(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-11
(45)【発行日】2022-03-22
(54)【発明の名称】SOEC/SOFC型固体酸化物スタックの入口のガスを過熱するための方法
(51)【国際特許分類】
C25B 9/00 20210101AFI20220314BHJP
C25B 13/07 20210101ALI20220314BHJP
C25B 15/08 20060101ALI20220314BHJP
H01M 8/04 20160101ALI20220314BHJP
H01M 8/0656 20160101ALI20220314BHJP
H01M 8/12 20160101ALI20220314BHJP
【FI】
C25B9/00 A
C25B13/07
C25B15/08 302
H01M8/04 N
H01M8/0656
H01M8/12 101
(21)【出願番号】P 2019536081
(86)(22)【出願日】2017-12-27
(86)【国際出願番号】 FR2017053850
(87)【国際公開番号】W WO2018127649
(87)【国際公開日】2018-07-12
【審査請求日】2020-12-18
(32)【優先日】2017-01-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】502124444
【氏名又は名称】コミッサリア ア レネルジー アトミーク エ オ ゼネルジ ザルタナテイヴ
(74)【代理人】
【識別番号】110001416
【氏名又は名称】特許業務法人 信栄特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】プランク ミシェル
(72)【発明者】
【氏名】ベルナール シャルロット
(72)【発明者】
【氏名】レティエ マガリ
(72)【発明者】
【氏名】ルー ギエム
(72)【発明者】
【氏名】ジナル フィリップ
【審査官】坂口 岳志
(56)【参考文献】
【文献】特開昭59-150247(JP,A)
【文献】特開昭61-287297(JP,A)
【文献】特開平10-170171(JP,A)
【文献】特開2001-227420(JP,A)
【文献】米国特許第01654551(US,A)
【文献】米国特許出願公開第2003/0134174(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2004/0197094(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2010/0258449(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2010/0316919(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2015/0075754(US,A1)
【文献】中国特許出願公開第102404973(CN,A)
【文献】国際公開第2014/112378(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C25B 1/00 - 15/08
H01M 8/12 - 8/1286
F24H 1/00 - 3/12
F28D 7/00 - 7/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
SOEC/SOFCスタック(20)であって、
接合体(70)を備え、
前記接合体(70)は、
-少なくとも一つのSOEC/SOFCスタック(20)入口ガス(OG)過熱システム(40)、
-前記少なくとも
一つのSOEC/SOFCスタック(20)入口ガス(OG)過熱システム(40)と接触して設置された少なくとも1つの加熱要素(80)、
を含み、
前記SOEC/SOFCスタック(20)入口ガス(OG)過熱システム(40)は、
-加熱されるべきガス(IG)の入口のための下側ゾーンと呼ばれる第1のゾーン(Z1)と加熱されたガス(OG)の出口のための上側ゾーンと呼ばれる第2のゾーン(Z2)とを含み、前記第1のゾーン(Z1)および第2のゾーン(Z2)
は本体(41)の水平な中心平面(M)によって分離される、
前記本体(41)、
-前記本体(41)の前記第1のゾーン(Z1)と連通する前記加熱されるべきガス(IG)のための少なくとも1つの入口導管(42)、
-前記本体(41)の前記第2のゾーン(Z2)と連通する前記加熱されたガス(OG)のための少なくとも1つの出口導管(43)、
を含み、
前記本体(41)の前記第1のゾーン(Z1)および第2のゾーン(Z2)はそれぞれ第1のガス循環流路(C1)および第2のガス循環流路(C2)を含み、前記第1のガス循環流路(C1)および前記第2のガス循環流路(C2)は、それぞれ第1の外側終端(P1)から第1の内側終端(I1)までおよび第2の外側終端(P2)から第2の内側終端(I2)まで螺旋の形態で延在し、
前記第1のゾーン(Z1)および第2のゾーン(Z2)の流体連通のために、前記第1の内側終端(I1)および第2の内側終端(I2)は、前記本体(41)の前記中心平面(M)を貫いて形成された前記本体(41)の貫通路(44)によって互いに連通し、
前記少なくとも1つの入口導管(42)および1つの出口導管(43)はそれぞれ前記第1の外側終端(P1)および第2の外側終端(P2)と流体連通し、その結果、前記少なくとも1つの入口導管(42)に入る加熱されるべきガス(IG)流が、前記第1の外側終端(P1)から前記第1の内側終端(I1)までの前記第1のガス循環流路(C1)に流入し、前記貫通路(44)を通り、それから前記第2の内側終端(I2)から前記第2の外側終端(P2)までの前記第2のガス循環流路(C2)に、それから前記少なくとも1つの加熱されたガス(OG)出口導管(43)に流入して、前記SOEC/SOFCスタック(20)の入口に達する、
ことを特徴とする、
SOEC/SOFCスタック(20)。
【請求項2】
前記SOEC/SOFCスタック(20)入口ガス(OG)過熱システム(40)は、前記本体(41)の両側に延在してそれぞれ前記本体(41)の前記第1のゾーン(Z1)および第2のゾーン(Z2)に蓋をする第1の閉じ板(45)および第2の閉じ板(46)を含み、前記第1のガス循環流路(C1)は前記中心平面(M)と前記第1の閉じ板(45)との間に位置し、前記第2のガス循環流路(C2)は前記中心平面(M)と前記第2の閉じ板(46)との間に位置することを特徴とする、
請求項1に記載のスタック。
【請求項3】
前記少なくとも1つの入口導管(42)および
前記少なくとも1つの出口導管(43)が、互いに対して上下になって、前記本体(41)の前記中心平面(M)に対して実質的に垂直に延在し、前記本体(41)の水平な中心壁(47)によって互いから分離され、これに前記貫通路(44)が形成されることを特徴とする、
請求項1または2に記載のスタック。
【請求項4】
前記本体(41)
が円形断面を有する
円柱状の形状を有し、前記第1のガス循環流路(C1)および第2のガス循環流路(C2)
は円形螺旋の形態でそれぞれが延在することを特徴とする、
請求項1~3のいずれか1項に記載のスタック。
【請求項5】
前記本体(41)が、前記第1のガス循環流路(C1)および前記第2のガス循環流路(C2)を含む主部分(61)と、前記主部分(
61)から張り出した側方部分(62)とを有し、この側方部分において、前記少なくとも1つの入口導管(42)および1つの出口導管(43)が前記本体(41)に流体接続されることを特徴とする、
請求項1~4のいずれか1項に記載のスタック。
【請求項6】
前記本体(41)がニッケル基超合
金から作られることを特徴とする、
請求項1~5のいずれか1項に記載のスタック。
【請求項7】
前記本体(41)がインコネル600から作られることを特徴とする、
請求項6に記載のスタック。
【請求項8】
前記接合体(70)は、前記少なくとも1つの
SOEC/SOFCスタック(20)入口ガス(OG)過熱システム(40)の両側に配された少なくとも2つの加熱要素(80)を含むことを特徴とする、
請求項1~
7のいずれか1項に記載のスタック。
【請求項9】
前記接合体(70)は、互いと接触する少なくとも2つの
SOEC/SOFCスタック(20)入口ガス(OG)過熱システム(40)、および前記少なくとも2つの
SOEC/SOFCスタック(20)入口ガス(OG)過熱システム(40)をサンドイッチする少なくとも2つの加熱要素(80)を含むことを特徴とする、
請求項1~
8のいずれか1項に記載のスタック。
【請求項10】
少なくとも1つの加熱要素(80)が、少なくとも1つの
SOEC/SOFCスタック(20)入口ガス(OG)過熱システム(40)の
形状と類似する形状を有することを特徴とする、
請求項1~
9のいずれか1項に記載のスタック。
【請求項11】
前記本体(41)を切削して前記第1のガス循環流路(C1)および前記第2のガス循環流路(C2)を形成するステップを含むことを特徴とする、
請求項1~
10のいずれか1項に記載の少なくとも1つのSOEC/SOFCスタック(20)入口ガス(OG)過熱システム(40)を製造するためのプロセス。
【請求項12】
レーザー透過溶接プロセスによって第1の閉じ板(45)および第2の閉じ板(46)を前記本体(41)の両側に取り付けて、それぞれ前記本体(41)の前記第1のゾーン(Z1)および前記第2のゾーン(Z2)に蓋をするステップを含むことを特徴とする、
請求項
11に記載のプロセス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高温電解(HTE)の全般的な分野、特に高温水蒸気電解(HTSE)、二酸化炭素(CO2)電解、および高温水(HTE)/二酸化炭素(CO2)共電解に関する。
【0002】
より詳細には、本発明は慣習的に固体酸化物電解セル(SOEC)と言われる高温固体酸化物電解槽の分野に関する。
【0003】
それは高温固体酸化物燃料セル(SOFC)の分野にもまた関する。
【0004】
それゆえに、より一般的には、本発明は高温SOEC/SOFCスタックの分野を対象とする。
【0005】
より詳細には、本発明は、SOEC/SOFCスタック入口ガス過熱システム、かかるガス過熱システムおよびそれと接触する少なくとも1つの加熱要素を含む接合体、かかる接合体を含むSOEC/SOFCスタック、ならびにかかるガス過熱システムを製造するためのプロセスに関する。
【背景技術】
【0006】
SOECは、電流の手段によって同じ電気化学装置内において水蒸気(H2O)を水素(H2)および酸素(O2)に、ならびに/または二酸化炭素(CO2)を一酸化炭素(CO)および酸素(O2)に変換するために用いられる。SOFCでは、動作は逆転させられて、水素(H2)および酸素(O2)、典型的には空気および天然ガス、つまりメタン(CH4)の供給によって電流および熱を生成する。単純にするために、次の記載は水電解のためのSOECの動作に焦点をしぼる。しかしながら、この動作は二酸化炭素(CO2)電解および高温水(HTE)/二酸化炭素(CO2)共電解に適用可能である。加えて、この動作はSOFCに移し替えられ得る。
【0007】
有利には、水の電解は高温において、典型的には600および1000℃の間において行われる。なぜなら、液体の水よりも水蒸気を電解することが有利であるからであり、反応のために要求されるエネルギーの一部は、電気よりも高価でない熱によって提供され得るからである。
【0008】
HTEでは、SOECは、互いの上にスタックされた3つの層、アノード/電解質/カソードからなる固体酸化物電解セルまたは電気化学セルとバイポーラプレートまたはインターコネクトともまた呼ばれる金属合金インターコネクトプレートとをそれぞれが含有する、繰り返し単位同士のスタックからなる。各電気化学セルは2つのインターコネクトプレート間にサンドイッチされる。それゆえに、SOECは電気化学セルとインターコネクトとの交互のスタックである。SOFCは同じ型の繰り返し単位同士のスタックからなる。この高温テクノロジーは可逆的であるので、同じスタックが電解モードで動作し、水および電気から水素および酸素を生成し得、または燃料セルモードで動作し、水素および酸素から電気を生成し得る。
【0009】
各電気化学セルは電解質/電極接合体に対応し、これは典型的には多層のセラミック接合体であり、その電解質は中心のイオン伝導性層によって形成され、この層は固体、高密度、かつ気密であり、電極を形成する2つの多孔質層間にサンドイッチされる。追加の層が存在し得るが、それらは既に記載された層の1つ以上を改善するためにのみ用いられるということに注意すべきである。
【0010】
電気および流体インターコネクト装置は電子伝導体であり、これらは、電気的な観点からは、繰り返し単位同士のスタック中における各繰り返し単位電気化学セルの接続を保証し、1つの面と1つのセルのカソードとの間および別の面と次のセルのアノードとの間の電気的接触を請け合い、流体的な観点からは、セルのそれぞれの生成物を同様に組み合わせる。それゆえに、インターコネクトは電気供給および収集の機能を保証し、分配および/または収集のためのガス循環コンパートメントを画定する。
【0011】
より詳細には、インターコネクトの主な機能は、各セルの近くの電流の通り、およびガスの循環(すなわち:HTEでは、注入される水蒸気、抜き出される水素および酸素;SOFCでは、注入される水素および抜き出される水を包含する空気および燃料)をもまた保証すること、ならびにそれぞれセルのアノードおよびカソード側のガス循環コンパートメントである2つの隣接するセルのアノードおよびカソードコンパートメントを分離することである。
【0012】
特に、SOECでは、カソードコンパートメントは電気化学反応の生成物の水素および水蒸気を含有し、一方では、アノードコンパートメントは、電気化学反応の別の生成物の酸素、および存在する場合にはキャリアガスを含有する。SOFCでは、アノードコンパートメントは燃料を含有し、一方では、カソードコンパートメントは酸化剤を含有する。
【0013】
HTEを達成するためには、水蒸気(H2O)がカソードコンパートメントに注入される。セルにかけられる電流の影響下において、水蒸気の形態の水分子の解離が水素電極(カソード)と電解質との間の界面において起こる:この解離は水素ガス(H2)および酸素イオン(O2-)を生成する。水素(H2)は収集され、水素コンパートメントから放出される。酸素イオン(O2-)は電解質中を移動し、電解質と酸素電極(アノード)との間の界面において酸素(O2)へと再結合する。空気などのキャリアガスがアノードにおいて循環し得、それゆえにアノードにおいてガス状形態で発生する酸素を収集し得る。
【0014】
SOFCを動作させるためには、空気(酸素)がセルのカソードコンパートメントに注入され、水素がアノードコンパートメントに注入される。空気中の酸素はO2-イオンへと解離するであろう。これらのイオンは電解質中をカソードからアノードに移動して、水素を酸化し、水を形成し、同時の電気生成を有するであろう。SOFCでは、SOECのように、水蒸気が水素(H2)コンパートメントに位置する。極性のみが逆転させられる。
【0015】
例示として、
図1はSOECの動作原理を示す概略的な像である。かかる電解槽の機能は、次の電気化学反応に従って水蒸気を水素および酸素に変換することである:
2H
2O → 2H
2 + O
2
【0016】
この反応は電解槽のセルにおいて電気化学的に行われる。
図1に示されているように、各繰り返し電解セル1は固体電解質3の両側に設置されたカソード2およびアノード4からなる。2つの電極(カソードおよびアノード)2および4は多孔質材料から作られた電子および/またはイオン伝導体であり、電解質3は気密、電子絶縁性、かつイオン伝導性である。電解質3は特にアニオン伝導体、より詳細にはO
2-イオンのアニオン伝導体であり得、それから、電解槽はプロトン(H
+)電解質と対比してアニオン電解槽と呼ばれる。
【0017】
電気化学反応は電子伝導体のそれぞれとイオン伝導体との間の界面において起こる。
【0018】
カソード2において、半反応は次の通りである:
2H2O + 4e- → 2H2 + 2O2-
【0019】
アノード4において、半反応は次の通りである:
2O2- → O2 + 4e-
【0020】
2つの電極2および4の間にサンドイッチされた電解質3は、O2-イオンがアノード4とカソード2との間に課された電位差によって作り出される電場の影響下において移動するところである。
【0021】
図1の括弧内に示されているように、カソード入口においては水蒸気が水素H
2によって付随され得、生成し回収される水素は出口において水蒸気によって付随され得る。類似に、点線によって示されているように、空気などのキャリアガスもまた入口において注入されて、生成した酸素を排気し得る。キャリアガスの注入は熱レギュレータとして作用する追加の機能を有する。
【0022】
電解槽または電解反応器は、カソード2、電解質3、およびアノード4を有する上で記載されている繰り返しセルと、電気、流体、および熱分配機能を提供する2つのインターコネクトとからなる。
【0023】
生成した水素および酸素の流量を増大させるためには、インターコネクトによって分離されたいくつかの繰り返し電解セルを互いの上にスタックすることが公知である。接合体は、電解槽(電解反応器)への電気およびガス供給を支持する2つの終端インターコネクトプレート間に配置される。
【0024】
それゆえに、SOECは、少なくとも1つの、一般的には互いの上にスタックされた複数の電解セルを含み、各繰り返しセルは電解質、カソード、およびアノードから形成され、電解質はアノードとカソードとの間にサンドイッチされる。
【0025】
先に言及されているように、一般的に、1つ以上の電極と電気的接触している流体および電気インターコネクト装置は、電流供給および収集機能を提供し、1つ以上のガス循環コンパートメントを画定する。
【0026】
それゆえに、いわゆるカソードコンパートメントの機能は電流および水蒸気を分配することならびに接触するカソードにおいて水素を回収することである。
【0027】
いわゆるアノードコンパートメントの機能は、電流を分配すること、ならびに任意にキャリアガスの手段によって、接触するアノードにおいて生成した酸素を回収することである。
【0028】
図2は、従来技術に従うSOECの繰り返し単位の分解図像を示している。この電解槽はインターコネクト5と交互にスタックされたSOEC型の複数の繰り返し電解セルC1、C2を含む。各セルC1、C2はカソード2.1、2.2およびアノード(セルC2のアノード4.2のみが示されている)からなり、これらの間に電解質(セルC2の電解質3.2のみが示されている)が配される。
【0029】
インターコネクト5はカソードコンパートメント50およびアノードコンパートメント51を分離する金属合金構成要素であり、それぞれ、インターコネクト5と隣接するカソード2.1との間およびインターコネクト5と隣接するアノード4.2との間の体積によって定められる。それはガスをもまたセルに分配する。水蒸気が各繰り返し単位のカソードコンパートメント50に注入される。カソード2.1、2.2において生成する水素および残る水蒸気は、セルC1、C2の下流において、後者による水蒸気の解離後に、カソードコンパートメント50において収集される。アノード4.2において生成する酸素は、セルC1、C2の下流において、後者による水蒸気の解離後に、アノードコンパートメント51において収集される。インターコネクト5は、隣接する電極との直接的接触によって、セルC1およびC2間において、すなわちアノード4.2とカソード2.1との間において電流を運ぶ。
【0030】
SOECの動作条件はSOFCのものに非常に類似であり、そこで、同じテクノロジー的な制約が当てはまる。
【0031】
それゆえに、かかる高温SOEC/SOFCスタックの適切な機能は、主に次の点が満たされることを要求する。
【0032】
第1に、電気化学セルが短絡しないための2つの連続するインターコネクト間における電気絶縁、ならびにセルとインターコネクトとの間における良好な電気的接触および十分な接触表面をもまた有することが必要である。可能な最も低いオーム抵抗がセルとインターコネクトとの間には求められる。
【0033】
加えて、アノードおよびカソードコンパートメント間に気密性を有することが必要である。さもなければ、生成したガスは再結合し、減少した効率と特にスタックを損傷するホットスポットの出現とをもたらすであろう。
【0034】
最後に、入口および生成物の回収の両方においてガスの良好な分配を有することが不可欠である。さもなければ、効率の損失、種々の繰り返し単位間の圧力および温度の不均一性、ならびにさらには電気化学セルの許容不可能な劣化がある。
【0035】
高温SOECまたはSOFCスタックに入るガスおよび出るガスは、
図3に示されているものなどの炉内の適当な装置によって管理され得る。
【0036】
それゆえに、炉10は低温部品CPおよび高温部品HPを含み、後者は、ガス入口および出口ならびにSOECまたはSOFCスタック20を管理するための炉床11、環状管12を含む。
【0037】
従来、SOECまたはSOFCスタックの入口ガスを過熱するための2つの主な技術がある。
【0038】
第1に、
図3の環状管12によって概略的に示されているように、高温部品HPの炉10の抵抗加熱部と直角をなす巻回管の長さを用いることが可能である。これがシステムに提供される場合には、ガスは交換器の出口において約500℃の温度まで先に加熱されているであろう。それから、このまたはこれらのガス過熱管12は、スタック20に導入される前に、炉10およびスタック20の抵抗の熱放射を用いることによって約300℃という追加の増大を可能にする。
【0039】
加えて、
図4に示されているものなどの電気ヒーターにガスを通すこともまた公知である。かかる電気ヒーター30は、スチールから作られた慣性質量体31、慣性質量体31に巻回された抵抗加熱部32およびガス管33を含む大きい接合体に似ている。
図4は入口ガスIGおよび出口ガスOGをもまた示している。これらの電気ヒーター30は、出口ガスOGがスタック20に導入される前に、入口ガスIGを20℃から約800℃の温度に到達させることを担う。
【0040】
上で言及されているこれらの2つの主な技術の適切な機能は、接合体の適切な機能を請け合うためにスタック20の入口において非常に正確な温度を要求する。そのため、通常は第1の技術が好ましい。
【0041】
全般的なルールとして、スタック20の入口において正しい温度を得るために、かつ約10mmという管12の内側直径では、5および15Nm3/sの間の流量による入口ガス、典型的にはH2OおよびN2O2のラインあたり、約3mという展開長さを有することが必要である。約3mというこの長さは約300℃の増大を可能にし、SOECまたはSOFCスタックモードにおいて等しく良好に機能し、スタック入口における正しい温度を保証する。
【0042】
しかしながら、ガスを交換器に通した後で炉の抵抗の放射を回収してガスをスタック入口における正しい温度まで上げるこの第1の技術は、そのため、長さが約3mの巻回を要求し、これは管が狭い空間内で正しい場所に達するということを保証するために曲げ部に複雑さを加えるという欠点を有し、かつこれは炉のサイズをかなり増大させる。そのため、実装は複雑である。なぜなら、それは正確であることが必要であるからであり、管は、典型的には316Lステンレス鋼またはインコネル600の直径が10/12であり、非常に硬いからである。加えて、ガス過熱環状体を作ることは沢山の空間をつぶし、必然的に電源、熱電対の通り道、および電解槽出口管と干渉する。これは、多くの場合に炉内の空間の不足が原因でこれらのラインを短くすることに至る。加えて、これらの環状体の接続を分解することは破壊的であるので、新たなスタックが加えられる度に同じ曲げ作業が再度なされなければならない。
【0043】
その上、316Lステンレス鋼が用いられるときには、酸化による汚染を避けるために、アルミナ成膜によるこれらのガスラインの長くて高価な処理をすることが必要である。これらの粒子(クロム、バナジウムなど)はこのセル上に固着して来得、それゆえにSOEC/SOFCスタックの性能を減じ得る。
【0044】
さらにその上、第2の技術はガス入口あたり過熱器30を要求する。しかしながら、ますますコンパクトなシステムに向かって行くトレンドがあるのに、これらは沢山の空間をつぶす大きいユニットである。そのため、ガス入口があるのと同じだけ多くの電気過熱器があり、これは周辺要素を炉に一体化するときに深刻な問題を呈する。そのため、加熱アーム部によるラインのトレーシングを避けるために、この電気ヒーター30のガス出口をスタック入口に可能な限り近く設置する必要がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0045】
本発明の狙いは、上で言及されている必要および従来技術の達成に関する欠点に少なくとも部分的に対処することである。
【0046】
特に、それは、SOECまたはSOFCスタック入口ガス過熱システムの特定の設計の実現を、より具体的には、高温部品において、すなわち炉の筐体内において、かつガス入口および出口と直角をなして、コンパクトな取り外し可能で再利用可能な過熱システムを実現し、それゆえにスタックに「プラグ&プレイ」(PnP)の性質を与えることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0047】
そのため、本発明の目的は、その態様の1つに従うと、SOEC/SOFCスタック入口ガス過熱システムであり、それが:
-加熱されるべきガスの入口のための下側ゾーンと呼ばれる第1のゾーンと、加熱されたガスの出口のための上側ゾーンと呼ばれる第2のゾーンとを含む本体(第1および第2のゾーンは本体の水平な中心平面によって分離される)、
-本体の第1のゾーンと連通する加熱されるべきガスのための少なくとも1つの入口導管、
-本体の第2のゾーンと連通する加熱されたガスのための少なくとも1つの出口導管、
を含み、
本体の第1および第2のゾーンは、それぞれ第1のガス循環流路および第2のガス循環流路を含み、第1のガス循環流路および第2のガス循環流路は、それぞれ第1の外側終端から第1の内側終端までおよび第2の外側終端から第2の内側終端まで螺旋の形態で延在し、
第1および第2の内側終端は、第1および第2のゾーンの流体連通のために、本体の中心平面を貫いて形成された本体の貫通路によって互いに連通し、
少なくとも1つの入口導管および1つの出口導管はそれぞれ第1および第2の外側終端と流体連通し、その結果、少なくとも1つの入口導管に入る加熱されるべきガス流が、第1の外側終端から第1の内側終端までの第1のガス循環流路に流入し、貫通路を通って、それから第2の内側終端から第2の外側終端までの第2のガス循環流路に、それから少なくとも1つの加熱されたガス出口導管に流入して、SOEC/SOFCスタックの入口に達する、
ことを特徴とする。
【0048】
本発明の長所によって、ガスラインあたりの炉筐体の曲げ管の3.6メートル近くと比較して革新的でコンパクトな幾何形状の手段によって、第1のガス過熱技術とのつながりで先に記載されているように、実装されるべき複雑な管巻回を避けることが可能である。これは空間要件についてかなりの節約をもたらす。
【0049】
その上、本発明に従う過熱システムはスタックの一部であり得るので、各新たなスタックについて管巻回をやり直すことを避けることが可能である。一方、従来技術の第1の技術に従う管の環状体システムは回収可能ではない。
【0050】
加えて、ガスがスタックに入る温度を正確に知るために、本発明に従う過熱システムの出口に熱電対を置くことは容易であり得る。一方、従来技術に従う管では、それは空間の不足および巻回の曲線的な幾何形状が原因でより複雑である。
【0051】
加えて、本発明に従う過熱システム内のガス経路は螺旋の幾何形状によって容易化され、入口ガス流の良好な連続性を可能にし、一方では圧力降下を限定する。
【0052】
加えて、クロムおよび他の元素の蒸発による汚染を避けるためのアルミナ成膜によるいずれかの処理は、過熱システム内に1回要求されるのみである。
【0053】
さらに、本発明に従う過熱システムは、個々に、またはいずれかの可能な技術的組み合わせで採用される次の特徴の1つ以上を含み得る。
【0054】
有利には、過熱システムは炉上に設置されたSOEC/SOFCスタックの入口にあり、過熱システムは高温部品に、すなわち炉筐体内に配置される。
【0055】
有利な様式では、本体の第1および第2のゾーン間の流体連通は本体の貫通路によってのみ可能にされる。特に、入口および出口導管は互いと流体連通せず、その結果、入口導管からの入口ガスは、加熱された出口ガスが出る出口導管に合流する前に必ず第1および第2のガス循環流路に流入する。
【0056】
過熱システムは第1の閉じ板および第2の閉じ板を含み得、本体の両側に延在してそれぞれ本体の第1および第2のゾーンに蓋をし、第1のガス循環流路は中心平面と第1の閉じ板との間に位置し、第2のガス循環流路は中心平面と第2の閉じ板との間に位置する。
【0057】
加えて、少なくとも1つの入口導管および1つの出口導管は、互いに対して上下になって、本体の中心平面に対して実質的に垂直に延在し得、本体の水平な中心壁によって互いから分離され得、これに貫通路が形成される。
【0058】
さらにその上、有利には、本体は特に円形断面を有する円柱状の全般的形状を有し得、第1および第2のガス循環流路はとりわけ円形螺旋の形態でそれぞれが延在する。
【0059】
しかしながら、代替的に、本体はいずれかの他の型の断面形状、例えば多角形形状、例えば正方形または長方形形状を有し得る。類似に、第1および第2のガス循環流路の螺旋形状は円形形状に限定されない。例えば、それは多角形螺旋、例えば正方形または長方形螺旋に対応し得る。そのため、用語「螺旋」は円形螺旋形状に限定されない。一般的に、用語「螺旋」は、流路が外側のある点から出発し、内側のある点まで、連続する旋回によって螺旋の様式でこの内側の点の周りにかつこの内側の点に向かって延在するということを意味する。
【0060】
しかしながら、多角形の幾何形状、特に正方形または長方形幾何形状は乱流を発生し得、これは確かにより良好な熱交換を可能にするが、壁の影響が原因で圧力損失をもまた増大させるということに注意すべきである。
【0061】
本体ならびに第1および第2のガス循環流路の螺旋の全般的形状は必ずしも同一ではないということにもまた注意すべきである。例えば、本体は多角形断面を有する円柱状の形状を有し得、ガス循環流路は円形螺旋形状を有し得る。
【0062】
さらにその上、本体は、第1および第2のガス循環流路を包含する主部分と、主部分から張り出した側方部分とを含み得、この側方部分において、少なくとも1つの入口および出口導管が本体に流体接続される。
【0063】
本体は例えばニッケル基超合金、特にインコネル600から作られ得る。
【0064】
本発明は、その態様の別のものに従うと、その目的として接合体をもまた有し、それが:
-少なくとも1つのSOEC/SOFCスタック入口ガス過熱システム、
-少なくとも1つのガス過熱システムと接触して設置された特に加熱プレートの形態の少なくとも1つの加熱要素、
を含むことを特徴とする。
【0065】
特に、接合体は、少なくとも1つのガス過熱システムの両側に配された少なくとも2つの加熱要素を含み得る。
【0066】
より具体的には、接合体は、互いと接触する少なくとも2つのガス過熱システム、および少なくとも2つのガス過熱システムをサンドイッチする少なくとも2つの加熱要素を含み得る。
【0067】
加えて、少なくとも1つの加熱要素、特に全ての加熱要素は、少なくとも1つのガス過熱システム、特に全てのガス過熱システムのものに実質的に類似の全般的形状を有し得る。
【0068】
加えて、本発明は、その態様の別のものに従うと、その目的としてSOEC/SOFCスタックを有し、それが上で定められている接合体を含むことを特徴とする。
【0069】
その上、本発明は、その態様の別のものに従うと、その目的として、上で定められている少なくとも1つのSOEC/SOFCスタック入口ガス過熱システムを製造するためのプロセスをもまた有し、それが、本体を切削して第1のガス循環流路および第2のガス循環流路を形成するステップを含むことを特徴とする。
【0070】
プロセスは、レーザー透過溶接プロセスによって第1の閉じ板および第2の閉じ板を本体の両側に取り付けて、それぞれ本体の第1および第2のゾーンに蓋をするステップをもまた含み得る。
【0071】
本発明に従う過熱システム、接合体、SOEC/SOFCスタック、および製造プロセスは、個々に、または他の特徴とのいずれかの技術的に可能な組み合わせで採用される本明細書に述べられている特徴のいずれかを含み得る。
【0072】
本発明は、次の詳しい記載、その例示的な限定しない実装を読むこと、および添付の図面の概略的で部分的な図を検討することによってより良く理解され得る。
【図面の簡単な説明】
【0073】
【
図1】
図1はSOECの動作原理を示す概略的な像である。
【
図2】
図2は、従来技術に従うインターコネクトを含むSOECの一部の概略的な分解図像である。
【
図3】
図3は炉の構造の原理を例示しており、その上に高温SOECまたはSOFCスタックが設置される。
【
図4】
図4は従来技術に従う電気ガスヒーターの原理を例示している。
【
図5】
図5は、透視画によって、SOEC/SOFCスタックのための本発明に合致する例示的なガス過熱システムを示している。
【
図6】
図6は断面像に従って
図5の過熱システムを示している。
【
図7】
図7は、透視画によって、ガス入口側の閉じ板の存在なしの
図5の過熱システムを示している。
【
図8】
図8は、透視画によって、ガス出口側の閉じ板の存在なしの
図5の過熱システムを示している。
【
図9】
図9は、
図5の過熱システムの本体への閉じ板の固定のために辿るべき透過溶接軌道を例示している。
【
図10】
図10は、断面像に従って、
図5に示されているものなどの複数の過熱システムの両側に加熱要素を含む例示的なSOEC/SOFCスタックを示している。
【
図11】
図11は、透視画によって、2つのガスラインのための、
図5に示されているものなどの複数の過熱システムと接触する加熱要素を含む別の例示的なSOEC/SOFCスタックを例示している。
【発明を実施するための形態】
【0074】
全てのこれらの図において、同一の参照記号は同一のまたは類似の要素を言い得る。
【0075】
加えて、図を読むことをより容易にするために、図中に表現されている異なる部品同士は必ずしも一様な縮尺で表現されてはいない。
【0076】
図1から4は、従来技術の項および本発明の技術的文脈においてすでに上で記載されている。
図1および2では、符号、ならびに水蒸気H
2Oの供給、水素H
2、酸素O
2、空気、および電流の分配および回収の矢印は、示されている装置の動作を例示するために明瞭性および正確の目的で示されているということが明記される。
【0077】
加えて、所与の電気化学セルの全ての構成要素(アノード/電解質/カソード)は好ましくはセラミックであるということに注意すべきである。典型的には、高温SOEC/SOFCスタックの動作温度もまた600および1000℃の間である。
【0078】
さらにその上、用語「上側」および「下側」は、用いられる場合には、その使用の構成にあるときのSOEC/SOFCスタックの通常時の向きに従ってここでは理解されるべきである。
【0079】
図5から11は本発明に従う過熱システム40の実現の原理を例示している。この過熱システム40は、
図3の参照によって先に記載されているように炉10と結びつけられたSOEC/SOFCスタック20の入口ガスを加熱する。
【0080】
炉10のゾーンにおける異なる熱伝達モードのうち、650および800℃の間のこれらの温度レベルにおける優勢なモードは放射による放射交換に対応する。それから、別の伝達モードは熱伝導であり、これは本発明が実装するものである。なぜなら、それは外部へのより少ない熱損失を作り出すという利点を有するからである。これは、材料のはっきりした移動なしに、同じ媒体の2つの領域間または接触する2つの媒体間における温度差によって引き起こされる熱伝達のモードである。過熱システム40のための下で記載されているような加熱プレートの使用は、熱伝導が回収されることとガスが正しい温度まで上げられることとを可能にする。
【0081】
図1から8に示されているように、SOEC/SOFCスタック20に入るガスOGのための過熱システム40は、第1に、中心ブロック41の形態の本体41を含む。
【0082】
この中心ブロック41はコンパクトなシステムを形成し、
図5に示されているように、これはここでは約140mmという直径Dおよび約22mmという高さHを有する円形断面を有する円柱状形状である。
【0083】
この中心ブロック41は例えばニッケル基超合金、特にインコネル600から作られる。
【0084】
図6に示されているように、中心ブロック41は、加熱されるべきガスIGの入口のための下側ゾーンと呼ばれる第1のゾーンZ1と、加熱されたガスOGの出口のための上側ゾーンと呼ばれる第2のゾーンZ2とを有する。
【0085】
これらの下側ゾーンZ1および上側ゾーンZ2は中心ブロック41の水平な中心平面Mによって分離される。
【0086】
さらにその上、過熱システム40は、中心ブロック41の下側ゾーンZ1と連通する加熱されるべきガスIGのための入口導管42、および中心ブロック41の上側ゾーンZ2と連通する加熱されたガスOGのための出口導管43をもまた含む。
【0087】
図6に示されているように、これらの第1のゾーンZ1および第2のゾーンZ2はそれぞれ第1のガス循環流路C1および第2のガス循環流路C2を含む。
【0088】
有利には、各ガス循環流路C1、C2は、ここでは円形の螺旋の形態で、それぞれ第1の外側終端P1から第1の内側終端I1までおよび第2の外側終端P2から第2の内側終端I2まで延在する。
【0089】
これらの第1の内側終端I1および第2の内側終端I2は、第1のゾーンZ1および第2のゾーンZ2の流体連通のために中心平面Mを貫いて形成される中心ブロック41の貫通路44によって互いに連通する。
【0090】
加えて、また
図6に示されているように、入口導管42および出口導管43はそれぞれ第1の外側終端P1および第2の外側終端P2と流体連通する。
【0091】
この様式では、
図6、7、および8の矢印の進路によって例示されているように、入口導管42に入る加熱されるべきガスIG流は、第1の外側終端P1から第1の内側終端I1までの第1のガス循環流路C1に流入し、貫通路44を横切り、それから第2の内側終端I2から第2の外側終端P2までの第2のガス循環流路C2に、それから加熱されたガスOG出口導管43に流入して、最後にSOEC/SOFCスタック20の入口に達する。
【0092】
加えて、
図5および6に示されているように、過熱システム40は中心ブロック41の両側に延在する2つの閉じ板45および46を有する。より詳細には、第1のガス循環流路C1は中心平面Mと閉じ板45との間に位置し、第2のガス循環流路C2は中心平面Mと閉じ板46との間に位置する。
【0093】
さらにその上、第1のガス循環流路C1および第2のガス循環流路C2は、切削によって、例えば数値制御ミリングマシンまたは螺旋を得るための他の適当な切削システムの手段によって形成される。この切削は、貫通路44のレベルで中心ブロック41の中心部に向かって収束する螺旋に沿って行われる。
【0094】
図6に示されている切削深さfは例えば約10mmであり、一方では、また
図6に示されているように、切削幅Wは約3mmである。有利には、切削断面は直径10/12のインコネル600管の内側直径によってカバーされる断面と同等である。好ましくは、一般的に、形成される螺旋の断面はスタック20にフィードするために要求されるガスの量に対応する。
【0095】
加えて、
図5から8に示されているように、入口導管42および出口導管43は、互いに対して上下になって、中心平面Mに対して垂直に延在し、中心ブロック41の水平な中心壁47によって互いから分離され、これに貫通路44が形成されるということに注意すべきである。
【0096】
さらにその上、中心ブロック41は、第1のガス循環流路C1および第2のガス循環流路C2を含む主部分61と主部分62から張り出した側方部分62とを有し、この側方部分において、入口導管42および出口導管43が中心ブロック41に流体接続される。
【0097】
熱交換器からの入口ガスIGは第1の流路C1の第1の螺旋に入り、約1.8mの全長に渡って貫通路44まで中心ブロック41の中心部に向かって収束する。そこから、ガスは貫通路44によって中心平面Mを横切り、第2の流路C2の第2の螺旋によって逆の経路を辿って、同じく約1.8mの全長を移動する。
【0098】
好ましくは、閉じ板45および46はレーザー透過溶接によって取り付けられる。レーザー溶接技術はレーザーテクノロジーの特徴による金属の溶接を可能にする:レーザー光線の高いエネルギー密度および細さによって、標的範囲は溶融し、それから冷却によって速やかに溶接される。これは小さい表面上の丈夫な溶接部をもたらす。
【0099】
図9に示されているように、好ましくは、ガスが完全な経路を辿ることを強いるためにレーザー透過溶接は示されているような曲線Cを辿るべきである。
【0100】
加えて、上で記載されている過熱システム40を複数のガスラインのために倍増させることが可能である。それゆえに、
図10および11は、加熱プレート80の形態の加熱要素80と結びつけられたスタック20の入口ガスOGのための2つの過熱システム40の接合体70を含むSOEC/SOFCスタック20の例を例示している。
【0101】
より詳細には、
図10において、2つの加熱プレート80が2つの過熱システム40の両側に位置し、その結果、それらは加熱プレート80によってサンドイッチされる。過熱システム40と接触するこれらの加熱プレート80は、スタック20に入る前にガスが熱対流によって加熱されることを可能にする。
【0102】
図11において、接合体70は、形状が中心ブロック41に類似の加熱プレート80を有する。
【0103】
当然のことながら、本発明は以上で記載された例示的な実施形態に限定されない。種々の改変が当業者によってされ得る。