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  • 特許-メタセシス触媒の合成および特性決定 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-11
(45)【発行日】2022-03-22
(54)【発明の名称】メタセシス触媒の合成および特性決定
(51)【国際特許分類】
   B01J 31/22 20060101AFI20220314BHJP
   B01J 37/04 20060101ALI20220314BHJP
   B01J 31/24 20060101ALI20220314BHJP
   C07F 15/00 20060101ALI20220314BHJP
【FI】
B01J31/22 Z
B01J37/04 102
B01J31/24 Z
C07F15/00 A
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2019511381
(86)(22)【出願日】2017-08-10
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2019-09-19
(86)【国際出願番号】 US2017046283
(87)【国際公開番号】W WO2018038928
(87)【国際公開日】2018-03-01
【審査請求日】2020-07-27
(31)【優先権主張番号】62/378,791
(32)【優先日】2016-08-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】501399500
【氏名又は名称】ユミコア・アクチエンゲゼルシャフト・ウント・コムパニー・コマンディットゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】Umicore AG & Co.KG
【住所又は居所原語表記】Rodenbacher Chaussee 4,D-63457 Hanau,Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】アダム・エム・ジョンズ
【審査官】安齋 美佐子
(56)【参考文献】
【文献】特表2003-500412(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2010/0145086(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2014/0371454(US,A1)
【文献】特開平10-180114(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01J 21/00-38/74
C07C 1/00-409/44
C07B 61/00
C07F 15/00
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(V)
【化2】
の構造によって表される、オレフィンメタセシス触媒であって、
式中、
は、水素であり;
は、非置換フェニル、置換フェニル、または置換1-プロペニルであるか;または、RとRが一緒に結合して、場合により置換されていてもよいインデニリデンを形成し;
とRが一緒に結合して、スルホキシド基を有するテトラヒドロチオフェンオキシドを形成し;
およびXは、独立して、Cl、Br、FまたはIであり;
は、アダマンチル、2,4,6-トリメチルフェニル、2,6-ジ-iso-プロピルフェニル、2-iso-プロピル-6-メチルフェニル、2-iso-プロピル-フェニルまたは2-メチル-フェニルであり;
は、2,4,6-トリメチルフェニル、2,6-ジ-iso-プロピルフェニル、2-iso-プロピル-6-メチルフェニル、2-iso-プロピル-フェニルまたは2-メチル-フェニルである、オレフィンメタセシス触媒。
【請求項2】
請求項に記載のオレフィンメタセシス触媒であって、
は、フェニルまたは2-メチル-1-プロペニルであり;またはRとRが一緒に結合して、3-フェニルインデン-1-イリデンを形成し;
およびXは、それぞれClである、オレフィンメタセシス触媒。
【請求項3】
請求項に記載のオレフィンメタセシス触媒であって、
は、2,4,6-トリメチルフェニルであり;
は、2,4,6-トリメチルフェニルである、オレフィンメタセシス触媒。
【請求項4】
請求項に記載のオレフィンメタセシス触媒であって、
とRが一緒に結合して、3-フェニルインデン-1-イリデンを形成している、オレフィンメタセシス触媒。
【請求項5】
請求項に記載のオレフィンメタセシス触媒であって、
およびXは、それぞれClである、オレフィンメタセシス触媒。
【請求項6】
請求項に記載のオレフィンメタセシス触媒であって、
は、フェニルまたは2-メチル-1-プロペニルであり;
は、2,4,6-トリメチルフェニルであり;
は、2,4,6-トリメチルフェニルである、オレフィンメタセシス触媒。
【請求項7】
請求項に記載のオレフィンメタセシス触媒であって、
とRが一緒に結合して、3-フェニルインデン-1-イリデンを形成し;
は、2,4,6-トリメチルフェニルであり;
は、2,4,6-トリメチルフェニルである、オレフィンメタセシス触媒。
【請求項8】
請求項に記載のオレフィンメタセシス触媒であって、
【化3】
から選択される、オレフィンメタセシス触媒。
【請求項9】
式(VIII)
【化6】
の構造によって表される、オレフィンメタセシス触媒であって、
式中、
は、メチル、エチル、n-プロピル、iso-プロピル、n-ブチル、tert-ブチル、シクロヘキシルまたはフェニルであり;
は、メチル、エチル、n-プロピル、iso-プロピル、n-ブチル、tert-ブチル、シクロヘキシルまたはフェニルであり;または、RとRが一緒に結合して、スルホキシド基を有する5員環または6員環のヘテロ環式環を形成し;
は、アダマンチル、2,4,6-トリメチルフェニル、2,6-ジ-iso-プロピルフェニル、2-メチル-6-tert-ブチルフェニル、2-iso-プロピル-6-メチルフェニル、2-iso-プロピル-フェニル、2,6-ジ-エチルフェニル、2-エチル-6-メチルフェニル、2,4,6-トリフルオロフェニル、2,6-ジフルオロフェニル、3,5-ジ-tert-ブチルフェニル、2,4-ジメチルフェニルまたは2-メチル-フェニルであり;
は、2,4,6-トリメチルフェニル、2,6-ジ-iso-プロピルフェニル、2-メチル-6-tert-ブチルフェニル、2-iso-プロピル-6-メチルフェニル、2-iso-プロピル-フェニル、2,6-ジ-エチルフェニル、2-エチル-6-メチルフェニル、2,4,6-トリフルオロフェニル、2,6-ジフルオロフェニル、3,5-ジ-tert-ブチルフェニル、2,4-ジメチルフェニルまたは2-メチル-フェニルであり;
は水素であり、Rは、非置換フェニル、置換フェニルまたは置換1-プロペニルであり;または、RとRが一緒に結合して、場合により置換されていてもよいインデニリデンを形成し;
11、R12、R13およびR14は、独立して、C~Cアルキルまたは水素であり;
およびR は、独立して、ハロゲンであり;
およびR は、独立して、C~Cアルキル、水素、ハロゲン、非置換フェニルまたは置換フェニルであり;またはRとRが一緒に結合して、非置換の二環または多環のアリールまたは置換の二環または多環のアリールを形成する、オレフィンメタセシス触媒。
【請求項10】
式(B)
【化7】
によって表されるオレフィンメタセシス触媒を合成する方法であって、
前記方法は、式(V)
【化8】
の構造によって表されるオレフィンメタセシス触媒と、PROR配位子とを、不活性溶媒中、室温で接触させることを含み、式中、
は、水素であり;
は、フェニルまたは2-メチル-1-プロペニルであり;またはRとRが一緒に結合して、3-フェニルインデン-1-イリデンを形成し;
は、2,4,6-トリメチルフェニル、2,6-ジ-iso-プロピルフェニルまたは2-iso-プロピル-6-メチルフェニルであり;
は、2,4,6-トリメチルフェニル、2,6-ジ-iso-プロピルフェニルまたは2-iso-プロピル-6-メチルフェニルであり;
およびXは、それぞれClであり;
は、非置換C~C10アルキル、置換C~C10アルキル、非置換C~C10シクロアルキル、置換C~C10シクロアルキル、非置換C~C24アリールまたは置換C~C24アリールであり;
は、非置換C~C10アルキル、置換C~C10アルキル、非置換C~C10シクロアルキル、置換C~C10シクロアルキル、非置換C~C24アリールまたは置換C~C24アリールであり;または、RとRが一緒に結合して、スルホキシド基を有する5員環または6員環のヘテロ環式環を形成し;
は、非置換C~C10アルキル、置換C~C10アルキル、置換C~C10アリール、非置換C~C10アリール、置換C~Cシクロアルキルまたは非置換C~Cシクロアルキルであり;
は、非置換C~C10アルキル、置換C~C10アルキル、置換C~C10アリール、非置換C~C10アリール、置換C~Cシクロアルキルまたは非置換C~Cシクロアルキルであり;
は、非置換C~C10アルキル、置換C~C10アルキル、置換C~C10アリール、非置換C~C10アリール、置換C~Cシクロアルキルまたは非置換C~Cシクロアルキルである、方法。
【請求項11】
請求項10に記載の方法であって、
は水素であり、Rはフェニルであり;またはRとRが一緒に結合して、3-フェニルインデン-1-イリデンを形成し;
は、2,4,6-トリメチルフェニルであり;
は、2,4,6-トリメチルフェニルであり;
は、メチルであり;
は、メチルであり;
は、フェニルであり;
は、フェニルであり;
は、フェニル、メチル、p-(OMe)フェニル、iso-プロピルまたはエチルである、方法。
【請求項12】
請求項11に記載の方法であって、
とRが一緒に結合して、3-フェニルインデン-1-イリデンを形成し;
はフェニルである、方法。
【請求項13】
式(D)
【化9】
によって表されるオレフィンメタセシス触媒を合成する方法であって、
前記方法は、式(V)
【化10】
の構造によって表されるオレフィンメタセシス触媒と、

【化11】
の配位子とを不活性溶媒中で接触させることを含み、式中、
は、水素であり;
は、フェニルまたは2-メチル-1-プロペニルであり;またはRとRが一緒に結合して、3-フェニルインデン-1-イリデンを形成し;
は、2,4,6-トリメチルフェニル、2,6-ジ-iso-プロピルフェニルまたは2-iso-プロピル-6-メチルフェニルであり;
は、2,4,6-トリメチルフェニル、2,6-ジ-iso-プロピルフェニルまたは2-iso-プロピル-6-メチルフェニルであり;
およびXは、それぞれClであり;
は、非置換C~C10アルキル、置換C~C10アルキル、非置換C~C10シクロアルキル、置換C~C10シクロアルキル、非置換C~C24アリールまたは置換C~C24アリールであり;
は、非置換C~C10アルキル、置換C~C10アルキル、非置換C~C10シクロアルキル、置換C~C10シクロアルキル、非置換C~C24アリールまたは置換C~C24アリールであり;または、RとRが一緒に結合して、スルホキシド基を有する5員環または6員環のヘテロ環式環を形成し;
は、水素、ハロゲン、-NO、-CN、-CF、-SONR 、-NHC(O)CF、-NHC(O)C、-NHC(O)OtBu、ヒドロカルビル、置換ヒドロカルビル、ヘテロ原子含有ヒドロカルビル、または置換ヘテロ原子含有ヒドロカルビルであり;
は、水素、ハロゲン、-NO、-CN、-CF、-SONR 、-NHC(O)CF、-NHC(O)C、-NHC(O)OtBu、ヒドロカルビル、置換ヒドロカルビル、ヘテロ原子含有ヒドロカルビル、または置換ヘテロ原子含有ヒドロカルビルであり;
は、水素、ハロゲン、-NO、-CN、-CF、-SONR 、-NHC(O)CF、-NHC(O)C、-NHC(O)OtBu、ヒドロカルビル、置換ヒドロカルビル、ヘテロ原子含有ヒドロカルビル、または置換ヘテロ原子含有ヒドロカルビルであり;
は、水素、ハロゲン、-NO、-CN、-CF、-SONR 、-NHC(O)CF、-NHC(O)C、-NHC(O)OtBu、ヒドロカルビル、置換ヒドロカルビル、ヘテロ原子含有ヒドロカルビル、または置換ヘテロ原子含有ヒドロカルビルであり;
は、水素またはC~Cアルキルであり;
は、C~C10アルキルである、方法。
【請求項14】
請求項13に記載の方法であって、
は水素であり、Rはフェニルであり;またはRとRが一緒に結合して、3-フェニルインデン-1-イリデンを形成し;
は、メチルであり;
は、メチルであり;
は、2,4,6-トリメチルフェニルであり;
は、2,4,6-トリメチルフェニルであり;
は、水素であり;
は、水素であり;
は、水素であり;
は、水素であり;
は、iso-プロピルである、方法。
【請求項15】
請求項14に記載の方法であって、
とRが一緒に結合して、3-フェニルインデン-1-イリデンを形成する、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願)
本出願は、2016年8月24日に出願された米国仮特許出願第62/378,791号の利益を請求する。
【0002】
本発明は、一般には、オレフィンメタセシス触媒、このような化合物の調製、このような化合物を含む組成物、このような化合物を使用する方法、およびオレフィンのメタセシスおよび関連するオレフィンメタセシス触媒の合成におけるこのような化合物の使用に関する。本発明は、触媒反応、有機合成、ポリマー化学の分野、および油およびガス、ファインケミカルおよび医薬などの工業的用途において有用性がある。
【背景技術】
【0003】
1950年代の発見から、オレフィンメタセシスは、炭素-炭素二重結合を生成するための価値ある合成方法として出現してきた。有機合成およびポリマー合成への用途における近年の進歩は、大部分は、十分に定義されたオレフィンメタセシス触媒の開発に依存している。
【0004】
ルテニウムメタセシス触媒の技術によって、開環メタセシス重合(ROMP)、開環交差メタセシス(ROCM)、交差メタセシス(CM)および閉環メタセシス(RCM)といったいくつかの研究プラットフォームの開発が可能になった。
【0005】
第1世代Grubbsルテニウムオレフィンメタセシス触媒、例えば、
(PCy(Cl)Ru=CHPhは、有機合成に広く使用されてきた。
【0006】
特定の種類のN-ヘテロ環カルベン(NHC)配位子の組み込みは、ルテニウムメタセシス触媒の開発に重要な役割を果たしており、第2世代Grubbsルテニウムオレフィンメタセシス触媒、例えば、
(IMesH)(PCy)(Cl)Ru=CHPhが得られ、ここで、IMesHは、1,3-ジメシチル-4,5-ジヒドロイミダゾール-2-イリデンである。
【0007】
第2世代Grubbsルテニウムオレフィンメタセシス触媒でホスフィンを交換するために、Grubbsグループは、2001年に、2個のピリジン配位子を有する前駆体(IMesH)(Cl)(CN)Ru=CHPhを含む方法を報告した(Organometallics 2001,20,5314~5318)。この不安定なピリジン配位子によって、多様なルテニウムオレフィンメタセシス触媒の調製が可能になった。しかし、ピリジン錯体の調製は、特に工業的なスケールアップのために、大量の高価で悪臭のある試薬(ピリジン)と、さまざまな反応条件(摂氏マイナス温度)を必要とする。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0008】
【文献】Organometallics 2001,20,5314~5318
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
したがって、オレフィンメタセシス触媒、特に、第2世代Grubbsルテニウムオレフィンメタセシス触媒を合成するためのスケールアップ手順において、効率的で、収率が高く、純度が高く、容易であることが常に必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
この必要性を満たすために、本願発明者らは、本明細書に記載するスルホキシド配位子を有する新規ルテニウムオレフィンメタセシス触媒を開発した。この不安定なスルホキシド配位子を有するルテニウムオレフィンメタセシス触媒は、高い安定性を示し、既存の手順と比較して、さらに高い収率で、さらに高い純度で、種々の第2世代Grubbsルテニウムオレフィンメタセシス触媒の合成を容易にする。
【0011】
一実施形態では、本発明は、式(I)の構造によって表されるオレフィンメタセシス触媒を提供し、
【化1】
式中、
Mは、第8族遷移金属であり;一般には、Mは、ルテニウムまたはオスミウムであり;典型的には、Mは、ルテニウムであり;
およびLは、独立して、中性の電子供与配位子であり;
nは、0または1であり;典型的には、nは0であり;
mは、0、1または2であり;典型的には、mは0であり;
は、水素、非置換ヒドロカルビル、置換ヒドロカルビル、非置換ヘテロ原子含有ヒドロカルビル、または置換ヘテロ原子含有ヒドロカルビルであり;一般には、Rは、非置換C~C10アルキル、置換C~C10アルキル、非置換C~C10シクロアルキル、置換C~C10シクロアルキル、非置換C~C24アリールまたは置換C~C24アリールであり;典型的には、Rは、メチル、エチル、n-プロピル、iso-プロピル、n-ブチル、tert-ブチル、シクロヘキシルまたはフェニルであり;
は、水素、非置換ヒドロカルビル、置換ヒドロカルビル、非置換ヘテロ原子含有ヒドロカルビル、または置換ヘテロ原子含有ヒドロカルビルであり;一般には、Rは、非置換C~C10アルキル、置換C~C10アルキル、非置換C~C10シクロアルキル、置換C~C10シクロアルキル、非置換C~C24アリールまたは置換C~C24アリールであり;典型的には、Rは、メチル、エチル、n-プロピル、iso-プロピル、n-ブチル、tert-ブチル、シクロヘキシルまたはフェニルであり;または、RとRが一緒に結合して、スルホキシド基[-S(O)-]を有する5員環または6員環のヘテロ環式環を形成し;
およびXは、独立してアニオン性配位子であり;一般には、XおよびXは、独立して、ハロゲン、トリフルオロアセテート、ペルフルオロフェノレート、チオレート、アルキルチオ、アリールチオまたはニトレートであり;典型的には、XおよびXは、独立して、Cl、Br、IまたはFであり;
およびRは、独立して、水素、非置換ヒドロカルビル、置換ヒドロカルビル、非置換ヘテロ原子含有ヒドロカルビル、または置換ヘテロ原子含有ヒドロカルビルであるか;典型的には、Rは水素であり、Rは、非置換フェニル、置換フェニルまたは置換1-プロペニルであり;または、RとRが一緒に結合して、場合により置換されていてもよいインデニリデンを形成する。
【0012】
一実施形態では、本発明は、本発明のオレフィンメタセシス触媒を合成する方法を提供する。
【0013】
一実施形態では、本発明は、メタセシス反応において本発明のオレフィンメタセシス触媒を使用する方法を提供する。
【0014】
一実施形態では、本発明は、本発明のオレフィンメタセシス触媒を用い、第2世代Grubbs触媒世代を合成する方法を提供する。
【0015】
本発明の他の実施形態を本明細書に記載する。
【0016】
本発明のこれらの態様および他の態様は、以下の詳細な記載および実施例に照らして当業者には明らかであろう。さらに、本明細書に記載する本発明の実施形態または例は、どれも限定するものと解釈すべきではないすべきではないことを理解すべきである。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1図1は、C747のOak Ridge Thermal Ellipsoid Plot(ORTEP)図を示す。
図2図2は、C647のOak Ridge Thermal Ellipsoid Plot(ORTEP)図を示す。
図3図3は、一連のルテニウム触媒存在下、ジエチル2,2-ジアリルマロネートから4,4-ビス(エトキシカルボニル)シクロ-ペンテンへの変換を示す。
【発明を実施するための形態】
【0018】
特段の指示がない限り、本発明は、特定の試薬、置換基、触媒、反応条件などに限定されない。これらは変動し得るからである。本明細書で使用する専門用語が、単に特定の実施形態を記述するためのものであり、限定するものとして解釈されるべきではないことも理解すべきである。
【0019】
本明細書および添付の特許請求の範囲で使用される場合、「1つの(a)」、「1つの(an)」および「その(the)」といった単数形は、その内容が明らかに他の意味を示す場合を除き、複数の対象物も含む。したがって、例えば、「1つのオレフィン(an olefin)」との言及は、1種類のオレフィンと、2種類以上のオレフィンの組み合わせまたは混合物を含み、「1つの置換基(a substituent)」との言及は、1つの置換基と、2つ以上の置換基を包含する。
【0020】
本明細書および添付の特許請求の範囲で使用される場合、「例えば(for example)」、「例えば(for instance)」、「~など(such as)」または「~を含む(including)」との用語は、さらに包括的な特定事項をさらに明確にするための例を導入することを意図している。特に明記されない限り、これらの例は、本発明の理解を助けるためにのみ与えられ、いかなる形でも限定することを意図していない。
【0021】
本明細書および以下の特許請求の範囲において、多くの用語について言及がされており、これらの用語は、以下の意味を有すると定義すべきである。
【0022】
「アルキル」との用語は、本明細書で使用される場合、直鎖、分岐鎖または環状の飽和炭化水素基であって、典型的には、必須ではないが、1~30個の炭素原子を含むもの、一般には、1~24個の炭素原子を含むもの、典型的には、1~12個の炭素原子を含むもの、例えば、メチル、エチル、n-プロピル、iso-プロピル、n-ブチル、iso-ブチル、t-ブチル、オクチル、デシルなど、およびシクロアルキル基、例えば、シクロペンチル、シクロヘキシルなどを指す。「低級アルキル」との用語は、1~6個の炭素原子を含むアルキル基を意図し、「シクロアルキル」との具体的な用語は、環状アルキル基、典型的には、4~8個、好ましくは5~7個の炭素原子を含むものを意図している。「置換アルキル」との用語は、1個以上の置換基で置換されたアルキルを指し、「ヘテロ原子含有アルキル」および「ヘテロアルキル」との用語は、少なくとも1個の炭素原子がヘテロ原子と置き換わったアルキルを指す。特に示されていない限り、「アルキル」および「低級アルキル」との用語は、直鎖、分岐鎖、環状、非置換、置換および/またはヘテロ原子含有アルキルおよび低級アルキルをそれぞれ含む。
【0023】
「アルキレン」との用語は、本明細書で使用される場合、二価の直鎖、分岐鎖または環状のアルキル基を指し、「アルキル」は、本明細書で定義される通りである。
【0024】
「アルケニル」との用語は、本明細書で使用される場合、2~30個の炭素原子を含み、少なくとも1つの二重結合を含む直鎖、分岐鎖または環状の炭化水素基を指し、例えば、エテニル、n-プロペニル、iso-プロペニル、n-ブテニル、iso-ブテニル、オクテニル、デセニル、テトラデセニル、ヘキサデセニル、エイコセニル、テトラコセニルなどを指す。一般には、本明細書の「アルケニル」基は、2~24個の炭素原子を含み、典型的には、本明細書の「アルケニル」基は、2~12個の炭素原子を含む。「低級アルケニル」との用語は、2~6個の炭素原子を含む「アルケニル」基を意図し、「シクロアルケニル」との具体的な用語は、環状「アルケニル」基、典型的には、5~8個の炭素原子を含むものを意図している。「置換アルケニル」との用語は、1個以上の置換基で置換された「アルケニル」を指し、「ヘテロ原子含有アルケニル」および「ヘテロアルケニル」との用語は、少なくとも1個の炭素原子がヘテロ原子と置き換わった「アルケニル」を指す。特に示されていない限り、「アルケニル」および「低級アルケニル」との用語は、直鎖、分岐鎖、環状、非置換、置換および/またはヘテロ原子含有「アルケニル」および低級「アルケニル」をそれぞれ含む。「アルケニル」との用語は、本明細書の「オレフィン」との用語と相互に置き換え可能に使用される。
【0025】
「アルケニレン」との用語は、本明細書で使用される場合、二価の直鎖、分岐鎖または環状のアルケニル基を指し、「アルケニル」は、本明細書で定義される通りである。
【0026】
「アルキニル」との用語は、本明細書で使用される場合、少なくとも1つの三重結合を含み、2~30個の炭素原子を含む直鎖または分岐鎖の炭化水素基を指し、例えば、エチニル、n-プロピニルなどを指す。一般には、本明細書の「アルキニル」基は、2~24個の炭素原子を含む。典型的な「アルキニル」基は、2~12個の炭素原子を含む。「低級アルキニル」との用語は、2~6個の炭素原子を含む「アルキニル」基を意図している。「置換アルキニル」との用語は、1個以上の置換基で置換された「アルキニル」を指し、「ヘテロ原子含有アルキニル」および「ヘテロアルキニル」との用語は、少なくとも1個の炭素原子がヘテロ原子と置き換わった「アルキニル」を指す。特に示されていない限り、「アルキニル」および「低級アルキニル」との用語は、直鎖、分岐鎖、環状、非置換、置換および/またはヘテロ原子含有「アルキニル」および低級「アルキニル」をそれぞれ含む。
【0027】
「アルコキシ」との用語は、本明細書で使用される場合、1個の末端エーテル結合を介して結合したアルキル基を指す。すなわち、「アルコキシ」基は、-O-アルキルとして表すことができ、アルキルは、本明細書で定義した通りである。「低級アルコキシ」基は、1~6個の炭素原子を含むアルコキシ基を指す。同様に、「アルケニルオキシ」および「低級アルケニルオキシ」は、それぞれ、1個の末端エーテル結合を介して結合したアルケニル基および低級アルケニル基を指し、「アルキニルオキシ」および「低級アルキニルオキシ」は、それぞれ、1個の末端エーテル結合を介して結合したアルキニル基および低級アルキニル基を指す。
【0028】
「アリール」との用語は、本明細書で使用される場合、特に明記されない限り、1個の芳香環を含むか、または直接的に結合しているか、または間接的に結合している(異なる芳香環が、メチレン部分またはエチレン部分などの共通の基に結合しているように)、縮合した複数の芳香環を含む芳香族置換基を指す。「アリール」基は、5~30個の炭素原子を含み、一般には、「アリール」基は、5~20個の炭素原子を含み、典型的には、「アリール」基は、5~14個の炭素原子を含む。例示的な「アリール」基は、1個の芳香環または2個の縮合または結合した芳香環を含み、例えば、フェニル、ナフチル、ビフェニル、ジフェニルエーテル、ジフェニルアミン、ベンゾフェノンなどを含む。「置換アリール」は、1個以上の置換基で置換されたアリール部分を指し、例えば、2,4,6-トリメチルフェニル(すなわち、メシチルまたはMes)、2-メチル-フェニル、2,6-ジ-iso-プロピルフェニル(すなわち、DIPPまたはDiPP)、2-イソプロピル-フェニル(すなわち、IPP、Ippまたはipp)、2-iso-プロピル-6-メチルフェニル(すなわち、MIPP、MippまたはMiPP)を指す。「ヘテロ原子含有アリール」および「ヘテロアリール」との用語は、以下にさらに詳細に記載するように、少なくとも1個の炭素原子がヘテロ原子と置き換わった「アリール」置換基を指す。
【0029】
「アリールオキシ」との用語は、本明細書で使用される場合、1個の末端エーテル結合を介して結合したアリール基を指し、「アリール」は、本明細書で定義した通りである。「アリールオキシ」基は、-O-アリールとして表すことができ、アリールは、本明細書で定義した通りである。好ましい「アリールオキシ」基は、5~24個の炭素原子を含み、特に好ましい「アリールオキシ」基は、5~14個の炭素原子を含む。「アリールオキシ」基の例としては、限定されないが、フェノキシ、o-ハロ-フェノキシ、m-ハロ-フェノキシ、p-ハロ-フェノキシ、o-メトキシ-フェノキシ、m-メトキシ-フェノキシ、p-メトキシ-フェノキシ、2,4-ジメトキシ-フェノキシ、3,4,5-トリメトキシ-フェノキシなどが挙げられる。
【0030】
「アルカリール」との用語は、アルキル置換基を有するアリール基を指し、「アラルキル」との用語は、アリール置換基を有するアルキル基を指し、「アリール」および「アルキル」は、本明細書で定義した通りである。「アルカリール」基および「アラルキル」基は、6~30個の炭素原子を含み;一般には、「アルカリール」基および「アラルキル」基は、6~20個の炭素原子を含み、典型的には、「アルカリール」基および「アラルキル」基は、6~16個の炭素原子を含む。「アルカリール」基としては、例えば、p-メチルフェニル、2,4-ジメチルフェニル、p-シクロヘキシルフェニル、2,7-ジメチルナフチル、7-シクロオクチルナフチル、3-エチル-シクロペンタ-1,4-ジエンなどが挙げられる。「アラルキル」基の例としては、限定されないが、ベンジル、2-フェニル-エチル、3-フェニル-プロピル、4-フェニル-ブチル、5-フェニル-ペンチル、4-フェニルシクロヘキシル、4-ベンジルシクロヘキシル、4-フェニルシクロヘキシルメチル、4-ベンジルシクロヘキシルメチルなどが挙げられる。「アルカリールオキシ」および「アラルキルオキシ」との用語は、式-ORの置換基を指し、Rは、それぞれ、本明細書に定義される「アルカリール」または「アラルキル」である。
【0031】
「アシル」との用語は、式-(CO)-アルキル、-(CO)-アリールまたは-(CO)-アラルキルを有する置換基を指し、「アシルオキシ」との用語は、式-O(CO)-アルキル、-O(CO)-アリールまたは-O(CO)-アラルキルを有する置換基を指し、「アルキル」、「アリール」および「アラルキル」は、本明細書に定義した通りである。
【0032】
「環状」および「環」との用語は、脂環式基または芳香族基を指し、置換されていてもよく、または置換されていなくてもよく、および/またはヘテロ原子を含有していても含有していなくてもよく、単環、二環または多環であってもよい。「脂環式」との用語は、芳香族環状部分とは対照的に、脂環式環状部分を指すための従来の意味で使用され、単環、二環または多環であってもよい。
【0033】
「ハロ」、「ハロゲン」および「ハロゲン化物」との用語は、クロロ、ブロモ、フルオロまたはヨード置換基を指すための通常の意味で使用される。
【0034】
「ヒドロカルビル」との用語は、1~30個の炭素原子を含み、典型的には1~24個の炭素原子を含み、特定的には1~12個の炭素原子を含む、一価「ヒドロカルビル」部分を指し、直鎖、分岐鎖、環状、飽和および不飽和の種、例えば、アルキル基、アルケニル基、アリール基などを含む。「低級ヒドロカルビル」との用語は、1~6個の炭素原子、典型的には、1~4個の炭素原子を含む「ヒドロカルビル」基を意図し、「ヒドロカルビレン」との用語は、1~30個の炭素原子、典型的には、1~24個の炭素原子、特に1~12個の炭素原子を含む二価の「ヒドロカルビル」部分を意図しており、直鎖、分岐鎖、環状、飽和および不飽和の種を含む。「低級ヒドロカルビレン」との用語は、1~6個の炭素原子を含む「ヒドロカルビレン」基を意図している。「置換ヒドロカルビル」は、1個以上の置換基で置換された「ヒドロカルビル」を指し、「ヘテロ原子含有ヒドロカルビル」および「ヘテロヒドロカルビル」との用語は、少なくとも1個の炭素原子がヘテロ原子と置き換わったヒドロカルビルを指す。同様に、「置換ヒドロカルビレン」は、1個以上の置換基で置換された「ヒドロカルビレン」を指し、「ヘテロ原子含有ヒドロカルビレン」および「ヘテロヒドロカルビレン」との用語は、少なくとも1個の炭素原子がヘテロ原子と置き換わった「ヒドロカルビレン」を指す。特段の指示がない限り、「ヒドロカルビル」および「ヒドロカルビレン」との用語は、置換および/またはヘテロ原子含有「ヒドロカルビル」部分および「ヒドロカルビレン」部分をそれぞれ含むと解釈すべきである。
【0035】
「ヘテロ原子含有ヒドロカルビル基」などの「ヘテロ原子含有」との用語は、1個以上の炭素原子が、炭素以外の元素、例えば、窒素、酸素、硫黄、リンまたはケイ素、典型的には、窒素、酸素または硫黄と置き換わった炭化水素分子またはヒドロカルビル分子フラグメントを指す。同様に、「ヘテロアルキル」との用語は、ヘテロ原子を含有するアルキル置換基を指し、「ヘテロ環」との用語は、ヘテロ原子を含有する環状置換基を指し、「ヘテロアリール」および「ヘテロ芳香族」との用語は、それぞれ、ヘテロ原子を含有する「アリール」および「芳香族」置換基を指す、など。「ヘテロ環状」基または化合物は、芳香族であってもよく、または芳香族でなくてもよく、さらに「ヘテロ環」は、「アリール」との用語に関して本明細書に記載するように、単環、二環または多環であってもよい。ヘテロアルキル基の例としては、アルコキシアリール、アルキルスルファニル置換アルキル、N-アルキル化アミノアルキルなどが挙げられる。ヘテロアリール置換基の例としては、ピロリル、ピロリジニル、ピリジニル、キノリニル、インドリル、ピリミジニル、イミダゾリル、1,2,4-トリアゾリル、テトラゾリルなどが挙げられる。
【0036】
「置換ヒドロカルビル」、「置換アルキル」、「置換アリール」などの「置換」とは、上述の定義のいくつかにおいて暗に示しているように、ヒドロカルビル、アルキル、アリールまたは他の部分において、炭素(または他の)原子に結合した少なくとも1個の水素原子が、1個以上の非水素置換基と置き換わっていることを意図する。このような置換基の例としては、限定されないが、本明細書で「Fn」と称される官能基、例えば、ハロ、ヒドロキシル、スルフヒドリル、C~C24アルコキシ、C~C24アルケニルオキシ、C~C24アルキニルオキシ、C~C24アリールオキシ、C~C24アラルキルオキシ、C~C24アルカリールオキシ、アシル(C~C24アルキルカルボニル(-CO-アルキル)およびC~C24アリールカルボニル(-CO-アリール)を含む)、アシルオキシ(-O-アシル、C~C24アルキルカルボニルオキシ(-O-CO-アルキル)およびC~C24アリールカルボニルオキシ(-O-CO-アリール)を含む)、C~C24アルコキシカルボキシル(-(CO)-O-アルキル)、C~C24アリールオキシカルボキシル(-(CO)-O-アリール)、ハロカルボキシル(-(CO)-X、ここでXはハロである)、C~C24アルキルカルボナト(-O-(CO)-O-アルキル)、C~C24アリールカルボナト(-O-(CO)-O-アリール)、カルボキシル(-COOH)、カルボキシレート(-COO-)、カルバモイル(-(CO)-NH)、モノ-(C~C24アルキル)置換カルバモイル(-(CO)-NH(C~C24アルキル))、ジ-(C~C24アルキル)置換カルバモイル(-(CO)-N(C~C24アルキル))、モノ-(C~C24アリール)置換カルバモイル(-(CO)-NH-アリール)、ジ-(C~C24アリール)置換カルバモイル(-(CO)-N(C~C24アリール))、チオカルバモイル(-(CS)-NH)、モノ-(C~C24アルキル)置換チオカルバモイル(-(CS)-NH(C~C24アルキル))、ジ-(C~C24アルキル)置換チオカルバモイル(-(CS)-N(C~C24アルキル))、モノ-(C~C24アリール)置換チオカルバモイル(-(CS)-NH-アリール)、ジ-(C~C24アリール)置換チオカルバモイル(-(CS)-N(C~C24アリール))、カルバミド(-NH-(CO)-NH)、シアノ(-C≡N)、シアナト(-O-C≡N)、チオシアナト(-S-C≡N)、ホルミル(-(CO)-H)、チオホルミル(-(CS)-H)、アミノ(-NH)、モノ-(C~C24アルキル)置換アミノ、ジ-(C~C24アルキル)置換アミノ、モノ-(C~C24アリール)置換アミノ、ジ-(C~C24アリール)置換アミノ、(C~C24アルキル)(C~C24アリール)置換アミノ、(C~C24アルキル)-アミド(-NH-(CO)-アルキル)、(C~C24アリール)-アミド(-NH-(CO)-アリール)、イミノ(-CR=NH、ここで、Rは、水素、C~C24アルキル、C~C24アリール、C~C24アルカリール、C~C24アラルキルなどである)、(C~C20アルキル)-イミノ(-N(アルキル)、ここで、Rは、水素、C~C24アルキル、C~C24アリール、C~C24アルカリール、C~C24アラルキルなどである)、アリールイミノ(-CR=N(アリール)、ここで、Rは、水素、C~C20アルキル、C~C24アリール、C~C24アルカリール、C~C24アラルキルなどである)、ニトロ(-NO)、ニトロソ(-NO)、スルホ(-SO-OH)、スルホネート(-SO-O-)、(C~C24アルキル)-スルファニル(-S-アルキル;「アルキルチオ」とも呼ばれる)、(C~C24アリール)-スルファニル(-S-アリール;「アリールチオ」とも呼ばれる)、(C~C24アルキル)-スルフィニル(-(SO)-アルキル)、(C~C24アリール)-スルフィニル(-(SO)-アリール)、(C~C24アルキル)-スルホニル(-SO-アルキル)、モノ-(C~C24アルキル)-アミノスルホニル-SO-N(H)アルキル)、ジ-(C~C24アルキル)-アミノスルホニル-SO-N(アルキル)、(C~C24アリール)-スルホニル(-SO-アリール)、ボリル(-BH)、ボロノ(-B(OH))、ボロナート(-B(OR)、ここで、Rは、アルキルまたは他のヒドロカルビルである)、ホスホノ(-P(O)(OH))、ホスホナート(-P(O)(O-))、ホスフィナート(-P(O)(O-))、ホスホ(-PO)およびホスフィノ(-PH);およびヒドロカルビル部分C~C24アルキル(好ましくは、C~C12アルキル、より好ましくはC~Cアルキル)、C~C24アルケニル(好ましくは、C~C12アルケニル、より好ましくは、C~Cアルケニル)、C~C24アルキニル(好ましくは、C~C12アルキニル、より好ましくは、C~Cアルキニル)、C~C24アリール(好ましくは、C~C14アリール)、C~C24アルカリール(好ましくは、C~C16アルカリール)およびC~C24アラルキル(好ましくは、C~C16アラルキル)が挙げられる。
【0037】
「Grubbs-Hoveyda配位子」とは、ベンゼン環にオルト位で結合したキレート化アルキルオキシ基を有するベンジリデン配位子を意図する。
【0038】
「スルホキシド基」との用語は、-[S(O)]-を指す。
【0039】
「官能基化ヒドロカルビル」、「官能基化アルキル」、「官能基化オレフィン」、「官能基化環状オレフィン」などの「官能基化」とは、ヒドロカルビル、アルキル、オレフィン、環状オレフィンまたは他の部分において、炭素(または他の)原子に結合した少なくとも1個の水素原子が、本明細書に記載するような1つ以上の官能基と置き換わっていることを意図する。「官能基」との用語は、本明細書に記載の使用に適した任意の官能性種を含むことを意図している。特に、本明細書で使用される場合、官能基は、必ず、基質表面上の対応する官能基と反応するか、または結合する能力を有するだろう。
【0040】
これに加えて、上述の官能基は、特定の基が許容される場合には、1個以上のさらなる置換基で、または1個以上のヒドロカルビル部分(本明細書に具体的に列挙されるものなど)で、さらに置換されていてもよい。同様に、本明細書で述べるヒドロカルビル部分は、1個以上のさらなる置換基で、または1個以上のヒドロカルビル部分(本明細書に具体的に列挙されるものなど)で、さらに置換されていてもよい。
【0041】
「任意要素の」または「場合により」は、その後に記載される状況が、起こってもよく、起こらなくてもよいことを意味し、その結果、その記載は、その状況が起こる場合と、その状況が起こらない場合を含む。例えば、「場合により置換されていてもよい」との句は、非水素置換基が、所与の原子上に存在していてもよく、存在していなくてもよいことを意味し、そのため、この記載は、非水素置換基が存在する構造と、非水素置換基が存在しない構造を含む。
【0042】
オレフィンメタセシス触媒
一実施形態では、本発明は、式(I)の構造によって表されるオレフィンメタセシス触媒を提供し、
【化2】
式中、
Mは、第8族遷移金属であり;一般には、Mは、ルテニウムまたはオスミウムであり;典型的には、Mは、ルテニウムであり;
およびLは、独立して、中性の電子供与配位子であり;
nは、0または1であり;典型的には、nは0であり;
mは、0、1または2であり;典型的には、mは0であり;
は、水素、非置換ヒドロカルビル、置換ヒドロカルビル、非置換ヘテロ原子含有ヒドロカルビル、または置換ヘテロ原子含有ヒドロカルビルであり;一般には、Rは、非置換C~C10アルキル、置換C~C10アルキル、非置換C~C10シクロアルキル、置換C~C10シクロアルキル、非置換C~C24アリールまたは置換C~C24アリールであり;典型的には、Rは、メチル、エチル、n-プロピル、iso-プロピル、n-ブチル、tert-ブチル、シクロヘキシルまたはフェニルであり;
は、水素、非置換ヒドロカルビル、置換ヒドロカルビル、非置換ヘテロ原子含有ヒドロカルビル、または置換ヘテロ原子含有ヒドロカルビルであり;一般には、Rは、非置換C~C10アルキル、置換C~C10アルキル、非置換C~C10シクロアルキル、置換C~C10シクロアルキル、非置換C~C24アリールまたは置換C~C24アリールであり;典型的には、Rは、メチル、エチル、n-プロピル、iso-プロピル、t-ブチル、tert-ブチル、シクロヘキシルまたはフェニルであるか;
およびXは、独立してアニオン性配位子であり;一般には、XおよびXは、独立して、ハロゲン、トリフルオロアセテート、ペルフルオロフェノレート、チオレート、アルキルチオ、アリールチオまたはニトレートであり;典型的には、XおよびXは、独立して、Cl、Br、IまたはFであり;
およびRは、独立して、水素、非置換ヒドロカルビル、置換ヒドロカルビル、非置換ヘテロ原子含有ヒドロカルビル、または置換ヘテロ原子含有ヒドロカルビルであり;典型的には、Rは水素であり、Rは、非置換フェニル、置換フェニルまたは置換1-プロペニルであり;または、RとRが一緒に結合して、場合により置換されていてもよいインデニリデンを形成する。
【0043】
一実施形態では、本発明は、式(I)の構造によって表されるオレフィンメタセシス触媒を提供し、式中、
Mは、第8族遷移金属であり;一般には、Mは、ルテニウムまたはオスミウムであり;典型的には、Mは、ルテニウムであり;
およびLは、独立して、中性の電子供与配位子であり;
nは、0または1であり;典型的には、nは0であり;
mは、0、1または2であり;典型的には、mは0であり;
とRが一緒に結合して、スルホキシド基を有する5員環または6員環のヘテロ環式環を形成し;
およびXは、独立してアニオン性配位子であり;一般には、XおよびXは、独立して、ハロゲン、トリフルオロアセテート、ペルフルオロフェノレート、チオレート、アルキルチオ、アリールチオまたはニトレートであり;典型的には、XおよびXは、独立して、Cl、Br、IまたはFであり;
およびRは、独立して、水素、非置換ヒドロカルビル、置換ヒドロカルビル、非置換ヘテロ原子含有ヒドロカルビル、または置換ヘテロ原子含有ヒドロカルビルであり;典型的には、Rは水素であり、Rは、非置換フェニル、置換フェニルまたは置換1-プロペニルであり;または、RとRが一緒に結合して、場合により置換されていてもよいインデニリデンを形成する。
【0044】
一実施形態では、本発明は、式(II)の構造によって表されるオレフィンメタセシス触媒を提供し、
【化3】
式中、
Mは、第8族遷移金属であり;一般には、Mは、ルテニウムまたはオスミウムであり;典型的には、Mは、ルテニウムであり;
は、カルベンであり;
は、中性の電子供与配位子であり;
nは、0または1であり;典型的には、nは0であり;
mは、0、1または2であり;典型的には、mは0であり;
は、水素、非置換ヒドロカルビル、置換ヒドロカルビル、非置換ヘテロ原子含有ヒドロカルビル、または置換ヘテロ原子含有ヒドロカルビルであり;一般には、Rは、非置換C~C10アルキル、置換C~C10アルキル、非置換C~C10シクロアルキル、置換C~C10シクロアルキル、非置換C~C24アリールまたは置換C~C24アリールであり;典型的には、Rは、メチル、エチル、n-プロピル、iso-プロピル、n-ブチル、tert-ブチル、シクロヘキシルまたはフェニルであり;
は、水素、非置換ヒドロカルビル、置換ヒドロカルビル、非置換ヘテロ原子含有ヒドロカルビル、または置換ヘテロ原子含有ヒドロカルビルであり;一般には、Rは、非置換C~C10アルキル、置換C~C10アルキル、非置換C~C10シクロアルキル、置換C~C10シクロアルキル、非置換C~C24アリールまたは置換C~C24アリールであり;典型的には、Rは、メチル、エチル、n-プロピル、iso-プロピル、n-ブチル、tert-ブチル、シクロヘキシルまたはフェニルであり;
およびRは、独立して、水素、非置換ヒドロカルビル、置換ヒドロカルビル、非置換ヘテロ原子含有ヒドロカルビル、または置換ヘテロ原子含有ヒドロカルビルであり;典型的には、Rは水素であり、Rは、非置換フェニル、置換フェニルまたは置換1-プロペニルであり;または、RとRが一緒に結合して、場合により置換されていてもよいインデニリデンを形成し;
およびXは、独立してOまたはSであり;R、R、RおよびRは、独立して、水素、ハロゲン、非置換ヒドロカルビル、置換ヒドロカルビル、非置換ヘテロ原子含有ヒドロカルビル、または置換ヘテロ原子含有ヒドロカルビルであり;一般には、R、R、RおよびRは、独立して、水素、ハロゲン、非置換C~C10アルキル、置換C~C10アルキル、非置換C~C10シクロアルキル、置換C~C10シクロアルキル、非置換C~C24アリールまたは置換C~C24アリールであり;典型的には、R、R、RおよびRは、独立して、C~Cアルキル、水素、非置換フェニル、置換フェニルまたはハロゲンであり;またはRとRが一緒に結合して、非置換の二環または多環のアリールまたは置換の二環または多環のアリールを形成し;またはRとRが一緒に結合して、非置換の二環または多環のアリールまたは置換の二環または多環のアリールを形成し;またはRとRが一緒に結合して、非置換の二環または多環のアリールまたは置換の二環または多環のアリールを形成する。
【0045】
一実施形態では、本発明は、式(II)の構造によって表されるオレフィンメタセシス触媒を提供し、式中、
Mは、Ruであり;
は、カルベンであり;
nは0であり;
mは0であり;
は、メチル、エチル、n-プロピル、iso-プロピル、n-ブチル、tert-ブチル、シクロヘキシルまたはフェニルであり;
は、メチル、エチル、n-プロピル、iso-プロピル、n-ブチル、tert-ブチル、シクロヘキシルまたはフェニルであり;または、RとRが一緒に結合して、スルホキシド基を有する5員環または6員環のヘテロ環式環を形成し;
は水素であり、Rは、非置換フェニル、置換フェニルまたは置換1-プロペニルであり;または、RとRが一緒に結合して、場合により置換されていてもよいインデニリデンを形成し;
およびXは、それぞれSであり;
、R、RおよびRは、独立して、水素、ハロゲン、非置換C~C10アルキル、置換C~C10アルキル、非置換C~C10シクロアルキル、置換C~C10シクロアルキル、非置換C~C24アリールまたは置換C~C24アリールであり;典型的には、R、R、RおよびRは、独立して、C~Cアルキル、水素、非置換フェニル、置換フェニルまたはハロゲンであり;またはRとRが一緒に結合して、非置換の二環または多環のアリールまたは置換の二環または多環のアリールを形成し;またはRとRが一緒に結合して、非置換の二環または多環のアリールまたは置換の二環または多環のアリールを形成し;またはRとRが一緒に結合して、非置換の二環または多環のアリールまたは置換の二環または多環のアリールを形成する。
【0046】
一実施形態では、本発明は、式(III)の構造によって表されるオレフィンメタセシス触媒を提供し、
【化4】
式中、
Mは、第8族遷移金属であり;一般には、Mは、ルテニウムまたはオスミウムであり;典型的には、Mは、ルテニウムであり;
は、中性の電子供与配位子であり;
nは、0または1であり;典型的には、nは0であり;
mは、0、1または2であり;典型的には、mは0であり;
は、水素、非置換ヒドロカルビル、置換ヒドロカルビル、非置換ヘテロ原子含有ヒドロカルビル、または置換ヘテロ原子含有ヒドロカルビルであり;一般には、Rは、非置換C~C10アルキル、置換C~C10アルキル、非置換C~C10シクロアルキル、置換C~C10シクロアルキル、非置換C~C24アリールまたは置換C~C24アリールであり;典型的には、Rは、メチル、エチル、n-プロピル、iso-プロピル、n-ブチル、tert-ブチル、シクロヘキシルまたはフェニルであり;
は、水素、非置換ヒドロカルビル、置換ヒドロカルビル、非置換ヘテロ原子含有ヒドロカルビル、または置換ヘテロ原子含有ヒドロカルビルであり;一般には、Rは、非置換C~C10アルキル、置換C~C10アルキル、非置換C~C10シクロアルキル、置換C~C10シクロアルキル、非置換C~C24アリールまたは置換C~C24アリールであり;典型的には、Rは、メチル、エチル、n-プロピル、iso-プロピル、n-ブチル、tert-ブチル、シクロヘキシルまたはフェニルであり;XおよびXは、独立してアニオン性配位子であり;一般には、XおよびXは、独立して、ハロゲン、トリフルオロアセテート、ペルフルオロフェノレート、チオレート、アルキルチオ、アリールチオまたはニトレートであり;典型的には、XおよびXは、独立して、Cl、Br、IまたはFであり;
およびRは、独立して、水素、非置換ヒドロカルビル、置換ヒドロカルビル、非置換ヘテロ原子含有ヒドロカルビル、または置換ヘテロ原子含有ヒドロカルビルであり;典型的には、Rは水素であり、Rは、非置換フェニル、置換フェニルまたは置換1-プロペニルであり;または、RとRが一緒に結合して、場合により置換されていてもよいインデニリデンを形成し;
XおよびYは、独立して、C、CR3a、N、O、SまたはPであり;XまたはYのうち1つだけが、CまたはCR3aであってもよく;典型的には、XおよびYは、それぞれNであり;
、Q、R、R3aおよびRは、独立して、水素、非置換ヒドロカルビル、置換ヒドロカルビル、非置換ヘテロ原子含有ヒドロカルビル、または置換ヘテロ原子含有ヒドロカルビルであり;一般には、Q、Q、R、R3aおよびRは、場合により、非置換ヒドロカルビレン、置換ヒドロカルビレン、非置換ヘテロ原子含有ヒドロカルビレン、置換ヘテロ原子含有ヒドロカルビレンまたは-(CO)-などのリンカーを介して、XまたはYに結合しており;典型的には、Q、Q、R、R3aおよびRは、XまたはYに直接結合しており;
XがOまたはSの場合、pが0であり、XがN、PまたはCR3aである場合、pが1であり、XがCである場合、pが2であり;YがOまたはSの場合、qが0であり、YがN、PまたはCR3aである場合、qが1であり、XがCである場合、qが2である。
【0047】
一実施形態では、本発明は、式(III)の構造によって表されるオレフィンメタセシス触媒を提供し、式中、
Mは、第8族遷移金属であり;一般には、Mは、ルテニウムまたはオスミウムであり;典型的には、Mは、ルテニウムであり;
は、中性の電子供与配位子であり;
nは、0または1であり;典型的には、nは0であり;
mは、0、1または2であり;典型的には、mは0であり;
とRが一緒に結合して、スルホキシド基を有する5員環または6員環のヘテロ環式環を形成し;
およびXは、独立してアニオン性配位子であり;一般には、XおよびXは、独立して、ハロゲン、トリフルオロアセテート、ペルフルオロフェノレート、チオレート、アルキルチオ、アリールチオまたはニトレートであり;典型的には、XおよびXは、独立して、Cl、Br、IまたはFであり;RおよびRは、独立して、水素、非置換ヒドロカルビル、置換ヒドロカルビル、非置換ヘテロ原子含有ヒドロカルビル、または置換ヘテロ原子含有ヒドロカルビルであり;典型的には、Rは水素であり、Rは、非置換フェニル、置換フェニルまたは置換1-プロペニルであり;または、RとRが一緒に結合して、場合により置換されていてもよいインデニリデンを形成し;
XおよびYは、独立して、C、CR3a、N、O、SまたはPであり;XまたはYのうち1つだけが、CまたはCR3aであってもよく;典型的には、XおよびYは、それぞれNであり;
、Q、R、R3aおよびRは、独立して、水素、非置換ヒドロカルビル、置換ヒドロカルビル、非置換ヘテロ原子含有ヒドロカルビル、または置換ヘテロ原子含有ヒドロカルビルであり;一般には、Q、Q、R、R3aおよびRは、場合により、非置換ヒドロカルビレン、置換ヒドロカルビレン、非置換ヘテロ原子含有ヒドロカルビレン、置換ヘテロ原子含有ヒドロカルビレンまたは-(CO)-などのリンカーを介して、XまたはYに結合しており;典型的には、Q、Q、R、R3aおよびRは、XまたはYに直接結合しており;
XがOまたはSの場合、pが0であり、XがN、PまたはCR3aである場合、pが1であり、XがCである場合、pが2であり;YがOまたはSの場合、qが0であり、YがN、PまたはCR3aである場合、qが1であり、XがCである場合、qが2である。
【0048】
一実施形態では、本発明は、式(IV)の構造によって表されるオレフィンメタセシス触媒を提供し、
【化5】
式中、
Mは、第8族遷移金属であり;一般には、Mは、ルテニウムまたはオスミウムであり;典型的には、Mは、ルテニウムであり;
は、中性の電子供与配位子であり;nは、0または1であり;
mは、0、1または2であり;
は、水素、非置換ヒドロカルビル、置換ヒドロカルビル、非置換ヘテロ原子含有ヒドロカルビル、または置換ヘテロ原子含有ヒドロカルビルであり;
は、水素、非置換ヒドロカルビル、置換ヒドロカルビル、非置換ヘテロ原子含有ヒドロカルビル、または置換ヘテロ原子含有ヒドロカルビルであり;または、RとRが一緒に結合して、スルホキシド基を有する5員環または6員環のヘテロ環式環を形成し;
およびXは、独立してアニオン性配位子であり;
およびRは、独立して、水素、非置換ヒドロカルビル、置換ヒドロカルビル、非置換ヘテロ原子含有ヒドロカルビル、または置換ヘテロ原子含有ヒドロカルビルであるか;または、RとRが一緒に結合して、場合により置換されていてもよいインデニリデンを形成し;
XおよびYは、独立して、C、CR3aまたはNであり;XまたはYのうち1つだけが、CまたはCR3aであってもよく;
3aは、水素、非置換ヒドロカルビル、置換ヒドロカルビル、非置換ヘテロ原子含有ヒドロカルビル、または置換ヘテロ原子含有ヒドロカルビルであり;
Qは、構造-[CR1112-[CR1314-または-[CR11=CR13]-を有する2原子結合であり;
11、R12、R13およびR14は、独立して、水素、非置換ヒドロカルビル、置換ヒドロカルビル、非置換ヘテロ原子含有ヒドロカルビル、または置換ヘテロ原子含有ヒドロカルビルであり;
「s」および「t」は、独立して、1または2であり;
は、非置換ヒドロカルビル、置換ヒドロカルビル、非置換ヘテロ原子含有ヒドロカルビル、または置換ヘテロ原子含有ヒドロカルビルであり;
は、非置換ヒドロカルビル、置換ヒドロカルビル、非置換ヘテロ原子含有ヒドロカルビル、または置換ヘテロ原子含有ヒドロカルビルである。
【0049】
式(IV)の一実施形態では、X、X、L、RおよびRのうち任意の2つ以上が、場合により一緒に結合し、二座配位子または多座配位子を含む環状基を形成し;または、X、X、L、RおよびRのうち任意の1つ以上が、場合により、担持体に結合していてもよい。
【0050】
一実施形態では、本発明は、式(IV)の構造によって表されるオレフィンメタセシス触媒を提供し、
Mは、第8族遷移金属であり;一般には、Mは、ルテニウムまたはオスミウムであり;典型的には、Mは、ルテニウムであり;
は、中性の電子供与配位子であり;nは、0または1であり;典型的には、nは0であり;
mは、0、1または2であり;典型的には、mは0であり;
は、水素、非置換ヒドロカルビル、置換ヒドロカルビル、非置換ヘテロ原子含有ヒドロカルビル、または置換ヘテロ原子含有ヒドロカルビルであり;一般には、Rは、非置換C~C10アルキル、置換C~C10アルキル、非置換C~C10シクロアルキル、置換C~C10シクロアルキル、非置換C~C24アリールまたは置換C~C24アリールであり;典型的には、Rは、メチル、エチル、n-プロピル、iso-プロピル、n-ブチル、tert-ブチル、シクロヘキシルまたはフェニルであり;
は、水素、非置換ヒドロカルビル、置換ヒドロカルビル、非置換ヘテロ原子含有ヒドロカルビル、または置換ヘテロ原子含有ヒドロカルビルであり;一般には、Rは、非置換C~C10アルキル、置換C~C10アルキル、非置換C~C10シクロアルキル、置換C~C10シクロアルキル、非置換C~C24アリールまたは置換C~C24アリールであり;典型的には、Rは、メチル、エチル、n-プロピル、iso-プロピル、n-ブチル、tert-ブチル、シクロヘキシルまたはフェニルであり;
およびXは、独立してアニオン性配位子であり;一般には、XおよびXは、独立して、ハロゲン、トリフルオロアセテート、ペルフルオロフェノレート、チオレート、アルキルチオ、アリールチオまたはニトレートであり;典型的には、XおよびXは、独立して、Cl、Br、IまたはFであり;
およびRは、独立して、水素、非置換ヒドロカルビル、置換ヒドロカルビル、非置換ヘテロ原子含有ヒドロカルビル、または置換ヘテロ原子含有ヒドロカルビルであり;典型的には、Rは水素であり、Rは、非置換フェニル、置換フェニルまたは置換1-プロペニルであり;または、RとRが一緒に結合して、場合により置換されていてもよいインデニリデンを形成し;
XおよびYは、独立して、C、CR3aまたはNであり;XまたはYのうち1つだけが、CまたはCR3aであってもよく;典型的には、XおよびYは、それぞれNであり;
3aは、水素、非置換ヒドロカルビル、置換ヒドロカルビル、非置換ヘテロ原子含有ヒドロカルビル、または置換ヘテロ原子含有ヒドロカルビルであり;
Qは、リンカー、典型的には、非置換ヒドロカルビレン、置換ヒドロカルビレン、非置換ヘテロ原子含有ヒドロカルビレンまたは置換ヘテロ原子含有ヒドロカルビレンであり;一般には、Qは、構造-[CR1112-[CR1314-または-[CR11=CR13]-を有する2原子結合であり;典型的には、Qは、-[CR1112-[CR1314-であり、ここで、R11、R12、R13およびR14は、独立して、水素、非置換ヒドロカルビル、置換ヒドロカルビル、非置換ヘテロ原子含有ヒドロカルビル、または置換ヘテロ原子含有ヒドロカルビルであり;典型的には、R11、R12、R13およびR14は、独立して、水素、非置換C~C12アルキル、置換C~C12アルキル、非置換C~C12ヘテロアルキル、置換C~C12ヘテロアルキル、非置換C~C14アリールまたは置換C~C14アリールであり;「s」および「t」は、独立して、1または2であり;典型的には、「s」および「t」は、それぞれ1であり;R11、R12、R13およびR14のうち任意の2つが場合により一緒に結合し、置換または非置換、飽和または不飽和の環構造を形成し;
は、非置換ヒドロカルビル、置換ヒドロカルビル、非置換ヘテロ原子含有ヒドロカルビル、または置換ヘテロ原子含有ヒドロカルビルであり;一般には、Rは、非置換C~C10シクロアルキル、置換C~C10シクロアルキル、非置換C~C24アリールであるか、非置換C~C20アルキル、置換C~C20アルキル、非置換C~C20ヘテロアルキル、置換C~C20ヘテロアルキル、非置換C~C24アリール、置換C~C24アリール、非置換C~C24ヘテロアリール、置換C~C24ヘテロアリール、非置換C~C24アラルキル、置換C~C24アラルキル、非置換C~C24アルカリール、置換C~C24アルカリールおよびハロゲン化物から選択される3個までの置換基で置換されたC~C24アリールであり、典型的には、Rは、アダマンチル、2,4,6-トリメチルフェニル、2,6-ジ-iso-プロピルフェニル、2-メチル-6-tert-ブチルフェニル、2-iso-プロピル-6-メチルフェニル、2-iso-プロピル-フェニル、2,6-ジ-エチルフェニル、2-エチル-6-メチルフェニル、2,4,6-トリフルオロフェニル、3,5-ジ-tert-ブチルフェニル、2,4-ジメチルフェニル、2,6-ジフルオロフェニル、2-フルオロ-6-メチルフェニル、または2-メチル-フェニルであり;
は、非置換ヒドロカルビル、置換ヒドロカルビル、非置換ヘテロ原子含有ヒドロカルビル、または置換ヘテロ原子含有ヒドロカルビルであり;一般には、Rは、非置換C~C10シクロアルキル、置換C~C10シクロアルキル、非置換C~C24アリールであるか、または非置換C~C20アルキル、置換C~C20アルキル、非置換C~C20ヘテロアルキル、置換C~C20ヘテロアルキル、非置換C~C24アリール、置換C~C24アリール、非置換C~C24ヘテロアリール、置換C~C24ヘテロアリール、非置換C~C24アラルキル、置換C~C24アラルキル、非置換C~C24アルカリール、置換C~C24アルカリールおよびハロゲン化物から選択される3個までの置換基で置換されたC~C24アリールであり;典型的には、Rは、2,4,6-トリメチルフェニル、2,6-ジ-iso-プロピルフェニル、2-メチル-6-tert-ブチルフェニル、2-iso-プロピル-6-メチルフェニル、2-iso-プロピル-フェニル、2,6-ジ-エチルフェニル、2-エチル-6-メチルフェニル、2,4,6-トリフルオロフェニル、3,5-ジ-tert-ブチルフェニル、2,4-ジメチルフェニル、2,6-ジフルオロフェニル、2-フルオロ-6-メチルフェニル、または2-メチル-フェニルであり;またはXがCR3aである場合、R3aとRが、これらに結合する炭素原子と共に、5~10員環のシクロアルキルまたはヘテロ環式環を形成してもよい。
【0051】
一実施形態では、本発明は、式(IV)の構造によって表されるオレフィンメタセシス触媒を提供し、式中、
Mは、第8族遷移金属であり;一般には、Mは、ルテニウムまたはオスミウムであり;典型的には、Mは、ルテニウムであり;
は、中性の電子供与配位子であり;
nは、0または1であり;典型的には、nは0であり;
mは、0、1または2であり;典型的には、mは0であり;
とRが一緒に結合して、スルホキシド基を有する5員環または6員環のヘテロ環式環を形成し;
およびXは、独立してアニオン性配位子であり;一般には、XおよびXは、独立して、ハロゲン、トリフルオロアセテート、ペルフルオロフェノレート、チオレート、アルキルチオ、アリールチオまたはニトレートであり;典型的には、XおよびXは、独立して、Cl、Br、IまたはFであり;
およびRは、独立して、水素、非置換ヒドロカルビル、置換ヒドロカルビル、非置換ヘテロ原子含有ヒドロカルビル、または置換ヘテロ原子含有ヒドロカルビルであり;典型的には、Rは水素であり、Rは、非置換フェニル、置換フェニルまたは置換1-プロペニルであり;または、RとRが一緒に結合して、場合により置換されていてもよいインデニリデンを形成し;
XおよびYは、独立して、C、CR3aまたはNであり;XまたはYのうち1つだけが、CまたはCR3aであってもよく;典型的には、XおよびYは、それぞれNであり;
3aは、水素、非置換ヒドロカルビル、置換ヒドロカルビル、非置換ヘテロ原子含有ヒドロカルビル、または置換ヘテロ原子含有ヒドロカルビルであり;
Qは、リンカー、典型的には、非置換ヒドロカルビレン、置換ヒドロカルビレン、非置換ヘテロ原子含有ヒドロカルビレンまたは置換ヘテロ原子含有ヒドロカルビレンであり;一般には、Qは、構造-[CR1112-[CR1314-または-[CR11=CR13]-を有する2原子結合であり;典型的には、Qは、-[CR1112-[CR1314]t-であり、ここで、R11、R12、R13およびR14は、独立して、水素、非置換ヒドロカルビル、置換ヒドロカルビル、非置換ヘテロ原子含有ヒドロカルビル、または置換ヘテロ原子含有ヒドロカルビルであり;典型的には、R11、R12、R13およびR14は、独立して、水素、非置換C~C12アルキル、置換C~C12アルキル、非置換C~C12ヘテロアルキル、置換C~C12ヘテロアルキル、非置換C~C14アリールまたは置換C~C14アリールであり;「s」および「t」は、独立して、1または2であり;典型的には、「s」および「t」は、それぞれ1であり;R11、R12、R13およびR14のうち任意の2つが場合により一緒に結合し、置換または非置換、飽和または不飽和の環構造を形成し;
は、非置換ヒドロカルビル、置換ヒドロカルビル、非置換ヘテロ原子含有ヒドロカルビル、または置換ヘテロ原子含有ヒドロカルビルであり;一般には、Rは、非置換C~C10シクロアルキル、置換C~C10シクロアルキル、非置換C~C24アリールであるか、非置換C~C20アルキル、置換C~C20アルキル、非置換C~C20ヘテロアルキル、置換C~C20ヘテロアルキル、非置換C~C24アリール、置換C~C24アリール、非置換C~C24ヘテロアリール、置換C~C24ヘテロアリール、非置換C~C24アラルキル、置換C~C24アラルキル、非置換C~C24アルカリール、置換C~C24アルカリールおよびハロゲン化物から選択される3個までの置換基で置換されたC~C24アリールであり、典型的には、Rは、アダマンチル、2-iso-プロピル-フェニル、2,4,6-トリメチルフェニル、2,6-ジ-iso-プロピルフェニル、2-iso-プロピル-6-メチルフェニルまたは2-メチル-フェニルであり;
は、非置換ヒドロカルビル、置換ヒドロカルビル、非置換ヘテロ原子含有ヒドロカルビル、または置換ヘテロ原子含有ヒドロカルビルであり;一般には、Rは、非置換C~C10シクロアルキル、置換C~C10シクロアルキル、非置換C~C24アリールであるか、または非置換C~C20アルキル、置換C~C20アルキル、非置換C~C20ヘテロアルキル、置換C~C20ヘテロアルキル、非置換C~C24アリール、置換C~C24アリール、非置換C~C24ヘテロアリール、置換C~C24ヘテロアリール、非置換C~C24アラルキル、置換C~C24アラルキル、非置換C~C24アルカリール、置換C~C24アルカリールおよびハロゲン化物から選択される3個までの置換基で置換されたC~C24アリールであり;典型的には、Rは、2,4,6-トリメチルフェニル、2-iso-プロピル-フェニル、2,6-ジ-iso-プロピルフェニル、2-iso-プロピル-6-メチルフェニルまたは2-メチル-フェニルである。
【0052】
一実施形態では、本発明は、式(IV)の構造によって表されるオレフィンメタセシス触媒を提供し、式中、
Mは、Ruであり;
nは0であり;
mは0であり;
は、水素、非置換ヒドロカルビル、置換ヒドロカルビル、非置換ヘテロ原子含有ヒドロカルビル、または置換ヘテロ原子含有ヒドロカルビルであり;一般には、Rは、非置換C~C10アルキル、置換C~C10アルキル、非置換C~C10シクロアルキル、置換C~C10シクロアルキル、非置換C~C24アリールまたは置換C~C24アリールであり;
は、水素、非置換ヒドロカルビル、置換ヒドロカルビル、非置換ヘテロ原子含有ヒドロカルビル、または置換ヘテロ原子含有ヒドロカルビルであり;一般には、Rは、非置換C~C10アルキル、置換C~C10アルキル、非置換C~C10シクロアルキル、置換C~C10シクロアルキル、非置換C~C24アリールまたは置換C~C24アリールであり;または、RとRが一緒に結合して、スルホキシド基を有する5員環または6員環のヘテロ環式環を形成し;
およびXは、独立して、ハロゲン、トリフルオロアセテート、ペルフルオロフェノレート、チオレート、アルキルチオ、アリールチオまたはニトレートであり;一般には、XおよびXは、独立して、Cl、Br、IまたはFであり;
は、水素であり;
は、非置換ヒドロカルビル、置換ヒドロカルビル、非置換ヘテロ原子含有ヒドロカルビル、または置換ヘテロ原子含有ヒドロカルビルであり;または、RとRが一緒に結合して、場合により置換されていてもよいインデニリデンを形成し;
XおよびYは、それぞれNであり;
Qは、-(CH-CH)-(すなわち、構造-[CR1112-[CR1314-を有する2原子結合)であり;R11、R12、R13およびR14は、独立して、水素であり;「s」および「t」は、それぞれ1であり);
は、非置換ヒドロカルビル、置換ヒドロカルビル、非置換ヘテロ原子含有ヒドロカルビル、または置換ヘテロ原子含有ヒドロカルビルであり;一般には、Rは、非置換C~C10シクロアルキル、置換C~C10シクロアルキル、非置換C~C24アリールであるか、または非置換C~C20アルキル、置換C~C20アルキル、非置換C~C20ヘテロアルキル、置換C~C20ヘテロアルキル、非置換C~C24アリール、置換C~C24アリール、非置換C~C24ヘテロアリール、置換C~C24ヘテロアリール、非置換C~C24アラルキル、置換C~C24アラルキル、非置換C~C24アルカリール、置換C~C24アルカリールおよびハロゲン化物から選択される3個までの置換基で置換されたC~C24アリールであり、
は、非置換ヒドロカルビル、置換ヒドロカルビル、非置換ヘテロ原子含有ヒドロカルビル、または置換ヘテロ原子含有ヒドロカルビルであり;一般には、Rは、非置換C~C10シクロアルキル、置換C~C10シクロアルキル、非置換C~C24アリールであるか、または非置換C~C20アルキル、置換C~C20アルキル、非置換C~C20ヘテロアルキル、置換C~C20ヘテロアルキル、非置換C~C24アリール、置換C~C24アリール、非置換C~C24ヘテロアリール、置換C~C24ヘテロアリール、非置換C~C24アラルキル、置換C~C24アラルキル、非置換C~C24アルカリール、置換C~C24アルカリールおよびハロゲン化物から選択される3個までの置換基で置換されたC~C24アリールである。
【0053】
したがって、式(IV)のオレフィンメタセシス触媒は、式(V)の構造によって表すこともでき、
【化6】
式中、
は、水素であり;
は、非置換ヒドロカルビル、置換ヒドロカルビル、非置換ヘテロ原子含有ヒドロカルビル、または置換ヘテロ原子含有ヒドロカルビルであり;典型的には、Rは、非置換フェニル、置換フェニル、または置換1-プロペニルであるか;または、RとRが一緒に結合して、場合により置換されていてもよいインデニリデンを形成し;
は、水素、非置換ヒドロカルビル、置換ヒドロカルビル、非置換ヘテロ原子含有ヒドロカルビル、または置換ヘテロ原子含有ヒドロカルビルであり;一般には、Rは、非置換C~C10アルキル、置換C~C10アルキル、非置換C~C10シクロアルキル、置換C~C10シクロアルキル、非置換C~C24アリールまたは置換C~C24アリールであり;典型的には、Rは、メチル、エチル、n-プロピル、iso-プロピル、n-ブチル、tert-ブチル、シクロヘキシルまたはフェニルであり;
は、水素、非置換ヒドロカルビル、置換ヒドロカルビル、非置換ヘテロ原子含有ヒドロカルビル、または置換ヘテロ原子含有ヒドロカルビルであり;一般には、Rは、非置換C~C10アルキル、置換C~C10アルキル、非置換C~C10シクロアルキル、置換C~C10シクロアルキル、非置換C~C24アリールまたは置換C~C24アリールであり;典型的には、Rは、メチル、エチル、n-プロピル、iso-プロピル、n-ブチル、tert-ブチル、シクロヘキシルまたはフェニルであり;
およびXは、独立して、ハロゲン、トリフルオロアセテート、ペルフルオロフェノレート、チオレート、アルキルチオ、アリールチオまたはニトレートであり;一般には、XおよびXは、独立して、Cl、Br、IまたはFであり;典型的には、XおよびXは、それぞれClであり;
は、非置換ヒドロカルビル、置換ヒドロカルビル、非置換ヘテロ原子含有ヒドロカルビル、または置換ヘテロ原子含有ヒドロカルビルであり;一般には、Rは、非置換C~C10シクロアルキル、置換C~C10シクロアルキル、非置換C~C24アリールであるか、非置換C~C20アルキル、置換C~C20アルキル、非置換C~C20ヘテロアルキル、置換C~C20ヘテロアルキル、非置換C~C24アリール、置換C~C24アリール、非置換C~C24ヘテロアリール、置換C~C24ヘテロアリール、非置換C~C24アラルキル、置換C~C24アラルキル、非置換C~C24アルカリール、置換C~C24アルカリールおよびハロゲン化物から選択される3個までの置換基で置換されたC~C24アリールであり、典型的には、Rは、アダマンチル、2,4,6-トリメチルフェニル、2,6-ジ-iso-プロピルフェニル、2-iso-プロピル-6-メチルフェニル、2-iso-プロピル-フェニルまたは2-メチル-フェニルであり;
は、非置換ヒドロカルビル、置換ヒドロカルビル、非置換ヘテロ原子含有ヒドロカルビル、または置換ヘテロ原子含有ヒドロカルビルであり;一般には、Rは、非置換C~C10シクロアルキル、置換C~C10シクロアルキル、非置換C~C24アリールであるか、または非置換C~C20アルキル、置換C~C20アルキル、非置換C~C20ヘテロアルキル、置換C~C20ヘテロアルキル、非置換C~C24アリール、置換C~C24アリール、非置換C~C24ヘテロアリール、置換C~C24ヘテロアリール、非置換C~C24アラルキル、置換C~C24アラルキル、非置換C~C24アルカリール、置換C~C24アルカリールおよびハロゲン化物から選択される3個までの置換基で置換されたC~C24アリールであり;典型的には、Rは、2,4,6-トリメチルフェニル、2-iso-プロピル-フェニル、2,6-ジ-iso-プロピルフェニル、2-iso-プロピル-6-メチルフェニルまたは2-メチル-フェニルである。
【0054】
一実施形態では、本発明は、式(V)の構造によって表されるオレフィンメタセシス触媒を提供し、式中、
は、水素であり;
は、非置換ヒドロカルビル、置換ヒドロカルビル、非置換ヘテロ原子含有ヒドロカルビル、または置換ヘテロ原子含有ヒドロカルビルであり;典型的には、Rは、非置換フェニル、置換フェニル、または置換1-プロペニルであるか;または、RとRが一緒に結合して、場合により置換されていてもよいインデニリデンを形成し;
とRが一緒に結合して、スルホキシド基を有する5員環または6員環のヘテロ環式環を形成し;典型的には、RとRが一緒に結合して、テトラヒドロチオフェンオキシドを形成し;
およびXは、独立して、ハロゲン、トリフルオロアセテート、ペルフルオロフェノレート、チオレート、アルキルチオ、アリールチオまたはニトレートであり;一般には、XおよびXは、独立して、Cl、Br、IまたはFであり;典型的には、XおよびXは、それぞれClであり;
は、非置換ヒドロカルビル、置換ヒドロカルビル、非置換ヘテロ原子含有ヒドロカルビル、または置換ヘテロ原子含有ヒドロカルビルであり;一般には、Rは、非置換C~C10シクロアルキル、置換C~C10シクロアルキル、非置換C~C24アリールであるか、非置換C~C20アルキル、置換C~C20アルキル、非置換C~C20ヘテロアルキル、置換C~C20ヘテロアルキル、非置換C~C24アリール、置換C~C24アリール、非置換C~C24ヘテロアリール、置換C~C24ヘテロアリール、非置換C~C24アラルキル、置換C~C24アラルキル、非置換C~C24アルカリール、置換C~C24アルカリールおよびハロゲン化物から選択される3個までの置換基で置換されたC~C24アリールであり、典型的には、Rは、アダマンチル、2,4,6-トリメチルフェニル、2,6-ジ-iso-プロピルフェニル、2-iso-プロピル-6-メチルフェニル、2-iso-プロピル-フェニルまたは2-メチル-フェニルであり;
は、非置換ヒドロカルビル、置換ヒドロカルビル、非置換ヘテロ原子含有ヒドロカルビル、または置換ヘテロ原子含有ヒドロカルビルであり;一般には、Rは、非置換C~C10シクロアルキル、置換C~C10シクロアルキル、非置換C~C24アリールであるか、または非置換C~C20アルキル、置換C~C20アルキル、非置換C~C20ヘテロアルキル、置換C~C20ヘテロアルキル、非置換C~C24アリール、置換C~C24アリール、非置換C~C24ヘテロアリール、置換C~C24ヘテロアリール、非置換C~C24アラルキル、置換C~C24アラルキル、非置換C~C24アルカリール、置換C~C24アルカリールおよびハロゲン化物から選択される3個までの置換基で置換されたC~C24アリールであり;典型的には、Rは、2,4,6-トリメチルフェニル、2-iso-プロピル-フェニル、2,6-ジ-iso-プロピルフェニル、2-iso-プロピル-6-メチルフェニルまたは2-メチル-フェニルである。
【0055】
一実施形態では、本発明は、式(V)の構造によって表されるオレフィンメタセシス触媒を提供し、式中、
は、水素であり;
は、非置換ヒドロカルビル、置換ヒドロカルビル、非置換ヘテロ原子含有ヒドロカルビル、または置換ヘテロ原子含有ヒドロカルビルであり;または、RとRが一緒に結合して、場合により置換されていてもよいインデニリデンを形成し;
は、非置換C~C10アルキル、置換C~C10アルキル、非置換C~C10シクロアルキル、置換C~C10シクロアルキル、非置換C~C24アリールまたは置換C~C24アリールであり;
は、非置換C~C10アルキル、置換C~C10アルキル、非置換C~C10シクロアルキル、置換C~C10シクロアルキル、非置換C~C24アリールまたは置換C~C24アリールであり;または、RとRが一緒に結合して、スルホキシド基を有する5員環または6員環のヘテロ環式環を形成し;
およびXは、独立して、ハロゲンであり;
は、非置換C~C10シクロアルキル、置換C~C10シクロアルキル、非置換C~C24アリールであるか、または置換C~C20アルキル、非置換C~C20アルキル、置換C~C20アルキル、非置換C~C20ヘテロアルキル、置換C~C20ヘテロアルキル、非置換C~C24アリール、置換C~C24アリール、非置換C~C24ヘテロアリール、置換C~C24ヘテロアリール、非置換C~C24アラルキル、置換C~C24アラルキル、非置換C~C24アルカリール、置換C~C24アルカリールおよびハロゲン化物から選択される3個までの置換基で置換されたC~C24アリールであり、
は、非置換C~C10シクロアルキル、置換C~C10シクロアルキル、非置換C~C24アリールであるか、または非置換C~C20アルキル、置換C~C20アルキル、非置換C~C20ヘテロアルキル、置換C~C20ヘテロアルキル、非置換C~C24アリール、置換C~C24アリール、非置換C~C24ヘテロアリール、置換C~C24ヘテロアリール、非置換C~C24アラルキル、置換C~C24アラルキル、非置換C~C24アルカリール、置換C~C24アルカリールおよびハロゲン化物から選択される3個までの置換基で置換されたC~C24アリールである。
【0056】
一実施形態では、本発明は、式(V)の構造によって表されるオレフィンメタセシス触媒を提供し、式中、
は、水素であり;
は、非置換フェニル、置換フェニル、または置換1-プロペニルであるか;
は、メチル、エチル、n-プロピル、iso-プロピル、n-ブチル、tert-ブチルまたはフェニルであり;
は、メチル、エチル、n-プロピル、iso-プロピル、n-ブチル、tert-ブチルまたはフェニルであり;またはRとRが一緒に結合して、テトラヒドロチオフェンオキシドを形成し;
およびXは、それぞれClであり;
は、アダマンチル、2,4,6-トリメチルフェニル、2,6-ジ-iso-プロピルフェニル、2-iso-プロピル-6-メチルフェニル、2-iso-プロピル-フェニルまたは2-メチル-フェニルであり;
は、2,4,6-トリメチルフェニル、2,6-ジ-iso-プロピルフェニル、2-iso-プロピル-6-メチルフェニル、2-iso-プロピル-フェニルまたは2-メチル-フェニルである。
【0057】
一実施形態では、本発明は、式(V)の構造によって表されるオレフィンメタセシス触媒を提供し、式中、
は、水素であり;
は、フェニル、2-iso-プロポキシ-フェニル(すなわち、
【化7】
)または2-メチル-1-プロペニル(すなわち、-CH=C(CHまたは
【化8】
)であり;またはRとRが一緒に結合して、3-フェニルインデン-1-イリデン(すなわち、
【化9】
)を形成し;
は、水素、メチル、エチル、n-プロピル、iso-プロピル、n-ブチル、tert-ブチルまたはフェニルであり;
は、水素、メチル、エチル、n-プロピル、iso-プロピル、n-ブチル、tert-ブチルまたはフェニルであり;
およびXは、それぞれClであり;
は、フェニル、2,4,6-トリメチルフェニル、2,6-ジ-iso-プロピルフェニル、アダマンチル、2-iso-プロピル-フェニル、2-メチル-フェニルまたは2-イソプロピル-6-メチルフェニルであり;
は、フェニル、2,4,6-トリメチルフェニル、2,6-ジ-iso-プロピルフェニル、2-iso-プロピル-フェニル、2-メチル-フェニルまたは2-イソプロピル-6-メチルフェニルである。
【0058】
一実施形態では、本発明は、式(V)の構造によって表されるオレフィンメタセシス触媒を提供し、式中、
は、水素であり;
は、フェニル、2-iso-プロポキシ-フェニルまたは2-メチル-1-プロペニルであるか;またはRとRが一緒に結合して、3-フェニルインデン-1-イリデンを形成し;
とRが一緒に結合して、スルホキシド基を有するテトラヒドロチオフェンオキシドを形成し;XおよびXは、それぞれClであり;
は、フェニル、2,4,6-トリメチルフェニル、2,6-ジ-iso-プロピルフェニル、アダマンチル、2-iso-プロピル-フェニル、2-メチル-フェニルまたは2-イソプロピル-6-メチルフェニルであり;
は、フェニル、2,4,6-トリメチルフェニル、2,6-ジ-iso-プロピルフェニル、2-iso-プロピル-フェニル、2-メチル-フェニルまたは2-イソプロピル-6-メチルフェニルである。
【0059】
一実施形態では、本発明は、式(V)の構造によって表されるオレフィンメタセシス触媒を提供し、式中、
とRが一緒に結合して、3-フェニルインデン-1-イリデンを形成し;
は、メチルであり;
は、メチルであり;
およびXは、それぞれClであり;
は、2,4,6-トリメチルフェニルであり;
は、2,4,6-トリメチルフェニルである。
【0060】
式(V)の構造によって表されるオレフィンメタセシス触媒の非限定的な例を表(1)に記載し、ここで、XはClであり、XはClである。
【0061】
【表1-1】
【表1-2】
【表1-3】
【表1-4】
【表1-5】
【0062】
表中、Mesは、
【化10】
であり、Mippは、
【化11】
であり、DIPPは、
【化12】
であり、アダマンチルは、
【化13】
であり、IPPは、
【化14】
であり、2-Me-Cは、
【化15】
であり、Meはメチルであり、n-Buは、ブチル[CH-(CH-]であり、Phはフェニルであり、
【化16】
は、[-(CH-]である。
【0063】
一実施形態では、本発明は、式(IV)の構造によって表されるオレフィンメタセシス触媒を提供し、式中、
Mは、Ruであり;
nは0であり;
mは0であり;
は、水素、非置換ヒドロカルビル、置換ヒドロカルビル、非置換ヘテロ原子含有ヒドロカルビル、または置換ヘテロ原子含有ヒドロカルビルであり;一般には、Rは、非置換C~C10アルキル、置換C~C10アルキル、非置換C~C10シクロアルキル、置換C~C10シクロアルキル、非置換C~C24アリールまたは置換C~C24アリールであり;
は、水素、非置換ヒドロカルビル、置換ヒドロカルビル、非置換ヘテロ原子含有ヒドロカルビル、または置換ヘテロ原子含有ヒドロカルビルであり;一般には、Rは、非置換C~C10アルキル、置換C~C10アルキル、非置換C~C10シクロアルキル、置換C~C10シクロアルキル、非置換C~C24アリールまたは置換C~C24アリールであり;または、RとRが一緒に結合して、スルホキシド基を有する5員環または6員環のヘテロ環式環を形成し;
およびXは、独立して、ハロゲン、トリフルオロアセテート、ペルフルオロフェノレート、チオレート、アルキルチオ、アリールチオまたはニトレートであり;一般には、XおよびXは、独立して、Cl、Br、IまたはFであり;
は、水素であり;
は、非置換ヒドロカルビル、置換ヒドロカルビル、非置換ヘテロ原子含有ヒドロカルビル、または置換ヘテロ原子含有ヒドロカルビルであり;または、RとRが一緒に結合して、場合により置換されていてもよいインデニリデンを形成し;
XおよびYは、それぞれNであり;
Qは、-(CH=CH)-(すなわち、構造-[CR11=CR13]-を有する2原子結合)であり;ここで、R11およびR13は、水素であり);Rは、非置換ヒドロカルビル、置換ヒドロカルビル、非置換ヘテロ原子含有ヒドロカルビル、または置換ヘテロ原子含有ヒドロカルビルであり;一般には、Rは、非置換C~C10シクロアルキル、置換C~C10シクロアルキル、非置換C~C24アリールであるか、または非置換C~C20アルキル、置換C~C20アルキル、非置換C~C20ヘテロアルキル、置換C~C20ヘテロアルキル、非置換C~C24アリール、置換C~C24アリール、非置換C~C24ヘテロアリール、置換C~C24ヘテロアリール、非置換C~C24アラルキル、置換C~C24アラルキル、非置換C~C24アルカリール、置換C~C24アルカリールおよびハロゲン化物から選択される3個までの置換基で置換されたC~C24アリールであり、
は、非置換ヒドロカルビル、置換ヒドロカルビル、非置換ヘテロ原子含有ヒドロカルビル、または置換ヘテロ原子含有ヒドロカルビルであり;一般には、Rは、非置換C~C10シクロアルキル、置換C~C10シクロアルキル、非置換C~C24アリールであるか、または非置換C~C20アルキル、置換C~C20アルキル、非置換C~C20ヘテロアルキル、置換C~C20ヘテロアルキル、非置換C~C24アリール、置換C~C24アリール、非置換C~C24ヘテロアリール、置換C~C24ヘテロアリール、非置換C~C24アラルキル、置換C~C24アラルキル、非置換C~C24アルカリール、置換C~C24アルカリールおよびハロゲン化物から選択される3個までの置換基で置換されたC~C24アリールである。
【0064】
したがって、式(IV)のオレフィンメタセシス触媒は、式(VI)の構造によって表すこともでき、
【化17】
式中、
は、水素であり;
は、非置換フェニル、置換フェニル、または置換1-プロペニルであるか;または、RとRが一緒に結合して、場合により置換されていてもよいインデニリデンを形成し;Rは、水素、非置換ヒドロカルビル、置換ヒドロカルビル、非置換ヘテロ原子含有ヒドロカルビル、または置換ヘテロ原子含有ヒドロカルビルであり;一般には、Rは、非置換C~C10アルキル、置換C~C10アルキル、非置換C~C10シクロアルキル、置換C~C10シクロアルキル、非置換C~C24アリールまたは置換C~C24アリールであり;
は、水素、非置換ヒドロカルビル、置換ヒドロカルビル、非置換ヘテロ原子含有ヒドロカルビル、または置換ヘテロ原子含有ヒドロカルビルであり;一般には、Rは、非置換C~C10アルキル、置換C~C10アルキル、非置換C~C10シクロアルキル、置換C~C10シクロアルキル、非置換C~C24アリールまたは置換C~C24アリールであり;または、RとRが一緒に結合して、スルホキシド基を有する5員環または6員環のヘテロ環式環を形成し;
およびXは、独立して、ハロゲン、トリフルオロアセテート、ペルフルオロフェノレート、チオレート、アルキルチオ、アリールチオまたはニトレートであり;一般には、XおよびXは、独立して、Cl、Br、IまたはFであり;典型的には、XおよびXは、それぞれClであり;
は、非置換ヒドロカルビル、置換ヒドロカルビル、非置換ヘテロ原子含有ヒドロカルビル、または置換ヘテロ原子含有ヒドロカルビルであり;一般には、Rは、非置換C~C10シクロアルキル、置換C~C10シクロアルキル、非置換C~C24アリールであるか、非置換C~C20アルキル、置換C~C20アルキル、非置換C~C20ヘテロアルキル、置換C~C20ヘテロアルキル、非置換C~C24アリール、置換C~C24アリール、非置換C~C24ヘテロアリール、置換C~C24ヘテロアリール、非置換C~C24アラルキル、置換C~C24アラルキル、非置換C~C24アルカリール、置換C~C24アルカリールおよびハロゲン化物から選択される3個までの置換基で置換されたC~C24アリールであり、典型的には、Rは、アダマンチル、2,4,6-トリメチルフェニル、2,6-ジ-iso-プロピルフェニル、2-iso-プロピル-6-メチルフェニル、2-iso-プロピル-フェニルまたは2-メチル-フェニルであり;
は、非置換ヒドロカルビル、置換ヒドロカルビル、非置換ヘテロ原子含有ヒドロカルビル、または置換ヘテロ原子含有ヒドロカルビルであり;一般には、Rは、非置換C~C10シクロアルキル、置換C~C10シクロアルキル、非置換C~C24アリールであるか、または非置換C~C20アルキル、置換C~C20アルキル、非置換C~C20ヘテロアルキル、置換C~C20ヘテロアルキル、非置換C~C24アリール、置換C~C24アリール、非置換C~C24ヘテロアリール、置換C~C24ヘテロアリール、非置換C~C24アラルキル、置換C~C24アラルキル、非置換C~C24アルカリール、置換C~C24アルカリールおよびハロゲン化物から選択される3個までの置換基で置換されたC~C24アリールであり;典型的には、Rは、2,4,6-トリメチルフェニル、2-iso-プロピル-フェニル、2,6-ジ-iso-プロピルフェニル、2-iso-プロピル-6-メチルフェニルまたは2-メチル-フェニルである。
【0065】
一実施形態では、本発明は、式(VI)の構造によって表されるオレフィンメタセシス触媒を提供し、式中、
は、水素であり;
は、フェニル、2-iso-プロポキシ-フェニルまたは2-メチル-1-プロペニルであるか;またはRとRが一緒に結合して、3-フェニルインデン-1-イリデンを形成し;
は、水素、メチル、エチル、n-プロピル、iso-プロピル、n-ブチル、tert-ブチルまたはフェニルであり;
は、水素、メチル、エチル、n-プロピル、iso-プロピル、n-ブチル、tert-ブチルまたはフェニルであり;
およびXは、それぞれClであり;
は、アダマンチル、2,4,6-トリメチルフェニル、2,6-ジ-iso-プロピルフェニル、2-iso-プロピル-6-メチルフェニル、または2-メチル-フェニルであり;
は、2,4,6-トリメチルフェニル、2,6-ジ-iso-プロピルフェニル、2-iso-プロピル-6-メチルフェニルまたは2-メチル-フェニルである。
【0066】
一実施形態では、本発明は、式(VI)の構造によって表されるオレフィンメタセシス触媒を提供し、式中、
は、水素であり;
は、非置換フェニル、置換フェニル、または置換1-プロペニルであるか;または、RとRが一緒に結合して、場合により置換されていてもよいインデニリデンを形成し;
とRが一緒に結合して、スルホキシド基を有する5員環または6員環のヘテロ環式環を形成し;
およびXは、独立して、Cl、Br、IまたはFであり;典型的には、XおよびXは、それぞれClであり;
は、アダマンチル、2,4,6-トリメチルフェニル、2,6-ジ-iso-プロピルフェニル、2-iso-プロピル-フェニル、2-iso-プロピル-6-メチルフェニルまたは2-メチル-フェニルであり;
は、2,4,6-トリメチルフェニル、2,6-ジ-iso-プロピルフェニル、2-iso-プロピル-フェニル、2-iso-プロピル-6-メチルフェニルまたは2-メチル-フェニルである。
【0067】
式(VI)の構造によって表されるオレフィンメタセシス触媒の非限定的な例を表(2)に記載し、ここで、XはClであり、XはClである。
【0068】
【表2-1】
【表2-2】
【表2-3】
【表2-4】
【表2-5】
【0069】
一実施形態では、本発明は、式(IV)の構造によって表されるオレフィンメタセシス触媒を提供し、式中、
Mは、Ruであり;
nは0であり;
mは0であり;
は、水素、非置換ヒドロカルビル、置換ヒドロカルビル、非置換ヘテロ原子含有ヒドロカルビル、または置換ヘテロ原子含有ヒドロカルビルであり;一般には、Rは、非置換C~C10アルキル、置換C~C10アルキル、非置換C~C10シクロアルキル、置換C~C10シクロアルキル、非置換C~C24アリールまたは置換C~C24アリールであり;典型的には、Rは、メチル、エチル、n-プロピル、iso-プロピル、n-ブチル、tert-ブチル、シクロヘキシルまたはフェニルであり;
は、水素、非置換ヒドロカルビル、置換ヒドロカルビル、非置換ヘテロ原子含有ヒドロカルビル、または置換ヘテロ原子含有ヒドロカルビルであり;一般には、Rは、非置換C~C10アルキル、置換C~C10アルキル、非置換C~C10シクロアルキル、置換C~C10シクロアルキル、非置換C~C24アリールまたは置換C~C24アリールであり;典型的には、Rは、メチル、エチル、n-プロピル、iso-プロピル、n-ブチル、tert-ブチル、シクロヘキシルまたはフェニルであり;または、RとRが一緒に結合して、スルホキシド基を有する5員環または6員環のヘテロ環式環を形成し;
およびXは、独立して、ハロゲン、トリフルオロアセテート、ペルフルオロフェノレート、チオレート、アルキルチオ、アリールチオまたはニトレートであり;典型的には、XおよびXは、独立して、Cl、Br、IまたはFであり;
は、水素であり;
は、非置換ヒドロカルビル、置換ヒドロカルビル、非置換ヘテロ原子含有ヒドロカルビル、または置換ヘテロ原子含有ヒドロカルビルであり;典型的には、Rは、非置換フェニル、置換フェニル、または置換1-プロペニルであるか;または、RとRが一緒に結合して、場合により置換されていてもよいインデニリデンを形成し;
YはNであり;
Xは、CR3aであり;
3aは、水素、非置換ヒドロカルビル、置換ヒドロカルビル、非置換ヘテロ原子含有ヒドロカルビル、または置換ヘテロ原子含有ヒドロカルビルであり;またはR3aとRとが、これらに結合する炭素原子と共に、5~10員環のシクロアルキルまたはヘテロ環式環を形成してもよく;
Qは、構造-[CR1112-[CR1314-を有する2原子結合であり;ここで、R11、R12、R13およびR14は、独立して、水素、非置換ヒドロカルビル、置換ヒドロカルビル、非置換ヘテロ原子含有ヒドロカルビル、または置換ヘテロ原子含有ヒドロカルビルであり;典型的には、R11、R12、R13およびR14は、独立して、水素、非置換C~C12アルキル、置換C~C12アルキル、非置換C~C12ヘテロアルキル、置換C~C12ヘテロアルキル、非置換C~C14アリールまたは置換C~C14アリールであり;「s」および「t」は、それぞれ1であり;
は、非置換ヒドロカルビル、置換ヒドロカルビル、非置換ヘテロ原子含有ヒドロカルビル、または置換ヘテロ原子含有ヒドロカルビルであり;一般には、Rは、非置換C~C10シクロアルキル、置換C~C10シクロアルキル、非置換C~C24アリールであるか、非置換C~C20アルキル、置換C~C20アルキル、非置換C~C20ヘテロアルキル、置換C~C20ヘテロアルキル、非置換C~C24アリール、置換C~C24アリール、非置換C~C24ヘテロアリール、置換C~C24ヘテロアリール、非置換C~C24アラルキル、置換C~C24アラルキル、非置換C~C24アルカリール、置換C~C24アルカリールおよびハロゲン化物から選択される3個までの置換基で置換されたC~C24アリールであり、
は、非置換ヒドロカルビル、置換ヒドロカルビル、非置換ヘテロ原子含有ヒドロカルビル、または置換ヘテロ原子含有ヒドロカルビルであり;一般には、Rは、非置換C~C10シクロアルキル、置換C~C10シクロアルキル、非置換C~C24アリールであるか、または非置換C~C20アルキル、置換C~C20アルキル、非置換C~C20ヘテロアルキル、置換C~C20ヘテロアルキル、非置換C~C24アリール、置換C~C24アリール、非置換C~C24ヘテロアリール、置換C~C24ヘテロアリール、非置換C~C24アラルキル、置換C~C24アラルキル、非置換C~C24アルカリール、置換C~C24アルカリールおよびハロゲン化物から選択される3個までの置換基で置換されたC~C24アリールであり;またはR3aとRとが、これらに結合する炭素原子と共に、5~10員環のシクロアルキルまたはヘテロ環式環を形成してもよい。
【0070】
したがって、式(IV)のオレフィンメタセシス触媒は、式(VII)の構造によって表すこともでき、
【化18】
式中、
は、水素であり;
は、非置換ヒドロカルビル、置換ヒドロカルビル、非置換ヘテロ原子含有ヒドロカルビル、または置換ヘテロ原子含有ヒドロカルビルであり;一般には、Rは、非置換フェニル、置換フェニル、または置換1-プロペニルであるか;または、RとRが一緒に結合して、場合により置換されていてもよいインデニリデンを形成し;
は、水素、非置換ヒドロカルビル、置換ヒドロカルビル、非置換ヘテロ原子含有ヒドロカルビル、または置換ヘテロ原子含有ヒドロカルビルであり;一般には、Rは、非置換C~C10アルキル、置換C~C10アルキル、非置換C~C10シクロアルキル、置換C~C10シクロアルキル、非置換C~C24アリールまたは置換C~C24アリールであり;典型的には、Rは、メチル、エチル、n-プロピル、iso-プロピル、n-ブチル、tert-ブチル、シクロヘキシルまたはフェニルであり;
は、水素、非置換ヒドロカルビル、置換ヒドロカルビル、非置換ヘテロ原子含有ヒドロカルビル、または置換ヘテロ原子含有ヒドロカルビルであり;一般には、Rは、非置換C~C10アルキル、置換C~C10アルキル、非置換C~C10シクロアルキル、置換C~C10シクロアルキル、非置換C~C24アリールまたは置換C~C24アリールであり;典型的には、Rは、メチル、エチル、n-プロピル、iso-プロピル、n-ブチル、tert-ブチル、シクロヘキシルまたはフェニルであり;または、RとRが一緒に結合して、スルホキシド基を有する5員環または6員環のヘテロ環式環を形成し;
およびXは、独立して、ハロゲン、トリフルオロアセテート、ペルフルオロフェノレート、チオレート、アルキルチオ、アリールチオまたはニトレートであり;一般には、XおよびXは、独立して、Cl、Br、IまたはFであり;典型的には、XおよびXは、それぞれClであり;
は、非置換ヒドロカルビル、置換ヒドロカルビル、非置換ヘテロ原子含有ヒドロカルビル、または置換ヘテロ原子含有ヒドロカルビルであり;一般には、Rは、非置換C~C10シクロアルキル、置換C~C10シクロアルキル、非置換C~C24アリールであるか、非置換C~C20アルキル、置換C~C20アルキル、非置換C~C20ヘテロアルキル、置換C~C20ヘテロアルキル、非置換C~C24アリール、置換C~C24アリール、非置換C~C24ヘテロアリール、置換C~C24ヘテロアリール、非置換C~C24アラルキル、置換C~C24アラルキル、非置換C~C24アルカリール、置換C~C24アルカリールおよびハロゲン化物から選択される3個までの置換基で置換されたC~C24アリールであり、典型的には、Rは、アダマンチル、2,4,6-トリメチルフェニル、2,6-ジ-iso-プロピルフェニル、2-メチル-6-tert-ブチルフェニル、2-iso-プロピル-6-メチルフェニル、2-iso-プロピル-フェニル、2,6-ジ-エチルフェニル、2-エチル-6-メチルフェニルまたは2-メチル-フェニルであり;R11、R12、R13およびR14は、独立して、水素、非置換ヒドロカルビル、置換ヒドロカルビル、非置換ヘテロ原子含有ヒドロカルビル、または置換ヘテロ原子含有ヒドロカルビルであり;一般には、R11、R12、R13およびR14は、独立して、水素、非置換C~C12アルキル、置換C~C12アルキル、非置換C~C12ヘテロアルキル、置換C~C12ヘテロアルキル、非置換C~C12シクロアルキル、置換C~C12シクロアルキル、非置換C~C24アリール、置換C~C24アリール、非置換C~C24ヘテロアリール、置換C~C24ヘテロアリール、非置換C~C24アラルキル、置換C~C24アラルキル、非置換C~C24ヘテロアラルキルまたは置換C~C24ヘテロアラルキルであり;典型的には、R11およびR12は、それぞれメチルであり、R13およびR14は、それぞれ水素であり;
3aは、水素、非置換ヒドロカルビル、置換ヒドロカルビル、非置換ヘテロ原子含有ヒドロカルビル、または置換ヘテロ原子含有ヒドロカルビルであり;一般には、R3aは、非置換C~C12アルキル、置換C~C12アルキル、非置換C~C12シクロアルキル、置換C~C12シクロアルキル、非置換C~C24アリール、置換C~C24アリール、非置換C~C24ヘテロアリール、置換C~C24ヘテロアリール、非置換C~C24アラルキル、置換C~C24アラルキル、非置換C~C24ヘテロアラルキルまたは置換C~C24ヘテロアラルキルであり;典型的には、R3aは、メチル、エチル、n-プロピルまたはフェニルであり;
は、水素、非置換ヒドロカルビル、置換ヒドロカルビル、非置換ヘテロ原子含有ヒドロカルビル、または置換ヘテロ原子含有ヒドロカルビルであり;一般には、Rは、非置換C~C12アルキル、置換C~C12アルキル、非置換C~C12シクロアルキル、置換C~C12シクロアルキル、非置換C~C24アリール、置換C~C24アリール、非置換C~C24ヘテロアリール、置換C~C24ヘテロアリール、非置換C~C24アラルキル、置換C~C24アラルキル、非置換C~C24ヘテロアラルキルまたは置換C~C24ヘテロアラルキルであり;典型的には、Rは、メチル、エチル、n-プロピルまたはフェニルであり;またはRとR3aとが、これらに結合する炭素原子と共に、5~10員環のシクロアルキルまたはヘテロ環式環を形成してもよい。
【0071】
一実施形態では、本発明は、式(VII)の構造によって表されるオレフィンメタセシス触媒を提供し、式中、
は、水素であり;
は、フェニル、2-iso-プロポキシ-フェニルまたは2-メチル-1-プロペニルであるか;またはRとRが一緒に結合して、3-フェニルインデン-1-イリデンを形成し;
は、水素、メチル、エチル、n-プロピル、iso-プロピル、n-ブチル、tert-ブチルまたはフェニルであり;
は、水素、メチル、エチル、n-プロピル、iso-プロピル、n-ブチル、tert-ブチルまたはフェニルであり;XおよびXは、それぞれClであり;
は、2,4,6-トリメチルフェニル、2,6-ジ-iso-プロピルフェニル、2-iso-プロピル-フェニル、2-iso-プロピル-6-メチルフェニル、2,6-ジ-エチルフェニル、2-メチル-6-tert-ブチルフェニル、2-エチル-6-メチルフェニルまたは2-メチル-フェニルであり;
11およびR12は、それぞれメチルであり;
13およびR14は、それぞれ水素であり;
3aは、メチル、エチル、n-プロピルまたはフェニルであり;
は、メチル、エチル、n-プロピルまたはフェニルであり;またはR3aとRとが、これらに結合する炭素原子と共に、5員環、6員環または10員環のシクロアルキルまたはヘテロ環式環を形成する。
【0072】
式(VII)の構造によって表されるオレフィンメタセシス触媒の非限定的な例を表(3)に記載し、ここで、XはClであり、XはClであり、R11はメチルであり、R12はメチルであり、R13は水素であり、R14は水素である。
【表3-1】
【表3-2】
【表3-3】
【表3-4】
【表3-5】
【表3-6】
【0073】
表中、EMPは、
【化19】
である。
【0074】
式(IV)の別の実施形態では、本発明は、オレフィンメタセシス触媒を提供し、式中、
Mは、第8族遷移金属であり;一般には、Mは、ルテニウムまたはオスミウムであり;典型的には、Mは、ルテニウムであり;
は、中性の電子供与配位子であり;
nは、0または1であり;典型的には、nは0であり;
mは、0、1または2であり;典型的には、mは0であり;
は、水素、非置換ヒドロカルビル、置換ヒドロカルビル、非置換ヘテロ原子含有ヒドロカルビル、または置換ヘテロ原子含有ヒドロカルビルであり;一般には、Rは、非置換C~C10アルキル、置換C~C10アルキル、非置換C~C10シクロアルキル、置換C~C10シクロアルキル、非置換C~C24アリールまたは置換C~C24アリールであり;典型的には、Rは、メチル、エチル、n-プロピル、iso-プロピル、n-ブチル、tert-ブチル、シクロヘキシルまたはフェニルであり;Rは、水素、非置換ヒドロカルビル、置換ヒドロカルビル、非置換ヘテロ原子含有ヒドロカルビル、または置換ヘテロ原子含有ヒドロカルビルであり;一般には、Rは、非置換C~C10アルキル、置換C~C10アルキル、非置換C~C10シクロアルキル、置換C~C10シクロアルキル、非置換C~C24アリールまたは置換C~C24アリールであり;典型的には、Rは、メチル、エチル、n-プロピル、iso-プロピル、n-ブチル、tert-ブチル、シクロヘキシルまたはフェニルであり;または、RとRが一緒に結合して、スルホキシド基を有する5員環または6員環のヘテロ環式環を形成し;
XおよびYは、独立して、C、CR3aまたはNであり;XまたはYのうち1つだけが、CまたはCR3aであってもよく;
3aは、水素、非置換ヒドロカルビル、置換ヒドロカルビル、非置換ヘテロ原子含有ヒドロカルビル、または置換ヘテロ原子含有ヒドロカルビルであり;
Qは、構造-[CR1112-[CR1314-または-[CR11=CR13]-を有する2原子結合であり;
11、R12、R13およびR14は、独立して、水素、非置換ヒドロカルビル、置換ヒドロカルビル、非置換ヘテロ原子含有ヒドロカルビル、または置換ヘテロ原子含有ヒドロカルビルであり;
「s」および「t」は、独立して、1または2であり;
は、非置換ヒドロカルビル、置換ヒドロカルビル、非置換ヘテロ原子含有ヒドロカルビル、または置換ヘテロ原子含有ヒドロカルビルであり;
は、非置換ヒドロカルビル、置換ヒドロカルビル、非置換ヘテロ原子含有ヒドロカルビル、または置換ヘテロ原子含有ヒドロカルビルであり;
およびRは、独立して、水素、非置換ヒドロカルビル、置換ヒドロカルビル、非置換ヘテロ原子含有ヒドロカルビル、または置換ヘテロ原子含有ヒドロカルビルであり;または、RとRが一緒に結合して、場合により置換されていてもよいインデニリデンを形成し;
その部分
【化20】
であり;
およびXは、独立して、OまたはSであり;
、R、RおよびRは、独立して、水素、ハロゲン、非置換ヒドロカルビル、置換ヒドロカルビル、非置換ヘテロ原子含有ヒドロカルビル、または置換ヘテロ原子含有ヒドロカルビルであり;またはRとRが一緒に結合して、非置換の二環または多環のアリールまたは置換の二環または多環のアリールを形成し;またはRとRが一緒に結合して、非置換の二環または多環のアリールまたは置換の二環または多環のアリールを形成し;またはRとRが一緒に結合して、非置換の二環または多環のアリールまたは置換の二環または多環のアリールを形成する。
【0075】
式(IV)の別の実施形態では、本発明は、オレフィンメタセシス触媒を提供し、式中、
Mは、Ruであり;
nは0であり;
mは0であり;
は、非置換C~C10アルキル、置換C~C10アルキル、非置換C~C10シクロアルキル、置換C~C10シクロアルキル、非置換C~C24アリールまたは置換C~C24アリールであり;典型的には、Rは、メチル、エチル、n-プロピル、iso-プロピル、n-ブチル、tert-ブチル、シクロヘキシルまたはフェニルであり;
は、非置換C~C10アルキル、置換C~C10アルキル、非置換C~C10シクロアルキル、置換C~C10シクロアルキル、非置換C~C24アリールまたは置換C~C24アリールであり;典型的には、Rは、メチル、エチル、n-プロピル、iso-プロピル、t-ブチル、tert-ブチル、シクロヘキシルまたはフェニルであるか;または、RとRが一緒に結合して、スルホキシド基を有する5員環または6員環のヘテロ環式環を形成し;
XおよびYは、それぞれNであり;
Qは、構造-[CR1112-[CR1314-を有する2原子結合であり;
11、R12、R13およびR14は、独立して、C~Cアルキルまたは水素であり;一般には、R11は水素またはメチルであり、R12は水素またはメチルであり、R13は水素であり、R14は水素であり;典型的には、R11、R12、R13およびR14は、それぞれ水素であり;
「s」および「t」は、それぞれ1であり;
は、非置換ヒドロカルビル、置換ヒドロカルビル、非置換ヘテロ原子含有ヒドロカルビル、または置換ヘテロ原子含有ヒドロカルビルであり;
は、非置換ヒドロカルビル、置換ヒドロカルビル、非置換ヘテロ原子含有ヒドロカルビル、または置換ヘテロ原子含有ヒドロカルビルであり;
は水素であり、Rは、非置換フェニル、置換フェニルまたは置換1-プロペニルであり;または、RとRが一緒に結合して、場合により置換されていてもよいインデニリデンを形成し;
その部分
【化21】
であり;
およびXは、それぞれSであり;
、R、RおよびRは、独立して、C~Cアルキル、水素、ハロゲン、非置換フェニルまたは置換フェニルであり;一般には、Rは、メチル、水素またはClであり、Rは、水素であり、Rは、水素であり、Rは、Cl、n-ブチル、水素またはフェニルであり;またはRとRが一緒に結合して、非置換の二環または多環のアリールまたは置換の二環または多環のアリールを形成し;またはRとRが一緒に結合して、非置換の二環または多環のアリールまたは置換の二環または多環のアリールを形成し;またはRとRが一緒に結合して、非置換の二環または多環のアリールまたは置換の二環または多環のアリールを形成する。
【0076】
したがって、式(IV)のオレフィンメタセシス触媒は、式(VIII)の構造によって表すこともでき、
【化22】
式中、
は、非置換C~C10アルキル、置換C~C10アルキル、非置換C~C10シクロアルキル、置換C~C10シクロアルキル、非置換C~C24アリールまたは置換C~C24アリールであり;典型的には、Rは、メチル、エチル、n-プロピル、iso-プロピル、n-ブチル、tert-ブチル、シクロヘキシルまたはフェニルであり;Rは、非置換C~C10アルキル、置換C~C10アルキル、非置換C~C10シクロアルキル、置換C~C10シクロアルキル、非置換C~C24アリールまたは置換C~C24アリールであり;典型的には、Rは、メチル、エチル、n-プロピル、iso-プロピル、n-ブチル、tert-ブチル、シクロヘキシルまたはフェニルであり;または、RとRが一緒に結合して、スルホキシド基を有する5員環または6員環のヘテロ環式環を形成し;
は、非置換C~C10シクロアルキル、置換C~C10シクロアルキル、非置換C~C24アリールであるか、非置換C~C20アルキル、置換C~C20アルキル、非置換C~C20ヘテロアルキル、置換C~C20ヘテロアルキル、非置換C~C24アリール、置換C~C24アリール、非置換C~C24ヘテロアリール、置換C~C24ヘテロアリール、非置換C~C24アラルキル、置換C~C24アラルキル、非置換C~C24アルカリール、置換C~C24アルカリールおよびハロゲン化物から選択される3個までの置換基で置換されたC~C24アリールであり、典型的には、Rは、アダマンチル、2,4,6-トリメチルフェニル、2,6-ジ-iso-プロピルフェニル、2-メチル-6-tert-ブチルフェニル、2-iso-プロピル-6-メチルフェニル、2-iso-プロピル-フェニル、2,6-ジ-エチルフェニル、2-エチル-6-メチルフェニル、2,4,6-トリフルオロフェニル、2,6-ジフルオロフェニル;
3.5-ジ-tert-ブチルフェニル、2,4-ジメチルフェニルまたは2-メチル-フェニルであり;
は、非置換C~C10シクロアルキル、置換C~C10シクロアルキル、非置換C~C24アリールであるか、非置換C~C20アルキル、置換C~C20アルキル、非置換C~C20ヘテロアルキル、置換C~C20ヘテロアルキル、非置換C~C24アリール、置換C~C24アリール、非置換C~C24ヘテロアリール、置換C~C24ヘテロアリール、非置換C~C24アラルキル、置換C~C24アラルキル、非置換C~C24アルカリール、置換C~C24アルカリールおよびハロゲン化物から選択される3個までの置換基で置換されたC~C24アリールであり、典型的には、Rは、2,4,6-トリメチルフェニル、2,6-ジ-iso-プロピルフェニル、2-メチル-6-tert-ブチルフェニル、2-iso-プロピル-6-メチルフェニル、2-iso-プロピル-フェニル、
2.6-ジ-エチルフェニル、2-エチル-6-メチルフェニル、2,4,6-トリフルオロフェニル、2,6-ジフルオロフェニル、3,5-ジ-tert-ブチルフェニル、2,4-ジメチルフェニルまたは2-メチル-フェニルであり;
は水素であり、Rは、非置換フェニル、置換フェニルまたは置換1-プロペニルであり;または、RとRが一緒に結合して、場合により置換されていてもよいインデニリデンを形成し;
11、R12、R13およびR14は、独立して、C~Cアルキルまたは水素であり;一般には、R11は水素またはメチルであり、R12は水素またはメチルであり、R13は水素であり、R14は水素であり;典型的には、R11、R12、R13およびR14は、独立して、水素であり;
、R、RおよびRは、独立して、C~Cアルキル、水素、ハロゲン、非置換フェニルまたは置換フェニルであり;一般には、Rは、メチル、水素またはClであり、Rは、水素であり、Rは、水素であり、Rは、Cl、n-ブチル、水素またはフェニルであり;またはRとRが一緒に結合して、非置換の二環または多環のアリールまたは置換の二環または多環のアリールを形成し;またはRとRが一緒に結合して、非置換の二環または多環のアリールまたは置換の二環または多環のアリールを形成し;またはRとRが一緒に結合して、非置換の二環または多環のアリールまたは置換の二環または多環のアリールを形成する。
【0077】
一実施形態では、本発明は、式(VIII)の構造によって表されるオレフィンメタセシス触媒を提供し、式中、
は、メチル、エチル、n-プロピル、iso-プロピル、n-ブチル、tert-ブチル、シクロヘキシルまたはフェニルであり;
は、メチル、エチル、n-プロピル、iso-プロピル、n-ブチル、tert-ブチル、シクロヘキシルまたはフェニルであり;または、RとRが一緒に結合して、スルホキシド基を有する5員環または6員環のヘテロ環式環を形成し;
は、アダマンチル、2,4,6-トリメチルフェニル、2,6-ジ-iso-プロピルフェニル、2-メチル-6-tert-ブチルフェニル、2-iso-プロピル-6-メチルフェニル、2-iso-プロピル-フェニル、2,6-ジ-エチルフェニル、2-エチル-6-メチルフェニル、2,4,6-トリフルオロフェニル、3,5-ジ-tert-ブチルフェニル、2,4-ジメチルフェニル、2,6-ジフルオロフェニルまたは2-メチル-フェニルであり;
は、2,4,6-トリメチルフェニル、2,6-ジ-iso-プロピルフェニル、2-メチル-6-tert-ブチルフェニル、2-iso-プロピル-6-メチルフェニル、2-iso-プロピル-フェニル、2,6-ジ-エチルフェニル、2-エチル-6-メチルフェニル、2,4,6-トリフルオロフェニル、3,5-ジ-tert-ブチルフェニル、2,4-ジメチルフェニル、2,6-ジフルオロフェニルまたは2-メチル-フェニルであり;
は水素であり、Rは、非置換フェニル、置換フェニルまたは置換1-プロペニルであり;または、RとRが一緒に結合して、場合により置換されていてもよいインデニリデンを形成し;
11は水素またはメチルであり、R12は水素またはメチルであり、R13は水素であり、R14は水素であり;典型的には、R11、R12、R13およびR14は、それぞれ水素であり;
は、メチル、水素またはClであり、Rは、水素であり、Rは、水素であり、Rは、Cl、n-ブチル、水素またはフェニルであり;またはRとRが一緒に結合して、非置換の二環または多環のアリールまたは置換の二環または多環のアリールを形成し;またはRとRが一緒に結合して、非置換の二環または多環のアリールまたは置換の二環または多環のアリールを形成し;またはRとRが一緒に結合して、非置換の二環または多環のアリールまたは置換の二環または多環のアリールを形成する。
【0078】
式(VIII)の構造によって表されるオレフィンメタセシス触媒の非限定的な例を表(4)に記載し、ここで、Rはメチルであり、Rはメチルであり、R11は水素であり、R12は水素であり、R13は水素であり、R14は水素であり、Rは水素であり、Rは水素である。
【0079】
【表4-1】
【表4-2】
【表4-3】
【表4-4】
【表4-5】
【0080】
本発明は、本発明のオレフィンメタセシス触媒を合成するためのプロセスにも関する。本発明のオレフィンメタセシス触媒は、合成有機化学の当業者によって理解されるような従来の方法と同様に調製することができる。例えば、合成スキーム1は、以下に示されており、本発明の化合物をどのように製造することができるかを示している。
【化23】
【0081】
典型的な手順では、一般式(A)のオレフィンメタセシス触媒を、塩化トシル(TsCl)および過剰量のスルホキシド誘導体(RSO)と室温で反応させ、一般式(V)のオレフィンメタセシス触媒を製造し、式中、
は、水素であり;
は、非置換ヒドロカルビル、置換ヒドロカルビル、非置換ヘテロ原子含有ヒドロカルビル、または置換ヘテロ原子含有ヒドロカルビルであり;一般には、Rは、非置換フェニル、置換フェニル、または置換1-プロペニルであるか;または、RとRが一緒に結合して、場合により置換されていてもよいインデニリデンを形成し;典型的には、Rは、フェニル、2-iso-プロポキシ-フェニルまたは2-メチル-1-プロペニルであるか;または、RとRが一緒に結合して、3-フェニル-1-インデニリデンを形成し;
およびXは、独立して、ハロゲン、トリフルオロアセテート、ペルフルオロフェノレート、チオレート、アルキルチオ、アリールチオまたはニトレートであり;一般には、XおよびXは、独立して、Cl、Br、IまたはFであり;典型的には、XおよびXは、それぞれClであり;
は、非置換ヒドロカルビル、置換ヒドロカルビル、非置換ヘテロ原子含有ヒドロカルビル、または置換ヘテロ原子含有ヒドロカルビルであり;一般には、Rは、非置換C~C10シクロアルキル、置換C~C10シクロアルキル、非置換C~C24アリールであるか、または非置換C~C20アルキル、置換C~C20アルキル、非置換C~C20ヘテロアルキル、置換C~C20ヘテロアルキル、非置換C~C24アリール、置換C~C24アリール、非置換C~C24ヘテロアリール、置換C~C24ヘテロアリール、非置換C~C24アラルキル、置換C~C24アラルキル、非置換C~C24アルカリール、置換C~C24アルカリールおよびハロゲン化物から選択される3個までの置換基で置換されたC~C24アリールであり、典型的には、Rは、アダマンチル、2,4,6-トリメチルフェニル、2,6-ジ-iso-プロピルフェニル、2-iso-プロピル-6-メチルフェニル、2-iso-プロピル-フェニルまたは2-メチル-フェニルであり;Rは、非置換ヒドロカルビル、置換ヒドロカルビル、非置換ヘテロ原子含有ヒドロカルビル、または置換ヘテロ原子含有ヒドロカルビルであり;一般には、Rは、非置換C~C10シクロアルキル、置換C~C10シクロアルキル、非置換C~C24アリールであるか、または非置換C~C20アルキル、置換C~C20アルキル、非置換C~C20ヘテロアルキル、置換C~C20ヘテロアルキル、非置換C~C24アリール、置換C~C24アリール、非置換C~C24ヘテロアリール、置換C~C24ヘテロアリール、非置換C~C24アラルキル、置換C~C24アラルキル、非置換C~C24アルカリール、置換C~C24アルカリールおよびハロゲン化物から選択される3個までの置換基で置換されたC~C24アリールであり;典型的には、Rは、2,4,6-トリメチルフェニル、2,6-ジ-iso-プロピルフェニル、2-iso-プロピル-6-メチルフェニル、2-iso-プロピル-フェニルまたは2-メチル-フェニルであり;
は、水素、非置換ヒドロカルビル、置換ヒドロカルビル、非置換ヘテロ原子含有ヒドロカルビル、または置換ヘテロ原子含有ヒドロカルビルであり;一般には、Rは、非置換C~C10アルキル、置換C~C10アルキル、非置換C~C10シクロアルキル、置換C~C10シクロアルキル、非置換C~C24アリールまたは置換C~C24アリールであり;典型的には、Rは、メチル、エチル、n-プロピル、iso-プロピル、n-ブチル、tert-ブチル、シクロヘキシルまたはフェニルであり;
は、水素、非置換ヒドロカルビル、置換ヒドロカルビル、非置換ヘテロ原子含有ヒドロカルビル、または置換ヘテロ原子含有ヒドロカルビルであり;一般には、Rは、非置換C~C10アルキル、置換C~C10アルキル、非置換C~C10シクロアルキル、置換C~C10シクロアルキル、非置換C~C24アリールまたは置換C~C24アリールであり;典型的には、Rは、メチル、エチル、n-プロピル、iso-プロピル、n-ブチル、tert-ブチル、シクロヘキシルまたはフェニルであり;または、RとRが一緒に結合して、スルホキシド基を有する5員環または6員環のヘテロ環式環を形成し;
、RおよびRは、それぞれ独立して、置換C~C24アリール、非置換C~C24アリール、置換C~C10アルキルまたは非置換C~C10アルキルであり;一般には、R、RおよびRは、それぞれ独立して、非置換C~C24アリールであり;典型的には、R、RおよびRは、それぞれフェニルである。
【0082】
別の実施形態では、本発明は、関連するオレフィンメタセシス触媒の合成において本発明のオレフィンメタセシス触媒を使用する方法に関する。本発明の不安定なスルホキシド配位子を有するルテニウムオレフィンメタセシス触媒は、種々の第2世代Grubbsルテニウムオレフィンメタセシス触媒のための優れた前駆体である。これらの手順の間に合成される第2世代Grubbsルテニウムオレフィンメタセシス触媒は、より高い収率で、より高い純度で得られ、このことは、既存の合成手順と比較して、利点を与える。
【0083】
例えば、合成スキーム2は、以下に示されており、式(F)のオレフィンメタセシス触媒を、式(IV)のオレフィンメタセシス触媒からどのように合成することができるかを示している。
【化24】
【0084】
典型的な手順では、スキーム2に示されるように、式(IV)によって表されるオレフィンメタセシス触媒のスルホキシド配位子を、中性の電子供与剤である「L」配位子と交換することができる。R、R、R、R、R、X、X、M、Q、n、m、R、RおよびLは、本明細書に記載する通りである。「L」は、スルホン化ホスフィン、ホスファイト、ホスフィナイト、ホスホナイト、エーテル、アミン、カルボキシル、ニトロシル、ピリジン、チオエーテル、Grubbs-Hoveyda配位子、トリメチルホスフィン(PMe)、トリエチルホスフィン(PEt)、トリ-n-ブチルホスフィン(PBu)、トリ(オルト-トリル)ホスフィン(P-o-トリル)、トリ-tert-ブチルホスフィン(P-tert-Bu)、トリシクロペンチルホスフィン(PCp)、トリシクロヘキシルホスフィン(PCy)、トリイソプロピルホスフィン(P-i-Pr)、トリオクチルホスフィン(POct)、トリイソブチルホスフィン(P-i-Bu)、トリフェニルホスフィン(PPh)、トリ(ペンタフルオロフェニル)ホスフィン(P(C)、メチルジフェニルホスフィン(PMePh)、ジメチルフェニルホスフィン(PMePh)、ジエチルフェニルホスフィン(PEtPh)、ホスファビシクロアルカン(例えば、モノ置換9-ホスファビシクロ-[3.3.1]ノナン、モノ置換9-ホスファビシクロ[4.2.1]ノナン、シクロヘキシルフォバン、イソプロピルフォバン、エチルフォバン、メチルフォバン、ブチルフォバン、ペンチルフォバン)、ピリジン、3-ブロモピリジン、4-ブロモピリジン、3,5-ジブロモピリジン、2,4,6-トリブロモピリジン、2,6-ジブロモピリジン、3-クロロピリジン、4-クロロピリジン、3,5-ジクロロピリジン、2,4,6-トリクロロピリジン、2,6-ジクロロピリジン、4-ヨードピリジン、3,5-ジヨードピリジン、3,5-ジブロモ-4-メチルピリジン、3,5-ジクロロ-4-メチルピリジン、3,5-ジメチル-4-ブロモピリジン、3,5-ジメチルピリジン、4-メチルピリジン、3,5-ジ-iso-プロピルピリジン、2,4,6-トリメチルピリジン、2,4,6-トリイソプロピルピリジン、4-(tert-ブチル)ピリジン、4-フェニルピリジン、3,5-ジフェニルピリジン、3,5-ジクロロ-4-フェニルピリジン、ビピリジン、ピリダジン、ピリミジン、ビピリダミン、ピラジン、1,3,5-トリアジン、1,2,4-トリアジン、1,2,3-トリアジン、ピロール、2H-ピロール、3H-ピロール、ピラゾール、2H-イミダゾール、1,2,3-トリアゾール、1,2,4-トリアゾール、インドール、3H-インドール、1H-イソインドール、シクロペンタ(b)ピリジン、インダゾール、キノリン、ビスキノリン、イソキノリン、ビスイソキノリン、シンノリン、キナゾリン、ナフチリジン、ピペリジン、ピペラジン、ピロリジン、ピラゾリジン、キヌクリジン、イミダゾリジン、ピコリルイミン、プリン、ベンズイミダゾール、ビスイミダゾール、フェナジン、アクリジン、カルバゾール、硫黄含有ヘテロ環(例えば、チオフェン、1,2-ジチオール、1,3-ジチオール、チエピン、ベンゾ(b)チオフェン、ベンゾ(c)チオフェン、チオナフテン、ジベンゾチオフェン、2H-チオピラン、4H-チオピラン、チオアントレン)、酸素含有ヘテロ環(例えば、2H-ピラン、4H-ピラン、2-ピロン、4-ピロン、1,2-ジオキシン、1,3-ジオキシン、オキセピン、フラン、2H-1-ベンゾピラン、クマリン、クマロン、クロメン、クロマン-4-オン、イソクロメン-1-オン、イソクロメン-3-オン、キサンテン、テトラヒドロフラン、1,4-ジオキサン、ジベンゾフラン)、混合(例えば、イソオキサゾール、オキサゾール、チアゾール、イソチアゾール、1,2,3-オキサジアゾール、1,2,4-オキサジアゾール、1,3,4-オキサジアゾール、1,2,3,4-オキサトリアゾール、1,2,3,5-オキサトリアゾール、3H-1,2,3-ジオキサゾール、3H-1,2-オキサチオール、1,3-オキサチオール、4H-1,2-オキサジン、2H-1,3-オキサジン、1,4-オキサジン、1,2,5-オキサチアジン、o-イソオキサジン、フェノキサジン、フェノチアジン、ピラノ[3,4-b]ピロール、インドキサジン、ベンゾキサゾール、アントラニルおよびモルホリン)、芳香族窒素含有および酸素含有ヘテロ環、1~3個、好ましくは1個または2個の置換基で場合により置換されていてもよい単環n-ヘテロアリール配位子からなる群から選択される。
【0085】
配位子交換反応は、不活性雰囲気下(窒素下またはアルゴン下)で行われる。この反応は、一般には、室温で、または15℃~25℃、または25℃~60℃、または35℃~50℃、または20℃~25℃、または30℃~40℃、または25℃~45℃の温度で行われる。反応時間は、数分から数時間、12時間、24時間または48時間までさまざまである。一般には、反応は、テトラヒドロフラン(THF)、ベンゼン、トルエン、キシレン、ジエチルエーテル、ジオキソラン、アルコール、メチル-テトラヒドロフラン、アセトン、酢酸エチル、メチルtert-ブチルエーテル(MTBE)、ジメチルホルムアミド(DMF)およびジクロロメタンなどの溶媒中で起こる。
【0086】
別の実施形態では、本発明は、式(V)のオレフィンメタセシス触媒から開始し、式(B)のオレフィンメタセシス触媒を合成するためのプロセスにも関する。
【化25】
【0087】
典型的な手順では、スキーム3に示されるように、式(V)によって表されるオレフィンメタセシス触媒のスルホキシド配位子を、不活性溶媒(例えば、ジクロロメタンまたはトルエン)中、室温でPROR配位子と交換する。
は、水素であり;
は、非置換ヒドロカルビル、置換ヒドロカルビル、非置換ヘテロ原子含有ヒドロカルビル、または置換ヘテロ原子含有ヒドロカルビルであり;一般には、Rは、非置換フェニル、置換フェニル、または置換1-プロペニルであるか;または、RとRが一緒に結合して、場合により置換されていてもよいインデニリデンを形成し;典型的には、Rは、フェニル、2-iso-プロポキシ-フェニルまたは2-メチル-1-プロペニルであるか;または、RとRが一緒に結合して、3-フェニル-1-インデニリデンを形成し;
およびXは、独立して、ハロゲン、トリフルオロアセテート、ペルフルオロフェノレート、チオレート、アルキルチオ、アリールチオまたはニトレートであり;一般には、XおよびXは、独立して、Cl、Br、IまたはFであり;典型的には、XおよびXは、それぞれClであり;
は、水素、非置換ヒドロカルビル、置換ヒドロカルビル、非置換ヘテロ原子含有ヒドロカルビル、または置換ヘテロ原子含有ヒドロカルビルであり;一般には、Rは、非置換C~C10アルキル、置換C~C10アルキル、非置換C~C10シクロアルキル、置換C~C10シクロアルキル、非置換C~C24アリールまたは置換C~C24アリールであり;典型的には、Rは、メチル、エチル、n-プロピル、iso-プロピル、t-ブチル、tert-ブチル、シクロヘキシルまたはフェニルであり;
は、水素、非置換ヒドロカルビル、置換ヒドロカルビル、非置換ヘテロ原子含有ヒドロカルビル、または置換ヘテロ原子含有ヒドロカルビルであり;一般には、Rは、非置換C~C10アルキル、置換C~C10アルキル、非置換C~C10シクロアルキル、置換C~C10シクロアルキル、非置換C~C24アリールまたは置換C~C24アリールであり;典型的には、Rは、メチル、エチル、n-プロピル、iso-プロピル、n-ブチル、tert-ブチル、シクロヘキシルまたはフェニルであり;または、RとRが一緒に結合して、スルホキシド基を有する5員環または6員環のヘテロ環式環を形成し;典型的には、RとRが一緒に結合して、テトラヒドロチオフェンオキシドを形成し;
は、非置換ヒドロカルビル、置換ヒドロカルビル、非置換ヘテロ原子含有ヒドロカルビル、または置換ヘテロ原子含有ヒドロカルビルであり;一般には、Rは、非置換C~C10シクロアルキル、置換C~C10シクロアルキル、非置換C~C24アリールであるか、または非置換C~C20アルキル、置換C~C20アルキル、非置換C~C20ヘテロアルキル、置換C~C20ヘテロアルキル、非置換C~C24アリール、置換C~C24アリール、非置換C~C24ヘテロアリール、置換C~C24ヘテロアリール、非置換C~C24アラルキル、置換C~C24アラルキル、非置換C~C24アルカリール、置換C~C24アルカリールおよびハロゲン化物から選択される3個までの置換基で置換されたC~C24アリールであり、典型的には、Rは、アダマンチル、2,4,6-トリメチルフェニル、2,6-ジ-iso-プロピルフェニル、2-iso-プロピル-6-メチルフェニル、2-iso-プロピル-フェニルまたは2-メチル-フェニルであり;
は、非置換ヒドロカルビル、置換ヒドロカルビル、非置換ヘテロ原子含有ヒドロカルビル、または置換ヘテロ原子含有ヒドロカルビルであり;一般には、Rは、非置換C~C10シクロアルキル、置換C~C10シクロアルキル、非置換C~C24アリールであるか、または非置換C~C20アルキル、置換C~C20アルキル、非置換C~C20ヘテロアルキル、置換C~C20ヘテロアルキル、非置換C~C24アリール、置換C~C24アリール、非置換C~C24ヘテロアリール、置換C~C24ヘテロアリール、非置換C~C24アラルキル、置換C~C24アラルキル、非置換C~C24アルカリール、置換C~C24アルカリールおよびハロゲン化物から選択される3個までの置換基で置換されたC~C24アリールであり;典型的には、Rは、2,4,6-トリメチルフェニル、2,6-ジ-iso-プロピルフェニル、2-iso-プロピル-6-メチルフェニル、2-iso-プロピル-フェニルまたは2-メチル-フェニルであり;
は、非置換C~C10アルキル、置換C~C10アルキル、置換C~C10アリール、非置換C~C10アリール、置換C~Cシクロアルキルまたは非置換C~Cシクロアルキルであり;一般には、Rは、非置換C~C10アルキルまたは非置換C~C10アリールであり;典型的には、Rは、フェニルであり;
は、非置換C~C10アルキル、置換C~C10アルキル、置換C~C10アリール、非置換C~C10アリール、置換C~Cシクロアルキルまたは非置換C~Cシクロアルキルであり;一般には、Rは、非置換C~C10アルキルまたは非置換C~C10アリールであり;典型的には、Rはフェニルであり;
は、非置換C~C10アルキル、置換C~C10アルキル、置換C~C10アリール、非置換C~C10アリール、置換C~Cシクロアルキルまたは非置換C~Cシクロアルキルであり;一般には、Rは、非置換C~C10アルキル、非置換C~C10アリールまたは非置換C~C10アリール;典型的には、Rは、フェニル、メチル、p-(OMe)フェニル、iso-プロピルまたはエチルである。
【0088】
別の実施形態では、本発明は、式(V)のオレフィンメタセシス触媒から開始し、式(C)のオレフィンメタセシス触媒を合成するためのプロセスにも関する。
【化26】
【0089】
典型的な手順では、スキーム4に示されるように、式(V)によって表されるオレフィンメタセシス触媒のスルホキシド配位子を、不活性溶媒(例えば、ジクロロメタンまたはトルエン)中、室温でPROROR配位子と交換する。
は、水素であり;
は、非置換ヒドロカルビル、置換ヒドロカルビル、非置換ヘテロ原子含有ヒドロカルビル、または置換ヘテロ原子含有ヒドロカルビルであり;一般には、Rは、非置換フェニル、置換フェニル、または置換1-プロペニルであるか;または、RとRが一緒に結合して、場合により置換されていてもよいインデニリデンを形成し;典型的には、Rは、フェニル、2-iso-プロポキシ-フェニルまたは2-メチル-1-プロペニルであるか;または、RとRが一緒に結合して、3-フェニル-1-インデニリデンを形成し;
は、水素、非置換ヒドロカルビル、置換ヒドロカルビル、非置換ヘテロ原子含有ヒドロカルビル、または置換ヘテロ原子含有ヒドロカルビルであり;一般には、Rは、非置換C~C10アルキル、置換C~C10アルキル、非置換C~C10シクロアルキル、置換C~C10シクロアルキル、非置換C~C24アリールまたは置換C~C24アリールであり;典型的には、Rは、メチル、エチル、n-プロピル、iso-プロピル、n-ブチル、tert-ブチル、シクロヘキシルまたはフェニルであり;
は、水素、非置換ヒドロカルビル、置換ヒドロカルビル、非置換ヘテロ原子含有ヒドロカルビル、または置換ヘテロ原子含有ヒドロカルビルであり;一般には、Rは、非置換C~C10アルキル、置換C~C10アルキル、非置換C~C10シクロアルキル、置換C~C10シクロアルキル、非置換C~C24アリールまたは置換C~C24アリールであり;典型的には、Rは、メチル、エチル、n-プロピル、iso-プロピル、n-ブチル、tert-ブチル、シクロヘキシルまたはフェニルであり;または、RとRが一緒に結合して、スルホキシド基を有する5員環または6員環のヘテロ環式環を形成し;典型的には、RとRが一緒に結合して、テトラヒドロチオフェンオキシドを形成し;
およびXは、独立して、ハロゲン、トリフルオロアセテート、ペルフルオロフェノレート、チオレート、アルキルチオ、アリールチオまたはニトレートであり;一般には、XおよびXは、独立して、Cl、Br、IまたはFであり;典型的には、XおよびXは、それぞれClであり;
は、非置換ヒドロカルビル、置換ヒドロカルビル、非置換ヘテロ原子含有ヒドロカルビル、または置換ヘテロ原子含有ヒドロカルビルであり;一般には、Rは、非置換C~C10シクロアルキル、置換C~C10シクロアルキル、非置換C~C24アリールであるか、または非置換C~C20アルキル、置換C~C20アルキル、非置換C~C20ヘテロアルキル、置換C~C20ヘテロアルキル、非置換C~C24アリール、置換C~C24アリール、非置換C~C24ヘテロアリール、置換C~C24ヘテロアリール、非置換C~C24アラルキル、置換C~C24アラルキル、非置換C~C24アルカリール、置換C~C24アルカリールおよびハロゲン化物から選択される3個までの置換基で置換されたC~C24アリールであり、典型的には、Rは、アダマンチル、2,4,6-トリメチルフェニル、2,6-ジ-iso-プロピルフェニル、2-iso-プロピル-6-メチルフェニル、2-iso-プロピル-フェニルまたは2-メチル-フェニルであり;
は、非置換ヒドロカルビル、置換ヒドロカルビル、非置換ヘテロ原子含有ヒドロカルビル、または置換ヘテロ原子含有ヒドロカルビルであり;一般には、Rは、非置換C~C10シクロアルキル、置換C~C10シクロアルキル、非置換C~C24アリールであるか、または非置換C~C20アルキル、置換C~C20アルキル、非置換C~C20ヘテロアルキル、置換C~C20ヘテロアルキル、非置換C~C24アリール、置換C~C24アリール、非置換C~C24ヘテロアリール、置換C~C24ヘテロアリール、非置換C~C24アラルキル、置換C~C24アラルキル、非置換C~C24アルカリール、置換C~C24アルカリールおよびハロゲン化物から選択される3個までの置換基で置換されたC~C24アリールであり;典型的には、Rは、2,4,6-トリメチルフェニル、2,6-ジ-iso-プロピルフェニル、2-iso-プロピル-6-メチルフェニル、2-iso-プロピル-フェニルまたは2-メチル-フェニルであり;
は、非置換C~C10アルキル、置換C~C10アルキル、置換C~C10アリール、非置換C~C10アリール、置換C~Cシクロアルキルまたは非置換C~Cシクロアルキルであり;一般には、Rは、非置換C~C10アルキルまたは非置換C~C10アリールであり;典型的には、Rは、フェニルであり;
は、非置換C~C10アルキル、置換C~C10アルキル、置換C~C10アリール、非置換C~C10アリール、置換C~Cシクロアルキルまたは非置換C~Cシクロアルキルであり;一般には、Rは、非置換C~C10アルキルまたは非置換C~C10アリールであり;典型的には、Rは、フェニルまたはメチルであり;
は、非置換C~C10アルキル、置換C~C10アルキル、置換C~C10アリール、非置換C~C10アリール、置換C~Cシクロアルキルまたは非置換C~Cシクロアルキルであり;一般には、Rは、非置換C~C10アルキルまたは非置換C~C10アリールであり;典型的には、Rは、フェニルまたはメチルである。
【0090】
別の実施形態では、本発明は、式(V)のオレフィンメタセシス触媒から開始し、式(D)のオレフィンメタセシス触媒を合成するためのプロセスにも関する。
【化27】
【0091】
スキーム5に示す典型的な手順では、式(V)によって表されるオレフィンメタセシス触媒のスルホキシド配位子を、60℃で酢酸エチル中、Grubbs-Hoveyda配位子と交換する。式中、
は、水素であり;
は、非置換ヒドロカルビル、置換ヒドロカルビル、非置換ヘテロ原子含有ヒドロカルビル、または置換ヘテロ原子含有ヒドロカルビルであり;一般には、Rは、非置換フェニル、置換フェニル、または置換1-プロペニルであるか;または、RとRが一緒に結合して、場合により置換されていてもよいインデニリデンを形成し;典型的には、Rは、フェニル、2-iso-プロポキシ-フェニルまたは2-メチル-1-プロペニルであるか;または、RとRが一緒に結合して、3-フェニル-1-インデニリデンを形成し;
は、水素、非置換ヒドロカルビル、置換ヒドロカルビル、非置換ヘテロ原子含有ヒドロカルビル、または置換ヘテロ原子含有ヒドロカルビルであり;一般には、Rは、非置換C~C10アルキル、置換C~C10アルキル、非置換C~C10シクロアルキル、置換C~C10シクロアルキル、非置換C~C24アリールまたは置換C~C24アリールであり;典型的には、Rは、メチル、エチル、n-プロピル、iso-プロピル、n-ブチル、tert-ブチル、シクロヘキシルまたはフェニルであり;
は、水素、非置換ヒドロカルビル、置換ヒドロカルビル、非置換ヘテロ原子含有ヒドロカルビル、または置換ヘテロ原子含有ヒドロカルビルであり;一般には、Rは、非置換C~C10アルキル、置換C~C10アルキル、非置換C~C10シクロアルキル、置換C~C10シクロアルキル、非置換C~C24アリールまたは置換C~C24アリールであり;典型的には、Rは、メチル、エチル、n-プロピル、iso-プロピル、n-ブチル、tert-ブチル、シクロヘキシルまたはフェニルであり;または、RとRが一緒に結合して、スルホキシド基を有する5員環または6員環のヘテロ環式環を形成し;典型的には、RとRが一緒に結合して、テトラヒドロチオフェンオキシドを形成し;
およびXは、独立して、ハロゲン、トリフルオロアセテート、ペルフルオロフェノレート、チオレート、アルキルチオ、アリールチオまたはニトレートであり;一般には、XおよびXは、独立して、Cl、Br、IまたはFであり;典型的には、XおよびXは、それぞれClであり;
は、非置換ヒドロカルビル、置換ヒドロカルビル、非置換ヘテロ原子含有ヒドロカルビル、または置換ヘテロ原子含有ヒドロカルビルであり;一般には、Rは、非置換C~C10シクロアルキル、置換C~C10シクロアルキル、非置換C~C24アリールであるか、または非置換C~C20アルキル、置換C~C20アルキル、非置換C~C20ヘテロアルキル、置換C~C20ヘテロアルキル、非置換C~C24アリール、置換C~C24アリール、非置換C~C24ヘテロアリール、置換C~C24ヘテロアリール、非置換C~C24アラルキル、置換C~C24アラルキル、非置換C~C24アルカリール、置換C~C24アルカリールおよびハロゲン化物から選択される3個までの置換基で置換されたC~C24アリールであり、典型的には、Rは、アダマンチル、2,4,6-トリメチルフェニル、2,6-ジ-iso-プロピルフェニル、2-iso-プロピル-6-メチルフェニル、2-iso-プロピル-フェニルまたは2-メチル-フェニルであり;
は、非置換ヒドロカルビル、置換ヒドロカルビル、非置換ヘテロ原子含有ヒドロカルビル、または置換ヘテロ原子含有ヒドロカルビルであり;一般には、Rは、非置換C~C10シクロアルキル、置換C~C10シクロアルキル、非置換C~C24アリールであるか、または非置換C~C20アルキル、置換C~C20アルキル、非置換C~C20ヘテロアルキル、置換C~C20ヘテロアルキル、非置換C~C24アリール、置換C~C24アリール、非置換C~C24ヘテロアリール、置換C~C24ヘテロアリール、非置換C~C24アラルキル、置換C~C24アラルキル、非置換C~C24アルカリール、置換C~C24アルカリールおよびハロゲン化物から選択される3個までの置換基で置換されたC~C24アリールであり;典型的には、Rは、2,4,6-トリメチルフェニル、2,6-ジ-iso-プロピルフェニル、2-iso-プロピル-6-メチルフェニル、2-iso-プロピル-フェニルまたは2-メチル-フェニルであり;
は、水素、ハロゲン、-NO、-CN、-CF、-SONR 、-NHC(O)CF、-NHC(O)C、-NHC(O)OtBu、非置換ヒドロカルビル、置換ヒドロカルビル、非置換ヘテロ原子含有ヒドロカルビル、または置換ヘテロ原子含有ヒドロカルビルであり;典型的には、Rは、水素であり;
は、水素、ハロゲン、-NO、-CN、-CF、-SONR 、-NHC(O)CF、-NHC(O)C、-NHC(O)OtBu、非置換ヒドロカルビル、置換ヒドロカルビル、非置換ヘテロ原子含有ヒドロカルビル、または置換ヘテロ原子含有ヒドロカルビルであり;典型的には、Rは、水素であり;
は、水素、ハロゲン、-NO、-CN、-CF、-SONR 、-NHC(O)CF、-NHC(O)C、-NHC(O)OtBu、非置換ヒドロカルビル、置換ヒドロカルビル、非置換ヘテロ原子含有ヒドロカルビル、または置換ヘテロ原子含有ヒドロカルビルであり;典型的には、Rは、水素、-NO、-CN、-CF、-SONR 、-NHC(O)CF、-NHC(O)Cまたは-NHC(O)OtBuであり;好ましくは、Rは、水素であり;
は、水素、ハロゲン、-NO、-CN、-CF、-SONR 、-NHC(O)CF、-NHC(O)C、-NHC(O)OtBu、非置換ヒドロカルビル、置換ヒドロカルビル、非置換ヘテロ原子含有ヒドロカルビル、または置換ヘテロ原子含有ヒドロカルビルであり;典型的には、Rは、水素であり;
は、水素またはC~Cアルキルであり;典型的には、Rは、水素、メチル、エチルまたはn-プロピルであり;
は、非置換ヒドロカルビル、または置換ヒドロカルビルであり;一般には、Rは、C~C10アルキルであり;典型的には、Rは、iso-プロピルである。
【0092】
別の実施形態では、本発明は、式(V)のオレフィンメタセシス触媒から開始し、式(E)のオレフィンメタセシス触媒を合成するためのプロセスにも関する。
【化28】
【0093】
典型的な手順では、スキーム6に示されるように、式(V)によって表されるオレフィンメタセシス触媒のスルホキシド配位子を、不活性溶媒(例えば、ジクロロメタンまたはトルエン)中、室温でP(R配位子と交換する。式中、
は、ハロゲンであり、
は、非置換ヒドロカルビル、置換ヒドロカルビル、非置換ヘテロ原子含有ヒドロカルビル、または置換ヘテロ原子含有ヒドロカルビルであり;一般には、Rは、非置換フェニル、置換フェニル、または置換1-プロペニルであるか;または、RとRが一緒に結合して、場合により置換されていてもよいインデニリデンを形成し;典型的には、Rは、フェニル、2-iso-プロポキシ-フェニルまたは2-メチル-1-プロペニルであるか;または、RとRが一緒に結合して、3-フェニル-1-インデニリデンを形成し;
は、水素、非置換ヒドロカルビル、置換ヒドロカルビル、非置換ヘテロ原子含有ヒドロカルビル、または置換ヘテロ原子含有ヒドロカルビルであり;一般には、Rは、非置換C~C10アルキル、置換C~C10アルキル、非置換C~C10シクロアルキル、置換C~C10シクロアルキル、非置換C~C24アリールまたは置換C~C24アリールであり;典型的には、Rは、メチル、エチル、n-プロピル、iso-プロピル、n-ブチル、tert-ブチル、シクロヘキシルまたはフェニルであり;
は、水素、非置換ヒドロカルビル、置換ヒドロカルビル、非置換ヘテロ原子含有ヒドロカルビル、または置換ヘテロ原子含有ヒドロカルビルであり;一般には、Rは、非置換C~C10アルキル、置換C~C10アルキル、非置換C~C10シクロアルキル、置換C~C10シクロアルキル、非置換C~C24アリールまたは置換C~C24アリールであり;典型的には、Rは、メチル、エチル、n-プロピル、iso-プロピル、n-ブチル、tert-ブチル、シクロヘキシルまたはフェニルであり;または、RとRが一緒に結合して、スルホキシド基を有する5員環または6員環のヘテロ環式環を形成し;典型的には、RとRが一緒に結合して、テトラヒドロチオフェンオキシドを形成し;
およびXは、独立して、ハロゲン、トリフルオロアセテート、ペルフルオロフェノレート、チオレート、アルキルチオ、アリールチオまたはニトレートであり;一般には、XおよびXは、独立して、Cl、Br、IまたはFであり;典型的には、XおよびXは、それぞれClであり;
は、非置換ヒドロカルビル、置換ヒドロカルビル、非置換ヘテロ原子含有ヒドロカルビル、または置換ヘテロ原子含有ヒドロカルビルであり;一般には、Rは、非置換C~C10シクロアルキル、置換C~C10シクロアルキル、非置換C~C24アリールであるか、または非置換C~C20アルキル、置換C~C20アルキル、非置換C~C20ヘテロアルキル、置換C~C20ヘテロアルキル、非置換C~C24アリール、置換C~C24アリール、非置換C~C24ヘテロアリール、置換C~C24ヘテロアリール、非置換C~C24アラルキル、置換C~C24アラルキル、非置換C~C24アルカリール、置換C~C24アルカリールおよびハロゲン化物から選択される3個までの置換基で置換されたC~C24アリールであり、典型的には、Rは、アダマンチル、2,4,6-トリメチルフェニル、2,6-ジ-iso-プロピルフェニル、2-iso-プロピル-6-メチルフェニル、2-iso-プロピル-フェニルまたは2-メチル-フェニルであり;
は、非置換ヒドロカルビル、置換ヒドロカルビル、非置換ヘテロ原子含有ヒドロカルビル、または置換ヘテロ原子含有ヒドロカルビルであり;一般には、Rは、非置換C~C10シクロアルキル、置換C~C10シクロアルキル、非置換C~C24アリールであるか、または非置換C~C20アルキル、置換C~C20アルキル、非置換C~C20ヘテロアルキル、置換C~C20ヘテロアルキル、非置換C~C24アリール、置換C~C24アリール、非置換C~C24ヘテロアリール、置換C~C24ヘテロアリール、非置換C~C24アラルキル、置換C~C24アラルキル、非置換C~C24アルカリール、置換C~C24アルカリールおよびハロゲン化物から選択される3個までの置換基で置換されたC~C24アリールであり;典型的には、Rは、2,4,6-トリメチルフェニル、2,6-ジ-iso-プロピルフェニル、2-iso-プロピル-6-メチルフェニル、2-iso-プロピル-フェニルまたは2-メチル-フェニルであり;
は、非置換C~C10アルキル、置換C~C10アルキル、置換C~C10アリール、非置換C~C10アリール、置換C~Cシクロアルキルまたは非置換C~Cシクロアルキルであり;一般には、Rは、置換C~C10アリール、非置換C~C10アリール、置換C~Cシクロアルキルまたは非置換C~Cシクロアルキルであり;典型的には、Rは、フェニル、シクロヘキシルまたはシクロペンチルである。
【0094】
この段階で、当業者は、本発明の範囲に含まれる多くのさらなる化合物を、種々の一般的な化学反応を行うことによって調製することができることを理解するだろう。特定の化学変換の詳細は、実施例に与えられる。
【0095】
金属カルベンオレフィンメタセシス触媒を、当該技術分野で知られている技術に従って、オレフィンメタセシス反応に利用することができる。例えば、金属カルベンオレフィンメタセシス触媒は、典型的には、樹脂組成物に、固体、液体または懸濁物として加えられる。金属カルベンオレフィンメタセシス触媒を懸濁物として樹脂組成物に加える場合、金属カルベンオレフィンメタセシス触媒を、分散担体(例えば、鉱物油、パラフィン油、大豆油、トリ-iso-プロピルベンゼン)、または十分に高い粘度を有し、触媒を効果的に分散させることができ、十分に不活性であり、オレフィンメタセシス反応で低沸点不純物として作用しないような十分に高い沸点を有する任意の疎水性液体に懸濁させる。反応に使用される触媒(すなわち、「触媒保持量」)は、使用される反応剤の属性および反応条件などの種々の因子に依存することが理解されるだろう。したがって、触媒保持量は、各反応について最適に独立して選択することができることが理解される。しかし、一般に、触媒は、オレフィン基質(例えば環状オレフィン)の量に対して、約0.1ppm、1ppmまたは5ppmの少量から約10ppm、15ppm、25ppm、50ppm、100ppm、200ppm、500ppmまたは1000ppmまでの多量までの範囲の量で存在するだろう。
【0096】
環状オレフィン
本明細書に開示する本発明で使用可能な樹脂組成物は、1種類以上の環状オレフィンを含む。このような環状オレフィンは、場合により置換されていてもよく、場合によりヘテロ原子を含有し、モノ不飽和、ジ不飽和または多価不飽和のC~C24炭化水素であってもよく、単環、二環または多環であってもよい。環状オレフィンが、個々に、またはROMP環状オレフィン組成物の一部として、ROMP反応中に沈殿することができるものであれば、環状オレフィンは、一般には、任意の歪みのある環状オレフィンまたは歪みのない環状オレフィンであってもよい。
【0097】
したがって、二環オレフィンおよび多環オレフィンの例としては、限定されないが、ジシクロペンタジエン(DCPD);トリマーおよび他のさらに高次のシクロペンタジエンオリゴマー、限定されないが、トリシクロペンタジエン(シクロペンタジエントリマー)、シクロペンタジエンテトラマーおよびシクロペンタジエンペンタマーを含む;エチリデンノルボルネン;ジシクロヘキサジエン;ノルボルネン;C~C12ヒドロカルビル置換ノルボルネン;5-ブチル-2-ノルボルネン;5-ヘキシル-2-ノルボルネン;5-オクチル-2-ノルボルネン;5-デシル-2-ノルボルネン;5-ドデシル-2-ノルボルネン;5-ビニル-2-ノルボルネン;5-エチリデン-2-ノルボルネン;5-イソプロペニル-2-ノルボルネン;5-プロペニル-2-ノルボルネン;5-ブテニル-2-ノルボルネン;5-トリル-ノルボルネン;5-メチル-2-ノルボルネン;5-エチル-2-ノルボルネン;5-イソブチル-2-ノルボルネン;5,6-ジメチル-2-ノルボルネン;5-フェニルノルボルネン;5-ベンジルノルボルネン;5-アセチルノルボルネン;5-メトキシカルボキシルノルボルネン;5-エチオキシカルボキシル-1-ノルボルネン;5-メチル-5-メトキシ-カルボキシルノルボルネン;ビシクロ[2.2.1]ヘプタ-2-エン-2-カルボン酸,2-エチルヘキシルエステル;5-シアノノルボルネン;5,5,6-トリメチル-2-ノルボルネン;シクロ-ヘキセニルノルボルネン;endo,exo-5,6-ジメトキシノルボルネン;endo,endo-5,6-ジメトキシノルボルネン;endo,exo-5,6-ジメトキシカルボキシルノルボルネン;endo,endo-5,6-ジメトキシカルボキシルノルボルネン;2,3-ジメトキシノルボルネン;ノルボルナジエン;トリシクロウンデセン;テトラシクロドデセン;8-メチルテトラシクロドデセン;8-エチルテトラシクロドデセン;8-メトキシカルボキシルテトラシクロドデセン;8-メチル-8-テトラシクロドデセン;8-シアノテトラシクロドデセン;ペンタシクロペンタデセン;ペンタシクロヘキサデセン;ビシクロ[2.2.1]ヘプタ-2-エン-5-フェノキシメチル;2-エチルヘキシルエステル-ビシクロ[2.2.1]ヘプタ-5-エン-2-カルボン酸;2-ヒドロキシエチルエステル-ビシクロ[2.2.1]ヘプタ-5-エン-2-カルボン酸;ビシクロ[2.2.1]ヘプタ-5-エン-2-メタノール;ビシクロ[2.2.1]ヘプタ-5-エン-2-ヘプタン酸-メチルエステル;ビシクロ[2.2.1]ヘプタ-5-エン-2-ヘキサン酸-メチルエステル;1,4:5,8-ジメタノナフタレン,2-ヘキシル-1,2,3,4,4a,5,8,8a-オクタヒドロ;ビシクロ[2.2.1]ヘプタ-5-エン-2-オクタン酸-メチルエステル;1,4:5,8-ジメタノナフタレン;2-ブチル-1,2,3,4,4a,5,8,8a-オクタヒドロ;エチリデンテトラシクロドデセン;2-ビニル-1,2,3,4,4a,5,8,8a-オクタヒドロ-1,4:5,8-ジメタノナフタレンなど、およびこれらの構造異性体、立体異性体および混合物が挙げられる。
【0098】
実験の章
一般的な情報-材料および方法
以下の実施例では、使用される数字(例えば、量、温度など)について正確さを確保するための努力がはらわれたが、いくつかの実験誤差および偏差も考慮すべきである。これらの実施例は、本明細書に記載する本発明を限定するものと考えるべきではない。驚くべきことに、本発明のオレフィンメタセシス触媒は、cis配座でのみ得られ、微量のtrans立体異性体も検出されなかった。
【0099】
金属錯体が関与する全ての反応は、オーブンで乾燥したガラス器具中で、アルゴン雰囲気下または窒素雰囲気下、標準的なSchlenk技術を用いて行われた。化学物質および溶媒は、Sigma-Aldrich、Strem、Alfa Aesar、Nexeo、Brenntag、AG LayneおよびTCIから得た。市販の試薬は、特に明記されない限り、受領したまま用いた。シリカゲルは、Fisherから購入した(0.040~0.063μm、EMD Millipore)。
【0100】
結晶構造の測定は、Bruker APEX-II CCDエリア検出器回折計(Mo-Kα放射線、λ=0.71073Å)を用い、100(2)Kで行った。それぞれの場合に、適切な大きさおよび品質の標本を選択し、ナイロンループに取り付けた。その構造を直接的な方法によって解明し、非水素原子のほとんどが首尾良く配置された。半経験的な吸光度補正を適用した。その後に、SHELXTL/PCパッケージ(バージョン6.1)を用いたFでの修正によって、残りの非水素原子の配置を行うことができた。
【0101】
Ultrene(登録商標)99ジシクロペンタジエン(DCPD)は、Cymetech Corporationから得た。20~25%のトリシクロペンタジエン(と少量のさらに高次のシクロペンタジエンホモログ)を含む改質されたDCPDベース樹脂(DCPD-HT)を、一般に米国特許第4,899,005号に記載されるように、Ultrene(登録商標)99 DCPDを熱処理することによって調製した。
【0102】
触媒C931、C933、C793、C827、C705、C727、C748およびC848を、既知の方法を用いて調製した。
【0103】
Hおよび13C NMRスペクトルをVarian 400MHz分光計で記録した。化学シフトは、残留溶媒ピークを内部標準として用い(CDCl δ 7.24ppm)、MeSiからダウンフィールドにppmで記録している。MestReNovaソフトウェアを用い、スペクトルを分析し、加工した。
【0104】
一般的なGC方法の条件:インジェクション温度,250℃;検出器温度、280℃;オーブン温度、開始温度,100℃;保持時間、1分、上昇速度10℃/分で250℃まで、保持時間12分;キャリアガスはヘリウムである。
【0105】
GC方法1:カラム:DB-225、30mx0.25mm(ID)x0.25μmフィルム厚さ。製造業者:Agilent;GCおよびカラム条件:インジェクタの温度:220℃、検出器温度:220℃;オーブン温度:開始温度:35℃、保持時間:0.5分。
【0106】
上昇速度10℃/分で130℃まで、保持時間:0分。上昇速度20℃/分で220℃まで、保持時間:5分。キャリアガス:ヘリウム。平均ガス速度:25cm/秒。スプリット比:20:1。
【0107】
実施例では、以下の省略語を使用する。
【表5-1】
【表5-2】
【表5-3】
【実施例
【0108】
(実施例1)
【化29】
【0109】
20mLのシンチレーションバイアルに磁気撹拌棒を取り付け、これにC931(0.500g、0.537mmol)、p-トルエンスルホニルクロリド(0.051g、0.268mmol)、ジメチルスルホキシド(0.210g、2.68mmol)およびジクロロメタン(4mL)を加えた。反応物を1時間撹拌し、次いで、セライトプラグを通して濾過し、ジエチルエーテル(30mL)と合わせた。得られた黒色沈殿を濾過によって単離し、ジエチルエーテルで洗浄し(10mL×2回)、次いで、高減圧下で乾燥させ、C747を黒色粉末として得た(0.346g、収率86.3%)。C747のX線構造を図1に示す。
【0110】
H NMR(400MHz,CDCh):δ 8.68(d,J=7.4Hz,1H),7.71(d,J=7.6Hz,2H),7.52(t,J=7.1Hz,1H),7.42(t,J=7.5Hz,2H),7.31(t,J=7.4Hz,1H),7.25(t,J=7.1Hz,1H),7.11(d,J=6.1Hz,2H),7.04(d,J=7.0Hz,1H),6.86(s,1H),6.26(d,J=3.8Hz,2H),4.13~3.99(m,1H),3.99~3.80(m,2H),3.80~3.69(m,1H),2.82(s,3H),2.69(s,3H),2.68(s,3H),2.41(s,3H),2.35(s,3H),2.11(s,3H),2.05(s,3H),1.77(s,3H)。
【0111】
(実施例2)
【化30】
【0112】
40mLのシンチレーションバイアルに磁気撹拌棒を取り付け、これにC848(0.500g、0.589mmol)、p-トルエンスルホニルクロリド(0.056g、0.30mmol)、ジメチルスルホキシド(0.230g、2.94mmol)およびジクロロメタン(4mL)を加えた。反応物を周囲温度で1時間撹拌し、次いで、セライトプラグを通して濾過し、ジエチルエーテル(30mL)と合わせた。得られた紫色沈殿を濾過によって単離し、ジエチルエーテルで洗浄し(10mL×2回)、次いで、高減圧下で乾燥させ、C647を紫色結晶性固体として得た(0.269g、収率70.7%)。C647のX線構造を図2に示す。
【0113】
H NMR(400MHz,C)δ 16.03(s,1H),8.15(d,J=25.0Hz,2H),7.21(t,J=7.3Hz,1H),7.00(t,J=7.8Hz,2H),6.84(s,1H),6.75(s,1H),6.65(s,1H),6.17(s,1H),3.33~3.00(m,4H),2.87(s,3H),2.67(s,3H),2.61(s,3H),2.22(s,3H),2.14(s,3H),2.07(s,3H),2.04(s,3H),1.98(s,3H)。
【0114】
(実施例3)
【化31】
【0115】
40mLのシンチレーションバイアルに磁気撹拌棒を取り付け、これにC933(0.500g、0.536mmol)、p-トルエンスルホニルクロリド(0.051g、0.27mmol)、ジメチルスルホキシド(0.209g、2.68mmol)および酢酸エチル(10mL)を加えた。反応物を周囲温度で3時間撹拌し、青灰色の沈殿を得た。固体を濾過によって単離し、酢酸エチルで洗浄し(5mL×2回)、次いで、高減圧下で乾燥させ、C731を青灰色固体として得た(0.148g、収率37.8%)。
【0116】
H NMR(400MHz,C):δ 16.16(s,1H),7.99(s,2H),7.31-7.01(m,6H),6.94(t,7.2Hz,2H),6.65(d,J=7.2Hz,1H),4.63-4.48(m,1H),4.07-3.92(m,1H),3.76-3.60(m,2H),3.60-3.44(m,3H),3.42-3.27(m,1H),1.97(s,3H),1.87(d,J=6.0Hz,3H),1.72(s,3H),1.67(d,J=6.7Hz,3H),1.65(d,J=6.8Hz,3H),1.20(d,J=6.3Hz,3H),1.12(d,J=6.3Hz,3H),1.04(d,J=6.1Hz,3H),0.88(d,J=6.5Hz,3H),0.77(d,J=5.7Hz,3H)。
【0117】
(実施例4)
【化32】
【0118】
40mLのシンチレーションバイアルに磁気撹拌棒を取り付け、これにC793(0.500g、0.631mmol)、p-トルエンスルホニルクロリド(0.060g、0.32mmol)、ジメチルスルホキシド(0.246g、3.15mmol)およびメチルtert-ブチルエーテル(10mL)を加えた。反応物を周囲温度で4時間撹拌し、紫色の沈殿を得た。固体を濾過によって単離し、次いで、ジクロロメタンおよびジエチルエーテルから再結晶化させた。得られた紫色結晶を濾過によって単離し、ジエチルエーテルで洗浄し(5mL×2回)、次いで、高減圧下で乾燥させ、C591を紫色結晶性固体として得た(0.234g、収率62.7%)。2種類の異性体[87:13](立体異性体ではない)が溶液中で観察された。
【0119】
H NMR(400MHz,CDCI,主な異性体)δ 15.82(s,1H),8.72(d,J=7.7Hz,1H),7.78(d,J=7.5Hz,2H),7.56(dd,J=16.6,8.1Hz,2H),7.52-7.39(m,2H),7.24(t,J=7.9Hz,3H),7.15(d,J=7.9Hz,1H),6.96(t,J=7.5Hz,1H),6.45(t,J=7.6Hz,1H),4.59-4.47(m,1H),4.22(q,J=10.1Hz,1H),3.90(q,J=10.4Hz,1H),3.83-3.72(m,1H),2.67(s,3H),2.59(s,3H),2.29(s,3H),1.90(s,3H)。
【0120】
H NMR(400MHz,CDCI、少量異性体、選択した共鳴)δ 16.02(s,1H),8.91(d,J=7.7Hz,1H),7.73(d,J=7.6Hz,3H),6.90-6.84(m,1H),4.43-4.34(m,1H),2.40(s,3H),2.01(s,3H),1.96(s,3H)。
【0121】
(実施例5)
【化33】
【0122】
40mLのシンチレーションバイアルに磁気撹拌棒を取り付け、これにC827(0.500g、0.605mmol)、p-トルエンスルホニルクロリド(0.058g、0.30mmol)、ジメチルスルホキシド(0.236g、3.02mmol)およびメチルtert-ブチルエーテル(10mL)を加えた。反応物を周囲温度で24時間撹拌し、得られた褐色沈殿を濾過によって単離し、メチルtert-ブチルエーテルで洗浄し(10mL×2回)、次いで、高減圧下で乾燥させ、C625を淡褐色固体として得た(0.298g、収率78.8%)。
【0123】
H NMR(400MHz,CDCh)δ 16.10(d,J=11.3Hz,1H),7.83(d,J=11.2Hz,1H),7.08(s,1H),7.05(s,1H),6.82(s,1H),6.73(s,1H),4.13-4.00(m,1H),4.00-3.78(m,3H),2.73(s,6H),2.55(s,3H),2.54(s,3H),2.38(s,3H),2.32(s,3H),2.22(s,6H),1.33(s,3H),1.27(s,3H)。
【0124】
(実施例6)
【化34】
【0125】
40mLのシンチレーションバイアルに磁気撹拌棒を取り付け、これにC931(0.500g、0.537mmol)、p-トルエンスルホニルクロリド(0.051g、0.27mmol)、テトラヒドロチオフェン1-オキシド(0.279g、2.68mmol)およびトルエン(5mL)を加えた。反応物を周囲温度で2時間撹拌し、次いで、ジエチルエーテル(15mL)で希釈した。沈殿を濾過によって単離し、ジエチルエーテルで洗浄し(20mL×2回)、次いで、ヘキサンで洗浄し(20mL×1回)、次いで、高減圧下で乾燥させ、C865(0.418g、収率90.0%)を得た。
【0126】
H NMR(400MHz,CDCl)δ 8.72(d,J=7.2Hz,1H),7.71(d,J=7.7Hz,2H),7.52(t,J=7.3Hz,1H),7.42(t,J=7.5Hz,2H),7.33-7.20(m,4H),7.20-7.14(m,3H),7.11(d,J=8.9Hz,2H),7.04(d,J=7.0Hz,1H),6.93(s,1H),6.28(s,2H),4.15-4.03(m,1H),4.03-3.86(m,2H),3.84-3.71(m,1H),2.92-2.85(m,2H),2.84(s,3H),2.69(s,3H),2.70-2.60(m,1H),2.43(s,3H),2.36(s,3H),2.35(s,3H),2.09(s,3H),2.15-2.04(m,1H),2.04-1.90(m,2H),1.78(s,3H),1.82-1.73(m,2H)。
【0127】
(実施例7)
【化35】
【0128】
40mLのシンチレーションバイアルに磁気撹拌棒を取り付け、これにC931(0.500g、0.537mmol)、p-トルエンスルホニルクロリド(0.051g、0.27mmol)、テトラヒドロチオフェン1-オキシド(0.279g、2.68mmol)および酢酸エチル(5mL)を加えた。反応物を周囲温度で3時間撹拌し、次いで、ジエチルエーテル(25mL)で希釈した。沈殿を濾過によって単離し、ジエチルエーテルで洗浄し(10mL×2回)、次いで、ヘキサンで洗浄し(20mL×1回)、次いで、高減圧下で乾燥させ、C861(0.386g、収率83.5%)を得た。
【0129】
H NMR(400MHz,CDCl)δ 8.71(d,J=7.2Hz,1H),7.70(d,J=7.7Hz,2H),7.51(t,J=7.2Hz,1H),7.41(t,J=7.4Hz,2H),7.33-7.19(m,2H),7.11(d,J=8.1Hz,2H),7.03(d,J=7.1Hz,1H),6.92(s,1H),6.27(s,2H),4.11(dd,J=14.3,7.1Hz,2H),4.15-4.02(m,1H),4.03-3.85(m,2H),3.84-3.71(m,1H),2.92-2.79(m,2H),2.83(s,3H),2.68(s,3H),2.70-2.59(m,1H),2.42(s,3H),2.35(s,3H),2.08(s,3H),2.15-2.07(m,1H),2.03(s,3H),2.02-1.90(m,2H),1.77(s,3H),1.82-1.73(m,2H),1.25(t,J=7.1Hz,3H)。
【0130】
(実施例8)
【化36】
【0131】
40mLのシンチレーションバイアルに磁気撹拌棒を取り付け、これにC931(0.500g、0.537mmol)、p-トルエンスルホニルクロリド(0.051g、0.27mmol)、テトラヒドロチオフェン1-オキシド(0.279g、2.68mmol)およびジクロロメタン(4mL)を加えた。反応物を周囲温度で3時間撹拌し、次いで、ジエチルエーテル(30mL)で希釈した。沈殿を濾過によって単離し、ジエチルエーテルで洗浄し(10mL×2回)、次いで、ヘキサンで洗浄し(20mL×1回)、次いで、高減圧下で乾燥させ、C773(0.345g、収率83.0%)を得た。
【0132】
H NMR(400MHz,CDCl)δ 8.71(d,J=7.1Hz,1H),7.71(d,J=7.6Hz,2H),7.52(t,J=7.1Hz,1H),7.42(t,J=7.4Hz,2H),7.34-7.19(m,2H),7.11(d,J=8.0Hz,2H),7.03(d,J=7.0Hz,1H),6.92(s,1H),6.28(s,2H),4.14-4.03(m,1H),4.03-3.86(m,2H),3.82-3.72(m,1H),2.83(s,3H),2.91-2.79(m,2H),2.69(s,3H),2.72-2.60(m,1H),2.42(s,3H),2.36(s,3H),2.18-2.04(m,1H),2.08(s,3H)。2.04-1.88(m,2H),1.77(s,3H),1.82-1.73(m,2H)。
【0133】
(実施例9)
【化37】
【0134】
40mLのシンチレーションバイアルに磁気撹拌棒を取り付け、これにC848(0.500g、0.589mmol)、p-トルエンスルホニルクロリド(0.056g、0.30mmol)、テトラヒドロチオフェン1-オキシド(0.307g、2.94mmol)およびジクロロメタン(4mL)を加えた。反応物を周囲温度で1時間撹拌し、次いで、ジエチルエーテル(25mL)で希釈した。沈殿を濾過によって単離し、ジエチルエーテルで洗浄し(10mL×2回)、次いで、ヘキサンで洗浄し(15mL×1回)、次いで、高減圧下で乾燥させ、C673(0.248g、収率62.6%)を得た。
【0135】
H NMR(400MHz,CDCl)δ 16.12(s,1H),7.82(d,J=7.7Hz,2H),7.55(t,J=7.2Hz,1H),7.23(t,J=7.7Hz,2H),7.11(br s,2H),6.93(s,1H),6.29(s,1H),4.11-3.94(m,3H),3.86-3.76(m,1H),2.72(s,3H),2.69(s,3H),2.64(s,3H),2.62-2.45(m,3H),2.35(s,3H),2.27-2.17(m,1H),2.15(s,3H),2.07(s,3H),2.05-1.91(m,2H),1.84-1.68(m,2H)。
【0136】
(実施例10)
【化38】
【0137】
40mLのシンチレーションバイアルに磁気撹拌棒を取り付け、これにC827(0.500g、0.605mmol)、p-トルエンスルホニルクロリド(0.058g、0.30mmol)、テトラヒドロチオフェン1-オキシド(0.315g、3.02mmol)および酢酸エチル(5mL)を加えた。反応物を周囲温度で16時間撹拌した。沈殿を濾過によって単離し、ジクロロメタン/メタノールから-30℃で再結晶化させた。得られた紫色結晶性生成物を濾過によって単離し、ジクロロメタン/メタノール(1:10、5mL×2回)で洗浄し、次いで、高減圧下で乾燥させ、C651(0.141g、収率35.7%)を得た。
【0138】
H NMR(400MHz,CDCl)δ 16.73(d,J=11.3Hz,1H),7.66(d,J=11.5Hz,1H),7.09(s,1H),7.05(s,1H),6.83(s,1H),6.71(s,1H),4.17-4.02(m,1H),4.01-3.84(m,3H),3.16-3.06(m,1H),3.02-2.89(m,1H),2.85-2.74(m,2H),2.75(s,3H),2.59(s,3H),2.54(s,3H),2.33(s,6H),2.22(s,3H),2.14-2.02(m,2H),1.99-1.83(m,2H),1.34(s,3H),1.26(s,3H)。
【0139】
(実施例11)
【化39】
【0140】
40mLのシンチレーションバイアルに磁気撹拌棒を取り付け、これにC931(0.500g、0.537mmol)、p-トルエンスルホニルクロリド(0.051g、0.27mmol)、ジブチルスルホキシド(0.436g、2.69mmol)およびジエチルエーテル(10mL)を加えた。反応物を周囲温度で12時間撹拌した。沈殿を濾過によって単離し、ジエチルエーテルで洗浄し(10mL×1回)、その後、ヘキサンで洗浄氏(20mL×1回)、次いで、高減圧下で乾燥させ、C831を得た(0.195g、収率43.7%)。
【0141】
H NMR(400MHz,CDCI)δ 8.68-8.60(m,1H),7.77-7.69(m,2H),7.57-7.50(m,1H),7.44(t,J=7.5Hz,2H),7.35-7.28(m,2H),7.15(s,1H),7.13(dd,J=5.6,2.7Hz,1H),7.07(s,1H),6.77(s,1H),6.36(s,1H),6.21(s,1H),4.06-3.95(m,1H),3.94-3.81(m,2H),3.78-3.65(m,1H),2.94(ddd,J=14.5,12.3,5.6Hz,1H),2.77(s,3H),2.70(s,3H),2.64-2.51(m,1H),2.47(s,3H),2.36(s,3H),1.95(s,3H),1.73(s,3H),1.71-1.60(m,1H),1.60-1.43(m,2H),1.33-1.19(m,2H),1.19-1.03(m,2H),0.98-0.91(m,2H),0.88(t,J=7.2Hz,3H),0.83-0.70(m,1H),0.48(t,J=7.3Hz,3H)。
【0142】
(実施例12)
【化40】
【0143】
40mLのシンチレーションバイアルに磁気撹拌棒を取り付け、これにC747(0.590g、0.790mmol)、(3,6-ジクロロベンゼン-1,2-ジチオラト)(エチレンジアミン)亜鉛(II)(0.291g、0.869mmol)およびテトラヒドロフラン(8mL)を加えた。反応物を周囲温度で1時間撹拌し、次いで乾固するまで濃縮した。得られた残渣をジクロロメタン(10mL)で抽出し、セライトプラグを通して濾過し、次いで、約5mLになるまで高減圧下で濃縮した。すばやく撹拌しつつ、ヘキサン(30mL)をゆっくり加えると沈殿が得られ、この沈殿を濾過によって単離し、ヘキサンで洗浄し(10mL×2回)、次いで、高減圧下で乾燥させ、C885ss(0.604g、収率86.4%)を暗紫色粉末として得た。
【0144】
H NMR(400MHz,CDCI)δ 7.76(d,J=7.3Hz,2H),7.55-7.40(m,3H),7.31(br s,1H),7.20(br s,1H),7.12(br s,1H),7.04(t,J=7.3Hz,2H),6.97(d,J=6.7Hz,1H),6.84(br s,1H),6.74(t,J=7.2Hz,1H),6.31(d,J=7.6Hz,2H),6.19(br s,1H),4.03(br s,1H),3.92(br s,3H),2.90(br s,3H),2.64(br s,3H),2.43(br s,6H),2.26(br s,6H),2.18(br s,3H),1.78(br s,3H)。
【0145】
(実施例13)
【化41】
【0146】
40mLのシンチレーションバイアルに磁気撹拌棒を取り付け、これにC647(0.300g、0.464mmol)、(3,6-ジクロロベンゼン-1,2-ジチオラト)(エチレンジアミン)亜鉛(II)(0.171g、0.510mmol)およびテトラヒドロフラン(5mL)を加えた。反応物を周囲温度で30分間撹拌し、次いで、乾固するまで濃縮した。得られた残渣をジクロロメタン(20mL)で抽出し、0.2μmシリンジフィルタを通し、次いで、約4mLになるまで高減圧下で濃縮した。ジエチルエーテル(30mL)をゆっくりと加え、緑色の微晶質沈殿を得た。生成物を濾過によって単離し、ジエチルエーテルで洗浄し(5mL×2回)、高減圧下で乾燥させ、C785ss(0.283g、収率77.8%)を得た。
【0147】
H NMR(400MHz,CDCI)δ 14.77(s,1H),7.28(t,J=7.3Hz,1H),7.18(d,J=8.1Hz,1H),7.10(d,J=8.2Hz,1H),7.06(s,1H),6.90-6.81(m,4H),6.47(d,J=7.3Hz,2H),6.23(s,1H),4.10-3.90(m,4H),2.71(s,3H),2.68(s,3H),2.66(s,3H),2.35(s,3H),2.30(s,3H),2.28(s,3H),2.21(s,3H),2.02(s,3H)。
【0148】
第2世代Grubbsルテニウムオレフィンメタセシス触媒の合成
(実施例14)
【化42】
【0149】
20mLのシンチレーションバイアルに磁気撹拌棒を取り付け、これにC747(0.500g、0.670mmol)、(PhO)PPh([CAS 13360-92-4]0.196g、0.703mmol)およびジクロロメタン(5mL)を加えた。反応物を周囲温度で1時間撹拌し、次いで、高減圧下、1mLになるまで濃縮した。ヘキサン(14mL)を加え、得られた沈殿を濾過によって単離し、ヘキサンで洗浄し(10mL×2回)、次いで、高減圧下で乾燥させ、C947を赤褐色粉末として得た(0.599g、収率94.5%)。このH NMRデータは、文献中に見出されるデータに対応している。
【0150】
(実施例15)
【化43】
【0151】
20mLのシンチレーションバイアルに磁気撹拌棒を取り付け、これにC747(0.500g、0.670mmol)、2-イソプロポキシ-β-メチルスチレン(0.153g、0.870mmol)、ヘプタン(5mL)およびメタノール(1mL)を加えた。反応物を60℃で2時間撹拌し、次いで、周囲温度まで冷却した。得られた沈殿を濾過によって単離し、メタノールで洗浄し(5mL×2回)、次いで、高減圧下で乾燥させ、C627を緑色固体として得た(0.332g、収率79.1%)。このH NMRデータは、文献中に見出されるデータに対応している。
【0152】
(実施例16)
【化44】
【0153】
20mLのシンチレーションバイアルに磁気撹拌棒を取り付け、これにC647(0.400g、0.619mmol)、2-イソプロポキシ-β-メチルスチレン(0.142g、0.804mmol)、ヘプタン(5mL)およびメタノール(1mL)を加えた。反応物を60℃で1時間撹拌し、次いで周囲温度まで冷却した。得られた沈殿を濾過によって単離し、メタノールで洗浄し(5mL×2回)、次いで、高減圧下で乾燥させ、C627を緑色固体として得た(0.228g、収率58.9%)。このH NMRデータは、文献中に見出されるデータに対応している。
【0154】
(実施例17)
【化45】
【0155】
20mLのシンチレーションバイアルに、C747(0.300g、0.402mmol)、内部オレフィン[スチルベンまたはβ-メチルスチレン](3.6~10当量)およびハロゲン化溶媒(クロロホルムまたはジクロロメタン、4mL)を加えた。H NMR分光法によって決定される場合、残存するC747が5%未満になるまで、反応物を撹拌しつつ、40℃または60℃で加熱した(2~24時間)。PCy(0.124g、0.442mmol)をその後に加え、反応物をさらに30分間撹拌した。C848の収率は、Hおよび31PのNMR分光法によって判断すると、50~80%の範囲であった。このH NMRデータは、文献中に見出されるデータに対応している。
【0156】
本発明のオレフィンメタセシス触媒の触媒活性
(実施例18)
DCPD-HTのROMP反応
【0157】
本発明に係る錯体の触媒活性を、以下のようにROMP反応で評価した。250mLビーカーに、100gのDCPD-HTモノマーと50ppmのCHPを入れた。このモノマーを、油浴中、所望の温度で平衡状態にした(30℃±0.5℃)。J型熱電対を、モノマーの中央部に直接吊した。この試験での触媒を、溶媒(トルエンまたはCHClのいずれか)に溶解して触媒溶液を作成し、この触媒溶液を、45,000:1(モノマー:触媒)のモル比で上述のモノマーに加え、ROMP組成物を作成した。触媒をモノマーに添加してROMP組成物を作成するのは、ROMP反応の開始を示し、したがって、これを時間点0とした。温度の読みは、熱電対を用いて記録した。ROMP組成物が、液体状態またはゲル状態から、硬化したポリマー状態へと遷移するため、時間点0と、ROMP組成物の伝播界面が最初に視覚的に観察される時間点との間に経過した時間量(すなわち、時間差)を測定することによって、発熱時間を決定した。ROMP反応は、触媒溶液をモノマーに添加してから2時間後に止めた。発熱までの時間は、以下のように表現される。遅い120分を超える;穏やか30~120分;中程度1分~30分未満;迅速1分未満と、ピーク発熱温度。結果を表(5)に示す。
【表6】
【0158】
(実施例19)
ジエチル-2,2-ジアリルマロネートのRCM
【化46】
【0159】
Organometallics,2006,25,5740-5745に概説される手順に従って、アルゴンを満たしたグローブボックス中、PTFEセプタムを取り付けたスクリューキャップNMRチューブにCDCl(0.75mLまたは0.775mL)と触媒ストック溶液(0.016M、50μL、0.80μmol、1.0mol%または0.016M、25μL、0.80μmol、0.5mol%)を入れた。サンプルを、あらかじめ加熱しておいたNMRプローブ中、30℃で平衡状態にした後、ジエチル2,2-ジアリルマロネート(19.3μL、19.2mg、0.080mmol、0.1M)をシリンジで加えた。その後に起こる反応を、Varianアレイ関数を用いて30分間モニタリングし、出発物質中のメチレンプロトン(δ2.61(dt))と、生成物中のメチレンプロトン(δ2.98(s))の積分の比率を比較することによって、ジエチルシクロペンタ-3-エン-1,1-ジカルボキシレートへの添加率を決定した。図3は、ジエチル2,2-ジアリルマロネートから4,4-ビス(エトキシカルボニル)シクロペンテンへの転化率を示し、触媒は、C747、C748、C647、C773、C625、C727またはC705である。
【0160】
(実施例20)
cis-5-テトラデセン(5C14)の自己メタセシス
【化47】
【0161】
アルゴンを満たしたグローブボックス中、4mLのシンチレーションバイアルに磁気撹拌棒を取り付け、これにC785ss(0.0046g、0.0059mmol)およびテトラヒドロフラン(0.5mL)を加えた。cis-5-テトラデセン(合計で0.150mL、0.588mmol)をその後に加え、バイアルを密封し、40℃で撹拌した。反応物を適切な時間間隔でサンプリングし、収率/立体選択性を、表(6)に示すように、ガスクロマトグラフィー(方法1)によって決定した。
【0162】
【表7】
図1
図2
図3