(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-11
(45)【発行日】2022-03-22
(54)【発明の名称】剥離スリーブを有する可撓性容器
(51)【国際特許分類】
B65D 75/26 20060101AFI20220314BHJP
B65D 30/10 20060101ALI20220314BHJP
【FI】
B65D75/26
B65D30/10
(21)【出願番号】P 2019504718
(86)(22)【出願日】2017-07-26
(86)【国際出願番号】 US2017043875
(87)【国際公開番号】W WO2018022709
(87)【国際公開日】2018-02-01
【審査請求日】2020-07-13
(32)【優先日】2016-07-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】502141050
【氏名又は名称】ダウ グローバル テクノロジーズ エルエルシー
(73)【特許権者】
【識別番号】590002035
【氏名又は名称】ローム アンド ハース カンパニー
【氏名又は名称原語表記】ROHM AND HAAS COMPANY
(73)【特許権者】
【識別番号】516370305
【氏名又は名称】ピービービー ポリシャー エス.アール.エル.
(74)【代理人】
【識別番号】100092783
【氏名又は名称】小林 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100095360
【氏名又は名称】片山 英二
(74)【代理人】
【識別番号】100120134
【氏名又は名称】大森 規雄
(74)【代理人】
【識別番号】100187964
【氏名又は名称】新井 剛
(74)【代理人】
【識別番号】100104282
【氏名又は名称】鈴木 康仁
(72)【発明者】
【氏名】ミコラボ・カルドッソ・マッツォーラ
(72)【発明者】
【氏名】ジョージ・カミネロ・ゴメス
(72)【発明者】
【氏名】ハビエル・ヘクター・フィゲイラ
(72)【発明者】
【氏名】シルビナ・ヴァネッサ・ダゴスト
【審査官】家城 雅美
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第06280085(US,B1)
【文献】特開昭63-254133(JP,A)
【文献】特開昭52-041098(JP,A)
【文献】欧州特許出願公開第01428767(EP,A1)
【文献】英国特許出願公開第01503913(GB,A)
【文献】特開2011-201587(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 75/26
B65D 30/10
C08J 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
可撓性容器であって、
対向する第2の可撓性フィルム上に重ね合わされた第1の可撓性フィルムであって、前記第1の可撓性フィルムおよび前記第2の可撓性フィルムが共通の周縁部に沿ってシールされて、密閉チャンバを有する内部容器を形成し、
前記第1の可撓性フィルムおよび前記第2の可撓性フィルムが各々、エチレン系ポリマーを含む最外層を有し、各最外層が、
34mN/m~
35mN/mの表面エネルギーを有する表面処理層である、
前記第1および第2の可撓性フィルムと、
各それぞれの最外層の上に前記共通の周縁部に沿って重ね合わされた剥離スリーブと、
前記剥離スリーブと各最外層との間に前記共通の周縁部に沿って配置されている解放材料であって、前記剥離スリーブを前記内部容器に解放可能に取り付ける、
前記解放材料と、を含
み、
前記解放材料が、GRASアクリレート系組成物である、前記可撓性容器。
【請求項2】
前記解放材料が、前記共通の周縁部の一部に沿って間隔を空けて、前記剥離スリーブと各最外層との間に配置されている、請求項1に記載の可撓性容器。
【請求項3】
各剥離スリーブが、前記可撓性容器の上部にタブを備え、各タブが、解放材料を含まない、請求項1または2のいずれかに記載の可撓性容器。
【請求項4】
前記内部容器が、前記可撓性容器の上部に上部ヒートシールを備える、請求項1~3のいずれかに記載の可撓性容器。
【請求項5】
前記上部ヒートシールが、前記タブによって挟まれている、請求項4に記載の可撓性容器。
【請求項6】
前記上部ヒートシールおよび前記タブが前記解放材料を含まない、請求項3~5のいずれかに記載の可撓性容器。
【請求項7】
少なくとも1つのタブが、剥離スリーブを掴んで解放を開始するための自由端を有する、請求項3~6のいずれかに記載の可撓性容器。
【請求項8】
前記解放材料が、0.00656N/mm~0.
0386N/mmの固着強度で各剥離スリーブをそのそれぞれの表面処理層に接着する、請求項1~7のいずれかに記載の可撓性容器。
【請求項9】
前記解放材料は、前記剥離スリーブがそのそれぞれの表面処理層から解放されるときに、前記剥離スリーブに接着する、請求項
1に記載の可撓性容器。
【請求項10】
前記上部ヒートシールの底部に配置されたアクセス部材を備える、請求項1~9のいずれかに記載の可撓性容器。
【請求項11】
前記アクセス部材が、引き裂きノッチ、引き裂きスリット、ミシン目、脆弱線、切れ目、およびそれらの組み合わせから成る群から選択される、請求項10に記載の可撓性容器。
【請求項12】
前記アクセス部材の下に配置されたアクセサリ構造を備える、請求項10または11のいずれかに記載の可撓性容器。
【請求項13】
前記アクセサリ構造が、前記アクセス部材の下に配置されたアクセサリ構造を構成する
、再シール構造、マイクロキャピラリーストリップ、およびそれらの組み合わせから成る群から選択される、請求項12に記載の可撓性容器。
【請求項14】
各剥離スリーブが、ポリエチレンテレフタレートおよび二軸配向ポリプロピレンから成る群から選択される材料から成る、請求項1~
13のいずれかに記載の可撓性容器。
【請求項15】
前記可撓性容器が、パウチ、ピローパウチ、スタンドアップパウチ、およびフィンシールパウチから成る群から選択される、請求項1~
14のいずれかに記載の可撓性容器。
【請求項16】
前記チャンバ内に食料品を含む、請求項1~
15のいずれかに記載の可撓性容器。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
今日急速に成長している消費者セグメントは、これまで以上に移動に時間を費やしている「外出中」のセグメントである。今日の社会におけるこの増加中の集団は、しばしば「トランシューマー(transumer)」、すなわち移動中に飲食する消費者と称される。トランシューマーは、事前に分割され、持ち運び可能な可撓性容器に包装され、急速な消費、例えば、テーブルなどの伝統的な食堂ではない場所で多くの場合生じる消費を便利に可能にする食品の選択肢を模索する。
【0002】
包装食品が「外出中」に消費されるという傾向の高まりに対応するために、当技術分野では、移動中の安全で、汚染物質を含まない食品消費のためのプラットフォームを提供しながら、同時に、職場と自宅との間の時間に食品を便利に供給できる可撓性容器の必要性を認識している。当技術分野では、外出中に容易に開放することができ、口と容器を直接接触させて安全に消費することができる可撓性容器の必要性をさらに認識している。
【発明の概要】
【0003】
本容器は、可撓性容器を提供する。実施形態では、可撓性容器は、対向する第2の可撓性フィルム上に重ね合わされた第1の可撓性フィルムを含む。第1の可撓性フィルムおよび第2の可撓性フィルムは、共通の周縁部に沿ってシールされて、密閉チャンバを有する内部容器を形成する。第1の可撓性フィルムおよび第2の可撓性フィルムは各々、エチレン系ポリマーを含む最外層を有する。各最外層は、33mN/m~36mN/mの表面エネルギーを有する表面処理層である。可撓性容器は、各それぞれの最外層の上に共通の周縁部に沿って重ね合わされた剥離スリーブを含む。可撓性容器は、共通の周縁部に沿って剥離スリーブと各最外層との間に配置された解放材料を含む。解放材料は、剥離スリーブを内部容器に解放可能に取り付ける。
【図面の簡単な説明】
【0004】
【
図1】本開示の実施形態による、可撓性容器の斜視図である。
【
図2】本開示の実施形態による、剥離シールが内部容器から解放される
図1の可撓性容器の斜視図である。
【
図3】本開示の実施形態による、
図1の可撓性容器およびアクセス部材の作動の斜視図である。
【
図4】本開示の実施形態による、
図1の可撓性容器の上部を示す、
図1の領域4の拡大斜視図である。
【
図5】本開示の実施形態による、再シール構造を有する
図1の領域4の拡大斜視図である。
【
図6】本開示の実施形態による、マイクロキャピラリーストリップを示す
図1の領域4の拡大斜視図である。
【
図7】本開示の実施形態による、消費前のシナリオにおける
図1の可撓性容器の斜視図である。
【
図8】本開示の実施形態による、
図7の可撓性容器からの清潔で汚染物質を含まない食料品の供給を楽しんでいる消費者の斜視図である。
【0005】
定義および試験方法
本明細書における元素周期表への全ての言及は、CRC Press,Inc.,2003によって出版および著作権化されている元素周期表を指すものとする。さらに、族(複数可)への全ての言及は、族の番号付けに関してIUPACシステムを使用するこの元素周期表に反映される族(複数可)とする。矛盾する記載、文脈から暗示的、または本技術分野において慣習的でない限り、全ての部およびパーセントは、重量に基づく。米国の特許実務の目的上、本明細書で参照されるあらゆる特許、特許出願、または刊行物の内容は、特に合成技術、定義(本明細書で提供される任意の定義と矛盾しない範囲まで)、および当該術分野における一般知識の開示に関して、参照によりそれらの全体が本明細書に組み込まれる(またはそのように、それらの同等の米国版が参照により組み込まれる)。
【0006】
本明細書に開示される数値範囲は、下限値および上限値、ならびにそれらを含む全ての値を含む。明示的な値(例えば、1、または2、または3~5、または6、または7まで)を含む範囲に関して、任意の2つの明示的な値の間の任意の下位範囲(例えば、1~2、2~6、5~7、3~7、5~6等)が含まれる。
【0007】
矛盾する記載、文脈から暗示的、または本技術分野において慣習的でない限り、全ての部およびパーセントは重量に基づき、全ての試験方法は本開示の出願日の時点で現行のものである。
【0008】
「固着強度」という用語は、材料(複数可)のプライを分離するのに必要な力またはエネルギーの量にプライを曲げる力を加えたものである。プライ分離は、最初に熱を加えることによってまたは溶媒を使用することによって機械的に開始される。次いで、分離された試験片のプライを引張試験機のグリップに配置する。次いで、グリップを分離し、プライをさらに分離するのに必要な力を固着強度と定義する。固着強度は、ASTM F904に従って測定され、1ミリメートル当たりのニュートン、すなわちN/mmで報告される。
【0009】
本明細書で使用される場合、「組成物」という用語は、組成物を含む材料の混合物、ならびに組成物の材料から形成された反応生成物および分解生成物を指す。
【0010】
「含む(comprising)」、「含む(including)」、「有する(having)」という用語、およびそれらの派生語は、任意の追加の構成要素、ステップ、または手順が、具体的に開示されているかに関わらず、それらの存在を除外するようには意図されない。曖昧さを避けるために、「含む」という用語の使用を通じて主張される全ての組成物は、否定する記載がない限り、任意の追加の添加剤、アジュバント、またはポリマー化合物であるかに関わらず化合物を含み得る。対照的に、「本質的に~から成る」という用語は、操作性に必須ではないものを除いて、任意の後続の引用の範囲から、任意の他の構成要素、ステップ、または手順を除外する。「から成る」という用語は、具体的に規定または列挙されていない任意の構成要素、ステップ、または手順を除外する。
【0011】
密度は、ASTM D792に従って測定され、その結果は、グラム(g)/立方センチメートル(cc)、またはg/ccで報告される。
【0012】
本明細書で使用される場合、「エチレン系ポリマー」は、(重合性モノマーの総量に基づいて)50モルパーセントを超える重合エチレンモノマーを含有し、任意に、少なくとも1つのコモノマーを含有し得るポリマーである。
【0013】
メルトフローレート(MFR)は、ASTM D1238、条件280℃/2.16kg(g/10分)に従って測定される。
【0014】
メルトインデックス(MI)は、ASTM D1238、条件190℃/2.16kg(g/10分)に従って測定される。
【0015】
本明細書で使用される場合、Tmまたは「融点」(プロットされたDSC曲線の形状に関して融解ピークとも称される)は、典型的には、USP5,783,638に記載されているとおり、ポリオレフィンの融点またはピークを測定するためのDSC(示差走査熱量測定)技術によって測定される。2つ以上のポリオレフィンを含む多くの混成物は、1つを超える融点またはピークを有し、多くの個々のポリオレフィンは1つのみの融点またはピークを含むことに留意されたい。
【0016】
本明細書で使用する場合、「オレフィン系ポリマー」は、(重合性モノマーの総量に基づいて)50モルパーセントを超える重合オレフィンモノマーを含有し、任意に、少なくとも1つのコモノマーを含有し得るポリマーである。オレフィン系ポリマーの非限定的な例としては、エチレン系ポリマーおよびプロピレン系ポリマーが挙げられる。
【0017】
「ポリマー」は、重合形態で、ポリマーを構成する複数の、および/または繰り返し「単位」または「マー単位」を提供する、同じまたは異なる種類のモノマーを重合することによって調製された化合物である。したがって、一般的な用語のポリマーは、用語ホモポリマーを含み、通常、1種類のモノマーのみから調製されたポリマーを指すのに用いられ、用語コポリマーは、通常、少なくとも2種類のモノマーから調製されたポリマーを指す。さらに、ランダム、ブロックなどの全ての形態のコポリマーも包含する。「エチレン/α-オレフィンポリマー」および「プロピレン/α-オレフィンポリマー」という用語は、それぞれエチレンまたはプロピレンを重合させて調製された上述のコポリマー、および1つ以上の追加の重合性α-オレフィンモノマーを示す。ポリマーは、多くの場合、特定のモノマーまたはモノマーの種類に「基づいて」、特定のモノマー含有量を「含有する」など、1つ以上の特定のモノマー「から作製される」ものと言及されるが、この文脈では、「モノマー」という用語は、特定されたモノマーの重合残留物を指し、非重合種には言及していないことを理解していることに留意する。一般に、本明細書におけるポリマーは、対応するモノマーの重合形態である「単位」に基づくものを指す。
【0018】
「プロピレン系ポリマー」は、(重合性モノマーの総量に基づいて)50モルパーセントを超える重合プロピレンモノマーを含有し、任意に少なくとも1つのコモノマーを含有し得るポリマーである。
【0019】
「表面エネルギー」という用語は、材料の表面上にある全ての分子間力、別の材料に及ぼす材料表面の引力または反発力の程度の合計である。表面エネルギーは、ASTM D2578に従って測定され、ミリニュートン/メートル、またはmN/mで報告される。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本開示は、可撓性容器を対象とする。実施形態では、可撓性容器は、対向する第2の可撓性フィルム上に重ね合わされた第1の可撓性フィルムを含む。第1の可撓性フィルムおよび第2の可撓性フィルムは、共通の周縁部に沿ってシールされて、密閉チャンバを有する内部容器を形成する。第1の可撓性フィルムおよび第2の可撓性フィルムは各々、エチレン系ポリマーから成る最外層を有する。各最外層は、33mN/m~36mN/mの表面エネルギーを有する表面処理層である。可撓性容器は、各それぞれの最外層の上に共通の周縁部に沿って重ね合わされた剥離スリーブを含む。可撓性容器は、共通の周縁部に沿って剥離スリーブと各最外層との間に配置された解放材料を含む。解放材料は、剥離スリーブを内部容器に解放可能に取り付ける。
【0021】
1.可撓性フィルム
本可撓性容器は、共通の周縁部を画定するように、対向する第2の可撓性フィルム上に重ね合わされた第1の可撓性フィルムを含む。第1の可撓性フィルムおよび第2の可撓性フィルムは、互いに対して分離された個別のフィルムであり得る。あるいは、第1の可撓性フィルムおよび第2の可撓性フィルムは各々、例えば、折り畳み式底部パウチなどの可撓性容器の一方の側部に沿って折り畳まれる単一の一体型フィルムの構成要素(すなわちパネル)であり得る。「折り畳み式底部パウチ」は、三面にシールを有する単一の可撓性フィルムから作製された可撓性のパウチであり、単一の可撓性フィルムは底部で折り畳められている。
【0022】
本可撓性容器は、第1の可撓性フィルムと第2の可撓性フィルムとを含む。各フィルムは、可撓性であり、1層、または2層から3層、または4層、または5層、または6層、または7層、または8層、または9層、または10層を有する。第1の可撓性フィルムおよび第2の可撓性フィルムは各々、弾力性、可撓性、変形性、および柔軟性を有する。各可撓性フィルムの構造および組成は、同じであっても、または異なっていてもよい。例えば、2つの対向する可撓性フィルムの各々は、別個のウェブから作製され得、各ウェブが特有の構造、および/または特有の組成、仕上がり、もしくは印刷を有する。あるいは、各可撓性フィルムは、同じ構造および同じ組成であり得る。
【0023】
実施形態では、第1の可撓性フィルムおよび第2の可撓性フィルムは各々、同じ構造および同じ組成を有する可撓性複層フィルムである。
【0024】
各可撓性複層フィルムは、(i)共押出複層構造、(ii)積層物、または(i)と(ii)との組み合わせであり得る。実施形態では、各可撓性複層フィルムは、少なくとも3層、つまり、シール層、外層、ならびにその間のコア層および/または結合層を有する。結合層は、シール層を外層に接合する。可撓性複層フィルムは、シール層と外層との間に配設された1つ以上の任意の内層を含み得る。
【0025】
実施形態では、可撓性複層フィルムは、少なくとも2つ、または3つ、または4つ、または5つ、または6つ、または7つ~8つ、または9つ、または10、または11以上の層を有する、共押出フィルムである。例えば、フィルムを構築するために使用されるいくつかの方法は、キャスト共押出法またはブロー共押出法によるもの、接着積層、押出積層、熱積層、および蒸着などのコーティングである。これらの方法の組み合わせもまた、可能である。フィルム層は、ポリマー材料に加えて、包装産業で一般的に使用される安定剤、スリップ添加剤、粘着防止添加剤、加工助剤、清澄剤、核剤、顔料または着色剤、充填剤および補強剤等の添加剤を含み得る。好適な感覚受容特性およびまたは光学特性を有する添加剤およびポリマー材料を選ぶことが特に有用である。
【0026】
シール層および/またはコア層および/または外層用の好適なポリマー材料の非限定的な例としては、オレフィン系ポリマー(直鎖もしくは分岐鎖の任意のエチレン/C3-C10α-オレフィンコポリマーを含む)、プロピレン系ポリマー(プラストマーおよびエラストマー、ランダムプロピレンコポリマー、プロピレンホモポリマー、ならびにプロピレンインパクトコポリマーを含む)、エチレン系ポリマー(プラストマーおよびエラストマー、高密度ポリエチレン(「HDPE」)、低密度ポリエチレン(「LDPE」)、直鎖低密度ポリエチレン(「LLDPE」)、中密度ポリエチレン(「MDPE」))、エチレン-アクリル酸もしくはエチレン-メタクリル酸、およびそれらの亜鉛塩、ナトリウム塩、リチウム塩、カリウム塩、マグネシウム塩とのイオノマー、エチレン酢酸ビニルコポリマー、ならびにこれらの混成物が挙げられる。
【0027】
結合層用の好適なポリマー材料の非限定的な例としては、エチレン酢酸ビニル(「EVA」)などの官能化エチレン系ポリマー;任意のポリエチレン、エチレンコポリマー、もしくはポリプロピレンなどのポリオレフィンにグラフトされた無水マレイン酸を有するポリマー;およびエチレンアクリル酸メチル(「EMA」)などのエチレンアクリレートコポリマー;グリシジル含有エチレンコポリマー;INTUNE(商標)(プロピレン系オレフィンブロックコポリマー)およびINFUSE(商標)(オレフィンブロックコポリマー)(両方ともThe Dow Chemical Companyから入手可能)などのプロピレンおよびエチレン系オレフィンブロックコポリマー(OBC);ならびにこれらの混成物が挙げられる。
【0028】
可撓性複層フィルムは、構造的統合性に寄与するか、または特定の特性を提供し得る追加の層を含み得る。追加の層は、直接的手段によって、または隣接するポリマー層に対する適切な結合層を使用することによって追加され得る。剛性または不透明度などの追加の機械的/光学的性能を提供し得るポリマー、ならびに気体バリア特性または化学物質耐性を提供し得るポリマーが、この構造に追加され得る。
【0029】
任意のバリア層用の好適な材料の非限定的な例としては、塩化ビニリデンと、アクリル酸メチル、メタクリル酸メチル、または塩化ビニルとのコポリマー(例えば、The Dow Chemical Companyから入手可能なSARAN(商標)樹脂)、ビニルエチレンビニルアルコール(EVOH)、金属箔(アルミニウム箔など)が挙げられる。あるいは、積層物複層フィルムにおいて使用されるとき、BON、OPET、またはOPPなどのフィルム上の蒸着アルミニウムまたは酸化シリコンなどの修正ポリマーフィルムが、バリア特性を得るために使用され得る。
【0030】
実施形態では、可撓性複層フィルムは、LLDPE(商品名DOWLEX(商標)(The Dow Chemical Company)で販売)、シングルサイトLLDPE(商品名AFFINITY(商標)またはELITE(商標)(The Dow Chemical Company)で販売されるポリマーを含む、実質的に直鎖もしくは直鎖のオレフィンポリマー、例えば、エチレン酢酸ビニル(EVA)、エチレンアクリル酸エチル(EEA)、VERSIFY(商標)(The Dow Chemical Company)などのプロピレン系プラストマーまたはエラストマー、グラフト化オレフィン系ポリマー(MAHグラフト化)、およびこれらの混成物から選択されるシール層を含む。任意の結合層は、オレフィンブロックコポリマー(INFUSE(商標)として販売)またはプロピレン系オレフィンブロックコポリマー(INTUNE(商標))のいずれかから選択される。外層は、25℃~30℃、または40℃、またはシール層におけるポリマーの融点よりも高い融点Tmを有する50重量%を超える樹脂(複数可)を含み、ここで、外層ポリマーは、AFFINITY(商標)、LLDPE(DOWLEX(商標)、VERSIFY(商標)もしくはVISTAMAX、ELITE(商標)、MDPE、HDPE、またはプロピレンホモポリマー、プロピレンインパクトコポリマー、もしくはTPOなどのプロピレン系ポリマーなどの樹脂から選択される。
【0031】
実施形態では、可撓性複層フィルムは共押出される。
【0032】
実施形態では、可撓性複層フィルムは、LLDPE(商品名DOWLEX(商標)(The Dow Chemical Company)で販売)、シングルサイトLLDPE(実質的に直鎖もしくは直鎖のオレフィンポリマー、例えば、VERSIFY(商標)(The Dow Chemical Company)などのプロピレン系プラストマーまたはエラストマー、グラフト化オレフィン系ポリマー(MAHグラフト化)、およびこれらの混成物から選択されるシール層を含む。
【0033】
実施形態では、第1の可撓性フィルムおよび第2の可撓性フィルムは各々、3層を有する複層フィルムである。各層は、LLDPEとLDPEとの混成物である。各層は、60重量%、または70重量%~80重量%のLLDPEと、40重量%、または30重量%~20重量%のLDPE(各それぞれの層の総重量に基づく)の逆数のLDPEとを含む。さらなる実施形態では、各層は、前述の重量パーセントのLLDPEおよびLDPEから成る。
【0034】
第1の可撓性フィルムおよびさらに第2の可撓性フィルムは各々、例えば、LLDPEおよびLDPEから成る。さらなる実施形態では、第1の可撓性フィルムおよび第2の可撓性フィルムは各々、1つ以上のエチレン系ポリマー(複数可)から成る(単独で構成される)。第1の可撓性フィルムおよび第2の可撓性フィルムは各々、例えば、LLDPEおよびLDPEから成る。
【0035】
2.内部容器
実施形態では、
図1~
図3は、第1の可撓性フィルム12および第2の可撓性フィルム14を有する可撓性容器10を示す。第1の可撓性フィルム12および第2の可撓性フィルム14は、互いに対して分離された個別のフィルムである。フィルム12、14は各々、可撓性複層フィルムである。第1の可撓性フィルム12と第2の可撓性フィルム14は互いに重ね合わされて、共通の周縁部16を形成するか、さもなければ規定する。ヒートシール18が、共通の周縁部16の全てまたは実質的に全てに沿って第1の可撓性フィルム12を第2の可撓性フィルム14にシールする。
【0036】
さらなる実施形態では、第1の可撓性フィルム12および第2の可撓性フィルム14は各々、エチレン系ポリマーのみから成る3層フィルムであり、各層は、70重量%のLLDPEおよび30重量%のLDPEから成る。
【0037】
実施形態では、ヒートシール18は、気密シールである。
【0038】
ヒートシール18は、共通周縁部16の少なくとも一部に沿って延在して、チャンバ20を形成する。チャンバ20は、以下に詳細に考察されるように内容物を保持するためのシールされた気密エンクロージャである。実施形態では、ヒートシール18は、
図1~
図3に示すように、共通の周縁部16の全てまたは実質的に全てに沿って延在して密閉チャンバ20を形成する。
【0039】
3.表面処理層
図3に最もよく示されているように、第1の可撓性フィルム12および第2の可撓性フィルム14は各々、それぞれの最外層12a、14aを有する。各最外層12a、14aは、1つ以上のエチレン系ポリマー(複数可)を含む。各最外層12a、14aは、表面処理層である。本明細書で使用される場合「表面処理層」は、フィルム表面の表面エネルギーを上昇させる、さもなければ増加させる手順を受けたフィルム表面である。換言すれば、表面処理されたフィルム層は、フィルム表面がその新生状態で有するよりも大きな表面エネルギーを有する。表面処理層を生成するための非限定的な手順としては、コロナ処理、火炎処理、プラズマ処理、熱処理、圧力処理、およびそれらの組み合わせを含むが、これらに限定されない反応性表面改質が挙げられる。
【0040】
例えば、ポリエチレンは、その新生状態において約31mN/mの表面エネルギーを有する。各表面処理層12a、14aは、33mN/m、または34mN/m、または35mN/m、または36mN/mの表面エネルギーを有するエチレン系ポリマーから成る。実施形態では、各表面処理層12a、14aは、34mN/m~35mN/mの表面エネルギーを有する。
【0041】
4.剥離スリーブ
本可撓性容器は、1つ以上の剥離スリーブを含む。剥離スリーブ(複数可)は、各それぞれの最外層の上に共通の周縁部に沿って重ね合わされる。第1の可撓性フィルムおよび第2の可撓性フィルムとともに、剥離スリーブ(複数可)は、共通の周縁部をさらに画定する。剥離スリーブは、単一の剥離スリーブであり得る。この実施形態では、単一のフィルムが剥離スリーブとして機能し、単一のフィルムは可撓性容器の底部に折り畳み式底部を有する。
【0042】
実施形態では、可撓性容器10は、
図1~
図3に示すように、2つの剥離スリーブ、剥離スリーブ22および剥離スリーブ24を含む。各剥離スリーブは、それぞれの可撓性フィルムに対向する。剥離スリーブ22は可撓性フィルム12に対向し、剥離スリーブ24は可撓性フィルム14に対向する。各剥離スリーブは、それぞれの表面処理層の上に重ね合わされる(剥離スリーブ22は表面処理層12aの上に重ね合わされ、剥離スリーブ24は表面処理層14aの上に重ね合わされる)。各剥離スリーブは、剥離スリーブ22、24が共通の周縁部16をさらに画定するように、それぞれの可撓性フィルムと同じサイズ、または実質的に同じサイズになるようにサイズ/形状および/または寸法が決められる。
【0043】
各剥離スリーブ22、24は可撓性フィルムであり、単層フィルムまたは複層フィルムであり得る。各剥離スリーブ22、24の材料は、同じであっても、または異なっていてもよい。剥離スリーブ22、24用の好適な材料の非限定的な例としては、ポリエチレンテレフタレート(PET)、二軸配向ポリエチレンテレフタレート(OPET)、一軸配向ナイロン(MON)、二軸配向ナイロン(BON)、および二軸配向ポリプロピレン(BOPP)などの金属箔およびポリマー材料が挙げられる。剥離スリーブの構築において有用な他のポリマー材料は、ポリプロピレン(プロピレンホモポリマー、ランダムプロピレンコポリマー、プロピレンインパクトコポリマー、熱可塑性ポリプロピレン(TPO)など、プロピレン系プラストマー(例えば、VERSIFY(商標)またはVISTAMAX(商標))など)、ポリアミド(ナイロン6、ナイロン6,6、ナイロン6,66、ナイロン6,12、ナイロン12など)、ポリエチレンノルボルネン、環状オレフィンコポリマー、ポリアクリロニトリル、ポリエステル、コポリエステル(PETGなど)、セルロースエステル、ポリエチレンおよびエチレンのコポリマー(例えば、DOWLEX(商標)などのエチレンオクテンコポリマーをベースとするLLDPE、これらの混成物、ならびにこれらの複層の組み合わせである。
【0044】
実施形態では、剥離スリーブ22、24は各々、同じPETから作製された単層フィルムである。
【0045】
実施形態では、剥離スリーブ22、24は各々、同じBOPPから作製された単層フィルムである。
【0046】
5.解放材料
本可撓性容器10は、
図1~
図3に示すように解放材料26を含む。解放材料26は、各剥離スリーブ22、24と内部容器12a、14aのそれぞれの表面処理層との間に配置されるか、さもなければ挟まれる。解放材料26は、
図1に示すように共通の周縁部16の一部に沿って延在する。
【0047】
解放材料26は、例えば、米国食品医薬品局などの規制機関によって一般に安全であると認識されている(GRAS)水性接着剤組成物である。実施形態では、解放材料26は、GRASである水性およびアクリル系食品グレードの接着剤である。本解放材料は水性組成物であり、(i)剥離不可能な固着強度を生じさせる傾向があり、(ii)臭いを発生し、(iii)残留芳香族化合物および他の有害な溶媒残留物の存在による健康上の懸念を与え、(iv)(i)、(ii)、および(iii)の任意の組み合わせである、溶媒系接着剤組成物を除く。解放材料26に好適な組成物の非限定的な例としては、アクリル酸ブチルをベースとするアクリル系水性接着剤が挙げられる。
【0048】
実施形態では、解放材料は、The Dow Chemical Companyから入手可能なRobond PS-90などのホルムアルデヒド非含有アクリル酸ブチル接着剤である。
【0049】
図1は、上部28、側部30、および底部32を有する可撓性容器10を示す。
図1~
図3は、側部30および底部32において周縁部16に沿って断続的に離間した解放材料26を示す。換言すれば、解放材料26は、可撓性容器の側部30および底部32に共通の周縁部16に沿って間隔を空けて不連続的に配設されている。解放材料26は、輪転グラビア印刷技術に対してスポット積層(ドット積層としても知られている)によって適用され得る。
【0050】
解放材料26は、各剥離スリーブ22、24をそのそれぞれの表面処理層12a、14aに解放可能に取り付ける。実施形態では、解放材料26は、0.00656N/mm(17gf/in)~0.0386N/mm(100gf/in)の固着強度で剥離スリーブをそのそれぞれの表面処理層に接着させる。
【0051】
図1~
図2は、各剥離スリーブ22、24が可撓性容器10の上部28にそれぞれタブ22a、24aを有することを示す。各タブ22a、24aは、
図2に最もよく見られるように、解放材料26を含まないか、そうでなければ元からない。同様に、上部シール18aもまた、解放材料26を含まないか、そうでなければ元からない。解放材料26がない場合、タブ22a、24aは、上部ヒートシール18aに接着しない。タブ22a、24aは、上部ヒートシール18aに接着することなく、上部ヒートシール18aの対向する側面に隣接するか、さもなければ挟まれている。このようにして、タブ22a、24aは、
図2に示すように、人が剥離スリーブを握り、内部容器19から剥離スリーブの解放を開始するための自由端を提供する。
【0052】
図2は、それぞれの最外層12a、14aからの剥離シール22、24の解放を示す。人がタブ22a、24aを握り、各タブを下方に引っ張る。剥離スリーブ22、24は、それぞれの最外層(表面処理層12a、14a)から分離および解放され、上部ヒートシール18aおよびアクセス部材34を露出させる。
【0053】
解放材料26は、解放後に表面処理層12a、14a上に解放材料26がない状態で剥離スリーブ22、24上に残る。換言すれば、解放材料26は、内部容器から剥離スリーブを解放した後、表面処理層12a、14aには完全に存在しないか、または実質的に完全に存在しないまま、剥離スリーブ22、24上に残る。
【0054】
アクセス部材34は、チャンバ20の内部へのアクセスを可能にする構造である。アクセス部材は、上部ヒートシール18aの底部を横切って延在する。換言すれば、アクセス部材の作動は、シールされたチャンバ20を開放し、チャンバ20に収容された内容物へのアクセスを可能にする。用語「作動させる」、「作動させた」などの用語は、アクセス部材を操作してチャンバ20への出入りを得る行為である。作動は、チャンバ20を開放するためのアクセス部材34を引っ張る、引き裂く、剥離する、分離する、折り畳む(および、それらの任意の組み合わせ)などの非限定的な行為を含む。好適なアクセス部材の非限定的な例としては、引き裂きノッチ、引き裂きスリット、ミシン目、脆弱線、切れ目、およびそれらの組み合わせが挙げられる。
【0055】
図3は、アクセス部材がミシン目34aである実施形態を示す。ミシン目34aの作動、すなわち、ミシン目34aを横切る引っ張り力がチャンバ20を開放し、その中の内容物を露出させる。
【0056】
実施形態では、可撓性容器10は、アクセス部材の下に配置されたアクセサリ構造を含む。好適なアクセサリ構造の非限定的な例としては、圧力シール、圧力ジッパー、および/またはスライドジッパーなどの再シール構造、マイクロキャピラリーストリップ、ならびにそれらの任意の組み合わせが挙げられる。
【0057】
実施形態では、可撓性容器10は、
図5に示すようにスライドジッパー36である再シール構造を含む。
【0058】
実施形態では、可撓性容器10は、
図6に示すように、マイクロキャピラリーストリップ38であるアクセサリ構造を含む。
【0059】
実施形態では、本可撓性容器10は、剛性の注ぎ口および/または剛性の備品がない。
【0060】
実施形態では、可撓性容器10は、0.01リットル(L)、または0.05L、または0.1L、または0.25L、または0.5L、または0.75L、または1.0L、または1.5L、または2.5L~3L、または3.5L、または4.0L、または4.5L、または5.0Lの容積を有する。
【0061】
本可撓性容器は、液体食料品および流動性固体粒子状食料品を含むがこれらに限定されない流動性物質の収容に好適である。好適な液体食料品の非限定的な例としては、飲料、ヨーグルト、調味料(ケチャップ、マスタード、マヨネーズ)、バター、ソース、および離乳食が挙げられる。好適な固体粒子状食料品の非限定的な例としては、粉末、穀物、シリアル、ナッツ、キャンディーピース、粒状固体、動物飼料、およびペットフードが挙げられる。
【0062】
図7は、典型的な消費前シナリオにおける可撓性容器10を示す。可撓性容器10などの携帯用の「外出用」包装は、典型的には、取扱い、出荷、落下、および/またはその他の事象を経験し、それによって、汚れ40、汚染物質42、または他の異物が剥離スリーブ22、24の最外表面に蓄積する。
図8は、消費者44が清潔で汚染物質のない内部容器19を露出させるために(タブ22a、24aに対して)剥離スリーブ22、24を容易に剥離することができることを示す。消費者44は、アクセス部材34を作動させ、可撓性容器から上部ヒートシール18aを取り外して分離し、チャンバ20を開放する。内部容器19は汚れていない。開放チャンバは汚れていない。それによって、本可撓性容器10は、チャンバ20内に収容された飲料46などの食料品のための便利で安全かつ清潔な供給プラットフォームを提供する。剥離スリーブ22、24を最外層12a、14aから解放すると、それに付随して、内部容器19およびチャンバ20から汚れが剥がれ、消費者44は、彼女の唇および/または口を、汚染の恐れまたはリスクなしに飲料46を安全に消費するための、チャンバ開口部、またはそれに非常に近接した位置にある内部容器19の清潔で汚れのない第1および第2の可撓性フィルムに直接配置することができる。
【0063】
出願人は、(i)33~36mN/mの表面エネルギーを有する表面処理された最外層(複数可)を有する内部容器を、(ii)水性アクリレートである解放材料とともに提供することによって、相乗的に作用し、
図2、3、および8に示すように、剥離スリーブ22、24が内部容器20から解放された後、またはさもなければ分離された後、解放材料26の全てまたは実質的に全てが剥離スリーブ22、24に確実に接着したままであることを発見した。これら2つの特徴は、協働して、例えば、チャンバ20に収容された食料品が人、またはトランシューマーによって消費されるときに、内部容器19、アクセス部材34、および開放チャンバが汚染物質を含まない、または実質的に含まないことを保証する。このようにして、本可撓性容器は、外出中、食料品を容易に供給することをトランシューマーにアピールする便利な食品容器を提供する。本可撓性容器は、清潔で直接的な口から容器への接触(口が、剥離スリーブが引き剥がされた内部容器19に直接触れる)のための安全な外出用食品供給システムを付随して提供する。
【0064】
限定するものではなく、例として、本開示の実施例が提供される。
【実施例】
【0065】
1.材料
実施例試料および比較試料で使用された材料を以下の表1に提供する。
【0066】
【0067】
2.剥離スリーブ加工
フィルム1を使用して異なる試料を作製する。各試料に関して、フィルム1の1層を押出し中に様々な表面エネルギーにコロナ処理する。解放材料の様々な量/種類をフィルム1の周縁部に沿って様々なコーティング重量でスポット積層する。解放材料が存在しない領域を包装物が上面に有するように、輪転グラビア印刷によって特定の領域に解放材料を適用する。次いで、剥離スリーブをフィルム1の表面処理層および解放材料の上に配置する。解放材料がない領域は、消費者が包装の剥離スリーブを取り外すことができるタブとして機能する。換言すれば、剥離スリーブは、フィルム1の解放材料が省略されている領域に対応するタブを含む。
【0068】
包装プロトタイプ(剥離スリーブ/解放材料/フィルム1構造体)を手作業で製造し、剥離スリーブの剥離能力を決定するために試験し、層間剥離および解放材料が残っているかどうかに関して分析する。消費者との直接接触がFDAによって承認されている解放材料を試験するためにRobond PS-90を使用する。結果を以下の表2に示す。
【0069】
【0070】
出願人は、34~35mN/mに表面処理されたフィルム1が、フィルム1解放材料界面間に低い固着強度をもたらし、容易な剥離性能を達成することを発見した。解放が起こると、そのより高い極性(PETはより高い表面エネルギーを有する)のために解放材料がPET上に残り、消費者による直接的な口との接触のためにフィルム1を清潔にする。
【0071】
比較試料11(CS11)は、溶媒系接着剤(例えば、Adcote 548/E) が、包装がその剥離特性を失い、それを消費者が手動で開放するのを妨げるようにする高い固着強度が生じることを実証する。
【0072】
発明の実施例1、2、3、4は、第1および第2の可撓性フィルムが34mN/mに表面処理され、解放材料が1.6~2.5g/m2の接着剤重量で適用されるとき、プロトタイプが容易に剥離することを示し、剥離スリーブが引き離されたとき、0.00656N/mm~0.02353N/mm(17~61gf/in)の積層固着強度およびフィルム1表面上の解放材料の汚染がないことを報告する。
【0073】
Adcote 548/F(溶剤系接着剤)を使用して製造された比較試料11(CS11)は、層間剥離試験を実施したときにフィルムを破壊するのに十分に高い固着強度を有していた。
【0074】
MorFree 152/C79(無溶剤接着剤)を用いて製造された比較試料12(CS12)は、包装物の製造中に不合格となった。接着剤の粘度が低いため、ワンスポット積層は達成できなかった。
【0075】
本開示は、本明細書に含まれる実施形態および例示に限定されず、実施形態の一部、および異なる実施形態の要素の組み合わせを含む実施形態の変更された形態を、以下の特許請求の範囲内に含むことが明確に意図される。
なお、本発明には以下の態様が含まれることを付記する。
〔態様1〕
可撓性容器であって、
対向する第2の可撓性フィルム上に重ね合わされた第1の可撓性フィルムであって、前記第1の可撓性フィルムおよび前記第2の可撓性フィルムが共通の周縁部に沿ってシールされて、密閉チャンバを有する内部容器を形成し、
前記第1の可撓性フィルムおよび前記第2の可撓性フィルムが各々、エチレン系ポリマーを含む最外層を有し、各最外層が、33mN/m~36mN/mの表面エネルギーを有する表面処理層である、第1および第2の可撓性フィルムと、
各それぞれの最外層の上に前記共通の周縁部に沿って重ね合わされた剥離スリーブと、
前記剥離スリーブと各最外層との間に前記共通の周縁部に沿って配置されている解放材料であって、前記剥離スリーブを前記内部容器に解放可能に取り付ける、解放材料と、を含む、可撓性容器。
〔態様2〕
前記解放材料が、前記共通の周縁部の一部に沿って間隔を空けて、前記剥離スリーブと各最外層との間に配置されている、態様1に記載の可撓性容器。
〔態様3〕
各剥離スリーブが、前記可撓性容器の上部にタブを備え、各タブが、解放材料を含まない、態様1または2のいずれかに記載の可撓性容器。
〔態様4〕
前記内部容器が、前記可撓性容器の上部に上部ヒートシールを備える、態様1~3のいずれかに記載の可撓性容器。
〔態様5〕
前記上部ヒートシールが、前記タブによって挟まれている、態様4に記載の可撓性容器。
〔態様6〕
前記上部ヒートシールおよび前記タブが前記解放材料を含まない、態様3~5のいずれかに記載の可撓性容器。
〔態様7〕
少なくとも1つのタブが、剥離スリーブを掴んで解放を開始するための自由端を有する、態様3~6のいずれかに記載の可撓性容器。
〔態様8〕
前記解放材料が、0.00656N/mm~0.0386N/mmの固着強度で各剥離スリーブをそのそれぞれの表面処理層に接着する、態様1~7のいずれかに記載の可撓性容器。
〔態様9〕
前記解放材料は、前記剥離スリーブがそのそれぞれの表面処理層から解放されるときに、前記剥離スリーブに接着する、態様1~8のいずれかに記載の可撓性容器。
〔態様10〕
前記上部ヒートシールの底部に配置されたアクセス部材を備える、態様1~9のいずれかに記載の可撓性容器。
〔態様11〕
前記アクセス部材が、引き裂きノッチ、引き裂きスリット、ミシン目、脆弱線、切れ目、およびそれらの組み合わせから成る群から選択される、態様10に記載の可撓性容器。
〔態様12〕
前記アクセス部材の下に配置されたアクセサリ構造を備える、態様10または11のいずれかに記載の可撓性容器。
〔態様13〕
前記アクセサリ構造が、前記アクセス部材の下に配置されたアクセサリ構造を構成する
、再シール構造、マイクロキャピラリーストリップ、およびそれらの組み合わせから成る群から選択される、態様12に記載の可撓性容器。
〔態様14〕
前記解放材料が、GRASアクリレート系組成物である、態様1~13のいずれかに記載の可撓性容器。
〔態様15〕
各剥離スリーブが、ポリエチレンテレフタレートおよび二軸配向ポリプロピレンから成る群から選択される材料から成る、態様1~14のいずれかに記載の可撓性容器。
〔態様16〕
前記可撓性容器が、パウチ、ピローパウチ、スタンドアップパウチ、およびフィンシールパウチから成る群から選択される、態様1~15のいずれかに記載の可撓性容器。
〔態様17〕
前記チャンバ内に食料品を含む、態様1~16のいずれかに記載の可撓性容器。