IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ホイフト ジュステームテヒニク ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツングの特許一覧

<>
  • 特許-光透かしを有する検査デバイス 図1
  • 特許-光透かしを有する検査デバイス 図2
  • 特許-光透かしを有する検査デバイス 図3
  • 特許-光透かしを有する検査デバイス 図4
  • 特許-光透かしを有する検査デバイス 図5A
  • 特許-光透かしを有する検査デバイス 図5B
  • 特許-光透かしを有する検査デバイス 図6A
  • 特許-光透かしを有する検査デバイス 図6B
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-11
(45)【発行日】2022-03-22
(54)【発明の名称】光透かしを有する検査デバイス
(51)【国際特許分類】
   G01N 21/89 20060101AFI20220314BHJP
   G01N 21/88 20060101ALI20220314BHJP
【FI】
G01N21/89 Z
G01N21/88 Z
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2020528513
(86)(22)【出願日】2018-09-06
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-10-08
(86)【国際出願番号】 EP2018074067
(87)【国際公開番号】W WO2019048577
(87)【国際公開日】2019-03-14
【審査請求日】2020-02-05
(31)【優先権主張番号】102017008383.5
(32)【優先日】2017-09-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】500083972
【氏名又は名称】ホイフト ジュステームテヒニク ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
(74)【代理人】
【識別番号】110000475
【氏名又は名称】特許業務法人みのり特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ホイフト,ベルンハルト
(72)【発明者】
【氏名】ポルステル,ヴォルフガング
(72)【発明者】
【氏名】ウンガー,ミヒャエル
【審査官】赤木 貴則
(56)【参考文献】
【文献】特開平09-089805(JP,A)
【文献】特開2010-210635(JP,A)
【文献】特表2001-504221(JP,A)
【文献】特表2001-504220(JP,A)
【文献】特開平07-083851(JP,A)
【文献】特開2005-277363(JP,A)
【文献】独国特許発明第04302656(DE,C1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 21/00-G01N 21/958
G01B 11/00-G01B 11/30
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
不純物について容器を検査するためのデバイスであって、
検査される容器を通過するように放射する放射線を放出するように設計された放射源と、
前記放射源によって放出され前記容器を通過して放射した前記放射線を検出するように設計された検出ユニットと、
光透かしが設けられた識別要素と、を備え、前記識別要素は、前記検出ユニットが前記光透かしを通過した前記放射線を検出して画像を取得するように、前記放射源と前記検出ユニットとの間の光路中に配置され、かつ、検査される前記容器から隔てて位置し、
前記デバイスは、さらに、
前記画像を評価して、前記識別要素と前記検出ユニットとの間の前記光路中にある当該デバイスの光学部品に欠陥または汚染があるかどうかを判定するように設計された評価ユニットを備える、デバイス。
【請求項2】
前記識別要素は、前記放射源と検査される前記容器との間に配置されている、請求項1に記載のデバイス。
【請求項3】
前記識別要素は、検査される前記容器と前記検出ユニットとの間に配置されている、請求項1に記載のデバイス。
【請求項4】
第1の光透かしが設けられた第1の識別要素と、
第2の光透かしが設けられた第2の識別要素と、を備え、
前記検出ユニットが前記第1の光透かしおよび前記第2の光透かしを通過した前記放射線を検出して前記画像を取得するように、前記第1識別要素は、前記放射源と検査される前記容器との間で前記光路中に配置され、かつ、検査される前記容器から隔てて位置するとともに、前記第2の識別要素は、検査される前記容器と前記検出ユニットとの間で前記光路中に配置され、かつ、検査される前記容器から隔てて位置する、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載のデバイス。
【請求項5】
前記評価ユニットは、さらに、前記画像を評価して、前記容器に不純物があるかどうかも判定するものであり、
前記光透かしは、前記評価ユニットによる前記容器の不純物の判定に影響を及ぼさないように設計されている、請求項1から請求項4のいずれか1項に記載のデバイス。
【請求項6】
前記光透かしは、パターンを備える、請求項1から請求項5のいずれか1項に記載のデバイス。
【請求項7】
前記パターンは、ドットパターンまたはラインパターンである、請求項6に記載のデバイス。
【請求項8】
前記評価ユニットは、
前記画像に対して周波数分析を行って当該画像の周波数スペクトルを取得し、
前記周波数スペクトルを評価して、前記識別要素と前記検出ユニットとの間の前記光路中にある前記光学部品に欠陥または汚染があるかどうかを判定する、請求項1から請求項7のいずれか1項に記載のデバイス。
【請求項9】
前記評価ユニットは、
前記周波数スペクトルを所定のスペクトルと比較して、前記識別要素と前記検出ユニットとの間の前記光路中にある前記光学部品に欠陥または汚染があるかどうかを判定する、請求項8に記載のデバイス。
【請求項10】
前記評価ユニットは、
前記検出ユニットによって連続して取得された複数の前記画像に対して周波数分析を行って当該複数の画像のそれぞれの周波数スペクトルを取得し、
前記複数の画像の前記周波数スペクトルに基づいて、汚染された容器が存在しているかどうか、および、前記識別要素と前記検出ユニットとの間の前記光路中にある前記光学部品に欠陥または汚染があるかどうかを判定する、請求項1に記載のデバイス。
【請求項11】
前記識別要素は、フィルムまたはスクリーンである、請求項1から請求項10のいずれか1項に記載のデバイス。
【請求項12】
不純物について容器を検査するための、かつ、不純物について容器を検査するデバイスの光学部品の欠陥または汚染を検出するための方法であって、当該方法は、
放射源を準備するステップを備え、前記放射源は、検査される容器を通過するように放射する放射線を放出するように設計されており、
前記方法は、さらに、
前記放射源によって放出され前記容器を通過して放射した前記放射線を検出するように設計された検出ユニットを準備するステップと、
評価ユニットを準備するステップと、
光透かしが設けられた識別要素を、前記検出ユニットが前記光透かしを通過した前記放射線を検出して画像を取得するように、前記放射源と前記検出ユニットとの間の光路中において検査される前記容器から隔てて配置するステップと、
前記評価ユニット、前記画像を評価して、前記識別要素と前記検出ユニットとの間の前記光路中にある前記光学部品に欠陥または汚染があるかどうかを判定するステップと、を備える、方法。
【請求項13】
評価するステップにおいて、前記評価ユニットは、
前記画像に対して周波数分析を行って当該画像の周波数スペクトルを取得し、
前記周波数スペクトルを所定のスペクトルと比較し、
比較結果に基づいて、前記識別要素と前記検出ユニットとの間の前記光路中にある前記光学部品に汚染があるかどうかを判定する、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
評価するステップにおいて、前記評価ユニットは、さらに、前記比較結果に基づいて、拡散不純物が前記容器に存在するかどうかも判定する、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
評価するステップにおいて、前記評価ユニットは、
前記検出ユニットによって連続して取得された複数の前記画像に対して周波数分析を行って当該複数の画像のぞれぞれの周波数スペクトルを取得し、
前記複数の画像の前記周波数スペクトルに基づいて、汚染された容器が存在しているかどうか、および、欠陥または汚染が前記識別要素と前記検出ユニットとの間の前記光路中の前記光学部品にあるかどうかを判定する、請求項12に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、不純物について容器を検査するためのデバイスに関する。デバイスは、放射源を含み、当該放射源は、検査される容器を通過するように放射する放射線を放出するように設計されている。デバイスは、放射源によって放出され容器を通過して放射した放射線を検出するように設計された検出ユニットをさらに備える。デバイスはまた、検出ユニットによって検出された放射線を評価するように設計された評価ユニットを備える。
【背景技術】
【0002】
本発明は特に、容器が高速で移送される自動充填システムでの使用を意図している。特に、本発明は、空の容器の検査を意図している。自動充填システムにおいて、空の容器は、充填される前に、可能性のある不純物または異物について検査される。この目的のために、容器は、従来、可視光用の光源と半導体カメラとを備える検査要素を通るように案内される。光は容器を通過するように照射され、そして、これらの容器が異なる視野角から検査される。検査中、明るさ、色、またはコントラストの差異が判定される。存在するあらゆる差異は、容器の不純物または汚染として認識され、その後、容器は分離される。このような方法で分離された容器は、クリーニングシステムに送られる、またはリサイクルされ得る。
【0003】
検査される容器に加えて、検査デバイスの光学部品も汚染されることがあり、またはステインを示すかもしれない。特に、検査デバイスの光学部品が曇ることがある。保護スクリーン、ミラーおよび対物レンズのような光学部品の場合には、例えば、油膜またはクリーニングによる筋(縞)のような他の汚染も生じることがある。これらの汚染はローパス特性を有し、画像輝度を実質的に変えない。それらは、単に画像のぼけをもたらすかもしれず、容器上の欠陥が検出ユニットで不可視になることを許容するかもしれない。従来技術によれば、このような汚染の検出は、特別に準備された分析製品、例えば分析容器を用いた繰返しの試験によって、または製品ギャップ間でまたはこのために生成された余分な製品ギャップで特別な照明パターンを用いた追加の画像取得によって、行われる。あるいは、検査デバイスの光学部品の汚染は、構造のバラツキの有意な変化が時間に渡って測定されるという点で検出される。これにより、これらのエラーの検出は、強いコントラストを有する画像領域、例えば、容器の縁部、ガラスのエンブレムまたは刻印を有する領域のみに限定される。高いコントラストが典型的に予想されない領域は、このようにしてチェックすることができない。
【発明の概要】
【0004】
したがって、本発明の目的は、検査デバイスの光学部品の汚染を容易に検出できるような容器用検査デバイスを開発することである。
【0005】
この目的を達成するために、不純物について容器を検査するためのデバイスが提案され、当該デバイスは、放射源を備える。放射源は、検査される容器を通過するように放射する放射線を放出するように設計されている。デバイスは、放射源によって放出され容器を通過して放射した放射線を検出するように設計された検出ユニットをさらに備える。デバイスはまた、検出ユニットによって検出された放射線を評価するように設計された評価ユニットを備える。光透かし(光学ウォーターマーク)を備える識別要素が、放射源と検出ユニットとの間の光路中に配置されている。
【0006】
放射源と検出ユニットとの間の光路中の光透かしは、容器の不純物の検査に影響を及ぼさない、またはわずかにだけ影響を及ぼす。しかしながら、光透かしは、検査デバイスの光学部品をチェックすることを可能にする。検出ユニットによって検出された画像の評価において、光透かしが評価ユニットによってチェックされる。連続する画像において検出された透かしが、放射源と検出ユニットとの間のビーム経路中に位置する実際の光透かしから有意にずれている場合、検査デバイスの光学部品の不純物または欠陥が、評価ユニットによって認識される。
【0007】
光透かしを備える識別要素は、好ましくは、放射源と検査される容器との間に配置される。これにより、識別要素と検出ユニットとの間に位置する光学部品の汚染または不純物の識別が保証され得る。さらに、この場合、容器の不純物は、透かしに欠陥をもたらし得るので、検出され得る。
【0008】
あるいは、光透かしを備える識別要素は、検査される容器と検出ユニットとの間に配置され得る。これにより、識別要素と検出ユニットとの間にもっぱら配置された光学部品の汚染または不純物を検出することが可能になる。しかしながら、容器の汚染はこうして無視される。
【0009】
さらに、異なる光透かしを有するいくつかの識別要素が、放射源と検出ユニットとの間の光路中に配置され得る。これらのいくつかの識別要素は、光路中において、欠陥または汚染について検査される検査デバイスの光学部品の後に配置され得る。
【0010】
例えば、検出ユニットは、カメラボックスとして偏向ミラーおよび対物レンズを有する半導体カメラとして設計され得る。この場合、半導体カメラの保護ガラスを問題なくクリーニングすることができる。それにもかかわらず、カメラボックス内の欠陥または汚染は、重大な欠陥を表す。この場合、第1の光透かしを光路に備える第1の識別要素がカメラボックスの保護ガラスの前に配置され、第2の光透かしを光路に備える第2の識別要素がカメラボックスの保護ガラスの後に配置され得る。第2の光透かしが検出ユニットによって正しく検出されるが、第1の透かしが検出ユニットによって正しく検出されないことが、評価ユニットによって判定された場合、カメラボックスに保護ガラスの汚染または欠陥があると結論付けることができる。ここで、評価ユニットは、カメラボックスの保護ガラスがクリーニングされるべきであるという信号を発することができる。これに対して、第1の透かしおよび第2の透かしの両方が検出ユニットによって正しく認識されない場合、評価ユニットによって、カメラボックス内に汚染または欠陥があると結論付けることができる。
【0011】
これに対応して、放射源と検出ユニットとの間の光路中の適切な部品に、識別要素および異なる光透かしを設けることができ、その結果、汚染または欠陥の場合に、検査デバイスのどの光学部品が汚染されているかまたは欠陥があるかを評価ユニットによって正確に決定することができる。
【0012】
光透かしは、当該透かしを用いた容器の不純物の検出が乱されないように、またはわずかにだけ乱されるように設計される。この目的のために、透かしは、例えば、容器の不純物とは異なる微細なドット、線、または構造によって形成される。透かしは、好ましくは、人間の目では認識できない、または困難性をもってだけ認識できる。透かしは、ラインまたはドットパターンを備えてよい。
【0013】
光透かしは、好ましくは、光透かしに存在する周波数スペクトルによって規定されかつ選択される。固定周波数帯域内の適切な周波数が、好ましくは、透かしの周波数スペクトル内で選択される。次いで、このようにして生成された透かしの周波数スペクトルは、既知のフーリエ変換または別の適切な直交変換によって、周波数領域から空間領域に変換され得る。これは、空間領域における光透かしの画像につながる。次いで、この画像は、識別要素に適用され、検査デバイスの放射源と検出ユニットとの間の光路中に置かれる。これにより、光透かしは、放射源の放射線に記される。
【0014】
検出ユニットによって検出された画像における光透かしを、評価ユニットを用いて評価するために、検出ユニットによって検出された画像は、好ましくは、空間領域から周波数領域に変換される。再び、フーリエ変換または他の適切な直交変換が、好ましくは、このプロセスにおいて用いられる。ここで、評価ユニットは、検出ユニットによって検出された画像において光透かしの周波数スペクトルが存在するかどうか、または当該周波数スペクトルが乱れているかどうかをチェックする。周波数スペクトルが画像において実質的に存在する場合、すなわち、周波数スペクトルが乱れていない、またはわずかに乱れているだけである場合、評価ユニットは、検査デバイスの光学部品に欠陥または汚染がないこと、および、検査される容器に不純物がないことを検出する。他方、検出ユニットによって検出された画像に存在する元の透かしの周波数スペクトルが強く歪んでいるまたは乱れている場合、評価ユニットは、検査される容器の不純物を検出する。連続する画像において周波数スペクトルが強く歪んでいるまたは乱れている場合、評価ユニットは、検査デバイスの光学部品の汚染または欠陥を検出する。上述のように、いくつかの異なる光透かしが用いられる場合、評価ユニットはさらに、検査デバイスの光学部品のうちどの光学部品が欠陥または汚染によって影響を受けているかを検出する。
【0015】
光透かしの周波数スペクトルは、当該透かしの周波数スペクトル中の全ての周波数が検出ユニットによって依然として検出され得るように選択される。上限周波数はまた、検査デバイスの光学部品、検査される容器、または評価ユニットにおける評価によってアーチファクトが生成されないように選択される。光透かしの周波数スペクトル中の最低周波数は、検査される容器の不純物の検出が乱れない、または最小限だけ乱れるように選択される。言い換えれば、光透かしの周波数スペクトルは、検査される容器の不純物の検出が有意に乱れないが、光透かしの周波数が検出ユニットによって検出され得るように選択される。いくつかの透かしが同時に用いられる場合、これらは、好ましくは、スペクトル的に互いに補完し合い、したがって、いかなる共通の周波数も共有しない。
【0016】
光透かしの周波数スペクトルは、放射源と検出ユニットとの間の光路中の検査デバイスの光学部品の拡散不純物が光透かしの欠陥につながるように、さらに選択される。したがって、例えば、検査デバイスの光学部品上の油膜、クリーニングによる筋、曇り等を認識できることが保証される。
【0017】
放射源は、好ましくは、電磁放射源、例えば、可視範囲の光のための放射源である。放射源はさらに、UV光または赤外光、あるいはそれらの組み合わせを放出するように設計され得る。赤外線は、着色容器の場合、特に褐色ガラス瓶の場合に有利に用いられ得る。
【0018】
放射源は、パルス方式で動作され、そして、検査される容器が放射源の前に位置しているときだけ放射線パルスが放出されるように制御され得る。あるいは、放射源は、連続的に動作され得る。
【0019】
本発明は、放射源の放射線に対して実質的に透過な任意の所望の材料からなる容器の検査に用いられ得る。本発明は、ガラスまたは透明プラスチック、例えばPETからなる容器の場合に特に有利に用いられ得る。特に、本発明は、飲料産業におけるガラス瓶の検査に適用され得る。
【0020】
検出ユニットは、好ましくは、業界で慣例的なカラーカメラ、特に半導体カメラである。赤外カメラおよびUVカメラも同様に用いられ得る。動きぼけ(モーションブラー)を防止または低減するために、短いシャッタ速度を有するシャッタカメラが用いられ得る。これは、放射源が連続的に動作される場合に特に有利である。
【0021】
本発明はさらに、不純物について容器を検査するための方法に関し、この方法は、以下の方法ステップを備える:
-放射源を準備するステップ、当該放射源は、検査される容器を通過するように放射する放射線を放出するように設計され、
-放射源によって放出され容器を通過して放射した放射線を検出するように設計された検出ユニットを準備するステップ、
-検出ユニットによって検出された放射線を評価するように設計された評価ユニットを準備するステップ、
-光透かしを備える識別要素を、放射源と検出ユニットとの間の光路中に配置するステップ、
-検出ユニットによって検出された画像における透かしを、評価ユニットを用いて評価するステップ。
【0022】
評価の方法ステップにおいて、評価ユニットは、好ましくは、不純物または欠陥が放射源と検出ユニットとの間の光路中にあることを、周波数分析方法によって、検出ユニットによって検出された画像における透かしの周波数スペクトルの変化から、結論付ける。このプロセスにおいて、評価ユニットは、透かしの周波数スペクトルに有意な変化が生じた場合に、不純物または欠陥を検出する。
【0023】
典型的には、検査される各容器の1つの画像が検出ユニットによって検出される。評価ユニットが、単一の画像において、放射源と検出ユニットとの間の光路中に不純物または欠陥を検出した場合、容器が汚染されていると推定される。例えば、容器が曇ったり、錆で汚染されたりすることがあり、その結果、容器に拡散不純物が存在する。これに対して、検出ユニットのいくつかの連続する検出された画像において、定常的な欠陥または不純物が評価ユニットによって検出された場合、評価ユニットは、識別要素と検出ユニットとの間の光路中の検査デバイスの光学部品の不純物または欠陥を検出する。この場合、複数の容器が同じ箇所に拡散不純物を有する可能性は低い。
【0024】
検査精度を向上させ、かつ、欠陥に位置を割り当てるために、評価ユニットは、好ましくは、検出ユニットによって検出された画像を、例えば、それぞれ64×64または32×32画素を有する複数の部分領域に分割する。画像全体のこれらの部分領域は、それぞれ、評価ユニットによって、空間領域から周波数領域に変換され、そして、個々の部分領域の得られた周波数スペクトルは、光透かしの周波数スペクトルと比較される。欠陥がない場合には、光透かしの元の周波数パターンが画像の全ての部分領域において観察することができ、ここで、元の周波数パターンは、容器故に、体系的に歪められるかもしれない。光透かしの元の周波数スペクトルと比較して、周波数スペクトルの歪みまたは減衰が強いことは、汚染を示す。上述したように、歪んだまたは乱れた周波数スペクトルの1回の検出は、汚染された容器に起因し得る。しかしながら、歪んだまたは乱れた周波数スペクトルが評価ユニットによって連続する画像において検出された場合、放射源と検出ユニットとの間の光路中の検査デバイスの光学部品に不純物または欠陥があることが結論付けられる。
【0025】
以下、添付図面を参照して本発明が詳細に説明される。以下のものが示されている:
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】識別要素を有する本発明に係る検査デバイスの実施形態の例示的な図である。
図2】識別要素を有する本発明に係る検査デバイスの代替実施形態の例示的な図である。
図3】識別要素を有する本発明に係る検査デバイスのさらなる代替実施形態の例示的な図である。
図4】識別要素を有する本発明に係る検査デバイスのさらなる代替実施形態の例示的な図である。
図5】周波数領域および空間領域における光透かしである。
図6】評価ユニットによって評価された部分領域の周波数スペクトルである。
【発明を実施するための形態】
【0027】
図1は、不純物について容器を検査するためのデバイスを示す。デバイスは、放射源10を備える。放射源10は、放射線を放出するように設計されている。放射線は、検査される容器12を通過するように放射する。放射源10の放射線が検査される容器12を通過して放射した後、放射線は検出ユニット14に入る。検出ユニット14によって検出された画像は、さらに、評価のために評価ユニット16に送信される。
【0028】
識別要素18が、放射源10と検査される容器12との間に配置されており、当該識別要素18は、光透かしを備える。
【0029】
検査デバイスの種々の光学部品22、24が、放射源10と検出ユニット14との間の光路20に設けられ得る。これらは、保護ガラススクリーン22または偏向ミラー24であってよい。放射源10および検出ユニット14もまた、検査デバイスの光学部品とみなすことができる。検査される容器12、並びに検査デバイスの光学部品10、14、22、24の全ては、汚染を示すことがある。検査される容器12の場合、これらの不純物は、検出ユニット14によって既知の方法で検出され、評価ユニット16によって判定される。一方、検査デバイスの光学部品上の欠陥または不純物は、本発明に係るデバイスによってさらに検出され得る。
【0030】
この目的のために、識別要素18には、光透かしが設けられている。光透かしは、検査される容器12上の不純物の検出が阻害されないように、またはわずかに阻害されるように設計される。しかしながら、検査デバイスの光学部品の1つにおいて欠陥または不純物がある場合、これは、検出ユニット14によって検出された画像において光透かしの変化につながる。これは、評価ユニット16によって判定され得る。
【0031】
図1に示す例では、光透かしを有する識別要素18が第1の保護ガラス22と放射源10との間に配置されている。光透かしを有する識別要素18をこの場所に設けることにより、保護ガラス22、偏向ミラー24、および検出ユニット14内の光学部品における欠陥または不純物が判定され得る。放射源10内の欠陥または汚染は検出され得ない。
【0032】
図2および図3は、検査デバイスの光学部品の異なる配置を示す。図2は、図1に示される光路に対する放射源の傾斜を示す。図3は、底部検査を示す。
【0033】
図4は、それぞれ異なる光透かしを有する2つの識別要素18が用いられる実施形態を示す。これにより、検査デバイスの光学部品に存在するいかなる欠陥または汚染も、個々の光学部品によるものとされ得る。例えば、図4に示された右側の保護ガラス22が曇っている場合、検出ユニット14によって検出された画像は、図4に示された右側の識別要素18を備える光透かしが欠陥を有すると、評価ユニット16によって評価される。これに対して、図4に示される左側の識別要素18を備える光透かしは、欠陥がない。欠陥および不純物の存在について識別デバイスのどの光学部品が検査されるかに応じて、異なる光透かしを備える別個の識別要素が、これらの光学部品の前および/または後に配置され得る。
【0034】
識別要素18は、フィルムとして、識別デバイスの光学部品に適用されるか、または他の適切な手段、例えばスクリーンによって、放射源10と検出ユニット14との間の光路20内に導入され得る。
【0035】
図5は、空間領域(図5B参照)および周波数領域(図5A参照)における光透かしの実施形態を示す。空間領域から周波数領域への光透かしの変換およびその逆の変換は、既知のフーリエ変換または別の適切な直交変換によって行われる。図5Aおよび図5Bに示される光透かしが、好ましくは選択される。この場合、適切な周波数スペクトルが生成され、その周波数は、当該周波数が検出ユニット14によって検出され得うるように、同時に、検査される容器12上の不純物の検出が乱れないか、または実質的に乱れないように選択される。図5Aは、適切な周波数スペクトルのこのような選択を示し、図5Aは、このようにして生成された光透かしの周波数スペクトルの実部および虚部を表す。この周波数スペクトルの空間領域への変換後に、透かしが生成される。この光透かしの拡大部分断面は図5Bに示される。この光透かしは、図1図4に示されるように、放射源10と検出ユニット14との間の光路20内に導入される。
【0036】
図6は、検出ユニット14によって検出された画像の例示の評価を示す。このプロセスでは、評価ユニットは、検出ユニット14によって検出された画像をいくつかの部分領域に分解する。図6Aおよび図6Bは、それぞれ、2つのこのような部分領域の周波数スペクトルを示す。図6Aは、放射源10と検出デバイス14との間の光路20内に導入された光透かしの周波数スペクトルが実質的に再構成されることができた部分領域の周波数スペクトルを示す。したがって、この画像の場合、評価ユニットは、光路20に汚染または欠陥がないことを検出する。
【0037】
図6Bは、光路20に欠陥または不純物がある部分領域の周波数スペクトルを示す。このような欠陥または不純物が単に1つの画像においてだけ検出された場合、評価ユニットは、汚染された容器20が存在したと結論付ける。しかしながら、このような欠陥または不純物がいくつかの連続する画像において同じ箇所に検出された場合、評価ユニットは、検査デバイスの光学部品のうちの1つに欠陥または不純物があると判定する。上述のように、異なる光透かしを有するいくつかの識別要素18が使用される場合、評価ユニット16は、この場合、検査デバイスのどの光学部品が欠陥しているかまたは汚染されているかをさらに判定することができる。
図1
図2
図3
図4
図5A
図5B
図6A
図6B