(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-11
(45)【発行日】2022-03-22
(54)【発明の名称】液体用容器
(51)【国際特許分類】
B65D 47/20 20060101AFI20220314BHJP
B65D 83/00 20060101ALI20220314BHJP
【FI】
B65D47/20 100
B65D83/00 G
(21)【出願番号】P 2021046655
(22)【出願日】2021-03-19
【審査請求日】2021-07-02
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】592093578
【氏名又は名称】サンメディカル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103517
【氏名又は名称】岡本 寛之
(74)【代理人】
【識別番号】100149607
【氏名又は名称】宇田 新一
(72)【発明者】
【氏名】横山 武志
(72)【発明者】
【氏名】宮森 沙耶香
【審査官】武内 大志
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-132508(JP,A)
【文献】特開2009-261933(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 47/20
B65D 83/00
B65D 47/18
B65D 1/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体を収容する収容部を有する容器本体と、
前記収容部内の液体を吐出する吐出口を有するノズルと、
前記収容部と前記吐出口とを仕切る
複数の仕切部材を備え、
複数の前記仕切部材
のそれぞれは、
前記容器本体内の内圧が上昇した状態、および、前記容器本体内の内圧の上昇が解除された状態の両方で、前記吐出口と前記収容部とを通じさせる貫通穴であって、前記容器本体内の内圧の上昇により、前記収容部内の前記液体が、前記液体の表面張力に抗して通過可能になる貫通穴を有する、液体用容器。
【請求項2】
前記容器本体は、可撓性を有し、
前記容器本体が押圧されて前記容器本体が変形することにより、前記容器本体内の内圧が上昇し、
前記容器本体に対する押圧が解除されて前記容器本体が復元することにより、前記容器本体内の内圧の上昇が解除される、請求項
1に記載の液体用容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体用容器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、歯科用接着材などの液体を、スクイズ式の容器に充填し、必要に応じて容器から滴下させて使用することが知られている。
【0003】
そのようなスクイズ式の容器として、例えば、可撓性を有する容器本体と、液体を吐出する流通路を有するノズル部と、容器本体内の液体収容室とノズル部の流通路との間に隔室を形成する仕切材とを備え、仕切材に液体収容室と隔室との間で液体の流れを遮断または流通させるスリットからなる隔膜弁を形成し、隔膜弁が弾性力によってスリットを開閉する液体用容器が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
そのような液体用容器では、容器本体を押圧して容器本体が弾性変形することにより、隔膜弁のスリットが開く。すると、液体が、液体収容室から隔膜弁のスリットを通って隔室に到達し、ノズル部の流通路から滴下される。
【0005】
また、容器本体に対する押圧が解消されて容器本体が復元すると、容器本体の内圧が下がる。すると、ノズル部の流通路に残った液体が、流通路から隔室および隔膜弁のスリットを通って液体収容室に流入する。このとき、隔膜弁が弾性変形して、スリットを閉じる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、特許文献1に記載される液体用容器では、スリットを開閉するために、隔膜弁が繰り返し弾性変形する。そのため、液体用容器を長期にわたって使用すると、隔膜弁が徐々に変形するおそれがある。隔膜弁が変形すると、滴下される液体の量が不安定になる可能性がある。
【0008】
そこで、本発明は、長期にわたって安定した滴下性能を確保できる液体用容器を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明[1]は、液体を収容する収容部を有する容器本体と、前記収容部内の液体を吐出する吐出口を有するノズルと、前記収容部と前記吐出口とを仕切る仕切部材を備え、前記仕切部材は、前記容器本体内の内圧が上昇した状態、および、前記容器本体内の内圧の上昇が解除された状態の両方で、前記吐出口と前記収容部とを通じさせる貫通穴であって、前記容器本体内の内圧の上昇により、前記収容部内の前記液体が、前記液体の表面張力に抗して通過可能になる貫通穴を有する、液体用容器を含む。
【0010】
このような構成によれば、容器本体内の内圧が上昇した状態、および、容器本体内の内圧の上昇が解除された状態の両方で、貫通穴は、吐出口と収容部とを通じさせる。そして、容器本体内の内圧の上昇により、収容部内の液体が、液体の表面張力に抗して、貫通穴を通過する。
【0011】
そのため、仕切部材を弾性変形させる必要がなく、液体用容器の長期使用において、仕切部材が変形することを抑制できる。
【0012】
その結果、長期にわたって安定した滴下性能を確保できる。
【0013】
本発明[2]は、複数の前記仕切部材を備える、上記[1]の液体用容器を含む。
【0014】
このような構成によれば、容器本体内の内圧が上昇したときに収容部内の液体が過度に吐出されてしまうことを、複数の仕切部材によって抑制できる。
【0015】
これにより、簡易な構成で、より安定した滴下性能を実現できる。
【0016】
本発明[3]は、前記容器本体が、可撓性を有し、前記容器本体が押圧されて前記容器本体が変形することにより、前記容器本体内の内圧が上昇し、前記容器本体に対する押圧が解除されて前記容器本体が復元することにより、前記容器本体内の内圧の上昇が解除される、上記[1]または[2]の液体用容器を含む。
【0017】
このような構成によれば、簡易な構成で、容器本体内の内圧をコントロールでき、より安定した滴下性能を実現できる。
【発明の効果】
【0018】
本発明の液体用容器によれば、長期にわたって安定した滴下性能を確保できる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】
図1は、本発明の液体用容器の一実施形態を説明するための概略構成図を示す。
【
図3】
図3Aは、
図1に示す液体用容器の使用態様を説明するための説明図であって、容器本体が押圧された状態を示す。
図3Bは、
図3Aに続いて、容器本体に対する押圧が解除されて容器本体が復元した状態を示す。
【
図4】
図4は、本発明の液体用容器の第1の変形例に係るノズルキャップおよび仕切部材の概略構成図を示す。
【
図5】
図5は、本発明の液体用容器の第2の変形例に係るノズルキャップおよび仕切部材の概略構成図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0020】
<液体用容器>
図1~
図3Bを参照して、本発明の液体用容器の一実施形態としての液体用容器1を説明する。なお、液体用容器1の利用分野は、限定されない。液体用容器1は、例えば、医科および歯科で利用される医療機器、医薬品、化粧品および工業製品などの研究および製造に利用される実験機器および製造機器として利用できる。
【0021】
図1に示すように、液体用容器1は、容器本体2と、ノズルキャップ3と、複数の仕切部材4A,4Bとを備える。
【0022】
(1)容器本体
容器本体2は、液体を収容可能である。容器本体2に収容される液体は、限定されない。液体は、常温で固体であってもよい。液体は、その液体の使用に適した温度域において液状であればよい。
【0023】
液体として、例えば、歯科用液材、点眼薬、臨床検査薬、試薬、接着剤、塗料、希釈液、洗浄液、脱脂液、および、カップリング剤が挙げられ、好ましくは、歯科用液材が挙げられる。歯科用液材として、例えば、歯科用接着材、および、歯科用プライマーが挙げられる。歯科用液材は、例えば、重合性モノマーと、重合開始剤と、揮発性溶媒と、水とを含有する。
【0024】
重合性モノマーとして、例えば、(メタ)アクリレート、および、(メタ)アクリルアミドが挙げられる。(メタ)アクリレートとして、メタクリレートおよびアクリレートが挙げられる。(メタ)アクリレートは、水酸基を含有してもよい。また、(メタ)アクリレートは、酸性基を含有してもよい。(メタ)アクリルアミドとして、メタクリルアミドおよびアクリルアミドが挙げられる。(メタ)アクリルアミドは、水酸基を含有してもよい。また、(メタ)アクリルアミドは、酸性基を含有してもよい。重合性モノマーは、単独使用または2種類以上併用できる。
【0025】
重合開始剤として、例えば、光重合開始剤、および、化学重合開始剤が挙げられる。重合開始剤は、単独使用または2種類以上併用できる。
【0026】
揮発性溶媒の沸点は、例えば、30℃以上、また、例えば、90℃以下、好ましくは、80℃以下、より好ましくは、70℃以下である。
【0027】
揮発性溶媒として、例えば、アルコール類、および、ケトン類が挙げられる。アルコール類として、例えば、エタノール、および、2-プロパノールが挙げられる。ケトン類として、例えば、アセトンが挙げられる。揮発性溶媒は、単独使用または2種以上併用することができる。溶媒のなかでは、好ましくは、ケトン類が挙げられ、より好ましくは、アセトンが挙げられる。
【0028】
容器本体2は、中空形状を有する。容器本体2は、胴部21と、底部22と、肩部23と、口部24とを一体的に有する。胴部21は、所定方向に延びる筒形状を有する。底部22は、胴部21の一端を閉鎖する。肩部23は、胴部21の他端から連続して、胴部21の内側に向かって延びる。胴部21、底部22および肩部23により、収容部20が構成される。すなわち、容器本体2は、収容部20を有する。収容部20は、液体を収容する。口部24は、肩部23から連続して、底部22から離れるように延びる。口部24は、円筒形状を有する。口部24の内部空間は、胴部21の内部空間と通じている。
【0029】
容器本体2は、可撓性を有していてもよい。容器本体2が可撓性を有している場合、詳しくは後述するが、ユーザが、容器本体2の胴部21を指で挟むように保持して、胴部21を内側に押圧すると、胴部21が内側に向かって凹む(
図3A参照)。胴部21が押圧されて胴部21が変形することにより、容器本体2内の内圧が上昇する。また、胴部21に対する押圧が解除されると、胴部21は復元する(
図3B参照)。胴部21に対する押圧が解除されて胴部21が復元することにより、容器本体2内の内圧の上昇が解除される。
【0030】
容器本体2の材料として、例えば、樹脂が挙げられる。樹脂として、例えば、ポリオレフィン、ポリエステル、ポリアセタール、および、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン共重合体が挙げられる。樹脂は、単独使用または2種類以上併用できる。
【0031】
容器本体2の内容積は、例えば、1mL以上、好ましくは、2mL以上、より好ましくは、3mL以上であり、例えば、50mL以下、好ましくは、30mL以下、より好ましくは、20mL以下、より好ましくは、10mL以下である。
【0032】
ノズルキャップ3は、容器本体2の口部24に取り付けられる。ノズルキャップ3が口部24に取り付けられた状態で、ノズルキャップ3は、口部24を塞ぐ。ノズルキャップ3は、挿入部33と、ノズル31と、フランジ32とを一体的に有する。言い換えれば、液体用容器1は、ノズル31を備える。
【0033】
挿入部33は、容器本体2の口部24に挿入される。挿入部33は、第1壁331と、第2壁332とを有する。
【0034】
第1壁331は、所定方向に延びる円筒形状を有する。第1壁331の内側の空間を、収容空間Sと定義する。第1壁331の外径は、口部24の内径以上で、挿入部33を口部24に挿入できる範囲である。挿入部33が口部24に挿入された状態で、第1壁331の外面は、口部24の内面と接触しており、液密性が確保されている。
【0035】
第2壁332は、第1壁331の延びる方向と交差する方向に延びて、第1壁331の一端を閉鎖する。第1壁331および第2壁332は、仕切部材4を収容するための収容空間Sを画定する。第2壁332は、穴3321を有する。穴3321の位置は、第2壁332の外周より内側であれば限定されない。穴3321は、第2壁332の中央に位置していてもよい。穴3321は、第2壁332の中央からずれていてもよい。穴3321は、収容空間Sと通じる。
【0036】
ノズル31は、容器本体2の外部に位置する。ノズル31は、挿入部33の第2壁332に対して、容器本体2の胴部21の反対側に位置する。ノズル31の位置は、フランジ32の外周より内側であれば限定されない。ノズル31は、第2壁332の中央に位置していてもよい。ノズル31は、第2壁332の中央からずれていてもよい。ノズル31は、吐出口311が穴3321と通じていれば、第2壁332が延びる方向において、穴3321に対してずれていてもよい。吐出口311については、後で説明する。ノズル31は、第2壁332に連続する。ノズル31の形状は、限定されない。本実施形態では、ノズル31は、第2壁332から離れるにつれて先細りとなるテーパ形状を有する。ノズル31の形状は、ストレート形状、または、曲線状であってもよい。ノズル31は、所定方向に延びる。ノズル31は、吐出口311を有する。詳しくは後述するが、吐出口311は、容器本体2の胴部21が押圧されたときに液体を吐出する。吐出口311は、ノズル31を所定方向に貫通する。吐出口311は、穴3321と通じる。これによって、吐出口311は、穴3321を介して収容空間Sと通じる。
【0037】
吐出口311の径は、限定されない。吐出口311の径は、例えば、0.3mm以上、好ましくは、1.0mm以上、より好ましくは、1.5mm以上であり、例えば、10mm以下、好ましくは、5mm以下、より好ましくは3mm以下である。
【0038】
フランジ32は、挿入部33の第2壁332の周側面から、第1壁331の延びる方向と交差する方向に突出する。挿入部33が口部24に挿入された状態で、フランジ32は、口部24の遊端面と接触する。
【0039】
ノズルキャップ3の材料として、例えば、上記した容器本体2の材料と同様の樹脂が挙げられる。
【0040】
仕切部材4A,4Bは、ノズルキャップ3の収容空間Sに収容される。仕切部材4A,4Bは、収容部20と吐出口311との間に位置する。仕切部材4A,4Bは、収容部20と吐出口311とを仕切る。詳しくは、
図2に示すように、仕切部材4Aは、周壁42と、仕切壁41と、貫通穴411とを有する。なお、仕切部材4Bは、仕切部材4Aと同じ構造を有する。そのため、仕切部材4Bについての説明は、省略される。
【0041】
周壁42は、所定方向に延びる円筒形状を有する。周壁42は、第2壁332と仕切壁41との間隔を確保するためのスペーサとして機能する。周壁42の外径は、第1壁331の内径以上であり、周壁42を第1壁331内に挿入できる範囲である。仕切部材4が収容空間Sに収容された状態で、周壁42の外面は、第1壁331の内面と接触しており、液密性が確保されている(
図1参照)。
【0042】
周壁42の内径は、例えば、3mm以上、好ましくは、5mm以上、より好ましくは、7mm以上であり、例えば、20mm以下、好ましくは、15mm以下、より好ましくは、10mm以下である。
【0043】
また、周壁42の軸線方向における寸法は、例えば、0.5mm以上、好ましくは、1mm以上、より好ましくは、3mm以上であり、例えば、20mm以下、好ましくは、15mm以下、より好ましくは、10mm以下、より好ましくは、5mm以下である。
【0044】
詳しくは後述するが、仕切壁41は、液体用容器1の内部空間を、吐出口311と通じる第1室R1と、液体を収容する第2室R2とに仕切る(
図1参照)。仕切壁41は、周壁42の延びる方向と交差する方向に延びて、周壁42の一端を閉鎖する。
【0045】
仕切壁41の厚みは、容器本体2内の内圧が上昇した状態で液体が貫通穴411を通過できれば、限定されない。例えば、仕切壁41は、容器本体2の胴部21が押圧されたときに容易に破壊・変形されず、貫通穴411を保てればよい。
【0046】
仕切壁41の厚みは、例えば、0.05mm以上、好ましくは、0.1mm以上であり、例えば、15mm以下、好ましくは、10mm以下、より好ましくは、5mm以下、より好ましくは、2mm以下である。
【0047】
また、仕切壁41は、貫通穴411に向かうにつれて、収容部20に向かって傾斜していてもよい。仕切壁41が収容部20に向かって傾斜していると、容器本体2内の内圧の上昇が解除された状態で、ノズル31の下方に収容部20が位置するように液体用容器1を置いた場合、第1室R1内の液体を、貫通穴411に向けて流し、貫通穴411を介して第2室R2内に収容できる。
【0048】
貫通穴411は、仕切壁41に位置する。貫通穴411は、周壁42の内部空間と通じる。本実施形態では、貫通穴411は、円形である。貫通穴411の形状は、限定されない。貫通穴411の形状は、例えば、楕円形、三角形、四角形、星形であってもよい。
【0049】
貫通穴411が円形の場合、貫通穴411の径は、例えば、吐出口311の径よりも小さい。貫通穴411の径は、液体の表面張力に応じて、適宜、変更可能である。詳しくは、貫通穴411の径の上限は、容器本体2内の内圧が上昇していない状態で、液体の表面張力により、液体が通過しない程度である。貫通穴411の径の下限は、容器本体2内の内圧が上昇した状態で、液体の表面張力に抗して、液体が通過できる程度である。液体の表面張力が低い場合、貫通穴411の径は、小さく設定される。液体の表面張力が高い場合、貫通穴411の径は、大きく設定される。
【0050】
貫通穴411の径は、例えば、0.1mm以上、好ましくは、0.2mm以上、より好ましくは、0.3mm以上、さらに好ましくは、0.5mm以上、また、例えば、4.0mm以下、好ましくは、3.5mm以下、より好ましくは、3.0mm以下、とりわけ好ましくは、2.5mm以下である。
【0051】
吐出口311の径を1とした場合、貫通穴411の径は、例えば、0.01以上、好ましくは、0.05以上、より好ましくは、0.1以上であり、例えば、5以下、好ましくは、1以下、より好ましくは、0.5以下である。
【0052】
なお、貫通穴411の形状が円形以外である場合、円形である場合の貫通穴411の面積を基準に、サイズを設定できる。
【0053】
貫通穴411の内径が上記下限以上であれば、容器本体2が押圧されたときに、貫通穴411は、液体を安定して通過させることができ、また、容器本体2に対する押圧が解消されても、貫通穴411の連通状態を維持できる。貫通穴411の内径が上記上限以下であれば、液体用容器1の取扱性の向上を図ることができ、液体用容器1の使用時において、所望の量の液体を液体用容器1から安定して滴下させることができる。
【0054】
本実施形態では、便宜上、仕切壁41は、1つの貫通穴411を有しているが、貫通穴411の個数は、特に制限されない。貫通穴411の個数は、例えば、1以上、また、例えば、10以下、好ましくは、5以下、より好ましくは、2以下である。
【0055】
仕切部材4A,4Bは、収容空間S内において、第1壁331が延びる方向に並ぶ。仕切部材4Aの周壁42の遊端面は、第2壁332と接触している。仕切部材4Aの仕切壁41は、第2壁332と間隔を空けて配置される。仕切部材4Aの仕切壁41は、ノズル31と容器本体2の胴部21との間に位置する。
【0056】
また、仕切部材4Bは、仕切部材4Aに対して第2壁332の反対側に位置する。仕切部材4Bの周壁42の遊端面は、仕切部材4Aと接触している。仕切部材4Bの仕切壁41は、仕切部材4Aの仕切壁41に対して、第2壁332の反対側に位置する。仕切部材4Bの仕切壁41は、仕切部材4Aの仕切壁41と間隔を空けて配置される。
【0057】
これによって、2つの仕切部材4A,4Bの仕切壁41は、液体用容器1の内部空間を、吐出口311と通じる第1室R1と、液体を収容する第2室R2とに仕切る。
【0058】
本実施形態において、第1室R1は、2つの分室R11、R12を含む。分室R11は、仕切部材4Aの周壁42および仕切壁41と、第2壁332とによって画定される。分室R11は、穴3321を介して吐出口311と通じる。
【0059】
分室R12は、仕切部材4Bの周壁42および仕切壁41と、仕切部材4Aの仕切壁41とによって画定される。分室R12は、仕切部材4Aが有する貫通穴411を介して分室R11と通じる。分室R12は、仕切部材4Bが有する貫通穴411を介して第2室R2と通じる。
【0060】
第2室R2は、容器本体2の収容部20の内部空間である。
【0061】
そして、仕切部材4の貫通穴411は、容器本体2が押圧された状態、および、容器本体2に対する押圧が解除された状態の両方において、第1室R1と第2室R2とを連通する。詳しくは、容器本体2が押圧された状態、および、容器本体2に対する押圧が解除された状態の両方において、仕切部材4Aの貫通穴411は、分室R11と分室R12とを連通し、仕切部材4Bの貫通穴411は、分室R12と第2室R2とを連通する。これにより、容器本体2内の内圧が上昇した状態、および、容器本体2内の内圧の上昇が解除された状態の両方で、仕切部材4Aの貫通穴411、および、仕切部材4Bの貫通穴411は、吐出口311と収容部20とを通じさせる。
【0062】
分室R11および分室R12のそれぞれの内容積は、例えば、0.1mm3以上、好ましくは、1mm3以上、より好ましくは、2mm3以上であり、また、例えば、9.9mm3以下、好ましくは、7mm3以下、より好ましくは、5mm3以下である。
【0063】
分室R12の内容積は、分室R11の内容積に対して、例えば、1/5以上、好ましくは、1/3以上、より好ましくは、1/2以上であり、例えば、5倍以下、好ましくは、3倍以下、より好ましくは、2倍以下、より好ましくは、1倍である。なお、仕切部材4の個数が3個以上の場合は、複数の分室のいずれか1つの内容積を基準として、基準となる分室以外の分室の内容積を、上記の範囲内で調節することができる。
【0064】
第1室R1の内容積(分室R11および分室R12の内容積の総和)は、例えば、2.0mm3以上、好ましくは、2.5mm3以上、より好ましくは、3.0mm3以上、さらに好ましくは、4.0mm3以上、また、例えば、10mm3以下、好ましくは、9.0mm3以下、より好ましくは、6.0mm3以下である。
【0065】
第1室R1の内容積が上記範囲内であれば、液体用容器1の取扱性の向上をより一層図ることができ、液体用容器1の使用時において、所望量の液体を液体用容器1からより安定して滴下させることができる。
【0066】
(2)液体用容器の使用態様
次に、液体用容器1の使用態様について、
図3Aおよび
図3Bを参照して説明する。
【0067】
図3Aに示すように、液体用容器1から液体を吐出させる場合、ユーザは、指で容器本体2の胴部21を挟むように持ち、ノズル31を下方に向ける。そして、胴部21を指で押圧する。すると、胴部21は内側に向かって凹み、容器本体2の内圧が上昇する。これによって、容器本体2の第2室R2に収容される液体が、仕切部材4Bが有する貫通穴411、分室R12、仕切部材4Aが有する貫通穴411、および、分室R11を順に通って、ノズル31の吐出口311から滴下される。
【0068】
その後、
図3Bに示すように、液体用容器1から所望量の液体が滴下されると、ユーザは、容器本体2の胴部21に対する押圧を解除する。すると、胴部21が復元して、容器本体2の内圧が低下する。すると、ノズル31の吐出口311に残存する液体は、分室R11、仕切部材4Aの貫通穴411、分室R12、および、仕切部材4Bの貫通穴411を通って、容器本体2の第2室R2に戻される。同様に、第1室R1に残存する液体も、容器本体2の第2室R2に戻される。
【0069】
なお、本実施形態では、液体用容器1内の液体を内圧で押し出す方法として、指で容器本体2の胴部21を押圧しているが、液体用容器1容器内の液体を内圧で押し出す方法は、制限されない。液体用容器1内の液体を内圧で押し出す方法として、例えば、容器本体2を加温し、上昇した温度によって容器本体2内の液体の体積膨張、または加温による気体の体積膨張が容器本体2内の液体を押し出す方法、ノック式で容器本体2内の液材を内圧で押し出す方法が挙げられる。
【0070】
(3)作用効果
図3Aおよび
図3Bに示すように、液体用容器1では、容器本体2が押圧されて容器本体2内の内圧が上昇した状態(
図3A参照)、および、容器本体2に対する押圧が解除されて容器本体2内の内圧の上昇が解除された状態(
図3B参照)の両方で、貫通穴411は、吐出口311と収容部20とを通じさせる。
【0071】
そして、
図3Aに示すように、容器本体2内の内圧の上昇により、収容部20内の液体が、液体の表面張力に抗して、貫通穴411を通過する。
【0072】
そのため、仕切部材4A,4Bを弾性変形させる必要がなく、液体用容器1の長期使用において、仕切部材4A,4Bが変形することを抑制できる。
【0073】
その結果、長期にわたって安定した滴下性能を確保できる。
【0074】
また、液体用容器1によれば、
図1に示すように、容器本体2に対する押圧が解除されて容器本体2が復元した状態で、吐出口311および第1室R1に残存する液体を、貫通穴411を通して、容器本体2の第2室R2に回収できる。
【0075】
その結果、吐出口311および第1室R1内に液体が残存することを抑制でき、液体に含まれる成分が吐出口311内および第1室R1内に固着することを抑制できる。
【0076】
これにより、液体用容器1では、より長期にわたって安定した滴下性能を確保できる。
【0077】
また、液体用容器1によれば、ユーザの体温によって液体用容器1が暖められて、液体用容器1の内温が上昇する場合がある。この場合、液体用容器1の内部の空気が膨張する。また、液体が揮発性溶媒を含有していると、揮発性溶媒の揮発が促進される。すると、容器本体2の内圧が上昇する。
【0078】
しかし、仕切部材4Bの仕切壁41が、第2室R2から第1室R1に流入する液体の量を調整している。そのため、容器本体2の内圧がユーザの体温により上昇しても、液体が、ノズル31の吐出口311から過剰に吐出されることを抑制できる。その結果、液体用容器1の取扱性の向上を図ることができ、所望の量の液体を液体用容器1から安定して滴下させることができる。
【0079】
<変形例>
上記した実施形態では、
図1に示すように、液体用容器1は、複数(2つ)の仕切部材4A,4Bを備え、第1室R1は、2つの分室R11,R12を含むが、仕切部材4の個数は、限定されない。
図4に示すように、仕切部材4の個数は、1であってもよい。仕切部材4の個数は、例えば、6以下、好ましくは、4以下、より好ましくは、3以下、とりわけ好ましくは、2である。
【0080】
仕切部材4の個数が上記範囲であれば、液体用容器1の取扱性の向上を確実に図ることができ、液体用容器1の使用時において、所望量の液体を液体用容器1からより安定して滴下させることができる。
【0081】
また、上記した実施形態では、
図1に示すように、仕切部材4は、仕切壁41と、周壁42とを備えるが、仕切部材4の構成は、これに限定されない。
図5に示すように、仕切部材4は、仕切壁41を備えていれば、周壁42を備えなくもよい。
図5では、仕切部材4は、仕切壁41からなる。なお、仕切部材4Aが周壁42を有さない場合、第2壁332と仕切壁41との間隔は、仕切部材4Aとは別部材であるスペーサによって確保されてもよい。
【0082】
なお、上記した実施形態では、ノズルキャップ3と、仕切壁41とが別体であるが、仕切壁41は、ノズルキャップ3と一体であってもよい。
【0083】
これら変形例によっても、上記した実施形態と同様の作用効果を奏することができる。
【実施例】
【0084】
以下に実施例を示し、本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は、それらに限定されない。以下の記載において用いられる配合割合(含有割合)、物性値、パラメータなどの具体的数値は、上記の「発明を実施するための形態」において記載されている、それらに対応する配合割合(含有割合)、物性値、パラメータなど該当記載の上限値(「以下」、「未満」として定義されている数値)または下限値(「以上」、「超過」として定義されている数値)に代替することができる。
【0085】
(実施例
2、3および比較例1
、2)
図1に示す液体用容器を準備した。液体用容器は、容器本体と、ノズルキャップと、表1に示す個数の仕切部材とを備える。容器本体の内容積は、5mLである。仕切部材の仕切壁は、1つの連通穴を有する。連通穴の内径は、0.5mmである。仕切部材の厚み(周壁の軸線方向寸法)、各仕切壁が有する連通穴の数および第1室の内容積(分室の内容積の総和)を表1に示す。
【0086】
(実施例4~8)
実施例2と同様にして、液体用容器を準備した。なお、実施例4~8では、連通穴の内径を、表2に示す値に変更した。
【0087】
(実施例9および10)
実施例2と同様にして、液体用容器を準備した。なお、実施例9および10では、各仕切壁が有する連通穴の数を、表3に示す数に変更した。
【0088】
(実施例11、12、16、比較例3~5)
実施例2と同様にして、液体用容器を準備した。なお、実施例11、12、16、比較例3~5では、第1室の内容積を、表4に示す値に変更した。
<評価>
各実施例および各比較例の液体用容器に、実施例2、3および比較例1、2では、アセトン(揮発性溶媒)3mLを充填し、実施例4~12、16、比較例3~5では、アセトンと水との混合液(アセトン/水=70質量部/30質量部)3mLを充填した。そして、容器本体の胴部を親指と人差指で挟み、ノズルが下方に向くように、液体用容器を保持した。これによって、液体用容器がユーザの体温によって暖められた。
【0089】
この状態で、液体用容器のノズルを下方に向けた時点から液体がノズルの吐出口から滴下するまでの時間を測定した。その結果を下記の基準で評価した。その結果を表1~4に示す。
【0090】
なお、ユーザが容器本体を押圧することなく、液体が吐出口からすぐに滴下すると、液体用容器の使用時において、液体の滴下量を安定して調整できないと判断される。
【0091】
〇:3秒を超えて滴下しない。
【0092】
△:1秒を超えて3秒以下で滴下。
【0093】
×:1秒以内に滴下。
【0094】
【0095】
【0096】
【0097】
【符号の説明】
【0098】
1 液体用容器
2 容器本体
31 ノズル
311 吐出口
4 仕切部材
411 貫通穴
【要約】
【課題】長期にわたって安定した滴下性能を確保できる液体用容器を提供する。
【解決手段】
液体用容器1は、容器本体2と、ノズル31と、仕切部材4Aとを備える。容器本体2は、液体を収容する収容部20を有する。ノズル31は、収容部20内の液体を吐出する吐出口311を有する。仕切部材4Aは、収容部20と吐出口311とを仕切る。仕切部材4Aは、貫通穴411を有する。貫通穴411は、容器本体2内の内圧が上昇した状態、および、容器本体2内の内圧の上昇が解除された状態の両方で、吐出口311と収容部20とを通じさせる。収容部20内の液体は、容器本体2内の内圧の上昇により、液体の表面張力に抗して貫通穴411を通過する。
【選択図】
図1