(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-11
(45)【発行日】2022-03-22
(54)【発明の名称】オレフィン重合触媒用遷移金属化合物、それを含むオレフィン重合触媒およびそれを用いて重合されたポリオレフィン
(51)【国際特許分類】
C08F 4/6592 20060101AFI20220314BHJP
C08F 10/00 20060101ALI20220314BHJP
【FI】
C08F4/6592
C08F10/00 510
(21)【出願番号】P 2020550825
(86)(22)【出願日】2019-03-15
(86)【国際出願番号】 KR2019003016
(87)【国際公開番号】W WO2019182290
(87)【国際公開日】2019-09-26
【審査請求日】2020-09-18
(31)【優先権主張番号】10-2018-0032806
(32)【優先日】2018-03-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】520161344
【氏名又は名称】ハンファ ソリューションズ コーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】100112737
【氏名又は名称】藤田 考晴
(74)【代理人】
【識別番号】100136168
【氏名又は名称】川上 美紀
(74)【代理人】
【識別番号】100196117
【氏名又は名称】河合 利恵
(72)【発明者】
【氏名】ラン ファ ピャオ
(72)【発明者】
【氏名】ヒー ジュ ヤン
(72)【発明者】
【氏名】ナ ヨン パク
(72)【発明者】
【氏名】スン ヨン パク
(72)【発明者】
【氏名】ウク ジョン
【審査官】中川 裕文
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2015/147215(WO,A1)
【文献】特表2021-507977(JP,A)
【文献】特開2016-188318(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0299352(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08F 4/60- 4/70
10/00- 10/14
110/00-110/14
210/00-210/18
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記化学式1
-1又は化学式1-2で表される、オレフィン重合触媒用遷移金属化合物。
<
化学式1-1>
【化1】
<化学式1-2>
【化2】
(前記化学式1
-1および化学式1-2において、
Mは
、ジルコニウム(Zr)又はハフニウム(Hf)であり、
Xは、それぞれ独立してハロゲン
又はC
1-20アルキ
ルである)
【請求項2】
前記化学式1
-1は下記化学式A
であり、前記化学式1-2は下記化学式Bである、請求項
1に記載のオレフィン重合触媒用遷移金属化合物。
<化学式A>
【化3】
<化学式B>
【化4】
【請求項3】
下記化学式1
-1又は化学式1-2で表される遷移金属化合物;および
助触媒化合物を含む、オレフィン重合触媒。
<化学式1
-1>
【化5】
<化学式1-2>
【化6】
(前記化学式1
-1又は化学式1-2において、
Mは
、ジルコニウム(Zr)又はハフニウム(Hf)であり、
Xは、それぞれ独立してハロゲン
又はC
1-20アルキ
ルである)
【請求項4】
前記助触媒化合物は、下記化学式Iで表される化合物、化学式IIで表される化合物および化学式IIIで表される化合物のうち一つ以上を含む、請求項
3に記載のオレフィン重合触媒。
<化学式I>
【化7】
(前記化学式Iにおいて、nは2以上の整数であり、
R
aはハロゲン原子、C
1-20炭化水素基又はハロゲンで置換されたC
1-20炭化水素基である)
<化学式II>
【化8】
(前記化学式IIにおいて、Dはアルミニウム(Al)又はホウ素(B)であり、
R
b、R
cおよびR
dはそれぞれ独立してハロゲン原子、C
1-20炭化水素基、ハロゲンで置換されたC
1-20炭化水素基又はC
1-20アルコキシ基である)
<化学式III>
[L-H]
+[Z(A)
4]
-又は[L]
+[Z(A)
4]
-
(前記化学式IIIにおいて、Lは中性又はカチオン性ルイス塩基であり、
[L-H]
+および[L]
+はブレンステッド酸であり、
Zは13族元素であり、
Aはそれぞれ独立して置換若しくは非置換されたC
6-20アリール基であるか、又は置換若しくは非置換されたC
1-20アルキル基である)
【請求項5】
オレフィン重合触媒下
でオレフィン系単量体をオレフィン系共単量体と重合さ
せて
オレフィン系重合体を形成
する工程を含み、
前記オレフィン重合触媒が、
下記化学式1-1又は化学式1-2で表される遷移金属化合物;および
助触媒化合物を含む、オレフィン系重合体
の製造方法。
<化学式1-1>
【化9】
<化学式1-2>
【化10】
(前記化学式1-1又は化学式1-2において、
Mは、ジルコニウム(Zr)又はハフニウム(Hf)であり、
Xは、それぞれ独立してハロゲン又はC
1-20
アルキルである)
【請求項6】
前記オレフィン系単量体と前記オレフィン系共単量体は、それぞれエチレンと1-ヘキセンである、請求項
5に記載のオレフィン系重合体
の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、オレフィン重合触媒用遷移金属化合物、それを含むオレフィン重合触媒およびそれを用いて重合されたポリオレフィンに関する。
【背景技術】
【0002】
オレフィンの重合に用いられる触媒の一つであるメタロセン触媒は、遷移金属又は遷移金属ハロゲン化合物にシクロペンタジエニル基、インデニル基、シクロペンタジエニル基などのリガンドが配位結合された化合物であって、サンドイッチ構造を基本的な形態として有する。
【0003】
メタロセン触媒は、前記メタロセン化合物とメチルアルミノキサンなどの助触媒を含んで構成されるシングルサイト触媒(single-site catalyst)として、前記メタロセン触媒で重合された高分子は分子量分布が狭く、共単量体の分布が均一であり、チーグラーナッタ(Ziegler-Natta)触媒に比べて共重合活性度が高い。
【0004】
しかしながら、商業的に利用するにはまだ多くの困難性があるので、高温でも高い安定性又はオレフィンとの優れた反応性を有する触媒の開発および経済性に基づく製造技術が求められる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明が解決しようとする課題は、オレフィン重合触媒用遷移金属化合物とそれを含んで高温でも高い安定性とオレフィンとの優れた反応性を有するオレフィン重合触媒およびそれを用いて重合されることによって、低密度、高分子量などの優れた物性を有するポリオレフィンを提供することにある。
【0006】
本発明の課題は、以上で言及した技術的課題に制限されず、言及されていないまた他の技術的課題は、以下の記載から当業者に明確に理解されるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するための本発明の一実施例によるオレフィン重合触媒用遷移金属化合物は、下記化学式1で表される。
<化学式1>
【化1】
(前記化学式1において、Mは、チタニウム(Ti)、ジルコニウム(Zr)又はハフニウム(Hf)であり、Xは、それぞれ独立してハロゲン、C
1-20アルキル、C
2-20アルケニル、C
2-20アルキニル、C
6-20アリール、C
1-20アルキルC
6-20アリール、C
6-20アリールC
1-20アルキル、C
1-20アルキルアミド、C
6-20アリールアミド又はC
1-20アルキリデンであり、R
1~R
4は、それぞれ独立して水素、C
1-20アルキル、C
2-20アルケニル、C
2-20アルキニル、C
6-20アリール、C
1-20アルキルC
6-20アリール、C
6-20アリールC
1-20アルキル、C
1-20アルキルアミド、C
6-20アリールアミド又はC
1-20アルキリデンであり、R
5およびR
6はそれぞれ独立してC
1-20アルキル、C
2-20アルケニル、C
2-20アルキニル、C
6-20アリール、C
1-20アルキルC
6-20アリール、C
6-20アリールC
1-20アルキル、C
1-20アルキルアミド、C
6-20アリールアミド又はC
1-20アルキリデンであるか、又は互いに連結されて置換若しくは非置換C
4-20環を形成し、R
7~R
10は、隣り合う2個が互いに連結されて置換若しくは非置換C
4-20環を形成する)
【0008】
具体的には、前記Xはそれぞれ独立してハロゲン又はC1-20アルキルであり、前記R1、R3およびR4はそれぞれ水素であり、前記R2はC1-20アルキルであり、前記R5およびR6はそれぞれ独立してC1-20アルキル又はC6-20アリールであるか、又は互いに連結されて置換若しくは非置換脂肪族C4-20環を形成し、前記R7~R10は隣り合う2個が互いに連結されて置換若しくは非置換芳香族C5-20環を形成し得る。
【0009】
さらに具体的には、前記R5およびR6はそれぞれ独立してメチル(methyl)であるか、又は互いに連結されて脂肪族C4環を形成し得る。
【0010】
又は、前記R7~R10は隣り合う2個が互いに連結されて置換若しくは非置換芳香族C6を形成し得る。
【0011】
例えば、前記化学式1は、下記化学式1-1又は化学式1-2で表される。
<化学式1-1>
【化2】
<化学式1-2>
【化3】
(前記化学式1-1および化学式1-2において、Mはジルコニウム又はハフニウムであり、Xはそれぞれ独立してハロゲン又はC
1-20アルキルである)
【0012】
さらに具体的には、前記化学式1は、下記化学式A又は化学式Bであり得る。
<化学式A>
【化4】
<化学式B>
【化5】
【0013】
前記課題を解決するための本発明の他の実施例によるオレフィン重合触媒は、下記化学式1で表される遷移金属化合物;および助触媒化合物を含む。
<化学式1>
【化6】
(前記化学式1において、Mはチタニウム(Ti)、ジルコニウム(Zr)又はハフニウム(Hf)であり、Xはそれぞれ独立してハロゲン、C
1-20アルキル、C
2-20アルケニル、C
2-20アルキニル、C
6-20アリール、C
1-20アルキルC
6-20アリール、C
6-20アリールC
1-20アルキル、C
1-20アルキルアミド、C
6-20アリールアミド又はC
1-20アルキリデンであり、R
1~R
4はそれぞれ独立して水素、C
1-20アルキル、C
2-20アルケニル、C
2-20アルキニル、C
6-20アリール、C
1-20アルキルC
6-20アリール、C
6-20アリールC
1-20アルキル、C
1-20アルキルアミド、C
6-20アリールアミド又はC
1-20アルキリデンであり、R
5およびR
6はそれぞれ独立してC
1-20アルキル、C
2-20アルケニル、C
2-20アルキニル、C
6-20アリール、C
1-20アルキルC
6-20アリール、C
6-20アリールC
1-20アルキル、C
1-20アルキルアミド、C
6-20アリールアミド又はC
1-20アルキリデンであるか、又は互いに連結されて置換若しくは非置換C
4-20環を形成し、R
7~R
10は隣り合う2個が互いに連結されて置換若しくは非置換C
4-20環を形成する)
【0014】
ここで、前記Xはそれぞれ独立してハロゲン又はC1-20アルキルであり、前記R1、R3およびR4はそれぞれ水素であり、前記R2はC1-20アルキルであり、前記R5およびR6はそれぞれ独立してC1-20アルキル又はC6-20アリールであるか、又は互いに連結されて置換若しくは非置換脂肪族C4-20環を形成し、前記R7~R10は隣り合う2個が互いに連結されて置換若しくは非置換芳香族C5-20環を形成し得る。
【0015】
具体的には、前記化学式1は、下記化学式1-1又は化学式1-2であり得る。
<化学式1-1>
【化7】
<化学式1-2>
【化8】
(前記化学式1-1および化学式1-2において、Mはジルコニウム又はハフニウムであり、Xはそれぞれ独立してハロゲン又はC
1-20アルキルである)
【0016】
また、前記助触媒化合物は、下記化学式Iで表される化合物、化学式IIで表される化合物および化学式IIIで表される化合物のうち一つ以上を含み得る。
<化学式I>
【化9】
(前記化学式Iにおいて、nは2以上の整数であり、R
aはハロゲン原子、C
1-20炭化水素基又はハロゲンで置換されたC
1-20炭化水素基である)
<化学式II>
【化10】
(前記化学式IIにおいて、Dはアルミニウム(Al)又はホウ素(B)であり、R
b、R
cおよびR
dはそれぞれ独立してハロゲン原子、C
1-20炭化水素基、ハロゲンで置換されたC
1-20炭化水素基又はC
1-20アルコキシ基である)
<化学式III>
[L-H]
+[Z(A)
4]
-又は[L]
+[Z(A)
4]
-
(前記化学式IIIにおいて、Lは中性又はカチオン性ルイス塩基であり、[L-H]
+および[L]
+はブレンステッド酸であり、Zは13族元素であり、Aはそれぞれ独立して置換若しくは非置換C
6-20アリール基であるか、又は置換若しくは非置換C
1-20アルキル基である)
【0017】
上記課題を解決するための本発明のまた他の実施例によるオレフィン系重合体は、前記他の実施例によるオレフィン重合触媒下で重合されて形成され得る。
【0018】
ここで、前記オレフィン系重合体は、オレフィン系単量体とオレフィン系共単量体が共重合されて形成され得る。
【0019】
具体的には、前記オレフィン系単量体と前記オレフィン系共単量体は、それぞれエチレンと1-ヘキセンであり得る。
【0020】
その他実施例の具体的な内容は、詳細な説明に含まれている。
【発明の効果】
【0021】
本発明の実施例によれば、少なくとも次のような効果がある。
【0022】
本発明の遷移金属化合物を含んで高温でも高い安定性およびオレフィンとの反応性を有するオレフィン重合触媒を製造することができ、それを用いて重合されたポリオレフィンは、低密度、高分子量などの優れた物性を有することができる。
【0023】
また、本発明の遷移金属化合物を含むオレフィン重合触媒は、合成収率が高く経済的な方法でも容易に製造できるので、商業的な実用性に優れる。
【0024】
本発明の実施例による効果は、以上で例示した内容によって制限されず、さらに多様な効果が本明細書内に含まれている。
【発明を実施するための形態】
【0025】
本発明の利点および特徴、並びにこれらを達成する方法は、詳細に後述されている実施例を参照すれば明確になる。しかし、本発明は、以下で開示する実施例に限定されるものではなく互いに異なる多様な形態で具現されるものであり、本実施例は、単に本発明の開示を完全にし、本発明が属する技術分野における通常の知識を有する者に発明の範疇を完全に知らせるために提供するものであり、本発明は、請求項の範疇によってのみ定義される。
【0026】
本明細書において、用語「CA-B」は、「炭素数がA以上B以下」であることを意味し、用語「A~B」は、「A以上B以下」であることを意味し、用語「置換若しくは非置換」における「置換」は、「炭化水素化合物又は炭化水素誘導体の少なくとも一つの水素がハロゲン、C1-20アルキル、C2-20アルケニル、C2-20アルキニル、C6-20アリール、C1-20アルキルC6-20アリール、C6-20アリールC1-20アルキル、C1-20アルキルアミド、C6-20アリールアミド又はC1-20アルキリデンで置換された」ことを意味し、「非置換」は、「炭化水素化合物又は炭化水素誘導体の少なくとも一つの水素がハロゲン、C1-20アルキル、C2-20アルケニル、C2-20アルキニル、C6-20アリール、C1-20アルキルC6-20アリール、C6-20アリールC1-20アルキル、C1-20アルキルアミド、C6-20アリールアミド又はC1-20アルキリデンで置換されていない」ことを意味する。
【0027】
本発明の一実施例によるオレフィン重合触媒用遷移金属化合物は、下記化学式1で表される。
<化学式1>
【化11】
前記化学式1において、Mはチタニウム(Ti)、ジルコニウム(Zr)又はハフニウム(Hf)であり得る。具体的には、Mはジルコニウム又はハフニウムであり得る。
【0028】
Xは、それぞれ独立してハロゲン、C1-20アルキル、C2-20アルケニル、C2-20アルキニル、C6-20アリール、C1-20アルキルC6-20アリール、C6-20アリールC1-20アルキル、C1-20アルキルアミド、C6-20アリールアミド又はC1-20アルキリデンであり得る。具体的には、Xはそれぞれ独立してハロゲン又はC1-20アルキルであり得る。より具体的には、Xはそれぞれ独立して塩素(Cl)又はメチル(methyl)であり得る。
【0029】
R1~R4は、それぞれ独立して水素、C1-20アルキル、C2-20アルケニル、C2-20アルキニル、C6-20アリール、C1-20アルキルC6-20アリール、C6-20アリールC1-20アルキル、C1-20アルキルアミド、C6-20アリールアミド又はC1-20アルキリデンであり得る。具体的には、R1、R3およびR4はそれぞれ水素であり、R2はC1-20アルキルであり得る。さらに具体的には、R1、R3およびR4はそれぞれ水素であり、R2はノルマルブチル(n-butyl)であり得る。
【0030】
R5およびR6は、それぞれ独立してC1-20アルキル、C2-20アルケニル、C2-20アルキニル、C6-20アリール、C1-20アルキルC6-20アリール、C6-20アリールC1-20アルキル、C1-20アルキルアミド、C6-20アリールアミド又はC1-20アルキリデンであるか、又は互いに連結されて置換若しくは非置換C4-20環を形成し得る。具体的には、R5およびR6はそれぞれ独立してC1-20アルキル又はC6-20アリールであるか、又は互いに連結されて置換若しくは非置換脂肪族C4-20環を形成し得る。より具体的には、R5およびR6はそれぞれ独立してメチル(methyl)であるか、又は互いに連結されて脂肪族C4環を形成し得る。
【0031】
R7~R10は、隣り合う2個が互いに連結されて置換若しくは非置換C4-20環を形成し得る。具体的には、R7~R10は隣り合う2個が互いに連結されて置換若しくは非置換芳香族C5-20環を形成し得る。より具体的には、R7~R10は隣り合う2個が互いに連結されて置換若しくは非置換芳香族C6環を形成し得る。R7~R10のうち隣り合う2個とは、R7とR8又はR9とR10を意味する。
【0032】
前記芳香族C6環は、ハロゲン、C6-20アリール、C1-20アルキルシリル(alkylsilyl)、C1-20アルキルオキシ(alkyloxy)およびC1-20アルキルアミノ(alkylamino)のうち一つ以上で置換され得る。具体的には、前記ハロゲンはフッ素(F)であり、前記C6-20アリールはフェニルであり、前記C1-20アルキルシリルはトリメチルシリル(trimethylsilyl,-SiMe3)であり、前記C1-20アルキルオキシはメチルオキシ(methyloxy[methoxy],-OMe)であり、前記C1-20アルキルアミノはジメチルアミノ(dimethylamino,-NMe2)であり得る。
【0033】
前記遷移金属化合物は、具体的には、下記化学式1-1および化学式1-2のうち少なくとも一つであり得る。
<化学式1-1>
【化12】
<化学式1-2>
【化13】
【0034】
前記化学式1-1および化学式1-2において、Mはジルコニウム又はハフニウムであり、Xはそれぞれ独立してハロゲン又はC1-20アルキルであり得る。
【0035】
例示的な実施例において、前記遷移金属化合物は、下記化学式Aおよび化学式Bのうち一つ以上であり得る。
<化学式A>
【化14】
<化学式B>
【化15】
【0036】
本発明の一実施例によるオレフィン重合触媒は、前記例示した遷移金属化合物のうち一つ以上と助触媒化合物を含み得る。
【0037】
助触媒化合物は、下記化学式Iで表される化合物、化学式IIで表される化合物および化学式IIIで表される化合物のうち一つ以上を含み得る。
<化学式I>
【化16】
【0038】
前記化学式Iにおいて、nは2以上の整数であり、Raはハロゲン原子、C1-20炭化水素基又はハロゲンで置換されたC1-20炭化水素基であり得る。具体的には、前記Raはメチル、エチル、n-ブチル又はイソブチルであり得るが、これに限定されるものではない。
【0039】
<化学式II>
【化17】
前記化学式IIにおいて、Dはアルミニウム(Al)又はホウ素(B)であり、R
b、R
cおよびR
dはそれぞれ独立してハロゲン原子、C
1-20炭化水素基、ハロゲンで置換されたC
1-20炭化水素基又はC
1-20アルコキシ基であり得る。具体的には、前記Dがアルミニウムである時、前記R
b、R
cおよびR
dはそれぞれ独立してメチル又はイソブチルであり得、前記Dがホウ素である時、前記R
b、R
cおよびR
dはそれぞれペンタフルオロフェニルであり得るが、これに限定されるものではない。
【0040】
<化学式III>
[L-H]+[Z(A)4]-又は[L]+[Z(A)4]-
前記化学式IIIにおいて、Lは中性又はカチオン性ルイス塩基であり、[L-H]+又は[L]+はブレンステッド酸であり、Zは13族元素であり、Aはそれぞれ独立して置換若しくは非置換C6-20アリール基であるか、又は置換若しくは非置換C1-20アルキル基であり得る。具体的には、前記[L-H]+はジメチルアニリニウムカチオンであり得、前記[Z(A)4]-は[B(C6F5)4]-であり得、前記[L]+は[(C6H5)3C]+であり得るが、これに限定されるものではない。
【0041】
前記オレフィン重合触媒は担体をさらに含み得る。
【0042】
担体はオレフィン重合触媒用遷移金属化合物と助触媒化合物を担持できるものであれば特に制限されない。例示的な実施例において、担体は炭素、シリカ、アルミナ、ゼオライト、塩化マグネシウムなどであり得る。
【0043】
担体にオレフィン重合触媒用遷移金属化合物および助触媒化合物を担持する方法としては、物理的吸着方法又は化学的吸着方法が用いられる。
【0044】
例示的な実施例における物理的吸着方法は、オレフィン重合触媒用遷移金属化合物が溶解した溶液を担体に接触させた後乾燥する方法、オレフィン重合触媒用遷移金属化合物と助触媒化合物が溶解した溶液を担体に接触させた後乾燥する方法又はオレフィン重合触媒用遷移金属化合物が溶解した溶液を担体に接触させた後乾燥してオレフィン重合触媒用遷移金属化合物が担持された担体を製造し、これとは別に助触媒化合物が溶解した溶液を担体に接触させた後乾燥して助触媒化合物が担持された担体を製造した後、これらを混合する方法などであり得る。
【0045】
例示的な実施例における化学的吸着方法は、担体の表面に助触媒化合物を先に担持させた後、助触媒化合物にオレフィン重合触媒用遷移金属化合物を担持させる方法、又は担体の表面の官能基(例えば、シリカの場合、シリカ表面のヒドロキシ基(-OH))と触媒化合物を共有結合させる方法などであり得る。
【0046】
遷移金属化合物を含む主触媒化合物の担持量の総和は担体1gを基準に0.001mmol~1mmolであり得、助触媒化合物の担持量は担体1gを基準に2mmol~15mmolであり得る。
【0047】
しかし、このような担体は必須として含まなければならないものではなく、必要に応じてその使用の有無を適宜選択できる。
【0048】
上述したような本発明のオレフィン重合触媒下にオレフィン系単量体を重合させてポリオレフィンを形成し得る。
【0049】
ポリオレフィンは、例えばフリーラジカル(free radical)、カチオン(cationic)、配位(coordination)、縮合(condensation)、添加(addition)などの重合反応によって重合された単独重合体(homopolymer)又は共重合体(copolymer)であり得るが、これに制限されるものではない。
【0050】
例示的な実施例において、ポリオレフィンは、気相重合法、溶液重合法又はスラリー重合法などで製造できる。ポリオレフィンが溶液重合法又はスラリー重合法で製造される場合に使用できる溶媒の例としては、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、ノナン、デカンおよびこれらの異性体のようなC5-12脂肪族炭化水素溶媒;トルエン、ベンゼンのような芳香族炭化水素溶媒;ジクロロメタン、クロロベンゼンのような塩素原子で置換された炭化水素溶媒;これらの混合物などが挙げられるが、これらだけに限定されるものではない。
【0051】
オレフィン系単量体は、C2-20α-オレフィン(α-olefin)、C1-20ジオレフィン(diolefin)、C3-20シクロオレフィン(cyclo-olefin)およびC3-20シクロジオレフィン(cyclodiolefin)からなる群より選ばれる一つ以上であり得る。
【0052】
例示的な実施例において、オレフィン系単量体は、エチレン、プロピレン、1-ブテン、1-ペンテン、4-メチル-1-ペンテン、1-ヘキセン、1-ハプテン、1-オクテン、1-デセン、1-ウンデセン、1-ドデセン、1-テトラデセンおよび1-ヘキサデセンなどであり得、ポリオレフィンは、前記例示したオレフィン系単量体を1種のみ含む単独重合体であるか、又は2種以上含む共重合体であり得る。
【0053】
好ましくは、ポリオレフィンは、エチレンと1-オクテンが共重合された共重合体であり得るが、これに限定されるものではない。
【0054】
本発明の遷移金属化合物を含むオレフィン重合触媒は、高温で安定性を有し、オレフィン、特にα-オレフィンとの反応性に優れるため、オレフィンを重合することが容易であり、ポリオレフィンの収率が高く経済性に優れ、また、低密度、高分子量のポリオレフィンの製造が可能である。
【0055】
これは特に本発明の遷移金属化合物のうちR7~R10の隣り合う2個が互いに連結されて置換若しくは非置換芳香族C6環を形成する場合、相対的に電子が豊富であり、オレフィンの(共)重合反応性が向上することに起因するものであり得るが、これに制限されるものではない。
【0056】
以下、本発明のオレフィン重合触媒用遷移金属化合物のうち前記化学式AないしDで表される化合物に対する具体的な製造例について叙述する。
【0057】
<製造例1>化学式Aの化合物の製造
製造例1-1:1,1’-binaphthyl-2,2’-dicarboxylic acidの製造
2,2’-dibromo-1,1’-binaphthyl(3.85g、9.34mmol)をTHF(40mL)に希釈した溶液にt-BuLi(15.8g、41.1mmol、1.7M in pentane)を-78℃で添加した後1時間攪拌した。CO2気体を-78℃で3分間注入した後温度を徐々に常温に上げて12時間攪拌した。0℃で10%HClを添加して反応を終結した後真空下でTHFを除去した。酢酸エチル(Ethyl acetate)で抽出して有機層を分離し、クロロホルム(chloroform)で再結晶して下記のような1H-NMRスペクトルを有する白色固体化合物である1,1’-binaphthyl-2,2’-dicarboxylic acid 3.49g(quant.)を得た。
1H-NMR(DMSO-d6,300MHz):δ 12.4(s,2H),8.11-8.00(m,6H),7.54(t,2H),7.27(t,2H),6.87(d,2H).
【0058】
製造例1-2:7H-dibenzo[c,g]fluoren-7-oneの製造
前記製造例1-1で製造した1,1’-binaphthyl-2,2’-dicarboxylic acid(3.02g、8.82mmol)と無水酢酸(acetic anhydride,30mL)を混合して140℃で1時間30分攪拌した。真空下で無水酢酸(acetic anhydride)を除去した後残った反応液を300℃で3時間攪拌した。ジクロロメタン(Dichloromethane)で濾過した後カラムクロマトグラフィー(hexane:dichloromethane=1:1,v/v)により下記のような1H-NMRスペクトルを有する赤色固体化合物である7H-dibenzo[c,g]fluoren-7-one 1.17g(47%)を得た。
1H-NMR(CDCl3,300MHz):δ 8.37-8.33(m,2H),7.92-7.87(m,2H),7.83(d,2H),7.77(d,2H),7.60-7.55(m,4H).
【0059】
製造例1-3:7H-dibenzo[c,g]fluoreneの製造
前記製造例1-2で製造した7H-dibenzo[c,g]fluoren-7-one(641mg、2.29mmol)、N2H4・H2O(2.86g、57.2mmol)およびKOH(385mg、6.86mmol)をジエチレングリコール(diethylene glycol,30mL)に分散させた溶液を170℃で3時間攪拌した。0℃で10%HClを添加して反応を終結した後生成された固体を濾過した。真空下で乾燥して下記のような1H-NMRスペクトルを有する暗褐色固体化合物である7H-dibenzo[c,g]fluorene 603mg(99%)を得た。
1H-NMR(CDCl3,300MHz):δ 8.73(d,2H),7.97(d,2H),7.86(d,2H),7.73(d,2H),7.59-7.48(m,4H),4.13(s,2H).
【0060】
製造例1-4:(7H-dibenzo[c,g]fluorene) lithiumの製造
前記製造例1-3で製造した7H-dibenzo[c,g]fluorene(585mg、2.20mmol)をジエチルエーテル(diethyl ether,50mL)に希釈した溶液にn-BuLi(980mg、2.30mmol、1.6M in Hexane)を-30℃でゆっくり添加した後温度を徐々に常温に上げて12時間攪拌した。生成された固体を濾過した後真空下で乾燥して黄土色固体化合物である(7H-dibenzo[c,g]fluorene) lithium 598mg(100%)を得た。
【0061】
製造例1-5:2-Butyl-5-(1-methylethylidene)-1,3-cyclopentadieneの製造
Sodium cyclopentadienylide(3.11g、6.63mmol、2.0M in THF)をヘキサン(hexane,10mL)に分散させた溶液に1-bromobutane(1.0g、7.30mmol)をヘキサン(5mL)に希釈した溶液を-30℃でゆっくり添加した後温度を徐々に常温に上げて12時間攪拌した。反応終結後、ヘキサンで濾過して象牙色のろ過液を得た。このろ過液にn-BuLi(2.96g、6.96mmol、1.6M in Hexane)を-30℃でゆっくり添加した後温度を徐々に常温に上げて7時間攪拌した。反応液にアセトン(770mg、13.3mmol)をヘキサン(2mL)に希釈した溶液を-30℃でゆっくり添加した後温度を徐々に常温に上げて12時間攪拌した。反応終結後、蒸溜水とペンタン(pentane)で抽出して分液漏斗で有機層を分離した後、カラムクロマトグラフィー(pentane 100%)により下記のような1H-NMRスペクトルを有する黄色液体化合物308mg(29%)を得た。
1H-NMR(CDCl3,300MHz):δ 6.50-6.46(m,1H),6.37-6.33(m,1H),6.14(s,1H),2.38(t,2H),2.14(s,6H),1.34-1.30(m,4H),0.94-0.91(m,3H).
【0062】
製造例1-6:7-(2-(4-butylcyclopenta-1,4-dien-1-yl)propan-2-yl)-7H-dibenzo[c,g]fluoreneの製造
前記製造例1-4で製造した(7H-dibenzo[c,g]fluorene) lithium(204mg、0.75mmol)をジエチルエーテル(diethyl ether,5mL)に分散させた溶液に前記製造例1-5で製造した2-Butyl-5-(1-methylethylidene)-1,3-cyclopentadiene(183mg、1.13mmol)をジエチルエーテル(diethyl ether,2mL)に希釈した溶液を-30℃でゆっくり添加した後温度を徐々に常温に上げて12時間攪拌した。反応終結後、ジエチルエーテルとaqueous NH4Clで抽出して有機層を分離した。カラムクロマトグラフィー(hexane 100%)により下記のような1H-NMRスペクトルを有する淡い橙色固体化合物211mg(66%)を得た。
1H-NMR(CDCl3,300MHz):δ 8.61(d,2H),7.95-7.90(m,2H),7.75-7.68(m,2H),7.52-7.46(m,4H),7.37(d,1H),7.32(d,1H),6.57-6.10(m,1H),6.02-5.65(m,1H),4.30(d,1H),3.10(t,2H),2.55-2.35(m,2H),1.49-1.37(m,4H),1.05(d,6H),0.98-0.94(m,3H).
【0063】
製造例1-7:Isopropylidene [(3-n-butyl-2,4-cyclopentadienyl)-(7H-dibenzo[c,g]fluorenyl)] dilithiumの製造
前記製造例1-6で得た7-(2-(4-butylcyclopenta-1,4-dien-1-yl)propan-2-yl)-7H-dibenzo[c,g]fluorene(211mg、0.49mmol)をジエチルエーテル(8mL)に希釈した溶液にn-BuLi(440mg、1.03mmol、1.6M in Hexane)を-30℃でゆっくり添加した後温度を徐々に常温に上げて12時間攪拌した。生成された固体を濾過した後真空下で乾燥して暗い橙色固体化合物227mg(105%、ether adduct)を得た。
【0064】
製造例1-8:Isopropylidene [(3-n-butyl-2,4-cyclopentadienyl)-(7H-dibenzo[c,g]fluorenyl)] zirconium dichlorideの製造
前記製造例1-7で得たIsopropylidene [(3-n-butyl-2,4-cyclopentadienyl)-(7H-dibenzo[c,g]fluorenyl)] dilithium(130mg、0.29mmol)をトルエン(20mL)に分散させた溶液にZrCl
4(69mg、0.29mmol)をトルエン(5mL)に分散させた溶液を-30℃でゆっくり添加した後温度を徐々に常温に上げて12時間攪拌した。反応終結後、トルエンで抽出して濾過した。真空下でトルエンを除去した後ヘキサンで洗浄して下記のような
1H-NMRスペクトルを有する橙色固体化合物であるIsopropylidene [(3-n-butyl-2,4-cyclopentadienyl)-(7H-dibenzo[c,g]fluorenyl)] zirconium dichloride(下記化学式Aの化合物)を108mg(62%)を得た。
1H-NMR(C
6D
6,300MHz):δ 9.10-9.06(m,2H),7.70-7.65(m,2H),7.62-7.52(m,2H),7.35-7.28(m,6H),5.97(t,1H),5.54(t,1H),5.41(t,1H),2.40-2.32(m,2H),1.90(d,6H),1.16-1.08(m,4H),0.72(t,3H).
<化学式A>
【化18】
【0065】
<製造例2>化学式Bの化合物の製造
製造例2-1:2-butyl-5-cyclobutylidenecyclopenta-1,3-dieneの製造
Sodium cyclopentadienylide(5.94g、12.7mmol、2.0M in THF)をヘキサン(15mL)に分散させた溶液に1-bromobutane(1.91g、13.9mmol)をヘキサン(5mL)に希釈した溶液を-30℃でゆっくり添加した後温度を徐々に常温に上げて12時間攪拌した。反応終結後、ヘキサンで濾過して象牙色過液を得た。このろ過液にn-BuLi(5.66g、13.3mmol、1.6M in Hexane)を-30℃でゆっくり添加した後温度を徐々に常温に上げて7時間攪拌した。反応液にシクロブタノン(1.33g、19.0mmol)をヘキサン(2mL)に希釈した溶液を-30℃でゆっくり添加した後温度を徐々に常温に上げて12時間攪拌した。反応終結後、蒸溜水とペンタン(pentane)で抽出して分液漏斗で有機層を分離した後、カラムクロマトグラフィー(pentane 100%)により下記のような1H-NMRスペクトルを有する黄色液体化合物389mg(18%)を得た。
1H-NMR(CDCl3,300MHz):δ 6.32-6.28(m,1H),6.26-6.22(m,1H),5.94-5.90(m,1H),3.07(t,4H),2.37(t,2H),2.17-2.10(m,2H),1.40-1.31(m,4H),0.95-0.90(m,3H).
【0066】
製造例2-2:7-(1-(4-butylcyclopenta-1,4-dien-1-yl)cyclobutyl)-7H-dibenzo[c,g]fluoreneの製造
前記製造例1-4で得た(7H-dibenzo[c,g]fluorene) lithium(137mg、0.50mmol)をジエチルエーテル(diethyl ether,5mL)に分散させた溶液に前記製造例2-1で得た2-butyl-5-cyclobutylidenecyclopenta-1,3-diene(131mg、0.75mmol)をジエチルエーテル(diethyl ether,2mL)に希釈した溶液を-30℃でゆっくり添加した後温度を徐々に常温に上げて12時間攪拌した。反応終結後、ジエチルエーテルとaqueous NH4Clで抽出して有機層を分離した。カラムクロマトグラフィー(hexane 100%)により下記のような1H-NMRスペクトルを有する淡い橙色固体化合物109mg(49%)を得た。
1H-NMR(CDCl3,300MHz):δ 8.55-8.48(m,2H),7.95-7.90(m,2H),7.84-7.73(m,4H),7.53-7.43(m,4H),5.65-5.46(m,1H),5.40-5.22(m,1H),4.40(d,1H),2.94-2.82(m,2H),2.52-2.43(m,2H),2.24(s,1H),2.08-1.92(m,2H),1.81(s,1H),0.90-0.77(m,4H),0.76-0.71(m,2H),0.62-0.53(m,3H).
【0067】
製造例2-3:Cyclobutylidene [(3-n-butyl-2,4-cyclopentadienyl)-(7H-dibenzo[c,g]fluorenyl)] dilithiumの製造
前記製造例2-2で得た7-(1-(4-butylcyclopenta-1,4-dien-1-yl)cyclobutyl)-7H-dibenzo[c,g]fluorene(109mg、0.25mmol)をジエチルエーテル(8mL)に希釈した溶液にn-BuLi(221mg、0.52mmol、1.6M in Hexane)を-30℃でゆっくり添加した後温度を徐々に常温に上げて12時間攪拌した。生成された固体を濾過した後真空下で乾燥して赤褐色固体化合物121mg(108%、ether adduct)を得た。
【0068】
製造例2-4:Cyclobutylidene [(3-n-butyl-2,4-cyclopentadienyl)-(7H-dibenzo[c,g]fluorenyl)] zirconium dichlorideの製造
前記製造例2-3で得たCyclobutylidene [(3-n-butyl-2,4-cyclopentadienyl)-(7H-dibenzo[c,g]fluorenyl)] dilithium(114mg、0.25mmol)をトルエン(15mL)に分散させた溶液にZrCl
4(59mg、0.25mmol)をトルエン(5mL)に分散させた溶液を-30℃でゆっくり添加した後温度を徐々に常温に上げて12時間攪拌した。反応終結後、トルエンで抽出して濾過した。真空下でトルエンを除去した後ヘキサンで洗浄して下記のような
1H-NMRスペクトルを有する茶色固体化合物であるCyclobutylidene [(3-n-butyl-2,4-cyclopentadienyl)-(7H-dibenzo[c,g]fluorenyl)] zirconium dichloride(下記化学式Bの化合物)を78mg(52%)を得た。
1H-NMR(C
6D
6,300MHz):δ 9.16(d,2H),7.71(t,2H),7.40-7.31(m,8H),5.99(t,1H),5.58(t,1H),5.44(t,1H),3.00-2.86(m,2H),2.70-2.60(m,2H),2.42-2.32(m,2H),1.96-1.82(m,2H),1.14-1.08(m,4H),0.71(t,3H).
<化学式B>
【化19】
【0069】
<製造例3>化学式Cの化合物の製造
製造例3-1:2,2-[(cyclopentadienyl)-(7H-dibenzo[c,g]fluorenyl)] propaneの製造
前記製造例1-4で得た(7H-dibenzo[c,g]fluorene) lithium(893mg、3.28mmol)をジエチルエーテル(35mL)に分散させた溶液に6,6-dimethylfulvene(522mg、4.92mmol)をジエチルエーテル(diethyl ether,5mL)に希釈した溶液を-78℃でゆっくり添加した後温度を徐々に常温に上げて12時間攪拌した。反応終結後、ジエチルエーテルとaqueous NH4Clで抽出して有機層を分離した。カラムクロマトグラフィー(hexane 100%)により下記のような1H-NMRスペクトルを有する象牙色固体化合物907mg(74%)を得た。
1H-NMR(CDCl3,300MHz):δ 8.61(d,2H),7.91(d,2H),7.74-7.66(m,2H),7.52-7.46(m,4H),7.41(d,1H),7.32(d,1H),7.00-6.64(m,1H),6.57-6.45(m,1H),6.16-5.87(m,1H),4.33(d,1H),3.24-3.08(m,2H),1.08(d,6H).
【0070】
製造例3-2:Isopropylidene [(cyclopentadienyl)-(7H-dibenzo[c,g]fluorenyl)] dilithiumの製造
前記製造例3-1で得た2,2-[(cyclopentadienyl)-(7H-dibenzo[c,g]fluorenyl)] propane(519mg、1.39mmol)をジエチルエーテル(10mL)に希釈した溶液にn-BuLi(1.24mg、2.93mmol、1.6M in Hexane)を-30℃でゆっくり添加した後温度を徐々に常温に上げて12時間攪拌した。生成された固体を濾過した後真空下で乾燥して黄色固体化合物600mg(112%、ether adduct)を得た。
【0071】
製造例3-3:Isopropylidene [(cyclopentadienyl)-(7H-dibenzo[c,g]fluorenyl)] zirconium dichlorideの製造
前記製造例3-2で得たIsopropylidene [(cyclopentadienyl)-(7H-dibenzo[c,g]fluorenyl)] dilithium(176mg、0.46mmol)をトルエン(20mL)に分散させた溶液にZrCl
4(107mg、0.46mmol)をトルエン(5mL)に分散させた溶液を-30℃でゆっくり添加した後温度を徐々に常温に上げて12時間攪拌した。反応終結後、トルエンで抽出して濾過した。真空下でトルエンを除去した後ヘキサンで洗浄して下記のような
1H-NMRスペクトルを有する赤褐色固体化合物であるIsopropylidene [(cyclopentadienyl)-(7H-dibenzo[c,g]fluorenyl)] zirconium dichloride(下記化学式Cの化合物)を107mg(44%)を得た。
1H-NMR(CDCl
3,300MHz):δ 8.87(d,2H),7.95-7.84(m,4H),7.62-7.50(m,6H),6.37(t,2H),5.94(t,2H),2.48(s,6H).
<化学式C>
【化20】
【0072】
<製造例4>化学式Dの化合物の製造
製造例4-1:9-[1-(2,4-Cyclopentadien-1-yl)-1-cyclobutyl]-7H-dibenzo[c,g] fluoreneの製造
前記製造例1-4で得た(7H-dibenzo[c,g]fluorene) lithium(596mg、2.19mmol)をジエチルエーテル(35mL)に分散させた溶液に5-cyclobutylidene-1,3-cyclopentadiene(518mg、4.38mmol)をジエチルエーテル(10mL)に希釈した溶液を-30℃でゆっくり添加した後温度を徐々に常温に上げて3日間攪拌した。反応終結後、ジエチルエーテルとaqueous NH4Clで抽出して有機層を分離した。ヘキサンで再結晶して下記のような1H-NMRスペクトルを有する白色固体化合物654mg(78%)を得た。
1H-NMR(CDCl3,300MHz):δ 8.56-8.47(m,2H),7.95-7.89(m,2H),7.79-7.76(m,4H),7.50-7.44(m,4H),5.96-5.81(m,1H),5.74-5.67(m,1H),5.59-5.50(m,1H),4.42(d,1H),2.99-2.79(m,2H),2.58-2.44(m,2H),2.39-2.02(m,2H),2.01-1.94(m,2H).
【0073】
製造例4-2:Cyclobutylidene [(cyclopentadienyl)-(7H-dibenzo[c,g]fluorenyl)] dilithiumの製造
前記製造例4-1で得た9-[1-(2,4-Cyclopentadien-1-yl)-1-cyclobutyl]-7H-dibenzo[c,g] fluorene(296mg、0.77mmol)をジエチルエーテル(35mL)に希釈した溶液にn-BuLi(688mg、1.62mmol、1.6M in Hexane)を-30℃でゆっくり添加した後温度を徐々に常温に上げて12時間攪拌した。生成された固体を濾過した後真空下で乾燥して黄土色固体化合物325mg(112%、ether adduct)を得た。
【0074】
製造例4-3:Cyclobutylidene [(cyclopentadienyl)-(7H-dibenzo[c,g]fluorenyl)] zirconium dichlorideの製造
前記製造例4-2で得たCyclobutylidene [(cyclopentadienyl)-(7H-dibenzo[c,g]fluorenyl)] dilithium(127mg、0.32mmol)をトルエン(10mL)に分散させた溶液にZrCl
4(74mg、0.32mmol)をトルエン(3mL)に分散させた溶液を-30℃でゆっくり添加した後温度を徐々に常温に上げて12時間攪拌した。反応終結後、トルエンで抽出して濾過する。真空下でトルエンを除去した後ヘキサンで洗浄して下記のような
1H-NMRスペクトルを有する橙色固体化合物であるCyclobutylidene [(cyclopentadienyl)-(7H-dibenzo[c,g]fluorenyl)] zirconium dichloride(下記化学式Dの化合物)を128mg(74%)を得た。
1H-NMR(C
6D
6,300 MHz):δ 9.15(d,2H),7.72(d,2H),7.42-7.30(m,8H),6.11(t,2H),5.52(t,2H),2.92-2.82(m,2H),2.60(t,2H),2.28-2.16(m,1H),1.92-1.82(m,1H).
<化学式D>
【化21】
【0075】
オレフィン重合実施例(エチレン/1-ヘキセン共重合体の製造)
<実施例1>化学式Aの化合物を含むオレフィン重合触媒を用いたエチレンおよび1-ヘキセン共重合体の合成
前記製造例1で製造した化学式Aの化合物を含むオレフィン重合触媒を用いて次のようにエチレンと1-ヘキセンを共重合した。
【0076】
重合反応は、2Lオートクレーブ(autoclave)反応器内で行われ、触媒重量測定およびアルキルアルミニウム定量などはグローブボックス又はシュレンクテクニック(schlenk technique)を用いて窒素雰囲気下で行われた。
【0077】
先に、反応器の温度を100℃にし、約20分間真空で水分および酸素などの異物を除去した。次に、反応器に1-ヘキセン1Lを注入し、200rpmで攪拌して重合温度である80℃まで上昇させた。前記製造例1で製造した化学式Aの化合物を含むオレフィン重合触媒(0.8mg)とAl/Zr=2000の割合で先に接触した「触媒+MAO」を投入し、この時MAOはLake社の10wt% MAO in トルエンを使用した。
【0078】
反応器内の気圧がヘキセン蒸気圧を含んで1kgf/cm2になるように窒素を注入した後4kgf/cm2エチレンを注入して反応器内の総気圧を5kgf/cm2に合わせた。その後、反応器を1000rpm攪拌しながら1-ヘキセンを加えて15分間重合を行った。重合反応の間の反応熱は反応器内部の冷却コイルにより除去して重合温度を80℃で極力一定に維持した。
【0079】
重合反応後、残ったガスを抜き、反応器を開けて生成された高分子樹脂を得た。得られた高分子樹脂を2~3回洗浄した後、乾燥して[エチレン]-[1-ヘキセン]共重合体を得た。
【0080】
<実施例2>化学式Bの化合物を含むオレフィン重合触媒を用いたエチレンおよび1-ヘキセン共重合体の合成
前記製造例2で製造した化学式Bの化合物を含むオレフィン重合触媒を用いて次のようにエチレンと1-ヘキセンを共重合した。
【0081】
前記製造例2の化学式Bの遷移金属化合物を使用したことを除いては、実施例1と同様の方法で[エチレン]-[1-ヘキセン]共重合体を得た。
【0082】
<比較例1>化学式Cの化合物を含むオレフィン重合触媒を用いたエチレンおよび1-ヘキセン共重合体の合成
前記製造例3で製造した化学式Cの化合物を含むオレフィン重合触媒を用いて次のようにエチレンと1-ヘキセンを共重合した。
【0083】
前記製造例3の化学式Cの遷移金属化合物を使用し、オレフィン重合触媒を1.6mg使用したことを除いては、実施例1と同様の方法で[エチレン]-[1-ヘキセン]共重合体を得た。
【0084】
<比較例2>化学式Dの化合物を含むオレフィン重合触媒を用いたエチレンおよび1-ヘキセン共重合体の合成
前記製造例4で製造した化学式Dの化合物を含むオレフィン重合触媒を用いて次のようにエチレンと1-ヘキセンを共重合した。
【0085】
前記製造例4の化学式Dの遷移金属化合物を使用し、オレフィン重合触媒を1.6mg使用したことを除いては、実施例1と同様の方法で[エチレン]-[1-ヘキセン]共重合体を得た。
【0086】
<実験例>
前記実施例1、2および製造例1、2でそれぞれ製造された重合体に対する触媒活性およびその他物性を測定して下記表1に示した。
【表1】
【0087】
上記表1に示すように、化学式Aの化合物および化学式Bの化合物を含むオレフィン重合触媒を用いて製造された重合体は、化学式Cの化合物および化学式Dの化合物を含むオレフィン重合触媒を用いて製造された重合体に比べて高い重合活性を有することが分かる。以上、例示した化学構造式と製造例などを参照して本発明の思想に属する実施例について具体的に説明した。ただし、本発明の思想は例示した化学構造式と製造例などに制限されるものではなく、本発明の思想は例示した化学構造式と製造例などに基づいて多様に変形できる。例示した化学構造式と製造例などは発明が属する技術分野における通常の知識を有する者に本発明の思想の範疇を完全に知らせるために提供するものであり、本発明の思想の権利範囲は請求項の範疇によってのみ定義される。したがって、上記実施例はすべての面で例示的なものであり、限定的なものではないと理解しなければならない。