IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ワッカー ケミー アクチエンゲゼルシャフトの特許一覧

<>
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-11
(45)【発行日】2022-03-22
(54)【発明の名称】分枝オルガノポリシロキサンの調製方法
(51)【国際特許分類】
   C08G 77/10 20060101AFI20220314BHJP
【FI】
C08G77/10
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2020542800
(86)(22)【出願日】2018-08-24
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-11-11
(86)【国際出願番号】 EP2018072903
(87)【国際公開番号】W WO2020038588
(87)【国際公開日】2020-02-27
【審査請求日】2020-09-30
(73)【特許権者】
【識別番号】390008969
【氏名又は名称】ワッカー ケミー アクチエンゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】Wacker Chemie AG
【住所又は居所原語表記】Hanns-Seidel-Platz 4, D-81737 Muenchen, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】110001173
【氏名又は名称】特許業務法人川口國際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】プラッセ,マルコ
【審査官】堀 洋樹
(56)【参考文献】
【文献】特開平06-001919(JP,A)
【文献】特開平07-150131(JP,A)
【文献】特表2018-503579(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08G 77/00-77/62
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
分枝オルガノポリシロキサンを製造する方法であって、
第1の工程では、少なくとも1種のアルコキシシランが、任意でアルコールと混合される塩基性触媒の存在下で少なくとも1種のポリジオルガノシロキサンと平衡化され、
第2の工程では、第1の工程で得られた平衡物が、酸性触媒及び任意にアルコールの存在下で、水及び任意で他の有機ケイ素化合物と加水分解され、縮合され、
ただし、第2の工程では、平衡物の量に基づいて、1重量%以下の量の炭化水素が存在する、方法。
【請求項2】
前記アルコキシシランが次式のものであることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
Si(OR4-n (II)
[式中、
Rは同じであっても異なっていてもよく、一価のSiC結合した任意で置換される炭化水素基であり、
は同じであっても異なっていてもよく、水素原子又は1~4個の炭素原子を有する炭化水素基であり、
nは0又は1である。]
【請求項3】
ポリジオルガノシロキサンが次式の単位からなる線状又は環状シロキサンであることを特徴とする、請求項1又は2に記載の方法。
(ORSiO4-c-d/2 (III)
[式中、
Rは同じであっても異なっていてもよく、一価のSiC結合した任意で置換される炭化水素基であり、
は同じであっても異なっていてもよく、水素原子又は1~4個の炭素原子を有する炭化水素基であり、
cは2又は3に等しく、
dは0又は1に等しく、
ただしc+dの合計は3以下であり、cは式(I)の全単位の少なくとも50%において2の値を有する。]
【請求項4】
第2の工程において、使用される式(II)のアルコキシシランのアルコキシ基1モルに基づいて、水が0.3モル~0.6モルの量で使用されることを特徴とする、請求項2又は3に記載の方法。
【請求項5】
さらなる有機ケイ素化合物が第2の工程で使用されることを特徴とする、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法(方法変形例b)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アルコキシシラン及びポリジオルガノシロキサンから、塩基平衡化及びその後の水との酸触媒反応によって2段階で分枝オルガノポリシロキサンを製造する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
分枝オルガノポリシロキサンを製造するための方法は古くから先行技術で知られていた。EP0850998B1号では、シリコーン樹脂又はその加水分解性前駆体を、溶媒中の一段階方法で線状シロキサンと反応させる。縮合触媒は、とりわけ、あまり好まれないが、強酸又は塩基であり得る触媒として明記される。
【0003】
EP2619249B1号、EP2619248B1号、EP2619247A1号、EP2619246B1号及びEP2619245B1号は、有機溶媒中でエンドキャップされた線状オルガノシロキサン及びオルガノシロキサン樹脂のブロックコポリマー構造を有するいわゆるDT樹脂の製造を記載する。ブロックコポリマーは、少なくとも20000g/molの平均重量を有する。
【0004】
同様にEP2791263B1号において、DT樹脂は、エンドキャップされた線状オルガノシロキサン、オルガノシロキサン樹脂のブロックコポリマー構造を有し、有機溶媒中で製造され、ここで、これらのDT樹脂は、強力な有機塩基を用いて硬化される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】欧州特許第0850998号明細書
【文献】欧州特許第2619249号明細書
【文献】欧州特許第2619248号明細書
【文献】欧州特許出願公開第2619247号明細書
【文献】欧州特許第2619246号明細書
【文献】欧州特許第2619245号明細書
【文献】欧州特許第2791263号明細書
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、分枝オルガノポリシロキサンを製造する方法に関し、
第1の工程では、少なくとも1種のアルコキシシランが、任意でアルコールと混合される塩基性触媒の存在下で少なくとも1種のポリジオルガノシロキサンと平衡化され、
第2の工程では、第1の工程で得られた平衡物が、酸性触媒及び任意にアルコールの存在下で、水及び任意で他の有機ケイ素化合物と加水分解され、縮合され、
ただし、第2の工程では、平衡物の量に基づいて、1重量%以下の量の炭化水素が存在する。
【発明を実施するための形態】
【0007】
第2の工程で存在し得る1重量%以下までの炭化水素は、好ましくは直鎖状又は分枝状炭化水素であり、これは使用されるアルコキシシラン及び/又はポリジオルガノシロキサン中の不純物として存在し得る。
【0008】
本発明の文脈において、オルガノポリシロキサンという用語は、ポリマー、オリゴマー及び二量体シロキサンの両方を含むことが意図される。
【0009】
好ましくは、本発明による方法において、以下の式の単位を含む分枝オルガノポリシロキサンが得られる。
Si(OR(4-a-b)/2 (I)
[Rは同じであっても異なっていてもよく、一価又は二価のSiC結合した任意で置換される炭化水素基であり、
は同じであっても異なっていてもよく、水素原子又は1~4個の炭素原子を有する炭化水素基であり、
aは0、1、2又は3であり、
bは0、1、2又は3であり、
ただしa+bの合計は3以下であり、
aは、式(I)の全単位の20~90%、好ましくは30~90%、特に好ましくは40~90%において1の値を有し、
aは、式(I)の全単位の10~60%において2の値を有し、
aは、式(I)の全単位の最大で10%、好ましくは最大で8%、特に好ましくは最大で6%において3の値を有し、
aは式(I)の全単位の最大で10%、好ましくは最大で8%、特に好ましくは最大で6%において0の値を有し、及び
bは、式(I)の全単位の50~95%、好ましくは60~95%、特に好ましくは70~95%において0の値を有する。]
【0010】
一価の炭化水素基Rの例は、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、tert-ブチル、n-ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、tert-ペンチル基、n-ヘキシル基のようなヘキシル基、n-ヘプチル基のようなヘプチル基、n-オクチル基及び2,2,4-トリメチルペンチル基等のイソオクチル基のようなオクチル基、n-ノニル基のようなノニル基、n-デシル基のようなデシル基、n-ドデシル基のようなドデシル基、及びn-オクタデシル基のようなオクタデシル基のようなアルキル基、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル及びメチルシクロヘキシル基のようなシクロアルキル基、フェニル、ナフチル、アントリル及びフェナントリル基のようなアリール基、トリル基、キシリル基及びエチルフェニル基のようなアルカリル基、ベンジル基及びβ-フェニルエチル基のようなアリールアルキル基、並びにビニル、アリル及びシクロヘキセニルエチル基のようなアルケニル基である。
【0011】
二価の炭化水素基Rの例は、エチレン基のようなアルキレン基、又はエテニレン基又はフェニレン基であり、式(I)及び/又は式(II)の2つの単位を互いに結合することができる。
【0012】
置換炭化水素基Rの例は、3-メタクリロキシプロピル、メタクリロキシメチル、2-イミノ-3-カルボニル-4-オキサペンチル又は4-イミノ-5-カルボニル-6-オキサヘプチル基である。
【0013】
基Rは、好ましくはヘテロ原子で任意で置換される1~18個の炭素原子を有する酸に安定な炭化水素基、特に好ましくは1~18個の炭素原子を有する炭化水素基、特にメチル、ビニル、プロピル、2,2,4-トリメチルペンチル又はフェニル基である。
【0014】
好ましくは、基Rはメチル基又はエチル基である。
【0015】
本発明に従って使用されるアルコキシシランは、好ましくは以下の式のものである。
Si(OR4-n (II)
式中、R及びRは上で特定した規定を有し、
nは0又は1、好ましくは1である。
【0016】
本発明に従って使用される式(II)のアルコキシシランの例は、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、2,2,4-トリメチルペントリメトキシシラン、2,2,4-トリメチルペントリエトキシシラン、n-プロピルトリメトキシシラン、n-プロピルトリエトキシシラン、n-ヘキサデシルトリメトキシシラン、ビス(トリエトキシシリル)エタン、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン及び3-(メタクリロキシプロピル)トリメトキシシラン、メタクリロキシメチルトリメトキシシラン、N-[3-(トリメトキシシリル)プロピル]-O-メチルカルバメート、及びN-トリメトキシシリルメチルーO-メチルカルバメートであり、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、n-プロピルトリメトキシシラン、n-プロピルトリエトキシシラン、2,2,4-トリメチルペントリメトキシシラン又は2,2,4-トリメチルペントリエトキシシランが好ましい。
【0017】
本発明による方法の第1の工程において、式(II)のシランは、純粋なシランとして、及び式(II)の異なるシランの混合物としての両方で使用することができる。
【0018】
本発明に従って使用されるポリジオルガノシロキサンは、好ましくは以下の式の単位からなる線状又は環状シロキサンである。
(ORSiO4-c-d/2 (III)
式中、Rは上で特定した規定を有し、
は同じであっても異なっていてもよく、水素原子又は1~4個の炭素原子を有する炭化水素基であり、
cは2又は3に等しく、
dは0又は1に等しく、
ただしc+dの合計は3以下であり、cは式(I)の全単位の少なくとも50%、好ましくは少なくとも70%、特に好ましくは少なくとも90%において2の値を有する。
【0019】
基Rは、水素原子であることが好ましい。
【0020】
本発明に従って使用されるポリジオルガノシロキサンの例は、(HO)MeSiO[SiMeO]10-1000SiMe(OH)、MeSiO[SiMeO]0-1000SiMe、MeSiO[SiMeO]3-1000SiMe(OH)、ViMeSiO[SiMeO]30-1000SiMeVi、MeSiO[SiPhMeO]1-100[SiMeO]0-500SiMe、MeSiO[SiPhO]1-100[SiMeO]0-500SiMe、MeSiO[SiViMeO]1-100[SiMeO]0-500SiMe、シクロ-[SiMeO]3-20、シクロ-[SiPhO]3-10、シクロ-[SiViMeO]3-10及びそれらの混合物であり、(HO)MeSiO[SiMeO]10-1000SiMe(OH)、MeSiO[SiMeO]0-1000SiMe、MeSiO[SiMeO]3-1000SiMe(OH)、シクロ-[SiMeO]3-20及びそれらの混合物が好ましく、ここでMeはメチル基であり、Viはビニル基であり、Phはフェニル基である。
【0021】
本発明開示の全ての式において、記号は互いに独立してそれらの規定を有する。ケイ素原子は常に四価である。
【0022】
本発明の方法で使用される式(II)のシラン及び式(III)の単位から構成されるシロキサンの量による比及び種類は、主として、目標生成物の分岐の所望の割合及び鎖長に基づく。
【0023】
本発明による方法では、式(III)の単位から構成されるオルガノポリシロキサン中のケイ素原子1モル当たり、好ましくは9~0.4モル、好ましくは9~1モル、特に好ましくは9~1.5モルの式(II)のシランが使用される。
【0024】
本発明による平衡化を実施する場合、平衡化反応を促進する全ての既知の塩基性触媒を使用することができる。
【0025】
塩基性平衡化触媒の例は、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム及び水酸化カリウムのようなアルカリ金属水酸化物、ナトリウムメトキシド及びナトリウムエトキシドのようなアルカリ金属アルコキシド、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム及び炭酸セシウムのようなアルカリ金属炭酸塩、ブチルリチウムのようなアルカリ金属有機化合物、水酸化カルシウム又は水酸化バリウムのようなアルカリ土類金属水酸化物、テトラブチルホスホニウム水酸化物のような水酸化ホスホニウム、ベンジルトリメチルアンモニウムヒドロキシド及びテトラメチルアンモニウムヒドロキシドのような水酸化アンモニウム、二カリウムポリジメチルシロキサノレート(siloxanolate)、ビス(テトラメチルアンモニウム)ポリジメチルシロキサノレート及びビス(テトラブチルホスホニウム)ポリジメチルシロキサノレートのようなシラノレート、並びにアルカリ金属、アルカリ金属ヒドリド、アルカリ金属酸化物、アルカリ金属ペルオキシド、アルカリ金属アミドのように使用条件下でアルカリ金属水酸化物又はアルカリ金属シラノレートを形成することができるアルカリ金属化合物であり、水酸化カリウムなどのアルカリ金属水酸化物、ナトリウムメトキシド及びナトリウムエトキシドなどのアルカリ金属アルコキシド、炭酸セシウムなどのアルカリ金属炭酸塩、並びにベンジルトリメチルアンモニウムヒドロキシド及びテトラメチルアンモニウムヒドロキシドなどの水酸化アンモニウムが好ましい。
【0026】
本発明による方法において、好ましくは、いずれの場合も式(II)のシラン及び式(III)の単位から構成されるオルガノポリシロキサンの総重量に基づいて、50~5000重量ppm、特に好ましくは100~2500重量ppmの量の塩基性触媒を使用することが好ましい。
【0027】
本発明の方法において任意に使用され得るアルコールは、アルコール性水酸基を有する炭化水素化合物であって、アルコキシシランを製造するために、又はクロロシランをアルコール及び任意に水と反応させて有機ポリシロキサンを製造するために使用され得るものであり、沸点は、いずれの場合も製造されるアルコキシシラン又はオルガノポリシロキサンの沸点を下回るものであることが好ましい。
【0028】
好ましくは、本発明による方法において任意に使用されるアルコールは、1~6個の炭素原子を有するアルカノール又は1~6個の炭素原子を有するエーテルの酸素が置換されたアルカノール、例えばメタノール、エタノール、n-プロパノール又はイソプロパノール、β-メトキシエタノール、n-ブタノール又はn-ヘキサノールであり、特に好ましくはメタノール、エタノール、イソプロパノール又はブタノール、特にメタノール又はエタノールであり、エタノール中で通常の変性剤、例えばメチルエチルケトン、石油エーテル又はシクロヘキサンが存在していてもよい。異なるアルコールの混合物も使用することができ、これは、それぞれの反応ユニットに供給する前に、短い混合セクションで任意に均質化することができる。
【0029】
本発明による方法の第1の工程において、アルコールは、いずれの場合も式(II)のシラン及び式(III)の単位から構成されるオルガノポリシロキサンの総重量に対して、好ましくは0~20重量%、特に好ましくは0~10重量%、特に0~5重量%の量で使用される。アルコールが第1の処理工程で使用される場合は、塩基性触媒の溶媒及び/又は使用されるシラン中の不純物として使用されることが好ましい。
【0030】
本発明による方法の第1の工程において、アルコキシシラン以外に、ポリジオルガノシロキサン、塩基性触媒及び任意にアルコール及びそれらの不純物が添加され、好ましくは他の成分は添加されない。
【0031】
本発明による第1の処理工程で使用される成分中に存在し得る不純物は、例えば、前述のような変性剤であるか、又はクロロ炭化水素である。このような不純物の典型的な量は、第1の処理工程における反応混合物に基づいて、1~10000重量ppmの範囲である。
【0032】
本発明による方法の第1の工程は、好ましくは10~150℃の温度、特に好ましくは20~145℃、特に30~90℃の温度、及び周囲の大気の圧力、すなわち約900~1100hPaの間で実施される。しかし、所望ならば、より高い圧力又はより低い圧力も適用することができる。
【0033】
本発明による方法の第1の工程は、好ましくは5~120分、特に好ましくは10~100分、特に15~90分の期間にわたって実施される。持続時間は、使用される触媒、触媒の量、反応温度及び所望の平衡化の程度に依存し、手順に応じて適合させることができる。連続生産の場合は、より短い時間が望ましいが、不連続生産の場合は、より長い時間がより良好な再現性のために望ましい。
【0034】
平衡化に成功した後、反応混合物は、第2の工程で直ちにさらに処理されることが好ましい。しかし、反応混合物はまた、酸によって、好ましくは50重量ppm未満の塩基又は酸含量まで中和することができ、この状態で一時的に保存でき、任意に揮発分除去及び/又は濾過することができ、次いで、所望の時間後に第2の処理工程を実施することができる。
【0035】
所望により揮発分除去を行う場合には、混合物を好ましくは50~200℃の温度及び好ましくは10~1100hPaの圧力に維持することにより、アルコール及びシランのような揮発性成分を得られた反応混合物から排除する。こうして除去された揮発性成分は再利用できる。
【0036】
本発明による方法の第1の工程で得られる単離され、揮発分が除去された平衡物の粘度は、いずれの場合も25℃で、好ましくは2~100mPas、特に好ましくは3~50mPas、特に4~25mPasである。
【0037】
本発明による方法の第1の工程で得られる平衡物のOR基の含有率は、少なくとも20重量%、特に好ましくは少なくとも22重量%、特に少なくとも25重量%であり、Rは上で特定した規定の1つを有する。
【0038】
次いで、第1の工程に従って得られた反応混合物又は単離された平衡物を、酸性触媒の添加により、次の第2の工程で酸性にし、任意にアルコールの存在下で、水及び任意でさらにアルコキシ及び/又はヒドロキシ官能性有機ケイ素化合物と反応させる。
【0039】
本発明に従って使用される酸性触媒の例は、塩酸、フッ酸、硫酸、硝酸、過塩素酸又はリン酸のような無機酸、トリフルオロメタンスルホン酸、フルオロスルホン酸又はメチルスルホン酸のようなスルホン酸、ビニルホスホン酸又はn-オクチルホン酸のようなホスホン酸、トリフルオロ酢酸、ギ酸、シュウ酸又はn-オクタン酸のような有機酸、並びに使用条件下、すなわち水及びアルコールの存在下で酸を形成できる化合物、例えばイソオクチルトリクロロシラン、ジクロロジメチルシラン、テトラクロロシラン、オキシ塩化リン、塩化アセチル、塩化n-オクチル(octoyl)又は三塩化ホウ素のような塩化物、三フッ化ホウ素錯体のようなフッ化物、三酸化イオウのような非金属酸化物、及び無水酢酸のような無水物、ピロ硫酸及びピロリン酸であり、塩酸、硫酸、硝酸又はメチルスルホン酸が特に好ましい。
【0040】
本発明に従って使用される酸性触媒は、塩基性触媒の中和後に、いずれの場合も使用される平衡物の総重量に基づいて、50~5000重量ppm、特に好ましくは100~2500重量ppmの量の過剰の酸性触媒が生じるような量で使用される。
【0041】
好ましくは、本発明の方法の第2の工程で使用される水は、部分脱塩水、完全脱塩水、蒸留水又は(多重)再蒸留水又は薬用又は医薬用の水、特に好適には部分脱塩水又は完全脱塩水である。
【0042】
好ましくは、本発明に従って使用される水は、25℃及び1010hPaで最大で50μS/cmの導電率を有する。本発明に従って使用される水は、好ましくは空気で飽和され、透明で無色である。
【0043】
本発明による方法の第2の工程において、使用される式(II)のアルコキシシランのアルコキシ基1モルに基づいて、水を好適には0.3モル~0.6モルの量で使用する。
【0044】
水は、好ましくは、第2の工程の開始時に、好ましくは酸性触媒の添加後に、全部が添加される。水は酸性触媒との混合物として添加することもできる。水は最初に微細に分散され、したがってアルコキシ基を加水分解されるように、1~15分の間に強力に撹拌しながら段階的に又は連続的に加えることが好ましく、次いで、方法が続くにつれて、形成されたアルコールは、添加された水の均一な分布を確実にし、また、反応の熱も、例えば還流冷却によって放散することができる。
【0045】
本発明の方法の第2の工程で任意に使用されるアルコールの例は、第1の工程で使用され得るアルコールについて言及される例である。
【0046】
本発明による方法の両工程でアルコールを使用する場合は、全ての工程で同じアルコール、好ましくはメタノール又はエタノールを使用することが好ましい。アルコールは、好ましくは、塩基性触媒のための溶媒として第1の工程においてのみ使用される。アルコキシ基の加水分解中に第2の工程でアルコールが生成し、好ましくは追加のアルコールは添加されない。本発明による方法の第1の工程及び/又は第2の工程でアルコールを使用する場合、それは第2の工程の加水分解で生成されるのと同じアルコールであることが好ましい。
【0047】
本発明による方法の第2の工程において、好ましくは、炭化水素は使用されない。
【0048】
混合を改善するために、水をアルコールと混合することができ、好ましく使用されるアルコールは、加水分解中に形成されるアルコールであり、及び/又は反応混合物は、形成されるアルコールの沸点より1~20℃低い温度に加熱される。水の添加の開始時には、反応混合物は二相、すなわち混濁していてもよい。第2の工程の水の添加及び酸性縮合のさらなる過程では、反応混合物は一相、すなわち均質である。非常に高度の縮合では、アルコール溶液から高度に縮合したシリコーン樹脂が析出するため、混合物は再び混濁してもよいが、これは好ましくない。
【0049】
本発明による方法の第2の工程において、平衡物とは別に、水、任意選択的にさらなる有機ケイ素化合物、酸性触媒及び任意選択的にアルコールが添加され、好ましくはさらなる成分は添加されない。
【0050】
本発明による方法の好ましい実施形態(方法変形例a)において、第2の反応工程においてさらなる有機ケイ素化合物は使用されず、水との反応は所望の縮合段階まで実施され、それにより高度に縮合した分枝オルガノポリシロキサンが好ましくは最終生成物として形成される。
【0051】
本発明による方法のさらに好ましい実施形態(方法変形例b)において、さらなる有機ケイ素化合物が第2の工程において使用され、次いで、それは、水及び平衡物と反応する。
【0052】
本発明による方法変形例bで使用される有機ケイ素化合物は、式(II)のシラン及び/又は式(III)の単位から構成されるシロキサンであることができ、この場合、これらは式(III)の最大10単位を有する短鎖オルガノポリシロキサンであることが好ましく、ヘキサメチルジシロキサンが特に好ましい。
【0053】
本発明による方法変形例bにおいて使用される有機ケイ素化合物は、いずれの場合も使用される平衡物の総重量に基づいて、好ましくは1~10重量%、特に好ましくは1~7重量%の量で使用される。
【0054】
好ましい方法変形例では、第2の工程は、第1の工程に続いて直接、第1の工程と同じ容器で実施されることが好ましい。
【0055】
さらに好ましい方法変形例において、第2の工程は、第1の工程とは別に、別の容器中でバッチ式に実施される。
【0056】
さらなる好ましい方法変形例において、第2の工程は、第1の処理工程とは別に、別の容器中で実施され、ここで任意選択的に中和された平衡物、水、酸性触媒、任意選択的にさらなる有機ケイ素化合物、及び任意選択的に第1の工程で得られたアルコールが連続的に供給され、反応生成物が連続的に排出される。
【0057】
さらに好ましい方法変形例において、第1の処理工程及び第2の処理工程が連続的に実施され、ここで、両工程は、互いに直接連結されているか又は中間容器によって分離され得る混合又はフロースルー容器中で実施される。
【0058】
本発明による方法の第2の工程は、好ましくは10~150℃、特に好ましくは20~145℃、特に30~90℃の温度で、周囲の大気の圧力、すなわち約900~1100hPaの間で実施される。しかし、所望の場合には、より高い圧力又はより低い圧力も適用することができる。バッチ式の方法変形例は、還流下及び周囲の大気圧下で実施することが好ましい。連続方法変形例は、還流冷却器を有する容器内で、好ましくは還流下で周囲の大気圧下で、又は還流冷却器を有さない密封容器内で、好ましくは還流温度より5~10℃下の温度で、わずかに正圧で実施される。
【0059】
本発明による方法の第2の工程は、好ましくは5~250分、特に好ましくは10~200分、特に15~180分の期間にわたって実施される。持続時間は、使用される触媒、使用される触媒の量、水の量、反応温度及び所望の縮合度に依存し、手順に応じて適応させることができる。連続方法変形例ではより短い時間が望ましいが、バッチ式方法変形例ではより長い時間がより良好な再現性のために望ましい。
【0060】
本発明による反応に続いて、得られた反応混合物の後処理又は精製を、例えば不活性化及び揮発分除去によって行うことができる。
【0061】
不活性化は、好ましくは、0~20ppmという混合物のHCl含有率が得られるように、過剰の塩基性触媒を使用して行われる。例としては、塩基性平衡化触媒について言及されたもの、特にナトリウムメトキシド及びナトリウムエトキシドである。
【0062】
任意選択的に、揮発分除去の前又は間に、固体シリコーン樹脂、アクリレートモノマー又はメタクリレートモノマーなどの、本発明による方法によって生成される分枝オルガノポリシロキサンと混合されるべきさらなる物質を添加することができる。
【0063】
揮発分除去の間、混合物を好ましくは30~120℃の温度及び好ましくは20~800mbarの絶対圧に維持することにより、アルコール及び水残基のような揮発性成分が得られた反応混合物から除去される。好ましくは、アルコールの大部分がまず標準圧及び80~120℃の範囲の温度で留去され、次いで残留揮発成分が20~800mbarの圧力で除去される。
【0064】
後処理で分離されたアルコールは、例えばアルコキシシランの製造で再利用することができる。
【0065】
本発明による方法の主な利点は、第2の工程における加水分解及び縮合が、炭化水素の添加なしに、及び反応生成物として形成されるアルコールの存在下でのみ起こることである。
【0066】
本発明による方法で使用される成分は、それぞれ、1つのそのような成分の1種類並びに少なくとも2種類の関連する成分の混合物であることができる。
【0067】
本発明による方法は、バッチ式モードで、半連続的に、又は完全に連続的に実施することができる。
【0068】
式(I)の単位を含む、本発明の方法により製造される分枝オルガノポリシロキサンは、多分散性(PD)が最大10の好ましくは800~10000g/mol、多分散性(PD)が最大5の好ましくは900~8000g/mol、特に好ましくは多分散性が最大4の1000~5000g/mol、特に多分散性が最大3.0の1000~3000g/molの平均分子量Mw(重量平均)を有する。
【0069】
式(I)の単位を含む、本発明に従って製造された最終生成物の重量平均Mwは、好ましくは第1の工程の後に得られた平衡物の重量平均Mwの少なくとも1.1倍、好ましくは少なくとも1.2倍、特に好ましくは少なくとも1.3倍、特に少なくとも1.4倍である。
【0070】
本発明に従って製造された最終生成物は、液体及び高粘性又は固体の両方であり得るので、非常に広い粘度範囲にわたって塗ることができる。好ましくは、それらは、いずれの場合も25℃及び標準圧において好ましくは600~100000mPas、好ましくは750~50000mPas、及び特に好ましくは1000~10000mPasの粘度を有する、20℃及び1013hPaで存在するオルガノポリシロキサンである。
【0071】
式(I)の単位を含む、本発明による方法によって製造される分枝オルガノポリシロキサンは、好ましくは2~20重量%、特に好ましくは3~18重量%、特に4~15重量%のアルコキシ含有率を有する。
【0072】
本発明により製造された平衡物若しくは最終生成物又はそれらの調製物は、内部又は外部使用のための結合剤として又は結合剤添加物として複合体を製造するために使用することができる。
【0073】
式(I)の単位を含む、本発明による方法によって製造される分枝オルガノポリシロキサンは、調製物又はそれから得られる固体若しくはフィルムの他の特性、すなわち、
- 導電率及び電気抵抗の制御
- 調製物のレベリング特性の制御
- 湿った、又は硬化したフィルム又は物品の光沢の制御
- 耐候性の向上
- 耐薬品性の向上
- 色調安定性の向上
- 白亜化傾向の軽減
- 固体又はフィルム上の静摩擦又は滑り摩擦の低減又は増加
- 調製物中の泡の安定化又は不安定化
- 調製物の密着性の向上並びに充填剤及び顔料の濡れ及び分散挙動の制御、
- 調製物のレオロジー特性の制御、
- 柔軟性、引っかき抵抗性、弾性、伸展性、曲げ性、引張挙動、復元力、硬度、密度、引裂抵抗性、圧縮永久ひずみ、異なる温度での挙動、膨張係数、耐摩耗性などの機械的特性、及び熱伝導率、燃焼性、ガス透過性、水蒸気、熱風、化学薬品、天候及び放射線に対する耐性及び固体又はフィルムの殺菌性などのさらなる特性の制御、並びに、誘電損失係数、誘電強度、誘電率、耐トラッキング性、耐アーク性、表面抵抗率、体積抵抗率などの電気特性の制御、
- 固体又はフィルムの可撓性、引っ掻き抵抗性、弾性、伸展性、曲げ性、引張挙動、復元力、硬度、密度、引裂抵抗性、圧縮永久ひずみ、異なる温度での挙動
を操作するためにも使用することができる。
【0074】
本発明による方法によって生成された平衡物又は最終生成物が、上述の特性を操作するために使用され得る応用例は、金属、ガラス、木材、鉱物基材、織物、カーペット、床カバーを製造するための合成及び天然繊維、又は繊維、革、箔及び成形体のようなプラスチックなどの基材上のコーティング材料及び含浸物並びにそれらから得られるコーティング及び被覆物の製造である。平衡物又は最終生成物は、調製物成分を適切に選択する場合、脱泡、流動促進、疎水化、親水化、充填剤及び顔料分散、充填剤及び顔料湿潤、基材湿潤、表面平滑性の促進、添加剤を含む調製物から得られる硬化組成物の表面上の接着性及び摺動抵抗の低減の目的のための添加剤としても、調製物において使用することができる。
【0075】
本発明による方法は、実施が非常に簡単であり、非常に高い転化率が達成されるという利点を有する。
【0076】
本発明による方法は、一定組成の分枝ポリオルガノシロキサンを再現性よく調製することができるという利点を有する。
【0077】
本発明による方法は、炭化水素の使用を全く必要としないという利点を有する。
【0078】
さらに、本発明による方法は、例えば二相方法の場合のように、廃水相が発生しないという利点を有する。
【0079】
第1の処理工程における本発明による方法は、単相ポリオルガノシロキサンを提供するのに適しているように、平衡度を高から低まで特異的に調整することを可能にする。
【0080】
第2の処理工程における本発明による方法は、低分子量及び高分子量ポリオルガノシロキサンの両方を提供するのに適しているように、平衡物のアルコキシ含有量を高から低まで特異的に調整することを可能にする。
【0081】
本発明による方法は、少なくとも95%という放出されたアルコールの回収率を有するという利点を有する。
【0082】
さらに、本発明による方法は、いわゆるDT、MDT、DQ、MDQ、DTQ及びMDTQ樹脂の制御された生産に特に適しているという利点を有する。
【0083】
本文では、物質は、機器分析によって得られたデータを提供することによって特徴付けられる。基礎となる測定は、公的に利用可能な規格に従うか、又は特別に開発された方法によって決定されるかのいずれかによって実施される。ここでは、告知された教示の明確性を確保するために、使用する方法を明記する。
【0084】
<粘度>
特に記載のない限り、DIN EN ISO 3219に従った回転粘度測定により粘度を測定する。特に記載のない場合は、25℃、標準圧1013mbarで全ての粘度データを適用する。
【0085】
<分子組成>
分子組成は核磁気共鳴分光法(用語については、ASTM E 386: High resolution nuclear magnetic resonance spectroscopy (H-NMR): terms and symbolsを参照)により決定し、ここでH核及び29Si核を測定する。
【0086】
H-NMR測定の説明>
溶媒:CDCl、99.8%d
試料濃度:5mm NMRチューブ内の約50mg/1ml CDCl
TMSを添加しない測定、7.24ppmのCDCl中の残留CHClによるスペクトル参照
【0087】
分光計:Bruker Avance I 500又はBruker Avance HD 500
試料プローブ:5mm BBO試料プローブ又はSMART試料プローブ(Bruker)
【0088】
測定パラメータ:
パルス・プログラム = zg30
TD=64k
NS=64又は128(試料プローブの感度に応じる)
SW=20.6ppm
AQ=3.17秒
D1=5秒
SFO1=500.13MHz
O1=6.175ppm
【0089】
処理パラメータ:
SI=32k
WDW=EM
LB=0.3Hz
【0090】
使用する分光器の種類に応じて、測定パラメータに対して可能な個々の調整が必要である。
【0091】
29Si-NMR測定の説明>
【0092】
溶媒:C 99.8%d/CCl 1:1 v/v、1重量%Cr(acac)を緩和試薬とする
試料濃度:10mm NMRチューブに約2g/1.5mlの溶媒
分光器:Bruker Avance 300
試料プローブ:10mm 1H/13C/15N/29Si ガラスフリーQNP試料プローブ(Bruker)
測定パラメータ:
パルス・プログラム=zgig60
TD=64k
NS=1024(試料プローブの感度に応じる)
SW=200ppm
AQ=2.75秒
D1=4秒
SFO1=300.13MHz
O1=-50ppm
【0093】
処理パラメータ:
SI=64k
WDW=EM
LB=0.3Hz
【0094】
使用する分光器の種類に応じて、測定パラメータに対して可能な個々の調整が必要である。
【0095】
<分子量分布>
分子量分布は重量平均Mw及び数平均Mnとして決定し、用いた方法は標準としてポリスチレン及び屈折率検出器(RI検出器)を用いたゲル浸透クロマトグラフィー(GPC又はサイズ排除クロマトグラフィー(SEC))である。特に記載のない限り、溶離液としてTHFを用い、DIN55672-1を適用する。多分散性(PD)は商Mw/Mnである。
【0096】
<酸価(HCl含有率)>
96%エタノール中のテトラブロモフェノールフタレインエチルエステル0.024gの12mlを含み、0.01Nエタノール性HClで中和したトルエン及びイソプロパノール3リットルから構成される溶媒混合物10mlを、0.01Nエタノール性KOHで、試験すべき物質3.00gで、溶液が青色になるまで滴定する。
【0097】
Phはフェニル基を意味する。
Meはメチル基を意味する
【実施例
【0098】
[実施例1]
還流冷却器、滴下漏斗及びKPG撹拌機を備えた2Lガラスフラスコ中で、メチルトリメトキシシラン260g、フェニルトリエトキシシラン576g、粘度80mPasのジヒドロキシ末端ポリジメチルシロキサン72g及びナトリウムメトキシド溶液(メタノール中25%)1.0g(4.6mmol)を100℃で1時間撹拌し、次いで塩酸(20%)2.4gで酸性化し、水86gを15分間かけて添加し、混合物を還流下で3時間撹拌する。
【0099】
このようにして生成した縮合HCl-酸性最終生成物をナトリウムメトキシド溶液(メタノール中25%)で中和し、続いて濾過する。
【0100】
次いで、アルコール性最終生成物溶液をロータリーエバポレーターで100℃の油浴温度で50mbarの最終真空まで蒸留し、418gの留出物を得る。これにより、568gの液体で透明な最終生成物が得られ、これは粘度、アルコキシ基含有率及び分子量分布により以下のように規定される。
29Si-NMRによる分子組成:
MeSiO2/2: 19.5mol%、
MeSi(OR’)O1/2: 2.1mol%、
MeSi(OR’)1/2: 1.1mol%、
MeSi(OR’)O2/2: 14.8mol%、
MeSiO3/2 + PhSiO1/2: 19.6mol%、
PhSi(OR’)O2/2: 30.2mol%、
PhSiO3/2: 12.7mol%、
R’ = Et又はOH
H-NMRによる組成:
エトキシ含有率: 16.4重量%、
シラノール含有率: 0.8重量%、
PhSiO3/2含有率: 53.7重量%、
MeSiO3/2含有率: 16.0重量%、
MeSiO2/2含有率: 13.1重量%、
粘度: 310mm/秒
Mw: 8200g/mol
Mn: 1900g/mol
PD: 4.3。
【0101】
[実施例2]
還流冷却器、滴下漏斗及びKPG撹拌機を備えた2Lガラスフラスコ中で、メチルトリメトキシシラン260g、フェニルトリエトキシシラン576g、粘度80mPasのジヒドロキシ末端ポリジメチルシロキサン72g及びナトリウムメトキシド溶液(メタノール中25%)1.0g(4.6mmol)を100℃で1時間撹拌し、次いで塩酸(20%)2.4gで酸性化し、水95gを15分間かけて添加し、混合物を還流下で3時間撹拌する。
【0102】
このようにして得た縮合HCl-酸性最終生成物をナトリウムメトキシド溶液(メタノール中25%)で中和し、続いて濾過する。
【0103】
続いて、アルコール性最終生成物溶液に、WACKER Chemie AGからSILRES(R)604の名称で市販されている固体フェニル樹脂200gを加え、混合物を蒸留し、粘度、アルコキシ基含有率及び分子量分布によって以下のように規定される液体で透明な最終生成物を得る。
29Si-NMRによる分子組成:
MeSiO2/2: 14.4mol%、
MeSi(OEt)O1/2: 1.4mol%、
MeSi(OEt)1/2: 0.8mol%、
MeSi(OEt)O2/2: 14.3mol%、
MeSiO3/2 + PhSiO1/2: 24.2mol%、
PhSi(OEt)O2/2: 31.0mol%、
PhSiO3/2: 13.9mol%、
H-NMRによる組成:
エトキシ含有率: 12.1重量%、
シラノール含有率: 1.1重量%、
PhSiO3/2含有率: 57.0重量%、
MeSiO3/2含有率: 19.5重量%、
MeSiO2/2含有率: 10.3重量%、
【0104】
他の生成物パラメータ:
粘度: 8930mm/秒
Mw: 1660g/mol
Mn: 1020g/mol
PD: 1.6。
【0105】
[比較例1]
還流冷却器、滴下漏斗及びKPG撹拌機を備えた2Lガラスフラスコ中で、メチルトリメトキシシラン260g、フェニルトリエトキシシラン576g、粘度80mPasのジヒドロキシ末端ポリジメチルシロキサン72g及び塩酸(20%)1.6g(8.7mmol)を100℃で1時間撹拌し、次いで水86gを15分間かけて添加し、混合物を還流下で3時間撹拌する。
【0106】
このようにして得た縮合HCl-酸性最終生成物をナトリウムメトキシド溶液(メタノール中25%)で中和し、続いて濾過する。
【0107】
次いで、アルコール性最終生成物溶液を蒸留し、液体で混濁した最終生成物を得、これは数日のうちに相に分離する。