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  • 特許-金属加工用高分子ポリリン潤滑添加剤 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-11
(45)【発行日】2022-03-22
(54)【発明の名称】金属加工用高分子ポリリン潤滑添加剤
(51)【国際特許分類】
   C10M 137/04 20060101AFI20220314BHJP
   C10M 169/04 20060101ALI20220314BHJP
   C10M 153/04 20060101ALI20220314BHJP
   C10M 137/10 20060101ALI20220314BHJP
   C10M 137/02 20060101ALI20220314BHJP
   C10N 20/04 20060101ALN20220314BHJP
   C10N 40/20 20060101ALN20220314BHJP
   C10N 30/06 20060101ALN20220314BHJP
【FI】
C10M137/04
C10M169/04
C10M153/04
C10M137/10
C10M137/02
C10N20:04
C10N40:20
C10N30:06
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2019544900
(86)(22)【出願日】2018-02-20
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-03-19
(86)【国際出願番号】 US2018018759
(87)【国際公開番号】W WO2018152513
(87)【国際公開日】2018-08-23
【審査請求日】2019-10-04
(31)【優先権主張番号】62/461,084
(32)【優先日】2017-02-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/619,351
(32)【優先日】2018-01-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】518180320
【氏名又は名称】ドーヴァー ケミカル コーポレーション
【氏名又は名称原語表記】Dover Chemical Corporation
【住所又は居所原語表記】3676 Davis Road N.W. Dover, OHIO 44622 THE UNITED STATES OF AMERICA
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【弁護士】
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100217135
【弁理士】
【氏名又は名称】山崎 誠
(72)【発明者】
【氏名】ミック ジャクプカ
(72)【発明者】
【氏名】ドン スティーブンソン
(72)【発明者】
【氏名】ジョン ヌスバウマー
(72)【発明者】
【氏名】ヤコブ ウェインガート
【審査官】黒川 美陶
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第08563637(US,B2)
【文献】米国特許第08981042(US,B2)
【文献】仏国特許発明第01411831(FR,A)
【文献】特開平04-227941(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2012/0058358(US,A1)
【文献】特公昭57-026610(JP,B1)
【文献】特開2016-074657(JP,A)
【文献】国際公開第2016/077134(WO,A1)
【文献】特開昭50-090581(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C10M,C10N
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記式:
【化1】

の構造を有する化合物を含む組成物であって、
式中、各Rは、C1-20アルキル、C2-22アルケニル、C6-40シクロアルキル、C7-40シクロアルキレン、C3-20メトキシアルキルグリコールエーテル、C3-20アルキルグリコールエーテル、またはY-OH部分である、独立して選択されるアルキルフェノール非含有部分であり、
各Yは、C2-40アルキレン、C7-40シクロアルキレン、またはC3-40アルキルラクトン部分である、独立して選択されるアルキルフェノール非含有部分であり、
mは2~100の範囲の整数であり、
xは1~1000の範囲の整数である、組成物。
【請求項2】
前記の各Yはエチレン、プロピレン、またはカプリラクトン部分である、請求項に記載の組成物。
【請求項3】
前記化合物は1000~30000ダルトンの範囲の重量を有する、請求項に記載の組成物。
【請求項4】
前記化合物は400~30000ダルトンの範囲の重量を有する、請求項に記載の組成物。
【請求項5】
前記化合物は500~30000ダルトンの範囲の重量を有する、請求項に記載の組成物。
【請求項6】
請求項に記載の化合物を金属加工液添加剤として使用する工程を含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本非仮特許出願は、次の2つの米国特許出願に対する優先権を主張する:
i)「金属加工液用のアルキルフェノール非含有高分子チオホスフェート」と題された米国仮特許出願第62461084号、
ii)「金属加工液用のアルキルフェノール非含有高分子ホスファイト」と題された米国仮特許出願第62619351号。
双方の仮特許出願の主題は、参照により本明細書に援用される。
【背景技術】
【0002】
金属加工液はよく知られており、改良された金属加工液に対するニーズが存在する。
【発明の概要】
【0003】
下記式:
【化1】

の構造を有する化合物を含む組成物であって、式中、各Rは、C1-20アルキル、C2-22アルケニル、C6-40シクロアルキル、C7-40シクロアルキレン、C3-20メトキシアルキルグリコールエーテル、C3-20アルキルグリコールエーテル、またはY-OH部分である、独立して選択されるアルキルフェノール非含有部分であり、各Yは、C2-40アルキレン、C7-40シクロアルキレン、またはC3-40アルキルラクトン部分である、独立して選択されるアルキルフェノール非含有部分であり、mは1~100の範囲の整数であり、xは1~1000の範囲の整数である、組成物。
【0004】
下記式:
【化2】

の構造を有する化合物を含む組成物であって、式中、各Rは、C1-20アルキル、C2-22アルケニル、C6-40シクロアルキル、C7-40シクロアルキレン、C3-20メトキシアルキルグリコールエーテル、C3-20アルキルグリコールエーテル、またはY-OH部分である、独立して選択されるアルキルフェノール非含有部分であり、各Yは、C2-40アルキレン、C7-40シクロアルキレン、またはC3-40アルキルラクトン部分である、独立して選択されるアルキルフェノール非含有部分であり、mは1~100の範囲の整数であり、xは1~1000の範囲の整数である、組成物。
【0005】
下記式:
【化3】

の構造を有する化合物を含む組成物であって、式中、各Rは、C1-20アルキル、C2-22アルケニル、C6-40シクロアルキル、C7-40シクロアルキレン、C3-20メトキシアルキルグリコールエーテル、C3-20アルキルグリコールエーテル、またはY-OH部分である、独立して選択されるアルキルフェノール非含有部分であり、各Yは、C2-40アルキレン、C7-40シクロアルキレン、またはC3-40アルキルラクトン部分である、独立して選択されるアルキルフェノール非含有部分であり、mは1~100の範囲の整数であり、xは1~1000の範囲の整数である、組成物。
【0006】
下記式:
【化4】

の構造を有する化合物を含む組成物であって、式中、各Rは、C1-20アルキル、C2-22アルケニル、C6-40シクロアルキル、C7-40シクロアルキレン、C3-20メトキシアルキルグリコールエーテル、C3-20アルキルグリコールエーテル、またはY-OH部分である、独立して選択されるアルキルフェノール非含有部分であり、各Yは、C2-40アルキレン、C7-40シクロアルキレン、またはC3-40アルキルラクトン部分である、独立して選択されるアルキルフェノール非含有部分であり、各Zは、SおよびOからなる群から独立して選択され、mは1~100の範囲の整数であり、xは1~1000の範囲の整数である、組成物。
【0007】
下記式:
【化5】

の構造を有する化合物を含む組成物であって、式中、各Rは、C1-20アルキル、C2-22アルケニル、C6-40シクロアルキル、C7-40シクロアルキレン、C3-20メトキシアルキルグリコールエーテル、C3-20アルキルグリコールエーテル、またはY-OH部分である、独立して選択されるアルキルフェノール非含有部分であり、各Yは、C2-40アルキレン、C7-40シクロアルキレン、またはC3-40アルキルラクトン部分である、独立して選択されるアルキルフェノール非含有部分であり、各Zは、SおよびOからなる群から独立して選択され、mは1~100の範囲の整数であり、xは1~1000の範囲の整数である、組成物。
【0008】
下記式:
【化6】

の構造を有する化合物を含む組成物であって、式中、各Rは、C1-20アルキル、C2-22アルケニル、C6-40シクロアルキル、C7-40シクロアルキレン、C3-20メトキシアルキルグリコールエーテル、C3-20アルキルグリコールエーテル、またはY-OH部分である、独立して選択されるアルキルフェノール非含有部分であり、各Yは、C2-40アルキレン、C7-40シクロアルキレン、またはC3-40アルキルラクトン部分である、独立して選択されるアルキルフェノール非含有部分であり、mは1~100の範囲の整数であり、xは1~1000の範囲の整数である、組成物。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】ティムケンの試験装置の写真である。
図2】ファレックス(Falex)ピン&Vブロック試験の結果を示すグラフである。
図3】ファレックス(Falex)ピン&Vブロック試験の結果を示すグラフである。
図4】ファレックス(Falex)ピン&Vブロック試験の結果を示すグラフである。
図5】ファレックス(Falex)ピン&Vブロック試験の結果を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
実施形態は、金属加工液添加剤として有用な化合物に関する。
【0011】
一実施形態は、以下の一般構造:
【化7】

を有するポリ水素-ホスファイト化合物に関し、式中、各Rは、C1-20アルキル、C2-22アルケニル、C6-40シクロアルキル、C7-40シクロアルキレン、C3-20メトキシアルキルグリコールエーテル、C3-20アルキルグリコールエーテル、またはY-OH部分である、独立して選択されるアルキルフェノール非含有部分であり、各Yは、C2-40アルキレン、C7-40シクロアルキレン、またはC3-40アルキルラクトン部分である、独立して選択されるアルキルフェノール非含有部分であり、mは1~100の範囲の整数であり、xは1~1000の範囲の整数である。
【0012】
いくつかのポリ水素-ホスファイトの実施形態では、前記の各Yはエチレン、プロピレン、またはカプリラクトン部分である。
【0013】
いくつかのポリ水素-ホスファイトの実施形態では、前記化合物は1000~30000ダルトンの範囲の重量を有する。いくつかのポリ水素-ホスファイトの実施形態では、前記化合物は400~30000ダルトンの範囲の重量を有する。いくつかのポリ水素-ホスファイトの実施形態では、前記化合物は500~30000ダルトンの範囲の重量を有する。
【0014】
一実施形態は、以下の一般構造:
【化8】

を有するホスフェート化合物に関し、式中、各Rは、C1-20アルキル、C2-22アルケニル、C6-40シクロアルキル、C7-40シクロアルキレン、C3-20メトキシアルキルグリコールエーテル、C3-20アルキルグリコールエーテル、またはY-OH部分である、独立して選択されるアルキルフェノール非含有部分であり、各Yは、C2-40アルキレン、C7-40シクロアルキレン、またはC3-40アルキルラクトン部分である、独立して選択されるアルキルフェノール非含有部分であり、mは1~100の範囲の整数であり、xは1~1000の範囲の整数である。
【0015】
いくつかのホスフェートの実施形態では、前記の各Yはエチレン、プロピレン、またはカプリラクトン部分である。
【0016】
いくつかのホスフェートの実施形態では、前記化合物は1000~30000ダルトンの範囲の重量を有する。いくつかのホスフェートの実施形態では、前記化合物は400~30000ダルトンの範囲の重量を有する。いくつかのホスフェートの実施形態では、前記化合物は500~30000ダルトンの範囲の重量を有する。
【0017】
一実施形態は、以下の一般構造:
【化9】

を有するチオホスフェート化合物に関し、式中、各Rは、C1-20アルキル、C2-22アルケニル、C6-40シクロアルキル、C7-40シクロアルキレン、C3-20メトキシアルキルグリコールエーテル、C3-20アルキルグリコールエーテル、またはY-OH部分である、独立して選択されるアルキルフェノール非含有部分であり、各Yは、C2-40アルキレン、C7-40シクロアルキレン、またはC3-40アルキルラクトン部分である、独立して選択されるアルキルフェノール非含有部分であり、mは1~100の範囲の整数であり、xは1~1000の範囲の整数である。
【0018】
いくつかのチオホスフェートの実施形態では、前記の各Yはエチレン、プロピレン、またはカプリラクトン部分である。
【0019】
いくつかのチオホスフェートの実施形態では、前記化合物は1000~30000ダルトンの範囲の重量を有する。いくつかのチオホスフェートの実施形態では、前記化合物は400~30000ダルトンの範囲の重量を有する。いくつかのチオホスフェートの実施形態では、前記化合物は500~30000ダルトンの範囲の重量を有する。
【0020】
一実施形態は、以下の一般構造:
【化10】

を有するリン含有化合物に関し、式中、各Rは、C1-20アルキル、C2-22アルケニル、C6-40シクロアルキル、C7-40シクロアルキレン、C3-20メトキシアルキルグリコールエーテル、C3-20アルキルグリコールエーテル、またはY-OH部分である、独立して選択されるアルキルフェノール非含有部分であり、各Yは、C2-40アルキレン、C7-40シクロアルキレン、またはC3-40アルキルラクトン部分である、独立して選択されるアルキルフェノール非含有部分であり、各Zは、SおよびOからなる群から独立して選択され、mは1~100の範囲の整数であり、xは1~1000の範囲の整数である。
【0021】
いくつかのリン含有化合物の実施形態では、前記の各Yはエチレン、プロピレン、またはカプリラクトン部分である。
【0022】
いくつかのリン含有化合物の実施形態では、前記化合物は1000~30000ダルトンの範囲の重量を有する。いくつかのリン含有の実施形態では、前記化合物は400~30000ダルトンの範囲の重量を有する。いくつかのリン含有の実施形態では、前記化合物は500~30000ダルトンの範囲の重量を有する。
【0023】
一実施形態は、以下の一般構造:
【化11】

を有するリン含有共重合体化合物に関し、式中、各Rは、C1-20アルキル、C2-22アルケニル、C6-40シクロアルキル、C7-40シクロアルキレン、C3-20メトキシアルキルグリコールエーテル、C3-20アルキルグリコールエーテル、またはY-OH部分である、独立して選択されるアルキルフェノール非含有部分であり、各Yは、C2-40アルキレン、C7-40シクロアルキレン、またはC3-40アルキルラクトン部分である、独立して選択されるアルキルフェノール非含有部分であり、各Zは、SおよびOからなる群から独立して選択され、mは1~100の範囲の整数であり、xは1~1000の範囲の整数である。
【0024】
いくつかのリン含有共重合体化合物の実施形態では、前記の各Yはエチレン、プロピレン、またはカプリラクトン部分である。
【0025】
いくつかのリン含有共重合体化合物の実施形態では、前記化合物は1000~30000ダルトンの範囲の重量を有する。いくつかのリン含有化合物の実施形態では、前記化合物は400~30000ダルトンの範囲の重量を有する。いくつかのリン含有化合物の実施形態では、前記化合物は500~30000ダルトンの範囲の重量を有する。
【0026】
一実施形態は、以下の一般構造:
【化12】

を有するホスファイト化合物に関し、式中、各Rは、C1-20アルキル、C2-22アルケニル、C6-40シクロアルキル、C7-40シクロアルキレン、C3-20メトキシアルキルグリコールエーテル、C3-20アルキルグリコールエーテル、またはY-OH部分である、独立して選択されるアルキルフェノール非含有部分であり、各Yは、C2-40アルキレン、C7-40シクロアルキレン、またはC3-40アルキルラクトン部分である、独立して選択されるアルキルフェノール非含有部分であり、mは1~100の範囲の整数であり、xは1~1000の範囲の整数である。
【0027】
いくつかのホスファイトの実施形態では、前記の各Yはエチレン、プロピレン、またはカプリラクトン部分である。
【0028】
いくつかのリン含有共重合体化合物の実施形態では、前記化合物は1000~30000ダルトンの範囲の重量を有する。いくつかのリン含有共重合体化合物の実施形態では、前記化合物は400~30000ダルトンの範囲の重量を有する。いくつかのリン含有共重合体化合物の実施形態では、前記化合物は500~30000ダルトンの範囲の重量を有する。
【0029】
ホスファイト化合物、ポリ水素ホスファイト化合物、ホスフェート化合物、チオホスフェート酸化合物、およびチオホスファイト-ホスフェート共重合体化合物の製造方法は、過度の実験を行うことなく、当業者によって決定され得る。製造方法の非限定的な例は、以下の実施例に見出すことができる。
【0030】
金属加工添加剤はよく知られており、上記の化合物のいずれかは、単独または任意の組み合わせで、金属加工液用添加剤として使用することができる。上記の化合物のいずれかは、単独または任意の組み合わせで、当業者によって決定され得る有用な量で金属加工液用添加剤として使用することができる。非限定的な例として、単独または任意で組み合わせた上記化合物の有用な量は、金属加工液の5~10重量%の範囲である。さらなる非限定的な例では、単独または任意で組み合わせた上記化合物の有用な量は、金属加工液の0.5~20重量%の範囲である。
【0031】
上記の硫黄含有化合物のいずれにおいても、化合物内の硫黄の量は、化合物内のリンの量に対して50~100モル%の範囲であり得る;別の言い方をすれば、上記の硫黄含有化合物のいずれにおいても、リン原子のうちの半分からすべてが硫黄原子に結合している。別の実施形態では、化合物内の硫黄の量は、化合物内のリンの量に対して90~100モル%の範囲であり得る。別の実施形態では、化合物内の硫黄の量は、化合物内のリンの量に対して100モル%である。
【実施例
【0032】
(実施例I)
TNPP-T(トリスノニルフェニルチオホスフェート)
メカニカルスターラーを備え、窒素でパージした250mLの三つ口フラスコに、0.39gの2,5-ジメルカプト-1,3,4-チアジアゾール(0.0026モル)とともに、ノニルフェノールの総含有量が0.05%~0.5%であり、0.1%がターゲットとなるように、75.83gのトリスノニルフェノールホスファイト(0.110モル)を添加した。混合物を十分に混合し、240°Fの反応温度まで加熱した。次に、この温度で単体硫黄3.37g(0.130モル)を添加した。1時間後に、反応温度を280°Fに上げ、16~24時間保持する。この反応は窒素ブランケット下で行われる。得られたチオホスフェートの分析結果は以下の通りであった:
【0033】
【表1】
【0034】
LGP-11-T(アルキルフェノール非含有高分子ポリホスファイト)、米国特許第8,563,637号明細書
メカニカルスターラーを備え、窒素でパージした250mLの三つ口フラスコに、分子量が約9100のアルキルフェノール非含有液体高分子ホスファイト(米国特許第8,563,637号明細書の実施例2)75.83gと、0.39gの2,5-ジメルカプト-1,3,4-チアジアゾール(0.0026モル)とを加えた。混合物を十分に混合し、240°Fの反応温度まで加熱した。次に、単体硫黄3.51g(0.109モル)を添加した。1時間後に、反応温度を280°Fに上げ、16~24時間保持する。この反応は窒素ブランケット下で行われる。得られたアルキルフェノール非含有高分子チオホスフェートの分析結果は以下の通りであった:
【0035】
【表2】
【0036】
LGP-12-T(アルキルフェノール非含有脂環式ポリホスファイトおよびアルキルフェノール非含有脂環式コポリホスファイト)、米国特許第8,981,042号明細書
メカニカルスターラーを備え、窒素でパージした250mLの三つ口フラスコに、分子量範囲が約14,000の脂環式ポリホスファイト(米国特許第8,981,042号明細書の実施例2)75.83gと、0.39gの2,5-ジメルカプト-1,3,4-チアジアゾール(0.0026モル)とを加えた。混合物を十分に混合し、240°Fの反応温度まで加熱した。次に、単体硫黄5.52g(0.172モル)を添加した。1時間後に、反応温度を280°Fに上げ、16~24時間保持する。この反応は窒素ブランケット下で行われる。得られたフェノール非含有脂環式アルキル化ポリチオホスフェートの分析結果は以下の通りであった:
【0037】
【表3】
【0038】
LGP(DPG)-11-T、米国特許第8,563,637号明細書
メカニカルスターラーを備え、窒素でパージした250mLの三つ口フラスコに、分子量が約1200のアルキルフェノール非含有液体高分子ホスファイト(米国特許第8,563,637号明細書の実施例3)75.83gと、0.39gの2,5-ジメルカプト-1,3,4-チアジアゾール(0.0026モル)とを加えた。混合物を十分に混合し、240°Fの反応温度まで加熱した。次に、単体硫黄6.29g(0.196モル)を添加した。1時間後に、反応温度を280°Fに上げ、16~24時間保持する。この反応は窒素ブランケット下で行われる。得られたアルキルフェノール非含有高分子チオホスフェートの分析結果は以下の通りであった:
【0039】
【表4】
【0040】
DP-6T(トリイソデシルホスファイト)Doverphos6
メカニカルスターラーを備え、窒素でパージした250mLの三つ口フラスコに、分子量が約500のトリイソデシルホスファイト75.83gと、0.39gの2,5-ジメルカプト-1,3,4-チアジアゾール(0.0026モル)とを加えた。混合物を十分に混合し、240°Fの反応温度まで加熱した。次に、単体硫黄4.87g(0.152モル)を添加した。1時間後に、反応温度を280°Fに上げ、16~24時間保持する。この反応は窒素ブランケット下で行われる。得られたアルキルフェノール非含有チオホスフェートの分析結果は以下の通りであった:
【0041】
【表5】
【0042】
試験方法
四球摩耗:この試験は、摩擦低減性および耐摩耗性の流体の評価に使用される。試験には、スチールカップに固定された3つの固定スチールボールと、3つの固定ボールと接触するように下げられた4番目のスチールボールが含まれる。試験対象の流体をカップに注ぐ。4番目のボールは、スピンする唯一のボールである。ボールの典型的なrpmは1200rpmである。単一のボールは、40kgの一定の負荷で、3つの固定ボールと接触して回転する。通常の実行時間は1時間である。下方の3つのボールの摩耗が測定され、mm単位で報告される。最小の摩耗痕を生成する流体が、最高の性能を有する。
【0043】
【表6】
【0044】
【表7】
【0045】
試験結果は、アルキルフェノール非含有高分子ポリホスファイトが、優れた色度を有する市販のトリスノニルフェニルチオホスフェートよりも優れた結果をもたらすことを明確に示している。また、最終産物中にアルキルフェノールは存在しない。
【0046】
ティムケン試験:ティムケン試験は、ホイールに接触しているブロックに圧力を加えるレバーに重量を加えることで実施した。ホイールの下部は、試験対象の流体に浸されている。ホイールが回転すると、潤滑剤がブロックとホイールの界面に運ばれる。13ポンドの最大値まで、毎分1ポンドの重量がレバーに追加される。ブロック上の摩耗痕はミリメートル単位で測定および報告される。図1を参照されたい。
【0047】
【表8】
【0048】
試験結果は、アルキルフェノール非含有高分子ポリホスファイトが、優れた色度を有する市販のトリスノニルフェニルチオホスフェートよりも優れた結果をもたらすことを明確に示している。また、最終産物中にアルキルフェノールは存在しない。
【0049】
(実施例II)
下記の処方をさまざまなマシン試験用に準備した:
【0050】
【表9】
【0051】
水ベースの処方
水ベースの処方は、市販の半合成物を使用して調製した。添加剤は、半合成物を水で希釈する前のスーパーコンセントレート(SC)に添加したか、または半合成物を水で50%希釈した後のコンセントレートに添加した。水で50%希釈した後、すべての試験は、水で5%に希釈された半合成物で実施した。
【0052】
【表10】
【0053】
試験方法
【0054】
オイルベースの試験
四球摩耗:この試験は、摩擦低減性および耐摩耗性の流体の評価に使用される。試験には、スチールカップに固定された3つの固定スチールボールと、3つの固定ボールと接触するように下げられた4番目のスチールボールが含まれる。試験対象の流体をカップに注ぐ。4番目のボールは、スピンする唯一のボールである。ボールの典型的なrpmは1200rpmである。単一のボールは、40kgの一定の負荷で、3つの固定ボールと接触して回転する。通常の実行時間は1時間である。下の3つのボールの摩耗が測定され、mm単位で報告される。最小の摩耗痕を生成する流体が、最高の性能を有する。
【0055】
【表11】
【0056】
【表12】
【0057】
垂直ドロービード:垂直ドロービードは、流体の金属片形成能を決定するために使用される機械である。垂直ドロービードは、コーティングされた金属ストリップに圧力をかけることで機能する。試験対象の処方は、2つのダイの間に浮き上がった24インチの金属ストリップに塗布される。ダイは、前記ストリップの底部に500psiの圧力をかける。コーティングされたストリップは、2つのダイの間で引っ張られる。ダイの間でストリップを引っ張るのに必要な力の量がX-Yプロッターによってプロットされ、この曲線から力が計算される。すべての場合において、効率%が高いことは、流体の性能が優れていることを意味する。
この試験では、すべての処方は1018スチールおよび316ステンレススチールで評価した。
【0058】
【表13】
【0059】
【表14】
【0060】
マイクロタップタップ&トルク試験:マイクロタップ試験は、流体の金属除去能を決定するために使用される1つの方法である。事前に穴が開けられた金属棒は、万力に固定される。タップと金属棒は、試験対象の流体でコーティングされる。タップが回転して、事前に開けられた穴をタップアウトする。穴をタップするのに必要な力はコンピュータで測定され、トルクとしてニュートンセンチメートルで報告される。すべての場合において、効率%が高いことは、流体の性能が優れていることを意味する。
【0061】
この試験では、すべての処方は1018スチールで評価した。
【0062】
【表15】
【0063】
ファレックス(Falex)ピン&Vブロック試験:ファレックスピン&Vブロックは、冷間圧造などのより厳しい操作における流体の性能を測定するものであるが、研削操作にも適用することができる。ピンは、真鍮製のせん断ピンを使用して固定される。2つのVブロックがピン上にクランプされる。ピンおよびVブロックは、試験対象の流体に浸される。Vブロックからピンに加えられる負荷は250ポンドから始まる。ピンが2つのVブロックの間を回転するときに、ラチェットアームによって負荷が自動的に増加する。ピンへの負荷によって生成されるトルクは、250ポンドの負荷で読み取られ、4500ポンドの最終負荷に達するか、障害が発生するまで250ポンドごとに記録される。障害は、ピンまたはせん断ピンが破損したことを示唆する。図2および図3を参照されたい。
【0064】
水ベースの試験:
【0065】
マイクロタップタップ&トルク試験
マイクロタップ試験は、流体の金属除去能を決定するために使用される1つの方法である。事前に穴が開けられた金属棒は、万力に固定される。タップと金属棒は、試験対象の流体でコーティングされる。タップが回転して、事前に開けられた穴をタップアウトする。穴をタップするのに必要な力はコンピュータで測定され、トルクとしてニュートンセンチメートルで報告される。すべての場合において、効率%が高いことは、流体の性能が優れていることを意味する。
【0066】
この試験では、すべての処方は1018スチールおよび316ステンレススチールで評価した。
【0067】
【表16】
【0068】
【表17】
【0069】
ファレックス(Falex)ピン&Vブロック試験:ファレックスピン&Vブロックは、冷間圧造などのより厳しい操作における流体の性能を測定するものであるが、研削操作にも適用することができる。ピンは、真鍮製のせん断ピンを使用して固定される。2つのVブロックがピン上にクランプされる。ピンおよびVブロックは、試験対象の流体に浸される。Vブロックからピンに加えられる負荷は250ポンドから始まる。ピンが2つのVブロックの間を回転するときに、ラチェットアームによって負荷が自動的に増加する。ピンへの負荷によって生成されるトルクは、250ポンドの負荷で読み取られ、4500ポンドの最終負荷に達するか、障害が発生するまで250ポンドごとに記録される。障害は、ピンまたはせん断ピンが破損したことを示唆する。図4および図5を参照されたい。
図1
図2
図3
図4
図5