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特許7039548手術器具のボディ内に収容された圧力試験ポート
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-11
(45)【発行日】2022-03-22
(54)【発明の名称】手術器具のボディ内に収容された圧力試験ポート
(51)【国際特許分類】
   A61B 1/00 20060101AFI20220314BHJP
【FI】
A61B1/00 716
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2019500862
(86)(22)【出願日】2017-05-08
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2019-08-22
(86)【国際出願番号】 US2017031592
(87)【国際公開番号】W WO2018013202
(87)【国際公開日】2018-01-18
【審査請求日】2020-05-01
(31)【優先権主張番号】62/362,188
(32)【優先日】2016-07-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】510253996
【氏名又は名称】インテュイティブ サージカル オペレーションズ, インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100091214
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 進介
(72)【発明者】
【氏名】カルマン,ウィリアム ジェイソン
(72)【発明者】
【氏名】ブラックスタッド,ハイメ ジー.
(72)【発明者】
【氏名】ヘルツリンガー,ピーター エム.
(72)【発明者】
【氏名】ロマクス,ウィラード クルティス
【審査官】山口 裕之
(56)【参考文献】
【文献】特開2000-189385(JP,A)
【文献】特開2005-204836(JP,A)
【文献】米国特許第05547456(US,A)
【文献】特開2013-226281(JP,A)
【文献】米国特許第04874364(US,A)
【文献】特表2006-521882(JP,A)
【文献】特開平11-309112(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2001/0032494(US,A1)
【文献】特開2012-089288(JP,A)
【文献】国際公開第2013/031388(WO,A1)
【文献】特表2010-538759(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
圧力試験ポートを有するハウジングと;
圧力試験チャンバと;
前記ハウジング内に取り付けられた試験ポート保持器であって、前記試験ポート保持器は、前記圧力試験ポートを前記圧力試験チャンバに結合し、前記試験ポート保持器は、試験ポート保持器ハウジング、前記圧力試験ポート内に挿入される圧力試験プローブの先端の周りにシールを形成するように設計されている中央の開口部を有するプローブシール、および液体排除バリアを有し、前記プローブシールおよび前記液体排除バリアは前記試験ポート保持器ハウジング内に取り付けられる、試験ポート保持器と;
を有し、
前記試験ポート保持器は、前記試験ポート保持器ハウジング内に取り付けられた疎水性膜をさらに有し、
前記液体排除バリアは、前記プローブシールと前記疎水性膜との間に取り付けられている、
内視鏡
【請求項2】
前記疎水性膜は、ポリフッ化ビニリデン膜を含む、
請求項に記載の内視鏡
【請求項3】
前記液体排除バリアは、Xスリットバルブを含む、
請求項1に記載の内視鏡
【請求項4】
前記圧力試験チャンバは:
マニホールドを有し、前記試験ポート保持器は、前記圧力試験ポートが前記試験ポート保持器を介して前記マニホールドと連通するように、前記圧力試験ポートと前記マニホールドとの間に取り付けられている、
請求項1に記載の内視鏡
【請求項5】
画像キャプチャアセンブリをさらに有し、前記圧力試験チャンバは:
第1の端部、第2の端部、および内部容積を有する中央チューブを有し、前記第1の端部は、圧力シールを形成するように前記画像キャプチャアセンブリに固定され、前記第2の端部は、前記圧力試験ポートが前記試験ポート保持器を通って前記中央チューブの前記内部容積と連通するように、前記試験ポート保持器に結合されている、
請求項1に記載の内視鏡
【請求項6】
画像キャプチャアセンブリをさらに有し、前記圧力試験チャンバは:
第1の端部、第2の端部、および内部容積を有する中央チューブを有し、前記第1の端部は、圧力シールを形成するように前記画像キャプチャアセンブリに固定され、前記第2の端部は、前記圧力試験ポートが前記マニホールドを通って前記中央チューブの前記内部容積と連通するように、前記マニホールドに結合されている、
請求項に記載の内視鏡
【請求項7】
圧力シールされた電気ケーブルをさらに有し、前記圧力シールされた電気ケーブルは、前記画像キャプチャアセンブリに接続され、前記中央チューブを通って前記マニホールド内に延びている、
請求項に記載の内視鏡
【請求項8】
前記マニホールドはケーブルシールをさらに有し、前記圧力シールされた電気ケーブルは、前記ケーブルシールを通って前記マニホールドの外へ延びる、
請求項に記載の内視鏡
【請求項9】
画像キャプチャアセンブリおよび圧力シールされた電気ケーブルをさらに有し、前記圧力シールされた電気ケーブルは、前記画像キャプチャアセンブリに接続され、前記マニホールド内に、そして前記マニホールドの外に延びている、
請求項に記載の内視鏡
【請求項10】
前記圧力シールされた電気ケーブルは:
1つまたは複数の導体であって、前記1つまたは複数の導体のそれぞれが絶縁ジャケットを有する、1つまたは複数の導体と;
前記1つまたは複数の導体を囲む第1のシールドと;
前記第1のシールドを囲む第2の絶縁ジャケットと;
前記絶縁ジャケットの内部の前記第1のシールドの周りおよびその中に形成された第1の圧力シールと;をさらに有する、
請求項に記載の内視鏡
【請求項11】
前記圧力シールされた電気ケーブルは:
前記第2の絶縁ジャケットを囲む第2のシールドと;
前記第2のシールドを囲む第3の絶縁ジャケットと;
前記第2のシールドの周りおよびその中に形成され、前記第2の絶縁ジャケットと前記第3の絶縁ジャケットとの間に延びる、第2の圧力シールと;をさらに有する、
請求項10に記載の内視鏡
【請求項12】
前記圧力シールされた電気ケーブルは、第1の端部および第2の端部を有し、前記第1の圧力シールは、前記第1の端部および前記第2の端部の一方に隣接し、前記第2の圧力シールは、前記第1の端部および前記第2の端部の他方に隣接している、
請求項11に記載の内視鏡
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願)
本出願は、その全体が参照により本出願に組み込まれる、“A PRESSURE TEST PORT CONTAINED WITHIN A BODY OF SURGICAL INSTRUMENT”と題し、2016年7月14日に出願された米国仮特許出願第62/362,188号の優先権及び利益を主張する。
【0002】
本発明は、概して内視鏡に関し、より具体的には内視鏡の試験および組み立てを容易にする機能に関する。
【背景技術】
【0003】
1つまたは複数の内視鏡がコンピュータ支援手術で一般的に使用されている。内視鏡は通常、患者の体の中に伸びる柔らかいまたは硬いシャフトを有する。患者の体内の内視鏡の端部には、手術部位の照明を提供する1つまたは複数のポートと、手術部位の1つまたは複数の画像を取り込むために使用される1つまたは複数のポートとがある。電気ケーブルおよび光ファイバケーブルが典型的には内視鏡のシャフトを通って延びる。
【0004】
内視鏡の少なくとも一部は外科手術中に患者の体内に導入されるので、内視鏡は各外科手術の前後に洗浄および滅菌されなければならない。典型的には、内視鏡をこすり洗いし、次いで内視鏡を槽に入れて内視鏡を超音波にさらすことによって内視鏡は洗浄および消毒される。内視鏡はオートクレーブ処理によって滅菌される。オートクレーブ処理では、内視鏡は真空および高圧高温蒸気にさらされる。したがって、洗浄および滅菌プロセスは、内視鏡を液体に浸すこと並びに様々な圧力および温度にさらすことになる。加えて、内視鏡が空輸されるとき、内視鏡は様々な圧力および温度にもさらされる。
【0005】
最終的に、内視鏡が損傷していないことを保証するために、内視鏡は各使用の前に圧力試験される。例えば、非特許文献1を参照されたい。
【0006】
洗浄、滅菌、および圧力試験に関連する問題が知られており、これらの問題に対処するために様々な異なるアプローチが取られてきた。例えば、特許文献1は、内視鏡の内部空間と内視鏡の外側の環境との間の圧力の均等化を可能にする装置を開示している。この装置は、内視鏡の内部空間への液体、水蒸気、過酸化水素の流れを抑えながら圧力を均等にするベントキャップであると報告されている。ベントキャップは、内視鏡の内部空間に接続されたポートを受け入れるように設計されていた。
【0007】
しかし、一部の製造業者はベントキャップを受け入れることができるポートを含む内視鏡を製造しているが、ベントキャップの使用は、特許文献2に従って使用されるプロセスに応じて異なるキャップを使用することを必要とした。特許文献2は、内視鏡のポートに配置することができる圧力補償キャップのさらに別の例を記載している。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0008】
【文献】“Are You Properly Leak Testing Your Flexible Endoscope?”, Fibertech Medical U.S.A., 2pgs. (2006)
【特許文献】
【0009】
【文献】米国特許第5,868,667号
【文献】米国特許出願公開第2014/0100425号
【発明の概要】
【0010】
手術装置は、一実施形態によれば、ハウジング、圧力試験チャンバ、および試験ポート保持器を含む。ハウジングは圧力試験ポートを含む。試験ポート保持器はハウジング内に取り付けられる。試験ポート保持器は、圧力試験ポートを圧力試験チャンバに結合する。試験ポート保持器は、試験ポート保持器ハウジング、プローブシール、および液体排除バリアを含む。プローブシールと液体排除バリアは試験ポート保持器ハウジング内に取り付けられる。
【0011】
一態様では、試験ポート保持器はまた、試験ポート保持器ハウジング内に取り付けられた疎水性膜を含む。この態様では、液体排除バリアは、プローブシールと疎水性膜との間に取り付けられる。一態様では、疎水性膜は、ポリフッ化ビニリデン(polyvinylidene difluoride)膜である一方、液体排除バリアはXスリットバルブを含む。
【0012】
圧力試験チャンバはマニホールドを含む。試験ポート保持器は、圧力試験ポートが試験ポート保持器を介してマニホールドと連通するように、圧力試験ポートとマニホールドとの間に取り付けられる。
【0013】
手術装置は、一実施形態によれば、画像キャプチャアセンブリも含む。圧力試験チャンバは、第1の端部、第2の端部、および中央管腔を有する中央チューブを含む。中央管腔は、第1の端部と第2の端部との間に延びる。中央チューブの第1の端部は、耐圧シールを形成するように画像キャプチャアセンブリに固定される。中央チューブの第2の端部は、圧力試験ポートが試験ポート保持器を通って中央チューブの中央管腔と連通するように、試験ポート保持器に結合される。より具体的には、中央チューブの第2の端部は、圧力試験ポートがマニホールドを通って中央チューブの中央管腔と連通するように、マニホールドに固定されている。
【0014】
手術装置は、一実施形態によれば、圧力シールされた電気ケーブルも含む。圧力シールされた電気ケーブルは、画像キャプチャアセンブリに接続され、中央管腔を通ってマニホールド内に延びる。マニホールドは圧力シールを含む。圧力シールされた電気ケーブルは、圧力シールを通ってマニホールドの外へ延びる。
【0015】
圧力シールされた電気ケーブルは、1つまたは複数の導体と、1つまたは複数の導体を囲む第1の絶縁ジャケットと、第1の絶縁ジャケットを囲む第1のシールドと、第1のシールドを囲む第2の絶縁ジャケットと、第1のシールドの周りおよびその中に形成された第1の圧力シールとを含む。一態様では、圧力シールされた電気ケーブルはまた、第2の絶縁ジャケットを囲む第2のシールドと、第2のシールドを囲む第3の絶縁ジャケットとを含み、第2の圧力シールは、第2のシールドの周りおよびその中に形成され、第2の絶縁ジャケットと第3の絶縁ジャケットとの間に延びている。圧力シールされた電気ケーブルは、第1の端部および第2の端部を有する。一態様では、第1の圧力シールは、第1の端部および第2の端部の一方に隣接し、第2の圧力シールは、第1の端部および第2の端部の他方に隣接する。
【0016】
内視鏡は、一実施形態によれば、画像キャプチャサブアセンブリおよび中央チューブ束サブアセンブリを含む。画像キャプチャサブアセンブリ(第2のサブアセンブリ)は、電気ケーブルおよび画像キャプチャユニットサブアセンブリ(第1のサブアセンブリ)を含む。電気ケーブルおよび画像キャプチャユニットサブアセンブリは、電気ケーブルおよび画像キャプチャユニットを含む。電気ケーブルは、画像キャプチャユニットに接続されており、画像キャプチャアセンブリから近位に延びる。中央チューブ束サブアセンブリ(第3のサブアセンブリ)は、中央チューブを含む。中央チューブは遠位端部を有する。電気ケーブルは、中央チューブ束サブアセンブリを形成する際に中央チューブの遠位端部に通され、電気ケーブルは中央チューブの近位端部から延びる。中央チューブの遠位端部は画像キャプチャサブアセンブリに接続される。中央チューブ束サブアセンブリはまた、画像キャプチャアセンブリに結合されかつ中央チューブを通って延びるライトパイプを含む。一態様では、電気ケーブルは圧力シールされた電気ケーブルである。
【0017】
一態様では、中央チューブは、単一の管腔を有する単一の連続チューブである。単一の連続チューブは外面および内面を有する。内面は単一の管腔を画定する。さらに別の態様では、減摩コーティングが単一の連続チューブの外面と内面の両方をコーティングする。
【0018】
一実施形態によれば、内視鏡はまた、ベース器具サブアセンブリ(第4のサブアセンブリ)を含む。ベース器具サブアセンブリは、ベース、シャフト、および任意選択で関節運動(articulating)アセンブリを含む。シャフトは、ベースと関節運動アセンブリとの間に結合される。中央チューブは、関節運動アセンブリおよびシャフトを通って延びる。関節運動アセンブリは、画像キャプチャアセンブリに接続される。
【0019】
一態様では、関節運動アセンブリは、第1のディスクと、第2のディスクと、遠位端部を有する作動ケーブルと、取付部品(fitting)とを含む。第1および第2のディスクは、接続される(mated)際に関節運動ジョイント(articulation joint)の一部を形成する。作動ケーブルの遠位端部は第2のディスクを通過し、次いで取付部品が作動ケーブルの遠位端部に取り付けられる。取付部品は、第1のディスクを第2のディスクに接続すること(mating)によって形成されたキャビティ内に収容されている。
【0020】
一実施形態によれば、ベース器具サブアセンブリはまた、マニホールドおよびマニホールド圧力シールを含む。圧力シールされた電気ケーブルおよびライトパイプは、マニホールド圧力シールを通過し、マニホールド圧力シールはマニホールドに取り付けられる。ベース器具サブアセンブリはまた、マニホールドに取り付けられた試験ポート保持器を含む。
【0021】
別の態様では、内視鏡は、第1のサブアセンブリを形成するように画像キャプチャユニットに接続された圧力シールされた電気ケーブルを含む。内視鏡は、遠位端部と近位端部とを有するシェルをさらに含む。画像キャプチャユニットは、シェルの遠位端部からシェルに取り付けられ、圧力シールされた電気ケーブルは、シェルの近位端部を通って近位に延びている。ライトパイプは、シェル内に取り付けられているライトパイプの遠位端部を有し、ライトパイプはシェルの近位端部を通って近位に延びている。蓋がシェルの遠位端部に固定されている。シェル、蓋、ライトパイプ、および第1のサブアセンブリは第2のサブアセンブリである。
【0022】
内視鏡は、一実施形態によれば、フランジと、遠位端部を有する中央チューブとをさらに含む。中央チューブの遠位端部はフランジに取り付けられ、フランジはシェルに固定されている。中央チューブ、フランジおよび第2のサブアセンブリは、中央チューブ束サブアセンブリである。
【0023】
さらに別の態様では、内視鏡は、一実施形態によれば、中央チューブ束サブアセンブリおよびベース器具サブアセンブリを含む。中央チューブ束サブアセンブリは、画像キャプチャアセンブリ、画像キャプチャアセンブリに取り付けられた遠位端部を有するライトパイプ、画像キャプチャアセンブリに接続された遠位端部を有する圧力シールされた電気ケーブル、並びに遠位端部および管腔を有する中央チューブを含む。中央チューブの遠位端部は画像キャプチャユニットに接続される。ライトパイプおよび圧力シールされた電気ケーブルは中央チューブの管腔を通過する。ベース器具サブアセンブリは、ベース、シャフト、および関節運動アセンブリを含む。シャフトは、ベースと関節運動アセンブリとの間に結合される。中央チューブは、関節運動アセンブリおよびシャフトを通って延びる。関節運動アセンブリは、画像キャプチャアセンブリに接続される。
【0024】
一態様では、この内視鏡の中央チューブは単一の連続チューブである。単一の連続チューブは外面および内面を有する。内面は単一の管腔を画定する。減摩コーティングが単一の連続チューブの外面と内面の両方をコーティングする。圧力シールされた電気ケーブルは、圧力シールされた電気ケーブルの外面上の減摩コーティングを有する外面を有する。
【0025】
さらに別の態様では、内視鏡は、画像キャプチャアセンブリと、画像キャプチャアセンブリに接続された関節運動アセンブリとを含む。関節運動アセンブリは、第1のディスクと、第2のディスクと、遠位端部を有する作動ケーブルと、取付部品とを含む。作動ケーブルの遠位端部は第2のディスクを通過し、次いで取付部品は作動ケーブルの遠位端部に取り付けられる。取付部品は、第1のディスクを第2のディスクに接続すること(mating)によって形成されたキャビティ内に収容されている。第1および第2のディスクの接続(mating)は、関節運動ジョイントの一部を形成する。第1のディスクは画像キャプチャアセンブリに接続される。
【0026】
内視鏡を製造する方法は、一実施形態によれば、画像キャプチャユニットに接続された圧力シールされた電気ケーブルを含む第1のサブアセンブリを組み立てることを含む。導電性試験が第1のサブアセンブリに対して行われ、次いで、第1のサブアセンブリ、シェル、ライトパイプ、および蓋を含む第2のサブアセンブリが組み立てられる。シェルは遠位端部と近位端部を有する。第2のサブアセンブリを組み立てる際に、画像キャプチャユニットは、圧力シールされた電気ケーブルがシェルの近位端部を通って近位に延びる状態で、シェルの遠位端部からシェルに取り付けられる。ライトパイプの遠位端部がシェル内に取り付けられ、ライトパイプはシェルの近位端部を通って近位に延びる。最後に、蓋がシェルの遠位端部に固定される。
【0027】
第2のサブアセンブリが組み立てられた後、シール確認試験が第2のサブアセンブリに対して実行される。シール確認試験が成功して完了すると、中央チューブアセンブリが組み立てられる。中央チューブアセンブリは、第2のサブアセンブリと、中央チューブと、フランジとを含む。中央チューブを組み立てることは、中央チューブをフランジに取り付けること、圧力シールされた電気ケーブルおよびライトパイプをフランジおよび中央チューブに通すこと、並びにフランジをシェルに固定することを含む。
【0028】
中央チューブアセンブリの中央チューブは、ベース器具サブアセンブリのシャフトに通され、その後、圧力シールされた電気ケーブルおよびライトパイプが圧力シールを通過する。圧力シールはマニホールドに取り付けられ、中央チューブはマニホールドに固定される。最後に、圧力試験がマニホールドのポートを使って実行される。
【0029】
したがって、一態様では、内視鏡は、第1のサブアセンブリ、第2のサブアセンブリ、第3のサブアセンブリ、および第4のサブアセンブリを含み、これらは内視鏡を製造する際に順次組み立てられ試験される。第1のサブアセンブリは、画像キャプチャユニットに接続された圧力シールされた電気ケーブルを含む。第2のサブアセンブリは、第1のサブアセンブリ、シェル、ライトパイプ、および蓋を含む。第3のサブアセンブリは、第2のサブアセンブリ、中央チューブ、およびフランジを含む。第4のサブアセンブリは、第3のサブアセンブリ、ベース、シャフト、および任意選択で関節運動するアセンブリを含む。
【図面の簡単な説明】
【0030】
図1】圧力試験ポート、試験ポート保持器、および圧力試験チャンバをゆする手術装置を含む手術システムの態様を示す概略側面図である。
図2A図1の手術装置の代替態様を示す。
図2B図1の手術装置の代替態様を示す。
図2C図1の手術装置の代替態様を示す。
図2D図1の手術装置の代替態様を示す。
図3図1および2A乃至2Dの手術装置のいずれかで使用するのに適している、試験ポート保持器および圧力試験チャンバのより詳細な概略図である。
図4A】圧力シールされた電気ケーブルの一態様の端面図である。
図4B】圧力シールされた電気ケーブルの一態様の断面図である。
図5図1、2A乃至2D、および3の手術装置での使用に適したライトパイプの図である。
図6図1、2A乃至2D、および3の手術装置での使用に適したマニホールドおよび試験ポート保持器の断面図である。
図7A】内視鏡の中央チューブ束サブアセンブリの図である。
図7B図7Aの内視鏡のベース器具サブアセンブリの図である。
図7C図7Bのベース器具サブアセンブリに設置された図7Aの中央チューブ束サブアセンブリおよび組み合わせに接続された内視鏡撮像システムケーブルへの器具の図である。
図8】内視鏡のアセンブリにおけるサブアセンブリを組み立て、試験するための処理フロー図である。
図9A図8の処理で使用されるサブアセンブリを示す。
図9B図8の処理で使用されるサブアセンブリを示す。
図9C図8の処理で使用されるサブアセンブリを示す。
図10A】可能性のある流体流経路を排除するために関節運動アセンブリのディスクをどのように改造するかを示す。
図10B】可能性のある流体流経路を排除するために関節運動アセンブリのディスクをどのように改造するかを示す。
【0031】
1桁の数字番号の図面において、要素の参照番号の最初の数字は、その要素が最初に現れる図面の番号である。2桁の数字の場合、要素の参照番号の最初の2桁は、その要素が最初に現れる図面の番号である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
一実施形態による新規な構造および方法が、ポートをシールするために何らかのタイプのキャップを必要とする内視鏡のポートに関連した従来技術の欠点を排除する。ベント(vent)キャップが圧力補償を提供し、液体が内視鏡の内部空間に入るのを阻止することができるとしても、ベントキャップの使用は依然としてユーザがベントキャップを使用し正しく設置することを忘れないことを必要とする。ユーザがベントキャップを取り付けることを忘れた又はベントキャップを不適切に取り付けた場合、内視鏡の滅菌中に内視鏡の内部空間への液体の侵入によって内視鏡が損傷を受ける可能性がある。以下により完全に説明されるように、この問題は、内視鏡135-1の内部にある試験ポート保持器に結合された試験ポート138によって取り除かれる。内視鏡135-1は撮像器具であり、したがって器具135-1と呼ぶことができる。
【0033】
さらに、加圧下で気体を通過させるが液体が通過するのを防止する材料から作られたフィルタを含むベントキャップが、圧力試験中に偽陽性(誤検出)をもたらす可能性がある。フィルタが液体で覆われているか、または圧力試験中に濡れている場合、ガスはフィルタを通過するのが妨げられるため、圧力試験者は正の圧力を見る。しかし、この正の圧力は、内視鏡の内部空間が適切にシールされていることの結果ではなく、むしろフィルタ上の水分またはフィルタを覆うことに起因して膜が気体を通過させることができないことの結果である。また、以下により完全に説明されるように、ベントキャップへの依存が排除されるだけでなく、試験ポート138に結合された試験ポート保持器は、水分または液体が内視鏡135-1の圧力試験中に内視鏡135の内部空間への気体の流れを妨げないことを確実にする。
【0034】
図1は、すべて有線(電気的若しくは光学的)又は無線接続によって相互接続された、内視鏡撮像システム192、外科医のコンソール194(マスタ)、および患者側サポートシステム110(スレーブ)を含む、コンピュータ支援遠隔操作手術システム100の態様を示す概略側面図である。1つまたは複数の電子データプロセッサが、システムの機能性を提供するためにこれらの主要構成要素内に様々に配置され得る。例は、参照により本明細書に組み込まれる米国特許第9,060,678号に開示されている。
【0035】
患者側サポートシステム110は、エントリガイドマニピュレータ130を含む。少なくとも1つの手術装置アセンブリがエントリガイドマニピュレータに結合される。各手術装置アセンブリは、手術器具または画像キャプチャアセンブリのいずれかを含む器具を含む。例えば、図1では、1つの手術装置アセンブリは、シャフト137-1を有する器具135-1と、手術中にエントリガイド115を通って延びる画像キャプチャアセンブリとを含む。器具135-1は内視鏡と呼ばれることもあれば、撮像システム装置またはカメラ器具と呼ばれることもある。器具135-1は、器具135-1内に、以下により完全に説明されるように、試験ポート138を圧力試験チャンバ内のマニホールドに接続する新規な試験ポート保持器を含む。典型的には、エントリガイド115は複数の管腔を含む。
【0036】
撮像システム192は、例えば、手術部位のキャプチャされた内視鏡撮像データおよび/または患者外部の他の撮像システムからの術前もしくはリアルタイムの画像データに対して、画像処理機能を実行する。撮像システム192は、処理済み画像データ(例えば、手術部位の画像、ならびに関連する制御および患者情報)を外科医のコンソール194において外科医に出力する。いくつかの態様では、処理済み画像データは、他の手術室職員が見えるまたは手術室から離れた1つ若しくは複数の場所(例えば、別の場所にいる外科医がビデオをモニタし得る;ライブフィードビデオがトレーニングのために使用され得る、など)で見えるオプションの外部モニタに出力される。
【0037】
外科医のコンソール194は、外科医が器具、集合的にスレーブと呼ばれる、エントリガイド(複数可)、および撮像システム装置を操作することを可能にする多自由度(「DOF」)の機械的入力装置(「マスタ」)を含む。これらの入力装置は、いくつかの態様では、手術装置アセンブリ構成要素から外科医に触覚フィードバックを提供し得る。コンソール194はまた、ディスプレイ上の画像が概してディスプレイスクリーンの背後/下で作業する外科医の手に対応する距離に焦点を合わせられるように配置された立体ビデオ出力ディスプレイを含む。これらの態様は、参照により本明細書に組み込まれる米国特許第6,671,581号でより完全に説明されている。
【0038】
器具の挿入中の制御は、例えば、外科医がマスタの一方または両方を用いて画像内に提示された器具および/または画像キャプチャアセンブリを移動させることによって達成され得る。外科医はマスタを使用して画像内の器具を左右に動かし、器具を外科医の方へ引っ張る。マスタの動きは、出力ディスプレイ上の固定中心点に向かって操縦し、そして患者の内部を前進させるように撮像システムおよび関連する手術装置アセンブリに命令する。
【0039】
一態様では、カメラ制御は、マスタハンドルが移動されるのと同じ方向に画像が移動するように、マスタが画像に固定されているという印象を与えるように設計されている。この設計により、外科医がカメラ制御を終了するときにマスタが器具を制御するための正しい位置にあるようになり、その結果、この設計は、器具制御の開始または再開の前に、マスタをクラッチ(clutch)(切断)、移動、およびクラッチ解除(declutch)(係合)して所定の位置に戻す必要を回避する。
【0040】
いくつかの態様では、マスタ位置は、大きなマスタワークスペースの使用を回避するために挿入速度に比例するようにされ得る。代替的には、外科医は、挿入のためにラチェット動作を使用するためにマスタをクラッチおよびクラッチ解除し得る。いくつかの態様では、挿入は手動で(例えば、手動ホイールによって)制御されてもよく、次いで、手術装置アセンブリの遠位端部が手術部位の近くにあるときに自動挿入(例えばサーボモータ駆動ローラ)が行われる。患者の解剖学的構造および挿入軌跡に利用可能な空間の術前またはリアルタイムの画像データ(例えば、MRI、X線)が、挿入を支援するために使用され得る。
【0041】
患者側サポートシステム110は、床に取り付けられたベース101、あるいは天井に取り付けられたベース(図示せず)を含む。ベース101は、(例えば、床、天井、壁、または手術台などの他の機器に対して)移動可能であり得るまたは固定され得る。
【0042】
ベース101は、受動的な制御されていないセットアップアームアセンブリ120と能動的に制御されるマニピュレータアームアセンブリ130とを含むアームアセンブリを支持する。能動的に制御されるマニピュレータアームアセンブリ130はエントリガイドマニピュレータ130と呼ばれる。
【0043】
カニューレ116が、カニューレマウントに取り外し可能に結合されている。この説明では、カニューレは典型的には、器具またはエントリガイドが患者の組織をこするのを防ぐために使用される。カニューレは切開部および自然開口部の両方に使用され得る。器具またはエントリガイドがその挿入(長手方向)軸に対して頻繁に並進移動または回転しない状況では、カニューレは使用されなくてもよい。送気を必要とする状況では、カニューレは、器具またはエントリガイドを越えて過剰な送気ガスが漏れるのを防ぐためのシールを含み得る。手術部位において送気および送気ガスを必要とする処置をサポートするカニューレアセンブリの例は、米国特許出願第12/705,439号(2010年2月1日出願;“Entry Guide for Multiple Instruments in a Single Port System”を開示する)に見ることができ、その全開示はあらゆる目的のために参照により本明細書に組み込まれる。送気を必要としない胸部外科手術の場合、カニューレシールは省略されることができ、器具またはエントリガイドの挿入軸の動きが最小である場合、カニューレ自体が省略されることができる。剛性(rigid)エントリガイドは、エントリガイドに対して挿入される器具のためのいくつかの構成ではカニューレとして機能し得る。カニューレおよびエントリガイドは、例えば鋼または押出しプラスチックであり得る。鋼よりも安価なプラスチックは、1回限りの使用に適し得る。
【0044】
様々な受動セットアップジョイント/リンクおよび能動ジョイント/リンクは、患者が可動テーブル上の様々な位置に置かれるときに器具マニピュレータの位置決めが広範囲の運動で器具を動かすことを可能にする。いくつかの実施形態では、カニューレマウントは第1のマニピュレータリンクに結合され得る。
【0045】
マニピュレータアームの特定のセットアップおよび能動ジョイントおよびリンクが、手術システムのサイズおよび形状を縮小するために省略され得るか、またはジョイントおよびリンクが、自由度を増大させるために追加され得る。マニピュレータアームは、手術に必要な範囲の姿勢を達成するために、リンク、受動ジョイント、および能動ジョイントの様々な組み合わせを含み得る(冗長DOFが提供され得る)ことが理解されるべきである。さらに、様々な器具単独または、エントリガイド、複数の器具、および/または複数のエントリガイド、ならびに(たとえば、器具伝達手段または器具マニピュレータの近位面または遠位面上の)様々な構成を介して器具マニピュレータ(たとえばアクチュエータアセンブリ)に結合された器具を含む手術装置アセンブリは、本開示の態様に適用可能である。
【0046】
複数の手術装置アセンブリ180のそれぞれは、器具マニピュレータアセンブリと、手術器具および画像キャプチャアセンブリのうちの1つを含む器具とを含む。図1では、複数の手術装置アセンブリ180のうちの2つが見え、2つの見える手術装置アセンブリのそれぞれは器具マニピュレータアセンブリを含み、一方は手術器具を有し、他方は画像キャプチャアセンブリを有する。器具マニピュレータアセンブリ140-1および140-2のそれぞれは、一態様ではコンピュータ支援型であり、したがってそれぞれはコンピュータ支援器具マニピュレータアセンブリと呼ばれることがある。器具マニピュレータアセンブリ140-1、140-2のそれぞれは、異なる挿入アセンブリによってエントリガイドマニピュレータアセンブリ133に結合され、例えば、器具マニピュレータアセンブリ140-1は、挿入アセンブリ136-1によってエントリガイドマニピュレータアセンブリ133に結合されている。
【0047】
一態様では、挿入アセンブリ136-1は、対応する手術装置アセンブリをエントリガイドマニピュレータアセンブリ133から離れて及びエントリガイドマニピュレータアセンブリ133に向かって移動させる伸縮(telescoping)アセンブリである。図1では、挿入アセンブリ136-1は完全に引き込まれた位置にある。
【0048】
各器具マニピュレータアセンブリ140-1、140-2は、器具マニピュレータアセンブリ140-1、140-2の出力インターフェース内の複数の出力を駆動する複数のモータを含む。器具135-1、135-2のそれぞれは、伝動(transmission)ユニットを収容するボディを含む。伝動ユニットは、複数の入力を含む入力インターフェースを含む。器具135-1、135-2のそれぞれはまた、ボディから遠位方向に延びる、メインチューブと呼ばれることもあるシャフト137-1、137-2を含む。エンドエフェクタが、1つの器具アセンブリのシャフトの遠位端部に結合され、画像キャプチャアセンブリ、例えばカメラが、異なる器具アセンブリの遠位端部に含まれる。器具マニピュレータアセンブリおよび手術器具の一例については、参照により本明細書に組み込まれる米国特許出願公開第2016/0184037号を参照されたい。
【0049】
器具135-1、135-2のそれぞれは、器具135-1、135-2の伝動ユニットの入力インターフェース内の複数の入力が器具マニピュレータアセンブリ140-1、140-2の器具マウントインターフェースの複数の出力によって駆動されるように、対応する器具マニピュレータアセンブリ140-1、140-2の器具マウントインターフェースに結合される。米国特許出願公開第2016/0184037号を参照されたい。
【0050】
一態様では、1つまたは複数の器具マニピュレータアセンブリは、器具135-1のような特定の種類の器具を支持し且つ作動させるように構成され得る。図1に示すように、複数の手術装置アセンブリ180のシャフトは器具のボディから遠位に延びる。シャフトは、エントリポートに配置された共通のカニューレ116を通って患者の中へ(例えば、体壁を通ってまたは自然の開口部を通って)延びる。一態様では、エントリガイド115がカニューレ116内に位置決めされ、各器具シャフトは、器具シャフトのさらなる支持を提供するように、エントリガイド115内のチャンネルを通って延びる。
【0051】
手術システム100を使用して実行され得る手術は、身体の異なる領域に対して実行され得る。例えば、1つの手術は患者の口を通して実行され得る。別の手術は患者の肋骨の間で実行され得る。他の手術は、患者の他の開口部を通してまたは患者の切開部を通して実行され得る。患者へのそれぞれの異なるエントリ(entry)は、異なる形状および/または異なるサイズのエントリガイドを必要とし得る。したがって、特定の手術に対して適切なエントリガイド115が選択される。
【0052】
図2A乃至2Dは、内視鏡135-1の異なる態様である。図2A乃至2Dでは、本発明の態様を理解するのに必要な内視鏡135-1の態様のみが示されている。これらの態様のいくつかは、その態様が内視鏡内に含まれることを示すために破線で示されている。
【0053】
内視鏡235A(図2A)は、そこから中空シャフト237Aが延びるハウジング241Aを含む。この態様において、シャフト237Aの遠位端部に直列に接続されているのは、関節運動アセンブリの例である平行運動機構270Aおよび手首ジョイントアセンブリ280Aである。画像キャプチャアセンブリ242Aが、手首ジョイントアセンブリ280Aによって平行運動機構270Aに接続される。
【0054】
試験ポート保持器250Aが、ハウジング241A内の圧力試験ポート238Aを圧力試験チャンバに接続する。圧力試験チャンバは、試験ポート保持器250A、マニホールド260A、および中央チューブ265Aを含む。
【0055】
試験ポート保持器250Aは圧力試験ポート238Aをマニホールド260Aに接続する。内視鏡235Aが圧力試験されていないとき、試験ポート保持器250Aは圧力試験チャンバ内のあらゆる加圧ガスが通気される(vented)ことを可能にする。したがって、内視鏡235Aを約140℃に加熱するオートクレーブ処理中または内視鏡235Aの輸送中に内視鏡235Aの内部の圧力の蓄積の可能性はない。内視鏡235Aが手動でまたは超音波洗浄機中で洗浄されているとき、試験ポート保持器250Aは、液体または湿気が試験ポート保持器250Aを通って圧力試験チャンバの内部に入るのを防ぐ。
【0056】
マニホールド260Aは試験ポート保持器250Aと中央チューブ265Aとの間に接続される。中央チューブ265Aの第1の端部は、耐圧シールによって画像キャプチャアセンブリ242Aに接続され、そして中央チューブ265Aの第2の端部は別の耐圧シールによってマニホールド260Aに接続される。本明細書では、耐圧シールとは、圧力試験中に必要とされる最小圧力を維持するのに十分であるシールを意味する。
【0057】
したがって、この態様では、中央チューブ265Aは、単一の管腔またはチャンネルを有する単一の連続チューブであり、別の態様では、単一の管腔を有する成形された単一の連続シリコーンチューブである。中央チューブ256Aは外面および内面を有する。内面は単一の管腔を画定する。図2Aに示すように、中央チューブ265の長手方向軸は、中央チューブ265が平行運動機構270Aおよび手首ジョイントアセンブリ280Aを通過するときに、シャフト237Aの長手方向軸、平行運動機構270Aの長手方向軸、および手首ジョイントアセンブリ280Aの長手方向軸と一致する。
【0058】
典型的には、画像キャプチャアセンブリ242Aは、1つまたは複数のカメラと1つまたは複数の照明ポートとを含む。ケーブル261Aと呼ばれることがある圧力シールされた電気ケーブル261Aは、1つまたは複数のカメラに接続され、中央チューブ265Aの中央管腔を通り、マニホールド260Aの第1の開口部を通ってマニホールド260Aの内部容積内に、そしてマニホールド260Aの外に延びる。具体的には、圧力シールされた電気ケーブル261Aは、画像キャプチャアセンブリ242Aに接続された遠位端部を有する。圧力シールされた電気ケーブル261Aは、中央チューブ365A内の単一の管腔を通り、マニホールド260Aを通ってマニホールド260Aの外へ通り、そして圧力シールされた電気ケーブル261Aの近位端部はリピータボード268Aに接続される。
【0059】
圧力シールされた電気ケーブル261Aは、一態様において、1つまたは複数の導体を有するシールドケーブルである。導体の1つまたは複数の各々は、1つまたは複数のカメラに接続されるコネクタに接続される。1つまたは複数の導体はコネクタに埋め込まれる。ケーブル261の1つまたは複数のシールドも圧力シールされている。本明細書では、圧力シールされるとは、圧力試験中に必要とされる最小圧力を維持するのに十分なシールがシールド内およびその周囲に形成されることを意味する。したがって、圧力シールされた電気ケーブルは、絶縁ジャケット間のガス流のための貫通路またはシールドのような電気ケーブルの一部の中のガス流のための貫通路を持たないケーブルである。これらの貫通路は内視鏡が圧力試験中に必要な最小圧力を維持することを妨げる。
【0060】
この態様では、リピータボード268A上の発光ダイオードが、レーザがオンになっているかどうかを示すために使用される。したがって、内視鏡235Aは、画像キャプチャアセンブリ242A内の照明ポートに接続された第1の端部と、コネクタ269Aに接続された金属フェルール(metal ferrule)に埋め込まれた第2の端部とを有する少なくとも1つのライトパイプ262Aを含む。ライトパイプ262Aの両端部は、接続部が圧力シールされるように取り付けられる。ライトパイプ262Aも中央チューブ265Aの中央管腔を通って延びる。
【0061】
ライトパイプ262Aの使用は例示的なものにすぎず、限定することを意図するものではない。照明器が画像キャプチャアセンブリ242Aに含まれる場合、ライトパイプ262Aは使用されないであろう。
【0062】
ケーブル261Aおよびライトパイプ262Aは、第1の開口部を通ってマニホールド260Aに入り、第2の開口部を通って出る。一態様では、圧力シールが、第1および第2の開口部においてケーブル261Aおよびライトパイプ262Aの周りに使用される。別の態様では、マニホールド260Aは単一の圧力シールが使用されるように構成される。
【0063】
リピータボード268Aはコネクタ269Aに接続される。内視鏡撮像システムケーブルへの器具が、内視鏡撮像システム192のような内視鏡撮像システムに内視鏡235Aを結合するためにコネクタ269Aに接続される。
【0064】
試験ポート保持器250Aは、ボディ、プローブシール251A、液体排除バリア252A、および疎水性膜253Aを含む。プローブシール251A、液体排除バリア252A、および疎水性膜253Aのそれぞれは、試験ポート保持器250Aのボディ内に取り付けられ、プローブシール251Aは圧力試験ポート238Aに最も近く、疎水性膜253Aは圧力試験ポート238Aから最も離れている、すなわち、液体排除バリア252Aは、プローブシール251Aと疎水性膜253Aとの間に取り付けられている。
【0065】
プローブシール251Aは、圧力試験プローブの先端の周りにシールを形成するように設計されている中央の開口部を有する。一態様では、液体排除バリア252Aは、xスリットバルブである。xスリットバルブを挟んで圧力差がある場合は、圧力が均等になるまでxスリットバルブは開く。内視鏡235Aが洗浄されるとき、xスリットバルブへの水圧はxスリットバルブを開かせるのに十分ではなく、したがってxスリットバルブは、マニホールドおよび中央チューブの中央管腔を含む圧力試験チャンバに液体が入るのを防ぐ。
【0066】
一態様では、疎水性膜253Aは、0.22乃至0.45マイクロメートルの孔径(pore sizes)を有するポリフッ化ビニリデン(PVDF)膜である。PVDFは溶剤に対して耐性があり(resistant to solvents)、そして二フッ化ビニリデンの重合によって製造される非常に非反応性であり且つ純粋な熱可塑性フルオロポリマーである。PVDFは約177℃で溶融し、これはオートクレーブ処理中に遭遇する温度よりも高い。疎水性膜253Aは、圧力試験チャンバを超音波流体から保護し、オートクレーブ処理中に圧力試験チャンバ内に圧力が蓄積するのを防ぐ。
【0067】
加えて、液体排除バリア252Aは、圧力試験中に膜253Aが適切に動作するように、湿気および液体を疎水性膜253Aから遠ざける。従来技術のシステムでは、疎水性膜が濡れている場合、圧力試験で使用されるガスが疎水性膜を通過するのを湿気が妨げていたため、疎水性膜が誤った陽圧の読みをもたらす可能性があった。試験ポート保持器250Aは、湿気および/または液体が疎水性膜253Aの表面に到達するのを防ぐことによって、そのような誤った正の圧力の読みの可能性を排除する。
【0068】
内視鏡235Aの外側の環境から圧力試験チャンバへの漏れがないことを確実にするために、圧力試験プローブが試験ポート238Aに挿入され、圧力試験チャンバが所定の圧力に加圧される。圧力試験チャンバが、所定の時間間隔の間、所定の最小圧力より高い圧力を保持する場合、内視鏡の外側の環境と圧力試験チャンバの内部との間の連通のための流体(液体または気体)通路はなく、これは手術中に重要である。その結果、内視鏡235Aが送気圧力で使用される手術中に圧力試験チャンバが汚染されることはできない。
【0069】
別の態様では、内視鏡235B(図2B)はハウジング241Bを含み、そこからシャフト237Bが延びる。この態様では、画像キャプチャアセンブリ242Bはシャフト237Aの遠位端部に接続される。
【0070】
試験ポート保持器250Bは、ハウジング241Bの圧力試験ポート238Bを圧力試験チャンバに接続する。圧力試験チャンバは、試験ポート保持器250B、マニホールド260B、および中央チューブ265Bを含む。マニホールド260Bは試験ポート保持器250Bと中央チューブ265Bとの間に接続される。
【0071】
リピータボード268Bと、コネクタ269Bと、プローブシール251B、液体排除バリア252B、および疎水性膜253Bを含む試験ポート保持器250Bと、マニホールド260Bと、圧力シールされた電気ケーブル261Bおよびライトパイプ262Bを含む中央チューブ265Bの構成および構造は、リピータボード268Aと、コネクタ269Aと、プローブシール251A、液体排除バリア252A、および疎水性膜253Aを含む試験ポート保持器250Aと、マニホールド260Aと、圧力シールされた電気ケーブル261Aおよびライトパイプ262Aを含む中央チューブ265Aそれぞれと同じである。したがって、プローブシール251A、液体排除バリア252A、および疎水性膜253Aを含む試験ポート保持器250Aと、マニホールド260Aと、ケーブル261Aおよびライトパイプ262Aを含む中央チューブ265Aの説明はここでは繰り返さない。
【0072】
別の態様では、内視鏡235C(図2C)は、シャフト237Cが延びるハウジング241Cを含む。この態様では、シャフト237Cの遠位端部に直列に接続されているのは、平行運動機構270Cおよび手首ジョイントアセンブリ280Cである。画像キャプチャアセンブリ242Cが、手首ジョイントアセンブリ280Cによって平行運動機構270Cに接続される。
【0073】
試験ポート保持器250Cが、ハウジング241Cの圧力試験ポート238Cを圧力試験チャンバに接続する。圧力試験チャンバは、試験ポート保持器250C、マニホールド260C、および中央チューブ265Cを含む。マニホールド260Cは、試験ポート保持器250Cと中央チューブ265Cとの間に接続される。
【0074】
リピータボード268Cと、コネクタ269Cと、平行運動機構270Cと、手首ジョイントアセンブリ280Cと、マニホールド260Cと、圧力シールされた電気ケーブル261Cおよびライトパイプ262Cを含む中央チューブ265Cと、画像キャプチャアセンブリ242Cの構成および構造は、リピータボード268Aと、コネクタ269Aと、平行運動機構270Aと、手首ジョイントアセンブリ280Aと、マニホールド260Aと、圧力シールされた電気ケーブル261Aおよびライトパイプ262Aを含む中央チューブ265Aと、画像キャプチャアセンブリ242Aそれぞれと同じである。したがって、平行運動機構270Aと、手首ジョイントアセンブリ280Aと、マニホールド260Aと、ケーブル261Aおよびライトパイプ262Aを含む中央チューブ265Aと、画像キャプチャアセンブリ242Aの説明はここでは繰り返さない。
【0075】
試験ポート保持器250Cは、ボディ、プローブシール251C、および液体排除バリア252Cを含む。プローブシール251Cおよび液体排除バリア252Cは試験ポート保持器250Cのボディ内に取り付けられ、プローブシール251Cは圧力試験ポート238Cに最も近く、液体排除バリア252Cは圧力試験ポート238Cから最も離れている。
【0076】
別の態様では、内視鏡235D(図2D)はハウジング241Dを含み、そこからシャフト237Dが延びる。この態様では、画像キャプチャアセンブリ242Dはシャフト237Dの遠位端部に接続される。
【0077】
試験ポート保持器250Dは、ハウジング241Dの圧力試験ポート238Dを圧力試験チャンバに接続する。圧力試験チャンバは、試験ポート保持器250D、マニホールド260D、および中央チューブ265Dを含む。マニホールド260Dは試験ポート保持器250Dと中央チューブ265Bとの間に接続される。
【0078】
リピータボード268Dと、コネクタ269Dと、プローブシール251Dおよび液体排除バリア252Dを含む試験ポート保持器250Dと、マニホールド260Dと、ケーブル261Dおよびライトパイプ262Dを含む中央チューブ265Dと、画像キャプチャアセンブリ242Dの構成および構造は、リピータボード268Cと、コネクタ269Cと、プローブシール251Cおよび液体排除バリア252Cを含む試験ポート保持器250Cと、マニホールド260Cと、ケーブル261Cおよびライトパイプ262Cを含む中央チューブ265Cと、画像キャプチャアセンブリ242Cそれぞれと同じである。したがって、プローブシール251Cおよび液体排除バリア252Cを含む試験ポート保持器250Cと、マニホールド260Cと、ケーブル261Cおよびライトパイプ262Cを含む中央チューブ265Cと、画像キャプチャアセンブリ242Cの説明はここでは繰り返さない。
【0079】
図3は、内視鏡235A乃至235Dのうちのいずれか1つに使用するのに適した試験ポート保持器350および圧力試験チャンバ370のより詳細な概略図である。内視鏡のハウジングの圧力試験ポート338は、試験ポート保持器350の第1の開口部である。試験ポート保持器350は、プローブシール351および液体排除バリア352、ならびにオプションで疎水性膜353を含む。圧力試験チャンバ370は、この態様では、マニホールド360および中央チューブ365を含む。
【0080】
試験ポート保持器350は、試験ポート保持器350の内部容積への圧力試験ポート338である第1の開口部を含む。試験ポート保持器350の内部容積への第2の開口部は、マニホールド360の第2の開口部360-2と連通する、すなわち試験ポート保持器350の第2開口部の少なくとも一部は、マニホールド360の第2開口部360-2と一致する。
【0081】
プローブシール351は、(試験ポート保持器350の長手方向軸355に沿ってプローブシール351の中心から圧力試験ポートの中心まで測定したときに)圧力試験ポート338に最も近く且つマニホールド360の第2の開口部360-2から最も離れている試験ポート保持器350の内部容積に取り付けられる。オプションの疎水性膜353が、(試験ポートの長手方向軸355に沿って疎水性膜353の中心からマニホールド360内の第2の開口部360-2の中心まで測定したときに)マニホールド360の第2の開口部360-2に最も近く且つ圧力試験ポート338から最も離れている試験ポート保持器350の内部容積に取り付けられる。
【0082】
オプションの疎水性膜353が試験ポート保持器350に含まれる場合、液体排除バリア352は、プローブシール351とオプションの疎水性膜353との間の試験ポート保持器350の内部容積に取り付けられる。この態様では、プローブシール及び液体排除バリア352および疎水性膜353のそれぞれの中心は、試験ポート保持器350の長手方向軸355と交差している。オプションの疎水性膜353が試験ポート保持器350に含まれていない場合、液体排除バリア352は、(試験ポート保持器350の長手方向軸355に沿って液体排除バリア352の中心からマニホールド360の第2の開口部360-2の中心まで測定したとき)マニホールド360の第2の開口部360-2に最も近く且つ圧力試験ポート338から最も離れた試験ポート保持器350の内部容積に取り付けられる。
【0083】
上述のプローブシールと同様に、プローブシール351は、先端がプローブシール351を通って挿入されるときに圧力試験プローブの先端の周りに圧力シールを形成する形状を有するその中心の開口部を有する。一態様では、開口部の形状は、試験ポート338に挿入される圧力試験プローブの先端の外側表面の断面形状と同じになるように選択される。
【0084】
上記の液体排除バリアと同様に、液体排除バリア352は、一態様では、xスリットバルブである。また、疎水性膜について上述したように、一態様では、疎水性膜353はPVDF膜である。
【0085】
この態様では、マニホールド360は、3つの開口部360-1、360-2、および360-3を含む。第1の開口部360-1はフランジ内にあり、中央チューブ365の中央管腔と連通する。一片の熱収縮チューブが中央チューブ365の第2の端部を覆って嵌合され、中央チューブ365の第2の端部はフランジに押し付けられる。次に、熱収縮チューブは、中央チューブの第2の端部およびフランジの上に移動されて収縮される。マニホールドフランジへの中央チューブの圧力嵌合と熱収縮によって供給される力との組み合わせは、耐圧シールを提供するのに十分である。中央チューブ356の第1の端部は、画像キャプチャアセンブリ342と呼ばれることもあるカメラモジュール342に溶着されているフランジ上に押し付けられる。
【0086】
ケーブル361と呼ばれることがある圧力シールされた電気ケーブル361と、2つのライトパイプ362Aおよび362Bとが、画像キャプチャアセンブリ342の近位端部から近位方向に延びている。2つのライトパイプ362Aおよび362Bは、中央チューブ365の中央管腔を通り、第1の開口部360-1を通ってマニホールド360の内部容積の中へ通過する単一のライトパイプ362に合流する。2つのライトパイプの使用は例示に過ぎず、すなわちオプションであり、限定することを意図するものではない。他の態様では、単一のライトパイプを使用することも、ライトパイプを使用しないことも可能である。
【0087】
ケーブル361およびライトパイプ362は、第3の開口部360-3を通ってマニホールド360の内部容積から出る。圧力シール366が、第3の開口部360-3においてケーブル361およびライトパイプ362を囲む。一態様では、圧力シール366は、二液型白金触媒熱硬化シリコーンエラストマー(two-part, platinum-catalyzed, heat-cured silicone elastomer)から製造される。圧力シール366を製造するのに使用するのに適した二液型白金触媒熱硬化シリコーンエラストマーは、ダウコーニング(登録商標)から商標名QP1-20液体シリコーンゴムで販売されている。
【0088】
図4Aおよび図4Bは、それぞれ、圧力シールされた電気ケーブル361の一態様の端面図および断面図である。矢印490は、第1および第2の方向を規定する。一態様では、第1の方向は遠位方向であり、第2の方向は近位方向である。
【0089】
この態様では、ケーブル361は二重シールドケーブルである。ケーブル361の複数の導体410の各々はそれ自身の絶縁ジャケット401によって囲まれる。第1の編組シールド411が複数の導体410を囲む。第2の絶縁ジャケット402が第1の編組シールド411を囲む。第2の編組シールド412が第2の絶縁ジャケットを囲み、第3の絶縁ジャケット403が第2の編組シールド412を囲む。一態様では、第3の絶縁ジャケット403はケーブル361の全長にわたって延在しない。一態様では、第3の絶縁ジャケット403はシリコーン絶縁ジャケットである。第3の絶縁ジャケット403の端部は、ケーブル361をコネクタ426、425に接続するのを容易にするために、ケーブル361の端部から取り除かれている。ケーブル361では、絶縁ジャケットは電気絶縁ジャケットである。
【0090】
コネクタ425および426をケーブル361の両端に接続する前に、外側絶縁ジャケット403のストリップが、第2の編組シールド412の外周面を露出させるために、ケーブル361の第1の端部の近くで除去される。(図4Bでは、ケーブル361の第1の端部は、画像キャプチャユニットコネクタであるコネクタ425に隣接している。)一片の熱収縮チューブが、露出した編組シールドの縁部に隣接して第3の絶縁ジャケット403に固定される。シリコーンが第2の編組シールド412の露出した外周面の周りの熱収縮チューブに注入され、次いで熱収縮チューブが、収縮されて第3の絶縁ジャケット403の除去されたストリップに置き換わる。熱収縮チューブの収縮は、第2の編組シールド412内およびその周囲に第1の圧力シール421を形成するように、第2の編組シールド412の任意の開口部内にシリコーンを押し入れる。
【0091】
圧力シール421が形成された後、コネクタ425がケーブル361の第2の端部に固定される。複数の導体410のそれぞれの第1の端部がコネクタ425内に埋め込まれる。
【0092】
第1の編組シールド411内および複数の導体410の周囲に圧力シールを形成するために、第2の編組シールド412は、コネクタ426に接続するケーブル361の第2の端部から押し戻される。第2の絶縁ジャケット402のストリップが、第1の編組シールド411の外周を露出させるために除去される。一片の熱収縮チューブが、露出した第1の編組シールド411の縁部に隣接して第2の絶縁ジャケット402に固定される。シリコーンが、第1の編組シールド411の露出した外周の周りおよび複数の導体410の周りで熱収縮チューブの中に注入される。次に、熱収縮チューブは収縮されて、第2の絶縁ジャケット402の除去されたストリップに置き換わる。熱収縮チューブの収縮は、シリコーンを第1の編組シールド内の任意の開口部の中および複数の導体410の間の開口部内に押し込み、シリコーンは、複数の導体410の周囲およびそれらの間に注入される。複数の導体410は複数のワイヤを有し得る。これは、第1の編組シールド411内およびその周り並びに複数の導体410の周りに第2の圧力シール422を形成する。圧力シール422が形成された後、第2の編組シールド412はその適切な位置に戻り、コネクタ426がケーブル361の第2の端部に固定される。複数の導体410の各々はコネクタ426内に埋め込まれる。
【0093】
別の態様では、シール421および422は、ケーブルの製造工程中に作られる。また、一態様では、すべての絶縁ジャケットの外面がケーブルの製造中に減摩コーティングでコーティングされる。
【0094】
図5は、図1、2A乃至2D、および3の手術装置での使用に適したライトパイプ362の例である。ライトパイプ362は、光ファイバ束501、保護シース502、およびフェルール503を含む。光ファイバ束501の第1の端部、遠位端部は、2つのより小さな光ファイバ束501-1および501-2に分割される。光ファイバ束501の第2の端部はフェルール503内に埋め込まれる。
【0095】
保護シース502は、両方とも図5において開いている第1の端部502-1および第2の端部502-2と、フェルール503の外周面にシールされている第3の端部502-3とを有する。光ファイバ束501が画像キャプチャアセンブリ342に接続されるとき、保護シース502の第1の端部502-1および第2の端部502-2は、光ファイバ束501の外面と保護シース502の内面との間に流体流路がないように、画像キャプチャアセンブリ342内にシールされ、これは手術中に重要である。
【0096】
図6は、マニホールド660および試験ポート保持器650の一態様の断面図である。マニホールド660は、マニホールド360およびマニホールド260A乃至260Dの一例である。試験ポート保持器650は、試験ポート保持器250A乃至250Dおよび試験ポート保持器350の一例である。
【0097】
試験ポート保持器650は、圧力試験ポート638をマニホールド660に接続する。試験ポート保持器650は、ボディ654、シール保持器655、および端部キャップ656を含む。プローブシール651、液体排除バリア652、および疎水性膜653が、試験ポート保持器650内に取り付けられ、プローブシール651が圧力試験ポート638に最も近く、疎水性膜653が圧力試験ポート638から最も遠い。疎水性膜653はオプションである。
【0098】
ボディ654は、試験ポート保持器650とマニホールド660との間に双方向の流体連通路があるようにマニホールド660の開口部660-2に直接隣接する開口部654-4を有する内壁654-3を含む。ボディ654内では、Oリング657が、壁654-3からボディ654の内部容積内に延びる段部654-5に対して疎水性膜653の第2の表面の外周部を据え付ける(seat)ように、疎水性膜653の第1の表面の外周部を押す。
【0099】
シール保持器655の第2の端部655-2は開口部655-3を含む。シール保持器655のテーパ面は、疎水性膜653の第1の表面の外周部分に対してOリング657を保持する。シール保持器655の第1の端部655-1は、試験ポート保持器650の外面を形成するように、ボディ654の第1の端部654-1と端部キャップ656の第2の端部との間に配置される。第1の端部655-1は、端部キャップ656の第2の端部とともに溝を形成する。プローブシール651および液体排除バリア652は、この溝に取り付けられる。
【0100】
プローブシール651は、この態様では、中央に円形の開口部を有し、圧力試験プローブの先端の周りにシールを形成するように設計される。一態様では、液体排除バリア652はxスリットバルブである。疎水性膜653は、一態様では、上述のように、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)膜である。
【0101】
プローブシール651は、プローブシール251A乃至251Dおよびプローブシール351の例である。液体排除バリア652は、液体排除バリア252A乃至252Dおよび液体排除バリア352の例である。疎水性膜653は、疎水性膜253A乃至253Bおよび疎水性膜353の例である。
【0102】
端部キャップ656、シール保持器655、およびボディ654は互いに溶着されて試験ポート保持器650のための単一のボディを形成する。
【0103】
マニホールド660は、3つの開口部660-1、660-2、および660-3を含む。一態様では、マニホールド660は、ポリフェニルスルホン(PPSU)を射出成形することによって形成されたポリマーでできている。ポリフェニルスルホンは、耐熱性および耐薬品性である。ポリフェニルスルホンは55MPa(8000psi)までの引張強度を提供する。したがって、PPSUは、湿気および高温への継続的な暴露に耐えることができ、ひび割れまたは破損することなく衝撃を吸収することができる。マニホールド660を形成するのに適したポリフェニルスルホンの一例は、医療用グレードのRadel(登録商標)R5500樹脂である。(Radel(登録商標)はSolvay Advanced Polymers L.L.C.の米国の登録商標である。)
【0104】
マニホールド660のフランジ661の第1の開口部660-1は、中央チューブが耐圧シールを形成するようフランジの上に圧入されることができるように中央チューブの内径がサイズ決めされるため、中央チューブの中央管腔と連通する。圧力シール666が第3の開口部660-3に隣接して取り付けられる。ケーブルおよびライトパイプ(図示せず)は、圧力シール666を通過し、次いで第3の開口部660-3を通過する。圧力シール666は、二液型白金触媒熱硬化シリコーンエラストマーから作られる。圧力シール666を製造する際に使用するのに適した二液型白金触媒熱硬化シリコーンエラストマーは、ダウコーニング(登録商標)から商標名QP1-20液体シリコーンゴムで販売されている。
【0105】
以下により完全に説明されるように、組み立てにおいて、ライトパイプ362および圧力シールされた電気ケーブル361は、圧力シール666を通過させられ、次いでこのアセンブリはマニホールド660に取り付けられる。次に、試験ポート保持器650は、圧力シール666を含むマニホールド660の端部に取り付けられる。この態様では、試験ポート保持器650とマニホールド660との間の接合部分(interface)は段付きである。試験ポート保持器650は、マニホールド660が耐圧シールを形成するようにライトパイプ362および圧力シールされた電気ケーブル361の周りで圧力シール666を圧縮する半径方向内向きの力を及ぼすように、圧力シール666を含むマニホールドの端部に固定される。本明細書で使用されるとき、耐圧シールは、内視鏡内の圧力チャンバが圧力試験に合格するのに必要とされる所定の最小圧力を維持することを可能にするシールである。
【0106】
以下の説明は、内視鏡135-1、235A、235B、235C、および235Dのそれぞれに適用される。具体的には、内視鏡135-1、235A、235B、235C、および235Dの要素の名前と同じ名前を持つ図7A乃至7C、8、および9A乃至9Cに関する要素の説明は、その名前を持つ内視鏡135-1、235A、235B、235C、および235Dの要素に適用される。同様に、図7A乃至7C、8、9A乃至9Cの要素の名前と同じ名前を持つ内視鏡135-1、235A、235B、235C、および235Dに関する要素の説明は、その名前を持つ図7A乃至7C、8、9A乃至9Cの要素に適用される。したがって、様々な図面中の要素間の対応は、発明の態様から気をそらすことを避けるために、以下の説明では明示的に示されていない。
【0107】
典型的には、コンピュータ支援遠隔操作システムで使用される従来技術の内視鏡は、単一の連続的な電気および照明の束(bundle)を含んでいた。束内の電気部品と照明部品は別々であった。この束は、内視鏡撮像システムから内視鏡のハウジングまで、内視鏡のハウジングを通って、内視鏡のシャフトを下ってシャフトの遠位端部まで延びていた。電気部品および照明部品は、シャフトを通ってシャフトの遠位端部まで異なる経路をたどっていた。この内視鏡を近位から遠位方向に組み立てられていた。
【0108】
対照的に、内視鏡から離れた内視鏡撮像システムから内視鏡を通って通される単一の連続的な電気および照明の束の代わりに、内視鏡は、内視鏡を組み立てる際に一緒に一体化される複数の試験可能なサブアセンブリに分割される。図7A乃至7Cは、3つのサブアセンブリ701、702、703の例を示す。
【0109】
1つのサブアセンブリは、中央チューブ束701とおよび第3のサブアセンブリと呼ばれることもある中央チューブ束サブアセンブリ701(図7A)である。中央チューブ束701は、中央チューブ765、画像キャプチャサブアセンブリ742(時には第2のサブアセンブリとも呼ばれる)、圧力シールされた電気ケーブル361、およびライトパイプ362を含む。一態様では、中央チューブ765は、単一の中央管腔を有する単一の連続チューブである。他の態様では、中央チューブ765は、単一の中央管腔を有する成形された単一の連続シリコーンチューブである。単一の連続チューブは潜在的な漏れ経路を排除する。画像キャプチャサブアセンブリ742は、上述の画像キャプチャアセンブリと同等である。
【0110】
中央チューブ765は、耐圧シールが中央チューブ765と画像キャプチャサブアセンブリ742との間に形成されるように画像キャプチャサブアセンブリ742に接続される。圧力シールされた電気ケーブル361は、画像キャプチャサブアセンブリ742内の画像キャプチャユニットに電気的に接続される。光ファイバ束501の端部501-1および501-2は、画像キャプチャサブアセンブリ742の遠位端部を通して光を出力するように、画像キャプチャサブアセンブリ742で終端する。圧力シールされた電気ケーブル361およびライトパイプ362は、中央チューブ762の中央管腔を引き回される(routed through)
【0111】
以下により完全に説明されるように、一態様では、ケーブル361および画像キャプチャユニットは、サブアセンブリとして組み立てられる。このサブアセンブリの画像キャプチャユニットはシェルに挿入され、ケーブル361はシェルの近位端部を通って近位方向に延びる。ライトパイプ362の遠位端部はシェル内に取り付けられ、ライトパイプ362もシェルの近位端部を通って近位方向に延びる。蓋がシェルの遠位端部に固定され、このサブアセンブリはシール確認試験を受ける。次いで、ケーブル361およびライトパイプ362が、中央チューブ765の管腔を通され、中央チューブは中央チューブ束サブアセンブリ701を形成するようにシェルに固定される。中央チューブ束サブアセンブリ701は、キャプチャユニットの1つまたは複数のカメラが正常に動作しているかどうかおよびライトパイプが適切な照明を提供しているかどうかを判定するために、試験されることができる。
【0112】
別のサブアセンブリは、ベース器具サブアセンブリ702(図7B)であり、時には第4のサブアセンブリと呼ばれる。この態様では、ベース器具サブアセンブリ702は、ベース、シャフト、平行運動機構770、および手首ジョイントアセンブリ780を含む。平行運動機構770および手首ジョイントアセンブリ780はそれぞれ、関節運動アセンブリの例である。他の関節運動アセンブリは、ベース器具サブアセンブリ702に使用することができ、あるいはベース器具サブアセンブリ702は、関節運動アセンブリを含まなくてもよく(図2Bおよび2D参照)、または1つだけの関節運動アセンブリ、例えば手首ジョイントアセンブリ780を含んでもよい。
【0113】
ベース器具サブアセンブリ702は、リピータボードと、マニホールド660のようなマニホールドと、試験ポート保持器350のような試験ポート保持器と、ケーブルサブアセンブリコネクタ705を含む。ベース器具サブアセンブリ702は、シャフトの近位端部に接続される。リピータボードは、レーザオンインジケータ、例えば1つまたは複数の発光ダイオード、電圧レギュレータ、圧力シールされた電気ケーブル361の近位端部に接続するように構成された第1のコネクタ、および器具-内視鏡撮像システムケーブルサブアセンブリ703に電気的に接続するように構成された第2のコネクタを含む。リピータボードは、器具-内視鏡撮像システムケーブルサブアセンブリ703(図7C)から電力および制御信号を受信し、これらを画像キャプチャサブアセンブリ742に提供する。リピータボードは、画像キャプチャサブアセンブリ742からビデオ信号を受信し、これらのビデオ信号を器具-内視鏡撮像システムケーブルサブアセンブリ703に提供する。
【0114】
シャフト757の遠位端部は、平行運動機構770の近位端部に接続される。平行運動機構770の遠位端部は、手首アセンブリ780の近位端部に接続される。
【0115】
手首ジョイントアセンブリ780としての使用に適した手首ジョイントアセンブリは、例えば、米国特許出願公開第2003/0036748号(2002年6月28に出願され、“Surgical Tool Having Positively Positionable Tendon Activated Multi Disk Wrist Joint”を開示)に記載され、これは参照により本明細書に組み込まれる。平行運動機構770として使用するのに適した平行運動機構は、例えば、米国特許第7,942,868
B2号(2007年6月13日に出願され、“Surgical Instrument With Parallel Motion Mechanism”を開示)に記載され、これも参照により本明細書に組み込まれる。平行運動機構770および手首ジョイントアセンブリ780が構築され、ケーブルは、図10Bに関して以下に説明するように、一態様では、手首ジョイントアセンブリ780の最も遠位のディスクを除いて、従来技術と同じ方法で引っ張られる。
【0116】
一態様では、平行運動機構770および手首ジョイントアセンブリ780の可動域が試験される。また、シャフト737を通るケーブル摩擦、ならびに平行運動機構770および手首ジョイントアセンブリ780内の摩擦が試験される。
【0117】
サブアセンブリ701および702の試験後、中央チューブ束701はシャフト737の遠位端部からシャフト737の近位端部に引き回される。圧力シールされた電気ケーブル361およびライトパイプ362は、マニホールド660を通って引き回され、圧力シールされた電気ケーブル361はリピータボードに接続される。中央チューブ765の遠位端部は、マニホールド660に固定され、画像キャプチャサブアセンブリ742は、手首ジョイントアセンブリ780に固定される。サブアセンブリ701と702を組み合わせた後、電気、照明、およびカメラの試験が、組み立てプロセス中に何も破損しなかったことを確認するために繰り返されることができる。
【0118】
試験用のアセンブリ、さらに別のサブアセンブリを完成するために、第5のサブアセンブリの例である器具-内視鏡撮像システムケーブルサブアセンブリ703(図7C)が、ベース器具サブアセンブリ702に接続される。試験は、次に、システムが適切に機能しているかどうかを判断するために、器具-内視鏡撮像システムケーブルサブアセンブリ703を使用してこれを繰り返すことができる。
【0119】
図8は、内視鏡の組み立て中に内視鏡のサブアセンブリを組み立てて試験するためのプロセスフロー図である。ケーブル-カメラ接続プロセス801では、圧力シールされた電気ケーブル361の遠位端部の複数の導体410のそれぞれが、画像キャプチャユニット943(図9A)の対応する導体に接続される。この態様では、圧力シールされた電気ケーブル361の遠位端部のコネクタ425は、画像キャプチャユニット943のコネクタに接続される。この例では、画像キャプチャユニット943は立体画像キャプチャユニットであり、したがって2つのステレオカメラ944、945を含む。組み立ておよび試験プロセスは単一のカメラのみが使用される場合と同じであるため、ステレオカメラの使用は任意である。単一のカメラの場合、圧力シールされた電気ケーブル361内の複数の導体410の中に異なる数の導体があり得る。
【0120】
アース線が圧力シールされた電気ケーブル361の外側編組シールド412に織り込まれ、次に外側編組シールド412は画像キャプチャユニット943のボディに電気的に接続される。アース線は、ステレオカメラ944、945を設置するアース圧着部に電気的に取り付けられる。第1のサブアセンブリの例である完成した電気ケーブルおよび画像キャプチャユニットサブアセンブリ901が図9Aに示される。
【0121】
ケーブル-カメラ接続プロセス801が完了すると、電気ケーブルおよび画像キャプチャユニットサブアセンブリ901は、プロセス802と呼ばれることもある電気伝導度試験プロセス802で試験される。プロセス802では、電気ケーブルおよび画像キャプチャユニットサブアセンブリ901の電気伝導度が、ステレオカメラ944、945に電力を供給し、ステレオカメラ944、945からのビデオフィードを観察およびチェックすることによってチェックされる。
【0122】
電気伝導度試験プロセス802が正常に完了すると、画像キャプチャサブアセンブリ742は、プロセス803と呼ばれることもあるカメラシェル取り付けプロセス803において組み立てられる。プロセス803において、電気ケーブルおよび画像キャプチャユニットサブアセンブリ901をシェル946に取り付ける前に、ライトパイプ562-1および562-2の遠位端部は、シェル946の内部のエンクロージャ内に直接埋め込まれる。次に、電気ケーブルおよび画像キャプチャユニットサブアセンブリ901は、シェル946の遠位端部から装填され、図9Bに示されるように、ライトパイプ562-1および562-2が画像キャプチャユニット943の両側にあるように配置される。圧力シールされた電気ケーブル361は、ライトパイプ562-1および562-2と同様に、シェル946の近位端部から近位方向に延びる。図9Bでは、シェル946の側面は、ライトパイプ562-1および562-2および画像キャプチャユニット943が見えるように取り除かれている。最後に、蓋947が、第2のサブアセンブリと呼ばれることがあるシールされた画像キャプチャサブアセンブリ742を形成するように、シェル946の遠位端部に溶着される。蓋947は、カメラのそれぞれおよびライトパイプそれぞれのための窓を含む。
【0123】
カメラシェル取り付けプロセス803が完了すると、圧力試験が、蓋947とシェル946との間の溶着部が、シール検証試験プロセス804で水密であることを圧力減衰により検証するために実行される。一態様では、圧力試験は、(画像キャプチャユニット943とライトパイプ端部562-1および562-2を含む)シェルの内側と外側との間に圧力差を作り、圧力の減衰を測定することによって、達成される。圧力差の方向は関係ない。
【0124】
シール検証試験プロセス804の成功した結論に続いて、プロセス805と呼ばれることもある中央管腔組み立てプロセス805が実行される。プロセス805を検討する前に、中央チューブ765がさらに説明される。上記で説明したように、一態様では、中央チューブ765は、単一の中央管腔を有する成形された単一の連続シリコーンチューブである。一態様では、中央チューブ765は、射出成形された中空円筒形チューブでできており、それは今度は先細の楕円形チューブに射出成形される。
【0125】
一態様において、中央チューブ765は、医療用グレードのシリコーンエラストマーから作られる。最初に、近位円筒形チューブ部分中央チューブ765が、ジメチルおよびメチルビニルシロキサンコポリマーおよび補強シリカからなる二成分強化耐引裂き性(ETR)シリコーンエラストマーを使用して形成される。射出成形の前に、(重量で)等量の二成分が一緒に完全に混合される。エラストマーは、付加硬化(白金硬化)化学反応によって熱硬化される。二成分強化耐引裂き性シリコーンエラストマーは、Dow CorningによってSILASTIC(登録商標)BioMedical Grade ETR Elastomer Q7-4780の商品名で提供されている。(SILASTICはDow Corning Corporationの米国の登録商標である。)
【0126】
次に、中央チューブ765の近位円筒形チューブ部分が、中央チューブ765の遠位部分に成形される。中央チューブ765の遠位部分は、画像キャプチャアセンブリフランジ966の周囲に嵌合する遠位端部と中央チューブ765の近位円筒形チューブ部分との間の成形遷移部である。中央チューブ765の遠位部分は、二液型白金触媒シリコーンエラストマーを用いて作られる。(重量)等量の2つの部分は、射出成形の前に十分に混合される。エラストマーは付加硬化(白金触媒)反応によって熱硬化される。混合され硬化されるとき、得られるエラストマーは、架橋ジメチルおよびメチルビニルシロキサンコポリマーおよび補強シリカからなる。このエラストマーは最大204℃(400°F)まで熱安定性があり、オートクレーブ処理されることができる。二液型白金触媒シリコーンエラストマーは、Dow CorningからSILASTIC(登録商標)BioMedical Grade液体シリコーンゴムQ7-4850の商品名で提供されている。
【0127】
一態様では、中央チューブ765の内壁および外壁の両方が減摩コーティングでコーティングされている。1つの適切な減摩コーティングは、パリレン-Nコーティングである。この態様では、圧力シールされた電気ケーブル361の外側絶縁ジャケット403は、パリレン-Nコーティングのような減摩コーティングでコーティングされたシリコーンジャケットである。一態様では、圧力シールされた電気ケーブル361内の全ての絶縁ジャケットは、減摩コーティングでコーティングされている。同様に、ライトパイプ362の第1の端部562-1の保護シース502-1およびライトパイプ362の第2の端部562-2の保護シース502-2を含む保護シース502の外面は、パリレン-Nコーティングのような減摩コーティングでコーティングされたシリコーンシースである。
【0128】
最初に、画像キャプチャアセンブリフランジ966(図9C)がプロセス805において中央チューブ765の遠位端部に取り付けられる。上述のように、中央管腔の遠位端部の外周は、中央チューブ765がフランジ966に押し付けられたときに耐圧シールが形成されるように、フランジ966の外周よりわずかに小さい。一態様では、中央チューブ765とフランジ966との間に耐圧シールが確実に形成されることをさらに確実にするように、一片の熱収縮チューブが中央チューブ765の遠位端部の外周の周りで収縮される。
【0129】
次に、圧力シールされた電気ケーブル361とライトパイプ362が、図9Cに示す構造を得るように、フランジ966と中央チューブ765に通される。中央チューブ765の中央管腔の壁上、圧力シールされた電気ケーブル361の外側絶縁ジャケット403上、およびライトパイプ362のシース502の外側表面上の減摩コーティングは、圧力シールされた電気ケーブル361およびライトパイプ362の一方または両方を損傷させるかもしれない力の使用なしに、中央チューブ765を通って圧力シールされた電気ケーブル361およびライトパイプ362を通すこと(stringing)を容易にする。フランジ966は、第3のサブアセンブリとも呼ばれる中央チューブ束サブアセンブリ701を得るために、画像キャプチャサブアセンブリ742の近位端部に溶着される。
【0130】
中央管腔組み立てプロセス805の完了に続いて、プロセス806とも呼ばれるメインチューブ送り込み(FEEDING)プロセス806が実行される。プロセス806では、中央チューブ束701の近位端部がシャフト737の近位端部から現れるように、中央チューブ束701が手首ジョイントアセンブリ780、平行運動機構770、およびシャフト737を通って送り込まれる。中央チューブ765の外面の減摩コーティングは、ベース器具サブアセンブリ702の遠位端部からベース器具サブアセンブリ702内への中央チューブ束の送り込みを容易にする。中央チューブ765の長手方向軸は、この例では、シャフト737、平行運動機構770、および手首ジョイントアセンブリ780の長手方向軸と一致する。
【0131】
メインチューブ送り込みプロセス806の完了に続いて、プロセス807とも呼ばれるマニホールド組み立てプロセス807が実行される。プロセス807では、一片の熱収縮チューブが中央チューブ765の近位端部の上にスライドされ、次いで圧力シールされた電気ケーブル361およびライトパイプ362の近位端部がマニホールド660のフランジ661の開口部660-1に通される。次に、圧力シールされた電気ケーブル361およびライトパイプ362の近位端部は、圧力シール666の対応するチャンネルを通され、圧力シール666は、フランジ661とは反対側のマニホールド660の端部に取り付けられる。試験ポート保持器650がマニホールド660に取り付けられ、マニホールド660が圧力シールされた電気ケーブル361の周りおよびライトパイプ362の周りに圧力シール666を圧縮して耐圧シールを形成するように、ネジがマニホールド660の周りに試験ポート保持器を締め付けるために使用される。
する。
【0132】
中央管腔の近位端部の周囲はフランジ661の外周よりわずかに小さいので、近位端部の中央チューブ765がフランジ661に押し付けられるとき耐圧シールが形成される。一態様では、熱収縮チューブの一片は、中央チューブ765とフランジ661との間に耐圧シールが形成されることをさらに確実にするように、中央チューブ765の近位端部の外周の周りで収縮する。
【0133】
最後に、プロセス807を完了するために、圧力シールされた電気ケーブル361の近位端部が、ベース器具サブアセンブリ702のリピータボードに接続される。プロセス807と呼ばれることもあるマニホールド組み立てプロセス807の完了に続いて、中央管腔圧力試験および遠位照明試験プロセス808が実行される。
【0134】
中央管腔圧力試験および遠位照明試験プロセス808を検討する前に、圧力試験の理論的根拠が検討される。約15mmHgの注入圧で加圧したときに内視鏡の圧力チャンバに血液を通過させるのに十分な大きさの破れ(breach)の検出が、患者の安全のために必要である。表面張力に起因して、それ以下では注入圧が破れを通って血液を押し出すことができない最小の穴の大きさがある。しかし、孔のサイズに関係なく、破れを通る空気の流れはある程度発生する。したがって、注入圧として血液を通過させるのに十分な大きさの破損がないことを保証する方法は、内視鏡内の圧力チャンバを150mmHgのような所定の圧力に加圧し、圧力が、所定の時間間隔の間、所定の最小圧力を下回るかどうかを観察することである。所定の時間間隔の終了時に圧力が所定の最小圧力を下回らない場合、内視鏡は、注入圧で加圧されたときに血液を圧力チャンバ容積内に通過させるような破れを有していないと見なされる。圧力試験は、血液が通過するには小さすぎるものを含め、すべての破れを調べるため、これは最悪のケースの評価である。圧力試験の詳細は、さまざまな破れのリーク率とそれに対応する血流特性を評価することによって経験的に決定される。
【0135】
中央管腔圧力試験および遠位照明試験プロセス808では、試験プローブが内視鏡の圧力試験ポートに挿入され、上で定義されたように、圧力試験チャンバが所定の圧力、例えば150mmHGに加圧される。圧力試験チャンバが、所定の最小圧力、例えば40mmHgを超える圧力を所定の時間間隔の間、例えば30秒間保持する場合、内視鏡の外部環境と圧力試験チャンバの内部との間の連通に関して送気圧力での流体経路はなく、これは手術中に重要である。その結果、内視鏡を送気圧力で使用される手術中に圧力試験チャンバを汚染されることはできない。照明試験では、ライトパイプの光透過率および破損していない照明ファイバの数のような特性が測定される。
【0136】
一態様では、手首ジョイントアセンブリ780の遠位ディスク1081(図10A)が、メインチューブ送り込みプロセス806の後、画像キャプチャサブアセンブリ742の近位端部に溶着される。複数の手首作動ケーブルが遠位ディスク1081に接続される。複数の手首作動ケーブルのうちの1つの作動ケーブル1082が、図10Aの断面図に示されている。作動ケーブル1082は、遠位ディスク1081の近位端面の貫通孔から遠位ディスク1081に入り、スロット1081A内に延びる。作動ケーブル1082の遠位端部上の、ケーブルエンド取付部品の例である圧着取付部品(crimp fitting)1083は、手首ジョイントアセンブリ780の遠位ディスク1081内のスロット1081A内に位置決めされる。(ケーブルエンド取付部品は取付部品と呼ばれることもある。)スロット1081Aは、遠位ディスク1081の遠位端面から遠位ディスク1081内に近位方向に延びる。圧着取付部品1083の周りおよびケーブル1082の周りの近位でスロット1081Aの遠位端部から外部環境への潜在的な漏れ経路を遮断するために、この態様では、スロット1081Aは、圧着取付部品1083を封入しそしてスロット1081Aの開放容積を充填するように、遠位端部から常温加硫シリコーンで充填される。
【0137】
別の態様では、スロット1081Aを充填し圧着取付部品1083を封入する必要性が排除される。この態様では、遠位ディスク1081は、手首ジョイントアセンブリ780の2つの遠位ディスク1081-1および1081-2に分割される。ディスク1081-2は、手首ジョイントアセンブリ780の遠位端部から2番目のディスクであるため、第2の遠位ディスク1081-2と呼ばれる。ディスク1081-1は、手首ジョイントアセンブリ780の遠位端部の第1のディスクであるので、第1の遠位ディスク1081-1と呼ばれる。
【0138】
手首ジョイントアセンブリ780用の複数の手首作動ケーブルが、第1の遠位ディスク1081-1および第2の遠位ディスク1081-2の接続された組み合わせ部(mated combination)に接続される。複数の手首作動ケーブルのうちの1つの作動ケーブル1082が図10Bの断面図に示されている。
【0139】
作動ケーブル1082は、第2の遠位ディスク1081-2の近位端面から第2の遠位ディスク1081-2の遠位面まで延びる貫通孔を通過する。作動ケーブル1082は、第1の遠位ディスク1081-1のスロット1081B内に延びる。作動ケーブル1082の遠位端部の圧着取付部品1083が、手首ジョイントアセンブリ780の第1の遠位ディスク1081-1のスロット1081B内に位置決めされる。スロット1081Aは、第1の遠位ディスク1081の近位端面から第1の遠位ディスク1081-1内へ遠位方向に延びる。
【0140】
第1の遠位ディスク1081-1の外周遠位端面1081-1DSは、画像キャプチャサブアセンブリ742のシェルに溶着される。第2の遠位ディスク1081-2の外周縁遠位端面1081-2DSは、第1の遠位ディスク1081-1の外周近位端面1081-1PSに溶着される。第1の遠位ディスク1081-1が圧力チャンバ内部の容積への漏れ経路を遮断するので、圧着取付部品1083の周囲およびケーブル1082の周囲の外部環境への漏れ経路はもはやない。圧着取付部品1083は、第2の遠位ディスク1081-2への第1の遠位ディスク1081-1の接続によって作り出される容積内に封入されており、圧力試験チャンバと、第2の遠位ディスク1081-2への第1の遠位ディスク1081-1の接続によって作り出される容積との間に手術中に重要な経路はない。
【0141】
したがって、図10Bに示されるように、関節運動アセンブリは、第1のディスク1081-1、第2のディスク1081-2、遠位端部を有する作動ケーブル1082、および圧着取付部品1083を含む。作動ケーブル1082は第2のディスク1081-2を通過し、圧着取付部品1083は作動ケーブル1082の遠位端部に取り付けられる。圧着取付部品1083は、第2のディスク1081-2への第1のディスク1081-1の接続によって形成されたキャビティ内に収容される。
【0142】
本明細書で使用されるとき、「第1」、「第2」、「第3」、「第4」などは、異なる構成要素または要素を区別するために使用される形容詞である。したがって、「第1」、「第2」、「第3」、「第4」などは、構成要素若しくは要素の順序または構成要素若しくは要素の特定の数を意味することを意図するものではない。
【0143】
本発明の態様および実施形態を示す上記の説明および添付の図面は、限定として解釈されるべきではなく、特許請求の範囲が保護される発明を定義する。この説明および特許請求の範囲の精神および範囲から逸脱することなく、様々な機械的、組成的、構造的、電気的、および動作上の変更を加えることができる。いくつかの例では、本発明を曖昧にすることを避けるために、よく知られている回路、構造、および技法は詳細に示されていないかまたは説明されていない。
【0144】
さらに、この説明の用語は本発明を限定することを意図するものではない。例えば、「下方」、「下」、「下側」、「上」、「上側」、「近位」、「遠位」などのような空間的に相対的な用語は、図面に描かれているような、1つの要素または特徴の、他の要素または特徴に対する関係を記述するために使用され得る。これらの空間的に相対的な用語は、図面に示された位置及び配向に加えて、使用中または動作中の装置の様々な位置(すなわち、場所)および向き(すなわち、回転配置)を包含することが意図されている。例えば、図面の装置がひっくり返される場合、他の要素または特徴の「下」または「下方」と記述された要素は、他の要素または特徴の「上」又は「上方」になる。したがって、例示的な用語「下」は、上および下の位置と向きとの両方を包含し得る。装置は他の方向に向けられ(90度または他の向きに回転させられ)てもよく、本明細書において使用される空間的に相対的な記述語は、それに応じて解釈される。同様に、様々な軸に沿ったおよびその周りの動きの説明は、様々な空間的な装置の位置および向きを含む。
【0145】
単数形「1つの(“a”,“an”)」及び「その(“the”)」は、文脈がそうでないことを示さない限り、複数形も同様に含むことが意図される。用語「有する」、「備える」、「含む」などは、述べられた特徴、ステップ、動作、要素、および/または構成要素の存在を特定するが、1つまたは複数の他の特徴、ステップ、動作、要素、構成要素、および/またはグループの存在又は追加を除外しない。結合されると記述されている構成要素は、電気的にもしくは機械的に直接結合され得るか、またはそれらは、1つもしくは複数の中間構成要素を介して間接的に結合され得る。
【0146】
すべての実施例および例示的な参考文献は非限定的であり、特許請求の範囲を本明細書に記載の特定の実装形態および実施形態、ならびにそれらの均等物に限定するために使用されるべきではない。1つの見出しの下のテキストは相互参照したり、1つまたは複数の見出しの下のテキストに適用される可能性があるため、見出しはフォーマット設定のみを目的としたものである。最後に、本開示に鑑みて、図面に具体的に示されていないかまたは本文に記述されていなくても、一態様または実施形態に関して説明した特定の特徴は、本発明の他の開示された態様または実施形態に適用することができる。
図1
図2A
図2B
図2C
図2D
図3
図4A
図4B
図5
図6
図7A
図7B
図7C
図8
図9A
図9B
図9C
図10A
図10B