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特許7039791組立品設計支援装置、公差設定用コンピュータプログラム、公差解析用コンピュータプログラム及び組立品設計支援方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-14
(45)【発行日】2022-03-23
(54)【発明の名称】組立品設計支援装置、公差設定用コンピュータプログラム、公差解析用コンピュータプログラム及び組立品設計支援方法
(51)【国際特許分類】
   G06F 30/10 20200101AFI20220315BHJP
   G06F 30/20 20200101ALI20220315BHJP
【FI】
G06F30/10
G06F30/20
【請求項の数】 37
(21)【出願番号】P 2017096007
(22)【出願日】2017-05-12
(65)【公開番号】P2017208089
(43)【公開日】2017-11-24
【審査請求日】2020-04-17
(31)【優先権主張番号】P 2016097261
(32)【優先日】2016-05-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】516178907
【氏名又は名称】株式会社公差設計研究所
(74)【代理人】
【識別番号】100104709
【弁理士】
【氏名又は名称】松尾 誠剛
(72)【発明者】
【氏名】栗山 晃治
【審査官】合田 幸裕
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-324081(JP,A)
【文献】特開2006-107510(JP,A)
【文献】特開2005-085003(JP,A)
【文献】特開2006-277305(JP,A)
【文献】特開2015-111359(JP,A)
【文献】特開2001-312498(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 30/10
G06F 30/20
IEEE Xplore
JSTPlus(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
中央処理装置とメモリとを備え、組立品の設計を支援するための組立品設計支援装置であって、
前記組立品を構成する部品の形態を表す数値及び前記部品間の距離を表す数値の少なくともいずれか1つの設計用数値と、前記設計用数値の公差の解析において前記設計用数値の位置づけを共通にする属性ごとに前記設計用数値に関連する情報を集めるように指示するための属性キーと、を表示する第一表示手段と;
前記設計用数値の選択を受け付ける設計用数値選択受付手段と;
前記属性キーの選択を受け付ける属性キー選択受付手段と;
前記属性キー選択受付手段にて受け付けられた前記属性ごとに、前記設計用数値選択受付手段にて受け付けられた前記設計用数値に関連する情報を、公差解析前に表示される解析前テーブルに表示する第二表示手段と;
前記公差を解析するための公差解析テーブルに、前記設計用数値に関連する情報を、前記属性ごとにまとめて書き込む指示を行う情報書込指示手段と;
前記情報書込指示手段に従って、前記公差解析テーブルに、前記設計用数値に関連する情報を表示する第三表示手段と;
前記第一表示手段によって表示された前記設計用数値に寸法公差が含まれているか否かを判別する寸法公差有無判別手段と;
前記寸法公差有無判別手段によって前記寸法公差が含まれていると判別された場合には、前記寸法公差を優先して取得する表示公差優先手段と;
前記寸法公差有無判別手段によって前記寸法公差が含まれていないと判別された場合には、予め決められた標準公差を前記メモリから読み出して取得する第一標準公差読出手段と;
を備え、
前記第二表示手段は、前記表示公差優先手段によって優先取得された前記寸法公差あるいは前記第一標準公差読出手段によって取得された前記標準公差を前記解析前テーブルに表示する組立品設計支援装置。
【請求項2】
前記設計用数値に関連する情報に、前記属性に特有のIDを付与するID付与手段を、さらに備える請求項1に記載の組立品設計支援装置。
【請求項3】
前記設計用数値に関連する情報に対してアドレスを付与するアドレス付与手段を、さらに備え、
前記情報書込指示手段は、前記アドレスに対応する箇所に、前記設計用数値に関連する情報を書き込む指示を行う請求項1又は2に記載の組立品設計支援装置。
【請求項4】
前記第二表示手段は、予め決められた標準公差をレベル別に複数の選択肢を表示する手段であって、かつ前記メモリは、前記標準公差をレベル別に複数種記憶する手段であって、
前記選択肢からの選択を受け付ける標準公差レベル選択受付手段と、
前記標準公差レベル選択受付手段によって受け付けられたレベルの前記標準公差を前記メモリから読み出す第二標準公差読出手段と、
をさらに備え、
前記第二表示手段は、前記第二標準公差読出手段によって読み出された前記標準公差を表示する請求項1からのいずれか1項に記載の組立品設計支援装置。
【請求項5】
前記属性は、前記組立品中の穴の径と当該穴に挿入されるピンの径の組み合わせを含み、
前記穴の径と前記ピンの径とに基づいて、公差範囲内の前記穴の径の中央値と公差範囲内の前記ピンの径の中央値との寸法差を計算する穴・ピン径寸法差計算手段をさらに備え、
前記第二表示手段若しくは前記第三表示手段は、前記寸法差を表示する請求項1からのいずれか1項に記載の組立品設計支援装置。
【請求項6】
前記属性は、寸法公差に対する感度として位置づけられるレバー比を含み、
前記公差の解析に用いられる係数を前記レバー比に基づいて設定可能とする係数計算式を作成する係数計算式作成手段を、さらに備え、
前記第二表示手段は、前記解析前テーブルに、前記係数計算式を利用した前記係数の自動設定を選択可能に表示する請求項1からのいずれか1項に記載の組立品設計支援装置。
【請求項7】
前記属性は、前記部品の理想的な形状、姿勢あるいは位置からの許容されるズレの範囲と位置づけられる幾何公差を含み、
前記第一表示手段によって表示された前記幾何公差の半値を計算する幾何公差半値計算手段をさらに備え、
前記第二表示手段若しくは前記第三表示手段は、前記幾何公差の前記半値をプラスとマイナスとで表示する請求項1からのいずれか1項に記載の組立品設計支援装置。
【請求項8】
前記組立品の総合公差に影響を与える前記部品の前記公差ごとに、前記総合公差に寄与する割合を数値化した寄与率を設定若しくは計算する寄与率設定・計算手段と、
前記公差解析テーブルに表示される前記公差を前記寄与率に依存させて計算する寄与率依存公差計算手段と、
を、さらに備える請求項1からのいずれか1項に記載の組立品設計支援装置。
【請求項9】
前記公差解析テーブルは、2種以上の前記寄与率からの1つに基づいて前記公差を割り振るように計算させる寄与率選択キーを表示しており、
2以上の前記寄与率選択キーの内の1つの選択を受け付ける寄与率選択受付手段を、さらに備え、
前記寄与率依存公差計算手段は、前記寄与率選択キーからの選択に基づき計算を行う請求項に記載の組立品設計支援装置。
【請求項10】
前記公差の内の1以上を前記寄与率依存公差計算手段の対象から除外する指示を受け付ける計算対象除外指示受付手段と、
前記計算対象除外指示受付手段から受け付けられた前記公差を固定する公差固定手段と、
をさらに備え、
前記寄与率依存公差計算手段は、前記公差固定手段によって固定された前記公差を除く他の前記公差を対象として前記寄与率に依存した前記公差を計算する請求項又はに記載の組立品設計支援装置。
【請求項11】
前記公差解析テーブルへの情報の入力若しくは既に入力された情報の変更を受け付ける情報入力・変更受付手段と、
前記情報入力・変更受付手段によって受け付けられた情報を、元の情報に代えて表示する情報更新表示手段と、
をさらに備える請求項1から10のいずれか1項に記載の組立品設計支援装置。
【請求項12】
前記第一表示手段は、前記公差の解析ごとに選択可能な公差解析選択キーを表示可能であって、
前記メモリは、前記公差の解析ごとに、解析に必要な前記設計用数値を記憶し、
前記公差解析選択キーの1つの選択を受け付ける公差解析選択キー受付手段と、
前記公差解析選択キー受付手段によって受け付けられた前記公差の解析に対応する前記設計用数値を前記メモリから読み出す設計用数値読出手段と、
をさらに備え、
前記第一表示手段は、前記設計用数値読出手段によって読み出された前記設計用数値を表示する請求項1から11のいずれか1項に記載の組立品設計支援装置。
【請求項13】
前記公差の解析ごとの各解析結果を比較表示する解析結果比較表示手段を、さらに備える請求項1から12のいずれか1項に記載の組立品設計支援装置。
【請求項14】
前記第一表示手段は、前記属性ごとに表示形態を変更可能な属性表示形態変更キーを表示可能であって、
前記メモリは、前記属性ごとに、前記属性に関連する前記設計用数値の表示形態を関連させて記憶し、
前記属性表示形態変更キーの1つの選択を受け付ける属性表示形態変更キー受付手段と、
前記メモリの情報にアクセスして、前記属性表示形態変更キー受付手段によって受け付けられた前記属性に関連する前記設計用数値の表示形態を、他の属性に関連する前記設計用数値の表示形態と変える表示形態変更手段と、
をさらに備え、
前記第一表示手段は、前記表示形態変更手段によって変更された前記設計用数値を表示する請求項1から13のいずれか1項に記載の組立品設計支援装置。
【請求項15】
前記公差解析テーブル中若しくは前記解析前テーブル中の情報の指定を受け付けるテーブル内情報指定受付手段と、
前記テーブル内情報指定受付手段によって受け付けられた前記情報と合致する情報であって、前記第一表示手段によって表示された前記設計用数値を、その他の前記設計用数値と変えて表示する設計用数値表示形態変更手段と、
を、さらに備える請求項1から14のいずれか1項に記載の組立品設計支援装置。
【請求項16】
前記設計用数値に片側公差が含まれているか否かを判別する片側公差有無判別手段と、
前記片側公差が含まれている場合に、前記片側公差の半値を求める片側公差計算手段と、を備え、
前記第二表示手段若しくは前記第三表示手段は、前記公差として、前記片側公差の前記半値をプラスとマイナスとで表示する請求項1から15のいずれか1項に記載の組立品設計支援装置。
【請求項17】
中央処理装置とメモリとを備えるコンピュータにインストールされ、組立品を構成する部品の形態を表す数値及び前記部品間の距離を表す数値の少なくともいずれか1つの設計用数値の公差を設定可能な公差設定用コンピュータプログラムであって、
前記コンピュータを、
前記設計用数値と、前記公差の解析において前記設計用数値の位置づけを共通にする属性ごとに前記設計用数値に関連する情報を集めるように指示するための属性キーと、を表示する第一表示手段;
前記設計用数値の選択を受け付ける設計用数値選択受付手段;
前記属性キーの選択を受け付ける属性キー選択受付手段;
前記属性キー選択受付手段にて受け付けられた前記属性ごとに、前記設計用数値選択受付手段にて受け付けられた前記設計用数値に関連する情報を、公差解析前に表示される解析前テーブルに表示する第二表示手段;及び
前記公差を解析するための公差解析テーブルに、前記設計用数値に関連する情報を、前記属性ごとにまとめて書き込む指示を行う情報書込指示手段;
前記第一表示手段によって表示された前記設計用数値に寸法公差が含まれているか否かを判別する寸法公差有無判別手段;
前記寸法公差有無判別手段によって前記寸法公差が含まれていると判別された場合には、前記寸法公差を優先して取得する表示公差優先手段;及び
前記寸法公差有無判別手段によって前記寸法公差が含まれていないと判別された場合には、予め決められた標準公差を前記メモリから読み出して取得する第一標準公差読出手段;
として機能させ、
前記第二表示手段により、前記表示公差優先手段によって優先取得された前記寸法公差あるいは前記第一標準公差読出手段によって取得された前記標準公差を前記解析前テーブルに表示させる公差設定用コンピュータプログラム。
【請求項18】
前記コンピュータを、
前記設計用数値に関連する情報に、前記属性に特有のIDを付与するID付与手段として、さらに機能させる請求項17に記載の公差設定用コンピュータプログラム。
【請求項19】
前記コンピュータを、
前記設計用数値に関連する情報に対してアドレスを付与するアドレス付与手段として、さらに機能させ、
前記情報書込指示手段は、前記アドレスに対応する箇所に、前記設計用数値に関連する情報を書き込む指示を行う請求項17又は18に記載の公差設定用コンピュータプログラム。
【請求項20】
前記第二表示手段は、予め決められた標準公差をレベル別に複数の選択肢を表示する手段であって、かつ前記メモリは、前記標準公差をレベル別に複数種記憶する手段であって、
前記コンピュータを、
前記選択肢からの選択を受け付ける標準公差レベル選択受付手段、及び
前記標準公差レベル選択受付手段によって受け付けられたレベルの前記標準公差を前記メモリから読み出す第二標準公差読出手段として、さらに機能させ、
前記第二表示手段は、前記第二標準公差読出手段によって読み出された前記標準公差を表示する請求項17から19のいずれか1項に記載の公差設定用コンピュータプログラム。
【請求項21】
前記属性は、前記組立品中の穴の径と当該穴に挿入されるピンの径の組み合わせを含み、
前記コンピュータを、
前記穴の径と前記ピンの径とに基づいて、公差範囲内の前記穴の径の中央値と公差範囲内の前記ピンの径の中央値との寸法差を計算する穴・ピン径寸法差計算手段として、さらに機能させ、
前記第二表示手段は、前記寸法差を表示する請求項17から20のいずれか1項に記載の公差設定用コンピュータプログラム。
【請求項22】
前記属性は、寸法公差に対する感度として位置づけられるレバー比を含み、
前記コンピュータを、
前記公差の解析に用いられる係数を前記レバー比に基づいて設定可能とする係数計算式を作成する係数計算式作成手段として、さらに機能させ、
前記第二表示手段は、前記解析前テーブルに、前記係数計算式を利用した前記係数の自動設定を選択可能に表示する請求項17から21のいずれか1項に記載の公差設定用コンピュータプログラム。
【請求項23】
前記属性は、前記部品の理想的な形状、姿勢あるいは位置からの許容されるズレの範囲と位置づけられる幾何公差を含み、
前記コンピュータを、
前記第一表示手段によって表示された前記幾何公差の半値を計算する幾何公差半値計算手段として、さらに機能させ、
前記第二表示手段は、前記幾何公差の前記半値をプラスとマイナスとで表示する請求項17から22のいずれか1項に記載の公差設定用コンピュータプログラム。
【請求項24】
前記第一表示手段は、前記公差の解析ごとに選択可能な公差解析選択キーを表示可能であって、
前記コンピュータを、
前記公差解析選択キーの1つの選択を受け付ける公差解析選択キー受付手段、及び
前記公差解析選択キー受付手段によって受け付けられた前記公差の解析に対応する前記設計用数値を前記メモリから読み出す設計用数値読出手段、としてさらに機能させ、
前記第一表示手段は、前記設計用数値読出手段によって読み出された前記設計用数値を表示する請求項17から23のいずれか1項に記載の公差設定用コンピュータプログラム。
【請求項25】
前記第一表示手段は、前記属性ごとに表示形態を変更可能な属性表示形態変更キーを表示可能であって、
前記メモリは、前記属性ごとに、前記属性に関連する前記設計用数値の表示形態を関連させて記憶し、
前記コンピュータを、
前記属性表示形態変更キーの1つの選択を受け付ける属性表示形態変更キー受付手段、及び
前記メモリの情報にアクセスして、前記属性表示形態変更キー受付手段によって受け付けられた前記属性に関連する前記設計用数値の表示形態を、他の属性に関連する前記設計用数値の表示形態と変える表示形態変更手段、としてさらに機能させ、
前記第一表示手段は、前記表示形態変更手段によって変更された前記設計用数値を表示する請求項17から24のいずれか1項に記載の公差設定用コンピュータプログラム。
【請求項26】
前記コンピュータを、
前記解析前テーブル中の情報の指定を受け付けるテーブル内情報指定受付手段;及び
前記テーブル内情報指定受付手段によって受け付けられた前記情報と合致する情報であって、前記第一表示手段によって表示された前記設計用数値を、その他の前記設計用数値と変えて表示する設計用数値表示形態変更手段;としてさらに機能させる請求項17から25のいずれか1項に記載の公差設定用コンピュータプログラム。
【請求項27】
前記コンピュータを、
前記設計用数値に片側公差が含まれているか否かを判別する片側公差有無判別手段、及び
前記片側公差が含まれている場合に、前記片側公差の半値を求める片側公差計算手段としてさらに機能させ、
前記第二表示手段は、前記公差として、前記片側公差の前記半値をプラスとマイナスとで表示する請求項17から26のいずれか1項に記載の公差設定用コンピュータプログラム。
【請求項28】
中央処理装置とメモリとを備えるコンピュータにインストールされ、組立品を構成する部品の形態を表す数値及び前記部品間の距離を表す数値の少なくともいずれか1つの設計用数値の公差を設定可能な公差設定用コンピュータプログラムと連動して前記公差を解析可能な公差解析用コンピュータプログラムであって、
前記公差設定用コンピュータプログラムは、
前記コンピュータを、
前記設計用数値と、前記公差の解析において前記設計用数値の位置づけを共通にする属性ごとに前記設計用数値に関連する情報を集めるように指示するための属性キーと、を表示する第一表示手段;
前記設計用数値の選択を受け付ける設計用数値選択受付手段;
前記属性キーの選択を受け付ける属性キー選択受付手段;
前記属性キー選択受付手段にて受け付けられた前記属性ごとに、前記設計用数値選択受付手段にて受け付けられた前記設計用数値に関連する情報を、公差解析前に表示される解析前テーブルに表示する第二表示手段
記公差を解析するための公差解析テーブルに前記設計用数値に関連する情報を、前記属性ごとにまとめて書き込む指示を行う情報書込指示手段;
前記第一表示手段によって表示された前記設計用数値に寸法公差が含まれているか否かを判別する寸法公差有無判別手段;
前記寸法公差有無判別手段によって前記寸法公差が含まれていると判別された場合には、前記寸法公差を優先して取得する表示公差優先手段;及び
前記寸法公差有無判別手段によって前記寸法公差が含まれていないと判別された場合には、予め決められた標準公差を前記メモリから読み出して取得する第一標準公差読出手段;として機能させるコンピュータプログラムであって、
前記コンピュータを、
前記情報書込指示手段に従って、前記公差解析テーブルに、前記設計用数値に関連する情報を表示する第三表示手段として機能させる公差解析用コンピュータプログラム。
【請求項29】
前記コンピュータを、
前記組立品の総合公差に影響を与える前記部品の前記公差ごとに、前記総合公差に寄与する割合を数値化した寄与率を設定若しくは計算する寄与率設定・計算手段、及び
前記公差解析テーブルに表示される前記公差を前記寄与率に依存させて計算する寄与率依存公差計算手段、
としてさらに機能させる請求項28に記載の公差解析用コンピュータプログラム。
【請求項30】
前記公差解析テーブルは、2種以上の前記寄与率からの1つに基づいて公差を割り振るように計算させる寄与率選択キーを表示しており、
前記コンピュータを、
2以上の前記寄与率選択キーの内の1つの選択を受け付ける寄与率選択受付手段としてさらに機能させ、
前記寄与率依存公差計算手段は、前記寄与率選択キーからの選択に基づき計算を行う請求項29に記載の公差解析用コンピュータプログラム。
【請求項31】
前記コンピュータを、
前記公差の内の1以上を前記寄与率依存公差計算手段の対象から除外する指示を受け付ける計算対象除外指示受付手段、及び
前記計算対象除外指示受付手段から受け付けられた前記公差を固定する公差固定手段としてさらに機能させ、
前記寄与率依存公差計算手段は、前記公差固定手段によって固定された前記公差を除く他の前記公差を対象として前記寄与率に依存した前記公差を計算する請求項29又は30に記載の公差解析用コンピュータプログラム。
【請求項32】
前記コンピュータを、
前記公差解析テーブルへの情報の入力若しくは既に入力された情報の変更を受け付ける情報入力・変更受付手段、及び
前記情報入力・変更受付手段によって受け付けられた情報を、元の情報に代えて表示する情報更新表示手段、としてさらに機能させる請求項28から31のいずれか1項に記載の公差解析用コンピュータプログラム。
【請求項33】
前記コンピュータを、
前記公差の解析ごとの各解析結果を比較表示する解析結果比較表示手段として、さらに機能させる請求項28から32のいずれか1項に記載の公差解析用コンピュータプログラム。
【請求項34】
中央処理装置とメモリとを備える装置であって組立品の設計を支援するための組立品設計支援装置を用いて行う組立品設計支援方法であって、
前記組立品を構成する部品の形態を表す数値及び前記部品間の距離を表す数値の少なくともいずれか1つの設計用数値と、前記設計用数値の公差の解析において前記設計用数値の位置づけを共通にする属性ごとに前記設計用数値に関連する情報を集めるように指示するための属性キーと、を表示する第一表示ステップと;
前記設計用数値の選択を受け付ける設計用数値選択受付ステップと;
前記属性キーの選択を受け付ける属性キー選択受付ステップと;
前記属性キー選択受付ステップにて受け付けられた前記属性ごとに、前記設計用数値選択受付ステップにて受け付けられた前記設計用数値に関連する情報を、公差解析前に表示される解析前テーブルに表示する第二表示ステップと;
前記公差を解析するための公差解析テーブルに、前記設計用数値に関連する情報を、前記属性ごとにまとめて書き込む指示を行う情報書込指示ステップと;
前記情報書込指示ステップの後に、前記公差解析テーブルに、前記設計用数値に関連する情報を表示する第三表示ステップと;
前記第一表示ステップによって表示された前記設計用数値に寸法公差が含まれているか否かを判別する寸法公差有無判別ステップと;
前記寸法公差有無判別ステップによって前記寸法公差が含まれていると判別された場合には、前記寸法公差を優先して取得する表示公差優先ステップと;
前記寸法公差有無判別ステップによって前記寸法公差が含まれていないと判別された場合には、予め決められた標準公差を前記メモリから読み出して取得する第一標準公差読出ステップと;
を含み、
前記第二表示ステップでは、前記表示公差優先ステップによって優先取得された前記寸法公差あるいは前記第一標準公差読出ステップによって取得された前記標準公差を前記解析前テーブルに表示する組立品設計支援方法。
【請求項35】
前記属性は、寸法公差に対する感度として位置づけられるレバー比を含み、
前記レバー比の算出に必要な3種の点としての支点、変動点および測定点と、測定方向との各選択をユーザから受け付ける各点・方向選択受付手段と、
前記各点・方向選択受付手段によって受け付けられた前記3種の点の座標を少なくとも特定する座標特定手段と、
前記座標特定手段によって特定された各座標から、前記支点と前記測定点との間の前記測定方向の第1距離を、前記支点と前記変動点との間の第2距離で除した比率を算出する比率算出手段と、
前記レバー比を求めるために必要な係数をユーザから受け付ける係数受付手段と、
前記比率算出手段によって算出された前記比率と、前記係数受付手段によって受け付けられた前記係数とを用いて前記レバー比を算出する第1レバー比算出手段と、
をさらに備える請求項1からのいずれか1項に記載の組立品設計支援装置。
【請求項36】
前記属性は、寸法公差に対する感度として位置づけられるレバー比を含み、
前記レバー比の算出に必要な支点と変動点との間の第2距離と、前記支点と測定点との間の第3距離と、前記変動点から前記支点を経て前記測定点を結ぶ角度とをユーザから受け付ける各距離・角度受付手段と、
前記レバー比を求めるために必要な係数をユーザから受け付ける係数受付手段と、
前記各距離・角度受付手段によって受け付けられた各数値と、前記係数受付手段によって受け付けられた前記係数とを用いて前記レバー比を算出する第2レバー比算出手段と、
をさらに備える請求項1からのいずれか1項に記載の組立品設計支援装置。
【請求項37】
解析箇所の複数の要素を受け付ける要素受付手段と、
前記解析箇所の可視化の指示をユーザから受け付けたか否かを判別する可視化指示判別手段と、
前記可視化指示判別手段の結果、可視化の指示があった場合に前記解析箇所を目立たせる可視化表示を行う可視化表示手段と、
をさらに備える請求項1からのいずれか1項に記載の組立品設計支援装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、組立品の設計を支援するための組立品設計支援装置、当該装置にインストールして使用可能な公差設定用コンピュータプログラム、当該装置にインストールして使用可能な公差解析用コンピュータプログラム及び当該装置を用いて行う組立品設計支援方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、組立品を構成する各部品を組み立てる際に、各部品の寸法公差に起因する組立不良あるいは動作不良を防止すべく、CAD(Computer Aided Design)データを活用した公差解析を行う手法が用いられている。一般的に、公差解析を行うためのソフトウェア(コンピュータプログラム)は、400~1000万円の高価格帯に属するハイエンドのソフトウェアと、100~300万円の中価格帯に属するミッドレンジのソフトウェアとに大別される。ハイエンドの公差解析用ソフトウェアには、フルスペックのアウトプットを可能とし、さらには、穴の径とピンの径との差異(隙間あるいはガタともいう)及びレバー比(てこ比ともいう)の自動計算をも可能とすることを大きな特徴とするものが多い。一方、ミッドレンジの公差解析用ソフトウェアには、スペックを低く抑え、操作方法を容易とすることを特徴とするものが多い。
【0003】
組立品を構成する各部品の相互関係及び組立品の構造を最も理解している者は、当該組立品の設計者である。ハイエンドの公差解析用ソフトウェアの操作工数は膨大であり、かつ操作方法の難易度も高い。このため、設計者が設計業務の中でハイエンドの公差解析用ソフトウェアを使用するのは難しく、公差解析を専門に行う者がハイエンドの公差解析用ソフトウェアを使用しているのが現状である。一方、ミッドレンジの公差解析用ソフトウェアは、設計者が操作できる簡易な商品であるが、機能の充実性に欠けるという問題を有する。さらに、上記両種類の公差解析用ソフトウェアは、共通して、公差解析を行った者以外の第三者の確認が困難という問題を有する。
【0004】
このような問題を解決すべく、組立品の各部品の組立定義及び自由度をユーザに定義させ、各部品の組立定義及び自由度に基づき各部品の組立箇所の同一方向法線の数、法線方向の平行移動拘束自由度の数、法線と直交する軸回転拘束自由度数をカウントし、カウント値に対応するデータム種類を判定し、該判定したデータム種類を出力するようにした公差解析用ソフトウェアが知られている(特許文献1を参照)。また、設計者が各部品の組み付け位置の選択、公差の入力、組み立て順序の設定を都度行わなくとも累積組立精度を推定可能とし、設計者側の負担を軽減する設計支援プログラムも知られている(特許文献2を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2011-258008号公報
【文献】特開2012-155424号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記特許文献1に開示される技術は、公差解析結果を部品の組立指示の作成に容易に反映できるという長所を有している。また、上記特許文献2に開示される技術は、設計者の入力を減らし、利用しやすい長所を有している。しかし、CADソフトウェアから公差解析用ソフトウェアへの情報移行後に、設計者が容易に公差解析を行い、第三者が容易に解析の中身を確認するには至っていない。このため、CADソフトウェアと公差解析用ソフトウェアとの連携をより密にして、設計者が公差解析用ソフトウェアを容易に使用し、第三者が容易に解析の中身を確認できるようにすることが強く求められている。
【0007】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、操作性と機能性に優れ、設計者が容易に使用可能な組立品設計支援装置、公差設定用コンピュータプログラム、公差解析用コンピュータプログラム及び組立品設計支援方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
(組立品設計支援装置)
(1)上記目的を達成するための一実施形態に係る組立品設計支援装置は、中央処理装置とメモリとを備え、組立品の設計を支援するための組立品設計支援装置であって、組立品を構成する部品の形態を表す数値及び部品間の距離を表す数値の少なくともいずれか1つの設計用数値と、設計用数値の公差の解析において設計用数値の位置づけを共通にする属性ごとに設計用数値に関連する情報を集めるように指示するための属性キーと、を表示する第一表示手段と;設計用数値の選択を受け付ける設計用数値選択受付手段と;属性キーの選択を受け付ける属性キー選択受付手段と;属性キー選択受付手段にて受け付けられた属性ごとに、設計用数値選択受付手段にて受け付けられた設計用数値に関連する情報を、公差解析前に表示される解析前テーブルに表示する第二表示手段と;公差を解析するための公差解析テーブルに、設計用数値に関連する情報を属性ごとにまとめて書き込む指示を行う情報書込指示手段と;情報書込指示手段に従って、公差解析テーブルに、設計用数値に関連する情報を表示する第三表示手段と;を備える。
【0009】
(2)別の実施形態に係る組立品設計支援装置は、さらに、設計用数値に関連する情報に、属性に特有のIDを付与するID付与手段を備えても良い。
【0010】
(3)別の実施形態に係る組立品設計支援装置は、さらに、複数の設計用数値に関連する情報に対してアドレスを付与するアドレス付与手段を備えても良い。情報書込指示手段は、アドレスに対応する箇所に、設計用数値に関連する情報を書き込む指示を行うことができる。
【0011】
(4)別の実施形態に係る組立品設計支援装置は、また、第一表示手段によって表示された設計用数値に寸法公差が含まれているか否かを判別する寸法公差有無判別手段と、寸法公差有無判別手段によって寸法公差が含まれていると判別された場合には、寸法公差を優先して取得する表示公差優先手段と、寸法公差有無判別手段によって寸法公差が含まれていないと判別された場合には、予め決められた標準公差をメモリから読み出して取得する第一標準公差読出手段とを備えても良い。第二表示手段は、表示公差優先手段によって優先取得された寸法公差あるいは第一標準公差読出手段によって取得された標準公差を解析前テーブルに表示することができる。
【0012】
(5)別の実施形態に係る組立品設計支援装置では、また、第二表示手段は、予め決められた標準公差をレベル別に複数の選択肢を表示する手段であって、かつメモリは、標準公差をレベル別に複数種記憶する手段であっても良い。上記の組立品設計支援装置は、選択肢からの選択を受け付ける標準公差レベル選択受付手段と、標準公差レベル選択受付手段によって受け付けられたレベルの標準公差をメモリから読み出す第二標準公差読出手段とを、さらに備えても良い。第二表示手段は、第二標準公差読出手段によって読み出された標準公差を表示することができる。
【0013】
(6)別の実施形態に係る組立品設計支援装置では、また、属性は、組立品中の穴の径と当該穴に挿入されるピンの径の組み合わせを含んでも良い。上記の組立品設計支援装置は、穴の径とピンの径とに基づいて、公差範囲内の穴の径の中央値と公差範囲内のピンの径の中央値との寸法差を計算する穴・ピン径寸法差計算手段を、さらに備えても良い。第二表示手段若しくは第三表示手段は、寸法差を表示することができる。
【0014】
(7)別の実施形態に係る組立品設計支援装置では、また、属性は、寸法公差に対する感度として位置づけられるレバー比を含んでも良い。上記の組立品設計支援装置は、公差の解析に用いられる係数をレバー比に基づいて設定可能とする係数計算式を作成する係数計算式作成手段を、さらに備えても良い。第二表示手段は、解析前テーブルに、係数計算式を利用した係数の自動設定を選択可能に表示することができる。
【0015】
(8)別の実施形態に係る組立品設計支援装置では、また、属性は、部品の理想的な形状、姿勢あるいは位置からの許容されるズレの範囲と位置づけられる幾何公差を含んでも良い。上記の組立品設計支援装置は、第一表示手段によって表示された幾何公差の半値を計算する幾何公差半値計算手段を、さらに備えても良い。第二表示手段若しくは第三表示手段は、幾何公差の半値をプラスとマイナスとで表示することができる。
【0016】
(9)別の実施形態に係る組立品設計支援装置は、また、組立品の総合公差に影響を与える部品の公差ごとに、総合公差に寄与する割合を数値化した寄与率を設定若しくは計算する寄与率設定・計算手段と、公差解析テーブルに表示される公差を寄与率に依存させて計算する寄与率依存公差計算手段とを、さらに備えても良い。
【0017】
(10)別の実施形態に係る組立品設計支援装置では、また、公差解析テーブルは、2種以上の寄与率からの1つに基づいて公差を割り振るように計算させる寄与率選択キーを表示しても良い。上記の組立品設計支援装置は、2以上の寄与率選択キーの内の1つの選択を受け付ける寄与率選択受付手段を、さらに備えても良い。寄与率依存公差計算手段は、寄与率選択キーからの選択に基づき計算を行うことができる。
【0018】
(11)別の実施形態に係る組立品設計支援装置は、また、公差の内の1以上を寄与率依存公差計算手段の対象から除外する指示を受け付ける計算対象除外指示受付手段と、計算対象除外指示受付手段にて受け付けられた公差を固定する公差固定手段とを、さらに備えても良い。寄与率依存公差計算手段は、公差固定手段によって固定された公差を除く他の公差を対象として寄与率に依存した公差を計算することができる。
【0019】
(12)別の実施形態に係る組立品設計支援装置は、また、公差解析テーブルへの情報の入力若しくは既に入力された情報の変更を受け付ける情報入力・変更受付手段と、情報入力・変更受付手段によって受け付けられた情報を元の情報に代えて表示する情報更新表示手段と、をさらに備えても良い。
【0020】
(13)別の実施形態に係る組立品設計支援装置では、また、第一表示手段は、公差の解析ごとに選択可能な公差解析選択キーを表示可能であって、メモリは、公差の解析ごとに、解析に必要な設計用数値を記憶していても良い。上記の組立品設計支援装置は、公差解析選択キーの1つの選択を受け付ける公差解析選択キー受付手段と、公差解析選択キー受付手段によって受け付けられた公差の解析に対応する設計用数値をメモリから読み出す設計用数値読出手段とを、さらに備えても良い。第一表示手段は、設計用数値読出手段によって読み出された設計用数値を表示することができる。
【0021】
(14)別の実施形態に係る組立品設計支援装置は、公差の解析ごとの各解析結果を比較表示する解析結果比較表示手段を、さらに備えても良い。
【0022】
(15)別の実施形態に係る組立品設計支援装置では、また、第一表示手段は、属性ごとに表示形態を変更可能な属性表示形態変更キーを表示可能であって、メモリは、属性ごとに、属性に関連する設計用数値の表示形態を関連させて記憶していても良い。上記の組立品設計支援装置は、属性表示形態変更キーの1つの選択を受け付ける属性表示形態変更キー受付手段と、メモリの情報にアクセスして、属性表示形態変更キー受付手段によって受け付けられた属性に関連する設計用数値の表示形態を、他の属性に関連する設計用数値の表示形態と変える表示形態変更手段とを、さらに備えても良い。第一表示手段は、表示形態変更手段によって変更された設計用数値を表示することができる。
【0023】
(16)別の実施形態に係る組立品設計支援装置は、また、公差解析テーブル中若しくは解析前テーブル中の情報の指定を受け付けるテーブル内情報指定受付手段と、テーブル内情報指定受付手段によって受け付けられた情報と合致する情報であって、第一表示手段によって表示された設計用数値を、その他の設計用数値と変えて表示する設計用数値表示形態変更手段とを、さらに備えても良い。
【0024】
(17)別の実施形態に係る組立品設計支援装置は、また、設計用数値に片側公差が含まれているか否かを判別する片側公差有無判別手段と、片側公差が含まれている場合に、片側公差の半値を求める片側公差計算手段と、を備えても良い。第二表示手段若しくは第三表示手段は、公差として、片側公差の半値をプラスとマイナスとで表示することができる。
【0025】
(公差設定用コンピュータプログラム)
(18)一実施形態に係る公差設定用コンピュータプログラムは、中央処理装置とメモリとを備えるコンピュータにインストールされ、組立品を構成する部品の形態を表す数値及び部品間の距離を表す数値の少なくともいずれか1つの設計用数値の公差を設定可能な公差設定用コンピュータプログラムであって、コンピュータを、設計用数値と、公差の解析において設計用数値の位置づけを共通にする属性ごとに設計用数値に関連する情報を集めるように指示するための属性キーと、を表示する第一表示手段;設計用数値の選択を受け付ける設計用数値選択受付手段;属性キーの選択を受け付ける属性キー選択受付手段;属性キー選択受付手段にて受け付けられた属性ごとに、設計用数値選択受付手段にて受け付けられた設計用数値に関連する情報を、公差解析前に表示される解析前テーブルに表示する第二表示手段;及び公差を解析するための公差解析テーブルに、設計用数値に関連する情報を、属性ごとにまとめて書き込む指示を行う情報書込指示手段;として機能させる。
【0026】
(19)別の実施形態に係る公差設定用コンピュータプログラムは、コンピュータに、設計用数値に関連する情報に属性に特有のIDを付与するID付与手段として、さらに機能させても良い。
【0027】
(20)別の実施形態に係る公差設定用コンピュータプログラムは、コンピュータを、複数の設計用数値に関連する情報に対してアドレスを付与するアドレス付与手段として、さらに機能させても良い。情報書込指示手段は、アドレスに対応する箇所に、設計用数値に関連する情報を書き込む指示を行うことができる。
【0028】
(21)別の実施形態に係る公差設定用コンピュータプログラムは、また、コンピュータを、第一表示手段によって表示された設計用数値に寸法公差が含まれているか否かを判別する寸法公差有無判別手段;寸法公差有無判別手段によって寸法公差が含まれていると判別された場合には、寸法公差を優先して取得する表示公差優先手段;及び寸法公差有無判別手段によって寸法公差が含まれていないと判別された場合には、予め決められた標準公差をメモリから読み出して取得する第一標準公差読出手段として、さらに機能させても良い。第二表示手段は、表示公差優先手段によって優先取得された寸法公差あるいは第一標準公差読出手段によって取得された標準公差を解析前テーブルに表示することができる。
【0029】
(22)別の実施形態に係る公差設定用コンピュータプログラムでは、また、第二表示手段は、予め決められた標準公差をレベル別に複数の選択肢を表示する手段であって、かつメモリは、標準公差をレベル別に複数種記憶する手段であっても良い。上記の公差設定用コンピュータプログラムは、コンピュータを、選択肢からの選択を受け付ける標準公差レベル選択受付手段、及び標準公差レベル選択受付手段によって受け付けられたレベルの標準公差をメモリから読み出す第二標準公差読出手段として、さらに機能させても良い。第二表示手段は、第二標準公差読出手段によって読み出された標準公差を表示することができる。
【0030】
(23)別の実施形態に係る公差設定用コンピュータプログラムでは、また、属性は、組立品中の穴の径と当該穴に挿入されるピンの径の組み合わせを含んでも良い。上記の公差設定用コンピュータプログラムは、コンピュータを、穴の径とピンの径とに基づいて、公差範囲内の穴の径の中央値と公差範囲内のピンの径の中央値との寸法差を計算する穴・ピン径寸法差計算手段として、さらに機能させても良い。第二表示手段は上記寸法差を表示することができる。
【0031】
(24)別の実施形態に係る公差設定用コンピュータプログラムでは、また、属性は、寸法公差に対する感度として位置づけられるレバー比を含んでも良い。上記の公差設定用コンピュータプログラムは、コンピュータを、公差の解析に用いられる係数をレバー比に基づいて設定可能とする係数計算式を作成する係数計算式作成手段として、さらに機能させても良い。第二表示手段は、解析前テーブルに、係数計算式を利用した係数の自動設定を選択可能に表示することができる。
【0032】
(25)別の実施形態に係る公差設定用コンピュータプログラムでは、属性は、部品の理想的な形状、姿勢あるいは位置からの許容されるズレの範囲と位置づけられる幾何公差を含んでも良い。上記の公差設定用コンピュータプログラムは、コンピュータを、第一表示手段によって表示された幾何公差の半値を計算する幾何公差半値計算手段として、さらに機能させても良い。第二表示手段は、幾何公差の半値をプラスとマイナスとで表示することができる。
【0033】
(26)別の実施形態に係る公差設定用コンピュータプログラムでは、また、第一表示手段は、公差の解析ごとに選択可能な公差解析選択キーを表示可能であっても良い。公差設定用コンピュータプログラムは、コンピュータを、公差解析選択キーの1つの選択を受け付ける公差解析選択キー受付手段、及び公差解析選択キー受付手段によって受け付けられた公差の解析に対応する設計用数値をメモリから読み出す設計用数値読出手段として、さらに機能させても良い。第一表示手段は、設計用数値読出手段によって読み出された設計用数値を表示することができる。
【0034】
(27)別の実施形態に係る公差設定用コンピュータプログラムでは、また、第一表示手段は、属性ごとに表示形態を変更可能な属性表示形態変更キーを表示可能であって、メモリは、属性ごとに、属性に関連する設計用数値の表示形態を関連させて記憶していても良い。公差設定用コンピュータプログラムは、コンピュータを、属性表示形態変更キーの1つの選択を受け付ける属性表示形態変更キー受付手段、及びメモリの情報にアクセスして、属性表示形態変更キー受付手段によって受け付けられた属性に関連する設計用数値の表示形態を、他の属性に関連する設計用数値の表示形態と変える表示形態変更手段として、さらに機能させても良い。第一表示手段は、表示形態変更手段によって変更された設計用数値を表示することができる。
【0035】
(28)別の実施形態に係る公差設定用コンピュータプログラムは、また、コンピュータを、解析前テーブル中の情報の指定を受け付けるテーブル内情報指定受付手段、及びテーブル内情報指定受付手段によって受け付けられた情報と合致する情報であって、第一表示手段によって表示された設計用数値を、その他の設計用数値と変えて表示する設計用数値表示形態変更手段として、さらに機能させても良い。
【0036】
(29)別の実施形態に係る公差設定用コンピュータプログラムは、また、コンピュータを、設計用数値に片側公差が含まれているか否かを判別する片側公差有無判別手段、及び片側公差が含まれている場合に片側公差の半値を求める片側公差計算手段として、さらに機能させても良い。第二表示手段は、公差として、片側公差の半値をプラスとマイナスとで表示することができる。
【0037】
(公差解析用コンピュータプログラム)
(30)一実施形態に係る公差解析用コンピュータプログラムは、中央処理装置とメモリとを備えるコンピュータにインストールされ、組立品を構成する部品の形態を表す数値及び部品間の距離を表す数値の少なくともいずれか1つの設計用数値の公差を設定可能な公差設定用コンピュータプログラムと連動して公差を解析可能な公差解析用コンピュータプログラムである。公差設定用コンピュータプログラムは、コンピュータを、設計用数値と、公差の解析において設計用数値の位置づけを共通にする属性ごとに設計用数値に関連する情報を集めるように指示するための属性キーと、を表示する第一表示手段;設計用数値の選択を受け付ける設計用数値選択受付手段;属性キーの選択を受け付ける属性キー選択受付手段;属性キー選択受付手段にて受け付けられた属性ごとに、設計用数値選択受付手段にて受け付けられた設計用数値に関連する情報を、公差解析前に表示される解析前テーブルに表示する第二表示手段;及び公差を解析するための公差解析テーブルに設計用数値に関連する情報を、属性ごとにまとめて書き込む指示を行う情報書込指示手段;として機能させるコンピュータプログラムである。公差解析用コンピュータプログラムは、コンピュータを、上記の情報書込指示手段に従って、公差解析テーブルに、設計用数値に関連する情報を表示する第三表示手段として機能させる。
【0038】
(31)別の実施形態に係る公差解析用コンピュータプログラムは、コンピュータを、組立品の総合公差に影響を与える部品の公差ごとに、総合公差に寄与する割合を数値化した寄与率を設定若しくは計算する寄与率設定・計算手段、及び公差解析テーブルに表示される公差を寄与率に依存させて計算する寄与率依存公差計算手段としてさらに機能させても良い。
【0039】
(32)別の実施形態に係る公差解析用コンピュータプログラムでは、公差解析テーブルは、2種以上の寄与率からの1つに基づいて公差を割り振るように計算させる寄与率選択キーを表示しても良い。上記の公差解析用コンピュータプログラムは、コンピュータを、2以上の寄与率選択キーの内の1つの選択を受け付ける寄与率選択受付手段として、さらに機能させても良い。寄与率依存公差計算手段は、寄与率選択キーからの選択に基づき計算を行うことができる。
【0040】
(33)別の実施形態に係る公差解析用コンピュータプログラムは、コンピュータを、公差の内の1以上を寄与率依存公差計算手段の対象から除外する指示を受け付ける計算対象除外指示受付手段、及び計算対象除外指示受付手段から受け付けられた公差を固定する公差固定手段として、さらに機能させても良い。寄与率依存公差計算手段は、公差固定手段によって固定された公差を除く他の公差を対象として寄与率に依存した公差を計算することができる。
【0041】
(34)別の実施形態に係る公差解析用コンピュータプログラムは、コンピュータを、公差解析テーブルへの情報の入力若しくは既に入力された情報の変更を受け付ける情報入力・変更受付手段、及び情報入力・変更受付手段によって受け付けられた情報を元の情報に代えて表示する情報更新表示手段として、さらに機能させても良い。
(35)別の実施形態に係る公差解析用コンピュータプログラムは、コンピュータを、公差の解析ごとの各解析結果を比較表示する解析結果比較表示手段として、さらに機能させても良い。
【0042】
(組立品設計支援方法)
(36)一実施形態に係る組立品設計支援方法は、中央処理装置とメモリとを備える装置であって組立品の設計を支援するための組立品設計支援装置を用いて行う組立品設計支援方法であって、組立品を構成する部品の形態を表す数値及び部品間の距離を表す数値の少なくともいずれか1つの設計用数値と、設計用数値の公差の解析において設計用数値の位置づけを共通にする属性ごとに設計用数値に関連する情報を集めるように指示するための属性キーと、を表示する第一表示ステップと;設計用数値の選択を受け付ける設計用数値選択受付ステップと;属性キーの選択を受け付ける属性キー選択受付ステップと;属性キー選択受付ステップにて受け付けられた属性ごとに、設計用数値選択受付ステップにて受け付けられた設計用数値に関連する情報を、公差解析前に表示される解析前テーブルに表示する第二表示ステップと;公差を解析するための公差解析テーブルに、設計用数値に関連する情報を、属性ごとにまとめて書き込む指示を行う情報書込指示ステップと;情報書込指示ステップの後に、公差解析テーブルに、設計用数値に関連する情報を表示する第三表示ステップと;を含む。
【0043】
(組立品設計支援装置)
(37)一実施形態に係る組立品設計支援装置は、上述の(1)~(6)の内の1つの組立品設計支援装置において、属性には寸法公差に対する感度として位置づけられるレバー比を含み、レバー比の算出に必要な3種の点としての支点、変動点および測定点と、測定方向との各選択をユーザから受け付ける各点・方向選択受付手段と、各点・方向選択受付手段によって受け付けられた3種の点の座標を少なくとも特定する座標特定手段と、座標特定手段によって特定された各座標から、支点と測定点との間の測定方向の第1距離を、支点と変動点との間の第2距離で除した比率を算出する比率算出手段と、レバー比を求めるために必要な係数をユーザから受け付ける係数受付手段と、比率算出手段によって算出された比率と、係数受付手段によって受け付けられた係数とを用いてレバー比を算出する第1レバー比算出手段と、をさらに備えても良い。
(38)一実施形態に係る組立品設計支援装置は、上述の(1)~(6)の内の1つの組立品設計支援装置において、属性には寸法公差に対する感度として位置づけられるレバー比を含み、レバー比の算出に必要な支点と変動点との間の第2距離と、支点と測定点との間の第3距離と、変動点から支点を経て測定点を結ぶ角度とをユーザから受け付ける各距離・角度受付手段と、レバー比を求めるために必要な係数をユーザから受け付ける係数受付手段と、各距離・角度受付手段によって受け付けられた各数値と係数受付手段によって受け付けられた係数とを用いてレバー比を算出する第2レバー比算出手段と、をさらに備えても良い。
(39)一実施形態に係る組立品設計支援装置は、上述の(1)~(6)の内の1つの組立品設計支援装置において、解析箇所の複数の要素を受け付ける要素受付手段と、解析箇所の可視化の指示をユーザから受け付けたか否かを判別する可視化指示判別手段と、可視化指示判別手段の結果、可視化の指示があった場合に解析箇所を目立たせる可視化表示を行う可視化表示手段と、をさらに備えても良い。
【発明の効果】
【0044】
本発明によれば、操作性と機能性に優れ、設計者が容易に使用可能で、第三者が解析内容を容易に確認できる組立品設計支援装置、公差設定用コンピュータプログラム、公差解析用コンピュータプログラム及び組立品設計支援方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0045】
図1図1は、本発明に係る組立品設計支援装置の好適な実施形態の構成図を示す。
図2図2は、図1の組立品設計支援装置を用いて行う主な処理の流れを示す。
図3図3は、図2の各処理に応じて表示される画面若しくは画面の一部を示す。
図4図4は、図2の各処理に応じて表示される画面若しくは画面の一部を示す。
図5図5は、図2の各処理に応じて表示される画面若しくは画面の一部を示す。
図6図6は、図2の各処理に応じて表示される画面若しくは画面の一部を示す。
図7図7は、図2の各処理に応じて表示される画面若しくは画面の一部を示す。
図8図8は、図2の各処理に応じて表示される画面若しくは画面の一部を示す。
図9図9は、図2の各処理に応じて表示される画面若しくは画面の一部を示す。
図10図10は、図2の各処理に応じて表示される画面若しくは画面の一部を示す。
図11図11は、図2の各処理に応じて表示される画面若しくは画面の一部を示す。
図12図12は、図2の各処理に応じて表示される画面若しくは画面の一部を示す。
図13図13は、図1の組立品設計支援装置を用いて行うことのできる公差優先表示機能の処理フロー(13A)及び当該機能について説明する図(13B)をそれぞれ示す。
図14図14は、図1の組立品設計支援装置を用いて行うことのできる標準公差レベル別表示機能の処理フロー(14A)及びレベル別の標準公差からの選択を説明する図(14B)をそれぞれ示す。
図15図15は、メモリに格納されている各レベルの標準公差を説明する図であって、(15A)は穴・ピン以外の公差情報を読み出す状況を、(15B)は穴・ピン独自の公差情報を読み出す状況を、それぞれ示す。
図16図16は、図1の組立品設計支援装置を用いて行うことのできる標準公差レベル別表示機能の変形例であって確認テーブルにおいて所定レベルの標準公差を選択した際の処理フローの(16A)及びレベル別の標準公差からの選択を説明する図(16B)をそれぞれ示す。
図17図17は、メモリに格納されている各レベルの標準公差を説明する図を示す。
図18図18は、図1の組立品設計支援装置を用いて行うことのできる穴・ピン径寸法差表示機能の処理フロー(18A)及び当該機能について説明する図(18B)をそれぞれ示す。
図19図19は、図18に示す機能の変形例の処理フロー(19A)及び当該機能について説明する図(19B)をそれぞれ示す。
図20図20は、図1の組立品設計支援装置を用いて行うことのできる係数計算式作成機能の処理フロー(20A)及び当該機能について説明する図(20B)をそれぞれ示す。
図21図21は、図1の組立品設計支援装置を用いて行うことのできる幾何公差半値計算機能の処理フロー(21A)及び当該機能について説明する図(21B)をそれぞれ示す。
図22図22は、図21に示す機能の変形例の処理フロー(22A)及び当該機能について説明する図(22B)をそれぞれ示す。
図23図23は、図1の組立品設計支援装置を用いて行うことのできる寄与率依存公差割振機能の処理フローを例示する。
図24図24は、Σ用の寄与率を用いて公差の割り振りを行う例を説明した図を示す。
図25図25は、√用の寄与率を用いて公差の割り振りを行う例を説明した図を示す。
図26図26は、図231のフローの変形例を示す。
図27図27は、図26のフローによって寄与率に基づく公差の割り振りを行う例を説明した図を示す。
図28図28は、図1の組立品設計支援装置を用いて行うことのできる公差解析結果反映機能の処理フロー(28A)及び当該機能を説明した図(28B)をそれぞれ示す。
図29図29は、図1の組立品設計支援装置を用いて行うことのできる解析別設計用数値切替機能の処理フロー(29A)及び設計用数値の切り替えを行う状況を説明した図(29B)をそれぞれ示す。
図30図30は、図1の組立品設計支援装置を用いて行うことのできる属性表示形態変更機能の処理フロー(30A)及び表示形態を変更する状況を説明した図(30B)をそれぞれ示す。
図31図31は、図1の組立品設計支援装置を用いて行うことのできる設計用数値表示形態変更機能の処理フロー(31A)及び表示形態を変更する状況を説明した図(31B)をそれぞれ示す。
図32図32は、(31A)のフローの変形例(32A)及び当該変更例によって表示形態を変更する状況を説明した図(32B)をそれぞれ示す。
図33図33は、図1の組立品設計支援装置を用いて行うことのできる片側公差変更表示機能の処理フロー(33A)およびその処理を説明するための図(33B)をそれぞれ示す。
図34図34は、図1の組立品設計支援装置を用いて行うことのできる解析結果比較表示機能の処理フロー(34A)及び当該表示機能を発揮させる操作を説明した図(34B)をそれぞれ示す。
図35図35は、(34B)の操作に続いて表示される解析結果の一例を示す。
図36図36は、図11の公差解析テーブルの一部変形例を示す。
図37図37は、図36の公差解析テーブルの欄外にあるキーを選択指示することによって表示されるグラフの例(37A,37B,37C)を示す。
図38図38は、本発明に係る別の組立品設計支援装置の好適な実施形態の構成図を示す。
図39図39は、図38の組立品設計支援装置が行う第1のレバー比自動計算機能の各処理のフローを示す。
図40図40は、図39のフローによる第1のレバー比自動計算機能を用いる場合に、ユーザに表示される組立品の画像を示す。
図41図41は、図39のフローによる第1のレバー比自動計算機能を用いる場合に、ユーザが指示若しくは入力する入力フォーム(41A,41B)を示す。
図42図42は、図38の組立品設計支援装置が行う第2のレバー比自動計算機能の各処理のフローを示す。
図43図43は、レバー比の属性を示す組立品の3Dモデルを示す。
図44図44は、図42のフローによる第2のレバー比自動計算機能を用いる場合に、ユーザが指示若しくは入力する入力フォーム(44A,44B)を示す。
図45図45は、解析箇所表示機能のフローを示す。
図46図46は、図45を行うにあたりユーザが指示する画面例を示す。
図47図47は、解析箇所を表示した状態の画面例(47A)および表示・非表示の交互に切り替える状況を説明するための図(47B)をそれぞれ示す。
【発明を実施するための形態】
【0046】
次に、本発明に係る組立品設計支援装置、公差設定用コンピュータプログラム、公差解析用コンピュータプログラム及び組立品設計支援方法の各実施形態について、図面を参照して説明する。なお、以下に説明する実施形態は、特許請求の範囲に係る発明を限定するものではなく、また、実施形態の中で説明されている諸要素及びその組み合わせの全てが本発明の解決手段に必須であるとは限らない。
【0047】
1.定義
(1)設計用数値
本願において、「設計用数値」とは、組立品を構成する部品の形態を表す数値(A)、及び部品間の距離を表す数値(B)の少なくともいずれか1つの数値である。数値(A)は、例えば、部品の一部若しくは全体の寸法、角度、真円度、曲率、寸法比率、弾性率、硬度などを定量的に表した数値をいう。数値(B)は、例えば、2以上の部品相互間の寸法、角度、寸法比率、弾性率の比率などを定量的に表した数値をいう。数値(A)及び数値(B)は、1つの部品の内部若しくは外部又は部品相互間の位置、大きさ、形状、物性等を定量的に表す数値であれば、上記例示に限定されない。また、「設計用数値」は、公差を含まない数値、公差を含む数値、あるいは公差自体でも良い。
【0048】
(2)公差と片側公差
公差とは、正確な数値(「理想的な数値」あるいは「基準値」ともいう)から設計上許容される変動幅をいう。公差は、大別して、寸法公差と幾何公差とに分けられる。上記基準値は、一般的に、変動幅内の中心値(中央値とも称する。以後、同様。)をとることが多いが、必ずしも中心値とは限らない。例えば、「1±0.1」は、基準値を「1」とし、最大値「1.1」から最小値「0.9」までの「0.2」という公差を定めたものである。このような場合、基準値である「1」は、最大値「1.1」と最小値「0.9」の中心値となっている。一方、「1+0.1,-0.05」は、基準値を「1」とし、最大値「1.1」から最小値「0.95」までの「0.15」という公差を定めたものである。このような場合、基準値である「1」は、最大値「1.1」と最小値「0.95」の中心値ではない。また、本願では、「公差」は、基準値の前後の許容範囲に限定されず、基準値の前(基準値より小さい側)の許容範囲のみ、あるいは基準値の後(基準値より大きい側)の許容範囲のみをも含むように広義に解釈される。また、「片側公差」とは、基準値に対してプラス側(=増大する側)の幅とマイナス側(=減少する側)の幅に差のある公差をいう。例えば、「9.0±0.1」は、基準値「9.0」に対してプラス側及びマイナス側の各幅とも「0.1」と等しいことから、片側公差を有する数値ではない。一方、「9.0+0.1,-0.4」は、基準値「9.0」に対してプラス側の幅が「0.1」でありマイナス側の幅が「0.4」であり、それらの幅を異にすることから、片側公差を有する数値である。
【0049】
(3)寸法公差
寸法公差は、所定距離(「基準寸法」ともいう)の許容変動幅である。寸法は、長さあるいは距離と同義である。
【0050】
(4)幾何公差
幾何公差は、JIS B 0021にて定められる形状公差(真直度、平面度、真円度、円筒度、線の輪郭度及び面の輪郭度)、姿勢公差(平行度、直角度、傾斜度、線の輪郭度及び面の輪郭度)、位置公差(位置度、同心度、同軸度、対称度、線の輪郭度及び面の輪郭度)、振れ公差(円周振れ及び全振れ)を含むように広義に解釈される。本願でいう幾何公差は、上記JIS B0021に定められる各種公差以外に、例えば、部品の物性(硬度、弾性率、曲げ強度など)の変動幅をも含み得る。幾何公差は、寸法公差と異なり、公差解析において、上記基準値に大きな意味を持たない場合もある。これに対して、寸法公差は、上記基準値は、公差解析において意味を持つ。
【0051】
(5)属性
本願では、「属性」は、端的にいえば、設計用数値の公差の解析において、設計用数値の位置づけを共通にする性質を意味する。複数の部品から組み立てられる組立品において、2つのギアの噛み合い量を計算する場合、その計算には、各ギアの回転中心間距離、各ギアの半径の他、各ギアの回転軸の径とその回転軸を挿入する穴の径との差、各ギアに接触若しくは圧力を与えている他の部品の位置など、両ギア及びその他の関係部品の位置、大きさ等の設計用数値が関係する。各設計用数値には公差があるので、組立品中の2つのギアが正常に噛み合って回転するためには、両ギアと両ギアに関係する部品の設計用数値の公差を積み上げて、目標とする総合公差を満足するようにしなければならない。このような解析を公差解析と称する。公差解析において、各部品の設計用数値は、解析上、同一の位置づけではなく、位置づけを共通とするいくつかのグループに分けられる。このグループを、属性と称する。例えば、ある湾曲部材の湾曲部位の輪郭度は、「幾何公差」という属性に所属する。また、ギアの回転中心の穴の径と該穴に挿入される軸の径との差(穴・ピン径寸法差という)は、「穴・ピン(ガタ)」という属性に所属する。また、2つの噛み合うギアの上に細長い部品が略水平に接していて、該細長い部品の端部が固定されている場合、端部の固定位置の上下変動は、ギアの噛み合いに影響を与えるものの、100%の感度で影響を与えない場合がある。このような場合、ギアの噛み合いに影響を与える感度を「レバー比」という。上記細長い部品の所定長さの比率は、「レバー比」という属性に所属する。さらに、両ギアの噛み合いに関係する各種寸法は、「計算式に乗る寸法」という属性に所属する。このように、公差解析上、その位置づけを共通にする設計用数値をグループ分けした属性としては、「幾何公差」、「穴・ピン(ガタ)」、「レバー比」及び「計算式に乗る寸法」の4種類を例示できるが、これら4種類に限定されない。例えば、「すべり」および「弾性率」を属性に含めることもできる。
【0052】
(6)総合公差
所定の公差解析において、関係する各部品の公差を累積したものを「総合公差」と称する。総合公差としては、各公差を単純に加算したもの(Σで表す)の他、各公差の二乗を加算して平方根をとった値(√で表す)もある。
【0053】
2.組立品設計支援装置の構成
図1は、本発明に係る組立品設計支援装置の好適な実施形態の構成図を示す。図1において表されている構成は、それぞれ、主として機能別に区分けされたものであり、装置の正確なハードウェアを表したものではない。
【0054】
組立品設計支援装置1は、中央処理装置(CPU)14とメモリ11とを備え、組立品の設計を支援するための装置である。メモリ11は、組立品のCADデータ、組立品を構成する部品の形態を表す数値及び部品間の距離を表す数値の少なくともいずれか1つの設計用数値の公差を設定可能な公差設定用コンピュータプログラム81、公差設定用コンピュータプログラム81と連動して公差を解析可能な公差解析用コンピュータプログラム82、及びその他の情報を格納する構成部である。その他の情報としては、後述する各種機能を発揮する上で必要な情報を挙げることができる。メモリ11は、好ましくは、ハードディスクドライブ(HDD)、フラッシュメモリを利用したソリッドステートドライブ(SSD)、電圧操作によってデータの消去や書き換えが可能なメモリ(EEPROM)、読み書き自在なメモリ(RAM)等に代表される記憶装置の1種若しくは2種以上にて形成される。なお、一方的に読み出しされる情報は、HDD、SSD、EEPROMあるいはRAMではなく、メモリ11の一例であるデータの読み出し専用メモリ(ROM)に格納されるのが好ましい。
【0055】
組立品設計支援装置1は、キーボード、タッチパネル、ポインティングデバイス、音声入力装置等に代表される入力部10を備える。組立品設計支援装置1は、ブラウン管(CRT)、液晶ディスプレイ(LCD)、プラズマディスプレイ(PDP)、有機ELなどに代表されるモニタ12を備える。このため、組立品設計支援装置1を使用するユーザは、モニタ12に表示される情報を確認しながら、入力部10を通じて、必要な情報の入力、情報の選択、情報の削除、情報の変更あるいはコマンドの送信などを行うことができる。また、組立品設計支援装置1は、好ましくは、磁気ディスクあるいは光ディスク等に代表される情報記録媒体80に記録される公差設定用コンピュータプログラム81及び公差解析用コンピュータプログラム82を読み出して、メモリ11にそれぞれ記憶可能とする情報読出装置13を備える。組立品設計支援装置1は、好適にはコンピュータ、より好ましくはパーソナルコンピュータ(PC)であるが、これらに限定されるものではない。
【0056】
この実施形態において、公差設定用コンピュータプログラム81は、CAD(2D、3Dのいずれでも良いが、好ましくは3D)そのものあるいはビュアー(Viewer)そのもの、あるいはCAD若しくはビュアー(以後、「CAD等」という)にアドイン(アドオンともいう)してCAD等の機能を拡張可能なコンピュータプログラムでも良い。より好ましい公差設定用コンピュータプログラム81は、CAD等の機能を拡張可能なコンピュータプログラムである。公差設定用コンピュータプログラム81は、CAD等の機能を拡張可能なコンピュータプログラムの形態をとる場合には、あらゆるCAD等にアドイン可能なコンピュータプログラムであるのが好ましい。また、公差解析用コンピュータプログラム82は、公差解析を行うためのコンピュータプログラムである。組立品設計支援装置1の特徴の一つは、公差設定用コンピュータプログラム81と公差解析用コンピュータプログラム82との連動を実現して、設計と公差の解析とを容易にして、設計者自身による公差解析を含む設計を支援可能とすることである。
【0057】
図1に示すように、CPU14は、好ましくは、機能上、第一表示部21、設計用数値選択受付部22、属性キー選択受付部23、情報入力テーブル表示部24、確認テーブル表示部25、情報書込指示部26、公差解析テーブル表示部27、ID付与部28、アドレス付与部29、寸法公差有無判別部30、表示公差優先部31、第一標準公差読出部32、標準公差レベル選択受付部33、第二標準公差読出部34、穴・ピン径寸法差計算部35、係数計算式作成部36、幾何公差半値計算部37、寄与率設定・計算部38、寄与率依存公差計算部39、寄与率選択受付部40、計算対象除外指示受付部41、公差固定部42、情報入力・変更受付部43、公差解析選択受付部44、設計用数値読出部45、解析結果一覧表示部46、属性表示形態変更受付部47、表示形態変更部48、テーブル内情報指定受付部49、設計用数値表示形態変更部50、片側公差有無判別部51、片側公差計算部52、CADファイル受付部53、設計用数値選択判別部54、確認テーブル表示指示判別部55、全属性設定判別部56、属性選択判別部57、入力判別部58、入力受付・表示部59、設定キー入力判別部60、追加変更判別部61、追加変更情報受付・表示部62、公差解析テーブル表示指示判別部63、ID・アドレス確認部64、標準公差レベル選択判別部65、寄与率選択判別部66、計算対象除外選択判別部67、情報入力・変更判別部68、情報更新表示部69、公差解析選択判別部70、属性表示形態変更判別部71、テーブル内情報指定判別部72、解析結果一覧表示選択判別部73、解析結果一覧表示選択受付部74及び表示維持部75を有する。
【0058】
(1)組立品設計支援装置1は、簡易な構成例において、好ましくは、CPU14の上記機能上の構成部21~75の内、第一表示部21、設計用数値選択受付部22、属性キー選択受付部23、情報入力テーブル表示部24と確認テーブル表示部25との内の少なくともいずれか1つ、情報書込指示部26及び公差解析テーブル表示部27を備える。
【0059】
第一表示部21は、組立品を構成する部品の形態を表す数値及び部品間の距離を表す数値の少なくともいずれか1つの設計用数値と、設計用数値の公差の解析において設計用数値の位置づけを共通にする属性ごとに設計用数値に関連する情報を集めるように指示するための属性キーと、を表示する第一表示手段の例示構成部である。ここで、「設計用数値に関連する情報」は、設計用数値と、設計用数値には関係あるものの設計用数値以外の情報(公差、番号、ユーザが入力した名称など)との内の少なくともいずれか一方を含む。設計用数値選択受付部22は、モニタ12に表示されている設計用数値の中から、所定の設計用数値の選択を受け付ける設計用数値選択受付手段の例示構成部である。この場合、設計用数値は、好ましくは組立品の2次元(2D)若しくは3次元(3D)の画像と共に、入力部10から選択できるようにモニタ12に表示されている。属性キー選択受付部23は、モニタ12に表示されている1または2以上の属性キーの内の1つの選択を受け付ける属性キー選択受付手段の例示構成部である。この場合、属性キーは、好ましくは組立品の2次元(2D)若しくは3次元(3D)の画像と異なる位置(例えば、表示画面の周囲)に、入力部10から選択できるようにモニタ12に表示されている。情報入力テーブル表示部24は、属性キー選択受付部23にて受け付けられた属性ごとに、設計用数値選択受付部22にて受け付けられた設計用数値に関連する情報を、公差解析前に表示される情報入力テーブル(解析前テーブルの一例)に表示する第二表示手段の例示構成部である。確認テーブル表示部25は、属性キー選択受付部23にて受け付けられた属性ごとに、設計用数値選択受付部22にて受け付けられた設計用数値に関連する情報を、公差解析前に表示される確認テーブル(解析前テーブルの一例)に表示する第二表示手段の例示構成部である。ここで、情報入力テーブルと確認テーブルとは、共に解析前テーブルに属する。確認テーブルは、この実施形態では、情報入力テーブルの時系列的に後の時点で表示されるテーブルである。ユーザは、情報入力テーブルの表示、続いて、確認テーブルの表示を経て、公差解析テーブルをモニタ12に表示させることができる。なお、情報入力テーブルのみ、あるいは確認テーブルのみを表示させた後、公差解析テーブルを表示させても良い。そのような場合には、第二表示手段は、情報入力テーブル表示部24のみ、あるいは確認テーブル表示部25のみである。
【0060】
情報書込指示部26は、公差を解析するための公差解析テーブルに、設計用数値に関連する情報を、属性ごとにまとめて書き込む指示を行う情報書込指示手段の例示構成部である。すなわち、CPU14は、情報書込指示部26として、設計用数値に関連する情報を、属性単位にまとまった状態で公差解析テーブルに書き込むように指示する。この指示は、CPU14の処理を通じて、好ましくは公差設定用コンピュータプログラム81側から公差解析用コンピュータプログラム82側への情報伝達という形態で行われる。公差解析テーブル表示部27は、情報書込指示部26に従って、公差解析テーブルに、設計用数値に関連する情報を表示する第三表示手段の例示構成部である。この処理は、CPU14が主として公差解析用コンピュータプログラム82を読みながら行う処理である。
【0061】
(2)組立品設計支援装置1は、好ましくは、さらに、ID付与部28を備えることができる。ID付与部28は、設計用数値に関連する情報に、属性に特有のIDを付与するID付与手段の例示構成部である。IDは、公差解析に必要な設計用情報を、属性単位でまとめて公差解析テーブルに表示させるためのグループ記号(属性記号ともいう)である。
【0062】
(3)組立品設計支援装置1は、好ましくは、さらに、アドレス付与部29を備えることができる。アドレス付与部29を備えることにより、情報書込指示部26は、アドレスに対応する箇所に、設計用数値に関連する情報を書き込む指示を行うことができる。アドレス付与部29は、複数の設計用数値に関連する情報に対してアドレスを付与するアドレス付与手段の例示構成部である。属性ごとにIDを付与しなくとも、属性に属している情報ごとにアドレスを付与することにより、属性ごとにまとめて表示することも可能である。また、公差解析テーブルに属性単位で情報を書き込むだけであれば、先に説明したID付与部28のみの機能で足りる。設計用数値に関する情報を所定の順番でまとめて書き込むようにするには、個々の情報に番号等のアドレスを付与するのが好ましい。例えば、「KS」というIDを付与された合計5つの情報に対して、1~5(A~Eでも良い)の順番を意味するアドレスを付与すると、KSというIDを付与された5つの情報が順不同で公差解析テーブルに書き込まれず、1~5の順番で並んだ状態で公差解析テーブルに書き込まれる。
【0063】
(4)組立品設計支援装置1は、好ましくは、さらに、寸法公差有無判別部30と、表示公差優先部31と、第一標準公差読出部32とを備える。寸法公差有無判別部30は、第一表示部21によって表示された設計用数値に寸法公差が含まれているか否かを判別する寸法公差有無判別手段の例示構成部である。表示公差優先部31は、寸法公差有無判別部30によって寸法公差が含まれていると判別された場合に、寸法公差を優先して取得する表示公差優先手段の例示構成部である。第一標準公差読出部32は、寸法公差有無判別部30によって寸法公差が含まれていないと判別された場合に、予め決められた標準公差をメモリ11から読み出して取得する第一標準公差読出手段の例示構成部である。情報入力テーブル表示部24(あるいは確認テーブル表示部25)は、表示公差優先部31によって優先取得された寸法公差あるいは第一標準公差読出部32によって取得された標準公差を解析前テーブルに表示する。
【0064】
(5)組立品設計支援装置1は、好ましくは、さらに、標準公差レベル選択受付部33と、第二標準公差読出部34とを備えることができる。この場合、情報入力テーブル表示部24(あるいは確認テーブル表示部25)は、予め決められた標準公差(普通公差ともいう)をレベル別に複数の選択肢として表示する手段であって、かつメモリ11は、標準公差をレベル別に複数種記憶する手段である。レベルとは、公差の厳しさの度合いを意味する。標準公差レベル選択受付部33は、上記選択肢からの選択を受け付ける標準公差レベル選択受付手段の例示構成部である。第二標準公差読出部34は、標準公差レベル選択受付部33によって受け付けられたレベルの標準公差をメモリ11から読み出す第二標準公差読出手段の例示構成部である。その後、情報入力テーブル表示部24(あるいは確認テーブル表示部25)は、第二標準公差読出部34によって読み出された所定レベルの標準公差を表示することができる。
【0065】
(6)組立品設計支援装置1は、好ましくは、さらに、穴・ピン径寸法差計算部35を備えることができる。この場合、属性は、組立品中の穴の径と当該穴に挿入されるピンの径の組み合わせを含む。穴・ピン径寸法差計算部35は、穴の径とピンの径とに基づいて、公差範囲内の穴の径の中央値と公差範囲内のピンの径の中央値との寸法差を計算する穴・ピン径寸法差計算手段の例示構成部である。この結果、情報入力テーブル表示部24(あるいは確認テーブル表示部25)は、情報入力テーブル(あるいは確認テーブル)に、上記寸法差を表示することができる。なお、公差解析テーブル表示部27が公差解析テーブルに上記寸法差を表示するようにしても良い。
【0066】
(7)組立品設計支援装置1は、好ましくは、さらに、係数計算式作成部36を備えることができる。この場合、属性は、寸法公差に対する感度として位置づけられるレバー比を含む。係数計算式作成部36は、公差の解析に用いられる係数をレバー比に基づいて設定可能とする係数計算式を作成する係数計算式作成手段の例示構成部である。これによって、情報入力テーブル表示部24(あるいは確認テーブル表示部25)は、情報入力テーブル(あるいは確認テーブル)に、係数計算式を利用した係数の自動設定を選択可能に表示することができる。
【0067】
(8)組立品設計支援装置1は、好ましくは、さらに、幾何公差半値計算部37を備えることができる。この場合、属性は、部品の理想的な形状、姿勢あるいは位置からの許容されるズレの範囲と位置づけられる幾何公差を含む。幾何公差半値計算部37は、第一表示部21によって表示された幾何公差の半値を計算する幾何公差半値計算手段の例示構成部である。これにより、情報入力テーブル表示部24(あるいは確認テーブル表示部25)は、情報入力テーブル(あるいは確認テーブル)に、幾何公差の半値をプラスとマイナスとで表示することができる。なお、公差解析テーブル表示部27が公差解析テーブルに幾何公差の半値をプラスとマイナスとで表示するようにしても良い。
【0068】
(9)組立品設計支援装置1は、好ましくは、さらに、寄与率設定・計算部38及び寄与率依存公差計算部39を備えることができる。寄与率設定・計算部38は、組立品の総合公差に影響を与える部品の公差ごとに、総合公差に寄与する割合を数値化した寄与率を設定若しくは計算する寄与率設定・計算手段の例示構成部である。寄与率依存公差計算部39は、公差解析テーブルに表示される公差を寄与率に依存させて計算する寄与率依存公差計算手段の例示構成部である。総合公差は、先に説明したように、各公差の加算で表したもの(Σ)と、各公差の二乗を加算して平方根をとったもの(√)とが考えらえる。これら2種類の総合公差の考え方に対応するには、寄与率についても、Σ用と、√用とを用意するのが好ましい。この場合には、寄与率依存公差計算部39は、Σ用と√用にそれぞれ対応した計算を行うことができる。なお、寄与率依存公差計算部39は、Σ用のみ、あるいは√用のみに対応した計算を行う構成部でも良い。また、寄与率依存公差計算部39は、寄与率のみならず、レバー比をも考慮して計算するのが好ましい。ただし、組立品の構成によっては、レバー比を要しない場合もある。そのような場合には、寄与率依存公差計算部39は、レバー比を用いずに計算することができる。
【0069】
(10)組立品設計支援装置1は、好ましくは、さらに、寄与率選択受付部40を備えることができる。公差解析テーブルは、2種以上の寄与率からの1つに基づいて公差を割り振るように計算させる寄与率選択キーを表示可能である。寄与率選択受付部40は、2以上の寄与率選択キーの内の1つの選択を受け付ける寄与率選択受付手段の例示構成部である。寄与率依存公差計算部39は、寄与率選択キーからの選択に基づき計算を行うことができる。
【0070】
(11)組立品設計支援装置1は、好ましくは、さらに、計算対象除外指示受付部41及び公差固定部42を備えることができる。計算対象除外指示受付部41は、公差の内の1以上を寄与率依存公差計算部39の処理の対象から除外する指示を受け付ける計算対象除外指示受付手段の例示構成部である。公差固定部42は、計算対象除外指示受付部41にて受け付けられた公差を固定する公差固定手段の例示構成部である。この結果、寄与率依存公差計算部39は、公差固定部42によって固定された公差を除く他の公差を対象として寄与率に依存した公差を計算することができる。
【0071】
(12)組立品設計支援装置1は、好ましくは、さらに、情報入力・変更受付部43と、情報更新表示部69とを備えることができる。情報入力・変更受付部43は、公差解析テーブルへの情報の入力若しくは既に入力された情報の変更を受け付ける情報入力・変更受付手段の例示構成部である。情報更新表示部69は、情報入力・変更受付部43によって受け付けられた情報を元の情報に代えて表示する情報更新表示手段の例示構成部である。公差解析用コンピュータプログラム82側から公差設定用コンピュータプログラム81側に、公差解析テーブル上に入力されあるいは変更された情報が伝送される。CPU14は、情報更新表示部69として、情報入力・変更受付部43によって受け付けられた情報を、元の情報に代えて表示する。これによって、2Dあるいは3Dの画像と共に視覚的に公差解析の結果を確認できる。
【0072】
(13)組立品設計支援装置1は、好ましくは、さらに、公差解析選択受付部44及び設計用数値読出部45を備えることができる。この場合、第一表示部21は、公差の解析ごとに選択可能な公差解析選択キーを表示可能である。メモリ11は、公差の解析ごとに、解析に必要な設計用数値を記憶している。公差解析選択受付部44は、公差解析選択キーの1つの選択を受け付ける公差解析選択キー受付手段の例示構成部である。設計用数値読出部45は、公差解析選択受付部44によって受け付けられた公差の解析に対応する設計用数値をメモリ11から読み出す設計用数値読出手段の例示構成部である。この後、第一表示部21は、設計用数値読出部45によって読み出された設計用数値を表示することができる。
【0073】
(14)組立品設計支援装置1は、好ましくは、さらに、解析結果一覧表示部46を備えることができる。解析結果一覧表示部46は、公差の解析ごとの各解析結果を比較表示する解析結果比較表示手段の例示構成部である。これによって、複数の公差解析の結果を比較して表示させることができ、個々の解析では問題が無かった公差について、もし、他の解析を考慮したときに問題があるようであれば、この一覧結果を見ながら、更なる公差の検討が可能となる。
【0074】
(15)組立品設計支援装置1は、好ましくは、さらに、属性表示形態変更受付部47及び表示形態変更部48を備えることができる。この場合、第一表示部21は、属性ごとに表示形態を変更可能な属性表示形態変更キーを表示可能である。メモリ11は、属性ごとに、属性に関連する設計用数値の表示形態を関連させて記憶している。属性表示形態変更受付部47は、属性表示形態変更キーの1つの選択を受け付ける属性表示形態変更キー受付手段の例示構成部である。表示形態変更部48は、メモリ11の情報にアクセスして、属性表示形態変更受付部47によって受け付けられた属性に関連する設計用数値の表示形態を、他の属性に関連する設計用数値の表示形態と変える表示形態変更手段の例示構成部である。これにより、第一表示部21は、表示形態変更部48によって変更された設計用数値を表示することができる。
【0075】
(16)組立品設計支援装置1は、好ましくは、さらに、テーブル内情報指定受付部49及び設計用数値表示形態変更部50を備えることができる。テーブル内情報指定受付部49は、公差解析テーブル、情報入力テーブル又は確認テーブル中の情報の指定を受け付けるテーブル内情報指定受付手段の例示構成部である。設計用数値表示形態変更部50は、テーブル内情報指定受付部49によって受け付けられた情報と合致する情報であって、第一表示部21によって表示された設計用数値を、その他の設計用数値と変えて表示する設計用数値表示形態変更手段の例示構成部である。この結果、例えば、ユーザが公差解析テーブル、情報入力テーブル又は確認テーブル中の情報を、ポンティングデバイス等によって指示すると、CPU14は、第一表示部21として、好ましくは組立品の2Dあるいは3Dの画像と共に表示されている多くの設計用数値の中から、指示された情報に対応する設計用数値のみを他の設計用数値と変えて表示(例えば、ハイライト表示)することができる。
【0076】
(17)組立品設計支援装置1は、好ましくは、さらに、片側公差有無判別部51及び片側公差計算部52を備えることができる。片側公差有無判別部51は、設計用数値に片側公差が含まれているか否かを判別する片側公差有無判別手段の例示的構成である。片側公差計算部52は、片側公差が含まれている場合に、片側公差の半値を求める片側公差計算手段の例示構成部である。この結果、情報入力テーブル表示部24(あるいは確認テーブル表示部25)は、情報入力テーブル(あるいは確認テーブル)に、公差として、片側公差の半値をプラスとマイナスとで表示することができる。なお、公差解析テーブル表示部27が公差解析テーブルに片側公差の半値をプラスとマイナスとで表示するようにしても良い。
【0077】
上記(1)~(17)の各構成要件は、少なくとも(1)の各構成要件を含む限り、(2)~(17)の各構成要件の1または2以上を任意に組み合わせられる。ただし、組み合わせることが不可能な場合を除く。図1は、上記(1)~(17)の各構成要件を全て含む組立品設計支援装置1を示している。また、組立品設計支援装置1のCPU14の機能上の構成部21~75において、上記(1)~(17)の構成要件に存在しない構成部については、図2以降を参照しながら、より好ましい実施形態を構成する構成と位置付けて、具体的に説明する。
【0078】
<2.1 属性単位表示機能>
図2は、図1の組立品設計支援装置を用いて行う主な処理の流れを示す。図3~12は、図2の各処理に応じて表示される画面若しくは画面の一部を示す。以下、図2の各処理について、図3~12を参照しながら説明する。
【0079】
組立品設計支援装置1を用いた好適な処理は、例えば、図2に示すステップS101~S121にて行うことができる。
【0080】
(1)ステップS101(CADファイル受付ステップ)
このステップは、CPU14がCADファイルを受け付けるステップである。CADファイルは、組立品のCADデータを含むものであり、メモリ11に格納されている。このステップでは、CPU14は、CADファイル受付部53(CADファイル受付手段の一例)として、メモリ11からCADファイルを読み出して受け取る。
【0081】
(2)ステップS102(第一表示ステップ)
このステップは、ステップS101に続いて行われる。このステップでは、CPU14は、第一表示部21として、メモリ11から公差設定用コンピュータプログラム81を読み出して、設計用数値と属性キーとを含む画面を表示する。この画面には、好ましくは、組立品の2D若しくは3Dの画像と、属性キーを含む各種メニューを含むフィーチャー作成メニューとが表示される。次に、このステップについて、図3を参照しながら説明する。
【0082】
図3に示すファイル150は、好ましくは、組立品180の画像Aと、複数の属性キーを集めた属性キーエリアBと、属性ごとに選択してハイライト表示させるための属性表示キーを集めた属性表示キーエリアCと、公差解析ごとに必要な情報を読み出す解析選択キーをウィンドウ形式で表示可能な解析選択キーエリアDとを表示する。図3では、画像A、属性キーエリアB、属性表示キーエリアC及び解析選択キーエリアDは、ファイル150の外に拡大して示されている。ファイル150は、画像Aを表示可能な表示画面151を有する。属性キーエリアBは、選択可能な属性として、「計算式に乗る寸法」と称する属性キー152、「穴・ピン(ガタ)」と称する属性キー153、「幾何公差」と称する属性キー154及び「レバー比」と称する属性キー155を含む。「幾何公差」を「幾何公差及び計算式に含まれない公差値」と変えても良い。また、属性キーエリアBは、公差解析用コンピュータプログラム82に公差設定用コンピュータソフトウェア81を用いて準備した情報をエクスポート可能なエクスポート指示用のキー156と、公差解析用コンピュータプログラム82から公差設定用コンピュータプログラム81に向けて公差解析結果等の情報をインポート可能なインポート指示用のキー157とを含む。属性表示キーエリアCは、「計算式に乗る寸法の表示」と称する属性表示キー162、「穴・ピン(ガタ)の表示」と称する属性表示キー163、「幾何公差の表示」と称する属性表示キー164及び「レバー比の表示」と称する属性表示キー165を含む。属性表示キー162,163,164,165は、総称して、「属性表示形態変更キー162等」という。解析選択キーエリアDは、「解析1」と称する解析選択キー(公差解析選択キーの一例)170及び解析2~4を選択可能に一覧表示するウィンドウ領域171(公差解析選択キーの一例)を含む。解析選択キー170とウィンドウ領域171とを総称して、「公差解析選択キー170等」とする。
【0083】
組立品180は、この実施形態では、一例として、部品181と、部品182と、部品183と、部品184と、部品185と、部品186と、部品187と、部品188とから主に構成されている。部品182は、ギアであって、その略中心に設けられた穴182aにピン182bを挿入した状態で部品181に取り付けられている。部品183は、部品182と噛み合い、部品182よりも小径のギアである。部品183は、その略中心に設けられた穴183aにピン183bを挿入した状態で部品181に取り付けられている。部品184は、部品183の上方から部品183と直交するように噛み合うギアである。部品185は、一方向に細長く、一端側に設けられた穴185aにピン185bを挿入した状態で部品181に取り付けられている。部品185は、穴185aを設けた一端側と反対側の端部に近い位置で、部品184の上部に接している。部品186は、一方向に細長く、一端側に設けられた穴186aにピン186bを挿入した状態で部品181に取り付けられている。部品186は、穴186aを設けた一端側と反対側の端部を、部品185における上記反対側の端部の上面に接触させている。上述の部品182~186は、部品181の紙面表側の面に取り付けられている。一方、部品187は、一方向に長い軸であって、部品181の紙面表裏厚さ方向所定位置に挿通して取り付けられている。部品187の軸方向の一端は、部品185の位置を越えた下方位置に固定されている。部品187の上記一端と反対側の端部は、部品181の外方向に突出している。部品188は、ハンドルであって、その略中央部分を部品187の上記反対側の端部に固定されている。図3において、組立品180の各部品181~188の各種寸法及び幾何公差(設計用数値の一例)は、組立品180の画像Aとともに表示されている。また、当該各種寸法及び幾何公差は、表示画面151において、ユーザが入力部10により選択可能に表示されている。
【0084】
(3)ステップS103(設計用数値選択判別ステップ)
このステップは、ユーザから入力部10を通じて各種の設計用数値の選択が行われたか否かを判別するステップである。CPU14は、設計用数値選択判別部54(設計用数値選択判別手段の一例)として、画像Aとともに表示されている各種の設計用数値(寸法、幾何公差を含む)の1または2以上が選択されたか否かを判別する。ステップS103の判別の結果、YESの場合には、CPU14は、ステップS104を実行する。一方、ステップS103の判別の結果、NOの場合には、CPU14は、ステップS104をとばして、ステップS105を実行する。
【0085】
(4)ステップS104(設計用数値選択受付ステップ)
このステップは、画像Aとともに表示される設計用数値の選択を受け付けるステップである。CPU14は、設計用数値選択受付部22として、ステップS104を実行する。
【0086】
図4に示す組立品180の近くに表示される太点線で囲った5種類の設計用数値は、設計用数値選択受付部22によって受け付けられた寸法である。当該5種類の設計用数値は、この実施形態では、計算式に乗る寸法という属性に位置付けられている。
【0087】
(5)ステップS105(確認テーブル表示指示判別ステップ)
このステップは、ユーザから、入力部10を通じてエクスポート指示用のキー156の指示があったかどうかを判別するステップである。CPU14は、確認テーブル表示指示判別部55(確認テーブル表示指示判別手段の一例)として、ステップS105を実行する。ステップS105の判別の結果、YESの場合には、CPU14は、ステップS106を実行する。一方、ステップS105の判別の結果、NOの場合には、CPU14は、ステップS107を実行する。
【0088】
(6)ステップS106(全属性設定判別ステップ)
このステップは、解析に必要な全属性の設定が完了したか否かを判別するステップである。CPU14は、全属性設定判別部56(全属性設定判別手段の一例)として、ステップS106を実行する。ステップS106の判別の結果、YESの場合には、CPU14は、ステップS113を実行する。一方、ステップS106の判別の結果、NOの場合には、CPU14は、ステップS103に戻る。
【0089】
(7)ステップS107(属性選択判別ステップ)
このステップは、ユーザから、入力部10を通じて属性キー152~155の内の1つの選択指示が行われたかどうかを判別するステップである。CPU14は、属性選択判別部57(属性選択判別手段の一例)として、ステップS107を実行する。ステップS107の判別の結果、YESの場合には、CPU14は、ステップS108を実行する。一方、ステップS107の判別の結果、NOの場合には、CPU14は、ステップS103に戻る。
【0090】
(8)ステップS108(属性キー選択受付ステップ)
このステップは、ユーザが属性キー152~155の内の1つの選択指示を行ったときに、CPU14が属性キー選択受付部23として実行するステップである。ユーザが入力部10から図4中の5種類の設計用数値(太点線で囲った寸法)を選択して、属性キー152を選択指示する(図4中の太黒矢印を参照)。この結果、CPU14は、属性キー152に対応した属性(「計算式に乗る寸法」)の選択を受け付ける。
【0091】
(9)ステップS109(情報入力テーブル表示ステップであって第二表示ステップの一例)
このステップは、ステップS108に続いて行われるステップである。CPU14は、情報入力テーブル表示部24として、ステップS104にて受け付けられた設計用数値に関連する情報(この実施形態では、設計用数値をも含む)を、公差解析前に表示される情報入力テーブルに表示する。図4に示す情報入力テーブル190は、後述する確認テーブルとともに、上記解析前テーブルの一例である。情報入力テーブル190には、選択された5種類の設計用数値を含む公差解析用データが表示されている。具体的には、情報入力テーブル190には、5種類の計算式に乗る寸法が1行ずつ表示され、かつ現在の寸法名191、新しい寸法名192、項目193、寸法194及び公差195が1列ずつ表示されている。この実施形態では、項目193は、ユーザが入力若しくは変更可能な記入欄となっている。ここでは、公差195の欄には、標準公差(普通公差ともいう)がデフォルトにて表示されている。しかし、後述のように、画像Aとともに表示されている寸法に特定の公差が含まれている場合には、公差195の欄に、当該特定の公差が表示されるようにしても良い。さらに、情報入力テーブル190には、標準公差をレベル別に選択可能な標準公差選択エリア198も表示可能である。ユーザが標準公差選択エリア198から1つのレベルを選択することによって、複数種ある標準公差の内の1つを公差195に自動的に入力できる。これについては後ほど詳述する。情報入力テーブル190は、下方に、表示されている情報を設定するための設定キー196と、表示されている情報をキャンセルするためのキャンセルキー197とを備える。
【0092】
(10)ステップS110(入力判別ステップ)
このステップは、情報入力テーブル190への情報の入力あるいは変更があったか否かを判別するステップである。例えば、このステップでは、項目193への入力、新しい寸法名192の変更、公差195の変更、あるいはこれらの内の少なくとも一部の情報の削除等があったか否かが判別される。CPU14は、入力判別部58(入力判別手段の一例)として、ステップS110を実行した結果、YESの場合には、ステップS111を実行する。一方、ステップS110の判別の結果、NOの場合には、CPU14は、ステップS110の判別を継続して実行する。
【0093】
(11)ステップS111(入力受付・表示ステップ)
このステップは、情報入力テーブル190への入力、変更、削除等を受け付けて表示するステップである。CPU14は、入力受付・表示部59(入力受付・表示手段の一例)として、ステップS111を実行する。この結果、図4の情報入力テーブル190には、項目193において「KYORI 2」等の5つの入力が表示される。
【0094】
(12)ステップS112(設定キー入力判別ステップ)
このステップは、情報入力テーブル190において、設定キー196が指示されたか否かを判別するステップである(図4中の太黒矢印を参照)。CPU14は、設定キー入力判別部60(設定キー入力判別手段の一例)として、ステップS112を実行する。この判別の結果、YESの場合には、CPU14はステップS103に戻ってその処理を実行する。一方、ステップS112の判別の結果、NOの場合には、CPU14は、ステップS112の判別を継続して実行する。
【0095】
図5に示す組立品180の画像Aは、情報入力テーブル190内の項目193に入力された情報を含む。ユーザが図4中の情報入力テーブル190の設定キー196を指示すると、CPU14は、項目193に入力された情報を含む画像Aを表示する。CPU14は、ステップS103に戻って、ユーザからの設計用数値の選択を判別する。図5中の画像Aにおいて、ユーザが属性(穴・ピン(ガタ))に関連する6種類の設計用数値(図5中、太点線で囲った数値)を選択すると、CPU14は、ステップS104の処理を行う。ユーザが「穴・ピン(ガタ)」と称する属性キー153を選択すると、CPU14は、ステップS108及びステップS109を実行して、図5の情報入力テーブル200を表示する。
【0096】
情報入力テーブル200は、後述する確認テーブルとともに、解析前テーブルの一例である。情報入力テーブル200には、選択された6種類の設計用数値を含む公差解析用データが表示されている。具体的には、情報入力テーブル200には、3種類の穴の径と3種類のピンの径の合計6種類の寸法が1行ずつ表示され、かつ現在の寸法名201、新しい寸法名202、項目203、寸法204及び公差205が1列ずつ表示されている。この実施形態では、項目203は、ユーザが入力若しくは変更可能な記入欄となっている。情報入力テーブル200は、情報入力テーブル190の標準公差選択エリア198とは異なる別の標準公差選択エリア198aを有する。標準公差選択エリア198aは、穴とピンのはめ合い公差表から穴およびピンの公差を選択するエリアとなっており、穴の公差域クラスの選択ウィンドウと、軸(=ピン)の公差域クラスの選択ウィンドウとを有する。ここで、はめ合い公差域には、JIS B0401で規定するものを用いることができる。なお、公差205の欄、設定キー206及びキャンセルキー207については、先に説明した情報入力テーブル190の公差195の欄、標準公差選択エリア198、設定キー196及びキャンセルキー197と同様であるため、ここでは重複した説明を省略する。
【0097】
図6に示す組立品180の画像Aは、情報入力テーブル200内の項目203に入力された情報を含む。ユーザが図5中の情報入力テーブル200の設定キー206を指示すると、CPU14は、項目203に入力された情報を含む画像Aを表示する。CPU14は、ステップS103に戻って、ユーザからの設計用数値の選択を判別する。図6中の画像Aにおいて、ユーザが属性(幾何公差)に関連する3種類の設計用数値(図6中、太点線で囲った数値)を選択すると、CPU14は、ステップS104の処理を行う。ユーザが「幾何公差」と称する属性キー154を選択すると、CPU14は、ステップS108及びステップS109を実行して、図6の情報入力テーブル210を表示する。
【0098】
情報入力テーブル210は、後述する確認テーブルとともに、解析前テーブルの一例である。情報入力テーブル210には、選択された3種類の設計用数値を含む公差解析用データが表示されている。具体的には、情報入力テーブル210には、3種類の幾何公差の情報が1行ずつ表示され、かつ現在の寸法名211、新しい寸法名212、項目213、寸法214及び公差215が1列ずつ表示されている。この実施形態では、項目213は、ユーザが入力若しくは変更可能な記入欄となっている。なお、公差215の欄、標準公差選択エリア198、設定キー216及びキャンセルキー217については、先に説明した情報入力テーブル190の公差195の欄、標準公差選択エリア198、設定キー196及びキャンセルキー197と同様であるため、ここでは重複した説明を省略する。
【0099】
図7に示す組立品180の画像Aは、情報入力テーブル210内の項目213に入力された情報を含む。ユーザが図6中の情報入力テーブル210の設定キー216を指示すると、CPU14は、項目213に入力された情報を含む画像Aを表示する。CPU14は、ステップS103に戻って、ユーザからの設計用数値の選択を判別する。図7中の画像Aにおいて、ユーザが属性(レバー比)に関連する3種類の設計用数値(図7中、太点線で囲った数値)を選択すると、CPU14は、ステップS104の処理を行う。ユーザが「レバー比」と称する属性キー155を選択すると、CPU14は、ステップS108及びステップS109を実行して、図7の情報入力テーブル220を表示する。
【0100】
情報入力テーブル220は、後述する確認テーブルとともに、解析前テーブルの一例である。情報入力テーブル220には、選択された3種類の設計用数値を含む公差解析用データが表示されている。具体的には、情報入力テーブル220には、3種類のレバー比に関係する情報が1行ずつ表示され、かつ現在の寸法名221、新しい寸法名222、項目223、寸法224及び公差225が1列ずつ表示されている。この実施形態では、項目223は、ユーザが入力若しくは変更可能な記入欄となっている。なお、公差225の欄、標準公差選択エリア198、設定キー226及びキャンセルキー227については、先に説明した情報入力テーブル190の公差195の欄、標準公差選択エリア198、設定キー196及びキャンセルキー197と同様であるため、ここでは重複した説明を省略する。
【0101】
図8は、図7に示す設定キー226を指示した後に、表示画面151に表示される組立品180及びそれに付随する各種寸法の一例である。図8に示すように、組立品180には、4種類の属性に関連する寸法の項目が表示されている。これらの項目は、属性ごとに異なる色で表示されるのが好ましい。
【0102】
図9に示す画像Aは、組立品180を立体的に表示したものである。ユーザは、入力部10を通じて、組立品180を回転しあるいはファイル150内のキーを指示することにより、図3の表示画面151に表示されていた2次元の画像Aを3次元の画像Aに変更することができる。また、ユーザがエクスポート指示用のキー156を指示すると(図9中の太黒矢印参照)、ステップS106の判別によってYESである場合に、確認テーブルが表示される。確認テーブルの表示については、ステップS113にて説明する。
【0103】
(13)ステップS113(確認テーブル表示ステップ、第二表示ステップの一例)
このステップは、ステップS106にてYESの場合に実行されるステップである。CPU14は、確認テーブル表示部25として、情報入力テーブル190,200,210,220(「情報入力テーブル190等」という)内の設計用数値に関連する情報(設計用数値を含む)を、公差解析前に表示される確認テーブルに表示する。図4~7に示す情報入力テーブル190等は、後述する確認テーブルとともに、上記解析前テーブルの一例である。
【0104】
図10に、確認テーブル230の一例を示す。確認テーブル230は、この実施形態では、「計算式に乗る寸法」称するページ240と、「穴・ピン(ガタ)」と称するページ260と、「幾何公差」と称するページ280とを含むブック形式のテーブルである。ただし、ページの数、属性の種類については、上記に限定されない。ページ240は、計算式に乗る寸法として先に入力(若しくは変更)された情報を、書き変え可能に表示している。具体的には、ページ240には、5種類の計算式に乗る寸法251,252,253,254,255が1行ずつ表示され、かつ順序241、項目242、方向243、係数244、寸法245及び公差246が1列ずつ表示されている。公差246の欄には、さらに、寸法251についてプラス側とマイナス側の各公差251a,251bが表示されている。寸法252についても、プラス側とマイナス側の各公差252a,252bが表示されている。計算式に乗る寸法253,254,255についても、図10に符号を付していないが、同様に、プラス側とマイナス側の各公差が表示されている。また、確認テーブル230は、各ページ240,260,280に共通で、標準公差選択エリア198と、公差解析用コンピュータプログラム82へのエクスポートを最終実行するためのキー(「エクスポート」と称するキー)257と、当該エクスポートを行わずにキャンセル処理するためのキー(「キャンセル」と称するキー)258とを有する。標準公差選択エリア198は、確認テーブル230内の公差を所望レベルの標準公差に変更したい場合に選択可能なエリアである。ページ240において、標準公差選択エリア198の4種のレベルから1つ(例えば、中級)を選択すると、公差246内の公差は、中級の標準公差に変更される。
【0105】
ページ240内の項目242は、情報入力テーブル190の項目193にて入力若しくは変更された情報が書き変え可能に表示する部分である。項目242は、計算式に乗る寸法が5種類存在するため、5行にわたって構成されている。ここで重要なことは、好ましくは、5種類の計算式に乗る寸法に対して共通のIDが付与されることであり、より好ましくは、5行の上から下に向かって番号、アルファベットあるいはそれら以外の互いに区別可能なアドレスが割り振られることである。この処理については、後ほど詳述する。
【0106】
ページ260は、穴・ピン(ガタ)として先に入力(若しくは変更)された情報を、書き変え可能に表示している。具体的には、ページ260には、2組の穴・ピン(ガタ)に関する情報271、276が上下方向に分けて表示されている。残る1組の穴・ピン(ガタ)に関する情報は、ページ260の下方に隠れている。ページ260内のバーを下方に移動させることによって、残る1組の情報も表示できる。穴・ピン(ガタ)に関する情報271の領域には、穴272、ピン273及びガタ274が1行ずつ表示されている。また、穴272とピン273には、項目261、係数263、寸法264及び公差265が1列ずつ表示されている。穴272の行およびピン273の行の各直下には、中央公差266の行がそれぞれ表示されている。各中央公差266は、公差範囲内の中央値と、中央値からプラス側とマイナス側の幅の等しい公差(±で表示)とを表示している。かかる中央公差266の表示は、後述する片側公差を表示変更する機能によるものである。なお、ガタ274には、ガタ名称、方向1、方向2、係数及び中心値という、穴272及びピン273における項目261等とは異なる別の名称が一列ずつ表示されている。公差265の欄には、さらに、寸法264についてプラス側とマイナス側の各公差幅が表示されている。この表示は、必ずしも±表示とは限らず、ゼロとプラス、ゼロとマイナス、プラス同士あるいはマイナス同士ということもある。また、穴・ピン(ガタ)に関する情報276の領域には、穴277、ピン278及びガタ279が1行ずつ表示されている。項目、係数、寸法及び公差の各列表示、ガタの欄における各列表示、さらには公差の欄におけるプラス側とマイナス側の各公差の表示は、前述の穴・ピン(ガタ)に関する情報271の領域と同様である。このため、穴・ピン(ガタ)に関する情報276の領域における詳細構成への言及を省略する。
【0107】
ページ260内の穴272,277と、ピン273,278における項目261には、情報入力テーブル200の項目203にて入力若しくは変更された情報が書き変え可能に表示されている。ページ260は、図10には表示されていないが、情報入力テーブル200に表示される標準公差選択エリア198aと同様のエリアを有していても良い。ページ260の右側のバーを下方に移動させると、標準公差選択エリア198aが現れる。ページ260において、標準公差選択エリア198aの各種はめあいに関する公差域クラスを選択すると、公差265内の公差は、該当するクラスの公差に変更される。また、先に説明した計算式に乗る寸法と同様、CPU14は、好ましくは、ID付与部28として、6種類の穴及びピンの情報に対して共通のIDを付与する。CPU14は、さらに好ましくは、アドレス付与部29として、上記6種類の各情報に対して、項目261の上から下に向かって、番号、アルファベットあるいはそれら以外の互いに区別可能なアドレスを割り振る。
【0108】
ページ280は、幾何公差として先に入力(若しくは変更)された情報を、書き変え可能に表示している。具体的には、ページ280には、3種類の幾何公差291,292,293が1行ずつ表示され、かつ項目281、係数283、寸法284及び公差285が1列ずつ表示されている。公差285の欄には、さらに、各寸法291,292,293についてプラス側とマイナス側の各公差が表示されている。
【0109】
ページ280内の項目281には、情報入力テーブル210の項目213にて入力若しくは変更された情報が書き変え可能に表示されている。項目281は、幾何公差が3種類存在するため、3行にわたって構成されている。ページ280は、ページ240と同様、標準公差選択エリア198を有する。ページ280において、標準公差選択エリア198の4種のレベルから1つ(例えば、中級)を選択すると、公差285内の公差は、中級の標準公差に変更される。また、先に説明した計算式に乗る寸法と同様、CPU14は、好ましくは、ID付与部28として、3種類の幾何公差の情報に対して共通のIDを付与する。CPU14は、さらに好ましくは、アドレス付与部29として、上記3種類の各情報に対して、項目281の上から下に向かって、番号、アルファベットあるいはそれら以外の互いに区別可能なアドレスを割り振る。
【0110】
ページ240の係数244及びページ260の係数263は、図10においてバー「-」の表示がなされている。ユーザは、バー表示を指示して、係数の手動設定あるいは自動設定を選択することができる。自動設定が選択された場合、後述するように、レバー比を利用した計算式に基づいた係数を求めることができる。一方、手動設定が選択された場合、ユーザの所望の係数を自由に入力して、係数の設定を行うことができる。この仕組みについては、後述する。
【0111】
(14)ステップS114(ID付与ステップ)
ステップS114は、設計用数値に関連する情報に、属性に特有のIDを付与するステップである。CPU14は、ID付与部28として、ステップS114を実行する。例えば、図10のページ240を例に挙げると、ID付与部28は、5種類の計算式に乗る寸法に対して、「KS」という共通のIDを付与する。また、ページ260を例に挙げると、ID付与部28は、6種類の穴及びピンの情報に対して、「AP」という共通のIDを付与する。さらには、ページ280を例に挙げると、ID付与部28は、3種類の幾何公差の情報に対して、「KI」という共通のIDを付与する。なお、ステップS114は、図2では、ステップS113の後の処理となっているが、ステップS113よりも前の処理あるいは同時の処理でも良い。
【0112】
(15)ステップS115(アドレス付与ステップ)
ステップS115は、複数の設計用数値に関連する情報に対してアドレスを付与するステップである。複数の設計用数値に関連する情報は、ID付与部28によって付与される同一のIDに属する情報であると、より好ましい。CPU14は、アドレス付与部29として、ステップS115を実行する。例えば、図10のページ240を例に挙げると、CPU14は、アドレス付与部29として、5種類の計算式に乗る寸法に対して上から下にむかって順にA、B、C、D、Eというアドレスを付与する。また、ページ260を例に挙げると、CPU14は、アドレス付与部29として、アドレスEまで既に付与されておりかつFを空けるのが望ましいことから、6種類の穴及びピンの情報に対してG、H、I、J、K、Lというアドレスを付与する。続いて、ページ280を例に挙げると、CPU14は、アドレス付与部29として、アドレスLまで既に付与されておりかつMを空けるのが望ましいことから、3種類の幾何公差の情報に対してN、O、Pというアドレスを付与する。ただし、FとMとを除外せず、アルファベットの順に連続してアドレスを付与しても良い。また、ステップS115は、図2では、ステップS114の後の処理となっているが、ステップS114よりも前の処理あるいは同時の処理でも良い。すなわち、IDの付与とアドレスの付与とを両方行う場合、いずれが先でも良い。さらには、IDの付与及びアドレスの付与は、確認テーブル230の表示(ステップS113)の前でもあるいは同時でも良い。
【0113】
(16)ステップS116(追加変更判別ステップ)
このステップは、確認テーブル230に表示されている情報に対して追加あるいは変更があったか否かを判別するステップである。CPU14は、追加変更判別部61(追加変更判別手段の一例)として、ステップS116を実行する。この判別の結果、YESの場合、CPU14はステップS117を実行する。一方、ステップS116の判別の結果がNOの場合、CPU14は、ステップS117をとばしてステップS118を実行する。
【0114】
(17)ステップS117(追加変更情報受付・表示ステップ)
このステップは、確認テーブル230の情報に追加あるいは変更があった場合に、元の情報を新しい情報に更新するステップである。CPU14は、追加変更情報受付・表示部62(追加変更情報受付・表示手段の一例)として、ステップS117を実行する。なお、ステップS117は、情報受付ステップと、情報表示ステップとに分けられても良い。その場合に、CPU14は、追加変更情報受付部として情報受付ステップを実行し、その後に追加変更情報表示部として、情報表示ステップを実行しても良い。
【0115】
(18)ステップS118(公差解析テーブル表示指示判別ステップ)
このステップは、確認テーブル230において、ユーザからキー257(図10を参照)の指示があったか否かを判別するステップである。CPU14は、公差解析テーブル表示指示判別部63(公差解析テーブル表示指示判別手段の一例)として、ステップS118を実行する。この判別の結果、YESの場合、CPU14はステップS119を実行する。一方、この判別の結果、NOの場合、CPU14の処理はステップS116に戻る。
【0116】
(19)ステップS119(ID・アドレス確認ステップ)
このステップは、ユーザからキー257(図10を参照)の指示があった場合に、CPU14がID・アドレス確認部64(ID・アドレス確認手段の一例)として、ID付与部28によって付与されたID及び/またはアドレス付与部29によって付与されたアドレスの確認を行うステップである。
【0117】
(20)ステップS120(情報書込指示ステップ)
このステップは、CPU14が情報書込指示部26として、公差解析テーブル上における属性ごとにまとまった位置に、確認テーブル230の情報を書き込むように指示するステップである。CPU14は、公差設定用コンピュータプログラム81と公差解析用コンピュータプログラム82とを連動させて、このステップを実行する。CPU14は、ステップS120の前までは、公差設定用プログラム81のみを読み込んで各処理を行ってきたが、ステップS120からは、公差解析用コンピュータプログラム82の読み込みも行う。
【0118】
(21)ステップS121(第三表示ステップ)
このステップは、情報書込指示部26に従って、公差解析テーブルに、設計用数値に関連する情報(公差解析用データ)を、公差を解析するための公差解析テーブルにおいて予め指定され属性ごとに割り当てられた箇所に表示するステップである。CPU14は、公差解析テーブル表示部27として、メモリ11から公差解析用コンピュータプログラム82を読み出して、確認テーブル230上の情報(さらにその情報を使って計算等を行った後の情報も含めても良い)を、属性ごとにまとめて表示する。
【0119】
図11及び図12は、公差解析テーブル300の一例を示す。公差解析テーブル300は、この実施形態では、好ましくは、図11に示す第一公差解析テーブル300aと、図12に示す第二公差解析テーブル300b、第三公差解析テーブル300c及び第四公差解析テーブル300dとを含む。第一公差解析テーブル300aの「番号」の欄のA~Eの情報群301は、「計算式に乗る寸法」という属性に属している設計用数値に関連する情報である。第一公差解析テーブル300aの同欄のG~Lの情報群302は、「穴・ピン(ガタ)」という属性に属している設計用数値に関連する情報である。第一公差解析テーブル300aの同欄のN~Pの情報群303は、「幾何公差」という属性に属している設計用数値に関連する情報である。第二公差解析テーブル300bの情報群304は、「穴・ピン(ガタ)」という属性に属している設計用数値に関連する情報の一部である。情報群301,302,303,304は、確認テーブル230の各属性の情報そのものとしても良いが、より好ましくは当該各属性の情報から計算された新規情報を含むものである。例えば、情報群301,302,303は、確認テーブル230の情報以外に、公差計算の結果(Σ用、√用)及び寄与率(Σ用、√用)という新規情報をも含む。
【0120】
第三公差解析テーブル300cは、公差解析上の計算結果を表示するテーブルであって、評価結果305を含む。第四公差解析テーブル300dは、総合公差の設計目標値(単に、目標値ともいう)を表示する部分である。この実施形態では、総合公差の目標値:±0.2が表示されている。ユーザは、目標値を入力し、この値を満足するように組立品の各種部品の公差の再設定を行いながら、評価結果の一部又は全部が「○」になるように公差解析を行うことができる。なお、図11の第一公差解析テーブル300aの上方に、「解析結果一覧」と称するキー310、「Σ用割り振り」と称するキー311及び「√用割り振り」と称するキー312が指示可能に表示されている。これらのキー310,311,312については、後ほど詳述する。第一公差解析テーブル300aは、確認テーブル230から書き込まれる情報数が所定数以上になると、自動的に行数を増加させたテーブル荷変わるようにしても良い。そのようなテーブル変更機能は、CPU14によって上記情報数が所定数以上か否かを判別するステップを実行し、所定数以上であると判別した際に、行数の多いテーブルをメモリ11から読み出して表示することによって発揮される。例えば、この実施形態では、CPU14は、情報数が25を超えた際に、25の情報数まで書き込み可能な第一公差解析テーブル300aを、50の情報数まで書き込み可能な第一公差解析テーブル300aに切り替えることができる。
【0121】
図2のフローチャートにおいて、ステップS114、ステップS115及びステップS119は必ずしも要しない。すなわち、IDの付与、アドレスの付与及びこれらの確認は、設計用数値に関連する情報を属性ごとにまとめて公差解析テーブル300に書き込むために好適な処理であるが、必須の処理ではない。ステップS120(情報書込指示ステップ)によって、特定の属性に所属する設計用数値関連の情報をその属性単位でまとめて表示することも可能である。
【0122】
また、特定の属性に所属する設計用数値に関連する情報に対して、公差解析テーブル300に予め割り振られた個別アドレスと同一のアドレスを付与することによっても、属性単位での書き込みが可能となる。この方法の場合、属性特有のIDの付与は必ずしも要しない。例えば、公差解析テーブル300の各行に、AからZの順に個別アドレスを付与しておく。CPU14は、アドレス付与部29として、「計算式に乗る寸法」と称する属性に所属する設計用数値に関連する情報(5種)に、A~Eまでのアルファベット順のアドレスを付与する。次に、CPU14は、情報書込指示部26として、A~Eまでのアドレスを付与した5種類の設計用数値に関連する情報を、公差解析テーブル300のA~Eまでの個別アドレスを付与した位置に書き込みを指示する。CPU14は、公差解析テーブル表示部27として、上記指示に基づき、上記5種類の設計用数値に関連する情報を、公差解析テーブル300内の個別アドレスの位置にそれぞれ表示する。このような処理であれば、必ずしもIDの付与を要しない。
【0123】
<2.2 公差優先表示機能>
図13は、図1の組立品設計支援装置を用いて行うことのできる公差優先表示機能の処理フロー(13A)及び当該機能について説明する図(13B)をそれぞれ示す。
【0124】
(13A)のフローは、図2のフローの一部に追加して組み込み可能である。具体的には、(13A)のステップS201からステップS203までの各処理フローは、図2中の属性キー選択受付ステップ(S108)から情報入力テーブル表示ステップ(S109)の間に組み込み可能である。
【0125】
(22)ステップS201(寸法公差有無判別ステップ)
このステップは、表示画面151に、好ましくは組立品180の画像と付随して設計用数値の公差が表示されているか否かを判別するステップである。CPU14は、情報入力テーブル190等の表示に先立ち、寸法公差有無判別部30として、ステップS201を実行する。
【0126】
(23)ステップS202(表示公差優先ステップ)
このステップは、ステップS201の判別の結果、公差が表示されている場合(YESの場合)に、その表示されている公差を優先して取得するステップである。CPU14は、表示公差優先部31として、ステップS202を実行する。
【0127】
(24)ステップS203(第一標準公差読出ステップ)
このステップは、ステップS201の判別の結果、公差が表示されていない場合(NOの場合)に、メモリ11から標準公差を読み出して取得するステップである。CPU14は、第一標準公差読出部32(第一標準公差読出手段の一例)として、ステップS203を実行する。
【0128】
ステップS202またはステップS203の後、CPU14は、情報入力テーブル表示部24として、表示されている公差あるいは標準公差を情報入力テーブル190等に表示する。例えば、情報入力テーブル190を用いて説明すると、(13B)に示すように、組立品180の画像と共に公差F(13B中の太点線の楕円で囲まれた公差)が表示されている場合には、当該公差Fが優先して情報入力テーブル190の公差195の欄に表示される。一方、公差が画像と共に表示されていない場合には、標準公差Eがメモリ11から読み出されて公差195の欄に表示される。
【0129】
<2.3 標準公差レベル別表示機能>
図14は、図1の組立品設計支援装置を用いて行うことのできる標準公差レベル別表示機能の処理フロー(14A)及びレベル別の標準公差からの選択を説明する図(14B)をそれぞれ示す。また、図15は、メモリに格納されている各レベルの標準公差を説明する図を示す。
【0130】
(14A)のフローは、図2のフローの一部に追加して組み込み可能である。具体的には、(14A)のステップS301からステップS303までの各処理フローは、図2中の情報入力テーブル表示ステップ(S109)から入力受付・表示ステップ(S111)の間に組み込み可能である。
【0131】
(25)ステップS301(標準公差レベル選択判別ステップ)
このステップは、情報入力テーブル190等に表示されている標準公差選択エリア198に選択可能に表示されている「精級」、「中級」、「粗級」及び「極粗級」の4種の選択肢351,352,353,354からの1つが選択されたか否かを判別するステップである。CPU14は、標準公差レベル選択判別部65(標準公差レベル選択判別手段の一例)として、ステップS301を実行する。ステップS301の判別の結果、上記選択肢の1つの選択が無い場合には、CPU14は、ステップS111を実行する。一方、ステップS301の判別の結果、上記選択肢の1つの選択があった場合には、CPU14は、ステップS302を実行する。(14B)は、ユーザが、情報入力テーブル190において、標準公差選択エリア198の中から選択肢353を選択指示する状況を示す(太黒矢印参照)。また、情報入力テーブル200の場合には、標準公差レベル選択エリア198aから標準公差レベルに対応する穴および軸の各「公差域のクラス」の選択がなされたか否かが判別される。
【0132】
(26)ステップS302(標準公差レベル選択受付ステップ)
このステップは、標準公差選択エリア198に選択可能に表示されている4種の選択肢351,352,353,354からの1つが選択指示された場合に、その選択を受け付けるステップである。標準公差レベル選択エリア198aについては、ステップS302は、公差域クラスの選択を受け付けるステップである。CPU14は、標準公差レベル選択受付部33として、上記選択を受け付ける。具体的には、ユーザから、4種の選択肢351,352,353,354からの1つが選択指示された場合あるいは各種公差域クラスの1つが選択指示された場合に、CPU14は、上記選択の受付を実行することができる。ただし、設定キー196の指示によって上記選択の受付が実行されるようにしても良い。
【0133】
(27)ステップS303(第二標準公差読出ステップ)
このステップは、メモリ11から選択されたレベルの標準公差を読み出して取得するステップである。CPU14は、第二標準公差読出部34(第二標準公差読出手段の一例)として、ステップS303を実行する。図15(15A)に示すように、メモリ11は、寸法の範囲に応じたレベル別の公差を設定したテーブル360を格納している。CPU14は、第二標準公差読出部34として、ユーザから選択されたレベル(ここでは「粗級」を例示)に対応する標準公差をメモリ11から読み出す。その後、情報入力テーブル表示部24は、情報入力テーブル190の公差195の欄に、粗級レベルの標準公差(枠G1内の公差)を表示する。また、メモリ11は、穴と軸の各径の大きさに合わせた公差域を設定したテーブル361,362を格納している。CPU14は、第二標準公差読出部34として、ユーザから選択されたレベルの公差域クラスに対応する公差をメモリ11から読み出す。その後、情報入力テーブル表示部24は、情報入力テーブル200の公差205の欄に公差(枠G2内の公差)を表示する。
【0134】
図16は、図1の組立品設計支援装置を用いて行うことのできる標準公差レベル別表示機能の変形例であって確認テーブルにおいて所定レベルの標準公差を選択した際の処理フローの(16A)及びレベル別の標準公差からの選択を説明する図(16B)をそれぞれ示す。また、図17は、メモリに格納されている各レベルの標準公差を説明する図を示す。
【0135】
(16A)のフローは、図2のフローの一部に追加して組み込み可能である。具体的には、(16A)のステップS401からステップS403までの各処理フローは、図2中のアドレス付与ステップ(S115)と追加変更判別ステップ(S116)との間に組み込み可能である。ただし、(16A)に示す各処理フローは、確認テーブル表示ステップ(S113)の後であって公差解析テーブル300の表示前であれば、どの位置でも良い。
【0136】
(28)ステップS401(標準公差レベル選択判別ステップ)
このステップは、確認テーブル230に表示されている標準公差選択エリア198に選択可能に表示されている「精級」、「中級」、「粗級」及び「極粗級」の4種の選択肢351,352,353,354からの1つが選択されたか否かを判別するステップである。CPU14は、標準公差レベル選択判別部65として、ステップS401を実行する。(16B)は、ユーザが、確認テーブル230において、標準公差選択エリア198の中から選択肢352を選択指示する状況を示す(太黒矢印参照)。なお、このステップは、先に説明したステップS301と同様のステップであるため、重複した説明を省略する。「穴・ピン(ガタ)」と称するページ260の場合には、標準公差レベル選択エリア198aから、穴および軸の各公差域クラスの選択がなされたか否かが判別される
【0137】
(29)ステップS402(標準公差レベル選択受付ステップ)
このステップは、標準公差選択エリア198に選択可能に表示されている4種の選択肢351,352,353,354からの1つが選択指示された場合に、その選択を受け付けるステップである。また、標準公差レベル選択エリア198aについては、ステップS402は、公差域クラスの選択を受け付けるステップであるCPU14は、標準公差レベル選択受付部33として、上記選択を受け付ける。このステップは、先に説明したステップS302と同様のステップであるため、重複した説明を省略する。
【0138】
(30)ステップS403(第二標準公差読出ステップ)
このステップは、メモリ11から、選択されたレベルの標準公差を読み出して取得するステップである。図17に示すように、メモリ11は、寸法の範囲に応じたレベル別の公差を設定したテーブル360を格納している。CPU14は、第二標準公差読出部34として、ユーザから選択されたレベル(ここでは「中級」を例示)に対応する標準公差をメモリ11から読み出す。その後、CPU14は、確認テーブル230の公差246の欄に中級レベルの標準公差(枠H内の公差)を表示する。また、メモリ11は、前述のように、穴と軸の各径の大きさに合わせた公差域を設定したテーブル361,362を格納している。CPU14は、第二標準公差読出部34として、ユーザから選択されたレベルの公差域クラスに対応する公差をメモリ11から読み出す。その後、CPU14は、確認テーブル230のページ260の公差265の欄に、読み出された公差表示する。
【0139】
図16及び図17では、「計算式に乗る寸法」と称するページ240における標準公差の選択表示を例に説明したが、「幾何公差」と称するページ280でも同様の処理にて標準公差のレベル別選択を実行できる。なお、確認テーブル230において、ページ240,260,280ごとに標準公差選択エリア198を設けずに、確認テーブル230の各ページに共通のエリアに標準公差選択エリア198および標準公差選択エリア198aを設けても良い。その場合、図16(A)の処理フローを一度実行するだけで標準公差を表示させることも可能である。
【0140】
<2.4 穴・ピン径寸法差表示機能>
図18は、図1の組立品設計支援装置を用いて行うことのできる穴・ピン径寸法差表示機能の処理フロー(18A)及び当該機能について説明する図(18B)をそれぞれ示す。
【0141】
(18A)のフローは、図2のフローの一部に追加して組み込み可能である。具体的には、(18A)のステップS501の処理は、図2中の確認テーブル表示ステップ(S113)の前に組み込み可能である。
【0142】
(31)ステップS501(穴・ピン径寸法差計算ステップ)
このステップは、所定の公差解析に必要な属性について、設計用数値に関連する情報を入力した後、ステップS113の実行に先立ち行われる。CPU14は、穴・ピン径寸法差計算部35として、ステップS501を実行する。具体的には、このステップでは、公差範囲内の穴の径の中央値と、該穴に挿入される公差範囲内のピン(軸)の径の中央値との差が計算される。その後、ステップS501による計算結果は、確認テーブル230に表示される。例えば、(18B)に示すように、公差範囲内における穴の径(3.010~3.030mm)の中央値が3.020mmであって、該穴に挿入される公差範囲内におけるピンの径(2.980~3.000mm)の中央値が2.990mmである場合、その差0.03mmは、ページ260内のガタ274の行の中心値(枠I内)に表示される。同様に、公差範囲内における穴の径(2.010~2.030mm)の中央値が2.020mmであって、該穴に挿入される公差範囲内におけるピンの径(1.980~2.000mm)の中央値が1.990mmである場合、その差0.03mmは、ページ260内のガタ279の行の中心値(枠I内)に表示される。ここで重要な点は、寸法264に表示されている穴の径とピンの径との差ではなく、中央公差266に表示されている穴とピンの双方の中央値(基準値といっても良い)同士の差し引きにて、中心値(枠I内)の値が計算されることである。これは、穴とピンは、片側公差を有することに起因する。なお、中央公差266の行における基準値及び公差の計算、さらには中心値の計算は、好ましくは、このステップにて行われる。
【0143】
図19は、図18に示す機能の変形例の処理フロー(19A)及び当該機能について説明する図(19B)をそれぞれ示す。
【0144】
(19A)のフローは、公差解析テーブル300の表示に先立ち、図2のフローの一部に追加して組み込み可能である。具体的には、(19A)のステップS601の処理は、図2中の公差解析テーブル表示指示判別ステップ(S118)とID・アドレス確認ステップ(S119)との間に組み込み可能である。
【0145】
(32)ステップS601(穴・ピン径寸法差計算ステップ)
このステップは、公差解析テーブル300の表示よりも前に行われる。CPU14は、穴・ピン径寸法差計算部35として、ステップS601を実行する。計算方法は、先に説明したステップS501と同様である。このステップは、例えば、(19B)に示すように、確認テーブル230にガタの表示がない場合に有効である。このステップでは、穴272の中央公差266の行に表示される基準値3.020mmから、ピン273の中央公差266の行に表示される基準値2.990mmを差し引いた差0.03mmは、公差解析テーブル300の「ガタ1」の行の中心値381に表示される。同様に、穴277の中央公差266の行に表示される基準値2.020mmから、ピン278の中央公差266の行に表示される基準値1.990mmを差し引いた差0.03mmは、公差解析テーブル300の「ガタ2」の行の中心値382に表示される。また、穴372の中央公差266の行に表示される基準値1.020mmから、ピン373の中央公差266の行に表示される基準値0.990mmを差し引いた差0.03mmは、公差解析テーブル300の「ガタ3」の行の中心値383に表示される(黒太枠内を参照)。
【0146】
<2.5 係数計算式作成機能>
図20は、図1の組立品設計支援装置を用いて行うことのできる係数計算式作成機能の処理フロー(20A)及び当該機能について説明する図(20B)をそれぞれ示す。
【0147】
(20A)のフローは、図2のフローの一部に追加して組み込み可能である。具体的には、(20A)のステップS701の処理は、図2中の確認テーブル表示ステップ(S113)の前に組み込み可能である。
【0148】
(33)ステップS701(係数計算式作成ステップ)
このステップでは、レバー比に関する設計用数値を利用して、係数計算式が作成される。CPU14は、係数計算式作成部36として、レバー比に関係する設計用数値(ここでは、48.100と37.000)を用いて係数計算式を作成する。
【0149】
確認テーブル230は、図10に示すように、ページ240,260,280に、それぞれ係数244,263,283の表示欄を有する。当該表示欄を選択指示すると、(20B)に例示される係数設定テーブル400が表示される。係数設定テーブル400は、手動で係数を設定したいときに選択するラジオボタン401と、自動で係数を設定したいときに選択するラジオボタン402とを有する。ラジオボタン402を選択すると、係数計算式404が表示される。係数計算式404の表示に先立ち、欄405に48.100を、欄406に37.000を既に代入した計算式までは、係数計算式作成部36によって作成されている。ユーザが欄407に1あるいは0を代入して、設定キー408及びキャンセルキー409という2種類のキーの内の設定キー408を指示すると、係数244等の表示欄に、係数計算式404によって計算された係数が表示される。
【0150】
<2.6 幾何公差半値計算機能>
図21は、図1の組立品設計支援装置を用いて行うことのできる幾何公差半値計算機能の処理フロー(21A)及び当該機能について説明する図(21B)をそれぞれ示す。
【0151】
(21A)のフローは、図2のフローの一部に追加して組み込み可能である。具体的には、(21A)のステップS801の処理は、図2中の確認テーブル表示ステップ(S113)の前に組み込み可能である。
【0152】
(34)ステップS801(幾何公差半値計算ステップ)
このステップは、幾何公差(21Bの例では、2つの輪郭度421,422として表示される0.06及び0.06)の半値を計算するステップである。CPU14は、幾何公差半値計算部37として、ステップS801を実行する。その後、CPU14は、確認テーブル表示部25として、幾何公差の半値(この例では、0.03)をプラスとマイナスとで、確認テーブル230のページ280に表示する。
【0153】
より具体的には、(21B)に示すように、確認テーブル表示部25は、各寸法292,293の公差285の列において、プラス側の欄292a293aにそれぞれ0.03を、そして、マイナス側の欄292b,293bにそれぞれ-0.03を表示する。
【0154】
図22は、図21に示す機能の変形例の処理フロー(22A)及び当該機能について説明する図(22B)をそれぞれ示す。
【0155】
(22A)のフローは、情報入力テーブル210の表示に先立ち、図2のフローの一部に追加して組み込み可能である。具体的には、(22A)のステップS901の処理は、図2中の属性キー選択受付ステップ(S108)と情報入力テーブル表示ステップ(S109)との間に組み込み可能である。
【0156】
(35)ステップS901(幾何公差半値計算ステップ)
このステップの処理内容は、前述のステップS801と同様である。CPU14は、幾何公差半値計算部37として、ステップS901を実行する。その後、CPU14は、情報入力テーブル表示部24として、幾何公差の半値(この例では、0.03)をプラスとマイナスとで、情報入力テーブル210の公差215の列に表示する。(22B)に示す例では、半値0.03と-0.03とのセットが太点線の楕円431,432内にそれぞれ表示されている。
【0157】
<2.7 寄与率依存公差割振機能>
図23は、図1の組立品設計支援装置を用いて行うことのできる寄与率依存公差割振機能の処理フローを例示する。図24は、Σ用の寄与率を用いて公差の割り振りを行う例を説明した図を示す。図25は、√用の寄与率を用いて公差の割り振りを行う例を説明した図を示す。
【0158】
図23のフローは、公差解析テーブル300の表示の前及び後に追加して組み込み可能である。具体的には、図23中のステップS1001の処理は、第三表示ステップ(S121)の前に行うことができる。また、図23中のステップS1002からステップS1004までの各ステップの処理は、第三表示ステップ(S121)の後に行うことができる。
【0159】
(36)ステップS1001(寄与率設定・計算ステップ)
このステップは、組立品180の各部品の寸法公差あるいは幾何公差が、解析対象の寸法等の総合公差に対してどの程度寄与するかを定量的に示す寄与率(%)を設定若しくは計算するステップである。寄与率は、ユーザの設定、寸法等の設計用数値に基づく計算等の如何なる手法で規定されても良い。この実施形態では、寄与率を計算によって規定する例で説明するが、メモリ11から寄与率リストを読み出し、各公差に対応した寄与率を設定する方法を採用しても良い。CPU14は、寄与率設定・計算部38として、ステップS1001を実行する。具体的には、CPU14は、ステップS118においてYESの場合、公差解析テーブル300に表示される設計用数値に関連する情報ごとに寄与率を計算する。この実施形態では、より具体的には、Σ用の寄与率(%)は、その寄与率に対応する公差に係数(レバー比に対応。以後、同様。)を掛けた値を全公差に係数を掛けたものの総和で除して、100を掛けることによって計算される。また、√用の寄与率(%)は、その寄与率に対応する公差に係数を掛けた値の2乗を、各公差に係数を掛けた値の2乗の和にて除して、100を掛けることによって計算される。なお、レバー比を要しない公差解析では、寄与率の計算において係数を関与させなくても良い。その後、CPU14は、公差解析テーブル表示部27として、寄与率を有する公差解析テーブル300を表示する。この段階では、図24に例示される公差解析テーブル300において、「寸法と公差」と記載された欄の「現状」の欄には、寸法及び公差が表示されている。しかし、「寸法と公差」の「改良後」の欄(図24では、枠Kで囲まれている欄)は空欄となっている。
【0160】
(37)ステップS1002(寄与率選択判別ステップ)
このステップは、公差解析テーブル300の表示後に、寄与率選択キーの1つが選択されたか否かを判別するステップである。CPU14は、寄与率選択判別部66(寄与率選択判別手段の一例)として、ステップS1002を実行する。ステップS1002の判別の結果、YESの場合には、CPU14は、ステップS1003を実行する。一方、当該判別の結果、NOの場合には、CPU14は、ステップS1002を継続する。寄与率選択キーは、図24に例示される公差解析テーブル300では、「Σ用割り振り」と称するキー311及び「√用割り振り」と称するキー312を意味する。ただし、寄与率選択キーは、これら2つのキー311,312に限定されず、それらのキー311,312内の1つのみ、あるいはそれらのキー311,312にさらに1以上のキーを追加した3以上のキーでも良い。
【0161】
(38)ステップS1003(寄与率選択受付ステップ)
このステップは、ステップS1002の判別の結果、寄与率選択キーの1つが選択されたときに、その選択を受け付けるステップである。図24は、ユーザによって「Σ用割り振り」と称するキー311の指示がなされた状況を例示している。CPU14は、寄与率選択受付部40として、ステップS1003を実行する。この結果、「Σ用割り振り」と称するキー311の指示が受け付けられる。
【0162】
(39)ステップS1004(寄与率依存公差計算ステップ)
このステップは、公差解析テーブル300に表示される公差を、選択された寄与率に依存させて計算するステップである。CPU14は、寄与率依存公差計算部39として、ステップS1004を実行する。図24は、キー311が選択された結果、「寄与率(%)」の内の「Σ用」の欄(枠Lで囲まれた欄)に表示されている寄与率と、ユーザが設定した総合公差の設計目標値(図24では、±0.2)とから、公差の割り振りが行われた例を示す。この計算において、レバー比に対応する係数も考慮される。具体的には、図24の下方欄外の式に示すように、最後に、係数で除して公差の値が求められる。例えば、番号Gの穴の径については、係数0.5で除して公差0.0097が求められる。このステップの処理の結果、枠K内の欄に、「現状」に表示されている寸法と、設計目標値のプラス側(あるいはマイナス側)の公差0.2を、寄与率に応じて割り振った公差とが表示される。その計算方法は、図24の公差解析テーブル300の下方欄外に記載されているとおりである。図24から明らかなように、「改良後」の欄の公差(割り振り後)は、「現状」の欄の公差(割り振り前)と異なっている。
【0163】
図25は、ユーザによって「√用割り振り」と称するキー312の指示がなされた状況を例示している。CPU14は、寄与率選択受付部40として、ステップS1003を実行する。この結果、「√用割り振り」と称するキー312の指示が受け付けられる。その後、CPU14は、寄与率依存公差計算部39として、ステップS1004を実行する。図25は、キー312が選択された結果、「寄与率(%)」の内の「√用」の欄(枠Mで囲まれた欄)に表示されている寄与率と、ユーザが設定した総合公差の設計目標値(図24では、±0.2)とから、公差の割り振りが行われた例を示す。この計算においても、レバー比に対応する係数が考慮される。具体的には、図25の下方欄外の式に示すように、平方根をとった値を最後に係数で除して公差の値が求められる。例えば、番号Gの穴の径については、係数0.5で除して公差0.0249が求められる。このステップの処理の結果、枠K内の欄に、「現状」に表示されている寸法と、設計目標値のプラス側(あるいはマイナス側)の公差0.2を、寄与率に応じて割り振った公差とが表示される。その計算方法は、図25の公差解析テーブル300の下方欄外に記載されているとおりである。図25から明らかなように、「改良後」の欄の公差(割り振り後)は、「現状の欄の公差(割り振り前)及び図24の「改良後」の欄の公差(割り振り後)とも異なっている。このように、寄与率がΣ用かあるいは√用かによって、割り振り後の公差の数値は異なる。しかし、計算後の公差は、寄与率に依存している点で共通する。なお、寄与率設定・計算ステップおよび寄与率依存公差計算ステップにおいて、レバー比を考慮しないで計算しても良い。
【0164】
図26は、図23のフローの変形例を示す。図27は、図26のフローによって寄与率に基づく公差の割り振りを行う例を説明した図を示す。
【0165】
図26のフローは、図23のフロー中のステップS121とステップS1002との間に追加のステップS1011からステップS1013を組み込んだものである。
【0166】
(40)ステップS1011(計算対象除外選択判別ステップ)
このステップは、第三表示ステップ(S121)の後に、ユーザから、寄与率に基づく公差の割り振り計算から除外する公差を選択する操作が行われたか否かを判別するステップである。CPU14は、計算対象除外選択判別部67(計算対象除外選択判別手段の一例)として、ステップS1011を実行する。ステップS1011の判別の結果、YESの場合、CPU14は、ステップS1012を実行する。一方、ステップS1011の判別の結果、NOの場合、CPU14は、ステップS1002を実行する。図27に例示される公差解析テーブル300では、「寸法と公差」の欄の「固定」の列に表示されるチェックボックスは、公差を固定するためのチェックボックスである。図27中、チェックボックスが黒塗りになっている6つの公差は、これから行う寄与率に基づく公差の割り振りの計算から除外される(枠Nで囲まれた番号B,E,G~Jの公差を参照)。
【0167】
(41)ステップS1012(計算対象除外指示受付ステップ)
このステップは、ユーザから、寄与率に基づく公差の割り振り計算から除外する公差の指示を受け付けるステップである。CPU14は、計算対象除外指示受付部41として、ステップS1012を実行する。この結果、図27中、チェックボックスが黒塗りされたチェックボックスの対象となる公差が受け付けられる。
【0168】
(42)ステップS1013(公差固定ステップ)
このステップは、ステップS1012にて受け付けられた公差を固定するステップである。CPU14は、公差固定部42として、ステップS1013を実行する。その後、CPU14は、ステップS1002からステップS1004までの処理を行う。ステップS1004の計算では、固定された公差以外を対象として行われる。なお、上記例示の計算は、Σ用寄与率に関するものであるが、√用寄与率の場合についても同様である。すなわち、チェックボックスが黒塗りになっている公差を、寄与率および係数(レバー比)に基づく公差の割り振りの計算から除外して、残った公差だけで公差の割り振りが実行される。例えば、図27の公差固定時には、Σ用の寄与率は、100-24.23-18.66-2.42-2.42-0.56-0.56=53.5と計算される。公差値は、総合公差の0.2から、0.05×1-0.05×0.77-0.01×0.5-0.01×0.5-0.01×0.12-0.01×0.12を引き、約0.1となる。よって、公差解析テーブル300内の番号Aの行では、割り振り後の公差は、0.1×2.42/53.5を係数「1」で除して、0.0045となる。また、√用の寄与率は、100-38.82-23.01-0.388-0.388―0.021-0.021=37.352と計算される。公差値は、総合公差の0.2の2乗から、0.05の2乗-(0.05×0.77)の2乗-(0.01×0.5)の2乗-(0.01×0.5)の2乗-(0.01×0.12)の2乗-(0.01×0.12)の2乗を引き、約0.036となる。よって、公差解析テーブル300内の番号Aの行では、割り振り後の公差は、係数「1」で除する点を前述と同様にし、[SQRT(0.036×0.388/37.352)]/1=0.01934となる。
【0169】
<2.8 公差解析結果反映機能>
図28は、図1の組立品設計支援装置を用いて行うことのできる公差解析結果反映機能の処理フロー(28A)及び当該機能を説明した図(28B)をそれぞれ示す。
【0170】
(28A)のフローは、公差解析テーブル300の表示の後、すなわち、第三表示ステップ(S121)の後に追加して組み込み可能である。
【0171】
(43)ステップS1021(情報入力・変更判別ステップ)
このステップは、公差解析テーブル300への情報の入力又は変更(入力等という)などが行われ、表示画面151に表示する指示があったか否かを判別するステップである。より具体的には、CPU14は、情報入力・変更判別部68(情報入力・変更判別手段の一例)として、ファイル150のインポート指示用のキー157が指示されたか否かを判別する。この判別の結果、YESの場合には、CPU14は、ステップS1022を実行する。一方、この判別の結果、NOの場合には、CPU14は、ステップS1021を継続する。
【0172】
(44)ステップS1022(情報入力・変更受付ステップ)
このステップは、公差解析テーブル300に対して入力等された情報であって、表示画面151に表示される情報を受け付けるステップである。CPU14は、情報入力・変更受付部43として、ステップS1022を実行する。公差解析テーブル300において公差の検討が行われ、その結果を組立品180の画像Aとともに表示させたい場合に、ファイル150のインポート指示用のキー157の指示によって、CPU14が公差の情報を受け付ける。なお、当該情報は、公差のみならず、設計用数値、ユーザが入力した名称等をも含み得る。
【0173】
(45)ステップS1023(情報更新表示ステップ)
このステップは、ステップS1022によって受け付けられた情報を表示画面151に表示させるステップである。CPU14は、情報更新表示部69として、ステップS1023を実行する。このステップによって、表示画面151においてすでに表示されている設計用数値がある場合には新しい設計用数値に更新される。
【0174】
上記の公差解析結果反映機能は、好ましくは、公差解析用コンピュータプログラム82から公差設定用コンピュータプログラム81への情報の橋渡しによって発揮される機能である。公差設定用コンピュータプログラム81から公差解析用コンピュータプログラム82への情報の流れを「往路」とすれば、公差解析結果反映機能における情報の流れは「復路」となる。(28B)に示すように、公差解析テーブル300にて検討された公差等の情報(例えば、枠Oで囲まれた情報)は、組立品180の画像に付随して、点線状の楕円451,452,453,454,455で囲った公差等として表示される。当該表示の前に、組立品180の画像に付随して、公差を含まない寸法のみが表示されていても、当該公差を含まない寸法のみの情報は、公差を含む情報によって上書きされる。
【0175】
<2.9 解析別設計用数値切替機能>
図29は、図1の組立品設計支援装置を用いて行うことのできる解析別設計用数値切替機能の処理フロー(29A)及び設計用数値の切り替えを行う状況を説明した図(29B)をそれぞれ示す。
【0176】
(29A)のフローは、表示画面151の表示の後、すなわち、第一表示ステップ(S102)の後に追加して組み込み可能である。
【0177】
(46)ステップS1031(公差解析選択判別ステップ)
このステップは、ファイル150において、解析選択キーエリアD内の「解析1」、「解析2」等の選択から1つが選択されたか否かを判別するステップである。CPU14は、公差解析選択判別部70(公差解析選択判別手段の一例)として、ステップS1031を実行する。(29B)に例示のファイル150では、解析選択キー170の選択によって、「解析1」が選択されている(太黒矢印を参照)。しかし、ユーザは、ウィンドウ171から「解析2」等の他の公差解析を選択しても良い。この判別の結果、YESであれば、CPU14は、ステップS1032を実行する。一方、この判別の結果、NOであれば、CPU14は、ステップS1031を継続する。
【0178】
(47)ステップS1032(公差解析選択受付ステップ)
このステップは、解析選択キーエリアD内からの所定の種類の解析が選択された場合に、その選択を受け付けるステップである。CPU14は、公差解析選択受付部44として、ステップS1032を実行する。組立品180の公差解析には、例えば、ギア間のかみ合い量、ギア以外の部品間の隙間というような公差解析対象が複数存在し得る。公差解析によって、ユーザが選択する寸法及び幾何公差は当然異なる。(29B)の表示画面151に表示される設計用数値は、解析1に要するものであるが、解析2を選択した場合には解析2に要する設計用数値が表示される。解析1の選択時に表示される設計用数値と、解析2の選択時に表示される設計用数値とは、偶然同一の場合もあるが、通常は相違する。
【0179】
(48)ステップS1033(設計用数値読出ステップ)
このステップは、先のステップS1032によって受け付けられた解析に対応する設計用数値をメモリ11から読み出すステップである。CPU14は、設計用数値読出部45として、ステップS1033を実行する。より具体的には、CPU14は、メモリ11内の解析ごとに分けられた設計用数値を読み出す。メモリ11は、公差解析の種類に対応させて、1または複数の設計用数値を格納している。このため、公差解析を特定すれば、その公差解析に必要な設計用数値をメモリ11から読み出すことができる。
【0180】
(49)ステップS1034(設計用数値表示ステップ)
このステップは、メモリ11から読み出された設計用数値を表示画面151内に表示するステップである。CPU14は、第一表示部21として、ステップS1034を実行する。
【0181】
<2.10 属性表示形態変更機能>
図30は、図1の組立品設計支援装置を用いて行うことのできる属性表示形態変更機能の処理フロー(30A)及び表示形態を変更する状況を説明した図(30B)をそれぞれ示す。
【0182】
(30A)のフローは、先に説明したステップS1034の後、すなわち、解析の選択によって特定の設計用数値が表示された後に追加して組み込み可能である。ただし、解析別設計用数値切替機能を持たない組立品設計支援装置1において、第一表示ステップ(S102)によってファイル150が表示された後に、(30A)のフローを組み込んでも良い。
【0183】
(50)ステップS1041(属性表示形態変更判別ステップ)
このステップは、ユーザからの選択された特定の属性に関連する設計用数値を、その他の属性に関連する設計用数値と表示形態を変えて差別化できるように表示するステップである。表示形態の変更は、ハイライト表示、大きさの変更、点滅などを含み、また、それらに限定されない。CPU14は、属性表示形態変更判別部71(属性表示形態変更判別手段の一例)として、ステップS1041を実行する。より具体的には、CPU14は、(30B)に例示のファイル150において、属性表示キーエリアC内の属性表示キー162,163,164,165の内の1つが選択されたか否かを判別する。この判別の結果、YESの場合、CPU14は、ステップS1042を実行する。一方、この判別の結果、NOの場合、CPU14は、ステップS1041を継続する。
【0184】
(51)ステップS1042(属性表示形態変更受付ステップ)
このステップは、ユーザからの属性表示形態の変更指示を受け付けるステップである。CPU14は、属性表示形態変更受付部47として、ステップS1042を実行する。例えば、(30B)に例示のファイル150において、属性表示キーエリアC内の属性表示キー162が選択された場合には(太黒矢印参照)、CPU14は、「計算式に乗る寸法」という属性が選択されたことを受け付ける。
【0185】
(52)ステップS1043(表示形態変更ステップ)
このステップは、ステップS1042によって受け付けられた属性に関連する設計用数値の表示形態を変更するステップである。CPU14は、表示形態変更部48として、ステップS1043を実行する。より具体的には、CPU14は、メモリ11の情報にアクセスして、属性表示形態変更受付部47によって受け付けられた属性に関連する設計用数値の表示形態を、他の属性に関連する設計用数値の表示形態と変える処理を行う。その後、CPU14は、第一表示部21として、表示形態変更部48によって変更された設計用数値を表示画面151に表示する。例えば、(30B)の表示画面151では、「計算式に乗る寸法」という属性に関連する5種類の寸法(太点線の楕円で囲まれた数値)がハイライト表示される。一方、「穴・ピン(ガタ)」の属性表示キー163が選択された場合には、「穴・ピン(ガタ)」という属性に関連する寸法がハイライト表示される。
【0186】
<2.11 設計用数値表示形態変更機能>
図31は、図1の組立品設計支援装置を用いて行うことのできる設計用数値表示形態変更機能の処理フロー(31A)及び表示形態を変更する状況を説明した図(31B)をそれぞれ示す。
【0187】
(31A)のフローは、確認テーブル230の表示後、好ましくはステップS115の後に追加して組み込み可能である。
【0188】
(53)ステップS1051(テーブル内情報指定判別ステップ)
このステップは、確認テーブル230中の情報が指定されたか否かを判別するステップである。CPU14は、テーブル内情報指定判別部72(テーブル内情報指定判別手段の一例)として、ステップS1051を実行する。この判別の結果、YESの場合、CPU14は、ステップS1052を実行する。一方、この判別の結果、NOの場合、CPU14は、ステップS116を実行する。
【0189】
(54)ステップS1052(テーブル内情報指定受付ステップ)
このステップは、ユーザから確認テーブル230中の情報を指定された場合に、その情報が指定されたことを受け付けるステップである。CPU14は、テーブル内情報指定受付部49として、ステップS1052を実行する。(31B)に例示の確認テーブル230のページ240において、ユーザが計算式に乗る寸法255の一部を指示すると(太黒矢印参照)、CPU14は、当該指示を受け付ける。
【0190】
(55)ステップS1053(設計用数値表示形態変更ステップ)
このステップは、テーブル内情報指定受付部49によって受け付けられた情報と合致する情報であって、第一表示部21によって表示された設計用数値を、その他の設計用数値と変えて表示するステップである。CPU14は、設計用数値表示形態変更部50として、ステップS1053を実行する。(31B)に例示の組立品180の画像では、計算式に乗る寸法255に対応する設計用数値のみが、他の設計用数値と異なる形態で表示される(太点線の楕円476を参照)。一方、計算式に乗る寸法254が選択された場合には、太点線の楕円476で囲まれた設計用数値と異なる設計用数値が、その他の設計用数値と異なる形態にて表示される。なお、「異なる形態」は、ハイライト表示、大きさの変更、点滅などを含み、また、それらに限定されない。以後の「異なる形態」も同様である。
【0191】
図32は、(31A)のフローの変形例(32A)及び当該変更例によって表示形態を変更する状況を説明した図(32B)をそれぞれ示す。
【0192】
(32A)のフローは、公差解析テーブル300の表示後、すなわち、ステップS121の後に組み込み可能である。このフローは、確認テーブル230ではなく、公差解析テーブル300において、特定の設計用数値の表示形態を変更可能としたものである。
【0193】
(56)ステップS1061(テーブル内情報指定判別ステップ)
このステップは、公差解析テーブル300中の情報が指定されたか否かを判別するステップである。CPU14は、テーブル内情報指定判別部72として、ステップS1061を実行する。このステップの内容は、先に説明したステップS1051と共通するので、重複した説明を省略する。
【0194】
(57)ステップS1062(テーブル内情報指定受付ステップ)
このステップは、ユーザから公差解析テーブル300中の情報を指定された場合に、その情報が指定されたことを受け付けるステップである。CPU14は、テーブル内情報指定受付部49として、ステップS1062を実行する。(32B)に例示の公差解析テーブル300において、ユーザが番号Eの行の情報の一部を指示すると(太黒矢印参照)、CPU14は、当該指示を受け付ける。
【0195】
(58)ステップS1063(設計用数値表示形態変更ステップ)
このステップは、テーブル内情報指定受付部49によって受け付けられた情報と合致する情報であって、第一表示部21によって表示された設計用数値を、その他の設計用数値と変えて表示するステップである。CPU14は、設計用数値表示形態変更部50として、ステップS1063を実行する。(32B)に例示の組立品180の画像では、番号Eに対応する設計用数値のみが、他の設計用数値と異なる形態で表示される(太点線の楕円480を参照)。一方、番号Cが選択された場合には、太点線の楕円480で囲まれた設計用数値と異なる設計用数値(寸法:17.600)が、その他の設計用数値と異なる形態にて表示される。
【0196】
<2.12 片側公差変更表示機能>
図33は、図1の組立品設計支援装置を用いて行うことのできる片側公差変更表示機能の処理フローを示す。
【0197】
図33のフローは、公差解析テーブル300の表示前、例えばステップS118の直後に追加して組み込み可能である。
【0198】
(59)ステップS1071(片側公差有無判別ステップ)
このステップは、設計用数値に片側公差が含まれているか否かを判別するステップである。片側公差は、最大値と最小値との間(変動域)の中央に基準値をもたない設計用数値の公差をいう。「1.0+0.05,-0.1」あるいは「1.0+0.04,+0.2」は、片側公差を含む設計用数値の例である。CPU14は、片側公差有無判別部51として、ステップS1071を実行する。具体的には、CPU14は、確認テーブル230内に表示される寸法等の公差の中に片側公差が含まれているか否かを判別する。この判別の結果、YESの場合、CPU14は、ステップS1072を実行する。一方、この判別の結果、NOの場合、CPU14は、特別な表示変更を行わない。例えば、CPU14は、ステップS1073(表示維持ステップ)を実行する。
【0199】
(60)ステップS1072(片側公差計算ステップ)
このステップは、片側公差が含まれている場合に、その片側公差の半値を求めるステップである。すなわち、片側公差の値は、プラスとマイナスに分けられる。CPU14は、片側公差計算部52として、ステップS1072を実行する。例えば、表示画面151に画像Aと共に表示されていた公差の中に片側公差が存在していることを想定する。その場合、公差解析テーブル300において、(33B)に示すように、「寸法と公差」の欄に、片側公差の状態のまま表示される。しかし、「中心寸法と公差」、「中心寸法の実効値」および「公差計算」の欄には、片側公差を修正した状態の数値が表示可能である。具体的には、番号Aの「現状」に、8.1(片側公差:0~―0.2)が記載されているとする。その場合、「中心寸法と公差」、「中心寸法の実効値」および「公差計算」の欄には、8.0(公差:±0.1)に書き換えて表示される。ここで、片側公差の表示が単に±の公差の表示に書き換えられるだけでは、当初の基準値(8.1)が矛盾した数値となるため、矛盾しないように、8.1は8.0に書き換えられる。この計算も片側公差計算部52にて実行される。また、番号Cの「現状」において表示されている17.6(片側公差:0.2~0)は、「中心寸法と公差」、「中心寸法の実効値」および「公差計算」の欄では、17.7(公差:±0.1)の意味に書き換えられる。ここでも、当初の基準値(17.6)が矛盾した数値となるため、矛盾しないように、17.6は17.7に書き換えられる。
【0200】
(61)ステップS1073(表示維持ステップ)
このステップは、公差の表示を変更しないステップである。CPU14は、表示維持部75(表示維持手段の一例)として、ステップS1073を実行する。(33B)に示す番号A,C以外の公差が片側公差ではないときには、番号A,C以外の公差に対して片側公差計算ステップが行われずに、そのままの公差で表示される。ステップS1072またはステップS1073の後、CPU14は、ステップS119を実行する。
【0201】
上記の片側公差変更表示機能は、その変形例として、公差解析テーブル300の「寸法と公差」の「現状」においても、片側公差の計算結果を表示するようにできる。また、別の変形例として、確認テーブル230あるいは情報入力テーブル190等においても実行可能である。その場合、CPU14は、片側公差有無判別部51として、情報入力テーブル190等あるいは表示画面151内に表示される寸法等の公差の中に片側公差が含まれているか否かを判別する。その結果、片側公差が存在する場合には、CPU14は、片側公差計算部52として、その片側公差の半値を求める。その後、CPU14は、情報入力テーブル表示部24若しくは公差解析テーブル表示部27として、それぞれ情報入力テーブル190等若しくは公差解析テーブル230において、片側公差の半値をプラスとマイナスとで表示することができる。
【0202】
<2.13 解析結果比較表示機能>
図34は、図1の組立品設計支援装置を用いて行うことのできる解析結果比較表示機能の処理フロー(34A)及び当該表示機能を発揮させる操作を説明した図(34B)をそれぞれ示す。また、図35は、(34B)の操作に続いて表示される解析結果の一例を示す。
【0203】
(34A)のフローは、公差解析テーブル300の表示後に追加して組み込み可能である。
【0204】
(62)ステップS1081(解析結果一覧表示選択判別ステップ)
このステップは、1種類あるいは2種類以上の公差解析を行った後に、その公差解析結果を一覧表示する選択がされたか否かを判別するステップである。一般的には、2以上の公差解析後に一覧表示を選択するが、1つのみの公差解析後に一覧表示を選択することもあり得る。CPU14は、解析結果一覧表示選択判別部73(解析結果一覧表示選択判別手段の一例)として、ステップS1081を実行する。この判別の結果、YESの場合、CPU14は、ステップS1082を実行する。一方、この判別の結果、NOの場合、CPU14は、ステップS1081を継続する。(34B)に例示される公差解析テーブル300は、好ましくは、「解析結果一覧」と称するキー310を備える。当該公差解析テーブル300では、CPU14は、キー310が指示されたか否かを判別する(太黒矢印参照)。
【0205】
(63)ステップS1082(解析結果一覧表示選択受付ステップ)
このステップは、公差解析結果を一覧表示する選択がなされた場合に、その選択を受け付けるステップである。CPU14は、解析結果一覧表示選択受付部74(解析結果一覧表示選択受付手段の一例)として、ステップS1082を実行する。
【0206】
(64)ステップS1083(解析結果一覧表示ステップ)
このステップは、上記選択の後に、当該公差の解析ごとの各解析結果を比較表示するステップである。CPU14は、解析結果一覧表示部46として、ステップS1083を実行する。図35は、ステップS1083の実行によって表示される解析一覧テーブル490の一例である。この例では、2種類の解析(「解析1」と「解析2」)の結果が比較して表示されている。図35は、枠Pの結果(「解析1」の結果)と枠Qの結果(「解析2」の結果)を隣合わせにて表示する。しかし、表示方法は、図35の例に限定されない。例えば、ブック形式で表示しても良い。
【0207】
このように、複数の解析結果を比較して表示可能とすると、それらの解析結果を比較しながら、さらに公差の修正を要する箇所を見つけることができる。その結果、公差解析の再試行を通じて、より好ましい設計が可能となる。
【0208】
<2.14 その他の機能>
図36は、図11の公差解析テーブルの一部変形例を示す。また、図37は、図36の公差解析テーブルの欄外にあるキーを選択指示することによって表示されるグラフの例(37A,37B,37C)を示す。
【0209】
図36の公差解析テーブル300は、その欄外に、「Σ用寄与率グラフ」と称するキー500と、「√用寄与率グラフ」と称するキー501と、「正規分布曲線グラフ」と称するキー502とを有する。キー500を選択すると、(37A)のグラフが表示される。キー501を選択すると、(37B)のグラフが表示される。これらのグラフによって、公差解析テーブル300中のΣ用の寄与率及び√用の寄与率を視覚的に確認できる。また、キー502を選択すると(太黒矢印を参照)、(37C)のグラフが表示される。このグラフは、公差解析結果より導かれた中央値μ、標準偏差σ、±3σ、規格値、上限規格、下限規格、上側Kε、下側Kε、上側不良率、下側不良率、合計不良率、Cp、Cpkの数値を示し、これら情報を視覚的に確認し、公差設定の検討を素早く行うのに利用できる。
【0210】
3.公差設定用コンピュータプログラム及び公差解析用コンピュータプログラム
この実施形態にかかる公差設定用コンピュータプログラム81は、組立品設計支援装置(コンピュータ)1にインストールされ、組立品180を構成する部品の形態を表す数値及び部品間の距離を表す数値の少なくともいずれか1つの設計用数値の公差を設定可能なコンピュータプログラムである。また、この実施形態にかかる公差設定用コンピュータプログラム82は、組立品設計支援装置(コンピュータ)1にインストールされ、上記公差設定用コンピュータプログラム81と連動して公差を解析可能なコンピュータプログラムである。上記コンピュータプログラム81,82は、先に例示した情報記録媒体80に格納されて市場に流通可能である。また、上記コンピュータプログラム81,82は、組立品設計支援装置1の外部に設置されるサーバから組立品設計支援装置1のメモリ11にダウンロードされて利用されても良い。また、公差設定用コンピュータプログラム81及び公差設定用コンピュータプログラム82は、それぞれ1つのコンピュータプログラムとしての形態に限られず、2以上のコンピュータプログラムから構成されていても良い。また、公差設定用コンピュータプログラム81と公差設定用コンピュータプログラム82とを統合して、1つの組立品設計支援用コンピュータプログラムを構成しても良い。
【0211】
(1)公差設定用コンピュータプログラム81は、組立品設計支援装置1を、第一表示部21、設計用数値選択受付部22、属性キー選択受付部23、情報入力テーブル表示部24若しくは確認テーブル表示部25及び情報書込指示部26として機能させるコンピュータプログラムである。
【0212】
(2)公差設定用コンピュータプログラム81は、好ましくは、組立品設計支援装置1を、ID付与部28として、さらに機能させる。
【0213】
(3)公差設定用コンピュータプログラム81は、好ましくは、組立品設計支援装置1を、アドレス付与部29として、さらに機能させる。この場合、情報書込指示部26は、アドレスに対応する箇所に、設計用数値に関連する情報を書き込む指示を行うことができる。
【0214】
(4)公差設定用コンピュータプログラム81は、好ましくは、組立品設計支援装置1を、寸法公差有無判別部30、表示公差優先部31及び第一標準公差読出部32として、さらに機能させる。この場合、情報入力テーブル表示部24若しくは確認テーブル表示部25は、表示公差優先部31によって優先取得された寸法公差あるいは第一標準公差読出部32によって取得された標準公差を情報入力テーブル190等若しくは確認テーブル230に表示することができる。
【0215】
(5)公差設定用コンピュータプログラム81は、好ましくは、組立品設計支援装置1を、標準公差レベル選択受付部33及び第二標準公差読出部34として、さらに機能させる。ここで、メモリ11は、標準公差をレベル別に複数種記憶する手段である。また、情報入力テーブル表示部24若しくは確認テーブル表示部25は、予め決められた標準公差をレベル別に複数の選択肢を表示する手段である。情報入力テーブル表示部24若しくは確認テーブル表示部25は、第二標準公差読出部34によって読み出された標準公差を表示することができる。
【0216】
(6)公差設定用コンピュータプログラム81は、好ましくは、組立品設計支援装置1を、穴・ピン径寸法差計算部35として、さらに機能させる。この場合、属性は、組立品180中の穴の径と当該穴に挿入されるピンの径の組み合わせを含む。情報入力テーブル表示部24若しくは確認テーブル表示部25は、上記の寸法差を表示することができる。
【0217】
(7)公差設定用コンピュータプログラム81は、好ましくは、組立品設計支援装置1を、係数計算式作成部36として、さらに機能させる。この場合、属性は、寸法公差に対する感度として位置づけられるレバー比を含む。情報入力テーブル表示部24若しくは確認テーブル表示部25は、情報入力テーブル190等若しくは確認テーブル230に、上記の係数計算式を利用した係数の自動設定を選択可能に表示することができる。
【0218】
(8)公差設定用コンピュータプログラム81は、好ましくは、組立品設計支援装置1を、幾何公差半値計算部37として、さらに機能させる。この場合、属性は、部品の理想的な形状、姿勢あるいは位置からの許容されるズレの範囲と位置づけられる幾何公差を含む。情報入力テーブル表示部24若しくは確認テーブル表示部25は、幾何公差の半値をプラスとマイナスとで表示することができる。
【0219】
(9)公差設定用コンピュータプログラム81は、好ましくは、組立品設計支援装置1を、公差解析選択受付部44、及び設計用数値読出部45として、さらに機能させる。第一表示部21は、公差解析選択キー170等を表示可能である。また、第一表示部21は、設計用数値読出部45によって読み出された設計用数値を表示可能である。
【0220】
(10)公差設定用コンピュータプログラム81は、好ましくは、組立品設計支援装置1を、属性表示形態変更キーの1つの選択を受け付ける属性表示形態変更受付部47及び表示形態変更部48として、さらに機能させる。この場合、メモリ11は、属性ごとに、設計用数値の表示形態を関連させて記憶する。また、第一表示部21は、属性表示形態変更キー162等を表示可能である。また、第一表示部21は、表示形態変更部48によって変更された設計用数値を表示画面151に表示することができる。
【0221】
(11)公差設定用コンピュータプログラム81は、好ましくは、組立品設計支援装置1を、テーブル内情報指定受付部49及び設計用数値表示形態変更部50として、さらに機能させる。
【0222】
(12)公差設定用コンピュータプログラム81は、好ましくは、組立品設計支援装置1を、片側公差有無判別部51及び片側公差計算部52として、さらに機能させる。この場合、情報入力テーブル表示部24若しくは確認テーブル表示部25は、公差として、片側公差の半値をプラスとマイナスとで表示することができる。
【0223】
上記(1)~(12)の各構成要件は、少なくとも(1)の各構成要件を含む限り、(2)~(12)の各構成要件の1または2以上を任意に組み合わせられる。ただし、組み合わせることが不可能な場合を除く。
【0224】
(13)公差解析用コンピュータプログラム82は、上記公差設定用コンピュータプログラム81と連動して、組立品設計支援装置1を、公差解析テーブル表示部27として機能させる。
【0225】
(14)公差解析用コンピュータプログラム82は、好ましくは、組立品設計支援装置1を、寄与率設定・計算部38及び寄与率依存公差計算部39として、さらに機能させる。寄与率設定・計算部38及び寄与率依存公差計算部39の各計算において、レバー比を用いることもできる。ただし、レバー比を用いずに計算することもできる。
【0226】
(15)公差解析用コンピュータプログラム82は、好ましくは、組立品設計支援装置1を、寄与率選択受付部40として、さらに機能させる。この場合、公差解析テーブル300は、2種以上の寄与率からの1つに基づいて公差を割り振るように計算させる寄与率選択キー311,312を表示する。また、寄与率依存公差計算部39は、寄与率選択キー311,312からの選択に基づき計算を行う。
【0227】
(16)公差解析用コンピュータプログラム82は、好ましくは、組立品設計支援装置1を、計算対象除外指示受付部41及び公差固定部42として、さらに機能させる。この場合、寄与率依存公差計算部39は、公差固定部42によって固定された公差を除く他の公差を対象として寄与率に依存した公差を計算して、総合公差の目標設定値の割り振りを行う。
【0228】
(17)公差解析用コンピュータプログラム82は、好ましくは、組立品設計支援装置1を、情報入力・変更受付部43及び情報更新表示部69として、さらに機能させる。
【0229】
(18)公差解析用コンピュータプログラム82は、好ましくは、組立品設計支援装置1を、解析結果比較表示部46として、さらに機能させる。
【0230】
上記(13)~(18)の各構成要件は、少なくとも(13)の各構成要件を含む限り、(14)~(18)の各構成要件の1または2以上を任意に組み合わせられる。ただし、組み合わせることが不可能な場合を除く。
【0231】
4.組立品設計支援方法
(1)この実施形態にかかる組立品設計支援方法は、CPU14とメモリ11とを備え組立品180の設計を支援するための組立品設計支援装置1を用いて行う方法である。組立品設計支援方法は、先に説明した第一表示ステップと、設計用数値選択受付ステップと、属性キー選択受付ステップと、第二表示ステップと、情報書込指示ステップと、第三表示ステップとを含む。
【0232】
(2)組立品設計支援方法は、好ましくは、さらに、ID付与ステップを含む。
【0233】
(3)組立品設計支援方法は、好ましくは、さらに、アドレス付与ステップを含む。
【0234】
(4)組立品設計支援方法は、好ましくは、さらに、寸法公差有無判別ステップと、表示公差優先ステップと、第一標準公差読出ステップとを含む。
【0235】
(5)組立品設計支援方法は、好ましくは、さらに、標準公差レベル選択受付ステップと、第二標準公差読出ステップとを含む。その後、第二表示ステップでは、第二標準公差読出ステップによって読み出された標準公差が表示される。
【0236】
(6)組立品設計支援方法は、好ましくは、さらに、穴・ピン径寸法差計算ステップを含む。この場合、属性は、組立品中の穴の径と当該穴に挿入されるピンの径の組み合わせを含む。この結果、第二表示ステップでは、情報入力テーブル190等(あるいは確認テーブル230)に、上記寸法差が表示される。
【0237】
(7)組立品設計支援方法は、好ましくは、さらに、係数計算式作成ステップを含む。この場合、属性は、寸法公差に対する感度として位置づけられるレバー比を含む。これによって、第二表示ステップでは、情報入力テーブル190等(あるいは確認テーブル230)に、係数計算式を利用した係数の自動設定が選択可能に表示される。
【0238】
(8)組立品設計支援方法は、好ましくは、さらに、幾何公差半値計算ステップを含む。この場合、属性は、部品の理想的な形状、姿勢あるいは位置からの許容されるズレの範囲と位置づけられる幾何公差を含む。これにより、第二表示ステップでは、情報入力テーブル190等(あるいは確認テーブル230)に、幾何公差の半値がプラスとマイナスとで表示される。
【0239】
(9)組立品設計支援方法は、好ましくは、さらに、寄与率設定・計算ステップ及び寄与率依存公差計算ステップを含む。寄与率依存公差計算ステップでは、例えば、Σ用の寄与率あるいは√用の寄与率にそれぞれ対応した計算が可能である。なお、寄与率依存公差計算ステップにおいて、Σ用の寄与率のみ、あるいは√用の寄与率のみに対応した計算が行われても良い。寄与率設定・計算ステップ及び寄与率依存公差計算ステップの各計算において、レバー比を用いることもできる。ただし、レバー比を用いずに計算することもできる。
【0240】
(10)組立品設計支援方法は、好ましくは、さらに、寄与率選択受付ステップを含む。寄与率依存公差計算ステップでは、寄与率選択キー311,312からの選択に基づき計算を行うことができる。
【0241】
(11)組立品設計支援方法は、好ましくは、さらに、計算対象除外指示受付ステップ及び公差固定ステップを含む。この場合、寄与率依存公差計算ステップでは、公差固定ステップによって固定された公差を除く他の公差を対象として寄与率に依存した公差の計算が行われる。
【0242】
(12)組立品設計支援方法は、好ましくは、さらに、情報入力・変更受付ステップと、情報更新表示ステップとを含む。
【0243】
(13)組立品設計支援方法は、好ましくは、さらに、公差解析選択受付ステップ及び設計用数値読出ステップを含む。この場合、第一表示ステップでは、公差解析選択キー170等が表示可能である。メモリ11は、公差の解析ごとに、解析に必要な設計用数値を記憶している。この後、第一表示ステップでは、設計用数値読出ステップによって読み出された設計用数値が表示可能である。
【0244】
(14)組立品設計支援方法では、好ましくは、さらに、解析結果一覧表示ステップを含む。
【0245】
(15)組立品設計支援方法は、好ましくは、さらに、属性表示形態変更受付ステップ及び表示形態変更ステップを含む。この場合、第一表示ステップでは、属性ごとに表示形態を変更可能な属性表示形態変更キー162等を表示可能である。メモリ11は、属性ごとに、属性に関連する設計用数値の表示形態を関連させて記憶している。これにより、第一表示ステップでは、表示形態変更ステップによって変更された設計用数値を表示可能である。
【0246】
(16)組立品設計支援方法は、好ましくは、さらに、テーブル内情報指定受付ステップ及び設計用数値表示形態変更ステップを含む。
【0247】
(17)組立品設計支援方法は、好ましくは、さらに、片側公差有無判別ステップ及び片側公差計算ステップを含む。この結果、第二表示ステップでは、情報入力テーブル190等(あるいは確認テーブル230)に、公差として、片側公差の半値がプラスとマイナスとで表示可能である。
【0248】
上記(1)~(17)の各構成要件は、少なくとも(1)の各構成要件を含む限り、(2)~(17)の各構成要件の1または2以上を任意に組み合わせられる。ただし、組み合わせることが不可能な場合を除く。
【0249】
5.改良された組立品設計支援装置の構成
図38は、本発明に係る別の組立品設計支援装置の好適な実施形態の構成図を示す。
【0250】
図38の組立品設計支援装置1において表されている各構成は、それぞれ、主として機能別に区分けされたものであり、装置の正確なハードウェアを表したものではない。
【0251】
組立品設計支援装置1は、中央処理装置(CPU)14とメモリ11とを備え、組立品の設計を支援するための装置である。メモリ11は、好ましくは、ハードディスクドライブ(HDD)、フラッシュメモリを利用したソリッドステートドライブ(SSD)、電圧操作によってデータの消去や書き換えが可能なメモリ(EEPROM)、読み書き自在なメモリ(RAM)等に代表される記憶装置の1種若しくは2種以上にて形成される。なお、一方的に読み出しされる情報は、HDD、SSD、EEPROMあるいはRAMではなく、メモリ11の一例であるデータの読み出し専用メモリ(ROM)に格納されるのが好ましい。組立品設計支援装置1は、キーボード、タッチパネル、ポインティングデバイス、音声入力装置等に代表される入力部10を備える。組立品設計支援装置1は、ブラウン管(CRT)、液晶ディスプレイ(LCD)、プラズマディスプレイ(PDP)、有機ELなどに代表されるモニタ12を備える。このため、組立品設計支援装置1を使用するユーザは、モニタ12に表示される情報を確認しながら、入力部10を通じて、必要な情報の入力、情報の選択、情報の削除、情報の変更あるいはコマンドの送信などを行うことができる。また、組立品設計支援装置1は、好ましくは、磁気ディスクあるいは光ディスク等に代表される情報記録媒体80に記録される公差設定用コンピュータプログラム81及び公差解析用コンピュータプログラム82を読み出して、メモリ11にそれぞれ記憶可能とする情報読出装置13を備える。組立品設計支援装置1は、好適にはコンピュータ、より好ましくはパーソナルコンピュータ(PC)であるが、これらに限定されるものではない。
【0252】
この実施形態において、公差設定用コンピュータプログラム81は、CAD(2D、3Dのいずれでも良いが、好ましくは3D)そのものあるいはビュアー(Viewer)そのもの、あるいはCAD若しくはビュアー(以後、「CAD等」という)にアドイン(アドオンともいう)してCAD等の機能を拡張可能なコンピュータプログラムでも良い。より好ましい公差設定用コンピュータプログラム81は、CAD等の機能を拡張可能なコンピュータプログラムである。公差設定用コンピュータプログラム81は、CAD等の機能を拡張可能なコンピュータプログラムの形態をとる場合には、あらゆるCAD等にアドイン可能なコンピュータプログラムであるのが好ましい。また、公差解析用コンピュータプログラム82は、公差解析を行うためのコンピュータプログラムである。組立品設計支援装置1の特徴の一つは、公差設定用コンピュータプログラム81と公差解析用コンピュータプログラム82との連動を実現して、設計と公差の解析とを容易にして、設計者自身による公差解析を含む設計を支援可能とすることである。なお、図38では、図1の組立品設計支援装置1の各構成をそのまま備え、かつ以下に説明する新たな構成をも備える。このため、以下、図1の組立品設計支援装置1についての前述と重複した説明を省略し、新たな各構成のみを説明する。
【0253】
図38に示すように、CPU14は、好ましくは、機能上、設定方法選択受付部600、各点・方向選択受付部601、座標特定部602、比率算出部603、係数受付部604、第1レバー比算出部605、レバー比属性設定部606、変動要因受付部607、各距離・角度受付部608、第2レバー比算出部609、要素受付部625、可視化指示判別部626、可視化表示部627、非表示指示判別部628及び通常表示部629を有する。
【0254】
設定方法選択受付部600は、種々の数値(係数等)の設定方法に関して、手動で入力するか、特定の寸法から計算するか、あるいは3Dモデル(2Dモデルでも良い)中の所定部位の指示から計算するかといった設定方法の選択をユーザから受け付ける設定方法選択受付手段として機能する。各点・方向選択受付部601は、属性の一つであって、寸法公差に対する感度として位置づけられるレバー比の算出に必要な3種の点としての支点、変動点および測定点と、測定方向との各選択をユーザから受け付ける各点・方向選択受付手段として機能する。座標特定部602は、各点・方向選択受付部601によって受け付けられた前記3種の点の座標を少なくとも特定する座標特定手段として機能する。比率算出部603は、座標特定手段によって特定された各座標から、支点と測定点との間の測定方向の第1距離を、支点と変動点との間の第2距離で除した比率を算出する比率算出手段として機能する。係数受付部604は、レバー比を求めるために必要な係数をユーザから受け付ける係数受付手段として機能する。第1レバー比算出部605は、比率算出部603によって算出された前記比率と、係数受付部604によって受け付けられた前記係数とを用いてレバー比を算出する第1レバー比算出手段として機能する。
【0255】
各距離・角度受付部608は、属性の一つであって、寸法公差に対する感度として位置づけられるレバー比の算出に必要な支点と変動点との間の第2距離と、支点と測定点との間の第3距離と、変動点から支点を経て測定点を結ぶ角度とをユーザから受け付ける各距離・角度受付手段として機能する。第2レバー比算出部609は、各距離・角度受付部608によって受け付けられた各数値と、係数受付部604によって受け付けられた係数とを用いてレバー比を算出する第2レバー比算出手段として機能する。
【0256】
要素受付部625は、解析箇所の複数の要素を受け付ける要素受付手段として機能する。可視化指示判別部626は、解析箇所の可視化の指示をユーザから受け付けたか否かを判別する可視化指示判別手段として機能する。可視化表示部627は、可視化指示判別部626による判別の結果、可視化の指示があった場合に解析箇所を目立たせる可視化表示を行う可視化表示手段として機能する。非表示指示判別部628は、解析箇所の非表示の指示を受け付けたか否かを判別する非表示指示判別手段として機能する。通常表示部629は、非表示の指示を受け付けた場合に、可視化表示状態を、通常の表示状態に戻す処理を行う通常表示手段として機能する。
【0257】
上述の設定方法選択受付部600、各点・方向選択受付部601、座標特定部602、比率算出部603、係数受付部604、第1レバー比算出部605、レバー比属性設定部606、変動要因受付部607、各距離・角度受付部608、第2レバー比算出部609、要素受付部625、可視化指示判別部626、可視化表示部627、非表示指示判別部628及び通常表示部629は、それらの一部を除き、あるいはそれらの2以上を統合した1または2以上の構成部としても良い。
【0258】
以下、上記各構成部600~629の各処理を含めた組立品設計支援装置1の処理について、図39図47を参照しながら詳述する。
【0259】
<5.1 第1のレバー比自動計算機能>
図39は、図38の組立品設計支援装置が行う第1のレバー比自動計算機能の各処理のフローを示す。図40は、図39のフローによる第1のレバー比自動計算機能を用いる場合に、ユーザに表示される組立品の画像を示す。図41は、図39のフローによる第1のレバー比自動計算機能を用いる場合に、ユーザが指示若しくは入力する入力フォーム(41A,41B)を示す。
【0260】
第1のレバー比自動計算機能は、回転の支点、ピンの高さ位置によって変動し得る変動点、測定対象となる測定点の3点と、測定方向とをユーザが指定することによってレバー比(すなわち、ピンの高さ位置の変動が測定点に与える影響)を自動的に求められるという機能をいう。
【0261】
図41(41A)の確認テーブル670は、(21B)に例示される確認テーブル230と類似する別形態のテーブルである。確認テーブル670は、「計算式に乗る寸法」と称するページと、「穴・ピン(ガタ)」と称するページと、「幾何公差」と称するページとを含むブック形式のテーブルである。幾何公差のページは、項目671、係数672、寸法673及び公差674の入力及び/又は表示を可能とするページである。例えば、項目「k3」の係数672a(矢印で示す部分)を指示すると、図41(41B)の係数設定テーブル400が表示される。係数設定テーブル400は、図20(20B)の係数設定テーブル400に追加の表示を備えたテーブルである。
【0262】
係数設定テーブル400は、図20(20B)の係数設定テーブル400と同様の「手動入力」、「寸法からの計算」という選択指示可能なラジオボタンに加え、「支点、変動点、測定点、及び測定方向を選び計算」というもう一つの選択指示可能なラジオボタン680を備える。また、係数設定テーブル400は、ラジオボタン680の下方に、「支点を選択」と称するキー681、「変動点を選択」と称するキー682、「測定点を選択」と称するキー683及び「測定方向を選択」と称するキー684、さらには各キー681~684からのユーザの指示に基づき各点の座標や方向を表示させる表示領域685を備える。表示領域685の下方には、レバー比に関する式を構成する表示・選択欄690~692が存在する。
【0263】
ユーザがキー681を指示して、図40に表示されている組立品180の3Dモデル上の支点A650の位置を指定すると、表示領域685におけるキー681の直下位置にあるX、YおよびZの各座標が自動的に表示される。同様に、ユーザがキー682を指示して、図40に表示されている組立品180の3Dモデル上の変動点B185a,185bの位置を指定すると、表示領域685におけるキー682の直下位置にあるX、YおよびZの各座標が自動的に表示される。また、ユーザがキー683を指示して、図40に表示されている組立品180の3Dモデル上の測定点C651の位置を指定すると、表示領域685におけるキー683の直下位置にあるX、YおよびZの各座標が自動的に表示される。加えて、ユーザがキー684を指示して、測定を定義する平面及び図40に表示されている測定方向660の内のY方向661およびX方向662の内のいずれか一方(測定を定義する平面がXY平面の場合)を選択指示すると、表示領域685におけるキー684の直下位置に、自動的に、測定を定義する平面及びY方向、又はX方向が表示される。全ての点の座標と1つの方向が決まると、組立品設計支援装置1は、計算結果を表示・選択欄690に表示する。ユーザが表示・選択欄691から「1」又は「0.5」を選択すると、組立品設計支援装置1は、表示・選択欄692にレバー比を表示する。
【0264】
なお、この実施形態では、係数設定テーブル400上のキー681の指示に続いて、図40の3Dモデルが表示され、当該3Dモデル上の支点A650の指示に続いて係数設定テーブル400が表示される。以下、同様に、係数設定テーブル400と3Dモデルとが交互に表示される。しかし、かかる交互の表示ではなく、3Dモデルの画面と、係数設定テーブル400とが両方表示されるようにしても良い。また、別の例としては、係数設定テーブル400からキー681~684の全ての指示を受け付けた後に、図40の3Dモデルが表示され、当該3Dモデル上の支点A650、変動点B185a,185b、測定点C651および方向661,662のいずれかの合計4つの指示が終了後に係数設定テーブル400の表示に戻るようにしても良い。
【0265】
次に、上記第1のレバー比自動計算機能のフローに沿って、組立品設計支援装置1の処理について説明する。
【0266】
(1)ステップS201(第1レバー比自動計算選択受付ステップ)
このステップでは、組立品設計支援装置1は、ユーザから、「支点、変動点、測定点及び測定方向」の選択、具体的には、上述のラジオボタン680の指示を受け付ける。この受け付けは、例えば、設定方法選択受付部600によって行われる。
【0267】
(2)ステップS202(各点・方向選択受付ステップ)
このステップでは、各点・方向選択受付部601は、ユーザからのキー681~684の指示および組立品180の3Dモデル上にある支点A650、変動点B185a,185b、測定点C651、測定を定義する平面および方向661,662のいずれかの合計4つの指示を受け付ける。
【0268】
(3)ステップS203(座標特定ステップ)
このステップでは、座標特定部602は、支点A650、変動点B185a,185b、測定点C651の各座標(x、y、z)を特定する。組立品180が2Dモデルの場合には、座標特定部602は、各座標(x、y)を特定する。
【0269】
(4)ステップS204~S206(比率算出ステップ)
このステップ群では、比率算出部603は、支点A650と変動点185a,185bとの間の距離(P)の算出(ステップS204)、支点A650と測定点C651との間のY方向661(X方向662の場合もあり得る)の距離(Q)の算出(ステップS205)、及びQ/Pの算出(ステップS206)とを実行する。
【0270】
(5)ステップS207(係数受付ステップ)
このステップは、オプションとして位置づけられるステップであって、別の実施形態では省略しても良い。この実施形態では、ユーザが表示・選択欄691から「1」又は「0.5」を選択することができるため、このステップを設けている。係数受付部604は、ユーザが表示・選択欄691の2以上の選択肢から1つを選択すると、その選択を受け付けた上で、その選択された係数を特定する。
【0271】
(6)ステップS208(第1レバー比算出ステップ)
このステップでは、第1レバー比算出部605は、表示・選択欄690に表示された数値(=Q/P)と、ユーザが選択した係数(表示・選択欄691の「1」又は「0.5」とを乗じて、レバー比を算出し、表示・選択欄692に当該レバー比を表示する。
【0272】
例えば、支点A650の座標(x,y,z)を(11.1,42.009,-2.3)、変動点B185a,185bの座標(x,y,z)を(-37,40.7,0)、測定点Cの座標(x,y,z)を(0,33.9,-2)、測定方向をY方向661とする。かかる例によれば、距離(P)は48.11780836、距離(Q)は11.1となる。よって、Q/Pは0.230683823となる。表示・選択欄691中の係数0.5は、ガタ成分の場合に用いられる。係数1は、ガタ成分の場合以外に用いられる。ユーザが、係数0.5を選択すると、レバー比は0.1153419115となる。一方、ユーザが、係数1を選択すると、レバー比は0.230683823となる。
【0273】
上記(1)~(6)の各ステップは、それらの一部を除き、あるいはそれらの2以上を統合した1または2以上のステップとしても良い。
【0274】
<5.2 第2のレバー比自動計算機能>
図42は、図38の組立品設計支援装置が行う第2のレバー比自動計算機能の各処理のフローを示す。図43は、レバー比の属性を示す組立品の3Dモデルを示す。図44は、図42のフローによる第2のレバー比自動計算機能を用いる場合に、ユーザが指示若しくは入力する入力フォーム(44A,44B)を示す。
【0275】
第2のレバー比自動計算機能は、レバー比の属性として、回転の支点と変動点までの距離、支点から測定点までの距離、支点-変動点間を結ぶ直線と支点-測定点間を結ぶ直線とから成る角度を設定することによってレバー比を自動的に求められるという機能をいう。
【0276】
図44(44A)の確認テーブル670は、(41A)に例示される確認テーブル670と共通する。例えば、確認テーブル670上の項目「k3」の係数672a(矢印で示す部分)を指示すると、図44(44B)の係数設定テーブル400が表示される。この係数設定テーブル400は、図41(41B)の係数設定テーブル400にさらに追加の表示を備えたテーブルである。
【0277】
係数設定テーブル400は、図41(41B)の係数設定テーブル400と同様の入力部分および表示部分を備え、「手動入力」、「寸法からの計算」、「支点、変動点、測定点、及び測定方向を選び計算」というラジオボタンに加え、「角度計算」というもう一つの選択指示可能なラジオボタン690を備える。また、係数設定テーブル400は、ラジオボタン690の下方に、選択・入力欄711~714と表示・選択欄715,716とを含む計算式710の表示部分を有する。
【0278】
第2のレバー比自動計算機能を用いてレバー比を求める場合には、予め、ユーザは、支点A650と変動点B185a,185bとの間の距離と、支点A650と測定点C651との間の距離と、支点A650-変動点B185a,185b間を結ぶ直線と支点A650-測定点C651間を結ぶ直線とから成る角度(∠BAC)とを設定しておくのが好ましい。ユーザがラジオボタン700を選択し、続いて選択・入力欄711,712に選択表示される数値(ユーザが予め設定済の数値)から所定の数値を選択し、さらには選択・入力欄713から「sin」、「cos」または「tan」のいずれかを選択し、表示・選択欄714から所定の角度(∠BAC)を選択若しくは入力し、最後に選択・入力欄715に選択表示される複数の係数から1つを選択する。この結果、表示・選択欄716に、計算式710に基づき計算されたレバー比が表示される。
【0279】
第2レバー比自動計算機能は、第1レバー比自動計算機能と異なり、3Dモデル上の各位置を指示する必要が無い代わりに、予めレバー比の計算に必要な距離や角度を設定しておく必要がある。また、第2レバー比自動計算機能は、角度公差が設定された場合の公差計算にも応用することができる。
【0280】
次に、上記第2のレバー比自動計算機能のフローに沿って、組立品設計支援装置1の処理について説明する。
【0281】
(7)ステップS301(レバー比の属性設定ステップ)
このステップでは、組立品設計支援装置1のレバー比属性設定部606は、レバー比の属性として、支点A650と変動点B185a,185bとの間の距離と、支点A650と測定点C651との間の距離と、支点A650-変動点B185a,185b間を結ぶ直線と支点A650-測定点C651間を結ぶ直線とから成る角度(∠BAC)との入力をユーザから受け付け、これらを登録する。
【0282】
(8)ステップS302(変動要因受付ステップ)
このステップでは、組立品設計支援装置1の変動要因受付部607は、幾何公差のページ上の所定の項目の係数672aの指示を受け付ける。この結果、係数設定テーブル400が表示される。
【0283】
(9)ステップS303(角度計算選択受付ステップ)
このステップでは、角度計算選択受付部は、ユーザからラジオボタン700の選択を受け付ける。この結果、選択・入力欄711~714および表示・選択欄715,716は、表示、選択若しくは入力が可能なアクティブ状態になる。
【0284】
(10)ステップS304~S306(各距離・角度受付ステップ)
このステップ群では、各距離・角度受付部608は、レバー比の属性として登録された数値からの選択(この例では、支点A650と変動点B185a,185bとの間の距離と、支点A650と測定点C651との間の距離)の受付(ステップS304)、sin、cos又はtanからの選択(この例では、sinを選択)の受付(ステップS305)、レバー比の属性として登録された角度(この例では、支点A650-変動点B185a,185b間を結ぶ直線と支点A650-測定点C651間を結ぶ直線とから成る角度:∠BAC)の選択の受付(ステップS306)と、を実行する。
【0285】
(11)ステップS307(係数受付ステップ)
このステップは、オプションとして位置づけられるステップであって、別の実施形態では省略しても良い。この実施形態では、ユーザが表示・選択欄715から「1」又は「0.5」を選択することができるため、このステップを設けている。係数受付部604は、ユーザが表示・選択欄715の2以上の選択肢から1つを選択すると、その選択を受け付けた上で、その選択された係数を特定する。
【0286】
(12)ステップS208(第2レバー比算出ステップ)
このステップでは、第2レバー比算出部609は、選択・入力欄711,712から選択された所定の数値、選択・入力欄713から選択された「sin」、「cos」または「tan」、表示・選択欄714から選択された所定の角度(∠BAC)、選択・入力欄715に選択表示される複数の係数からの1つに基づき、レバー比を算出し、表示・選択欄716に当該レバー比を表示する。
【0287】
上記(7)~(12)の各ステップは、それらの一部を除き、あるいはそれらの2以上を統合した1または2以上のステップとしても良い。
【0288】
<5.3 解析箇所表示機能>
図45は、解析箇所表示機能のフローを示す。図46は、図45を行うにあたりユーザが指示する画面例を示す。図47は、解析箇所を表示した状態の画面例(47A)および表示・非表示の交互に切り替える状況を説明するための図(47B)をそれぞれ示す。
【0289】
解析箇所表示機能は、公差解析において、どこの解析を行っているかが容易に視認できるようにする機能である。この実施の形態では、解析箇所に平面を作製して強調表示するようにしている。
【0290】
以下、図45~47を参照しながら、解析箇所表示機能について詳述する。
【0291】
(1)ステップS801(解析箇所複数要素受付ステップ)
組立品設計支援装置1の要素受付部625は、ユーザから、組立品180の3Dモデル上から、解析箇所の複数要素を受け付ける。ここで、複数要素とは、例えば、部品183と部品184といった解析に関係する部品の点、エッジ、平面などを意味する。
【0292】
(2)ステップS802(可視化指示判別ステップ)
次に、組立品設計支援装置1の可視化指示判別部626は、ユーザから、解析箇所の可視化の指示が有ったか否かを判別する。具体的には、図46のファイル150に表示される「解析箇所の可視化」と名したキー820のクリック等による指示が有ったか否かが判別される(図47(47A)の矢印参照)。当該判別の結果、指示が無ければ、次のステップには進まない。一方、指示が有った場合には、次のステップに進む。
【0293】
(3)ステップS803(可視化表示ステップ)
ステップS802においてYESの場合、組立品設計支援装置1の可視化表示部627は、図47(47A)に例示するように、受け付けた解析箇所(の複数要素)を目立たせる可視化表示を行う。この実施の形態では、部品183の直下及び部品184の直上に、それぞれ平面831および平面832が表示される。
【0294】
(4)ステップS804(非表示指示判別ステップ)
次に、組立品設計支援装置1の非表示指示判別部628は、解析箇所の非表示の指示を受け付けたか否かを判別する。その結果、非表示の指示を受け付けていなければ、組立品設計支援装置1は何らの処理を行わない。一方、非表示の指示を受け付けた場合には、組立品設計支援装置1は、次のステップに進む。
【0295】
(5)ステップS805(通常表示ステップ)
ステップS804においてYESの場合、組立品設計支援装置1の通常表示部629は、可視化表示状態を、通常の表示状態に戻す処理を行う。この処理の後、ステップS802に戻って、再び、解析箇所の表示の指示を受け付けたか否かの判別が行われる。可視化表示と通常表示の切替方法は、特に制約は無いが、例えば、図46の「解析箇所の表示/非表示」と名したキー821という同一キーからの指示によって交互に切り替える方法が好ましい。ただし、可視化表示と通常表示とを、別々のキーの指示で実行するようにしても良い。
【0296】
上記(1)~(5)の各ステップは、それらの一部を除き、あるいはそれらの2以上を統合した1または2以上のステップとしても良い。
【産業上の利用可能性】
【0297】
本発明は、例えば、組立品の公差解析に利用できる。
【符号の説明】
【0298】
1:組立品設計支援装置(コンピュータ)、11:メモリ、14:CPU(中央処理装置)、21:第一表示部(第一表示手段)、22:設計用数値選択受付部(設計用数値選択受付手段)、23:属性キー選択受付部(属性キー選択受付手段)、24:情報入力テーブル表示部(第二表示手段)、25:確認テーブル表示部(第二表示手段)、26:情報書込指示部(情報書込指示手段)、27:公差解析テーブル表示部(第三表示手段)、28:ID付与部(ID付与手段)、29:アドレス付与部(アドレス付与手段)、30:寸法公差有無判別部(寸法公差有無判別手段)、31:表示公差優先部(表示公差優先手段)、32:第一標準公差読出部(第一標準公差読出手段)、33:標準公差レベル選択受付部(標準公差レベル選択受付手段)、34:第二標準公差読出部(第二標準公差読出手段)、35:穴・ピン径寸法差計算部(穴・ピン径寸法差計算手段)、36:係数計算式作成部(係数計算式作成手段)、37:幾何公差半値計算部(幾何公差半値計算手段)、38:寄与率設定・計算部(寄与率設定・計算手段)、39:寄与率依存公差計算部(寄与率依存公差計算手段)、40:寄与率選択受付部(寄与率選択受付手段)、41:計算対象除外指示受付部(計算対象除外指示受付手段)、42:公差固定部(公差固定手段)、43:情報入力・変更受付部(情報入力・変更受付手段)、44:公差解析選択キー受付部(公差解析選択キー受付手段)、45:設計用数値読出部(設計用数値読出手段)、46:解析結果比較表示部(解析結果比較表示手段)、47:属性表示形態変更受付部(属性表示形態変更キー受付手段)、48:表示形態変更部(表示形態変更手段)、49:テーブル内情報指定受付部(テーブル内情報指定受付手段)、50:設計用数値表示形態変更部(設計用数値表示形態変更手段)、51:片側公差有無判別部(片側公差有無判別手段)、52:片側公差計算部(片側公差計算手段)、69:情報更新表示部(情報更新表示手段)、81:公差設定用コンピュータプログラム、82:公差解析用コンピュータプログラム、152~155:属性キー、162~165:属性表示キー(属性表示形態変更キー)、170:解析選択キー(公差解析選択キー)、171:ウィンドウ領域(公差解析選択キー)、180:組立品、190,200,210,220:情報入力テーブル(解析前テーブル)、230:確認テーブル(解析前テーブル)、300:公差解析テーブル、311,312:キー(寄与率選択キー)、601:各点・方向選択受付部(各点・方向選択受付手段)、602:座標特定部(座標特定手段)、603:比率算出部(比率算出手段)、604:係数受付部(係数受付手段)、605:第1レバー比算出部(第1レバー比算出手段)、608:各距離・角度受付部(各距離・角度受付手段)、609:第2レバー比算出部(第2レバー比算出手段)、625:要素受付部(要素受付手段)、626:可視化指示判別部(可視化指示判別手段)、627:可視化表示部(可視化表示手段)。
図1
図2
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