(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-14
(45)【発行日】2022-03-23
(54)【発明の名称】蓄電素子
(51)【国際特許分類】
H01M 50/54 20210101AFI20220315BHJP
H01G 11/12 20130101ALI20220315BHJP
H01G 11/72 20130101ALI20220315BHJP
H01M 10/04 20060101ALI20220315BHJP
H01M 50/477 20210101ALI20220315BHJP
H01M 50/55 20210101ALI20220315BHJP
【FI】
H01M50/54
H01G11/12
H01G11/72
H01M10/04 Z
H01M50/477
H01M50/55 101
(21)【出願番号】P 2017190565
(22)【出願日】2017-09-29
【審査請求日】2020-08-25
(73)【特許権者】
【識別番号】507151526
【氏名又は名称】株式会社GSユアサ
(74)【代理人】
【識別番号】100153224
【氏名又は名称】中原 正樹
(72)【発明者】
【氏名】吉竹 伸介
(72)【発明者】
【氏名】川上 悟
(72)【発明者】
【氏名】相田 広徳
【審査官】松本 陶子
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-297413(JP,A)
【文献】特開2017-216133(JP,A)
【文献】特開2011-192476(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 50/54
H01G 11/12
H01G 11/72
H01M 10/04
H01M 50/477
H01M 50/55
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第一極板
の平板状の部分と、前記第一極板とは逆極の第二極板
の平板状の部分とがセパレータを挟んで積層された積層列を有する電極体を備える蓄電素子であって、
前記電極体は、電極体本体と、前記電極体本体から第一方向に突出して設けられた、前記第一極板の端部が積層されることで
束ねられて形成された第一集束部とを有し、
前記積層列のいずれかの位置には、さらに、前記第一極板、前記第二極板及び前記セパレータとは異なる板状部材が配置されており、
前記板状部材は、前記第一方向の端部
に配置された第一導通部であって、
前記第一極板の前記端部の積層方向において前記第一集束部
と接合された第一導通部を有し、
前記第一導通部の前記第一方向の端部には、導電部材が接続される接続部が形成されている
蓄電素子。
【請求項2】
前記板状部材は、前記第一導通部から、前記電極体の、前記第一集束部とは反対側の端部まで延設された本体部を有する
請求項1記載の蓄電素子。
【請求項3】
前記本体部は、絶縁性を有する素材で形成されており、
前記第一導通部は、前記本体部の端部に取り付けられた金属部材である
請求項2記載の蓄電素子。
【請求項4】
前記電極体はさらに、前記電極体本体から突出して設けられた、前記第二極板の端部が積層されることで形成された第二集束部を有し、
前記板状部材はさらに、前記本体部の端部に設けられた第二導通部であって、前記第二集束部に対応する位置に設けられた第二導通部を有する
請求項2または3記載の蓄電素子。
【請求項5】
前記板状部材には、板厚方向に貫通する開口部が1以上形成されている
請求項1~4のいずれか一項に記載の蓄電素子。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、極板及びセパレータが積層された積層列を有する電極体を備える蓄電素子に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、正極板及び負極板がセパレータを挟んで積層されることで形成された電極体を備える蓄電素子が広く知られている。例えば、特許文献1には、積層型の電極組立体を備えた二次電池の構造が開示されている。この二次電池では、例えば正極端子は、板状の接続部を介して電極組立体の正極タブに溶接され、正極タブは先端側が電極組立体の上端面に沿って延びるように折り曲げられた状態で接続部に溶接されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
蓄電素子の構造に関し、エネルギー密度の向上という観点から考えると、蓄電素子の容器内の空間を有効に利用するために、容器内に収納する電極体の本体(発電要素)の体積は大きいことが好ましい。従って、容器内における電極体の本体以外の空間内にタブを収納することが必要となるため、タブの長さが短いことが望まれる。しかし、上記従来の製造工程では、電極体の本体から突出して設けられたタブを、蓋に固定される導電部材に接合するための長さが必要となる。従って、タブの長さは比較的に長くなる。そのため、蓋を容器本体に取り付けた後は、タブは、タブの突出方向に対して交差する方向に折り曲げられた状態で配置される。このことは、余分な空間が必要となることからエネルギー密度の向上を阻害する要因ともなる。
【0005】
本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、極板及びセパレータが積層された積層列を有する電極体を備える蓄電素子であって、エネルギー密度が向上された蓄電素子を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明の一態様に係る蓄電素子は、第一極板と、前記第一極板とは逆極の第二極板とがセパレータを挟んで積層された積層列を有する電極体を備える蓄電素子であって、前記電極体は、電極体本体と、前記電極体本体から第一方向に突出して設けられた、前記第一極板の端部が積層されることで形成された第一集束部とを有し、前記積層列のいずれかの位置には、さらに、前記第一極板、前記第二極板及び前記セパレータとは異なる板状部材が配置されており、前記板状部材は、前記第一方向の端部であって、前記第一集束部に対応する位置に、第一導通部を有し、前記第一導通部の前記第一方向の端部には、導電部材が接続される接続部が形成されている。
【0007】
この構成によれば、第一集束部の厚み方向(積層列における積層方向)のいずれかの位置に第一導通部が存在するため、第一極板の端部を、厚み方向で束ねて第一導通部に接合することができる。この場合、第一導通部と、導電部材の一例である電極端子とを接続することで、電極体の正極または負極と電極端子とが電気的に接続される。つまり、上記従来の技術のように、第一集束部を折り曲げるまたは折り畳む必要がないため、第一集束部の電極体本体からの突出長さが比較的に短い場合であっても、第一集束部を第一導通部に接合することが可能であり、かつ、第一導通部を介して電極端子との電気的な接続も可能である。
【0008】
従って、蓄電素子の容器内における、蓄電または発電を行う実体的な部分である電極体本体の割合を大きくすることができ、その結果、蓄電素子のエネルギー密度が向上される。また、第一導通部における第一方向の端部に接続部が設けられることで、例えば、第一導通部の側面に接合される第一集束部に阻害されることなく、電極端子または集電体等の導電部材と接続部との接合作業を行うことができる。また、接続部とは反対側に存在する本体部が、接続部と導電部材との接合作業の際の支えとして機能するため、例えば精度よく接合作業を行うことができる。すなわち、本態様に係る蓄電素子によれば、信頼性の維持または向上を図りつつ、エネルギー密度を向上させることができる。
【0009】
また、本発明の一態様に係る蓄電素子において、前記板状部材は、前記第一導通部から、前記電極体の、前記第一集束部とは反対側の端部まで延設された本体部を有するとしてもよい。
【0010】
この構成によれば、板状部材の本体部が、電極体の第一集束部とは反対側の端部まで延設されているため、例えば、電極体の第一集束部を上向きで電極体を容器に収納した状態において、本体部が容器の底に到達する。従って、第一導通部の高さ方向の位置規制が本体部によってなされた状態で、第一導通部と集電体等の導電部材との接合作業を行うことができる。つまり、例えば導電部材を第一導通部に押し当てた状態で、溶接等の接合の作業を行うことができるため、これにより、例えば接合強度の向上が図られる。すなわち、エネルギー密度が高い蓄電素子であって、信頼性が向上された蓄電素子を得ることができる。
【0011】
また、本発明の一態様に係る蓄電素子において、前記本体部は、絶縁性を有する素材で形成されており、前記第一導通部は、前記本体部の端部に取り付けられた金属部材であるとしてもよい。
【0012】
この構成によれば、例えば樹脂製の板材に、金属部材を取り付けることで板状部材を作製することができる。そのため、板状部材の作製が容易であり、形状及びサイズの自由度も高い。すなわち、簡易な構成で、エネルギー密度の向上が図られる。
【0013】
また、本発明の一態様に係る蓄電素子において、前記電極体はさらに、前記電極体本体から突出して設けられた、前記第二極板の端部が積層されることで形成された第二集束部を有し、前記板状部材はさらに、前記本体部の端部に設けられた第二導通部であって、前記第二集束部に対応する位置に設けられた第二導通部を有するとしてもよい。
【0014】
この構成によれば、一枚の本体部に2つの導通部が設けられるため、第一集束部及び第二集束部の両方が比較的に短い場合であっても、それぞれの集束部は対応する導通部に接合することができる。つまり、一つの板状部材を備えるという簡易な構成によってエネルギー密度が向上された蓄電素子を得ることができる。
【0015】
また、本発明の一態様に係る蓄電素子において、前記板状部材には、板厚方向に貫通する開口部が1以上形成されているとしてもよい。
【0016】
この構成によれば、板状部材に1以上の開口部が形成されていることで、例えば、開口部を介した電解液の移動が可能となる。つまり、板状部材が、電極体への電解液の浸み込みを阻害する可能性が低減される。すなわち、板状部材を備えることによる電池性能の低下を抑制しつつ、エネルギー密度の向上を図ることができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、極板及びセパレータが積層された積層列を有する電極体を備える蓄電素子であって、エネルギー密度が向上された蓄電素子を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】実施の形態に係る蓄電素子の外観を示す斜視図である。
【
図2】実施の形態に係る蓄電素子の分解斜視図である。
【
図3】実施の形態に係る電極体の構成概要を示す斜視図である。
【
図4】実施の形態に係る板状部材の分解斜視図である。
【
図5】実施の形態に係る第一導通部に正極集束部が接合された状態を示す側面図である。
【
図6】実施の形態に係る第一導通部と正極端子との接合箇所を示す部分断面図である。
【
図7】実施の形態の変形例1に係る板状部材の構成を示す斜視図である。
【
図8】実施の形態の変形例2に係る電極体の構成概要を示す斜視図である。
【
図9】実施の形態の変形例2に係る板状部材の当接部の形状を示す側面図である。
【
図10A】実施の形態の変形例2に係る当接部と正極集束部との構造上の関係を示す側面図である。
【
図10B】実施の形態の変形例2に係る当接部と負極集束部との構造上の関係を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施の形態及びその変形例に係る蓄電素子について説明する。なお、以下で説明する実施の形態及びその変形例は、いずれも包括的または具体的な例を示すものである。以下の実施の形態及びその変形例で示される数値、形状、材料、構成要素、構成要素の配置位置及び接続形態、製造工程、製造工程の順序などは、一例であり、本発明を限定する主旨ではない。また、以下の実施の形態及びその変形例における構成要素のうち、最上位概念を示す独立請求項に記載されていない構成要素については、任意の構成要素として説明される。また、各図は、模式図であり、寸法等は必ずしも厳密に図示したものではない。
【0020】
また、以下の説明及び図面中において、蓄電素子が有する一対の電極端子の並び方向、電極体の一対の集束部の並び方向、または、容器の短側面の対向方向をX軸方向と定義する。また、容器の長側面の対向方向、容器の短側面の短手方向、容器の厚さ方向、または、電極体の極板の積層方向をY軸方向と定義する。また、蓄電素子の容器本体と蓋との並び方向、容器の短側面の長手方向、電極端子の軸部の軸方向、または、上下方向をZ軸方向と定義する。これらX軸方向、Y軸方向及びZ軸方向は、互いに交差(本実施の形態では直交)する方向である。なお、使用態様によってはZ軸方向が上下方向にならない場合も考えられるが、以下では説明の便宜のため、Z軸方向を上下方向として説明する。また、以下の説明において、例えば、X軸方向プラス側とは、X軸の矢印方向側を示し、X軸方向マイナス側とは、X軸方向プラス側とは反対側を示す。Y軸方向やZ軸方向についても同様である。
【0021】
(実施の形態)
[1.蓄電素子の全般的な説明]
まず、
図1及び
図2を用いて、本実施の形態における蓄電素子10の全般的な説明を行う。
図1は、実施の形態に係る蓄電素子10の外観を示す斜視図である。また、
図2は、実施の形態に係る蓄電素子10の分解斜視図である。
【0022】
蓄電素子10は、電気を充電し、また、電気を放電することのできる二次電池であり、具体的には、リチウムイオン二次電池などの非水電解質二次電池である。蓄電素子10は、例えば、電気自動車(EV)、ハイブリッド電気自動車(HEV)またはプラグインハイブリッド電気自動車(PHEV)等の自動車用(または移動体用)電源、電子機器用電源、または電力貯蔵用電源などに適用される。なお、蓄電素子10は、非水電解質二次電池には限定されず、非水電解質二次電池以外の二次電池であってもよいし、キャパシタであってもよい。蓄電素子10は、使用者が充電をしなくても蓄えられている電気を使用できる一次電池であってもよい。また、蓄電素子10は、固体電解質を用いた電池であってもよい。
【0023】
これらの図に示すように、蓄電素子10は、容器100と、電極体400と、正極端子200と、上ガスケット500と、負極端子300と、上ガスケット600とを備えている。また、蓄電素子10の容器100の内部には電解液(非水電解質)が封入されているが、図示は省略する。なお、容器100に封入される電解液としては、蓄電素子10の性能を損なうものでなければその種類に特に制限はなく、様々なものを選択することができる。
【0024】
容器100は、矩形筒状で底を備える容器本体110と、容器本体110の開口を閉塞する蓋板120とで構成されている。容器100は、電極体400等を内部に収容後、蓋板120と容器本体110とが溶接等されることにより、内部を密封する構造を有している。また、容器100(蓋板120及び容器本体110)は、例えば、ステンレス鋼、アルミニウム、またはアルミニウム合金などの溶接可能な金属で形成されている。なお、蓋板120と容器本体110とは、同じ材質で形成されているのが好ましいが、異なる材質で形成されていてもかまわない。また、蓋板120には、容器100内部に電解液を注入するための注液部や、容器100の内圧が上昇したときに容器100内部のガスを排出するガス排出弁等が配置されていてもよい。
【0025】
電極体400は、正極板と負極板とセパレータとを備え、電気を蓄えることができる蓄電要素(発電要素)であり、容器100の内方に配置される。具体的には、電極体400は、正極板と負極板とがセパレータを挟んで交互に並べられた積層型の電極体である。つまり、電極体400は、正極板410と負極板420とがセパレータ480を挟んで積層された積層列を有している。電極体400は、発電及び蓄電する部分である電極体本体401と、電極体本体401と外部との電力のやり取りを行う部分である正極集束部415及び負極集束部425とを有する。
【0026】
また、本実施の形態では、電極体400における積層列のいずれかの位置に板状部材440が配置されている。板状部材440は、ともに金属製の第一導通部450及び第二導通部460を有し、第一導通部450には正極集束部415が接合され、第二導通部460には負極集束部425が接合されている。さらに、第一導通部450は、正極端子200と接合され、第二導通部460は、負極端子300と接合されている。これにより、電極体400は、正極端子200及び負極端子300を介して、外部の装置等との間で電力のやり取りを行うことができる。板状部材440及び電極体400の構成については
図3~
図6を用いて後述する。
【0027】
上ガスケット500及び600は、容器100の蓋板120と正極端子200及び負極端子300との間に配置される絶縁性の封止部材である。上ガスケット500及び600は、例えば、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)、または、ポリフェニレンサルファイド樹脂(PPS)等の樹脂などによって形成されている。なお、蓋板120を挟んで上ガスケット500及び600それぞれに対向する位置には下ガスケットが配置されている。上ガスケット500及びその周辺の構造については、
図6を用いて後述する。
【0028】
正極端子200及び負極端子300は、電極体400の正極板及び負極板に電気的に接続される部材である。つまり、正極端子200及び負極端子300は、電極体400に蓄えられている電気を蓄電素子10の外部空間に導出し、また、電極体400に電気を蓄えるために蓄電素子10の内部空間に電気を導入するための金属製の部材である。例えば、正極端子200は、アルミニウムまたはアルミニウム合金などで形成され、負極端子300は、銅または銅合金などで形成されている。また、正極端子200は上ガスケット500を介して蓋板120に固定されており、負極端子300は、上ガスケット600を介して蓋板120に固定されている。
【0029】
[2.電極体及び板状部材の構成]
次に、本実施の形態に係る電極体400及び板状部材440の構成について、
図3~
図6を用いて説明する。
【0030】
図3は、実施の形態に係る電極体400の構成概要を示す斜視図である。なお、
図3では、電極体400の極板等の構成要素が視認しやすいように、各構成要素を離し、かつ、各構成要素の厚みを大きくするなどの加工がなされている。このことは、後述する
図5、
図8、
図10A及び
図10Bにも適用される。
【0031】
図4は、実施の形態に係る板状部材440の分解斜視図である。
図5は、実施の形態に係る第一導通部450に正極集束部415が接合された状態を示す側面図(X軸方向から見た場合の図、以下同じ)である。なお、
図5では、正極板410は、太線の実線で表されており、負極板420は太線の点線で表されている。
【0032】
図3及び
図5に示すように、本実施の形態に係る電極体400は、正極板410及び負極板420がセパレータ480を介して積層されることで形成されている。つまり、電極体400は、正極板410と負極板420とがセパレータ480を挟んで積層された積層列を有している。
【0033】
正極板410は、第一極板の一例であり、アルミニウムまたはアルミニウム合金などからなる平板状かつ矩形状の基材層と、基材層の表面に形成された正極活物質層とを有している。また、正極板410は、Z軸方向プラス側に突出した端部を有している。当該端部は正極活物質層が形成されていない活物質層非形成部であり、以下、正極タブ411という。
【0034】
負極板420は、第二極板の一例であり、銅または銅合金などからなる平板状かつ矩形状の基材層と、基材層の表面に形成された負極活物質層とを有している。また、負極板420は、Z軸方向プラス側に突出した端部を有している。当該端部は負極活物質層が形成されていない活物質層非形成部であり、以下、負極タブ421という。なお、負極タブ421は、X軸方向において、正極タブ411とは異なる位置に設けられている。
【0035】
電極体400の正極集束部415は、複数の正極板410の端部(正極タブ411)が積層されることで形成されており、電極体400の負極集束部425は、複数の負極板420の端部(負極タブ421)が積層されることで形成されている。なお、正極集束部415は、第一集束部の一例であり、負極集束部425は第二集束部の一例である。また、正極集束部415及び負極集束部425の、電極体本体401からの突出方向(本実施の形態ではZ軸方向プラス側)は第一方向の一例である。
【0036】
また電極体400の積層列にはさらに、正極板410、負極板420及びセパレータ480とは異なる板状部材440が配置されている。本実施の形態では、Y軸方向に沿った積層列における略中央位置に板状部材440が配置されている。なお、板状部材440を含む電極体400の最外周は、例えば、一周以上巻かれた図示しない絶縁シート(例えセパレータ480と同じ素材の長尺状のシート)で形成されている。つまり、正極板410、負極板420及びセパレータ480からなる積層列及び当該積層列に含まれる板状部材440は、絶縁シートで巻かれることで固定されている。
【0037】
板状部材440は、
図4に示すように、PP、PE、またはPPS等の樹脂によって形成された本体部441と、電極体400の正極集束部415に対応する位置に配置された第一導通部450、及び、電極体400の負極集束部425に対応する位置に配置された第二導通部460とを有する。
【0038】
電極体400の正極集束部415は、第一導通部450と接合され、電極体400の負極集束部425は第二導通部460と接合されている。具体的には、例えば
図5に示すように、第一導通部450の両側面に、正極集束部415が寄せ集められた状態で、正極集束部415が第一導通部450に接合される。なお、接合の手法に特に限定はなく、例えば超音波接合、抵抗溶接、及びかしめ接合等が採用される。
【0039】
このように、第一導通部450に正極集束部415が接合されることで、第一導通部450は、電極体400が有する正極側の端子として機能する。具体的には、第一導通部450は第一方向(Z軸方向プラス側)の端部に導電部材が接続される接続部451を有している。本実施の形態では、第一導通部450のZ軸方向プラス側の端面が、導電部材の一例である正極端子200と接合される接続部451として機能する。第一導通部450と正極端子200との接合箇所について、
図6を用いて説明する。
【0040】
図6は、実施の形態に係る第一導通部450と正極端子200との接合箇所を示す部分断面図である。具体的には、
図6では、
図2のVI-VI線を通るXZ平面における蓄電素子10の部分断面が示されている。また、板状部材440については断面ではなく側面が図示されており、電極体400の図示は省略されている。
【0041】
図6に示すように、正極端子200は、バスバー等が接合される端子本体210と、端子本体210から延設された軸部220とを有している。本実施の形態では、軸部220は、有底筒状に形成されている。
図6に示すように、軸部220の先端部が、容器100の内側(下ガスケット510の下方)でかしめられることで、正極端子200が、上ガスケット500及び下ガスケット510とともに蓋板120に固定される。
【0042】
また、かしめられることで平坦な形状となった軸部220の先端部は、第一導通部450の上端面(つまり接続部451)と、例えばレーザ溶接によって接合される。つまり、
図6におけるAで示される領域において、正極端子200と第一導通部450とが機械的及び電気的に接続される。
【0043】
なお、正極端子200と第一導通部450との接合の手法は溶接には限定されない。例えば、第一導通部450に、接続部451としてのネジ軸を設け、軸部220の先端部を貫通したネジ軸にナットを螺合させることで正極端子200と第一導通部450とを接続してもよい。また、第一導通部450に、接続部451としてのネジ穴を設け、軸部220の先端部を貫通したネジ軸をネジ穴に螺合させることで正極端子200と第一導通部450とを接続してもよい。また、接続部451としてのネジ軸またはネジ穴を第一導通部450に設ける場合、例えば樹脂製のO(オー)リングを用いて、軸部220におけるネジ軸が貫通する箇所の気密を維持してもよい。また、接続部451としてのネジ軸を第一導通部450に設ける場合、ネジ軸は、第一導通部450に一体に設けられていてもよく、第一導通部450に溶接またはかしめ等で取り付けられた別部品であってもよい。
【0044】
また、詳細な図示及び説明は省略するが、電極体400の負極側も、正極側と同様の態様で負極端子300と電気的に接続される。すなわち、負極集束部425は、第二導通部460に超音波接合等によって接合され、第二導通部460の接続部461は、負極端子300とレーザ溶接等によって接続される。
【0045】
以上説明したように、本実施の形態に係る蓄電素子10は、正極板410と、負極板420とがセパレータ480を挟んで積層された積層列を有する電極体400を備える。電極体400は、電極体本体401と、電極体本体401から第一方向に突出して設けられた、正極板410の端部(正極タブ411)が積層されることで形成された正極集束部415とを有する。積層列のいずれかの位置には、さらに、正極板410、負極板420及びセパレータ480とは異なる板状部材440が配置されている。板状部材440は、第一方向の端部であって、正極集束部415に対応する位置に、第一導通部450を有する。第一導通部450の第一方向の端部には、正極端子200が接続される接続部451が形成されている。
【0046】
このように、本実施の形態に係る蓄電素子10では、正極集束部415の厚み方向(積層列における積層方向)のいずれかの位置に第一導通部450が存在するため、正極板410の正極タブ411を、厚み方向で束ねて第一導通部450に接合することができる。この場合、第一導通部450と正極端子200とを接続することで、電極体400の正極と正極端子200とが電気的に接続される。つまり、上記従来の技術のように、正極集束部415を折り曲げるまたは折り畳む必要がないため、正極集束部415の電極体本体401からの突出長さ(つまり、各正極板410の正極タブ411の長さ)が比較的に短い場合であっても、正極集束部415を第一導通部450に接合することが可能であり、かつ、第一導通部450を介して正極端子200との電気的な接続も可能である。
【0047】
従って、蓄電素子10の容器100内における、蓄電または発電を行う実体的な部分である電極体本体401の割合を大きくすることができ、その結果、蓄電素子10のエネルギー密度が向上される。また、第一導通部450における第一方向の端部に接続部451が設けられることで、第一導通部450の側面に接合される正極集束部415に阻害されることなく、正極端子200と接続部451との溶接等の接合作業を行うことができる。また、板状部材440において、接続部451とは反対側に存在する本体部441が、接続部451と正極端子200との接合作業の際の支えとして機能するため、例えば精度よく接合作業を行うことができる。すなわち、本実施の形態に係る蓄電素子10によれば、信頼性の維持または向上を図りつつ、エネルギー密度を向上させることができる。
【0048】
ここで、正極集束部415を構成する複数の正極タブ411は、実質的に同一の形状及びサイズに形成され、この場合、
図5に示すように、第一導通部450に寄せ集めることで、各正極タブ411の先端はZ軸方向においてずれた状態となる。しかしながら、本実施の形態では、例えば、複数の正極タブ411の先端が、
図5に示す高さ位置Hよりも上に位置するように、第一導通部450及び/または正極タブ411の、サイズ及び形状等が決定される。これにより、複数の正極タブ411と第一導通部450との接合の信頼性が確保され、また、複数の正極板410と第一導通部450との接合箇所における電気抵抗の増加が抑制される。なお、正極タブ411の先端のZ軸方向のずれ量を抑制するための構成については、変形例2で説明する。
【0049】
また、本実施の形態では、
図4に示すように、第一導通部450及び第二導通部460のそれぞれは、本体部441のZ軸方向プラス側の端縁である上端縁442に取り付けるための溝を有している。さらに、上端縁442における第一導通部450及び第二導通部460に対応する位置には、切欠部443a及び443bが形成されている。
【0050】
上記構成において、第一導通部450における切欠部443aに対応する位置には溝がなく、切欠部443aは第一導通部450によって埋められる。また、第二導通部460における切欠部443bに対応する位置には溝がなく、切欠部443bは第二導通部460によって埋められる。
【0051】
つまり、第一導通部450における中央部分は、いわゆる肉抜きのない部分であり、これにより、例えば
図6に示すように、第一導通部450と正極端子200とが溶接によって接合される場合において、第一導通部450に溶接に十分な肉厚が確保される。また、電極体400と、正極端子200との第一導通部450を介した導通路における電気抵抗の増加が抑制される。なお、この効果は、負極側の第二導通部460についても適用される。
【0052】
また、本実施の形態において、板状部材440は、第一導通部450から、電極体400の、正極集束部415とは反対側の端部まで延設された本体部441を有する。
【0053】
この構成によれば、例えば、電極体400の正極集束部415を上向きの姿勢で電極体400を容器100に収納した状態において、本体部441が容器100の底に到達する。従って、第一導通部450の高さ方向の位置規制が本体部441によってなされた状態で、第一導通部450と正極端子200との接合作業を行うことができる。つまり、例えば正極端子200を第一導通部450に押し当てた状態で、溶接等の接合の作業を行うことができるため、これにより、例えば接合強度の向上が図られる。すなわち、エネルギー密度が高い蓄電素子であって、信頼性が向上された蓄電素子10を得ることができる。
【0054】
また、本実施の形態では、板状部材440が有する本体部441は、上述のように、PP等の絶縁性を有する素材で形成されており、第一導通部450は、本体部441の端部に取り付けられた金属部材である。
【0055】
つまり、本体部441としての樹脂製の板材に、第一導通部450としての金属部材を取り付けることで板状部材440を作製することができる。そのため、板状部材440の作製が容易であり、形状及びサイズの自由度も高い。すなわち、簡易な構成で、エネルギー密度の向上が図られる。
【0056】
また、本実施の形態では、電極体400はさらに、電極体本体401から突出して設けられた、負極板420の端部(負極タブ421)が積層されることで形成された負極集束部425を有する。板状部材440はさらに、本体部441の端部に設けられた第二導通部460であって、負極集束部425に対応する位置に設けられた第二導通部460を有する。
【0057】
この構成によれば、一枚の本体部441に、正極用及び負極用の2つの導通部(450、460)が設けられるため、正極集束部415及び負極集束部425の両方が比較的に短い場合であっても、それぞれの集束部は対応する導通部に接合することができる。つまり、一つの板状部材440を備えるという簡易な構成によってエネルギー密度が向上された蓄電素子10を得ることができる。
【0058】
以上、実施の形態に係る蓄電素子10について説明したが、蓄電素子10は、
図3~
図6に示す態様とは異なる態様の板状部材440を備えてもよい。そこで、以下に、蓄電素子10が備える板状部材440についての変形例を、上記実施の形態との差分を中心に説明する。
【0059】
(変形例1)
図7は、実施の形態の変形例1に係る板状部材440aの構成を示す斜視図である。
図7に示すように、本変形例に係る板状部材440aには、板厚方向に貫通する開口部が1以上形成されている。具体的には、板状部材440aは、本体部441の中央に形成された開口部449aと、開口部449aのX軸方向の両側に形成された開口部449b及び449cとを有する。開口部449b及び449cは、本体部441のX軸方向の端縁から切り欠き状に形成されている。
【0060】
このように、板状部材440aに開口部(449a、449b、449c)が形成されていることで、例えば、開口部(449a、449b、449c)を介した電解液の移動が可能となる。つまり、電極体400の積層列におけるいずれかの位置に配置された板状部材440aが、電極体400への電解液の浸み込みを阻害する可能性が低減される。すなわち、板状部材440aを備えることによる電池性能の低下を抑制しつつ、エネルギー密度の向上を図ることができる。
【0061】
(変形例2)
図8は、実施の形態の変形例2に係る電極体400aの構成概要を示す斜視図である。
図9は、実施の形態の変形例2に係る板状部材440bの当接部444の形状を示す側面図である。
図10Aは、実施の形態の変形例2に係る当接部444と正極集束部415との構造上の関係を示す側面図である。
図10Bは、実施の形態の変形例2に係る当接部444と負極集束部425との構造上の関係を示す側面図である。
【0062】
変形例2に係る電極体400aは、上記実施の形態に係る電極体400に換えて蓄電素子10に備えられる電極体であり、容器100に収容され、正極端子200及び負極端子300と接続される。また、
図8~
図10Bに示すように、本変形例では、電極体400aにおける積層列のいずれかの位置に板状部材440bが配置されている。板状部材440bは、第一導通部450及び第二導通部460を有し、第一導通部450には正極集束部415が接合され、第二導通部460には負極集束部425が接合されている。これらの点では、上記実施の形態における蓄電素子10と共通する。
【0063】
しかし、本変形例では、板状部材440bが、板状部材440bから凸状に設けられた当接部444を有する点に特徴を有している。つまり、板状部材440bは、板厚方向(Y軸方向)に凸状に設けられた要素として、例えば
図9に示すように第一導通部450と、当接部444とを有している。
【0064】
すなわち、本実施の形態に係る蓄電素子10は、正極板410と、負極板420とがセパレータ480を挟んで積層された積層列を有する電極体400aを備える。電極体400aは、電極体本体401と、電極体本体401から突出して設けられた、正極板410の端部(正極タブ411)が積層されることで形成された正極集束部415とを有する。積層列のいずれかの位置には、さらに、正極板410、負極板420及びセパレータ480とは異なる板状部材440bが配置されている。板状部材440bは、板状部材440bから凸状に設けられた第一導通部450及び当接部444を有する。
【0065】
また、
図10Aに示すように、正極集束部415は、第一導通部450と接合された第一接合部415aを有する。当接部444は、正極集束部415の、第一接合部415aよりも電極体本体401に近い位置において、少なくとも1つの正極板410の端部(正極タブ411)に当接する。さらに、
図9に示すように、当接部444の、板状部材440bの板厚方向(Y軸方向)における突出長さLaは、第一導通部450の、板厚方向における突出長さLbよりも大きい。なお、突出長さLa及びLbのそれぞれは本体部441の側面を基準としている。
【0066】
この構成によれば、正極集束部415に含まれる少なくとも1つの正極タブ411に当接部444が接していることで、例えば
図10Aに示すように、当該正極タブ411の第一接合部415aに至る経路が当接部444によって曲げられる。その結果、当該正極タブ411の根本(電極体本体401)から第一接合部415aに至るまでの経路が延ばされる。言い換えると、当該正極タブ411の先端位置が、電極体本体401に近づけられる。
【0067】
これにより、複数の正極タブ411を束ねた場合に生じる、複数の正極タブ411それぞれの先端の位置ずれ量(先端の位置の分布範囲の広さ、以下「先端ずれ量」という。)が低減される。具体的には、本実施の形態に係る板状部材440bを用いた場合における先端ずれ量は、
図5に示される、当接部444がない場合の先端ずれ量よりも低減される。
【0068】
より詳細には、
図10Aに示すように、当接部444の突出方向(X軸方向)の側方には、複数の正極タブ411が並んで配置されており、複数の正極タブ411それぞれの、当接部444による曲げ量(つまり、電極体本体401から第一接合部415aに至る経路の増加量)は、板状部材440bに近いほど長くなる。その結果、複数の正極タブ411の長さが実質的に同一であっても、これら正極タブ411それぞれの先端位置の高さ方向(Z軸方向)における分布範囲は狭くなる。
【0069】
従って、例えば、第一接合部415aを形成する際の溶接の踏み外し(溶接されない、または、溶接が不十分な正極タブ411の発生)の可能性が低減される。その結果、例えば、電極体400aと正極端子200との間における電気抵抗の増加が抑制され、これにより、蓄電素子10の信頼性が向上される。
【0070】
また、電極体400aの積層列に含まれる板状部材440bの一部として当接部444が配置されるため、例えば、当接部444を、先端ずれ量の低減に適した位置に固定することが容易である。また、正極集束部415の厚み方向(積層列における積層方向)のいずれかの位置に第一導通部450が存在するため、正極タブ411を、厚み方向で束ねて第一導通部450に接合することができる。そのため、上記実施の形態で説明したように、正極集束部415の電極体本体401からの突出長さが比較的に短い場合であっても、第一導通部450に接合することが可能であり、かつ、第一導通部450を介して正極端子200と電気的に接続することも可能である。従って、本実施の形態に係る蓄電素子10では、エネルギー密度を向上させることができる。
【0071】
また、本実施の形態において、当接部444には、例えば
図10Aに示すように、少なくとも1つの正極板410の端部(正極タブ411)に当接する曲面が形成されている。
【0072】
このように、当接部444における、正極タブ411と当接する部分が曲面であることで、例えば、金属箔で形成された正極タブ411の損傷を抑制しつつ、先端ずれ量を低減させることができる。
【0073】
また、本実施の形態において、当接部444は、絶縁性を有する材料で形成されている。つまり、当接部444を、例えば電解液に耐性を有する樹脂で形成することができる。そのため、当接部444の作製が容易であり、また、形状及びサイズの自由度も高い。また、例えば、当接部444を、樹脂により形成された板状部材440bの一部として一体成形することができる。つまり、板状部材440bを作製する工程において当接部444も作製される。このことは、例えば、蓄電素子10の製造効率の向上、または、当接部444の位置固定の確実化に寄与する。なお、本実施の形態では、具体的には、当接部444は、板状部材440bの本体部441の一部として本体部441に一体に形成されており、その素材は、PP、PE、またはPPS等の樹脂である。
【0074】
なお、当接部444と本体部441とは一体である必要はなく、例えば、当接部444とは別体の本体部441に対して、本体部441よりも柔軟性が高い素材で形成された当接部444を取り付けてもよい。これにより、例えば、当接部444が正極タブ411に当接することによる、当該正極タブ411の損傷が抑制される。
【0075】
また、本実施の形態では、板状部材440bにおいて、当接部444は正極及び負極で共通であり、かつ、負極用の導通部をさらに有している。つまり、
図8及び
図10Bに示すように、電極体400aはさらに、電極体本体401から、正極集束部415と同じ方向に突出して設けられた、負極板420の端部(負極タブ421)が積層されることで形成された負極集束部425を有する。板状部材440bはさらに、第二導通部460を有し、負極集束部425は、第二導通部460と接合された第二接合部425aを有する。当接部444は、
図10Bに示すように、負極集束部425の、第二接合部425aよりも電極体本体401に近い位置において、少なくとも1つの負極板420の端部(負極タブ421)に当接している。
【0076】
この構成によれば、負極集束部425に対しても当接部444が配置されるため、負極集束部425においても、先端ずれ量の抑制効果を得ることができる。また、1つの板状部材440bに、正極用及び負極用の2つの導通部(450、460)が設けられるため、正極集束部415及び負極集束部425の両方が比較的に短い場合であっても、それぞれの集束部は対応する導通部に接合することができる。つまり、一つの板状部材440bを備えるという簡易な構成によってエネルギー密度が向上された蓄電素子10を得ることができる。また、当接部444は正極集束部415及び負極集束部425に共通して当接する部分である。そのため、例えば、当接部444を、正極用及び負極用それぞれ設けることなく、正極集束部415及び負極集束部425それぞれにおける先端ずれ量を低減させることができる。
【0077】
(他の実施の形態)
以上、本発明に係る蓄電素子について、実施の形態及びその変形例に基づいて説明した。しかしながら、本発明は、上記実施の形態及び変形例に限定されるものではない。本発明の趣旨を逸脱しない限り、当業者が思いつく各種変形を上記実施の形態または変形例に施したものも、あるいは、上記説明された複数の構成要素を組み合わせて構築される形態も、本発明の範囲内に含まれる。
【0078】
例えば、板状部材440は、電極体400における積層列の積層方向(Y軸方向)における略中央位置に位置している必要はない。例えば、電極体400の積層列における終端に配置されていてもよい。この場合であっても、例えば第一導通部450のY軸方向の突出長さ(
図9におけるLbに相当)を比較的に大きくすることで、正極集束部415が寄せ集められて接合される位置が、電極体400のY軸方向における中央に近づけられる。従って、正極集束部415における先端ずれ量の増加が抑制される。
【0079】
また、例えば
図5において、板状部材440は、セパレータ480に挟まれているが、板状部材440の本体部441が樹脂等の絶縁材料により形成されている場合、板状部材440の側面にセパレータ480が配置されていなくてもよい。つまり、板状部材440の両側に、セパレータ480を介在させずに、正極板410または負極板420が配置されていてもよい。
【0080】
また、板状部材440は、PP、PE、またはPPS等の樹脂で形成された本体部441に、金属製の第一導通部450及び第二導通部460が取り付けられるとしたが、板状部材440の構成はこれに限定されない。例えば、金属板の一部を残し、他の部分の表面を樹脂でコーティングすることで、樹脂がコーティングされた部分である本体部と、金属板が露出した部分である第一導通部とを有する板状部材が構成されてもよい。なお、この場合、本体部に第二導通部としての金属部材を取り付けることで、金属板を基材とする板状部材であって、実質的に板状部材440と同一の機能を備える板状部材を得ることができる。また、インサート成形によって、金属製の第一導通部450及び第二導通部460と、樹脂製の本体部441とを有する板状部材440が作製されてもよい。
【0081】
また、導通部を備える板状部材は、正極用と負極用とで別々に配置されていてもよい。例えば、本体部441(
図4参照)に第一導通部450のみを取り付けることで正極用の板状部材を構成し、別の本体部441に第二導通部460のみを取り付けることで負極用の板状部材を構成してもよい。この場合、例えば、正極用及び負極用の2つの板状部材を、積層列において積層方向(Y軸方向、
図3参照)にずらして配置することができる。これにより、第一導通部450及び第二導通部460の位置が、積層方向においてずらされる。そのため、例えば、正極端子200及び負極端子300の構造、サイズ、及び容器100における位置等に応じて、第一導通部450及び第二導通部460のそれぞれを適切な位置に配置することができる。
【0082】
また、第一導通部450と正極端子200とは直接的に接続される必要はない。例えば、第一導通部450と正極端子200との間に、例えば集電体と呼ばれる金属部材が介在してもよい。このことは、負極側の第二導通部460についても同じである。
【0083】
また、板状部材440は、例えば、長尺帯状の極板が巻回されることで形成された巻回型の巻回型の電極体、または、長尺帯状の極板を山折りと谷折りとの繰り返しによって蛇腹状に積層した構造を有する電極体に対して配置されてもよい。いずれの場合であっても、電極体は、正極板、負極板及びセパレータが積層された積層列を有しており、かつ、積層列の、積層方向と直交する方向の端部には集束部が形成されている。従って、この積層列のいずれかの位置に板状部材440を配置することで、集束部の短縮化(エネルギー密度の向上)、または、集束部における先端ずれ量の低減等の効果を得ることは可能である。
【0084】
なお、上記の板状部材440に関する各種の補足事項は、変形例1に係る板状部材440a及び変形例2に係る板状部材440bのそれぞれにも適用される。また、上記実施の形態及び上記変形例を任意に組み合わせて構築される形態も、本発明の範囲内に含まれる。例えば、変形例1に示す板状部材440aが、変形例2に示す当接部444を有してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0085】
本発明は、リチウムイオン二次電池などの蓄電素子等に適用できる。
【符号の説明】
【0086】
10 蓄電素子
100 容器
110 容器本体
120 蓋板
200 正極端子
210 端子本体
220 軸部
300 負極端子
400、400a 電極体
401 電極体本体
410 正極板
411 正極タブ
415 正極集束部
415a 第一接合部
420 負極板
421 負極タブ
425 負極集束部
425a 第二接合部
440、440a、440b 板状部材
441 本体部
442 上端縁
443a、443b 切欠部
444 当接部
449a、449b、449c 開口部
450 第一導通部
451、461 接続部
460 第二導通部
480 セパレータ
500、600 上ガスケット
510 下ガスケット