IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社鶴見製作所の特許一覧

特許7039980水中電動ポンプ用の駆動制御モジュールおよび水中電動ポンプ
<>
  • 特許-水中電動ポンプ用の駆動制御モジュールおよび水中電動ポンプ 図1
  • 特許-水中電動ポンプ用の駆動制御モジュールおよび水中電動ポンプ 図2
  • 特許-水中電動ポンプ用の駆動制御モジュールおよび水中電動ポンプ 図3
  • 特許-水中電動ポンプ用の駆動制御モジュールおよび水中電動ポンプ 図4
  • 特許-水中電動ポンプ用の駆動制御モジュールおよび水中電動ポンプ 図5
  • 特許-水中電動ポンプ用の駆動制御モジュールおよび水中電動ポンプ 図6
  • 特許-水中電動ポンプ用の駆動制御モジュールおよび水中電動ポンプ 図7
  • 特許-水中電動ポンプ用の駆動制御モジュールおよび水中電動ポンプ 図8
  • 特許-水中電動ポンプ用の駆動制御モジュールおよび水中電動ポンプ 図9
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-14
(45)【発行日】2022-03-23
(54)【発明の名称】水中電動ポンプ用の駆動制御モジュールおよび水中電動ポンプ
(51)【国際特許分類】
   F04D 13/08 20060101AFI20220315BHJP
   F04D 29/60 20060101ALI20220315BHJP
【FI】
F04D13/08 Q
F04D29/60 E
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2017237996
(22)【出願日】2017-12-12
(65)【公開番号】P2019105211
(43)【公開日】2019-06-27
【審査請求日】2020-06-23
(73)【特許権者】
【識別番号】000150844
【氏名又は名称】株式会社鶴見製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100104433
【弁理士】
【氏名又は名称】宮園 博一
(72)【発明者】
【氏名】田中 静夫
(72)【発明者】
【氏名】窪 泰人
【審査官】上野 力
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-299670(JP,A)
【文献】特開2003-074490(JP,A)
【文献】特開2006-336560(JP,A)
【文献】特開2001-041188(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F04D 13/08
F04D 29/60
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
水中電動ポンプ本体のヘッドカバーに着脱可能に取り付けられる筐体部と、
前記水中電動ポンプ本体が設置される排水領域の液位を検知する液位センサと、
前記液位センサに配線により接続された状態で前記筐体部の内側に配置され、前記液位センサの検知信号に基づいて前記水中電動ポンプ本体の駆動を制御する制御部品と、を備え、
前記筐体部は、互いに分割可能に組み合わされる第1筐体部と第2筐体部とを含み、前記第1筐体部が前記ヘッドカバーに取り付けられるように構成されており、
前記液位センサが取り付けられる上下方向に延びる棒状の取付部材をさらに備え、
前記第1筐体部および前記第2筐体部は、それぞれ、前記取付部材を挟持するための第1挟持部および第2挟持部を有し、
前記第1挟持部および前記第2挟持部は、前記第1筐体部および前記第2筐体部が互いに組み合わさることにより、前記取付部材を挟持するように構成されている、水中電動ポンプ用の駆動制御モジュール。
【請求項2】
非自動型の前記水中電動ポンプ本体に取り付けられることによって、前記液位センサおよび前記制御部品により、前記非自動型の水中電動ポンプ本体を自動型または自動交互型として駆動制御することが可能に構成されている、請求項1に記載の水中電動ポンプ用の駆動制御モジュール。
【請求項3】
前記第1筐体部と前記第2筐体部との分割面は、前記水中電動ポンプ本体の回転軸の軸方向と同様に、前記水中電動ポンプ本体の長手方向に延びている、請求項1または2に記載の水中電動ポンプ用の駆動制御モジュール。
【請求項4】
前記筐体部は、前記軸方向において、前記水中電動ポンプ本体の前記ヘッドカバーとモータとの両方に跨るように配置されている、請求項3に記載の水中電動ポンプ用の駆動制御モジュール。
【請求項5】
前記第1筐体部は、前記水中電動ポンプ本体の回転軸の軸方向に延びるとともに、前記制御部品が取り付けられる第1部分と、前記軸方向に略直交する方向に延びるとともに、一端側が前記水中電動ポンプ本体側から前記第1部分に接続され、他端側が前記ヘッドカバーに取り付けられる第2部分とを有する、請求項1~4のいずれか1項に記載の水中電動ポンプ用の駆動制御モジュール。
【請求項6】
前記第1筐体部の前記第1部分は、前記第1筐体部と前記第2筐体部との分割面と略平行に配置され、前記水中電動ポンプ本体の外側面に対向する外表面と、前記分割面と略平行に配置され、前記外表面に対して前記水中電動ポンプ本体側とは逆側で、前記制御部品が取り付けられる側の内表面とを有するとともに、平板形状または箱形状に形成され、
前記第2筐体部は、前記制御部品を覆うように前記第1部分に取り付けられる箱形状に形成され、
前記第1筐体部と前記第2筐体部との前記分割面での組付方向において、前記第1筐体部の前記第1部分の長さは、前記第2筐体部の長さよりも小さい、請求項5に記載の水中電動ポンプ用の駆動制御モジュール。
【請求項7】
前記筐体部の上部には、一端が電源に接続される配線の他端を前記筐体部の内側に導入する第1配線導入口と、一端が前記液位センサに接続される配線の他端を前記筐体部の内側に導入する第2配線導入口が設けられている、請求項1~6のいずれか1項に記載の水中電動ポンプ用の駆動制御モジュール。
【請求項8】
前記制御部品は、前記筐体部の下部に配置されるトランスと、前記筐体部の下部に配置され、前記第1配線導入口から前記筐体部の内側に導入された配線が上方から接続される電磁接触器とを少なくとも含む、請求項7に記載の水中電動ポンプ用の駆動制御モジュール。
【請求項9】
水中電動ポンプ本体と、
前記水中電動ポンプ本体のヘッドカバーに着脱可能に取り付けられる筐体部と、
前記水中電動ポンプ本体が設置される排水領域の液位を検知する液位センサと、
前記液位センサに配線により接続された状態で前記筐体部の内側に配置され、前記液位センサの検知信号に基づいて前記水中電動ポンプ本体の駆動を制御する制御部品と、を備え、
前記筐体部は、互いに分割可能に組み合わされる第1筐体部と第2筐体部とを含み、前記第1筐体部が前記ヘッドカバーに取り付けられるように構成されており、
前記液位センサが取り付けられる上下方向に延びる棒状の取付部材をさらに備え、
前記第1筐体部および前記第2筐体部は、それぞれ、前記取付部材を挟持するための第1挟持部および第2挟持部を有し、
前記第1挟持部および前記第2挟持部は、前記第1筐体部および前記第2筐体部が互いに組み合わさることにより、前記取付部材を挟持するように構成されている、水中電動ポンプ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水中電動ポンプ用の駆動制御モジュールおよび水中電動ポンプに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、液位センサを備える水中電動ポンプが知られている(たとえば、特許文献1参照)。
【0003】
上記特許文献1には、水中電動ポンプ本体と、制御部品と、互いに異なる高さ位置に配置される2つの液位センサとを備え、液位センサの検知に伴い、自動的に運転・停止を行う自動型の水中電動ポンプが開示されている。制御部品は、液位センサの信号に基づいてモータを駆動させる制御を行う駆動回路(主回路)と、駆動回路を開閉するリレーを有するリレー回路(制御回路)とを含んでいる。制御部品は、水中電動ポンプ本体の内側に配置されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2003-286990号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献1の水中電動ポンプでは、制御部品は、水中電動ポンプ本体の内側に配置されているので、自動型から非自動型や自動交互型などの異なる駆動方式に変更することはできず、自動型とは異なる駆動方式の水中電動ポンプを使用する必要がある場合には、別個に水中電動ポンプを用意しなければならないという問題点がある。また、制御部品は、水中電動ポンプ本体の内側に配置されているため、制御部品を交換するためには、水中電動ポンプ本体を分解しなければならず、制御部品の交換作業が煩雑であるという問題点もある。なお、非自動型とは、ユーザが所定の操作を行わない限り、駆動を開始および停止することのない駆動方式である。自動交互型とは、自動型の水中電動ポンプとセットで用いられる水中電動ポンプの駆動方式であり、原則、自動型の水中電動ポンプと交互に駆動される水中電動ポンプの駆動方式である。
【0006】
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、この発明の1つの目的は、別個に水中電動ポンプを用意することなく異なる駆動方式で水中電動ポンプを駆動させることが可能であるとともに、制御部品を容易に交換することが可能な水中電動ポンプ用の駆動制御モジュールおよび水中電動ポンプを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、この発明の第1の局面における水中電動ポンプ用の駆動制御モジュールは、水中電動ポンプ本体のヘッドカバーに着脱可能に取り付けられる筐体部と、水中電動ポンプ本体が設置される排水領域の液位を検知する液位センサと、液位センサに配線により接続された状態で筐体部の内側に配置され、液位センサの検知信号に基づいて水中電動ポンプ本体の駆動を制御する制御部品と、を備え、筐体部は、互いに分割可能に組み合わされる第1筐体部と第2筐体部とを含み、第1筐体部がヘッドカバーに取り付けられるように構成されており、液位センサが取り付けられる上下方向に延びる棒状の取付部材をさらに備え、第1筐体部および第2筐体部は、それぞれ、取付部材を挟持するための第1挟持部および第2挟持部を有し、第1挟持部および第2挟持部は、第1筐体部および第2筐体部が互いに組み合わさることにより、取付部材を挟持するように構成されている。
【0008】
この発明の第1の局面による水中電動ポンプ用の駆動制御モジュールでは、上記のように、水中電動ポンプ本体のヘッドカバーに着脱可能に取り付けられる筐体部と、液位センサに配線により接続された状態で筐体部の内側に配置され、液位センサの検知信号に基づいて水中電動ポンプ本体の駆動を制御する制御部品とを設ける。これにより、制御部品が内側に配置される筐体部を、水中電動ポンプ本体のヘッドカバーを取り外すことなく水中電動ポンプ本体から着脱することができるので、非自動型の水中電動ポンプに、筐体部を取り付けて、液位センサの検知信号に基づいて駆動される自動型または自動交互型の駆動方式の水中電動ポンプとして構成することができる。そして、駆動制御モジュールの着脱および交換により、自動型から非自動型などの他の駆動方式の水中電動ポンプに変更することができる。すなわち、1つの水中電動ポンプ本体に対して、筐体部の着脱により駆動方式を変更することができるので、別個に水中電動ポンプを用意することなく異なる駆動方式で水中電動ポンプを駆動させることができる。また、筐体部を、互いに分割可能に組み合わされる第1筐体部と第2筐体部とを含み、第1筐体部がヘッドカバーに取り付けられるように構成する。このように、水中電動ポンプ本体に対して筐体部を着脱可能に構成することによって、水中電動ポンプ本体を分解することなく、制御部品を容易に交換することができる。以上により、非自動運転型の水中電動ポンプであっても、本発明の駆動制御モジュールを取り付ける事で、液位センサの検知結果により自動運転させることが可能になるとともに、制御部品を容易に交換することができる。
また、簡易な構成で、第1筐体部および第2筐体部に対して液位センサの取付部材を取り付けることができる。また、液位センサの取付部材を第1筐体部および第2筐体部に取り付けるために、第1筐体部および第2筐体部とは別体の構成を、第1筐体部および第2筐体部に設置する場合と比較して、装置構成を簡素化することができる。
【0009】
上記第1の局面による水中電動ポンプ用の駆動制御モジュールにおいて、好ましくは、非自動型の水中電動ポンプ本体に取り付けられることによって、液位センサおよび制御部品により、非自動型の水中電動ポンプ本体を自動型または自動交互型として駆動制御することが可能に構成されている。
【0010】
上記第1の局面による水中電動ポンプ用の駆動制御モジュールにおいて、好ましくは、第1筐体部と第2筐体部との分割面は、水中電動ポンプ本体の回転軸の軸方向と同様に、水中電動ポンプ本体の長手方向に延びている。このように構成すれば、分割面が水中電動ポンプ本体の長手方向に延びているので、第1筐体と第2筐体とを分割した際に、制御部品を水中電動ポンプ本体の長手方向に対して側方に露出させることができる。その結果、水中電動ポンプ本体の側方から制御部品の交換作業を容易に行うことができる。
【0011】
この場合、好ましくは、筐体部は、軸方向において、水中電動ポンプ本体のヘッドカバーとモータとの両方に跨るように配置されている。このように構成すれば、筐体部がヘッドカバーとモータとの両方に跨るような比較的高い位置に配置されるので、筐体部が低い位置に配置される場合と比較して、電源ケーブルや液位センサのケーブルとの配線および水中電動ポンプ本体への取り付け作業をより容易に行うことができる。
【0012】
上記第1の局面による水中電動ポンプ用の駆動制御モジュールにおいて、好ましくは、第1筐体部は、水中電動ポンプ本体の回転軸の軸方向に延びるとともに、制御部品が取り付けられる第1部分と、軸方向に略直交する方向に延びるとともに、一端側が水中電動ポンプ本体側から第1部分に接続され、他端側がヘッドカバーに取り付けられる第2部分とを有する。このように構成すれば、第1部分と第2部分とにより、第1筐体部を、水中電動ポンプ本体の形状に沿って配置することができるので、第1筐体部が水中電動ポンプ本体から突出するのを抑制することができる。
【0013】
この場合、好ましくは、第1筐体部の第1部分は、第1筐体部と第2筐体部との分割面と略平行に配置され、水中電動ポンプ本体の外側面に対向する外表面と、分割面と略平行に配置され、外表面に対して水中電動ポンプ本体側とは逆側で、制御部品が取り付けられる側の内表面とを有するとともに、平板形状または箱形状に形成され、第2筐体部は、制御部品を覆うように第1部分に取り付けられる箱形状に形成され、第1筐体部と第2筐体部との分割面での組付方向において、第1筐体部の第1部分の長さは、第2筐体部の長さよりも小さい。このように構成すれば、組付方向において、第1筐体部の第1部分の長さが第2筐体部の長さよりも大きい場合と比較して、第1筐体部から第2筐体部を取り外した場合に、第1筐体部に取り付けられた制御部品のより広い範囲を露出させることができる。その結果、制御部品の交換作業をより容易に行うことができる。
【0014】
上記第1の局面による水中電動ポンプ用の駆動制御モジュールにおいて、好ましくは、筐体部の上部には、一端が電源に接続される配線の他端を筐体部の内側に導入する第1配線導入口と、一端が液位センサに接続される配線の他端を筐体部の内側に導入する第2配線導入口が設けられている。このように構成すれば、筐体部の上部から電源ケーブルおよび液位センサのケーブルを駆動制御モジュール内へ導入し、容易に制御部品との配線作業を行うことができる。
【0015】
この場合、好ましくは、制御部品は、筐体部の下部に配置されるトランスと、筐体部の下部に配置され、第1配線導入口から筐体部の内側に導入された配線が上方から接続される電磁接触器とを少なくとも含む。このように構成すれば、トランスおよび電磁接触器が筐体部の下部に配置されるので、筐体部の上部に、トランスおよび電磁接触器に接続される配線の配置スペースを確保することができる。
【0017】
この発明の第2の局面における水中電動ポンプは、水中電動ポンプ本体と、水中電動ポンプ本体のヘッドカバーに着脱可能に取り付けられる筐体部と、水中電動ポンプ本体が設置される排水領域の液位を検知する液位センサと、液位センサに配線により接続された状態で筐体部の内側に配置され、液位センサの検知信号に基づいて水中電動ポンプ本体の駆動を制御する制御部品と、を備え、筐体部は、互いに分割可能に組み合わされる第1筐体部と第2筐体部とを含み、第1筐体部がヘッドカバーに取り付けられるように構成されており、液位センサが取り付けられる上下方向に延びる棒状の取付部材をさらに備え、第1筐体部および第2筐体部は、それぞれ、取付部材を挟持するための第1挟持部および第2挟持部を有し、第1挟持部および第2挟持部は、第1筐体部および第2筐体部が互いに組み合わさることにより、取付部材を挟持するように構成されている。
【0018】
この発明の第2の局面による水中電動ポンプでは、上記のように、水中電動ポンプ本体のヘッドカバーに着脱可能に取り付けられる筐体部と、液位センサに配線により接続された状態で筐体部の内側に配置され、液位センサの検知信号に基づいて水中電動ポンプ本体の駆動を制御する制御部品とを設ける。これにより、制御部品が内側に配置される筐体部を、水中電動ポンプ本体のヘッドカバーを取り外すことなく水中電動ポンプ本体から着脱することができるので、非自動型の水中電動ポンプに、筐体部を取り付けて、液位センサの検知信号に基づいて駆動される自動型または自動交互型の駆動方式の水中電動ポンプとして構成することができる。そして、駆動制御モジュールを取り外すことなどにより、自動型から非自動型などの他の駆動方式の水中電動ポンプに変更することができる。すなわち、1つの水中電動ポンプ本体に対して、筐体部の着脱により駆動方式を変更することができるので、別個に水中電動ポンプを用意することなく異なる駆動方式で水中電動ポンプを駆動させることができる。また、筐体部を、互いに分割可能に組み合わされる第1筐体部と第2筐体部とを含み、第1筐体部がヘッドカバーに取り付けられるように構成する。これにより、筐体部を第1筐体部と第2筐体部とに分割することによって、水中電動ポンプ本体を分解することなく、制御部品を容易に交換することができる。以上により、別個に水中電動ポンプを用意することなく異なる駆動方式で水中電動ポンプを駆動させることができるとともに、制御部品を容易に交換することが可能な水中電動ポンプを提供することができる。
また、簡易な構成で、第1筐体部および第2筐体部に対して液位センサの取付部材を取り付けることができる。また、液位センサの取付部材を第1筐体部および第2筐体部に取り付けるために、第1筐体部および第2筐体部とは別体の構成を、第1筐体部および第2筐体部に設置する場合と比較して、装置構成を簡素化することができる。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、上記のように、別個に水中電動ポンプを用意することなく異なる駆動方式で水中電動ポンプを駆動させることができるとともに、制御部品を容易に交換することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本発明の一実施形態による自動型の水中電動ポンプの全体構成を示した概略図である。
図2】本発明の一実施形態による自動交互型の水中電動ポンプの全体構成を示した概略図である。
図3】本発明の一実施形態による自動型の水中電動ポンプの駆動制御モジュールの筐体部を示した斜視図である。
図4】本発明の一実施形態による自動型の水中電動ポンプの駆動制御モジュールを分解した状態を示す側面図である。
図5】本発明の一実施形態による自動型の水中電動ポンプの駆動制御モジュールの第1筐体部および制御部品の正面図である。
図6図4のQ部の部分拡大図である。
図7】本発明の一実施形態による自動型の水中電動ポンプの駆動制御モジュールの回路構成を示した図である。
図8】本発明の一実施形態による自動交互型の水中電動ポンプの駆動制御モジュールの回路構成を示した図である。
図9】本発明の一実施形態による交互型および自動交互型の水中電動ポンプの動作について説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0022】
(自動型および自動交互型の水中電動ポンプの構成)
図1図9を参照して、本発明の一実施形態による水中電動ポンプ100および200について説明する。一実施形態による図1に示す水中電動ポンプ100および図2に示す水中電動ポンプ200は、共に、回転軸2が上下方向(Z方向)に延びる縦型の水中電動ポンプである。また、水中電動ポンプ100および200は、それぞれ、自動型および自動交互型の水中電動ポンプである。
【0023】
詳細には、図1に示す水中電動ポンプ100は、非自動型の水中電動ポンプ本体101に駆動制御モジュール102を取り付けることにより、駆動制御モジュール102の後述する液位センサ7および制御部品9によって、非自動型の水中電動ポンプ本体101を、自動型として駆動制御することが可能に構成されている。
【0024】
また、図2に示す水中電動ポンプ200は、非自動型の水中電動ポンプ本体101に駆動制御モジュール103を取り付けることにより、駆動制御モジュール103の後述する液位センサ207および制御部品9によって、非自動型の水中電動ポンプ本体101を、自動交互型として駆動制御することが可能に構成されている。
【0025】
非自動型とは、水中電動ポンプ本体101が設置される所定の排水領域の液位が変動したとしても、水中電動ポンプ本体101自体が駆動の開始および停止を判断することがない水中電動ポンプの駆動方式(タイプ)である。すなわち、非自動型とは、ユーザが所定の操作を行わない限り、駆動を開始および停止することのない水中電動ポンプの駆動方式である。一方、自動型の水中電動ポンプ100および自動交互型の水中電動ポンプ200は、ユーザが所定の操作を行わなくても駆動を開始および停止させることができる。
【0026】
自動型とは、排水領域の液位が上昇して所定の駆動液位まで到達した場合に駆動を開始するとともに、駆動液位から排水領域の液位が低下して所定の停止液位まで到達した場合に駆動を停止するように構成されている水中電動ポンプの駆動方式である。なお、自動型の水中電動ポンプは、停止液位に到達した場合に、即座に駆動を停止してもよいし、所定時間後に駆動を停止してもよい。
【0027】
自動交互型とは、自動型の水中電動ポンプ100とセットで用いられる水中電動ポンプ200の駆動方式である。自動型の水中電動ポンプ100と、自動交互型の水中電動ポンプ200とは、原則、一度運転開始から停止までの一連の動作を行うと次回液位センサが運転を開始する液位を検知しても運転を開始せず停止したままとなり、その次に液位センサが運転を開始する液位を検知すると運転を開始し、運転状態と停止状態とを交互に切り替える制御を行う。詳細については後述する。
【0028】
(水中電動ポンプ本体の構成)
図1を参照して、水中電動ポンプ本体101について説明する。なお、図1の水中電動ポンプ100および図2の水中電動ポンプ200は、同一構造の水中電動ポンプ本体101を備えている。そこで、以下では、水中電動ポンプ100の水中電動ポンプ本体101について説明し、水中電動ポンプ200の水中電動ポンプ本体101の説明は省略する。
【0029】
水中電動ポンプ本体101は、図1に示すように、モータ1と、回転軸2と、ポンプ室3と、オイル室4と、メカニカルシール41と、オイルリフター42と、ポンプ室3に配置される羽根車5と、ヘッドカバー6とを備えている。
【0030】
モータ1は、外部からの水が浸入しないように、密閉されている。また、モータ1は、回転軸2を回転駆動させる。モータ1は、回転軸2を介して羽根車5を回転駆動させるように構成されている。また、モータ1は、固定子11と、回転子12と、モータケーシング13とを含んでいる。固定子11は、コイルを有しており、モータ1の外周部に配置されている。また、固定子11は、配線U1、V1、V2、W1、W2を介して3相交流の電源Pから電力が供給されることにより、磁界を発生させるように三相モータにより構成されている。回転子12は、回転軸2に取り付けられ、固定子11と径方向に対向するようにモータ1の内側に配置されている。また、回転子12は、固定子11からの磁界により回転するように構成されている。モータケーシング13は、固定子11と、回転子12とを覆っている。モータケーシング13の外側面13aは、水平方向(回転軸2の半径方向)において、駆動制御モジュール102と対向している。
【0031】
回転軸2は、モータ1の駆動により回転するように構成されている。回転軸2の下端には、羽根車5が取り付けられている。回転軸2は、モータ1の駆動力を羽根車5に伝えるように構成されている。回転軸2(羽根車5)は、平面視において(上方から見た場合に)、時計回り(図1に示すJ方向)に回転するように構成されている。回転軸2は、ベアリング21および22により回転可能に支持されている。回転軸2は、モータ1からオイル室4を貫通してポンプ室3まで延びるように配置されている。
【0032】
ポンプ室3には、羽根車5が配置されている。また、ポンプ室3は、吸込口31と吐出口32とを有している。吸込口31は、羽根車5の直下に配置され、吐出口32は、羽根車5の側方に配置されている。水中電動ポンプ100は、排水領域(図示せず)に設置され、吸込口31からポンプ室3内へ水を吸水する。羽根車5は、回転することにより、ポンプ室3内へ吸水した水に対して速度エネルギーを与えるとともに、ポンプ室3内において水の速度エネルギーを圧力エネルギーに変換する。その結果、羽根車5は、流路33を介して吐出口32から水を吐出するように構成されている。
【0033】
オイル室4は、モータ1およびポンプ室3の間に配置されており、オイル室4は、オイルが充填されている。また、オイル室4内には、メカニカルシール41が設けられている。メカニカルシール41は、負荷側(ポンプ室3側)および反負荷側(ポンプ室3に対して反対側、つまり、モータ1側)に、それぞれ、摺動部(図示せず)を有している。負荷側の摺動部は、ポンプ室3の圧力水がオイル室4に流入するのを防止(抑制)する機能を有している。また、反負荷側の摺動部は、オイル室4のオイルを含む流体がモータ1側に流入するのを防止(抑制)する機能を有している。なお、摺動部は、オイル室4に充填されたオイルによって、潤滑されるとともに、焼きつかないように冷却される。
【0034】
オイルリフター42は、オイル室4の回転軸2の周りに設けられ、回転軸2の周囲を囲う筒形状を有している。オイルリフター42は、回転軸2の回転に伴いオイルを上方向に持ち上げるように構成されている。つまり、オイルリフター42は、メカニカルシール41の反負荷側の摺動部にオイルを供給するように構成されている。オイルリフター42の下部には、貫通孔42aが設けられている。貫通孔42aは、オイルリフター42の内周側にオイルを導くように構成されている。オイルリフター42は、上方向に持ち上げたオイルをオイルリフター42の上端側から外周側に戻すように構成されている。
【0035】
ヘッドカバー6は、水中電動ポンプ100の上部に取り付けられる中空のカバー部材である。ヘッドカバー6は、モータケーシング13の上方の開口を塞ぐように構成されている。ヘッドカバー6は、上面に駆動制御モジュール102を取り付け可能(着脱可能)に構成されている。ヘッドカバー6の上部には、接地線Gおよび配線U1、V1、V2、W1、W2をヘッドカバー6内に導入するための貫通穴6aが設けられている。
【0036】
接地線Gおよび配線U1、V1、W1は、キャブタイヤケーブルDにより束ねられて、電源P側から導入される配線である。配線V2、W2は、それぞれ、後述する電磁接触器92を介して一端が配線V1、W1の下流側に接続され、他端がモータ1側に接続される配線である。なお、キャブタイヤケーブルDにより束ねられる4つの接地線Gおよび配線U1、V1、W1は、ヘッドカバー6内で個々の配線に分かれている。
【0037】
(自動型の水中電動ポンプの駆動制御モジュールの構成)
次に、図1および図3図7を参照して、自動型の水中電動ポンプ100の駆動制御モジュール102の構成について説明する。
【0038】
図1に示すように、駆動制御モジュール102は、筐体部8と、制御部品9と、液位センサ7と、取付部材7aと、を備えている。
【0039】
筐体部8は、ヘッドカバー6(図1参照)に着脱可能に取り付けられるように構成されている。筐体部8は、互いに分割可能に組み合わされる第1筐体部81と第2筐体部82とを含んでいる。制御部品9は、トランス91(図4参照)と、電磁接触器92(図4参照)とを含んでいる。取付部材7aは、液位センサ7が取り付けられ、第1筐体部81および第2筐体部82により挟持される部材である。
【0040】
第1筐体部81および第2筐体部82は、軸方向(Z方向)において、水中電動ポンプ本体101のヘッドカバー6とモータ1との両方に跨るように配置されている。すなわち、第1筐体部81および第2筐体部82は、ヘッドカバー6およびモータ1の横に並ぶように配置されている。
【0041】
第1筐体部81は、ヘッドカバー6の上面に取り付けられるように構成されている。第1筐体部81は、第1部分81aと、第2部分81b(図4の一点鎖線で囲まれた部分)とを有している。
【0042】
第1部分81aは、水中電動ポンプ本体101の回転軸2の軸方向(Z方向)に延びるように構成されている。第1部分81aは、水中電動ポンプ本体101側とは逆側(以下で説明するA1方向側)に開口部を有する箱形状に形成されている。第1部分81aの外表面810は、水中電動ポンプ本体101のモータケーシング13の外側面13aに対向している。
【0043】
以下では、水平方向のうち、回転軸2から駆動制御モジュール102に向かう方向をA1方向とし、その逆方向をA2方向とする。A方向は、第1部分81aの外表面810に略直交する方向である。また、水平方向のうち、A方向に直交する方向をB方向とする。また、B方向のうち、平面視で、回転軸2の半時計回り方向に沿った方向をB1方向とし、その逆方向をB2方向とする。なお、A2方向は、特許請求の範囲の「組付方向」の一例である。
【0044】
第1筐体部81と第2筐体部82との分割面8aは、水中電動ポンプ本体101の回転軸2の軸方向(Z方向)と同様に、水中電動ポンプ本体101の長手方向(Z方向)に延びている。また、分割面8aは、B方向に延びている。分割面8aは、概して、Z方向を長手方向とし、B方向を短手方向とする矩形形状を有している。
【0045】
第1部分81aは、内表面811側にトランス91および電磁接触器92が取り付けられるように構成されている。内表面811とは、外表面810に対して水中電動ポンプ本体101とは逆側で、トランス91および電磁接触器92が取り付けられる側の面である。なお、自動交互型の水中電動ポンプ200(図2参照)の駆動制御モジュール103(図2参照)では、図5の2点鎖線で示す位置に、後述する制御基板93が配置される。
【0046】
図1に示すように、第2部分81bは、軸方向(Z方向)に略直交する方向に延びるように構成されている。第2部分81bは、一端側(A1方向側)が水中電動ポンプ本体101側から第1部分81aに接続され、他端側(A2方向側)がヘッドカバー6に取り付けられるように構成されている。
【0047】
すなわち、第2部分81bは、上下方向(Z方向)において、回転軸2から離れる一端側(A1方向側)で、水中電動ポンプ本体101とオーバーラップしないとともに、回転軸2に近い他端側(A2方向側)で、水中電動ポンプ本体101とオーバーラップするように配置されている。
【0048】
第2部分81bの上部には、一端が電源Pに接続される接地線Gおよび配線U1、V1、W1の他端を第1筐体部81の内側に導入する第1配線導入口812に設けられている。すなわち、第2部分81bの上部には、キャブタイヤケーブルDが取り付けられる貫通孔状の第1配線導入口812が設けられている。
【0049】
キャブタイヤケーブルDは、ゴムパッキンK1を介して、ボルトbにより第1配線導入口812(第2部分81b)に上方から取り付けられている。ゴムパッキンK1は、キャブタイヤケーブルDと第2部分81bの上面との間に配置されている。
【0050】
第2部分81bは、キャブタイヤケーブルDとともに、ゴムパッキンK2を介して、ボルトbによりヘッドカバー6に上方から取り付けられている。ゴムパッキンK2は、第2部分81bの下面とヘッドカバー6の上面との間に配置されている。
【0051】
第2部分81bには、第1配線導入口812の直下に、ヘッドカバー6の上面の貫通穴6aに上方から連通する貫通穴813が設けられている。ヘッドカバー6および筐体部8は、ヘッドカバー6の貫通穴6aおよび筐体部8の貫通穴813を介して、互いの内部空間を連通している。これにより、ヘッドカバー6および筐体部8は、1つの液密状態の内部空間を形成している。
【0052】
第2部分81bの内部には、第1配線導入口812および貫通穴813を、第1部分81aおよび第2筐体部82の内部空間に連通させるためのA方向に延びる連通孔814(図4参照)が設けられている。
【0053】
連通孔814には、配線V1、W1と、配線V2、W2とが通されている。図7に示すように、配線V1、W1は、それぞれ、一端が電源Pに接続され、他端が電磁接触器92に接続されている。配線V2、W2は、それぞれ、一端が電磁接触器92に接続され、他端がモータ1側に接続されている。
【0054】
図1に示すように、第2筐体部82は、電磁接触器92およびトランス91を覆うように、第1筐体部81の第1部分81aに取り付けられる箱形状に形成されている。すなわち、第2筐体部82は、水中電動ポンプ本体101側(A2方向側)に開口部を有する箱形状に形成されている。第2筐体部82は、第1筐体部81のA1方向側からA2方向に移動されることにより、第1筐体部81に組み付けられるように構成されている。第2筐体部82は、ボルト(図示せず)により第1筐体部81に対して固定されている。
【0055】
第2筐体部82の上部には、一端が液位センサ7に接続される配線Cの他端を第2筐体部82の内側に導入する第2配線導入口82aが設けられている。第2配線導入口82aには、一端が液位センサ7に接続される配線CのコネクタNが取り付けられている。コネクタNは、コネクタNと第2筐体部82の上面との間に配置されるゴムパッキンK3を介して、第2配線導入口82aに取り付けられている。
【0056】
図4に示すように、第1筐体部81と第2筐体部82との組付方向(A方向)において、第1筐体部81の第1部分81aの長さL1は、第2筐体部82の長さL2よりも小さい(L1<L2)。すなわち、箱形状の第1部分81aのA方向に延びる側壁は、箱形状の第2筐体部82のA方向に延びる側壁よりも小さい。
【0057】
図5に示すように、第1筐体部81の第1部分81aの分割面8aには、溝部815が設けられている。溝部815は、A方向から見て、第1部分81aの外縁(分割面8a)に沿って延びる環状に形成されている。溝部815には、OリングRが嵌め込まれている。溝部815は、分割面8aからA2方向に窪んでいる。
【0058】
図4に示すように、第2筐体部82の分割面8aには、凸部82bが設けられている。凸部82bは、分割面8aに沿って延びる環状に形成されている。なお、凸部82bは、溝部815に対応した環状に形成されている。凸部82bは、A2方向に突出している。凸部82bは、溝部815に嵌合するように構成されている。すなわち、凸部82bは、第1筐体部81に第2筐体部82が組み付けされた際に、溝部815に嵌め込まれる。
【0059】
図6に示すように、凸部82bは、溝部815に嵌合することにより、溝部815に設置されているOリングRを圧縮するように構成されている。このように、駆動制御モジュール102は、第1筐体部81および第2筐体部82の分割面8aから水が第1筐体部81および第2筐体部82の内部に浸入するのを防止することが可能に構成されている。
【0060】
図3に示すように、第1筐体部81(第1部分81a)および第2筐体部82は、取付部材7aを挟持するための第1挟持部816および第2挟持部82cを有している。取付部材7aは、上下方向に延びる丸棒状の部材であり、液位センサ7が取り付けられる部材である。
【0061】
第1挟持部816は、A2方向に窪んでおり、平面視で半円形状を有している。第2挟持部82cは、A1方向に窪んでおり、平面視で半円形状を有している。第2挟持部82cは、第1挟持部816のA1方向側に配置されている。第1挟持部816および第2挟持部82cは、第1筐体部81および第2筐体部82が互いに組み合わされることにより、取付部材7aを挟持するように構成されている。第1挟持部816および第2挟持部82cは、取付部材7aの挟持位置を変更することにより、取付部材7aの上下方向の位置を調整可能に構成されている。
【0062】
図4に示すように、電磁接触器92には、第1筐体部81の第2部分81bの第1配線導入口812から、第1筐体部81の内側に導入された配線V1、W1が上方から接続されている。また、電磁接触器92からはモータ1と接続するための配線V2、W2がヘッドカバー6内へ導入されている。また、液位センサ7からの配線Cに接続されるコネクタが、第2配線導入口82aから第2筐体部82内へ導入されてトランス91と電磁接触器92とに接続されるコネクタとが接続される。トランス91には、一端が電磁接触器92と接続される配線T1、T2(図7参照)の他端が接続されている。トランス91および電磁接触器92は、第1筐体部81の下部に横並びで(B方向に並ぶように)配置されている。これにより、第1筐体部81および第2筐体部82は、トランス91および電磁接触器92に接続される配線V1、V2、W1、W2、Cを配置する空間を、内側の上部に確保することが可能である。
【0063】
図7に示すように、駆動制御モジュール102には、トランス91、電磁接触器92および液位センサ7により形成される液位センサ側回路70が設けられている。
【0064】
トランス91は、電源Pから供給された電力を液位センサ側回路70(液位センサ7)用の低電圧に変圧するように構成されている。たとえば、トランス91は、電源Pから供給された200Vの電力を24Vに変圧するように構成されている。
【0065】
電磁接触器92は、液位センサ7の検知結果に基づいて、モータ1をON/OFFさせるための主回路を開閉するように構成されている。水中電動ポンプ100の回路構成については後述する。
【0066】
液位センサ7は、上フロートスイッチ(以下、上フロートとする)71と、下フロートスイッチ(以下、下フロートとする)72とを含んでいる。
【0067】
上フロート71は、取付部材7aに取り付けられている。下フロート72は、上フロート71の下方側で、取付部材7aに取り付けられている。上フロート71および下フロート72は、取付部材7aへの取付位置を変更することにより、上下方向の位置を調整可能に構成されている。
【0068】
(自動型の水中電動ポンプの回路構成)
次に、図7を参照して、自動型の水中電動ポンプ100の回路構成について簡単に説明する。
【0069】
水中電動ポンプ100には、グラウンドに接続される接地線Gと、3相交流の電源Pに接続される配線U1、V1、W1の計4本の配線が、キャブタイヤケーブルDにより束ねられて外部から導入されている。接地線Gは、ヘッドカバー6内にてポンプケーシング外郭部材(モータブラケット)に電気的に接続されている。配線U1は、電磁接触器92に接続されることなく、直接、モータ1に接続されている。配線V1、W1は、それぞれ、第1筐体部81の連通孔814を介して、筐体部(第1筐体部81および第2筐体部82)内に導入され、電磁接触器92に接続されている。そして、電磁接触器92に接続される配線V2、W2がヘッドカバー6内に導入されてモータ1に接続される。なお、接地線G、配線U1および後述する配線V2、W2の切り離し可能な接続端子(シェアプラグ)Sは、ヘッドカバー6内に配置される。
【0070】
トランス91には、配線V1、W1から配線T1、T2を介して所定電圧の電力が供給される。
【0071】
液位センサ側回路70において、上フロート71および下フロート72からの配線Cが、トランス91および電磁接触器92に接続されている。液位センサ側回路70において、上フロート71および下フロート72は、互いに並列に配置されている。液位センサ側回路70において、上フロート71と、トランス91とは、直列に接続されている。
【0072】
<電磁接触器の動作>
電磁接触器92の動作について説明する。
【0073】
上フロート71および下フロート72は、共に、下方を向いている状態(水を検知していない状態)でONとなり、上方を向いている状態(水を検知している状態)でOFFとなるB接点のスイッチである。
【0074】
上フロート71および下フロート72が共に下方を向いている状態では、液位センサ側回路70に電流が流れ、電磁接触器92内の電磁石(図示せず)により磁力が発生する。この状態では、モータ1は、停止している。
【0075】
そして、液位が上昇して、上フロート71および下フロート72が共に下方を向いている状態から、下フロート72が上を向き、さらに、液位が上昇して、上フロート71が上を向くと、液位センサ側回路70に電流が流れなくなるので、電磁接触器92内の電磁石による磁力が失われ、電磁接触器92内のスイッチの開閉が逆転する。その結果、配線V1(電源P側の配線)から配線V2(モータ1側の配線)に電流が流れるとともに、配線W1(電源P側の配線)から配線W2(モータ1側の配線)に電流が流れるため、モータ1は、駆動を開始する。
【0076】
そして、液位が低下して、上フロート71および下フロート72が共に上を向いている状態から、上フロート71が下を向き、さらに、液位が低下して、下フロート72が下を向くと、液位センサ側回路70に再び電流が流れるようになるので、電磁接触器92内の電磁石による磁力が発生する。このため、電磁接触器92内のスイッチの開閉が逆転し、モータ1は、駆動を停止する。
【0077】
(自動交互型の水中電動ポンプの駆動制御モジュールの構成)
次に、図2および図8を参照して、自動交互型の水中電動ポンプ200の駆動制御モジュール103の構成について説明する。なお、駆動制御モジュール102と同様の構成については、同一符号を付して説明を省略する。
【0078】
図2に示すように、駆動制御モジュール102は、液位センサ207と、水中電動ポンプの駆動を制御する制御部品9としてトランス91および電磁接触器92に加えて設けられる制御基板93とを備えている。
【0079】
液位センサ207は、上フロートスイッチ(以下、上フロートとする)271と、下フロートスイッチ(以下、下フロートとする)272と、上フロート271と下フロート272との間に配置される中フロートスイッチ(以下、中フロートとする)273とを含んでいる。
【0080】
下フロート272は、駆動制御モジュール102(図1参照)の下フロート72(図1参照)と略同じ高さに配置されている。中フロート273は、駆動制御モジュール102の上フロート71(図1参照)よりも下方に配置されている。上フロート271は、駆動制御モジュール102の上フロート71よりも上方に配置されている。
【0081】
図8に示すように、下フロート272、中フロート273および上フロート271は、それぞれ、配線Cにより、制御基板93に接続されている。また、制御基板93には、トランス91および電磁接触器92からの各種配線が接続されている。
【0082】
図2に示すように、制御基板93は、筐体部8(第1筐体部81およびと第2筐体部82)の内部で、トランス91および電磁接触器92の上方に配置されている。制御基板93は、トランス91および電磁接触器92よりもA方向の幅が小さい。
【0083】
制御基板93は、水中電動ポンプ100(図1参照)とセットで使用される水中電動ポンプ200の交互運転を制御するように構成されている。具体的には、制御基板93は、下フロート272、中フロート273および上フロート271の検知信号に基づいて水中電動ポンプ本体101の駆動を制御する。
【0084】
(水中電動ポンプの動作)
次に、図9を参照して、自動型の水中電動ポンプ100および自動交互型の水中電動ポンプ200の動作について説明する。
【0085】
なお、水中電動ポンプ100の下フロート72および水中電動ポンプ200の下フロート272が液位を検知するレベル(液位)をH1とする。水中電動ポンプ200の中フロート273が液位を検知するレベル(液位)をH2とする。水中電動ポンプ100の上フロート71が液位を検知するレベル(液位)をH3とする。水中電動ポンプ200の上フロート271が液位を検知するレベル(液位)をH4とする。
【0086】
初期状態では、液位がH1よりも低い状態であるとする。すなわち、水中電動ポンプ100および水中電動ポンプ200は、停止している状態であるとする。
【0087】
そして、液位がH2まで上昇すると、水中電動ポンプ200の中フロート273が上向きの姿勢となって液位を検知する。これにより、水中電動ポンプ200は、制御基板93による制御の下、駆動を開始する。
【0088】
そして、液位がH1まで低下すると下フロート272が下向きの姿勢となって液位を検知しなくなり、水中電動ポンプ200は、制御基板93による制御の下、駆動を停止する。また、水中電動ポンプ200は、制御基板93による制御の下、一回停止モードになる。
【0089】
なお、一回停止モードとは、次に液位がH2まで上昇して中フロート273が上向きの姿勢となり液位を検知する状態になったとしても、水中電動ポンプ200を駆動させないモードのことをいう。一回停止モードは、一回停止モード中に水中電動ポンプ200の中フロート273が上向きの姿勢となって液位を検知して、さらに、液位が低下して、中フロート273および下フロート272が下向きの姿勢となって液位を検知しなくなることにより終了する。なお、水中電動ポンプ200の一回停止モード中に液位を低下させるのは、以下で説明する水中電動ポンプ100の駆動、あるいは液位がH4まで上昇した際における水中電動ポンプ100および水中電動ポンプ200の2台同時運転による駆動である。
【0090】
そして、一回停止モード中に、液位がH3まで上昇すると、上フロート71が上向きの姿勢となって液位を検知し、水中電動ポンプ100は駆動を開始する。そして、液位が低下する途中で、水中電動ポンプ200は、制御基板93による制御の下、一回停止モードが解除される。このように、水中電動ポンプ100および200は、交互に動作するように制御される。
【0091】
なお、異常増水等により液位がH4まで急上昇した場合、水中電動ポンプ200は、一回停止モードであるか否かに関らず、必ず駆動される。すなわち、液位がH4まで上昇し、水中電動ポンプ200の上フロート271が上向きの姿勢となって液位を検知した場合、水中電動ポンプ100および200が共に駆動される。
【0092】
(駆動制御モジュールの着脱および制御部品の部品交換)
自動型の水中電動ポンプ100は、駆動制御モジュール102を水中電動ポンプ本体101から取り外すことにより、駆動方式を非自動型に変更することが可能である。同様に、自動交互型の水中電動ポンプ200は、駆動制御モジュール103を水中電動ポンプ本体101から取り外すことにより、駆動方式を非自動型に変更することが可能である。
【0093】
なお、水中電動ポンプ本体101は、再び、駆動制御モジュール102が取り付けられることにより、自動型の水中電動ポンプ100として用いることが可能である。同様に、水中電動ポンプ本体101は、再び、駆動制御モジュール103が取り付けられることにより、自動交互型の水中電動ポンプ200として用いることが可能である。
【0094】
水中電動ポンプ100および200は、第1筐体部81から第2筐体部82を取り外して、液位センサ7などからの各種配線が接続される制御部品9を露出させることにより、液位センサ7や制御部品9を取り外して容易に交換することができる。
【0095】
(本実施形態の効果)
本実施形態では、以下のような効果を得ることができる。
【0096】
本実施形態では、上記のように、水中電動ポンプ本体101のヘッドカバー6に着脱可能に取り付けられる筐体部8と、液位センサ7に配線により接続された状態で筐体部8の内側に配置され、液位センサ7の検知信号に基づいて水中電動ポンプ本体101の駆動を制御する制御部品9とを設ける。これにより、制御部品9が内側に配置される筐体部8を、水中電動ポンプ本体101のヘッドカバー6を取り外すことなく水中電動ポンプ本体101から着脱することができるので、非自動型の水中電動ポンプに、筐体部8を取り付けて、液位センサ7の検知信号に基づいて駆動される自動型または自動交互型の駆動方式の水中電動ポンプ100または200として構成することができる。そして、駆動制御モジュール102(103)の着脱および交換により、自動型から非自動型などの他の駆動方式の水中電動ポンプ100または200などに変更することができる。すなわち、1つの水中電動ポンプ本体101に対して、筐体部8の着脱により駆動方式を変更することができるので、別個に水中電動ポンプを用意することなく異なる駆動方式で水中電動ポンプを駆動させることができる。また、筐体部8を、互いに分割可能に組み合わされる第1筐体部81と第2筐体部82とを含み、第1筐体部81がヘッドカバー6に取り付けられるように構成する。このように、水中電動ポンプ本体101に対して筐体部8を着脱可能に構成することによって、水中電動ポンプ本体101を分解することなく、制御部品9を容易に交換することができる。以上により、非自動運転型の水中電動ポンプであっても、本発明の駆動制御モジュール102(103)を取り付ける事で、液位センサ7(207)の検知結果により自動運転させることが可能になるとともに、制御部品9を容易に交換することができる。
【0097】
また、本実施形態では、上記のように、第1筐体部81と第2筐体部82との分割面8aは、水中電動ポンプ本体101の回転軸2の軸方向と同様に、水中電動ポンプ本体101の長手方向に延びている。これにより、分割面8aが水中電動ポンプ本体101の長手方向に延びているので、第1筐体と第2筐体とを分割した際に、制御部品9を水中電動ポンプ本体101の長手方向に対して側方に露出させることができる。その結果、水中電動ポンプ本体101の側方から制御部品9の交換作業を容易に行うことができる。
【0098】
また、本実施形態では、上記のように、筐体部8は、軸方向において、水中電動ポンプ本体101のヘッドカバー6とモータ1との両方に跨るように配置されている。これにより、筐体部8がヘッドカバー6とモータ1との両方に跨るような比較的高い位置に配置されるので、筐体部8が低い位置に配置される場合と比較して、電源ケーブルや液位センサ7(207)のケーブルとの配線および水中電動ポンプ本体101への取り付け作業をより容易に行うことができる。
【0099】
また、本実施形態では、上記のように、第1筐体部81は、水中電動ポンプ本体101の回転軸2の軸方向に延びるとともに、制御部品9が取り付けられる第1部分81aと、軸方向に略直交する方向に延びるとともに、一端側が水中電動ポンプ本体101側から第1部分81aに接続され、他端側がヘッドカバー6に取り付けられる第2部分81bとを有する。これにより、第1部分81aと第2部分81bとにより、第1筐体部81を、水中電動ポンプ本体101の形状に沿って配置することができるので、第1筐体部81が水中電動ポンプ本体101から突出するのを抑制することができる。
【0100】
また、本実施形態では、上記のように、第1筐体部81の第1部分81aは、第1筐体部81と第2筐体部82との分割面8aと略平行に配置され、水中電動ポンプ本体101の外側面に対向する外表面810と、分割面8aと略平行に配置され、外表面810に対して水中電動ポンプ本体101側とは逆側で、制御部品9が取り付けられる側の内表面811とを有するとともに、箱形状に形成され、第2筐体部82は、制御部品9を覆うように第1部分81aに取り付けられる箱形状に形成され、第1筐体部81と第2筐体部82との分割面8aでの組付方向において、第1筐体部81の第1部分81aの長さL1は、第2筐体部82の長さL2よりも小さい。これにより、組付方向において、第1筐体部81の第1部分81aの長さが第2筐体部82の長さよりも大きい場合と比較して、第1筐体部81から第2筐体部82を取り外した場合に、第1筐体部81に取り付けられた制御部品9のより広い範囲を露出させることができる。その結果、制御部品9の交換作業をより容易に行うことができる。
【0101】
また、本実施形態では、上記のように、筐体部8の上部には、一端が電源に接続される配線の他端を筐体部8の内側に導入する第1配線導入口812と、一端が液位センサ7に接続される配線の他端を筐体部8の内側に導入する第2配線導入口82aとが設けられている。これにより、筐体部8の上部から電源ケーブルおよび液位センサ7(207)のケーブルを駆動制御モジュール102(103)内へ導入し、容易に制御部品9との配線の導入作業を行うことができる。
【0102】
また、本実施形態では、上記のように、制御部品9は、筐体部8の下部に配置されるトランス91と、筐体部8の下部に配置され、第1配線導入口812から筐体部8の内側に導入された配線が上方から接続される電磁接触器92とを少なくとも含む。これにより、トランス91および電磁接触器92が筐体部8の下部に配置されるので、筐体部8の上部に、トランス91および電磁接触器92に接続される配線の配置スペースを確保することができる。
【0103】
また、本実施形態では、上記のように、液位センサ7が取り付けられる上下方向に延びる棒状の取付部材7aをさらに備え、第1筐体部81および第2筐体部82は、それぞれ、取付部材7aを挟持するための第1挟持部816および第2挟持部82cを有し、第1挟持部816および第2挟持部82cは、第1筐体部81および第2筐体部82が互いに組み合わさることにより、取付部材7aを挟持するように構成されている。これにより、簡易な構成で、第1筐体部81および第2筐体部82に対して取付部材7aを取り付けることができる。また、取付部材7aを第1筐体部81および第2筐体部82に取り付けるために、第1筐体部81および第2筐体部82とは別体の構成を、第1筐体部81および第2筐体部82に設置する場合と比較して、装置構成を簡素化することができる。
【0104】
(変形例)
なお、今回開示された実施形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更(変形例)が含まれる。
【0105】
たとえば、上記一実施形態では、液位センサとして、フロートスイッチを用いた例を示したが、本発明はこれに限らない。本発明では、液位センサとして、電極式のセンサなどのフロートスイッチ以外の液位センサを用いてもよい。
【0106】
また、上記一実施形態では、3相交流の電源からの電力により駆動するように三相モータを用いて水中電動ポンプを構成した例を示したが、本発明はこれに限らない。本発明では、単相の電源からの電力により駆動するように単相モータを用いて水中電動ポンプを構成してもよい。なお、単相モータを用いる場合はコンデンサを設ける必要がある。
【0107】
また、上記一実施形態では、第1筐体部にトランスや電磁接触器などの制御部品を取り付けるように構成した例を示したが、本発明はこれに限らない。本発明では、第2筐体部にトランスや電磁接触器などの制御部品を取り付けるように構成してもよい。
【0108】
また、上記一実施形態では、組付方向において、第1筐体部の第1部分の長さを、第2筐体部の長さよりも小さくした例を示したが、本発明はこれに限らない。本発明では、組付方向において、第1筐体部の第1部分の長さを、第2筐体部の長さよりも大きくしてもよい。また、組付方向において、第1筐体部の第1部分の長さを、第2筐体部の長さと等しくしてもよい。
【0109】
また、上記一実施形態では、第1筐体部と第2筐体部との分割面を、水中電動ポンプ本体の長手方向に延びるように構成した例を示したが、本発明はこれに限らない。本発明では、分割面を、水中電動ポンプ本体の短手方向(回転軸に直交する方向)に延びるように構成してもよい。
【0110】
また、上記一実施形態では、筐体部が、軸方向において、水中電動ポンプ本体のヘッドカバーとモータとの両方に跨るように配置した例を示したが、本発明はこれに限らない。本発明では、筐体部が、軸方向において、水中電動ポンプ本体のヘッドカバーとモータとの両方に跨るように配置しなくてもよい。
【0111】
また、上記一実施形態では、第1筐体部の第1部分を箱形状に形成した例を示したが、本発明はこれに限らない。本発明では、第1筐体部の第1部分を平板液状などの箱形状以外の形状に形成してもよい。
【0112】
また、上記一実施形態では、第2筐体部を箱形状に形成した例を示したが、本発明はこれに限らない。本発明では、第2筐体部を平板液状などの箱形状以外の形状に形成してもよい。
【0113】
また、上記一実施形態では、取付部材を保持するための構成(第1挟持部、第2挟持部)を、第1筐体部と第2筐体部との両方に設けた例を示したが、本発明はこれに限らない。本発明では、取付部材を保持するための構成を第1筐体部および第2筐体部の一方にのみ設けてもよい。
【符号の説明】
【0114】
1 モータ
2 回転軸
6 ヘッドカバー
7 液位センサ
7a 取付部材
8 筐体部
8a 分割面
9 制御部品
81 第1筐体部
81a 第1部分
81b 第2部分
82 第2筐体部
82a 第2配線導入口
82c 第2挟持部
91 トランス
92 電磁接触器
100、200 水中電動ポンプ
101 水中電動ポンプ本体
102、103 駆動制御モジュール
810 外表面
811 内表面
812 第1配線導入口
816 第1挟持部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9