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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-14
(45)【発行日】2022-03-23
(54)【発明の名称】冷却構造
(51)【国際特許分類】
   B60K 11/04 20060101AFI20220315BHJP
   B60H 1/03 20060101ALI20220315BHJP
   B60H 1/16 20060101ALI20220315BHJP
【FI】
B60K11/04 H
B60H1/03 Z
B60H1/16
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2018016442
(22)【出願日】2018-02-01
(65)【公開番号】P2019131098
(43)【公開日】2019-08-08
【審査請求日】2020-12-29
(73)【特許権者】
【識別番号】000000170
【氏名又は名称】いすゞ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100166006
【弁理士】
【氏名又は名称】泉 通博
(74)【代理人】
【識別番号】100124084
【弁理士】
【氏名又は名称】黒岩 久人
(74)【代理人】
【識別番号】100154070
【弁理士】
【氏名又は名称】久恒 京範
(74)【代理人】
【識別番号】100153280
【弁理士】
【氏名又は名称】寺川 賢祐
(72)【発明者】
【氏名】冨川 清一郎
(72)【発明者】
【氏名】越水 遥斗
【審査官】中川 隆司
(56)【参考文献】
【文献】特開平10-227213(JP,A)
【文献】特開2011-088571(JP,A)
【文献】特開2002-081320(JP,A)
【文献】特開2018-118591(JP,A)
【文献】特開2008-238855(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60K 11/04
B60H 1/03
B60H 1/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に設けられている第1熱交換器と、
前記車両に設けられており、かつ前記車両の前後方向において前記第1熱交換器よりも前方に設けられており、下面が前記第1熱交換器の上面と接する第2熱交換器と、
前記車両に設けられており、かつ前記車両の前後方向において前記第2熱交換器よりも前方に設けられており、下面の一部の領域が前記第2熱交換器の上面と接する第3熱交換器と、
を有し、
前記第1熱交換器の上端は、前記第2熱交換器の上端よりも前記車両の高さ方向において上方に位置し、
前記第3熱交換器の上端は、前記車両の高さ方向において前記第1熱交換器の上端と前記第2熱交換器の上端との間に位置し、
前記第3熱交換器の下端は、前記第2熱交換器の下端よりも前記車両の高さ方向において上方に位置し、
前記第1熱交換器は、前記第1熱交換器の上端が前記第1熱交換器の下端よりも前記車両の前後方向における後方に位置するように、前記車両の高さ方向に対して所定の角度で傾斜しており、
前記第2熱交換器は、前記第2熱交換器の上端が前記第2熱交換器の下端よりも前記車両の前後方向における後方に位置するように、前記車両の高さ方向に対して前記所定の角度で傾斜しており、
前記第3熱交換器は、前記第3熱交換器の上端が前記第3熱交換器の下端よりも前記車両の前後方向における後方に位置するように、前記車両の高さ方向に対して前記所定の角度で傾斜していることを特徴とする冷却構造。
【請求項2】
前記第3熱交換器の前記車両の車幅方向における幅は、前記第1熱交換器及び前記第2熱交換器の前記車両の車幅方向における幅よりも小さく、
前記第3熱交換器の前記車両の車幅方向における左端は、前記第1熱交換器及び前記第2熱交換器の前記車両の車幅方向における左端よりも右側に位置し、
前記第3熱交換器の前記車両の車幅方向における右端は、前記第1熱交換器及び前記第2熱交換器の前記車両の車幅方向における右端よりも左側に位置することを特徴とする、
請求項1に記載の冷却構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、車両の各部を冷却する冷却構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車両には、冷却構造が設けられている。特許文献1には、車両の前後方向において並べて配置されている複数の熱交換器を有する冷却構造が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2008-238855号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
車両の前後方向において複数の熱交換器が並べて配置されている冷却構造の場合、車両の高さ方向及び車両の車幅方向において複数の熱交換器が重なっている領域と重なっていない領域とで偏りが生じている場合がある。この場合、冷却構造は、各熱交換器を通過する空気の風速分布に偏りが生じてしまい、冷却構造の冷却性能が低下してしまうという問題が生じていた。
【0005】
そこで、本開示はこれらの点に鑑みてなされたものであり、風速分布の偏りが生じづらく、冷却性能が向上する車両の冷却構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の第1の態様においては、車両に設けられている第1熱交換器と、前記車両に設けられており、かつ前記車両の前後方向において前記第1熱交換器よりも前方に設けられている第2熱交換器と、前記車両に設けられており、かつ前記車両の前後方向において前記第2熱交換器よりも前方に設けられている第3熱交換器と、を有し、前記第1熱交換器の上端は、前記第2熱交換器の上端よりも前記車両の高さ方向において上方に位置し、前記第3熱交換器の上端は、前記車両の高さ方向において前記第1熱交換器の上端と前記第2熱交換器の上端との間に位置することを特徴とする冷却構造を提供する。
【0007】
また、前記第3熱交換器の前記車両の車幅方向における幅は、前記第1熱交換器及び前記第2熱交換器の前記車両の車幅方向における幅よりも小さく、前記第3熱交換器の前記車両の車幅方向における左端は、前記第1熱交換器及び前記第2熱交換器の前記車両の車幅方向における左端よりも右側に位置し、前記第3熱交換器の前記車両の車幅方向における右端は、前記第1熱交換器及び前記第2熱交換器の前記車両の車幅方向における右端よりも左側に位置していてもよい。また、前記第3熱交換器の下端は、前記第2熱交換器の下端よりも前記車両の高さ方向において上方に位置していてもよい。
【発明の効果】
【0008】
本開示によれば、車両の冷却構造において風速分布の偏りが生じづらくなり、冷却性能が向上するという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本実施形態に係る冷却構造が車両に設けられている状態の構成を示す。
図2】本実施形態に係る冷却構造の構成を示す。
図3】比較例としての冷却構造が車両に設けられている状態の構成を示す。
図4】比較例としての冷却構造の構成を示す。
図5】本実施形態に係る冷却構造及び比較例としての冷却構造における空気の風速分布の一例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0010】
<本実施形態>
[本実施形態に係る冷却構造1の概要]
図1は、本実施形態に係る冷却構造1が車両に設けられている状態の構成を示す図である。図2は、本実施形態に係る冷却構造1の構成を示す図である。なお、図2は、本実施形態に係る冷却構造1を車両の前方側から見た構成を示す図である。
【0011】
車両は、冷却構造1、及びサイドフレーム2を有する。冷却構造1は、車両の各部を冷却する機能を有する。サイドフレーム2は、車両の前後方向において延伸する複数の部材である。冷却構造1は、複数のサイドフレーム2の間に位置する。冷却構造1は、複数のサイドフレーム2に図示しないフレームを介して固定されている。また、冷却構造1は、図示しない車両の車体の下方に位置している。
【0012】
冷却構造1は、第1熱交換器11、第2熱交換器12、及び第3熱交換器13を有する。第1熱交換器11は、例えば車両のエンジンを冷却するための熱交換器である。具体的には、第1熱交換器11は、走行風又はファンにより送風される空気と、エンジンを冷却するための冷却水(以下、「エンジン用冷却水」とする。)とを熱交換することで、エンジン用冷却水を冷却する。走行風は、車両が走行することで生じる空気の流れである。ファンは、例えば誘引ファンであり、冷却構造1よりも車両の前後方向における後方に設けられていることで、車両の前後方向における前方から後方への空気の流れを生じさせる。
【0013】
第1熱交換器11は、略直方体形状である。第1熱交換器11は、車両に設けられており、かつ冷却構造1が有する複数の熱交換器のうちで車両の前後方向における最も後方に設けられている。第1熱交換器11は、複数のサイドフレーム2の間に位置している。第1熱交換器11は、第1熱交換器11の上端が第1熱交換器11の下端よりも車両の前後方向における後方に位置するように、車両の高さ方向に対して所定の角度で傾斜している。
【0014】
第2熱交換器12は、例えばインタークーラである。第2熱交換器12は、走行風又はファンにより送風される空気と、ターボチャージャから循環してきた空気(以下、「燃焼用空気」とする。)とを熱交換することで、燃焼用空気を冷却する。
【0015】
第2熱交換器12は、略直方体形状である。第2熱交換器12は、車両に設けられており、かつ車両の前後方向において第1熱交換器11よりも前方に設けられている。第2熱交換器12は、複数のサイドフレーム2の間に位置している。第2熱交換器12は、第2熱交換器12の上端が第2熱交換器12の下端よりも車両の前後方向における後方に位置するように、車両の高さ方向に対して所定の角度で傾斜している。
【0016】
第3熱交換器13は、例えばエアコン用コンデンサである。第3熱交換器13は、走行風又はファンにより送風される空気と、車両に設けられているエアコンで用いられる冷媒(以下、「エアコン用冷媒」とする。)とを熱交換することで、エアコン用冷媒を冷却する。
【0017】
第3熱交換器13は、略直方体形状である。第3熱交換器13は、車両に設けられており、かつ車両の前後方向において第2熱交換器12よりも前方に設けられている。第3熱交換器13は、複数のサイドフレーム2の間に位置している。第3熱交換器13は、第3熱交換器13の上端が第3熱交換器13の下端よりも車両の前後方向における後方に位置するように、車両の高さ方向に対して所定の角度で傾斜している。
【0018】
第1熱交換器11、第2熱交換器12、及び第3熱交換器13は、例えば、略同様の構造を有する熱交換器である。例えば、第1熱交換器11を例として説明すると、第1熱交換器11は、第1熱交換器11の内側をエンジン用冷却水が流れる複数の管を有する。そして、当該複数の管の外側を、空気、例えば走行風が第1熱交換器11の前方から後方に向かって流れる。当該複数の管の内側を流れるエンジン用冷却水は、当該複数の管の外側の空間(以下、「空気流路」とする。)を流れる空気によって冷却される。第2熱交換器12、及び第3熱交換器13においては、当該複数の管の内側には、それぞれ燃焼用空気、エアコン用冷媒が流れている。
【0019】
図1及び図2で示す第1熱交換器11、第2熱交換器12、及び第3熱交換器13においては、当該複数の管が第1熱交換器11、第2熱交換器12、及び第3熱交換器13の略全域に形成されている。よって、車両の前方から後方に向かって流れる空気は、第1熱交換器11、第2熱交換器12、及び第3熱交換器13の略全領域において、それぞれの熱交換器を前方から後方に向かって通過可能であり、当該通過可能な領域は、複数の管の内側を流れる流体、例えばエンジン用冷却水を冷却するための領域として用いられる。
【0020】
第1熱交換器11、第2熱交換器12、及び第3熱交換器13は、車両の前後方向における前方から後方に向かって、第3熱交換器13、第2熱交換器12、及び第1熱交換器11の順に車両に設けられている。また、第1熱交換器11、第2熱交換器12、及び第3熱交換器13は、略平行である。よって、車両の前後方向における前方から後方に向かって流れる空気、例えば走行風は、第3熱交換器13、第2熱交換器12、及び第1熱交換器11の順にそれぞれの熱交換器に形成されている空気流路を通過する。
【0021】
この結果、第3熱交換器13、第2熱交換器12、第1熱交換器11の順にそれぞれの熱交換器の空気流路を通過した空気は、それぞれ、エアコン用冷媒、燃焼用空気、エンジン用冷却水と熱交換することで加熱される。よって、第3熱交換器13、第2熱交換器12、第1熱交換器11の順にそれぞれの熱交換器の空気流路を通過した空気は、第3熱交換器13の前面における空気の温度、第2熱交換器12の前面における空気の温度、第1熱交換器11の前面における空気の温度、第1熱交換器11の後面における空気の温度の順に、空気の温度が高くなる。
【0022】
[本実施形態に係る冷却構造1の詳細]
ここで、比較例としての冷却構造100について説明する。図3は、比較例としての冷却構造100が車両に設けられている状態の構成を示す図である。図4は、比較例としての冷却構造100の構成を示す図である。なお、図4は、比較例としての冷却構造100を車両の前方側から見た構成を示す図である。
【0023】
図5は、本実施形態に係る冷却構造1及び比較例としての冷却構造100における空気の風速分布の一例を示す図である。図5(a)は、冷却構造100の第3熱交換器103における空気の風速分布の一例を示す図である。図5(b)は、冷却構造100の第2熱交換器12における空気の風速分布の一例を示す図である。図5(c)は、冷却構造100の第1熱交換器11における空気の風速分布の一例を示す図である。図5(d)は、冷却構造1の第3熱交換器13における空気の風速分布の一例を示す図である。図5(e)は、冷却構造1の第2熱交換器12における空気の風速分布の一例を示す図である。図5(f)は、冷却構造1の第1熱交換器11における空気の風速分布の一例を示す図である。
【0024】
比較例としての冷却構造100は、本実施形態に係る冷却構造1と比べて、第3熱交換器103の形状と第3熱交換器103が設けられている位置が異なる。第3熱交換器103の上端は、車両の高さ方向において第2熱交換器12の上端よりも低い位置に位置する。
【0025】
また、第3熱交換器103の車両の高さ方向における長さは、第3熱交換器13の車両の高さ方向における長さよりも短い。また、第3熱交換器103の車両の車幅方向における長さは、第3熱交換器13の車両の車幅方向における長さよりも長い。冷却構造100は、第3熱交換器103がこのように設けられているので、各熱交換器の空気流路を流れる空気の風速分布に偏りが生じ易い。
【0026】
具体的には、冷却構造100は、車両の高さ方向において下方から上方に向かうにつれて第1熱交換器11、第2熱交換器12、及び第3熱交換器103が重なっている領域、第1熱交換器11と第2熱交換器12が重なっている領域、第1熱交換器11のみの領域となっている。よって、冷却構造100は、冷却構造100における下方の領域においては、第1熱交換器11、第2熱交換器12、及び第3熱交換器103が重なって配置されていることで抵抗が大きく、冷却構造100における上方の領域においては、第1熱交換器11のみの領域となっていることで抵抗が小さい。
【0027】
この結果、図5(c)に示すように、冷却構造100は、例えば、第1熱交換器11の上方を流れる空気の風速は大きいが、第2熱交換器12及び第3熱交換器103と重なる下方を流れる空気の風速は小さくなってしまう。
【0028】
本実施形態に係る冷却構造1の第1熱交換器11の上端は、第2熱交換器12の上端よりも車両の高さ方向において上方に位置する。冷却構造1は、このように第1熱交換器11の上端が、第2熱交換器12の上端及び第3熱交換器13の上端よりも車両の高さ方向において上方に位置することで、第1熱交換器11の車両の車幅方向及び高さ方向において第2熱交換器12及び第3熱交換器13とは重なっていない領域111を有する。図5(f)に示すように、領域111の空気流路を流れる空気の風速は、第1熱交換器11における第2熱交換器12又は第3熱交換器13のうちの少なくともいずれか一方の熱交換器と重なっている領域の空気流路を流れる空気の風速に比べて大きい。
【0029】
また、第1熱交換器11は、領域111を有することで、第3熱交換器13又は第2熱交換器12のうちのいずれの熱交換器の空気流路も流れていない空気が第1熱交換器11の空気流路を流れる量を増加させることができる。よって、第1熱交換器11は領域111を有することで、第1熱交換器11の空気流路を流れる空気の温度を、第2熱交換器12又は第3熱交換器13のうちの少なくともいずれか一方の熱交換器を流れることで加熱された空気の温度に比べて低くすることができる。これらの結果、冷却構造1は、第1熱交換器11が領域111を有することで、冷却性能が向上する。
【0030】
また、比較例としての冷却構造100に対して、本実施形態に係る冷却構造1においては、第3熱交換器13の上端は、車両の高さ方向において第1熱交換器11の上端と第2熱交換器12の上端との間に位置する。冷却構造1は、このように第3熱交換器13の上端が、車両の高さ方向において第1熱交換器11の上端と第2熱交換器12の上端との間に位置することで、第3熱交換器13が、車両の高さ方向において第2熱交換器12と重ならない領域131を有する。領域131は、第3熱交換器13の車両の高さ方向における上端と第2熱交換器12の上端と同じ位置との間の領域である。
【0031】
図5(d)に示すように第3熱交換器13の領域131の空気流路を流れる空気の風速は、第3熱交換器13の車両の高さ方向において第2熱交換器12と重っている領域を流れる空気の風速に比べて大きい。また、図5(f)に示すように、第1熱交換器11における領域131と車両の高さ方向及び車幅方向において重なっている領域の空気流路を流れる空気の風速は小さくなるが、第1熱交換器11における領域131と車両の高さ方向及び車幅方向と重なっていない領域の空気流路を流れる空気の風速は上昇する。
【0032】
よって、冷却構造1は、各熱交換器の空気流路を流れる空気の風速分布の偏りを生じづらくすることができる。また、図5(d)に示すように、冷却構造1は、第3熱交換器13が領域131を有することで、第3熱交換器13を流れる空気の風速が大きくなるので、冷却性能が向上する。
【0033】
また、第3熱交換器13の下端は、第2熱交換器12の下端よりも車両の高さ方向において上方に位置する。具体的には、第3熱交換器13の下端は、第1熱交換器11の下端及び第2熱交換器12の下端よりも車両の高さ方向において上方に位置する。よって、第2熱交換器12は、第2熱交換器12の車両の高さ方向において第3熱交換器13と重なっていない領域121を有する。領域121は、車両の高さ方向における第2熱交換器12の下端と第3熱交換器13の下端と同じ位置との間の領域である。
【0034】
第2熱交換器12の領域121の空気流路を流れる空気の風速は、第2熱交換器12における車両の高さ方向において第3熱交換器13と重なっている領域の空気流路を流れる空気の風速に比べて大きい。この結果、冷却構造1は、第2熱交換器12が領域121を有することで、各熱交換器の空気流路を流れる空気の風速分布の偏りを生じづらくすることができる。
【0035】
また、第2熱交換器12は、領域121を有することで、第3熱交換器13の空気流路を流れていない空気が第2熱交換器12の空気流路を流れる量を増加させることができる。よって、第2熱交換器12は領域121を有することで、第2熱交換器12の空気流路を流れる空気の温度を、第3熱交換器13を流れることで加熱された空気の温度に比べて低くすることができる。これらの結果、冷却構造1は、第2熱交換器12が領域121を有することで、冷却性能が向上する。
【0036】
また、第2熱交換器12の車両の車幅方向における幅は、第1熱交換器11の車両の車幅方向における幅と略同じである。第2熱交換器12の車両の車幅方向における左端は、第1熱交換器11の車両の車幅方向における左端と略同じ位置に位置する。第2熱交換器12の車両の車幅方向における右端は、第1熱交換器11の車両の車幅方向における右端と略同じ位置に位置する。
【0037】
また、第3熱交換器13の車両の車幅方向における幅は、第1熱交換器11及び第2熱交換器12の車両の車幅方向における幅よりも小さい。第3熱交換器13の車両の車幅方向における左端は、第1熱交換器11及び第2熱交換器12の車両の車幅方向における左端よりも右側に位置する。第3熱交換器13の車両の車幅方向における右端は、第1熱交換器11及び第2熱交換器12の車両の車幅方向における右端よりも左側に位置する。
【0038】
よって、第2熱交換器12は、第3熱交換器13と車両の車幅方向において重なっていない領域122を有する。領域122は、車両の車幅方向における第2熱交換器12の左端と第3熱交換器13の左端と同じ位置との間の領域、及び車両の車幅方向における第2熱交換器12の右端と第3熱交換器13の右端と同じ位置との間の領域である。第2熱交換器12の領域122の空気流路を流れる空気の風速は、第2熱交換器12における車両の車幅方向において第3熱交換器13と重なっている領域の空気流路を流れる空気の風速に比べて大きい。
【0039】
また、第2熱交換器12は、領域122を有することで、第3熱交換器13の空気流路を流れていない空気が第2熱交換器12の空気流路を流れる量を増加させることができる。よって、第2熱交換器12は、領域122を有することで、第2熱交換器12の空気流路を流れる空気の温度を、第3熱交換器13を流れることで加熱された空気の温度に比べて低くすることができる。これらの結果、冷却構造1は、第2熱交換器12が領域122を有することで、冷却性能が向上する。
【0040】
上記実施形態では、第1熱交換器11は、エンジン冷却用の熱交換器であり、第2熱交換器12は、インタークーラであり、第3熱交換器13は、エアコン用コンデンサであるとしたが、これに限定されない。第1熱交換器11、第2熱交換器12、及び第3熱交換器13は、車両の各部を冷却するために用いられる熱交換器であればよく、どの熱交換器を車両のどの部分を冷却ための熱交換器とするのかは任意である。
【0041】
[本実施形態に係る冷却構造1による効果]
本実施形態に係る冷却構造1は、車両に設けられている第1熱交換器11と、車両に設けられており、かつ車両の前後方向において第1熱交換器11よりも前方に設けられている第2熱交換器12と、車両に設けられており、かつ車両の前後方向において第2熱交換器12よりも前方に設けられている第3熱交換器13と、を有する。そして、第1熱交換器11の上端は、第2熱交換器12の上端よりも車両の高さ方向において上方に位置し、第3熱交換器13の上端は、車両の高さ方向において第1熱交換器11の上端と第2熱交換器12の上端との間に位置する。
【0042】
本実施形態に係る冷却構造1は、このように第3熱交換器13の上端が、車両の高さ方向において第1熱交換器11の上端と第2熱交換器12の上端との間に位置する。車両の高さ方向において第3熱交換器13の上端が第2熱交換器12の上端よりも上方に位置することで形成される第3熱交換器13の領域131では、領域131の空気流路を流れる空気の風速が、領域131以外の領域の空気流路を流れる空気の風速に比べて大きくなる。よって、冷却構造1は、第3熱交換器13の空気流路を流れる空気の風速が大きくなる。この結果、冷却構造1は、各熱交換器を通過する空気の風速分布に偏りが生じづらくなり、冷却性能が向上する。
【0043】
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されず、その要旨の範囲内で種々の変形及び変更が可能である。例えば、装置の分散・統合の具体的な実施の形態は、以上の実施の形態に限られず、その全部又は一部について、任意の単位で機能的又は物理的に分散・統合して構成することができる。また、複数の実施の形態の任意の組み合わせによって生じる新たな実施の形態も、本発明の実施の形態に含まれる。組み合わせによって生じる新たな実施の形態の効果は、もとの実施の形態の効果を合わせ持つ。
【符号の説明】
【0044】
1、100・・・冷却構造
11・・・第1熱交換器
111・・・領域
12・・・第2熱交換器
121・・・領域
122・・・領域
13、103・・・第3熱交換器
131・・・領域
2・・・サイドフレーム
図1
図2
図3
図4
図5