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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-14
(45)【発行日】2022-03-23
(54)【発明の名称】用紙搬送装置及び画像形成装置
(51)【国際特許分類】
   B65H 7/02 20060101AFI20220315BHJP
   B65H 5/36 20060101ALI20220315BHJP
   B65H 3/06 20060101ALI20220315BHJP
   B65H 5/06 20060101ALI20220315BHJP
【FI】
B65H7/02
B65H5/36
B65H3/06 350A
B65H5/06 J
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2017099297
(22)【出願日】2017-05-18
(65)【公開番号】P2018193195
(43)【公開日】2018-12-06
【審査請求日】2020-04-21
(73)【特許権者】
【識別番号】000001270
【氏名又は名称】コニカミノルタ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001900
【氏名又は名称】特許業務法人 ナカジマ知的財産綜合事務所
(72)【発明者】
【氏名】井本 富子
(72)【発明者】
【氏名】市川 勝久
(72)【発明者】
【氏名】加藤木 修一
【審査官】松林 芳輝
(56)【参考文献】
【文献】特開2000-198575(JP,A)
【文献】特開2000-118788(JP,A)
【文献】特開2012-131610(JP,A)
【文献】米国特許第06409043(US,B1)
【文献】特開平05-193782(JP,A)
【文献】特開2011-230870(JP,A)
【文献】米国特許第09575453(US,B1)
【文献】特開2014-084222(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65H 1/00-3/68
B65H 5/02
B65H 5/06
B65H 5/22
B65H 5/36-5/38
B65H 7/00-7/20
B65H 29/18-29/24
B65H 29/52
B65H 43/00-43/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
用紙束から用紙を1枚ずつ、先行用紙後端と後続用紙先端とが重なり合った状態で送り出す第1搬送手段と、
前記第1搬送手段によって送り出された用紙を更に搬送する第2搬送手段と、
前記第1搬送手段から前記第2搬送手段に至る用紙搬送経路上に設けられ、用紙先端を検出する先端検出手段と、
先行用紙が前記第1搬送手段及び前記第2搬送手段によって搬送されている状態で、先行用紙と前記先端検出手段とを先行用紙の搬送方向に対して交差する方向に離隔させて、先行用紙が前記先端検出手段の検出範囲外になるように、先行用紙と前記先端検出手段との位置関係を変更する変更手段と、を備え、
前記第1搬送手段は、先行用紙が前記先端検出手段の検出範囲外になった状態で、後続用紙の先端が前記先端検出手段の検出範囲内に進入するように後続用紙を搬送し、
前記変更手段は、
用紙が前記第1搬送手段から第1用紙搬送経路を経由して前記検出範囲内に至るのを妨げない第1姿勢と、先端を検出された時点における検出範囲外へ用紙を退避させる第2姿勢とをとる搬送ガイドと、
前記先端を検出された時点における検出範囲外へ退避した状態を維持して用紙を搬送させる維持手段と、を備え、
前記先端検出手段は、先行用紙を退避した状態で、前記搬送ガイドが第2姿勢から第1姿勢に復帰した後、後続用紙先端を検出する
ことを特徴とする用紙搬送装置。
【請求項2】
前記変更手段は、
前記先端検出手段が先行用紙先端を検出してから、後続用紙先端を検出するまでの間、前記検出範囲外へ先行用紙を退避させる退避手段を備える
ことを特徴とする請求項1に記載の用紙搬送装置。
【請求項3】
前記退避手段は、先行用紙の退避前の用紙搬送経路に交差する方向へ先行用紙を押し出す押し出し部材である
ことを特徴とする請求項に記載の用紙搬送装置。
【請求項4】
請求項1からの何れかに記載の用紙搬送装置を備える
ことを特徴とする画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、用紙搬送装置及び画像形成装置に関し、特に先行用紙の後端と後続用紙の先端とを重ねた状態で搬送することによって生産性を向上させる技術の改良に関する。
【背景技術】
【0002】
画像形成装置は、用紙カセットに収容された用紙を1枚ずつ分離して捌いた状態で給紙した後、画像形成部まで搬送して画像を形成する。
用紙搬送速度は、用紙カセットから画像形成部に至るまでの間に様々な要因でばらつきが発生する。このため、給紙時に先行用紙と後続用紙との紙間を狭くし過ぎると、用紙搬送経路上で後続用紙の先端が先行用紙の後端に追い付いて、用紙どうしが重なり合い、画像形成に不具合を生じたり、紙詰まりが発生したりするおそれがある。一方、給紙時に紙間を広くすると単位時間当たりの画像形成枚数が減少し生産性が低下する。
【0003】
このような問題に対して、例えば、先行用紙の後端と後続用紙の先端とを重ね合わせた状態で用紙カセットから給紙し、用紙搬送経路上で画像形成部の上流側で後続用紙の先端を検出すると、先行用紙の搬送を継続するとともに、後続用紙の搬送を停止する。その後、先行用紙の後端が後続用紙の先端を通過したら後続用紙の搬送を再開する記録装置が提案されている(特許文献1を参照)。
【0004】
このようにすれば、先行用紙と後続用紙との紙間を精度よく制御することができるので、用紙搬送速度にばらつきがあっても生産性を向上させることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2014-084222号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記の従来技術では、先行用紙と後続用紙とを重ね合わせた状態で後続用紙の先端を検出するために、発光ダイオードやフォトトランジスター等から構成される光学式センサーを採用すると、部品コストが上昇せざるを得ない。また、用紙が厚紙である場合には、十分な透過光を得ることができず、後続用紙の先端が検出できない。すると、先行用紙と後続用紙とが重なり合ったまま画像形成部に搬送されてしまい不具合を回避することができない。
【0007】
本発明は、上述のような問題に鑑みて為されたものであって、従来よりも低い部品コストで高い生産性を達成することができる用紙搬送装置及び画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、本発明に係る用紙搬送装置は、用紙束から用紙を1枚ずつ、先行用紙後端と後続用紙先端とが重なり合った状態で送り出す第1搬送手段と、前記第1搬送手段によって送り出された用紙を更に搬送する第2搬送手段と、前記第1搬送手段から前記第2搬送手段に至る用紙搬送経路上に設けられ、用紙先端を検出する先端検出手段と、先行用紙が前記第1搬送手段及び前記第2搬送手段によって搬送されている状態で、先行用紙と前記先端検出手段とを先行用紙の搬送方向に対して交差する方向に離隔させて、先行用紙が前記先端検出手段の検出範囲外になるように、先行用紙と前記先端検出手段との位置関係を変更する変更手段と、を備え、前記第1搬送手段は、先行用紙が前記先端検出手段の検出範囲外になった状態で、後続用紙の先端が前記先端検出手段の検出範囲内に進入するように後続用紙を搬送し、前記変更手段は、用紙が前記第1搬送手段から第1用紙搬送経路を経由して前記検出範囲内に至るのを妨げない第1姿勢と、先端を検出された時点における検出範囲外へ用紙を退避させる第2姿勢とをとる搬送ガイドと、前記先端を検出された時点における検出範囲外へ退避した状態を維持して用紙を搬送させる維持手段と、を備え、前記先端検出手段は、先行用紙を退避した状態で、前記搬送ガイドが第2姿勢から第1姿勢に復帰した後、後続用紙先端を検出することを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
このようにすれば、先行用紙が先端検出手段の検出範囲外になった状態で、後続用紙の先端を先端検出手段の検出範囲内に進入させるので、先行用紙と後続用紙とが重なり合った状態で後続用紙の先端を検出する場合とは異なって、機械的な検出機構を用いて低コストかつ高精度で後続用紙の先端を検出することができる。従って、先行用紙と後続用紙との搬送位置を高い精度で制御して紙間距離を狭め、高い生産性を達成することができる。
【0011】
また、前記変更手段は、前記先端検出手段が先行用紙先端を検出してから、後続用紙先端を検出するまでの間、前記検出範囲外へ先行用紙を退避させる退避手段を備えてもよく、更に、前記退避手段は、先行用紙の退避前の用紙搬送経路に交差する方向へ先行用紙を押し出す押し出し部材であるのが望ましい
【0014】
本発明に係る画像形成装置は、本発明に係る用紙搬送装置を備えることを特徴とする。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の第1の実施の形態に係る画像形成装置の主要な構成を示す図である。
図2】第1搬送部及び先端検出部を示す断面斜視図である。
図3】(a)はアクチュエーター200の待機時の側面図であり、(b)アクチュエーター200の検出時の側面図であり、(c)はアクチュエーター200の外観斜視図である。
図4】(a)から(d)は、給紙カセット100から第2搬送部120に至る用紙搬送経路における先行用紙P1と後続用紙P2との搬送状態を例示する図である。
図5】制御部150の構成を示すブロック図である。
図6】制御部150の動作を示すフローチャートである。
図7】(a)から(c)は、後続用紙P2先端から先行用紙P1後端までの重なり長さが長過ぎる場合に重なり長さを調節する制御を説明する図である。
図8】(a)から(c)は、後続用紙P2先端から先行用紙P1後端までの重なり長さ短過ぎる場合に重なり長さを調節する制御を説明する図である。
図9】第2の実施の形態に係る第1搬送部及び先端検出部を示す断面斜視図である。
図10】(a)から(d)はそれぞれ待機時、検出時、退避時及び退避後の待機時における押圧部材900を示す図である。
図11】制御部150の動作を説明するフローチャートである。
図12】(a)、(b)はそれぞれ待機時、退避時の搬送ガイド210の状態を示す図であり、(c)は搬送ガイド210揺動状態を説明する図である。
図13】制御部150の進退制御処理を示すフローチャートである。
図14】(a)から(d)はそれぞれ先行用紙検出時、検出部退避時、後続用紙検出時及び退避解除時における各用紙及び搬送ガイド210の状態を示す図である。
図15】変形例に係る第1搬送部110の構成を示す図である。
図16】(a)から(e)は変形例に係る用紙及び用紙検出部1600の状態を説明する図である。
図17】変形例に係る制御部150の搬送制御処理を示すフローチャートである。
図18】変形例に係る第1搬送部110及び第2搬送部120の搬送方向を示す図であって、(a)から(d)は第1の実施の形態に対応する用紙P1、P2の搬送状態を示している。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明に係る用紙搬送装置及び画像形成装置の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
[1]第1の実施の形態
本発明の第1の実施の形態に係る用紙搬送装置及び画像形成装置は、用紙先端を検出するためのセンサーとして、光学式センサーよりも安価なアクチュエーター型フォトセンサーを用いることによって、部品コストを低減する。また、アクチュエーター型フォトセンサーによって後続用紙の先端を検出できるようにするために、先行用紙の後端を後続用紙の先端に重ね合わせた状態で給紙した後、用紙先端の検出位置から先行用紙を退避させる。
(1-1)画像形成装置の構成
まず、本実施の形態に係る画像形成装置の構成について説明する。
【0017】
図1に示すように、画像形成装置1は所謂タンデム型のカラー複合機(MFP: Multi-Function Peripheral)であって、電子写真方式によって画像を形成する本体部130と原稿から画像を読み取るスキャナー部140とを備えている。
スキャナー部140は、詳細な構成は図示しないが、原稿台ガラス上に載置された原稿や自動原稿搬送装置(ADF: Automatic Document Feeder)によって搬送される原稿から画像を読み取ってデジタル画像データを生成する。生成されたデジタル画像データは制御部150に記憶される。スキャナー部140はカラースキャナーであってもモノクロスキャナーであってもよい。
【0018】
本体部130は、本体部130の各部の動作を制御する制御部150と、制御部150の制御の下、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)及びブラック(K)の各色のトナー像を形成するイメージングユニット160Y、160M、160C及び160Kとを備えている。イメージングユニット160Y、160M、160C及び160Kは、それぞれ感光体ドラム161Y、161M、161C及び161K、露光装置162Y、162M、162C及び162K、現像装置163Y、163M、163C及び163K等に加えて不図示の帯電装置とクリーニング装置を備えている。
【0019】
イメージングユニット160Y、160M、160C及び160Kは、不図示の帯電装置にて感光体ドラム161Y、161M、161C及び161Kの外周面を一様に帯電させ、露光装置162Y、162M、162C及び162Kは感光体ドラム161Y、161M、161C及び161Kの外周面を露光して静電潜像を形成し、現像装置163Y、163M、163C及び163KはYMCK各色のトナーを供給して静電潜像を現像し、YMCK各色のトナー像を形成する。
【0020】
このようにして形成されたYMCK各色のトナー像は1次転写ローラー164Y、164M、164C及び164Kによって中間転写ベルト170の外周面上に互いに重なり合うように静電転写され、カラートナー像が形成される(1次転写)。このため、1次転写ローラー164Y、164M、164C及び164Kには1次転写バイアス電圧が印加されている。
【0021】
中間転写ベルト170は、駆動ローラー171及び従動ローラー172に張架されており、駆動ローラー171の回転駆動によって矢印A方向に回転走行する。中間転写ベルト170の回転走行によって、カラートナー像は、駆動ローラー171と2次転写ローラー173が形成する2次転写ニップ174まで搬送される。
本体部130の下段には給紙カセット100が設置されている。給紙カセット100には複数枚の用紙Pが積層して収容されており、搬送ローラー110a、110b、110cからなる第1搬送部110によって給紙カセット100から用紙Pを1枚ずつ搬送経路180へ送り出す。搬出された用紙Pはタイミングローラー120a、120bによって搬送タイミングを調整された後、2次転写ニップ174へ搬送される。
【0022】
駆動ローラー171と2次転写ローラー173との間には2次転写バイアス電圧が印加されており、2次転写ニップ174において、カラートナー像が中間転写ベルト170から用紙Pに静電転写される(2次転写)。
その後、用紙Pは搬送経路180に沿って定着ユニット190へ搬送される。定着ユニット190は、加熱ローラー191と定着ローラー192とに張架された無端状の加熱ベルト193を備えている。定着ローラー192には加熱ベルト193を介して加圧ローラー194が圧接されており、これによって形成された定着ニップ195に用紙Pを通紙することによって、トナー像が用紙Pに熱定着される。
【0023】
トナー像を熱定着された用紙Pは排出ローラー175によって排紙トレイ176へ排出される。用紙Pの裏面にも画像形成を行う場合には、用紙Pを排出ローラー175が排紙トレイ176へ排出せずに、スイッチバックして循環搬送経路181へ送り込む。用紙Pは循環搬送経路181を経由して、表裏反転された状態でタイミングローラー120a、120bまで搬送され、搬送タイミングを調節された後、表面に画像形成を行う場合と同様に裏面に画像形成が行われる。
(1-2)第1搬送部110及び先端検出部の構成
次に、給紙カセット100から給紙された用紙の先端を検出する先端検出部の構成について説明する。
【0024】
図2に示すように、給紙カセット100に収容されている用紙Pは、搬送ローラー(ピックアップローラー)110aによって1枚ずつ繰り出され、搬送ローラー110b、110cによって搬送経路180へ送り出される。搬送経路180へ送り出された用紙Pは、搬送ガイド210によってタイミングローラー120a、120b(図1参照)まで案内される。
【0025】
図2に見られるように、搬送ガイド210には切り欠き210aが設けられている。アクチュエーター200は、用紙Pに当接しない待機状態では、切り欠き210aを通って搬送ガイド210のガイド面210fから用紙Pの搬送経路180側に先端を突出させている。
図3(a)に示すように、アクチュエーター200は腕部301、遮光部302及び筒軸部303を一体的に形成したものであって、腕部301と遮光部302とは筒軸部303から略反対方向に突出している。筒軸部303は、搬送ガイド210のガイド面210fとは反対側の突設された軸受け部210bを外套する状態で回転自在に軸受けされている。図3(c)に示すように、矢印Dは筒軸部303の回転方向(時計廻りと反時計廻り)を示す。
【0026】
アクチュエーター200は、用紙Pによって腕部301が押し倒されていない場合(待機時)には、重力によって、腕部301がその先端部をガイド面210fから突出させる待機姿勢をとる。図3(c)に示すように、画像形成装置1は、発光素子311と受光素子312とを備えており、アクチュエーター200が待機姿勢をとる待機時には、発光素子311から受光素子312に至る検出光の通過位置310において遮光部302が検出光を遮る。このため、受光素子312は検出光を検出しない。
【0027】
一方、用紙Pが搬送ガイド210に沿って搬送される際に、腕部301が用紙Pの先端によって押されると、図3(b)に示すように、腕部301が矢印B方向に揺動し、遮光部302は矢印C方向に揺動する。これによって、アクチュエーター200が、遮光部302が検出光の通過位置310から外れた検出姿勢をとるので、受光素子312が検出光を検出して、検出信号を制御部150に入力する。このようにして、用紙Pの先端の通過タイミングが検出される。
(1-3)給紙動作
次に、画像形成装置1が2枚の用紙P1、P2のうち先行用紙P1の後端と後続用紙P2の先端とを重ね合わせて重送する給紙動作について説明する。
【0028】
図4に示すように、給紙カセット100からタイミングローラー120a、120bに至る用紙Pの搬送経路上には、第1搬送部110、先端検出部300のアクチュエーター200、搬送ガイド210、401及び403、ガイドローラー402及び第2搬送部120が配設されている。第1搬送部110は搬送ローラー110a、110b及び110cからなり、第2搬送部120はタイミングローラー120a、120bからなる。
【0029】
これらのうち搬送ローラー110a、110cは給送モーター(図示省略)によって回転駆動され、搬送ローラー110b及びタイミングローラー120a、120bは搬送モーター(図示省略)によって回転駆動される。また、第1搬送部110の搬送力F1は第2搬送部120の搬送力F2よりも小さく、
F1 < F2 …(1)
第1搬送部110の搬送速度V1は第2搬送部120の搬送速度V2よりも遅くなっている。
【0030】
V1 < V2 …(2)
更に、第1搬送部110と第2搬送部120とは、第1搬送部110の搬送ローラー110b、110cによる搬送方向が第2搬送部120のタイミングローラー120a、120bによる搬送方向と異なるように、配設されている。また、第1搬送部110から第2搬送部120に至る搬送経路180上には用紙先端を検出する先端検出部300が配設されている。
【0031】
2枚の用紙P1、P2を連続して給紙する際には、給紙カセット100に積載された用紙束の最も上の用紙P1(以下、「先行用紙P1」という。)を搬送ローラー110aがピックアップして、搬送ローラー110b、110cが先行用紙P1を搬送経路180へ給送する。給送された先行用紙P1がアクチュエーター200を押し倒すと、アクチュエーター200が揺動して待機姿勢から検出姿勢に変化するので、先端検出部300が用紙先端を検出し検出信号を制御部150に入力する(図4(a))。
【0032】
第1搬送部110の搬送方向の延長上には搬送ガイド210が設けられており、先行用紙P1は第1搬送部110の搬送ローラー110b、110cに噛み込んだ状態においては自身の腰の強さによって搬送ガイド210に押し付けられるので、搬送ガイド210に沿って第2搬送部120まで搬送される(図4(b))。
先行用紙P1の先端が第2搬送部120のタイミングローラー120a、120bに噛み込むと、第2搬送部120は第1搬送部110よりも搬送速度が速いので、先行用紙P1は、第2搬送部120に引っ張られる結果、搬送ガイド210表面から浮き上がり、図4(c)に示すように、先行用紙P1の紙面が搬送ガイド401、403及びガイドローラー402に沿うように変位した状態となり、その状態で搬送される。その結果、先行用紙P1がアクチュエーター200の揺動範囲(先端検出部300の検出範囲)外に退避することとなり、アクチュエーター200は検出姿勢から待機姿勢に復帰する(図4(c))。
【0033】
その後、先行用紙P1の後端が第1搬送部110の搬送ローラー110aを通過するが、このとき後続用紙P2は自身の腰の強さにより直進し搬送ガイド210に先端を押し付け、そのまま搬送ローラー110aにより搬送される(図4(d)参照)。この場合において、搬送ローラー110aは給紙カセット100に収容されている用紙の搬送方向における先端よりも後端側に配置されているため、先行用紙P1の後端が搬送ローラー110b、110cの搬送ニップを通過する前に、後続用紙P2の搬送が開始される。従って、先行用紙P1の後端が後続用紙P2の先端に重なり合った状態を維持して搬送される。
【0034】
上述したように先行用紙P1はアクチュエーター200の揺動範囲外に退避している一方、後続用紙P2は第1搬送部110の搬送ローラー110b、110cに噛み込んだ状態においては自身の腰の強さによって搬送ガイド210に押し付けられるので、搬送ガイド210に沿って搬送され、アクチュエーター200の揺動範囲内に進入して、アクチュエーターを押し倒す。その結果、アクチュエーター200が待機姿勢から検出姿勢に変位すると先端検出部300が後続用紙P2の先端を検出し検出信号を制御部150に入力する(図4(d))。
【0035】
後続用紙P2に続く用紙を搬送する場合も同様に用紙先端が検出される。
このようにすれば、光学式センサーよりも安価なアクチュエーター200を用いることによってコストを抑制しながら、高い精度で用紙先端を検出することによって生産性を向上させることができる。
なお、第1搬送部110の搬送ローラー110a、110b及び110cは、それぞれピックアップローラー、給紙ローラー及び捌きローラーであってもよい。また、上記においては第1搬送部110が3本ローラー方式である場合を例にとって説明したが、3本ローラー方式以外の方式を採用してもよい。第2搬送部120のタイミングローラー120a、120bは搬送ローラー対であってもよい。後続用紙P2がアクチュエーター200を押し倒して揺動させる前に、先行用紙P1をアクチュエーター200の揺動範囲外に退避させることができれば、第1搬送部110及び第2搬送部120の構成は問わない。
(1-4)制御部150
次に、制御部150について説明する。
【0036】
図5に示すように、制御部150はCPU(Central Processing Unit)500、ROM(Read Only Memory)501、RAM(Random Access Memory)502等を備えており、画像形成装置1に電源が投入されると、CPU500はROM501からブートプログラムを読み出して起動し、RAM502を作業用記憶領域として、HDD(Hard Disk Drive)503からOS(Operating System)や制御プログラムを読み出して実行する。
【0037】
CPU500は、NIC(Network Interface Card)504を用い、LAN(Local Area Network)等を経由して、PC(Personal Computer)等の外部装置からプリントジョブを受け付けると、画像形成装置1の各部を制御して画像形成処理を実行させる。この場合において、CPU500は、給送モーター506に制御信号を入力して、第1搬送部110の搬送ローラー110a、110cを回転駆動したり、搬送モーター507に制御信号を入力して、搬送ローラー110bやタイミングローラー120a、120bを回転駆動したりする。
【0038】
更に、CPU500は、先端検出部300から用紙先端の検出状態を通知する検出信号の入力を受け付ける。CPU500は、先端検出部300が用紙先端を検出すると、タイマー505を参照して、用紙先端の検出タイミングをRAM502に記録する。
図6に示すように、制御部150は、先端検出部300からの検出信号によって先行用紙P1の先端を検出すると(S601:YES)、タイマー505を参照して、先行用紙P1の先端を検出したタイミングT1を取得する(S602)。この先行用紙P1の先端検出タイミングT1が所定の時間差△Tを経過したタイミングを、後続用紙P2の先端を検出する予定のタイミングT2p(=T1+△T)として算出する(S603)。
【0039】
その後、先端検出部300からの検出信号によって後続用紙P2の先端を検出すると(S604:YES)、タイマー505を参照して、後続用紙P2の先端を検出したタイミングT2を取得する(S605)。後続用紙P2の先端検出タイミングT2が検出予定タイミングT2pよりも早い場合には(S606:YES)、先行用紙P1と後続用紙P2とが重なりが大き過ぎると判断されるので(図7(a))、給紙モーター506を減速して(S607)、所定期間だけ停止させる(図7(b))。
【0040】
このようにすれば、搬送ローラー110b及びタイミングローラー120a、120bの回転速度が変更されることなく維持される一方、搬送ローラー110a、110cは回転停止されるので、先行用紙P1の搬送が継続する一方、後続用紙P2の搬送が停止され、先行用紙P1と後続用紙P2とが重なりが減少して、先行用紙P1と後続用紙P2との紙間距離が適正化される。所定時間の経過後(S609:YES)、給紙モーター506の回転速度を通常の回転速度に復帰させて(S610)、処理を終了する(図7(c))。
【0041】
一方、後続用紙P2の先端検出タイミングT2が検出予定タイミングT2pよりも遅い場合には(S606:NO)、先行用紙P1と後続用紙P2とが重なりが小さ過ぎると判断されるので(図8(a))、給紙モーター506を加速して(S608)、所定期間だけ高速回転させる(図8(b))。このようにすれば、後続用紙P2の搬送速度のみが加速されるので、先行用紙P1と後続用紙P2とが重なりが増加して紙間距離が適正化される。所定時間の経過後(S609:YES)、給紙モーター506の回転速度を通常の回転速度に復帰させて(S610)、処理を終了する(図8(c))。
【0042】
なお、給紙モーター506を停止させる代わりに、必要に応じて給紙モーター506を通常よりも低速回転させてもよいし、逆回転させてもよい。
[2]第2の実施の形態
本発明の第2の実施の形態に係る画像形成装置は、上記第1の実施の形態に係る画像形成装置1と概ね共通の構成を備える一方、先行用紙P1を先端検出部300の検出範囲外へ退避させる構成において相違している。以下、相違点に着目して説明する。なお、実施の形態どうしで共通する部材等には共通の符号が付与されている。
【0043】
図9に示すように、搬送ガイド210には、先行用紙P1を押圧して、先端検出部300の検出範囲外へ退避させる押圧部材900が揺動可能に取着されている。
図10(a)に示すように、押圧部材900は押圧部1001と軸部1002とからなっている。搬送ガイド210のガイド面210fとは反対側には、軸受け部210b2が一体形成されており、押圧部材900の軸部1002を軸受けする。これによって、押圧部1001は軸部1002周りに揺動して、ガイド面210fから突出したり後退したりする。
【0044】
押圧部材900は、制御部150が不図示のモーターを制御することによって揺動駆動される。先行用紙P1がアクチュエーター200の揺動範囲(先端検出部300の検出範囲)内に進入する前においては、押圧部材900は、押圧部1001がガイド面210fから突出しない待機姿勢をとる。
図11に示すように、制御部150は、先行用紙P1の先端がアクチュエーター200を押し倒すことによって(図10(b))、先端検出部300が先行用紙P1の先端を検出すると(S1101:YES)、タイマー505に所定時間を設定する。そして、押圧部材900を待機姿勢に維持したまま、所定時間が経過するのを待つ。
【0045】
所定時間が経過してタイマー505がタイムアウトしたら(S1102:YES)、図10(c)に示すように、制御部150は押圧部材900を矢印E方向に揺動させて押圧姿勢に移行させる(S1103)。すると、先行用紙P1が押圧部1001に押圧されて、アクチュエーター200の揺動範囲外へ押し出される。更に、図10(d)に示すように、重力によって腕部301が矢印B’方向へ揺動し、遮光部302が矢印C’方向へ揺動して、アクチュエーター200が待機姿勢に復帰する。これによって、先端検出部300は後続用紙P2の先端を検出することができるようになる。
【0046】
その後、アクチュエーター200が後続用紙P2の先端を検出したら(S1104:YES)、制御部150は押圧部材900を揺動させて押圧姿勢を解除し(S1105)、待機姿勢に復帰させる(図10(b))。このようにすれば、後続用紙P2と後続用紙P2に重なっている先行用紙P1とが搬送ガイド440に沿って搬送される。
なお、後続用紙P2の先端を検出するために、第1搬送部110と第2搬送部120との搬送速度V1、V2を制約する必要がないので、搬送速度V1、V2は同じであっても異なっていてもよい。
[3]第3の実施の形態
本発明の第3の実施の形態に係る画像形成装置は、上記第1の実施の形態に係る画像形成装置1と概ね共通の構成を備える一方、先行用紙P1が検出範囲外になるように先端検出部300を退避させる点において相違している。
【0047】
図12に示すように、本実施の形態に係る搬送ガイド210は、用紙搬送方向における下流側であって、ガイド面210fの裏面に軸受け部210b2を備えており、揺動軸1201を軸受けする。揺動軸1201は画像形成装置1の本体に固定されており、搬送ガイド210は、揺動軸1201を中心として、揺動端を矢印H方向に揺動することができる(図12(c))。
【0048】
搬送ガイド210は、バネ1203の弾性復元力によってガイド面210fの裏面側にけん引されており、ガイド面210fの裏面に当接するカム1202に追従して揺動する。図12(a)は、搬送ガイド210の揺動端を第1搬送部110側に進出させた進出姿勢を表している。進出姿勢において、制御部150がカム1202を矢印F方向に回転させると、搬送ガイド210は揺動端が第1搬送部110から離れる方向に揺動して、退避姿勢に移行する(図12(b))。
【0049】
また、退避姿勢において、制御部150がカム1202を矢印G方向に回転させると、搬送ガイド210は揺動端が第1搬送部110に近づく方向に揺動して、進出姿勢に移行する(図12(a))。アクチュエーター200は、その筒軸部303が搬送ガイド210の軸受け部210bに軸受けされているので、搬送ガイド210の揺動に追従して揺動する。
【0050】
このような構成を備えることによって、制御部150は、図13に示すように、先行用紙P1の先端を検出した後(S1301:YES)、タイマー505に所定時間を設定して、先行用紙P1の搬送を継続する(図14(a))。当該所定時間が経過して、タイマー505のタイムアウトが発生したら(S1302:YES)、先行用紙P1の先端が第2搬送部120のタイミングローラー120a、120bの搬送ニップに噛み込んだと判断されるので、搬送ガイド210を揺動させて進出姿勢から退避姿勢に移行させる(S1303)。
【0051】
これによって、アクチュエーター200が先行用紙P1から退避するように、搬送ガイド210が揺動するので、先行用紙P1が先端検出部300の検出範囲外へ退出する。なお、先行用紙P1は、先端が第2搬送部120の搬送ニップに噛み込んでいるので、搬送ガイド210が退避しても変位しない(図14(b))。
その後、図14(c)に示すように、先端検出部300が後続用紙P2の先端を検出したら(S1304:YES)、搬送ガイド210を揺動させて、退避姿勢から進出姿勢に復帰させる(S1305)。このようにすれば、後続用紙P2が搬送ガイド210のガイド面210fに沿って第2搬送部120まで搬送される(図14(d))。
【0052】
このようにしても、後続用紙P2の先端を精度よく検出することができる。
なお、搬送ガイド210を揺動させる代わりに、搬送ガイド210を押圧することによって、先行用紙P1が先端検出部300の検出範囲外になるようにしてもよい。
[4]変形例
以上、本発明を実施の形態に基づいて説明してきたが、本発明が上述の実施の形態に限定されないのは勿論であり、以下のような変形例を実施することができる。
(4-1)上記実施の形態においては特に言及しなかったが、搬送経路180上で後続用紙P2の先端から先行用紙P1の後端までの距離(用紙の重なり長さ)をrにしたい場合、次のようにしてもよい。
【0053】
図15に示すように、搬送ローラー110aが位置1501において用紙に当接する場合、先行用紙P1の後端が搬送ローラー110aの当接位置1501を通過すると同時に、搬送ローラー110aが後続用紙P2に当接して、後続用紙P2の搬送が開始されるので、後続用紙P2の搬送開始時における後続用紙P2の先端から先行用紙P1の後端までの距離は、搬送前の後続用紙P2の先端位置1502から搬送ローラー110aの当接位置1501までの距離Lに等しくなる。
【0054】
このため、用紙P1、P2の重なり長さをrにしたい場合には、搬送前の後続用紙P2の先端位置1502から搬送ローラー110aの当接位置1501までの距離Lがrに等しくなるように、搬送ローラー110a、110b及び110cを配置すればよい。
なお、画像形成装置1の構造上、距離Lを所望の重なり長さrにすることが難しい場合や画像形成条件に合わせて重なり長さrを変更したい場合には、先行用紙P1が搬送ローラー110aの当接位置1501を通過すると同時に搬送ローラー110aの回転駆動を一旦停止し、停止期間Tstop経過後に、搬送ローラー110aの回転駆動を再開すればよい。なお、搬送ローラー110aの搬送速度がV1である場合、停止期間Tstopは下式(3)の通りである。
【0055】
Tstop = (L-r)/V1 …(3)
(4-2)上記実施の形態においては特に言及しなかったが、第1搬送部110でスリップ等が発生して、後続用紙P2が給送されないまま、先行用紙P1だけが搬送された場合、先行用紙P1の後端が第1搬送部110の搬送ローラー110b、110cの搬送ニップを通過して、先行用紙P1が第1搬送部110と第2搬送部120との間で引っ張られなくなり、先端検出部300からの退避状態が解除される。すると、先行用紙P1が、それ自身の腰によって湾曲した状態から平板な状態へ復元しようとして、その後端がアクチュエーター200を押し倒し、先端検出部300による誤検出が発生するおそれがある。
【0056】
このような問題に対して、本変形例では、図16に示すような用紙検出部1600を設ける。用紙検出部1600は、先端検出部300と同様にアクチュエーターを備えており、先行用紙P1が搬送ガイド210のガイド面210fに沿って搬送されている状態では、先行用紙P1が用紙検出部1600のアクチュエーターの揺動範囲(検出範囲)外になるため、先行用紙P1を検出しない一方、先行用紙P1がアクチュエーター200から退避した状態では、先行用紙P1が用紙検出部1600のアクチュエーターの揺動範囲(検出範囲)内に入るため、先行用紙P1を検出する。
【0057】
このような用紙検出部1600を備えた画像形成装置1において、図17に示すように、制御部150は、先行用紙P1の給送を開始すると(S1701)、先行用紙P1は搬送ガイド210に沿って搬送されるので、用紙検出部1600は先行用紙P1を検出しない一方、先端検出部300は先行用紙P1の先端を検出する(図16(a))。
先端検出部300に先端を検出された後も、先行用紙P1は搬送ガイド210に沿って第2搬送部120に向かって搬送される(図16(b))。
【0058】
先行用紙P1の先端が第2搬送部120の搬送ニップに噛み込むと、第2搬送部120は第1搬送部110よりも搬送速度が速いので、先行用紙P1は第1搬送部110と第2搬送部120との間で引っ張られて、先端検出部300の検出範囲外へ退避するとともに、先行用紙P1が用紙検出部1600のアクチュエーターを倒すので、用紙検出部1600が先行用紙P1を検出する(図16(c))。
【0059】
用紙検出部1600が先行用紙P1を検出すると(S1702:YES)、制御部150は、先行用紙P1が先端検出部300の検出範囲外へ退避し、先端検出部300が後続用紙P2の先端を検出することができるようになったと判断されるので、後続用紙P2の給送を開始する(S1703)。
その後、図16(d)に示すように、先端検出部300が何らかの用紙を検出したら(S1704:YES)、制御部150は用紙検出部1600の検出信号を参照して、用紙検出部1600が先行用紙P1を検出している状態を維持していたら(S1705:NO)、先行用紙P1が先端検出部300の検出範囲外へ退避した状態で、先端検出部300が後続用紙P2の先端を検出したものと判断される。
【0060】
一方、用紙検出部1600が先行用紙P1を検出している状態を維持していない場合には(S1705:YES)、第1搬送部110でスリップ等が発生して後続用紙P2の給送に失敗したまま、先行用紙P1が搬送され、先行用紙P1の後端が第1搬送部110の搬送ニップから脱出することによって、先行用紙P1が用紙検出部1600の検出範囲外へ退避すると共に、先端検出部300の検出範囲内へ侵入し、先端検出部300が先行用紙P1を検出したと判断される。
【0061】
このように後続用紙P2の先端が正常に検出されない誤検知と判断された場合には、制御部150は搬送ローラー110a、110cを一旦逆回転させた後(S1706)、搬送ローラー110a、110cを再度正回転させる(1707)。このようにすれば、第1搬送部110におけるスリップ等が解消されるので、先端検出部300は後続用紙P2の先端を正常に検出することができる。
【0062】
ステップS1705でNOの場合、並びにステップS1707の後、後続用紙P2の先端を検出したら(S1708:YES)、上記第1の実施の形態と同様に後続用紙P2の搬送タイミングを調整する。すなわち、先行用紙P1後端と後続用紙P2先端が所定の重なり量となるように第1搬送部110の搬送速度を制御し、所定の重なり量となったら第1搬送部110を通常回転へ戻す。その結果、先行用紙P1が用紙検出部1600の検出範囲を脱する(図16(e))。
【0063】
以上のようにすれば、先行用紙P1、後続用紙P2を精度よく安定的に重送させることができる。
(4-3)上記実施の形態においては、先端検出部300がアクチュエーター型フォトセンサーである場合を例にとって説明したが、本発明がこれに限定されないのは言うまでもなく、これに代えて次のようにしてもよい。例えば、フォトセンサーに代えて電気的接点を用いてもよい。待機状態においては電気的接点が絶縁され、用紙先端がアクチュエーター200を倒すと電気的接点が導通するようなセンサーを先端検出部300に適用してもよく、このようにしても従来技術よりも低コスト化を図ることができる。
(4-4)上記実施の形態においては、第1搬送部110と第2搬送部120とで搬送方向が異なっている場合を例にとって説明したが、本発明がこれに限定されないのは言うまでもなく、これに代えて次のようにしてもよい。
【0064】
図18では、第1搬送部110と第2搬送部120とで搬送方向が平行になっている。このような場合においても、第1搬送部110を用いて先行用紙P1を給送し(図18(a))、先行用紙P1を搬送ガイド210に沿って搬送して、アクチュエーター200を押し倒させることによって、先行用紙P1の先端を先端検出部300に検出させる(図18(b))。
【0065】
その後、第2搬送部120の搬送速度V2を第1搬送部110の搬送速度V1よりも速くすることによって、先行用紙P1をアクチュエーター200の揺動範囲から退避させると、アクチュエーター200が待機姿勢に復帰するので、先端検出部300が非検出状態に復帰する(図18(c))。その後、第1搬送部110が後続用紙P2を給送すると、後続用紙P2の先端がアクチュエーター200を押し倒すことによって、先端検出部300が後続用紙P2の先端を検出することができる(図18(d))。
【0066】
なお、第2搬送部120の搬送方向が、第1搬送部110の搬送方向の延長上にある場合には、第2搬送部120の搬送速度V2を第1搬送部110の搬送速度V1よりも速くしても、先行用紙P1がアクチュエーター200の揺動範囲外へ変位させることができない。従って、第2搬送部120の搬送方向が、第1搬送部110の搬送方向の延長上にないのが望ましい。
【0067】
また、第2搬送部120の搬送方向が第1搬送部110の搬送方向と平行でない場合においては、第1搬送部110から第2搬送部120へ用紙を案内する搬送ガイド210が、第1搬送部110から第2搬送部120への最短搬送経路よりも長い搬送経路であって、当該搬送経路に案内された用紙の先端が先端検出部300の検出範囲内に進入し、かつ、先端検出部300の検出範囲内に最短搬送経路が入らないような搬送経路に用紙を案内するのが望ましい。
【0068】
また、給紙カセット100を鉛直方向に複数設けた給紙専用ユニットにおいて、複数の給紙カセット100毎に第1搬送部110を設けると共に、複数の給紙カセット100どうしで第2搬送部120を共有するような場合であっても、図18に示すように、第1搬送部110と第2搬送部120とで搬送方向を平行にしてもよい。また、この場合においても、第1搬送部110と第2搬送部120とで搬送方向が異なっていてもよい。
【0069】
このようにしても安価かつ高精度で用紙先端の通過タイミングを検出することができる。
(4-5)上記実施の形態においては、画像形成装置1がタンデム型のカラー複合機である場合を例にとって説明したが、本発明がこれに限定されないのは言うまでもなく、タンデム型以外のカラー複合機であってもよいし、モノクロ複合機であってもよい。更に、画像形成装置1は、プリンター装置やスキャナーを有する複写装置、更にファクシミリ通信機能を有するファクシミリ装置といった単機能機に本発明を適用しても同様の効果を得ることができる。
【産業上の利用可能性】
【0070】
本発明に係る用紙搬送装置及び画像形成装置は、低コストで紙間を狭めることによって生産性を向上させる装置として有用である。
【符号の説明】
【0071】
1……………………………画像形成装置
100………………………給紙カセット
110………………………第1搬送部
120………………………第2搬送部
200………………………アクチュエーター
210、401、403…搬送ガイド
300………………………先端検出部
402………………………ガイドローラー
900………………………押圧部材
1600……………………用紙検出部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
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図15
図16
図17
図18