≦4の平均イソシアネート官能価を有する1つの脂肪族ポリイソシアネート成分
を反応させることによって入手可能なポリウレタン尿素であって、
成分B)およびF)が一緒になって、成分B)およびF)の総質量に基づいて≦30重量%の成分F)を含有し、成分G)およびH)が5:1~1:5の相対モル比で存在する、ポリウレタン尿素。
【請求項10】
請求項に記載のポリウレタン尿素を含む接着剤。
【請求項11】
請求項に記載のポリウレタン尿素または請求項10に記載の接着剤を用いて2つ以上の基材を結合することによって作製される物体。
【請求項12】
請求項に記載のポリウレタン尿素を含む水性分散液。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基材を含むコンタクト接着剤製品、特定のポリウレタン尿素、およびコンタクト接着剤製品を作製するためのプロセスに関する。本発明は、同様に、特定のポリウレタン尿素および前記ポリウレタン尿素を含むコンタクト接着剤を提供する。
【背景技術】
【0002】
コンタクト接着剤は、多くの適用、特に医療適用、例えば圧迫治療用の包帯に使用されている。ここで重要なことは、とりわけ、仮にあったとしても力の相当の消費のみでロールから巻き戻され得るように、個々の層の強い結合なしにロールでの製品の保管を可能にする接着剤が使用されることである。しかしながら、同時に、人体に使用される場合、層は、熱も、放射線も、同様の外部効果の作用もなく、穏やかな圧力または引張応力によってのみ互いに良好な接着性を有し、確実に包帯を密封するが、皮膚、毛髪、衣類にも固着することはなく、可逆的に着脱可能でもあり、理想的な場合には、同じ接着特性で繰り返し再使用することさえ可能であるべきである。
【0003】
天然ゴムに基づくラテックス製剤は、そのような製品中の接着成分としてしばしば使用される。しかしながら、これは、経年化による変色、しばしば不快な臭気、およびまれではない皮膚のアレルギー反応などの欠点を伴う。
【0004】
例えば、米国特許第6,156,424号は、とりわけ、水性ポリマーを含浸させた基材に基づいた包帯またはドレッシング剤における使用のためのコンタクト接着剤製品を記載している。使用されるポリマーは、ポリクロロプレンだけでなく、ポリエステルウレタンまたはポリカプロラクトンウレタンなどの本質的に結晶性のエラストマーポリマーである。ここでの欠点は、これらが特定の粘着付与剤と組み合わせてのみ使用可能であることである。さもなければ製品は、その粘着性を失うので、製品の完全な結晶化を避けることが常に必要である。これは、特に長期間の保管の場合に保証することが困難である。
【0005】
米国特許第5,692,937号は、包帯などの伸張性製品に適しており、ポリエステルウレタンの水性分散液に基づくコンタクト接着剤を記載している。しかしながら、そこに記載された製品は、多くの適用に関してそれ自体では不十分である低いコンタクト粘着性を有し、したがって、ポリアクリレートに基づく他の接着剤分散液と組み合わせて好ましくは使用され、これはあまり望ましくない。さらに、分散液およびそれから形成された接着フィルムは、黄褐色を有し、これは、製品の非衛生的で汚れた外観を生じるので、医療製品用コンタクト接着剤としてあまり適していない。
【0006】
中国特許第104725589号も、自己接着性弾性包帯のための水性ポリウレタン分散液の使用をすでに記載している。しかしながら、そこに記載されている包帯も同様に、不十分なコンタクト粘着性を有する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】米国特許第6,156,424号
【文献】米国特許第5,692,937号
【文献】中国特許第104725589号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的は、少なくとも、先行技術の少なくとも1つの欠点を部分的に克服することであった。
【0009】
本発明のさらなる目的は、一方では、個々の層の強い結合なしにロールで保管することができ、他方では、層が、人体に使用される場合、熱などの作用なしに互いに良好に結合するコンタクト接着剤製品を提供することである。
【0010】
本発明のさらなる目的は、高い色堅牢性、特に高い光安定性を有するコンタクト接着剤製品を提供することであった。
【課題を解決するための手段】
【0011】
驚くべきことに、これらの目的の少なくとも1つは、
基材と、少なくとも
A)≧1.8かつ≦2.6の平均イソシアネート官能価を有する1つの脂肪族ポリイソシアネート成分、
B)1つの高分子ポリエーテルポリオール成分、
C)イオン基もイオノゲン基も有さない少なくとも1つのアミノ官能性化合物C1)および/またはイオン基もしくはイオノゲン基を有するアミノ官能性化合物C2)を含有する、少なくとも2つのイソシアネート反応性アミノ基を有する1つのアミノ官能性連鎖延長剤成分、
D)任意選択で、C2)とは異なるさらなる親水化成分、
E)任意選択で、62~399mol/gの分子量を有するヒドロキシ官能性化合物、
F)任意選択で、B)とは異なるさらなる高分子ポリオール、
G)正確に1つのイソシアネート反応性基を有する1つの化合物または2つ以上のイソシアネート反応性基を有する1つの化合物、ここで、イソシアネート反応性基の1つのみが選択された反応条件下で反応混合物中に存在するイソシアネート基と反応する、
H)任意選択で、>2.6かつ≦4の平均イソシアネート官能価を有する1つの脂肪族ポリイソシアネート成分
を反応させることによって入手可能なポリウレタン尿素であって、
成分B)およびF)が一緒になって、成分B)およびF)の総質量に基づいて≦30重量%の成分F)を含有する、ポリウレタン尿素と、
を含むコンタクト接着剤製品を提供することによって達成された。
【発明を実施するための形態】
【0012】
驚くべきことに、上述の特定のポリウレタン尿素に基づいて、一方では、個々の層の強い結合なしにロールで保管することができ、他方では、層が、人体に使用される場合、熱などの作用なしに互いに良好に結合するコンタクト接着剤製品を得ることが可能であることが見出された。
【0013】
本発明の文脈における「コンタクト接着剤」は、問題の材料(コンタクト接着剤)の個々の層または製品自体が、たとえあったにしても、非常に低い粘着性のみを有することを意味する。同じ材料または製品の第2の層とのコンタクト、好ましくは、圧縮のみが、良好な結合力を有する2つの材料層の結合を生じる。したがって、コンタクト接着剤は、結合される両方の部分または層に適用されなければならず、次いで、もはや知覚可能な粘着性がなくなるまで好ましくは乾燥される。
【0014】
本発明の文脈におけるポリウレタン尿素は、少なくとも2つ、好ましくは少なくとも3つのウレタン含有繰返し単位:
【化1】
【0015】
を有する高分子化合物である。
【0016】
本発明によれば、ポリウレタン尿素は、それらの調製によって、イソシアネート終端プレポリマーとアミノ官能性化合物との反応において特に形成される尿素基
【化2】
【0017】
を含有する繰返し単位も有する。
【0018】
本発明の文脈におけるイオノゲン基は、例えば塩基での中和によって、イオン基を形成する能力がある官能基を意味すると理解される。
【0019】
成分A)は、当業者がこの目的のために使用する任意のポリイソシアネートとすることができる。成分A)として好ましい適したポリイソシアネートは、特に、≧1.8かつ≦2.6の平均イソシアネート官能価を有する当業者にそれ自体既知の脂肪族ポリイソシアネートである。「脂肪族」という用語はまた、脂環式および/または芳香族脂肪族ポリイソシアネートを含む。
【0020】
平均イソシアネート官能価は、分子あたりのイソシアネート基の平均数を意味すると理解される。
【0021】
好ましいポリイソシアネートは、140~336g/molの分子量範囲のものである。これらは、より好ましくは、1,4-ジイソシアナトブタン(BDI)、ペンタン1,5-ジイソシアネート(PDI)、1,6-ジイソシアナトヘキサン(HDI)、1,3-ビス(イソシアナトメチル)ベンゼン(キシリレン1,3-ジイソシアナト、XDI)、1,4-ビス(イソシアナトメチル)ベンゼン(キシリレン1,4-ジイソシアナト、XDI)、1,3-ビス(1-イソシアナト-1-メチルエチル)ベンゼン(TMXDI)、1,4-ビス(1-イソシアナト-1-メチルエチル)ベンゼン(TMXDI)、4-イソシアナトメチルオクタン-1,8-ジイソシアナト(トリイソシアナトノナン(TIN))、2-メチル-1,5-ジイソシアナトペンタン、1,5-ジイソシアナト-2,2-ジメチルペンタン、2,2,4-または2,4,4-トリメチル-1,6-ジイソシアナトヘキサン、1,10-ジイソシアナトデカン、および脂環式ジイソシアネート1,3-または1,4-ジイソシアナトシクロヘキサン、1,4-ジイソシアナト-3,3,5-トリメチルシクロヘキサン、1,3-ジイソシアナト-2(4)-メチルシクロヘキサン、1-イソシアナト-3,3,5-トリメチル-5-イソシアナトメチルシクロヘキサン(イソホロンジイソシアネート、IPDI)、1-イソシアナト-1-メチル-4(3)イソシアナトメチルシクロヘキサン、1,8-ジイソシアナト-p-メンタン、4,4’-ジイソシアナト-1,1’-ビ(シクロヘキシル)、4,4’-ジイソシアナト-3,3’-ジメチル-1,1’-ビ(シクロヘキシル)、4,4’-ジイソシアナト-2,2’,5,5’-テトラメチル-1,1’-ビ(シクロヘキシル)、4,4’-および/または2,4’-ジイソシアナトジシクロヘキシルメタン、4,4’-ジイソシアナト-3,3’-ジメチルジシクロヘキシルメタン、4,4’-ジイソシアナト-3,3’、5,5’-テトラメチルジシクロヘキシルメタン、1,3-ジイソシアナトアダマンタン、および1,3-ジメチル-5,7-ジイソシアナトアダマンタンまたはそのようなイソシアネートの任意の混合物からなる群から選択される。ポリイソシアネートは、最も好ましくは、ブチレン1,4-ジイソシアネート、ペンタメチレン-1,5-ジイソシアネート(PDI)、ヘキサメチレン1,6-ジイソシアネート(HDI)、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、2,2,4-および/または2,4,4-トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、異性体ビス(4,4’-イソシアナトシクロヘキシル)メタンまたは任意の異性体含有量を有するその混合物(H12-MDI)シクロヘキシレン1,4-ジイソシアネート、4-イソシアナトメチルオクタン、1,8-ジイソシアネート(ノナントリイソシアネート)およびC1~C8アルキル基を有するアルキル2,6-ジイソシアナトヘキサノエート(リジンジイソシアネート)から選択される。
【0022】
上記のポリイソシアネートと同様に、ウレトジオン、イソシアヌレート、ウレタン、アロファネート、ビウレット、イミノオキサジアジンジオンまたはオキサジアジントリオン構造、およびこれらおよび/または上記の比率の混合物を有する平均イソシアネート官能価≧2かつ≦2.6を有する修飾ジイソシアネートを使用することも可能である。
【0023】
排他的に脂肪族または脂環式に結合したイソシアネート基またはこれらの混合物および≧1.8かつ≦2.6、より好ましくは≧2.0かつ≦2.4の混合物の平均NCO官能価を有する上記の型のポリイソシアネートまたはポリイソシアネート混合物が好ましい。
【0024】
より好ましくは、有機ポリイソシアネート成分A)は、HDI、IPDIおよび/もしくはH12-MDIまたはその修飾生成物から選択される、最も好ましくは、HDIおよび/またはIPDIから選択される脂肪族または脂環式ポリイソシアネートを含有する。
【0025】
特に好ましい変型では、IPDIおよびHDIは、成分A)として混合物中に存在する。
【0026】
ここで、IPDI:HDIの重量比は、好ましくは1.05~10の範囲、より好ましくは1.1~5の範囲、最も好ましくは1.1~1.5の範囲にある。
【0027】
好ましい実施形態では、本発明に従って使用されるポリウレタン尿素は、各場合において、ポリウレタン尿素の総質量に基づいて、≧5重量%かつ≦40重量%の成分A)、より好ましくは≧10重量%かつ≦35重量%の成分A)を使用して調製される。
【0028】
さらに好ましい実施形態では、ポリウレタン尿素は、成分H)、>2.6かつ≦4、好ましくは≧2.8かつ≦3.8の平均イソシアネート官能価(分子あたりのイソシアネート基の平均数)を有する脂肪族ポリイソシアネート成分を使用しても調製される。成分H)は、成分A)との混合物として好ましくは使用される。
【0029】
特に適した成分H)は、イソシアヌレート、ウレタン、アロファネート、ビウレット、イミノオキサジアジンジオンまたはオキサジアジントリオン構造を有する、>2.6かつ≦4、好ましくは≧2.8かつ≦3.8の官能価を有するオリゴマージイソシアネートである。最も好ましくは、H)は、イソシアヌレート構造を含有する。
【0030】
より好ましくは、有機ポリイソシアネート成分H)は、HDI、IPDIおよび/またはH12-MDIに基づく、最も好ましくはHDIに基づく脂肪族または脂環式ポリイソシアネートオリゴマーからなる。
【0031】
成分A)対成分H)のNCO基のモル比は、好ましくは100:0.5~100:50、より好ましくは100:2~100:15、最も好ましくは100:3~100:8である。
【0032】
好ましい実施形態では、本発明に従って使用されるポリウレタン尿素は、各場合において、ポリウレタン尿素の総質量に基づいて、≧0重量%かつ≦10重量%の成分H)、より好ましくは≧0.1重量%かつ≦3重量%の成分H)を使用して調製される。
【0033】
成分B)として本発明に従って使用される高分子ポリエーテルポリオールは、23℃でのテトラヒドロフラン中のポリスチレン標準に対するゲル浸透クロマトグラフィーによって決定される≧500かつ≦8000g/mol、より好ましくは≧400かつ≦6000g/mol、特に好ましくは≧600かつ≦3000g/molの数平均分子量および/または好ましくは≧1.5かつ≦6、より好ましくは≧1.8かつ≦3、特に好ましくは≧1.9かつ≦2.1のOH官能価を好ましくは有する。
【0034】
ここで、「高分子」ポリエーテルポリオールという表現は、言及したポリオールが、互いに結合した少なくとも3つ、より好ましくは少なくとも4つの繰返し単位を有することを特に意味する。
【0035】
数平均分子量は、他に記載がない限り、23℃でのテトラヒドロフラン中のゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)によって本出願の文脈において決定される。手順は、DIN 55672-1「Gel permeation chromatography、Part 1-Tetrahydrofuran as eluent(PSS Polymer Service製のSECurity GPC System、流量1.0ml/分、カラム2×PSS SDV linear M、8×300mm、5μm、RID検出器)に従う。既知のモル質量のポリスチレン試料が較正に使用される。数平均分子量はソフトウェア支援を用いて計算される。ベースラインポイントおよび評価限界は、DIN 55672 Part 1に従って固定される。
【0036】
適したポリエーテルポリオールは、例えば、二官能性または多官能性スターター分子へのスチレンオキシド、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシドおよび/またはエピクロロヒドリンのそれ自体既知の付加生成物である。特に、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコールおよび/またはポリブチレングリコールなどのポリアルキレングリコールが、特に上記の好ましい分子量で適用可能である。使用される適したスターター分子は、従来技術に従って既知の全ての化合物、例えば水、ブチルジグリコール、グリセロール、ジエチレングリコール、トリメチロールプロパン、プロピレングリコール、ソルビトール、エチレンジアミン、トリエタノールアミン、ブタン-1,4-ジオールとすることができる。
【0037】
製品の好ましい実施形態では、成分B)は、(HO-(CH-CH-CH-CH-O)-H)などの)ポリ(テトラメチレングリコール)ポリエーテルポリオールを含有するまたはこれからなる。
【0038】
適したポリ(テトラメチレングリコール)ポリエーテルポリオールは、例えば、カチオン開環によるテトラヒドロフランの重合によって入手可能である。
【0039】
製品のさらに好ましい実施形態では、成分B)は、ポリ(テトラメチレングリコール)ポリエーテルポリオールの混合物を含有するまたはこれからなり、ここで、ポリ(テトラメチレングリコール)ポリエーテルポリオールは、それらの数平均分子量が異なる。
【0040】
特に好ましい実施形態では、成分B)は、≧400かつ≦1500g/molの範囲内、より好ましくは≧600かつ≦1200g/molの範囲内、最も好ましくは1000g/molの範囲内の数平均分子量Mを有するポリ(テトラメチレングリコール)ポリエーテルポリオールIと≧1500かつ≦8000g/mol、より好ましくは≧1800かつ≦3000g/molの範囲内の、最も好ましくは2000g/molの数平均分子量Mを有するポリ(テトラメチレングリコール)ポリエーテルポリオールIIの混合物を含有する。
【0041】
ポリ(テトラメチレングリコール)ポリエーテルポリオールI対ポリ(テトラメチレングリコール)ポリエーテルポリオールIIの重量比は、好ましくは0.1~10の範囲、より好ましくは0.2~10の範囲、最も好ましくは1~6の範囲である。
【0042】
本発明によれば、ポリウレタン尿素は、イオン基もイオノゲン基も有さない、少なくとも1つのアミノ官能性化合物C1)および/またはイオン基もしくはイオノゲン基を有するアミノ官能性化合物C2)を含有する、少なくとも2つのイソシアネート反応性アミノ基を有するアミノ官能性連鎖延長剤成分C)を用いて調製される。
【0043】
成分C)成分のアミノ官能性化合物は、第1級および/または第2級ジアミンから好ましくは選択される。より詳細には、アミノ官能性化合物C)は、少なくとも1つのジアミンを含む。
【0044】
製品の好ましい実施形態では、アミノ官能性成分C)は、イオン基および/またはイオノゲン基を有する少なくとも1つのアミノ官能性化合物C2)を含む。
【0045】
本発明のさらに好ましい実施形態では、アミノ官能性成分C)は、イオン基および/またはイオノゲン基を有するアミノ官能性化合物C2)とイオン基もイオノゲン基も有さないアミノ官能性化合物C1)の両方を含む。
【0046】
例えば、使用される成分C1)は、有機ジアミンまたはポリアミン、例えば、エチレン-1,2-ジアミン、1,2-および1,3-ジアミノプロパン、1,4-ジアミノブタン、1,6-ジアミノヘキサン、イソホロンジアミン(IPDA)、2,2,4-および2,4,4-トリメチルヘキサメチレンジアミンの異性体混合物、2-メチルペンタメチレンジアミン、ジエチレントリアミン、4,4-ジアミノジシクロヘキシルメタン、ならびに/またはジメチルエチレンジアミン、またはこれらの少なくとも2つの混合物とすることができる。
【0047】
好ましくは、成分C1)は、エチレン-1,2-ジアミン、ビス(4-アミノシクロヘキシル)メタン、1,4-ジアミノブタン、IPDA、エタノールアミン、ジエタノールアミンおよびジエチレントリアミンまたはこれらの少なくとも2つの混合物からなる群から選択される。
【0048】
さらに好ましい実施形態では、成分C1)は、>75モル%、より好ましくは≧80モル%、さらにより好ましくは≧85モル%、さらに好ましくは≧95モル%、さらにより好ましくは100モル%のエチレン-1,2-ジアミンもしくはIPDAまたはエチレン-1,2-ジアミンおよびIPDAの混合物を含有し、ここで、C1)の総量に対する2つのアミンの合計は、好ましくは上記の範囲内である。好ましくは、成分C1)は、>75モル%、より好ましくは≧80モル%、さらにより好ましくは≧85モル%、さらに好ましくは≧95モル%、さらにより好ましくは100モル%のエチレン-1,2-ジアミンを含有する。
【0049】
好ましくは、親水化成分C2)は、少なくとも1つのアニオン性親水化化合物を含む。さらに好ましくは、親水化成分C2)は、成分C2)の総重量に基づいて、少なくとも80重量%の程度まで、好ましくは少なくとも90重量%の程度までアニオン性親水化化合物を含む。より好ましくは、成分C2)は、排他的にアニオン性親水化化合物からなる。
【0050】
適したアニオン性親水化化合物は、少なくとも1つのアニオン基またはアニオン基に変換され得るイオノゲン基を含有する。さらに好ましくは、適したアニオン性親水化化合物は、少なくとも2つのアミノ基、より好ましくは2つのアミノ基を有する。より好ましくは、親水化成分C2)は、少なくとも1つのアニオン基またはイオノゲン基および少なくとも2つのアミノ基を有するアニオン性親水化化合物を含むまたはこれからなる。
【0051】
以下で親水化剤C2)とも称される成分C2)としての適したアニオン性親水化化合物は、好ましくはスルホン酸基またはスルホネート基、より好ましくはスルホン酸ナトリウム基を含有する。成分C2)としての適したアニオン性親水化化合物は、特にモノおよびジアミノスルホン酸のアルカリ金属塩である。このようなアニオン親水化剤の例は、2-(2-アミノエチルアミノ)エタンスルホン酸、N-(プロピルまたはブチル)エチレンジアミンスルホン酸またはプロピレン-1,2-もしくは-1,3-ジアミン-β-エチルスルホン酸の塩またはこれらの少なくとも2つの混合物である。
【0052】
特に好ましいアニオン親水化剤C2)は、2-(2-アミノエチルアミノ)エチルスルホン酸およびプロピレン-1,3-ジアミン-β-エチルスルホン酸の塩などのイオン基としてのスルホネート基および2つのアミノ基を含有するものである。アニオン親水化剤C2)として2-(2-アミノエチルアミノ)エチルスルホン酸またはその塩を使用することが特に好ましい。
【0053】
成分C2)中のアニオン基は、任意選択でカルボキシレートまたはカルボン酸基とすることもできる。その場合、成分C2)は、好ましくはジアミノカルボン酸から選択される。しかしながら、この代替の実施形態では、カルボン酸に基づく成分C2)は、スルホネート基またはスルホン酸基を有する成分(2)と比較して、より高い濃度で使用されなければならない。したがって、より好ましくは、ポリウレタン尿素は、成分C2)のアニオン基としてカルボキシレート基を排他的に有する親水化化合物を使用せずに調製される。
【0054】
好ましい実施形態では、本発明に従って使用されるポリウレタン尿素は、各場合において、ポリウレタン尿素の総質量に基づいて、≧0.1重量%かつ≦10重量%の範囲内の成分C2)、より好ましくは≧0.5重量%かつ≦4重量%の範囲内の成分C2)を使用して調製される。
【0055】
親水化は、アニオン親水化剤C2)とC2)とは異なるさらなる親水化剤D)との混合物を使用しても達成され得る。
【0056】
適したさらなる親水化剤D)は、例えば、非イオン親水化化合物D1)および/またはヒドロキシ官能性イオンもしくはイオノゲン親水化剤D2)である。好ましくは、成分D)は、非イオン性親水化成分D1)を含む。
【0057】
成分D2)としての適したヒドロキシ官能性イオンまたはイオノゲン親水化剤は、例えば、2-ヒドロキシ酢酸、3-ヒドロキシプロパン酸、12-ヒドロキシ-9-オクタデカン酸(リシノール酸)、ヒドロキシピバリン酸、乳酸、ジメチロール酪酸および/またはジメチロールプロピオン酸またはこれらの少なくとも2つの混合物などのモノおよびジヒドロキシカルボン酸などのヒドロキシカルボン酸である。ヒドロキシピバリン酸、乳酸および/またはジメチロールプロピオン酸が好ましく、ジメチロールプロピオン酸が特に好ましい。ヒドロキシ官能性イオンまたはイオノゲン親水化剤D2)を使用しないことが好ましく、カルボキシレートおよびヒドロキシル基を有する親水化剤、例えばジメチロールプロピオン酸を使用しないことが特に好ましい。好ましくは、ヒドロキシ官能性イオンまたはイオノゲン親水化剤D2)は、ポリウレタン尿素の総質量に基づいて、0~1重量%の範囲内、または好ましくは0~0.5重量%の範囲内の量でポリウレタン尿素中に存在する。
【0058】
成分D1)としての適した非イオン性親水化化合物は、例えば、ヒドロキシル、アミノまたはチオール基などのイソシアネート反応性基を有するポリオキシアルキレンエーテルである。適したスターター分子のアルコキシル化によりそれ自体既知の方法(例えば、Ullmanns Encyclopadie der technischen Chemie [Ullmann’s Encyclopedia of Industrial Chemistry]、第4版、第19巻、Verlag Chemie、Weinheim p.31-38における)で得ることができる、分子あたり5~70、好ましくは7~55のエチレンオキシド単位の統計的平均を有するモノヒドロキシ官能性ポリアルキレンオキシドポリエーテルアルコールが好ましい。これらは、純粋なポリエチレンオキシドエーテルまたは混合ポリアルキレンオキシドエーテルであり、ここで、それらは、存在する全てのアルキレンオキシド単位に基づいて、少なくとも30モル%、好ましくは少なくとも40モル%のエチレンオキシド単位を含有する。
【0059】
特に好ましい非イオン化合物は、40~100モル%のエチレンオキシド単位および0~60モル%のプロピレンオキシド単位を有する単官能混合ポリアルキレンオキシドポリエーテルである。
【0060】
このような非イオン親水化剤に関する適したスターター分子は、特に、メタノール、エタノール、n-プロパノール、イソプロパノール、n-ブタノール、イソブタノール、sec-ブタノール、異性体ペンタノール、ヘキサノール、オクタノールおよびノナノール、n-デカノール、n-ドデカノール、n-テトラデカノール、n-ヘキサデカノール、n-オクタデカノール、シクロヘキサノール、異性体メチルシクロヘキサノールまたはヒドロキシメチルシクロヘキサン、3-エチル-3-ヒドロキシメチルオキセタンまたはテトラヒドロフルフリルアルコール、ジエチレングリコールモノアルキルエーテル、例えばジエチレングリコールモノブチルエーテルなどの飽和モノアルコール、アリルアルコール、1,1-ジメチルアリルアルコールまたはオレインアルコールなどの不飽和アルコール、フェノール、異性体クレゾールまたはメトキシフェノールなどの芳香族アルコール、ベンジルアルコール、アニシルアルコールまたはシンナミルアルコールなどの芳香族脂肪族アルコール、ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジプロピルアミン、ジイソプロピルアミン、ジブチルアミン、ビス(2-エチルヘキシル)アミン、N-メチル-およびN-エチルシクロヘキシルアミンまたはジシクロヘキシルアミンなどの第2級モノアミン、ならびにモルホリン、ピロリジン、ピペリジンまたは1H-ピラゾールなどの複素環式第2級アミンである。好ましいスターター分子は、上記の型の飽和モノアルコールである。スターター分子としてジエチレングリコールモノブチルエーテル、メタノールまたはn-ブタノールを使用することが特に好ましい。
【0061】
アルコキシル化反応に適したアルキレンオキシドは、特に、エチレンオキシドおよびプロピレンオキシドであり、これらは、任意の順序で、または混合物でアルコキシル化反応に使用され得る。
【0062】
本発明の好ましい実施形態では、本発明に従って使用されるポリウレタン尿素は、各場合において、ポリウレタン尿素の総質量に基づいて、≧0重量%かつ≦20重量%の範囲内の成分D)、好ましくは≧0重量%かつ≦10重量%の範囲内の成分D)、最も好ましくは≧0重量%かつ≦5重量%の範囲内の成分D)を含有する。さらに好ましい実施形態では、成分D)は、ポリウレタン尿素の調製に使用されない。
【0063】
成分E)として、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロパン-1,2-ジオール、プロパン-1,3-ジオール、ブタン-1,4-ジオール、1,3-ブチレングリコール、シクロヘキサンジオール、シクロヘキサン-1,4-ジメタノール、ヘキサン-1,6-ジオール、ネオペンチルグリコール、ヒドロキノンジヒドロキシエチルエーテル、ビスフェノールA(2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパン)、水素化ビスフェノールA(2,2-ビス(4-ヒドロキシシクロヘキシル)プロパン)、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン、グリセロール、ペンタエリスリトールおよびその互いの任意の所望の混合物などの最大20の炭素原子を有する62~399モル/gの前記分子量範囲のポリオール、特に非高分子ポリオールを使用することが任意選択で可能である。
【0064】
本発明の好ましい実施形態では、本発明に従って使用されるポリウレタン尿素は、各場合において、ポリウレタン尿素の総質量に基づいて、≦10重量%の成分E)、好ましくは≦5重量%、より好ましくは0重量%の成分E)を含有する。好ましくは、ポリウレタン尿素は、各場合において、ポリウレタン尿素の総質量に基づいて、0.1重量%~10重量%の範囲内の、好ましくは0.2重量%~8重量%の範囲内の、好ましくは0.1重量%~5重量%の範囲内の成分E)を含む。さらに好ましい実施形態では、成分E)は、ポリウレタン尿素の調製に使用されない。
【0065】
好ましい実施形態では、本発明に従って使用されるポリウレタン尿素は、各場合において、ポリウレタン尿素の総質量に基づいて、≧0.5重量%かつ≦20重量%の範囲内の成分C1)および任意のE)の合計、より好ましくは≧1重量%かつ≦15重量%の範囲内の成分C1)および任意のE)の合計を使用して調製される。
【0066】
成分F)として、B)とは異なるさらなる高分子ポリオールを使用することが可能である。
【0067】
B)の定義によって包含されない高分子ポリオールが好ましく、それらは、ポリエーテルポリオールではないので、例えば、ポリウレタンコーティング技術においてそれ自体既知である以下のポリオール:ポリエステルポリオール、ポリアクリレートポリオール、ポリウレタンポリオール、ポリカーボネートポリオール、ポリエステルポリアクリレートポリオール、ポリウレタンポリアクリレートポリオール、ポリウレタンポリエステルポリオール、ポリウレタンポリカーボネートポリオールおよびポリエステルポリカーボネートポリオールである。
【0068】
好ましくは、成分F)は、エステル基を有する高分子ポリオール、特にポリエステルポリオールを含まない。
【0069】
本発明に従って、成分B)およびF)は、一緒になって、成分B)およびF)の総質量に基づいて、≦30重量%、好ましくは≦10重量%、より好ましくは≦5重量%の成分F)を含有する。最も好ましくは、成分F)は、ポリウレタン尿素の調製に使用されない。
【0070】
好ましい実施形態では、本発明に従って使用されるポリウレタン尿素は、各場合において、ポリウレタン尿素の総質量に基づいて、≧55重量%かつ≦90重量%の範囲内の成分B)および任意のF)の合計、より好ましくは≧60重量%かつ≦85重量%の範囲内の成分B)および任意のF)の合計を使用して調製される。
【0071】
成分G)は、正確に1つのイソシアネート反応性基を有する化合物または2つ以上のイソシアネート反応性基を有する化合物を含み、ここで、イソシアネート反応性基の1つのみが選択された反応条件下で反応混合物中に存在するイソシアネート基と反応する。
【0072】
成分G)のイソシアネート反応性基は、イソシアネート基と反応し得る任意の官能基、例えばヒドロキシル基、チオール基または第1級および第2級アミノ基とすることができる。
【0073】
本発明の文脈におけるイソシアネート反応性基は、特に好ましくは、イソシアネート基と反応して尿素基を形成する第1級または第2級アミノ基である。アミノ基と同様に、成分G)の化合物は、OH基などの原則的にイソシアネート反応性である他の基も有し得、ここで、イソシアネート反応性基の1つだけが選択された反応条件下で反応混合物中に存在するイソシアネート基と反応する。これは、例えば、比較的低い温度、例えば0~60℃、好ましくは20~40℃での適切なアミノアルコールの反応によってもたらされ得る。ここで、イソシアネート基とアルコール基との反応を触媒する触媒の非存在下で作業することが好ましい。
【0074】
適した成分G)の化合物の例は、メチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン、ブチルアミン、オクチルアミン、ラウリルアミン、ステアリルアミン、イソノニルオキシプロピルアミン、ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジプロピルアミン、ジブチルアミン、N-メチルアミノプロピルアミン、ジエチル(メチル)アミノプロピルアミン、モルホリン、ピペリジン、ジエタノールアミン、3-アミノ-1-メチルアミノプロパン、3-アミノ-1-エチルアミノプロパン、3-アミノ-1-シクロヘキシルアミノプロパン、3-アミノ-1-メチルアミノブタン、エタノールアミン、3-アミノプロパノールまたはネオペンタノールアミンなどの第1級/第2級アミンである。
【0075】
また、適した単官能化合物は、エタノール、n-ブタノール、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノブチルエーテル、トリプロピレングリコールモノブチルエーテル、2-エチルヘキサノール、1-オクタノール、1-ドデカノール、1-ヘキサデカノールである。
【0076】
好ましい実施形態では、本発明に従って使用されるポリウレタン尿素は、各場合において、ポリウレタン尿素の総質量に基づいて、≧0.1重量%かつ≦20重量%の成分G)、より好ましくは≧0.3重量%かつ≦10重量%の成分G)を使用して調製される。
【0077】
本発明の特に好ましい実施形態では、成分H)が使用され、成分G)対成分H)のモル比は、好ましくは5:1~1:5、より好ましくは1.5:1~1:4、最も好ましくは1:1~1:3である。
【0078】
好ましい実施形態では、本発明に従って使用されるポリウレタン尿素は、成分A)~H)を以下の量で使用して調製され、ここで、個々の量は、常に合計100重量%になる:
5重量%~40重量%の成分A)、
55重量%~90重量%の成分B)および任意選択でF)の合計、
0.5重量%~20重量%の成分C1)および任意選択でE)の合計、
0.1重量%~10重量%の成分C2)、
0重量%~20重量%の成分D)、
0.1重量%~20重量%の成分G)および
0重量%~10重量%の成分H)。
【0079】
特に好ましい実施形態では、本発明に従って使用されるポリウレタン尿素は、成分A)~H)を以下の量で使用して調製され、ここで、個々の量は、常に合計100重量%になる:
10重量%~35重量%の成分A)、
60重量%~85重量%の成分B)および任意選択でF)の合計、
1重量%~15重量%の成分C1)および任意選択でE)の合計、
0.5重量%~4重量%の成分C2)、
0重量%~10重量%の成分D)、
0.3重量%~10重量%の成分G)および
0.1重量%~3重量%の成分H)。
【0080】
本発明の好ましい実施形態では、コンタクト接着剤製品は、少なくとも
A)HDI、IPDIおよび/もしくはH12-MDIまたはその修飾生成物から選択される、≧1.8かつ≦2.6の平均イソシアネート官能価を有する1つの脂肪族ポリイソシアネート成分、
B)(HO-(CH-CH-CH-CH-O)-H)などの)ポリ(テトラメチレングリコール)ポリエーテルポリオールからなる1つの高分子ポリエーテルポリオール成分、
C)イオン基もイオノゲン基も有さない少なくとも1つのアミノ官能性化合物C1)および/またはイオン基もしくはイオノゲン基を有するアミノ官能性化合物C2)を含有する、少なくとも2つのイソシアネート反応性第1級および/または第2級アミノ基を有する1つのアミノ官能性連鎖延長剤成分、
D)任意選択で、C2)とは異なるさらなる親水化成分、
E)任意選択で、62~399mol/gの分子量を有するヒドロキシ官能性化合物、
F)任意選択で、B)とは異なるさらなる高分子ポリオール、
G)正確に1つのイソシアネート反応性基を有する1つの化合物または2つ以上のイソシアネート反応性基を有する1つの化合物、ここで、イソシアネート反応性基の1つのみが選択された反応条件下で反応混合物中に存在するイソシアネート基と反応する、
H)任意選択で、>2.6かつ≦4の平均イソシアネート官能価を有する1つの脂肪族ポリイソシアネート成分、
ここで、成分H)は、イソシアヌレート、ウレタン、アロファネート、ビウレット、イミノオキサジアジンジオンまたはオキサジアジントリオン構造を有する脂肪族または脂環式ポリイソシアネートオリゴマーからなる、
の反応によって入手可能なポリウレタン尿素であって、
成分B)およびF)が一緒になって、成分B)およびF)の総質量に基づいて≦30重量%の成分F)を含有する、ポリウレタン尿素を含む。
【0081】
本発明の特に好ましい実施形態では、コンタクト接着剤製品は、少なくとも
A)IPDIとHDIとの混合物である1つの脂肪族ポリイソシアネート成分、
B)少なくとも2つのポリ(テトラメチレングリコール)ポリエーテルポリオールの混合物である1つの高分子ポリエーテルポリオール成分、ここで、
ポリ(テトラメチレングリコール)ポリエーテルポリオールは、それらの数平均分子量が異なる、
C)イオン基もイオノゲン基も有さない少なくとも1つのアミノ官能性化合物C1)および/またはイオン基もしくはイオノゲン基を有するアミノ官能性化合物C2)を含有する、2つのイソシアネート反応性第1級および/または第2級アミノ基を有する1つのアミノ官能性連鎖延長剤成分、
D)任意選択でさらに、非イオン性親水化成分D1)である、C2)とは異なる親水化成分、
E)任意選択で、62~399mol/gの分子量を有するヒドロキシ官能性化合物、
F)任意選択で、B)とは異なるさらなる高分子ポリオール、
G)正確に1つのイソシアネート反応性基を有する1つの化合物または2つ以上のイソシアネート反応性基を有する1つの化合物、ここで、イソシアネート反応性基の1つのみが選択された反応条件下で反応混合物中に存在するイソシアネート基と反応し、イソシアネート反応性基が、第1級および/または第2級アミノおよび/またはヒドロキシル基である、
H)任意選択で、>2.6かつ≦4の平均イソシアネート官能価を有する1つの脂肪族ポリイソシアネート成分、ここで、成分H)は、HDI、IPDIおよび/またはH12-MDIに基づいて、イソシアヌレート、ウレタン、アロファネート、ビウレット、イミノオキサジアジンジオンまたはオキサジアジントリオン構造を有する脂肪族または脂環式ポリイソシアネートオリゴマーからなる、
の反応によって入手可能なポリウレタン尿素であって、
成分B)およびF)が一緒になって、成分B)およびF)の総質量に基づいて≦30重量%の成分F)を含有する、ポリウレタン尿素を含む。
【0082】
最も好ましくは、本発明に従って使用されるポリウレタン尿素は、成分A)~H)を排他的に反応させることによって入手可能である。その場合、ポリウレタン尿素の調製のために、さらなる成分は使用されない。
【0083】
本発明に従って好ましく使用されるポリウレタン尿素の数平均分子量は、好ましくは≧2000~≦300000g/mol、より好ましくは≧5000~≦150000g/molである。
【0084】
本発明に従って使用されるポリウレタン尿素は、好ましくは非晶質であり、≦-25℃、より好ましくは≦-50℃、最も好ましくは≦-70℃のTgを有する。
【0085】
本発明の文脈における「非晶質」は、以下に詳述される試験方法において特定された温度範囲内で、ポリウレタン尿素が、たとえあったにしてもそのような軽微な結晶成分のみを形成することを意味し、記載されたDSC測定を用いて、1つ以上のガラス転移点Tのみを見出すことが可能であるが、言及された温度範囲内で≧20J/gの融解エンタルピーを有する融解領域は見出されない。
【0086】
ガラス転移温度Tは、本発明の文脈で、20K/分の加熱速度での-100℃~+150℃の加熱操作、それに続く320K/分の冷却速度での冷却からなる3回の直接連続ランを行い、第3の加熱曲線を使用して値を決定し、Tをガラス転移ステップの半分の高さでの温度として決定することによって、Tの決定のためにインジウムおよび鉛で較正されたDSC装置を使用して、DIN EN 61006、Method Aに従って動的示差熱量測定を用いて決定される。
【0087】
ポリウレタン尿素が分散液の形であるべきである場合、DSC測定のための試料調製において特別な手順に従う。DSCを用いた分散液のガラス転移温度Tの決定において、ポリマーのTは、分散剤(水、中和剤、乳化剤、共溶媒など)の熱効果によってマスクされ得る、またはポリマーとの混和性のために明確に下げられ得る。したがって、分散剤の少ない残留量でさえも可塑剤として作用し、結果としてガラス転移温度を低下させ得るので、DSC測定前に、分散剤は、適した乾燥によって完全に最初に除去されることが好ましい。したがって、分散液は、好ましくは、ウェットフィルム厚さ(WFT)100μmでガラス板上にナイフコーティングされ、フラッシュオフされ、次いでRTおよび0%相対湿度(rh)で2日間ドライボックス中で穏やかに乾燥される。この試料調製後、DSC測定の第1の加熱操作において、フィルム中の残留水分の広い吸熱蒸発範囲が依然として生じ得る。特定の値をできる限りそのような影響なく保つために、第3の加熱曲線が評価される。
【0088】
製品の作製のために本発明に従って使用されるポリウレタン尿素は、好ましくは生理学的に許容される媒体中にある。媒体は、より好ましくは水であり、ポリウレタン尿素は、最も好ましくは水性分散液の形である。一般に、存在してもよい他の液体媒体、例えば溶媒と並んで、水は、液体分散媒の総量に基づいて、分散媒の主成分(>50重量%)、場合により、唯一の液体分散媒を一般に形成する。
【0089】
本発明の製品それ自体は、ポリウレタン尿素自体を含有し、ポリウレタン尿素は、たとえあったにしても、この媒体の残留量のみを含有する。
【0090】
したがって、好ましくは、使用されるポリウレタン尿素は、水に分散可能であり、これは、本発明の文脈において、23℃のポリウレタン尿素が水、特に脱イオン水中に沈降安定性分散液を形成し得ることを意味する。
【0091】
本発明に従って使用されるポリウレタン尿素は、成分A)、B)、ならびに任意選択でD)および/またはC2)、ならびに任意選択で化合物E)および/またはH)からイソシアネート官能性ポリウレタンプレポリマーa)を調製すること(ステップa)によって好ましくは入手可能であり、次いで、その遊離NCO基が、アミノ官能性連鎖延長剤成分C)およびさらに成分G)ならびに任意選択で成分D)およびH)と全体的にまたは部分的に反応させられる(ステップb)。
【0092】
しかし、成分H)がステップb)まで使用されない場合、成分H)は、成分C)の添加前に好ましくは添加され、プレポリマーa)と反応させられる。
【0093】
本発明の好ましい実施形態では、ステップb)において、連鎖延長を有するジアミンまたは複数のジアミン(成分C)で、また、分子量を制御するための連鎖停止剤としての単官能成分G)の添加で反応が行われる。
【0094】
成分A)~H)は、ここで上記のように定義される。上記の好ましい実施形態も適用可能である。
【0095】
好ましくは、ステップb)において、ポリウレタン尿素の調製のためのプレポリマーa)、成分C1)、C2)およびG)の混合物が反応させられる。成分C1)の使用は、プロセシングの障壁となる程度まで予め調製されたイソシアネート官能性プレポリマーの粘度を上昇させることなく、高いモル質量の形成をもたらし得る。成分C1)、C2)およびG)の組合せの使用により、親水性と鎖長との最適なバランスが確立され得る。
【0096】
好ましくは、本発明に従って使用されるポリウレタンプレポリマーa)は、末端イソシアネート基を有し、これは、イソシアネート基がプレポリマーの鎖末端にあることを意味する。より好ましくは、プレポリマーの全ての鎖末端は、イソシアネート基を有する。
【0097】
親水化成分C2)および/またはD)は、プレポリマーの親水性を制御するために使用され得る。加えて、当然、さらなる成分もプレポリマーの親水性、また特に成分B)の親水性に関して重要である。
【0098】
好ましくは、イソシアネート官能性ポリウレタンプレポリマーa)は、水不溶性かつ非水分散性である。
【0099】
本発明の文脈では、「水不溶性、非水分散性ポリウレタンプレポリマー」という用語は、より具体的には、本発明に従って使用されるプレポリマーの23℃での水溶性が10g/リットル未満、好ましくは5g/リットル未満であり、23℃のプレポリマーが、水、特に、脱イオン水中で沈降安定性分散液をもたらさないことを意味する。言い換えれば、プレポリマーは、水中に分散しようとすると沈降する。水不溶性または水中での分散性の欠如は、界面活性剤の添加がない脱イオン水に関する。
【0100】
さらに、本発明に従って使用されるポリウレタンプレポリマーA)は、好ましくは、本質的に、イオン基もイオノゲン基(イオン基を形成する能力がある基)も有さない。本発明の文脈では、これは、特に、カルボキシレートまたはサルフェートなどのアニオン基、またはカチオン基などのイオン基および/またはイオノゲン基の比率が100gのポリウレタンプレポリマーa1)あたり15ミリグラム当量未満、好ましくは5ミリグラム当量未満、より好ましくは1ミリグラム当量未満、最も好ましくは100gのポリウレタンプレポリマーa)あたり0.1ミリグラム当量未満であることを意味する。
【0101】
酸性イオン基および/またはイオノゲン基の場合、プレポリマーの酸価は、適切にはプレポリマー1gあたり30mg KOH未満、好ましくはプレポリマー1gあたり10mg KOH未満である。酸価は、試験される1gの試料を中和するのに必要なミリグラムでの水酸化カリウムの質量を示す(DIN EN ISO 211に従った測定)。中和された酸、すなわち対応する塩は、当然ゼロまたは減少した酸価を有する。ここで本発明に従って重大なことは、対応する遊離酸の酸価である。
【0102】
ここで、水不溶性、非水分散性イソシアネート官能性ポリウレタンプレポリマーa)は、好ましくは、成分A)、B)ならびに任意選択でD)、E)および/またはH)から排他的に入手可能である。
【0103】
成分は、ここで、上記のように定義される。上記の好ましい実施形態も適用可能である。
【0104】
したがって、本実施形態では、プレポリマーa)の調製のためにイオン性親水化成分C2)もD2)も使用しないことが好ましい。成分G)もまた、このステップで添加されない。親水化剤D1)は、プレポリマーがそれにもかかわらず水不溶性かつ非水分散性であるような量で好ましくは使用される。より好ましくは、各場合において、ポリウレタン尿素の総質量に基づいて、≦10重量%の成分D1)、さらにより好ましくは≦5重量%、さらに好ましくは≦2重量%の成分D1)が使用される。さらに好ましくは、成分D1)は、プレポリマーa)の調製に使用されない。
【0105】
本発明の本実施形態に関して、成分B)は、イオン基もイオノゲン基も有さない。さらに、本発明の本実施形態では、成分B)として、ポリエーテルポリオールのみ、特に、存在する全てのアルキレンオキシド単位に基づいて≦10モル%のエチレンオキシド単位を含有し、好ましくは、エチレンオキシド単位を含有しないポリアルキレンオキシドエーテルを使用することが好ましい。
【0106】
したがって、本発明の本実施形態において好ましく使用されるポリウレタン尿素は、イオン基またはイオノゲン基、好ましくはアニオン基を有し、これらのアニオン基は、ステップb)で使用される親水化成分C2)を通して本発明に従って使用されるポリウレタン尿素に導入される。本発明に従って使用されるポリウレタン尿素は、任意選択で、親水化のための非イオン成分をさらに含む。
【0107】
より好ましくは、本発明に従って使用されるポリウレタン尿素は、親水化のために成分C2)としての対応するジアミンを通してステップb)においてポリウレタン尿素に導入されるスルホネート基を排他的に含有する。
【0108】
本発明の代替的、あまり好ましくない実施形態では、本発明のポリウレタン尿素の調製に使用されるプレポリマーa)は、水溶性または水分散性である。本実施形態において、親水化成分D)および/またはC2)は、プレポリマーが水溶性または水分散性であるのに十分な量でプレポリマーa)の調製において使用される。ここで、プレポリマーa)は、好ましくは、イオン基またはイオノゲン基を有する。
【0109】
本発明の本実施形態に関する適した親水化成分D)およびC2)は、D)およびC2)に関する上記の化合物である。使用される親水化成分は、好ましくは、少なくともD1)および/またはC2)の下で上記の化合物である。
【0110】
本発明の製品の調製に使用されるポリウレタン尿素は、好ましくは、ステップb)の前、最中または後に、より好ましくはステップb)の最中または後に水に分散される。このようにして、ポリウレタン尿素の分散液が得られる。
【0111】
ポリウレタン尿素分散液の作製は、ここで、部分的に分散相で、均一系反応でまたは多段階反応で1つ以上の段階で行われ得る。プレポリマーa)の調製に続いて、好ましくは、分散、乳化または溶解ステップが行われる。これに続いて、分散相におけるさらなる重付加または修飾が行われてもよい。この場合、各場合における対応するプレポリマーに適した溶媒または分散剤、例えば、水またはアセトンまたはそれらの混合物が選択される。
【0112】
ここで、従来技術から既知の任意の方法、例えば、プレポリマー混合法、アセトン法または溶融分散法を使用することが可能である。アセトン法を用いることが好ましい。
【0113】
アセトン法による調製に関して、イソシアネート官能性ポリウレタンプレポリマーの作製のために、任意選択で成分H)と組み合わせて、構成要素B)、任意選択でD)およびE)、ならびにポリイソシアネート成分A)を全体的または部分的に最初に投入し、任意選択で、水混和性であるがイソシアネート基に対して不活性である溶媒でそれらを希釈し、それらを50~120℃の範囲の温度に加熱することが通例である。イソシアネート付加反応は、ポリウレタン化学において既知の触媒を使用して促進され得る。
【0114】
適した溶媒は、アセトン、2-ブタノンなどの通例の脂肪族ケト官能性溶媒であり、これらは、調製の開始時だけでなく、任意選択で、後の段階で小分けして添加され得る。アセトンおよび2-ブタノンが好ましく、特にアセトンが好ましい。イソシアネート反応性基を有さない他の溶媒の添加も可能であるが、望ましくない。
【0115】
続いて、反応の開始時にまだ添加されていないA)、B)ならびに任意選択でH)、D)およびE)の任意の構成要素が計量供給され得る。
【0116】
A)、B)ならびに任意選択でH)、D)およびE)からのポリウレタンプレポリマーの調製において、イソシアネート基対イソシアネート反応性基のモル比は、好ましくは1.05対3.5、より好ましくは1.1対3.0、最も好ましくは1.1対2.5である。
【0117】
成分A)、B)ならびに任意選択でH)、D)およびE)のプレポリマーへの変換は、部分的または完全に、しかし好ましくは完全に行われ得る。このようにして、遊離イソシアネート基を含有するポリウレタンプレポリマーは、純粋な形または溶液で得られ得る。
【0118】
イオノゲン基、例えばカルボキシル基がプレポリマー中に存在すべきである場合、これらはさらなるステップで中和によってイオン基に変換され得る。
【0119】
中和ステップにおいて、潜在的アニオン基のアニオン基への部分的または完全な変換のために、第3級アミン、例えば各アルキルラジカル中に1~12、好ましくは1~6の炭素原子、より好ましくは2~3の炭素原子を有するトリアルキルアミンなどの塩基、最も好ましくは対応する水酸化物などのアルカリ金属塩基を使用することが可能である。
【0120】
使用可能な中和剤は、好ましくはアンモニア水溶液または水酸化ナトリウムまたは水酸化カリウムなどの無機塩基であり、水酸化ナトリウムおよび水酸化カリウムが特に好ましい。
【0121】
塩基のモル量は、中和される酸性基のモル量の好ましくは50~125モル%、より好ましくは70~100モル%である。分散水がすでに中和剤を含有しているので、中和は分散と同時にも行われ得る。
【0122】
中和後、さらなるプロセスステップにおいて、仮にあったとしても、これが部分的にのみ行われた場合、得られるプレポリマーは、アセトンまたは2-ブタノンなどの脂肪族ケトンの助けにより溶解される。
【0123】
段階b)における連鎖延長/停止において、成分C)、G)および任意選択でD)は、プレポリマー中にまだ残っているイソシアネート基と反応される。水への分散前に連鎖延長/停止を行うことが好ましい。
【0124】
連鎖延長のための適した成分C)および連鎖停止のためのG)は、すでに上に列挙されている。上記の好ましい実施形態も同様に適用可能である。
【0125】
NH基またはNH基を有する定義C2)に従うアニオン親水化剤が連鎖延長に使用される場合、ステップb)におけるプレポリマーの連鎖延長は、好ましくは水への分散前に行われる。
【0126】
プレポリマー中の遊離NCO基に対する連鎖延長および連鎖停止に使用される化合物中のNCO反応性基の当量比は、一般に40%~150%、好ましくは50%~110%、より好ましくは60%~100%である。
【0127】
成分C1)、C2)およびG)は、本発明のプロセスにおいて個々にまたは混合物で水または溶媒で希釈された形で使用されてもよく、原則として添加の任意の順序が可能である。
【0128】
ステップb)において水または有機溶媒が希釈剤として含まれる場合、使用される成分C1)、C2)およびG)中のそれぞれの希釈剤含量は、好ましくは40~95重量%である。
【0129】
分散は、好ましくは、連鎖延長および連鎖停止の後に行われる。この目的のために、(例えばアセトン中に)溶解され、アミンと反応させられたポリウレタンポリマーは、任意選択で高せん断、例えば激しい撹拌下で分散水に導入されるか、または逆に、分散水が連鎖延長されたポリウレタンポリマー溶液中に撹拌される。好ましくは、水が、溶解されたポリウレタンポリマーに添加される。
【0130】
分散ステップ後に分散液中になお存在する溶媒は、その後典型的に蒸留によって除去される。分散中でさえも除去が同様に可能である。
【0131】
得られる水性ポリウレタン尿素分散液は、水性ポリウレタン尿素分散液に基づいて、10重量%未満、より好ましくは3重量%未満、さらにより好ましくは1重量%未満の揮発性有機化合物(VOC)、例えば揮発性有機溶媒の含有量を好ましくは有する。本発明の文脈におけるVOCは、特に、101.3kPaの標準圧力で最大250℃の初留点を有する有機化合物である。
【0132】
本発明の文脈では、揮発性有機化合物(VOC)の含有量は、ガスクロマトグラフィー分析によって特に決定される。
【0133】
ポリウレタン尿素は、好ましくは水性分散液としての製品の調製に使用される。
【0134】
本発明に従って使用される水性ポリウレタン分散液のpHは、典型的に9.0未満、好ましくは8.5未満、より好ましくは5.5~8.0である。
【0135】
良好な沈降安定性を達成するために、脱イオン水での希釈後にレーザー相関分光法(装置Malvern Zetasizer 1000、Malvern Inst.Limited)を用いて決定される特定のポリウレタン尿素分散液の数平均粒径は、好ましくは750nm未満、より好ましくは500nm未満である。
【0136】
ポリウレタン尿素分散液の固形分は、好ましくは10~70重量%、より好ましくは20~60重量%、最も好ましくは40~60重量%である。固形分は、秤量された試料を恒量まで125℃に加熱することによって確認される。恒量で、固形分は、試料を再び秤量することによって計算される。
【0137】
好ましくは、これらのポリウレタン尿素分散液は、分散液の質量に基づいて、5重量%未満、より好ましくは0.2重量%未満の非結合有機アミンを含む。
【0138】
本発明の製品の作製に使用されるポリウレタン尿素分散液は、23℃、10s-1の一定せん断速度で、好ましくは≧1かつ≦10000mPa・s、より好ましくは≧10かつ≦5000mPa・s、最も好ましくは≧100かつ≦4000mPa・sの粘度を有する。粘度は、Methodsの項に記載されているように決定される。
【0139】
加えて、本発明によるコンタクト接着剤製品は、基材を含む。
【0140】
使用される基材は、典型的には、十分な弾性および適した機械的特性を有する適したテキスタイルである。
【0141】
適した基材は、好ましくはテキスタイル織物である。本発明に従って使用されるポリウレタン尿素の基材として、非平滑な表面を有する繊維性材料が特に好ましい。本発明の本文脈におけるテキスタイル織物は、例えば、織られた織物、ループ形成編物、編組織物、ループレイド織物、ループ引張編物、ならびに結合および非結合不織布を含む。編組織物、特に縦糸および横糸からなるもの、ループ形成編物、特にクレープニットまたは不織布が好ましい。
【0142】
テキスタイル織物は、合成もしくは天然繊維および/またはその混合物から形成され得る。天然繊維の例は、セルロース、綿、リネンおよびその化学修飾繊維である。合成繊維の例は、ポリアミド、ポリエステルなどである。 原則的に、任意の繊維から作られたテキスタイルが本発明のプロセスに適している。異なる繊維の混合物も適している。少ない比率、特に1~10重量%の弾性繊維の使用が特に好ましく、ここで、エラステインの使用が特に非常に好ましい。本発明に従って使用されるポリウレタン尿素を用いて、好ましくは互いに繊維をまたは互いに基材をコーティングまたは結合することによって、基材を全ての通例の方法で処理またはグレードアップすることが可能である。
【0143】
使用される基材は、好ましくは、合成繊維、セルロースまたは綿で作られた製品または不織布である。1重量%~10重量%の合成ポリマー(例えば、エラステインまたはスパンデックス)の高弾性繊維の比率を含む、綿または好ましくはセルロース繊維を有するポリエステルもしくはポリアミドまたはその混合物に基づく不織布、クレープニットまたは編組布を使用することが特に好ましい。
【0144】
好ましくは、これらの織物は、20~600gsm(グラム/m)、より好ましくは25~300gsm、最も好ましくは28~80gsmの坪量を有する。
【0145】
基材は、連続テープ、包帯またはロールの形で好ましくは使用される。使用される基材は、好ましくは、DIN53835 Part 2(一定の伸張限界(全伸張)間の引張荷重の繰返し適用によるテキスタイルの弾性挙動の決定)に従って決定される30%~500%、より好ましくは60%~250%、最も好ましくは120%~200%のストレッチ範囲を有する弾性テープである。加えて、基材は、好ましくは、引張ストリップ試験を用いてDINEN ISO 13934-1に従って決定される、100~500N、好ましくは120~350Nの最大引張力を有する。
【0146】
120%~200%のストレッチ範囲および120~350Nの最大引張力を有するロングストレッチ包帯が特に非常に好ましい。使用される基材は、好ましくは、雑な、粗い、不完全に閉じた表面を有する。これは、ストレッチされていない状態の通気性によって定義され得る。>200l/m sの通気性が好ましく、より好ましくは≧1000l/m s、最も好ましくは≧3000l/m sの通気性が好ましい。基材の通気性は、ここでDIN EN ISO 9237に従って決定される。
【0147】
本発明の好ましい実施形態では、ポリウレタン尿素は、表面の基材の少なくとも1つの面を覆い、より好ましくは、ポリウレタン尿素は、表面の基材の2つの対向する面(表側および裏側)を覆う。最も好ましくは、ポリウレタン尿素は、表面を均一に覆う。
【0148】
ここで、基材に全領域および厚さにわたってポリウレタン尿素を含浸させることが可能であるが、コーティングは、好ましくは基材の表面に残り、その内部(バルク)または繊維自体に完全に浸透しない。
【0149】
本発明のコンタクト接着剤製品は、好ましくは、人体に使用される製品である。より好ましくは、コンタクト接着剤製品は、骨損傷、関節損傷または筋肉損傷の治療と予防の両方のため、または皮膚もしくは皮膚損傷の保護および被覆のために、特に、スポーツ医学、外傷手術または整形外科などの医療分野において使用される。さらに好ましい使用は、圧迫治療および非付着性創傷ドレッシング剤(二次ドレッシング剤として)の固定のための包帯である。
【0150】
本発明によれば、コンタクト接着剤製品は、好ましくは、硬膏剤、ドレッシング剤、テープ剤もしくは包帯、またはこれらの最終製品の少なくとも構成要素である。
【0151】
テープ剤は、本発明の文脈において、骨損傷、関節損傷または筋肉損傷の治療と予防の両方のために医療分野で使用される、特に、硬膏剤接着ドレッシング剤を意味すると理解される。
【0152】
本発明はさらに、本発明のコンタクト接着剤製品を作製するためのプロセスであって、
I)ポリウレタン尿素を水性ポリウレタン尿素分散液の形で基材に適用するステップと、
II)処理された基材を≧20℃かつ≦200℃の温度で熱乾燥するステップと、
を含むプロセスを提供する。
【0153】
ポリウレタン尿素分散液の形におけるステップIにおけるポリウレタン尿素の適用のために、それは、好ましくは混合剤とブレンドされ、特に好ましくは気泡のない形である。形成された組成物は、以下でポリウレタン尿素組成物と称される。コンタクト接着剤製品の作製のために、水性分散液の形のポリウレタン尿素と、さらに混合剤とを含むポリウレタン尿素組成物を使用することが好ましい。
【0154】
当然、所望の適用厚さを達成するために、ポリウレタン尿素分散液の粘度を、希釈または増粘または両方の方法の組合せによって必要な状況に調整することが可能である。ここで、増粘剤を混合剤として使用することが可能である。典型的な増粘剤は、従来技術から知られているように可溶性ポリアクリレートまたはポリウレタンに基づくポリマーである。ポリウレタンポリマーに基づく増粘剤が好ましい。ポリウレタン尿素分散液は、標準的な溶媒を使用して希釈され得るが、水が好ましい。
【0155】
さらに、使用される混合剤は、製品の粘着性を調整するために粘着付与剤とすることができる。使用される粘着付与剤は、従来技術において既知の混合剤とすることができる。その例は、好ましくは性質的に脂肪族である、水混和性の単官能、二官能および多官能ヒドロキシル化合物、例えば、グリセロール、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジ、トリおよびテトラエチレングリコール、TMP、より好ましくは、グリセロールおよびトリエチレングリコール、短鎖ポリエチレンオキシド、例えば、PEG200、PEG300、PEG400、ロジンエステル、スチレンおよびアクリル酸エステルもしくはフェノールエーテルに基づくコポリマー、または上記化合物の混合物である。
【0156】
また、表面粘着性を調節することが有利であり得、これは、混合剤としての充填剤の添加によって、ロール上の包帯の遮断につながり得る。これらは、シリカゲル、ケイ酸塩、タルク、マグネシア、方解石、尿素および誘導体または他の粉状固体、特に、ポリウレタン尿素分散液中に均一に取り込まれ得るものとすることができる。さらに、遮断に対抗するための液体添加剤、例えば油に基づく系、好ましくはシリコーン含有系を使用することも可能である。
【0157】
典型的なさらなる適した混合剤は、表面添加剤、例えば湿潤助剤、染料および/またはレベリング助剤である。ポリウレタン尿素組成物は、それぞれの使用に関して当業者に既知の全てのさらなる混合剤も含有し得る。
【0158】
ステップI)における基材への適用は、一般に、全ての既知の適用技術によって、特に、コーティングバー、浸漬バス、スキージー(またはロールミル)、印刷またはスプレー適用を用いて行われ得、浸漬、スプレー適用およびスキージングが好ましく、スプレー適用およびスキージングが特に好ましい。
【0159】
スキージングによる適用の場合、ポリウレタン尿素組成物は、好ましくは、ロールに適用され、その分離および接触圧は、所望の層の厚さの達成に関して最適化されている。次いで、テキスタイル基材は、所望の程度までのテキスタイルへのポリウレタン尿素組成物の適用で、ロールを通して導かれ得る。したがって、コーティングは、好ましくは両側で行われる。適用が1~2つのスキージーロールで行われ得る場合、より好ましくは単回通過であることが特に好ましい。
【0160】
コーティングバー適用に関して、基材は、予めクランプ装置内に固定され得、次いで、その前に分散液を有するコーティングバーが手で、または自動的に基板にわったって導かれ得、分散液がそこに均一に分配され得る。同様に、コーティングは、コーティングバーを有する典型的なロールtoロールコーティングシステムを通して行われ得、ここで、基材は、連続的にコーティングされる。
【0161】
スプレー適用の場合には、基材は、好ましくはフレームにクランプされ、スプレーガンから片面または両面に分散液がスプレーされる。適用は、手動でまたは連続ロールtoロールスプレーシステムを用いて、1回以上のクロスコーティング操作で行われ得る。
【0162】
浸漬法では、基材は、好ましくはポリウレタン尿素組成物を含有する分散バスを通り抜け、それによって、それとともに湿潤される。バス中の滞留時間、ポリウレタン尿素組成物の濃度(または固形分)およびその粘度は、適用される層の厚さを制御するために使用され得る。除去ロールまたは一対のスキージーロールが、過剰のポリウレタン尿素組成物を除去するために使用され得る。ここで、1回のランでの両面コーティングが好ましい。
【0163】
基材へのポリウレタン尿素組成物の適用後、好ましくは上記の方法の1つによって、コーティングは、ステップII)において乾燥させられる。乾燥は、20℃~200℃、好ましくは40℃~150℃、より好ましくは60℃~120℃の温度での熱乾燥によって行われる。熱乾燥は、IRまたはマイクロ波乾燥によって置き換えられ得るまたは補助され得る。
【0164】
好ましくは、基材へのポリウレタン尿素組成物の適用において、基材の少なくとも1つの面が表面コーティングされ、より好ましくは、基板の2つの対向する面(表面および裏面)が表面コーティングされる。最も好ましくは、ポリウレタン尿素組成物でのコーティングは、均一に行われる。
【0165】
ポリ尿素組成物での基材の含浸は、全領域および厚さにわたって可能である。しかしながら、好ましくは、ポリウレタン尿素組成物は、基材の表面に残り、その内部領域(バルク)または繊維自体に完全に浸透しない。
【0166】
本発明は、少なくとも
A)≧1.8かつ≦2.6の平均イソシアネート官能価を有する1つの脂肪族ポリイソシアネート成分、
B)1つの高分子ポリエーテルポリオール成分、
C)イオン基もイオノゲン基も有さない少なくとも1つのアミノ官能性化合物C1)および/またはイオン基もしくはイオノゲン基を有するアミノ官能性化合物C2)を含有する、少なくとも2つのイソシアネート反応性アミノ基を有する1つのアミノ官能性連鎖延長剤成分、
D)任意選択で、C2)とは異なるさらなる親水化成分、
E)任意選択で、62~399mol/gの分子量を有するヒドロキシ官能性化合物、
F)任意選択で、B)とは異なるさらなる高分子ポリオール、
G)正確に1つのイソシアネート反応性基を有する1つの化合物または2つ以上のイソシアネート反応性基を有する1つの化合物、ここで、イソシアネート反応性基の1つのみが選択された反応条件下で反応混合物中に存在するイソシアネート基と反応する、
H)>2.6かつ≦4の平均イソシアネート官能価を有する1つの脂肪族ポリイソシアネート成分
を反応させることによって入手可能なポリウレタン尿素であって、
成分B)およびF)が一緒になって、成分B)およびF)の総質量に基づいて≦30重量%の成分F)を含有し、成分G)およびH)が5:1~1:5の相対モル比で存在する、ポリウレタン尿素
をさらに提供する。
【0167】
本発明の好ましい実施形態において、成分G)対成分H)のモル比は、5:1~1:5、より好ましくは1.5:1~1:4、最も好ましくは1:1~1:3である。
【0168】
成分A)~H)に関して、本発明の製品中に存在するポリウレタン尿素に関する上記の定義および好ましい実施形態は、同様に適用可能である。
【0169】
特に好ましくは、成分A)は、イソホロンジイソシアネートおよび/またはヘキサメチレンジイソシアネートである。
【0170】
同様に、特に好ましくは、成分B)は、(HO-(CH-CH-CH-CH-O)-H)などの)ポリ(テトラメチレングリコール)ポリエーテルポリオールを含有するまたはこれからなる。
【0171】
最も好ましくは、成分B)は、ポリ(テトラメチレングリコール)ポリエーテルポリオールの混合物を含有するまたはこれからなり、ここで、ポリ(テトラメチレングリコール)ポリエーテルポリオールは、それらの数平均分子量が異なる。
【0172】
同様に、特に好ましくは、成分C)は、イオン基もイオノゲン基も有さない少なくとも1つのアミノ官能性化合物C1)および含有するイオン基またはイオノゲン基を有するアミノ官能性化合物C2)である。
【0173】
同様に、特に好ましくは、成分D)は、非イオン性親水化成分を含む。
【0174】
本発明の特に有利な実施形態は、特に好ましいとして上で述べられた特性の組合せからももたらされる。
【0175】
好ましい実施形態では、本発明に従って使用されるポリウレタン尿素は、成分A)~H)を以下の量で使用して調製され、ここで、個々の量は、常に合計100重量%になる:
5重量%~40重量%の成分A)、
55重量%~90重量%の成分B)および任意選択でF)の合計、
0.5重量%~20重量%の成分C1)および任意選択でE)の合計、
0.1重量%~10重量%の成分C2)、
0重量%~20重量%の成分D)、
0.1重量%~20重量%の成分G)および
0重量%~10重量%の成分H)。
【0176】
さらに好ましい実施形態では、本発明に従って使用されるポリウレタン尿素は、成分A)~H)を以下の量で使用して調製され、ここで、個々の量は、常に合計100重量%になる:
10重量%~35重量%の成分A)、
60重量%~85重量%の成分B)および任意選択でF)の合計、
1重量%~15重量%の成分C1)および任意選択でE)の合計、
0.5重量%~4重量%の成分C2)、
0重量%~10重量%の成分D)、
0.3重量%~10重量%の成分G)および
0.1重量%~3重量%の成分H)。
【0177】
本発明のさらに好ましい実施形態では、コンタクト接着剤製品は、少なくとも
A)HDI、IPDIおよび/もしくはH12-MDIまたはその修飾生成物から選択される、≧1.8かつ≦2.6の平均イソシアネート官能価を有する1つの脂肪族ポリイソシアネート成分、
B)好ましくは(HO-(CH-CH-CH-CH-O)-H)などの)ポリ(テトラメチレングリコール)ポリエーテルポリオールからなる1つの高分子ポリエーテルポリオール成分、
C)イオン基もイオノゲン基も有さない少なくとも1つのアミノ官能性化合物C1)および/またはイオン基もしくはイオノゲン基を有するアミノ官能性化合物C2)を含有する、少なくとも2つのイソシアネート反応性第1級および/または第2級アミノ基を有する1つのアミノ官能性連鎖延長剤成分、
D)任意選択で、C2)とは異なるさらなる親水化成分、
E)任意選択で、62~399mol/gの分子量を有するヒドロキシ官能性化合物、
F)任意選択で、B)とは異なるさらなる高分子ポリオール、
G)正確に1つのイソシアネート反応性基を有する1つの化合物または2つ以上のイソシアネート反応性基を有する1つの化合物、ここで、イソシアネート反応性基の1つのみが選択された反応条件下で反応混合物中に存在するイソシアネート基と反応する、
H)任意選択で、>2.6かつ≦4の平均イソシアネート官能価を有する1つの脂肪族ポリイソシアネート成分、
ここで、成分H)は、イソシアヌレート、ウレタン、アロファネート、ビウレット、イミノオキサジアジンジオンまたはオキサジアジントリオン構造を有する脂肪族または脂環式ポリイソシアネートオリゴマーからなる、
の反応によって入手可能なポリウレタン尿素であって、
成分B)およびF)が一緒になって、成分B)およびF)の総質量に基づいて≦30重量%の成分F)を含有し、成分G)およびH)が1.5:1~1:4の相対モル比で存在する、
ポリウレタン尿素を含む。
【0178】
本発明の特に好ましい実施形態では、コンタクト接着剤製品は、少なくとも
A)IPDIとHDIとの混合物である1つの脂肪族ポリイソシアネート成分、
B)少なくとも2つのポリ(テトラメチレングリコール)ポリエーテルポリオールの混合物である1つの高分子ポリエーテルポリオール成分、ここで、
ポリ(テトラメチレングリコール)ポリエーテルポリオールは、それらの数平均分子量が異なる、
C)イオン基もイオノゲン基も有さない少なくとも1つのアミノ官能性化合物C1)および/またはイオン基もしくはイオノゲン基を有するアミノ官能性化合物C2)を含有する、2つのイソシアネート反応性第1級および/または第2級アミノ基を有する1つのアミノ官能性連鎖延長剤成分、
D)任意選択で、非イオン性親水化成分D1)である、C2)とは異なるさらなる親水化成分、
E)任意選択で、62~399mol/gの分子量を有するヒドロキシ官能性化合物、
F)任意選択で、B)とは異なるさらなる高分子ポリオール、
G)正確に1つのイソシアネート反応性基を有する1つの化合物または2つ以上のイソシアネート反応性基を有する1つの化合物、ここで、イソシアネート反応性基の1つのみが選択された反応条件下で反応混合物中に存在するイソシアネート基と反応し、イソシアネート反応性基が、第1級および/もしくは第2級アミノならびに/またはヒドロキシル基である、
H)任意選択で、>2.6かつ≦4の平均イソシアネート官能価を有する1つの脂肪族ポリイソシアネート成分、ここで、成分H)は、HDI、IPDIおよび/またはH12-MDIに基づいて、イソシアヌレート、ウレタン、アロファネート、ビウレット、イミノオキサジアジンジオンまたはオキサジアジントリオン構造を有する脂肪族または脂環式ポリイソシアネートオリゴマーからなる、
の反応によって入手可能なポリウレタン尿素であって、
成分B)およびF)が一緒になって、成分B)およびF)の総質量に基づいて≦30重量%の成分F)を含有し、成分G)およびH)が1:1~1:3の相対モル比で存在する、
ポリウレタン尿素を含む。
【0179】
最も好ましくは、本発明のポリウレタン尿素は、成分A)~H)を排他的に反応させることによって入手可能である。その場合、ポリウレタン尿素の調製のために、さらなる成分は使用されない。
【0180】
本発明のポリウレタン尿素は、好ましくは線状分子であるが、代わりに分枝状であってもよい。
【0181】
本発明に従って好ましく使用されるポリウレタン尿素の数平均分子量は、好ましくは≧2000~≦300000g/mol、より好ましくは≧5000~≦150000g/molである。
【0182】
本発明のポリウレタン尿素は、好ましくは非晶質であり、≦-25℃、好ましくは≦-50℃、または好ましくは≦-70℃のTを有する。
【0183】
本発明のポリウレタン尿素は、好ましくは生理学的に許容される媒体中に存在する。媒体は、より好ましくは水であり、ポリウレタン尿素は、最も好ましくは水性分散液の形である。一般に、任意選択で存在してもよい他の液体媒体、例えば溶媒と並んで、水は、液体分散媒の総量に基づいて、分散媒の主成分(>50重量%)、場合により、唯一の液体分散媒を形成する。
【0184】
得られる水性ポリウレタン尿素分散液は、水性ポリウレタン尿素分散液に基づいて、10重量%未満、より好ましくは3重量%未満、さらにより好ましくは1重量%未満の揮発性有機化合物(VOC)、例えば揮発性有機溶媒の含有量を好ましくは有する。本発明の文脈におけるVOCは、特に、101.3kPaの標準圧力で最大250℃の初留点を有する有機化合物である。
【0185】
本発明の文脈では、揮発性有機化合物(VOC)の含有量は、ガスクロマトグラフィー分析によって特に決定される。
【0186】
水性ポリウレタン分散液のpHは、典型的に8.0未満、好ましくは7.5未満、より好ましくは5.5~7.5である。
【0187】
良好な沈降安定性を達成するために、脱イオン水での希釈後にレーザー相関分光法(装置Malvern Zetasizer 1000、Malvern Inst.Limited)を用いて決定される特定のポリウレタン尿素分散液の数平均粒径は、好ましくは750nm未満、より好ましくは500nm未満である。
【0188】
ポリウレタン尿素分散液の固形分は、好ましくは10~70重量%、より好ましくは20~60重量%、最も好ましくは40~60重量%である。固形分は、秤量された試料を恒量まで125℃に加熱することによって確認される。恒量で、固形分は、試料を再び秤量することによって計算される。
【0189】
好ましくは、これらのポリウレタン尿素分散液は、分散液の質量に基づいて、5重量%未満、より好ましくは0.2重量%未満の非結合有機アミンを含む。
【0190】
ポリウレタン尿素分散液は、10s-1の一定せん断速度で、好ましくは≧1かつ≦10000mPa・s、より好ましくは≧10かつ≦5000mPa・s、最も好ましくは≧100かつ≦4000mPa・sの粘度を有する。粘度は、Methodsの項に記載されているように決定される。
【0191】
したがって、好ましくは、使用されるポリウレタン尿素は、水に分散可能であり、これは、本発明の文脈において、23℃のポリウレタン尿素が水、特に脱イオン水中に沈降安定性分散液を形成し得ることを意味する。
【0192】
本発明のポリウレタン尿素は、成分A)、H)、B)、ならびに任意選択でD)および/またはC2)、ならびに任意選択で化合物E)からイソシアネート官能性ポリウレタンプレポリマーa)を調製すること(ステップa)によって好ましくは入手可能であり、次いで、その遊離NCO基が、アミノ官能性連鎖延長剤成分C)およびさらに成分G)ならびに任意選択で成分D)と全体的にまたは部分的に反応させられる(ステップb)。成分H)もまた、ステップb)まで使用されなくてもよいが、これはあまり好ましくない。成分H)がステップb)まで使用されない場合、成分H)は、成分C)の添加前に好ましくは添加され、プレポリマーa)と反応させられる。
【0193】
ここで、成分A)~H)は、上記で特定されたように定義され、全ての好ましい領域を含む上記の実施形態は、調製プロセスにも適用可能である。
【0194】
したがって、本発明は、本発明のポリウレタン尿素を調製するためのプロセスを同様に提供し、そのプロセスでは、イソシアネート官能性ポリウレタンプレポリマーa)が成分A)、H)、B)、ならびに任意選択でD)および/またはC2)、ならびに任意選択で化合物E)から調製され(ステップa)、次いで、その遊離NCO基が、アミノ官能性連鎖延長剤成分C)およびさらに成分G)ならびに任意選択で成分D)と全体的にまたは部分的に反応させられる(ステップb)。成分H)もまた、ステップb)まで使用されなくてもよいが、これはあまり好ましくない。成分H)がステップb)まで使用されない場合、成分H)は、成分C)の添加前に好ましくは添加され、プレポリマーa)と反応させられる。
【0195】
ここで、成分A)~H)は、同様に上記で特定されたように定義され、全ての好ましい領域を含む上記の実施形態は、調製プロセスにも適用可能である。
【0196】
好ましい実施形態では、成分A)および成分H)は、ステップa)においてすでに予混合された形で使用される。
【0197】
本発明は、本発明のポリウレタン尿素を含む接着剤、好ましくはコンタクト接着剤を同様に提供する。
【0198】
本発明は、本発明のポリウレタン尿素または本発明の接着剤を用いて2つ以上の基材を結合することによって作製される物体をさらに提供する。
【0199】
適した基材は、好ましくはテキスタイル材料、金属、ガラス、セラミック、コンクリート、天然石、皮革、天然繊維およびPVC、ポリオレフィン、ポリウレタンなどのプラスチックから作られたシート状基材である。3次元構造も基材として適している。コンタクト接着剤製品に関して上に詳述された基材が特に好ましい。
【0200】
本発明の物体は、車、オートバイ、航空機、列車、トラックまたは自転車などの輸送手段、携帯電話またはコンピュータなどの電気製品、建物、家具の品目、コンベヤーベルト、建設機械、包装材料、道具、事務用品、衣料品、靴、家庭用品、医療技術用品とすることができ、ここで、結合は、言及された物体の個々のまたは複数の部分にも関連し得る。
【0201】
本発明は、本発明のポリウレタン尿素を含む水性分散液をさらに提供する。
【0202】
本発明は、コンタクト接着剤基材、例えば家庭用または業務用、および工業用の接着テープの作製のための本発明のポリウレタン尿素またはコンタクト接着剤の使用をさらに提供する。
【0203】
本発明は、硬膏剤、ドレッシング剤、テープ剤または包帯の作製のための本発明のポリウレタン尿素またはコンタクト接着剤の使用をさらに提供する。
【0204】
本発明は、以下の実施例によって明らかにされる。
【0205】
[実施例]
方法
他に示されない限り、全てのパーセンテージは、重量および総量に、または組成物の総重量に基づく。
【0206】
他に記載がない限り、全ての分析測定値は、23℃の温度での測定値に関する。
【0207】
固形分を、秤量された試料を恒量まで105℃に加熱することによって、DIN EN ISOL 3251に従って確認した。恒量で、固形分を、試料を再び秤量することによって計算した。
【0208】
明示的に言及されていない限り、NCO値は、DIN-EN ISO 11909に従って容積測定法によって決定した。
【0209】
遊離NCO基の確認は、IR分光法(2260cm-1でのバンド)を用いて行った。
【0210】
報告された粘度は、Anton Paar Germany GmbH、Ostfildern、DE(1Pa・s=1N/m2*s)製の回転式粘度計を用いて23℃でDIN53019に従って決定した。
【0211】
ポリウレタン分散液の平均粒径(数平均が特定される)を、レーザー相関分光法(装置Malvern Zetasizer 1000、Malvern Inst.Limited)を用いて脱イオン水での希釈後に決定した。
【0212】
pHを、希釈されていない試料についてDIN ISO 976に記載された方法によって測定した。
【0213】
ガラス転移温度Tを、Tの測定のためにインジウムおよび鉛で較正されたDSC装置(Perkin-Elmer Pyris Diamond DSC熱量計)を使用して、DIN EN 61006、Method Aに従って動的示差熱量測定(DSC)によって測定した。分析される物質10mgを密封可能なアルミニウムるつぼに秤量し、これを密封する。20K/分の加熱速度での-100℃~+150℃の加熱操作の3回の直接連続ランを行い、その後320K/分の冷却速度での冷却を行い、第3の加熱曲線を使用して、値を決定する。Tは、ガラス転移ステップの半分の高さで決定される温度である。
【0214】
ストレッチされていない状態の基材の通気性をDIN EN ISO 9237に従って決定した。
【0215】
基材の最大引張力をDIN EN ISO 13934-1に従って引張ストリップ試験によって決定した。
【0216】
基材のストレッチ範囲を、一定の伸張限界間の繰返し引張応力を用いて基材の引張特性を決定すること、およびDIN 53835 Part 2に従った全伸張の決定によって決定した。
【0217】
使用された物質および略語
ジアミノスルホネート NH-CHCH-NH-CHCH-SONa(水中45%)
PolyTHF1000 数平均モル質量1000g/molのポリ(テトラメチレングリコール)ポリエーテルジオール、BASF SE、Ludwigshafen、DE
PolyTHF2000 数平均モル質量2000g/molのポリ(テトラメチレングリコール)ポリエーテルジオール、BASF SE、Ludwigshafen、DE
水 イオン交換器によって脱塩された水
使用されるイソシアネート成分は、Covestro Deutschland AG、Leverkusen、DE製の市販品である。さらなる化学物質をSigma-Aldrich Chemie GmbH、Taufkirchen、DEから購入した。他に記載がない限り、原料をさらなる精製または前処理なく使用した。
【0218】
発明のポリウレタン尿素分散液1
360gのPolyTHF(登録商標)1000および1680gのPolyTHF(登録商標)2000を70℃まで加熱した。続いて、180.6gのヘキサメチレンジイソシアネートおよび238.7gのイソホロンジイソシアネートの混合物を添加し、混合物をNCO値が理論値より低くなるまで100~115℃で撹拌した。完成したプレポリマーを4400gのアセトンに50℃で溶解し、次いで19.6gのエチレンジアミン、86.3gのジアミノスルホネート、27.9gのジエタノールアミンおよび380gの水の溶液を計量供給した。混合物をさらに15分間撹拌した。これに2100gの水を加えて分散させた。その後、減圧下の蒸留によって溶媒を留去し、保存安定性分散液を得た。固形分を水の添加によって調整した。
【0219】
固形分 52%
粒径(LKS) 292 nm
粘度 440mPa・s
ポリウレタン尿素のTg -78.7℃
発明のポリウレタン尿素分散液2
75gのPolyTHF(登録商標)1000および350gのPolyTHF(登録商標)2000を70℃まで加熱した。続いて、33.9gのヘキサメチレンジイソシアネート、49.7gのイソホロンジイソシアネート、および8.7gのDesmodur N 3300(DIN EN ISO 11 909に従って約21.8%のNCO含有量を有するHDIトリマー)の混合物を添加し、混合物をNCO値が理論値より低くなるまで100~115℃で撹拌した。完成したプレポリマーを920gのアセトンに50℃で溶解し、次いで3.2gのエチレンジアミン、12.9gのジアミノスルホネート、11.7gのジエタノールアミンおよび145gの水の溶液を計量供給した。混合物をさらに15分間撹拌した。これに1080gの水を加えて分散させた。その後、減圧下の蒸留によって溶媒を留去し、保存安定性分散液を得た。固形分を水の添加によって調整した。
【0220】
固形分 52%
粒径(LKS) 307nm
粘度 105mPa・s
ポリウレタン尿素のTg -78.0℃
ポリウレタン尿素分散液C1(比較1)
450gのPolyTHF(登録商標)1000および2100gのPolyTHF(登録商標)2000を70℃まで加熱した。続いて、225.8gのヘキサメチレンジイソシアネートおよび298.4gのイソホロンジイソシアネートの混合物を添加し、混合物をNCO値が理論値より低くなるまで100~115℃で撹拌した。完成したプレポリマーを5460gのアセトンに50℃で溶解し、次いで29.5gのエチレンジアミン、143.2gのジアミノスルホネートおよび610gの水の溶液を計量供給した。混合物をさらに15分間撹拌した。これに1880gの水を加えて分散させた。その後、減圧下の蒸留によって溶媒を留去し、保存安定性分散液を得た。固形分を水の添加によって調整した。
【0221】
固形分 56%
粒径(LKS) 276nm
粘度 1000mPas
ポリウレタン尿素のTg -79.1℃
米国特許第5,692,937号によるポリウレタン分散液C2(比較2)
米国特許第5,692,937号実施例1(第4欄15~34行目)に記載されているポリウレタン分散液に手を加えた。これを、Covestro AG、Leverkusen、DE製のIPDIおよびポリオールを使用して行い、他の全ての化学物質をSigma-Aldrich Chemie GmbH、Taufkirchen、DEから入手した。
【0222】
比較例からのポリウレタン分散液を、米国特許第5,692,937号および本発明の実施例のものに匹敵する装置および条件で調製した。
【0223】
使用試験
使用された材料
Holthaus Ref.12906S製のYpsiflex包帯、ストレッチされていない状態の通気性5548l/m2*s、ストレッチ範囲160%、最大引張力155.9N
Holthaus Ref.12223からのYpsifix包帯
コンタクト粘着性の試験
ポリウレタン尿素組成物を30cmの長さのYpsifix包帯(Ref.12223)またはYpsiflex包帯(Ref.12906S)に適用し、乾燥させた後、それを巻いたものが互いに重なり合うようにピンの周りに結合する。14日後、それ自体への製品のコンタクト接着性を調べる。これは、長さ3cmの2つの小片を互いに重ね合わせ、指を使用して室温で10秒間それらを優しく押し合わせ、その直後に、2つの小片を引き離すことによって剥離特性を視覚的に確認することによって行われる。スケール評価は、1(一緒に固着しない)から5(非常にしっかり一緒に固着する)にわたる。コンタクト粘着性を「3」以上の分類で十分であると考える。
【0224】
使用例A1(発明)
97gの発明のポリウレタン尿素分散液1をスピードミキサーカップ中に3gのグリセロールと共に最初に投入した。ポリウレタン尿素組成物を得るための気泡のない混合をスピードミキサー中で2750min-1の速度で1分間行った。その後のスプレー実験に関して、湿らされるHolthaus Ypsiflexガーゼ包帯(Ref.12906S)(6×30cm)(基材)を剛性フレームに固定した。製剤をスピードミキサーカップからスプレーガン(SATA Jet RP Digital)のリザーバに移した。1.5バールの空気圧を用いて、ポリウレタン尿素組成物を、ノズル(直径1.6mm)を通して基材上に液滴の形で分配した。基材に各側から1回スプレーした。空気循環乾燥キャビネット中で100℃で10分間乾燥させる前に、室温で20分間予備乾燥を行った。乾燥後、30cmの長さのコーティングされた包帯を巻いたものが互いに重なり合うようにピンの周りに巻く。コーティングされた包帯は、巻かれた配置においてわずかにのみ一緒に固着し、14日間の保存後でさえも結合しなかった。コンタクト粘着性を14日後に評価し、表1に列挙している。
【0225】
使用例A2(比較)
97gの比較のポリウレタン尿素分散液C1をスピードミキサーカップ中に3gのグリセロールと共に最初に投入した。ポリウレタン尿素組成物を得るための気泡のない混合をスピードミキサー中で2750min-1の回転の速度で1分間行った。スプレー実験に関して、湿らされるHolthaus Ypsiflexガーゼ包帯(Ref.12906S)(6×30cm)(基材)を剛性フレームに固定した。製剤をスピードミキサーカップからスプレーガン(SATA Jet RP Digital)のリザーバに移した。1.5バールの空気圧を用いて、ポリウレタン尿素組成物を、ノズル(直径1.6mm)を通して基材上に液滴の形で分配した。基材に各側から1回スプレーした。コーティング空気循環乾燥キャビネット中で100℃で10分間乾燥させる前に、室温で20分間予備乾燥を行った。乾燥後、30cmの長さのコーティングされた包帯を巻いたものが互いに重なり合うようにピンの周りに巻いた。コンタクト粘着性を14日後に評価し、表1に列挙している。
【0226】
使用例A3(発明)
スプレー実験に関して、湿らされるYpsifixガーゼ包帯(Ref.12223)(6×30cm)(基材)を剛性フレームに固定した。100gの未処理の本発明のポリウレタン尿素分散液2をスプレーガン(SATA Jet RP Digital)のリザーバに移した。1.5バールの空気圧を用いて、分散液を、ノズル(直径1.6mm)を通して基材上に液滴の形で分配した。基材に各側から1回スプレーした。乾燥を空気循環乾燥キャビネット中で100℃で60分間行った。乾燥後、30cmの長さのコーティングされた包帯を巻いたものが互いに重なり合うようにピンの周りに巻いた。コーティングされた包帯は、巻かれた配置においてわずかにのみ一緒に固着し、14日間の保存後でさえも結合しなかった。コンタクト粘着性を14日後に評価し、表1に列挙している。
【0227】
使用例A4(発明)
180gの本発明のポリウレタン尿素分散液1を、精密ガラススターラーを用いて0.9gのRheolate678とブレンドし(スピード1100min-1、撹拌時間5分)、ポリウレタン尿素組成物を得た。湿らされるYpsiflex包帯(Ref.12906S)(6×30cm)(基材)をMathisオーブンのストレッチャーに固定した。作製されたポリウレタン尿素組成物を固定されたテキスタイルの上部に適用し、次いでコーティングバーをその上で引くことによって均質に分配した。コーティングバーギャップは、100μmであった。乾燥を120℃で2分間、Mathisオーブン中で行った。広げた包帯のコンタクト粘着性を14日後に試験し、表1に列挙している。
【0228】
使用例A5(比較)
スプレー実験に関して、湿らされるYpsiflexガーゼ包帯(Ref.12906S)(6×30cm)(基材)を剛性フレームに固定した。100gの未処理の比較のポリウレタン尿素分散液C2をスプレーガン(SATA Jet RP Digital)のリザーバに移した。1.5バールの空気圧を用いて、分散液を、ノズル(直径1.6mm)を通して基材上に液滴の形で分配した。基材に各側から1回スプレーした。コーティング空気循環乾燥キャビネット中で100℃で10分間乾燥させる前に、室温で20分間予備乾燥を行った。乾燥後、30cmの長さのコーティングされた包帯を巻いたものが互いに重なり合うようにピンの周りに巻いた。コンタクト粘着性を14日後に評価し、表1に列挙している。
【表1】
【0229】
変色の試験
色値(CIELabシステムによるL、aおよびb)を、Glas&Fenster Engelbrecht GmbH、Leichlingen(Rhineland)、Germany製(ギャップ幅200μmの適用フレームでの適用およびその後の乾燥)の厚さ3mmの20cm×10cmガラス板上に作製された層の厚さ100μmのフィルム上で決定した。Heidehain(MT25P)製のディスプレイに接続された圧縮空気計を用いて層の厚さの測定を確認し、層の厚さを表示した。より良好なフィルム形成のために、増粘剤を全ての製剤に添加した(分散液の0.5重量%~100重量%)。
【0230】
色値をKonica Minolta CM5装置を用いて透過率で測定し、色値をDIN 11664-4に従って計算し、測定形状をパラメータd/8、D65およびSCiでDIN 5033-7に従って固定した。b値は、フィルムの黄色を説明する。表2に、試験結果を列挙する。測定を、フィルムの作製後約10日で行った。フィルムの厚さの偏差は、フィルムの最も厚い点に基づいて、最大で1%のみであった。
【0231】
本発明の試料のb値は、比較の試料と比較して明らかに低い変色を有することが明らかである。特に、芳香族イソシアネートとは異なり、脂肪族イソシアネートは感光性ではない。芳香族イソシアネートは、太陽光への暴露で黄色変色を示すが、脂肪族イソシアネートは、太陽光などの紫外線によっては全く変色を示さない。
【0232】
色測定に使用される製剤
A1およびA4に対応する使用例A6(発明)
100gの発明のポリウレタン尿素分散液1をスピードミキサーカップ中に3gのグリセロールおよび0.5gのRheolate 210と共に最初に投入した。ポリウレタン尿素組成物を得るための気泡のない混合をスピードミキサー中で2750min-1の速度で1分間行った。コーティングバーを用いた適用後、空気循環乾燥キャビネット中、50℃で10分間および120℃で3分間の乾燥前に、RTで20分間予備乾燥した。
【0233】
A2に対応する使用例A7(比較)
100gの比較のポリウレタン尿素分散液C1をスピードミキサーカップ中に3gのグリセロールおよび0.5gのRheolate 210と共に最初に投入した。ポリウレタン尿素組成物を得るための気泡のない混合をスピードミキサー中で2750min-1の速度で1分間行った。コーティングバーを用いた適用後、空気循環乾燥キャビネット中、50℃で10分間および120℃で3分間の乾燥前に、RTで20分間予備乾燥した。
【0234】
A3に対応する使用例A8(発明)
100gの発明のポリウレタン尿素分散液2をスピードミキサーカップ中に0.5gのRheolate 210と共に最初に投入した。ポリウレタン尿素組成物を得るための気泡のない混合をスピードミキサー中で2750min-1の速度で1分間行った。コーティングバーを用いた適用後、空気循環乾燥キャビネット中、50℃で10分間および120℃で3分間の乾燥前に、RTで20分間予備乾燥した。
【0235】
A5に対応する使用例A9(比較)
100gの比較のポリウレタン尿素分散液C2をスピードミキサーカップ中に0.5gのRheolate 210と共に最初に投入した。ポリウレタン尿素組成物を得るための気泡のない混合をスピードミキサー中で2750min-1の速度で1分間行った。コーティングバーを用いた適用後、空気循環乾燥キャビネット中、50℃で10分間および120℃で3分間の乾燥前に、RTで20分間予備乾燥した。
【表2】