(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-14
(45)【発行日】2022-03-23
(54)【発明の名称】ミキサ、ミキサの制御方法およびプログラム
(51)【国際特許分類】
H04R 3/00 20060101AFI20220315BHJP
【FI】
H04R3/00
(21)【出願番号】P 2017240152
(22)【出願日】2017-12-15
【審査請求日】2020-10-23
(73)【特許権者】
【識別番号】000004075
【氏名又は名称】ヤマハ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000970
【氏名又は名称】特許業務法人 楓国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】斉藤 康祐
【審査官】西村 純
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-072295(JP,A)
【文献】特開2011-071803(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04R 3/00- 3/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のチャンネルおよびバスの対応関係を示す
チャンネルオーバービュー画面を表示する表示処理部と、
利用者の操作を受け付ける受付部と、
制御部と、を備え、
前記制御部は、
前記チャンネルオーバービュー画面が表示されている間に前記受付部を介して特定の操作を受け付け
た場合、前記チャンネルオーバービュー画面以外の画面を表示せずに、前記複数のチャンネルのうちあるチャンネルをミックスマイナスオーナーチャンネルに指定する操作を受け付け、前記あるチャンネルに対応するバスをミックスマイナスバスに指定する操作を受け付け、
前記ミックスマイナスオーナーチャンネルとして指定されたチャンネルを
前記ミックスマイナスバスに対応付け
、
前記ミックスマイナスオーナーチャンネルの信号以外の信号を前記
ミックスマイナスバスから出力させる設定を行なう
、
ミキサ。
【請求項2】
前記制御部は、前記
ミックスマイナスバスに対応付けられるチャンネルが無い場合と、前記
ミックスマイナスバスに対応付けられるチャンネルが有る場合と、で処理を変更する、
請求項1に記載のミキサ。
【請求項3】
前記制御部は、前記
ミックスマイナスオーナーチャンネルの指定を受け付けるとき
に警告表示を行なう、
請求項1または請求項2に記載のミキサ。
【請求項4】
前記制御部は、前記
ミックスマイナスバスに複数のチャンネルを対応付ける、
請求項1乃至請求項3のいずれかに記載のミキサ。
【請求項5】
前記受付部は、チャンネルの除外を受け付け、
前記制御部は、前記チャンネルの除外を受け付けるときに前記
ミックスマイナスバスに対応付けられるチャンネルが無くなる場合
に警告表示を行なう、
請求項1乃至請求項4のいずれかに記載のミキサ。
【請求項6】
前記
ミックスマイナスバスは、他のバスと関連付けされていて、
前記制御部は、前記
ミックスマイナスオーナーチャンネルの指定を受け付けた場合に、該指定されたチャンネルを、対応付ける
ミックスマイナスバスに関連付けされている前記他のバスとも対応付ける、
請求項1乃至請求項5のいずれかに記載のミキサ。
【請求項7】
複数のチャンネルおよびバスの対応関係を示す
チャンネルオーバービュー画面を表示し、
前記チャンネルオーバービュー画面が表示されている間に利用者から特定の操作を受け付け
た場合、前記チャンネルオーバービュー画面以外の画面を表示せずに、前記複数のチャンネルのうちあるチャンネルをミックスマイナスオーナーチャンネルに指定する操作を受け付け、前記あるチャンネルに対応するバスをミックスマイナスバスに指定する操作を受け付け、
前記ミックスマイナスオーナーチャンネルとして指定されたチャンネルを
前記ミックスマイナスバスに対応付け
、
前記ミックスマイナスオーナーチャンネルの信号以外の信号を前記
ミックスマイナスバスから出力させる設定を行なう、
ミキサの制御方法。
【請求項8】
前記ミックスマイナスバスに対応付けられるチャンネルが無い場合と、前記ミックスマイナスバスに対応付けられるチャンネルが有る場合と、で処理を変更する、
請求項7に記載のミキサの制御方法。
【請求項9】
前記ミックスマイナスオーナーチャンネルの指定を受け付けるときに警告表示を行なう、
請求項7または請求項8に記載のミキサの制御方法。
【請求項10】
前記ミックスマイナスバスに複数のチャンネルを対応付ける、
請求項7乃至請求項9のいずれかに記載のミキサの制御方法。
【請求項11】
チャンネルの除外を受け付け、
前記チャンネルの除外を受け付けるときに前記ミックスマイナスバスに対応付けられるチャンネルが無くなる場合に警告表示を行なう、
請求項7乃至請求項10のいずれかに記載のミキサの制御方法。
【請求項12】
前記ミックスマイナスバスは、他のバスと関連付けされていて、
前記ミックスマイナスオーナーチャンネルの指定を受け付けた場合に、該指定されたチャンネルを、対応付けるミックスマイナスバスに関連付けされている前記他のバスとも対応付ける、
請求項7乃至請求項11のいずれかに記載のミキサの制御方法。
【請求項13】
複数のチャンネルおよびバスの対応関係を示す
チャンネルオーバービュー画面を表示する表示処理と、
利用者の操作を受け付ける受付処理と、
前記チャンネルオーバービュー画面が表示されている間に前記受付処理で利用者から特定の操作を受け付け
た場合、前記チャンネルオーバービュー画面以外の画面を表示せずに、前記複数のチャンネルのうちあるチャンネルをミックスマイナスオーナーチャンネルに指定する操作を受け付け、前記あるチャンネルに対応するバスをミックスマイナスバスに指定する操作を受け付け、
前記ミックスマイナスオーナーチャンネルとして指定されたチャンネルを
前記ミックスマイナスバスに対応付け
、
前記ミックスマイナスオーナーチャンネルの信号以外の信号を前記
ミックスマイナスバスから出力させる設定を行なう処理と、
をミキサに実行させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、ミキサ、該ミキサの制御方法、およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば特許文献1には、複数の入力チャンネルのうち任意の入力チャンネルの信号が、ミキシングバスに供給されないようにする設定を行う、「ミックスマイナス」という機能が開示されている。ミックスマイナス機能は、例えば、中継先のアナウンサーがミキシングバスの音声(例えば放送用の音声)をモニタしながら発話する場合に、自分の声が遅れて聞こえることを防止するために用いられる。
【0003】
ミックスマイナス機能の設定は、例えば以下の様にして行なわれる。まず、ユーザは、バスセットアップ画面を起動させる。ユーザは、セットアップ画面において任意のバスをミックスマイナスバスに指定する。さらに、ユーザは、マイナス対象のチャンネルを指定するための画面を起動させる。その後、ユーザは、マイナス対象のチャンネルを指定する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、上述の様な設定は、ユーザが予めバスセットアップ画面を起動させて、対象のバスを指定し、その後さらにマイナス対象のチャンネルを指定するための画面を起動させて、チャンネルの指定を行なう必要があり、煩わしい。
【0006】
そこで、この発明は、従来よりも簡易に、素早くミックスマイナス機能を設定することができるミキサ、ミキサの制御方法、およびプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
ミキサは、表示部と、受付部と、制御部と、を備えている。表示部は、複数のチャンネルおよびバスを表示する。受付部は、利用者の操作を受け付ける。制御部は、前記受付部を介して特定の操作を受け付け、かつチャンネルの指定を受け付けた場合に、指定されたチャンネルを特定のバスに対応付け、かつ対応付けたチャンネルの信号以外の信号を前記特定のバスから出力させる設定を行なう。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、従来よりも簡易に、素早くミックスマイナス機能を設定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図2】信号処理部14、オーディオI/O13、およびCPU18で行われる信号処理の等価ブロック図である。
【
図3】ミキサ1の操作パネルの主要構成を示す図である。
【
図4】チャンネルオーバービュー画面の一例を示す図である。
【
図6】
図6(A)および
図6(B)は、MIX MINUSタイプのバスが設定された場合のチャンネルオーバービュー画面を示す図である。
【
図7】CPU18の動作を示すフローチャートである。
【
図8】
図8(A)および図(B)は、オーナー選択画面の一例を示す図である。
【
図9】
図9(A)および
図9(B)は、オーナーチャンネルが指定された後のチャンネルオーバービュー画面を示す図である。
【
図10】チャンネルオーバービュー画面の一例を示す図である。
【
図11】複数チャンネルがオーナーチャンネルに指定された場合のチャンネルオーバービュー画面を示す図である。
【
図12】複数バスがMIX MINUSバスに設定された場合のチャンネルオーバービュー画面を示す図である。
【
図13】オーナーチャンネル解除時のCPU18の動作を示すフローチャートである。
【
図14】指定されたオーナーチャンネルが1つである場合の警告表示の一例である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
図1は、ミキサ1の構成を示すブロック図である。ミキサ1は、表示器11、操作部12、オーディオI/O(Input/Output)13、信号処理部14、PCI/O15、MIDI_I/O16、その他(Other)I/O17、CPU18、フラッシュメモリ19、およびRAM20を備えている。
【0011】
表示器11、操作部12、オーディオI/O13、信号処理部14、PCI/O15、MIDI_I/O16、その他(Other)I/O17、CPU18、フラッシュメモリ19、およびRAM20は、互いにバス25を介して接続されている。また、オーディオI/O13および信号処理部14は、デジタルオーディオ信号を伝送するための波形バス27にも接続されている。
【0012】
オーディオI/O13は、音信号を入力するためのインタフェースである。オーディオI/O13には、音信号を入力するためのアナログ入力ポートまたはデジタル入力ポート等が設けられている。また、オーディオI/O13は、信号処理部14で処理された後の音信号を出力するためのインタフェースである。オーディオI/O13には、音信号を出力するためのアナログ出力ポートまたはデジタル出力ポート等が設けられている。
【0013】
PCI/O15、MIDI_I/O16、およびその他I/O17は、それぞれ、種々の外部機器を接続し、入出力を行うためのインタフェースである。PCI/O15には、例えば外部のPCが接続される。MIDI_I/O16には、例えばフィジカルコントローラまたは電子楽器のようなMIDI対応機器が接続される。その他I/O17には、例えばディスプレイが接続される。あるいは、その他I/O17には、マウスまたはキーボード等のUI(User Interface)デバイスが接続される。外部機器との通信に用いる規格は、イーサネット(登録商標)、またはUSB(Universal Serial Bus)等、任意のものを採用することができる。接続態様は、有線でも無線でも構わない。
【0014】
CPU18は、ミキサ1の動作を制御する制御部である。CPU18は、記憶媒体の1つであるフラッシュメモリ19に記憶された所定のプログラムをRAM20に読み出すことにより各種の動作を行なう。なお、プログラムは、フラッシュメモリ19に記憶されていることは必須ではない。例えば、CPU18は、ネットワークを介してサーバからプログラムをダウンロードし、実行してもよい。
【0015】
表示器11は、CPU18の制御に従って種々の情報を表示する。表示器11は、例えばLCDまたは発光ダイオード(LED)等によって構成される。
【0016】
操作部12は、ユーザからミキサ1に対する操作を受け付ける受付部に対応する。操作部12は、種々のキー、ボタン、ロータリーエンコーダ、またはスライダ等によって構成される。また、操作部12は、表示器11であるLCDに積層したタッチパネルによって構成される場合もある。
【0017】
信号処理部14は、ミキシング処理またはエフェクト処理等の各種信号処理を行なうための複数のDSPから構成される。信号処理部14は、オーディオI/O13から波形バス27を介して供給される音信号に、ミキシング処理またはイコライジング等のエフェクト処理を施す。信号処理部14は、信号処理後のデジタルオーディオ信号を、波形バス27を介して再びオーディオI/O13に出力する。
【0018】
図2は、信号処理部14、オーディオI/O13、およびCPU18で行われる信号処理の機能ブロック図である。
図2に示すように、信号処理は、機能的に、入力パッチ301、入力チャンネル302、バス303、出力チャンネル304、および出力パッチ305によって行なわれる。
【0019】
入力パッチ301は、オーディオI/O13における複数の入力ポート(例えばアナログ入力ポートまたはデジタル入力ポート)からオーディオ信号を入力して、複数のポートのうちいずれか1つのポートを、複数チャンネル(例えば32ch)の少なくとも1つのチャンネルに割り当てる。これにより、オーディオ信号が入力チャンネル302の各チャンネルに供給される。
【0020】
入力チャンネル302の各チャンネルは、イコライザまたはコンプレッサ等の各種の信号処理を施す。また、入力チャンネル302の各チャンネルは、信号処理後のオーディオ信号をレベル調整した後に、後段のバス303に送出する。
【0021】
バス303は、入力チャンネル302の各チャンネルから音信号を入力する。バスには、マスタ出力となるバス(例えばステレオバス)、またはモニタ用のMIXバス等がある。ユーザは、操作部12を操作して、入力チャンネル302の各チャンネルと、各バストの対応付けを設定する。
【0022】
出力チャンネル304は、バス303に対応した数のチャンネル数(例えば8チャンネル)を有する。出力チャンネル304における各チャンネルでは、入力チャンネルと同様に、入力されるオーディオ信号に対して、各種信号処理を施す。出力チャンネル304の各チャンネルは、信号処理後のオーディオ信号を出力パッチ305へ送出する。出力パッチ305は、各チャンネルを、アナログ出力ポートまたはデジタル出力ポートにおける複数のポートのうちいずれか1つのポートに割り当てる。これにより、信号処理を施された後のオーディオ信号が、オーディオI/O13に供給される。
【0023】
図3は、ミキサ1の操作パネルの主要構成を示す図である。ミキサ1の操作パネル上には、
図3に示すように、表示器11およびチャンネルストリップ63が設けられている。チャンネルストリップは、操作部12の一例である。なお、表示器11は、タッチパネルを内蔵し、操作部12の一部を構成する。すなわち、表示器11は、ユーザの操作を受け付けるためのGUI(グラフィカルユーザインタフェース)画面を表示する。
【0024】
チャンネルストリップ63は、1つのチャンネルに対する操作を受け付ける複数の操作子を縦に並べて配置した領域である。
図3では、操作子として、チャンネル毎に1つフェーダと1つのノブだけが表示されているが、実際には多数のノブまたはスイッチ等が設けられている。チャンネルストリップ63のうち、左側に配置された複数(例えば16)のフェーダおよびノブは、入力チャンネルに相当する。チャンネルストリップ63のうち、右側に配置された2つのフェーダおよびノブは、マスタ出力(2チャンネルのバス)に対応する操作子である。本実施形態のミキサ1は、表示器11に複数チャンネルの各チャンネルとバスとの対応関係を示す画面を表示し、ユーザの操作を受け付ける。特に、本実施形態のミキサ1は、複数チャンネルの各チャンネルとバスとの対応付けに係る設定を受け付ける。
【0025】
図4は、チャンネルオーバービュー画面の一例を示す図であり、
図5は、バスの設定画面の一例を示す図である。
図4に示す様に、チャンネルオーバービュー画面は、チャンネル毎にMIXバスへのSENDレベルを表示する。なお、チャンネルオーバービュー画面は、実際には各チャンネルの信号処理の内容等の様々な設定を表示するものであるが、この例では、説明のためにMIXバスへのSENDレベルだけを示す。また、この例では、説明のために1~5の5つのチャンネルだけを表示器11に表示する例を示しているが、チャンネルオーバービュー画面は、実際にはチャンネルストリップ63の各チャンネルに対応して表示器11に表示される。
【0026】
チャンネルオーバービュー画面において、ユーザがバスセットアップボタン101をタッチすると、CPU18は、
図5に示すバスの設定画面を表示器11に表示する。
【0027】
バスの設定画面では、複数(この例では8つ)のMIXバスのそれぞれについて、バスの設定を受け付ける。例えば、各MIXバスは、モノラルバスまたはステレオバスのいずれかに設定することができる。ステレオバスに設定された場合には、2つのMIXバス(例えばMIX7とMIX8)は、関連付けられる。また、各MIXバスは、VARI(Variable)、FIXED、またはMIX MINUSのいずれかのタイプに設定することができる。VARIタイプは、SENDレベルが可変のバスである。FIXEDは、SENDレベルが固定のバスである。MIX MINUSは、ユーザから指定されたチャンネル以外のチャンネルの信号を送出するバスである。MIX MINUSタイプのバスは、例えば、中継先のアナウンサーがMIXバスの音声(例えば放送用の音声)をモニタしながら発話する場合に、自分の声が遅れて聞こえることを防止するために用いられる。ユーザは、チャンネル1が中継先のアナウンサーのマイクに対応する場合に、当該チャンネル1をMIX MINUSタイプのバスに対応付ける指示を行なう。この場合、チャンネル1が、MIX MINUSバスのオーナーチャンネルに設定される。MIX MINUSタイプのバスは、オーナーチャンネル以外のチャンネルの音声をミキシングして出力する。
【0028】
この例では、MIX1およびMIX2がMIX MINUSタイプのバスに設定されている。また、MIX3およびMIX4はFIXEDタイプのバスに設定されている。MIX5、MIX6、MIX7、およびMIX8は、VARIタイプのバスに設定されている。
【0029】
図6(A)は、MIX MINUSタイプのバスが設定された場合のチャンネルオーバービュー画面を示す図であり、
図7は、CPU18の動作を示すフローチャートである。CPU18は、チャンネルオーバービュー画面を表示する場合に、
図7に示す動作を行なう。
【0030】
まず、CPU18は、各バスのバスタイプを判断する(S11)。そして、CPU18は、バスタイプに応じて表示態様を変更する(S12)。
【0031】
例えば、
図5に示した例では、MIX1およびMIX2は、MIX MINUSタイプのバスに設定されている。また、MIX3およびMIX4は、FIXEDタイプのバスに設定されている。MIX5、MIX6、MIX7、およびMIX8は、VARIタイプのバスに設定されている。MIX MINUSタイプのバスも、FIXEDタイプのバスも、SENDレベルは固定される。一方で、VARIタイプのバスは、SENDレベルが可変のバスである。したがって、CPU18は、
図6(A)に示す様に、MIX MINUSタイプのバスおよびFIXEDタイプのバスは、長方形状のスイッチ画像として表示する。一方で、CPU18は、VARIタイプのバスをノブ画像として表示する。VARIタイプのバスは、ノブ画像として表示されるため、ユーザは、現在のSENDレベルを容易に判断することができる。一方で、MIX MINUSタイプのバスおよびFIXEDタイプのバスは、長方形状のスイッチ画像として表示されるため、ユーザは、これらのバスのSENDレベルが固定されるタイプであることを容易に判断することができる。また、ユーザは、スイッチ画像をタッチすることで、当該バスに対して指定したチャンネルを出力させるか否かを指定することもできる。
【0032】
さらに、CPU18は、
図6(A)に示す様に、MIX1およびMIX2の背景色をグレーアウトして表示させる。これにより、ユーザは、SENDレベルが固定されるバスである、MIX MINUSタイプのバスおよびFIXEDタイプのバスの違いを容易に判断することができる。
【0033】
以上の様にして、ユーザは、チャンネルオーバービュー画面において、各MIXバスのバスタイプを容易に判断することができる。
【0034】
さらに、CPU18は、MIX MINUSタイプのバスが設定されていて、オーナーチャンネルの設定が有るか否かを判断する(S13)。CPU18は、MIX MINUSタイプのバスが設定されていて、オーナーチャンネルの設定が無いと判断した場合(S13がNoである場合)、各チャンネルのMIX MINUSバスのスイッチ画像を暗く表示する(S14)。これにより、CPU18は、ユーザに対して、スイッチ画像への操作を受け付けないように見せる。なお、スイッチ画像は、グレーアウトする等、その他の態様で目立たない表示としてもよい。
【0035】
その後、CPU18は、特定の操作として、例えばSHIFTキーの操作がなされたか否かを判断する(S15)。CPU18は、SHIFTキーが操作されていないと判断した場合(S15がYesである場合)、さらに、スイッチ画像がタッチされて、選択されたか否かを判断する(S16)。CPU18は、スイッチ画像がタッチされるまでS15から判断を繰り返す。CPU18は、タッチ操作がなされた場合、警告表示を行なう(S17)。CPU18は、例えば、
図6(A)に示す様に、「Press and hold SHIFT key to specify owner channel.」と表示することで、現在、オーナーチャンネルが指定されていない状態であり、ユーザに対してオーナーチャンネルの指定を促す表示を行なう。
【0036】
上述の様に、MIX MINUSバスは、指定されたオーナーチャンネル以外のチャンネルをミキシングして出力するものである。MIX MINUSバスは、オーナーチャンネルが指定されていない場合には、どのチャンネルを出力すべきであるか決まっていない状態である。したがって、CPU18は、MIX MINUSバスが設定されていても、オーナーチャンネルが指定されていない場合には、当該MIX MINUSバスから信号を出力しないように設定する。この場合、CPU18は、各チャンネルのMIX MINUSバスのスイッチ画像に対するタッチ操作を受け付けても、信号を出力しない。したがって、CPU18は、
図6(B)に示す様に、各チャンネルのMIX MINUSバスのスイッチ画像を表示しないようにしてもよい。あるいは、CPU18は、各チャンネルのMIX MINUSバスのスイッチ画像をグレーアウトする等して目立たない表示にしてもよい。
【0037】
CPU18は、SHIFTキーが操作されたと判断した場合(S15がYesである場合)、オーナー選択画面を表示する(S18)。
図8(A)は、オーナー選択画面の一例を示す図である。CPU18は、オーナー選択画面では、MIX MINUSバスに設定されたバスの表示をチャンネル番号ではなく、例えば「N-1」としてマイナス対象であるオーナーの選択を受け付ける状態である旨を表示する。
【0038】
ここで、CPU18は、ユーザからオーナー選択が有ったか否かを判断する(S19)。ユーザがオーナーチャンネルの指定を行なうと(S19がYesの場合)、CPU18は、指定されたチャンネルとMIX MINUSバスとを対応付ける(S20)。また、CPU18は、オーナーチャンネルに指定されたチャンネルの表示を変更する(S20)。CPU18は、例えば、
図8(B)に示す様に、チャンネル1がMIX MINUSバスであるMIX1のオーナーチャンネルに指定された場合に、当該チャンネル1のうちMIX1のスイッチ画像の色を変更する。なお、オーナーチャンネルとMIX MINUSバスとの対応付けを示す情報は、フラッシュメモリ19またはRAM20に記憶される。なお、上述のプログラムと同様に、オーナーチャンネルとMIX MINUSバスとの対応付けを示す情報も、フラッシュメモリ19またはRAM20に記憶される必要はない。例えば、CPU18は、ネットワークを介してサーバに該情報を送信し、サーバに記憶させてもよい。
【0039】
なお、S13の判断において、CPU18は、MIX MINUSタイプのバスが設定されていて、オーナーチャンネルの設定があると判断した場合に(S13がYesである場合)、MIX MINUSボタンを表示する(S21)。そして、CPU18は、SHIFTキーが押下されたか否かを判断し(S22)、SHIFTキーが押下されてない場合には(S22がNoの場合には)、オーナーチャンネルに指定されたチャンネルの表示を変更する(S20)。CPU18は、SHIFTキーが操作されたと判断した場合(S22がYesである場合)、オーナー選択画面を表示する(S18)。
【0040】
CPU18は、S20の処理の後、設定終了を受け付けたか否かを判断する(S23)。CPU18は、例えばSHIFTキーの押下が解除された場合に、設定終了を受け付ける。CPU18は、SHIFTキーが引き続き押下されていると判断した場合(S23がNoである場合)、S17の判断から処理を繰り返す。CPU18は、SHIFTキーの押下が解除された場合(S23がYesである場合)、チャンネルオーバービュー画面に戻る(S24)。本実施形態の構成では、チャンネルオーバービュー画面上でSHIFTキーを押した場合に、該チャンネルオーバービュー画面上においてMIX MINUSバスのオーナーチャンネルの設定を行なうことができる。つまり、本実施形態の構成では、チャンネルとバスとの関係が分かりやすいチャンネルオーバービュー画面上において、MIX MINUSバスの設定を行なうことができる。
【0041】
この様にして、
図9(A)に示す様に、チャンネルオーバービュー画面において、オーナーチャンネルに指定されたチャンネル1のMIX1のスイッチ画像の色が変化して表示される。なお、MIX MINUSバスがステレオバスに指定されている場合には、
図9(B)に示す様に、MIX1またはMIX2のいずれか一方が指定された場合に、他方のバスも連動して指定されたオーナーチャンネルに対応付けされる。
【0042】
なお、ユーザが、チャンネルオーバービュー画面において、SHIFTキーを押下せずに各チャンネルのMIX MINUSバスを指定した場合には、指定されたチャンネルがMIX MINUSバスから除外され、当該チャンネルの信号が出力されない状態となる。例えば、
図10に示す様に、ユーザがチャンネル3のMIX1バスのスイッチ画像をタッチして除外に指定すると、CPU18は、MIX1バスにはチャンネル3の信号を出力しない状態にする。ただし、この場合、オーナーチャンネルとは異なり、ユーザが再びチャンネル3のMIX1バスのスイッチ画像をタッチすると、CPU18は、MIX1バスにはチャンネル3の信号を出力する状態に戻す。また、CPU18は、MIX1バスに信号を出力する状態であっても、当該MIX1バスから外部に信号を出力しない状態(ミュート状態)の設定をユーザから受け付けてもよい。この場合も、当該チャンネルの信号が出力されない状態となる。
【0043】
なお、CPU18は、MIX MINUSタイプのバスが設定されていて、オーナーチャンネルの設定が無いと判断した場合に(S13がNoである場合)、すぐに警告表示を行なってもよい。
【0044】
なお、MIX MINUSのオーナーチャンネルは、1つに限るものではない。CPU18は、例えば、
図11に示す様に、さらにチャンネル2がMIX1のオーナーチャンネルに指定された場合には、チャンネル1およびチャンネル2がMIX1と対応付け、チャンネル1のMIX1のスイッチ画像およびチャンネル2のMIX2のスイッチ画像の色を変更する。この状態では、MIX1には、チャンネル1およびチャンネル2以外のチャンネルの信号が出力される。
【0045】
また、MIX MINUSに設定されるバスの数も1つに限るものではない。例えば、CPU18は、
図12に示す様に、さらにMIX3およびMIX4バスをMIX MINUSバスに設定することも可能である。
図12の例では、チャンネル3がMIX3のオーナーチャンネルに指定されているため、CPU18は、チャンネル3とMIX3と対応付け、チャンネル3のMIX3のスイッチ画像の色を変更する。この状態では、MIX3には、チャンネル3以外のチャンネルの信号が出力される。
【0046】
次に、
図13は、オーナーチャンネル解除時のCPU18の動作を示すフローチャートである。CPU18は、オーナー選択画面において、既にオーナーチャンネルに指定されたチャンネルにおいてMIX MINUSのスイッチ画像がタッチされ、オーナーチャンネルからの除外指定がなされた場合、
図13に示す動作を行なう。
【0047】
まず、CPU18は、現在のオーナーチャンネルの数が1つであるか否かを判断する(S31)。上述の様に、MIX MINUSバスは、オーナーチャンネルが指定されていない場合には、信号を出力しない状態となる。つまり、現在のオーナーチャンネルが1つである状態で当該オーナーチャンネルが除外されると、信号が出力されない状態に変化する。したがって、CPU18は、指定されたオーナーチャンネルが1つである場合に(S31がYesである場合に)、警告表示を行なう(S32)。例えば、CPU18は、
図14に示す様に、「MIX MINUS bus is going to be destructed.」と表示し、ユーザに確認を促す。ここで、ユーザがOKアイコン画像を選択した場合(S33がYesの場合)、CPU18は、除外指定されたチャンネルをオーナーチャンネルから除外する(S34)。また、S31の判断において指定されたオーナーチャンネルが2つ以上である場合も(S31がNoである場合も)、CPU18は、除外指定されたチャンネルをオーナーチャンネルから除外する(S34)。なお、CPU18は、ユーザがCANCEL画像を選択した場合には、除外指定されたチャンネルをオーナーチャンネルから除外せずに、オーナーチャンネルの指定された状態を維持する。
【0048】
その後、CPU18は、SHIFTキーの押下が解除されて設定終了と判断した場合に、(S35がYesである場合に)、チャンネルオーバービュー画面に戻る(S36)。
【0049】
以上の様に、CPU18は、特定の操作(例えばSHIFTキーの押下)を受け付け、かつオーナーチャンネルの指定を受け付けた場合に、指定されたオーナーチャンネルを特定のバスに対応付け、かつ対応付けたオーナーチャンネル以外のチャンネルの信号を特定のバスに出力させる設定を行なう。これにより、ミキサ1は、従来よりも簡易に、素早くミックスマイナス機能を設定することができる。なお、特定の操作は、SHIFTキーを押下する操作以外でもよい。例えば、ユーザが定義した特定のキーを押下する操作でもよい。
【符号の説明】
【0050】
1…ミキサ
11…表示器
12…操作部
14…信号処理部
15…PCI/O
16…MIDI_I/O
17…その他(Other)I/O
18…CPU
19…フラッシュメモリ
20…RAM
25…バス
27…波形バス
63…チャンネルストリップ
101…バスセットアップボタン
301…入力パッチ
302…入力チャンネル
303…バス
304…出力チャンネル
305…出力パッチ