IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ オヴェスコ エンドスコピー アーゲーの特許一覧

<>
  • 特許-医療用/外科用バイポーラ分断装置 図1
  • 特許-医療用/外科用バイポーラ分断装置 図2
  • 特許-医療用/外科用バイポーラ分断装置 図3
  • 特許-医療用/外科用バイポーラ分断装置 図4
  • 特許-医療用/外科用バイポーラ分断装置 図5
  • 特許-医療用/外科用バイポーラ分断装置 図6
  • 特許-医療用/外科用バイポーラ分断装置 図7
  • 特許-医療用/外科用バイポーラ分断装置 図8
  • 特許-医療用/外科用バイポーラ分断装置 図9
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-14
(45)【発行日】2022-03-23
(54)【発明の名称】医療用/外科用バイポーラ分断装置
(51)【国際特許分類】
   A61B 17/10 20060101AFI20220315BHJP
   A61B 17/00 20060101ALI20220315BHJP
   A61B 17/94 20060101ALI20220315BHJP
【FI】
A61B17/10
A61B17/00 500
A61B17/94
【請求項の数】 14
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2017094312
(22)【出願日】2017-05-10
(65)【公開番号】P2017209490
(43)【公開日】2017-11-30
【審査請求日】2020-04-15
(31)【優先権主張番号】16169234.8
(32)【優先日】2016-05-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】510285610
【氏名又は名称】オヴェスコ エンドスコピー アーゲー
【住所又は居所原語表記】FRIEDRICH-MIESCHER-STRASSE 9, 72076 TUEBINGEN, GERMANY
(74)【代理人】
【識別番号】100081776
【弁理士】
【氏名又は名称】大川 宏
(72)【発明者】
【氏名】セバスチャン ショステク
(72)【発明者】
【氏名】チ-ンギア ホー
(72)【発明者】
【氏名】トーマス ゴットヴァルト
(72)【発明者】
【氏名】マルク オー.シュァー
【審査官】白川 敬寛
(56)【参考文献】
【文献】特表2016-509908(JP,A)
【文献】特表2010-516361(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 17/00
A61B 17/10
A61B 17/94
A61F 2/95
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
医療用内視鏡器具と医療用直流インパルス発生器とを有し、直流電流で動作し、導電性材料で作られた医療用インプラントを分断するように構成された医療用/外科用バイポーラ分断装置であって、
前記医療用直流インパルス発生器は、
前記医療用インプラントに物理的に接触するように構成された2つ又は3つの電極(11)を遠位端部に有する医療用内視鏡器具に接続され、所定のまたは調整可能な強度の直流電流をパルス状でまたは時限式で前記電極(1)に印加するように構成され、電流をインプラント材料を介して一の前記電極から残りの前記電極に流し、切断プロセスにおいて前記インプラント材料を切断するために電気エネルギーを前記インプラント材料に印加する電流源(4)および電流制御装置を備え、
前記電流制御装置は、
前記医療用内視鏡器具の前記電極(1)と前記医療用インプラントとの間の物理的接触が確立された後に、第1段階(t-t)において、前記インプラント材料を溶融するために電流を印加する第1制御部または実装された第1制御プロセスと、
前記電極(1)の少なくとも1つと前記医療用インプラントとの間の前記物理的接触の喪失後に、第2段階(t-t)において、所定の維持期間の間、前記インプラント材料を通る電流フローを維持するように構成された第2制御部または実装された第2制御プロセスと、
を実行するように制御し、
前記所定の維持期間は、インプラント部分の分断が完了する前に前記インプラント材料の再凝固を回避する値に予め調整されている医療用/外科用バイポーラ分断装置。
【請求項2】
前記医療用直流インパルス発生器は、電流計および/または電圧計をさらに備え、
複数の前記電極(1)と前記医療用インプラントとの間の直接接触段階である前記第1段階(t-t)において、前記インプラント材料を通って前記電極(1)間を流れる電流の電流値は、前記電極(1)と前記インプラント(2)との接触部に電気エネルギー密度を発生させるように前記電流制御装置によって制御され、前記インプラント材料を前記接触部においてのみ溶融させるように調整され、
前記電流制御装置は、電流計により電流値の急激な減少を測定することおよび/または電圧計により電圧値の急激な上昇を測定することによって、前記電極(1)と前記インプラントとの間の前記物理的接触の喪失を検出するように構成され、
前記電極(1)と前記インプラント(2)との間の前記物理的接触の喪失段階である前記第2段階(t-t)において、電流によって誘起された電圧値は、前記電流制御装置によって制御され、前記電極(1)の少なくとも1つと前記インプラント(2)との間で電気アークを発生させ、生体適合電圧値よりも低い所定の最大値に制限される請求項1に記載の医療用/外科用バイポーラ分断装置。
【請求項3】
前記電流制御装置は、前記電流源(4)に電気的に接続された、前記第1段階における電流パルスの最大持続時間を最大第1パルス幅に制限するように構成された安全装置(6)を備える請求項1または2に記載の医療用/外科用バイポーラ分断装置。
【請求項4】
前記電流制御装置は、前記電流源(4)に電気的に接続された、前記第2段階における電流パルスの最大持続時間を最大第2パルス幅に維持し制限するように構成された遅れ要素(7)を備える請求項1または2に記載の医療用/外科用バイポーラ分断装置。
【請求項5】
前記第2段階は、50μs~600μsの持続時間またはパルス幅を有する請求項4に記載の医療用/外科用バイポーラ分断装置。
【請求項6】
前記第1段階及び前記第2段階の持続時間の合計は、120msより短く、好ましくは100msより短く、最も好ましくは80ms以下である請求項1または2に記載の医療用/外科用バイポーラ分断装置。
【請求項7】
前記電流源(4)は、前記第2段階の前記電極(1)における電圧値を約4Vの最大値に制限するように構成されている請求項1または2に記載の医療用/外科用バイポーラ分断装置。
【請求項8】
前記電気アークによって前記インプラント(2)に導入される電気エネルギー密度は、前記インプラント(2)の金属を切断するように調整されている請求項2に記載の医療用/外科用バイポーラ分断装置。
【請求項9】
ワイヤ(11)及びシャント(3)を有し、
前記遅れ要素(7)は、前記電極(1)における電圧の所定値までの上昇、または前記電流源(4)と前記電極(1)とを接続する前記ワイヤ(11)と電気的に直列に接続された前記シャント(3)での電圧低下によって起動される請求項4に記載の医療用/外科用バイポーラ分断装置。
【請求項10】
前記電流値は、100アンペアより大きく、好ましくは140~155アンペアに制御される請求項2に記載の医療用/外科用バイポーラ分断装置。
【請求項11】
前記電圧値は、前記電極(1)で4ボルトの限界を下回るように制御される請求項2に記載の医療用/外科用バイポーラ分断装置。
【請求項12】
前記電極(1)は、抵抗調整された比溶融エネルギーが35×1015Jm-4Ω-1より大きい耐熱材料から作られる請求項1または2に記載の医療用/外科用バイポーラ分断装置。
【請求項13】
前記医療用内視鏡器具は、標準の内視鏡の作業チャネルに挿入されるように構成された内視鏡器具である請求項1または2に記載の医療用/外科用バイポーラ分断装置。
【請求項14】
前記医療用内視鏡器具は、少なくとも2つの互いに対向する器具ブランチが配置され、前記器具ブランチの間に導電性インプラントまたは前記インプラント部分を受け入れるための切断ギャップを形成する遠位器具ヘッドをさらに備え、
少なくとも2つの器具長手方向の前記器具ブランチにおける互いに対向する側面がそれぞれ前記電極(1)を形成するか、または少なくとも1つの前記電極(1)を備え、
前記電極(1)は、互いに対向する前記電極の側面で、金属の前記インプラント材料と点状の接触領域を形成するように成形されている請求項1または3に記載の医療用/外科用バイポーラ分断装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、薄壁および/またはワイヤ状の金属製インプラントを直流電流で分断するための、好ましくは欧州特許出願公開2967712号明細書に記載の外科用/医療用切断装置に接続される医療用直流発生器に関する。
【背景技術】
【0002】
本発明の説明のために、欧州特許出願公開2967712号明細書の教示が知られていると推測され、この先行技術文献が本出願の主題とされている。
【0003】
より詳細に、欧州特許出願公開2967712号明細書には、バイポーラ型の手術用/医療用インプラント切断器具が開示されており、これは直流電流で作動する。 この器具は、器具ヘッドを備え、当該器具ヘッドは、器具シャンクまたはシャフトの遠位端に配置され、器具を好ましくは内視鏡を介して患者の体内に最小侵襲的に挿入するように構成(適合)されている。 器具ヘッドは、少なくとも2つの互いに対向する器具ブランチを備え、その器具ブランチの位置は、導電性インプラントまたはインプラント部分を受け入れるための切断ギャップ(隙間、間隔)を形成(画定)する。
【0004】
切断は、上記ブランチとインプラント材料との物理的接触が検出された後に、1つまたは複数の単一直流電流パルスをインプラント部分に印加することによって達成される。単一直流電流パルスをOTSC(「over the scope clip」)材料に適用すると、インプラント材料(例えば、ニチノール)の断面がその(周知の)融点まで非常に局部的に加熱される。例えば、ニチノールの融点は約1300℃である。それぞれの外科用/医療用器具と同様に直流電流発生器は、直流電流パルスのパラメータが、電解効果およびファラデー効果のような副次的な影響を最小にして効果的に切断するために最適化されるように設計されている。
【0005】
欧州特許出願公開2967712号明細書に示された器具によれば、電極がブランチ(枝部)の互いに向き合った長手方向の側面(長手方向に延びる側面)に形成されているか、またはそれぞれに少なくとも1つの電極が設けられている。これらの電極は、電極間の電気的短絡を目的として、導電性インプラントまたはインプラント部分と疑似線形または点状の物理的接触を行うために、相互に面する長手方向の側面で刃先を形成するように、順々に成形されている。
【0006】
欧州特許出願公開2967712号明細書による器具設計の目的は、最小量の電気エネルギーの使用により、特定の体積のインプラント材料(電極間)の溶融を達成することである。これは、電極とインプラント材料との間に小さな(針状の)接触領域を確立することによって達成され、この領域を通して、非常に限られた体積の金属のみが溶融されることを確実にするために高い電流密度が達成される。さらに、電流パルス持続時間は、熱放散効果を低減するために、最小化/制限される。非常に短いパルス持続時間内にインプラント材料の溶融を達成できるようにするには、インプラント/電極で約2~4Vの電圧値を測定できる150Aの範囲の高電流が必要とされる。この器具設計は、数ミリ秒以内、典型的には約20ミリ秒~100ミリ秒以内に、実質的に電極間のインプラント材料の断面の効果的で非常に局部的な溶融を可能にする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】欧州特許出願公開2967712号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ここで、出願人は、上記公知の医療用器具が正しく使用されたとしても、インプラント材料の溶融効果が生じたにもかかわらず、分断(フラグメンテーション)の成功は確実に達成できないことを認識した。
【0009】
本出願人は、インプラント材料の断面が融解する時点で、インプラント材料に沿って、インプラント材料を通る電流フローに本質的に垂直な、非常に高い熱勾配が存在することを見出した。この非常に高い熱勾配は、明らかに、融解した材料部分からより低温のインプラント材料の領域に向かって、電極間の電流フローに対して垂直方向に溶融材料から効果的に離れる非常に高い熱流をもたらす。したがって、インプラント材料の断面が融解する時点で、電極間の電流フローに本質的に垂直な方向の熱放散(放熱)は最大であり、溶融材料の非常に強い冷却効果をもたらす。
【0010】
しかしながら、非常に小さいインプラント材料部分が溶融される時点での冷却効果は、急速冷却をもたらし、それにより溶融インプラント材料の再凝固をもたらす。この再凝固は、約50~数100マイクロ秒以内に行うことができる。
【0011】
本出願人は、最終的に、インプラント材料の全断面が融解する時点で、前記断面のいずれかの側のインプラント部分が、インプラント構造に加えられる力、例えば、バイポーラ外科用/医療用器具との接触、周囲の組織、またはインプラント構造内の張力による力により動き始めることを見出した。この動きは、時として、外科用/医療用器具の少なくとも1つの電極とインプラント材料との間の物理的接触の急激な喪失をもたらし、それにより、電流フローの急激な中断をもたらした。この電流の急激な中断が発生した時点で、強い熱放散は、しばしばインプラント部分が効果的に分離/切断される前に、インプラント構造の迅速な再凝固をもたらした。結果として、全体的なインプラント構造がそのまま残っているため、分断の試みは成功しなかった。
【0012】
本出願人によって初めて認識されたこの問題に照らして、本発明の目的は、直流電流に基づいて動作し、切断装置の医療用器具の切断電極と(金属製の)医療用インプラントとの物理的接触の後に電気出力を提供するように構成され、インプラント材料を溶融するために設けられ、既に溶けたインプラント材料が動き始めても分断の成功度を改善する、外科用/医療用切断装置の医療用電流発生器およびそれを備えた外科用/医療用切断装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
この目的は、請求項1の特徴を有する医療用直流電流発生器によって基本的に解決される。有利な構成は、従属請求項の主題である。
【0014】
より具体的には、上記の目的を解決するために、本発明は、下記の医療用直流電流発生器とそれを備えた外科用/医療用切断装置とを提供する。当該医療用直流電流発生器は、制御装置(例えばCPUまたは制御回路)を有し、あるいは当該制御装置に接続されている。この制御装置は、インプラント材料の溶融のために確立された、切断装置の医療用器具の切断電極と医療用インプラント(金属製)との物理的接触の後に電気出力/電流を印加するように構成された第1制御部(または実装された制御プロセス)と、少なくとも1つの電極とインプラント材料との間の物理的接触の(突然の)喪失の後にインプラント材料を通る電流を(好ましくは所定時間)維持するように構成された第2制御部(または実装された制御プロセス)と、を備えている。前記所定時間は、インプラント部の分離/分断が完了する前のインプラント材料の再凝固を安全に避けるために、好ましくは、異なるインプラント/インプラント材料を用いた複数の試験に基づいて、調整され、またはむしろ事前調整される。
【0015】
したがって、本発明は、バイポーラ手術器具に接続されるように構成された(またはバイポーラ手術器具に接続された)医療用直流インパルス発生器を開示する。直流インパルス発生器は、少なくとも1つの電流パルスにおける電流量(またはエネルギー密度)が電極間の(既に識別された)インプラント材料を溶融させるのに十分であるように、好ましくは所定のまたは調整可能な強度の電流(アンペアでの最大電流値)をパルス状でまたは時限式で電極に印加するように構成された電流源を含み、当該電極は、好ましくは、インプラント材料と点状の物理的接触を生成するように互いに配向される。医療用直流発生器(直流インパルス発生器)は、電流パルスが2つの連続する相を含む2相切断プロセスの実行が実現されるように、好ましくは、CPUを備えるか、またはCPU若しくは電極を介して流れる電流を決定および制御するように構成されたこの種の他の制御装置(例えば、アナログ制御回路)に接続される。
【0016】
電極が(機械的/物理的に)インプラントと接触する第1段階(第1フェーズ)では、電極間のインプラントの材料は、インプラント材料を介して一方の電極から他方の電極へ流れる電流によって加熱(溶融)される(短絡段階)。この第1段階は、加熱(溶融)段階とも呼ばれる。第2段階(第2フェーズ)では、好ましくは物理的接触の中断が発生した/検出された時点から開始する所定の最大持続時間/期間(電気アーク段階)の間、少なくとも1つの電極とインプラント材料との間に延在する電気アークを許可/発生/維持するように、電流発生器の電気出力が調整/制御される。この第2段階は、切断段階とも呼ばれる。
【0017】
一方の電極がインプラント材料との物理的接触を失った時点では、例えば、既に溶融したインプラント材料が移動を開始するため、電極とインプラント材料との間の距離が徐々に増加し、当該電極間の距離が非常に小さい(例えば、数マイクロメートルの範囲内である)ために/場合に、低電圧であっても電気アークの確立が可能になる。空気中で電気アークを確立するのに必要な電場強度は、約1000V/mmである。したがって、例えば、約1マイクロメートルの範囲内の小さな距離では、2つの導体(この場合、少なくとも1つの電極とインプラント材料)の間に電気アークを確立するのに約1~2ボルトの範囲の電圧で十分である。したがって、少なくとも1つの電極とインプラント材料との間の物理的接触が中断された後の最初の瞬間において、電気アークが所定の最大期間確立される。
【0018】
一旦確立されると、電気アークはそれ自体の導電経路を表し、それゆえ、この電気アークを維持するために、新しい電気アークを発生するのに必要な電場強度と同等の電場強度を必要としない。したがって、電極とインプラント材料との間の物理的接触の中断後に確立された電気アークは、比較的低い電圧で一定時間維持することができる。
【0019】
さらに、直流電流のみが中断されない電流を提供するので、電気アークを維持するには直流電流の使用が必要となる。交流電流が使用される場合、例えばアルゴンプラズマ凝固法(APC)アプリケーションにおいて、電気アークが確立され、正弦波の各半サイクルで消滅する。このため、APCアプリケーションに用いられる電圧は数千ボルトであり、容易なイオン化特性を提供する雰囲気が必要である。また、本発明は、少なくとも1つの電極とインプラント材料との間の物理的接触の中断が検出された後であっても、電気アークが所定の期間最大限に(またはインプラント材料が早期の時点で切断されるまで)生成されるように、電流の器具のメンテナンスを利用することに注意すべきである。欧州特許出願公開2967712号明細書は、開示されているシステムが、「遮断」装置を装備することができる/装備している場合のいかなる場合もアークを回避することを教示している。
【0020】
第1段階である加熱(溶融)段階のパルスは、約Δt=10msから最大Δt=120msまでの典型的な持続時間の単相矩形波形である。好ましくは、その段階における最大パルス持続時間は、約Δt=60msから最大Δt=100msであり、より好ましくはΔt=80ms(ミリ秒)である。電極とインプラント材料との間の物理的接触の喪失が起きる/検出される瞬間は、予め決定することができず、個々の電流パルスの適用の間で変化するため、加熱段階の持続時間は変化し得る。
【0021】
好ましくは、所定のパルス持続時間を超えないことを保証するように構成された時間遅れ要素が提供される。電流源と電極との間の高電流ワイヤ(高電流線)での電圧降下は、一般に非常に大きく(20V以上)、電流は非常に高い(100A以上)ため、時間遅れ要素は、器具が過熱されることを防止する。
【0022】
加熱段階中、電流は本質的に一定であり、好ましくは145~155アンペアの範囲内で、所定の値に設定される。また、電極間の電圧(電極に近い位置で検出される)は、比較的低く、典型的には1~3ボルトの範囲内である(電流源の電圧は約36~48ボルトである)。少なくとも1つの電極とインプラント材料との間の物理的接触が失われ、電気アークが確立されると(電気アークが所定の期間最大限になると)、電気アークは、電流経路内のさらなる成分を表し、その抵抗は強く変動する。したがって、少なくとも電極とインプラント材料との間に電気アークが確立されるとすぐに、電流は直ちに減少し、加熱段階中の電流値よりもかなり低いレベルで変動する。さらに、電極間の電圧は直ちに上昇し、加熱段階中の電圧値よりもかなり高い値で変動する。
【0023】
電気出力を2つの連続する段階に調整することができるように、医療用直流電流発生器は、直流電流印加中に少なくとも1つの電極とインプラント材料との間の物理的接触の突然の喪失を検出するように構成される。これは、好ましくは、電圧監視装置(電圧計)を用いて電極間の電圧を監視すること、電流監視装置(電流計)を用いてインプラント材料を介して一方の電極から他方の電極に流れる電流を監視すること、またはその両方によって達成される。
【0024】
切断段階は、単相パルスであり、好ましくはΔt=50μs~500μsの最大パルス持続時間を有する。時間遅れ要素は、切断段階の持続時間を所定の値に制限する。好ましくは、Δtは約450μs(マイクロ秒)である。この段階において、切断プロセスは、少なくとも1つの電極とインプラントとの間の電気アークによって達成される。
【0025】
したがって、本発明の電流制御装置は、安全装置と、2つの段階の持続時間を制御する遅れ要素と、を含むことができる。そのような場合、安全装置はスイッチおよび電流源に接続される。遅れ要素は、電流源に接続されている。遅れ要素は、第2(切断)段階で電流を維持する。電流源がスイッチによって起動されると、切断プロセスの第1段階および安全装置内のタイマーが開始される。好ましくは、スイッチはフットスイッチである。
【0026】
遅れ要素は、電流源に電気的に接続され、第2段階で直流電流パルスの持続時間を維持し制限するように構成される。遅れ要素は、起動(活性化)後、所定の時間、直流パルスを維持する。
【0027】
電流は、電流源から高電流ワイヤを介して電極に流れ、その電極間に、電極と電気的に接触するインプラントが配置される。
【0028】
電極/インプラントでの電圧降下は、遅れ要素と電気的に接続している電圧制御ユニット(電圧センサ/電圧計)(dU/dt)を介して測定することができる。電極/インプラント上の電圧が所定の限界を超えると、電圧制御ユニットは信号を出力する(「正の基準」)。
【0029】
電極を通って供給される電流および電極間のインプラントの抵抗に依存して、第1段階(溶融段階)の電圧は、電極で約2Vに調整することができる。電圧制御ユニットからの「正の基準」は遅れ要素を起動(開始、始動)させる。さらに、電圧が上昇すると、電流源は電極間の電圧を約4Vに制限する。
【0030】
冗長制御としての独立した電流制御ユニット(電流計)は、インプラント/電極/高電流ワイヤを通る電流を制御するために適用することができる。電流制御ユニット(電流リミッタ)は、遅れ要素と電気的に接続している。電流は、例えば、高電流ワイヤおよび電極と直列に接続されたシャント(分流器)を経た電圧降下として測定される。
【0031】
電流の変化(dI/dt)が検出されると(電流が高い値から低い値に低下すると)、電圧制御ユニットによって信号が発信されるのと同様に、信号が発信される。この信号は、電圧制御ユニットについて説明したように、「正の基準」としても機能し、遅れ要素を独立して起動させることができる。
【0032】
「正の基準」は、医療用インプラントの材料(金属)が電極との物理的接触を失った(金属が溶けて、第1段階が終了した)瞬間を表し/示し、第2段階すなわち切断段階が始まる。電極と溶けた金属との間のアークは、電極がインプラントとの物理的/金属的接触を失ったときに形成される。
【0033】
このアークは、「正の基準」によって発生し、電流源と電気的に接触する遅れ要素によって維持される。 所定の時間(最大600μs)が経過すると、遅れ要素は電流源を停止させる。ここで、上記の所定の最大時間は、例えば、異なるインプラント材料を用いた試験によって見出され、制御装置(romやメモリスティックなどのメモリ部分)に記憶されることに留意されたい。したがって、異なる材料の異なる時間を制御装置に格納することができ、または1回だけに使用することができ、医療用インプラントに一般的に使用される任意の材料の切断の成功を保証する。さらに、物理的接触の喪失後に電気アークを維持する最大時間は、患者の損傷を避けることができるように選択されるべきである。
【0034】
金属が完全に溶融(専らインプラントと電極との間の接触領域において)され、電気アークがインプラントを分断した場合(専ら溶融したインプラント材料の領域において)、もはや電極間に溶融金属が存在しないので、電気アークは自動的に崩壊する(所定の最大時間が経過していなくても)。電気アークにとって電極間の距離は大きくなり過ぎる。これは、通常、遅れ要素が電流を維持している間に行われる。インプラントが分断されたときの電気アークの崩壊により、切断段階は終了する。いずれの場合も、安全装置は、組織の損傷および装置の過熱を避けるために、所定の時間後に分断プロセスを停止させる。安全装置は、120ms以下、好ましくは80ms以下の間、電気アークのための上述の所定の時間として、電流源を作動させ続ける。
【0035】
本発明に係る「直流電流による金属分離」の一般的なエネルギー考察は以下のようになる。
【0036】
金属の結晶格子は、格子の原子の振動に現れる特徴的な熱エネルギーを有する。熱エネルギーは運動エネルギーであり、材料の熱エネルギーEthは温度T、質量mおよび材料固有定数c(比熱容量)に依存する。
【0037】
【数1】
【0038】
材料を流れる直流電流は、材料によって吸収される電気エネルギーEelに等しい熱エネルギーEth(加熱)の増加をもたらす。この電気エネルギーEelは、電力Pおよび直流パルスの持続時間Δtに依存する。
【0039】
【数2】
【0040】
熱エネルギーおよび電気エネルギーの両方は、ワット秒(Ws)またはジュール(J)単位で一般的に特定される。
【0041】
電流が材料を通過すると、電気エネルギーは完全に熱エネルギーに変換され、それはtとtの間に材料に蓄えられた熱エネルギーの差につながる。インプラント材料の加熱ゾーンと隣接材料との間の温度差ΔTは、エネルギーの散逸につながる。このエネルギーEDissは、加熱ゾーンで融点に向かって温度を上昇させるために失われる。熱放散は、変数kに組み合わされ且つ指定されていない材料パラメータに依存し、パルス持続時間Δtにわたる温度差の積分値にも依存する。
【0042】
【数3】
【0043】
熱エネルギーの散逸は、パルス持続時間Δtに大きく依存する。パルスが短ければ短いほど、加熱ゾーンから放出される熱エネルギーが少なくなり、熱エネルギーは溶融(融解)温度に達するまで失われる。
【0044】
加熱段階の開始(t)および終了(t)における熱エネルギーEthの差は、以下のように記載することができる。
【0045】
【数4】
【0046】
温度上昇ΔTは以下のように計算することができる。
【0047】
【数5】
【0048】
これは、固有の材料密度ρおよび加熱ゾーンの体積Vを含むと、以下の比例関係につながる。
【0049】
【数6】
【0050】
上記の比例関係を参照すると、材料定数c、ρおよびΔTはインプラント材料によって与えられる。したがって、直流パルスを最適化することができる3つのパラメータが残っているため、切断プロセスを最適化することができる。
a)材料に加えられる電気エネルギーを増加させる
b)加熱ゾーンの体積Vを減少させる
c)熱エネルギー散逸を減少させるためにパルス持続時間Δtを減少させる
【0051】
c)によるパルス持続時間Δtの減少は、電気エネルギーEelの減少をもたらし、これはa)に対抗する。これは、電力Pを増加させることによって補償することができる。したがって、散逸熱エネルギーEDissの量を低減するためにパルス持続時間Δtを最小にし、短いパルス持続時間内に材料に十分な電気エネルギーEelを依然として印加するために、パルスの電力Pを最大にすることが望ましい。
【0052】
好ましい実施形態では、本発明に係る医療用直流電流発生器および/またはそれを備えた医療用分断装置は、上記2つの連続する段階の持続時間の合計が120msより短くなるように構成され、好ましくは80ms以下であるように構成される。
【0053】
さらに好ましい実施形態では、本発明に係る医療用直流電流発生器および/またはそれを備えた医療用分断装置は、2つの連続する段階のうちの第2段階が、好ましくは50μsと600μsとの間の持続時間、好ましくは450μsの持続時間を有するように構成される。
【0054】
好ましくは、本発明に係る医療用直流電流発生器および/またはそれを備える医療用分断装置は、いわゆるオーバー・ザ・スコープクリップ(OTSC)を切断および/または分断するように設計されている。本発明に係る医療用直流電流発生器および/またはそれを備えた医療用分断装置は、代替的に、特定の電極形態の使用によって金属ステントのワイヤを切断するように構成することができる。その場合、ステントの単線を点状の電極よりも良好な方法で把持することができるように、ブランチ/電極は線状に形成される。
【0055】
インプラント切断または分断装置に使用される直流インパルス発生器は、短い高電力パルスを蓄積および放出することができる内部エネルギー蓄積装置またはエネルギーバッファを備えている。エネルギーバッファは、キャパシタまたはバッテリなどのエネルギー蓄積ユニットに直流電力を充電することによってのみ実現することができる。
【0056】
好ましくは直流インパルス発生器で最大155Aの出力電流で最大26Vの出力電圧の最大仕様を考慮すると、直流電流の場合、出力電力は、最大120msのパルス持続時間の間で4030W(P=4030W)に達する。つまり、これは、1秒間の平均出力電力が480W(483.6W)を超えていることを意味する。これが、安全装置を提供することへの追加の理由、すなわち機器の過熱を避けることへの理由である。
【0057】
電源幹線から直接120msの間4030Wの電力を引き出すことは可能でないかもしれない。したがって、上記エネルギーバッファは、電源幹線からより長い時間(直流インパルス発生器は初期充電で約10分を要する)にわたって充電され、電源幹線からの供給なしに短時間の高電力での放電が可能になる。
【0058】
さらに、この場合、直流電流が好ましい解決策である。本発明に係る医療用直流電流発生器および/またはそれを備えた医療用分断装置は、複雑さが少なく、技術的要件も故障に関するリスクを低減する。直流エネルギーバッファから交流電力を引き出すと、装置の技術的複雑性が大幅に増加する。交流出力の場合、切断に必要なエネルギー量は直流出力の場合よりも高くなる。エネルギーバッファとDC-ACコンバータの技術要件はさらに増大する。
【0059】
エネルギー蓄積装置は、高容量タイプのコンデンサであることが好ましく、「金キャップ」コンデンサまたは「ウルトラキャップ」コンデンサであることが好ましい。蓄積装置の静電容量は、15ファラドより大きいことが好ましい。エネルギー蓄積は、装置が電源に追加の負荷をかけることなく直流パルスを生成することを可能にする。
【0060】
直流インパルス発生器によって生成され、かつ、間に切断ギャップ(切断隙間)が形成される互いに対向する電極に印加される直流インパルスは、100アンペアより大きい、好ましくは140アンペア~155アンペアの電流強度を有する。
【0061】
さらなる実施形態では、装置は、規定された方法で切断ギャップ幅を変更するために、2つの器具ブランチが作動機構を介して可動または設定可能であるように理解される。
【0062】
また、本発明によれば、内視鏡が金属インプラントを切断/分断するための方法が開示され、この方法は、以下のステップを含む。
【0063】
この方法の第1ステップでは、インプラントの材料(金属)が2つのポール間の抵抗器のように電極間に配置されるように、好ましくは器具シャフトの先端/ヘッドで、金属インプラントを2つの電極と物理的に接触させる。電極は、ほぼ点状または線状(1次元)である、電極とインプラントの材料(金属)との間の物理的接触領域を実現するために、それぞれ外形(針状またはナイフ状)を有する。
【0064】
第2ステップでは、所定の強度の電流パルスが、直流インパルス発生器から2つの連続する段階の第1段階の(金属)インプラントに印加され、金属インプラントの金属が電極間の領域で溶ける。第1段階におけるパルス持続時間は、選択された所定のパルス強度(電流値)に従った試験によって見出すことができる。
【0065】
電流制御装置(例えば、CPU)は、好ましくはインプラントと直列にスイッチングされるシャントを介して、インプラントを通る電流フロー(物理的接触が確立されたとき)を判定するように構成される。方法の第3ステップにおいて、電流制御装置は、第1段階(t~t)の間、医療用インプラントの材料および電極を流れる電流を検出する。
【0066】
第4段階では、tで低減されたレベルへの電流降下を検出すると、第2段階(t~t)における電流フローはその低減されたレベルに維持され(少なくとも50μs~500μsの持続時間、好ましくは450μsの持続時間、ただし600μs以下の持続時間)、物理的接触が確立されたときに既に溶融しているインプラント材料が、低減された電流レベルによって生成される電気アークで(完全に)分離されることを確実にする。tでの電流降下は、直流インパルス発生器の電流制御装置によって検出される。
【0067】
また、電流パルスを生成して上記方法を実施するように構成された電流制御装置を備えた直流インパルス発生器が提供される。また、このパルス発生器は、これらのパルスを、導体または電極が取り付けられ得る接点に送達するように構成される。
【0068】
一般に、本発明は以下の考察に基づいている。組織の損傷を避けるために、特別な保護(または冷却)装置がない場合でも、切断されるインプラント材料への熱入力は、可能な限り小さくすべきであり、且つインプラント/ステント材料の急速な溶融につなげるべきである。
【0069】
これは、物理的接触領域/遷移において高い電流密度を得るために(直流電流を直接印加する場合)、電極とステント材料との間の接触面を可能な限り小さく(好ましくは点状に)維持することによって達成することができる。
【0070】
すなわち、その活性な接触面は、電流経路全体に沿って最大の電流密度が達成されるように、少なくとも1つの電極によって構成される。これは、インプラントとの接触係合のために設けられた領域を有する少なくとも1つの電極(または両方のブランチの電極)によって達成され、当該領域は、円形接触によって良好に達成される(本質的に1次元の)点状(または線状)の接触を示す/明確にする。好ましくは、電極は、凸状またはナイフ状の形状を有する。インプラント材料は、特に高電流密度のために、表面が非常に小さいこの接触位置で加熱され、それにより、遠くに位置するインプラント材料が加熱され始める前に迅速に溶融される。この目的のために、少なくとも電極が、低合金鋼のような耐熱材料、または、特に銅、タングステンもしくは銀のような金属から作られていると、特に有利であることが分かった。
【0071】
さらに、熱入力は、パルス状のまたは時限式の(時間調整されたまたは周期的な)電気的な直流電流の直接印加(電極と医療用インプラントとの間の物理的接触を伴う)によって行われるべきである。結果として生じる各直流パケットは、熱エネルギーをインプラントまたはステント材料の金属材料に入力させるが、周辺組織への熱放散は、必然的に短いインパルス持続時間のために(電流の非時限式での印加と比較して)小さい。
【0072】
本発明に係るバイポーラ器具の電極は、従来技術に係る特定の保護装置を配置することなく器具自体が一種の保護効果を展開するように、器具先端に付加的または代替的に配置することができる。この目的のために、器具の長手方向に延び、間に(縦の、長手方向の)切断ギャップを形成し、対向する側面に電極を有するまたは形成する2つの器具ブランチの形成が、有利であることが示されている。したがって、電極は必然的に周囲の組織から離れることができ、ブランチは電極と周囲の組織との間に遮蔽的に配置される。
【0073】
患者の周辺組織に損傷を与えないために、高電流強度(100アンペアより大きい、好ましくは140~155アンペア)の直流電流インパルスが1秒未満で印加され、制御技術により相互に対向する電極間に溶接ギャップが形成される。これにより、インプラントの金属は、切断ギャップの近傍のインプラント材料を過度に加熱することなく、電極間で溶融され、切断される。この理由は、すでに上述したように、電流パルスによって、医療用インプラントまたはステントから周辺組織への熱放散効果を低減することができることである。これにより、電圧は、低電圧である48ボルトの限界をはるかに下回っても良く、患者(生体適合性のある)にとって完全に無害である。
【図面の簡単な説明】
【0074】
図1】本発明に係る医療用インプラント切断/分断装置の典型的な直流パルスの説明図であり、加熱段階(t-t)および切断段階(t-t)を含む。
図2】本発明に係る直流インパルス発生器およびアクセサリを示し、医療用インプラント分断装置の先端の拡大図を含む図である。
図3】異なる材料の仕様が記載された表である。
図4】電流経路に沿った材料仕様の概略図である。
図5】再凝固インプラント部分の例を示す図である。
図6】導電性インプラントと物理的に接触係合(短絡係合)している、装置の遠位の器具ヘッドにおける2つの器具ブランチの概念的な構成図である。
図7】インプラント部分と本発明に係る医療用インプラント分断装置との間の接触の確立を示す図である。
図8】本発明に係る医療用インプラント分断装置の電流制御装置を示す図である。
図9】本実施形態のバイポーラ分断装置を説明するための説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0075】
以下、添付の図面を参照し、好ましい実施例を参照して本発明をより詳細に説明する。図1に示すように、本発明によるtにおいて、直流インパルスは、2つの半球要素1によって表される医療用インプラント分断装置の外科器具の2つの遠位電極が、2つの電極1によって挟まれたインプラント(ステント)2と物理的(点状)の接触状態にあるときに、直流インパルスが放出され、2つの対向する電極1とインプラント2との間の接触領域においてインプラント材料の溶融が始まる(第1/溶融段階)。例えば既に溶融されたインプラント材料の移動のために、少なくとも1つの電極1とインプラント/ステント材料との間の直接的(物理的)接触が中断された場合(t)、電気アークが、電極1とインプラント/ステント材料との間に生じ、電極1とインプラント/ステントとの間の電気的接続を維持する(第2/切断段階)。これらの電気アークにより、電極1間の電圧UGrが急激に上昇し、同時に電流Iが急激に減少する。電気アークを通る電流伝導の不安定性のために、電流Iおよび電圧UGrの両方が、第2/切断段階中にノイズ信号になる(電気アークは、電極1とインプラント2の材料との間の空間内で、アルゴンプラズマ凝固で生成される電気アークと同様に、予測できないほど「踊る」)。
【0076】
図面は例示的な図面に過ぎず、図の軸は一定の縮尺ではない。それでも、図1から明らかなように、後続の第2/切断段階は、例示的な図よりもはるかに短い(第2/切断段階は第1/溶融段階または加熱段階より約3桁短い)。遅くともt(またはそれ以前)で、インプラント2の材料が分離され、2つの対向する電極1の間の距離が大きくなりすぎて電気アークを維持することができないので、電気アークは最終的に崩壊する。
【0077】
ここで留意すべきことは、上記の第1段階の間の電流値および電圧値は、電極間で短絡するため、対向する2つの電極間の物理的接触領域においてのみインプラント2の材料を溶融するのに十分なレベルで保持(調整)されることである。好ましくは、電流源は、約150Aの最大電流値と36~48Vの電圧値が生成され、電極で約2Vの電圧値に至るように、制御または選択される。物理的接触が失われた時点で、自動的に、電流値が低下し電圧値が上昇する。しかしながら、本発明では、第1段階の直後の上記第2段階の間に、電流値は、電極1とインプラント2の材料との間に電気アークを発生/保持するのに十分なレベルで(自動的に)保持(調整)される。これは、電流制御によって、または適切な電流源のそれぞれの選択によって行うことができる。好ましくは、電極における電圧値は、(選択された電流源またはその制御の限界のために)約4Vまで上昇し、電流値は、発生した電気アークのためにそれぞれ自身を調整する。
【0078】
さらに、第2段落の最大持続時間は、この好ましい実施形態では約500μsに選択される。この最大持続時間は、切断成功と患者の保護をも実質的に保証する異なるインプラント/インプラント材料を用いた試験に基づいて予め選択されるが、ここでは、インプラントの早期切断のために、第2段階の持続時間が好ましい上限500μsよりも短くなり得ることが明らかである。
【0079】
図2の医療用インプラント分断装置は、ステント(例えば、消化管内の組織クリップ)の分断の例を表す。従来の柔軟な内視鏡、胃鏡および結腸鏡に適用可能であるように、切断器具(周知の内視鏡の作業チャネルに挿入され、図1に示すように遠位器具先端が2つの対向するブランチ2を装備するように構成された器具シャフト)は、好ましくは、最小220cmの長さおよび最大2.6mmの直径を有するべきである。図2に示すように、直流インパルス発生器によって生成された直流パルスは、器具のシャフトを通って先端まで伝導されて戻されなければならず、直流パルスの場合、導電長さは最小440cm(2×最小220cm)になる。必要な絶縁と少なくとも2つの追加の検知ワイヤ(図8に示す)を考慮すると、直流パルスを導通させるために利用可能な(銅)断面は、一ワイヤ(単線)当たり2.5mm(すなわち440cmに亘って2.5mm)以下である。
【0080】
医療用インプラント分断装置は、図2に示す器具シャフトの遠位端で、2つの器具ブランチに/2つの器具ブランチ内に、少なくとも2つの電極1が設けられたバイポーラ装置である。3つの電極1(改善されたグリップ用)の場合、3つの電極のうちの2つは同じ極性を有する。器具シャフトは、図8に示すように、少なくとも4本、好ましくは6本の導線(導電性ワイヤ)10、11、12を含む。具体的に、導線10~12は、2つのポールの各々に接続された高電流(大きな断面)用の2本のワイヤ11と、それぞれ2つの電極1(ポール)のうちの1つおよび/またはシャント3に接続された電圧および/または電流検出のための少なくとも2つの細径ワイヤ10、12と、を含む。
【0081】
高電流ワイヤに沿った電圧低下(高電流経路全体で約25V)のため、検知ワイヤ10が必要とされる。器具の先端で測定される電圧は、ステントの溶融段階(第1/溶融段階、(t-t))の間、約2Vから約4Vに変化する。第2段階(第2/切断段階、(t-t))が始まると、約4Vが測定される。直流インパルス発生器の電流源は、材料が溶融し始めて電極が溶融金属に接触しなくなったとき、(自動的に)電流を維持しようとする。 電流を維持しようとすると、電流源は電圧を増加させる傾向を示す。高すぎるため患者にとって危険な電圧を避けるために、電極1の電圧は第2段階の間約4Vに制限される。
【0082】
直流インパルス発生器は、バイポーラ手術器具を介して電気的な直流電流を送るように設計されている。この直流パルスはクリップ部分/ステント/インプラントを通って流れ、器具の遠位先端の2つの対向する電極1がインプラント2との物理的接触を確立しており(図6および図7も参照)、それらがインプラント材料の局部加熱および溶融をもたらす。直流インパルス発生器は、好ましくは任意に100A~150Aの直流パルスを供給する。
【0083】
器具ブランチは、基本的に間隔が空けられているかまたは間隔を空けることが可能であるため、それらの間の切断ギャップは、インプラントまたはインプラント部分2(OTSC(クリップ)またはステントワイヤ)の当該ギャップ(隙間)への導入を、相互に対向する2つの長手方向のブランチ/電極と物理的に接触させた際に、許可/確保する。
【0084】
まず、当該ギャップに金属製のインプラントまたはインプラント部分2が導入されると、既に器具のブランチ枝部の先端部でインプラント材料が各電極1に接触し短絡しているので、印加された電流によって電極1間のインプラント材料が加熱されて溶融される。
【0085】
電極1とインプラント2との間の接触抵抗は、インプラント材料を(限定的に)接触領域(すなわち、外側から内側へ)において確実に溶融するために可能な限り高くするべきであるが、インプラント領域をさらに遠ざけてできるだけ加熱しないようにすべきである。
【0086】
インプラント材料へのエネルギー入力は、たとえ付加的な保護手段がない場合であっても、患者の周辺組織への熱放散ができるだけ小さく留まるように行われるべきである。
【0087】
直流電流によるインプラント材料の1体積要素の融解は、以下のように計算することができる。
【0088】
材料の1体積要素を溶融させるのに必要な熱エネルギーEthは、開始温度T、固有の溶融温度T、比熱容量c、および比重ρに依存する。
【0089】
【数7】
【0090】
=38℃で1体積要素Vが1mmである場合、図3に示すように1mmあたりの必要溶融エネルギーの値が計算される。
【0091】
電気エネルギーを熱エネルギーに変換する材料の配置は、材料のオーム抵抗に比例する。 同じ電流Iが異なる材料を流れる本発明の場合についてこれを考慮するために、比溶融エネルギーは、オーム抵抗によって(比オーム抵抗の逆数との乗算によって)調整される。これは、与えられた電流で溶融しようとする材料個々の意志に関して、ゆえに本発明の電流経路で使用するための材料の適合性に関して、異なる材料を比較することを可能にする値を計算する。
【0092】
材料選択(電気的特性のみを考慮)に関連する値は、抵抗調整された比溶融エネルギーeである。この選択の目的は、直流カッター(切断)器具に使用される材料がその溶融温度にさえ近づかない間に、インプラント材料の非常に選択的な溶融を達成するために、溶融される材料(インプラント材料)と直流カッター器具に使用される材料との間の差を最大にすることである。抵抗調整された比溶融エネルギーは、材料に対して一定であり、以下のように計算される。
【0093】
【数8】
【0094】
次の変数を使用する。eは抵抗調整された固有の溶融温度であり、cは比熱容量であり、ρは比重であり、Vは体積要素(ここではV=1mm)であり、Tは溶融温度であり、Tはエネルギー摂取前の温度(ここではT=38℃)であり、rは比オーム抵抗である。関連する材料仕様の概要は図3に示されている。
【0095】
銅が最も高い抵抗調整された比溶融エネルギーeを有するが、銀がその生体適合性のために電極材料として選択されている。したがって、器具シャフト内の導線は、患者の組織と接触しないので、銅で作られる。
【0096】
直流カッターの電流経路に沿った材料仕様は図4に示されている。1番目の概略構成図は、直流カッターの関連する部分(セグメント)を示している。2番目には電気等価回路が示されている。3番目の図は、電流経路に沿った「抵抗調整された比溶融エネルギー」を示している。4番目の説明図は、電流経路に沿った電流密度を示している。
【0097】
図4の材料選択では、インプラント材料(ニッケル-チタン)と隣接する電極材料(銀)との抵抗調整された比溶融エネルギーeの関係は4.86対143である。これは、与えられた電流で、インプラント材料が溶融する傾向が、電極材料が溶融する傾向よりも29.4倍高いことを意味する。これは、大きな安全マージンを提供し、インプラント材料がより迅速に溶融温度に達する間に、電極材料が溶融温度に近づくほどには加熱されないことを保証する。さらに、ワイヤ材料は、210というさらに高い抵抗調整された比溶融エネルギーeを有し、したがって、ワイヤの溶融傾向は、電極の一方よりもさらに低い。
【0098】
図5は、インプルント部分が溶融温度への不成功の後に再凝固した例を示す。加熱段階(図1に示す第1段階)の間、加熱ゾーン内の医療用インプラント2の材料は溶融温度に達する。溶融領域(およそ電極とインプラントとの間の接触領域)が再凝固する前に、インプラント部分を分離させるために、この温度を短時間維持しなければならない。しかし、図5に示すように、第1段階の間に当該インプラント部分の分離をインプラントに対して安全に達成することはできない。溶融した材料の再凝固(特に既に溶融したインプラント材料の移動のために電極1とインプラント2との間の物理的接触を失った後)を回避し、インプラント部分の効果的な分離を確実にするために、本発明の切断プロセスは、加熱/溶融(第1)段階の後に上記第2/切断段階を備えている。電気アークによる切断を支援する切断段階は、溶融材料に研磨作用を及ぼす。医療用インプラントは一般に弾性特性(プレテンション)を有するので、これらの特性は通常、溶融時の材料の分断を支援する。電流パルス(物理的接触中)が十分でない場合(物理的接触が中断するまで)、インプラント材料は溶融後に冷却され、インプラント2の支持弾性特性は失われるか、または少なくとも低減される。インプラント材料にはプレテンションが残っておらずまたは低いプレテンションが残っており、この再凝固インプラント2を再び分断することは非常に困難である。これは、欧州特許出願公開2967712号明細書による医療用切断器具が使用される場合に起こり得る。しかしながら、本発明の第2(切断)段階で作られる追加の研磨用電気アークは、この欠点を克服する。
【0099】
図6には、インプラント材料と電極1との間の点状の物理的接触が示されている。さらに、バイポーラ医療用インプラント分断装置の直流切断器具の両方のポール/電極1が隣接する組織と直接接触している場合、漏れ電流Iが生じることが分かる。
【0100】
直流パルス電流I(最大155Aに指定される)は、インプラントを通して供給され、電極1間に電圧降下UGrを生成する。この電圧降下が、組織を通って供給される漏れ電流Iをもたらし(電極1が組織と物理的に接触している場合)、第2/切断段階の電圧を制限する理由である。漏れ電流Iは、隣接する組織にわたって広がり、電流密度Jは、電極対までの距離が増加するにつれて減少する。電流密度Jは、総漏れ電流Iだけでなく、電極間隔および電極対までの距離に依存する。切断のための直流パルス電流の考慮において、IがIよりも数桁低いから、Iは考慮されていない。
【0101】
図7において、左の図は、インプラントと直流切断器具との間の物理的接触がどのように確立されるかを示している。右側の図は、切断されるインプラント部分2の断面と電極1間の電流経路Iを示す。
【0102】
図8において、直流インパルス発生器の制御または動作機構がブロック図に示され、以下に詳細に説明される。
【0103】
インプラント2は、電極1の間に位置する。電極1は、インプラント2と電気的に接触(物理的に接触)している。さらに、電極1は、2つの高電流ワイヤ11を介して電流源4に接続されている。電流源4からの電流は、ワイヤ11を通って電極1に流れ、それゆえに(金属)インプラント2も通って流れ、インプラント材料を加熱して溶融させる。シャント3は、ワイヤ11の1つに直列に接続されている。これは、インプラント2を通ってそれを溶融させる電流が、シャント3をも通って流れることを意味する。
【0104】
2つの検知ワイヤ12の第1端部はシャント3の第1および第2端部に接続され、検知ワイヤ12の第2端部は電流制御のためのユニット9に通じている。この電流制御装置9は、電流がワイヤ11を流れるとき、シャント3での電圧降下を測定する。この電圧は、ワイヤ11およびインプラント2を流れる電流に比例する。検知ワイヤ10の第1端部は、ワイヤ11の遠位端に、好ましくは電極1にそれぞれ結合される。検知ワイヤ10の第2端部は、電圧制御ユニット8にそれぞれ接続されている。
【0105】
起動スイッチ5(例えば、フットスイッチ)が起動されると、直流インパルス発生器の電流源が起動され、同時に安全装置6が起動される。安全装置6は、電流源4が作動する最大時間を規定する。電流源4が活性のままである最大時間は120msと定義されるが、好ましくは電流源4、したがって直流インパルスは80ms後に非活性化される。 その理由は、長いワイヤ11がワイヤ11に大きな電圧降下を引き起こすからである。ワイヤ11を流れる電流に関して、ワイヤ材料は4kWを超える電力負荷を負わなければならない。 これがワイヤ11を加熱し、それに関連して完全な器具も加熱することは明らかである。
【0106】
電流がワイヤ11に流れると、電流制御ユニット9および電圧制御ユニット8は、電圧および電流曲線を検出する。電圧曲線は電極1と平行に測定され、電流曲線はシャント3での電圧降下を介して測定される。
【0107】
電流源4が起動スイッチ5を介して起動される際、インプラント2の金属材料は電極1と物理的に接触している。インプラント材料(金属)は、加熱されて溶融し始める。材料は溶融すると電極1との接触を失い、材料が「挟まれる(縮む)」ため、電極1とインプラント2の溶融材料(金属)との間にアークが形成される。換言すれば、溶融材料はその形態を失い、もはや電極に物理的に接触しない。
【0108】
この瞬間、電極1がインプラント2の材料/金属との接触を失うとき、電流および電圧の急激な変化が生じる。このプロセスは1秒の数分の1で行われるので、電流の経過と電圧の経過の2つの場合によって測定することが好ましい。電圧制御ユニット8だけでなく電流制御ユニット9も、電流/電圧測定の後に「正の基準」のために信号を発することができる。これは、電流制御ユニット9がdI/dt測定に従って信号を発することを意味する。電極1がインプラント2の材料/金属との物理的接触を失うと、ワイヤ11の電流強度は低下する。
【0109】
大体同時に、好ましくは電極1(ワイヤ11の遠位端)で測定される電圧は、第1値から第2値に上昇する。第1/溶融段階(電極とインプラント材料/金属との間の物理的接触)中の電極1間の電圧は、電流と電極1とインプラント2との間の抵抗に依存して、約1.5~2.5Vの範囲にある。電圧の変化を検出するための「正の基準」は、dU/dt(立ち上がりエッジ)に依存する。電気アークが第2段階の開始時に発生すると(溶融材料が電極1との物理的接触を失う)、電極1間の電圧は上昇し、好ましくは直流電流発生器の制御装置(またはより具体的には電圧制御ユニット8)によって3.5~4.5Vの範囲に制限される。好ましくは、電圧は、特に第2段階において、約4V(生体適合値)の最大値に(自動的に)制限される。これは、理想的な電流源が出力電圧を必要なだけ高くすることによって負荷に依存しない直流電流を維持しようとするため、必要であって電流源4(直流電流発生器)で行われる。これは、おそらく人間にとって危険であろう。
【0110】
電圧制御ユニット8は、電圧の上昇を検出すると、電流制御ユニット9がワイヤ11における電流の降下を検出するときに行うように、制御信号を発する。これにより、第2/切断段階が開始される。
【0111】
電圧制御ユニット8および電流制御ユニット9の制御信号は、遅れ要素7に供給される。この遅れ要素7は、電流源4に接続されている。
【0112】
遅れ要素7が作動すると、2つの連続する段階の説明において先に述べたいわゆる「切断段階」(t-t)が遅れ要素7によって維持される。遅れ要素7は、異なる「時定数」でプログラムすることができる。時定数は、遅れ要素7が電流源4に第2/切断段階を維持させる時間を規定する。遅れ要素7における最大時定数は約600μsであり、それを超えていない。好ましくは、遅れ要素7は、50μs~500μsの間、第2/切断段階を維持する。
【0113】
タイミングの選択は、「ファラデー効果」と切断効率との間の折り合いによって引き起こされる。一般的に、遅れ時間が長いほど、切断効率は高くなるが、ファラデー効果によって生じるリスクも高くなる。遅れ時間が短いほど、ファラデー効果のリスクは低くなるが、同時に切断効率が低下する。
【0114】
時定数の持続時間は、ファラデー効果と電解効果との間の良好な折り合い点(妥協点)である。
【0115】
何らかの理由で遅れ要素7に欠陥があり、切断段階を長時間にわたって維持しようとする場合、安全装置6が、全処理時間(溶融段階+切断段階)が120msを超えないことを保証する。好ましくは、電流源4またはむしろ直流インパルスは、80ミリ秒以下の最大長(開始から停止まで)を有する。
【0116】
上記の説明を要約すると、本発明は、概して、直流電流で動作するバイポーラタイプの医療用内視鏡インプラント切断および/または分断装置に関し、
内視鏡の作業チャネルに挿入されるように構成され、インプラントと点状の物理的接触を生成するために導電性インプラントまたはインプラント部分を受け入れるための切断ギャップを形成する少なくとも2つの対向する電極をその遠位器具ヘッドに有する内視鏡器具と、
物理的接触の第1段階において、制御装置によって制御されるパルス状の直流電流を生成するように構成された制御装置を有する、またはそれに接続された直流インパルス発生器と、を備え、
電流パルスは、好ましくは、電極における電流値を制御することにより調整され、インプラント材料に電気エネルギーを誘起させ、物理的非接触の第2段階において、インプラント材料を接触部分の領域でのみ溶融させるのに十分であり、
電流パルスは、電極とインプラント材料との間の物理的接触の喪失が検出された後、最大約600μsの限界値を超えないように調整される電流パルス継続期間で、継続される。
【符号の説明】
【0117】
1…電極、2…インプラント(金属)、3…シャント、4…電流源、5…起動スイッチ(例えばフットスイッチ)、6…安全装置、7…遅れ要素、8…電圧制御ユニット、9…電流制御ユニット、10…検知ワイヤ(電圧制御)、11…電流ワイヤ(電極への高電流)、12…検知ワイヤ(電流制御)。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9