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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-11
(45)【発行日】2022-03-22
(54)【発明の名称】イヌアトピー性皮膚炎の治療
(51)【国際特許分類】
   A61K 47/69 20170101AFI20220314BHJP
   A61K 39/385 20060101ALI20220314BHJP
   A61P 17/04 20060101ALI20220314BHJP
   A61P 37/08 20060101ALI20220314BHJP
   C07K 7/08 20060101ALN20220314BHJP
   C07K 14/005 20060101ALN20220314BHJP
   C07K 14/54 20060101ALN20220314BHJP
   C12N 7/04 20060101ALN20220314BHJP
【FI】
A61K47/69 ZNA
A61K39/385
A61P17/04
A61P37/08
C07K7/08
C07K14/005
C07K14/54
C12N7/04
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2019508291
(86)(22)【出願日】2017-04-26
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2019-06-13
(86)【国際出願番号】 EP2017059977
(87)【国際公開番号】W WO2017186813
(87)【国際公開日】2017-11-02
【審査請求日】2020-04-06
(31)【優先権主張番号】16167264.7
(32)【優先日】2016-04-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】518381190
【氏名又は名称】ベンチマーク アニマル ヘルス エルティーディー.
(74)【代理人】
【識別番号】100092783
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120134
【弁理士】
【氏名又は名称】大森 規雄
(74)【代理人】
【識別番号】100209037
【弁理士】
【氏名又は名称】猪狩 俊博
(74)【代理人】
【識別番号】100104282
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 康仁
(72)【発明者】
【氏名】タース, カスパルス
【審査官】藤代 亮
(56)【参考文献】
【文献】特表2016-509671(JP,A)
【文献】国際公開第2008/112674(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2004/0024004(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 47/69
A61K 39/385
A61P 17/04
A61P 37/08
C07K 7/08
C07K 14/005
C07K 14/54
C12N 7/04
CAplus/REGISTRY/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
イヌ科のイヌアトピー性皮膚炎(CAD)を防止または治療する方法において使用するための組成物であって、有効量の前記組成物が前記イヌ科に投与され、前記組成物は
(a)少なくとも1つの第1の付着部位を有するコア粒子;および
(b)少なくとも1つの第2の付着部位を有する少なくとも1つのイヌインターロイキン-31抗原(cIL-31抗原)
を含み、
前記cIL-31抗原は、SEQ ID NO:22から選択されるアミノ配列を有するタンパク質、または、SEQ ID NO:22と少なくとも90%アミノ酸配列同一性のアミノ酸配列を有するタンパク質を含み;
(a)および(b)は前記少なくとも1つの第1の付着部位および前記少なくとも1つの第2の付着部位により、少なくとも1つの非ペプチド共有結合を介して連結される、組成物。
【請求項2】
前記コア粒子はウイルス様粒子(VLP)である、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記VLPは植物ウイルスに由来する、請求項2に記載の組成物。
【請求項4】
前記VLPは少なくとも1つの改変VLPポリペプチドを含み
記改変VLPポリペプチドは、
(a)VLPポリペプチド、および
(b)ヘルパーT細胞エピトープ、
を含み
前記VLPポリペプチドは、
(i)ウイルスのコートタンパク質のアミノ酸配列;または
(ii)変異アミノ酸配列、
を含み
前記変異されるアミノ酸配列はウイルスの前記コートタンパク質のアミノ酸配列であり、前記変異アミノ酸配列およびウイルスの前記コートタンパク質は、少なくとも90%の配列同一性を示す、請求項2または3に記載の組成物。
【請求項5】
前記VLPはキュウリモザイクウイルス(CMV)の改変VLPであり、CMVの前記改変VLPは、少なくとも1つの改変CMVポリペプチドを含み、前記改変CMVポリペプチドは、
(a)CMVポリペプチド、および
(b)ヘルパーT細胞エピトープ
を含み;ならびに
前記CMVポリペプチドは、
(ii)CMVのコートタンパク質のアミノ酸配列;または
(ii)変異アミノ酸配列、
を含み
前記変異されるアミノ酸配列はCMVのコートタンパク質のアミノ酸配列であり、前記変異アミノ酸配列およびCMVの前記コートタンパク質は、少なくとも90%の配列同一性を示す、請求項2~4のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項6】
前記CMVポリペプチドは、
(a)CMVのコートタンパク質のアミノ酸配列であって、前記アミノ酸配列は、SEQ ID NO:1を含み、または
(b)SEQ ID NO:1の少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含み;ならびに
この請求項で(a)または(b)において規定される前記アミノ配列はSEQ ID NO:23を含み;あるいは
この請求項で(a)または(b)において規定される前記アミノ配列はアミノ酸配列領域を含み、前記アミノ酸配列領域はSEQ ID NO:23と少なくとも90%の配列同一性を有する、請求項5に記載の組成物。
【請求項7】
前記ヘルパーT細胞エピトープは前記CMVポリペプチドのN末端領域にとって代わり、前記CMVポリペプチドの前記N末端領域はSEQ ID NO:1のアミノ酸2-12に対応する、請求項5または6に記載の組成物。
【請求項8】
前記Th細胞エピトープはPADRE配列であり、前記Th細胞エピトープはSEQ ID NO:5のアミノ酸配列を含み;あるいは、前記Th細胞エピトープは、破傷風毒素に由来し、前記Th細胞エピトープは、SEQ ID NO:4のアミノ酸配列を有する、請求項5~7のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項9】
前記CMVポリペプチドは、CMVのコートタンパク質のアミノ酸配列を含み、前記アミノ酸配列は、SEQ ID NO:1またはSEQ ID NO:1の少なくとも95%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含み;ならびに、前記アミノ配列はSEQ ID NO:23を含み、前記ヘルパーT細胞エピトープは前記CMVポリペプチドのN末端領域にとって代わり、前記CMVポリペプチドの前記置き換えられたN末端領域は11~13の連続アミノ酸から構成される、請求項5~8のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項10】
前記改変CMVポリペプチドは、SEQ ID NO:6またはSEQ ID NO:7のアミノ酸配列を含む、請求項5~9のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項11】
前記少なくとも1つのcIL-31抗原は、下記から選択されるアミノ配列を有するタンパク質を含む、請求項1~10のいずれか一項に記載の組成物:
(a)SEQ ID NO:18;
(b)SEQ ID NO:21;
(c)SEQ ID NO:22;または
(d)SEQ ID NO:26。
【請求項12】
前記組成物の前記投与は少なくとも1つのCADパラメータまたは症状を、前記投与前の前記少なくとも1つのCADパラメータまたは症状と比べて低減させる、請求項1~11のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項13】
(a)少なくとも1つの第1の付着部位を有するウイルス様粒子(VLP);
(b)少なくとも1つの第2の付着部位を有する少なくとも1つのイヌインターロイキン-31抗原(cIL-31抗原)
を含む組成物であって、
前記cIL-31抗原は、SEQ ID NO:22から選択されるアミノ配列を有するタンパク質、または、SEQ ID NO:22と少なくとも90%アミノ酸配列同一性のアミノ酸配列を有するタンパク質を含み;
(a)および(b)は前記少なくとも1つの第1の付着部位および前記少なくとも1つの第2の付着部位により、少なくとも1つの非ペプチド共有結合を介して連結される、組成物。
【請求項14】
前記VLPはキュウリモザイクウイルス(CMV)の改変VLPであり、前記改変CMVポリペプチドは、SEQ ID NO:6またはSEQ ID NO:7のアミノ酸配列を含む、請求項12または13に記載の組成物。
【請求項15】
前記第2の付着部位はスルフヒドリル基である、請求項13または14に記載の組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、イヌアトピー性皮膚炎(CAD)の防止または治療のための組成物、免疫原性もしくはワクチン組成物および医薬組成物に関する。さらに、本発明は、CADを防止または治療するための方法を提供する。本発明の組成物は、イヌにおいて効率的な免疫応答、特に抗体応答を誘導し、そのため、CADの治療および/または防止のために有用である。
【背景技術】
【0002】
イヌアトピー性皮膚炎(CAD)は、遺伝因子と環境因子の間の相互作用により引き起こされる炎症性、かつそう痒性のアレルギー性皮膚疾患として規定され、全てのイヌの最大10%までに影響する(Hensel P et al., (2015) BMC Veterinary Research 11:196-209; Meury S et al., (2011) Vet Dermatol 22: 327-334; Nodtvedt A, et al., (2007) Prev Vet Med 78: 210-222)。それは、ノミアレルギーのみが超える、イヌ科、特に飼いイヌにおける2番目に最も一般的なアレルギー性皮膚病状である。アレルギー性症状は湿疹性皮膚として現れ、アトピー性皮膚炎を有する飼いイヌなどのイヌ科はしばしば、そう痒、または激しいかゆみ、脱毛、極端なひっかきからの皮膚の擦りむき、それらの足を頻繁になめること、および過剰な涙液産生に苦しむ。二次的な皮膚の問題も一般的であり、皮膚感染および過剰な皮脂分泌が挙げられる。
【0003】
臨床徴候は、通常は幼齢で発症し、発症のピーク年齢は典型的には6ヶ月と3年の間である。顔、耳、足、四肢、腹部(ventrum)および屈曲ゾーンが典型的にはそう痒および紅斑に影響される(Griffin CE, DeBoer DJ (2001) Veterinary Immunology and Immunopathology 81: 255-269)。それは典型的には慢性再発性病状であり、ほとんどのイヌが継続的な、通常一生の療法を必要とする(Nuttall T., et al., Veterinary Record (2014) 174 (suppl 2), 3-12)。
【0004】
CADおよびそう痒のためのいくつかの治療はすでに記載されており、フェキソフェナジンなどの抗ヒスタミン薬、またはシクロスポリンのような薬物の使用が挙げられる。ヤヌスキナーゼ、またはJAK、阻害剤として知られている最近承認された製品もまた、CADに使用可能である(Nuttall T., et al., Veterinary Record (2014) 174 (suppl 2), 3-12); WO 2015/042596号)。
【0005】
これらの薬物は有効であると考えられるが、それらは、それらの長期使用を妨げる可能性のある著しい副作用を有する。例えば、これらの薬物はイヌ科、例えば飼いイヌの免疫系を抑制し、それにより、感染に至らしめることがある。コルチコステロイドはまた、イヌ科および飼いイヌにおいて骨粗鬆症、内分泌の問題および白内障を引き起こす可能性がある。加えて、コルチコステロイドにより、飼いイヌなどのイヌ科は頻繁に食べ、飲み、かつ、排尿するようになる傾向があり、これは、ペット所有者により望ましくないと考えられる。その上、薬物の多くは経口的にかつ毎日与えられなければならず、このため、それらの使用は非常に不便なものとなる。CADはしばしば慢性病状であるので、これらの安全性および副作用の問題は、安全で有効な長期治療に対する重要な未だ対処されていない医学的必要性を作り出す。その上、安全性だけでなく服薬遵守が依然として、さらなる懸案事項となっている。よって、CADに対する治療選択肢が必要とされたままである。本発明はこの要求を満たす。
【発明の概要】
【0006】
本発明はイヌ科、例えば、好ましくは、飼いイヌ(カニス・ルプス・ファミリアーリスまたはカニス・ファミリアーリス)、およびそのファミリーの他のメンバーにおけるアトピー性皮膚炎の防止および治療のための組成物を提供する。特に、本発明は、イヌアトピー性皮膚炎(CAD)の防止および治療のための組成物およびその使用を提供し、ここで、好ましい発明の組成物は、Th細胞エピトープ、特にユニバーサルTh細胞エピトープの組み込みにより改変された植物ウイルスキュウリモザイクウイルス(CMV)のウイルス様粒子上で提示されるイヌインターロイキン-31抗原(cIL-31抗原)を含む。さらに、これらの改変VLPは、cIL-31に対する免疫応答、特に抗体応答を生成させるためのワクチンとして機能する。Th細胞エピトープ、特にユニバーサルTh細胞エピトープの存在は、生成された免疫応答におけるさらなる増加、よって、CADの防止および治療のための有益な効果につながる。
【0007】
よって、本発明の組成物のイヌ科、特に飼いイヌへの投与は、CAD疾患パラメータおよび症状の効率的な低減につながる。特に、本発明の組成物のイヌ科、特に飼いイヌへの投与は、イヌ科、特に飼いイヌの血液および皮膚における自己抗体の誘導およびインターロイキン31レベルの低減につながるだけでなく、さらに、cIL-31レベルの前記低減はCAD疾患症状の低減と相関する。その上、本発明の組成物のイヌ科、特に飼いイヌへの投与はCADに罹患したイヌのかゆみの低減および皮膚病変の重症度グレードの効率的な低減につながる。
【0008】
本発明による治療により、処置イヌ科、特に飼いイヌにおけるアトピー性皮膚炎病変指数(Atopic Dermatitis Lesion Index)、またはADLI、およびそう痒ビジュアルアナログスケール、またはPVASの低下が得られる。ADLIスコアは、5つの特定の身体領域において評価されたイヌアトピー性皮膚炎と関連する6つの臨床症状の検証された複合指数である。各特定された身体領域で、各パラメータがスコアラーにより0から5までスコア化され、0のスコアは、病変なしとして規定され、5のスコアは重篤/広範な病変として規定される。PVASはスコアラーにより、0~10アナログスケールを用いてスコア化され、0のスコアはそう痒/咀嚼なしを表し、10のスコアは絶え間ないおよび激烈なそう痒/咀嚼に相当する。
【0009】
この説明に縛られないが、本発明は、多面的な疾患であると考えられるCADに影響を与えると考えられる。CADでは、Th2極性化および微生物の存在の組み合わせが、免疫細胞、ケラチノサイトによる炎症およびそう痒、およびかゆみを引き起こす直接神経刺激を駆動するcIL-31媒介効果につながる可能性があると考えられる。イヌ科、例えば、特に飼いイヌにおける本発明の組成物および方法によるcIL-31に対して誘導された自己抗体は、よって、cIL-31のレベルを低減させ、よって、かゆみ、その結果として、イヌのひっかきを低減させ、ひっかきの下流イベント(炎症および感染を含む)を全て阻止することにより、CADに対してプラスの影響を有する。
【0010】
よって、第1の態様では、本発明は、イヌ科、好ましくは飼いイヌのイヌアトピー性皮膚炎(CAD)を防止または治療する方法において使用するための組成物を提供し、ここで、有効量の前記組成物が前記イヌ科、好ましくは前記飼いイヌに投与され、ここで、前記組成物は(a)少なくとも1つの第1の付着部位を有するコア粒子;および(b)少なくとも1つの第2の付着部位を有する少なくとも1つのイヌインターロイキン-31抗原(cIL-31抗原)を含み、ここで、前記cIL-31抗原は、SEQ ID NO:22から選択されるアミノ配列を有するタンパク質、または、SEQ ID NO:22と少なくとも90%、好ましくは少なくとも92%、さらに好ましくは少なくとも95%、重ねてさらに好ましくは少なくとも98%アミノ酸配列同一性のアミノ酸配列を有するタンパク質を含み、または好ましくは、これから構成され;ここで、(a)および(b)は、前記少なくとも1つの第1のおよび前記少なくとも1つの第2の付着部位によって、少なくとも1つの非ペプチド共有結合を介して連結される。
【0011】
好ましい実施形態では、前記コア粒子はウイルス様粒子(VLP)、好ましくは組換えVLPである。さらに好ましい実施形態では、前記VLPはキュウリモザイクウイルス(CMV)の改変VLPであり、ここで、CMVの前記改変VLPは、少なくとも1つの改変CMVポリペプチドを含み、これから本質的に構成され、あるいはこれから構成され、ここで、前記改変CMVポリペプチドは、(a)CMVポリペプチド、および(b)ヘルパーT細胞エピトープを含み、または好ましくはこれから構成され;ここで、前記CMVポリペプチドは、(i)CMVのコートタンパク質のアミノ酸配列;または(ii)変異アミノ酸配列を含み、または好ましくはこれから構成され、ここで、変異されるアミノ酸配列はCMVのコートタンパク質のアミノ酸配列であり、ここで、前記変異アミノ酸配列およびCMVの前記コートタンパク質は少なくとも90%、好ましくは少なくとも95%、さらに好ましくは少なくとも98%、重ねてより好ましくは少なくとも99%の配列同一性を示す。さらに非常に好ましい実施形態では、前記CMVポリペプチドは、(a)CMVのコートタンパク質のアミノ酸配列であって、前記アミノ酸配列は、SEQ ID NO:1を含み、または好ましくはこれから構成される、アミノ酸配列、または(b)SEQ ID NO:1の少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含み、または好ましくはこれから構成され;ならびにここで、この請求項で(a)または(b)において規定される前記アミノ配列はSEQ ID NO:23を含み;またはここで、この請求項で(a)または(b)において規定される前記アミノ配列はアミノ酸配列領域を含み、ここで、前記アミノ酸配列領域はSEQ ID NO:23と少なくとも90%の配列同一性を有する。さらに非常に好ましい実施形態では、前記VLPはキュウリモザイクウイルス(CMV)の改変VLPであり、ここで、前記改変CMVポリペプチドは、SEQ ID NO:6またはSEQ ID NO:7のアミノ酸配列を含み、または好ましくはこれから構成される。
【0012】
さらに非常に好ましい実施形態では、前記少なくとも1つのcIL-31抗原は、下記から選択されるアミノ配列を有するタンパク質を含み、または好ましくはこれから構成される:(a)SEQ ID NO:18;(b)SEQ ID NO:21;(c)SEQ ID NO:22;または(d)SEQ ID NO:25-30。さらに非常に好ましい実施形態では、前記少なくとも1つのcIL-31抗原は、下記から選択されるアミノ配列を有するタンパク質を含み、または好ましくはこれから構成される:(a)SEQ ID NO:18;(b)SEQ ID NO:21;(c)SEQ ID NO:22;(d)SEQ ID NO:25または(e)SEQ ID NO:26。さらに非常に好ましい実施形態では、前記第2の付着部位はスルフヒドリル基であり、ここで、好ましくは前記スルフヒドリル基は、前記cIL-31抗原のN-スクシンイミジルS-アセチルチオアセテート(SATA)との反応から誘導される。さらに非常に好ましい実施形態では、前記第2の付着部位はスルフヒドリル基であり、ここで、好ましくは前記スルフヒドリル基は、前記cIL-31抗原のリジン残基の反応から誘導される。
【0013】
さらなる態様では、本発明は、有効量の、発明の前記組成物を含む、免疫原性もしくはワクチン組成物を提供し、ここで、好ましくは前記免疫原性もしくはワクチン組成物は、アジュバントをさらに含む。
【0014】
さらなる態様では、本発明は、下記を含む医薬組成物を提供する:(a)発明の組成物または発明の免疫原性もしくはワクチン組成物;および(b)薬学的に許容される担体。
【0015】
さらなる態様では、本発明は、免疫化の方法を提供し、ここで、前記方法は、発明の組成物、発明の免疫原性もしくはワクチン組成物または発明の医薬組成物をヒトに投与することを含む。
【0016】
さらなる態様では、本発明は、薬剤として使用するための、発明の組成物、発明の免疫原性もしくはワクチン組成物、または発明の医薬組成物を提供する。
【0017】
さらなる態様では、本発明は、飼いイヌのイヌアトピー性皮膚炎(CAD)の防止または治療の方法において使用するための、発明の組成物、発明の免疫原性もしくはワクチン組成物、または発明の医薬組成物を提供し、ここで、有効量の、前記発明の組成物、前記発明の免疫原性もしくはワクチン組成物、または前記発明の医薬組成物が前記飼いイヌに投与される。好ましくは、前記発明の組成物、前記発明の免疫原性もしくはワクチン組成物、または前記発明の医薬組成物の前記投与は、前記投与前の少なくとも1つの症状と比較すると、前記イヌアトピー性皮膚炎(CAD)の少なくとも1つの症状を低減させる。
【0018】
さらなる態様では、本発明は、飼いイヌのイヌアトピー性皮膚炎(CAD)の防止または治療の方法を提供し、ここで、前記方法は、有効量の、前記発明の組成物、前記発明の免疫原性もしくはワクチン組成物、または前記発明の医薬組成物を前記飼いイヌに投与することを含む。
【0019】
別の態様では、本発明は、飼いイヌのイヌアトピー性皮膚炎(CAD)の防止または治療のための薬剤の製造のための、前記発明の組成物、前記発明の免疫原性もしくはワクチン組成物、または前記発明の医薬組成物の使用を提供し、ここで、典型的にかつ好ましくは、有効量の、前記発明の組成物、前記発明の免疫原性もしくはワクチン組成物、または前記発明の医薬組成物が前記飼いイヌに投与される。
【0020】
別の態様では、本発明は、飼いイヌのイヌアトピー性皮膚炎(CAD)を防止または治療する方法において使用するための組成物を提供し、ここで、有効量の前記組成物が前記飼いイヌに投与され、ここで、前記組成物は(a)少なくとも1つの第1の付着部位を有するコア粒子であって、前記コア粒子は好ましくはウイルス様粒子(VLP)、さらに好ましくは組換えVLPである、コア粒子;および(b)少なくとも1つの第2の付着部位を有する少なくとも1つのイヌインターロイキン-31抗原(cIL-31抗原)を含み、ここで、前記cIL-31抗原は、SEQ ID NO:22から選択されるアミノ配列を有するタンパク質、または、SEQ ID NO:22と少なくとも90%、好ましくは少なくとも92%、さらに好ましくは少なくとも95%、重ねてさらに好ましくは少なくとも98%アミノ酸配列同一性のアミノ酸配列を有するタンパク質を含み、または好ましくはこれから構成され;ここで、(a)および(b)は、前記少なくとも1つの第1のおよび前記少なくとも1つの第2の付着部位によって、少なくとも1つの非ペプチド共有結合を介して連結される。
【0021】
さらなる態様では、本発明は、(a)少なくとも1つの第1の付着部位を有するウイルス様粒子(VLP);(b)少なくとも1つの第2の付着部位を有する少なくとも1つのイヌインターロイキン-31抗原(cIL-31抗原)を含む組成物を提供し、ここで、前記cIL-31抗原は、SEQ ID NO:22から選択されるアミノ配列を有するタンパク質、または、SEQ ID NO:22と少なくとも90%、好ましくは少なくとも92%、さらに好ましくは少なくとも95%、重ねてさらに好ましくは少なくとも98%アミノ酸配列同一性のアミノ酸配列を有するタンパク質を含み、または好ましくはこれから構成され、重ねてさらに好ましくは、前記抗原は、SEQ ID NO:22のアミノ配列を有するタンパク質を含み、または好ましくはこれから構成され;ここで、(a)および(b)は、前記少なくとも1つの第1のおよび前記少なくとも1つの第2の付着部位によって、少なくとも1つの非ペプチド共有結合を介して連結される。
【0022】
さらに非常に好ましい実施形態では、前記VLPはキュウリモザイクウイルス(CMV)の改変VLPであり、ここで、前記改変CMVポリペプチドは、SEQ ID NO:6またはSEQ ID NO:7のアミノ酸配列を含み、または好ましくはこれから構成される。
【0023】
さらに非常に好ましい実施形態では、前記少なくとも1つのcIL-31抗原は、下記から選択されるアミノ配列を有するタンパク質を含み、または好ましくはこれから構成される:(a)SEQ ID NO:18;(b)SEQ ID NO:21;(c)SEQ ID NO:22;または(d)SEQ ID NO:25-30。さらに非常に好ましい実施形態では、前記少なくとも1つのcIL-31抗原は、下記から選択されるアミノ配列を有するタンパク質を含み、または好ましくはこれから構成される:(a)SEQ ID NO:18;(b)SEQ ID NO:21;(c)SEQ ID NO:22;(d)SEQ ID NO:25または(e)SEQ ID NO:26。さらに非常に好ましい実施形態では、前記第2の付着部位はスルフヒドリル基であり、ここで、好ましくは前記スルフヒドリル基は、前記cIL-31抗原のN-スクシンイミジルS-アセチルチオアセテート(SATA)との反応から誘導される。さらに非常に好ましい実施形態では、前記第2の付着部位はスルフヒドリル基であり、ここで、好ましくは前記スルフヒドリル基は、前記cIL-31抗原のリジン残基の反応から誘導される。
【0024】
本発明のさらなる態様および実施形態は、この説明が続くにつれ、明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】pET-CMVwtプラスミドマップである。関連遺伝子および制限酵素部位の相対位置が示される。
図2A】精製CMVwt VLPの動的光散乱を示す。粒子のサイズを、ゼータサイザーナノZS(Malvern Instruments Ltd.、英国)を使用することにより検出した。
図2B】精製CMVwt VLPの電子-顕微鏡分析を示す。VLPの形態学的な分析については、JEM-1230電子顕微鏡(Jeol Ltd.、東京、日本)を使用した。
図3】精製CMV由来VLPの質量分析を示す。マトリックス支援レーザー脱離/イオン化(MALDI)-TOF MS分析を、Autoflex MS(Bruker Daltonik、ドイツ)上で実施した。質量決定のために、タンパク質分子質量(MM)較正標準II(22.3-66.5kDa;Bruker Daltonik)を使用した。
図3A】CMV野生型(「wt」);理論MM=24069;観測MM=24058
図3B】CMV-Npadr;理論MM=24161(第1のMetなし);観測MM=24160
図3C】CMV-Ntt830;理論MM=24483(第1のMetなし);観測MM=24477
図4A】精製CMV-Ntt830VLPの動的光散乱を示す。粒子のサイズを、ゼータサイザーナノZS(Malvern Instruments Ltd.、英国)を使用することにより検出した。
図4B】精製CMV-Ntt830VLPの電子-顕微鏡分析を示す。VLPの形態学的分析では、JEM-1230電子顕微鏡(Jeol Ltd.、東京、日本)を使用した。
図5A】精製CMV-Npadr VLPの動的光散乱を示す。粒子のサイズを、ゼータサイザーナノZS(Malvern InstrumentsLtd.、英国)を使用することにより検出した。
図5B】精製CMV-Npadr VLPの電子-顕微鏡分析を示す。VLPの形態学的分析では、JEM-1230電子顕微鏡(Jeol Ltd.、東京、日本)を使用した。
図6】大腸菌における6×HisタグおよびC末端システインを有するcIL-31の産生を示す。レーン1-誘導前の総細胞溶解物、レーン2-誘導後の総細胞溶解物、レーン3-マーカー。CIL-31タンパク質の位置が矢印で示される。
図7】6×HisタグおよびC末端システインを有するcIL-31の精製を示す。レーン1-マーカー、レーン2-細胞溶解物(可溶画分)、レーン2-洗浄バッファーWB1によるペレット抽出物、レーン2-洗浄バッファーWB2によるペレット抽出物、レーン3-8M尿素を含む溶離バッファーEBによるペレット抽出物。
図8A】6×HisタグおよびC末端システインを有するcIL-31のリフォールディングを示す。レーン1-マーカー、レーン2-リフォールディング後の不溶画分、レーン3-リフォールディング後の可溶画分。
図8B】6×HisタグおよびC末端システインを有するリフォールディングされたcIL-31のゲル濾過プロファイルを示す。ピークはカラムの空隙容量に対応し、材料が凝集したことを示す。
図9】天然組換えイヌcIL-31の生成を示す。レーン1-誘導前の総細胞溶解物、レーン2-誘導後の総細胞溶解物、レーン3-マーカー。CIL-31タンパク質の位置が矢印で示される。
図10A】ゲル濾過カラム上でのリフォールディングされた天然組換えcIL-31の精製を示す。タンパク質はカラム空隙容量よりずっと遅くに溶離され、材料が凝集していないことが示される。
図10B】SDS-PAGE上でのピーク画分の分析を示す。
図11】CMV VLPにカップリングされたcIL-31のSDS-PAGE電気泳動分析を示す。レーン1-マーカー、レーン2-CMV VLP、レーン3-SMPHで処理されたCMV VLP、レーン4-cIL31、レーン5-CMV VLPにカップリングされたcIL-31。レーン5上のカップリング生成物は矢印で示される。
図12】CMV-Ntt830VLPおよびカップリングされたcIL-31を有する同じVLPの電子顕微鏡法を示す。
図13A】cIL-31に対するワクチン接種は免疫化アレルギーイヌにおいてひっかきを強く低減させる。ワクチン接種前後での屋内チリダニ抽出物による誘発後6時間にわたるひっかき。
図13B】ひっかきの欠如のcIL-31特異抗体の誘導との相関を示す。
【発明を実施するための形態】
【0026】
別に規定されない限り、本明細書で使用される全ての技術用語および科学用語はこの発明が属する分野の当業者により普通に理解されるものと同じ意味を有する。
【0027】
ウイルス様粒子(VLP):「ウイルス様粒子(VLP)」という用語は、本明細書では、非複製的なもしくは非感染性の、好ましくは非複製的なかつ非感染性のウイルス粒子を示し、または、非複製的なもしくは非感染性の、好ましくはウイルス粒子に似ている非複製的なかつ非感染性の構造、好ましくはウイルスのカプシドを示す。「非複製的な」という用語は、本明細書では、VLPにより含まれるゲノムを複製することができないことを示す。「非感染性」という用語は、本明細書では、宿主細胞に入ることができないことを示す。発明によるウイルス様粒子は、ウイルスゲノムまたはゲノム機能の全てまたは一部を欠いているので、非複製的かつ非感染性である。発明によるウイルス様粒子は、それらのゲノムとは異なる核酸を含み得る。組換えにより生成されたウイルス様粒子は典型的には、宿主細胞由来RNAを含む。本発明によるウイルス様粒子の典型的な、かつ好ましい実施形態は、発明のポリペプチドからなるウイルスカプシドである。ウイルス様粒子は、典型的には、1つのウイルス様粒子あたり、60、120、180、240、300、360、または360超のタンパク質サブユニットを含むウイルスコートタンパク質からなる、典型的には、巨大分子集合体である。典型的にかつ好ましくは、これらのサブユニットの相互作用は、固有の繰り返し組織を有するウイルスカプシドまたはウイルス-カプシド様構造の形成につながる。ウイルス様粒子の1つの特徴は、そのサブユニットのその高度に秩序化された反復配列である。
【0028】
CMVのウイルス様粒子:「CMVのウイルス様粒子」またはCMV VLPという用語は、少なくとも1つのCMVポリペプチドを含む、または好ましくはこれから本質的に構成される、または好ましくはこれから構成されるウイルス様粒子を示す。好ましくは、CMVのウイルス様粒子は、カプシド構造の主要タンパク質成分として、さらにいっそう好ましくは単独タンパク質成分として前記CMVポリペプチドを含む。典型的にかつ好ましくは、CMVのウイルス様粒子はCMVのカプシドの構造に類似する。CMVのウイルス様粒子は、非複製的および/または非感染性であり、少なくともCMVの複製機構をコードする1つまたは複数の遺伝子を欠き、典型的には、宿主へのウイルス付着またはこの中への侵入に関与する1つまたは複数のタンパク質をコードする1つまたは複数の遺伝子も欠く。この定義はまた、前記1つまたは複数の遺伝子が依然として存在するが、不活性であるウイルス様粒子を含む。CMVのウイルス様粒子を非複製的および/または非感染性にする好ましい方法は、物理的または化学的不活性化によるものであり、例えばUV照射、ホルムアルデヒド処理である。好ましくは、CMVのVLPは、CMVの複製機構をコードする1つまたは複数の遺伝子を欠き、また、宿主へのウイルス付着またはこの中への侵入に関与する1つまたは複数のタンパク質をコードする1つまたは複数の遺伝子を欠く。重ねてより好ましくは、非複製的および/または非感染性ウイルス様粒子は、組換え遺伝子技術により得られる。本発明による、組換えにより生成されたCMVのウイルス様粒子は、典型的にかつ好ましくはウイルスゲノムを含まない。しばしばモザイクVLPと呼ばれる、1を超える種のポリペプチドを含むウイルス様粒子もまた、本発明により包含される。よって、1つの実施形態では、本発明によるウイルス様粒子は、少なくとも2つの異なる種のポリペプチドを含み、ここで、ポリペプチドの前記種の少なくとも1つはCMVポリペプチドである。好ましくは、CMVのVLPは、典型的には1VLPあたり180のコートタンパク質サブユニットを含むCMVコートタンパク質からなる巨大分子集合体である。典型的にかつ好ましくは、CMVのVLPは、本明細書では、下記を含む、または好ましくはこれから構成される少なくとも1つのCMVポリペプチドを含み、これから本質的に構成され、あるいはこれから構成され:(i)CMVのコートタンパク質のアミノ酸配列;または(ii)変異アミノ酸配列、ここで、変異されるアミノ酸配列はCMVのコートタンパク質のアミノ酸配列であり、ここで、前記変異アミノ酸配列および前記変異されるアミノ酸配列は、少なくとも90%、好ましくは少なくとも95%、さらに好ましくは少なくとも98%、重ねてより好ましくは少なくとも99%の配列同一性を示す。
【0029】
ポリペプチド:「ポリペプチド」という用語は、本明細書では、ペプチド結合(アミド結合としても知られている)により直線連結されたアミノ酸モノマからなるポリマを示す。ポリペプチドという用語は、アミノ酸の連続した鎖を示し、生成物の特定の長さは示さない。よって、ペプチド、およびタンパク質はポリペプチドの定義内に含められる。
【0030】
キュウリモザイクウイルス(CMV)ポリペプチド:「キュウリモザイクウイルス(CMV)ポリペプチド」という用語は、本明細書では、下記を含む、または好ましくはこれから構成されるポリペプチドを示し:(i)キュウリモザイクウイルス(CMV)のコートタンパク質のアミノ酸配列、または(ii)変異アミノ酸配列、ここで、変異されるアミノ酸配列はCMVのコートタンパク質のアミノ酸配列であり、ここで、前記変異アミノ酸配列および前記変異されるアミノ酸配列、すなわちCMVの前記コートタンパク質は、少なくとも90%、好ましくは少なくとも95%、さらに好ましくは少なくとも98%、重ねてより好ましくは少なくとも99%の配列同一性を示す。典型的にかつ好ましくは、CMVポリペプチドは、自己組織化により発現で、CMVのウイルス様粒子を形成することができる。
【0031】
キュウリモザイクウイルス(CMV)のコートタンパク質(CP):「キュウリモザイクウイルス(CMV)のコートタンパク質(CP)」という用語は、本明細書では、本質的に起こるキュウリモザイクウイルスのコートタンパク質を示す。キュウリモザイクウイルスの非常に広い宿主範囲のために、CMVの多くの異なる株および分離株が知られており、前記株および分離株のコートタンパク質の配列は決定されており、よって、同様に当業者に知られている。CMVの前記コートタンパク質(CP)の配列は公知のデータベース、例えば、Genbank、www.dpvweb.net、またはwww.ncbi.nlm.nih.gov/protein/に記載されており、そこから検索することができる。例はEP出願番号第14189897.3号に記載される。CMVコートタンパク質のさらなる例がSEQ ID NO1-3で提供される。これらの株および分離株はコートタンパク質のN末端を含む異なるタンパク質ドメインで、高度に類似するコートタンパク質配列を有することは注目すべきである。特に、全ての完全に配列決定されたCMV分離株の98.1%がそれらのコートタンパク質配列の最初の28アミノ酸内で85%を超える配列同一性を共有し、全ての完全に配列決定されたCMV分離株のさらに79.5%がそれらのコートタンパク質配列の最初の28アミノ酸内で90%を超える配列同一性を共有する。
【0032】
典型的にかつ好ましくは、本発明のために使用されるCMVのコートタンパク質は、自己組織化により発現で、CMVのウイルス様粒子を形成することができる。好ましくは、本発明のために使用されるCMVのコートタンパク質は、大腸菌における自己組織化により発現で、CMVのウイルス様粒子を形成することができる。
【0033】
キュウリモザイクウイルス(CMV)の改変ウイルス様粒子(VLP):「キュウリモザイクウイルス(CMV)の改変ウイルス様粒子(VLP)」という用語は、本明細書では、少なくとも1つの改変CMVポリペプチドを含む、または好ましくはこれから本質的に構成される、または好ましくはこれから構成されるような改変物であるCMVのVLPを示し、ここで、前記改変CMVポリペプチドは、CMVポリペプチド、およびヘルパーT細胞エピトープを含み、または好ましくはこれから構成される。典型的にかつ好ましくは、前記ヘルパーT細胞エピトープは、(i)前記CMVポリペプチドのN末端に融合され、(ii)前記CMVポリペプチドのC末端に融合され、(iii)前記CMVポリペプチドの連続アミノ酸の領域にとって代わり、ここで、前記CMVポリペプチドの連続アミノ酸の前記置き換えられた領域とヘルパーT細胞エピトープの間の配列同一性は少なくとも15%、好ましくは少なくとも20%であり、または(iv)前記CMVポリペプチドのN末端領域にとって代わり、ここで、前記CMVポリペプチドの前記置き換えられたN末端領域は5~15の連続アミノ酸から構成される。好ましくは、前記ヘルパーT細胞エピトープは前記CMVポリペプチドのN末端領域にとって代わり、ここで、前記CMVポリペプチドの前記置き換えられたN末端領域は5~15の連続アミノ酸、好ましくは9~14の連続アミノ酸、より好ましくは11~13の連続アミノ酸、最も好ましくは11、12または13の連続アミノ酸から構成される。好ましくは本発明のCMVの前記改変VLPは、CMVの組換え改変VLPである。
【0034】
改変CMVポリペプチド:「改変CMVポリペプチド」という用語は、本明細書では、本明細書で規定されるように、前記改変CMVポリペプチドは、CMVポリペプチド、およびヘルパーT細胞エピトープを含み、または好ましくはこれから構成されるように改変されたCMVポリペプチドを示す。典型的には、改変CMVポリペプチドは、自己組織化により発現で、CMVのウイルス様粒子を形成することができる。好ましくは、改変CMVポリペプチドは組換え改変CMVポリペプチドであり、大腸菌における自己組織化により発現で、CMVのウイルス様粒子を形成することができる。
【0035】
CMVポリペプチドのN末端領域:「CMVポリペプチドのN末端領域」という用語は、本明細書では、前記CMVポリペプチドのN末端、特にCMVのコートタンパク質のN末端、または前記CMVポリペプチドまたはCMVの前記コートタンパク質のN末端であるが、前記CMVポリペプチドまたは前記コートタンパク質がN末端メチオニン残基を含む場合、前記CMVポリペプチドまたはCMVの前記コートタンパク質のN末端の第2のアミノ酸で始まる領域のいずれかを示す。好ましくは、前記CMVポリペプチドまたは前記コートタンパク質がN末端メチオニン残基を含む場合、実用的な観点から、メチオニンをコードする開始コドンは通常欠失され、Th細胞エピトープのN末端に付加される。さらに好ましくは、1、2または3つの追加のアミノ酸、好ましくは1つのアミノ酸が、クローニング目的のために、任意で、開始メチオニンとTh細胞エピトープの間に挿入され得る。「CMVポリペプチドまたはCMVコートタンパク質の変異アミノ酸配列のN末端領域」という用語は、本明細書では、前記CMVポリペプチドまたはCMVの前記コートタンパク質の前記変異アミノ酸配列のN末端、または、前記CMVポリペプチドまたはCMVの前記コートタンパク質の前記変異アミノ酸配列のN末端であるが、前記変異アミノ酸配列がN末端メチオニン残基を含む場合、前記CMVポリペプチドまたはCMVの前記コートタンパク質の前記変異アミノ酸配列のN末端の第2のアミノ酸で始まる領域のいずれかを示す。好ましくは、前記CMVポリペプチドまたは前記コートタンパク質がN末端メチオニン残基を含む場合、実用的な観点から、メチオニンをコードする開始コドンは通常欠失され、Th細胞エピトープのN末端に付加される。さらに好ましくは、1、2または3つの追加のアミノ酸、好ましくは1つのアミノ酸が、クローニング目的のために、任意で開始メチオニンとTh細胞エピトープの間に挿入され得る。
【0036】
組換えポリペプチド:発明との関連で「組換えポリペプチド」という用語は、組換えDNA技術の少なくとも1つのステップを含むプロセスにより得られるポリペプチドを示す。典型的にかつ好ましくは、組換えポリペプチドは原核生物発現系において生成される。大腸菌などの原核生物発現系において発現される組換えにより生成されたポリペプチドは、N末端メチオニン残基を含み得ることは当業者には明らかである。N末端メチオニン残基は典型的には、発現宿主において、組換えポリペプチドの成熟中に組換えポリペプチドから切断される。しかしながら、N末端メチオニンの切断は不完全である可能性がある。よって、組換えポリペプチドの調製物は、N末端メチオニン残基を有する、および有さない、他の部分は同一であるポリペプチドの混合物を含み得る。典型的にかつ好ましくは、組換えポリペプチドの調製物は、10%未満、より好ましくは5%未満、さらにより好ましくは1%未満の、N末端メチオニン残基を有する組換えポリペプチドを含む。
【0037】
組換えCMVポリペプチド:「組換えCMVポリペプチド」という用語は、組換えDNA技術の少なくとも1つのステップを含むプロセスにより得られる、以上で規定されるCMVポリペプチドを示す。典型的にかつ好ましくは、組換えCMVポリペプチドの調製物は、10%未満、より好ましくは5%未満、さらにより好ましくは1%未満の、N末端メチオニン残基を有する組換えCMVポリペプチドを含む。その結果として、発明の組換えウイルス様粒子は、N末端メチオニン残基を有する、および有さない、他の部分は同一である組換えポリペプチドを含み得る。
【0038】
組換え改変CMVポリペプチド:「組換え改変CMVポリペプチド」という用語は、組換えDNA技術の少なくとも1つのステップを含むプロセスにより得られる、以上で規定される改変CMVポリペプチドを示す。典型的にかつ好ましくは、組換え改変CMVポリペプチドの調製物は、10%未満、より好ましくは5%未満、さらにより好ましくは1%未満の、N末端メチオニン残基を有する組換え改変CMVポリペプチドを含む。その結果として、発明の組換えウイルス様粒子は、N末端メチオニン残基を有する、および有さない、他の部分は同一である組換えポリペプチドを含み得る。
【0039】
組換えウイルス様粒子:発明との関連で、「組換えウイルス様粒子」という用語は、組換えDNA技術の少なくとも1つのステップを含むプロセスにより得られるウイルス様粒子(VLP)を示す。典型的にかつ好ましくは、組換えウイルス様粒子は、少なくとも1つの組換えポリペプチド、好ましくは組換えCMVポリペプチドまたは組換え改変CMVポリペプチドを含む。最も好ましくは、組換えウイルス様粒子は、組換えCMVポリペプチドまたは組換え改変CMVポリペプチドからなり、またはこれから構成される。結果として、本発明との関連で、発明の組換えVLPの定義がN末端メチオニン残基を含む特定のアミノ酸配列に関連して達成される場合、これらの発明の組換えVLPの範囲は、前記N末端メチオニン残基を有さない前記特定のアミノ酸配列により形成されるVLP、同様に、典型的には、本明細書で示される少量であっても、前記N末端メチオニンを有する前記特定のアミノ酸配列により形成されるVLPを包含する。さらに、発明の組換えVLPの定義がN末端メチオニン残基を含む特定のアミノ酸配列に関連して達成される場合、依然として前記N末端メチオニン残基を含むアミノ酸配列およびN末端メチオニン残基を欠くアミノ酸配列の両方を含むVLPが包含される。
【0040】
変異アミノ酸配列:「変異アミノ酸配列」という用語は、規定される組の突然変異を変異されるアミノ酸配列に導入することにより得られるアミノ酸配列を示す。発明との関連で、前記変異されるアミノ酸配列は、典型的にかつ好ましくはCMVのコートタンパク質のアミノ酸配列である。よって、変異アミノ酸配列はCMVのコートタンパク質のアミノ酸配列と、少なくとも1つのアミノ酸残基が異なり、ここで、前記変異アミノ酸配列および前記変異されるアミノ酸配列は少なくとも90%の配列同一性を示す。典型的にかつ好ましくは、前記変異アミノ酸配列および前記変異されるアミノ酸配列は少なくとも91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%の配列同一性を示す。好ましくは、前記変異アミノ酸配列および前記変異される配列は、せいぜい11、10、9、8、7、6、4、3、2、または1つのアミノ酸残基が異なり、ここで、さらに好ましくは前記違いは挿入、欠失およびアミノ酸交換から選択される。好ましくは、変異アミノ酸配列はCMVのコートタンパク質のアミノ酸配列と、少なくとも1つのアミノ酸が異なり、ここで、好ましくは前記違いはアミノ酸交換である。
【0041】
残基に対応する位置:別のアミノ酸配列の所定の残基に対応している、アミノ酸配列上の位置は、配列アライメントにより、典型的にかつ好ましくは、BLASTPアルゴリズムを使用する、最も好ましくは標準設定を使用することにより同定することができる。典型的かつ好ましい標準設定は下記である:予想閾値(expect threshold):10;ワードサイズ(word size):3;クエリーレンジにおける最大一致(max matches in a query range):0;マトリックス:BLOSUM62;ギャップコスト:存在11、拡張1;組成調節:条件的組成スコアマトリックス調節。
【0042】
配列同一性:2つの所定のアミノ酸配列の配列同一性は、両方の配列のアライメントに基づき決定される。配列同一性を決定するためのアルゴリズムは当業者に入手可能である。好ましくは、2つのアミノ酸配列の配列同一性は公的に入手可能なコンピュータ相同性プログラム、例えば、「BLAST」プログラム(http://blast.ncbi.nlm.nih.gov/Blast.cgi)または「CLUSTALW」(http://www.genome.jp/tools/clustalw/)を用いて、ここでは、好ましくはhttp://blast.ncbi.nlm.nih.gov/Blast.cgiのNCBIホームページで提供される「BLAST」プログラムにより、その中で提供されるデフォルト設定を用いて決定される。典型的かつ好ましい標準設定は下記である:予想閾値(expect threshold):10;ワードサイズ(word size):3;クエリーレンジにおける最大一致:0;マトリックス:BLOSUM62;ギャップコスト:存在11、拡張1;組成調節:条件的組成スコアマトリックス調節。
【0043】
アミノ酸交換:アミノ酸交換という用語は、アミノ酸配列における所定のアミノ酸残基の、異なる化学構造を有する任意の他のアミノ酸残基による、好ましくは、別のタンパク質原性アミノ酸残基による交換を示す。よって、アミノ酸の挿入または欠失と対照的に、アミノ酸交換は前記アミノ酸配列のアミノ酸の総数を変化させない。発明との関連で、前記変異されるアミノ酸配列の、リジン残基またはシステイン残基によるアミノ酸残基の交換が非常に好ましい。
【0044】
エピトープ:エピトープという用語は、抗原、好ましくはポリペプチドの連続または不連続部分を示し、ここで、前記部分はMHC分子という関係の中で、抗体により、またはT-細胞受容体により特異的に結合させることができる。抗体に関しては、特異的結合は非特異的結合を排除するが、必ずしも交差反応性を排除しない。エピトープは典型的には、抗原部位に独特である空間的立体構造で5-20のアミノ酸を含む。
【0045】
ヘルパーT(Th)細胞エピトープ:「ヘルパーT(Th)細胞エピトープ」という用語は、本明細書では、ヘルパーTh細胞により認識できるエピトープを示す。別の好ましい実施形態では、前記ヘルパーT細胞エピトープはユニバーサルヘルパーT細胞エピトープである。
【0046】
ユニバーサルTh細胞エピトープ:「ユニバーサルTh細胞エピトープ」という用語は、本明細書では、少なくとも1つ、好ましくは1を超えるMHCクラスII分子に結合することができるTh細胞エピトープを示す。ペプチド配列がユニバーサルTh細胞エピトープであるかどうかを決定する最も簡単な方法は、ペプチドの個々のMHCクラスII分子に結合する能力を測定することである。ペプチドが、公知のTh細胞エピトープペプチドのMHCクラスII分子への結合と競合する能力により測定され得る。HLA-DR分子の代表的な選択が、例えばAlexander J, et al., Immunity (1994) 1:751-761に記載される。MHCクラスII分子に対するTh細胞エピトープの親和性は少なくとも10-5Mでなければならない。Th細胞エピトープの「ユニバーサリティ」を決定する、他の、より退屈であるが、より関連性もある方法は、より大きな割合の人々(>30%)が、IFAで製剤化されたTh細胞エピトープを含むタンパク質を用いた1ヶ月後の、免疫化およびブースティングで、測定可能なT細胞応答を生成させるという証明である。異なる個体中に存在するMHCクラスII分子の代表集団は、Panina-Bordignon P, et al., Eur J Immunol (1989) 19:2237-2242において与えられる。結果として、「ユニバーサルTh細胞エピトープ」という用語は、本明細書では、好ましくは、Panina-Bordignon P, et al., Eur J Immunol (1989) 19:2237-2242において記載されるように、個体の選択された群の30%超において、免疫化およびブースティング(1ヶ月後、IFAで製剤化されたTh細胞エピトープを含むタンパク質を用いて)で測定可能なT細胞応答を生成させるTh細胞エピトープを示す。その上、かつ重ねてさらに好ましくは、「ユニバーサルTh細胞エピトープ」という用語は、本明細書では、好ましくは、DR1、DR2w2b、DR3、DR4w4、DR4w14、DR5、DR7、DR52a、DRw53、DR2w2aから選択される;好ましくはDR1、DR2w2b、DR4w4、DR4w14、DR5、DR7、DRw53、DR2w2aから選択される、少なくとも1つ、好ましくは少なくとも2つ、さらにいっそう好ましくは少なくとも3つのDRアレルに、少なくとも500nMの親和性で結合することができるTh細胞エピトープを示し(Alexander J, et al., Immunity (1994) 1:751-761および本明細書で引用される参考文献において記載される);前記親和性を評価するための好ましい結合アッセイはSette A, et al., J Immunol (1989) 142:35-40により記載されるものである。さらに重ねてより好ましい様式では、「ユニバーサルTh細胞エピトープ」という用語は、本明細書では、DR1、DR2w2b、DR4w4、DR4w14、DR5、DR7、DRw53、DR2w2aから選択される少なくとも1つ、好ましくは少なくとも2つ、さらにいっそう好ましくは少なくとも3つのDRアレルに、少なくとも500nMの親和性で結合することができるTh細胞エピトープを示し(Alexander J, et al., Immunity (1994) 1:751-761および本明細書で引用される参考文献において記載される);前記親和性を評価するための好ましい結合アッセイはSette A, et al., J Immunol (1989) 142:35-40により記載されるものである。
【0047】
ユニバーサルTh細胞エピトープは、例えば、Alexander J, et al., Immunity (1994) 1:751-761、Panina-Bordignon P, et al., Eur J Immunol (1989) 19:2237-2242、Calvo-Calle JM, et al., J Immunol (1997) 159:1362-1373、およびValmori D, et al., J Immunol (1992) 149:717-721により記載され、当業者に公知である。
【0048】
アジュバント:「アジュバント」という用語は、本明細書では、免疫応答の非特異的刺激剤または宿主においてデポーの生成を可能にする物質を示し、それは、本発明の、それぞれ、ワクチンおよび医薬組成物と組み合わせると、さらにいっそう増強された免疫応答を提供することができる。好ましいアジュバントはフロイント完全および不完全アジュバント、アルミニウム含有アジュバント、好ましくは水酸化アルミニウム、および改変ムラミルジペプチドである。さらに好ましいアジュバントは、ミネラルゲル、例えば水酸化アルミニウム、界面活性物質、例えばリゾレシチン、プルロニックポリオール、ポリアニオン、ペプチド、油エマルジョン、キーホールリンペットヘモシアニン、ジニトロフェノール、およびヒトアジュバント、例えばBCG(カルメット・ゲラン桿菌)およびコリネバクテリウム・パルバムである。そのようなアジュバントはまた当技術分野でよく知られている。本発明の組成物と共に投与することができるさらなるアジュバントとしては、モノホスホリルリピド免疫調節物質、AdjuVax100a、QS-21、QS-18、CRL1005、アルミニウム塩(Alum)、MF-59、OM-174、OM-197、OM-294、およびVirosomalアジュバント技術が挙げられるが、それらに限定されない。アジュバントはまた、これらの物質の混合物を含む。ウイルス様粒子は、一般にアジュバントとして記載されてきた。しかしながら、「アジュバント」という用語は、本出願の関係の中で使用されるように、発明のウイルス様粒子ではないアジュバントを示す。むしろ、「アジュバント」は、発明の組成物、ワクチンまたは医薬組成物の追加の異なる成分を示す。
【0049】
有効量:本明細書では、「有効量」という用語は、所望の生物学的効果を実現するのに必要な、または十分な量を示す。組成物、あるいは医薬組成物の有効量は、この選択された結果を達成する量であり、そのような量は当業者によりルーチンとして決定することができる。好ましくは、「有効量」という用語は、本明細書では、cIL-31のレベルをイヌにおいてかゆみの低減を引き起こし、CADを改善するレベルまで低減させるのに有効となるのに必要な、または十分な量を示す。好ましくは、「有効量」という用語は、本明細書では、炎症の部位で、cIL-31の活性を中和するのに有効となるのに必要な、または十分な量を示す。有効量は、投与される特定の組成物および被験体のサイズによって変動し得る。当業者は、過度の実験を必要とすることなく本発明の特定の組成物の有効量を経験的に決定することができる。
【0050】
治療:本明細書では、「治療」、「治療する」、「治療された」または「治療している」という用語は、予防および/または療法を示す。1つの実施形態では、「治療」、「治療する」、「治療された」または「治療している」という用語は、治療的処置を示す。別の実施形態では、「治療」、「治療する」、「治療された」または「治療している」という用語は、予防的処置を示す。
【0051】
付着部位、第1:本明細書では、「第1の付着部位」という句は、ウイルス様粒子と共に天然に生じ、またはウイルス様粒子に人工的に付加された要素を示し、これに、第2の付着部位が連結され得る。第1の付着部位は好ましくはタンパク質、ポリペプチド、アミノ酸、ペプチド、糖、ポリヌクレオチド、天然もしくは合成ポリマ、二次代謝産物または化合物(ビオチン、フルオレセイン、レチノール、ジゴキシゲニン、金属イオン、フッ化フェニルメチルスルホニル)、または化学的反応基、例えばアミノ基、カルボキシル基、スルフヒドリル基、ヒドロキシル基、グアニジニル基、ヒスチジニル基、またはそれらの組み合わせである。第1の付着部位である化学的反応基の好ましい実施形態は、アミノ酸残基、好ましくは、リジン残基のアミノ基である。第1の付着部位は、典型的には、表面上、好ましくはVLPの外面上に位置する。複数の第1の付着部位が表面、好ましくはVLPの外面上に、典型的には反復配置で存在する。好ましい実施形態では、第1の付着部位は、少なくとも1つの共有結合を介して、好ましくは少なくとも1つのペプチド結合を介して、VLPと結合される。さらに好ましい実施形態では、第1の付着部位はVLPと共に天然に生じる。あるいは、好ましい実施形態では、第1の付着部位は、VLPに人工的に付加される。非常に好ましい実施形態では、前記第1の付着部位は、前記VLPポリペプチドのアミノ酸配列のリジン残基のアミノ基である。
【0052】
付着部位、第2:本明細書では、「第2の付着部位」という句は、cIL-31抗原と共に天然に生じ、またはこれに人工的に付加される要素を示し、これに、第1の付着部位が連結され得る。cIL-31抗原の第2の付着部位は好ましくはタンパク質、ポリペプチド、ペプチド、アミノ酸、糖、ポリヌクレオチド、天然もしくは合成ポリマ、二次代謝産物または化合物(ビオチン、フルオレセイン、レチノール、ジゴキシゲニン、金属イオン、フッ化フェニルメチルスルホニル)、または化学的反応基、例えばアミノ基、カルボキシル基、スルフヒドリル基、ヒドロキシル基、グアニジニル基、ヒスチジニル基、またはそれらの組み合わせである。第2の付着部位である化学的反応基の好ましい実施形態はスルフヒドリル基であり、好ましくはアミノ酸システインのスルフヒドリル基であり、最も好ましくはシステイン残基のスルフヒドリル基である。そのため、「少なくとも1つの第2の付着部位を有する抗原」または「少なくとも1つの第2の付着部位を有するcIL-31抗原」という用語は、cIL-31抗原および少なくとも1つの第2の付着部位を含むコンストラクトを示す。しかしながら、特に、cIL-31抗原内の天然起源ではない第2の付着部位では、そのようなコンストラクトは、典型的にかつ好ましくは、「リンカー」をさらに含む。別の好ましい実施形態では、第2の付着部位は、少なくとも1つの共有結合を介して、好ましくは少なくとも1つのペプチド結合を介して、cIL-31抗原と結合される。さらなる実施形態では、第2の付着部位はcIL-31抗原内で天然に生じる。別のさらに非常に好ましい実施形態では、第2の付着部位は、cIL-31抗原にリンカーを介して人工的に付加され、ここで、前記リンカーは、システインを含み、あるいはこれから構成される。好ましくは、リンカーは、ペプチド結合によりcIL-31抗原に融合され、または化学結合により付加される。
【0053】
連結された:「連結された」または「連結」という用語は、本明細書では、これにより、少なくとも1つの第1の付着部位および少なくとも1つの第2の付着部位が一緒にされる、全ての可能な様式、好ましくは化学的相互作用を示す。化学的相互作用としては、共有および非共有結合性相互作用が挙げられる。非共有結合性相互作用の典型的な例は、イオン性相互作用、疎水性相互作用または水素結合であり、一方、共有結合性相互作用は、例として、共有結合、例えばエステル、エーテル、リン酸エステル、炭素-リン結合、炭素-硫黄結合、例えばチオエーテル、またはイミド結合に基づく。ある一定の好ましい実施形態では、第1の付着部位および第2の付着部位は、少なくとも1つの共有結合を介して、好ましくは少なくとも1つの非ペプチド結合を介して、さらにいっそう好ましくは、排他的に非ペプチド結合(複数可)を介して連結される。しかしながら、「連結された」という用語は、本明細書では、少なくとも1つの第1の付着部位および少なくとも1つの第2の付着部位の直接連結を示すだけでなく、その代わりに、かつ好ましくは、少なくとも1つの第1の付着部位および少なくとも1つの第2の付着部位の、中間分子(複数可)を介する、これによって、典型的にかつ好ましくは、少なくとも1つの、好ましくは1つの、ヘテロ二官能性架橋剤を使用することによる間接連結を示す。他の好ましい実施形態では、第1の付着部位および第2の付着部位は、少なくとも1つの共有結合を介して、好ましくは少なくとも1つのペプチド結合を介して、さらにいっそう好ましくは、排他的にペプチド結合(複数可)を介して連結される。
【0054】
リンカー:「リンカー」は、本明細書では、第2の付着部位をcIL-31抗原と結合させるか、または、すでに、第2の付着部位を含んでいる、これから本質的に構成される、またはこれから構成される。好ましくは、「リンカー」は、本明細書では、すでに第2の付着部位を、典型的にかつ好ましくは-必ずしもではないが-1つのアミノ酸残基として、好ましくはシステイン残基として含む。好ましいリンカーはアミノ酸リンカー、すなわち少なくとも1つのアミノ酸残基を含むリンカーである。アミノ酸リンカーという用語は、そのようなリンカーが排他的にアミノ酸残基から構成されることを意味しない。しかしながら、排他的にアミノ酸残基から構成されるリンカーは発明の好ましい実施形態である。リンカーのアミノ酸残基は、好ましくは、当技術分野で知られている天然アミノ酸または非天然アミノ酸、全て-Lまたは全て-Dまたはそれらの混合物からなる。この発明によるリンカーのさらに好ましい実施形態はスルフヒドリル基またはシステイン残基を含む分子であり、そのため、そのような分子もまた、この発明内に包含される。リンカーとcIL-31抗原との結合は好ましくは少なくとも1つの共有結合による、より好ましくは少なくとも1つのペプチド結合による。
【0055】
秩序反復抗原アレイ:本明細書では、「秩序反復抗原アレイ」という用語は、典型的にかつ好ましくは、それぞれ、コア粒子およびVLPに関する前記抗原の空間配置における高次の均一性により特徴付けられるcIL-31抗原の反復パターンを示す。発明の1つの実施形態では、反復パターンは幾何的パターンであってもよい。好ましい秩序反復抗原アレイは、その上、cIL-31抗原の厳密反復準結晶秩序を有し、好ましくは、間隔は1~30ナノメートル、好ましくは2~15ナノメートル、さらにいっそう好ましくは2~10ナノメートル、さらに重ねてより好ましくは2~8ナノメートル、さらにより好ましくは1.6~7ナノメートルである。
【0056】
免疫賦活物質:本明細書では、「免疫賦活物質」という用語は、免疫応答を誘導する、および/または増強することができる物質を示す。免疫賦活物質としては、本明細書では、トール様受容体活性化物質およびサイトカイン分泌を誘導する物質が挙げられるが、それらに限定されない。トール様受容体活性化物質としては、免疫賦活性核酸、ペプチドグリカン、リポ多糖、リポテイコ酸(lipoteichonic acid)、イミダゾキノリン化合物、フラゲリン、リポタンパク質、および免疫賦活性有機物質、例えばタキソールが挙げられるが、それらに限定されない。
【0057】
免疫賦活性核酸(ISS-NA):本明細書では、免疫賦活性核酸という用語は、免疫応答を誘導する、および/または増強することができる核酸を示す。免疫賦活性核酸はリボ核酸、特にデスオキシリボ核酸を含み、ここで、リボ核酸およびデスオキシリボ核酸はどちらも、二本鎖または一本鎖のいずれかであってもよい。好ましいISS-NAはデスオキシリボ核酸であり、ここで、さらに好ましくは前記デスオキシリボ核酸は一本鎖である。好ましくは、免疫賦活性核酸は、非メチル化Cを含む、少なくとも1つのCpGモチーフを含む。非常に好ましい免疫賦活性核酸は少なくとも1つのCpGモチーフを含み、ここで、前記少なくとも1つのCpGモチーフは、少なくとも1つの、好ましくは1つの、CGジヌクレオチドを含み、または好ましくはこれから構成され、ここで、Cはメチル化されていない。好ましくは、必ずしもではないが、前記CGジヌクレオチドは、パリンドローム配列の一部である。免疫賦活性核酸という用語はまた、修飾塩基、好ましくは4-ブロモ-シトシンを含む核酸を示す。発明との関連で特に好ましいのは、樹状細胞におけるIFN-α産生を刺激することができるISS-NAである。発明の目的のために有用な免疫賦活性核酸は、例えば、WO2007/068747A1号において記載される。
【0058】
オリゴヌクレオチド:本明細書では、「オリゴヌクレオチド」という用語は、2つ以上のヌクレオチド、好ましくは約6~約200のヌクレオチド、より好ましくは20~約100のヌクレオチド、最も好ましくは20~40のヌクレオチドを含む核酸配列を示す。非常に好ましくは、オリゴヌクレオチドは約30のヌクレオチドを含み、より好ましくはオリゴヌクレオチドは、正確に30のヌクレオチドを含み、最も好ましくはオリゴヌクレオチドは正確に30のヌクレオチドから構成される。オリゴヌクレオチドはポリリボヌクレオチドまたはポリデオキシリボヌクレオチドであり、好ましくは下記から選択される:(a)未修飾RNAまたはDNA、および(b)修飾RNAまたはDNA。修飾物は、バックボーンまたはヌクレオチド類似体を含み得る。オリゴヌクレオチドは好ましくは下記からなる群より選択される:(a)一本鎖および二本鎖DNA、(b)一本鎖および二本鎖領域の混合物であるDNA、(c)一本鎖および二本鎖RNA、(d)一本鎖および二本鎖領域の混合物であるRNA、および(e)一本鎖、より好ましくは、二本鎖または一本鎖および二本鎖領域の混合物であるDNAおよびRNAを含むハイブリッド分子。好ましいヌクレオチド修飾物/類似体は下記からなる群より選択される:(a)ペプチド核酸、(b)イノシン、(c)トリチル化塩基、(d)ホスホロチオエート、(e)アルキルホスホロチオエート、(f)5-ニトロインドールデスオキシリボフラノシル(desoxyribofliranosyl)、(g)5-メチルデスオキシシトシン、および(h)5,6-ジヒドロ-5,6-ジヒドロキシデスオキシチミジン。ホスホチオエート化ヌクレオチドは細胞または生物における分解に対して保護され、そのため、好ましいヌクレオチド修飾物となる。ホスホジエステル結合されたヌクレオチドから排他的に構成される未修飾オリゴヌクレオチドは、典型的には修飾ヌクレオチドより活性であり、そのため、発明との関連で一般に好ましい。最も好ましいのはホスホジエステル結合されたデオキシヌクレオチドから排他的に構成されるオリゴヌクレオチドであり、ここで、さらに好ましくは、前記オリゴヌクレオチドは一本鎖である。さらに好ましいのは、細胞、好ましくは樹状細胞におけるIFN-α産生を刺激することができるオリゴヌクレオチドである。細胞におけるIFN-α産生を刺激することができる非常に好ましいオリゴヌクレオチドは、A型CpGsおよびC型CpGsから選択される。さらに好ましいのは、キャップを有さないRNA-分子である。
【0059】
CpGモチーフ:本明細書では、「CpGモチーフ」という用語は、非メチル化中心CpG、すなわち非メチル化CpGジヌクレオチドを含むヌクレオチドのパターンを示し、ここで、Cはメチル化されておらず、中心CpGに隣接している(その3’および5’側で)少なくとも1つの塩基、好ましくは1または2つのヌクレオチドにより囲まれている。典型的にかつ好ましくは、CpGモチーフは本明細書では、非メチル化CpGジヌクレオチドおよびその5’および3’端上の2つのヌクレオチドを含む、あるいはこれから構成される。理論に縛られないが、CpGに隣接している塩基は活性のかなりの部分をCpGオリゴヌクレオチドに与える。
【0060】
非メチル化CpG含有オリゴヌクレオチド:本明細書では、「非メチル化CpG含有オリゴヌクレオチド」または「CpG」という用語は、少なくとも1つのCpGモチーフを含むオリゴヌクレオチド、好ましくはオリゴデスオキシヌクレオチドを示す。よって、CpGは少なくとも1つの非メチル化シトシン、グアニンジヌクレオチドを含む。好ましいCpGは脊椎動物骨髄由来細胞を刺激/活性化する、例えば、これに対して分裂促進効果を有する、またはこれによるサイトカイン発現を誘導する、もしくは増加させる。例えば、CpGは、B細胞、NK細胞および抗原提示細胞、例えば樹状細胞、単球およびマクロファージを活性化するのに有用となり得る。好ましくは、CpGは、非メチル化シトシン、続いて3’グアノシンを含む、オリゴデスオキシヌクレオチド、好ましくは一本鎖オリゴデスオキシヌクレオチドに関連し、前記非メチル化シトシンおよび前記グアノシンはリン酸結合により連結され、ここで、好ましくは結合された前記リン酸は、結合されたホスホジエステル、または、結合されたホスホチオエートであり、ここで、さらに好ましくは前記リン酸結合は結合されたホスホジエステルである。CpGは、ヌクレオチド類似体、例えばホスホロチオエステル結合を含む類似体を含むことができ、二本鎖または一本鎖とすることができる。一般に、二本鎖分子はインビボでより安定であり、一方、一本鎖分子は増加した免疫活性を有する。好ましくは、本明細書では、CpGは、少なくとも約10ヌクレオチドの長さであり、少なくとも1つのCpGモチーフを含むオリゴヌクレオチドであり、ここで、さらに好ましくは前記CpGは10~60、より好ましくは15~50、さらにより好ましくは20~40、さらにより好ましくは約30、最も好ましくは正確に30ヌクレオチドの長さである。CpGは、メチル化および/または非メチル化ヌクレオチドから構成され得、ここで、前記少なくとも1つのCpGモチーフは少なくとも1つのCGジヌクレオチドを含み、ここで、Cはメチル化されていない。CpGはまた、メチル化および非メチル化配列区間を含むことができ、ここで、前記少なくとも1つのCpGモチーフは少なくとも1つのCGジヌクレオチドを含み、ここで、Cはメチル化されていない。非常に好ましくは、CpGは非メチル化シトシン、続いて3’グアノシンを含む一本鎖オリゴデスオキシヌクレオチドに関連し、ここで、前記非メチル化シトシンおよび前記グアノシンは結合されたホスホジエステルにより連結される。CpGはヌクレオチド類似体、例えばホスホロチオエステル結合を含む類似体を含むことができ、二本鎖または一本鎖とすることができる。一般に、ホスホジエステルCpGは以下で示されるA型CpGであり、ホスホチオエステル安定化CpGはB型CpGである。発明との関連で好ましいCpGオリゴヌクレオチドはA型CpGである。
【0061】
A型CpG:本明細書では、「A型CpG」または「D型CpG」という用語は、少なくとも1つのCpGモチーフを含むオリゴデスオキシヌクレオチド(ODN)を示す。A型CpGは優先的にT細胞の活性化および樹状細胞の成熟を刺激し、IFN-α産生を刺激することができる。A型CpGでは、少なくとも1つのCpGモチーフのヌクレオチドは、少なくとも1つのホスホジエステル結合により連結される。A型CpGは少なくとも1つのホスホジエステル結合CpGモチーフを含み、それは、その5’端および/または、好ましくは、その3’端でホスホロチオエート結合ヌクレオチドにより隣接され得る。好ましくは、CpGモチーフ、ここでは好ましくはCGジヌクレオチド、および少なくとも1つの、好ましくは2つのヌクレオチドを含むその直近の隣接領域は、ホスホジエステルヌクレオチドからなる。好ましいA型CpGは、ホスホジエステル(PO)結合ヌクレオチドから排他的に構成される。典型的にかつ好ましくは、ポリGモチーフは少なくとも1つ、好ましくは少なくとも3、少なくとも4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、または15のG(グアノシン)、最も好ましくは少なくとも10のGを含む、あるいはこれから構成される。好ましくは、発明のA型CpGはパリンドローム配列を含む、あるいはこれから構成される。
【0062】
パッケージングされた:「パッケージングされた」という用語は、本明細書では、それぞれ、コア粒子およびVLPとの関連でのポリアニオン性巨大分子または免疫賦活物質の状態を示す。「パッケージングされた」という用語は、本明細書では、例えば、化学的カップリングによる共有結合、または非共有結合、例えば、イオン性相互作用、疎水性相互作用、水素結合、などであってもよい結合を含む。その用語はまた、ポリアニオン性巨大分子の封入、または部分封入を含む。よって、ポリアニオン性巨大分子または免疫賦活物質はVLPにより、実際の結合、特に共有結合の存在なしで、封入させることができる。好ましい実施形態では、少なくとも1つのポリアニオン性巨大分子または免疫賦活物質は、VLPの内側に、最も好ましくは非共有結合様式でパッケージングされる。前記免疫賦活物質が核酸、好ましくはDNAである場合、パッケージングされたという用語は、前記核酸はヌクレアーゼ加水分解に到達できない、好ましくはDNAse加水分解(例えばDNaseIまたはベンゾナーゼ)に到達できないことを意味し、ここで、好ましくは前記到達性はWO2003/024481A2号の実施例11-17において記載されるようにアッセイされる。
【0063】
よって、第1の態様では、本発明は、イヌ科、好ましくは飼いイヌのイヌアトピー性皮膚炎(CAD)を防止または治療する方法において使用するための組成物を提供し、ここで、有効量の前記組成物が前記イヌ科、好ましくは前記飼いイヌに投与され、ここで、前記組成物は(a)少なくとも1つの第1の付着部位を有するコア粒子;および(b)少なくとも1つの第2の付着部位を有する少なくとも1つのイヌインターロイキン-31抗原(cIL-31抗原)を含み、ここで、前記cIL-31抗原は、SEQ ID NO:22から選択されるアミノ配列を有するタンパク質、または、SEQ ID NO:22と少なくとも90%、好ましくは少なくとも92%、さらに好ましくは少なくとも95%、重ねてさらに好ましくは少なくとも98%アミノ酸配列同一性のアミノ酸配列を有するタンパク質を含み、または好ましくはこれから構成され;ここで、(a)および(b)は、前記少なくとも1つの第1のおよび前記少なくとも1つの第2の付着部位によって、少なくとも1つの非ペプチド共有結合を介して連結される。
【0064】
好ましい実施形態では、前記コア粒子はウイルス様粒子(VLP)、好ましくは組換えVLPである。さらに好ましい実施形態では、前記VLPはキュウリモザイクウイルス(CMV)の改変VLPであり、ここで、CMVの前記改変VLPは、少なくとも1つの改変CMVポリペプチドを含み、これから本質的に構成され、あるいはこれから構成され、ここで、前記改変CMVポリペプチドは、(a)CMVポリペプチド、および(b)ヘルパーT細胞エピトープを含み、または好ましくはこれから構成され;ここで、前記CMVポリペプチドは、(i)CMVのコートタンパク質のアミノ酸配列;または(ii)変異アミノ酸配列を含み、または好ましくはこれから構成され、ここで、変異されるアミノ酸配列はCMVのコートタンパク質のアミノ酸配列であり、ここで前記変異アミノ酸配列およびCMVの前記コートタンパク質は、少なくとも90%、好ましくは少なくとも95%、さらに好ましくは少なくとも98%、重ねてより好ましくは少なくとも99%の配列同一性を示す。さらに非常に好ましい実施形態では、前記CMVポリペプチドは、(a)CMVのコートタンパク質のアミノ酸配列であって、前記アミノ酸配列は、SEQ ID NO:1を含み、または好ましくはこれから構成される、アミノ酸配列、または(b)SEQ ID NO:1の少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含み、または好ましくはこれから構成され;ならびにここで、この請求項で(a)または(b)において規定される前記アミノ配列はSEQ ID NO:23を含み;または、ここで、この請求項で(a)または(b)において規定される前記アミノ配列はアミノ酸配列領域を含み、ここで、前記アミノ酸配列領域はSEQ ID NO:23と少なくとも90%の配列同一性を有する。さらに非常に好ましい実施形態では、前記VLPはキュウリモザイクウイルス(CMV)の改変VLPであり、ここで、前記改変CMVポリペプチドは、SEQ ID NO:6またはSEQ ID NO:7のアミノ酸配列を含み、または好ましくはこれから構成される。
【0065】
さらに非常に好ましい実施形態では、前記少なくとも1つのcIL-31抗原は、下記から選択されるアミノ配列を有するタンパク質を含み、または好ましくはこれから構成される:(a)SEQ ID NO:18;(b)SEQ ID NO:21;(c)SEQ ID NO:22;(d)SEQ ID NO:25-30。さらに非常に好ましい実施形態では、前記少なくとも1つのcIL-31抗原は、下記から選択されるアミノ配列を有するタンパク質を含み、または好ましくはこれから構成される:(a)SEQ ID NO:18;(b)SEQ ID NO:21;(c)SEQ ID NO:22;(d)SEQ ID NO:25;または(e)SEQ ID NO:26。さらに非常に好ましい実施形態では、前記第2の付着部位はスルフヒドリル基であり、ここで、好ましくは、前記スルフヒドリル基は、前記cIL-31抗原のN-スクシンイミジルS-アセチルチオアセテート(SATA)との反応から誘導される。さらに非常に好ましい実施形態では、前記第2の付着部位はスルフヒドリル基であり、ここで、好ましくは、前記スルフヒドリル基は、前記cIL-31抗原のリジン残基の反応から誘導される。
【0066】
別の態様では、本発明は、飼いイヌのイヌアトピー性皮膚炎(CAD)を防止または治療する方法において使用するための組成物を提供し、ここで、有効量の前記組成物が前記飼いイヌに投与され、ここで、前記組成物は(a)少なくとも1つの第1の付着部位を有するコア粒子であって、前記コア粒子は好ましくはウイルス様粒子(VLP)、さらに好ましくは組換えVLPである、コア粒子;および(b)少なくとも1つの第2の付着部位を有する少なくとも1つのイヌインターロイキン-31抗原(cIL-31抗原)を含み、ここで、前記cIL-31抗原は、SEQ ID NO:22から選択されるアミノ配列を有するタンパク質、または、SEQ ID NO:22と少なくとも90%、好ましくは少なくとも92%、さらに好ましくは少なくとも95%、重ねてさらに好ましくは少なくとも98%アミノ酸配列同一性のアミノ酸配列を有するタンパク質を含み、または好ましくはこれから構成され;ここで、(a)および(b)は、前記少なくとも1つの第1のおよび前記少なくとも1つの第2の付着部位によって、少なくとも1つの非ペプチド共有結合を介して連結される。
【0067】
好ましい実施形態では、前記ウイルス様粒子(VLP)は植物ウイルスに由来する。別の好ましい実施形態では、前記VLPは組換えVLPであり、ここで、好ましくは前記組換えVLPは植物ウイルスに由来する。別の好ましい実施形態では、前記VLPはキュウリモザイクウイルス(CMV)のVLPである。
【0068】
好ましい実施形態では、前記VLPは少なくとも1つの改変VLPポリペプチドを含み、これから本質的に構成され、あるいはこれから構成される改変VLPであり、ここで、前記改変VLPポリペプチドは、(a)VLPポリペプチド、および(b)ヘルパーT細胞エピトープを含み、または好ましくはこれから構成され、ここで、前記VLPポリペプチドは、(i)ウイルスのコートタンパク質のアミノ酸配列、好ましくは植物ウイルスのコートタンパク質のアミノ酸配列;または(ii)変異アミノ酸配列を含み、または好ましくはこれから構成され、ここで、変異されるアミノ酸配列はウイルスの前記コートタンパク質のアミノ酸配列であり、ここで、前記変異アミノ酸配列およびウイルスの前記コートタンパク質は、少なくとも90%、好ましくは少なくとも95%、さらに好ましくは少なくとも98%、重ねてより好ましくは少なくとも99%の配列同一性を示す。
【0069】
好ましい実施形態では、前記VLPはキュウリモザイクウイルス(CMV)の改変VLPであり、ここで、CMVの前記改変VLPは、少なくとも1つの改変CMVポリペプチドを含み、これから本質的に構成され、あるいはこれから構成され、ここで、前記改変CMVポリペプチドは、(a)CMVポリペプチド、および(b)ヘルパーT細胞エピトープを含み、または好ましくはこれから構成され;ここで、前記CMVポリペプチドは、(i)CMVのコートタンパク質のアミノ酸配列;または(ii)変異アミノ酸配列を含み、または好ましくはこれから構成され、ここで、変異されるアミノ酸配列はCMVのコートタンパク質のアミノ酸配列であり、ここで、前記変異アミノ酸配列およびCMVの前記コートタンパク質は、少なくとも90%、好ましくは少なくとも95%、さらに好ましくは少なくとも98%、重ねてより好ましくは少なくとも99%の配列同一性を示す。
【0070】
好ましい実施形態では、前記CMVポリペプチドは、CMVのコートタンパク質のアミノ酸配列を含み、または好ましくはこれから構成される。別の好ましい実施形態では、前記CMVポリペプチドは変異アミノ酸配列を含み、または好ましくはこれから構成され、ここで、変異されるアミノ酸配列はCMVのコートタンパク質のアミノ酸配列であり、ここで、前記変異アミノ酸配列およびCMVの前記コートタンパク質は、少なくとも90%、好ましくは少なくとも95%、さらに好ましくは少なくとも98%、重ねてより好ましくは少なくとも99%の配列同一性を示す。典型的にかつ好ましくは、前記変異アミノ酸配列および前記変異されるアミノ酸配列は、少なくとも1つ、かつせいぜい11、10、9、8、7、6、5、4、3、または2つのアミノ酸残基が異なり、ここで、好ましくはこれらの違いは(i)挿入、(ii)欠失、(iii)アミノ酸交換、および(iv)(i)~(iii)の任意の組み合わせから選択される。
【0071】
別の好ましい実施形態では、前記CMVポリペプチドは、(i)(a)CMVのコートタンパク質のアミノ酸配列であって、前記アミノ酸配列は、SEQ ID NO:1を含み、または好ましくはこれから構成される、アミノ酸配列、または(b)SEQ ID NO:1の少なくとも75%、好ましくは少なくとも80%、より好ましくは少なくとも85%、重ねてさらに好ましくは少なくとも90%、重ねてより好ましくは少なくとも95%、いっそうさらに好ましくは少なくとも98%、いっそう重ねてさらにより好ましくは少なくとも99%の配列同一性を有するアミノ酸配列;あるいは(ii)変異アミノ酸配列であって、前記変異されるアミノ酸配列はこの請求項の(i)で規定される前記アミノ酸配列である、アミノ酸配列を含み、または好ましくはこれから構成され、ここで、前記変異アミノ酸配列および前記変異されるアミノ酸配列は少なくとも95%、好ましくは少なくとも98%、より好ましくは少なくとも99%の配列同一性を示す。
【0072】
別の好ましい実施形態では、前記CMVポリペプチドは、下記を含み、または好ましくはこれから構成される:(a)CMVのコートタンパク質のアミノ酸配列であって、前記アミノ酸配列は、SEQ ID NO:1を含み、または好ましくはこれから構成される、アミノ酸配列、または(b)SEQ ID NO:1の少なくとも75%、好ましくは少なくとも80%、より好ましくは少なくとも85%、重ねてさらに好ましくは少なくとも90%、重ねてより好ましくは少なくとも95%、いっそうさらに好ましくは少なくとも98%、いっそう重ねてさらにより好ましくは少なくとも99%の配列同一性を有するアミノ酸配列。
【0073】
別の好ましい実施形態では、前記CMVポリペプチドは、(i)(a)CMVのコートタンパク質のアミノ酸配列であって、前記アミノ酸配列はSEQ ID NO:23を含む、アミノ酸配列、または(b)アミノ酸配列領域を含むCMVのコートタンパク質のアミノ酸配列であって、前記アミノ酸配列領域は、SEQ ID NO:23と少なくとも75%、好ましくは少なくとも80%、より好ましくは少なくとも85%、重ねてさらに好ましくは少なくとも90%、重ねてより好ましくは少なくとも95%、いっそうさらに好ましくは少なくとも98%、いっそう重ねてさらにより好ましくは少なくとも99%の配列同一性を有する、アミノ酸配列;あるいは(ii)変異アミノ酸配列であって、前記変異されるアミノ酸配列はこの請求項の(i)で規定される前記アミノ酸配列である、アミノ酸配列を含み、または好ましくはこれから構成され、ここで、前記変異アミノ酸配列および前記変異されるアミノ酸配列は少なくとも95%、好ましくは少なくとも98%、より好ましくは少なくとも99%の配列同一性を示す。
【0074】
さらに好ましい実施形態では、前記CMVポリペプチドは、下記を含み、または好ましくはこれから構成される:(a)CMVのコートタンパク質のアミノ酸配列であって、前記アミノ酸配列はSEQ ID NO:23を含む、アミノ酸配列、または(b)アミノ酸配列領域を含む、CMVのコートタンパク質のアミノ酸配列であって、前記アミノ酸配列領域は、SEQ ID NO:23と少なくとも75%、好ましくは少なくとも80%、より好ましくは少なくとも85%、重ねてさらに好ましくは少なくとも90%、重ねてより好ましくは少なくとも95%、いっそうさらに好ましくは少なくとも98%、いっそう重ねてさらにより好ましくは少なくとも99%の配列同一性を有する、アミノ酸配列。
【0075】
別の好ましい実施形態では、前記CMVポリペプチドは、(i)(a)CMVのコートタンパク質のアミノ酸配列であって、前記アミノ酸配列は、SEQ ID NO:1を含み、または好ましくはこれから構成される、アミノ酸配列、または(b)SEQ ID NO:1の少なくとも75%、好ましくは少なくとも80%、より好ましくは少なくとも85%、重ねてさらに好ましくは少なくとも90%、重ねてより好ましくは少なくとも95%、いっそうさらに好ましくは少なくとも98%、いっそう重ねてさらにより好ましくは少なくとも99%の配列同一性を有するアミノ酸配列;ここで、この請求項で(a)または(b)において規定される前記アミノ配列はSEQ ID NO:23を含み;あるいは、ここで、この請求項で(a)または(b)において規定される前記アミノ配列はアミノ酸配列領域を含み、ここで、前記アミノ酸配列領域は、SEQ ID NO:23と少なくとも75%、好ましくは少なくとも80%、より好ましくは少なくとも85%、重ねてさらに好ましくは少なくとも90%、重ねてより好ましくは少なくとも95%、いっそうさらに好ましくは少なくとも98%、いっそう重ねてさらにより好ましくは少なくとも99%の配列同一性を有する;または(ii)変異アミノ酸配列であって、前記変異されるアミノ酸配列はこの請求項の(i)で規定される前記アミノ酸配列である、変異アミノ酸配列、を含み、または好ましくはこれから構成され、ここで、前記変異アミノ酸配列および前記変異されるアミノ酸配列は少なくとも98%好ましくは少なくとも99%の配列同一性を示す。
【0076】
別の好ましい実施形態では、前記CMVポリペプチドは、(a)CMVのコートタンパク質のアミノ酸配列であって、前記アミノ酸配列は、SEQ ID NO:1を含み、好ましくはこれから構成さる、アミノ酸配列、または(b)SEQ ID NO:1の少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含み、または好ましくはこれから構成され;ここで、この請求項で(a)または(b)において規定される前記アミノ配列はSEQ ID NO:23を含み;あるいはこの請求項で(a)または(b)において規定される前記アミノ配列はアミノ酸配列領域を含み、ここで、前記アミノ酸配列領域はSEQ ID NO:23と少なくとも90%の配列同一性を有する。
【0077】
別の好ましい実施形態では、前記ヘルパーT細胞エピトープは前記CMVポリペプチドのN末端領域にとって代わる。別の好ましい実施形態では、置き換えられた前記N末端領域のアミノ酸の数は、前記ヘルパーT細胞エピトープを構成するアミノ酸の数以下である。
【0078】
さらに非常に好ましい実施形態では、前記ヘルパーT細胞エピトープは前記CMVポリペプチドのN末端領域にとって代わり、ここで、置き換えられた前記N末端領域のアミノ酸の数は、前記ヘルパーT細胞エピトープを構成するアミノ酸の数以下である。典型的にかつ好ましくは、前記CMVポリペプチドの前記置き換えられたN末端領域は、5~15の連続アミノ酸、好ましくは9~14の連続アミノ酸、より好ましくは11~13の連続アミノ酸から構成される。
【0079】
さらに非常に好ましい実施形態では、前記CMVポリペプチドの前記N末端領域はSEQ ID NO:1のアミノ酸2-12に対応する。
【0080】
別の非常に好ましい実施形態では、前記ヘルパーT細胞エピトープはユニバーサルヘルパーT細胞エピトープである。別の好ましい実施形態では、前記ヘルパーT細胞エピトープはせいぜい20のアミノ酸から構成される。
【0081】
非常に好ましい実施形態では、前記Th細胞エピトープはPADRE配列である。さらに非常に好ましい実施形態では、前記Th細胞エピトープは、SEQ ID NO:5のアミノ酸配列を含み、または好ましくはこれから構成される。別の非常に好ましい実施形態では、前記Th細胞エピトープはPADRE配列であり、ここで、前記Th細胞エピトープは、SEQ ID NO:5のアミノ酸配列を含み、または好ましくはこれから構成される。
【0082】
別の好ましい実施形態では、前記ヘルパーT細胞エピトープは、ヒトワクチンに由来する。非常に好ましい実施形態では、前記Th細胞エピトープは、破傷風毒素に由来する。さらに非常に好ましい実施形態では、前記Th細胞エピトープは、SEQ ID NO:4のアミノ酸配列を有し、好ましくはこれから構成される。別の非常に好ましい実施形態では、前記Th細胞エピトープは、破傷風毒素に由来し、ここで、前記Th細胞エピトープは、SEQ ID NO:4のアミノ酸配列を有し、好ましくはこれから構成される。
【0083】
非常に好ましい実施形態では、前記Th細胞エピトープはPADRE配列であり、ここで、前記Th細胞エピトープは、SEQ ID NO:5のアミノ酸配列を含み、または好ましくはこれから構成され;あるいはここで、前記Th細胞エピトープは、破傷風毒素に由来し、ここで、前記Th細胞エピトープは、SEQ ID NO:4のアミノ酸配列を有し、好ましくはこれから構成される。
【0084】
非常に好ましい実施形態では、前記CMVポリペプチドは、CMVのコートタンパク質のアミノ酸配列を含み、または好ましくはこれから構成され、ここで、前記アミノ酸配列は、SEQ ID NO:1またはSEQ ID NO:1の少なくとも95%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含み、または好ましくはこれから構成され;ここで、前記アミノ配列はSEQ ID NO:23を含み、ここで、前記ヘルパーT細胞エピトープは前記CMVポリペプチドのN末端領域にとって代わり、ここで、前記CMVポリペプチドの前記置き換えられたN末端領域は11~13の連続アミノ酸、好ましくは11の連続アミノ酸から構成され、ここで、さらに好ましくは前記CMVポリペプチドの前記N末端領域はSEQ ID NO:1のアミノ酸2-12に対応する。
【0085】
別の非常に好ましい実施形態では、前記改変CMVポリペプチドはSEQ ID NO:6のアミノ酸配列を含み、または好ましくはこれから構成される。別の非常に好ましい実施形態では、前記改変CMVポリペプチドはSEQ ID NO:7のアミノ酸配列を含み、または好ましくはこれから構成される。請求項6~8のいずれか一項に記載の組成物の使用、ここで、前記改変CMVポリペプチドは、SEQ ID NO:6またはSEQ ID NO:7のアミノ酸配列を含み、または好ましくはこれから構成される。
【0086】
非常に好ましい実施形態では、前記第1の付着部位および前記第2の付着部位は少なくとも1つの共有非ペプチド結合を介して連結される。別の非常に好ましい実施形態では、前記第1の付着部位は、アミノ基、好ましくはリジンのアミノ基を含み、好ましくはこれである。さらに非常に好ましい実施形態では、前記第2の付着部位は、スルフヒドリル基、好ましくはシステインのスルフヒドリル基を含み、好ましくはこれである。
【0087】
非常に好ましい実施形態では、少なくとも1つの第1の付着部位は、アミノ基、好ましくはリジン残基のアミノ基であり、少なくとも1つの第2の付着部位はスルフヒドリル基、好ましくはシステイン残基のスルフヒドリル基またはcIL-31抗原に化学的に付着されたスルフヒドリル基である。さらに好ましい実施形態では、前記第2の付着部位のたった1つが前記第1の付着部位と、少なくとも1つの非ペプチド共有結合により結合し、前記cIL-31抗原の前記改変ウイルス様粒子への単一の均一な型の結合につながり、ここで、前記第1の付着部位と結合する前記たった1つの第2の付着部位はスルフヒドリル基であり、ここで、前記cIL-31抗原および前記改変ウイルス様粒子は前記結合により相互作用し、秩序反復抗原アレイ、すなわちcIL-31抗原の秩序反復アレイを形成する。
【0088】
発明の1つの好ましい実施形態では、cIL-31抗原は、典型的にかつ好ましくは、ヘテロ二官能性架橋剤を使用することにより、化学架橋により改変VLP連結される。好ましい実施形態では、ヘテロ二官能性架橋剤は、好ましい第1の付着部位と、好ましくはアミノ基と、より好ましくは改変VLPのリジン残基(複数可)のアミノ基と反応することができる官能基、および、cIL-31抗原に固有の、またはこれに付加された、および、任意で還元により反応に使用可能とされる、好ましい第2の付着部位、すなわち、好ましくはシステイン(複数可)残基のスルフヒドリル基と反応することができる、さらなる官能基を含む。いくつかのヘテロ二官能性架橋剤は当技術分野で知られている。これらとしては、好ましい架橋剤SMPH(Pierce)、Sulfo-MBS、Sulfo-EMCS、Sulfo-GMBS、Sulfo-SIAB、Sulfo-SMPB、Sulfo-SMCC、Sulfo-KMUS SVSB、SIA、および、例えばPierce Chemical Companyから入手可能であり、アミノ基に対して反応性である1つの官能基およびスルフヒドリル基に対して反応性である1つの官能基を有する他の架橋剤が挙げられる。上記架橋剤は全て、アミノ基との反応後のアミド結合およびスルフヒドリル基とのチオエーテル結合の形成に至らしめる。発明の実施において好適な架橋剤の別のクラスは、カップリングでの、cIL-31抗原と改変VLPの間のジスルフィド連結の導入により特徴付けられる。このクラスに属する好ましい架橋剤としては、例えば、SPDPおよびSulfo-LC-SPDP(Pierce)が挙げられる。非常に好ましい実施形態では、前記ヘテロ二官能性架橋剤はSMPHである。
【0089】
以上で記載される好ましい方法に従う、ヘテロ二官能性架橋剤を使用することによるcIL-31抗原の改変VLPへの連結により、配向様式でのcIL-31抗原の改変VLPへのカップリングが可能になる。cIL-31抗原を改変VLPに連結させる方法は、cIL-31抗原が改変VLPに、カルボジイミドEDC、およびNHSを使用して架橋される方法を含む。cIL-31抗原はまた、例えばSATA、SATPまたはイミノチオランとの反応により、最初にチオール化されてもよい。cIL-31抗原は、必要なら脱保護後、下記の通り、その後、改変VLPにカップリングされてもよい。過剰のチオール化試薬の分離後、cIL-31抗原は、システイン反応性部分を含むヘテロ二官能性架橋剤で前に活性化され、そのため、システイン残基に対して反応性の少なくとも1つまたは複数の官能基を提示する改変VLPと反応させられ、チオール化されたcIL-31抗原は、それに対して、例えば以上で記載されるように反応することができる。任意で、低量の還元剤が反応混合物中に含められる。さらなる方法では、cIL-31抗原はホモ二官能性架橋剤、例えばグルタルアルデヒド、DSG、BM[PEO]4、BS3、(Pierce)または、改変VLPのアミン基またはカルボキシル基に対して反応性である官能基を有する他の公知のホモ二官能性架橋剤を用いて、改変VLPに付着される。
【0090】
さらに好ましい実施形態では、前記組成物は、少なくとも1つの免疫賦活物質をさらに含む。非常に好ましい実施形態では、前記免疫賦活物質は、発明の改変VLPにパッケージングされる。別の好ましい実施形態では、免疫賦活物質は、発明の改変VLPと混合される。発明に有用な免疫賦活物質は、一般に当技術分野で知られており、とりわけ、WO2003/024481A2号で開示される。
【0091】
本発明の別の実施形態では、前記免疫賦活物質は、非真核生物起源のDNAまたはRNAから構成される。さらに好ましい実施形態では、前記免疫賦活物質は下記からなる群より選択される:(a)免疫賦活性核酸;(b)ペプチドグリカン;(c)リポ多糖;(d)リポテイコ酸(lipoteichonic acid);(e)イミダゾキノリン化合物;(f)フラゲリン;(g)リポタンパク質;および(h)(a)~(g)の少なくとも1つの物質の任意の混合物。さらに好ましい実施形態では、前記免疫賦活物質は免疫賦活性核酸であり、ここで、前記免疫賦活性核酸は下記からなる群より選択される:(a)リボ核酸;(b)デオキシリボ核酸;(c)キメラ核酸;および(d)(a)、(b)および/または(c)の任意の混合物。さらに好ましい実施形態では、前記免疫賦活性核酸はリボ核酸であり、ここで、前記リボ核酸は細菌由来RNAである。さらに好ましい実施形態では、前記免疫賦活性核酸は、ポリ-(LC)またはその誘導体である。さらに好ましい実施形態では、前記免疫賦活性核酸はデオキシリボ核酸であり、ここで、前記デオキシリボ核酸は非メチル化CpG-含有オリゴヌクレオチドである。
【0092】
非常に好ましい実施形態では、前記免疫賦活物質は非メチル化CpG含有オリゴヌクレオチドである。さらに好ましい実施形態では、前記非メチル化CpG含有オリゴヌクレオチドはA型CpGである。さらに好ましい実施形態では、前記A型CpGは、配列GACGATCGTC(SEQ ID NO:24)を含む。さらに好ましい実施形態では、前記パリンドローム配列はその5’末端およびその3’末端でグアノシンエンティティにより隣接される。さらに好ましい実施形態では前記パリンドローム配列はその5’末端で少なくとも3つ、かつせいぜい15のグアノシンエンティティにより隣接され、ここで、前記パリンドローム配列は、その3’末端で少なくとも3つかつせいぜい15グアノシンエンティティにより隣接される。
【0093】
別の好ましい実施形態では、前記免疫賦活物質は非メチル化CpG含有オリゴヌクレオチドであり、ここで、好ましくは前記非メチル化CpG含有オリゴヌクレオチドはパリンドローム配列を含み、ここで、さらに好ましくは、前記非メチル化CpG含有オリゴヌクレオチドのCpGモチーフは、パリンドロームの一部であり、ここで、重ねてさらに好ましくは前記パリンドローム配列はGACGATCGTC(SEQ ID NO:24)である。
【0094】
非常に好ましい実施形態では、前記少なくとも1つのcIL-31抗原はスルフヒドリル基を介して前記コア粒子、好ましくは前記VLP、重ねてさらに好ましくは前記改変CMV VLPに連結され、ここで、好ましくは前記スルフヒドリル基は、前記第2の付着部位に含まれ、ここで、前記スルフヒドリル基は前記cIL-31抗原と共に天然に生じず、ここで、好ましくは前記スルフヒドリル基は、前記cIL-31抗原のN-スクシンイミジルS-アセチルチオアセテート(SATA)、N-スクシンイミジルS-アセチルチオプロピオナート(SATP)またはイミノチオランとの反応から誘導され、さらに好ましくは、ここで、前記スルフヒドリル基は、前記cIL-31抗原のN-スクシンイミジルS-アセチルチオアセテート(SATA)との反応から誘導される。さらに非常に好ましい実施形態では、前記第2の付着部位はスルフヒドリル基であり、ここで、好ましくは前記スルフヒドリル基は、前記cIL-31抗原のリジン残基の反応から誘導される。
【0095】
発明の他の好ましい実施形態では、cIL-31抗原は、cIL-31抗原のN末端またはC末端のいずれかに付加されたシステイン残基、またはこれ内の天然システイン残基を介して、改変ウイルス様粒子のリジン残基に連結される。好ましい実施形態では、発明の組成物はリンカーをさらに含み、前記リンカーは前記cIL-31抗原を前記第2の付着部位と結合させ、ここで、好ましくは前記リンカーは前記第2の付着部位を含む、あるいはこれから構成される。
【0096】
好ましい実施形態では、前記cIL-31抗原は、SEQ ID NO:22と少なくとも90%のアミノ酸配列同一性のアミノ酸配列を有するタンパク質を含み、または好ましくはこれから構成される。別の好ましい実施形態では、前記cIL-31抗原は、SEQ ID NO:22と少なくとも92%のアミノ酸配列同一性のアミノ酸配列を有するタンパク質を含み、または好ましくはこれから構成される。さらに好ましい実施形態では、前記cIL-31抗原は、SEQ ID NO:22と少なくとも95%のアミノ酸配列同一性のアミノ酸配列を有するタンパク質を含み、または好ましくはこれから構成される。非常に好ましい実施形態では、前記cIL-31抗原は、SEQ ID NO:22と少なくとも98%のアミノ酸配列同一性のアミノ酸配列を有するタンパク質を含み、または好ましくはこれから構成される。さらに非常に好ましい実施形態では、前記cIL-31抗原は、SEQ ID NO:22のアミノ酸配列を有するタンパク質を含み、または好ましくはこれから構成される。さらに非常に好ましい実施形態では、前記少なくとも1つのcIL-31抗原は、SEQ ID NO:18のアミノ配列を有するタンパク質を含み、または好ましくはこれから構成される。さらに非常に好ましい実施形態では、前記少なくとも1つのcIL-31抗原は、SEQ ID NO:21のアミノ配列を有するタンパク質を含み、または好ましくはこれから構成される。さらに非常に好ましい実施形態では、前記第2の付着部位はスルフヒドリル基であり、ここで、好ましくは前記スルフヒドリル基は、前記cIL-31抗原のN-スクシンイミジルS-アセチルチオアセテート(SATA)との反応から誘導される。さらに非常に好ましい実施形態では、前記第2の付着部位はスルフヒドリル基であり、ここで、好ましくは前記スルフヒドリル基は、前記cIL-31抗原のリジン残基の反応から誘導される。
【0097】
さらなる態様では、本発明は、(a)少なくとも1つの第1の付着部位を有するウイルス様粒子(VLP);(b)少なくとも1つの第2の付着部位を有する少なくとも1つのイヌインターロイキン-31抗原(cIL-31抗原)を含む組成物を提供し、ここで、前記cIL-31抗原は、SEQ ID NO:22から選択されるアミノ配列を有するタンパク質、または、SEQ ID NO:22と少なくとも90%、好ましくは少なくとも92%、さらに好ましくは少なくとも95%、重ねてさらに好ましくは少なくとも98%アミノ酸配列同一性のアミノ酸配列を有するタンパク質を含み、または好ましくはこれから構成され、重ねてさらに好ましくは、前記抗原は、SEQ ID NO:22のアミノ配列を有するタンパク質を含み、または好ましくはこれから構成され;ここで、(a)および(b)は、前記少なくとも1つの第1のおよび前記少なくとも1つの第2の付着部位によって、少なくとも1つの非ペプチド共有結合を介して連結される。
【0098】
さらに非常に好ましい実施形態では、前記VLPはキュウリモザイクウイルス(CMV)の改変VLPであり、ここで、前記改変CMVポリペプチドは、SEQ ID NO:6またはSEQ ID NO:7のアミノ酸配列を含み、または好ましくはこれから構成される。
【0099】
さらに非常に好ましい実施形態では、前記少なくとも1つのcIL-31抗原は、下記から選択されるアミノ配列を有するタンパク質を含み、または好ましくはこれから構成される:(a)SEQ ID NO:18;(b)SEQ ID NO:21;(c)SEQ ID NO:22;(d)SEQ ID NO:25-30。さらに非常に好ましい実施形態では、前記少なくとも1つのcIL-31抗原は、下記から選択されるアミノ配列を有するタンパク質を含み、または好ましくはこれから構成される:(a)SEQ ID NO:18;(b)SEQ ID NO:21;(c)SEQ ID NO:22;(d)SEQ ID NO:25;または(e)SEQ ID NO:26。さらに好ましい実施形態では、前記cIL-31抗原は、SEQ ID NO:22と少なくとも95%のアミノ酸配列同一性のアミノ酸配列を有するタンパク質を含み、または好ましくはこれから構成される。非常に好ましい実施形態では、前記cIL-31抗原は、SEQ ID NO:22と少なくとも98%のアミノ酸配列同一性のアミノ酸配列を有するタンパク質を含み、または好ましくはこれから構成される。さらに非常に好ましい実施形態では、前記cIL-31抗原は、SEQ ID NO:22のアミノ酸配列を有するタンパク質を含み、または好ましくはこれから構成される。さらに非常に好ましい実施形態では、前記少なくとも1つのcIL-31抗原は、SEQ ID NO:18のアミノ配列を有するタンパク質を含み、または好ましくはこれから構成される。さらに非常に好ましい実施形態では、前記少なくとも1つのcIL-31抗原は、SEQ ID NO:21のアミノ配列を有するタンパク質を含み、または好ましくはこれから構成される。さらに非常に好ましい実施形態では、前記第2の付着部位はスルフヒドリル基であり、ここで、好ましくは前記スルフヒドリル基は、前記cIL-31抗原のN-スクシンイミジルS-アセチルチオアセテート(SATA)との反応から誘導される。さらに非常に好ましい実施形態では、前記第2の付着部位はスルフヒドリル基であり、ここで、好ましくは前記スルフヒドリル基は、前記cIL-31抗原のリジン残基の反応から誘導される。
【0100】
別の態様では、本発明は、イヌ科、好ましくは飼いイヌのイヌアトピー性皮膚炎(CAD)を防止または治療する方法であって、有効量の組成物を前記イヌ科、好ましくは前記飼いイヌに投与することを含む方法を提供し、ここで、前記組成物は(a)少なくとも1つの第1の付着部位を有するコア粒子;および(b)少なくとも1つの第2の付着部位を有する少なくとも1つのイヌインターロイキン-31抗原(cIL-31抗原)を含み、ここで、前記cIL-31抗原は、SEQ ID NO:22から選択されるアミノ配列を有するタンパク質、または、SEQ ID NO:22と少なくとも90%、好ましくは少なくとも92%、さらに好ましくは少なくとも95%、重ねてさらに好ましくは少なくとも98%アミノ酸配列同一性のアミノ酸配列を有するタンパク質を含み、または好ましくはこれから構成され;ここで、(a)および(b)は、前記少なくとも1つの第1のおよび前記少なくとも1つの第2の付着部位によって、少なくとも1つの非ペプチド共有結合を介して連結され、ここで、好ましくは前記方法または前記組成物は、本明細書で記載されるようにさらに規定される。
【0101】
別の態様では、本発明は、イヌ科、好ましくは飼いイヌのイヌアトピー性皮膚炎(CAD)を防止または治療するための薬剤の製造のための、(a)少なくとも1つの第1の付着部位を有するコア粒子;および(b)少なくとも1つの第2の付着部位を有する少なくとも1つのイヌインターロイキン-31抗原(cIL-31抗原)を含む組成物の使用を提供し、ここで、前記cIL-31抗原は、SEQ ID NO:22から選択されるアミノ配列を有するタンパク質、または、SEQ ID NO:22と少なくとも90%、好ましくは少なくとも92%、さらに好ましくは少なくとも95%、重ねてさらに好ましくは少なくとも98%アミノ酸配列同一性のアミノ酸配列を有するタンパク質を含み、または好ましくはこれから構成され;ここで、(a)および(b)は、前記少なくとも1つの第1のおよび前記少なくとも1つの第2の付着部位によって、少なくとも1つの非ペプチド共有結合を介して連結され;ここで、有効量の前記組成物が前記イヌ科、好ましくは前記飼いイヌに投与され、ここで、好ましくは前記方法または前記組成物は、本明細書で記載されるようにさらに規定される。
【0102】
実施例
実施例1
キュウリモザイクウイルス(CMV)のコートタンパク質(CP)の単離およびクローニング
CMV感染ユリ葉由来の全RNAをTRI試薬(Sigma、Saint Louis、USA)を使用して、製造者の指示にしたがい単離した。cDNA合成では、OneStep RT-PCRキット(Qiagen、Venlo、オランダ)を使用した。CMV CP遺伝子の増幅では、プライマー配列をGenBankからのCMV配列の分析後に選択した:CMcpF(CACCATGGACAAATCTGAATCAACCAGTGCTGGT)(SEQ ID NO:8)およびCMcpR(CAAAGCTTATCAAACTGGGAGCACCCCAGATGTGGGA)(SEQ ID NO:9);NcoIおよびHindIII部位には下線が付けられている。対応するPCR産物をpTZ57R/Tベクター(Fermentas、Vilnius、リトアニア)にクローニングした。大腸菌XL1-Blue細胞をクローニングおよびプラスミド増幅のための宿主として使用した。PCRエラーを含むクローンの選択を回避するために、いくつかのCP遺伝子含有pTZ57プラスミドクローンを、BigDyeサイクル配列決定キットおよびABI Prism3100ジェネティックアナライザ(Applied Biosystems、Carlsbad、USA)を使用して、配列決定した。配列決定後、SEQ ID NO:1のCMVコートタンパク質をコードする、配列エラーのないCMV CP遺伝子のcDNA(SEQ ID NO:10)をその後、pET28a(+)発現ベクターのNcoI/HindIII部位にサブクローニングし(Novagen、San Diego、USA)、発現プラスミドpET-CMVwtを得た(図1)。
【0103】
実施例2
CMVのVLPにつながる、大腸菌におけるSEQ ID NO:1のCPの発現
CMV VLPを得るために、大腸菌C2566細胞(New England Biolabs、Ipswich、USA)を、CMV CP遺伝子含有プラスミドpET-CMVwtで形質転換させた。最高発現レベルの標的タンパク質を有するクローンの選択後、大腸菌培養物を、回転式振盪機(200rev/分;Infors、Bottmingen、スイス)上にて、カナマイシン(25mg/l)を含む2×TY培地中で、30℃にて、0.8-1.0のOD600まで増殖させた。その後、細胞を、0.2mM IPTGで誘導し、培地に5mM MgCl2を補充した。インキュベーションを回転式振盪機上で20℃にて18時間の間続けた。得られたバイオマスを低速遠心分離により収集し、-20℃で凍結させた。氷上での解凍後、細胞を、50mMクエン酸ナトリウム、5mMホウ酸ナトリウム、5mM EDTA、5mMメルカプトエタノールを含むバッファー(pH9.0、バッファーA)中に懸濁させ、超音波処理により破壊させた。不溶性タンパク質および細胞デブリを遠心分離により除去した(13,000rpm、5℃で30分)。清澄ライセート中の可溶性CMV CPタンパク質を、飽和硫酸アンモニウム(1:1、vol/vol)を用いて、一晩+4℃でペレット化した。沈殿したタンパク質を同じバッファーA(メルカプトエタノールなし)中で4時間の間+4℃で可溶化した。不溶性タンパク質を低速遠心分離により除去した(13,000rpm、4℃で15分)。可溶性CMV CP含有タンパク質溶液を細胞タンパク質から、超遠心分離法(SW28ローター、Beckman、Palo Alto、USA;25,000rpmで6時間、5℃)により、スクロース勾配中で分離した(バッファーA中20-60%スクロース、メルカプトエタノールなし、0.5%トリトンX-100補充)。勾配を勾配の底部で開始して、6つの画分に分割し、画分をSDS-PAGEにより分析した(データ示さず)。組換えCMV CPを含む画分No.2およびNo.3を合わせ、200体積のバッファー(5mMホウ酸ナトリウム、2mM EDTA、pH9.0)に対して透析し、スクロースおよびトリトンX-100を除去した。透析後、CMV CP溶液を0.2μフィルタに通す濾過により滅菌した。次に、CMV CPを、Type70ローター(Beckman、Palo Alto、USA)超遠心分離法を用いて、20%スクロース「クッション」により、無菌条件下で(50000rpm、4時間、+5℃)濃縮した。精製CMVwtの濃度を、QuBit蛍光光度計を用いて、製造者の推奨にしたがい推定した(Invitrogen、Eugene、USA)。濃VLP溶液(approx.3mg/ml)を、+4℃で、5mMホウ酸ナトリウム、2mM EDTA、バッファー(pH9.0)中で保存した。VLPの発現および精製に関与する全てのステップをSDS-PAGEにより12.5%ゲルを用いてモニタした。
【0104】
CMVコートタンパク質は、大腸菌細胞においてうまく発現させることができ、得られたかなり部分は可溶画分中に存在することができる。その上、これらのタンパク質は、スクロース勾配分析(図2A)、動的光散乱および電子-顕微鏡分析(図2B)により証明されるように、大腸菌細胞抽出物中で、等軸VLPの形態で直接見出される。
【0105】
実施例3
破傷風トキソイドエピトープを含むCMVの改変コートタンパク質のクローニング(CMV-Ntt830)
SEQ ID NO:1のCMV CPのN末端の元のアミノ酸を破傷風トキソイドエピトープコード配列で置き換えるために、pET-CMVwtプラスミドをPCR増幅および変異誘発のために使用した。CMVwt遺伝子内に位置するSalI部位(図1)を対応するPCR産物をクローニングするために使用した。
【0106】
破傷風トキソイドエピトープコード配列をCMVwt遺伝子中に導入するために、ツーステップPCR変異誘発を使用した。第1ステップ増幅では、下記プライマーを使用した:pET-220(AGCACCGCCGCCGCAAGGAA(SEQ ID NO:11)-ポリリンカーから上流、増幅領域はBglII部位を含む)およびCMV-tt83-1R(ATTTGGAGTTGGCCTTAATATACTGGCCCATGGTATATCTCCTTCTTAAAGT)(SEQ ID NO:12)。第2ラウンドでは、第1の増幅からのPCR産物を1:50で希釈し、プライマーpET-220(SEQ ID NO:11)およびCMV-tt83Sal-R2(GACGTCGACGCTCGGTAATCCCGATAAATTTGGAGTTGGCCTTAATATACTG)(SEQ ID NO:13)を用いて再増幅させた。得られたPCR産物(SEQ ID NO:6のCMV-Ntt830をコードするSEQ ID NO:14のcDNA)をpET-CMVwtのBglII/SaLI部位でサブクローニングさせた。妥当なクローンを配列決定により同定し、pET-CMV-Ntt830と指定した。
【0107】
実施例4
CMVの改変VLPにいたる、大腸菌におけるCMV-Ntt830の発現
CMV-Ntt830 VLPを得るために、大腸菌C2566細胞(New England Biolabs、Ipswich、USA)を、CMV-Ntt830遺伝子含有プラスミドpET-CMV-Ntt830で形質転換させた。最高発現レベルの標的タンパク質を有するクローンの選択後、大腸菌培養物を、カナマイシン(25mg/l)を含む2×TY培地中で、回転式振盪機(200rev/分;Infors、Bottmingen、スイス)において30℃で、0.8-1.0のOD600まで増殖させた。細胞をその後、0.2mM IPTGで誘導し、培地に5mM MgClを補充した。インキュベーションを回転式振盪機上で20℃で18時間の間続けた。得られたバイオマスを低速遠心分離により収集し、-20℃で凍結させた。氷上での解凍後、細胞を、50mMクエン酸ナトリウム、5mMホウ酸ナトリウム、5mM EDTA、5mMメルカプトエタノールを含むバッファー中に懸濁させ(pH9.0、バッファーA)、超音波処理により破壊した。不溶性タンパク質および細胞デブリを遠心分離により除去した(13,000rpm、5℃で30分)。清澄ライセート中の可溶性CMV-Ntt830タンパク質を、飽和硫酸アンモニウム(1:1、vol/vol)を一晩+4℃で用いてペレット化した。沈殿したタンパク質を、バッファーA(メルカプトエタノールなし)中で4時間の間+4℃で可溶化した。不溶性タンパク質を低速遠心分離により除去した(13,000rpm、4℃で15分)。可溶性CMV-Ntt830含有タンパク質溶液を細胞タンパク質から超遠心分離法(SW28ローター、Beckman、Palo Alto、USA;25,000rpm、6時間、5℃)により、スクロース勾配中で(バッファーA中20-60%スクロース、メルカプトエタノールなし、0.5%トリトンX-100補充)分離した。勾配を、勾配の底部で開始して、6画分に分割した。組換えCMV-Ntt830を含む画分を合わせ、200体積の5mMホウ酸ナトリウム、2mM EDTA(pH9.0)に対して透析し、スクロースおよびトリトンX-100を除去した。透析後、CMV-Ntt830溶液を0.2μフィルタを通す濾過により滅菌した。次に、CMV-Ntt830を、Type70ローター(Beckman、Palo Alto、USA)超遠心分離法を用いて、20%スクロース「クッション」により、無菌条件下で(50000rpm、4時間、+5℃)濃縮した。精製CMV-Ntt830の濃度を、QuBit蛍光光度計を用いて、製造者の推奨にしたがい推定した(Invitrogen、Eugene、USA)。濃VLP溶液(approx.3mg/ml)を、+4℃で、5mMホウ酸ナトリウム、2mM EDTA、バッファー(pH9.0)中で保存した。VLPの発現および精製に関与する全てのステップをSDS-PAGEにより12.5%ゲルを用いてモニタした。CMV VLP中の破傷風トキソイドエピトープの存在を証明するために、精製CMV-Ntt830VLPの質量分析を使用した。図3Cに示されるように、得られた主ピークは、大腸菌細胞中のタンパク質合成中に生じる第1のメチオニンが除去される場合、タンパク質の理論分子質量に対応する。動的光散乱および電子顕微鏡法により、CMVwt VLPに類似する等軸粒子形態が確認された(図4Aおよび4B)。
【0108】
実施例5
PADREエピトープを含むCMVの改変コートタンパク質のクローニング
(CMV-Npadr)
PADREエピトープコード配列をCMVwt遺伝子に導入するために、PCR変異誘発を、増幅およびサブクローニングのための鋳型としてpET-CMVwtプラスミドを使用して実施した(実施例2および3も参照されたい)。増幅のために、下記プライマーを使用した:pET-220(SEQ ID NO:11)およびCMV-padrSal-R(GACGTCGACGCGCGGCCGCCTTGAGGGTCCACGCGGCCACAAATTTCGCCATGGT)(SEQ ID NO:15)。得られたPCR産物(SEQ ID NO:7のCMV-NpadrをコードするSEQ ID NO:16のcDNA)をpET-CMVwtのBglII/SalI部位で重ねてサブクローニングさせた。妥当なクローンを配列決定により同定し、pET-CMV-Npadrと指定した。
【0109】
実施例6
CMVの改変VLPに至る大腸菌におけるCMV-Npadrの発現
CMV-Npadrの発現および精製についての手順は、CMV-Ntt830に対するものと本質的に同じであり、実施例4で記載される。CMV VLPにおけるPADREエピトープの存在を証明するために、精製CMV-Npadr VLPの質量分析を使用した。図3Bに示されるように、得られた主ピークは、大腸菌細胞中のタンパク質合成中に生じる第1のメチオニンが除去される場合、タンパク質の理論分子質量に対応する。動的光散乱および電子顕微鏡分析により等軸粒子形態が確認された(図5Aおよび図5B)。
【0110】
実施例7
6×HisタグおよびC末端システインを有するイヌIL-31のクローニングおよび産生
大腸菌最適化コドン、N末端6×Hisタグ、TEVプロテアーゼ切断部位、C末端システインおよび隣接しているNcoIおよびPstI制限部位を有するイヌIL31cDNA配列(SEQ ID NO:17)をIDT社で製造した。さらに、NcoI/PstI断片をベクターpET42の対応する部位中に連結させた。コンストラクトを化学的コンピテント大腸菌DH5α細胞において形質転換させ、コロニーをアンピシリンを含むLB寒天プレート上に播種した。得られたクローンの配列を、Sanger配列決定により検証した。得られたコンストラクトpET42_6HcIL31Cを化学的コンピテント大腸菌BL21-DE3細胞においてさらに形質転換させた。
【0111】
播種材料ストックをIL31-pET42形質転換BL31-DE3細胞を50μg/mlアンピシリンを含むLB培地中に播種し、一晩+37℃でインキュベートすることにより調製した。ストックをその後、2TY培地に体積比1:20で添加した。細胞を+37℃で振盪させながら、540nmでの光学密度が0.7単位に到達するまで増殖させた。その後タンパク質(SEQ ID NO:18)発現を1mM IPTGで誘導し、細胞をさらに4時間の間、+37℃で振盪させながら増殖させた。タンパク質産生を、総細胞溶解物をSDS-PAGE上にロードすることにより確認した(図6)。
【0112】
バイオマスを遠心分離を用いて収集し、40mM Tris-HCl(pH8.0)、200mM NaCl、20mM MgSO、0.1mg/ml DNaseI、1mM PMSFおよび1%トリトンX-100を含む氷冷溶解バッファーに、1gウェット細胞/5mlの溶解バッファーの比率を維持して、懸濁させた。細胞を氷上での超音波処理により溶解させ、得られたライセートを40分間15000gで遠心分離し、上清を廃棄した。20mM TrisHCl、pH=8.0および1M NaClを含む洗浄バッファーWB1をペレットに、3mlWB1/1gの初期ウェット細胞質量の比率を維持して添加した。ペレットをボルテックスにより再懸濁させ、回転式振盪機上で1時間の間、室温でインキュベートし、15分間15000gで遠心分離させた。ペレット洗浄をもう1回、20mM TrisHCl、pH=8.0、200mM NaClおよび1M尿素を含む洗浄バッファーWB2を用いて繰り返した。標的タンパク質はペレット画分中に位置した。ペレットをその後、8M尿素、20mM trisHCl、pH=8、および100mM NaHPOを含む溶離バッファーEB1に、3mlEB1/1gの初期ウェット細胞質量の比率を維持して再懸濁させ、回転式振盪機上、室温で一晩インキュベートした。遠心分離後、上清はおおよそ90%純度を有するタンパク質を含んだ(図7)。1mlの得られた上清を、1滴ずつ、20mM tris-HCl、pH=8.0、50mM NaCl、1Mグリシン、および5mM β-メルカプトエタノールを含む、20mLのリフォールディングバッファーRBに添加し、2時間の間室温で撹拌しながらインキュベートした。上清をその後、Amiconフィルタユニットにより1mlまで濃縮し(MWCO 10kDa)、48時間の間、+4℃で1000mlのPBSに対して透析した。その後、試料を遠心分離し、SuperdexTM200 10/300GLカラム上にPBS中でロードした。カラムプロファイルから、標的タンパク質は空隙容量中に溶離され、そのため、おそらく、可溶性凝集体を形成することが示された(図8)。
【0113】
実施例8
組換え天然イヌIL-31のクローニングおよび産生
イヌIL-31を、SEQ ID NO:17を含むプラスミドから、PCRを用いて、PstIおよびNcoI部位を含む、プライマーcIL31NATf(TACACCATGGCCTCCCACATGGCTCCAACG、SEQ ID NO:19)およびcIL31NATr(CATACTGCAGTTACTGCGGTCCACTGTTTAAG、SEQ ID NO:20)を使用して増幅させた。得られたcIL-31PCR断片を、PstIおよびNcoI制限酵素で消化させ、pET42ベクターの対応する部位において連結させた。コンストラクトを化学的コンピテント大腸菌DH5α細胞において形質転換させ、コロニーをアンピシリンを含むLB寒天プレート上に播種した。陽性クローンを、Sanger配列決定により同定した。cIL31-pET42コンストラクトをその後、化学的コンピテント大腸菌BL21-DE3細胞において形質転換させた。
【0114】
播種材料ストックを、cIL31-pET42形質転換BL31-DE3細胞を50μg/mlアンピシリンを含むLB培地中に播種し、一晩、+37℃でインキュベートすることにより調製した。ストックをその後、2TY培地に体積比1:20で添加した。細胞を+37℃で振盪させながら、540nmでの光学密度が0.7単位に到達するまで増殖させた。その後、タンパク質(SEQ ID NO:21)発現を1mM IPTGで誘導し、細胞をさらに4時間の間、+37℃で振盪させながら増殖させた。タンパク質産生を、総細胞溶解物をSDS-PAGE上にロードすることにより確認した(図9)。
【0115】
バイオマスを遠心分離により収集し、40mM tris-HCl(pH8.0)、200mM NaCl、20mM MgSO、0.1mg/ml DNaseI、1mM PMSFおよび1%トリトンX-100を含む氷冷溶解バッファーに、1g細胞/5mlの溶解バッファーの比率を維持して懸濁させた。細胞を氷上での超音波処理により溶解させ、得られたライセートを40分間15000gで遠心分離した。上清を廃棄し、溶解バッファーをペレットに、1.5mlの溶解バッファー対1gの初期ウェット細胞質量の比率を維持して添加した。ペレットを、超音波処理により溶液に懸濁させ、溶液を20分間15000gで遠心分離した。上清を廃棄し、ペレットをもう5回、以上で記載される通りの溶解バッファーで洗浄した。洗浄ステップ後、ペレットを6.86M尿素および20mMジチオトレイトール(dithiotreitholに)超音波処理により再懸濁させた。溶液を20分間15000gで遠心分離し、上清を、50mM tris-HCl、1Mグリシン、1mM EDTAおよび5mM β-メルカプトエタノールを含むリフォールディングバッファー中で、75mlリフォールディングバッファー/1mlの尿素-ジチオトレイトール(dithiotreithol)溶液の比率を維持して希釈した。リフォールディングを一晩+4℃で撹拌しながら実施した。溶液をその後、22μmフィルタを使用して濾過し、限外濾過により10kDa装置(Amicon)を用いて200mlから4mlに濃縮した。溶液をその後、15000gで10分間遠心分離し、残りの沈殿物を除去した。溶液を、リフォールディングバッファー中で前に平衡化させたSuperdex200ゲル濾過カラム(16×600mm)上にロードし、分画した(2ml/画分、流速2ml/分)。cIL-31タンパク質を含む画分をSDS-PAGE電気泳動を用いて同定し、プールし、限外濾過により、10kDa装置(Amicon)を用いて3mlの体積まで濃縮した。リクロマトグラフィーを前と同じSuperdex200ゲル濾過カラム上で実施した。リクロマトグラフィーステップにおけるカラムは、PBSバッファー(0.1Mリン酸ナトリウム、pH7.2および0.15M NaCl)中で平衡化させた。画分をSDS-PAGE電気泳動で分析し(図10)、最も純粋なcIL-31タンパク質(SEQ ID NO:21)を含む4つの画分をプールし、4mg/mlまで限外濾過により10kDa装置(Amicon)で濃縮し、CMV VLPへのカップリング実験のためにさらに使用した。
【0116】
実施例9
組換えイヌIL-31コンストラクトのCMV-Npadr VLPおよびCMV-Ntt830 VLPへのカップリングならびにマウスおよびイヌの免疫化
A.cIL-31のVLPへのカップリング
実施例8で得られた、100μlの、cIL-31タンパク質(SEQ ID NO:21)の溶液(PBSバッファー中4mg/ml)を、4.8μlの55mM N-スクシンイミジルS-アセチルチオアセテート(SATA、Thermo Fisher Scientific)を含むDMSOと混合し、30分間室温(RT)でインキュベートした。未反応SATAをアミコンウルトラ-0.5 3K濾過ユニット(Merck-Millipore)を用いたPBS(0.1Mリン酸ナトリウム緩衝液、pH7.2および0.15M NaCl)への4×バッファー交換により除去し、最終体積を100μlに調整した。スルフヒドリル基を10μLの脱アセチル溶液(0.5Mヒドロキシルアミンおよび25mM EDTAを含むPBS)の添加および2時間室温でのインキュベーションにより脱保護した。脱アセチル溶液を、アミコンウルトラ-0.5 3K濾過ユニット(Merck-Millipore)を用いたPBSへの4×バッファー交換により除去し、最終体積を100μlに調整した。
【0117】
250μlの体積の、5mM NaHPO pH7.5、2mM EDTA中1.5mg/mlの濃度を有するCMV-Ntt830 VLPを3μlの、DMSO中の50mMスクシンイミジル-6-(b-マレイミドプロピオンアミド)ヘキサノエート(SMPH)溶液と混合し、1時間の間室温でインキュベートした。SMPHの量は、1つのVLPモノマ、すなわち1つのCMVポリペプチドに関して7.5×モル過剰を示す。未反応SMPHを5mM NaHPO pH7.5、2mM EDTA pH8.0への4×バッファー交換により、アミコンウルトラ-0.5 3K濾過ユニット(Merck-Millipore)を用いて除去し、最終体積を250μlに調整した。
【0118】
カップリング反応のために、100μlのSMPH-処理VLPを43μlの、SEQ ID NO:21の、SATA処理かつ脱アセチル化cIL-31と混合し、3時間の間室温でインキュベートした。得られた生成物をSDS-PAGE(図11)および電子顕微鏡法(図12)により調査した。SDSゲル上での分析により予想される分子量の化学カップリング生成物の存在が確認され、EMによる分析により無傷のVLPの存在が確認された。
【0119】
B.CMV-NpadrおよびCMV-Ntt830 VLPにカップリングされたcIL-31によるマウスの免疫化
5匹の雌Balb/cマウスの群を第0日および第14日に、PBS中で製剤化された、50μgの、SEQ ID NO:21のcIL-31に、SATAを介してカップリングさせたCMV-Npadr VLPおよびCMV-Ntt830のいずれかを用いてs.c.で免疫化する。マウスを第0日(免疫前)、第14日、および第28日に採血し、血清をcIL-31特異的ELISAを用いて分析する。
【0120】
ELISA.マウス血清における抗体応答を指示された時間に分析する。cIL-31に特異的な抗体を、ELISAプレートを5μg/mlの濃度の組換えcIL-31を含む100μlの体積のPBS(pH7.2)で4℃にて一晩コートすることにより分析する。ELISAプレートを5×、0.05%Tween20を含む200μlのPBS(pH7.2、PBST)を用いて洗浄する。非特異的結合を回避するために、ELISAプレートを200μlの2%BSAを含むPBSTでブロックし、2時間の間室温でインキュベートする。血清試料を2%BSA/PBST中で希釈する。予備希釈された血清をコートプレート上に移し、さらに段階希釈し、OD50計算に基づく抗体価を取得する。室温での2時間のインキュベーション後、ELISAプレートを5×、200μlのPBSTを用いて洗浄する。血清抗体の結合をセイヨウワサビペルオキシダーゼコンジュゲートヤギ抗マウスIgG(Jackson ImmunoResearch)により検出する。検出抗体を2%BSA/PBST中で1:1000希釈し、100μlの体積/試料を移した。プレートを1時間の間室温でインキュベートする。ELISAプレートを前に記載されるように洗浄する。洗浄前に、基質溶液を調製する。この目的を達成するために、1錠剤(10mg)のOPD(1,2-フェニレンジアミン二塩酸塩)および9μlの30%Hを25mlのクエン酸バッファー(0.066M NaHPO、0.035Mクエン酸、pH5.0)に溶解する。100μlの体積の基質溶液をプレート上にピペッティングし、7分間室温で正確にインキュベートする。反応を停止させるために、50μlの停止液(5%HSO4のHO溶液)をプレート上に直接ピペッティングする。1,2-フェニレンジアミン二塩酸塩呈色反応の450nmでの吸光度測定値を分析する。
【0121】
C.CMV-NpadrおよびCMV-Ntt830 VLPにカップリングされたcIL-31によるイヌの免疫化
5匹のイヌの群を、第0日および第14日、第28日および第42日に、PBS中で製剤化された、50μgの、SATAを介してSEQ ID NO:21のcIL-31にカップリングさせたCMV-Npadr VLPおよびCMV-Ntt830 VLPのいずれかを用いてs.c.で免疫化する。イヌを第0日(免疫前)、第14日、第28日、第42日および第56日に採血し、血清をcIL-31特異的ELISAを用いて分析する。
【0122】
ELISA.イヌ血清における抗体応答を指示された時間に分析する。cIL-31に特異的な抗体をELISAプレートを、5μg/mlの濃度の組換えcIL-31を含む100μlの体積のPBS(pH7.2)で4℃にて一晩コートすることにより分析する。ELISAプレートを5×、0.05%Tween20を含む200μlのPBS(pH7.2、PBST)を用いて洗浄する。非特異的結合を回避するために、ELISAプレートを200μlの2%BSAを含むPBSTでブロックし、2時間の間室温でインキュベートする。血清試料を2%BSA/PBST中で希釈する。予備希釈された血清をコートプレート上に移し、さらに段階希釈し、OD50計算に基づく抗体価を取得する。室温での2時間のインキュベーション後、ELISAプレートを5×、200μlのPBSTを用いて洗浄する。血清抗体の結合をセイヨウワサビペルオキシダーゼコンジュゲートヤギ抗イヌIgG(Jackson ImmunoResearch)により検出する。検出抗体を2%BSA/PBST中で1:1000希釈し、100μlの体積/試料を移した。プレートを1時間の間室温でインキュベートする。ELISAプレートを前に記載されるように洗浄する。洗浄前に、基質溶液を調製する。この目的を達成するために、1錠剤(10mg)のOPD(1,2-フェニレンジアミン二塩酸塩)および9μlの30%Hを25mlのクエン酸バッファー(0.066M NaHPO、0.035Mクエン酸、pH5.0)に溶解する。100μlの体積の基質溶液をプレート上にピペッティングし、7分間室温で正確にインキュベートする。反応を停止させるために、50μlの停止液(5%HSO4のHO溶液)をプレート上に直接ピペッティングする。1,2-フェニレンジアミン二塩酸塩呈色反応の450nmでの吸光度測定値を分析する。
【0123】
実施例10
イヌアトピー性皮膚炎の治療のためのCMV-Ntt830 VLPにカップリングされた組換えイヌIL-31コンストラクトによるイヌの治療的免疫化
15匹のアトピー性皮膚炎を有するイヌの群を第0日および第14日、第28日、第56日よびおよび第80日に、Alum中で製剤化された、50μgの、SATAを介してSEQ ID NO:21のcIL-31にカップリングさせたCMV-Ntt830 VLPまたはCMV-Ntt830単独を用いてs.c.で免疫化する。疾患重症度を免疫化前ならびに第28日、第56日、第80日および第120日に目視検査により測定する。
【0124】
実施例11
CADスコアリング
CAD症状スコアリングでは、アトピー性皮膚炎病変指数(Atopic Dermatitis Lesion Index)(ADLI)およびそう痒ビジュアルアナログスケール(PVAS)を実験イヌにおいて使用する。ADLIスコアは、5つの特定の身体領域において評価されるイヌアトピー性皮膚炎と関連する、6つの臨床症状の検証された複合指数である。各特定の身体領域で、各パラメータがスコアラーにより0から5までスコア化され、0のスコアは病変なしとして規定され、5のスコアは重篤/広範な病変として規定される。PVASはスコアラーにより0から10のアナログスケールによりスコア化され、0のスコアはそう痒/咀嚼なしを表し、10のスコアは、絶え間ない、かつ激烈なそう痒/咀嚼に等しい。処置したイヌのCADスコアリングをベースライン、ならびにプラセボで処置したイヌのスコアと比較する。
【0125】
実施例12
屋内チリダニにアレルギー性のイヌのcIL-31-CMV-Ntt830 VLPを用いたワクチン接種およびその後の誘発
6匹のアレルギーイヌをAlum中で製剤化された、100μgのcIL-31-CMV-Ntt830 VLPを用いて免疫化し、6匹のアレルギーイヌをプラセボ(alum)で処置した。3週間後、イヌを300μgのワクチンまたはプラセボで追加免疫した。血液を第28日に採取した。d-28日に、毛を腹部皮膚からテープストリッピングにより除去し、屋内チリダニ誘発を1日1回10分間、連続5日間実施した。皮膚病変およびそう痒を12匹のイヌについて、6時間/日の間のイヌの臨床検査録画によりスコア化した。
【0126】
図13Aは、ワクチン接種前後でのイヌのひっかき挙動を示す。ひっかきの強い低減が存在し、5/6免疫化イヌは本質的にひっかきをやめたが、プラセボ処置動物の挙動は変化しなかった。
【0127】
cIL-31特異的IgG力価の決定
イヌ血清における抗体応答を第28日に分析した。cIL-31に特異的な抗体を、ELISAプレートを、3μg/mlの濃度の組換えcIL-31を含む100μlの体積のPBS(pH7.2)で4℃にて一晩コートすることにより分析した。ELISAプレートを5×、0.05%Tween20を含む200μlのPBS(pH7.2、PBST)で洗浄した。非特異的結合を回避するために、ELISAプレートを200μlの2%BSAを含むPBSTでブロックし、2時間の間室温でインキュベートした。血清試料を2%BSA/PBST中で希釈する。予備希釈された血清(10倍)をコートプレート上に移し、さらに段階希釈し(3倍ステップ)、OD50計算に基づく抗体力価を取得した。室温での2時間のインキュベーション後、ELISAプレートを5×、200μlのPBSTで洗浄した。血清抗体の結合をセイヨウワサビペルオキシダーゼコンジュゲートヤギ抗イヌIgG(JacksonImmunoResearch)により検出した。検出抗体を2%BSA/PBST中で1:1000希釈し、100μlの体積/試料を移した。プレートを1時間の間室温でインキュベートした。ELISAプレートを前に記載されるように洗浄する。洗浄前に、5つの基質溶液を調製した。この目的を達成するために、1錠剤(10mg)のOPD(1,2-フェニレンジアミン二塩酸塩)および9μlの30%HO2を25mlクエン酸バッファー(0.066MNa2HPO4、0.035Mクエン酸、pH5.0)に溶解した。100μlの体積の基質溶液をプレート上にピペッティングし、7分間室温で正確にインキュベートした。反応を停止させるために、50μlの停止液(5%H2SO4のH2O溶液)をプレート上に直接ピペッティングする。1,2-フェニレンジアミン二塩酸塩呈色反応の450nmでの吸光度測定値を分析し、10倍予備希釈血清のlog3として表した(図13B)。図13BはIL-31特異抗体力価とひっかき強度の間の相関を示す。依然としてひっかいていた1匹のイヌは最低抗体応答を開始し、<1/300の指示力価が保護的であることが見出された。
なお、本発明は以下の態様を含みうる。
[1]イヌ科、好ましくは飼いイヌのイヌアトピー性皮膚炎(CAD)を防止または治療する方法において使用するための組成物であって、有効量の前記組成物が前記イヌ科、好ましくは前記飼いイヌに投与され、前記組成物は
(a)少なくとも1つの第1の付着部位を有するコア粒子;および
(b)少なくとも1つの第2の付着部位を有する少なくとも1つのイヌインターロイキン-31抗原(cIL-31抗原)
を含み、
前記cIL-31抗原は、SEQ ID NO:22から選択されるアミノ配列を有するタンパク質、または、SEQ ID NO:22と少なくとも90%、好ましくは少なくとも92%、さらに好ましくは少なくとも95%、重ねてさらに好ましくは少なくとも98%アミノ酸配列同一性のアミノ酸配列を有するタンパク質を含み、または好ましくはこれから構成され;
(a)および(b)は前記少なくとも1つの第1のおよび前記少なくとも1つの第2の付着部位により、少なくとも1つの非ペプチド共有結合を介して連結される、組成物。
[2]前記コア粒子はウイルス様粒子(VLP)、好ましくは組換えVLPである、上記のいずれかに記載の使用するための組成物。
[3]前記VLPは植物ウイルスに由来する、上記[2]に記載の使用するための組成物。
[4]前記VLPは少なくとも1つの改変VLPポリペプチドを含み、これから本質的に構成され、あるいはこれから構成される改変VLPであり、前記改変VLPポリペプチドは、
(a)VLPポリペプチド、および
(b)ヘルパーT細胞エピトープ、
を含み、または好ましくはこれから構成され、
前記VLPポリペプチドは、
(i)ウイルスのコートタンパク質のアミノ酸配列、好ましくは植物ウイルスのコートタンパク質のアミノ酸配列;または
(ii)変異アミノ酸配列、
を含み、または好ましくはこれから構成され、
前記変異されるアミノ酸配列はウイルスの前記コートタンパク質のアミノ酸配列であり、前記変異アミノ酸配列およびウイルスの前記コートタンパク質は、少なくとも90%、好ましくは少なくとも95%、さらに好ましくは少なくとも98%、重ねてより好ましくは少なくとも99%の配列同一性を示す、上記[2]~[3]のいずれかに記載の使用するための組成物。
[5]前記VLPはキュウリモザイクウイルス(CMV)の改変VLPであり、CMVの前記改変VLPは、少なくとも1つの改変CMVポリペプチドを含み、これから本質的に構成され、あるいはこれから構成され、前記改変CMVポリペプチドは、
(a)CMVポリペプチド、および
(b)ヘルパーT細胞エピトープ
を含み、または好ましくはこれから構成され;ならびに
前記CMVポリペプチドは、
(ii)CMVのコートタンパク質のアミノ酸配列;または
(ii)変異アミノ酸配列、
を含み、または好ましくはこれから構成され、
前記変異されるアミノ酸配列はCMVのコートタンパク質のアミノ酸配列であり、前記変異アミノ酸配列およびCMVの前記コートタンパク質は、少なくとも90%、好ましくは少なくとも95%、さらに好ましくは少なくとも98%、重ねてより好ましくは少なくとも99%の配列同一性を示す、上記[2]~[4]のいずれかに記載の使用するための組成物。
[6]前記CMVポリペプチドは、
(a)CMVのコートタンパク質のアミノ酸配列であって、前記アミノ酸配列は、SEQ ID NO:1を含み、または好ましくはこれから構成される、アミノ酸配列、または
(b)SEQ ID NO:1の少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含み、または好ましくはこれから構成され;ならびに
この項目で(a)または(b)において規定される前記アミノ配列はSEQ ID NO:23を含み;あるいは
この項目で(a)または(b)において規定される前記アミノ配列はアミノ酸配列領域を含み、前記アミノ酸配列領域はSEQ ID NO:23と少なくとも90%の配列同一性を有する、上記[5]に記載の使用するための組成物。
[7]前記ヘルパーT細胞エピトープは前記CMVポリペプチドのN末端領域にとって代わり、前記CMVポリペプチドの前記N末端領域はSEQ ID NO:1のアミノ酸2-12に対応する、上記[5]~[6]のいずれかに記載の使用するための組成物。
[8]前記Th細胞エピトープはPADRE配列であり、前記Th細胞エピトープはSEQ ID NO:5のアミノ酸配列を含み、または好ましくはこれから構成され;あるいは、前記Th細胞エピトープは、破傷風毒素に由来し、前記Th細胞エピトープは、SEQ ID NO:4のアミノ酸配列を有し、好ましくはこれから構成される、上記[5]~[7]のいずれかに記載の使用するための組成物。
[9]前記CMVポリペプチドは、CMVのコートタンパク質のアミノ酸配列を含み、または好ましくはこれから構成され、前記アミノ酸配列は、SEQ ID NO:1またはSEQ ID NO:1の少なくとも95%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含み、または好ましくはこれから構成され;ならびに、前記アミノ配列はSEQ ID NO:23を含み、前記ヘルパーT細胞エピトープは前記CMVポリペプチドのN末端領域にとって代わり、前記CMVポリペプチドの前記置き換えられたN末端領域は11~13の連続アミノ酸、好ましくは11の連続アミノ酸から構成され、さらに好ましくは、前記CMVポリペプチドの前記N末端領域はSEQ ID NO:1のアミノ酸2-12に対応する、上記[5]~[8]のいずれかに記載の使用するための組成物。
[10]前記改変CMVポリペプチドは、SEQ ID NO:6またはSEQ ID NO:7のアミノ酸配列を含み、または好ましくはこれから構成される、上記[5]~[9]のいずれかに記載の使用するための組成物。
[11]前記少なくとも1つのcIL-31抗原は、下記から選択されるアミノ配列を有するタンパク質を含み、または好ましくはこれから構成される、上記のいずれかに記載の使用するための組成物:
(a)SEQ ID NO:18;
(b)SEQ ID NO:21;
(c)SEQ ID NO:22;または
(d)SEQ ID NO:26。
[12]前記組成物の前記投与は少なくとも1つのCADパラメータまたは症状を、前記投与前の前記少なくとも1つのCADパラメータまたは症状と比べて低減させ、好ましくは前記少なくとも1つのCADパラメータまたは症状は皮膚病変またはかゆみのレベルまたは重症度グレードであり、さらに好ましくは皮膚病変の前記レベルまたは重症度グレードの前記低減は症状および病変スコアリング試験により決定される、上記のいずれかに記載の使用するための組成物。
[13](a)少なくとも1つの第1の付着部位を有するウイルス様粒子(VLP);
(b)少なくとも1つの第2の付着部位を有する少なくとも1つのイヌインターロイキン-31抗原(cIL-31抗原)
を含む組成物であって、
前記cIL-31抗原は、SEQ ID NO:22から選択されるアミノ配列を有するタンパク質、または、SEQ ID NO:22と少なくとも90%、好ましくは少なくとも92%、さらに好ましくは少なくとも95%、重ねてさらに好ましくは少なくとも98%アミノ酸配列同一性のアミノ酸配列を有するタンパク質を含み、または好ましくはこれから構成され、重ねてさらに好ましくは前記抗原は、SEQ ID NO:22のアミノ配列を有するタンパク質を含み、または好ましくはこれから構成され;
(a)および(b)は前記少なくとも1つの第1のおよび前記少なくとも1つの第2の付着部位により、少なくとも1つの非ペプチド共有結合を介して連結される、組成物。
[14]前記VLPはキュウリモザイクウイルス(CMV)の改変VLPであり、前記改変CMVポリペプチドは、SEQ ID NO:6またはSEQ ID NO:7のアミノ酸配列を含み、または好ましくはこれから構成される、上記[13]または[14]に記載の組成物。
[15]前記第2の付着部位はスルフヒドリル基であり、好ましくは、前記スルフヒドリル基は、前記cIL-31抗原のN-スクシンイミジルS-アセチルチオアセテート(SATA)との反応から誘導され、好ましくは前記少なくとも1つのcIL-31抗原は、下記から選択されるアミノ配列を有するタンパク質を含み、または好ましくはこれから構成される、上記[13]または[14]に記載の組成物:
(a)SEQ ID NO:18;
(b)SEQ ID NO:21;
(c)SEQ ID NO:22;または
(d)SEQ ID NO:26。
図1
図2A
図2B
図3A
図3B
図3C
図4A
図4B
図5A
図5B
図6
図7
図8A
図8B
図9
図10A
図10B
図11
図12
図13A
図13B
【配列表】
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