(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-11
(45)【発行日】2022-03-22
(54)【発明の名称】基礎の振動打ち込み
(51)【国際特許分類】
E02D 27/52 20060101AFI20220314BHJP
E02D 23/08 20060101ALI20220314BHJP
【FI】
E02D27/52 Z
E02D23/08 E
(21)【出願番号】P 2021549300
(86)(22)【出願日】2019-10-02
(86)【国際出願番号】 EP2019076734
(87)【国際公開番号】W WO2020169218
(87)【国際公開日】2020-08-27
【審査請求日】2021-10-13
(31)【優先権主張番号】102019104292.5
(32)【優先日】2019-02-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】521154291
【氏名又は名称】エル・ヴェー・エー リニューワブルズ ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】RWE Renewables GmbH
【住所又は居所原語表記】Kruppstrasse 74,45145 Essen,Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100095614
【氏名又は名称】越川 隆夫
(72)【発明者】
【氏名】ダニエル バルトミン
(72)【発明者】
【氏名】フォルカー ハーヴィグ
(72)【発明者】
【氏名】ベンジャミン マットロック
【審査官】高橋 雅明
(56)【参考文献】
【文献】特開昭56-6814(JP,A)
【文献】特開2000-110185(JP,A)
【文献】特開2002-115257(JP,A)
【文献】特開2017-223006(JP,A)
【文献】特開平11-140879(JP,A)
【文献】特開2017-71994(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E02D27/52
E02D23/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基礎(1)に取り付けられた振動デバイスが発生させる振動を開始させることによって前記基礎(1)を建設用地盤(MB)に振動打ち込みさせる方法であって、前記振動が前記建設用地盤(MB)の液状化を引き起こすことによって、前記基礎(1)が前記建設用地盤(MB)に貫入
し、
前記建設用地盤(MB)への前記基礎(1)の貫入速度は、前記基礎(1)を直接取り囲んでいる前記建設用地盤(MB)の液状化ゾーン(2)を変化させることによって制御および/または調節され、前記貫入速度は、前記液状化ゾーン(2)のサイズを変えることによって変えられる、
方法において、
前記基礎(1)の前記貫入が低速化したかどうかを検出する貫入進捗検出手段が設けられ、低速化した場合、前記基礎(1)の有効質量が増加され、および/または前記液状化ゾーン(2)が拡大化され、前記貫入進捗検出手段は1つ以上の挿入パラメータを検出し、前記建設用地盤(MB)への前記貫入中、前記基礎(1)の有効質量は、前記基礎(1)の内部からの液体の汲み上げ、または前記基礎(1)の前記内部への液体の送り込み、によって増加または減少される、
ことを特徴とする方法。
【請求項2】
前記液状化ゾーン(2)は、前記基礎(1)への空気および/またはガスの噴射によって変えられる、請求項
1に記載の方法。
【請求項3】
前記液状化ゾーン(2)のサイズは、空気圧および/またはガス圧を上げた、または下げた、空気および/またはガスを前記基礎(1)に噴射することによって、変えられる、請求項1
または2に記載の方法。
【請求項4】
前記空気および/または前記ガスは、前記基礎(1)の内部(4)に、および/または前記基礎(1)の前記外壁(5)に、噴射される、請求項
2または
3に記載の方法。
【請求項5】
前記建設用地盤(MB)への前記基礎(1)の前記貫入は、前記振動打ち込み中に中断されない、請求項1~
4の何れか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記建設用地盤(MB)への前記基礎(1)の前記貫入は、前記振動打ち込み中に加速、減速、または中断される、請求項1~
5の何れか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記基礎(1)の前記建設用地盤(MB)への前記基礎(1)の前記貫入速度は、前記基礎(1)に取り外し可能に接続された貫入速度変更手段によって、特にポンプ(10)および/または空気および/またはガス圧を発生させるコンプレッサ(9)によって、変えられる、請求項
2~
6の何れか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記貫入速度変更手段は、キャリアデバイス(8)に備えられる、請求項
7に記載の方法。
【請求項9】
前記空気および/または前記ガスは、前記建設用地盤(MB)に貫入している前記基礎(1)の端部の上方に噴射される、請求項
2~
8の何れか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記空気および/または前記ガスは、前記基礎(1)の内部(4)にも噴射される、請求項
9に記載の方法。
【請求項11】
前記空気および/またはガスは、前記建設用地盤(MB)に貫入している前記基礎(1)の前記端部(6)において優勢な水圧および/または土圧より大きい空気圧および/またはガス圧で噴射される、請求項
2~
9の何れか一項に記載の方法。
【請求項12】
基礎(1)を建設用地盤内(MB)に振動打ち込みさせるための装置であって、
- 振動を発生させるための振動デバイスと、
- 前記基礎(1)の前記建設用地盤(MB)を直接取り囲んでいる液状化ゾーン(2)を変化させるための手段(9、10)であって、それによって前記建設用地盤(MB)への前記基礎(1)の前記貫入速度の制御および/または調節が可能である手段(9、10)と、
を備えた装置
において、
- 基礎(1)の振動打ち込みが低速化したかどうかを検出する貫入進捗検出手段であって、低速化した場合、前記基礎(1)の有効質量が増加され、および/または前記液状化ゾーン(2)が拡大化され、前記貫入進捗検出手段は1つ以上の挿入パラメータを検出する、貫入進捗検出手段と、
- 液体(10)を前記基礎(1)の前記内部(4)から汲み上げる、または前記内部に送り込む、ための手段と、
を特徴とする装置。
【請求項13】
- 空気および/またはガス(9)を前記基礎(1)に噴射するための手段、
- 前記基礎(1)の前記外壁(5)および/または内側における、および/または前記建設用地盤(MB)に貫入している前記基礎(1)の端部における、圧力を検出するための手段、および
- 前記基礎(1)の前記外壁(5)と前記建設用地盤との間の摩擦を検出するための手段、
のうちの1つ以上を更に備えた、請求項
12に記載の装置。
【請求項14】
前記基礎(1)は杭である、および/または前記基礎(1)は洋上構造物向けである、および/または前記建設用地盤(MB)は海底である、請求項
12または
13に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、構造物、特に洋上構造物、を建てる、および/または固定する、ための基礎、例えば杭、を設置するための装置および方法に関する。
【背景技術】
【0002】
構造物を建てる、および/または固定する、ために、例えば振動杭(独:einvibrierte Pfaehle,英:vibrated piles)が使用されている。振動によって設置された杭は、打ち込み杭に比べ、軸線方向の、更には横方向の、耐荷力が小さいことも公知である。この理由により、杭は、通常、最後の数メートルにわたって(例えば、対応する杭直径のほぼ8倍の距離にわたって)衝撃によって打ち込まれる。
【0003】
陸上または洋上構造物のための基礎の杭を振動杭打ち機によって建設用地盤に設置するとき、杭を設置する振動プロセスは、予定されているか否かに拘らず、振動デバイスを停止させることによって中断され得る。振動プロセスを続行するには、振動デバイスを再起動する必要がある。この中断中、例えば杭に作用する重量が増やされる、または必要な調整作業または修理が行われる。
【0004】
ただし、建設用地盤による杭の部分的拘束の故に、および杭用ケーシングに近い、振動中に液状化する土壌層の固結の故に、振動挙動が変化し得るので、振動打ち込みによる建設用地盤への更なる沈下が困難になるか、または最早不可能である。
【0005】
更に、例えば、土壌が期待されていた土壌密度から大きく逸脱しているために、または対応する衝撃ハンマーが技術的障害の故に利用不能であるために、振動杭の打ち込みが最後の数メートルで不可能になる(または最早不可能である)適用例が存在し得る。
米国特許第3,766,741号からは、杭内に液柱を充填および保持することを特徴とする、管状杭を地盤に打ち込むための方法および装置が公知である。前記液柱は、杭のほぼ底部から杭の頂部下方の所定距離に位置する点まで延在し、打ち込み力を杭の頂部に直接加える。
欧州特許出願公開第3 051 028(A1)号には、異形材を所与の最終深さまで建設用地盤に振動で打ち込むための方法が記載されている。この方法は、高周波振動を異形材に、および異形材末端の前方の建設用地盤に、振動機によって軸線方向に導入することによって、異形材末端の前方の建設用地盤を部分的に液状化する。振動機の振動周波数は、振動プロセス中、建設用地盤の所与の液状化周波数帯内で変えられる。
特開2014-201971号には、起振機を有する振動杭打/抜機を使用して杭の打ち込みまたは引き抜きを行う施工方法が記載されている。起振機は、固定-可動偏心重錘の相対的な位相を調整するための位相調整器を有する。杭の打ち込みに先立って、対象地盤の深度とN値の変化との関係とを計測する。重錘による偏心モーメントが計測したN値の変化に従って変化するように、杭の打ち込みに先立って位相調整器による位相の調節パターンを予め設定する。
【0006】
一欠点は、杭の振動打ち込み時に振動プロセスが中断されると、続行が最早不可能になるという建設用地盤のリスクが存在することである。この1つの理由は、例えば、単なる中断および液状化層の再固結に加え、1つの非限定例を挙げると、過剰間隙水圧の低下などのセットアップ作用でもある。
【0007】
振動打ち込みを制御および/または調節できることが望ましいであろう。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の目的は、特に洋上構造物のための基礎、例えば杭、の振動打ち込みの公知の諸欠点を低減または回避することであり、特に、振動打ち込みの制御および/または調節を可能にすることによって、このような杭の振動打ち込みを改善することである。
【0009】
本発明の第1の例示的態様によると、基礎に取り付けられた振動デバイスが発生させる振動を開始させることによって、基礎を建設用地盤に振動打ち込みさせる方法が開示される。この振動は、建設用地盤の液状化を引き起こし、基礎は建設用地盤に貫入する。建設用地盤への基礎の貫入速度は、基礎を直接取り囲んでいる建設用地盤の液状化ゾーンを変化させることによって、制御および/または調節され、貫入速度は、液状化ゾーンのサイズを変化させることによって変えられる。本方法は、基礎の振動打ち込みが低速化したかどうかを検出する貫入進捗検出手段が設けられることを特徴とする。低速化した場合、基礎の有効質量を増加させる、および/または液状化ゾーンを拡大化する。貫入進捗検出手段は、1つ以上の挿入パラメータを検出する。基礎の有効質量は、建設用地盤への貫入中、基礎の内部からの液体の汲み上げ、または基礎の内部への液体の送り込み、によって、増加または減少される。
【0010】
本発明の第2の例示的態様によると、本発明の第1の態様による方法を実施および/または制御するように構成された、または本発明の第1の態様による方法のステップを実施および/または制御するためのそれぞれの手段を備えた、装置が開示される。この点に関して、方法の全ステップが制御され得る、または方法の全ステップが実行され得る、または1つ以上のステップが制御され得る、および1つ以上のステップが実行され得る。更に、これら手段のうちの1つ以上が同じユニットによって実行および/または制御され得る。
【0011】
本発明のこれら2つの態様は、とりわけ、以下に説明する、部分的に例示的な、特徴を有する。
【0012】
例えば、特に洋上構造物の基礎のための、杭設置の場合、杭を取り囲んでいる建設用地盤の液状化が振動によって発生することが認識されている。これは、例えば砂状土壌への、振動打ち込みとも称される。このような液状化は、杭をその自重下で地盤に沈下または貫入させる。したがって、振動中、杭を取り囲んでいる液状化ゾーンの増大は、建設用地盤への杭挿入を向上させる。したがって、これらプロセスの制御によって、基礎の挿入(例えば、基礎によって取り囲まれている杭の設置)の制御および/または制御性も実現可能である。基礎荷重(例えば杭荷重)を増大させることによって、例えば(外部)質量を基礎(例えば杭)に加えることによって、貫入速度を更に上げることができる。貫入速度を更に変えるには、例えば、液状化ゾーンの摩擦係数を変化させる、および/または基礎の外部と内部との間の(例えば杭の内部と外部との間の)静水圧勾配を変化させる。
【0013】
液状化ゾーンの摩擦係数は、例えば空気および/またはガスの噴射によって、変えることができる。更に、液状化度は、空気および/またはガスの噴射を増加または減少させることによって変えることができる。基礎の外部と内部との間の静水圧勾配の変化は、例えば、液体を基礎の内部から汲み上げる、または基礎の内部に送り込む、手段によって行うことができる。本願明細書においては、この点に関する更なる詳細が以下に開示されている。
【0014】
例えば、基礎は、1つ以上の管セグメントを備える、または1つ以上の管セグメントで構成されている。この1つ以上の管セグメントは、例えば、1つの杭(基礎杭またはモノパイルとも呼称)を形成する。基礎は、例えば、下方に開口している。例えば、建設用地盤に貫入する基礎の端部は、下方に、例えば建設用地盤への貫入方向に、開口している。基礎は、例えば杭である。
【0015】
基礎は、例えば、シートパイル壁、シートパイル異形材の形態に、例えば杭、特にモノパイル用基礎杭、の形態に、または任意のデザインの異形材の形態に、することができる。
【0016】
特に洋上基礎の設置、例えば、所謂モノパイル、ジャケット、または他の基礎種別の基礎のための杭の打ち込みは、例えば付随する雑音の発生の故に、例えば海洋哺乳類の障害を招きかねないので、議論の余地がないわけではない。したがって、液状化ゾーンを変化させることによって基礎の振動打ち込みによる設置プロセスが改良され、ひいてはこの低雑音設置方式がより魅力的になると想定されている。
【0017】
建設用地盤に貫入する基礎の端部(例えば杭端部)は、例えば、基礎の内部への(例えば、中空杭の内部への)(例えば、変位された基礎土壌の侵入による)物質輸送が支援されるように、設計される。
【0018】
あるいは、建設用地盤に貫入する基礎の端部は、例えば、基礎の内部への物質の輸送が低減または防止されるように、設計される。
【0019】
振動デバイスは、振動機または振動ラム(独:Vibrationsbaer,英:vibrating bear)とも称される。
【0020】
本目的の意味での振動とは、基礎が建設用地盤に導入されるときに、例えば、表面摩擦と建設用地盤のピーク抵抗との両方に打ち勝つように、基礎(例えば杭)の異形材末端の前面にある土壌が或る程度液状化しており、基礎が、その重量の力の結果として、建設用地盤に貫入するように、建設用地盤内に伝播可能な振動であると理解されたい。
【0021】
例えば、本主題の意味における振動とは、約5Hz~150Hz、好ましくは10Hz~50Hz、の周波数帯内の振動として理解されたい。
【0022】
建設用地盤への基礎の貫入プロセスとは、基礎がその意図された最終深さまで建設用地盤に挿入されるプロセスであると理解されたい。このプロセスは、貫入プロセスとも称される。
【0023】
あらゆる態様において、地盤への貫入中、基礎の内部からの流体の汲み上げ、または基礎の内部への流体の送り込み、によって、基礎の有効質量を増加または減少させる。
【0024】
例えば、基礎は、液体の汲み上げを可能にするための水抜き取り手段を備える。基礎の内部からの液体の汲み上げは、例えば、建設用地盤への基礎の貫入中に基礎の内部に浸入する水からの、水の抜き取りが可能であるように行われる。この水は、例えば、海水、および/または建設用地盤から湧き出した地下水、である。水抜き取り手段は、例えば、基礎に挿入された、または基礎への挿抜が可能な、パイプおよび/またはホースを備える。したがって、例えば、液体、流体、および/または水を基礎の内側から外側に移送できる(例えば、汲み上げることができる)。その結果、例えば、基礎の内側の水位が下がる。
【0025】
本目的の意味における基礎の有効質量とは、建設用地盤に打ち込まれている基礎の端部を介して建設用地盤に加わる、基礎の表面摩擦に打ち勝つ、基礎からの重量の力の割合であると理解されたい。
【0026】
基礎の有効質量を変化させることによって、例えば、基礎の振動挙動も変えることができる。更に、地盤に作用する質量ひいては基礎の重量を変えることによって、地盤へのその貫入速度を変えることができるので、所与の、または必要とされる、諸要件に合わせることができる。
【0027】
基礎の内側からの液体の汲み上げは、例えば、基礎の内側に存在する静水圧を変えることができる。
【0028】
静水圧(静水圧(独:Gravitationsdruck,英:gravitational pressure)または動圧(独:Schweredruck,英:gravity pressure)とも呼称)は、重力の影響の故に基礎の内側の液化ガスなどの流体の静止時に優勢な圧力である。基礎の内側の静水圧の変化は、地盤への基礎の貫入中に作用する質量の変化をもたらし得る。
【0029】
したがって、建設用地盤への基礎の貫入速度を変化させるために、上で開示した液体の汲み上げを使用できる。
【0030】
基礎の有効質量を変えることによって建設用地盤への基礎の貫入速度も変えることができるので、結果として、建設用地盤に設置された基礎の横耐荷力も増大させることができる。その理由は、例えば、最終深さに達するまでの最後の数メートルにおいて液状化ゾーンが縮小するので、地盤への基礎の(極めて)低速の貫入のみが可能になるからである。
【0031】
1つ以上の穴が基礎に存在する場合は、液体の汲み上げまたは排出を可能にするために、これらの穴を、例えば適切な手段によって、少なくとも一時的に閉じることができる。基礎に設けられたこのような穴は、幾つかの非限定例を挙げると、例えば、ケーブル導入穴、および/または他の二次的開口部であり得る。このような穴は、例えばゴム栓によって、一時的に閉じられ得る。例えば基礎の設置後、適した取り外し手段、例えば針金または同様のもの、によって、ゴム栓を取り外すことができる。
【0032】
本発明の全ての態様による一例示的実施形態は、基礎への空気および/またはガスの噴射によって液状化ゾーンが変えられるようにする。
【0033】
空気および/またはガスの噴射は、例えば空気および/またはガスを基礎に噴射する手段によって、行われる。空気および/またはガスを噴射する手段は、例えば、噴射用ノズルおよび/またはホースである。空気および/またはガスの噴射は、例えば、基礎近くの(例えば杭近くの)地盤の緩みを引き起こす。空気および/またはガス噴射手段による空気および/またはガスの噴射の結果として、建設用地盤(例えば、土壌)への基礎の振動打ち込み中、振動(例えば杭の振動)のより良好な伝達が実現されるので、より大きな液状化に寄与する。これは、空気および/またはガスの噴射の増大または減少によって、液状化度の変化(例えば、上昇または低下)ももたらす。その理由は、基礎の外壁と周囲の建設用地盤との間に存在する、建設用地盤への基礎の挿入のために打ち勝つ必要がある、摩擦係数が変化するからである。例えば空気および/またはガスの噴射量を減らすと摩擦係数が上がり、空気および/またはガスの噴射量を増やすと摩擦係数が下がる。
【0034】
このような空気および/またはガス噴射手段は、例えば、空気および/またはガスを基礎(例えば杭)の内側に噴射できる。このような空気および/またはガス噴射手段は、例えば、1つ以上の(空気)噴射用ノズルおよび/またはホースとして形成される。このような噴射用ノズルおよび/またはホースのうちの1つ以上は、幾つかの非限定例を挙げると、例えば、(幾つかの非限定例を挙げると、例えば接着または溶接または同様の手段によって)基礎(例えば杭)自体に、または支持枠を介して、または杭壁に直接、接続され得る、または取り付けられ得る。
【0035】
本発明の全ての態様による一例示的実施形態は、空気および/またはガスが建設用地盤に貫入している基礎の端部の上方に噴射されるようにする。
【0036】
例えば空気および/またはガス噴射手段が発生させた、空気および/またはガスの噴射は、例えば空気および/またはガスの気泡をもたらす。これら気泡は、特に、建設用地盤(例えば、海底)に貫入している基礎の下縁の上方(例えば杭の下縁の上方)約0.1m、0.2m、0.3m、0.4m、0.5m、またはそれ以上で見られる。したがって、例えば、噴射用ノズルおよび/またはホースによって、空気および/またはガスが基礎の下縁の上方(例えば杭の下縁の上方)ほぼ0.5mで建設用地盤(例えば、海底)内に噴射される。空気および/またはガスの気泡を発生させるための空気および/またはガス圧は、例えばコンプレッサによって、生成される。例えば、このようなコンプレッサは、設置船に備えられ得る。これにより、上昇する空気および/またはガスの気泡の結果として、基礎の内側(例えば杭の内側)の基礎構造(例えば、土壌構造)を緩めることができるので、基礎の設置または建設用地盤への基礎(例えば杭)の貫入の簡素化が可能になる。
【0037】
本発明の全ての態様による一例示的実施形態は、空気および/またはガスが基礎の内側にも噴射されるようにする。
【0038】
空気および/またはガスの噴射、または空気および/またはガス噴射手段、は空気および/またはガスの気泡を、例えば、特に基礎の下縁の上方約0.5mおよび基礎の内側に、例えば基礎が杭の場合は杭の内側に、発生させる。
【0039】
本発明の全ての態様による一例示的実施形態は、空気および/またはガス圧を上げた、または下げた、空気および/またはガスを基礎に噴射することによって、液状化ゾーンのサイズが変えられるようにする。
【0040】
例えば、空気および/またはガスの噴射によって液状化ゾーンのサイズをもたらすことができるように、空気および/またはガスが噴射される(絶対)深さに応じて、高められた空気および/またはガス圧を使用する必要がある。液状化ゾーンの拡大は、空気および/または(他の)ガスを吹き込むことによって、間接的または直接的にもたらされる。
【0041】
例えば、30mLAT(磁気緯度)の水深において、基礎によって取り囲まれている杭が建設用地盤(例えば、海底)に35m打ち込まれる場合、例えば、65mの深さ(30mの水深プラス35mの土壌深さに相当)に相当するほぼ6.5バールの水圧、または35mの深さにおける土圧、が存在する。これから、卓越圧力を推量するために次の式も使用できる。土壌深さ35m*20kN/m3、ほぼ700kN/m2=7バール。したがって、この例において、空気および/またはガス噴射手段によって加えられる、および、例えば、上で開示した噴射用ノズルおよび/またはホースを介して加えられる、および存在するはずの、最小空気および/またはガス圧は、7バールより著しく大きい値に設定されることになる。したがって、空気および/またはガス吹き込み手段は、例えば、30バールまでの(最大)空気および/またはガス噴射圧力を発生させる。
【0042】
本発明の全ての態様による一例示的実施形態は、空気および/またはガスが基礎の内側に、および/または基礎の外壁に、噴射されるようにする。
【0043】
基礎(例えば、基礎によって取り囲まれている杭)の内側への空気および/またはガスの注入または噴射は、上昇する空気および/またはガスの気泡の結果として、建設用地盤への基礎の貫入の故に、例えば、基礎の内側の土壌構造の軟化を引き起こす。これにより、建設用地盤への基礎のより容易な挿入がもたらされる。代わりに、または加えて、空気および/またはガスを基礎(例えば、基礎によって取り囲まれた杭)の外壁に当てる、または噴射する、ことができる。この場合も、建設用地盤への基礎の貫入の故に、例えば、基礎の外壁上に存在する土壌構造が、上昇する空気および/またはガスの気泡の結果として、緩められるという効果も有する。
【0044】
本発明の全ての態様による一例示的実施形態は、建設用地盤への基礎の貫入が設置中に中断されないようにする。
【0045】
貫入速度を変化させるために(基礎の外側の)質量を変化させる、そのために貫入プロセスの中断が必要な、従来技術とは異なり、貫入プロセスが中断されないことを目的としている。したがって、地盤への基礎の振動打ち込みが一旦開始されたら、意図された最終位置に基礎が達したときにのみプロセスが停止される。
【0046】
建設用地盤への基礎の貫入を中断しないために、上で既に開示したように、基礎の有効質量を変化させることができる。特に、振動デバイスの停止および再起動の必要性が回避されるはずである。本主題は、建設用地盤への基礎の貫入を中断させる必要なしに、基礎の有効質量を変化させることを可能にする。
【0047】
本発明の全ての態様において、振動打ち込みが低速化したかどうかを検出する貫入進捗検出手段が設けられる。低速化した場合、基礎の有効質量を増加させる、および/または液状化ゾーンを拡大化する。
【0048】
建設用地盤への基礎の振動打ち込みの速度が低下しているかどうかを検出するために、1つ以上の挿入パラメータを検出する手段が設けられる。例えば、幾つかの非限定例を挙げると、基礎における周波数、振動機の周波数、パワー、温度、基礎の内側の水位、基礎の外壁における水位、水抜き取り手段の内側の液体(および/または流体、および/または水)の流量などのパラメータが検出され得る。したがって、それぞれの検出のための手段が設けられ得る。それぞれ検出された情報は、基礎の貫入速度を制御および/または調節するために、更に評価され得る。
【0049】
更に、圧力および/または基礎の外壁と建設用地盤との間の優勢な摩擦を検出するために、挿入パラメータ検出手段を設計できる。これらは、例えば、コーン貫入試験(CPT:Cone Penetration Test)とすることができる。これらは、設置される基礎に、例えば規定の剛性で、接続される。CPTは、建設用地盤における圧力調査を可能にする。静水学的水圧測定または歪依存測定法など、他の圧力測定および/または力測定法も可能であり、上で開示されているものによる客観的な挿入パラメータ収集手段として適していることを理解されたい。
【0050】
例えば、建設用地盤への基礎の貫入速度は、液状化ゾーンのサイズを変えることによって、変えられる。これは、基礎の振動打ち込み中に行われる。建設用地盤への基礎の貫入は、指定された最終深さに達した時にのみ中断または停止される。その後、可能または必要であれば、土壌の固結または土壌の締固めを実現するために、場合によっては、基礎を最終深さまでの最後の数メートルにわたって打ち込むことができる。これは、基礎の横耐荷力を増大させることができる。あるいは、最後の数メートルにわたって基礎を(極めて)低速で振動打ち込みさせることができる、または空洞現象によって再び振動させることができる。
【0051】
原則として、基礎の貫入速度は、振動デバイスの周波数によって、ならびに基礎の有効重量の力によって、調整可能である。基礎の貫入速度を制御および/または調節するために、液状化ゾーンの変化および/または液体の汲み上げに加え、このことも考慮に入れることができる。
【0052】
本発明の全ての態様による一例示的実施形態は、基礎に解放可能に接続された貫入速度変更手段、特にポンプおよび/または空気および/またはガス圧を発生させるコンプレッサ、を介して建設用地盤への基礎の貫入速度が変えられるようにする。
【0053】
本発明の全ての態様による別の例示的実施形態によると、貫入速度変更手段は、キャリアデバイス(例えば、支持枠)に備えられる。
【0054】
貫入速度変更手段(例えば、1つ以上の噴射用ノズルおよび/またはホース)は、例えば、少なくとも一時的に、永続的に設置され得る。基礎が完全に設置された後、例えば、1つ以上の噴射用ノズルおよび/またはホースを備えた支持枠を取り外すことによって、1つ以上の噴射用ノズルおよび/またはホースを取り外すことができる。
【0055】
空気および/またはガス圧を上昇または低下させることによって、加えられる空気および/または加えられるガスを、例えば以下のように、変化させることができる。最初に、基礎の設置中、例えば、建設用地盤への基礎の振動打ち込み中、例えば水圧より少なくとも大きい、空気および/またはガス圧を加える。これが主として意図しているのは、例えば微粒子による1つ以上の噴射用ノズルおよび/またはホースの詰まりを防止することである。基礎の設置進捗が低速化している、例えば建設用地盤への基礎の貫入速度が低下している限り、例えば、空気および/またはガスの供給が増加されるので、基礎の内部に乱流が発生し、液状化ゾーンが拡大化されることになる、または拡大化される。
【0056】
噴射用ノズルおよび/またはホースが支持枠に設置されている場合は、枠を、例えば、フランジにおいて、または締結用突起によって、基礎(例えば杭)に堅牢に接続できる。この設置プロセスの結果として、振動中、枠は、杭と共に、地盤に連続的に挿入される。この場合、例えば、空気および/またはガスの連続供給によって空気および/またはガス圧を噴射用ノズルおよび/またはホースに連続的に加えることによって、閉塞の危険を防止する必要がある。再び、設置進捗が低速化した場合、これに相応に対処するために、空気および/またはガス圧を絶え間なく上げる必要がある。導入される空気および/またはガスの量の上限は、コンプレッサの能力によってのみ制限される。
【0057】
基礎(例えば杭)がその計画された最終深さに達したら、空気および/またはガス圧を維持したまま、支持枠を基礎(例えば杭)から取り外すことができる。更に、必要であれば、支持枠に取り付けられた振動機と共に、支持枠を引き抜くことができる。支持枠全体が建設用地盤(例えば、土壌)から出るまで、空気および/またはガス圧をオフに切り換えるべきではない。これにより、支持枠の取り外しに必要な牽引力を最小化できる。
【0058】
基礎(例えば杭)を打ち込み式で設置しているときに不十分な設置進捗を示した場合、この方法は、打ち込みに使用していたハンマーを取り外し、空気および/またはガス圧噴射用ノズルを備えた支持枠を圧力下で、または複数の小型振動機によって、杭の端部の上方約0.5mまで地盤に打ち込ませる必要がある。ここでも、杭内の土壌を緩めるために、空気および/またはガス圧を大きく上げる必要がある。最後に、上記のように、支持枠を緩めて引き抜くことができる。
【0059】
後者の場合、土壌を緩めるための噴射用ノズルおよび/またはホースへの空気および/またはガス圧の印加は、例えば少なくとも30分にわたって行うことができる。振動杭の場合、例えば杭設置力の低減に伴い、空気および/またはガス圧を連続的に上げることができる。
【0060】
本発明の全ての態様による一例示的実施形態は、基礎に貫入している基礎の端部において優勢な水圧および/または土圧より大きな空気圧および/またはガス圧で空気および/またはガスが噴射されるようにする。
【0061】
本発明による目的は、上記のように本発明の全ての態様による方法を実行および/または制御するように適合化された、建設用地盤への基礎の振動打ち込みのための装置によっても達成される。
【0062】
建設用地盤への基礎の振動打ち込みのためのこのような装置は、例えば、振動を発生させるための振動デバイスと、基礎の建設用地盤を直接取り囲んでいる液状化ゾーンを変化させるための手段とを備え、これらにより、建設用地盤への基礎の貫入速度の制御および/または調節が可能である。
【0063】
本発明の全ての態様による別の例示的実施形態において、装置は、流体を基礎の内部から汲み上げる、および/または基礎の内部に送り込む、ための手段(例えば、1つ以上の流体/液体ポンプ)、空気および/または(他の)ガスを基礎に(例えば、杭などの基礎の内側に、および/または杭などの基礎の外壁に)噴射するための手段(例えば、1つ以上のコンプレッサ)、基礎の外壁および/または内側における、および/または地盤に貫入している基礎の端部における、圧力を検出するための手段、および/または基礎の外壁と地盤との間の摩擦を検出するための手段を更に備える。
【0064】
本発明の全ての態様による別の例示的実施形態において、装置は、基礎に含まれる1つ以上の杭のために構成される。例えば、本主題による装置は、(幾つかの非限定例を挙げると、風力タービン、石油掘削装置、生産プラットフォーム、変電所、および/またはリサーチプラットフォーム、パイプライン、またはこれらの組み合わせなどの)洋上構造物向けである。例えば、本主題による装置は、建設用地盤としての海底に基礎を設置するためのものである。
【0065】
本方法は、洋上基礎と陸上基礎とを区別しない。
【0066】
更なる有利な例示的実施形態が一部の例示的実施形態についての、特に図面に関連付けられた、以下の詳細な説明に見出される。ただし、これらの図は、解明を目的としたものであり、保護範囲を決定するためのものではない。これらの図は同じ縮尺ではなく、一般的な概念を例として反映することを意図しているだけである。特に、各図に含まれている特徴は、決して必須部分とは見做されないものとする。
【図面の簡単な説明】
【0067】
【
図1】本主題による方法によって建設用地盤内に振動打ち込みされる、本主題による基礎の一例示的実施形態の図である。
【
図2】本主題による方法によって建設用地盤内に振動打ち込みされる、本主題による基礎の別の例示的実施形態の図である。
【発明を実施するための形態】
【0068】
以下においては、複数の例示的実施形態に言及して、本主題を説明する。
【0069】
図1は、本主題による方法によって建設用地盤に振動打ち込みされる、本主題による基礎の一例示的実施形態の図を示す。
【0070】
図1において、基礎は杭1によって表されている。杭1は、基礎によって構成されている、または基礎である。杭は、建設用地盤に、このケースでは海底MBに、挿入される。したがって、
図1の基礎は、風力タービンなどの洋上構造物向けである。
【0071】
海底MBに貫入している杭1の端部6を取り囲む液状化ゾーン2が示されている。例えば、基礎に取り付けられた振動デバイス(
図1には不図示)が発生させる振動を開始させることによって、海底MBに貫入している杭1の端部6を直接取り囲んでいる海底MBの液状化が発生する。本願明細書において、これは液状化ゾーン2と称され、網掛けされ、破線で輪郭が示されている。
【0072】
液状化ゾーン2内では、発生させた振動が杭1を介して海底MBに伝達されて構造の軟化が引き起こされ、海底MBが緩められる。液状化ゾーン2内の海底MBの緩みは、例えば、空気および/またはガスの噴射によって、増進させることができる。これにより、液状化ゾーン2が拡大するので、杭1は海底MBにより容易に貫入できる。更に、液状化ゾーン2を変化させることによって、海底MBへの杭1の貫入速度を制御および/または調節できる。
【0073】
液状化ゾーン2のサイズは、空気を吹き込むことによって変えられる。したがって、空気圧を上げる、または下げる、ことによって、液状化ゾーン2またはそのサイズは変えられる。空気は、例えばコンプレッサ9によって、噴射される。コンプレッサ9は、例えば、ホースを介して1つ以上の空気噴射用ノズル3に接続されている。コンプレッサは、例えば、
図1に示されていない設置船に設置されている。空気噴射用ノズルは、杭1の内部まで延在し、少なくとも、海底MBへの杭1の振動打ち込み中、杭1上に取り外し可能に配置されている支持枠8上に配置されている。海底MBへの杭1の振動打ち込み後、例えば、支持枠8を取り外すことができる。1つ以上の空気噴射用ノズル3は、海底MBに貫入している杭先6まで、または杭底縁6の上方約0.5mまで、延在する。
【0074】
発生させた空気は、杭1の貫入端6の上方の1つ以上の空気噴射用ノズル3を介して噴射されるので、特に、上昇する気泡7の結果として、杭4の内側の土壌構造の固結が緩められる。その結果、杭1の設置の簡素化が可能である。
【0075】
更に、ポンプ10が設けられる。ポンプ10によって、特に流体を杭内部4から汲み上げることができる。この目的のために、支持枠8は、例えば、1つ以上の空気噴射用ノズル3と同様に杭内部4まで延在するパイプおよび/またはホースを1本以上備えるので、液体および/または流体を杭内部4から汲み上げることができる。
【0076】
図2は、本主題による方法によって建設用地盤に振動打ち込みされている、本主題による基礎の別の例示的実施形態の図を示す。
【0077】
図1とは異なり、例えば1つ以上の空気噴射用ノズル3を備えた、支持枠8は、杭1の内側に同心円状に配置されている。支持枠8は、移動可能に、特に鉛直に移動可能に、設計されているので、杭内部4に、または杭内部4から外に、移動可能である。
【0078】
海底MBに貫入する杭先6は、杭1の貫入中、杭内部4への土壌(例えば、海底MB)の物質移送を支援するように更に構成されている。これを可能にするのは、(仮想)水平線に対して斜めの杭先6である。
【0079】
更に、圧力プローブ12が杭1の外壁5に配置されている。図示の圧力プローブ12に加え、これより多い、または少ない、このような圧力プローブ12が杭の外壁5に配置され得ることを理解されたい。圧力プローブ12は、修正CPTなどの圧力および/または摩擦の検出に適しており、設置される杭1に固定的に接続(または規定の剛性で接続)されている。更に、圧力プローブ12は貫入速度検出手段に接続されるので、貫入速度検出手段は、例えば、圧力プローブ12からの測定データを評価できる。
【0080】
あるいは、圧力プローブ12自体が貫入速度検出手段を備え得る、または表し得る。例えば、感知圧力が上昇した場合、海底への杭1の貫入速度が低下したと想定され得る。貫入速度検出手段11は、更に、1つ以上の制御信号を、例えばポンプ10またはコンプレッサ9に、送出し得るので、例えば、空気圧を高めた空気が1つ以上の空気噴射用ノズル3を介して、例えば杭内部4に、または、その代わりに、またはそれに加えて、杭1の外壁5に噴射される。後者の場合、1つ以上の空気噴射用ノズル3は、空気を杭1の外壁5に噴射可能である必要があることを理解されたい。例えば、1つ以上の空気噴射用ノズル3は、杭1の外部に延びるように、支持枠8上に配置可能である。ただし、これは、
図2に示されていない。
【0081】
例えば、貫入速度検出手段11が制御信号をポンプ10に送出した場合、流体が杭4の内部から汲み上げられ得る。杭1の内部の液位または水位が水面Wより低い場合、杭1の有効質量が増すので、海底MBへの杭1の貫入速度が上がる。
【0082】
杭の設置後、例えば、1つ以上の空気噴射用ノズルが載置されている支持枠を取り外すことによって、空気噴射用ノズルの取り外しが可能である。
【0083】
本願明細書に記載の本発明の複数の実施形態、およびこれらに関してそれぞれのケースで示されているオプションの特徴および特性は、互いのあらゆる組み合わせで開示されていると理解されるものとする。特に、一実施形態例に含まれている一特徴の説明は、明示的に別様に記述されていない限り、本願明細書においては、当該実施形態例の機能のために当該特徴が不可欠または必須であると意味するとは理解されないものとする。本願明細書において、個々のフローチャートに記載されている方法ステップの順序は必須ではなく、これら方法ステップの別の順序もあり得る。方法ステップはさまざまな方法で実現可能であり、例えば、ソフトウェア(プログラム命令による)、ハードウェア、またはこれらの組み合わせによる実現も方法ステップの実現のために考えられる。
【0084】
特許請求の範囲に使用されている「備える(独:umfassen,英:comprise)」、「有する(独:aufweisen,英:have)」、「含む(独:beinhalten,英:include)」、「含有する(独:enthalten,英:contain)」などの用語は、更なる要素またはステップを排除しない。「少なくとも部分的に(独:zumindest teilweise,英:at least in part)」という表現は、「部分的に(独:teilweise,英:in part)」というケースと「全体的に(独:vollstaendig,英:in full)」というケースの両方を含む。「および/または(独:und/oder,英:and/or)」という表現は、二者択一と組み合わせの両方を開示していると理解されるものとする。したがって、「Aおよび/またはB」は、「(A)または(B)あるいは(AおよびB)」を意味する。不定冠詞の使用は、複数形を除外しない。単一の装置は、特許請求の範囲に挙げられている複数のユニットまたはデバイスの機能を実施し得る。特許請求の範囲に示されている参照符号は、使用される手段およびステップを限定するものとして見做されないものとする。
【符号の説明】
【0085】
1 杭
2 液状化ゾーン
3 空気および/またはガス噴射用ノズル
4 杭の内部
5 杭の外壁
6 建設用地盤に貫入している杭の端部
7 空気および/またはガスの気泡
8 支持枠
9 コンプレッサ
10 ポンプ
11 貫入速度検出手段
12 圧力プローブ
MB 海底
W 水位
V 支持枠の可動性