IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ サビック エスケー ネクスレン カンパニー ピーティーイー リミテッドの特許一覧

特許7039735エチレン重合体混合物とその製造方法およびこれを用いた成形品
<>
  • 特許-エチレン重合体混合物とその製造方法およびこれを用いた成形品 図1
  • 特許-エチレン重合体混合物とその製造方法およびこれを用いた成形品 図2
  • 特許-エチレン重合体混合物とその製造方法およびこれを用いた成形品 図3
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-11
(45)【発行日】2022-03-22
(54)【発明の名称】エチレン重合体混合物とその製造方法およびこれを用いた成形品
(51)【国際特許分類】
   C08F 10/02 20060101AFI20220314BHJP
   C08F 4/6592 20060101ALI20220314BHJP
   C08L 23/04 20060101ALI20220314BHJP
   C08J 5/18 20060101ALI20220314BHJP
【FI】
C08F10/02
C08F4/6592
C08L23/04
C08J5/18 CES
【請求項の数】 18
(21)【出願番号】P 2020565976
(86)(22)【出願日】2019-06-05
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-09-16
(86)【国際出願番号】 IB2019054651
(87)【国際公開番号】W WO2019234637
(87)【国際公開日】2019-12-12
【審査請求日】2020-11-25
(31)【優先権主張番号】10-2018-0065969
(32)【優先日】2018-06-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】515298556
【氏名又は名称】サビック エスケー ネクスレン カンパニー ピーティーイー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100106002
【弁理士】
【氏名又は名称】正林 真之
(74)【代理人】
【識別番号】100120891
【弁理士】
【氏名又は名称】林 一好
(74)【代理人】
【識別番号】100165157
【弁理士】
【氏名又は名称】芝 哲央
(74)【代理人】
【識別番号】100126000
【弁理士】
【氏名又は名称】岩池 満
(72)【発明者】
【氏名】ハム ヒョン テク
(72)【発明者】
【氏名】ジョン ミン ホ
(72)【発明者】
【氏名】シム チョン シク
(72)【発明者】
【氏名】チョン サン ベ
(72)【発明者】
【氏名】ベ ジ ヒュン
(72)【発明者】
【氏名】シン デ ホ
(72)【発明者】
【氏名】ソリマン マリア
(72)【発明者】
【氏名】ガルグ プリヤ
【審査官】牟田 博一
(56)【参考文献】
【文献】特表2001-512770(JP,A)
【文献】特表2014-517012(JP,A)
【文献】特表2006-517607(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08L23/
C08J5/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
密度が下記式1~3を満たす2種のエチレン重合体を含み、分子量分布が2~3である、エチレン重合体混合物を用いて製造されたフィルム
[式1]
0.87≦M≦0.90
[式2]
0.90≦M≦0.92
[式3]
0.015≦M-M≦0.030
前記式1~3中、前記Mは、第1エチレン重合体の密度であり、前記Mは、第2エチレン重合体の密度であり、前記密度は、ASTM D-792に準じて測定され、前記密度の単位は、g/ccであり、前記エチレン重合体混合物は、前記第1エチレン重合体を30~60重量%および前記第2エチレン重合体を40~70重量%で含み、前記第1エチレン重合体および第2エチレン重合体は、エチレンとC3-C18のα-オレフィン共単量体が重合されたエチレン共重合体であり、前記フィルムは、厚さが10~250μmであり、ASTM F1921によるホット-タック強度1.5N/cm以上で最低シール温度が75℃以下であり、および、ASTM F88によるヒート-シール強度600g以上で最低シール温度が85℃以下である
【請求項2】
前記エチレン重合体混合物は、ASTM D-792による密度が0.890~0.910g/ccである、請求項1に記載のフィルム
【請求項3】
前記第1エチレン重合体は、メルトインデックスが下記式4を満たし、前記第2エチレン重合体は、メルトインデックスが下記式5を満たす、請求項1に記載のフィルム
[式4]
0.2≦MI≦0.9
[式5]
1≦MI≦3
前記式4および式5中、前記MIは、第1エチレン重合体のメルトインデックスであり、前記MIは、第2エチレン重合体のメルトインデックスであり、前記メルトインデックスは、ASTM D 1238に準じて190℃、2.16kgで測定され、単位は、g/10minである。
【請求項4】
前記第1エチレン重合体および第2エチレン重合体のメルトインデックスが下記式6を満たす、請求項3に記載のフィルム
[式6]
1≦MI/MI≦5
前記式6中、前記MIは、第2エチレン重合体のメルトインデックスであり、前記MIは、第1エチレン重合体のメルトインデックスであり、前記メルトインデックスは、ASTM D 1238に準じて190℃、2.16kgで測定され、単位は、g/10minである。
【請求項5】
前記α-オレフィン共単量体は、1-プロピレン、1-ブテン、1-ヘキセン、1-ヘプテンおよび1-オクテンから選択されるいずれか一つまたは二つ以上の混合物である、請求項に記載のフィルム
【請求項6】
前記第1エチレン重合体および第2エチレン重合体は、メタロセン触媒の存在下で重合される、請求項に記載のフィルム
【請求項7】
前記フィルムは、ASTM D 1003によるヘイズが5%以下である、請求項に記載のフィルム
【請求項8】
前記フィルムは、ASTM D 1709 method Aによる落槍衝撃強度が1700g以上である、請求項に記載のフィルム
【請求項9】
請求項1から請求項のいずれか一項に記載のフィルムを少なくとも1層以上含む食品包装用の多層フィルム。
【請求項10】
第1反応器で、エチレンとC3-C18のα-オレフィン共単量体を第1メタロセン触媒の存在下で重合して第1エチレン重合体を製造し、第2反応器で、エチレンとC3-C18のα-オレフィン共単量体を第2メタロセン触媒の存在下で重合して第2エチレン重合体を製造する重合ステップと第1のエチレン重合体および第2のエチレン重合体が混合されたエチレン重合体混合物を製造するステップと、エチレン重合体混合物を成形してフィルムにするステップを含み、
前記第1エチレン重合体および第2エチレン重合体の密度が下記式1~3を満たし、分子量分布が2~3である、フィルムの製造方法。
[式1]
0.87≦M≦0.90
[式2]
0.90≦M≦0.92
[式3]
0.015≦M-M≦0.030
前記式1~3中、前記Mは、第1エチレン重合体の密度であり、前記Mは、第2エチレン重合体の密度であり、前記密度は、ASTM D-792に準じて測定され、前記密度の単位は、g/ccであり、前記エチレン重合体混合物は、前記第1エチレン重合体を30~60重量%および前記第2エチレン重合体を40~70重量%で含み、前記第1エチレン重合体および第2エチレン重合体は、エチレンとC3-C18のα-オレフィン共単量体が重合されたエチレン共重合体であり、前記フィルムは、厚さが10~250μmであり、ASTM F1921によるホット-タック強度1.5N/cm以上で最低シール温度が75℃以下であり、および、ASTM F88によるヒート-シール強度600g以上で最低シール温度が85℃以下である
【請求項11】
前記第1メタロセン触媒は、下記化学式1および化学式2で表される錯体の混合物であり、前記第2メタロセン触媒は、下記化学式3で表される錯体である、請求項10に記載のフィルムの製造方法。
[化学式1]
【化1】
[化学式2]
【化2】
[化学式3]
【化3】
前記化学式1~化学式3中、前記R、R、R、R、RおよびRは、それぞれ独立して、C-C30のアルキルである。
【請求項12】
前記第1メタロセン触媒は、前記化学式1で表される錯体と化学式2で表される錯体が3:7~7:3の重量比で混合された混合物である、請求項11に記載のフィルムの製造方法。
【請求項13】
前記第1エチレン重合体は、メルトインデックスが下記式4を満たし、前記第2エチレン重合体は、メルトインデックスが下記式5を満たすように重合を行う、請求項10に記載のフィルムの製造方法。
[式4]
0.2≦MI≦0.9
[式5]
1≦MI≦3
前記式4および式5中、前記MIは、第1エチレン重合体のメルトインデックスであり、前記MIは、第2エチレン重合体のメルトインデックスであり、前記メルトインデックスは、ASTM D 1238に準じて190℃、2.16kgで測定され、単位は、g/10minである。
【請求項14】
前記重合ステップにおいて水素を注入して分子量を制御する、請求項10に記載のフィルムの製造方法。
【請求項15】
前記重合ステップにおいてホウ素化合物およびアルミニウム化合物から選択されるいずれか一つまたは二つ以上の助触媒をさらに含む、請求項10に記載のフィルムの製造方法。
【請求項16】
前記助触媒は、トリイソブチルアルミニウムおよびトリフェニルメチリウムテトラキスペンタフルオロフェニルボレートから選択されるいずれか一つまたはこれらの混合物である、請求項15に記載のフィルムの製造方法。
【請求項17】
前記フィルムは、ASTM D 1003によるヘイズが5%以下である、請求項10に記載のフィルムの製造方法。
【請求項18】
前記フィルムは、ASTM D 1709 method Aによる落槍衝撃強度が1700g以上である、請求項17に記載のフィルムの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エチレン重合体混合物とその製造方法およびこれを用いた成形品に関する。より具体的には、密度が互いに異なる2種のエチレン重合体を混合したエチレン重合体混合物とその製造方法、およびこれを用いることで、ヘイズが低く、ヒートシール温度が低い成形品に関する発明である。
【背景技術】
【0002】
近年、食品の包装の需要が増加するに伴い、市場では、衛生的で、透明性および低温衝撃強度などの物性に優れた包装材料へのニーズがある。食品の包装などの用途に使用されるエチレン共重合体は、食品包装用の多層フィルムにおいて、最も奥側の層、すなわち、内容物と直接接触する面に使用されるため、優れた低温ヒートシール性、透明性および衛生性などの特性が求められる。
【0003】
本出願人は、高剛性で耐衝撃性に優れ、衛生的な射出食品容器用のエチレン共重合体に関して、韓国公開特許第10-2010-0049479号(2010.05.12)、第10-2012-0007718号(2012.01.25)および第10-2012-0031211号(2012.03.30)を出願している。
【0004】
しかし、包装技術がより高級化するに伴い、従来のエチレン共重合体に比べてより優れた低温ヒートシール性および透明性などの特性が求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】韓国公開特許第10-2010-0049479号(2010.05.12)
【文献】韓国公開特許第10-2012-0007718号(2012.01.25)
【文献】韓国公開特許第10-2012-0031211号(2012.03.30)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、同一の密度、メルトインデックスおよび分子量分布を有する1種のエチレン系共重合体を使用した場合および既存のメタロセンおよびチーグラー・ナッタ触媒を用いて製造される製品に比べて、より低いヒートシール温度を有し、ヒートシールの時に強度に優れ、より優れた透明性を有することで、高級製品への適用が可能なエチレン重合体混合物を提供することを目的とする。
【0007】
また、本発明は、前記エチレン重合体混合物を用いて、従来の製品に比べてヒートシール温度がより低く、且つ機械的な強度に優れ、ヘイズが低くて透明性に優れた成形品であって、より具体的には、フィルム、シートおよび食品容器などの成形品を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、前記目的を達成するために鋭意研究を重ねた結果、特定の範囲の密度を有し、密度が互いに異なる2種のエチレン重合体を混合して使用し、前記混合した混合物の分子量分布を特定の範囲に調節することで、より改善した低温ヒートシール特性および強度を有し、より優れた透明性を有する成形品を製造することができることを見出した。
【0009】
より具体的には、本発明は一様態として、密度が下記式1~3を満たす2種のエチレン重合体を含み、分子量分布が2~3であるエチレン重合体混合物を提供する。
[式1]
0.87≦M≦0.90
[式2]
0.90≦M≦0.92
[式3]
0.015≦M-M≦0.030
前記式1~3中、前記Mは、第1エチレン重合体の密度であり、前記Mは、第2エチレン重合体の密度であり、前記密度は、ASTM D-792に準じて測定され、前記密度の単位は、g/ccである。
【0010】
また、本発明は、一様態として、前記エチレン重合体混合物を用いて製造された成形品を提供する。
【0011】
また、本発明は、一様態として、前記エチレン重合体混合物を用いて製造されたフィルムまたはシートを少なくとも1層以上含む食品包装用の多層フィルムを提供する。
【0012】
また、本発明は、一様態として、第1反応器で、エチレンとC3-C18のα-オレフィン共単量体を第1メタロセン触媒の存在下で重合して第1エチレン重合体を製造し、第2反応器で、エチレンとC3-C18のα-オレフィン共単量体を第2メタロセン触媒の存在下で重合して第2エチレン重合体を製造する重合ステップを含み、
前記第1エチレン重合体および第2エチレン重合体の密度が下記式1~3を満たし、分子量分布が2~3であるエチレン重合体混合物の製造方法を提供する。
[式1]
0.87≦M≦0.90
[式2]
0.90≦M≦0.92
[式3]
0.015≦M-M≦0.030
前記式1~3中、前記Mは、第1エチレン重合体の密度であり、前記Mは、第2エチレン重合体の密度であり、前記密度は、ASTM D-792に準じて測定され、前記密度の単位は、g/ccである。
【発明の効果】
【0013】
本発明によるエチレン重合体混合物は、衛生性に優れ、低温耐衝撃性に優れ、透明であり、低温ヒートシール性に優れるという効果がある。
【0014】
これにより、食品の包装などの成形品に好適に使用可能であり、生産性よび保管安定性をより向上させることができるという効果がある。
【0015】
また、本発明によるエチレン重合体混合物は、既存のエチレン共重合体および単独重合体に比べて、同一のヒート-シール(heat-seal)およびホット-タック(hot-tack)強度を有する最低シール温度が低いことから、低温ヒートシールまたは高速包装が必要な食品包装用のフィルムまたはシートを提供することができる。
【0016】
また、本発明によるエチレン重合体混合物は、メタロセン触媒から製造されたエチレン共重合体とチーグラー・ナッタ触媒を使用したエチレン共重合体とを混合した重合体混合物に比べて、同一のヒート-シール(heat-seal)およびホット-タック(hot-tack)強度を有する最低シール温度が低く、ヘイズがより低いことから、透明性に優れた食品包装用フィルムまたはシートを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の実施例および比較例による樹脂混合物のTREF測定グラフである。
図2】本発明の実施例および比較例によるフィルムのホット-タック(hot-tack)測定グラフである。
図3】本発明の実施例および比較例によるフィルムのヒート-シール(heat-seal)物性測定グラフである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、添付の図面を含む具体例または実施例により、本発明をより詳細に説明する。ただし、下記の具体例または実施例は、本発明を詳細に説明するための一つの参照であって、本発明はこれに限定されるものではなく、様々な形態に具現され得る。
【0019】
また、他に定義されない限り、すべての技術的用語および科学的用語は、本発明が属する技術分野における当業者の一人によって一般的に理解される意味と同一の意味を有する。本発明で説明に使用される用語は、単に特定の具体例を効果的に記述するためのものであって、本発明を制限することを意図しない。
【0020】
また、明細書および添付の特許請求の範囲で使用される単数形態は、文脈で特別指示がない限り、複数形態も含むことを意図することができる。
【0021】
本発明において、用語「重合体」は、単量体を重合することで製造された重合性化合物を意味する。具体的には、単独重合体、共重合体、三元共重合体および相互重合体などを含む。前記「相互重合体」は、二つ以上の異なる単量体を重合することで製造された重合体を意味する。したがって、相互重合体と称するものは、共重合体だけでなく三元共重合体を含む。前記共重合体は、二つの異なる単量体から製造された重合体を意味し、三元共重合体は、三つの異なる単量体から製造された重合体を意味する。
【0022】
本発明の一様態として、密度が下記式1~3を満たす2種のエチレン重合体を含み、分子量分布が2~3であるエチレン重合体混合物を提供する。
【0023】
[式1]
0.87≦M≦0.90
【0024】
[式2]
0.90≦M≦0.92
【0025】
[式3]
0.015≦M-M≦0.030
【0026】
前記式1~3中、前記Mは、第1エチレン重合体の密度であり、前記Mは、第2エチレン重合体の密度であり、前記密度は、ASTM D-792に準じて測定され、前記密度の単位は、g/ccである。
【0027】
一様態として、前記エチレン重合体混合物はASTM D-792による密度が0.890~0.910g/ccであってもよい。
【0028】
一様態として、前記第1エチレン重合体は、メルトインデックスが下記式4を満たし、前記第2エチレン重合体は、メルトインデックスが下記式5を満たすことができる。
【0029】
[式4]
0.2≦MI≦0.9
【0030】
[式5]
1≦MI≦3
【0031】
前記式4および式5中、前記MIは、第1エチレン重合体のメルトインデックスであり、前記MIは、第2エチレン重合体のメルトインデックスであり、前記メルトインデックスは、ASTM D 1238に準じて190℃、2.16kgで測定され、単位は、g/10minである。
【0032】
一様態として、前記第1エチレン重合体および第2エチレン重合体のメルトインデックスが、下記式6を満たすことができる。
【0033】
[式6]
1≦MI/MI≦5
【0034】
前記式6中、前記MIは、第2エチレン重合体のメルトインデックスであり、前記MIは、第1エチレン重合体のメルトインデックスであり、前記メルトインデックスは、ASTM D 1238に準じて190℃、2.16kgで測定され、単位は、g/10minである。
【0035】
一様態として、前記エチレン重合体混合物は、前記第1エチレン重合体を30~60重量%で含むことができる。
【0036】
一様態として、前記第1エチレン重合体および第2エチレン重合体は、エチレンとC3-C18のα-オレフィン共単量体が重合されたエチレン共重合体であってもよい。
【0037】
一様態として、前記α-オレフィン共単量体は、1-プロピレン、1-ブテン、1-ヘキセン、1-ヘプテンおよび1-オクテンから選択されるいずれか一つまたは二つ以上の混合物であってもよい。
【0038】
一様態として、前記第1エチレン重合体および第2エチレン重合体は、メタロセン触媒の存在下で重合され得る。
【0039】
一様態として、前記エチレン重合体混合物は、下記式7を満たすことができる。
【0040】
[式7]
HS+10≦HS
【0041】
前記式7中、前記HSは、前記エチレン重合体混合物のヒートシール温度であり、前記HSは、HSと同一の密度、メルトインデックスおよび分子量分布を有する1種のエチレン重合体のヒートシール温度であり、前記温度の単位は、℃である。
【0042】
本発明は、他の一様態として、前記エチレン重合体混合物を用いて製造された成形品を提供する。
【0043】
一様態として、前記成形品は、フィルム、シートおよび食品容器から選択されるいずれか一つであってもよい。
【0044】
一様態として、前記成形品は、厚さが10~250μmであり、ASTM D 1003によるヘイズが5%以下であってもよい。
【0045】
一様態として、前記フィルムは、ASTM D 1709 method Aによる落槍衝撃強度(Falling dart impact strength)が1700g以上であり、ASTM F1921によるホット-タック(hot-tack)強度1.5N/cm以上で最低シール温度が75℃以下であり、ASTM F88によるヒート-シール(heat-seal)強度600g以上で最低シール温度が85℃以下であってもよい。
【0046】
本発明は、さらに他の一様態として、前記エチレン重合体混合物を用いて製造されたフィルムまたはシートを少なくとも1層以上含む食品包装用の多層フィルムを提供する。
【0047】
本発明は、さらに他の一様態として、第1反応器で、エチレンとC3-C18のα-オレフィン共単量体を第1メタロセン触媒の存在下で重合して第1エチレン重合体を製造し、第2反応器で、エチレンとC3-C18のα-オレフィン共単量体を第2メタロセン触媒の存在下で重合して第2エチレン重合体を製造する重合ステップを含み、
前記第1エチレン重合体および第2エチレン重合体の密度が下記式1~3を満たし、分子量分布が2~3であるエチレン重合体混合物の製造方法を提供する。
【0048】
[式1]
0.87≦M≦0.90
【0049】
[式2]
0.90≦M≦0.92
【0050】
[式3]
0.015≦M-M≦0.030
【0051】
前記式1~3中、前記Mは、第1エチレン重合体の密度であり、前記Mは、第2エチレン重合体の密度であり、前記密度はASTM D-792に準じて測定され、前記密度の単位は、g/ccである。
【0052】
一様態として、前記第1メタロセン触媒は、下記化学式1および化学式2で表される錯体の混合物であり、前記第2メタロセン触媒は、下記化学式3で表される錯体であってもよい。
【0053】
[化学式1]
【化1】
【0054】
[化学式2]
【化2】
【0055】
[化学式3]
【化3】
【0056】
前記化学式1~化学式3中、前記R、R、R、R、RおよびRは、それぞれ独立して、C-C30のアルキルである。
【0057】
一様態として、前記第1メタロセン触媒は、前記化学式1で表される錯体と化学式2で表される錯体が3:7~7:3重量比で混合された混合物であってもよい。
【0058】
一様態として、前記第1エチレン重合体は、メルトインデックスが下記式4を満たし、前記第2エチレン重合体は、メルトインデックスが下記式5を満たすように重合を行うものであってもよい。
【0059】
[式4]
0.2≦MI≦0.9
【0060】
[式5]
1≦MI≦3
【0061】
前記式4および式5中、前記MIは、第1エチレン重合体のメルトインデックスであり、前記MIは、第2エチレン重合体のメルトインデックスであり、前記メルトインデックスは、ASTM D 1238に準じて190℃、2.16kgで測定され、単位は、g/10minである。
【0062】
一様態として、前記重合ステップにおいて水素を注入して分子量を制御してもよい。
【0063】
一様態として、前記重合ステップにおいてホウ素化合物およびアルミニウム化合物から選択されるいずれか一つまたは二つ以上の助触媒をさらに含んでもよい。
【0064】
一様態として、前記助触媒は、トリイソブチルアルミニウムおよびトリフェニルメチリウムテトラキスペンタフルオロフェニルボレートから選択されるいずれか一つまたはこれらの混合物であってもよい。
【0065】
以下、本発明の構成についてより具体的に説明する。
【0066】
本発明の発明者らは、第1エチレン重合体および第2エチレン重合体の密度の範囲およびこれらの間の密度の差を特定の範囲とし、分子量分布が特定の範囲になるように混合することで、低温ヒートシール性、低温耐衝撃強度およびより優れた透明性を有する成形体を提供できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0067】
より具体的には、本発明のエチレン重合体混合物の一様態は、ASTM D-792に準じて測定された密度が0.87~0.90g/cc、さらに具体的には、0.886~0.893である第1エチレン重合体と、ASTM D-792に準じて測定された密度が0.90~0.92g/cc、より具体的には、0.911~0.913である第2エチレン重合体とを含み、前記第1エチレン重合体と前記第2エチレン重合体との密度の差が0.015~0.030g/cc、より具体的には、0.018~0.027g/ccであり、分子量分布が2~3、より具体的には、2.1~2.5であってもよい。密度および分子量分布が前記範囲を満たす範囲で、低温ヒートシール性、低温耐衝撃強度およびより優れた透明性を有する成形体、成形品、成形物および人工物を提供することができる。
【0068】
本発明の一様態において、前記第1エチレン重合体および第2エチレン重合体は、エチレンとC3-C18のα-オレフィン共単量体が重合されたエチレン共重合体であってもよい。
【0069】
より具体的には、前記α-オレフィン共単量体は、プロピレン、1-ブテン、1-ペンテン、4-メチル-1-ペンテン、1-ヘキセン、1-オクテン、1-デセン、1-ドデセン、1-テトラデセン、1-ヘキサデセンおよび1-オクタデセンからなる群から選択されるいずれか一つまたは二つ以上の混合物から選択され得る。さらに具体的には、前記α-オレフィン共単量体は、1-プロピレン、1-ブテン、1-ヘキセン、1-ヘプテンおよび1-オクテンから選択されるいずれか一つまたは二つ以上の混合物であってもよい。前記α-オレフィン共単量体の使用によって、エチレン単独重合体に流動性を付与し、且つ高分子量のエチレン共重合体を製造することになり、耐衝撃性などの機械的性質を向上させる役割を果たすことができる。
【0070】
前記エチレン共重合体100重量%に含まれるα-オレフィン共単量体は、1~40重量%、具体的には1~30重量%であり、より具体的には1~20重量%の含量で使用することができる。前記α-オレフィンの含量が1重量%未満の場合、エチレン重合体の剛性は増加するが、耐衝撃性が低下し、耐衝撃性を要するフィルム、射出、コンパウンド、シート、中空成形などでの使用に不都合があり、20重量%を超える場合、エチレン重合体の耐衝撃性は増加するが、剛性が低下して、フィルム、射出、コンパウンド、シート、中空成形などの成形体への単独適用に不都合がある。
【0071】
本発明の一様態として、前記第1エチレン重合体および第2エチレン重合体の密度が、下記式1~3を満たすことができる。
【0072】
[式1]
0.87≦M≦0.90
【0073】
[式2]
0.90≦M≦0.92
【0074】
[式3]
0.015≦M-M≦0.030
【0075】
前記式1~3中、前記Mは、第1エチレン重合体の密度であり、前記Mは、第2エチレン重合体の密度であり、前記密度は、ASTM D-792に準じて測定され、前記密度の単位は、g/ccである。
【0076】
前記式1~3を満たす範囲で、目的とする低温ヒートシール性、低温耐衝撃強度およびより優れた透明性を有する成形体を提供することができる。
【0077】
前記式3中、M-Mは、0.015~0.030、より具体的には、0.017~0.029、さらに具体的には、0.018~0.027であってもよい。第1エチレン重合体と第2エチレン重合体の密度の差が0.015未満の場合には、低温ヒートシール性および低温耐衝撃強度効果があまりなく、0.030を超える場合には、ヘイズが増加して透明性が良くない。
【0078】
本発明の一様態において、前記第1エチレン重合体および第2エチレン重合体が混合されたエチレン重合体混合物は、ASTM D-792による密度が0.890~0.910g/ccであってもよい。混合物の密度が前記範囲を満たす範囲で、成形性および光透過率がいずれも優れた成形体を提供することができる。
【0079】
本発明の一様態において、前記第1エチレン重合体および第2エチレン重合体が混合されたエチレン重合体混合物は、分子量分布が2~3であってもよい。分子量分布が2未満の場合には、フィルム成形などの加工時に成形装備に負荷が増加するか成形品の厚さのバラツキが増加するなど、加工性が低下し、3を超える場合には、耐衝撃性などの機械的な物性が低下する。
【0080】
本発明の一様態において、前記第1エチレン重合体および第2エチレン重合体は、メルトインデックスが下記範囲を同時に満たす範囲で、目的とする低温ヒートシール性、低温耐衝撃強度およびより優れた透明性を有する成形体を提供することができる。具体的には、前記第1エチレン重合体は、メルトインデックスが下記式4を満たし、前記第2エチレン重合体は、メルトインデックスが下記式5を満たすことができる。
【0081】
[式4]
0.2≦MI≦0.9
【0082】
[式5]
1≦MI≦3
【0083】
前記式4および式5中、前記MIは、第1エチレン重合体のメルトインデックスであり、前記MIは、第2エチレン重合体のメルトインデックスであり、前記メルトインデックスは、ASTM D 1238に準じて190℃、2.16kgで測定され、単位は、g/10minである。
【0084】
また、前記第1エチレン重合体および第2エチレン重合体のメルトインデックスが、下記式6を満たすことができる。
【0085】
[式6]
1≦MI/MI≦5
【0086】
前記式6中、前記MIは、第2エチレン重合体のメルトインデックスであり、前記MIは、第1エチレン重合体のメルトインデックスであり、前記メルトインデックスは、ASTM D 1238に準じて190℃、2.16kgで測定され、単位は、g/10minである。
【0087】
前記式4~6を満たす範囲で、低温ヒートシール性、低温耐衝撃強度およびより優れた透明性を有する成形体を提供することができる。
【0088】
前記式6中、MI/MIが5を超えて前記範囲から逸脱する場合には、分子量分布が2~3である範囲を満たすことができず、これによって、耐衝撃性などの機械的な物性が低下し、1未満の場合にも、耐衝撃性などの機械的な物性が低下する。
【0089】
本発明の一様態において、前記式1~式6および分子量分布を同時に満たすために、前記第1エチレン重合体および第2エチレン重合体は、メタロセン触媒の存在下で重合され得る。
【0090】
より具体的には、例えば、前記第1エチレン重合体は、エチレンとC3-C18のα-オレフィン共単量体を第1メタロセン触媒の存在下で重合することができる。前記第2エチレン重合体は、エチレンとC3-C18のα-オレフィン共単量体を第2メタロセン触媒の存在下で重合することができる。
【0091】
前記第1メタロセン触媒は、下記化学式1および化学式2で表される錯体の混合物であり、前記第2メタロセン触媒は、下記化学式3で表される錯体であってもよい。
【0092】
[化学式1]
【化4】
【0093】
[化学式2]
【化5】
【0094】
[化学式3]
【化6】
【0095】
前記化学式1~化学式3中、前記R、R、R、R、RおよびRは、それぞれ独立して、C-C30のアルキルである。
【0096】
前記「アルキル」は、炭素および水素原子のみで構成された1価の直鎖または分岐鎖の飽和炭化水素ラジカルを意味し、かかるアルキルラジカルの例は、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、sec-ブチル、tert-ブチル、n-ペンチル、ネオペンチル、n-ヘキシル、n-オクチル、n-デシル、n-ドデシル、n-テトラデシル、n-ヘキサデシル、n-ペンタデシルおよびノニルなどを含むが、これに限定されない。
【0097】
より具体的には、前記化学式1~3中、前記アルキルは、C-C20のアルキルであってもよい。さらに具体的には、C-C15のアルキルであってもよい。
【0098】
本発明の一様態として、前記第1メタロセン触媒は、前記化学式1で表される錯体と化学式2で表される錯体が3:7~7:3重量比で混合された混合物であってもよい。さらに具体的には、同量で混合した混合物であってもよい。
【0099】
本発明の一様態において、前記第1エチレン重合体および第2エチレン重合体の製造の際、前記メタロセン触媒の他にも、助触媒および溶媒などをさらに使用することができる。
【0100】
前記助触媒は、通常使用されるものであれば制限されないが、具体的には、例えば、ホウ素化合物およびアルミニウム化合物から選択されるいずれか一つまたは二つ以上の混合物であってもよい。
【0101】
より具体的には、前記ホウ素化合物は、米国特許第5,198,401号に開示されているように、下記化学式4、化学式5または化学式6で表される化合物から選択され得る。
【0102】
[化学式4]
B(R
【0103】
[化学式5]
[R][B(R
【0104】
[化学式6]
[(RZH][B(R
【0105】
前記化学式4~7中、Bは、ホウ素原子であり、Rは、フェニルであり、前記フェニルは、フルオロ、フルオロで置換または非置換の(C1-C20)アルキル、およびフルオロで置換または非置換の(C1-C20)アルコキシから選択される3~5個の置換基でさらに置換されていてもよく;Rは、(C5-C7)芳香族ラジカルまたは(C1-C20)アルキル(C6-C20)アリールラジカル、(C6-C20)アリール(C1-C20)アルキルラジカル、例えば、トリフェニルメチリウム(triphenylmethylium)ラジカルであり;Zは、窒素またはリン原子であり;Rは、(C1-C50)アルキルラジカルまたは窒素原子とともに2個の(C1-C20)アルキルで置換されたアニリニウム(Anilinium)ラジカルであり;qは、2または3の整数である。
【0106】
前記用語「アルキル」は、炭素および水素原子のみで構成された1価の直鎖または分岐鎖の飽和炭化水素ラジカルを意味し、かかるアルキルラジカルの例は、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、t-ブチル、ペンチル、ヘキシル、オクチル、ノニルなどを含むが、これに限定されない。
【0107】
前記用語「アルコキシ」は、O-アルキルラジカルを意味し、ここで、「アルキル」は、前記定義したとおりである。
【0108】
前記用語「アリール」は、一つの水素の除去によって芳香族炭化水素から誘導された有機ラジカルであり、各環に、適切には4~7個、好ましくは5または6個の環原子を含む単環系または縮合環系を含み、多数個のアリールが単結合で連結されている形態まで含む。縮合環系は、飽和または部分的に飽和された環のような脂肪族環を含むことができ、必ず一つ以上の芳香族環を含んでいる。また、前記脂肪族環は、窒素、酸素、硫黄、カルボニルなどを環内に含むこともできる。前記アリールラジカルの具体的な例としては、フェニル、ナフチル、ビフェニル、インデニル(indenyl)、フルオレニル、フェナントレニル、アントラセニル、トリフェニレニル、ピレニル、クリセニル、ナフタセニル、9,10-ジヒドロアントラセニルなどを含む。
【0109】
前記ホウ素系助触媒の好ましい例としては、トリス(ペンタフルオロフェニル)ボラン、トリス(2,3,5,6-テトラフルオロフェニル)ボラン、トリス(2,3,4,5-テトラフルオロフェニル)ボラン、トリス(3,4,5-トリフルオロフェニル)ボラン、トリス(2,3,4-トリフルオロフェニル)ボラン、フェニルビス(ペンタフルオロフェニル)ボラン、テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、テトラキス(2,3,5,6-テトラフルオロフェニル)ボレート、テトラキス(2,3,4,5-テトラフルオロフェニル)ボレート、テトラキス(3,4,5-テトラフルオロフェニル)ボレート、テトラキス(2,2,4-トリフルオロフェニル)ボレート、フェニルビス(ペンタフルオロフェニル)ボレートまたはテトラキス(3,5-ビストリフルオロメチルフェニル)ボレートが挙げられる。また、それらの特定の配合例としては、フェロセニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、1,1´-ジメチルフェロセニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、トリフェニルメチリウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、トリフェニルメチルテトラキス(3,5-ビストリフルオロメチルフェニル)ボレート、トリエチルアンモニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、トリプロピルアンモニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、トリ(n-ブチル)アンモニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、トリ(n-ブチル)アンモニウムテトラキス(3,5-ビストリフルオロメチルフェニル)ボレート、N,N-ジメチルアニリニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、N,N-ジエチルアニリニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、N,N-2,4,6-ペンタメチルアニリニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、N,N-ジメチルアニリニウムテトラキス(3,5-ビストリフルオロメチルフェニル)ボレート、ジイソプロピルアンモニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、ジシクロヘキシルアンモニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、トリフェニルホスホニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、トリ(メチルフェニル)ホスホニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、またはトリ(ジメチルフェニル)ホスホニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレートが含まれ、このうち最も好ましいものは、N,N-ジメチルアニリニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、トリフェニルメチリウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレートまたはトリス(ペンタフルオロフェニル)ボランである。
【0110】
また、中心金属M:ホウ素原子のモル比は、好ましくは1:0.1~50、より好ましくは1:0.5~15である。
【0111】
また、前記アルミニウム化合物としては、下記化学式7または化学式8から選択されるアルミノキサン化合物、化学式9の有機アルミニウム化合物、化学式10または化学式11から選択される有機アルミニウムヒドロカルビルオキシド化合物が使用可能である。
【0112】
[化学式7]
(-Al(R10)-O-)
【0113】
[化学式8]
(R10Al-(-O(R10)-)-(R10
【0114】
[化学式9]
(R11Al(E)3-r
【0115】
[化学式10]
(R12AlOR13
【0116】
[化学式11]
12Al(OR13
【0117】
前記化学式7~11中、R10、R11、R12は、互いに独立して、直鎖状または非直鎖状の(C1-C20)アルキルであり、mとpは、5~20の整数であり;Eは、水素原子またはハロゲン原子であり;rは、1~3の整数であり;R13は、(C1-C20)アルキルまたは(C6-C30)アリールから選択され得る。
【0118】
前記用語「ハロゲン」は、フッ素、塩素、臭素またはヨウ素原子を意味する。
【0119】
前記用語「アルキル」および「アリール」は、上記で定義したとおりである。
【0120】
前記アルミニウム化合物として使用可能な具体的な例としては、アルミノキサン化合物として、メチルアルミノキサン、修飾メチルアルミノキサン、テトライソブチルアルミノキサンがあり;有機アルミニウム化合物の例としては、トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリプロピルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、トリヘキシルアルミニウム、およびトリオクチルアルミニウムを含むトリアルキルアルミニウム、ジメチルアルミニウムクロリド、ジエチルアルミニウムクロリド、ジプロピルアルミニウムクロリド、ジイソブチルアルミニウムクロリド、およびジヘキシルアルミニウムクロリドを含むジアルキルアルミニウムクロリド、メチルアルミニウムジクロリド、エチルアルミニウムジクロリド、プロピルアルミニウムジクロリド、イソブチルアルミニウムジクロリド、およびヘキシルアルミニウムジクロリドを含むアルキルアルミニウムジクロリド、ジメチルアルミニウムヒドリド、ジエチルアルミニウムヒドリド、ジプロピルアルミニウムヒドリド、ジイソブチルアルミニウムヒドリドおよびジヘキシルアルミニウムヒドリドを含むジアルキルアルミニウムヒドリドが挙げられる。
【0121】
本発明の一実施形態において、前記アルミニウム化合物は、好ましくは、アルキルアルミノキサン化合物およびトリアルキルアルミニウムから選択される一つまたは二つ以上の混合物、より好ましくは、メチルアルミノキサン、修飾メチルアルミノキサン、テトライソブチルアルミノキサン、トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウムトリオクチルアルミニウムおよびトリイソブチルアルミニウムから選択される単独または二つ以上の混合物であってもよい。
【0122】
一方、前記助触媒は、反応物の中で触媒に毒として作用する不純物を除去する消去剤(scavenger)の役割を果たすことができる。
【0123】
本発明による一様態において、前記アルミニウム化合物を助触媒として使用する場合、本発明の中心金属であるTiと助触媒との比率の好ましい範囲は、中心金属(Ti):アルミニウム原子(Al)のモル比が、1:1~1:2,000、より具体的には1:5~1:1,000であってもよい。
【0124】
本発明による一様態において、前記アルミニウム化合物およびホウ素化合物を同時に助触媒として使用する場合、本発明の遷移金属化合物と助触媒との比率の好ましい範囲は、モル比基準で、中心金属(Ti):ホウ素原子(B):アルミニウム原子(Al)のモル比が、1:0.1~50:1~1,000、より好ましくは1:0.5~15:5~500であってもよい。
【0125】
前記中心金属Tiは、単一活性サイト触媒であるメタロセン触媒中のTiを意味する。
【0126】
本発明の遷移金属化合物と助触媒との比率が前記範囲から逸脱する場合、助触媒の量が相対的に少なくて遷移金属化合物の活性化が完全に行われず、遷移金属化合物の触媒活性度が十分でないか、必要以上の助触媒が使用されて、生産費用が大幅に増加する問題が発生し得る。前記範囲内で、エチレンとα-オレフィンの共重合体を製造するための優れた触媒活性を示し、反応の純度によって比率の範囲が変化する。
【0127】
さらに具体的には、前記助触媒は、例えば、トリイソブチルアルミニウムおよびトリフェニルメチリウムテトラキスペンタフルオロフェニルボレートから選択されるいずれか一つまたはこれらの混合物であってもよい。
【0128】
本発明の一様態において、前記遷移金属触媒組成物を用いたエチレン重合体の製造方法は、適切な有機溶媒の存在下で、前記の遷移金属触媒、助触媒、およびエチレンとα-オレフィン共単量体を接触させて行われ得る。この際、遷移金属触媒と助触媒成分は、別に反応器内に投入するかまたは各成分を予め混合して反応器に投入してもよく、投入順序、温度または濃度などの混合条件は特に制限されない。
【0129】
前記溶媒は、C3-C20の炭化水素であってもよく、具体的には、例えば、ブタン、イソブタン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、イソオクタン、ノナン、デカン、ドデカン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、ベンゼン、トルエンおよびキシレンなどから選択されるいずれか一つまたは二つ以上の混合物が挙げられる。
【0130】
前記第1メタロセン触媒の含量は、溶媒、エチレンおよびα-オレフィン共単量体の総溶液流量100kg/hに対して、0.1~5μmol/kgを使用してもよい。
【0131】
前記第2メタロセン触媒の含量は、溶媒、エチレンおよびα-オレフィン共単量体の総溶液流量100kg/hに対して、0.5~10μmol/kgを使用してもよい。
【0132】
前記メタロセン触媒の存在下で重合された第1エチレン重合体および第2エチレン重合体が混合されたエチレン重合体混合物は、下記式7を満たすことができる。
【0133】
[式7]
HS+10≦HS
【0134】
前記式7中、前記HSは、前記エチレン重合体混合物のヒートシール温度であり、前記HSは、HSと同一の密度、メルトインデックスおよび分子量分布を有する1種のエチレン重合体のヒートシール温度であり、前記温度の単位は、℃である。
【0135】
すなわち、本発明の第1エチレン重合体および第2エチレン重合体が混合されたエチレン重合体混合物は、同一の密度、メルトインデックスおよび分子量分布を有する単独重合体に比べて、ヒートシール温度が10℃以上さらに低くてもよい。また、低いヒートシール温度でもさらに優れたヒートシール強度を維持し得る。さらに具体的には、1.5N/cm以上のホット-タック(hot-tack)強度で最低シール温度が単独重合体に比べて10℃以上さらに低くてもよい。
【0136】
さらに具体的には、本発明の一様態において、前記エチレン重合体混合物は、ヒートシール温度が70~85℃であってもよく、ホット-タック(hot-tack)強度1.5N/cm以上で最低シール温度が50~75℃であってもよい。
【0137】
本発明の一様態において、前記エチレン重合体混合物は、第1エチレン重合体30~60重量%および第2エチレン重合体40~70重量%で混合され得る。さらに具体的には、第1エチレン重合体40~50重量%および第2エチレン重合体50~60重量%を混合したものであり得る。
【0138】
本発明のさらに他の様態は、エチレン重合体混合物を用いて製造された成形品である。前記成形品は、フィルム、シートおよび食品容器から選択されるいずれか一つであってもよく、これに制限されるものではない。
【0139】
前記フィルムとしては、ブロウンフィルム、キャスティングフィルムに成形されて、単層または多層に形成された包装用フィルムが製造され得、収縮フィルム、重包装フィルム、冷却包装フィルム、自動包装フィルム、ストレッチラップ、バッグ(bag)などの用途に適用され得る。
【0140】
より具体的には、前記フィルムは、未延伸フィルムまたは延伸フィルムであってもよく、さらに具体的には、例えば、射出および押出して製造されるか、または射出および押出の後、一軸または二軸延伸されてもよい。前記フィルムは、厚さが10~250μmであってもよく、これに制限されるものではない。
【0141】
また、前記エチレン重合体混合物を用いることで、ヒートシール温度が非常に低く、低温ヒートシール強度に優れ、ヘイズが低く透明な特徴がある。具体的には、ASTM F88によるヒート-シール(heat-seal)強度600g以上で最低シール温度が85℃以下、さらに具体的には、70~85℃であってもよく、ASTM F1921によるホット-タック(hot-tack)強度1.5N/cm以上で最低シール温度が75℃以下、さらに具体的には、50~75℃であってもよい。また、ASTM D 1709 method Aによる落槍衝撃強度(Falling dart impact strength)が1700g以上、さらに具体的には、1700~1800gであってもよい。また、ASTM D 1003によるヘイズが5%以下、さらに具体的には、4%以下であってもよい。
【0142】
一様態として、本発明によるフィルムまたは食品は、食品包装用の多層フィルムに少なくとも1層以上含まれ得る。前記食品包装用の多層フィルムは、本発明によるフィルムまたはシートの他にも、印刷層、アルミニウム蒸着層、酸素遮断層、耐衝撃補強層などをさらに含んでもよく、これに制限されるものではない。具体的には、酸素遮断層は、エチレンビニールアルコール(EVOH)などであってもよく、耐衝撃補強層は、ポリアミド(PA)、ポリエステルなどであってもよく、これに制限されるものではない。
【0143】
次に、本発明の一様態によるエチレン重合体混合物の製造方法について具体的に説明する。
【0144】
本発明のエチレン重合体は、溶液重合からなってもよく、第1エチレン重合体を製造するための第1反応器と、第2エチレン重合体を製造するための第2反応器が個別に存在してもよい。また、前記第1反応器および第2反応器は、それぞれ別に少なくとも2ステップ以上の重合が行われてもよく、2個以上の反応器からなってもよい。
【0145】
前記第1反応器と第2反応器は、直列に連結されて第1反応器で第1エチレン重合体を製造した後、製造された第1エチレン重合体および未反応物質が第2反応器に連続して移送され、第2反応器に、エチレン、α-オレフィン共単量体、溶媒、触媒および助触媒などをさらに投入して、第2エチレン重合体を重合するとともに第1エチレン重合体と混合させてもよい。
【0146】
もしくは、前記第1反応器と第2反応器は、並列に連結され、第1反応器で第1エチレン重合体を製造し、第2反応器で第2エチレン重合体を製造した後、別の混合器に移送され、第1エチレン重合体と第2エチレン重合体を混合してもよい。
【0147】
さらに具体的には、本発明のエチレン重合体混合物の製造方法の一様態は、第1反応器で、エチレンとC3-C18のα-オレフィン共単量体を第1メタロセン触媒の存在下で重合して第1エチレン重合体を製造し、第2反応器で、エチレンとC3-C18のα-オレフィン共単量体を第2メタロセン触媒の存在下で重合して第2エチレン重合体を製造する重合ステップを含み、
前記第1エチレン重合体および第2エチレン重合体の密度が下記式1~3を満たし、エチレン重合体混合物の分子量分布が2~3であってもよい。
【0148】
[式1]
0.87≦M≦0.90
【0149】
[式2]
0.90≦M≦0.92
【0150】
[式3]
0.015≦M-M≦0.030
【0151】
前記式1~3中、前記Mは、第1エチレン重合体の密度であり、前記Mは、第2エチレン重合体の密度であり、前記密度は、ASTM D-792に準じて測定され、前記密度の単位は、g/ccである。
【0152】
本発明の一様態において、前記第1メタロセン触媒および第2メタロセン触媒は、上記に説明したとおりであり、それ以外にも助触媒および溶媒などをさらに含んでもよい。
【0153】
本発明の一様態において、前記第1反応器および第2反応器の運転条件は、80~210℃、より具体的には、80~150℃であってもよく、圧力は、20~500気圧、より具体的には、30~200気圧であってもよい。
【0154】
前記反応温度が80℃未満の場合、反応物が析出されるかスムーズに分散されず、反応が行われず重合物生成が困難で、210℃を超える場合、予め設計された分子量を有する重合体の製造が不可能になる。また、前記圧力が前記範囲から逸脱する場合にも、求められる分子量を有する重合体の製造が困難になり得る。
【0155】
また、前記重合ステップにおいて前記第1エチレン重合体および第2エチレン重合体の製造時に互いに異なる種類のメタロセン触媒を使用し、重合温度およびエチレン含量を異ならせることで、互いに異なる密度を有し、密度の差が式3を満たす範囲のエチレン重合体を製造することを技術的な特徴とする。
【0156】
また、水素を注入して分子量を制御することで、分子量分布が2~3と狭い範囲のエチレン重合体を製造することを技術的な特徴とする。
【0157】
本発明の一様態において、前記第1反応器および第2反応器の配列としては、直列または並列連結が可能である。
【0158】
本発明の一様態において、前記重合ステップにおいて第1反応器および第2反応器に投入されるエチレン、C-C18のα-オレフィン共単量体は、反応器に投入される前に溶媒に溶解させる工程を経るが、溶媒と混合して溶解させる前に、エチレン、共単量体および溶媒は、精製工程を経て潜在的に触媒の毒になり得る水分、酸素、一酸化炭素およびその他の金属不純物を除去し得る。かかる精製工程に使用される物質は、当該分野において公知のとおり、分子ふるいや活性化アルミニウム、またはシリカゲルなどを使用する。
【0159】
また、前記重合ステップにおいて投入される原料は、投入される前に熱交換工程を経て冷却または加熱され、これにより反応器内の温度を制御し得る。したがって、反応器の温度制御は、反応器の器壁を通じた熱交換がない断熱(adiabatic)反応器工程であり、反応熱の制御は、反応器に流入される溶媒と単量体の流れの温度を変化させて反応器内の温度を制御し得る。
【0160】
また、前記メタロセン触媒は、投入されるときに、他の原料とは独立して供給され、この際、溶媒と予め混合または溶解されて用意されることが好ましい。
【0161】
以下、実施例および比較例に基づいて本発明をより詳細に説明する。ただし、下記の実施例および比較例は、本発明をより詳細に説明するための一つの例示であって、本発明は、下記の実施例および比較例によって制限されるものではない。
【0162】
別に言及される場合以外は、すべてのリガンドおよび触媒合成実験は、窒素雰囲気下で標準シュレンク(Schenk)またはグローブボックス技術を使用して行われており、反応に使用される有機溶媒は、ナトリウム金属とベンゾフェノン下で還流させて水分を除去し、使用直前に蒸留して使用した。合成されたリガンドおよび触媒のH-NMR分析は、常温でVarian Mercury 300 MHzスペクトロメータを使用して行った。
【0163】
重合溶媒であるメチルシクロヘキサンは、Q-5触媒(BASF社製)、シリカゲルおよび活性アルミナが充填された管を順に通過させ、高純度の窒素でバブリングさせて水分、酸素およびその他の触媒毒物質を充分に除去してから使用した。
【0164】
以下、物性は、以下のように測定した。
【0165】
1)密度
ASTM D 792に準じて測定した。
【0166】
2)メルトインデックス(melt index)
ASTM D 1238に準じて、190℃、2.16kgで測定した。
【0167】
3)I10/I2
ASTM D 1238に準じて190℃、10kgの荷重(load)でのメルトインデックスをI10とし、190℃、2.16kgの荷重(load)でのメルトインデックスをI2とし、これらの測定値の比を示す。
【0168】
4)I21/I2
ASTM D 1238に準じて190℃、21.6kgの荷重(load)でのメルトインデックスをI21とし、190℃、2.16kgの荷重(load)でのメルトインデックスをI2とし、これらの測定値の比を示す。
【0169】
5)温度上昇溶離分別(TREF、temperature rising elution fractionation)
使用されるハードウェアおよび手続きは、ワイルド(Wild)などの文献[Journal of Polymer Science,Poly.Phys.Ed.,20,41(1982)]、ハズリット(Hazlitt)などの米国特許第4,798,081号およびチャム(Chum)などの米国特許第5,089,321号に記載したように行った。
【0170】
さらに具体的には、PolymerCharで製造したCrystaf-TREF装備を用いて測定しており、溶媒としては1,2,4-卜リクロロベンゼンを使用した。
【0171】
測定方法は、dissolution、stabilization、crystallizationおよびelutionを順に行い、elution時に溶出されるサンプルを分析した。
【0172】
Dissolution:サンプル60mgを溶媒20mlに溶解するステップであって、溶媒である1,2,4-卜リクロロベンゼン内に完全に溶解する温度以上に温度を維持する必要があり、160℃で60分間維持した。
【0173】
Stabilization:dissolutionステップで製造された高分子溶液(polymer solution)を所定の温度に維持するステップであって、高分子が析出されない温度以上での維持が必要であり、100℃で45分間維持した。
【0174】
Crystallization:高分子溶液の温度を所定の速度で下げ、溶液内の高分子を密度によって分離結晶化するステップであって、0.5℃/minの速度で100℃から35℃まで温度を変化させて分離結晶化を行った。
【0175】
Soluble fractionは、前記Crystallizationステップの後、結晶化されず析出されていないportionを測定し、35℃の温度で10分間維持し、0.5ml/minのポンプフロー(pump flow)で溶出するサンプルの量をIR detectorで測定した。
【0176】
Elution:Crystallizationステップで密度によって分離結晶化した高分子を所定の速度で昇温し、サンプル内の密度分布を分析するステップであって、1℃/minの速度で35℃から120℃まで温度を変化させ、各温度別に0.5ml/minのポンプフロー(pump flow)で溶出するサンプルの量をIR detectorで測定した。
【0177】
6)共単量体(comonomer)含量の分析
13C-NMR(nuclear magnetic resonance)spectroscopyを用いて測定した。
【0178】
7)分子量および分子量分布の測定
GPC(gel permeation chromatography)を用いて測定した。
【0179】
溶媒としては1,2,4-トリクロロベンゼン(trichloro benzene)を使用した。160℃で測定し、seriesで連結された3個のPL gel columnで分離分析した。相対分子量計算のための標準物は、分子量580~6,870,000のpolystyrene standardを使用し、ポリエチレン(Polyehthylene)のマークMark Houwink定数(K、α)を使用した。
【0180】
8)フィルムの落槍衝撃強度(Falling dart impact strength)の測定
ASTM D 1709 method Aに準じて測定した。
【0181】
その結果を図1に示した。
【0182】
9)フィルムのホット-タック(hot-tack)の測定
ASTM F1921に準じて測定し、フィルム幅25mm、seal pressure 0.3N/mm、sealing time 1 secの条件で測定した。
【0183】
その結果を図2に示した。
【0184】
10)フィルムのヒート-シール(heat-seal)温度の測定
ASTM F88に準じて測定し、フィルム幅25mm、seal pressure 2 bar、sealing time 1 secの条件でheat-sealing後、UTM装備を用いて、250mm/minの引張速度で接着面破断時の強度を測定した。
【0185】
その結果を図3に示した。
【0186】
11)フィルムのヘイズ(Haze)の測定
実施例および比較例で製造された厚さ40μmの単層ブロウンフィルムのヘイズを測定した。
【0187】
ASTM D 1003に準じてHaze meterを用いて測定した。
【0188】
[製造例1]錯体1と錯体2の混合物の製造
【化7】
9,9-ジテトラデシル-9H-フルオレン(9,9-ditetradecyl-9H-fluorene)の製造
2000mLの丸底フラスコに9H-フルオレン(9H-fluorene)(15g、90.24mmol)、カリウムtert-ブトキシド(potassium t-butoxide)(21.2、198.5mmol)を入れてDMSO300mLをゆっくり注入する。窒素雰囲気下で反応器の温度を10℃以下に維持しながら1-ブロモテトラデカン(1-bromotetradecane)(54g、198.5mmol)を滴下漏斗(dropping funnel)に入れてゆっくり滴下する。常温で24時間撹拌した後、蒸留水500mLを添加して反応を終了させた後、n-ヘキサンで抽出して集め、有機層をマグネシウムサルフェートで乾燥させてから揮発物質を除去した後、シリカゲルクロマトグラフィ管を用いてn-ヘキサンに精製し、白色固形分である9,9-ジテトラデシル-9H-フルオレン42.0g(収率83.26%)を取得した。
【0189】
H-NMR (500MHz, CDCl, ppm): δ= 0.616-0.634(m, 4H), 0.881-0.909(m, 6H), 1.051-1.323(m, 44H), 1.951-1.984(t, 4H), 7.292-7.355(m, 6H), 7.708-7.722(d, 2H)
【0190】
2-メチル-9,9-ジテトラデシル-2,3-ジヒドロシクロペンタ[b]フルオレン-1(9H)-オン(2-methyl-9,9-ditetradecyl-2,3-dihydrocyclopenta[b]fluoren-1(9H)-one)の製造
500mLの丸底フラスコに9,9-ジテトラデシル-9H-フルオレン(30g、53.7mmol)、2-ブロモ-2-メチルプロパノイルブロミド(2-bromo-2-methylpropanoyl bromide)(12.7g、55.3mmol)を入れてカーボンジスルフィド(carbon disulfide)300mLを入れて溶解させた後、氷水で反応器を冷却させる。アルミニウムトリクロリド(aluminum trichloride)(15.7g、118.1mmol)を窒素雰囲気下で2時間にわたって10回に分けてゆっくり注入する。また、常温で8時間撹拌した後、蒸留水100mLを添加して反応を終了させた後、蒸留水500mLで3回洗浄する。有機層をマグネシウムサルフェートで乾燥させてから揮発物質を除去した後に乾燥し、粘性の高いオイル状の2-メチル-9,9-ジテトラデシル-2,3-ジヒドロシクロペンタ[b]フルオレン-1(9H)-オン30.0g(収率89.1%)を取得した。
【0191】
H-NMR (500MHz, CDCl, ppm): δ= 0.590(m, 4H), 0.867-0.895(m, 6H), 1.024-1.295(m, 44H), 1.367-1.382(d, 3H), 1.963-2.204(t, 4H), 2.792-2.826(d, 2H), 3.448-3.500(m, 1H), 7.372-7.400(m, 3H), 7.726-7.780(m, 3H)
【0192】
2-メチル-9,9-ジテトラデシル-3,9-ジヒドロシクロペンタ[b]フルオレン(2-methyl-9,9-ditetradecyl-3,9-dihydrocyclopenta[b]fluorene)の製造
500mLの丸底フラスコに2-メチル-9,9-ジテトラデシル-2,3-ジヒドロシクロペンタ[b]フルオレン-1(9H)-オン(20g、31.9mmol)をTHF150mLとエタノ-ル150mLで溶解してから撹拌させる。水素化ホウ素ナトリウム(NaBH)(1.8g、47.8mmol)を5回に分けて反応物に入れて12時間撹拌する。溶媒をすべて除去した後、エチルアセテートに溶解して水で3回洗浄する。有機層をマグネシウムサルフェートで乾燥させてから揮発物質を除去する。乾燥した反応物をトルエン150mLに溶解した後、2500mLの丸底フラスコに入れてパラトルエンスルホン酸(0.08g)を入れてDean-Starkを設置して還流させながら水を完璧に除去した。常温で冷却させた後、塩化アンモニウム水溶液(100mL)と200mLのジエチルエーテルを注入した後、有機層を分離し、残留物をジエチルエーテルで抽出して集められた有機層をマグネシウムサルフェートで乾燥させてから揮発物質を除去した後、シリカゲルクロマトグラフィ管を用いて、2-メチル-9,9-ジテトラデシル-3,9-ジヒドロシクロペンタ[b]フルオレン15.3g(収率78.5%)を取得した。
【0193】
H-NMR (500MHz, CDCl, ppm): δ= 0.649-0.665(m, 4H), 0.891-0.918(m, 6H), 1.059-1.319(m, 44H), 1.953-1.986(t, 4H), 2.206(s, 3H), 3.378(s, 2H), 6.562(s, 1H), 7.237-7.332(m, 4H), 7.663-7.678(d, 1H), 7.710(s, 1H)
【0194】
N-tert-ブチル-1-(9,9-ジテトラデシル-2-メチル-3,9-ジヒドロシクロペンタ[b]フルオレン-3-イル)-1,1-ジメチルシランアミン(N-tert-butyl-1-(9,9-ditetradecyl-2-methyl-3,9-dihydrocyclopenta[b]fluoren-3-yl)-1,1-dimethylsilanamine)とN-tert-ブチル-1-(9,9-ジテトラデシル-2-メチル-1,9-ジヒドロシクロペンタ[b]フルオレン-1-イル)-1,1-ジメチルシランアミン(N-tert-butyl-1-(9,9-ditetradecyl-2-methyl-1,9-dihydrocyclopenta[b]fluoren-1-yl)-1,1-dimethylsilanamine)の製造
250mLの丸底フラスコに2-メチル-9,9-ジテトラデシル-3,9-ジヒドロシクロペンタ[b]フルオレン(4.9g、8.0mmol)を無水ジエチルエーテル100mLで溶解した後、-78℃に温度を下げてから、ノルマルブチルリチウム(1.6Mヘキサン溶液、5.5mL)を徐々に注入した後、常温で12時間撹拌させる。真空で揮発物質を除去した後、n-ヘキサン100mL添加して反応器の温度を-78℃に下げた後、ジクロロジメチルシラン(dichlorodimethylsilane)(2.9g)を添加する。また、常温に温度を上げて24時間撹拌した後、塩を濾過して除去する。そして真空で揮発物質を除去する。生成物をまた250mLの丸底フラスコに入れてジエチルエーテル100mLで溶解した後、-78℃に温度を下げてから、tert-ブチルアミン(1.8g、24.1mmol)を添加する。常温に温度を上げて12時間撹拌した後、揮発物質を真空で完全に除去する。そしてn-ヘキサン200mLを入れて溶解して塩を濾過して除去する。溶媒を除去し、粘性の高いN-tert-ブチル-1-(9,9-ジテトラデシル-2-メチル-3,9-ジヒドロシクロペンタ[b]フルオレン-3-イル)-1,1-ジメチルシランアミンとN-tert-ブチル-1-(9,9- ジテトラデシル-2-メチル-1、9-ジヒドロシクロペンタ[b]フルオレン-1-イル)-1,1-ジメチルシランアミンの混合物(の比率=~1:1)5.5g(収率92.7%)を得た。
【0195】
H-NMR (500MHz, C, ppm): δ= 0.145(s, 3H), 0.183-0.204(d, 6H), 0.290(s, 3H), 0.552(s, 1H), 0.603(s, 1H), 0.998-1.370(m, 126H), 2.228-2.301(m, 14H), 3.408-3.435(d, 2H), 6.749-6.760(d, 2H), 7.353-7.461(m, 6H), 7.546-8.073(m, 6H)
【0196】
(t-ブチルアミド)ジメチル(9,9-ジテトラデシル-2-メチル-3,9-ジヒドロシクロペンタ[b]フルオレン-3-イル)シランチタン(IV)ジメチル(錯体1)と(t-ブチルアミド)ジメチル(9,9-ジテトラデシル-2-メチル-1、9-ジヒドロシクロペンタ[b]フルオレン-1-イル)シランチタン(IV)ジメチル(錯体2)の製造
250mLの丸底フラスコにN-tert-ブチル-1-(9,9-ジテトラデシル-2-メチル-3,9-ジヒドロシクロペンタ[b]フルオレン-3-イル)-1,1-ジメチルシランアミンとN-tert-ブチル-1-(9,9-ジテトラデシル-2-メチル-1、9-ジヒドロシクロペンタ[b]フルオレン-1-イル)-1,1-ジメチルシランアミンの混合物(の比率=~1:1)(5.0g、6.8mml)をジエチルエーテル100mLで溶解した後、-78℃に温度を下げてから、メチリチウム(1.5Mジエチルエーテル溶液、18.5mL)をゆっくり注入する。温度を常温に上げて12時間撹拌してリチウム塩を作製する。そしてドライボックスで250mLの丸底フラスコにTiCl(16.75mmol)と無水ノルマルヘキサン50mLを入れて再度-78℃に温度を下げてから、予め作製したリチウム塩をゆっくり添加する。また、常温に温度を上げて4時間撹拌させた後、真空下で溶媒を除去し、ノルマルヘキサンに溶解して濾過して濾液を抽出した。また、真空でノルマルヘキサンを除去し、固形分の錯体1と錯体2の混合物(ほぼ1:1の比率)5.2gを得た。
【0197】
H-NMR (500MHz, C, ppm): δ= 0.093-0.104(d, 6H), 0.630-0.647(d, 6H), 0.856-1.392(m, 120H), 1.609-1.643(d, 18H), 2.095-2.214(m, 14H), 7.023-7.041(d, 2H), 7.305-8.097(m, 12H)
【0198】
[製造例2]錯体3の製造
【化8】
1,2-ジメチル-9,9-ジテトラデシル-3,9-ジヒドロシクロペンタ[b]フルオレン(1,2-dimethyl-9,9-ditetradecyl-3,9-dihydrocyclopenta[b]fluorene)の製造
2,000mLの丸底フラスコに2-メチル-9,9-ジテトラデシル-3,9-ジヒドロシクロペンタ[b]フルオレン-1(2H)-オン)2-methyl-9,9-ditetradecyl-3,9-dihydrocyclopenta[b]fluoren-1(2H)-one)(119.5g、190.6mmol)をトルエン400mLに溶解して0℃に温度を下げてから、3M-メチルマグネシウムブロミド76mL(THF溶液)をゆっくり注入した後、常温で12時間撹拌させる。1N-HCl水溶液200mLと氷200gで作製した混合物に反応物を注入する。
【0199】
1時間撹拌させた後、トルエンで抽出してから、有機層をマグネシウムサルフェートで乾燥させた後、揮発物質を除去する。乾燥した取得物をトルエン400mLに溶解した後、1,000mLの丸底フラスコに入れてパラトルエンスルホン酸(0.2g)を入れてDean-Starkを設置して還流させながら水を完璧に除去した。常温に冷却させた後、塩化アンモニウム水溶液(150mL)と200mLのジエチルエーテルを注入した後、有機層を分離して残留物をジエチルエーテルで抽出し、集められた有機層をマグネシウムサルフェートで乾燥させてから揮発物質を除去した後、シリカゲルクロマトグラフィ管を用いて1,2-ジメチル-9,9-ジテトラデシル-3,9-ジヒドロシクロペンタ[b]フルオレン95.5g(収率80.2%)を取得した
【0200】
H-NMR (500MHz, CDCl, ppm): δ= 1
【0201】
N-tert-ブチル-1-(1,2-ジメチル-9,9-ジテトラデシル-3,9-ジヒドロシクロペンタ[b]フルオレン-3-イル)-1,1-ジメチルシランアミン(N-tert-butyl-1-(1,2-dimethyl-9,9-ditetradecyl-3,9-dihydrocyclopenta[b]fluoren-3-yl)-1,1-dimethylsilanamine)の製造
500mLの丸底フラスコに1,2-ジメチル-9,9-ジテトラデシル-3,9-ジヒドロシクロペンタ[b]フルオレン(36.0g、57.6mmol)をジエチルエーテル300mLで溶解した後、-78℃に温度を下げてから、ノルマルブチルリチウム(2.5Mヘキサン溶液、25.4mL)を徐々に注入した後、常温で12時間撹拌させる。真空で揮発物質を除去した後、n-ヘキサン350mL添加して反応器の温度を-78℃に下げた後、ジクロロジメチルシラン(dichlorodimethylsilane)(23g)を添加する。また、常温に温度を上げて24時間撹拌した後、塩を濾過して除去する。そして真空で揮発物質を除去する。生成物をまた500mLの丸底フラスコに入れてジエチルエーテル320mLで溶解し、-78℃に温度を下げてから、tert-ブチルアミン(10.5g、144.0mmol)を添加する。常温に温度を上げて12時間撹拌した後、揮発物質を真空で完全に除去する。そしてトルエン200mLを入れて溶解して塩を濾過して除去する。溶媒を除去し、粘性であるN-tert-ブチル-1-(1,2-ジメチル-9,9-ジテトラデシル-3,9-ジヒドロシクロペンタ[b]フルオレン-3-イル)-1,1-ジメチルシランアミン37.10g(収率85.3%)を得た。
【0202】
H-NMR (500MHz, C, ppm): δ= 0.124(s, 3H), 0.215(s, 3H), 0.546(s, 1H), 1.000-1.371(m, 63H), 2.169(d, 6H), 2.274(m, 4H), 3.406(s, 1H), 7.343-7.477(m, 3H), 7.595(s, 1H), 7.913(d, 1H), 8.098(s, 1H),
【0203】
(t-ブチルアミド)-1,1-ジメチル(1,2-ジメチル-9,9-ジテトラデシル-3,9-ジヒドロシクロペンタ[b]フルオレン-3-イル)シランチタン(IV)ジメチル(錯体3)の製造
250mLのN-tert-ブチル-1-(1,2-ジメチル-9,9-ジテトラデシル-3,9-ジヒドロシクロペンタ[b]フルオレン-3-イル)-1,1-ジメチルシランアミン(20.9g、27.7mmol)をジエチルエーテル200mLで溶解した後、-78℃に温度を下げてからメチリチウム(1.5Mジエチルエーテル溶液、75.76mL)をゆっくり注入する。温度を常温に上げて12時間撹拌してリチウム塩を作製する。そしてドライボックスで500mLの丸底フラスコにTiCl(5.26g、27.7mmol)と無水ノルマルヘキサン150mLを入れて再度-78℃に温度を下げてから予め作製したリチウム塩をゆっくり添加する。また、常温に温度を上げて4時間撹拌させた後、真空下で溶媒を除去し、またトルエンに溶解し、溶解されていない部分を濾過して除去した。また、真空でトルエンを除去し、固形分である錯体317.8gを得た。
【0204】
H-NMR (500MHz, C, ppm): δ= -0.081(s, 3H), 0.205(s, 3H), 0.516(s, 3H), 0.622(s, 3H), 0.724(s, 3H), 0.849-1.30(m, 48H), 1.442(s, 9H), 1.919(s, 3H), 2.057(m, 4H), 2.278(s, 3H), 7.07-7.22(m, 3H), 7.518-7.533(d, 1H), 7.633(s, 1H), 7.970(s, 1H).
【0205】
[実施例1]
一番目の反応器の単一活性サイト触媒、すなわち、メタロセン触媒としては製造例1で合成された触媒が使用され、二番目の反応器には、製造例2で合成されたメタロセン触媒が使用された。
【0206】
一番目の反応器と二番目の反応器は互いに直列に連結され、一番目の反応器で第1エチレン重合体を製造した後、製造された第1エチレン重合体および未反応物を二番目の反応器に移送させ、前記二番目の反応器に第2エチレン重合体の製造のための単量体、溶媒、触媒および助触媒を追加投入して第2エチレン重合体を連続して重合するとともに、第1エチレン重合体と第2エチレン重合体が混合されたエチレン重合体混合物を製造した。
【0207】
触媒使用量は、表1、表2に示されたとおりである。Tiは、単一活性サイト触媒、Alは、助触媒であるトリイソブチルアルミニウム、Bは、反応触媒活性組触媒であるトリフェニルメチリウムテトラキスペンタフルオロフェニルボレートなどをそれぞれ示す。各触媒は、キシレンにそれぞれ0.2g/l、2.4g/l、0.5g/lの濃度で溶解させて注入している。各反応器ステップ別にエチレン投入比を調節して投入し、共単量体として1-オクテンを使用して合成を実施した。ただし、二番目の反応器に投入されるエチレン量の場合、重合体密度および分子量を合わせるために転化率が低い場合、二番目の反応器に移る未反応エチレンを考慮して決定される。各反応器の転化率は、それぞれの反応条件から一つ重合体に重合する時の反応条件および反応器内の温度勾配を通じてまたは直接未反応エチレン量を測定して類推することができる。一番目の反応器および二番目の反応器で目標したMIの共重合体を生成するために適量の水素を注入して分子量を制御した。また、各反応器内での分子量は、単一活性サイト触媒の場合、反応器の温度および1-オクテン含量の関数で制御することになり、下記の表1にその条件が示されている。
【0208】
[実施例2]
実施例1のような方法で重合体を製造し、ただし、反応器1と反応器2で重合される重合体の比率を調節し、また、各反応器で重合される重合体の密度、そして分子量を調節するために、表1に示されている条件のように各反応器に供給されるエチレン量と共単量体である1-オクテンの量、そして反応器の温度条件を異ならせて製造した。
【0209】
[比較例1]
DOW社製の商業製品Affinity 1880Gを使用した。
【0210】
[比較例2]
SSNC(SABIC SK Nexlene Company)社製の商業製品NexleneTMNX021を使用した。
【0211】
[比較例3]
実施例1のような方法で重合体を製造し、ただし、反応器1と反応器2で重合される重合体の比率を調節し、また、各反応器で重合される重合体の密度、そして分子量を調節するために表1に示されている条件のように各反応器に供給されるエチレン量と共単量体である1-オクテン量、そして反応器の温度条件を異ならせて製造した。
【0212】
[比較例4]
実施例1のような方法で重合体を製造し、ただし、反応器1と反応器2で重合される重合体の比率を調節し、また、各反応器で重合される重合体の密度、そして分子量を調節するために表1に示されている条件のように各反応器に供給されるエチレン量と共単量体である1-オクテン量、そして反応器の温度条件を異ならせて製造した。
【0213】
下記表1は実施例1~2、比較例3~4の合成条件を示したものである。
【0214】
【表1】
【0215】
前記表1において、
-総溶液流量:溶媒+エチレン+オクテン流量(kg/hr)
-エチレン投入比は、反応器1:反応器2の質量の比率
-Ti:単一活性サイト触媒中のTiを意味する
-Al:助触媒トリイソブチルアルミニウム中のAlを意味する
-B:助触媒トリフェニルメチリウムテトラキスペンタフルオロフェニルボレート中のBを意味する
-前記Al/TiおよびB/Tiは、元素間の比率を意味する。
【0216】
前記表1のように重合して製造された重合体の物性を下記表2に示した。
【0217】
【表2】
【0218】
前記表2に示されているように、本発明による実施例1および実施例2は、二つのエチレン重合体間の密度の差が0.015~0.030範囲に含まれ、分子量分布が2~3の範囲に含まれることを確認した。
【0219】
比較例1は、単独重合体であり、比較例2は、二つの重合体間の密度の差が0.009と非常に小さく、比較例3は、二つの重合体間の密度の差が0.033と高いことを確認した。比較例4は、分子量分布指数が3.1と高いことが分かる。
【0220】
下記表3は、TREF(temperature rising elution fractionation)測定による結果を示した。図1は、TREFによるグラフを示した。
【0221】
【表3】
【0222】
前記表3に示されているように、本発明の実施例1および実施例2は、バイモーダルピークを示すことを確認することができる。
【0223】
前記実施例および比較例で製造されたエチレン重合体混合物をMacci blown film lineを使用して厚さ40μmの単層ブロウンフィルムを成形した。加工温度は160℃、Blow up ratioは、幅方向:長さ方向が2.1:1であり、フィルム幅は600mmであった。ダイギャップは1.8mmであり、巻取速度(take-up speed)は12.1m/minであった。
【0224】
このように製造されたフィルムの物性を測定し、下記表4に示した。また、フィルムのホット-タック(hot-tack)測定グラフを図2に示した。また、フィルムのヒート-シール測定グラフを図3に示した。
【0225】
【表4】
【0226】
前記表4に示されているように、本発明による実施例1および実施例2は、比較例1および2と比較して、フィルムは、ASTM D 1709 method Aによる落槍衝撃強度が1700g以上と高く、ASTM F1921によるホット-タック強度1.5N/cm以上で最低シール温度が75℃以下であり、比較例1および比較例2に比べて10℃以上低いことを確認することができる。また、ASTM F88によるヒート-シール強度600g以上で最低シール温度が85℃以下であり、比較例1および2に比べて10℃以上低いことを確認することができる。また、ASTM D 1003によるヘイズが5%以下と低いことを確認することができる。
【0227】
比較例3に示されているように、二つの重合体間の密度の差が0.033と高い場合には、ヘイズが6.0%と急激に増加することを確認した。
【0228】
比較例4に示されているように、分子量分布が3.1と高い場合には、落槍衝撃強度が大幅に低下し耐衝撃性が大幅に低下することを確認しており、ホット-タック強度1.5N/cm以上で最低シール温度およびヒート-シール強度600g以上で最低シール温度も高いことを確認した。
図1
図2
図3