(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-14
(45)【発行日】2022-03-23
(54)【発明の名称】電力制御装置、電力制御装置の制御方法
(51)【国際特許分類】
H02J 3/16 20060101AFI20220315BHJP
H02J 3/32 20060101ALI20220315BHJP
H02J 3/38 20060101ALI20220315BHJP
H02J 3/46 20060101ALI20220315BHJP
H02J 13/00 20060101ALI20220315BHJP
H02M 7/48 20070101ALI20220315BHJP
【FI】
H02J3/16
H02J3/32
H02J3/38 110
H02J3/38 130
H02J3/46
H02J13/00 301A
H02M7/48 R
H02M7/48 E
(21)【出願番号】P 2018003236
(22)【出願日】2018-01-12
【審査請求日】2020-11-27
(73)【特許権者】
【識別番号】507151526
【氏名又は名称】株式会社GSユアサ
(74)【代理人】
【識別番号】110001036
【氏名又は名称】特許業務法人暁合同特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】遠藤 浩輝
(72)【発明者】
【氏名】栗坂 昌克
(72)【発明者】
【氏名】吉岡 佑介
【審査官】赤穂 嘉紀
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-121140(JP,A)
【文献】特開平06-153404(JP,A)
【文献】特開2017-192283(JP,A)
【文献】特開2017-163795(JP,A)
【文献】特開2019-047598(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J 3/00-5/00
H02J 13/00
H02M 7/42-7/98
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電力系統と連系する分散型電源用の電力制御装置であって、
分散型電源から供給される電力を直流から交流に変換して出力するインバータ回路と、
制御装置と、を含み、
前記制御装置は、
前記電力系統と前記電力制御装置とを接続する電力線に分岐接続された負荷の消費電力と前記インバータ回路の出力電力とに基づいて、前記電力系統の受電点の受電電力を算出し、
前記受電点が逆潮流である場合、前記インバータ回路の運転力率を、1より小さい設定値に制御し、
前記受電点が順潮流である場合、前記インバータ回路の運転力率を、前記設定値よりも大きな値に制御し、
前記制御装置は、
順潮流時に前記受電点の受電電力が第1閾値よりも低下した場合、前記インバータ回路の運転力率を所定値刻みで前記設定値まで連続的に減少させる、電力制御装置。
【請求項2】
請求項1に記載の電力制御装置であって、
前記受電点における受電電力が第1閾値より大きい第2閾値よりも大きい場合、前記インバータ回路の運転力率を
前記所定値刻みで前記設定値よりも大きな値まで連続的に増加させる、電力制御装置。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の電力制御装置であって、
前記分散型電源と並列に蓄電装置を有する構成において、
前記制御装置は、
順潮流時に前記蓄電装置を放電し、逆潮流時は、前記蓄電装置の放電を停止する、電力制御装置。
【請求項4】
請求項3に記載の電力制御装置であって、
前記制御装置は、
前記受電点の受電電力が前記インバータ回路の運転力率を増加させる第2閾値以上である場合に、前記蓄電装置の放電を開始し、
前記インバータ回路の運転力率が上限値であり、かつ前記受電点の受電電力が前記第2閾値未満の場合、前記蓄電装置の放電を停止する、電力制御装置。
【請求項5】
電力系統と連系する分散型電源用の電力制御装置であって、
分散型電源から供給される電力を直流から交流に変換して出力するインバータ回路と、
前記分散型電源と並列に接続された蓄電装置と、
制御装置と、を含み、
前記制御装置は、
前記電力系統と前記電力制御装置とを接続する電力線に分岐接続された負荷の消費電力と前記インバータ回路の出力電力とに基づいて、前記電力系統の受電点の受電電力を算出し、
前記受電点が逆潮流である場合、前記インバータ回路の運転力率を、1より小さい設定値に制御し、
前記受電点が順潮流である場合、前記インバータ回路の運転力率を、前記設定値よりも大きな値に制御し、
前記制御装置は、
順潮流時に前記受電点の受電電力が第1閾値よりも大きい第2閾値未満の場合、前記蓄電装置の放電を停止し、
前記受電点の受電電力が前記第1閾値よりも低下した場合、前記インバータ回路の運転力率を減少させる、電力制御装置。
【請求項6】
請求項5に記載の電力制御装置であって、
前記受電点の受電電力が前記第2閾値より大きい場合に、前記インバータ回路の運転力率を上昇させ、更に、前記蓄電装置の放電を開始する、電力制御装置。
【請求項7】
電力系統と連系する分散型電源用の電力制御装置であって、
分散型電源から供給される電力を直流から交流に変換して出力するインバータ回路と、
制御装置と、を含み、
前記制御装置は、
前記電力系統と前記電力制御装置とを接続する電力線に分岐接続された負荷の消費電力と前記インバータ回路の出力電力とに基づいて、前記電力系統の受電点の受電電力を算出し、
前記受電点が逆潮流である場合、前記インバータ回路の運転力率を、1より小さい設定値に制御し、
前記受電点が順潮流である場合、前記インバータ回路の運転力率を、前記設定値よりも大きな値に制御し、
前記分散型電源と並列に蓄電装置を有する構成において、
前記制御装置は、
順潮流時に前記蓄電装置を放電し、逆潮流時は、前記蓄電装置の放電を停止し、
前記制御装置は、
前記受電点の受電電力が前記インバータ回路の運転力率を増加させる第2閾値以上である場合に、前記蓄電装置の放電を開始し、
前記インバータ回路の運転力率が上限値であり、かつ前記受電点の受電電力が前記第2閾値未満の場合、前記蓄電装置の放電を停止する、電力制御装置。
【請求項8】
電力系統と連系する分散型電源用の電力制御装置の制御方法であって、
前記電力系統と前記電力制御装置とを接続する電力線に分岐接続された負荷の消費電力と前記電力制御装置のインバータ回路の出力電力とに基づいて、前記電力系統の受電点の受電電力を算出し、
前記受電点が逆潮流である場合、
前記分散型電源から供給される電力を直流から交流に変換して
出力するインバータ回路の運転力率を、1より小さい設定値に制御し、
前記受電点が順潮流である場合、
前記インバータ回路の運転力率を、前記設定値よりも大きな値に制御し、
順潮流時に前記受電点の受電電力が第1閾値よりも低下した場合、前記インバータ回路の運転力率を所定値刻みで前記設定値まで連続的に減少させる、電力制御装置の制御方法。
【請求項9】
電力系統と連系する分散型電源用の電力制御装置の制御方法であって、
前記電力系統と前記電力制御装置とを接続する電力線に分岐接続された負荷の消費電力と前記電力制御装置のインバータ回路の出力電力とに基づいて、前記電力系統の受電点の受電電力を算出し、
前記受電点が逆潮流である場合、
前記分散型電源から供給される電力を直流から交流に変換して
出力するインバータ回路の運転力率を、1より小さい設定値に制御し、
前記受電点が順潮流である場合、
前記インバータ回路の運転力率を、前記設定値よりも大きな値に制御し、
順潮流時に前記受電点の受電電力が第1閾値よりも大きい第2閾値未満の場合、前記分散型電源と並列に接続された蓄電装置の放電を停止し、
前記受電点の受電電力が前記第1閾値よりも低下した場合、前記インバータ回路の運転力率を減少させる、電力制御装置の制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電力系統と連系する分散型電源の電力制御装置において、インバータ回路のの運転力率を制御する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、化石燃料に対する依存の低減や環境問題の観点から、太陽光発電(PV:Photo Voltaic)システムに代表される分散型電源の導入が進められている。PVシステムは太陽光発電パネルで発電された電力を、パワーコンディショナ等の電力制御装置で、インバータ回路を用いて直流から交流に変換して出力している。また、接続された負荷の消費電力を発電量が上回る場合には、余剰電力として、系統電源側に逆潮流することで売電している。こうした電力制御装置に関する先行文献として、下記特許文献1に記載のものがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
太陽光発電等の分散型電源により発電した電力の利用効率を高めるには、インバータ回路の運転力率を1に近くすることが望ましい。しかしながら、売電時、分散型電源の出力が系統電源側に逆潮流して系統電圧が上昇する場合があることから、逆潮流となる売電時に、インバータ回路の運転力率を設定値(1よりも小さな値)に抑えることが電気事業者から要請されている。
本発明は上記のような事情に基づいて完成されたものであって、逆潮流時における系統電圧の上昇を抑えつつ、太陽光発電など分散型電源により発電した電力の利用効率を高めることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
電力系統と連系する分散型電源用の電力制御装置であって、分散型電源から供給される電力を直流から交流に変換して出力するインバータ回路と、制御装置と、を含み、前記制御装置は、前記電力系統と前記電力制御装置とを接続する電力線に分岐接続された負荷の消費電力と前記インバータ回路の出力電力とに基づいて、前記電力系統の受電点の受電電力を算出し、前記受電点が逆潮流である場合、前記インバータ回路の運転力率を、1より小さい設定値に制御し、前記受電点が順潮流である場合、前記インバータ回路の運転力率を、前記設定値よりも大きな値に制御する。
【0006】
電力系統と連系する分散型電源用の電力制御装置の制御方法であって、前記電力系統と前記電力制御装置とを接続する電力線に分岐接続された前記負荷の消費電力と前記インバータ回路の出力電力とに基づいて、前記電力系統の受電点の受電電力を算出し、前記受電点が逆潮流である場合、前記分散型電源から供給される電力を直流から交流に変換して出力するインバータ回路の運転力率を、1より小さい設定値に制御し、前記受電点が順潮流である場合、前記インバータ回路の運転力率を、前記設定値よりも大きな値に制御する。
【発明の効果】
【0007】
本構成では、逆潮流時における系統電圧の上昇を抑えつつ、分散型電源により発電した電力の利用効率を高めることが出来る。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】実施形態1における太陽光発電システムのブロック図
【
図5】運転力率の制御の流れを示すフローチャート図
【
図7】順潮流時の負荷に対する電力の流れを示すブロック図
【
図8】逆潮流時の負荷に対する電力の流れを示すブロック図
【
図9】実施形態2における太陽光発電システムの他の実施形態を示すブロック図
【
図10】蓄電装置について放電、放電停止の移行条件を示す図
【発明を実施するための形態】
【0009】
電力系統と連系する分散型電源用の電力制御装置であって、分散型電源から供給される電力を直流から交流に変換して出力するインバータ回路と、制御装置と、を含み、前記制御装置は、前記電力系統と前記電力制御装置とを接続する電力線に分岐接続された負荷の消費電力と前記インバータ回路の出力電力とに基づいて、前記電力系統の受電点の受電電力を算出し、前記受電点が逆潮流である場合、前記インバータ回路の運転力率を、1より小さい設定値に制御し、前記受電点が順潮流である場合、前記インバータ回路の運転力率を、前記設定値よりも大きな値に制御する。
【0010】
本構成では、逆潮流時、インバータ回路の運転力率を1よりも小さい設定値に制御するため、電力系統の系統電圧が上昇することを抑制できる。順潮流時は、インバータ回路の運転力率を設定値よりも大きな値に制御するため、運転力率を設定値に維持する場合と比べて、分散型電源により発電した電力の利用効率を高めることが出来る。受電電力を負荷の消費電力とインバータ回路の出力電力から求めるため、受電電力の計測用として専用の計器類を設ける必要がない。
【0011】
前記制御装置は、順潮流時に前記受電点の受電電力が第1閾値よりも低下した場合、前記インバータ回路の運転力率を、減少させることが望ましい。本構成によれば、受電点の潮流が順潮流から逆潮流に切り換わる前に、インバータ回路の運転力率が下がるので、逆潮流時に、電力系統の系統電圧が上昇することを抑制できる。
【0012】
前記受電点における受電電力が第1閾値より大きい第2閾値よりも大きい場合、前記インバータ回路の運転力率を増加させることが好ましい。本構成によれば、受電電力が第2閾値より大きい場合、インバータ回路の運転力率を増加調整することから、受電点の受電電力を抑えることが出来る。また、第1閾値と第2閾値の間の範囲は、運転力率の調整が実行されない制御不感帯である。このような制御不感帯を設けることで、電力制御装置の制御ハンチングを抑制することが出来る。
【0013】
前記分散型電源と並列に蓄電装置を有する構成において、前記制御装置は、順潮流時に前記蓄電装置を放電し、逆潮流時は、前記蓄電装置の放電を停止することが好ましい。本構成によれば、順潮流時に、蓄電装置を放電することで、受電電力を抑えることが可能となり、蓄電装置に貯められたエネルギーを有効利用することが出来る。また、逆潮流の場合は、放電を停止することで、蓄電装置に貯められたエネルギーの売電を抑制できる。
【0014】
前記制御装置は、前記受電点の受電電力が前記第2閾値以上である場合に、前記蓄電装置の放電を開始し、前記インバータ回路の運転力率が上限値であり、かつ前記受電点の受電電力が前記第2閾値未満の場合、前記蓄電装置の放電を停止することが好ましい。この構成では、逆潮流から順潮流への移行時は、順潮流への移行後、蓄電装置の放電を早期に開始することが出来る。そのため、蓄電装置に貯められたエネルギーを有効利用することが出来る。また、順潮流から逆潮流への移行時は、逆潮流前に、蓄電装置の放電を停止することが出来る。
【0015】
<実施形態1>
1.太陽光発電システムSの説明
図1は太陽光発電システムSのブロック図である。
太陽光発電(PV:Photo Voltaic)システムSは、太陽光発電パネル10と、パワーコンディショナ20と、から構成されている。太陽光発電パネル10は、本発明の「分散型電源」の一例、パワーコンディショナ20は、本発明の「電力制御装置」の一例である。
【0016】
パワーコンディショナ20は、コンバータ回路21と、電解コンデンサC1と、インバータ回路25と、フィルタ回路27と、リレー29と、制御装置50と、直流電圧検出部31と、出力電流検出部33と、出力電圧検出部35と、系統電圧検出部36と、を備えている。
【0017】
コンバータ回路21は、太陽光発電パネル10に対して接続されている。コンバータ回路21は、太陽光発電パネル10の出力電圧(直流)を昇圧して出力する。電解コンデンサC1は、コンバータ回路21とインバータ回路25の中間に位置するリンク部23に配置されている。電解コンデンサC1は、リンク部23の電圧を安定させるために設けられている。
【0018】
太陽光発電パネル10により発電された電力は、コンバータ回路21を介してリンク部23に入力され、その結果として、リンク部23の電圧Vdcが上昇する。
【0019】
インバータ回路25は、コンバータ回路21の出力側に接続されており、入力される直流電力を交流電力に変換して出力する。より詳細には、インバータ回路25には、太陽光発電パネル10の発電によりリンク部23において基準値より増加した電圧分に相当する電力が入力される。従って、基準値より増加した電圧分に相当する電力が、直流から交流に変換され、インバータ回路25から出力される。
【0020】
インバータ回路25は、リレー29を介して、系統電源2を交流電源とする電力系統1に接続されている。電力系統は電力事業者のものでもよいし、大型パワーコンディショナの自立運転出力で成り立っている独立した電力系統でもよい。インバータ回路25と電力系統1とを接続する電力線5には、分岐線4を介して、負荷Lが接続されている。そのため、パワーコンディショナ20から、需要設備である負荷Lに対して交流電力を供給することが出来る。また、インバータ回路25の出力電力Pinvと負荷Lの消費電力Ploadとのバランス(Pinv>Ploadの場合)により、負荷Lだけでなく、電力系統1に対しても、交流電力を供給することが出来る。受電点3は、電力系統1による電力の供給地点であり、
図1に示すように、電力系統1と需要設備である負荷Lが設けられた構内との境界部分である。
【0021】
負荷Lが接続される分岐線4には、電力計40が設置されている。電力計40は例えば、スマートメータである。電力計40は、
図2に示すように、負荷Lの電流Iloadを計測する電流計測部41と、分岐線4の電圧Vloadを計測する電圧計測部43と、演算処理部45と、通信部47、記憶部49とを備える。
【0022】
演算処理部45は、電流Iloadと電圧Vloadとに基づいて、負荷Lの消費電力(有効電力)Ploadを算出する。例えば、負荷Lの電流Iloadの瞬時値と、分岐線4の電圧Vloadの瞬時値の積の平均値から、負荷Lの消費電力(有効電力)Ploadを求めることが出来る。電力計40は、通信部47により、ネットワークNWに接続されている。パワーコンディショナ20の制御装置50は、通信部51を有しており、ネットワークNWを介して、負荷Lの消費電力Ploadのデータを電力計40から受信することが出来る。
【0023】
リレー29は、電力系統1との連系用として設置されている。リレー29を閉じることで、太陽光発電システムSを電力系統1に連系させることが出来る。フィルタ回路27は、インバータ回路25とリレー29との間に配置されている。フィルタ回路27は、リアクトルL1とコンデンサC2から構成されており、インバータ回路25の出力から高調波成分を除去する。
【0024】
直流電圧検出部31は、リンク部23の電圧Vdcを検出する。直流電圧検出部31により検出されたリンク部23の電圧Vdcは、制御装置50に対して入力される。
【0025】
出力電流検出部33は、インバータ回路25の出力電流Iinvを検出する。具体的には、出力電流検出部33は、
図1に示すように、フィルタ回路27のリアクトルL1とコンデンサC2の間に位置しており、リアクトルL1の電流を検出する。出力電流検出部33により検出されたインバータ回路25の出力電流Iinvは、制御装置50に対して入力される。
【0026】
出力電圧検出部35は、フィルタ回路27の出力側に接続されており、高調波成分除去後のインバータ回路25の出力電圧Vinvを検出する。出力電流検出部33により検出されたインバータ回路25の出力電流Iinvと、出力電圧検出部35により検出されたインバータ回路25の出力電圧Vinvは、制御装置50に対して入力される。
【0027】
系統電圧検出部36は、リレー29の電力系統1側に配置されており、電力系統1の系統電圧Vgridを検出する。系統電圧検出部36により検出された系統電圧Vgridは、制御装置50に対して入力される。
【0028】
制御装置50は、インバータ回路25の出力電力Pinv[W]と、負荷Lの消費電力Pload[W]とに基づいて、以下の(1)式より、電力系統1の受電点3における受電電力Pgrid[W]を算出する(
図3参照)。
Pgrid=Pload-Pinv・・・・・(1)
【0029】
制御装置50は、受電電力Pgridから、電力潮流(以下、単に潮流とする)の状態を判定し、インバータ回路25の運転力率COSφを制御する。
【0030】
Pgrid>0の場合、系統電源2から受電点3に向かう潮流(順潮流)であり、Pgrid<0の場合、受電点3から系統電源2に向かう潮流(逆潮流)である。
図1、
図3では、順潮流をA1で示し、逆潮流をA2で示す。
【0031】
運転力率COSφは、インバータ回路25の出力する皮相電力Sinv[VA]に対する有効電力Pinv[W]の比率である。位相角φは、インバータ回路25の出力電圧Vinvに対する出力電流Iinvの角度である。
【0032】
COSφ=Pinv/Sinv・・・・・(2)
【0033】
図4は、制御装置50のうち運転力率COSφの制御に関する制御ブロックを示した図である。制御装置50は、出力電力演算部53、PLL回路55、運転力率指令部57、無効電流指令部59、無効電力制御部61、直流電圧制御部63、出力電流制御部65、インバータ電流制御部67、PWM制御部69を備えている。
【0034】
出力電力演算部53は、出力電流検出部33及び出力電圧検出部35により検出されるインバータ回路25の出力電流Iinvと出力電圧Vinvより、インバータ回路25の出力電力(有効電力)Pinvと無効電力Qinvを算出する。
【0035】
PLL回路55は、系統電圧検出部36により検出される系統電圧Vgridの検出値から系統電圧Vgridの位相角θを算出する。位相角は、0≦θ<360°である。
【0036】
運転力率指令部57は、外部計測器40により検出された受電電力Pgridに基づいて、インバータ回路25の運転力率COSφの指令値PFinv*を決定する。具体的には、受電電力Pgridについて、2つの閾値X1、X2を設定している。
【0037】
そして、運転力率指令部57は、受電電力Pgridが第1閾値X1より小さい場合、力率指令値PFinv*を減少させる。また、受電電力Pgridが第2閾値X2以上の場合、力率指令値PFinv*を増加する。第2閾値X2は、第1閾値X1より大きく(X2>X1)、第2閾値X2は一例として500W、第1閾値X1は一例として250Wである。
【0038】
無効電力指令部59は、力率指令値PFinv*と、現在出力しているインバータ回路25の有効電力Pinvに応じて、出力しなければならないインバータ回路25の無効電力指令値Qinv*を計算する。具体的には、力率指令値PFinv*と有効電力Pinvの積が、無効電力指令値Qinv*として生成される。
【0039】
無効電力制御部61は、インバータ回路25の無効電力Qinvが無効電力指令値Qinv*に収束するように制御量をPI(Proportional-Integral)演算する。そして、PI演算して求めた制御量からインバータ回路25の無効電流目標値Iqinv*を算出して出力する。
【0040】
直流電圧制御部63は、リンク部23の直流電圧Vdcが、直流電圧指令値Vdc*に収束するように制御量をPI演算する。そして、PI演算して求めた制御量からインバータ回路25の有効電流目標値Ipinv*を算出して出力する。直流電圧指令値Vdc*は、予め定められた固定値である。
【0041】
出力電流制御部65は、インバータ回路25の出力電流Iinvが定格を超えないように、電流指令値の上限を算出する。具体的には、インバータ回路25の定格電流及び力率指令値PFinv*に基づいて、有効電流上限値Iplimおよび無効電流上限値Iqlimを算出する。
【0042】
インバータ電流制御部67は、インバータ回路25の出力電流Iinvが、下記の(3)式で示す電流指令値Iinv*に収束するように制御量をPI演算し、PWM制御部69に対してインバータ回路25をPWM制御するためのデューティ比Dyを出力する。
【0043】
Iinv*=Ipinv*×sinθ+Iqinv*×cosθ・・・・・(3)
【0044】
PWM制御部69は、インバータ電流制御部67より入力されるデューティ比Dyに基づいて、インバータ回路25をPWM制御する。具体的には、インバータ回路25を構成する各半導体スイッチ(図略)をPWM制御する。これにより、インバータ回路25の出力電流Iinvが電流指令値Iinv*に調整される。以上のことから、インバータ回路25の運転力率COSφを、運転力率指令部57にて算出した力率指令値PFinv*に制御することが出来る。
【0045】
また、制御部50には、メモリ53が設けられている。メモリ53には、インバータ回路25の運転力率COSφの制御するためのプログラムや、蓄電装置100の充放電を制御するためのプログラムが記憶されている。
【0046】
2.運転力率COSφの制御
図5はインバータ回路25の運転力率COSφの制御(以下、力率制御)の流れを示すフローチャート図(S10~S70)である。
【0047】
制御装置50は、まず、インバータ回路25の出力電力Pinv[W]と、電力計40により計測される負荷Lの消費電力Pload[W]とに基づいて、受電点3の受電電力Pgrid[W]を算出する(S10)。
【0048】
次に、制御装置50の運転力率指令部57は、S10にて算出した受電電力Pgridを、第2閾値X2と比較する(S20)。第2閾値X2は、例えば500Wである。
【0049】
運転力率指令部57は、受電点3の受電電力Pgridが第2閾値X2以上の場合(S20:YES)、運転力率COSφの現在値が1.00より小さいか、判定する(S30)。
【0050】
運転力率指令部57は、運転力率COSφの現在値が1.00より小さい場合、運転力率COSφを所定量Zだけ増加させる力率指令値PFinv*を生成する。所定量Zは、例えば0.01である(S40)。
【0051】
力率指令値PFinv*が生成されると、インバータ回路25の出力電流Iinvは、インバータ電流制御部67、PWM制御部69により、力率指令値PFinv*に対応した電流指令値Iinv*に調整されることから、インバータ回路25の運転力率COSφは目標値、すなわち現在値よりも所定量Zだけ増加した値に調整される。
【0052】
一方、運転力率指令部57は、受電点3の受電電力Pgridが第2閾値X2よりも小さい場合(S20:NO)、受電電力Pgridを第1閾値X1と比較する(S50)。第1閾値X1は、例えば250Wである。
【0053】
運転力率指令部57は、受電点3の受電電力Pgridが第1閾値X1より小さい場合(S50:YES)、現在の運転力率COSφが設定値Yより小さいか、判定する(S60)。設定値Yは、例えば0.80である。
【0054】
運転力率指令部57は、現在の運転力率COSφが設定値Yより大きい場合、運転力率COSφを所定量Zだけ減少させる力率指令値PFinv*を生成する。所定量Zは、一例として0.01である。
【0055】
力率指令値PFinv*を生成されると、インバータ回路25の出力電流Iinvは、インバータ電流制御部67、PWM制御部69により、力率指令値PFinv*に対応した電流指令値Iinv*に調整されることから、インバータ回路25の運転力率COSφは目標値、すなわち現在値よりも所定量Zだけ減少した値に調整される。
【0056】
また、受電電力Pgridが第1閾値X1より大きい場合(S50:NO)、または、運転力率COSφが設定値(Y=0.80)以下である場合(S60:NO)、インバータ回路25の運転力率COSφは現在値に維持される。
【0057】
上記した力率制御(S10~S70)は、パワーコンディショナ20の出力中、所定の周期で繰り返し実行される。S10の受電電力Pgridを算出する処理は、パワーコンディショナ20の出力中に限らず、パワーコンディショナ20の停止中に行うことも可能であり、停止中も受電電力Pgridを算出して、受電点3の潮流を監視することが出来る。
【0058】
次に、インバータ回路25の運転力率COSφの制御例を説明する。
図6は負荷変動に伴う、インバータ回路25の出力電力Pinv、受電点3の受電電力Pgrid及び運転力率COSφの時間的変化を示すグラフである。
図6中の「破線で示すB1」は負荷Lの消費電力Ploadを示し、「太線で示すB2」はインバータ回路25の出力電力Pinv、「一点鎖線で示すB3」は受電点3の受電電力Pgridを示している。
【0059】
図6では、時刻t1で負荷Lが重負荷から軽負荷へ減少を開始している。重負荷の場合、
図7に示すように、受電点3の潮流は順潮流(Pgrid>0)であり、太陽光発電システムSと電力系統1の双方から、負荷Lに対して電力が供給される。
【0060】
受電点3の受電電力Pgridが500W以上であれば、インバータ回路25の運転力率COSφは、
図5に示す力率制御(S10~S70)が1回実行されるごとに、現在値から0.01ずつ増加して上限値1.00に連続的に調整される。そのため、負荷Lが重負荷の期間(開始~t1までの期間)、インバータ回路25の運転力率COSφは、上限値1.00に維持される。
【0061】
負荷Lが重負荷から軽負荷に減少を開始する時刻t1以降、受電点3の受電電力Pgridは減少してゆく。そして、太陽光発電システムSの出力だけで、負荷Lの消費電力Ploadを全て供給できるようになると、
図8に示すように、受電点3の潮流は逆潮流(Pgrid<0)となり、太陽光発電システムSから負荷Lだけでなく、電力系統1側に電力が供給される。
【0062】
一方、受電点3の受電電力Pgridが低下して第1閾値(X1=250W)よりも小さくなる時刻t2以降、インバータ回路25の運転力率COSφは、
図5に示す力率制御(S10~S70)が1回実行されるごとに、0.01ずつ連続的に減少し、設定値(Y=0.80)に調整される。
【0063】
そのため、受電点3の潮流が順潮流から逆潮流に切り換わる時刻t3以降、インバータ回路25の運転力率COSφは、設定値0.80に維持される。そして、負荷Lの消費電力Ploadがゼロになると、インバータ回路25の出力電力Pinvは、全て逆潮流して、電力系統1に供給される状態となる。
【0064】
以上のように、逆潮流(Pgrid<0)時に、インバータ回路25の運転力率COSφを、1よりも小さい設定値0.80に制御することから、電力系統1の系統電圧Vgridが上昇することを抑制できる。
【0065】
また更に、負荷Lが軽負荷から重負荷に増加すると、受電点3の受電電力Pgridは増加して、受電点3の潮流は、逆潮流から順潮流に切り換わる。
図6の例では、時間を逆に辿るような変化(t4⇒t5)として考えることが出来る。
【0066】
受電電力Pgridが第2閾値(X2=500W)よりも大きくなる時刻t5以降、インバータ回路25の運転力率COSφは、制御装置50により、0.01刻みで連続的に増加調整され、設定値0.80から上限値1.00まで変化する。そして、受電点3が順潮流であって、受電電力Pgridが第2閾値X2よりも大きい期間、インバータ回路25の運転力率COSφは、上限値1.00に維持される。
【0067】
順潮流時に、運転力率COSφを増加させることで、インバータ回路25の出力する有効電力Pinvが増加するため、電力系統1から受電点3に供給される受電電力Pgridを抑えることが可能となる。
【0068】
また、制御装置50は、受電点3の受電電力Pgridを第2閾値(X2>X1)と比較して、インバータ回路25の運転力率COSφを増加させている。
【0069】
このように、インバータ回路25の運転力率COSφを調整する閾値Xとして、2つの閾値X1、X2を設けている。2つの閾値X1、X2の間の範囲(250W~500W)は、運転力率COSφの調整が実行されない制御不感帯である。制御不感帯を設けることで、インバータ回路25の制御ハンチングを抑制することが出来る。
【0070】
5.効果説明
本構成では、逆潮流時、インバータ回路25の運転力率COSφを1よりも小さい設定値Yに制御するため、電力系統1の系統電圧Vgridが上昇することを抑制できる。また、順潮流時は、インバータ回路25の運転力率COSφを設定値Yよりも大きな値に制御するため、運転力率COSφを設定値Yに維持する場合と比べて、太陽光発電パネル10により発電した電力の利用効率を高めることが出来る。また、本構成では、受電電力Pgridを負荷Lの消費電力Ploadとインバータ回路25の出力電力Pinvから求めるため、受電電力Pgridの計測用として専用の計器類を設ける必要がない。
【0071】
<実施形態2>
実施形態1の太陽光発電システムSは、太陽光発電パネル10と、パワーコンディショナ20とを備えた構成であった。
【0072】
実施形態2の太陽光発電システムS1は、実施形態1の太陽光発電システムSに対して、蓄電装置100が追加されている。太陽光発電システムS1は、
図9に示すように、太陽光発電パネル10と、蓄電装置100と、パワーコンディショナ200とから構成されている。
【0073】
パワーコンディショナ200は、実施形態1のパワーコンディショナ20と比べて、コンバータ回路21の数が相違しており、太陽光発電パネル用のコンバータ回路21Aと、蓄電装置100用のコンバータ回路21Bをリンク部23に対して並列に設けている。
【0074】
太陽光発電パネル10と蓄電装置100は、
図9に示すようにコンバータ回路21A、21Bを介して、パワーコンディショナ200のリンク23に対して並列に接続されている。
【0075】
蓄電装置100は、例えば、二次電池やキャパシタである。蓄電装置100は、太陽光発電パネル10の余剰電力を蓄電する装置である。
【0076】
太陽光発電システムS1の制御部50は、
図10に示すように、受電電力Pgridが第2閾値X2の500W以上の場合、蓄電装置100の放電を開始する。そして、運転力率COSφが1.0であり、かつ、受電電力Pgridが第2閾値X2の500W未満の場合、蓄電装置100の放電を停止する。
【0077】
図11は、パワーコンディショナ200の運転制御例であり、日中など太陽光発電パネル10の発電時について、受電電力Pgridと運転力率COSφの変化を示したグラフである。
図11中の「破線で示すB1」は負荷Lの消費電力Ploadを示し、「太線で示すB2」はインバータ回路25の出力電力Pinv、「一点鎖線で示すB3」は受電点3の受電電力Pgridを示している。また、
図11にてPVは太陽光発電パネル出力であり、BTは蓄電装置出力である。
【0078】
開始~時刻t1まで期間は、重負荷で順潮流していることから、インバータ回路25の運転力率COSφは、制御装置50により、上限値である1に制御されている。また、時刻t1まで期間、受電電力Pgridは500Wよりも大きいため、制御装置50は、コンバータ回路21Bを介して蓄電装置100を出力状態に制御する(放電)。従って、開始~時刻t1まで期間、パワーコンディショナ200は、太陽光発電パネル10と蓄電装置100を併用した出力状態となる。太陽光発電パネル10と蓄電装置100とも出力は2.5kWで、合計出力は5kWである。
【0079】
負荷変動により、時刻t1以降、受電電力Pgridが減少し始める。受電電力Pgridが第2閾値X2の500Wを下回る時刻taにて、制御装置50はコンバータ回路21Bに対して放電を停止する指令を送る。
【0080】
蓄電装置100の出力は、時刻ta以降、減少してゆき、時刻tbにてゼロになる。従って、時刻tb以降、パワーコンディショナ200は、太陽光発電パネル10による単独の出力状態に移行して、初期出力の半分の2.5kWの出力となる。一方、受電電力Pgridは、蓄電装置100が出力停止した時刻tb以降、500Wから更に減少していく。
【0081】
制御装置50は、受電電力Pgridが第1閾値X1の250Wを下回る時刻tcにて、インバータ回路25に対して運転力率COSφを減少する指令を送る。
【0082】
これにより、インバータ回路25の運転力率COSφは、上限値である「1」から減少調整される。そして、受電点の潮流が順方向から逆潮流に転じる時刻td以降、インバータ回路25の運転力率COSφは、設定値(Y=0.80)に調整される。
【0083】
その後、負荷Lが軽負荷から重負荷に増加すると、受電電力Pgridは増加して、受電点3の潮流は、逆潮流から順潮流に切り換わる。
図11の例では、時間を逆に辿るような変化(te⇒tf)として考えることが出来る。
【0084】
制御装置50は、受電電力Pgridが500W以上となる時刻tfにて、コンバータ回路21Bに対して放電を開始する指令を送る。そのため、逆潮流から順潮流への移行後、受電電力Pgridが500W以上となる時刻tf以降は、パワーコンディショナ200は、太陽光発電パネル10と蓄電装置100を併用した出力状態となる。
【0085】
また、制御装置50は、受電電力Pgridが500W以上となる時刻tf以降、インバータ回路25の運転力率COSφを、0.01刻みで連続的に増加調整する。これにより、逆潮流から順潮流への移行後、インバータ回路25の運転力率COSφは、設定値0.80から上限値1.00まで変化し、上限値1.00に維持される。
【0086】
以上のように、制御装置50は、受電電力Pgridが500W以上になると、蓄電装置100の放電を開始する。また、制御装置50は、運転力率COSφが上限値である「1」に制御されている状態において、受電電力Pgridが500W未満になると、蓄電装置100の放電を停止する。このようにすることで、順潮流(Pgrid>0)の場合のみ、蓄電装置100を放電でき、逆潮流(Pgrid<0)の場合は、放電を停止することができる。
【0087】
また、蓄電装置100が放電を開始する時の受電電力Pgridは500Wであり、これは、運転力率COSφを設定値0.8から増加させる第2閾値X2である。そのため、逆潮流から順潮流への移行後、運転力率COSφを設定値0.8から増加する制御を開始するのと同時に、蓄電装置100は放電を開始する。以上のことから、運転力率COSφが上限値である「1」に調整されるのを待って放電を開始する場合(時刻tgで放電を開始する場合)に比べて、蓄電装置100の放電を早期に開始することが出来る。そのため、受電電力Pgridを抑えることが可能となり、蓄電装置100に貯められたエネルギーを有効利用することが出来る。
【0088】
<他の実施形態>
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれる。
【0089】
(1)実施形態1、2では、分散型電源の一例として、太陽光発電パネル10を示した。分散型電源は、需要地に隣接して分散配置される小規模な発電設備全般の総称であり、例えば、太陽光発電装置10以外にも、風力発電装置、バイオマス発電装置などが含まれる。風力発電装置やバイオマス発電装置等の交流発電装置の場合、発電装置の出力を整流器で整流して直流に変換してからリンク部23に接続し、リンク部23の直流電力をインバータ回路25で交流電力に変換するシステムにするとよい。
【0090】
(2)実施形態1、2では、電力制御装置の一例として、PV用のパワーコンディショナ20を示した。電力制御装置は、少なくとも、インバータ回路25と、制御装置50を備えた構成であればよく、コンバータ回路21、電解コンデンサC1、リンク部23、フィルタ回路27、リレー29等は、無くてもよい。系統電圧Vgridのデータを外部計測器などから取得可能な場合、系統電圧検出部36を廃止することも出来る。
【0091】
(3)実施形態1、2では、逆潮流時における運転力率COSφの設定値Yを0.80とした。設定値Yは1よりも小さな値であればよく、0.80以外の数値でもよい。また、運転力率COSφの増減は0.01刻みで行う場合に限らず、例えば、0.02刻みなど、他の調整幅としてもよい。
【0092】
(4)実施形態1、2では、受電点3の受電電力Pgridについて、2つの閾値X1、X2を設定し、受電電力Pgridが第1閾値X1よりも小さい場合、力率指令値PFinv*を減少させることにより、逆潮流時(Pgrid<0)の運転力率COSφを下げて、設定値(Y=0.80)とした。また、受電電力Pgridが第2閾値X2よりも大きい場合、力率指令値PFinv*を増加させることにより、順潮流時(Pgrid>0)の運転力率COSφを設定値(Y=0.80)よりも大きな値とした。
【0093】
上記以外にも、以下の方法で、運転力率COSφを調整しもよい。受電点3における受電電力Pgridの正負に基づいて、受電点3の潮流が順潮流か逆潮流か、を判別する。逆潮流時(Pgrid<0)には、運転力率COSφを設定値(Y=0.80)に制御する。一方、順潮流時(Pgrid>0)には、順潮流時(Pgrid>0)の運転力率COSφを設定値(Y=0.80)よりも大きな値に制御する。また、同様に受電点3の潮流の状態(順潮流or逆潮流)に応じて、蓄電装置100の放電、放電停止を制御することも出来る。
【0094】
(5)実施形態1、2では、電力線5に分岐接続された負荷Lが単数である例を示したが、負荷Lは複数でもよい。負荷Lが複数の場合、複数負荷Lのトータル消費電力Pload[W]と、インバータ回路25の出力電力Pinv[W]とから、受電点3の受電電力Pgrid[W]を算出すればよい。また、電力線5に対して負荷Lと共に別のパワーコンディショナが接続されていてもよい。負荷Lと共に別のパワーコンディショナが接続されている場合、別のパワーコンディショナをマイナス負荷として、以下の(a)式により、受電点の受電電力Pgridが可能である。
【0095】
Pgrid=(Pload-Pinv2)-Pinv1・・・・・(a)
Pinv1は制御対象であるパワーコンディショナ20のインバータ回路25の出力電力、Pinv2は、電力線5に接続された別のパワーコンディショナのインバータ回路の出力電力である。
【符号の説明】
【0096】
1...電力系統
2...系統電源
3...受電点
10...太陽光発電パネル(本発明の「分散型電源」の一例)
20...パワーコンディショナ(本発明の「電力制御装置」の一例)
21...コンバータ回路
25...インバータ回路
27...フィルタ回路
29...リレー
40...電力計
50...制御装置
100...蓄電装置
X1、X2...第1閾値、第2閾値