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特許7039741複合セラミック組成物およびそれを形成する方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-11
(45)【発行日】2022-03-22
(54)【発明の名称】複合セラミック組成物およびそれを形成する方法
(51)【国際特許分類】
   C04B 35/58 20060101AFI20220314BHJP
   C04B 35/563 20060101ALI20220314BHJP
【FI】
C04B35/58 050
C04B35/563
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2021004889
(22)【出願日】2021-01-15
(62)【分割の表示】P 2017528155の分割
【原出願日】2015-11-23
(65)【公開番号】P2021080161
(43)【公開日】2021-05-27
【審査請求日】2021-02-15
(31)【優先権主張番号】62/084,623
(32)【優先日】2014-11-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】397068274
【氏名又は名称】コーニング インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100073184
【弁理士】
【氏名又は名称】柳田 征史
(74)【代理人】
【識別番号】100175042
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 秀明
(72)【発明者】
【氏名】ベサニー ローズ コンウェイ
(72)【発明者】
【氏名】ジェイムズ ウィリアム ジマーマン
【審査官】小川 武
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-69283(JP,A)
【文献】特開平04-144968(JP,A)
【文献】特開平01-087563(JP,A)
【文献】特開昭01-115870(JP,A)
【文献】特開昭61-111967(JP,A)
【文献】AI MOMOZAWA,CONTROLLED PRECIPITATION OF W2B4 PLATELETS AND OF [BETA]-WB NANOLAMINATES FOR THE IN SITU 以下備考,JOURNAL OF THE EUROPEAN CERAMIC SOCIETY,英国,ELSEVIER SCIENCE PUBLISHERS,2011年08月19日,VOL:32, NR:1,,PAGE(S):85 - 95,http://dx.doi.org/10.1016/j.jeurceramsoc.2011.07.030,REINFORCEMENT OF TERNARY TIB2-W2B4-CRB2 CERAMICS
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C04B 35/00-35/84
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複合セラミック組成物において、
3.7~9.3モル%のTiと;
4.9~12.3モル%のWと;
59.0~71.9モル%のBと;
10.1モル%~16.7モル%のCと;
Nb、Cr、およびZrから選択される少なくとも1種類の追加成分と
を含み、
前記Ti、W、Nb、Cr、B、Zr、およびCの総量が少なくとも95モル%であることを特徴とする複合セラミック組成物。
【請求項2】
2.5モル%のNbを含むことを特徴とする、請求項1に記載の複合セラミック組成物。
【請求項3】
10.3モル%のCrを含むことを特徴とする、請求項1に記載の複合セラミック組成物。
【請求項4】
2.5モル%のZrを含むことを特徴とする、請求項1に記載の複合セラミック組成物。
【請求項5】
2.5モル%のNb、10.3モル%のCr、および2.5モル%のZrを含むことを特徴とする、請求項1に記載の複合セラミック組成物。
【発明の詳細な説明】
【関連出願の相互参照】
【0001】
本出願は、2014年11月26日に出願された米国仮特許出願第62/084,623号(その内容に本明細書が依拠し、その全体が参照により本明細書に援用される)の利益および優先権を主張する。
【技術分野】
【0002】
本開示は、複合セラミック組成物、およびその組成物から製造されたセラミック材料、ならびにそれから製造された物品に関する。複合セラミック組成物は、ホウ素、炭素、および少なくとも1種類の遷移金属を含む。組成物は、特にホウ素および炭素の両方を含有する相に関連する別の機能相を含有することもできる。
【背景技術】
【0003】
ダイヤモンドおよび立方晶窒化ホウ素(CBN)は、70GPaのビッカース硬度(1kgf(9.8N)の荷重)を超える硬度値を有する最も硬い材料である。これらの硬質材料は、製造が非常に困難であり、費用がかかるため、通常、バルク形態では利用されない。炭化ホウ素、炭化タングステン、および炭化チタンは、より容易に形成される別の硬質材料であるが、CBNおよびダイヤモンドよりも耐摩耗性が低い。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
本開示の代表的な実施形態は、複合セラミック組成物、およびそれから製造されたセラミック材料、ならびにそれを製造する方法を提供する。複合セラミック組成物は、ホウ素、炭素、および少なくとも1種類の遷移金属を含む。少なくともある実施形態によると、セラミック材料は、導電性であり、他のセラミック材料と比較して高硬度および/もしくは高破壊靱性を有し、かつ/または良好な熱伝導率を有する。
【0005】
種々の代表的な実施形態によると、複合セラミック組成物は、炭化ホウ素相と、ホウ化タングステン相と、クロム、ニオブ、およびジルコニウムから選択される少なくとも1種類の金属のホウ化物を含む遷移金属ホウ化物相とを含む。
【0006】
さらなる代表的な実施形態によると、複合セラミック組成物は、チタン、タングステン、ホウ素、および炭素、ならびにニオブ、クロム、およびジルコニウムから選択される少なくとも1種類の金属を含む固溶体と;炭化ホウ素相と;ホウ化タングステン相と;遷移金属ホウ化物相とを含む。
【0007】
さらなる代表的な実施形態によると、セラミック複合材料を製造する方法は、ホウ素、炭素、および少なくとも1種類の遷移金属から選択されるバッチ成分を含むバッチ組成物を調製するステップと、バッチ組成物を焼結させるステップと、焼結させたバッチ組成物を熱処理するステップとを含む。
【0008】
本明細書に開示される複合セラミック組成物の実施形態は、高い靱性および化学安定性を有する耐高温性材料を提供することができる。
【0009】
本開示のさらなる特徴および利点は、以下の詳細な説明に記載され、部分的には、当業者にはそれらの説明から容易に明らかとなり、または以下の詳細な説明、請求項、および添付の図面を含めて本明細書に記載される方法を実施することによって理解されるであろう。
【0010】
以上の概要および以下の詳細な説明の両方は、本開示の種々の実施形態を示し、請求項の性質および特徴の理解のための外観または枠組みの提供を意図していることを理解されたい。添付の図面は、本開示のさらなる理解を得るために含まれ、本明細書に組み込まれ、本明細書の一部を構成している。図面は、本開示の種々の実施形態を示し、本明細書の説明とともに本開示の原理および操作を説明する役割を果たす。
【0011】
本開示のさらなる理解を得るために含まれ、本明細書に組み込まれ、本明細書の一部を構成する添付の図面は、本開示の代表的な実施形態を示し、本明細書の説明とともに本開示の原理を説明する役割を果たす。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】モル分率の単位での5つの実施例の三元状態図である。
図2】実施例1HPおよび1HTのX線回折パターンを示す。
図3】実施例2HPおよび2HTのX線回折パターンを示す。
図4】実施例3HPおよび3HTのX線回折パターンを示す。
図5】実施例4HPおよび4HTのX線回折パターンを示す。
図6】実施例5HPおよび5HTのX線回折パターンを示す。
図7A】ホウ素に関してマイクロプローブを用いて取得した実施例2のエネルギー分散分光法(EDS)の元素マップを示す。
図7B】炭素に関してマイクロプローブを用いて取得した実施例2のエネルギー分散分光法(EDS)の元素マップを示す。
図7C】クロムに関してマイクロプローブを用いて取得した実施例2のエネルギー分散分光法(EDS)の元素マップを示す。
図7D】チタンに関してマイクロプローブを用いて取得した実施例2のエネルギー分散分光法(EDS)の元素マップを示す。
図7E】タングステンに関してマイクロプローブを用いて取得した実施例2のエネルギー分散分光法(EDS)の元素マップを示す。
図8】実施例1HP、1HT、2HP、2HT、3HP、および3HTの電子顕微鏡写真を示す。
図9】実施例のX線回折ピーク位置を示す表Yを含む。
【発明を実施するための形態】
【0013】
アブレシブ摩耗が生じる装置を有する幅広い産業では、部品の交換が必要となり、場合により、装置を完全に作り直す必要が生じる。たとえば、ダイ、バレル、およびスクリューエレメントなどのオーガー混合および押出成形装置は、摩耗性バッチと連続的に接触する。さらなる代表的な分野としては、金属切削、たとえば部品の穴あけ、フライス加工、ねじ切り、および旋削、ならびに摩擦撹拌溶接が挙げられる。これらおよびその他の産業では、意図する用途に耐えるのに十分な硬度を有し、過度な摩耗および破壊が起こらない構成部品が必要とされている。したがって、機械的負荷に耐えることができる耐摩耗性材料が必要とされている。
【0014】
種々の実施形態によると、本開示は、遷移金属(「TM」)、ホウ素(「B」)、および炭素(「C」)を含む複合セラミック組成物に関する。記載されるように、組成物は、炭化ホウ素相、ホウ化タングステン(「W」)相、および遷移金属ホウ化物相を含むことができる。種々の実施形態によると、複合セラミック組成物は、少なくともホウ化タングステン相および遷移金属ホウ化物相を有する固溶体中に分散された炭素を含むことができる。遷移金属は、たとえばクロム(「Cr」)、ニオブ(「Nb」)、チタン(「Ti」)、およびジルコニウム(「Zr」)から選択することができる。
【0015】
種々の実施形態によると、代表的な複合セラミック組成物は、炭化ホウ素相、ホウ化タングステン相、Cr、Nb、およびZrから選択される少なくとも1種類の金属のホウ化物を含む遷移金属ホウ化物相を含む。さらなる実施形態では、遷移金属ホウ化物相は、Cr、Nb、およびZrから選択される少なくとも2種類の金属のホウ化物を含む。種々の実施形態によると、遷移金属ホウ化物相は、CrB相、Ti0.5Zr0.5相、およびNbTiB相から選択される少なくとも1つの相を含むことができる。さらなる実施形態によると、炭化ホウ素相は、B12(BC)相およびB11.723.28相から選択される少なくとも1つの相を含む。さらなる実施形態によると、ホウ化タングステン相は、W相およびWB相から選択される少なくとも1つの相を含む。
【0016】
種々の実施形態によると、複合セラミック組成物は、たとえばチタン、タングステン、ホウ素、および/または炭素と、任意選択的にニオブ、クロム、およびジルコニウムから選択される少なくとも1種類の金属とを含む固溶体を含むことができる。非限定的な例として、複合セラミック組成物は、炭化ホウ素相、ホウ化タングステン相、および/または遷移金属ホウ化物相を有する固溶体中に分散された炭素を含むことができる。
【0017】
ある実施形態によると、組成物は、高摩耗、高応力、および/または研摩性の環境中に使用するために構成された固体の形態であってよい。たとえば、組成物は、押出成形装置のダイ、バレル、および/またはスクリューエレメントの形態であってよい。
【0018】
さらなる代表的な一実施形態によると、複合セラミック組成物は、炭化ホウ素相と、ホウ化タングステン相と、遷移金属ホウ化物相と、チタン、タングステン、ホウ素、および炭素、ならびにニオブ、クロム、およびジルコニウムから選択される少なくとも1種類の金属を含む固溶体とを含むことができる。遷移金属ホウ化物相は、クロム、ニオブ、およびジルコニウムから選択される少なくとも1種類の金属の少なくとも1種類のホウ化物を含むことができる。任意選択的に、炭素は、炭化ホウ素相、ホウ化タングステン相、および遷移金属ホウ化物相を有する固溶体中に分散されることができる。
【0019】
種々の実施形態によると、本明細書に記載の複合セラミック組成物中の炭素は黒鉛を含むことができる。さらなる実施形態では、本明細書に記載の複合セラミック組成物中の炭素は黒鉛を含まなくてよい。
【0020】
種々の実施形態によると、組成物は、約2:1~約8:1、たとえば約3:1~約7:1、または約4:1~約6:1の範囲のホウ素対炭素の比(B:C)を有することができる。単なる例として、組成物は、約4.3:1~約5.8:1の範囲のホウ素対炭素の比を有することができる。ある代表的な実施形態によると、特定の量またはホウ素との特定の比で炭素を複合セラミック組成物に加えることは、(1)炭化ホウ素相の形成、(2)ホウ化物相に加えて混合炭化物相の形成、(3)酸化物から炭化物状態への炭素還元による酸化物相の除去、および炭素-酸化物気相を介した酸化物の除去、ならびに/または(4)不十分な結晶構造が生じる炭化物およびホウ化物の固溶体の原因となりうる。しかし、本開示の少なくとも特定の実施形態によると、これらの結果の1つ以上が存在しない場合があることに留意されたい。
【0021】
種々の実施形態によると、組成物は、約0.5:1~約4:1、たとえば約0.6:1~約3.5:1の範囲の遷移金属対炭素のモル比(TM:C)を有することができる。単なる例として、組成物は、約0.68:1~約3.06:1の遷移金属対炭素のモル比を有することができる。
【0022】
種々の実施形態によると、代表的な複合セラミック組成物は、約0~約2モル%のTiと、約2~約25モル%のWと、約66~約90モル%のBと、約5モル%~約25モル%のCと、約0モル%~約25モル%のNb、約0モル%~約25モル%のCr、および約0モル%~約25モル%のZrから選択される少なくとも1種類の追加成分とを含むことができ、Ti、W、Nb、Cr、B、Zr、およびCの総量は100モル%である。
【0023】
さらに別の代表的な一実施形態では、複合セラミック組成物は、約3.7~約9.3モル%のTiと、約4.9~約12.3モル%のWと、約59.0~約71.9モル%のBと、約10.1モル%~約16.7モル%のCと、約2.5モル%のNb、約10.3モル%のCr、および約2.5モル%のZrから選択される少なくとも1種類の追加成分とを含むことができ、Ti、W、Nb、Cr、B、およびCの総量は100モル%である。
【0024】
本開示は、本明細書に記載の複合セラミック組成物を含む複合セラミック材料の形成にも関する。例として、セラミック材料は、ホウ素、炭素、および本明細書に記載の少なくとも1種類の遷移金属から選択されるバッチ成分を含むバッチ組成物を調製するステップと、バッチ組成物を焼結させるステップと、バッチ組成物を熱処理するステップとによって形成することができる。単なる非限定的な例として、バッチ組成物は、バッチ成分を混合するステップと、バッチ組成物を非極性溶媒中で約0.25時間~約170時間、たとえば約0.5時間~約48時間の時間にわたり粉砕するステップとによって調製することができる。たとえば、バッチ組成物は、有機溶媒中で約48時間にわたり粉砕することができる。任意選択的に、粉砕したバッチ組成物から溶媒を除去することができ、粉砕したバッチ組成物を焼結させることができる。焼結ステップは、たとえば熱間静水圧プレスなどのホットプレス中などのあらゆる周知の方法によって行うことができる。ホットプレスは、少なくとも1700℃、たとえば1800℃の温度において、5MPaを超える圧力で行うことができる。バッチ組成物を焼結させた後、焼結バッチ組成物を熱処理するステップを行うことができる。焼結させた組成物を熱処理するステップは、約1600℃未満の温度の炉中などのあらゆる周知の方法によって行うことができる。
【0025】
本明細書に記載されるように、代表的なバッチ組成物は、(a)約13~約22.6モル%のTi粉末と;(b)約15.4~約30.1モル%のW粉末と;(c)少なくとも1種類の追加成分であって、(i)約7.6モル%のNb粉末、約15.0モル%のホウ素粉末、および約50.4モル%のBC粉末;(ii)約13.0モル%のCrB粉末、および約56.7モル%のBC粉末;(iii)約22.6モル%のCrB粉末および約24.7モル%のBC粉末;ならびに(iv)約8.9モル%のZrB粉末および約59.4モル%のBC粉末から選択される少なくとも1種類の追加成分とを含むことができ、バッチ組成物中の粉末(a)、(b)、および(c)の総モル%は100モル%である。
【0026】
複合セラミック組成物の性質は、たとえば、それに含まれる成分および相の量および/または種類によって変動しうる。しかし、種々の実施形態によると、複合セラミック組成物中の成分の量および種類は、その硬度、靱性、および/または摩耗因子の性質がそれらの個別の成分、すなわち遷移金属ホウ化物および/または炭化ホウ素の性質を上回るように選択することができる。
【0027】
ある代表的な実施形態によると、複合セラミック組成物は、1kgf(9.8N)において約12~約32GPaの範囲のビッカース硬度と、約2~約13MPa・m0.5の範囲の靱性とを有することができる。さらなる代表的な実施形態によると、複合セラミック組成物は、1kgf(9.8N)において約13~約31GPaの範囲のビッカース硬度と、約2.5~約12MPa・m0.5の範囲の靱性とを有することができる。さらなる代表的な実施形態では、複合セラミック組成物は、1kgf(9.8N)において約14~約30GPaの範囲のビッカース硬度と、約3~約10MPa・m0.5の範囲の靱性とを有することができる。単なる例として、複合セラミック組成物は、1kgf(9.8N)において約29GPのビッカース硬度と、約10MPa・m0.5の靱性とを有することができる。
【0028】
複合セラミック組成物は、種々の代表的で非限定的な実施形態によると、Wを含むことができ、Wは、ナノ積層体を形成し、導電性であり、高い熱伝導率を有すると報告されている。たとえば、Wを含む複合セラミック組成物は、約100~約300S/m、たとえば約150~約250S/mの範囲の導電率、および約5~約50W/(m・K)、たとえば約20~約40W/(m・K)の範囲の熱伝導率を有することができる。単なる非限定的な例として、導電率は約200S/mでありうる。さらなる非限定的な例として、熱伝導率は約30W/(m・K)でありうる。
【0029】
したがって、複合セラミック組成物から製造されるセラミック材料は、導電性であることができ、他の従来のセラミック材料よりも高硬度および/または高破壊靱性を有することができ、良好な熱伝導率を有することができる。複合セラミック組成物は、金属の外観を有することもでき、ある種の金属が主流の用途における組成物の採用において重要でありうる。
【0030】
種々の実施形態によると、複合セラミック組成物は、高摩耗、高応力、および/または研摩性の環境中で使用するための部品、たとえば商業用の切削工具、機械加工工具、地質学的掘削ビット、硬質粒子加工、およびセラミック加工に使用するための部品の製造に有用でありうる。たとえば、複合セラミック組成物は、押出成形装置のフォーミングダイ、バレル、および/またはスクリューエレメントの製造に使用することができる。さらなる実施形態によると、複合セラミック組成物は、ドリルビットまたは鋸刃などの切削用具の製造に使用することができる。さらなる実施形態では、複合セラミック組成物は、金属製品の成形のための穴開け、フライス加工、ねじ切り、および/または旋削のための部品の製造に使用することができる。しかし、本開示は、そのような実施形態に限定されるものではない。
【0031】
少なくとも、超硬質セラミックの成形は時間がかかり、高価なダイヤモンド工具を必要とし、したがって放電加工(EDM)および電解加工(ECM)が有利となるため、複合セラミック組成物の導電率が適切である。二軸スクリューエレメントおよびバレルおよびフォーミングダイなどの高性能の構造は、セラミック体がほぼ最終的な形状で形成される場合でさえも、EDM技術およびECM技術の少なくとも1つを使用せずに形成するには非常に費用がかかる。たとえば、EDM技術および/またはECM技術は、押出ダイの穴あけおよびスロット切削に使用することができ、スロットは、押出物中の軸方向に延在するチャネル壁を形成し、正方形、長方形、六角形、曲面、他の多角形、およびそれらの組合せなどの種々のパターンで配置することができる。
【0032】
少なくとも耐摩耗性および硬度に対する関係のため、組成物の超硬質の性質が適切である。少なくとも他の硬質材料に耐える加工が必要であるため、セラミック粒子加工において高硬度を有することも適切である。摩耗用途、および一般に任意の構造用部品において、高破壊靱性を有することが適切である。
【0033】
要求を満たさないが、特性の一部は有すると思われた特殊な材料の種類の1つが、Telleらによって公開されており(MAX相様挙動を示すホウ化物系ナノ積層体、Journal of Solid State Chemistry 179(2006)2850-2857)、ここでは、TiB-W-CrBセラミックのその場補強のための対照Wプレートレットおよびβ-WBナノ積層体が議論されている。この材料の機械的性能は、Telleらによって開示されていない。しかし、同様の材料を製造すると(実施例1)、20GPaのビッカース硬度(0.2kgf(1.96N))の結果が得られ、これは他のホウ化物材料よりも低い。
【0034】
本明細書において使用される場合、名詞は、「少なくとも1つ」の対象を指し、逆のことが明記されるのでなければ、「ただ1つ」の対象に限定すべきではないことも理解されたい。したがって、たとえば、「金属」への言及は、文脈が明確に他のことを示すのでなければ、2種類以上の金属を有する例を含む。
【0035】
「約」ある特定の値から、および/または「約」別の特定の値までとして範囲を表現することができる。ある範囲が表される場合、例は、別の始点および/または終点としての厳密な値を含む。同様に、先行する「約」を使用することによって値が概算として表される場合、特定の値がさらなる実施形態を形成することが理解されるであろう。それぞれの範囲の端点は、別の端点と関連する場合および別の端点とは独立する場合の両方で重要であることがさらに理解されるであろう。
【0036】
他に明記されなければ、本明細書に記載の任意の方法は、そのステップが特定の順序で行われることが必要と解釈されることを意図するものでは決してない。したがって、方法クレームが、そのステップが従う順次で実際に列挙されない場合、または請求項もしくは本明細書の説明においてステップが特定の順序に限定されることが他に明記されない場合、何らかの特定の順序を意味することを意図するものでは決してない。
【0037】
特定の実施形態の種々の特徴、要素、またはステップは、移行句の「含む」を用いて開示できるが、移行句の「からなる」または「から本質的になる」を用いて記載できるものを含む別の実施形態が暗示されることを理解されたい。したがって、たとえば、A+B+Cを含む方法に対して暗示される別の実施形態としては、方法がA+B+Cからなる実施形態および方法がA+B+Cから本質的になる実施形態が挙げられる。
【0038】
本開示の目的の場合、「X、Y、およびZの少なくとも1つ」は、Xのみ、Yのみ、Zのみ、または2つ以上の項目X、Y、およびZのあらゆる組合せ(たとえば、XYZ、XYY、YZ、ZZ)と解釈できることを理解されたい。
【0039】
本明細書において使用される場合、「ある温度に加熱する」ステップは、加熱される周囲の環境が記載の温度を有することを伝えることを意図している。たとえば、バッチが炉中で「約1500℃の温度」に加熱される場合、バッチ自体が1500℃の温度に必ずしも到達するのではなく、その炉が1500℃の温度に設定されることを伝えることを意図している。
【0040】
本開示の趣旨および範囲から逸脱することなく本開示に対する種々の修正形態および変形形態が可能であることは当業者に明らかであろう。本開示の趣旨および内容を含む開示される実施形態の修正形態、組合せ、副次的組合せ、および変形形態が当業者に想到されうるため、本開示は、添付の請求項およびそれらの均等物の範囲内のあらゆるものを含むと解釈すべきである。
【0041】
本開示は、以下の代表的な実施例およびそれらの特定の実施形態に関して以下にさらに記載されるが、これらは単に非限定的で説明的なものであり、限定を意図したものではない。
【実施例
【0042】
図1は、本開示の実施例1~5に含まれる炭素、ホウ素、および遷移金属(TM)のモル比を示す三元状態図を示す。以下に示す表V、W、およびXは、実施例1~5に使用したバッチ成分に関するものである。特に、表Vは、図1に示した各実施例の成分のモルパーセント値を示す。表Wは、各実施例に含まれる遷移金属のモルパーセント値対ホウ素および炭素のモルパーセント値を比較している。表Xは、実施例1~5の形成に使用したバッチ成分(粉末)の重量%、体積%、およびモル%を示す。
【0043】
【表1】
【0044】
【表2】
【0045】
【表3】
【0046】
図1および表V~Xに関して、実施例1はTelleらにより報告される従来技術の化学物質であるが、加工方法は報告される方法と異なり、本開示の他の実施例に使用した方法に類似している。
【0047】
実施例2は、実施例1と同じホウ素:TM比を有するが、炭素が添加されている(図1)。実施例1のホウ素前駆体は非晶質ホウ素粉末であり、実施例2のホウ素および炭素の添加は炭化ホウ素の形態であった。
【0048】
実施例3は、同じホウ素:炭素比を有するが、実施例1および2と異なるホウ素:TM比を有する。実施例4は、実施例3および5と同様のホウ素:TM比およびホウ素:炭素比を有するが、実施例1~3で使用したVIB族遷移金属(クロム)の代わりにさらにIVB族の遷移金属(ジルコニウム)を使用している。
【0049】
実施例5は、実施例3および4と同様のホウ素:TM比およびホウ素:炭素比を有するが、実施例1~3で使用したVIB族金属(クロム)の代わりにVB族遷移金属(ニオブ)を使用している。実施例2~5の4つの組成物は、遷移金属ホウ化物-遷移金属炭化物-炭化ホウ素複合材料を形成する場合の広い化学的範囲を示す。
【0050】
加工
表Xに列挙される実施例1~5のバッチ成分を秤量し、次に、ヘキサン溶媒を用いてローラーミル上でボールミル粉砕した。1/4インチ(0.635cm)の炭化タングステン(固化した炭化物と思われるUnion Process媒体)を実施例1~3および5の媒体として使用した。これらのバッチは48時間粉砕した。実施例1~3からのヘキサンの除去は、ロータリーエバポレーターを400rpmの回転速度および68℃の温度で使用して行い、実施例4および5からのヘキサンの除去は、過剰のヘキサンをデカンテーションし、次にアルゴン中90℃で乾燥させることによって行った。得られた粉末は、次に、窒化ホウ素がコーティングされた黒鉛箔がライニングされた18mmの黒鉛ダイ内に入れた。
【0051】
実施例4は、ヘキサン溶媒および3/32インチ(0.238cm)の炭化タングステン媒体を用いてボールミル粉砕した。この媒体は、ステンレス鋼メッシュコランダーを介してヘキサンで洗浄することによって除去した。バッチ材料およびヘキサン溶媒を結晶皿に移し、次にアルゴン雰囲気中に入れ、90℃まで加熱して溶媒を蒸発させた。得られた粉末は、次に、窒化ホウ素がコーティングされた黒鉛箔がライニングされた18mmの黒鉛ダイ内に入れた。
【0052】
実施例2~5は、アトリションミル(Union Process)も使用した。バッチ成分を秤量し、ヘキサン中で3/32インチ(0.238cm)の炭化タングステン媒体を用いて600rpmで60分間にわたり粉砕した。これらのバッチ成分は、750mlのTefzelフルオロポリマー樹脂がライニングされた容器中で粉砕した。炭化タングステンのアジテーターアームを混合に使用した。この媒体は、ステンレス鋼メッシュコランダーを介してヘキサンで洗浄することによって除去した。バッチ材料およびヘキサン溶媒を結晶皿に移し、次にアルゴン雰囲気中に入れ、90℃まで加熱して溶媒を蒸発させた。得られた粉末は、次に、黒鉛箔がライニングされた32mmの黒鉛ダイ内に入れた。この黒鉛箔には、窒化ホウ素がコーティングされた。
【0053】
実施例1~5の黒鉛ダイをホットプレス(GT Advanced Technologies)中で焼結させた。特に、試料を1500℃まで加熱し、真空下で2時間にわたり維持した。2時間の均熱後、炉を1900℃まで上昇させ、真空を停止し、アルゴン流を導入した。30MPaの圧力を粉末成形体に加え、炉を1900℃で1時間にわたり維持した。すべての実施例は、黒鉛真空炉中、アルゴン中において1500℃で76時間にわたり熱処理した。実施例1~5は熱処理前に室温まで冷却した。
【0054】
分析
反応性ホットプレスした材料の製品を調べるために、X線回折(「XRD」)法を使用した。Bartlesらは、実施例1と類似の化学物質により(異なる前駆体)、均質化したままの状態で33および40°のブラッグ角においてX線ピークが得られたと報告している。熱処理後、Bartlesらは、ほぼ30°、40.5°、および41°のピークを報告しており、32.5°でW相、40°でTiB相、および35°でβ-WB相と関連している。
【0055】
図2~6は、実施例1~5のホットプレス後(「HP」)および熱処理後(「HT」)の両方の組成物のXRDパターンを示す。27~45°のブラッグ角の範囲内の実施例1~5のピークを、図8に示される表Yで報告している。表Yでは、二重線が報告されない場合、または別の材料の二重線の間にピークが存在する場合に±0.2°のシフトが可能となる。X線回折を用いた材料の厳密な同定は、ピークが重なり合う材料、またはピークのシフトが生じる固溶体を形成する材料では困難になる。
【0056】
表Zは、実施例1~5の可能性のある相を含む。表Zは、これらの組成物の硬度(10kg重(98N))、耐摩耗性、および靱性の測定値も含む。
【0057】
【表4】
【0058】
図7A~7Eは、マイクロプローブを用いて得た実施例2の電子分散分光法(EDS)画像を示す、それぞれホウ素、炭素、クロム、チタン、およびタングステンの濃度勾配を示す。一般に、この技術により、定量的な元素分析が可能となる。しかし、材料中の軽元素および重元素の組合せのために、定量分析はより高い誤差率を有しうる。図7A~7EのマイクロプローブEDSマップに示されるように、表Z中の相は、完全に正確ではない場合がある。むしろ、ほとんどの遷移金属ホウ化物は、内部で混合された炭素を有する。ホウ素および炭素の大部分は、遷移金属の非存在下に位置し、したがっておそらくB相である。さらに、炭素およびホウ素は実施例2の全体にわたって分散される。対照的に、チタン、ホウ素、およびタングステンは、より離散した領域中に局在化する。これらの結果は前述の相形成と一致する。
【0059】
開示される方法で加工された微細構造は、10~100μmの大きさで存在する特徴を有する化学的に不均一な微細構造となる。グレインサイズはこれらの特徴よりも小さく、特徴の多くは異なる相から構成される。
【0060】
実施例1~3のビッカース硬度は、0.2キログラム重(1.96N)の荷重を用いても測定した。この方法により、非常に微細な圧痕が得られ、実施例1、2、および3でそれぞれ19、21、および31GPaの値が得られた。圧痕の大きさのために誤差は大きい。
【0061】
表Zを参照すると、実施例2~5の靱性は、直接圧入方法を用いたビッカース圧入を使用して測定した。表面に圧入するために10キログラム重(98N)を使用し、表面から延在する亀裂を測定した。この方法を用いて、実施例2の組成物は9.7MPa・m1/2の見掛けの靱性値を有することが示された。1キログラム重(9.8N)を用いた実施例2の硬度は25GPaであり、ヤング率は402GPaであった。25GPaの硬度値と、9.7MPa・m1/2の靱性値との組合せから、27(KIC 3/4・H1/2)の計算耐摩耗因子が得られ、この値は、CBNおよびダイヤモンド以外で報告される別の材料よりも大きい。したがって、実施例2中に含まれるCおよびCrの量により、優れた硬度、靱性、および摩耗因子を有する組成物が得られた。
【0062】
実施例2~5の結果は、実施例2および3では生じない実施例4および5における炭素(黒鉛)の析出によって示されるように、ZrおよびNbよりもCrにより、熱処理した組成物の組成物マトリックス中により多くの炭素が存在できることも示していると思われる。実施例5に示されるように、含まれるNb量により、実施例2よりも高い硬度ならびにわずかに低い靱性および摩耗因子を有する組成物が得られた。
【0063】
種々の実施形態によると、本開示は、高い硬度、靱性、および摩耗因子を示す複合セラミック組成物を提供する。組成物は、導電性でもあり、これによって放電加工を用いて組成物を有利に加工することができる。
【0064】
本開示の趣旨および範囲から逸脱することなく本開示の種々の修正形態および変形形態が可能であることは当業者に明らかであろう。したがって、本開示の修正形態および変形形態が添付の請求項およびそれらの均等物の範囲内となるのであれば、添付の請求項がそれらを含むことが意図される。
【0065】
以下、本発明の好ましい実施形態を項分け記載する。
【0066】
実施形態1
複合セラミック組成物において、
炭化ホウ素相と;
ホウ化タングステン相と;
Cr、Nb、およびZrから選択される少なくとも1種類の金属のホウ化物を含む遷移金属ホウ化物相と
を含むことを特徴とする複合セラミック組成物。
【0067】
実施形態2
前記遷移金属ホウ化物相がCr、Nb、Ti、およびZrから選択される少なくとも2種類の金属のホウ化物を含むことを特徴とする、実施形態1に記載の組成物。
【0068】
実施形態3
前記炭化ホウ素相、前記ホウ化タングステン相、および前記遷移金属ホウ化物相の少なくとも1つを有する固溶体中に分散された炭素をさらに含むことを特徴とする、実施形態1または2に記載の組成物。
【0069】
実施形態4
前記遷移金属ホウ化物相がCrB相、Ti0.5Zr0.5相、およびNbTiB相から選択される少なくとも1つの相を含むことを特徴とする、実施形態1~3のいずれか一項に記載の組成物。
【0070】
実施形態5
前記炭化ホウ素相がB12(BC)相およびB11.723.28相から選択される少なくとも1つの相を含むことを特徴とする、実施形態1~4のいずれか一項に記載の組成物。
【0071】
実施形態6
前記ホウ化タングステン相がW相およびWB相から選択される少なくとも1つの相を含むことを特徴とする、実施形態1~5のいずれか一項に記載の組成物。
【0072】
実施形態7
約2:1~約8:1の範囲のホウ素対炭素のモル比を含むことを特徴とする、実施形態1~6のいずれか一項に記載の組成物。
【0073】
実施形態8
約0.5:1~約4:1の遷移金属対炭素のモル比を含むことを特徴とする、実施形態1~7のいずれか一項に記載の組成物。
【0074】
実施形態9
1kgf(9.8N)において約14~約30GPaの範囲のビッカース硬度と;
約3~約10MPa・m0.5の範囲の靱性と
を有することを特徴とする、実施形態1~8のいずれか一項に記載の組成物。
【0075】
実施形態10
約14~約30(KIC 3/4・H1/2)の範囲の耐摩耗因子を有することを特徴とする、実施形態1~9のいずれか一項に記載の組成物。
【0076】
実施形態11
前記炭素が黒鉛を含むことを特徴とする、実施形態1~10のいずれか一項に記載の組成物。
【0077】
実施形態12
前記炭素が黒鉛を含まないことを特徴とする、実施形態1~11のいずれか一項に記載の組成物。
【0078】
実施形態13
前記遷移金属ホウ化物相がホウ化クロムおよびホウ化チタンの固溶体を含むことを特徴とする、実施形態1~12のいずれか一項に記載の組成物。
【0079】
実施形態14
約100~約300S/mの範囲の導電率を有することを特徴とする、実施形態1~13のいずれか一項に記載の組成物。
【0080】
実施形態15
5~50W/(m・K)の範囲の熱伝導率を有することを特徴とする、実施形態1~14のいずれか一項に記載の組成物。
【0081】
実施形態16
実施形態1~15のいずれか一項に記載の組成物から構成される物品において、押出機スクリュー、押出ダイ、押出プレート、押出インサート、押出機バレル、ミキサー、オーガー、押出機スクリューフライト、およびその他の押出機部品の少なくとも1つを含むことを特徴とする物品。
【0082】
実施形態17
押出ダイを製造する方法において、
実施形態1~15のいずれか一項に記載の組成物から構成されるダイブランクの放電加工(EDM)ステップおよび電解加工(ECM)ステップの少なくとも一方を含み、
前記EDMおよびECMの少なくとも1つが、穴あけステップおよびスロット切削ステップの少なくとも一方を含み、スロットが、正方形、長方形、六角形、曲面、他の多角形、およびそれらの組合せを含むことを特徴とする方法。
【0083】
実施形態18
複合セラミック組成物において、
チタン、タングステン、ホウ素、炭素、およびそれらの化合物と、ニオブ、クロム、およびジルコニウムから選択される少なくとも1種類の金属とを含む固溶体と;
炭化ホウ素相と;
ホウ化タングステン相と;
遷移金属ホウ化物相と
を含むことを特徴とする複合セラミック組成物。
【0084】
実施形態19
前記炭素が、前記炭化ホウ素相、前記ホウ化タングステン相、および前記遷移金属ホウ化物相の少なくとも1つを有する固溶体に分散されることを特徴とする、実施形態18に記載の組成物。
【0085】
実施形態20
前記遷移金属ホウ化物相がCr、Nb、およびZrから選択される少なくとも1種類の金属のホウ化物を含むことを特徴とする、実施形態18または19に記載の組成物。
【0086】
実施形態21
複合セラミック組成物において、
約3.7~約9.3モル%のTiと;
約4.9~約12.3モル%のWと;
約59.0~約71.9モル%のBと;
約10.1モル%~約16.7モル%のCと;
Nb、Cr、およびZrから選択される少なくとも1種類の追加成分と
を含み、
前記Ti、W、Nb、Cr、B、Zr、およびCの総量が少なくとも95モル%であることを特徴とする複合セラミック組成物。
【0087】
実施形態22
複合セラミック組成物において、
約3.7~約9.3モル%のTiと;
約4.9~約12.3モル%のWと;
約59.0~約71.9モル%のBと;
約10.1モル%~約16.7モル%のCと;
約2.5モル%のNb;
約10.3モル%のCr;および
約2.5モル%のZr
から選択される少なくとも1種類の追加成分と
を含み、
前記Ti、W、Nb、Cr、B、Zr、およびCの総量が少なくとも95モル%であることを特徴とする複合セラミック組成物。
【0088】
実施形態23
複合セラミック物品において、以下のプロセス:
バッチ組成物を焼結させるステップと;
前記焼結させたバッチ組成物を熱処理するステップと
によって形成され、
前記バッチ組成物が、以下のバッチ成分:
(a)Ti粉末と;
(b)W粉末と;
(c)少なくとも1種類の追加成分であって、
(i)Nb粉末、ホウ素粉末、およびBC粉末;
(ii)CrB粉末およびBC粉末;
(iii)CrB粉末およびBC粉末;ならびに
(iv)ZrB粉末およびBC粉末
から選択される少なくとも1種類の追加成分と
を含み
前記バッチ成分中の前記粉末(a)、(b)、および(c)の総モル%が少なくとも95モル%であることを特徴とする複合セラミック物品。
【0089】
実施形態24
前記バッチ成分が、以下の量:
(a)約13~約22.6モル%のTi粉末と;
(b)約15.4~約30.1モル%のW粉末と;
(c)前記少なくとも1種類の追加成分であって、
(i)約7.6モル%のNb粉末、約15.0モル%のホウ素粉末、および約50.4モル%のBC粉末;
(ii)約13.0モル%のCrB粉末および約56.7モル%のBC粉末;
(iii)約22.6モル%のCrB粉末および約24.7モル%のBC粉末;ならびに
(iv)約8.9モル%のZrB粉末および約59.4モル%のBC粉末
から選択される前記少なくとも1種類の追加成分と
において存在することを特徴とする、実施形態23に記載の物品。
【0090】
実施形態25
前記焼結ステップが、
前記バッチ成分を真空下において約1500℃の温度で約2時間にわたり加熱するステップと;
前記バッチ成分をアルゴン雰囲気中において約1900℃温度、30MPaの圧力で約1時間にわたり加熱するステップと
を含むことを特徴とする、実施形態23または24に記載の物品。
【0091】
実施形態26
前記熱処理ステップが、前記焼結させたバッチ成分を約1500℃の温度でアルゴン雰囲気中において約76時間にわたり加熱するステップを含むことを特徴とする、実施形態23~25のいずれか一項に記載の物品。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7A
図7B
図7C
図7D
図7E
図8
図9