(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-11
(45)【発行日】2022-03-22
(54)【発明の名称】ワイパーブレード用エンドピース
(51)【国際特許分類】
B60S 1/38 20060101AFI20220314BHJP
【FI】
B60S1/38 Z
(21)【出願番号】P 2019558475
(86)(22)【出願日】2018-04-19
(86)【国際出願番号】 EP2018060093
(87)【国際公開番号】W WO2018197340
(87)【国際公開日】2018-11-01
【審査請求日】2021-03-16
(32)【優先日】2017-04-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】512092737
【氏名又は名称】ヴァレオ システム デシュヤージュ
【氏名又は名称原語表記】VALEO SYSTEMES D’ESSUYAGE
(74)【代理人】
【識別番号】100091982
【氏名又は名称】永井 浩之
(74)【代理人】
【識別番号】100091487
【氏名又は名称】中村 行孝
(74)【代理人】
【識別番号】100105153
【氏名又は名称】朝倉 悟
(74)【代理人】
【識別番号】100127465
【氏名又は名称】堀田 幸裕
(74)【代理人】
【識別番号】100164688
【氏名又は名称】金川 良樹
(72)【発明者】
【氏名】ギョーム、バレ
(72)【発明者】
【氏名】グザビエ、ブセ
(72)【発明者】
【氏名】ドニ、テボー
【審査官】鈴木 貴晴
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-043351(JP,A)
【文献】特表2011-500429(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0304062(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2016/0304060(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2012/0124767(US,A1)
【文献】特開2012-136150(JP,A)
【文献】特表2007-532381(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60S 1/00- 1/68
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
底壁(21)とワイパー
ブレード(1)の構造要素(6)をエンドピース(8)に挿入するための入口(41)との間で長手方向に延びる、ワイパーブレード(1)用のエンドピース(8)であって、
前記エンドピース(8)は、ワイパーゴム(5)を受容するように構成された少なくとも1つの第1ハウジング(12)と、前記構造要素(6)を受容するように適合された第2ハウジング(19)と、前記エンドピース(8)を前記構造要素(6)に取り付けるための
取付手段(16)が内部で延びる第3ハウジング(13)と、を含み、
前記第1ハウジング(12)及び前記第2ハウジング(19)
が、前記エンドピース(8)の長手方向平面(P)において上下に配置され
る、エンドピース(8)において、
前記取付手段(16)は、前記長手方向平面(P)に対して平行な鉛直方向軸(Z’)を中心として可撓性であるラグ(22)を含み、
前記可撓性のラグ(22)は「L」字形状
であり、前記「L」字形状を形成する2つの枝部を有し、前記2つの枝部のうちの少なくとも一方の枝部(30、31)が前記第3ハウジング(13)を画定する縁部(39)に向かって延びる、
エンドピース(8)。
【請求項2】
前記縁部(39)に向かって延びる前記可撓性のラグ(22)の
前記「L」字形状を形成する前記2つの枝部のうちの少なくとも一方の枝部(30、31)の自由
端は、前記縁部(39)により画定される前記第3ハウジング(13)の開口(14)が位置する平面と同一平面にある、
請求項1に記載のエンドピース(8)。
【請求項3】
前記第3ハウジング(13)の前記開口(14)は、
エンドピース(8)における前記第1ハウジング(12)を画定する
壁(15)に存在する、
請求項2に記載のエンドピース(8)。
【請求項4】
前記可撓性のラグ(22)の
前記「L」字形状を形成する前記2つの枝部のうちの一方の枝部(30、31)は、少なくとも部分的に前記第2ハウジング(19)内で延びる、
請求項1から3のいずれか一項に記載のエンドピース(8)。
【請求項5】
前記可撓性のラグ(22)の
前記「L」字形状を形成する前記2つの枝部のうちの一方の枝部(30、31)は、前記第2ハウジング(19)を部分的に画定する側部(25)
と接続し、
前記可撓性のラグ(22)の
前記「L」字形状を形成する前記2つの枝部のうちの他方の枝部(30、31)は、前記第3ハウジング(13)内で前記第1ハウジング(12)に沿って延びる、
請求項1から4のいずれか一項に記載のエンドピース(8)。
【請求項6】
前記可撓性のラグ(22)の
前記「L」字形状を形成する前記2つの枝部(30、31)のうちの大きい方の枝部(30)は、前記第2ハウジング(19)を部分的に画定する前記側部(25)
と接続し、
前記可撓性のラグ(22)の
前記「L」字形状を形成する前記2つの枝部(30、31)のうちの小さい方の枝部(31)は、前記第3ハウジング(13)を画定する前記縁部(39)に向かって配向される、
請求項5に記載のエンドピース(8)。
【請求項7】
前記エンドピース(8)の本体(18)と前記取付手段(16)とは、一体である、
請求項
1から6のいずれか一項に記載のエンドピース(8)。
【請求項8】
前記エンドピース(8)の前記本体(18)は、ワイパーブレード(1)のエアデフレクタ(4)を受容するように構成される、
請求項
7に記載のエンドピース(8)。
【請求項9】
ワイパーゴム(5)と、少なくとも1つの構造要素(6)と、請求項1から8のいずれか一項に記載の少なくとも1つのエンドピース(8)と、を含むワイパーブレード(1)であって、
前記ワイパーゴム(5)及び前記構造要素(6)は、主として長手方向軸(X)に沿って延び、
前記構造要素(6)は、当該構造要素(6)の少なくとも1つの長手方向端部に少なくとも1つのノッチ(17)を含み、
前記ノッチ(17)は、前記エンドピース(8)の前記取付手段(16)と協働する、
ワイパーブレード(1)。
【請求項10】
前記ワイパーブレード(1)の各長手方向端部(7)に配置された2つのエンドピース(8)を含む、
請求項9に記載のワイパーブレード(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の分野は、自動車両に装備することを意図したワイパーシステムの分野である。本発明は、この種のワイパーシステムのワイパーブレードの一端に配置されることが意図されたエンドピース(端部部品)からなる。
【背景技術】
【0002】
自動車両には、通常、自動車両のドライバーの周囲環境の視界を妨げ得る液体や汚れを払拭することが意図されたワイパーシステムが装備されている。このような窓ガラスワイパーは、一般に、回転軸を中心とした角度的往復運動を実施する駆動アームと、弾性材料から構成されたワイパーゴムを有する細長いワイパーブレードと、を含んでいる。自動車両のフロントガラス面又はリアガラス面に摩擦接触することにより、ワイパーゴムはガラス面上の水分や汚れを払拭し、ドライバーの視界からそれらを除去する。
【0003】
ワイパーブレードの構成がどのようなものであっても、すなわち、ワイパーゴムを複数の別個のゾーンに保持する関節ブラケットを含むワイパーブレードであっても、「フラットブレード」としても知られるワイパーゴムをその全長に亘って保持する少なくとも1つの構造要素を含むワイパーブレードであっても、ワイパーブレードは、駆動アームの端部部品に、ワイパーブレードに装着固定されたコネクタを含む接続装置によって取り付けられる。
【0004】
「フラットブレード」の変形例であるワイパーブレードの各長手方向端部には、ワイパーゴムと構造要素とを互いに固定した状態に維持することに寄与するエンドピースが設けられる。
【0005】
このようなエンドピースは、従来的に、ワイパーゴムの一部を受容するように構成されたスペースと、構造要素を受容するように構成された別のスペースと、エンドピースを構造要素上の所定位置に保持するための部材と、を含んでいる。
【0006】
エンドピースを構造要素上の所定位置に保持するための部材は、その主たる機能を果たすように、少なくとも部分的に別のスペース内で、すなわち構造要素を受容するように構成されたスペース内で延びていることが明瞭である。そして、保持部材は、エンドピースの実質的に中心に配置される。したがって、この保持部材は、前記エンドピースの外面のうちの一方又は他方からも遠い。
【0007】
この解決策の欠点は、本保持部材がエンドピースの内側に配置されるという点にある。これにより、例えば、ユーザがワイパーブレード全体ではなくワイパーゴムを交換するためにこれを取り外したく思っても、アクセスしにくい。この結果、エンドピースを外す必要がある場合、ユーザはこのエンドピースを取り外すためにツールを使用しなければならない。
【0008】
機械的な機能の他に、エンドピースにはワイパーブレードの端部を見えないようにする審美的機能を有し得る。この機能を果たすように、好適には、このエンドピースの下部、すなわち払拭すべきガラス面に対面するこのエンドピースの一部を介してアクセス可能な状態で、エンドピース保持部材をエンドピースの内部に隠すようにしてもよい。
【0009】
この解決策にも、ユーザが保持部材にアクセスしにくいという欠点がある。
【発明の概要】
【0010】
したがって、本発明の目的は、エンドピースを保持するための部品を含むワイパーブレード用のエンドピースを提案することである。本エンドピースは、アクセスはしにくいものの必要に応じて容易に作動可能であり、特にツールを使用せずに取り外すことができる。
【0011】
したがって、本発明の1つの主題は、底壁とワイパーの構造要素をエンドピースに挿入するための入口との間で長手方向に延びる、ワイパーブレード用のエンドピースであって、前記エンドピースは、ワイパーゴムを受容するように構成された少なくとも1つの第1ハウジングと、前記構造要素を受容するように構成された第2ハウジングと、前記エンドピースを前記構造要素に取り付けるための手段が内部で延びる第3ハウジングと、を含み、前記第1ハウジング及び前記第2ハウジングは、前記エンドピースの長手方向平面において上下に配置されるエンドピースに関する。
【0012】
本発明によれば、前記取付手段は、前記長手方向平面に対して平行な又は実質的に平行な鉛直方向軸を中心として可撓性であるラグを含み、前記可撓性ラグは「L」字形状を有し、その少なくとも一方の枝部が前記第3ハウジングを画定する縁部に向かって延びる点において、前記エンドピースは評価され得る。
【0013】
本発明によるエンドピースは、主として長手方向軸に沿って延びる。長手方向平面は、エンドピースの最大寸法に沿って延びる平面である。したがって、エンドピースの長手方向軸は、第1ハウジング及び第2ハウジングに交差する平面であるこの長手方向平面に位置している。
【0014】
第2ハウジングが水平方向平面において延びる場合、長手方向平面は、鉛直方向の 長手方向平面、すなわち、第2ハウジングの水平方向平面に対して垂直な平面であってもよい。
【0015】
本発明によれば、可撓性ラグの枝部のうちの一方は、エンドピースの長手方向軸に対して平行な長手方向において延び、他方の枝部は長手方向に対して垂直に又は実質的に垂直に第3ハウジングを部分的に画定する縁部に向かって延びる。より正確には、この他方の枝部は、第3ハウジングの開口を画定する縁部に向かって延びる。特に、この開口により、ユーザは取付手段に容易にアクセス可能となる。
【0016】
例えば、可撓性ラグの大きい方の枝部が長手方向に延びてもよく、可撓性ラグの小さい方の枝部が第3ハウジングの開口を画定する縁部に向かって延びてもよい。別の例によれば、可撓性ラグのより小さい枝部が長手方向に延びてもよく、可撓性ラグの大きい方の枝部が第3ハウジングの開口を画定する縁部に向かって延びてもよい。
【0017】
本発明の1つの特徴によれば、縁部に向かって延びる可撓性ラグの枝部の自由端は、縁部によって画定される第3ハウジングの開口が位置する平面と同一平面にある。
【0018】
本発明の1つの特徴によれば、可撓性ラグは、エンドピースを構造要素から解放できるように構成された保持ゾーンを含み、この保持ゾーンは、可撓性ラグの枝部のうちの一方の自由端によって形成される。この保持ゾーンは、第3セグメントの開口を画定する縁部に向かって延びる枝部の自由端によって形成される。
【0019】
したがって、可撓性ブレードの形状と第3ハウジングの開口に向かってそれが配向されていることとの組み合わせによって、ユーザはツールを使用する必要なく、エンドピースをこれが組み込まれることが意図されたワイパーブレードから取り外すことができることが明瞭である。
【0020】
本発明の一態様によれば、エンドピースの第1ハウジング及び第2ハウジングは、共通の中間壁を有する。この中間壁は、エンドピースの後壁から出現するとともに、主に長手方向延在平面において、すなわち、エンドピースの長手方向軸が位置する平面において延びる。
【0021】
本発明の1つの特徴によれば、第2ハウジングは、エンドピースの中央位置に作製される。したがって、この第2ハウジングは、エンドピースの下壁から、及びエンドピースの上壁から実質的に等しい距離に配置される。この下壁及び上壁は、エンドピースの後壁から出現して、第1ハウジングを第2ハウジングから分離する中間壁に対して平行に延びる。下壁は第1ハウジングの画定に寄与し、上壁は第2ハウジングの画定に寄与する。
【0022】
第3ハウジングの開口は、例えば、第1ハウジングを画定する壁のうちの1つに存在し得る。この開口は、有利には、エンドピースの下壁に存在する。
【0023】
本発明によれば、可撓性ラグの一方の枝部は、少なくとも部分的に第2ハウジング内で延びる。例えば、可撓性ラグの一方の枝部は、第2ハウジングを部分的に画定する側部を延長し、可撓性タグの他方の枝部は、第3ハウジング内で第1ハウジングに沿って延びる。後者の枝部は、第3ハウジングの開口を画定する縁部に向かって延びる枝部である。可撓性ラグのこの他方の枝部が、第1ハウジングに沿って、当該ラグがその周囲で可撓性である鉛直方向軸に対して平行な方向において延びることが明瞭である。
【0024】
本発明の一実施形態によれば、可撓性ラグの大きい方の枝部は、第2ハウジングを部分的に画定する側部を延長し、可撓性ラグの小さい方の枝部は、第3ハウジングを画定する縁部に向かって配向される。
【0025】
本発明の他の実施形態によれば、可撓性ラグの小さい方の枝部は、第2ハウジングを部分的に画定する側部に沿って延び、可撓性ラグの大きい方の枝部は、第3ハウジングを画定する縁部に向かって配向される。
【0026】
本発明の一実施形態によれば、第3ハウジング内で延びる取付手段は第1取付手段であり、エンドピースは、エンドピースを構造要素に取り付けるための第2手段が内部で延びる第4ハウジングを含む。この第2取付手段は、可撓性タングを含む。可撓性タングは、第1ハウジング及び第2ハウジングが位置する長手方向鉛直平面に対して平行な軸を中心として可撓性である。この可撓性タングは、「L」字形状を有し、その少なくとも一方の枝部が第4ハウジングを画定する縁部に向かって延び、第3ハウジング及び第4ハウジングは、第1ハウジング及び第2ハウジングの両側にそれぞれ存在する。
【0027】
本実施形態によれば、エンドピースは、カバーすることが意図されている構造要素の長手方向端部のそれぞれに交換可能に配置され得る。これにより、ユーザは、特定のエンドピースを構造要素の任意の長手方向端部に合わせる必要がない。
【0028】
本実施形態によれば、2つの開口がエンドピースの下壁に形成され、第1開口が第3ハウジングに関連付けられ、第2開口が第4ハウジングに関連付けられる。可撓性ラグの枝部のうちの一方の自由端は、第1開口を画定する縁部が位置する第1平面と同一平面にあり、可撓性タングの枝部のうちの一方の自由端は、第2開口を画定する縁部が位置する第2平面と同一平面にある。当該第1平面及び当該第2平面は、一致しても異なってもよい。第1開口及び第2開口の両者は、同一の壁に形成される。
【0029】
第2発明の1つの特徴によれば、エンドピースの本体と少なくとも1つの取付手段とは、一体である。すなわち、同一材料から作製される。
【0030】
このエンドピースは、例えば合成材料から構成され得る。
【0031】
「エンドピースの本体」とは、ハウジングを除く、取付手段に関与しないエンドピースの全ての部品を意味する。換言すれば、第1ハウジングと、第2ハウジングと、第3ハウジングと、取付手段とが、エンドピースの本体に形成される。
【0032】
エンドピースが第2取付手段を含む実施形態において、2つの取付手段は、エンドピースの本体と一体であることが明瞭である。
【0033】
本発明の1つの特徴によれば、エンドピースの本体は、ワイパーブレードのエアデフレクタを受容するように構成されてもよい。
【0034】
また、本発明は、ワイパーゴムと、少なくとも1つの構造要素と、本発明による少なくとも1つのエンドピースと、を含むワイパーブレードであって、前記ワイパーゴム及び前記構造要素は、主として長手方向軸に沿って延び、前記構造要素は、当該構造要素の少なくとも1つの長手方向端部に少なくとも1つのノッチを含み、前記ノッチは、前記エンドピースの前記取付手段と協働するワイパーブレードに関する。
【0035】
本発明の一態様によれば、ワイパーブレードは、各長手方向端部に配置された2つのエンドピースを含んでもよい。
【0036】
「ワイパーブレードの長手方向端部」という表現は、ワイパーゴムの長手方向端部及び構造要素の長手方向端部の両方に及ぶ。
【0037】
更に、本発明は、本発明による少なくとも1つのワイパーブレードを含む自動車両用のワイパーシステムであって、当該ワイパーブレードは接続装置によって駆動アームに接続されるワイパーシステムを含む。
【0038】
他の詳細、特徴及び利点は、以下の図面に示す種々の実施形態を参照しつつ例示としてなされる以下の詳細な説明を読むことでより明確になるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【
図1】本発明による少なくとも1つのエンドピースを含むワイパーシステムの概略図。
【
図2】ワイパーブレードのエンドピース及びエンドピースに受容することが意図された構造要素の下方からの斜視図。
【
図4】長手方向断面、本例において鉛直方向断面における本発明によるエンドピースの斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0040】
図において、長手(方向)、横手(方向)、鉛直(垂直)(方向)、側(方)、左(側)(方)、右(側)(方)、上(方)、下(方)という用語は、図に1に示すワイパーブレード1の軸Oxyzの正規直交系における配向を指す。この軸系において、軸Oxは、対象となる物体、具体的にはワイパーブレードのエンドピースの長手方向を示し、軸Oyは横手方向を示し、軸Ozは鉛直方向を示す。この軸系において、鉛直方向の長手方向平面は平面Oxzに対して平行であり、鉛直方向の横手方向面は平面Oyzに対して平行であり、水平方向の長手方向断面は平面Oxyに対して平行である。
【0041】
図1において、本発明によるワイパーブレード1は、軸Oxに平行な長手方向軸Xに沿って延びている。左及び右という用語は、長手方向軸Xの両側の軸Oyに平行な横手軸Yに沿った位置に関する。鉛直方向軸Zは、上述の長手方向及び横手方向に垂直な軸Ozに対して平行な鉛直方向を示す。上方及び下方という用語は、鉛直方向軸Zに沿った配向に関し、下方という用語は窓ガラスの平面を含む。長手方向に関して、外方及び内方という用語は、ワイパーブレード1がワイパーブレード1の駆動アーム2上で枢動する点を指す。内方という用語は、駆動アーム2及び一方の半体ブレードが延びる部分に対応し、外方という用語は、他方の半体ブレードが延びる部分に対応する。
【0042】
自動車両には、通常、ガラス面、具体的には自動車両のリアウィンドウ、又は前方の窓ガラス面に存在する水分及び/又は汚れを除去するためのワイパーシステム3が装備されている。ワイパーシステム3は、窓ガラス面に沿ってその上を角度的往復運動を実施することができる駆動アーム2を含む。
【0043】
また、ワイパーシステム3は、長手方向軸Xに沿って延びるワイパーブレード1を含む。ワイパーブレード1は、長手方向軸Xに沿って延びるワイパーゴム5と、少なくとも1つのエアデフレクタ4と、を含む。エアデフレクタ4は、ガラス面に沿った空気流により加えられる圧力を、ワイパーブレード1を自動車両のガラス面に押し付ける力に変換するように適合されている。
【0044】
ワイパーゴム5は、ガラス面に直接接触してガラス面に存在する水分及び/又は汚れを除去する、ワイパーブレード1の部品である。ワイパーゴム5は、例えば、特にポリマー又はゴム等の弾性材料から構成される柔軟なゴムである。
【0045】
また、ワイパーブレード1は、ワイパーブレード1に平面Oxzにおいて特定の変形を与えることにより、駆動アーム2の支持力をワイパーブレードに沿って分配してガラス面の曲率に追従させる構造要素6を含む。
【0046】
構造要素6は、スパインとも称される長手方向軸Xに沿って延びる金属ストリップであり得る。この種の1つのスパインが存在し得るが、構造要素6は、平面Oxyにおいて並んで配置されるこのようなスパインの2つを同様に含み得る。
【0047】
図2に示すように、同様に、構造要素6は、長手方向チャネルが形成された支持体11であって、このチャネルに単一の金属ストリップ6aが通される支持体11のアセンブリであり得る。このような状態において、支持体11は、ワイパーゴム5をそのヒール5aによって保持する2つのフックを含み得る。こうして、支持体11は、ワイパーブレード5と金属ストリップ6aとの機械的接続を提供する。
【0048】
図1及び2を参照すると、ワイパーブレード1は、その各長手方向端部7においてエンドピース(端部部品)8も含んでいる。各エンドピース8は、ワイパーゴム5と構造要素6とを一緒に保持するように適合されているとともに、この種のエンドピース8は、例えばエアデフレクタ4の端部分を覆うように適合されている。したがって、構造要素6は、ワイパーブレード1の第1長手方向端部7から、同一のワイパーブレード1の第2長手方向端部7まで延びている。
【0049】
エアデフレクタ4とワイパーブレード5と構造要素6とは、半剛性構造体9を形成している。半剛性構造体9は、駆動アーム2の端部分と半剛性構造体9との間に配置された接続装置10に支承されている。この種の接続装置10は、例えば、半剛性構造体9に少なくとも等方的に固定されたコネクタと、枢動接続によってコネクタに接続されたアダプタとを含む。
【0050】
図2は、ワイパーシステム3に組み込まれることが意図されたワイパーブレード1の長手方向端部7の一方と、ワイパーブレード1の当該長手方向端部7に組み付けられることが意図されたエンドピース8とを示す。
【0051】
上述のように、ワイパーブレードは、ワイパーゴム5と、構造要素6と、エアデフレクタ4とを含む。この構造要素6及びエアデフレクタ4は、図示例において、支持体11によってともに保持されている。
図2に示すように、構造要素6の長手方向端部及びワイパーゴム5の長手方向端部は、支持体11を超えて長手方向に延びている。したがって、エンドピース8の装着前において、これらの要素の長手方向端部7はフリーである。
【0052】
上述のように、エンドピース8は、少なくともワイパーゴム5を構造要素6に長手方向端部7のレベル(位置、高さ)で保持するように構成されている。換言すれば、エンドピース8は、ワイパーブレードの長手方向端部7のレベル(位置、高さ)において支持体11として機能する。
【0053】
エンドピース8は、主として長手方向軸Xに沿って、後壁21と入口41との間で延びている。この入口41を介して、ワイパーブレードの構造要素6はエンドピース8に入り、専用のハウジングに収容される。以下、このハウジングを第2ハウジング19と称する。
【0054】
エンドピース8は、ワイパーブレード1のワイパーゴム5を受容するように構成された少なくとも1つの第1ハウジング12と、構造要素6、具体的にはスパインの端部分を受容するように構成された、
図2では見えない少なくとも1つの第2ハウジングとを含む。第1ハウジング12に対面して、エンドピース8の下壁15はスロット33を有し、このスロット33を介してワイパーゴム5が第1ハウジング12内に導入される。このスロット33は、ワイパーゴム5を第1ハウジング12に保持するように構成された2つのフック40によって画成されている。これら2つのフック40は、より具体的には、ワイパーゴム5のヒール5aを把持するように構成されている。
【0055】
図示のように、エンドピース8は、ワイパーブレード1の長手方向端部7上を、エンドピース8の長手方向軸Xに平行な方向Sにおいて摺動する。
【0056】
図2に示すように、エンドピース8は、第3ハウジング13を更に含んでいる。第3ハウジング13は、エンドピース8の下壁15の開口14によって画成されるとともに、縁部39によって画定されている。この開口14は、エンドピース8を構造要素6に取り付けるための取付手段16を露出させている。
【0057】
特に
図3及び4を参照して以下で詳述するこの取付手段16は、構造要素6に形成されたノッチ17に収容されるように構成されている。図示のように、このノッチ17は、構造要素6の一方の長手方向縁部から始まる(延びる)ように作製されている。
【0058】
また、エンドピース8は、下壁15を貫通して開口するとともにエンドピース8の長手方向端部まで延びる空隙36を含む。したがって、この空隙36の出口は4つの縁部37によって画定されている。これらの縁部37は、ワイパーブレード1、より具体的にはワイパーブレード1の支持体11に対するストッパ(受け部)として機能する。
【0059】
したがって、この間隙36は、エンドピース8の上壁24を露出させる。
【0060】
図3及び4を参照して、エンドピース8をより詳細に説明する。
図3は、ワイパーブレードの接続装置から見たエンドピース8の図である。
図4は、平面Oxzに平行な長手方向平面、特に鉛直方向平面Pにおける当該エンドピース8の斜視断面図である。
【0061】
一般的に、エンドピース8は、本体18から形成されている。本体18内に、ワイパーゴムを受容するように構成された第1ハウジング12と、構造要素を受容するように構成された第2ハウジング19と、エンドピース8を構造要素に取り付けるための取付手段16が内部で延びる第3ハウジング13とが形成されている。
【0062】
図3に示すように、第1ハウジング12及び第2ハウジング19は、長手方向軸Xに対して平行に延びるとともに鉛直方向に並んで配置されている。換言すれば、第1ハウジング12及び第2ハウジング19は、各ハウジングに交差する長手方向平面Pにおいて上下にまっすぐに配置される。したがって、当該第1ハウジング12及び当該第2ハウジング19は、共通の中間壁20を有する。この中間壁20は、エンドピース8の後壁21と一体であり、軸の正規直交系の平面Oxyに対して平行な長手方向に延びる面に存在している。
【0063】
第1ハウジング12は、中間壁20と、エンドピース8の下壁15と、当該中間壁20を当該下壁15に接続する2つの側壁23と、選択的にエンドピース8の後壁21とによって画定されている。下壁15は、エンドピース8の後壁21と一体であるとともに、中間壁20と平行に延びている。上述のように、ワイパーゴム5はスロット33を介して第1ハウジング12に導入されるが、このスロット33はエンドピース8の下壁15に存在する。当該スロット33は、ワイパーゴム5を第1ハウジング12に保持するように構成された2つのフック40によって画定されている。
【0064】
一方、第2ハウジング19は、その一部が、中間壁20と、エンドピース8の上壁24と、2つの側部25と、上壁24と一体の第1直立部26の自由端部及び同様に上壁24と一体の第2直立部27の自由端部が位置する平面と、選択的に後壁21とによって画定されている。これらの直立部26、27が互いに平行であり、第2ハウジング19に受容されることが意図された構造要素の固定を鉛直方向において、すなわち軸Ozに沿って可能とすることが明瞭である。
【0065】
第3ハウジング13は、第1ハウジング12及び第2ハウジング19の側方に、すなわち、これらハウジング12、19の右側‐又は左側‐に配置されている。この第3ハウジング13は、エンドピース8の下壁15と、上壁24と、第2ハウジング19を画定する側部25のうちの一方と、選択的に側壁28とによって画定されている。エンドピースの側壁28は、エンドピース8の上壁24を下壁15に接続している。
【0066】
上壁24は、第3ハウジング13に面する又は実質的に面する縁部面29であって、ワイパーブレードのエアデフレクタの端部分を受容するように構成された縁部面29を有することに留意されたい。図示しない本発明の一実施形態によれば、エンドピースの上壁は一定であり、このような縁部面を有していない。この場合、エンドピースは、エアデフレクタを有さないワイパーブレードに組み込まれることが意図される。
【0067】
上述のように、エンドピースを構造要素に取り付けるための取付手段16は、第3ハウジング13内で延びている。図示のように、スリーブ38もこの第3ハウジング13内で延びている。このスリーブ38は、エンドピース8の後壁21と一体であるとともに、軸の正規直交系の長手方向Oxに対して平行に延びている。このスリーブ38は、ワイパーブレードに形成された流路であって、エンドピース8を含むワイパーブレードが配置されたガラス面を洗浄する液体が通流する流路をブロックするように構成される。
【0068】
一方、取付手段16は、その一部において、鉛直方向軸Z’を中心として可撓性であるラグ22(突片)を含む。この可撓性ラグ22は「L」字形状を有し、その一方の枝部が第2ハウジング19を画定する側部25のうちの一方から長手方向に延び、他方の枝部が鉛直方向において第1ハウジング12に沿って、例えば、鉛直方向において当該第1ハウジング12の画定に寄与する側壁23に沿って延在している。
【0069】
この「L」字形状の枝部のうちの一方は、
図3及び4に示す軸の正規直交系の長手方向Oxに平行な長手方向に延びている。「L」字形状の他方の枝部は、当該長手方向に対して垂直に又は実質的に垂直に、当該軸の正規直交系の鉛直方向Ozに対して平行に、第3ハウジング13の縁部39に向かって延びている。より正確には、この他方の枝部は、エンドピース8の下壁15において第3ハウジング13の開口14を画定する縁部39に向かって延びている。
【0070】
図示のように、側部25から出現する可撓性ラグ22の枝部は、少なくとも部分的に第2ハウジング19内で延びている。したがって、ワイパーブレードの構造要素が第2ハウジングに摺動して入り込むと、可撓性ラグ22が構造要素と機械的に干渉することにより構造要素のノッチと協働できることが明瞭である。
【0071】
図3及び4に示す本発明の実施形態によれば、可撓性ラグ22の大きい方の枝部30が長手方向に延び、可撓性ラグ22の小さい方の枝部31が第3ハウジング13の開口14の縁部39に向かって延びている。特に
図4に示すように、可撓性ラグ22の小さい方の枝部31の自由端部32が、この開口14が位置する平面と同一平面にある。
【0072】
図示しない別の実施形態によれば、可撓性ラグの小さい方の枝部は長手方向に延び、可撓性ラグの大きい方の枝部は第3ハウジングの開口に向かって延びる。この大きい方の枝部の自由端は、当該開口が位置する平面と同一平面にある。
【0073】
図3及び4に示す実施形態によれば、小さい方の枝部31は、可撓性ラグ22を手で保持するためのゾーンである。したがって、この可撓性ゾーン22が構造要素のノッチに係合すると、ユーザは、エンドピース8をワイパーブレードから取り外すように可撓性ラグ22を鉛直方向軸Z’を中心として枢動させることにより、この可撓性ラグ22を容易に取り外すことができる。この取り外しを容易にすることを目的として、可撓性ラグ22をノッチから取り外すためにユーザが可撓性ラグ22を押す必要がある方向を示すように、エンドピースの下壁15に矢印を作成してもよい。
【0074】
図示しない本発明の変形実施形態によれば、エンドピースは、第1ハウジング及び第2ハウジングに対して第3ハウジングの反対側に第4ハウジングを含み得る。換言すれば、本変形実施形態によれば、第3ハウジング及び第4ハウジングは、第1ハウジング及び第2ハウジングの右側と左側とにそれぞれ存在する。本変形実施形態によれば、上述の取付手段は第1取付手段であり、第2取付手段が第4ハウジング内で延びる。この第2取付手段は、可撓性タングを含む。可撓性タングは、鉛直軸に平行な軸であって当該軸を中心として上記可撓性ラグが可動である軸を中心として可撓性である。
【0075】
本変形実施形態は、ユーザが取付手段を構造要素のノッチに一致させることを考慮する必要なく、エンドピースをワイパーブレードの任意の長手方向端部に適合させることができるという利点を有する。
【0076】
したがって、本発明は、エンドピース8をワイパーブレード1の構造要素6に取り付けるための手段16を含むワイパーブレード1用のエンドピース8を提案する。この取付手段16により、ツールを必要せずにエンドピースを簡単に取り外すことができる。
【0077】
しかしながら、本発明は本明細書で説明し図示した手段及び構成に限定されるべきではなく、同等の手段又は構成及びかかる手段の技術的に動作するあらゆる組み合わせを包含する。特に、取付手段の寸法及び配置は、それが本明細書に記載の機能を果たす限り、本発明を損なうことなく変更され得る。