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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-11
(45)【発行日】2022-03-22
(54)【発明の名称】磁場勾配センサを備えた電流変換器
(51)【国際特許分類】
   G01R 15/20 20060101AFI20220314BHJP
   G01R 15/18 20060101ALI20220314BHJP
【FI】
G01R15/20 C
G01R15/18 A
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2019550718
(86)(22)【出願日】2018-03-13
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-04-02
(86)【国際出願番号】 EP2018056131
(87)【国際公開番号】W WO2018166995
(87)【国際公開日】2018-09-20
【審査請求日】2020-11-05
(31)【優先権主張番号】17161460.5
(32)【優先日】2017-03-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】520011360
【氏名又は名称】レム・インターナショナル・エスエイ
(74)【代理人】
【識別番号】100101890
【弁理士】
【氏名又は名称】押野 宏
(74)【代理人】
【識別番号】100098268
【弁理士】
【氏名又は名称】永田 豊
(72)【発明者】
【氏名】シュレーフリ・ドミニク
【審査官】田口 孝明
(56)【参考文献】
【文献】特表2002-523751(JP,A)
【文献】国際公開第2008/030129(WO,A2)
【文献】特表2001-521629(JP,A)
【文献】特開平06-294854(JP,A)
【文献】中国実用新案第201007728(CN,Y)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
IPC G01R 15/00-17/22、
33/00-33/26、
19/00-19/32、
G01N 27/72-29/9093、
H01L 27/22、
29/82、
43/00-43/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電流変換器において、
一次導体のセクションと、
前記一次導体を流れる一次電流の測定を可能にする、前記一次電流の電流が流れる方向を横切る勾配測定方向における磁場勾配を測定するように構成された、前記一次導体の近傍に取り付けられた磁場勾配センサと
前記一次導体の第1の外側面に隣接して取り付けられた第1の横方向磁気シムと
前記第1の外側面の反対側の、前記一次導体の第2の外側面に隣接して取り付けられた第2の横方向磁気シムと
前記磁場勾配センサに面し、前記電流が流れる方向に本質的に平行に延在する、前記第1および第2の横方向磁気シムの主要内部表面と
を含み、
前記電流変換器は、
前記第1の横方向磁気シムと前記第2の横方向磁気シムとの間に延在する、前記一次導体の第3の外側面に隣接して取り付けられたロゴスキーコイルの第1の分岐と、
前記第1の横方向磁気シムと前記第2の横方向磁気シムとの間に延在する、前記一次導体の前記第3の外側面の反対側の第4の外側面に隣接して取り付けられたロゴスキーコイルの第2の分岐と、
をさらに含むことを特徴とする、電流変換器。
【請求項2】
請求項1に記載の電流変換器において、
前記第1および第2の横方向磁気シムは、実質的に平面である、電流変換器。
【請求項3】
請求項1または2に記載の電流変換器において、
前記第1および第2の横方向磁気シムは、前記勾配測定方向に実質的に平行に配列されている、電流変換器。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか一項に記載の電流変換器において、
前記一次導体のセクションは、前記電流変換器に組み込まれたソリッドバスバーのセクションの形態である、電流変換器。
【請求項5】
請求項に記載の電流変換器において、
前記ソリッドバスバーの前記セクションは、前記第1の外側面と前記第2の外側面との間の幅Wと、前記第3の外側面と前記第4の外側面との間の高さHと、を画定する非円形の形状を有し、前記高さは、前記幅よりも小さく、H<Wである、電流変換器。
【請求項6】
請求項1からのいずれか一項に記載の電流変換器において、
前記磁場勾配センサは、前記電流が流れる方向を横切る第1の磁場方向において磁束を感知するように方向付けられた第1の磁場検出器と、前記第1の磁場方向に平行であるが逆である第2の磁場方向において磁束を感知するように方向付けられた第2の磁場検出器と、を含み、前記第1および第2の磁場検出器は、前記勾配測定方向に沿って非ゼロ距離だけ離れている、電流変換器。
【請求項7】
請求項1からのいずれか一項に記載の電流変換器において、
前記磁場勾配センサは、前記一次導体の前記セクションの2つの部分の中間のスロット内に位置付けられ、前記スロットは、前記第1の側面と前記第2の側面との間に延在する、電流変換器。
【請求項8】
請求項に記載の電流変換器において、
前記第1および第2の磁場検出器は、単一の構成要素、例えば単一のASIC内に形成されている、電流変換器。
【請求項9】
請求項1に記載の電流変換器において、
前記一次導体のセクションは、前記電流変換器に組み込まれたソリッドバスバーのセクションの形態であり、
前記第1および第2の横方向磁気シムの高さHmが、前記ソリッドバスバーの前記セクションの高さの少なくとも2倍である、電流変換器。
【発明の詳細な説明】
【開示の内容】
【0001】
本発明は、導体を流れる電流を測定するための磁場勾配センサを備えた電流変換器に関する。
【0002】
導体を流れる電流を測定するための磁場勾配センサを備えた電流変換器は、米国特許第6040690号および米国特許第6636029号に記載されている。このような変換器では、電流を搬送する導体は、間隙によって分離された2つの平行なセクションに分割され、これらの平行な導体はそれぞれ、全電流の約半分を搬送する。これは、別個の導体を用いて、または導体バスバーに穴もしくはスロットを形成することによって、行うことができる。図1aを参照すると、測定される一次電流Iによって間隙3内に生成される磁場は、一次電流Iに比例するが、空間的に不均質であり、電流がz方向に流れると仮定すると、2つの直交方向dBy/dxおよびdBx/dyに沿って実質的に一定の勾配を有するという特性を有する。この勾配は、いくらか距離をあけて配置された2つの磁気センサ4a、4bによって測定することができ、それらのそれぞれの感度軸Xa、Xbは互いに反対方向に向けられており、その出力は、加算増幅器によって合算されると、測定される電流に比例する信号を提供する。
【0003】
前述した既知の電流変換器の第1の欠点は、その周波数応答および応答時間が制限されていて、変動することである。既知の変換器の感度は、磁場センサへの一次電流の磁気結合によって決まる。周波数が増加するにつれて、表皮および近接効果は、一次導体内の電流の分布を変化させ、その結果、磁気結合が変化し、感度が低下する。この効果は、磁気定数mu0およびバスバー抵抗率によって決まる。銅の場合、抵抗率は、典型的な動作温度範囲にわたって40%を超えて変化する場合がある。変換器の周波数応答も、温度に応じて変化し、単純な信号処理方法によってこのような周波数応答変動を補償することが非実用的となる。
【0004】
前述した既知の電流変換器の第2の欠点は、外部磁場勾配に対する、その感度である。
【0005】
既知の電流変換器装置が均質な磁場内に置かれる場合、均質な摂動磁場と電流によって生成される勾配磁場との和が局所的に磁気センサの線形範囲を超えない限り、摂動磁場は、各磁場センサ出力に等しいが互いに反対の寄与を加え、したがって、これらは、合計されたときに互いに相殺する。しかしながら、均質な外部磁場は通常、標準というよりむしろ例外であり、ほとんどの適用において、ケーブル、インダクタ、または変圧器は、強力で不均質な磁場を生成する。前述の電流変換器で使用される一対の磁場センサの位置でこれらの供給源によって生成される磁場勾配は、測定される電流によって生成される磁場勾配と区別できない。外部の不均質な磁場は、電流変換器の出力に誤差をもたらす。
【0006】
例えば、米国特許第6,636,029号またはWO2008030129に記載されているように、所与の一次電流に対して磁場勾配センサ内の磁束密度を増加させるための磁気回路を提供することが知られている。
【0007】
米国特許第6,636,029号において、磁気回路は、一次導体のセクションを囲む本質的にC字形のコアを有し、各C字形のコアは、磁気勾配センサが位置付けられるスロット内の一次電流によって生成される磁束を集中させるエアギャップを形成する。C字形のコアは、コアおよびその一次導体への組み立ての相対的な複雑さのためだけでなく、飽和することなく一次電流によって生成される磁束密度を搬送することができるようにコア材料の必要な厚さも考慮に入れると、コアを有さない変換器と比較して、変換器のコストおよび体積を増加させる。磁気コアはまた、材料を通る磁束通路の長さ、および動作中の磁束偏位(flux excursion)のために、非線形性および磁気オフセットを増大させることができる。
【0008】
WO2008030129には、より単純な磁気回路を有する変換器が記載されているが、必要とされるコア材料の量および非線形性の問題が存在する。また、勾配センサは、一次導体バーの両側に取り付けられた2つの別個の磁場検出器を含み、これは、一次導体のスロット内に配置された単一の磁場勾配センサと比較して、外部磁場への勾配センサの露出を増大させ、一次導体の異なる側における温度または他の環境条件の差による問題を増大させる。
【0009】
さらに、米国特許第6,636,029号またはWO2008030129の両方では、広い周波数範囲にわたって電流を測定する能力は制限される。
【0010】
一般に、米国特許第6,366,076号に記載されているように、ロゴスキーコイルからの測定と、一次導体の周囲に位置付けられた複数の別個の磁場検出器とを組み合わせた電流変換器を提供することが知られている。しかしながら、複数の別個の検出器は、異なるオフセットおよび一次導体の周りの温度または他の環境条件の差の問題につながる可能性があり、その結果、複数の検出器からの信号の組み合わせによって形成される測定信号は、悪影響を受ける。
【0011】
上記に鑑み、本発明の目的は、正確で、信頼性があり、測定範囲が広い、導体を流れる電流を測定するための電流変換器を提供することである。
【0012】
さまざまな熱および環境条件において正確な電流変換器を提供することが有利である。
【0013】
広い周波数範囲にわたって正確に電流を測定することができる電流変換器を提供することが有利である。
【0014】
外部磁場に反応しない電流変換器を提供することが有利である。
【0015】
小型で製造コスト効率のよい電流変換器を提供することが有利である。
【0016】
本発明のさまざまな目的は、請求項1に記載の電流変換器を提供することによって、達成されている。
【0017】
本発明のさまざまな目的は、請求項12に記載の電流変換器を提供することによって、達成されている。
【0018】
本発明のさまざまな目的は、請求項19に記載の電流変換器を提供することによって、達成されている。
【0019】
一次導体のセクションと、一次導体を流れる一次電流(I)の測定を可能にする、前記一次電流(I)の流れの方向(Z)を横切る勾配測定方向(Y、X)における磁場勾配を測定するように構成された、一次導体の近傍に取り付けられた磁場勾配センサと、を含む、電流変換器が、本明細書に開示される。
【0020】
本発明の第1の態様によれば、電流変換器は、一次導体の第1の外側面に隣接して取り付けられた第1の横方向磁気シムと、第1の外側面の反対側の、一次導体の第2の外側面に隣接して取り付けられた第2の横方向磁気シムと、磁場勾配センサに面し、電流が流れる方向(Z)に本質的に平行に延在する第1および第2の磁気シムの主要内部表面と、をさらに含み、電流変換器は、第1の横方向シムと第2の横方向シムとの間に延在する、一次導体の第3の外側面に隣接して取り付けられたロゴスキーコイルの第1の分岐と、第1の横方向シムと第2の横方向シムとの間に延在する、一次導体の第3の外側面の反対側の第4の外側面に隣接して取り付けられたロゴスキーコイルの第2の分岐と、をさらに含む。
【0021】
本発明の第2の態様によれば、電流変換器は、下方周波数範囲で一次導体を流れる一次電流を測定するように構成された第1の磁場感知システムと、下方周波数範囲よりも高い周波数を有する、上方周波数範囲で前記一次電流を測定するように構成された前記一次導体を取り囲むロゴスキーコイルと、を含み、前記第1の磁場感知システムは、一次導体の前記セクションの2つの部分の中間のスロット内に取り付けられた磁場勾配センサを含み、前記磁場勾配センサは、一次電流(I)の流れの方向(Z)を横切る勾配測定方向(Y)の磁場勾配を測定するように構成される。
【0022】
前述した2つの態様では、電流変換器におけるロゴスキーコイルと磁場勾配センサとの組み合わせは、驚くべきことに、複数の磁場検出器を有する従来の変換器または勾配センサを有する従来の変換器のいずれと比較しても、線形性が改善され、より安定し、正確な測定を行う小型で費用効果の高い変換器を提供しながら、大きな振幅および周波数測定範囲を得るのに有利である。
【0023】
有利な実施形態では、磁場勾配センサは、一次導体の前記セクションの2つの部分の中間のスロット内に位置付けられる。
【0024】
別の実施形態では、少なくとも第1および第2の磁場検出器は、一次導体の前記セクションの両側に位置付けられ得る。
【0025】
本発明の第3の態様によれば、電流変換器の磁場勾配センサは、一次導体の前記セクションの2つの部分の中間のスロット内に取り付けられ、変換器は、一次導体の第1の外側面に隣接して取り付けられた第1の横方向磁気シムと、第1の外側面の反対側の、一次導体の第2の外側面に隣接して取り付けられた第2の横方向磁気シムと、磁場勾配センサに面し、電流が流れる方向(Z)に本質的に平行に延在する第1および第2の磁気シムの主要内部表面と、をさらに含み、第1および第2の横方向磁気シムは実質的に平行であり、これらの磁気シムは、スロット内で一次電流によって生成される磁束密度を増大させることなく、外部磁場勾配の影響を減衰させるように配置される。
【0026】
前述した発明では、磁気勾配センサ上の一次電流によって生成される磁束密度を(実質的に)増大させることなく、外部磁場の影響を減衰させるように配置された磁気シムを有する態様は、磁場センサ上で一次導体の磁束を集中させる働きをする磁気回路を備える従来の変換器と比較して、たとえそのような回路も外部磁場を減衰させ得るとしても、外部磁場の存在下で精度および性能を改善し、同時に変換器の複雑さを低減する。前述した従来の変換器の問題の1つは、一次電流によって生成される磁束を飽和させることなく搬送することができ、エアギャップを提供するデザインを有する、磁気回路が必要なことであり、したがってコストおよび複雑さの増大につながる。さらに、磁束集中磁気回路は、外部磁場の影響を主にまたは単に減衰させる働きをする磁気シムと比較して、材料を通る磁束通路の長さ、および動作中の磁束偏位のために、非線形性および磁気オフセットの増大につながる可能性がある。
【0027】
本発明の前述した態様の有利な実施形態では、磁場勾配センサは、一次電流Iの流れの方向(Z)を横切る第1の磁場方向(Xa)において磁束を感知するように方向付けられた第1の磁場検出器と、第1の磁場方向に平行であるが逆である第2の磁場方向(Xb)において磁束を感知するように方向付けられた第2の磁場検出器と、を含み、第1および第2の磁場検出器は、勾配測定方向(Y)に沿って非ゼロ距離だけ離れている。
【0028】
本発明の前述した態様の有利な実施形態では、磁気シムは、実質的に平面であってもよい。
【0029】
本発明の前述した態様の有利な実施形態では、磁気シムは、前記勾配測定方向(Y)に実質的に平行に配列される。
【0030】
本発明の前述した態様の有利な実施形態では、一次導体のセクションは、電流変換器に組み込まれたソリッドバスバーのセクションの形態である。
【0031】
本発明の前述した態様の有利な実施形態では、ソリッドバスバーのセクションは、相対する前記第1の外側面と第2の外側面との間の幅Wと、相対する前記第3の外側面と第4の外側面との間の高さHと、を画定する非円形の形状を有し、高さは、幅よりも小さく、H<Wである。
【0032】
本発明の前述した態様の有利な実施形態では、ソリッドバスバーのセクションは、実質的に長方形の形状を有する。
【0033】
本発明の前述した態様の有利な実施形態では、磁場勾配センサは、一次導体の前記セクションの2つの部分の中間のスロット内に位置付けられ、前記スロットは、前記第1の側面と第2の側面との間に延びる。
【0034】
本発明の前述した態様の有利な実施形態では、第1および第2の磁場検出器は、単一の構成要素、例えば単一のASIC内に形成される。この特徴は、コストを低減するだけでなく、種々の温度、電場または磁場、および複数のセンサ配置に影響を及ぼす種々の場所における他の要因の悪影響も低減する。
【0035】
あるいは、特定の実施形態では、前記少なくとも第1および第2の磁場検出器は、スロットの内側にはなく、一次導体の前記セクションの外側で、一次導体の第1および第2の外側面に隣接して位置付けられた別個の構成要素である。
【0036】
本発明の前述した態様の有利な実施形態では、磁気シムの高さ(Hm)は、勾配方向Yで測定された一次導体のソリッドバスバーのセクションの高さ(H)の少なくとも1.5倍、好ましくは少なくとも2倍である。この特徴は、有利には、外部磁場の良好な減衰を確実にし、一次導体のレベル、特に磁場勾配センサのレベルでシム間の磁場の均一性のあらゆる歪みを低減する。
【0037】
本発明のさらなる目的および有利な態様は、特許請求の範囲、以下の詳細な説明、および図面から明らかとなるであろう。
【0038】
図面を参照すると、本発明による電流変換器1は、例えばバスバーの形態の、一次導体2のセクションと、一次導体に近接して取り付けられた磁場勾配センサ4、4a、4bと、を含む。磁場センサは、一次導体2を流れる一次電流Iの測定を可能にする、一次導体に対する特定の方向の磁場勾配を測定するように構成される。
【0039】
典型的には、磁場勾配センサは、前記特定の方向に離間した位置に少なくとも2つの磁場検出器を含み、2つの位置間の磁場の差を測定する。既知の構成の一例が図1aに示されており、ここでは2つの磁場検出器4a、4bが一次導体の2つの部分2a、2bの間のスロット3内に位置付けられている。図1bに示す別の既知の例では、2つの磁場検出器4a、4bは一次導体2の両側に位置付けられている。しかしながら、勾配を測定することができる他の磁場センサ構成も知られている。外部磁場が存在しない場合、一次導体の近傍における磁場の勾配は、一次電流I(すなわち、測定される電流)に比例する。
【0040】
磁場勾配測定を用いて導体を流れる一次電流を測定する原理は、それ自体が周知であり、ここでは詳細に説明しない。
【0041】
一次導体に接続するため電気変換器に組み込まれた導電性バスバーを設けることも、それ自体が周知であり、それによって、変換器におけるバスバーの接続端部および取り付けの詳細は、従来技術においてそれ自体が既知であるさまざまな形状および構成をとることができ、本明細書でさらに説明する必要はない。
【0042】
本発明のある実施形態を示す図2aおよび図2bを参照すると、磁場勾配センサは、例えば電流変換器に組み込まれたソリッドバスバーのセクションの形態であってもよい一次導体2の2つの好ましくは本質的に同一の部分2a、2bの中間のスロット3内に位置付けられた、第1の磁場検出器4aおよび第2の磁場検出器4bを含む。磁場検出器2a、2bのそれぞれの感度方向Xa、Xbは両方とも、X軸に沿って、しかしそれぞれ反対方向に、方向付けられている。これらは磁束密度BのX成分を感知する。2つの感知素子はY方向に沿ってわずかな距離だけ離れている。センサの電気出力が合算されると、結果はdBx/dyに比例する。
【0043】
電流変換器は、一次導体2の外側面に取り付けられた磁気シム6をさらに含む。図示の実施形態では、磁気シムは、一次導体の第1の部分2aの外側面に隣接して取り付けられた第1の横方向磁気シム6aと、一次導体の第2の部分2bの外側面に隣接して取り付けられた第2の横方向磁気シム6bと、を含む。磁場検出器4a、4bに面する磁気シム6a、6bの主要内部表面10は、一次電流Iの流れの方向に対応する一次導体2の部分2a、2bに本質的に平行に延びる。磁気シムは、高透磁率および低磁気抵抗を有する材料、例えば、シム間で外部磁場を方向転換するように構成された、軟鉄、フェライトまたはパーマロイなどの高透磁率軟磁性材料から作製される。磁気シムは、外部磁場に対して低抵抗の通路を提供するので、対向する一対の磁気シムの間で方向転換される外部磁場は、図8bおよび図8dに最も良く示されるように均質化される。しかしながら、図7aおよび図7bに最も良く示されているように、一次導体の部分2a、2bの間のスロット3内で一次導体によって生成される内部磁場に対しては改善された効果がある。図7cおよび図7dでは、磁場勾配センサが取り付けられているスロット3内で(座標X=0で)、磁場勾配dBx/dyはいくらか増幅されているが、図7aに示す磁気シムのない既知のシステムの磁場勾配と同様に、一次電流に比例したままであることが分かる。さらに、(図9aおよび図9bに関連して)図8bおよび図8cに示すように、外部磁場は、図8aと比較して図8bに見られるように減衰されるか、かつ/または(図9aおよび図9bに関連して)図8cと比較して図8dに見られるように、y軸に沿った勾配を低減するように均質化されるかのいずれかである。より具体的には、図8aは、それぞれが同じ電流I/2を搬送する2つのスクエアバスバー導体部分の周りの力線を示す。2つの導体部分の間のスロット内の垂直線は、勾配センサを形成する磁場センサが位置する軸を示し、その上で図8cおよび図8dの線プロットに示される値が取られる。図8bは、図8aに示す状況にシムを追加する効果を示す。図8cは、両方の構成について、スロットの中心におけるy軸に沿った磁束密度x成分を示す。図8dは、同じ軸に沿ったdBx/dyを示す。図8aの構成と図8bの構成との間には、わずかな感度の差しかない。軸の中心の周りにおいて、一次近似では、磁場勾配は本質的に位置に依存しない。
【0044】
図8に示される特定の例では、ゼロ電流を搬送するバスバーが示され、隣接する電流搬送導体は、2つの角度位置において、11aおよび11bで0°、11cおよび11dで90°で示される、電流変換器組立体の中心から15mmの距離に位置付けられる。BのX成分に対する均質化効果が見られる。
【0045】
図9aは、スロット軸に沿ったBのX成分を示す。コモンモードレベルは、シムあり、90°近傍の外部電流で最高であるが、シムありの両方の場合において、軸に沿ったBxの値は、シムなしの場合よりも一定である。これは、dBx/dyを示す図9bではっきりと見えるようになる。シムありでは、例示的な場合では、不均質な外部磁場の排除は、従来のシステムに比べ約5~10倍程度改善することができる。
【0046】
したがって、図2a、図2bの実施形態では、軟磁性部品6a、6bは、それらの内部表面10に本質的に磁気的な等電位を有し、平行な内向き表面10間の体積は、実質的に均質な磁場によって占められる。dBx/dy勾配は、磁気シム6a、6bによって形成される軟磁性磁束形成器(soft magnetic flux shapers)がない場合よりも低くてもよいが、Bxの値は、シムがない場合よりもわずかに高くてよい。この実施形態における軟磁性シムの目的は、磁束密度分布をより均一にするように成形することであり、通常の意味で磁気センサを遮蔽または遮断することではなく、遮蔽された体積は、周囲と比較して磁束密度の大きさが低下することが理解される。
【0047】
有利な実施形態では、磁気シムの高さHmは、磁場勾配の方向Yで測定された、一次導体のソリッドバスバーのセクションの高さHの、好ましくは少なくとも1.5倍(Hm>1.5H)、好ましくは2倍(Hm>2H)である。好ましくは、一次導体および磁場勾配センサは、高さHmを画定する磁気シムの端部の実質的に中間に位置付けられる。これは、有利には、外部磁場の良好な減衰を保証し、一次導体のレベル、特に磁場勾配センサのレベルでシム間の磁場均一性のあらゆる歪みを低減する。
【0048】
ここで図3aおよび図3bを参照すると、本発明による電流変換器の別の実施形態が示されている。この実施形態では、磁場勾配センサは、例えば電流変換器に組み込まれたソリッドバスバーのセクションの形態とすることができる一次導体2の2つの本質的に同一の部分2a、2bの中間のスロット3内に位置付けられた、第1の磁場検出器4aおよび第2の磁場検出器4bを含む。磁場検出器2a、2bのそれぞれの感度方向Xa、Xbは両方とも、X軸に沿って、しかしそれぞれ反対方向に、方向付けられている。これらは磁束密度BのX成分を感知する。2つの感知素子はY方向に沿ってわずかな距離だけ離れている。センサの電気出力が合算されると、結果はdBx/dyに比例する。電流変換器は、一次導体2の外側面の周りに取り付けられたロゴスキーコイルをさらに含む。磁場勾配センサ4a、4bの測定範囲は、導体バー内の電流密度の分布が周波数と共に変化するので(表皮効果)、その周波数応答が制限される。電流分布は、とりわけ、導体の形状、温度、および材料特性に依存し、したがって、ある周波数を超えて磁気勾配測定の挙動を補償することが困難になる。しかしながら、ロゴスキーコイルは、より高い周波数範囲で一次導体2a、2bを流れる一次電流Iを測定するように良好に適合され、磁場勾配センサを十分に補完する。したがって、この実施形態では、磁場勾配センサ4a、4bは、DCから第1の閾値周波数までの一次電流を測定し、それを超えると精度はもはや受け入れられないが、ロゴスキーコイルは、第2の閾値周波数から変換器の上限カットオフ周波数まで受け入れ可能な感度で一次電流を測定するように構成される。勾配センサの第1の閾値周波数は、ロゴスキーコイルが使用可能になる第2の閾値周波数よりも高い。これにより、2つの信号源間の遷移が、その間に位置する遷移周波数で起こる。測定信号処理回路は、遷移周波数より下のロゴスキーコイルの信号をそれぞれ遮断するか、または遷移周波数より上の磁場勾配センサ4a、4bの信号を遮断するように構成され得る。
【0049】
ロゴスキーコイルの出力と磁場勾配センサとを組み合わせるさまざまな他の方法が、本発明の範囲内で想定され得る。例:
・別個の出力を提供し、周波数範囲の重複部分を追加の機能のために使用する:例えば、電流変換器が電流を制御するために使用され、電流がスイッチングによって生成され、その後にフィルタリングが続く場合、リップルが常に存在し、スペクトルの重複領域に位置することができる。同じ信号が両方のチャネルによって測定されるので、2つのチャネルのうち、より安定したものを使用して、他方のチャネルの温度または感度の他のドリフトを補償することができる。
・前述したものと同じ原理を使用して、リップルのような既に利用可能な信号を使用するか、または擬似ランダムシーケンスのようなテスト信号を注入し、両方のチャネルにおけるテスト信号の存在を検出することによって、変換器の機能を監視することもできる。
・di/dtが必要とされ、数値導出がdi/dtを直接感知するよりも低いSNRを有する、センサレス位置推定のような適用のためにdi/dt出力を提供する。
【0050】
図3bの実施形態と同様の図4の変形例では、ロゴスキーコイルの分岐8a、8b、8c、8dを結ぶコーナーに軟磁性コーナー要素12が設けられている。軟磁性コーナー要素12は、ロゴスキーコイルの通路を一次導体バスバー2、2a、2bの外側輪郭に適合させるために存在するコーナーによって形成されるロゴスキーコイルの巻線の不連続部を磁気的に短絡する。これは、外部磁場に対するより良好な耐性をもたらす。
【0051】
磁場勾配センサは、磁場勾配センサがスロット内に位置付けられる実施形態では、有利には、単一の構成要素、例えば、単一のASIC(特定用途向け集積回路)構成要素とすることができる。
【0052】
単一の磁場勾配センサの使用は、変換器のコストを低減するために有利であるだけでなく、複数のセンサが位置する種々の位置における温度もしくは他の環境条件の起こり得る差、または各センサのわずかに異なる特性および公差に起因して、測定信号を出力するために複数のセンサからの信号を結合することに関連する問題も低減する。
【0053】
ここで図5aおよび図5bを参照すると、本発明による電流変換器の別の実施形態が示されている。この実施形態では、スロット3を有する一次導体セクション2、2a、2b、磁場勾配センサ4a、4b、および磁気シム6a、6bが、図2a、図2bの実施形態と同様の構成で設けられる。さらに、ロゴスキーコイルは、磁気シム6a、6bの間に延在する2つのロゴスキーコイル分岐8a、8bを含む。ロゴスキーコイル分岐は、第1の磁気シム6aから他方の横方向磁気シム6bまで完全に延びて、シム間に本質的に中断のないブリッジを形成する。図2a、図2bに関連して前述したように、外部磁場を均質化することに加えて、磁気シム6a、6bは、ロゴスキーコイル8a、8bに磁気短絡を提供する役割も果たし、その結果、外部磁場に対してより良好な耐性が得られる。
【0054】
ロゴスキーコイル8は、上方周波数範囲を測定するのに役立ち、磁場勾配センサは、図3a、図3bに関連して前述したのと本質的に同じ方法で下方周波数範囲を測定するのに役立ち、一方、外部磁場の影響は、図2a、図2bに関連して前述したのと本質的に同じ方法で磁気シム6a、6bによって均質化され、減衰される。
【0055】
次に図6を参照すると、本発明による電流変換器の別の実施形態が示されている。この実施形態では、磁場勾配センサ4a、4bは、一次導体セクション2の両側に位置付けられ、磁気シム6a、6bは、図2a、図2bおよび図5a、図5bの実施形態と同様の構成で設けられる。さらに、ロゴスキーコイルは、図5a、図5bの実施形態と同様に、磁気シム6a、6bの間に延在する2つのロゴスキーコイル分岐8a、8bを含む。ロゴスキーコイル分岐は、第1の磁気シム6aから他方の横方向磁気シム6bまで完全に延びて、シム間に本質的に中断のないブリッジを形成する。図5a、図5bに関連して前述したように、外部磁場を均質化することに加えて、磁気シム6a、6bは、ロゴスキーコイル8a、8bに磁気短絡を提供する役割も果たし、その結果、外部磁場に対してより良好な耐性が得られる。
【0056】
図5a、図5bに関連して前述したように、ロゴスキーコイル8は、上方周波数範囲を測定するのに役立ち、磁場勾配センサは、下方周波数範囲を測定するのに役立ち、一方、外部磁場の影響は、磁気シム6a、6bによって均質化され、減衰される。
【0057】
本開示におけるdBx/dyに基づく説明は、dBy/dxにも当てはまることに留意されたい(関心領域においてRot(B)=JおよびJ=0であるためである)。したがって、ある実施形態によれば、変換器は、代替的にまたは追加的に、一次電流の流れに対しても横方向である磁場勾配dBy/dxを測定するように構成され得る。
【0058】
〔実施の態様〕
(1) 電流変換器において、
一次導体(2)のセクションと、
前記一次導体を流れる一次電流(I)の測定を可能にする、前記一次電流(I)の電流が流れる方向(Z)を横切る勾配測定方向(Y)における磁場勾配を測定するように構成された、前記一次導体の近傍に取り付けられた磁場勾配センサ(4)と、
前記一次導体の第1の外側面に隣接して取り付けられた第1の横方向磁気シム(6a)と、
前記第1の外側面の反対側の、前記一次導体の第2の外側面に隣接して取り付けられた第2の横方向磁気シム(6b)と、
前記磁場勾配センサに面し、前記電流が流れる方向(Z)に本質的に平行に延在する、前記第1および第2の磁気シムの主要内部表面(10)と、
を含み、
前記電流変換器は、
前記第1の横方向シムと前記第2の横方向シムとの間に延在する、前記一次導体の第3の外側面に隣接して取り付けられたロゴスキーコイルの第1の分岐と、
前記第1の横方向シムと前記第2の横方向シムとの間に延在する、前記一次導体の前記第3の外側面の反対側の第4の外側面に隣接して取り付けられたロゴスキーコイルの第2の分岐と、
をさらに含むことを特徴とする、電流変換器。
(2) 実施態様1に記載の電流変換器において、
前記磁気シムは、実質的に平面である、電流変換器。
(3) 実施態様1または2に記載の電流変換器において、
前記磁気シムは、前記勾配測定方向(Y)に実質的に平行に配列されている、電流変換器。
(4) 実施態様1から3のいずれかに記載の電流変換器において、
前記一次導体のセクションは、前記電流変換器に組み込まれたソリッドバスバーのセクションの形態である、電流変換器。
(5) 実施態様1から4のいずれかに記載の電流変換器において、
前記ソリッドバスバーの前記セクションは、相対する前記第1の外側面と前記第2の外側面との間の幅Wと、相対する前記第3の外側面と前記第4の外側面との間の高さHと、を画定する非円形の形状を有し、前記高さは、前記幅よりも小さく、H<Wである、電流変換器。
【0059】
(6) 実施態様1から5のいずれかに記載の電流変換器において、
前記ソリッドバスバーの前記セクションは、実質的に長方形の形状を有する、電流変換器。
(7) 実施態様1から6のいずれかに記載の電流変換器において、
前記磁場勾配センサは、前記電流が流れる方向(Z)を横切る第1の磁場方向(Xa)において磁束を感知するように方向付けられた第1の磁場検出器(4a)と、前記第1の磁場方向に平行であるが逆である第2の磁場方向(Xb)において磁束を感知するように方向付けられた第2の磁場検出器(4b)と、を含み、前記第1および第2の磁場検出器は、前記勾配測定方向(Y)に沿って非ゼロ距離だけ離れている、電流変換器。
(8) 実施態様7に記載の電流変換器において、
前記少なくとも第1および第2の磁場検出器(4a、4b)は、前記一次導体の前記セクションの相対する第1および第2の外側面に位置付けられている、電流変換器。
(9) 実施態様1から8のいずれかに記載の電流変換器において、
前記磁場勾配センサは、前記一次導体の前記セクションの2つの部分(2a、2b)の中間のスロット(3)内に位置付けられ、前記スロットは、前記第1の側面と前記第2の側面との間に延在する、電流変換器。
(10) 実施態様9に記載の電流変換器において、
前記第1および第2の磁場検出器は、単一の構成要素、例えば単一のASIC内に形成されている、電流変換器。
【0060】
(11) 実施態様1から10のいずれかに記載の電流変換器において、
前記磁気シムの高さ(Hm)が、前記一次導体のソリッドバスバーの前記セクションの高さ(H)の少なくとも2倍である、電流変換器。
(12) 電流変換器において、
一次導体(2)のセクションと、
下方周波数範囲で前記一次導体を流れる一次電流を測定するように構成された第1の磁場感知システムと、
前記下方周波数範囲よりも高い周波数を有する、上方周波数範囲で前記一次電流を測定するように構成された前記一次導体を取り囲むロゴスキーコイルと、
を含み、
前記第1の磁場感知システムは、前記一次導体の前記セクションの2つの部分(2a、2b)の中間のスロット(3)内に取り付けられた磁場勾配センサ(4)を含み、
前記磁場勾配センサは、前記一次電流(I)の流れの方向(Z)を横切る勾配測定方向(Y)における磁場勾配を測定するように構成されていることを特徴とする、電流変換器。
(13) 実施態様12に記載の電流変換器において、
前記一次導体のセクションは、前記電流変換器に組み込まれたソリッドバスバーのセクションの形態である、電流変換器。
(14) 実施態様13に記載の電流変換器において、
前記ソリッドバスバーの前記セクションは、相対する前記第1の外側面と前記第2の外側面との間の幅Wと、相対する前記第3の外側面と前記第4の外側面との間の高さHと、を画定する非円形の形状を有し、前記高さは、前記幅よりも小さく、H<Wである、電流変換器。
(15) 実施態様14に記載の電流変換器において、
前記ソリッドバスバーの前記セクションは、実質的に長方形の形状を有する、電流変換器。
【0061】
(16) 実施態様12から15のいずれかに記載の電流変換器において、
前記磁場勾配センサは、前記電流が流れる方向(Z)を横切る第1の磁場方向(Xa)において磁束を感知するように方向付けられた第1の磁場検出器(4a)と、前記第1の磁場方向に平行であるが逆である第2の磁場方向(Xb)において磁束を感知するように方向付けられた第2の磁場検出器(4b)と、を含み、前記第1および第2の磁場検出器は、前記勾配測定方向(Y)に沿って非ゼロ距離だけ離れている、電流変換器。
(17) 実施態様12から16のいずれかに記載の電流変換器において、
前記磁場勾配センサは、単一の構成要素、例えば単一のASIC内に形成されている、電流変換器。
(18) 実施態様12から17のいずれかに記載の電流変換器において、
前記磁気シムの高さ(Hm)が、前記一次導体のソリッドバスバーの前記セクションの高さ(H)の少なくとも2倍である、電流変換器。
(19) 電流変換器において、
一次導体(2)のセクションと、
前記一次導体を流れる一次電流(I)の測定を可能にする、前記一次電流(I)の流れの方向(Z)を横切る勾配測定方向(Y)における磁場勾配を測定するように構成された、前記一次導体の前記セクションの2つの部分(2a、2b)の中間のスロット(3)内に取り付けられた磁場勾配センサ(4)と、
前記一次導体の第1の外側面に隣接して取り付けられた第1の横方向磁気シム(6a)と、
前記第1の外側面の反対側の、前記一次導体の第2の外側面に隣接して取り付けられた第2の横方向磁気シム(6b)と、
前記磁場勾配センサに面し、前記電流が流れる方向(Z)に本質的に平行に延在する、前記第1および第2の磁気シムの主要内部表面(10)と、
を含み、
前記第1および第2の横方向磁気シムは実質的に平行であり、
前記磁気シムは、前記スロット内の前記一次電流によって生成される磁束密度を増大させることなく外部磁場勾配の影響を減衰させるように配列されている、電流変換器。
(20) 実施態様19に記載の電流変換器において、
前記磁気シムは、本質的に平面である、電流変換器。
【0062】
(21) 実施態様19または20に記載の電流変換器において、
前記一次導体のセクションは、前記電流変換器に組み込まれたソリッドバスバーのセクションの形態である、電流変換器。
(22) 実施態様21に記載の電流変換器において、
前記ソリッドバスバーの前記セクションは、相対する前記第1の外側面と前記第2の外側面との間の幅Wと、相対する前記第3の外側面と前記第4の外側面との間の高さHと、を画定する非円形の形状を有し、前記高さは、前記幅よりも小さく、H<Wである、電流変換器。
(23) 実施態様22に記載の電流変換器において、
前記ソリッドバスバーの前記セクションは、実質的に長方形の形状を有する、電流変換器。
(24) 実施態様19から23のいずれかに記載の電流変換器において、
前記磁場勾配センサは、前記電流が流れる方向(Z)を横切る第1の磁場方向(Xa)において磁束を感知するように方向付けられた第1の磁場検出器(4a)と、前記第1の磁場方向に平行であるが逆である第2の磁場方向(Xb)において磁束を感知するように方向付けられた第2の磁場検出器(4b)と、を含む、電流変換器。
(25) 実施態様24に記載の電流変換器において、
前記第1および第2の磁場検出器は、前記勾配測定方向(Y)に沿って非ゼロ距離だけ離れている、電流変換器。
【0063】
(26) 実施態様19から25のいずれかに記載の電流変換器において、
前記磁場勾配センサは、単一の構成要素、例えば単一のASICの形態である、電流変換器。
(27) 実施態様19から26のいずれかに記載の電流変換器において、
前記磁気シムの高さ(Hm)が、前記一次導体のソリッドバスバーの前記セクションの高さ(H)の少なくとも2倍である、電流変換器。
【図面の簡単な説明】
【0064】
図1a】従来のデザインの一次導体および磁場勾配センサの簡略断面図である。
図1b】従来のデザインの一次導体および磁場勾配センサの簡略断面図である。
図2a】本発明のある実施形態による、磁場勾配センサを有する、一次導体および電流変換器の簡略図である。
図2b図2aの線IIb-IIbを通る断面図である。
図3a】本発明の別の実施形態による、磁場勾配センサを有する、一次導体および電流変換器の簡略図である。
図3b図3aの線IIIb-IIIbを通る断面図である。
図4図3bの変形例による、磁場勾配センサを有する、一次導体および電流変換器の断面図である。
図5a】本発明の別の実施形態による、磁場勾配センサを有する、一次導体および電流変換器の簡略図である。
図5b図5aの線Vb-Vbを通る断面図である。
図6】本発明の別の実施形態による、磁場勾配センサを有する、一次導体および電流変換器の簡略断面図である。
図7図7aは、(従来技術による)間隙によって分離された2つのセクションを有する一次導体の周りの磁力線を示し、図7bは、本発明のある実施形態による間隙によって分離された2つのセクションを有する一次導体の周りの磁力線の同様の図であり、図7cおよび図7bは、図7aおよび図7cの一次導体の間隙の中心におけるy軸に沿った位置に対する磁束密度(図7c)またはdBx/dy(図7d)のグラフである。
図8図8aおよび図8cは、外部導体の磁力線と、図7aの従来の配置に対するその効果とを示し、図8bおよび図8dは、外部導体の磁力線と、図7bの本発明のある実施形態による配置に対するその効果とを示す。
図9図9aおよび図9bは、図8a~図8dの一次導体の間隙の中心におけるy軸に沿った位置に対する磁束密度(図9a)またはdBx/dy(図9b)のグラフである。
図1a
図1b
図2a
図2b
図3a
図3b
図4
図5a
図5b
図6
図7
図8
図9