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特許7039670ハードコートフィルムおよびこれを含むウィンドウおよび画像表示装置
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  • 特許-ハードコートフィルムおよびこれを含むウィンドウおよび画像表示装置 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-11
(45)【発行日】2022-03-22
(54)【発明の名称】ハードコートフィルムおよびこれを含むウィンドウおよび画像表示装置
(51)【国際特許分類】
   G02B 1/14 20150101AFI20220314BHJP
   G09F 9/00 20060101ALI20220314BHJP
   G02B 1/18 20150101ALI20220314BHJP
【FI】
G02B1/14
G09F9/00 366A
G09F9/00 302
G02B1/18
G09F9/00 313
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2020165323
(22)【出願日】2020-09-30
(65)【公開番号】P2021056513
(43)【公開日】2021-04-08
【審査請求日】2020-09-30
(31)【優先権主張番号】10-2019-0121800
(32)【優先日】2019-10-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】503454506
【氏名又は名称】東友ファインケム株式会社
【氏名又は名称原語表記】DONGWOO FINE-CHEM CO., LTD.
【住所又は居所原語表記】132, YAKCHON-RO, IKSAN-SI, JEOLLABUK-DO 54631, REPUBLIC OF KOREA
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】特許業務法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】金 承 熙
(72)【発明者】
【氏名】林 巨 山
(72)【発明者】
【氏名】姜 敏 ▲キョン▼
(72)【発明者】
【氏名】金 慧 ▲リン▼
【審査官】横川 美穂
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-072881(JP,A)
【文献】特開2014-105271(JP,A)
【文献】特開2018-124395(JP,A)
【文献】特開2017-021336(JP,A)
【文献】特開2013-101331(JP,A)
【文献】国際公開第2017/095206(WO,A1)
【文献】特開2005-121766(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 1/14-1/18
G09F 9/00
B32B 7/02,27/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材と、
前記基材の少なくとも一面に備えられたハードコート層とを含み、
前記ハードコート層は、水接触角が105度以上であり、
前記ハードコート層は、消しゴムと錘1kgを用いて3000回擦った後の、接触角が100度以上であり、
前記ハードコート層は、フッ素系UV硬化型官能基含有化合物、透光性樹脂、およびフッ素系溶剤を含有するハードコート組成物の硬化物を含み、
前記フッ素系溶剤は、下記化学式1~8およびC6FOH-BFからなる群より選択される1種以上を含み、
前記フッ素系溶剤は、前記ハードコート組成物の全100重量%に対して0.1~40重量%含まれる、
ハードコートフィルム。
【化1】

【化2】

【化3】

【化4】

【化5】

【化6】

【化7】

【化8】
【請求項2】
前記フッ素系UV硬化型官能基含有化合物は、前記ハードコート組成物中の固形分全100重量%に対して0.01~30重量%含まれるものである、請求項1に記載のハードコートフィルム。
【請求項3】
前記フッ素系溶剤は、前記ハードコート組成物の全100重量%に対して0.1~30重量%含まれるものである、請求項1に記載のハードコートフィルム。
【請求項4】
前記フッ素系UV硬化型官能基含有化合物は、パーフルオロアルキル基が含有された(メタ)アクリレート、パーフルオロポリエーテル基が含有された(メタ)アクリレート、パーフルオロサイクリックアリファティック基が含有された(メタ)アクリレート、およびパーフルオロアロマティック基が含有された(メタ)アクリレートからなる群より選択される1種以上を含むものである、請求項1に記載のハードコートフィルム。
【請求項5】
前記ハードコート組成物は、光開始剤、追加の溶剤、および添加剤からなる群より選択される1種以上をさらに含むものである、請求項1に記載のハードコートフィルム。
【請求項6】
請求項1~のいずれか1項に記載のハードコートフィルムを含むウィンドウ。
【請求項7】
請求項に記載のウィンドウおよびディスプレイパネルを含み、
前記ウィンドウおよびディスプレイパネルの間に、タッチセンサおよび偏光板をさらに含む画像表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ハードコートフィルムおよびこれを含むウィンドウおよび画像表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
フレキシブル(Flexible)ディスプレイは曲げたり折り畳むことのできるディスプレイであって、多様な技術および特許が提案されている。ディスプレイを折り畳み可能な形態に設計する場合、広げるとタブレット、畳むとスマートフォンとして使えるようにすることで、互いに異なるサイズのディスプレイを1つの製品として使用可能である。また、小さいサイズのスマートフォンよりは、タブレットやテレビのようなより大きいサイズの機器の場合、畳んで携帯できれば便利さが増す。
【0003】
通常、ディスプレイの場合、最外部にディスプレイの保護のためにガラス材質のカバーウィンドウを備える。しかし、ガラスの場合、フォールダブルディスプレイへの適用が不可能であり、ガラスを代替できるように高硬度および耐摩耗特性を有する高硬度ハードコートフィルムが用いられている。
【0004】
最近は、ハードコートフィルムに、ハードコート性とともに、指紋、マーカーなどによる標識への耐性および/または除去の容易性に関連する防汚性が主要性能として求められている。
【0005】
大韓民国公開特許第2016-0083293号は、スリップ性および防汚性に優れたコーティング組成物に関する。前記文献には、(i)化学式1で表されるフッ化炭素高分子;(ii)ポリエーテル変性ポリジメチルシロキサン系化合物、フッ素変性ポリアクリレート系化合物、およびパーフルオロポリエーテル(PFPE)系化合物からなる群より選択されたいずれか1つまたは2つ以上のスリップ剤(slip agent);および(iii)溶剤を含むコーティング組成物に関する内容を開示している。
【0006】
また、大韓民国公開特許第2005-0010064号は、複合ハードコート層が付与された物体および複合ハードコート層の形成方法に関する。前記文献には、具体的には、物体の表面に設けられたハードコート層と、ハードコート層の表面に設けられた防汚表面層とを含む複合ハードコート層が付与された物体が開示されている。前記文献のハードコート層は、活性エネルギー線硬化性化合物を含むハードコート剤組成物の硬化物になり、防汚表面層は、フルオルを含有する多官能(メタ)アクリレート化合物とフルオルを含有する単官能(メタ)アクリレート化合物とを含む表面材料の硬化物になり、前記防汚表面層は、前記ハードコート層に固着されている。
【0007】
しかし、従来の文献の場合、薄膜の防汚層をガラス上に適用した場合、フレキシブル機器に適用できず、高分子基材フィルムに適用する場合には、耐スクラッチおよび鉛筆硬度などを確保できず、別のハードコート層などを追加的に必要とする問題があった。また、高分子基材フィルムにハードコート層および防汚層をそれぞれ導入する場合、工程が複雑になり、これによる歩留まりの低下および工程費の上昇などによる価格上昇などの問題点があった。
【0008】
そのため、フレキシブルディスプレイへの適用が可能でかつ、耐摩耗性と防汚性を同時に発揮できるハードコートフィルムの開発が求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【文献】大韓民国公開特許第2016-0083293号
【文献】大韓民国公開特許第2005-0010064号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、耐摩耗性と防汚性を同時に発揮できるハードコートフィルムを提供しようとする。
【0011】
また、本発明は、高硬度ハードコートフィルムを提供しようとする。
さらに、本発明は、前述したハードコートフィルムを含むウィンドウを提供しようとする。
【0012】
さらに、本発明は、前述したウィンドウを含む画像表示装置を提供しようとする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明は、基材と、前記基材の少なくとも一面に備えられたハードコート層とを含み、前記ハードコート層は、フッ素系UV硬化型官能基含有化合物、透光性樹脂、およびフッ素系溶剤を含有するハードコート組成物の硬化物を含み、前記フッ素系溶剤は、前記ハードコート組成物の全100重量%に対して0.1~40重量%含まれる、ハードコートフィルムを提供する。
【0014】
また、本発明は、前述したハードコートフィルムを含むウィンドウを提供する。
さらに、本発明は、前述したウィンドウおよびディスプレイパネルを含み、前記ウィンドウおよびディスプレイパネルの間に、タッチセンサおよび偏光板をさらに含む画像表示装置を提供する。
【発明の効果】
【0015】
本発明に係るハードコートフィルムは、硬度に優れ、耐摩耗性、防汚性を同時に発揮できる利点があり、画像表示装置はもちろん、フレキシブル表示装置のウィンドウに適用可能であるという利点がある。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の一実施形態に係る画像表示装置の構造を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明についてより詳しく説明する。
本発明において、ある部材が他の部材の「上に」位置しているとする時、これは、ある部材が他の部材に直接接している場合のみならず、2つの部材の間にさらに他の部材が介在する場合も含む。
【0018】
本発明において、ある部分がある構成要素を「含む」とする時、これは、特に反対の記載がない限り、他の構成要素を除くのではなく、他の構成要素をさらに包含できることを意味する。
【0019】
本発明の一態様は、基材と、前記基材の少なくとも一面に備えられたハードコート層とを含み、前記ハードコート層は、フッ素系UV硬化型官能基含有化合物、透光性樹脂、およびフッ素系溶剤を含有するハードコート組成物の硬化物を含み、前記フッ素系溶剤は、前記ハードコート組成物の全100重量%に対して0.1~40重量%含まれる、ハードコートフィルムに関する。
【0020】
本発明に係るハードコートフィルムは、硬度に優れるだけでなく、耐摩耗性を有しかつ防汚性にも優れるという利点がある。
【0021】
本発明に係るハードコートフィルムは、基材、具体的には、透明基材を含む。
前記基材は、当業界で用いられる基材であれば特別な制限なく使用可能であり、具体的には、透明性、機械的強度、熱安定性、水分遮蔽性、等方性などにおいて優れたフィルムが使用可能である。
【0022】
より具体的には、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンイソフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンテレフタレートなどのポリエステル系樹脂;ジアセチルセルロース、トリアセチルセルロースなどのセルロース系樹脂;ポリカーボネート系樹脂;ポリメチル(メタ)アクリレート、ポリエチル(メタ)アクリレートなどのアクリル系樹脂;ポリスチレン、アクリロニトリル-スチレン共重合体などのスチレン系樹脂;ポリエチレン、ポリプロピレン、シクロ系またはノルボルネン構造を有するポリオレフィン、エチレン-プロピレン共重合体などのポリオレフィン系樹脂;塩化ビニル系樹脂;ナイロン、芳香族ポリアミドなどのアミド系樹脂;イミド系樹脂;スルホン系樹脂;ポリエーテルスルホン系樹脂;ポリエーテルエーテルケトン系樹脂;硫化ポリフェニレン系樹脂;ビニルアルコール系樹脂;塩化ビニリデン系樹脂;ビニルブチラール系樹脂;アリレート系樹脂;ポリオキシメチレン系樹脂;エポキシ系樹脂などのような熱可塑性樹脂のうちの1種以上を含むフィルムが挙げられ、前記熱可塑性樹脂のブレンド物を含むフィルムも使用可能である。また、(メタ)アクリル系、ウレタン系、アクリルウレタン系、エポキシ系、シリコーン系などの熱硬化性樹脂、および/または紫外線硬化型樹脂を含むフィルムを用いてもよいし、本発明の一実施形態によれば、繰り返される曲げに対する耐久性に優れていて、フレキシブルな画像表示装置への適用がより容易なポリイミド系樹脂を使用することができ、またはポリイミド系樹脂フィルムあるいはポリエステル系樹脂フィルムを共に使用することができる。
【0023】
前記基材の厚さは、20~100μm、好ましくは30~80μmであってもよい。前記基材の厚さが前記範囲内に含まれる場合、これを含むハードコートフィルムの強度が向上して加工性が向上でき、透明性が低下する現象を防止でき、フィルムの軽量化が可能であるという利点がある。
【0024】
本発明に係るハードコートフィルムは、基材の少なくとも一面に備えられるハードコート層を含むことができ、好ましくは、前記ハードコート層は、フッ素系UV硬化型官能基含有化合物、透光性樹脂、およびフッ素系溶剤を含有するハードコート組成物の硬化物を含むことができる。この時、前記フッ素系溶剤は、前記ハードコート組成物の全100重量%に対して0.1~40重量%含む。
【0025】
前記フッ素系UV硬化型官能基含有化合物は、防汚性および耐摩耗性を付与する成分であって、フッ素を含有し、これとともに、UV硬化型官能基を有するものであれば特に限定されない。
【0026】
本発明の他の実施形態において、前記フッ素系UV硬化型官能基含有化合物は、パーフルオロアルキル基が含有された(メタ)アクリレート、パーフルオロポリエーテル基が含有された(メタ)アクリレート、パーフルオロサイクリックアリファティック基が含有された(メタ)アクリレート、およびパーフルオロアロマティック基が含有された(メタ)アクリレートからなる群より選択される1種以上を含むことができ、この場合、優れた防汚性能を示すと同時に、ハードコート層と化学的結合を形成して、繰り返し使用後にも防汚性能を長い間維持する耐久性に優れた利点があるので好ましい。
【0027】
本発明のさらに他の実施形態によれば、前記フッ素系UV硬化型官能基含有化合物は、前記ハードコート組成物中の固形分全100重量%に対して0.01~30重量%含まれ、好ましくは0.01~20重量%、より好ましくは0.01~10重量%含まれる。前記フッ素系UV硬化型官能基含有化合物が前記範囲内に含まれる場合、優れた耐摩耗性および防汚性効果の付与が可能なので好ましい。前記UV硬化型官能基含有化合物の含有量が前記範囲未満の場合、耐摩耗性または防汚性を十分に図ることがやや難しく、前記範囲を超える場合、フィルムの硬度または耐スクラッチ特性がやや低下することもある。
【0028】
前記フッ素系UV硬化型化合物の市販品としては、信越社のKY-1203、フルオロテクノロジーのFS-7025、FS-7026、FS-7031、FS-7032などを使用することができるが、同じくこれに限定されない。
【0029】
本発明に係るハードコート組成物は、透光性樹脂を含む。
本発明において、前記透光性樹脂は、光硬化型樹脂を指すものであって、前記光硬化型樹脂は、光硬化型(メタ)アクリレートオリゴマーおよび/またはモノマーを含むことができるが、これに限定されるものではない。
【0030】
前記光硬化型(メタ)アクリレートオリゴマーは、エポキシ(メタ)アクリレート、ウレタン(メタ)アクリレート、エステル(メタ)アクリレートなどを含み、ウレタン(メタ)アクリレートがより好ましい。
【0031】
前記ウレタン(メタ)アクリレートは、分子内にヒドロキシ基を有する多官能(メタ)アクリレートとイソシアネート基を有する化合物を触媒の存在下で製造することができる。
【0032】
前記分子内にヒドロキシ基を有する(メタ)アクリレートの具体例としては、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシイソプロピル(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、カプロラクトン開環ヒドロキシアクリレート、ペンタエリスリトールトリ/テトラ(メタ)アクリレート混合物、およびジペンタエリスリトールペンタ/ヘキサ(メタ)アクリレート混合物からなる群より選択される1種以上を含むことができる。
【0033】
また、前記イソシアネート基を有する化合物の具体例としては、1,4-ジイソシアナトブタン、1,6-ジイソシアナトヘキサン、1,8-ジイソシアナトオクタン、1,12-ジイソシアナトドデカン、1,5-ジイソシアナト-2-メチルペンタン、トリメチル-1,6-ジイソシアナトヘキサン、1,3-ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、トランス-1,4-シクロヘキセンジイソシアネート、4,4’-メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)、イソホロンジイソシアネート、トルエン-2,4-ジイソシアネート、トルエン-2,6-ジイソシアネート、キシレン-1,4-ジイソシアネート、テトラメチルキシレン-1,3-ジイソシアネート、1-クロロメチル-2,4-ジイソシアネート、4,4’-メチレンビス(2,6-ジメチルフェニルイソシアネート)、4,4’-オキシビス(フェニルイソシアネート)、ヘキサメチレンジイソシアネートから誘導される3官能イソシアネート、およびトリメタンプロパノールアダクトトルエンジイソシアネートからなる群より選択される1種以上を含むことができる。
【0034】
前記モノマーは、通常用いるものを適用することができ、例えば、光硬化型官能基として、(メタ)アクリロイル基、ビニル基、スチリル基、アリル基などの不飽和基を分子内に有するものを含み、なかでも、(メタ)アクリロイル基がより好ましい。
【0035】
前記(メタ)アクリロイル基を有するモノマーは、具体例として、ネオペンチルグリコールアクリレート、1,6-ヘキサンジオール(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタントリ(メタ)アクリレート、1,2,4-シクロヘキサンテトラ(メタ)アクリレート、ペンタグリセロールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、トリペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、トリペンタエリスリトールヘキサトリ(メタ)アクリレート、ビス(2-ヒドロキシエチル)イソシアヌレートジ(メタ)アクリレート、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、イソ-デシル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、およびイソボルネオール(メタ)アクリレートからなる群より選択される1種以上を含むことができる。
【0036】
前記例示した透光性樹脂である光硬化型(メタ)アクリレートオリゴマー、モノマーは、それぞれ単独でまたは2以上を組み合わせて使用することができる。
【0037】
前記透光性樹脂は特に限定されないが、前記ハードコート組成物の全100重量%に対して1~80重量%、好ましくは10~80重量%、さらに好ましくは10~70重量%含まれる。前記透光性樹脂が前記範囲内に含まれる場合、十分な硬度向上効果を得ることができ、カール現象を抑制できるという利点がある。
【0038】
前記フッ素系溶剤は、フッ素系UV硬化型官能基含有化合物の溶解度を増加させ、これによって、製造されるハードコートフィルムのウェッティング性およびフィルムの塗膜状態を優れたものに維持するだけでなく、コーティングおよび乾燥過程で前記フッ素系UV硬化型官能基をハードコート層の表面に配向させて製造されたハードコート層の表面に高濃度のフッ素成分層を形成する役割を果たすことができる。
【0039】
前記フッ素系溶剤は、前記ハードコート組成物の全100重量%に対して0.1~40重量%含まれる。
【0040】
本発明のさらに他の実施形態において、前記フッ素系溶剤は、好ましくは0.1~30重量%含まれ、さらに好ましくは1~20重量%含まれる。
【0041】
前記フッ素系溶剤が前記範囲内に含まれる場合、フッ素系UV硬化型官能基含有化合物の表面浮遊を十分に図ることができ、ウェッティング性およびフィルムの塗膜状態にも優れているので好ましい。
【0042】
本発明のさらに他の実施形態において、前記フッ素系溶剤は、パーフルオロヘキシルエチルアルコール、パーフルオロエーテル、およびパーフルオロヘキサンからなる群より選択される1種以上を含むことができる。
【0043】
具体的には、前記フッ素系溶剤は、下記化学式1~8の1種以上であってもよい。
【0044】
【化1】
【0045】
【化2】
【0046】
【化3】
【0047】
【化4】
【0048】
【化5】
【0049】
【化6】
【0050】
【化7】
【0051】
【化8】
【0052】
前記フッ素系溶剤の市販品は、3M社のHFE-7100、HFE-7300、HFE-7500、FC-3283、FC-40、FC-770、日華社のC6FOH-BFなどが挙げられるが、これらに限定されない。
【0053】
本発明のさらに他の実施形態において、前記ハードコート組成物は、光開始剤、追加の溶剤、および添加剤からなる群より選択される1種以上をさらに含んでもよい。
【0054】
前記光開始剤は、当業界で通常用いられるものであれば制限なく使用可能である。例えば、ヒドロキシケトン類、アミノケトン類、水素引き抜き型光開始剤、およびこれらの組み合わせからなる群より選択された1種以上を含むことができる。
【0055】
具体的には、前記光開始剤は、2-メチル-1-[4-(メチルチオ)フェニル]2-モルホリンプロパノン-1、ジフェニルケトン、ベンジルジメチルケタール、2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニル-1-オン、4-ヒドロキシシクロフェニルケトン、2,2-ジメトキシ-2-フェニル-アセトフェノン、アントラキノン、フルオレン、トリフェニルアミン、カルバゾール、3-メチルアセトフェノン、4-クロロアセトフェノン、4,4-ジメトキシアセトフェノン、4,4-ジアミノベンゾフェノン、1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、ベンゾフェノン、ジフェニル(2,4,6-トリメチルベンゾイル)ホスフィンオキシド、およびこれらの組み合わせからなる群より選択された1種以上を含むことができる。
【0056】
前記光開始剤は、ハードコート組成物の全100重量%に対して0.1~10重量%、好ましくは1~8重量%、さらに好ましくは1~6重量%使用することができる。前記光開始剤が前記範囲内に含まれる場合、硬化速度が速いながらも未硬化の発生が抑制されて機械的物性に優れ、過硬化によって塗膜にクラックが発生する現象を抑制可能で好ましい。
【0057】
前記ハードコート組成物は、フッ素系溶剤以外の追加の溶剤をさらに含んでもよい。前記追加の溶剤は特に限定せず、当業界で用いられるものを制限なく使用可能である。具体的には、アルコール系(メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、メチルセロソルブ、エチルセロソルブなど)、ケトン系(メチルエチルケトン、メチルブチルケトン、メチルイソブチルケトン、ジエチルケトン、ジプロピルケトン、シクロヘキサノンなど)、ヘキサン系(ヘキサン、ヘプタン、オクタンなど)、ベンゼン系(ベンゼン、トルエン、キシレンなど)などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0058】
前記追加の溶剤は、ハードコート組成物の全100重量%に対して10~95重量%、好ましくは10~80重量%、さらに好ましくは20~60重量%含まれる。前記追加の溶剤が前記範囲内に含まれる場合、粘度が適切で作業性に優れ、基材フィルムのスウェリングを十分に進行させることができ、乾燥過程で時間が短縮可能で経済性に優れているので、前記範囲内に使用することが好ましい。
【0059】
前記添加剤は、具体的には、紫外線安定剤、熱安定剤などであってもよいが、これらに限定されず、本発明の目的を阻害しない範囲内で当業界で通常用いられている添加剤を使用することができる。
【0060】
具体的には、本発明に係るハードコート組成物は、紫外線安定剤、熱安定剤などを追加的に含んでもよい。
【0061】
前記紫外線安定剤は、硬化された塗膜の表面が持続的な紫外線露出によって分解を起こして変色し砕かれやすくなるので、このような紫外線を遮断または吸収して接着剤を保護する目的で添加する添加剤を指す。
【0062】
前記紫外線安定剤は、作用機構によって分類される、吸収剤、消光剤(Quenchers)、ヒンダードアミン光安定剤(HALS、Hindered Amine Light Stabilizer)のうちの1種以上を含むことができ、または化学構造によって分類される、フェニルサリチレート(Phenyl Salicylates、吸収剤)、ベンゾフェノン(Benzophenone、吸収剤)、ベンゾトリアゾール(Benzotriazole、吸収剤)、ニッケル誘導体(消光剤)、ラジカルスカベンジャー(Radical Scavenger)のうちの1種以上を含み、その他、当業界で通常用いる紫外線安定剤を含むことができる。
【0063】
前記熱安定剤は、商業的に適用可能な製品で、1次熱安定剤であるポリフェノール系、2次熱安定剤であるホスファイト系およびラクトン系のうちの1種以上を含むことができるが、同じくこれに限定されない。
【0064】
前記紫外線安定剤と熱安定剤は、紫外線硬化性に影響がない水準で適宜含有量を調整して使用可能である。
【0065】
本発明に係るハードコート組成物には、上記の成分以外にも、本発明の効果を阻害させない範囲内で当業界で通常用いられる高分子化合物、光刺激剤、抗酸化剤、UV吸収剤、熱的高分子化禁止剤、界面活性剤、潤滑剤、防汚剤などを追加的にさらに含んでもよい。この時、前記各添加剤の選択および含有量の制御は、この分野における通常の知識を有する者によって適宜選択可能である。
【0066】
本発明のさらに他の実施形態において、前記ハードコート層は、水接触角が100度以上であってもよい。本発明において、前記水接触角は、ハードコート層の表面に水滴を落として水滴が前記ハードコート層の表面でなす角度を意味するもので、前記水接触角が高いほどコーティング表面に異物が付着しにくく、指紋防止のような防汚性がさらに優れている。また、フッ素系溶剤によるフッ素材料の表面配向性の増加で、初期防汚性能だけでなく、防汚性能の維持特性、すなわち耐摩耗性がさらに優れている。
【0067】
要するに、本発明に係るハードコート層は、水接触角が100度以上であってもよいし、これによって、耐摩耗性および防汚性に優れるという利点がある。
【0068】
好ましくは、本発明に係るハードコート層は、水接触角が105度以上、さらに好ましくは108度以上であってもよい。
【0069】
本発明のさらに他の実施形態において、前記ハードコート層は、消しゴムと錘1kgを用いて3000回擦った後の、接触角が100度以上であってもよい。好ましくは、前記ハードコート層は、消しゴムと錘1kgを用いて3000回擦った後の、接触角が102度以上、さらに好ましくは105度以上であってもよい。
【0070】
要するに、本発明に係るハードコート層は、耐摩耗性と防汚性が維持される性能が極めて優れている。
【0071】
本発明に係るハードコートフィルムは、前述したハードコート組成物を前記基材の一面または両面に塗布させた後、硬化させて形成されたものであってもよい。
【0072】
前述したハードコート組成物を用いてハードコートフィルムを形成する場合、1回コーティング方式、要するに、単一層のハードコート層を含む方式でも優れた耐摩耗性と防汚性を同時に付与することができ、ハードコートフィルムのラビング時にも耐摩耗性および防汚性の特性が維持され、同時に高硬度性の付与が可能である。
【0073】
要するに、上記の本発明に係るハードコート組成物の硬化物を含むハードコート層を含むハードコートフィルムは、高硬度性を示し、耐摩耗性と防汚性に優れるという利点がある。
【0074】
前記ハードコート層は、ダイコーター、エアナイフ、リバースロール、スプレー、ブレード、キャスティング、グラビア、マイクログラビア、およびスピンコーティングなどの適当な方式で行うことができる。
【0075】
前記コーティング層の厚さは、1μm~200μm、具体的には3μm~100μm、さらに具体的には3μm~30μmであってもよいが、これに限定されるものではない。ただし、前記コーティング層の厚さが前記範囲を満たす場合、硬度に優れていながらも柔軟な性質を有し、薄型化が可能であり、耐摩耗性と防汚性の特性が維持されるハードコートフィルムを製造できるという利点がある。前記コーティング層の厚さは、乾燥後の厚さを指すことができる。
【0076】
前記ハードコート組成物を塗布した後、30~150℃の温度で10秒~1時間、具体的には30秒~10分間揮発物の蒸発によって乾燥させる。以後、ハードコート組成物にUV光を照射して硬化させる。前記UV光の照射量は、約200~2000mJ/cmであってもよいし、具体的には200~1500mJ/cmであってもよい。
【0077】
前記ハードコートフィルムは、フレキシブルディスプレイ用であってもよいし、具体的には、LCD、OLED、LED、FEDなどのディスプレイやこれを用いた各種移動通信端末、スマートフォンまたはタブレットPCのタッチパネル、電子ペーパーなどのカバーガラスを代替する用途または機能性層として使用可能である。
【0078】
本発明の他の態様は、前述したハードコートフィルムを含むウィンドウに関する。
前記ウィンドウは、画像表示装置に含まれる構成要素を外部衝撃または周りの温湿度の変化から保護する役割を果たすことができ、前記ウィンドウの一面の周辺部上に遮光パターンをさらに形成してもよい。前記遮光パターンは、例えば、カラー印刷パターンを含んでもよく、単層または復層構造を有してもよい。前記遮光パターンによって画像表示装置のベゼル部あるいは非表示領域が定義される。
【0079】
本発明のさらに他の態様は、前記ウィンドウ100およびディスプレイパネル200を含み、前記ウィンドウ100およびディスプレイパネル200の間に、タッチセンサ300および偏光板400をさらに含む画像表示装置に関する。
【0080】
前記画像表示装置としては、液晶表示装置、OLED、フレキシブルディスプレイなどがあり得るが、これに限定されるものではなく、適用可能な当分野で知られたすべての画像表示装置を例示することができる。
【0081】
前記ディスプレイパネル200は、パネル基板上に配置された画素電極、画素定義膜、表示層、対向電極、およびエンカプセレーション層を含むものであってもよいが、これに限定されるものではなく、必要に応じて、当業界で用いられる構成がさらに含まれてもよい。
【0082】
一例として、前記パネル基板上に、薄膜トランジスタ(TFT)を含む画素回路が形成され、画素回路を覆う絶縁膜が形成される。この時、画素電極は、前記絶縁膜上に、例えば、TFTのドレイン電極と電気的に連結される。画素定義膜は、前記絶縁膜上に形成されて画素電極を露出させることにより画素領域を定義できる。前記画素電極上には表示層が形成され、前記表示層は、例えば、液晶層または有機発光層を含むことができる。前記画素定義膜および表示層上には対向電極が配置されるが、前記対向電極は、例えば、画像表示装置の共通電極またはカソードとして提供される。前記対向電極上には、ディスプレイパネルを保護するエンカプセレーション層が積層される。
【0083】
前記タッチセンサ300は、入力手段として用いられる。前記タッチセンサ300としては、例えば、抵抗膜方式、表面弾性波方式、赤外線方式、電磁誘導方式、静電容量方式などの多様な形態が提案されており、どの方式でも本発明では特に限定しないが、特に静電容量方式が好ましい。
【0084】
前記静電容量方式のタッチセンサは、活性領域と、前記活性領域の外郭地域に位置した不活性領域とに区分される。活性領域は、表示パネルで画面が表示される領域(表示部)に対応する領域であり、使用者のタッチが検知される領域であり、不活性領域は、表示装置の画面が表示されない領域(非表示部)に対応する領域である。タッチセンサは、柔軟な特性を有する基板と、前記基板の活性領域に形成された検知パターンと、前記基板の不活性領域に形成され、前記検知パターンおよびパッド部を介して外部の駆動回路と連結するための各センシングラインとを含むことができる。柔軟な特性を有する基板としては、前記ウィンドウの透明基材と同一の材料を使用することができる。一方、靭性(toughness)は、高分子材料の引張実験により得られる応力(MPa)-変形度(%)曲線(Stress-strain curve)において破壊点までの曲線の下部面積で定義され、タッチセンサ基板は、2,000MPa%以上の靭性を有することが、タッチセンサのクラック抑制の面で好ましい。より好ましくは、靭性が2,000MPa%~30,000MPa%でも良い。
【0085】
前記検知パターンは、第1方向に形成された第1パターンと、第2方向に形成された第2パターンとを含むことができる。第1パターンおよび第2パターンは、互いに異なる方向に配置される。第1パターンおよび第2パターンが同一層に形成されたタッチされる地点を検知するためには、それぞれのパターンが電気的に連結されなければならない。第1パターンは、各単位パターンがフィッティングにより互いに連結された形態であるが、第2パターンは、各単位パターンがアイランド状に互いに分離された構造となっているため、第2パターンを電気的に連結するためには別のブリッジ電極が必要である。前記検知パターンは、周知の透明電極素材を適用することができる。例えば、インジウムスズ酸化物(ITO)、インジウム亜鉛酸化物(IZO)、亜鉛酸化物(ZnO)、インジウム亜鉛スズ酸化物(IZTO)、カドミウムスズ酸化物(CTO)、PEDOT(poly(3,4-ethylenedioxythiophene))、炭素ナノチューブ(CNT)、グラフェン、金属ワイヤなどが挙げられ、これらは、単独または2種以上混合して使用することができる。好ましくは、ITOを使用することができる。金属ワイヤに用いられる金属は特に限定されず、例えば、銀、金、アルミニウム、銅、鉄、ニッケル、チタン、テルル、クロムなどが挙げられる。これらは、単独または2種以上混合して使用することができる。
【0086】
前記ブリッジ電極は、検知パターンの上部に絶縁層を介在して前記絶縁層の上部に形成することができ、基板上にブリッジ電極が形成されており、その上に絶縁層および検知パターンを形成してもよい。前記ブリッジ電極は、検知パターンと同一の素材で形成してもよく、モリブデン、銀、アルミニウム、銅、パラジウム、金、白金、亜鉛、スズ、チタン、またはこれらの2種以上の合金などの金属で形成してもよい。第1パターンおよび第2パターンは、電気的に絶縁されなければならないため、検知パターンとブリッジ電極との間に絶縁層が形成される。前記絶縁層は、第1パターンのフィッティングとブリッジ電極の間にのみ形成しても、検知パターンを覆う層の構造に形成してもよい。後者の場合は、ブリッジ電極は、絶縁層に形成されたコンタクトホールを介して第2パターンを連結することができる。前記検知パターンが形成されたパターン領域とパターンが形成されない非パターン領域との間の透過率の差、特にこの部分の屈折率の差によって誘発される光透過率の差を適宜補償するための手段として、基板と電極との間に光学調整層をさらに含んでもよいし、前記光学調整層は、光硬化性有機バインダーを含む光硬化組成物を基板上にコーティングして形成することができる。前記光硬化組成物は、無機粒子をさらに含んでもよい。前記無機粒子によって光学調整層の屈折率が増加できる。
【0087】
前記光硬化性有機バインダーは、例えば、アクリレート系単量体、スチレン系単量体、カルボン酸系単量体などの各単量体の共重合体を含むことができる。前記光硬化性有機バインダーは、例えば、エポキシ基含有繰り返し単位、アクリレート繰り返し単位、カルボン酸繰り返し単位などの互いに異なる各繰り返し単位を含む共重合体であってもよい。
【0088】
前記無機粒子は、例えば、ジルコニア粒子、チタニア粒子、アルミナ粒子などを含むことができる。前記光硬化組成物は、光重合開始剤、重合性単量体、硬化補助剤などの各添加剤をさらに含んでもよい。
【0089】
前記偏光板400は、偏光子単独、または偏光子およびその少なくとも一面に付着した透明基材を備えた構成であってもよいし、前記偏光板を介して出射する光の偏光状態に応じて、直線偏光板、円偏光板などに区分される。以下、本説明では特に限定しないが、反射光を吸収して視認性を向上させるのに使用できる円偏光板について具体的に述べる。
【0090】
円偏光板は、直線偏光板にλ/4位相差板を積層して右側または左側円偏光成分のみを透過させる機能を有する機能層である。例えば、外光を右側円偏光に変換して、有機ELパネルで反射して左側円偏光になった外光を遮断し、有機ELの発光成分のみを透過させることで、反射光の影響を抑制してイメージを見やすくするために用いられる。円偏光機能を達成するために、直線偏光板の吸収軸とλ/4位相差板の遅相軸は理論上45゜でなければならないが、実用的には45±10゜であってもよい。直線偏光板とλ/4位相差板とは必ずしも隣接して積層される必要はなく、吸収軸と遅相軸との関係が前記範囲を満たしていれば良い。すべての波長で完全な円偏光を達成することが好ましいが、実用上必ずしもその必要はないため、本発明の円偏光板は楕円偏光板も含むことができる。直線偏光板の視認側により近いようにλ/4位相差フィルムを積層して出射光を円偏光にすることで、偏光サングラスをかけた状態での視認性を向上させることも好ましい。
【0091】
直線偏光板は、透過軸方向に振動する光は通過するものの、それとは垂直の振動成分の偏光を遮断する機能を有する機能層である。前記直線偏光板は、直線偏光子単独、または線形偏光子およびその少なくとも一面に付着した保護フィルムを備えた構成でも良い。前記直線偏光板の厚さは、200μm以下でも良く、好ましくは0.5μm~100μmでも良い。厚さが200μmを超えると、柔軟性が低下することがある。
【0092】
前記直線偏光子は、ポリビニルアルコール(PVA)系フィルムを染色、延伸して製造されるフィルム状偏光子でも良い。延伸によって配向されたPVA系フィルムにヨウ素などの二色性染料が吸着またはPVAに吸着した状態で延伸することにより、二色性色素が配向して偏光性能を発揮する。前記フィルム状偏光子の製造においては、その他、膨潤、ホウ酸による架橋、水溶液による洗浄、乾燥などの工程を含んでいてもよい。延伸と染色工程は、PVA系フィルム単独で進行してもよく、ポリエチレンテレフタレートのような他のフィルムと積層された状態で行ってもよい。使用されるPVA系フィルムとしては、厚さ10~100μm、延伸倍率は2~10倍が好ましい。
【0093】
また、前記偏光子の他の例としては、液晶偏光組成物を塗布して形成する液晶塗布型偏光子でも良い。前記液晶偏光組成物は、液晶性化合物および二色性色素化合物を含むことができる。前記液晶性化合物としては、液晶状態を示す性質をもっていれば良く、特にスメクチック相などのように高次の配向状態をもっていた方が高い偏光性能を発揮できるので好ましい。また、重合性官能基を有していることも好ましい。前記二色性色素化合物は、前記液晶化合物と共に配向して二色性を示す色素であり、二色性色素自体が液晶性を有していてもよく、重合性官能基を有していてもよい。液晶偏光組成物のうちの1つの化合物は、重合性官能基を有しており、また、前記液晶偏光組成物は、開始剤、溶媒、分散剤、レベリング剤、安定剤、界面活性剤、架橋剤、シランカップリング剤などを含むことができる。前記液晶塗布型偏光子は、配向膜に液晶偏光組成物を塗布して液晶偏光子を形成することにより製造できる。液晶塗布型偏光子は、フィルム状偏光子に比べて厚さを薄く形成できる。前記液晶塗布型偏光子は、厚さが0.5~10μm、好ましくは1~5μmでも良い。
【0094】
前記配向膜は、例えば、基材上に配向膜形成組成物を塗布し、ラビング、偏光照射などによって配向性を付与することにより製造できる。前記配向膜形成組成物は、配向剤を含み、その他、溶剤、架橋剤、開始剤、分散剤、レベリング剤、シランカップリング剤などを含むことができる。前記配向剤としては、例えば、ポリビニルアルコール、ポリアクリレート類、ポリアミック酸類、ポリイミド類を使用することができる。光配向を適用する場合には、シンナメート基を含む配向剤を使用することが好ましい。前記配向剤として使用される高分子は、重量平均分子量が10,000~1,000,000程度でも良い。前記配向膜の厚さは、5nm~10,000nmであることが好ましく、特に10~500nmであれば、配向規制力が十分に発現するので好ましい。前記液晶偏光子は、基材から剥離し転写して積層することができ、前記基材をそのまま積層することもできる。前記基材が保護フィルムや位相差板、ウィンドウの透明基材としての役割を果たすことも好ましい。
【0095】
前記保護フィルムは、透明高分子フィルムであれば良く、前記透明基材に用いられる材料、添加剤が使用可能である。前記透明基材は、前述した内容を適用することができる。
【0096】
前記λ/4位相差板は、入射光の進行方向に直交する方向(フィルムの面内方向)にλ/4位相差を付与するフィルムである。前記λ/4位相差板は、セルロース系フィルム、オレフィン系フィルム、ポリカーボネート系フィルムなどの高分子フィルムを延伸して製造される延伸型位相差板でも良い。必要に応じて、位相差調整剤、可塑剤、紫外線吸収剤、赤外線吸収剤、顔料および染料のような着色剤、蛍光増白剤、分散剤、熱安定剤、光安定剤、帯電防止剤、酸化防止剤、潤滑剤、溶剤などを含むことができる。前記延伸型位相差板の厚さは、200μm以下であってもよく、好ましくは1μm~100μmであってもよい。厚さが200μmを超えると、柔軟性が低下することがある。
【0097】
また、前記λ/4位相差板の他の例としては、液晶組成物を塗布して形成する液晶塗布型位相差板でも良い。前記液晶組成物は、ネマチック、コレステリック、スメクチックなどの液晶状態を示す性質を有する液晶性化合物を含む。液晶組成物中の液晶性化合物を含む1つの化合物は、重合性官能基を有している。前記液晶塗布型位相差板はさらに、開始剤、溶媒、分散剤、レベリング剤、安定剤、界面活性剤、架橋剤、シランカップリング剤などをさらに含んでもよい。前記液晶塗布型位相差板は、前記液晶偏光子の記述と同じく、配向膜に液晶組成物を塗布硬化して液晶位相差層を形成することにより製造できる。液晶塗布型位相差板は、延伸型位相差板に比べて厚さを薄く形成できる。前記液晶位相差層の厚さは、0.5~10μm、好ましくは1~5μmであってもよい。前記液晶塗布型位相差板は、基材から剥離し転写して積層することができ、前記基材をそのまま積層することもできる。前記基材が保護フィルムや位相差板、ウィンドウの透明基材としての役割を担うことも好ましい。
【0098】
一般的には、短波長であるほど複屈折が大きくなり、長波長になるほど小さい複屈折を示す材料が多い。この場合には、すべての可視光領域でλ/4位相差を達成できないため、視感度が高い560nm付近にλ/4になる面内位相差100~180nm、好ましくは130~150nmとなるように設計する場合が多い。通常とは逆に、逆の複屈折率波長分散特性を有する材料を用いた逆分散λ/4位相差板を用いて視認性をより向上させることができるので好ましい。このような材料としては、延伸型位相差板の場合は日本国特開第2007-232873号など、液晶塗布型位相差板の場合には日本国特開第2010-30979号に記載のものを用いることも好ましい。
【0099】
他の方法としては、λ/2位相差板と結合して広帯域λ/4位相差板を得る技術も知られている(日本国特開平10-90521号公報)。λ/2位相差板も、λ/4位相差板と同じ材料、方法で製造される。延伸型位相差板と液晶塗布型位相差板との組み合わせは任意であるが、いずれも液晶塗布型位相差板を用いる方が厚さを薄くできるので好ましい。
【0100】
前記円偏光板は、対角線方向の視認性を高めるために、ポジティブCプレートを積層する方法も知られている(日本国特開第2014-224837号)。ポジティブCプレートは、液晶塗布型位相差板でも良く、延伸型位相差板でも良い。厚さ方向の位相差は、-200~-20nm、好ましくは-140~-40nmであってもよい。
【0101】
前述した各構成および各構成(ウィンドウ、ディスプレイパネル、タッチセンサ、偏光板など)を構成する部材(円偏光板、直線偏光板、位相差板など)は、互いに直接接合するものであってもよく、接合のために各構成または部材の間に接着剤層または粘着剤層501、502をさらに含んでもよい。
【0102】
前記接着剤層または粘着剤層501、502の種類は本発明で特に限定しないが、接着剤としては、水系接着剤、有機溶剤系接着剤、無溶剤接着剤、固体接着剤、水系溶剤揮発型接着剤、湿気硬化型接着剤、熱硬化型接着剤、嫌気硬化型、活性エネルギー線硬化型接着剤、硬化剤混合接着剤、ホットメルト型接着剤、減圧型接着剤(粘着剤)、再湿型接着剤、粘着剤など汎用に用いられるものを使用することができる。なかでも、水系溶剤揮発型接着剤、活性エネルギー線硬化型接着剤、粘着剤がよく使用される。接着剤層の厚さは、要求される接着力などに応じて適宜調整可能であり、0.01μm~500μm、好ましくは0.1μm~300μmであってもよいし、前記画像表示装置内に複数存在できるが、それぞれの厚さの種類は同一でも、異なっていてもよい。
【0103】
前記水系溶剤揮発型接着剤としては、ポリビニルアルコール系重合体、デンプンなどの水溶性ポリマー、エチレン-ビニルアセテートエマルジョン、スチレン-ブタジエン系エマルジョンなど水分散状態の高分子樹脂ポリマーを使用することができる。水、前記樹脂ポリマー以外に、架橋剤、シラン系化合物、イオン性化合物、架橋触媒酸化防止剤、染料、顔料、無機フィラー、有機溶剤などを配合してもよい。前記水系溶剤揮発型接着剤によって接着する場合、前記水系溶剤揮発型接着剤を被接着層の間に注入して被着層を貼り合わせた後、乾燥させることにより接着性を付与できる。前記水系溶剤揮発型接着剤を用いる場合の接着剤層の厚さは、0.01~10μm、好ましくは0.1~1μmでも良い。前記水系溶剤揮発型接着剤を複数層用いる場合には、各層の厚さの種類は同一でも、異なっていてもよい。
【0104】
前記活性エネルギー線硬化型接着剤は、活性エネルギー線を照射して接着剤層を形成する反応物質を含む活性エネルギー線硬化組成物の硬化によって形成される。前記活性エネルギー線硬化組成物は、ハードコート組成物と同じラジカル重合性化合物および陽イオン重合性化合物の少なくとも1種の重合体を含有することができる。前記ラジカル重合性化合物は、ハードコート組成物と同様であり、ハードコート組成物と同じ種類が使用可能である。接着剤層に用いられるラジカル重合性化合物としては、アクリロイル基を有する化合物が好ましい。接着剤組成物としての粘度を低くするために、単官能の化合物を含むことも好ましい。
【0105】
前記陽イオン重合性化合物は、ハードコート組成物と同様であり、ハードコート組成物と同じ種類が使用可能である。活性エネルギー線硬化組成物に用いられる陽イオン重合性化合物としては、エポキシ化合物が特に好ましい。接着剤組成物としての粘度を低くするために、単官能の化合物を反応希釈剤として含むことも好ましい。
【0106】
活性エネルギー線組成物は、重合開始剤をさらに含んでもよい。重合開始剤は、前述した内容を適用することができる。
【0107】
前記活性エネルギー線硬化組成物はさらに、イオン捕捉剤、酸化防止剤、連鎖移動剤、密着付与剤、熱可塑性樹脂、充填剤、流動粘度調整剤、可塑剤、消泡剤、添加剤、溶剤を含むことができる。前記活性エネルギー線硬化型接着剤によって接着する場合、前記活性エネルギー線硬化組成物を被接着層のうちの1つまたはすべてに塗布後、貼り合わせて1つの被着層または2つの被着層を介して活性エネルギー線を照射して硬化させることにより接着できる。前記活性エネルギー線硬化型接着剤を用いる場合の接着剤層の厚さは、0.01~20μm、好ましくは0.1~10μmでも良い。前記活性エネルギー線硬化型接着剤を複数層用いる場合には、各層の厚さの種類は同一でもよく、互いに異なってもよい。
【0108】
前記粘着剤としては、樹脂ポリマーによって、アクリル系粘着剤、ウレタン系粘着剤、ゴム粘着剤、シリコーン粘着剤などに分類されたいずれも使用可能である。粘着剤は、樹脂ポリマー以外に、架橋剤、シラン系化合物、イオン性化合物、架橋触媒、酸化防止剤、粘着付与剤、可塑剤、染料、顔料、無機フィラーなどを配合してもよい。前記粘着剤を構成する各成分を溶剤に溶解・分散させて粘着剤組成物を得て、当該粘着剤組成物を基板に塗布した後、乾燥して粘着剤層が形成される。粘着剤層は、直接形成されてもよく、別の基材に形成したものを転写してもよい。接着前に粘着面をカバーするためには、離型フィルムを用いることも好ましい。前記粘着剤を用いる場合の粘着剤層の厚さは、1~500μm、好ましくは2~300μmであってもよい。前記粘着剤を複数層用いる場合には、各層の厚さの種類は同一でもよく、異なってもよい。
【0109】
本発明の画像表示装置内の各構成の順序は、本発明で特に限定されるものではないが、一例として図1を参照して説明する。図1の(a)のように、ディスプレイパネル200、下部接着剤層502、タッチセンサ300、偏光板400、上部接着剤層または粘着剤層501、およびウィンドウ100を順に積層した構造であってもよく、図1の(b)のように、ディスプレイパネル200、偏光板400、下部接着剤層502、タッチセンサ300、上部接着剤層または粘着剤層501、およびウィンドウ100を順に積層した構造であってもよく、図1の(c)のように、ディスプレイパネル200、タッチセンサ300、偏光板400、接着剤層または粘着剤層501、およびウィンドウ100を順に積層した構造であってもよい。この時、各構成に関する内容は上述した通りである。
【0110】
前記画像表示装置はさらに、図1の(a)または(c)のように、使用者の視認側からウィンドウ100、偏光板400、およびタッチセンサ300が順次に配置されるが、この場合、タッチセンサ300の検知セルが偏光板400の下に配置されることで、パターン視認現象をより効果的に防止できる。
【0111】
前記タッチセンサ300が基材を含む場合、前記基材は、例えば、トリアセチルセルロース、シクロオレフィン、シクロオレフィン共重合体、ポリノルボルネン共重合体などを含むことができ、好ましくは、正面位相差が±2.5nm以下であってもよいが、これに限定されるものではない。
【0112】
前記タッチセンサ300はさらに、前記ウィンドウ100または偏光板400上に直接転写されるが、この場合、画像表示装置は、使用者の視認側からウィンドウ100、タッチセンサ300、および偏光板400の順に配置される。
【0113】
前記ディスプレイパネル200は、上述した各構成と図1の(a)のように、接着剤層または粘着剤層502を介して接合できるが、この時、前記接着剤層または粘着剤層502は、例えば、-20~80℃での粘弾性が約0.2MPa以下、好ましくは0.01~0.15MPaであってもよい。この場合、前記ディスプレイパネル200からのノイズを遮蔽することができ、屈曲時に界面応力を緩和して接合される各構成の損傷を抑制できる。
【0114】
本発明に係るハードコートフィルムは、ハードコートフィルムに求められる高硬度と耐摩耗性を満たすと同時に、優れた防汚性を有し、耐屈曲性に優れているため、プラスチック基材への使用時、フレキシブル表面処理用ハードコート用に適用可能である。
【実施例
【0115】
以下、本明細書を具体的に説明するために実施例を挙げて詳しく説明する。しかし、本明細書による実施例は種々の異なる形態に変形可能であり、本明細書の範囲が以下に詳述する実施例に限定されると解釈されない。本明細書の実施例は、当業界における平均的な知識を有する者に本明細書をより完全に説明するために提供されるものである。また、以下、含有量を示す「%」および「部」は、特に言及しない限り、重量基準である。
【0116】
製造例:ハードコート組成物の製造
製造例1
23重量%6官能ウレタンアクリレート(Shin-Nakamura Chemical、U-6LPA)、23重量%14官能アクリレート(ミウォンスペシャリティケミカル、Miramer SP1106)、5重量%フッ素系溶剤(日華、C6FOH-BF)、45重量%メチルエチルケトン、3.5重量%1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、0.5重量%フッ素系UV硬化型官能基含有化合物(信越社、KY-1203、固形分20%)を撹拌機を用いて配合し、PP材質のフィルタを用いてろ過して、ハードコート組成物を製造した。
【0117】
製造例2
23重量%6官能ウレタンアクリレート(Shin-Nakamura Chemical、U-6LPA)、23重量%14官能アクリレート(ミウォンスペシャリティケミカル、Miramer SP1106)、5重量%フッ素系溶剤(3M社、Novec HFE-7300)、45重量%メチルエチルケトン、3.5重量%1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、0.5重量%フッ素系UV硬化型官能基含有化合物(信越社、KY-1203、固形分20%)を撹拌機を用いて配合し、PP材質のフィルタを用いてろ過して、ハードコート組成物を製造した。
【0118】
製造例3
23重量%6官能ウレタンアクリレート(Shin-Nakamura Chemical、U-6LPA)、23重量%14官能アクリレート(ミウォンスペシャリティケミカル、Miramer SP1106)、5重量%フッ素系溶剤(3M社、Novec HFE-7500)、45重量%メチルエチルケトン、3.5重量%1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、0.5重量%フッ素系UV硬化型官能基含有化合物(フルオロテクノロジー、FS-7026)を撹拌機を用いて配合し、PP材質のフィルタを用いてろ過して、ハードコート組成物を製造した。
【0119】
製造例4
23重量%6官能ウレタンアクリレート(Shin-Nakamura Chemical、U-6LPA)、23重量%14官能アクリレート(ミウォンスペシャリティケミカル、Miramer SP1106)、5重量%フッ素系溶剤(3M社、FC-3283)、45重量%メチルエチルケトン、3.5重量%1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、0.5重量%フッ素系UV硬化型官能基含有化合物(フルオロテクノロジー、FS-7026)を撹拌機を用いて配合し、PP材質のフィルタを用いてろ過して、ハードコート組成物を製造した。
【0120】
製造例5
23重量%6官能ウレタンアクリレート(Shin-Nakamura Chemical、U-6LPA)、23重量%14官能アクリレート(ミウォンスペシャリティケミカル、Miramer SP1106)、10重量%フッ素系溶剤(日華、C6FOH-BF)、40重量%メチルエチルケトン、3.5重量%1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、0.5重量%フッ素系UV硬化型官能基含有化合物(信越社、KY-1203)を撹拌機を用いて配合し、PP材質のフィルタを用いてろ過して、ハードコート組成物を製造した。
【0121】
製造例6
23重量%6官能ウレタンアクリレート(Shin-Nakamura Chemical、U-6LPA)、23重量%14官能アクリレート(ミウォンスペシャリティケミカル、Miramer SP1106)、10重量%フッ素系溶剤(3M社、Novec HFE-7300)、40重量%メチルエチルケトン、3.5重量%1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、0.5重量%フッ素系UV硬化型官能基含有化合物(信越社、KY-1203)を撹拌機を用いて配合し、PP材質のフィルタを用いてろ過して、ハードコート組成物を製造した。
【0122】
製造例7
23重量%6官能ウレタンアクリレート(Shin-Nakamura Chemical、U-6LPA)、23重量%14官能アクリレート(ミウォンスペシャリティケミカル、Miramer SP1106)、10重量%フッ素系溶剤(3M社、Novec HFE-7500)、40重量%メチルエチルケトン、3.5重量%1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、0.5重量%フッ素系UV硬化型官能基含有化合物(フルオロテクノロジー、FS-7026)を撹拌機を用いて配合し、PP材質のフィルタを用いてろ過して、ハードコート組成物を製造した。
【0123】
製造例8
23重量%6官能ウレタンアクリレート(Shin-Nakamura Chemical、U-6LPA)、23重量%14官能アクリレート(ミウォンスペシャリティケミカル、Miramer SP1106)、10重量%フッ素系溶剤(3M社、FC-3283)、40重量%メチルエチルケトン、3.5重量%1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、0.5重量%フッ素系UV硬化型官能基含有化合物(フルオロテクノロジー、FS-7026)を撹拌機を用いて配合し、PP材質のフィルタを用いてろ過して、ハードコート組成物を製造した。
【0124】
製造例9
23重量%6官能ウレタンアクリレート(Shin-Nakamura Chemical、U-6LPA)、23重量%14官能アクリレート(ミウォンスペシャリティケミカル、Miramer SP1106)、15重量%フッ素系溶剤(日華、C6FOH-BF)、35重量%メチルエチルケトン、3.5重量%1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、0.5重量%フッ素系UV硬化型官能基含有化合物(信越社、KY-1203、固形分20%)を撹拌機を用いて配合し、PP材質のフィルタを用いてろ過して、ハードコート組成物を製造した。
【0125】
製造例10
23重量%6官能ウレタンアクリレート(Shin-Nakamura Chemical、U-6LPA)、23重量%14官能アクリレート(ミウォンスペシャリティケミカル、Miramer SP1106)、15重量%フッ素系溶剤(3M社、Novec HFE-7300)、35重量%メチルエチルケトン、3.5重量%1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、0.5重量%フッ素系UV硬化型官能基含有化合物(信越社、KY-1203、固形分20%)を撹拌機を用いて配合し、PP材質のフィルタを用いてろ過して、ハードコート組成物を製造した。
【0126】
製造例11
23重量%6官能ウレタンアクリレート(Shin-Nakamura Chemical、U-6LPA)、23重量%14官能アクリレート(ミウォンスペシャリティケミカル、Miramer SP1106)、15重量%フッ素系溶剤(3M社、Novec HFE-7500)、35重量%メチルエチルケトン、3.5重量%1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、0.5重量%フッ素系UV硬化型官能基含有化合物(フルオロテクノロジー、FS-7026)を撹拌機を用いて配合し、PP材質のフィルタを用いてろ過して、ハードコート組成物を製造した。
【0127】
製造例12
23重量%6官能ウレタンアクリレート(Shin-Nakamura Chemical、U-6LPA)、23重量%14官能アクリレート(ミウォンスペシャリティケミカル、Miramer SP1106)、15重量%フッ素系溶剤(3M社、FC-3283)、35重量%メチルエチルケトン、3.5重量%1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、0.5重量%フッ素系UV硬化型官能基含有化合物(フルオロテクノロジー、FS-7026)を撹拌機を用いて配合し、PP材質のフィルタを用いてろ過して、ハードコート組成物を製造した。
【0128】
製造例13
23重量%6官能ウレタンアクリレート(Shin-Nakamura Chemical、U-6LPA)、23重量%14官能アクリレート(ミウォンスペシャリティケミカル、Miramer SP1106)、40重量%フッ素系溶剤(3M社、Novec HFE-7500)、10重量%メチルエチルケトン、3.5重量%1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、0.5重量%フッ素系UV硬化型官能基含有化合物(信越社、KY-1203、固形分20%)を撹拌機を用いて配合し、PP材質のフィルタを用いてろ過して、ハードコート組成物を製造した。
【0129】
製造例14
23重量%6官能ウレタンアクリレート(Shin-Nakamura Chemical、U-6LPA)、23重量%14官能アクリレート(ミウォンスペシャリティケミカル、Miramer SP1106)、50重量%メチルエチルケトン、3.5重量%1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、0.5重量%フッ素系UV硬化型官能基含有化合物(フルオロテクノロジー、FS-7026)を撹拌機を用いて配合し、PP材質のフィルタを用いてろ過して、ハードコート組成物を製造した。
【0130】
製造例15
20重量%フッ素系溶剤(日華、C6FOH-BF)、79.5重量%メチルエチルケトン、0.5重量%フッ素系UV硬化型官能基含有化合物(信越社、KY-1203、固形分20%)を撹拌機を用いて配合し、PP材質のフィルタを用いてろ過して、ハードコート組成物を製造した。
【0131】
製造例16
23重量%6官能ウレタンアクリレート(Shin-Nakamura Chemical、U-6LPA)、23重量%14官能アクリレート(ミウォンスペシャリティケミカル、Miramer SP1106)、10重量%フッ素系溶剤(日華、C6FOH-BF)、40重量%メチルエチルケトン、3.5重量%1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、0.5重量%シリコーン系レベリング剤(BYK、BYK-333)を撹拌機を用いて配合し、PP材質のフィルタを用いてろ過して、防汚性ハードコート組成物を製造した。
【0132】
実施例および比較例
実施例1
製造例1により製造されたハードコート組成物をポリエステルフィルム(PET、50μm)上に硬化後、厚さ5μmとなるようにコーティングをし、80℃の温度で2分間溶剤を乾燥させた。その後、窒素雰囲気下、UV積算光量600mJ/cmを照射して、ハードコートフィルムを製造した。
【0133】
実施例2
製造例2により製造されたハードコート組成物をポリエステルフィルム(PET、50μm)上に硬化後、厚さ5μmとなるようにコーティングをし、80℃の温度で2分間溶剤を乾燥させた。その後、窒素雰囲気下、UV積算光量600mJ/cmを照射して、ハードコートフィルムを製造した。
【0134】
実施例3
製造例3により製造されたハードコート組成物をポリエステルフィルム(PET、50μm)上に硬化後、厚さ5μmとなるようにコーティングをし、80℃の温度で2分間溶剤を乾燥させた。その後、窒素雰囲気下、UV積算光量600mJ/cmを照射して、ハードコートフィルムを製造した。
【0135】
実施例4
製造例4により製造されたハードコート組成物をポリエステルフィルム(PET、50μm)上に硬化後、厚さ5μmとなるようにコーティングをし、80℃の温度で2分間溶剤を乾燥させた。その後、窒素雰囲気下、UV積算光量600mJ/cmを照射して、ハードコートフィルムを製造した。
【0136】
実施例5
製造例5により製造されたハードコート組成物をポリエステルフィルム(PET、50μm)上に硬化後、厚さ5μmとなるようにコーティングをし、80℃の温度で2分間溶剤を乾燥させた。その後、窒素雰囲気下、UV積算光量600mJ/cmを照射して、ハードコートフィルムを製造した。
【0137】
実施例6
製造例6により製造されたハードコート組成物をポリエステルフィルム(PET、50μm)上に硬化後、厚さ5μmとなるようにコーティングをし、80℃の温度で2分間溶剤を乾燥させた。その後、窒素雰囲気下、UV積算光量600mJ/cmを照射して、ハードコートフィルムを製造した。
【0138】
実施例7
製造例7により製造されたハードコート組成物をポリエステルフィルム(PET、50μm)上に硬化後、厚さ5μmとなるようにコーティングをし、80℃の温度で2分間溶剤を乾燥させた。その後、窒素雰囲気下、UV積算光量600mJ/cmを照射して、ハードコートフィルムを製造した。
【0139】
実施例8
製造例8により製造されたハードコート組成物をポリエステルフィルム(PET、50μm)上に硬化後、厚さ5μmとなるようにコーティングをし、80℃の温度で2分間溶剤を乾燥させた。その後、窒素雰囲気下、UV積算光量600mJ/cmを照射して、ハードコートフィルムを製造した。
【0140】
実施例9
製造例9により製造されたハードコート組成物をポリエステルフィルム(PET、50μm)上に硬化後、厚さ5μmとなるようにコーティングをし、80℃の温度で2分間溶剤を乾燥させた。その後、窒素雰囲気下、UV積算光量600mJ/cmを照射して、ハードコートフィルムを製造した。
【0141】
実施例10
製造例10により製造されたハードコート組成物をポリエステルフィルム(PET、50μm)上に硬化後、厚さ5μmとなるようにコーティングをし、80℃の温度で2分間溶剤を乾燥させた。その後、窒素雰囲気下、UV積算光量600mJ/cmを照射して、ハードコートフィルムを製造した。
【0142】
実施例11
製造例11により製造されたハードコート組成物をポリエステルフィルム(PET、50μm)上に硬化後、厚さ5μmとなるようにコーティングをし、80℃の温度で2分間溶剤を乾燥させた。その後、窒素雰囲気下、UV積算光量600mJ/cmを照射して、ハードコートフィルムを製造した。
【0143】
実施例12
製造例12により製造されたハードコート組成物をポリエステルフィルム(PET、50μm)上に硬化後、厚さ5μmとなるようにコーティングをし、80℃の温度で2分間溶剤を乾燥させた。その後、窒素雰囲気下、UV積算光量600mJ/cmを照射して、ハードコートフィルムを製造した。
【0144】
実施例13
製造例13により製造されたハードコート組成物をポリエステルフィルム(PET、50μm)上に硬化後、厚さ5μmとなるようにコーティングをし、80℃の温度で2分間溶剤を乾燥させた。その後、窒素雰囲気下、UV積算光量600mJ/cmを照射して、ハードコートフィルムを製造した。
【0145】
比較例1
製造例14により製造されたハードコート組成物をポリエステルフィルム(PET、50μm)上に硬化後、厚さ5μmとなるようにコーティングをし、80℃の温度で2分間溶剤を乾燥させた。その後、窒素雰囲気下、UV積算光量600mJ/cmを照射して、ハードコートフィルムを製造した。
【0146】
比較例2
製造例15により製造されたハードコート組成物をポリエステルフィルム(PET、50μm)上に硬化後、厚さ5μmとなるようにコーティングをし、80℃の温度で2分間溶剤を乾燥させた。その後、窒素雰囲気下、UV積算光量600mJ/cmを照射して、ハードコートフィルムを製造した。
【0147】
比較例3
製造例16により製造されたハードコート組成物をポリエステルフィルム(PET、50μm)上に硬化後、厚さ5μmとなるようにコーティングをし、80℃の温度で2分間溶剤を乾燥させた。その後、窒素雰囲気下、UV積算光量600mJ/cmを照射して、ハードコートフィルムを製造した。
【0148】
実験例
(1)防汚性
ハードコート層を上部にして、KRUSS社の接触角測定器DSA100を用いて水の接触角を測定した。常温で液体滴量は3μlとし、その結果を表1に示した。
【0149】
(2)耐摩耗性
ハードコート層を上部にして、Daesung精密社の耐摩耗測定装置により耐摩耗性を測定した。具体的には、ハードコート層の表面を耐摩耗テスト用消しゴムと錘1kgを用いて3000回擦った後、接触角を測定した。常温で液体滴量は3μlとし、その結果を表1に示した。
【0150】
(3)鉛筆硬度
ハードコート層の面が上部にいくように基材フィルムをガラスに固定後、1kgの荷重下で鉛筆硬度を測定した。同一硬度の鉛筆で1cmの長さに5回テストを行って、4回以上擦れない鉛筆硬度を最終フィルムの鉛筆硬度として表1に示した。
【0151】
(4)耐スクラッチ性
ハードコート層の面が上部にいくように基材フィルムを透明粘着剤を用いてガラスに接合した後、スチールウール(#0000)を用いて500g/cmの荷重で10回往復摩擦させて耐スクラッチ性を測定し、評価基準は下記の通りである。
【0152】
○:測定部を三波長ランプに透過および反射して、観察時、スクラッチが視認されないか、10個以下のスクラッチが視認される。
【0153】
×:測定部を三波長ランプに透過および反射して、観察時、スクラッチが10個超視認される。
【0154】
(5)密着性
ハードコート層の面が上部にいくように基材フィルムを透明粘着剤を用いてガラスに接合した後、1mmの間隔で縦横100個の正方形状にカッターナイフでハードコート層の面に切り込みを入れた後、テープ(CT-24、日本のニチバン社製)を用いて3回密着性(剥離)テストを行った。100個の四角形3個をテストして平均値を記録した。
【0155】
密着性=n/100
n:全四角形中の剥離されていない四角形の数
100:全四角形の個数
【0156】
【表1】
【0157】
前記表1をみると、本発明に係るハードコートフィルムは、防汚性、耐摩耗性、鉛筆硬度、耐スクラッチ性および密着性がすべて優れていることが分かる。
【符号の説明】
【0158】
100:ウィンドウ
200:ディスプレイパネル
300:タッチセンサ
400:偏光板
501、502:接着剤層または粘着剤層
図1