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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-11
(45)【発行日】2022-03-22
(54)【発明の名称】使い捨ておむつ
(51)【国際特許分類】
   A61F 13/514 20060101AFI20220314BHJP
   A61F 13/15 20060101ALI20220314BHJP
   A61F 13/56 20060101ALI20220314BHJP
   A61F 13/62 20060101ALI20220314BHJP
【FI】
A61F13/514 320
A61F13/15 355A
A61F13/56 211
A61F13/62
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2020138225
(22)【出願日】2020-08-18
(65)【公開番号】P2022034440
(43)【公開日】2022-03-03
【審査請求日】2020-08-18
(73)【特許権者】
【識別番号】000110044
【氏名又は名称】株式会社リブドゥコーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】110002837
【氏名又は名称】特許業務法人アスフィ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】福元 淳生
【審査官】津田 健嗣
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-029973(JP,A)
【文献】特開2015-223257(JP,A)
【文献】特開2010-035726(JP,A)
【文献】特開2004-105696(JP,A)
【文献】特開2001-046426(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2012/0238980(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61F 13/15-13/84
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
トップシートとバックシートとこれらの間に配された吸収体とを有するおむつ本体と、
前記おむつ本体の幅方向の両側に設けられたファスニングテープとを有する使い捨ておむつであって、
前記バックシートは、内層シートと前記内層シートの外面側に配された外層シートを有し、前記外層シートは不織布から構成され、
前記外層シートの外面側に、おむつ装着の際に前記ファスニングテープを止着させるターゲットテープが設けられ、
前記内層シートと前記外層シートは、前後方向に延びる接着線が幅方向に複数並んだ接着線群からなる第1接着部で互いに接合され、
前記第1接着部を構成する接着線群の一部は、前記ターゲットテープの幅方向の外縁から外方10cm以内の領域の少なくとも一部で、前後方向に1cm以上の長さにわたって途切れて設けられて、前記ターゲットテープの幅方向の外縁より外方に、前後方向の長さが1cm以上で幅方向の長さが1cm以上の矩形を包含する大きさの非接着領域が形成されていることを特徴とする使い捨ておむつ。
【請求項2】
トップシートとバックシートとこれらの間に配された吸収体とを有するおむつ本体と、
前記おむつ本体の幅方向の両側に設けられたファスニングテープとを有する使い捨ておむつであって、
前記バックシートは、内層シートと前記内層シートの外面側に配された外層シートを有し、前記外層シートは不織布から構成され、
前記外層シートの外面側に、おむつ装着の際に前記ファスニングテープを止着させるターゲットテープが設けられ、
前記内層シートと前記外層シートは、前後方向に延びる接着線が幅方向に複数並んだ接着線群からなる第1接着部で互いに接合され、
前記第1接着部を構成する接着線群の一部は、前記ターゲットテープの前側縁より前方6cm以内の領域の少なくとも一部で、前後方向に1cm以上の長さにわたって途切れて設けられて、前記ターゲットテープの前側縁より前方に、前後方向の長さが1cm以上で幅方向の長さが1cm以上の矩形を包含する大きさの非接着領域が形成されていることを特徴とする使い捨ておむつ。
【請求項3】
トップシートとバックシートとこれらの間に配された吸収体とを有するおむつ本体と、
前記おむつ本体の幅方向の両側に設けられたファスニングテープとを有する使い捨ておむつであって、
前記バックシートは、内層シートと前記内層シートの外面側に配された外層シートを有し、前記外層シートは不織布から構成され、
前記外層シートの外面側に、おむつ装着の際に前記ファスニングテープを止着させるターゲットテープが設けられ、
前記内層シートと前記外層シートは、前後方向に延びる接着線が幅方向に複数並んだ接着線群からなる第1接着部で互いに接合され、
前記第1接着部を構成する接着線群の一部は、前記ターゲットテープの後側縁より後方6cm以内の領域の少なくとも一部で、前後方向に1cm以上の長さにわたって途切れて設けられて、前記ターゲットテープの後側縁より後方に、前後方向の長さが1cm以上で幅方向の長さが1cm以上の矩形を包含する大きさの非接着領域が形成されていることを特徴とする使い捨ておむつ。
【請求項4】
前記接着線群は、隣接する接着線の離隔距離が1mm以上30mm以下である請求項1~3のいずれか一項に記載の使い捨ておむつ。
【請求項5】
前記バックシートは幅方向の両側の側部領域とそれらの間の中央領域を有し、
前記内層シートと前記外層シートは、前記第1接着部に加え、接着剤が網状、らせん状または蛇行状に塗工された第2接着部で互いに接合され、
前記第1接着部は前記側部領域に形成され、前記第2接着部は前記中央領域に形成されている請求項1~4のいずれか一項に記載の使い捨ておむつ。
【請求項6】
前記第2接着部は、接着剤が網状に塗工されている請求項5に記載の使い捨ておむつ。
【請求項7】
前記内層シートは樹脂フィルムから構成されている請求項1~6のいずれか一項に記載の使い捨ておむつ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、テープタイプの使い捨ておむつに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、テープタイプの使い捨ておむつが広く知られている。テープタイプの使い捨ておむつは、おむつの左右に設けられたファスニングテープをおむつの外面側に設けられたターゲットテープに止着することにより、パンツ形状に形成して着用され、例えば特許文献1~3にはそのような使い捨ておむつが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2004-195254号公報
【文献】特開2009-240680号公報
【文献】特開2018-000474号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
テープタイプの使い捨ておむつは、着用者の股間に当てファスニングテープをターゲットテープに止着することにより、着用者の腰周りに装着することができるが、着用者の体型によっては、ファスニングテープの一部がターゲットテープからはみ出してしまうことが起こりうる。その場合、ターゲットテープからはみ出たファスニングテープの一部はターゲットテープの周囲のバックシートに止着されることとなるが、そのような場合でもファスニングテープがターゲットテープの周囲のバックシートに安定して止着されることが望ましい。
【0005】
本発明は前記事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、幅方向の両側にファスニングテープが設けられ、外面側にファスニングテープを止着させるターゲットテープが設けられた使い捨ておむつであって、ファスニングテープの一部がターゲットテープからはみ出て止着されても安定してファスニングテープを止着することができる使い捨ておむつを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決することができた本発明の使い捨ておむつとは、トップシートとバックシートとこれらの間に配された吸収体とを有するおむつ本体と、おむつ本体の幅方向の両側に設けられたファスニングテープとを有する使い捨ておむつであって、バックシートは、内層シートと内層シートの外面側に配された外層シートを有し、外層シートは不織布から構成され、外層シートの外面側に、おむつ装着の際にファスニングテープを止着させるターゲットテープが設けられ、内層シートと外層シートは、前後方向に延びる接着線が幅方向に複数並んだ接着線群からなる第1接着部で互いに接合され、第1接着部を構成する接着線群の一部は、ターゲットテープの幅方向の外縁から外方10cm以内の領域の少なくとも一部で、前後方向に1cm以上の長さにわたって途切れて設けられているところに特徴を有する。
【0007】
上記のように構成された本発明の使い捨ておむつは、バックシートの内層シートと外層シートを接着する第1接着部の接着線群の一部が途切れて設けられることにより、ターゲットテープの幅方向の外縁より外方に、バックシートの内層シートと外層シートの非接着領域が形成される。このように非接着領域が形成されることにより、例えば腰周りの大きい着用者に対して使い捨ておむつを装着した際など、ファスニングテープのフック部材がターゲットテープの幅方向の外縁より外方の部分に止着されても、ターゲットテープからはみ出て止着されたフック部材がバックシートの外層シートから剥がれにくくなる。すなわち、ファスニングテープのフック部材をバックシートの当該非接着領域に止着させたときに、フック部材に非接着領域から剥がれる力が作用しても、フック部材の動きにバックシートの外層シートが追従して、フック部材が外層シートから剥がれにくくなる。そのため、フック部材を安定してバックシートの外層シートに止着することができる。
【0008】
また、第1接着部は、前後方向に延びる接着線が幅方向に複数並んだ接着線群として形成されるため、バックシートは、第1接着部において、非接着領域とそれ以外の領域とで剛性に大きな差が生じにくくなる。そのため、バックシートに第1接着部の接着線群の一部が途切れた非接着領域を設けても、着用者が違和感を覚えにくくなる。
【0009】
第1接着部を構成する接着線群の一部は、ターゲットテープの前側縁より前方6cm以内の領域の少なくとも一部で、前後方向に1cm以上の長さにわたって途切れて設けられていてもよい。このようにターゲットテープの前側縁より前方に、バックシートの内層シートと外層シートの非接着領域が形成されていれば、例えば脚周りが大きい着用者に対して使い捨ておむつを装着した際など、ファスニングテープのフック部材がターゲットテープの前側縁より前方の部分に止着されても、ターゲットテープからはみ出て止着されたフック部材がバックシートの外層シートから剥がれにくくなり、フック部材を安定してバックシートの外層シートに止着することができる。
【0010】
第1接着部を構成する接着線群の一部は、ターゲットテープの後側縁より後方6cm以内の領域の少なくとも一部で、前後方向に1cm以上の長さにわたって途切れて設けられていてもよい。このようにターゲットテープの後側縁より後方に、バックシートの内層シートと外層シートの非接着領域が形成されていれば、例えば脚周りが小さい着用者に対して使い捨ておむつを装着した際など、ファスニングテープのフック部材がターゲットテープの後側縁より後方の部分に止着されても、ターゲットテープからはみ出て止着されたフック部材がバックシートの外層シートから剥がれにくくなり、フック部材を安定してバックシートの外層シートに止着することができる。
【0011】
接着線群は、隣接する接着線の離隔距離が1mm以上30mm以下であることが好ましい。このように第1接着部を形成することにより、第1接着部における内層シートと外層シートとの接着強度が確保されるとともに、接着線群によるバックシートのごわつきが低減され、バックシートを柔軟に形成することができる。
【0012】
バックシートは幅方向の両側の側部領域とそれらの間の中央領域を有し、内層シートと外層シートは、第1接着部に加え、接着剤が網状、らせん状または蛇行状に塗工された第2接着部で互いに接合され、第1接着部が側部領域に形成され、第2接着部が中央領域に形成されていてもよい。このようにバックシートに第1接着部と第2接着部が設けられることにより、第2接着部が設けられた中央領域でバックシートが柔軟に形成され、使い捨ておむつの着用感を高めることができる。
【0013】
第2接着部は、接着剤が網状に塗工されていることが好ましい。これにより、バックシートの中央領域において内層シートと外層シートの接着強度を高めることができるとともに、バックシートの中央領域の柔軟性を高めることができる。
【0014】
内層シートは樹脂フィルムから構成されていることが好ましい。これにより内層シートと外層シートとの接着強度を高めることができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明の使い捨ておむつは、ターゲットテープの周りに、バックシートの内層シートと外層シートとを接着する接着剤が存在しない非接着領域が形成されているため、ファスニングテープのフック部材を当該非接着領域に止着させたときに、フック部材に非接着領域から剥がれる力が作用しても、フック部材の動きにバックシートの外層シートが追従して、ターゲットテープからはみ出て止着されたフック部材が外層シートから剥がれにくくなる。そのため、ターゲットテープからはみ出たフック部材を、バックシートの外層シートに安定して止着することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の使い捨ておむつの一例を示し、使い捨ておむつを肌面側から見た平面図を表す。
図2図1に示した使い捨ておむつを外面側から見た平面図の一例を表す。
図3図1および図2に示した使い捨ておむつのIII-III断面図を表す。
図4】バックシートの内層シートと外層シートとを接合する接着剤の塗工パターンの例を表す。
図5】バックシートの内層シートと外層シートとを接合する接着剤の塗工パターンの例を表す。
図6】バックシートの内層シートと外層シートとを接合する接着剤の塗工パターンの例を表す。
図7】バックシートの内層シートと外層シートとを接合する接着剤の塗工パターンの例を表す。
図8】バックシートの内層シートと外層シートとを接合する接着剤の塗工パターンの例を表す。
図9】バックシートの内層シートと外層シートとを接合する接着剤の塗工パターンの例を表す。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明に係る使い捨ておむつの構成について、図面を参照して説明する。なお本発明は、図面に示された実施態様に限定されるものではない。
【0018】
図1図3には、本発明の使い捨ておむつの一例を示した。図1は、使い捨ておむつを肌面側から見た平面図を表し、図2は、図1に示した使い捨ておむつを外面側から見た平面図の一例を表し、図3は、図1および図2に示した使い捨ておむつのIII-III断面図を表す。本願の図では、矢印xが幅方向、矢印yが前後方向を表し、矢印x,yにより形成される面に対して垂直方向が厚み方向zを表す。なお図1および図2では、図面の上側がおむつの前側に相当し、図面の下側がおむつの後側に相当する。
【0019】
使い捨ておむつ1は、おむつ本体2と、おむつ本体2の幅方向xの両側に設けられたファスニングテープ16とを有する。おむつ本体2は、前側部と後側部とこれらの間に位置する股部とを有し、ファスニングテープ16がおむつ本体2の後側部の両側に取り付けられている。使い捨ておむつ1は、着用の際、前側部を着用者の腹部に、股部を着用者の股間部に、後側部を着用者の背部に当て、ファスニングテープ16をおむつ本体2の前側部の外面側に設けられたターゲットテープ15に止着することで、パンツ形状に形成して装着する。
【0020】
使い捨ておむつ1は、前後方向yと幅方向xを有する。前後方向yとは、使い捨ておむつを着用した際に着用者の股間の前後方向に延びる方向に相当する。幅方向xとは、使い捨ておむつと同一面上にあり前後方向yと直交する方向を意味し、使い捨ておむつを着用した際の着用者の左右方向に相当する。また本発明において、使い捨ておむつの肌面側とは、使い捨ておむつを着用した際の着用者の肌に向く側を意味し、使い捨ておむつの外面側とは、使い捨ておむつを着用した際の着用者とは反対に向く側を意味する。
【0021】
おむつ本体2は、トップシート3と、バックシート4と、これらの間に配された吸収体5とを有する。トップシート3は、使い捨ておむつを着用した際に着用者側に位置するシートであり、バックシート4は、使い捨ておむつを着用した際に着用者とは反対側、すなわち外面側に位置するシートである。着用者から排泄された尿等は、トップシート3を透過して吸収体5に収容される。バックシート4は、排泄物が外部へ漏れるのを防いでいる。
【0022】
トップシート3は液透過性であることが好ましく、例えば、セルロース、レーヨン、コットン等の親水性繊維から形成された不織布や、ポリオレフィン(例えば、ポリプロピレン、ポリエチレン)、ポリエステル(例えば、PET)、ポリアミド(例えば、ナイロン)等の疎水性繊維から形成された不織布であって、疎水性繊維の表面が界面活性剤により親水化されたもの等から構成することができる。トップシート3は、織布、編布、有孔樹脂フィルム等から構成されてもよい。
【0023】
バックシート4は液不透過性であることが好ましく、ポリオレフィン(例えば、ポリプロピレン、ポリエチレン)、ポリエステル(例えば、PET)、ポリアミド(例えば、ナイロン)等の疎水性繊維から形成された不織布や、樹脂フィルム等から構成することができる。バックシート4は、織布や編布から構成されていてもよい。
【0024】
図3に示すように、バックシート4は、内層シート4Aと、内層シート4Aの外面側に配された外層シート4Bを有し、外層シート4Bは不織布から構成されている。内層シート4Aは、不織布から構成されていてもよく、織布や編布から構成されていてもよく、樹脂フィルムから構成されていてもよい。なお、内層シート4Aと外層シート4Bは接着剤で互いに接合されており、内層シート4Aと外層シート4Bとの接着強度を高める点から、内層シート4Aは樹脂フィルムから構成されていることが好ましい。また、内層シート4Aを樹脂フィルムから構成することにより、バックシート4の防漏性を高めることができる。
【0025】
吸収体5は、尿等の排泄物を吸収できる吸収性材料を含むものであれば特に限定されない。吸収体5としては、例えば、吸収性材料を所定形状に成形した成形体を用いたり、あるいは当該成形体を紙シート(例えば、ティッシュペーパーや薄葉紙)や液透過性不織布等の被覆シートで覆ったものを用いることができる。吸収性材料としては、例えば、パルプ繊維等の親水性繊維や、ポリアクリル酸系、ポリアスパラギン酸系、セルロース系、デンプン・アクリロニトリル系等の吸水性樹脂等が挙げられる。また、吸水性材料には、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン繊維や、PET等のポリエステル繊維、ポリアミド繊維等の熱溶着性繊維が含まれてもよい。これらの熱溶着性繊維は、尿等との親和性を高めるために、界面活性剤等により親水化処理がされていてもよい。
【0026】
吸収性材料は、尿等の吸収速度を高める点から、親水性繊維を含むことが好ましい。また、吸収容量を高める点からは、吸収性材料は吸水性樹脂を含むことが好ましい。従って、吸収体は親水性繊維(特にパルプ繊維)と吸水性樹脂を含むことが好ましい。この場合、例えば、親水性繊維の集合体に吸水性樹脂を混合または散布したものを用いることが好ましい。
【0027】
吸収体5は、シート状吸収体であってもよい。シート状吸収体としては、不織布間に吸水性樹脂を有しパルプ繊維を有しないように形成されたものが挙げられる。このように形成されたシート状吸収体は、不織布間に吸水性樹脂を有するため、高い吸収容量を実現できる。また、シート状吸収体は不織布間にパルプ繊維を有しないため、嵩張らず薄型に形成することができる。
【0028】
吸収体5の形状(平面形状)は特に限定されない。吸収体(あるいは吸収体を構成する成形体)の形状は、用途に応じて適宜決定すればよく、例えば、長方形、砂時計形、ひょうたん形、羽子板形等が挙げられる。なお、吸収体が着用者の大腿部に挟まれて幅方向xに圧迫されても歪みにくくする点から、吸収体、あるいは吸収体を構成する成形体は、砂時計形に形成されていることが好ましい。
【0029】
おむつ本体2には、トップシート3の幅方向xの両側に、トップシート3よりも幅方向xの外方に延在するサイドシート6が接合していることが好ましい。サイドシート6は液不透過性であることが好ましく、バックシート4に使用可能なシート材料から構成することができる。
【0030】
サイドシート6は、トップシート3の幅方向xの両側に、立ち上がりフラップ7を形成することが好ましい。この場合、サイドシート6には、図3に示すように、トップシート3との接合部9よりも幅方向xの内方部分に前後方向yに延びる起立用弾性部材8が設けられることが好ましく、起立用弾性部材8の収縮力によってサイドシート6の内方部分が立ち上げられて、立ち上がりフラップ7を形成することができる。立ち上がりフラップ7を設けることにより、尿等の横漏れを防ぐことができる。立ち上がりフラップ7は前後方向yの端部の内面がトップシート3上に接合されてもよく、これにより、おむつを着用の際に立ち上がりフラップ7が着用者の肌に向かって立ち上がりやすくなる。
【0031】
上記説明した各シートとして不織布を用いる場合、不織布としては、スパンボンド不織布、エアスルー不織布、ポイントボンド不織布、メルトブロー不織布、エアレイド不織布、SMS不織布等を用いることが好ましい。各シートの単位面積あたりの質量は、10g/m2以上が好ましく、12g/m2以上がより好ましく、また40g/m2以下が好ましく、30g/m2以下がより好ましい。
【0032】
おむつ本体2には、幅方向xの両側にそれぞれ、前後方向yに延びる脚用弾性部材19が設けられることが好ましい。脚用弾性部材19を設けることにより、着用者の脚周りにギャザーを形成して脚周りのフィット性を高めたり、横漏れを防止することができる。
【0033】
おむつ本体2には、前後方向yの端部に、幅方向xに延びるウェスト用弾性部材20が設けられることが好ましい。ウェスト用弾性部材20の収縮力により、着用者の胴周りに沿ったウェストギャザーが形成され、背中側や腹部側からの尿等の排泄物の漏れが防止される。
【0034】
上記に説明した各弾性部材としては、ポリウレタン糸、ポリウレタンフィルム、天然ゴム等の通常使い捨ておむつに用いられる弾性伸縮材料を用いることができる。弾性部材は、伸張状態で、ホットメルト接着剤等の接着剤で固定されることが好ましい。例えば、繊度40~1,240dtexのポリウレタン糸を、倍率1.1~5.0倍に伸張して配設し、固定する。接着剤としては、ゴム系のホットメルト接着剤を用いることが好ましい。なお、前記倍率は、非伸張状態を1.0倍とする。
【0035】
おむつ本体2には、幅方向xの両側にファスニングテープ16が設けられている。ファスニングテープ16には面ファスナーのフック部材17が設けられており、使い捨ておむつ1の着用の際、ファスニングテープ16のフック部材17をおむつ本体2の前側部の外面側に設けられたターゲットテープ15に止着する。
【0036】
ファスニングテープ16は、テープ基材18にフック部材17が設けられて構成され、フック部材17はテープ基材18の肌面側に設けられている。テープ基材18は、幅方向xの内方部がおむつ本体2に固定され、幅方向のxの外方部にフック部材17が取り付けられる。フック部材17は、基盤から係合素子が多数突出して形成される。係合素子の形状は特に限定されず、鉤形、錨形、きのこ形、柱形等が挙げられる。
【0037】
テープ基材18としては、不織布、織布、編布、樹脂フィルム、あるいはこれらの積層体等を用いることができる。テープ基材18のコシを確保し、ファスニングテープ16の取り扱い性を高める点から、テープ基材18は、織布、編布、または不織布から構成されることが好ましく、不織布から構成されることがより好ましい。テープ基材18の単位面積あたりの質量は、50g/m2以上が好ましく、55g/m2以上がより好ましく、また120g/m2以下が好ましく、100g/m2以下がより好ましい。テープ基材18の単位面積あたりの質量が50g/m2以上であれば、テープ基材18が十分な剛性を有するようになり、テープ基材18の単位面積あたりの質量が120g/m2以下であれば、テープ基材18が厚くなりすぎず、取り扱い性が向上する。
【0038】
ターゲットテープ15はバックシート4の外層シート4Bの外面側に設けられる。ターゲットテープ15は面ファスナーのループ部材から構成されることが好ましい。面ファスナーのループ部材は、基盤上に、フック部材の係合素子と係合可能なループ部が設けられて構成される。ループ部は一部が基盤に固定され他部が基盤と非固定とされ、これによりフック部材の係合素子がループ部の基盤との非固定部分に係合することができる。各ループ部は、閉じた環を形成してもよく、環の一部が開いて形成され、隣接するループ部と接続して設けられていてもよい。また、基盤上に糸条による編組織が形成され、この編組織によってループ部が形成されるようにしてもよい。
【0039】
テープタイプの使い捨ておむつ1では、着用の際、ファスニングテープ16のフック部材17をターゲットテープ15に止着することで、使い捨ておむつ1を着用者の腰周りに装着することができる。しかし、使い捨ておむつ1の大きさが着用者の腰周りや脚周りの大きさに対して大きかったり逆に小さかったりする場合は、ファスニングテープ16のフック部材17がターゲットテープ15に適切に止着されず、一部がターゲットテープ15からはみ出て止着されることが起こりうる。この場合、ターゲットテープ15からはみ出たファスニングテープ16のフック部材17はバックシート4の外層シート4Bに止着されることとなるが、そのような場合でも、ファスニングテープ16のフック部材17がバックシート4の外層シート4Bにある程度しっかりと止着されることが望ましい。
【0040】
そこで使い捨ておむつ1は、ターゲットテープ15の周りに、バックシート4の内層シート4Aと外層シート4Bとを接着する接着剤が存在しない非接着領域を設けている。ターゲットテープ15の周りに内層シート4Aと外層シート4Bの非接着領域を設けることにより、ファスニングテープ16のフック部材17を当該非接着領域に止着させたときに、フック部材17に非接着領域から剥がれる力が作用しても、フック部材17の動きにバックシート4の外層シート4Bが追従して、ターゲットテープ15からはみ出て止着されたフック部材17が外層シート4Bから剥がれにくくなる。これについて、図4図6を参照して説明する。
【0041】
図4図6には、内層シート4Aと外層シート4Bを接合する接着剤の塗工パターンの例を示した。図4図6では、ターゲットテープ15とファスニングテープ16の外縁が一点鎖線で示されている。
【0042】
図4図6では、内層シート4Aと外層シート4Bは、前後方向yに延びる接着線が幅方向xに複数並んだ接着線群からなる第1接着部11で互いに接合され、第1接着部11を構成する接着線群の一部がターゲットテープ15の周囲で途切れて設けられている。具体的には、図4では、第1接着部11を構成する接着線群の一部が、ターゲットテープ15の幅方向xの外縁15Aから外方10cm以内の領域の少なくとも一部で、前後方向yに1cm以上の長さにわたって途切れて設けられている。その結果、ターゲットテープ15の幅方向xの外縁15Aより外方に、内層シート4Aと外層シート4Bの非接着領域10Aが形成されている。図5では、第1接着部11を構成する接着線群の一部が、ターゲットテープ15の前側縁15Bより前方6cm以内の領域の少なくとも一部で、前後方向yに1cm以上の長さにわたって途切れて設けられている。その結果、ターゲットテープ15の前側縁15Bより前方に、内層シート4Aと外層シート4Bの非接着領域10Bが形成されている。図6では、第1接着部11を構成する接着線群の一部が、ターゲットテープ15の後側縁15Cより後方6cm以内の領域の少なくとも一部で、前後方向yに1cm以上の長さにわたって途切れて設けられている。その結果、ターゲットテープ15の後側縁15Cより後方に、内層シート4Aと外層シート4Bの非接着領域10Cが形成されている。第1接着部11は、前後方向yに直線状に延びる接着線が幅方向xに複数並んで形成されることが好ましい。なお、非接着領域10(10A,10B,10C)は、第1接着部11を構成する接着線群の一部が途切れた部分を含み、内層シート4Aと外層シート4Bが接着されていない領域を意味する。
【0043】
使い捨ておむつ1は、上記のように、バックシート4に内層シート4Aと外層シート4Bの非接着領域10を設けることにより、様々な体型の着用者に対して安定して装着することが可能となる。図4のようにターゲットテープ15の幅方向xの外縁15Aより外方に非接着領域10Aを設けた場合は、腰周りの大きい着用者に対して使い捨ておむつ1を装着した際などに、ファスニングテープ16のフック部材17がターゲットテープ15の幅方向xの外縁15Aより外方の部分に止着されても、フック部材17を安定してバックシート4の外層シート4Bに止着することができる。図5のようにターゲットテープ15の前側縁15Bより前方に非接着領域10Bを設けた場合は、脚周りが大きい着用者に対して使い捨ておむつ1を装着した際などに、ファスニングテープ16のフック部材17がターゲットテープ15の前側縁15Bより前方の部分に止着されても、フック部材17を安定してバックシート4の外層シート4Bに止着することができる。図6のようにターゲットテープ15の後側縁15Cより後方に非接着領域10Cを設けた場合は、脚周りが小さい着用者に対して使い捨ておむつ1を装着した際などに、ファスニングテープ16のフック部材17がターゲットテープ15の後側縁15Cより後方の部分に止着されても、フック部材17を安定してバックシート4の外層シート4Bに止着することができる。
【0044】
また、第1接着部11は、前後方向yに延びる接着線が幅方向xに複数並んだ接着線群として形成されるため、バックシート4は、第1接着部11の非接着領域10とそれ以外の領域とで剛性に大きな差が生じにくくなる。そのため、バックシート4に第1接着部11の接着線群の一部が途切れた非接着領域10を設けても、着用者が違和感を覚えにくくなる。また、第1接着部11におけるバックシート4のごわつきを低減することができる。使い捨ておむつ1は、第1接着部11を接着線群として形成することで、バックシート4の通気性を高めることもできる。第1接着部11は、接着剤を例えばビード法により塗工することにより形成することができる。
【0045】
第1接着部11の接着線群は、隣接する接着線の離隔距離が1mm以上30mm以下であることが好ましい。このように第1接着部11を形成することにより、第1接着部11における内層シート4Aと外層シート4Bとの接着強度が確保されるとともに、接着線群によるバックシート4のごわつきが低減され、バックシート4を柔軟に形成することができる。第1接着部11の接着線群の隣接する接着線の離隔距離は、2mm以上がより好ましく、また25mm以下がより好ましく、20mm以下がさらに好ましく、15mm以下がさらにより好ましい。なお、ここで説明した隣接する接着線の離隔距離は、第1接着部11の接着線が途切れた部分ではなく、第1接着部11の接着線が途切れていない部分での離隔距離を意味する。
【0046】
図4図6に示した内層シート4Aと外層シート4Bの接着剤の塗工パターンは、任意に組み合わせて実施することができる。すなわち、バックシート4の内層シート4Aと外層シート4Bの非接着領域10は、ターゲットテープ15の幅方向xの外縁15Aより外方の部分、ターゲットテープ15の前側縁15Bよりも前方の部分およびターゲットテープ15の後側縁15Cよりも後方の部分のうち、1箇所または複数箇所に設けることができる。
【0047】
図4に示すように、ターゲットテープ15の幅方向xの外縁15Aより外方に非接着領域10Aが設けられる場合、第1接着部11を構成する接着線群の一部は、ターゲットテープ15の幅方向xの外縁15Aから外方10cm以内の領域の少なくとも一部で、前後方向yに1cm以上の長さにわたって途切れて設けられればよい。すなわち、ターゲットテープ15の幅方向xの外縁15Aから外方10cm以内の領域を通る接着線のうち少なくとも1つの接着線が、当該領域で前後方向yに1cm以上の長さで途切れて設けられればよい。接着線は、ターゲットテープ15の幅方向xの外縁15Aから外方8cm以内の領域の少なくとも一部で途切れて設けられることが好ましく、5cm以内の領域の少なくとも一部で途切れて設けられることがより好ましい。接着線が途切れた部分の前後方向yの長さは、3cm以上が好ましく、5cm以上がより好ましい。接着線は、ターゲットテープ15の幅方向xの外縁15Aから外方10cm以内の領域の前後方向yの全体、すなわちターゲットテープ15の前後方向yの長さ相当分にわたって、途切れて設けられてもよい。接着線が途切れた部分の長さの上限は、20cm以下が好ましく、15cm以下がより好ましく、12cm以下がさらに好ましい。
【0048】
第1接着部11を構成する接着線群の一部がターゲットテープ15の幅方向xの外縁15Aから外方10cm以内の領域で途切れて設けられることにより、ターゲットテープ15の幅方向xの外縁15Aより外方には、前後方向yの長さが1cm以上で幅方向xの長さが1cm以上の矩形を包含する大きさの非接着領域10Aが形成されることが好ましい。当該矩形の前後方向yの長さは3cm以上がより好ましく、5cm以上がさらに好ましく、また20cm以下が好ましく、15cm以下がより好ましく、12cm以下がさらに好ましく、幅方向xの長さは2cm以上がより好ましく、3cm以上がさらに好ましく、また10cm以下が好ましく、7cm以下がより好ましく、5cm以下がさらに好ましい。なお、前後方向yの長さが20cm以下で幅方向xの長さが10cm以下の矩形を包含する大きさの非接着領域10Aとは、前後方向yの長さが20cmより大きく幅方向xの長さが10cmより大きい矩形を包含しない大きさの非接着領域10Aを意味する。
【0049】
ターゲットテープ15の幅方向xの外縁15Aより外方に非接着領域10Aが設けられる場合、ターゲットテープ15と重なる部分では、第1接着部11の接着線は前後方向yに連続的に延びるように設けられることが好ましい。また、非接着領域10Aの幅方向xの外方に、第1接着部11の接着線群の一部として、前後方向yに連続的に延びる接着線が設けられることが好ましい。第1接着部11は、非接着領域10A(あるいはさらに非接着領域10Bおよび/または非接着領域10C)以外では、接着線が前後方向yに連続的に延び、バックシート4を前後方向yに縦断して設けられることが好ましい。
【0050】
図5に示すように、ターゲットテープ15の前側縁15Bより前方に非接着領域10Bが設けられる場合、第1接着部11を構成する接着線群の一部は、ターゲットテープ15の前側縁15Bから前方6cm以内の領域の少なくとも一部で、前後方向yに1cm以上の長さにわたって途切れて設けられればよい。すなわち、ターゲットテープ15の前側縁15Bより前方6cm以内の領域を通る接着線のうち少なくとも1つの接着線が、当該領域で前後方向yに1cm以上の長さで途切れて設けられればよい。接着線は、ターゲットテープ15の前側縁15Bより前方4cm以内の領域の少なくとも一部で途切れて設けられることが好ましく、3cm以内の領域で途切れて設けられることがより好ましい。接着線が途切れた部分の前後方向yの長さは、2cm以上が好ましく、また7cm以下が好ましく、5cm以下がより好ましい。接着線は、ターゲットテープ15の前側縁15Bより前方の領域からターゲットテープ15と重なる部分にかけて途切れて設けられてもよい。ただし、接着線の途切れた部分は、ターゲットテープ15の前後方向yの全体にかけて設けられないことが好ましい。
【0051】
第1接着部11を構成する接着線群の一部がターゲットテープ15の前側縁15Bより前方3cm以内の領域で途切れて設けられることにより、ターゲットテープ15の前側縁15Bより前方には、前後方向yの長さが1cm以上で幅方向xの長さが1cm以上の矩形を包含する大きさの非接着領域10Bが形成されることが好ましい。当該矩形の前後方向yの長さは2cm以上がより好ましく、また7cm以下が好ましく、5cm以下がより好ましく、幅方向xの長さは2cm以上がより好ましく、3cm以上がさらに好ましく、また10cm以下が好ましく、7cm以下がより好ましく、5cm以下がさらに好ましい。また、ターゲットテープ15の前側縁15Bより前方に設けられる非接着領域10Bは、ターゲットテープ15の幅方向xの中央30%の領域より前方には形成されず、その両側70%の領域(すなわち一方側35%の領域と他方側35%の領域)より前方の少なくとも一部に形成されることが好ましい。
【0052】
ターゲットテープ15の前側縁15Bより前方に非接着領域10Bが設けられる場合、非接着領域10Bより前方には第1接着部11の接着線が設けられることが好ましい。また、非接着領域10Bの幅方向xの内方および/または外方に、第1接着部11の接着線群の一部として、前後方向yに連続的に延びる接着線が設けられることが好ましい。第1接着部11は、非接着領域10B(あるいはさらに非接着領域10Aおよび/または非接着領域10C)以外では、接着線が前後方向yに連続的に延び、バックシート4を前後方向yに縦断して設けられることが好ましい。
【0053】
図6に示すように、ターゲットテープ15の後側縁15Cより後方に非接着領域10Cが設けられる場合、第1接着部11を構成する接着線群の一部は、ターゲットテープ15の後側縁15Cから後方6cm以内の領域の少なくとも一部で、前後方向yに1cm以上の長さにわたって途切れて設けられればよい。すなわち、ターゲットテープ15の後側縁15Cより後方6cm以内の領域を通る接着線のうち少なくとも1つの接着線が、当該領域で前後方向yに1cm以上の長さで途切れて設けられればよい。接着線は、ターゲットテープ15の後側縁15Cより後方4cm以内の領域の少なくとも一部で途切れて設けられることが好ましく、3cm以内の領域で途切れて設けられることがより好ましい。接着線が途切れた部分の前後方向yの長さは、2cm以上が好ましく、また7cm以下が好ましく、5cm以下がより好ましい。接着線は、ターゲットテープ15の後側縁15Cより後方の領域からターゲットテープ15と重なる部分にかけて途切れて設けられてもよい。ただし、接着線の途切れた部分は、ターゲットテープ15の前後方向yの全体にかけて設けられないことが好ましい。
【0054】
第1接着部11を構成する接着線群の一部がターゲットテープ15の後側縁15Cより後方3cm以内の領域で途切れて設けられることにより、ターゲットテープ15の後側縁15Cより後方には、前後方向yの長さが1cm以上で幅方向xの長さが1cm以上の矩形を包含する大きさの非接着領域10Cが形成されることが好ましい。当該矩形の前後方向yの長さは2cm以上がより好ましく、また7cm以下が好ましく、5cm以下がより好ましく、幅方向xの長さは2cm以上がより好ましく、3cm以上がさらに好ましく、また10cm以下が好ましく、7cm以下がより好ましく、5cm以下がさらに好ましい。また、ターゲットテープ15の後側縁15Cより後方に設けられる非接着領域10Cは、ターゲットテープ15の幅方向xの中央30%の領域より後方には形成されず、その両側70%の領域(すなわち一方側35%の領域と他方側35%の領域)より後方の少なくとも一部に形成されることが好ましい。
【0055】
ターゲットテープ15の後側縁15Cより後方に非接着領域10Cが設けられる場合、非接着領域10Cより後方には第1接着部11の接着線が設けられることが好ましい。また、非接着領域10Cの幅方向xの内方および/または外方に、第1接着部11の接着線群の一部として、前後方向yに連続的に延びる接着線が設けられることが好ましい。第1接着部11は、非接着領域10C以外(あるいはさらに非接着領域10Aおよび/または非接着領域10B)では、接着線が前後方向yに連続的に延び、バックシート4を前後方向yに縦断して設けられることが好ましい。
【0056】
バックシート4の内層シート4Aと外層シート4Bは、第1接着部11に加え、第1接着部11以外の接着部で互いに接合されていてもよい。すなわち、内層シート4Aと外層シート4Bは、一部が前後方向yに延びる接着線が幅方向xに複数並んだ接着線群からなる第1接着部11で互いに接合され、他部がそれ以外のパターンで形成された接着部で互いに接合されていてもよい。これについて、図7図9を参照して説明する。
【0057】
図7図9には、第1接着部11と第2接着部12で内層シート4Aと外層シート4Bを接合する場合の接着剤の塗工パターンの例を示した。図7図9では、ターゲットテープ15とファスニングテープ16の外縁が一点鎖線で示されている。
【0058】
バックシート4は、幅方向xの両側の側部領域14とそれらの間の中央領域13とを有し、バックシート4の側部領域14では内層シート4Aと外層シート4Bが上記に説明した第1接着部11で互いに接合され、バックシート4の中央領域13では内層シート4Aと外層シート4Bが、接着剤が網状、らせん状または蛇行状に塗工された第2接着部12で互いに接合されることが好ましい。このようにバックシート4に第1接着部11と第2接着部12を設けることにより、第2接着部12が設けられた中央領域13でバックシート4が柔軟に形成され、使い捨ておむつ1の着用感を高めることができる。なお、中央領域13と側部領域14の境界はターゲットテープ15と重なる位置に形成されることが好ましい。図7では、第1接着部11を構成する接着線群の一部が、ターゲットテープ15の幅方向xの外縁15Aより外方の非接着領域10Aで途切れて設けられ、図8では、第1接着部11を構成する接着線群の一部が、ターゲットテープ15の前側縁15Bより前方の非接着領域10Bで途切れて設けられ、図9では、第1接着部11を構成する接着線群の一部が、ターゲットテープ15の後側縁15Cより後方の非接着領域10Cで途切れて設けられている。第1接着部11の詳細は上記の説明が参照され、第1接着部11を構成する接着線群の一部はターゲットテープ15と重なって設けられることが好ましい。
【0059】
第2接着部12は、バックシート4の中央領域13で、バックシート4の前後方向yの全体にわたって設けられることが好ましい。網状に形成された第2接着部12は、接着剤をカーテンスプレー法により塗工することにより形成することができる。この場合、短繊維状の接着剤が内層シート4Aまたは外層シート4B上に散布されて塗工されることにより、接着剤が網状に形成される。らせん状に形成された第2接着部12は、接着剤をスパイラルコーティング法により塗工することにより形成することができる。蛇行状に形成された第2接着部12は、接着剤をオメガコーティング法により塗工することにより形成することができる。蛇行状には、正弦波状やΩ状などの繰り返しパターン等が含まれる。らせん状または蛇行状に塗工された接着剤は、前後方向yに延びるように設けられることが好ましい。なお、第2接着部12は接着剤が網状に塗工されて形成されることが好ましく、これにより、バックシート4の中央領域13において内層シート4Aと外層シート4Bの接着強度を高めることができるとともに、バックシート4の中央領域13の柔軟性を高めることができる。
【0060】
第2接着部12の接着剤の線幅、すなわち第2接着部12において網状、らせん状または蛇行状に塗工された接着剤の線幅は、第1接着部11の接着線の線幅よりも細いことが好ましい。これにより、バックシート4の側部領域14において内層シート4Aと外層シート4Bの接着強度を高めるとともに、バックシート4の中央領域13を柔軟に形成することが容易になる。第1接着部11の線幅と第2接着部12の線幅は、各接着部にトナー(炭素粉末)を散布して付着させ、トナーで黒く可視化された部分を画像処理することにより求めることができる。各接着部の線幅は平均値として求める。
【0061】
第1接着部11の一部と第2接着部12の一部は互いに重なって設けられてもよい。この場合、バックシート4には、第1接着部11が形成された側部領域14と、第2接着部12が形成された中央領域13と、中央領域13と側部領域14の間に、第1接着部11と第2接着部12が重なって形成された中間領域が設けられる。中間領域では、前後方向に延びる線状に塗工された接着剤と、網状、らせん状または蛇行状に塗工された接着剤とが、重なって設けられることとなる。
【0062】
バックシート4の外層シート4Bを構成する不織布としては、スパンボンド不織布、ポイントボンド不織布、エアスルー不織布、SMS不織布等が好ましく挙げられる。これらの不織布は、不織布表面の構成繊維間にフック部材17が係合可能な間隙を形成することができるため、フック部材17との係合力を確保しやすくなる。また、不織布の構成繊維が熱溶着によって結合されることにより、フック部材17と係合させても不織布の構成繊維がばらけにくく、耐久性を高めることができる。これらの中でも、外層シート4Bは、スパンボンド不織布、ポイントボンド不織布またはエアスルー不織布から構成されることが好ましく、スパンボンド不織布またはポイントボンド不織布から構成されることがより好ましい。
【0063】
外層シート4Bの不織布は、非接着領域10におけるフック部材17との係合力を高める点から、非接着領域10において外層シート4Bの外面側が起毛加工またはエンボス加工されていてもよい。起毛加工された不織布は、不織布表面が毛羽立って形成されることにより、フック部材17との係合力を高めることができる。エンボス加工された不織布は、不織布表面に多数の凹凸が形成されることにより、フック部材17との係合力を高めることができる。そのため、このように外層シート4Bを構成することにより、ファスニングテープ16のフック部材17がターゲットテープ15からはみ出て外層シート4Bに止着されても、バックシート4に非接着領域10が形成されることと相まって、フック部材17を安定して外層シート4Bに止着することができる。
【符号の説明】
【0064】
1:使い捨ておむつ
2:おむつ本体
3:トップシート
4:バックシート、4A:内層シート、4B:外層シート
5:吸収体
6:サイドシート
7:立ち上がりフラップ
8:起立用弾性部材
9:接合部
10、10A、10B、10C:非接着領域
11:第1接着部
12:第2接着部
13:(バックシートの)中央領域
14:(バックシートの)側部領域
15:ターゲットテープ、15A:幅方向の外縁、15B:前側縁、15C:後側縁
16:ファスニングテープ
17:フック部材
18:テープ基材
19:脚用弾性部材
20:ウェスト用弾性部材
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9