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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-11
(45)【発行日】2022-03-22
(54)【発明の名称】吸収性物品の個包装体
(51)【国際特許分類】
   A61F 13/15 20060101AFI20220314BHJP
【FI】
A61F13/15 220
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2020096378
(22)【出願日】2020-06-02
(65)【公開番号】P2021186401
(43)【公開日】2021-12-13
【審査請求日】2020-06-02
(73)【特許権者】
【識別番号】000110044
【氏名又は名称】株式会社リブドゥコーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】110002837
【氏名又は名称】特許業務法人アスフィ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】武田 慎吾
(72)【発明者】
【氏名】井添 隆志
(72)【発明者】
【氏名】佐川 和貴
【審査官】佐藤 秀之
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2017/043152(WO,A1)
【文献】特開2020-048974(JP,A)
【文献】特許第5775648(JP,B1)
【文献】特開2013-048786(JP,A)
【文献】登録実用新案第3196244(JP,U)
【文献】米国特許第05462166(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61F 13/15-13/84
A61L 15/16-15/64
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
吸収性物品が包装シートで包装された吸収性物品の個包装体であって、
前記吸収性物品は、前記包装シートの内側面に重ねられて、前記包装シートとともに第1折り目と第2折り目で長手方向に折り返されて、矩形状に折り畳まれ、
前記個包装体は、長手方向の一方端縁が前記第1折り目から形成され、他方端縁が前記第2折り目から形成され、前記第1折り目と前記第2折り目の間に前記包装シートが少なくとも二重に重ねられた第1領域とそれよりも多重に重ねられた第2領域とを有し、
前記個包装体は、幅方向の一方端部と他方端部に前記包装シートどうしが溶着により接合されたシール部を有し、
前記第1領域と前記第2領域には、線状の前記シール部が長手方向に複数配置され、前記第2領域のシール部の離隔距離が前記第1領域のシール部の離隔距離よりも広く形成され、
前記第1領域の長手方向の長さをL1、前記第1領域における前記シール部の面積をS1、前記第2領域の長手方向の長さをL2、前記第2領域における前記シール部の面積をS2としたとき、S1/L1の値がS2/L2の値よりも大きいことを特徴とする吸収性物品の個包装体。
【請求項2】
吸収性物品が包装シートで包装された吸収性物品の個包装体であって、
前記吸収性物品は、前記包装シートの内側面に重ねられて、前記包装シートとともに第1折り目と第2折り目で長手方向に折り返されて、矩形状に折り畳まれ、
前記個包装体は、長手方向の一方端縁が前記第1折り目から形成され、他方端縁が前記第2折り目から形成され、前記第1折り目と前記第2折り目の間に前記包装シートが少なくとも二重に重ねられた第1領域とそれよりも多重に重ねられた第2領域とを有し、
前記個包装体は、幅方向の一方端部と他方端部に前記包装シートどうしが溶着により接合されたシール部を有し、
前記第1領域には、幅方向に対して45°以下の角度で延在する線状の前記シール部が長手方向に複数配置され、前記第2領域には、幅方向に対して45°超90°以下の角度で延在する線状の前記シール部が長手方向に複数配置され、
前記第1領域の長手方向の長さをL1、前記第1領域における前記シール部の面積をS1、前記第2領域の長手方向の長さをL2、前記第2領域における前記シール部の面積をS2としたとき、S1/L1の値がS2/L2の値よりも大きいことを特徴とする吸収性物品の個包装体。
【請求項3】
吸収性物品が包装シートで包装された吸収性物品の個包装体であって、
前記吸収性物品は、前記包装シートの内側面に重ねられて、前記包装シートとともに第1折り目と第2折り目で長手方向に折り返されて、矩形状に折り畳まれ、
前記個包装体は、長手方向の一方端縁が前記第1折り目から形成され、他方端縁が前記第2折り目から形成され、前記第1折り目と前記第2折り目の間に前記包装シートが少なくとも二重に重ねられた第1領域とそれよりも多重に重ねられた第2領域とを有し、
前記個包装体は、幅方向の一方端部と他方端部に前記包装シートどうしが溶着により接合されたシール部を有し、
前記第1領域には、線状の前記シール部が長手方向に複数配置され、前記第2領域には、点状の前記シール部が幅方向と長手方向に複数配置され、
前記第1領域の長手方向の長さをL1、前記第1領域における前記シール部の面積をS1、前記第2領域の長手方向の長さをL2、前記第2領域における前記シール部の面積をS2としたとき、S1/L1の値がS2/L2の値よりも大きいことを特徴とする吸収性物品の個包装体。
【請求項4】
吸収性物品が包装シートで包装された吸収性物品の個包装体であって、
前記吸収性物品は、前記包装シートの内側面に重ねられて、前記包装シートとともに第1折り目と第2折り目で長手方向に折り返されて、矩形状に折り畳まれ、
前記個包装体は、長手方向の一方端縁が前記第1折り目から形成され、他方端縁が前記第2折り目から形成され、前記第1折り目と前記第2折り目の間に前記包装シートが少なくとも二重に重ねられた第1領域とそれよりも多重に重ねられた第2領域とを有し、
前記個包装体は、幅方向の一方端部と他方端部に前記包装シートどうしが溶着により接合されたシール部を有し、
前記第1領域には、長手方向に延びる線状の前記シール部が形成され、前記第2領域には、前記第1領域のシール部よりも狭い幅で長手方向に延びる線状の前記シール部が形成され、
前記第1領域の長手方向の長さをL1、前記第1領域における前記シール部の面積をS1、前記第2領域の長手方向の長さをL2、前記第2領域における前記シール部の面積をS2としたとき、S1/L1の値がS2/L2の値よりも大きいことを特徴とする吸収性物品の個包装体。
【請求項5】
幅方向の一方端部の前記シール部と他方端部の前記シール部は、長手方向に対して互いに略対称に形成されている請求項1~のいずれか一項に記載の吸収性物品の個包装体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、尿パッド(軽失禁パッドを含む)や生理用ナプキン等の吸収性物品が包装シートで包装された吸収性物品の個包装体に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、吸収性物品が包装シートとともに折り畳まれた吸収性物品の個包装体が知られている。吸収性物品の個包装体には通常、幅方向の両端部に包装シートどうしが接合されたシール部が形成され、これにより個包装体の包装状態が維持される。例えば特許文献1には、個包装体のシール部が複数の接合部から構成され、各接合部が包装シートの長手方向に平行な辺と包装シートの長手方向に対して傾斜した辺とを有するように形成された吸収性物品の個包装体が開示され、特許文献2には、個包装体のシール部が、幅方向の内方側の弱接合部とその外方側の強接合部とを有するように形成された吸収性物品の個包装体が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2007-268015号公報
【文献】特開2006-325933号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
吸収性物品の個包装体は、包装シートによる包装状態が安定して維持されるとともに、吸収性物品を個包装体から取り出す際は、包装シートを容易に開封できることが好ましい。そのためには、個包装体の幅方向の両端部のシール部において、包装シートどうしが適切な接合強度で接合していることが望ましい。しかし個包装体では、包装シートが吸収性物品とともに折り返された際に、場所により包装シートの重なり枚数が異なる部分が生じるため、個包装体の幅方向の両端部に溶着によりシール部を形成する際、包装シートどうしが強く接合される部分と弱く接合される部分が出てくる。その結果、個包装体の一部において包装シートどうしが強固に接合して開封しにくくなったり、あるいは逆に包装シートどうしの接合が不十分となり、個包装体の包装状態が安定して維持されなくなるおそれがある。
【0005】
本発明は前記事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、個包装体の包装状態が安定して維持されるとともに、包装シートの開封が容易な吸収性物品の個包装体を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決することができた本発明の吸収性物品の個包装体とは、吸収性物品が包装シートで包装された吸収性物品の個包装体であって;吸収性物品は、包装シートの内側面に重ねられて、包装シートとともに第1折り目と第2折り目で長手方向に折り返されて、矩形状に折り畳まれ;個包装体は、長手方向の一方端縁が第1折り目から形成され、他方端縁が第2折り目から形成され、第1折り目と第2折り目の間に包装シートが少なくとも二重に重ねられた第1領域とそれよりも多重に重ねられた第2領域とを有し;個包装体は、幅方向の一方端部と他方端部に包装シートどうしが溶着により接合されたシール部を有し;第1領域の長手方向の長さをL1、第1領域におけるシール部の面積をS1、第2領域の長手方向の長さをL2、第2領域におけるシール部の面積をS2としたとき、S1/L1の値がS2/L2の値よりも大きいところに特徴を有する。
【0007】
本発明の吸収性物品の個包装体は、上記のように第1領域の方が第2領域よりも高密度にシール部が形成されることにより、個包装体の包装状態が安定して維持されるとともに、包装シートの開封が容易になる。すなわち、吸収性物品の個包装体では、個包装体の幅方向の両端部に溶着によりシール部を形成する際、包装シートの重なり枚数によってシール部における接合強度に差が生じ、包装シートの重なり枚数が多い方が強固に包装シートどうしが接合しやすくなり、包装シートの重なり枚数が少ない方が包装シートどうしの接合力が弱くなりやすい。しかし、包装シートの重なり枚数が少ない第1領域の長手方向の長さ当たりの第1領域のシール部の面積が、包装シートの重なり枚数が多い第2領域の長手方向の長さ当たりの第2領域のシール部の面積よりも大きくなるようにシール部を形成することで、第1領域での接合強度を確保しつつ、第2領域において包装シートどうしの接合強度が過度に高くなることが抑えられ、包装シートの開封が容易になる。
【0008】
上記のように形成されたシール部として、例えば、第1領域と第2領域に線状のシール部を長手方向に複数配置し、第2領域のシール部の離隔距離が第1領域のシール部の離隔距離よりも広くなるようにシール部を形成することができる。このようにシール部が形成されれば、包装シートどうしが強固に接合しやすい第2領域において、溶着によりシール部を形成する際に、隣接するシール部どうしが合一化することが起こりにくくなり、シール部において包装シートが過度に硬化することが抑えられる。そのため、包装シートを開封端から開封する際、第2領域のシール部を解除することが容易になる。一方、第1領域では、シール部が密に形成されるため、包装シートどうしの接合が安定して維持されやすくなる。
【0009】
第1領域には、幅方向に対して45°以下の角度で延在する線状のシール部が長手方向に複数配置され、第2領域には、幅方向に対して45°超90°以下の角度で延在する線状のシール部が長手方向に複数配置されることも好ましい。このようにシール部が形成されれば、包装シートを開封端から開封する際、第2領域のシール部をスムーズに解除しやすくなる。一方、第1領域では、包装シートの重なり枚数が少ないためシール部での接合強度が弱くなりがちであるが、シール部が長手方向よりも幅方向に延びる線状に形成されることにより、包装シートを長手方向に沿って開封する際に第1領域のシール部が剥離力に対して抵抗して、第1領域のシール部の接合強度が確保されやすくなる。
【0010】
第1領域には、線状のシール部が長手方向に複数配置され、第2領域には、点状のシール部が幅方向と長手方向に複数配置されることも好ましい。このようにシール部が形成されていれば、包装シートどうしが強固に接合されやすい第2領域において、シール部での包装シートどうしの接合を解除しやすくなる。一方、第1領域では、線状のシール部が剥離力に対して対抗しやすくなり、第1領域のシール部の接合強度が確保されやすくなる。
【0011】
第1領域には、長手方向に延びる線状のシール部が形成され、第2領域には、第1領域のシール部よりも狭い幅で長手方向に延びる線状のシール部が形成されてもよい。この場合、第1領域から第2領域にかけてシール部を連続的に形成することができ、個包装体の密封状態を高めることができる。
【0012】
幅方向の一方端部のシール部と他方端部のシール部は、長手方向に対して互いに略対称に形成されていることが好ましい。このようにシール部が形成されていれば、包装シートを開封端から開封する際、幅方向の一方端部のシール部の接合と他方端部のシール部の接合を均等に解除しやすくなり、包装シートを開封しやすくなる。
【発明の効果】
【0013】
本発明の吸収性物品の個包装体は、包装シートの重なり枚数が少ない第1領域の方が包装シートの重なり枚数が多い第2領域よりもシール部が高密度に形成されるため、個包装体の包装状態が安定して維持されるとともに、包装シートの開封が容易になる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】吸収性物品の個包装体に用いられる吸収性物品の一例を表し、吸収性物品を肌面側から見た平面図を表す。
図2図1に示した吸収性物品のII-II断面図を表す。
図3図3(a),(b)は吸収性物品の個包装体の形成方法の一例を表し、図3(b)は吸収性物品の個包装体を開封面側から見た平面図を表す。
図4図3(b)に示した吸収性物品のIV-IV断面図を表す。
図5】吸収性物品の個包装体を開封面側から見た平面図の他の例を表す。
図6】吸収性物品の個包装体を開封面側から見た平面図の他の例を表す。
図7】吸収性物品の個包装体を開封面側から見た平面図の他の例を表す。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の吸収性物品の個包装体は、吸収性物品が包装シートで包装されたものである。まず、本発明で用いられる吸収性物品について説明する。
【0016】
本発明で用いられる吸収性物品は、着用者の股間に当てて用いるものであり、尿等の排泄物を受けることができるものであれば特に限定されない。吸収性物品の態様としては、尿パッド(軽失禁パッドを含む)、生理用ナプキン、使い捨ておむつ等が示される。なお、本発明で用いられる吸収性物品は包装シートに個別に包装されているものであり、このような吸収性物品としては、一般に、尿パッド、生理用ナプキン等が挙げられ、本発明の吸収性物品はこのような用途に好適に適用される。
【0017】
吸収性物品の形状は特に限定されない。吸収性物品が、尿パッドや生理用ナプキンである場合、吸収性物品の形状としては、略長方形、長円形、砂時計形、羽子板形等が示される。
【0018】
吸収性物品は、例えば、液透過性のトップシートと液不透過性のバックシートとの間に吸収体が配されて構成される。トップシートは、吸収性物品の肌面側に位置するシートであり、バックシートは、吸収性物品の非肌面側に位置するシートである。本発明において、肌面側とは、吸収性物品を着用する際に着用者の肌に向く側を意味し、非肌面側とは、着用者とは反対に向く側を意味する。また、吸収性物品の非肌面側の面を外側面と称する。
【0019】
吸収性物品は、長手方向と幅方向を有する。長手方向とは、吸収性物品を着用者が着用した際、着用者の股間の前後方向に延びる方向を意味し、幅方向とは、吸収性物品と同一面上にあり、長手方向と直交する方向を意味する。なお、吸収性物品の個包装体と包装シートについても、吸収性物品の長手方向と幅方向に基づき、長手方向と幅方向が定められる。
【0020】
トップシートとしては、例えば、セルロース、レーヨン、コットン等の親水性繊維から形成された不織布や;ポリオレフィン(例えば、ポリプロピレン、ポリエチレン)、ポリエステル(例えば、PET)、ポリアミド(例えば、ナイロン)等の疎水性繊維から形成された不織布であって、疎水性繊維の表面が界面活性剤により親水化されたもの等を用いることができる。また、トップシートとして、織布、編布、孔が形成されたプラスチックフィルムを用いてもよい。
【0021】
バックシートとしては、ポリオレフィン(例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン)、ポリエステル(例えば、PET)、ポリアミド(例えば、ナイロン)等の疎水性繊維から形成された不織布や、プラスチックフィルム等を用いることができる。また、不織布とプラスチックフィルムとの積層体を用いてもよい。
【0022】
トップシートやバックシートが不織布から構成される場合、不織布としては、スパンボンド不織布、エアスルー不織布、ポイントボンド不織布、メルトブロー不織布、エアレイド不織布、SMS不織布等を用いることが好ましい。
【0023】
吸収体は、尿等の排泄物を吸収できる吸収性材料を含むものであれば特に限定されない。吸収体としては、例えば、吸収性材料を所定形状に成形した成形体を用いることができ当該成形体は、紙シート(例えば、ティッシュペーパーや薄葉紙)や液透過性不織布等のシート部材で覆われてもよい。吸収体に含まれる吸収性材料としては、例えば、セルロース繊維(例えば、粉砕したパルプ繊維)等の親水性繊維や、ポリアクリル酸系、ポリアスパラギン酸系、セルロース系、デンプン・アクリロニトリル系等の吸水性樹脂等が挙げられる。また、吸収性材料には、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン繊維や、PET等のポリエステル繊維、ナイロン等のポリアミド繊維等の熱融着性繊維が含まれてもよい。これらの熱融着性繊維は、尿等の体液との親和性を高めるために、界面活性剤等により親水化処理がされていてもよい。
【0024】
吸収性材料は、尿等の吸収速度を高める点から、親水性繊維を含むことが好ましい。また、吸収容量を高める点からは、吸収性材料は吸水性樹脂を含むことが好ましい。従って、吸収体は親水性繊維(特にパルプ繊維)と吸水性樹脂を含むことが好ましい。この場合、例えば、親水性繊維の集合体に吸水性樹脂を混合または散布したものを用いることが好ましい。
【0025】
吸収体は、シート状吸収体であってもよい。シート状吸収体としては、不織布間に吸水性樹脂を有しパルプ繊維を有しないように形成されたものが挙げられる。このように形成されたシート状吸収体は不織布間に吸水性樹脂を有するため、高い吸収容量を実現できる。また、シート状吸収体は不織布間にパルプ繊維を有しないため、嵩張らず薄型に形成することができる。
【0026】
シート状吸収体は、吸収性材料として吸水性繊維を用いたものであってよい。この場合もまた、吸収体が嵩張らず薄型に形成される。吸水性繊維としては、プロトン化または塩形成したカルボキシル基を含有する繊維が挙げられる。例えば、アクリル繊維を加水分解して、アクリル繊維に含まれるニトリル基をカルボキシル基に変換することにより、吸水性繊維を得ることができる。このとき、吸水性繊維に含まれるカルボキシル基は、アルカリ金属塩またはアンモニア塩を形成していることが好ましい。また吸水性繊維は、親水性繊維をアクリル酸に浸漬し、繊維表面でアクリル酸を析出させることにより製造することができる。
【0027】
吸収性物品は、肌面側の幅方向の両側に立ち上がりフラップが設けられることが好ましい。立ち上がりフラップを設けることにより、尿等の横漏れが防止される。立ち上がりフラップは、例えば、トップシートの幅方向の両側に、長手方向に延在するサイドシートを接合し、サイドシートの幅方向の内方部分(立ち上がりフラップが立ち上がったときの上端近傍)に弾性部材を設けることにより形成される。このようにサイドシートと弾性部材とを設けることにより、弾性部材の収縮力によりサイドシートの幅方向の内方部分が着用者の肌に向かって立ち上がり、立ち上がりフラップが形成される。立ち上がりフラップまたはサイドシートは、液不透過性のプラスチックフィルムや液不透過性の不織布等により構成されることが好ましい。
【0028】
吸収性物品の外側面には粘着部が設けられることが好ましく、具体的には、バックシートに粘着部が設けられることが好ましい。粘着部を設けることにより、吸収性物品をパンツ等の肌面側に固定することができる。
【0029】
粘着部は、吸収性物品を包装する包装シートの内側面に剥離可能に接合されていることが好ましく、これにより、吸収性物品が包装シートに包装された状態で安定して保持される。吸収性物品を使用する際には、包装シートを粘着部から剥がすことにより、粘着部によって吸収性物品をパンツ等の肌面側に固定することができる。吸収性物品は、包装シートの内側面に剥離シートを取り付けて、この剥離シートと粘着部とを剥離可能に接合させ、これを包装シートで包装するようにしてもよい。剥離シートは、粘着部と剥離可能であればよく、例えば、プラスチックフィルムから構成したり、吸収性物品と面する側がプラスチックフィルムから構成された積層体(例えば、プラスチックフィルムに紙、不織布、織布または編布等が積層された積層体)から構成したり、シリコーン加工した紙(紙にシリコーン樹脂を塗布して剥離層を設けたもの)等から構成することができる。粘着部は、吸収性物品の外側面に粘着剤を塗布したり、粘着テープを貼り付けることにより形成することができる。
【0030】
吸収性物品は包装シートに包装されて、吸収性物品の個包装体が形成される。個包装体は、吸収性物品が包装シートともに長手方向に折り畳まれることにより形成される。包装シートは、吸収性物品を個別に(1つずつ)包装する。包装シートは1つのシート部材から形成されてもよく、2つ以上のシート部材を繋ぎ合わせて形成されてもよい。
【0031】
包装シートは、例えば、プラスチックフィルム、不織布、織布、編布、これらの任意の組み合わせによる積層体により構成することができる。包装シートが、不織布、織布、編布から構成される場合、これらの構成繊維には熱融着性繊維が含まれることが好ましい。吸収性物品に包装シートと剥離可能な粘着部が設けられる場合は、包装シートの吸収性物品と面する側がプラスチックフィルムから構成されたり、包装シートの吸収性物品との対向面がシリコーン加工されることが好ましい。包装シートは矩形状に形成されることが好ましく、吸収性物品と重ねた状態で、吸収性物品よりも幅方向の外方に延在することが好ましい。
【0032】
包装シートは、吸収性物品側に向いた内側面とその反対側に向いた外側面とを有する。包装シートの内側面と外側面は、包装シートが吸収性物品を包装した状態を基準に定められる。包装シートの外側面の少なくとも一部は個包装体の外側に露出し、個包装体の外面を構成する。
【0033】
吸収性物品は、包装シートの内側面に重ねられて、包装シートとともに少なくとも第1折り目と第2折り目で長手方向に折り返されて、矩形状に折り畳まれる。吸収性物品は、包装シートとともにさらに第3折り目(あるいはさらにそれ以上の折り目)で長手方向に折り返されてもよい。ただし、第1折り目と第2折り目は個包装体の外面に位置し、第1折り目と第2折り目が個包装体の長手方向の一方端縁と他方端縁をそれぞれ形成する。個包装体は、好ましくは、吸収性物品が包装シートともに2つまたは3つの折り目で折り返されて、長手方向に3つ折りまたは4つ折りされることにより形成される。
【0034】
個包装体は、第1折り目が個包装体の長手方向の一方端縁を形成し、第2折り目が個包装体の長手方向の他方端縁を形成し、第1折り目と第2折り目の間に、包装シートが少なくとも二重に重ねられた第1領域とそれよりも多重に重ねられた第2領域とを有する。第1領域は、包装シートが最も少ない枚数折り重ねられた領域として規定され、第2領域は、包装シートが第1領域よりも多い枚数折り重ねられた領域として規定される。例えば、吸収性物品が包装シートともに第1折り目と第2折り目の2つの折り目で長手方向に折り返されて個包装体が形成される場合、個包装体は、包装シートが二重に重ねられた第1領域と三重に重ねられた第2領域を有するものとなる。吸収性物品が包装シートともに第1折り目と第2折り目と第3折り目の3つの折り目で長手方向に折り返されて個包装体が形成される場合、個包装体は、包装シートが二重に重ねられた第1領域と三重または四重に重ねられた第2領域を有するものとなるか、包装シートが三重に重ねられた第1領域と四重に重ねられた第2領域を有するものとなる。好ましくは、個包装体は、第1折り目と第2折り目の2つの折り目で長手方向に折り返されて3つ折りに折り畳まれる。
【0035】
個包装体は、吸収性物品が包装シートとともに長手方向に折り畳まれることにより、外面に包装シートの開封端が形成される。個包装体の包装状態を解除する場合は、包装シートの開封端から包装シートを開封し、包装シートと吸収性物品の折り畳みを展開することにより、吸収性物品を取り出すことができる。なお、個包装体の包装シートの開封端が存在する側の面を開封面と称する。
【0036】
包装シートの開封端には、個包装体の包装状態を維持する封止テープが設けられることが好ましい。封止テープは包装シートの開封端に取り付けられて、開封端より長手方向の外方に延在し、個包装体の状態で、開封端の近傍の包装シートの外側面に剥離可能に貼着されることが好ましい。
【0037】
個包装体は、幅方向の一方端部と他方端部に、包装シートどうしが溶着により接合されたシール部を有する。包装シートの溶着は、熱溶着や超音波溶着等により行うことができる。個包装体の一方端部と他方端部は、個包装体の一方端または他方端を含み、当該一方端または他方端から例えば15mm以内の領域、好ましくは10mm以内の領域として定めることができる。
【0038】
シール部は第1領域よりも第2領域の方が高密度に形成される。具体的には、シール部は、第1領域の長手方向の長さをL1、第1領域におけるシール部の面積をS1、第2領域の長手方向の長さをL2、第2領域におけるシール部の面積をS2としたとき、S1/L1の値がS2/L2の値よりも大きくなるように形成される。すなわち、個包装体は、第1領域の長手方向の長さ当たりの第1領域のシール部の面積が、第2領域の長手方向の長さ当たりの第2領域のシール部の面積よりも大きくなるように、幅方向の両端部にシール部が形成される。このようにシール部が形成されることにより、個包装体の包装状態が安定して維持されるとともに、包装シートの開封が容易になる。
【0039】
これについて詳しく説明すると、個包装体の幅方向の両端部に溶着によりシール部を形成する際、包装シートの重なり枚数によってシール部における接合強度に差が生じ、包装シートの重なり枚数が多いほどより強固に包装シートどうしが接合しやすくなる。そのため、シール部を個包装体の長手方向に沿って同じパターンで形成した場合、包装シートの重なり枚数が多い第2領域の方が、包装シートの重なり枚数が少ない第1領域よりも包装シートどうしが強固に接合しやすくなり、その結果、包装シートを開封する際に第2領域で開封しにくくなる。一方、第2領域での開封を容易にするために、シール部を粗なパターンで形成してシール部での接合強度を弱くすると、第1領域での包装シートの接合強度が確保されないおそれがあり、その結果、個包装体の包装状態が安定して維持されにくくなる。しかし、第1領域の長手方向の長さ当たりの第1領域のシール部の面積が、第2領域の長手方向の長さ当たりの第2領域のシール部の面積よりも大きくなるようにシール部を形成すると、包装シートの重なり枚数が少ない第1領域での接合強度を確保しつつ、包装シートの重なり枚数が多い第2領域において包装シートどうしの接合強度が過度に高くなることが抑えられ、包装シートの開封が容易になる。
【0040】
第1領域が第2領域を挟んで長手方向に複数存在する場合は、各第1領域におけるS1/L1の値がS2/L2の値よりも大きくなるようにシール部が形成される。また、幅方向の一方端部のシール部と他方端部のシール部のそれぞれにおいて、S1/L1の値がS2/L2の値よりも大きくなるようにシール部が形成される。S1/L1の値は、S2/L2の値の1.1倍以上となることが好ましく、1.2倍以上がより好ましく、1.3倍以上がさらに好ましく、また3.0倍以下が好ましく、2.5倍以下がより好ましく、2.0倍以下がさらに好ましい。
【0041】
シール部は、個包装体の幅方向の一方端部または他方端部に、1つのみ設けられてもよく、複数設けられてもよい。前者の場合、シール部は、個包装体の幅方向の一方端部または他方端部において、例えば第1領域から第2領域にかけて連続的に設けられる。後者の場合、シール部は、個包装体の幅方向の一方端部または他方端部において、長手方向に複数並んで配置される。シール部は、少なくとも第1領域に形成されればよく、例えば第1領域に形成され、第2領域には形成されなくてもよい。好ましくは、シール部は第1領域と第2領域の両方に形成される。
【0042】
S1/L1の値がS2/L2の値よりも大きくなるようにシール部を形成する方法としては、例えば、(1)第2領域よりも第1領域に複数のシール部を長手方向に短い間隔で配置する、(2)第1領域のシール部を長手方向に連続的に形成し、第2領域のシール部を長手方向に断続的に形成する、(3)シール部の幅方向の長さを第2領域よりも第1領域の方が長くなるように形成する、(4)第2領域のシール部を長手方向に延びる線状に設け、第1領域のシール部を幅方向に延びる線状に設ける、(5)第2領域よりも第1領域にシール部を密なパターンで配置するなど、様々な方法を単独または組み合わせて採用することができる。
【0043】
シール部は、第1領域において長手方向に複数配置されることが好ましい。シール部はまた、第2領域において長手方向に複数配置されることが好ましい。このようにシール部が形成されていれば、シール部の一部で包装シートどうしの接合が不用意に解除されても、シール部の全部が包装シートどうしの接合が解除されにくくなり、個包装体の包装状態が安定して維持される。長手方向に複数配置されたシール部は、隣接するシール部との離隔距離が0.5mm以上であることが好ましく、0.8mm以上がより好ましく、また5.0mm以下が好ましく、4.0mm以下がより好ましく、3.0mm以下がさらに好ましい。シール部の離隔距離は、隣接するシール部間の最短離隔距離を意味する。
【0044】
シール部は、例えば、線状に設けられることが好ましい。線状のシール部は、長手方向に複数配置されることが好ましい。線状のシール部の幅は、0.3mm以上が好ましく、0.5mm以上がより好ましく、また3.0mm以下が好ましく、2.0mm以下がより好ましく、1.0mm以下がさらに好ましい。
【0045】
シール部は、点状に設けられることも好ましい。この場合、点状のシール部は幅方向および長手方向に複数配置されることが好ましい。点状のシール部の大きさ(最大長さ)は、0.3mm以上が好ましく、0.5mm以上がより好ましく、また3.0mm以下が好ましく、2.0mm以下がより好ましく、1.0mm以下がさらに好ましい。隣接するシール部との離間距離は、0.5mm以上であることが好ましく、0.8mm以上がより好ましく、また3.0mm以下が好ましく、2.5mm以下がより好ましく、2.0mm以下がさらに好ましい。
【0046】
シール部の一つの設置態様として、例えば、第1領域と第2領域に線状のシール部を長手方向に複数配置し、第2領域のシール部の離隔距離が第1領域のシール部の離隔距離よりも広くなるように、各領域にシール部を配置することができる。このようにシール部を形成すれば、包装シートどうしが強固に接合しやすい第2領域において、溶着によりシール部を形成する際に、隣接するシール部どうしが合一化することが起こりにくくなり、シール部において包装シートが過度に硬化することが抑えられる。そのため、包装シートを開封端から開封する際、第2領域のシール部を解除することが容易になる。一方、第1領域では、シール部が密に形成されるため、包装シートどうしの接合が安定して維持されやすくなる。この場合、第2領域のシールの離隔距離は、第1領域のシール部の離隔距離の1.2倍以上であることが好ましく、1.4倍以上がより好ましく、また3.0倍以下が好ましく、2.5倍以下がより好ましく、2.0倍以下がさらに好ましい。
【0047】
上記のようにシール部が形成される場合、第2領域のシール部の離隔距離の平均値が、第1領域のシール部の離隔距離の平均値よりも大きくなればよいが、第2領域の全てのシール部の離隔距離が、第1領域のシール部の離隔距離と同じか、それよりも広くなることが好ましい。
【0048】
上記のようにシール部が形成される場合、第1領域の線状のシール部の延在方向と第2領域の線状のシールの延在方向は、同一であってもよく、互いに異なっていてもよい。各領域の線状のシール部の延在方向の幅方向に対する角度は特に限定されないが、例えば個包装体の包装状態が安定して維持される観点から、シール部の延在方向の幅方向に対する角度は60°以下が好ましく、45°以下がより好ましく、30°以下がさらに好ましい。このようにシール部が形成されていれば、各領域に線状のシール部を長手方向に多数並んで配置することができ、個包装体の包装状態が安定される。また個包装体が他の物品と接触して、包装シートに対して開封端から開封方向に向かって剥離力が作用しても、シール部での包装シートどうしの接合が解除されにくくなる。シール部の延在方向の幅方向に対する角度は、シール部の一端と他端を繋ぐ線の延在方向の幅方向とのなす角(絶対値)を意味する。
【0049】
シール部の他の設置態様として、第1領域に、幅方向に対して45°以下の角度で延在する線状のシール部を長手方向に複数配置し、第2領域に、幅方向に対して45°超90°以下の角度で延在する線状のシール部を長手方向に複数配置することもできる。このようにシール部を形成すれば、包装シートを開封端から開封する際、第2領域のシール部をスムーズに解除しやすくなる。すなわち、第2領域のシール部は、幅方向よりも長手方向に延びる線状に形成されているため、包装シートを開封端から長手方向に沿って開封する際、第2領域のシール部での包装シートどうしの接合を解除しやすくなる。一方、第1領域では、包装シートの重なり枚数が少ないためシール部での接合強度が弱くなりがちであるが、シール部が長手方向よりも幅方向に延びる線状に形成されることにより、包装シートを長手方向に沿って開封する際に第1領域のシール部が剥離力に対して抵抗して、第1領域のシール部の接合強度が確保されやすくなる。
【0050】
上記のようにシール部が形成される場合、第1領域のシール部は、幅方向に対して30°以下の角度で延在することが好ましく、15°以下がより好ましい。第2領域のシール部は、幅方向に対して55°以上の角度で延在することが好ましく、60°以上の角度で延在することがより好ましい。第1領域に配置されるシール部は50%以上が上記のように形成されればよく、60%以上が好ましく、70%以上がより好ましい。第2領域に配置されるシール部は50%以上が上記のように形成されればよく、60%以上が好ましく、70%以上がより好ましい。なお、第1領域と第2領域を跨いで延びるシール部は、当該シール部のより多くの部分が存在する領域に基づき、いずれの領域に存在するか定める。
【0051】
第2領域の線状のシール部は、開封端側に傾斜して延在していることが好ましい。すなわち、第2領域の線状のシール部は、開封端からの開封方向に向かって幅方向の内方から外方に延びるように形成されていることが好ましい。このように第2領域のシール部が形成されていれば、包装シートを開封端から長手方向に沿って開封する際、第2領域のシール部での包装シートどうしの接合を解除しやすくなる。
【0052】
シール部のさらに他の設置態様として、第1領域に線状のシール部を長手方向に複数配置し、第2領域に点状のシール部を幅方向と長手方向に複数配置することでもできる。このようにシール部を形成すれば、包装シートどうしが強固に接合しやすい第2領域において、シール部での包装シートどうしの接合を解除しやすくなる。一方、第1領域では、線状のシール部が剥離力に対して対抗しやすくなり、第1領域のシール部の接合強度が確保されやすくなる。第1領域の線状のシール部の延在方向の幅方向に対する角度は特に限定されないが、包装シートを長手方向に沿って開封する際に第1領域のシール部が剥離力に対して抵抗し、第1領域のシール部の接合強度が確保される観点から、線状シール部の延在方向の幅方向に対する角度は45°以下が好ましく、30°以下がより好ましく、15°以下がさらに好ましい。
【0053】
上記のようにシール部が形成される場合、第1領域のシール部の一部が点状に形成され、第2領域のシール部の一部が線状に形成されてもよい。すなわち、第1領域の一部において、点状のシール部が幅方向と長手方向に複数配置され、第2領域の一部において、線状のシール部が長手方向に複数配置されてもよい。なお、第1領域には、線状のシール部が長手方向の50%以上の範囲に配置され、第2領域には、点状のシール部が長手方向の50%以上の範囲に配置されることが好ましく、これらの範囲は60%以上がより好ましく、70%以上がさらに好ましい。
【0054】
シール部のさらに他の設置態様として、第1領域に、長手方向に延びる線状のシール部を形成し、第2領域に、第1領域のシール部よりも狭い幅で長手方向に延びる線状のシール部を形成することもできる。この場合、第1領域から第2領域にかけてシール部を連続的に形成することができ、個包装体の密封状態を高めることができる。なお、第1領域の長手方向に延びる線状のシール部と第2領域の長手方向に延びる線状のシール部は、連続していなくてもよい。
【0055】
第1領域のシール部は、単一のパターンで形成してもよく、複数の異なるパターンで形成してもよい。第2領域のシール部は、単一のパターンで形成してもよく、複数の異なるパターンで形成してもよい。第1領域のシール部と第2領域のシール部は、一部が互いに同じパターンで形成されていてもよい。
【0056】
幅方向の一方端部のシール部と他方端部のシール部は、長手方向に対して互いに略対称に形成されていることが好ましい。このようにシール部が形成されていれば、包装シートを開封端から開封する際、幅方向の一方端部のシール部の接合と他方端部のシール部の接合を均等に解除しやすくなり、包装シートを開封しやすくなる。
【0057】
吸収性物品の個包装体の構成例について、図1図4を参照して説明する。なお本発明は、図面に示された実施態様に限定されるものではない。
【0058】
図1および図2には、本発明で用いられる吸収性物品の一例を示し、吸収性物品として軽失禁パッドが示されている。図1は吸収性物品を肌面側から見た平面図を表し、図2図1に示した吸収性物品のII-II断面図を表す。図面では、矢印xが幅方向、矢印yが長手方向を表し、矢印x,yにより形成される面に対して垂直方向が厚み方向zを表す。
【0059】
図1および図2に示した吸収性物品11は、トップシート12とバックシート13とこれらの間に配された吸収体14とを有する。吸収性物品11では、バックシート13と吸収体14との間に台紙15が設けられており、台紙15により吸収性物品11の形状保持性を向上させることができる。台紙15は、クレープ紙や不織布から構成することができる。なお、台紙15は設けなくてもよい。吸収性物品11は、長手方向yを着用者の股間の前後方向に合わせ、幅方向xを着用者の左右方向に合わせて着用する。
【0060】
トップシート12の幅方向xの両側には長手方向yに延在するサイドシート16が設けられ、サイドシート16により尿等の防漏壁となる立ち上がりフラップ17が形成されることが好ましい。サイドシート16には、幅方向xの内方部分に起立用弾性部材18が設けられている。吸収性物品11の使用時には、起立用弾性部材18の収縮力によりサイドシート16の内方部分が着用者の肌に向かって立ち上がりフラップ17が形成され、これにより尿等の横漏れが防止される。
【0061】
バックシート13の外側面には、図2に示すように、粘着部19が設けられることが好ましい。粘着部19により、吸収性物品11をパンツ等の肌面側に好適に取り付けることができる。粘着部19は、後述する包装シート22と剥離可能に接合されることが好ましい。
【0062】
図3には、図1および図2に示した吸収性物品を包装シートで包装して個包装体に形成する方法の一例を示した。図3(a)には包装前の吸収性物品と包装シートが示され、図3(b)には吸収性物品の個包装体が示されている。図3に示すように形成された吸収性物品の個包装体として、図3(b)には個包装体の平面図が示され、図4には図3(b)に示した個包装体のIV-IV断面図が示されている。
【0063】
個包装体21は、吸収性物品11が包装シート22で包装されて形成される。具体的には、個包装体21は、吸収性物品11が包装シート22の内側面に重ねられて、包装シート22とともに第1折り目F1と第2折り目F2で長手方向yに折り返されて、矩形状に折り畳まれている。その結果、吸収性物品11が長手方向yに3つ折りに折り畳まれている。この際、包装シート22は、吸収性物品11のバックシート13に設けられた粘着部19と剥離可能に接合していることが好ましい。
【0064】
個包装体21は、長手方向yの一方端縁が第1折り目F1から形成され、他方端縁が第2折り目F2から形成され、第1折り目F1と第2折り目F2の間に包装シート22が少なくとも二重に重ねられた第1領域24とそれよりも多重に重ねられた第2領域25とを有する。図3(b)および図4に示した個包装体21では、第1領域24で包装シート22が二重に重ねられ、第2領域25で包装シート22が三重に重ねられている。個包装体21の外面には、第1領域24と第2領域25の境目に、包装シート22の開封端23が形成される。
【0065】
包装シート22の開封端23には、封止テープ27が取り付けられることが好ましい。個包装体21において、封止テープ27は開封端23とその近傍の包装シート22の外側面とを繋ぐように設けられる。封止テープ27により個包装体21の包装状態が好適に維持される。個包装体21の包装状態を解除する際には、封止テープ27を摘まんで引っ張ることにより、包装シート22を開封端23から開封しやすくなる。
【0066】
個包装体21は、幅方向xの一方端部と他方端部に包装シート22どうしが溶着により接合されたシール部26を有する。シール部26は、第1領域24の方が第2領域25よりも高密度に形成される。具体的には、第1領域24の長手方向yの長さをL1、第1領域24におけるシール部26の面積をS1、第2領域25の長手方向yの長さをL2、第2領域25におけるシール部26の面積をS2としたとき、S1/L1の値がS2/L2の値よりも大きくなるように形成される。図3(b)では、第1領域24と第2領域25のいずれにおいても、幅方向xに延びる線状のシール部26が長手方向yに複数配置されているが、第2領域25のシール部26の離隔距離が、第1領域24のシール部26の離隔距離も長くなっている。そのため、第1領域24のシール部26の方が第2領域25のシール部26よりも高密度に形成されている。このように個包装体21の幅方向xの両端部にシール部26が形成されていれば、個包装体21の包装状態が安定して維持されるとともに、包装シート22の開封が容易になる。すなわち、包装シート22の重なり枚数が少ない第1領域24での包装シート22どうしの接合強度が確保されるとともに、包装シート22の重なり枚数が多い第2領域25において包装シート22どうしの接合強度が過度に高くなることが抑えられるため、個包装体21の包装状態が安定して維持されるとともに、包装シート22の開封が容易になる。
【0067】
図3(b)では、第1領域24が第2領域25を挟んで長手方向yに2つ存在しているが、2つの第1領域24それぞれのS1/L1の値が、第2領域25のS2/L2の値よりも大きくなるように形成されている。これにより、いずれの第1領域24においても、包装シート22どうしの接合強度が確保され、個包装体21の包装状態が安定して維持される。
【0068】
個包装体のシール部における接合部の配置パターンは図3(b)に示した例以外にも、様々な配置パターンとすることができる。図5図7には、吸収性物品の個包装体を開封面側から見た平面図の他の例が示されており、様々なパターンで形成されたシール部の例が示されている。いずれの例においても、第1領域におけるS1/L1の値が第2領域におけるS2/L2の値よりも大きくなるように、シール部が形成されている。
【0069】
図5では、第1領域24におけるシール部26と第2領域25におけるシール部26の異なる形状で形成された例が示されている。第1領域24では、幅方向xに延びる線状のシール部26が長手方向yに複数配置されており、第2領域25では、幅方向xに対して45°より大きい角度で斜めに延びる線状のシール部26が長手方向yに複数配置されている。このようにシール部26が形成されていれば、包装シート22を開封端23から開封する際、第2領域25のシール部26をスムーズに解除しやすくなる。一方、第1領域24では、包装シート22を長手方向yに沿って開封する際に第1領域24のシール部26が剥離力に対して抵抗して、第1領域24のシール部26の接合強度が確保されやすくなる。
【0070】
図6にも、第1領域24におけるシール部26と第2領域25におけるシール部26の異なる形状で形成された例が示されている。第1領域24では、線状のシール部26が長手方向yに複数配置されており、第2領域25では、点状のシール部26が幅方向xと長手方向yに複数配置されている。このようにシール部26が形成されていても、第2領域25においてシール部26での包装シート22どうしの接合を解除しやすくなる。
【0071】
図7では、シール部26が長手方向yに延び、第1領域24から第2領域25にかけて連続的に形成された例が示されている。図7では、第2領域25におけるシール部26の幅(幅方向xの長さ)が第1領域24におけるシール部26の幅よりも細く形成されており、これにより第2領域25において包装シート22どうしの接合強度が過度に高くなることが抑えられ、包装シート22の開封が容易になる。
【符号の説明】
【0072】
11:吸収性物品
12:トップシート
13:バックシート
14:吸収体
21:(吸収性物品の)個包装体
22:包装シート
23:開封端
24:第1領域
25:第2領域
26:シール部
27:封止テープ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7